JP2016060759A - ポリブチレンテレフタレートおよびその製造方法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレートおよびその製造方法 Download PDF

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憲一 歌崎
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Abstract

【課題】機械強度および製膜性に優れるポリブチレンテレフタレート、およびかかるポリブチレンテレフタレートを効率的に得ることのできるポリブチレンテレフタレートの製造方法を提供すること。
【解決手段】示差走査熱量測定において、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、250℃で5分間保持し、次いで30℃まで降温速度20℃/分で降温した後、30℃で1分間保持し、再び30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温したときの融解熱量(ΔHm2nd)が50J/g以下であるポリブチレンテレフタレート。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレートおよびその製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステルは、優れた機械特性、耐熱性、成形性およびリサイクル性を有し、耐薬品性にも優れていることから、成形品、フィルムおよび繊維などに広く利用されている。中でもPBTは、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレーおよびスイッチなどの工業用成形品の材料として広く使用されている。
PBTの製造方法としては、直接重合法またはエステル交換法が知られている。直接重合法は、テレフタル酸とブタンジオールとの直接エステル化反応によりポリエステルの前駆体であるプレポリマーを形成し、次いでそのプレポリマーを常圧または減圧下で重縮合する方法である。また、エステル交換法は、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のエステル形成誘導体とブタンジオールとをエステル交換反応させてポリエステルの前駆体であるプレポリマーを形成し、次いでそのプレポリマーを常圧または減圧下で重縮合させて製造する方法である。
PBT原料の1,4−ブタンジオールは、種々の方法により製造されており、通常、種々の不純物が含まれている。その中でも特に多く含まれているものが、2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(以下、HB−THFと記載する場合がある)である。PBT原料に含まれるHB−THFに関しては、HB−THFなどの不純物を含む1,4−ブタンジオールは、樹脂、繊維等の製品が着色したり、製造時の反応性が不十分だったりするため原料としては不適であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。これに対して、0.05〜0.5重量%のHB−THFを含有する1,4−ブチレングリコールを主成分とするグリコールと、0.003〜0.2重量%の酢酸を含有するテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸をエステル化し、次いで重縮合することを特徴とするPBTの製造法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この提案で得られるポリマーは機械特性に課題があり、さらなる改善が求められていた。
一方、近年の地球規模での環境問題に関して、ジカルボン酸成分とバイオマス資源由来である1,4−ブタンジオールを含むジオール成分との反応によりポリエステルを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この提案で得られるポリマーは機械特性および製膜性に課題があり、さらなる改善が求められていた。
特開平10−265418号公報 特開2001−48968号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2014−12822号公報(特許請求の範囲、実施例)
前記従来技術の課題に鑑み、本発明の目的は、引張伸びや引張強度などの機械特性および製膜性に優れるポリブチレンテレフタレート、およびかかるポリブチレンテレフタレートを効率的に得ることのできるポリブチレンテレフタレートの製造方法を提供することにある。
本発明は、示差走査熱量測定において、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、250℃で5分間保持し、次いで30℃まで降温速度20℃/分で降温した後、30℃で1分間保持し、再び30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温したときの融解熱量(ΔHm2nd)が50J/g以下であるポリブチレンテレフタレートである。
本発明によれば、引張伸びや引張強度などの機械特性および製膜性に優れるポリブチレンテレフタレートを得ることができる。さらに、本発明の製造方法を用いることにより、かかる特性を有するポリブチレンテレフタレートを効率的に得ることができる。
次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
ポリエステルは、一般的に、ジカルボン酸からなるジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応、またはジカルボン酸のエステル形成誘導体からなるジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル交換反応と、それに続く重縮合反応により得られ、ジカルボン酸成分に由来する構造(ジカルボン酸残基)とジオール成分に由来する構造(ジオール残基)を有する。本発明のポリブチレンテレフタレートは、ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基と、ジオール残基として1,4−ブタンジオール残基とを有するポリエステルであって、数平均分子量が5000以上のものである。なお、本発明におけるポリエステルの数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めたものを指す。本発明の効果を損なわない範囲で、後述する他のジカルボン酸残基やジオール残基を有してもよい。
本発明の実施形態のポリブチレンテレフタレートは、示差走査熱量測定(以下、DSC測定と記載する場合がある)における融解熱量(ΔHm2nd)が50J/g以下であることを特徴とする。ポリブチレンテレフタレートの融解熱量は、ポリブチレンテレフタレートの結晶性を表す指標であり、融解熱量が小さいことは、結晶性が低いことを意味している。この融解熱量を小さくすることにより結晶性が低くなり、引張伸びや引張強度などの機械特性や製膜性の向上につながる。従来公知のPBTは、HB−THFなどの不純物の影響により、融解熱量が大きく、機械特性や製膜性に課題があった。これに対して、本発明の実施形態のポリブチレンテレフタレートは、融解熱量(ΔHm2nd)を50J/g以下とすることにより、機械特性および製膜性を向上させることができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートの融解熱量は、例えば、ポリブチレンテレフタレートの原料において、結晶性に影響するHB−THFなどの不純物量を調整する方法により、前述の範囲に調整することができる。より具体的には、HB−THF含有量が後述する好ましい範囲にある1,4−ブタンジオールを用いる方法、後述するHB−THF含有率R(%(mol/mol))が後述する好ましい範囲にあるポリブチレンテレフタレートプレポリマーを用いる方法などが挙げられる。なお、本発明の実施形態においては、融解熱量として、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、250℃で5分間保持し、次いで30℃まで降温速度20℃/分で降温した後、30℃で1分間保持し、再び30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温したときの2回目の融解熱量(ΔHm2nd)に着目する。これは、PBTの融解熱量は、融解熱量測定直前の熱履歴や温度条件に影響を受けるため、融解熱量測定直前の熱履歴や温度条件を同一にして、これら融解熱量測定直前の条件による影響を排除するためである。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートの融解熱量(ΔHm2nd)が50J/gより大きいと、引張伸びや製膜性が低下する。ポリブチレンテレフタレートの融解熱量(ΔHm2nd)は、48J/g以下がより好ましく、47J/g以下がより好ましく、45J/g以下がさらに好ましい。ポリブチレンテレフタレートの融解熱量(ΔHm2nd)の下限値は、特に限定されない。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量は、7.5eq/t以下が好ましい。ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量が7.5eq/t以下であると、ガラス転移温度が高くなり、引張伸びや引張強度などの機械特性がより向上する。また、フィルムに成形する場合には、引張強度が向上するため製膜性がより向上し、繊維に成形する場合には布帛の寸法安定性が向上する。ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量は、6.0eq/t以下が好ましく、4.5eq/t以下がより好ましく、3.5eq/t以下がさらに好ましく、2.5eq/t以下が特に好ましい。ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量の下限値は、耐加水分解特性が向上する点から、1.3eq/t以上が好ましく、1.4eq/t以上がさらに好ましい。
なお、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THF量は、ガスクロマトグラフィー(GC)および質量分析(MS)、または、H−NMR、13C−NMR測定などにより求めることができる。また、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THF量は、原料中のHB−THF量から反応中に系外に排出されるHB−THF量を差し引いた量に等しいことから、PBT原料である1,4−ブタンジオール中のHB−THF量をGC/MS測定により求め、エステル化反応またはエステル交換反応時に発生する留出液および重縮合反応時に発生する留出液中のHB−THF量をGC/MS測定により求め、仕込原料中のHB−THF量と留出したHB−THF量との差から算出することもできる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量は、例えば、HB−THF含有率が0.2重量%未満である1,4−ブタンジオールを用いる方法、後述するHB−THF含有率R(%(mol/mol))が0.3%未満であるポリブチレンテレフタレートプレポリマーを用いる方法、エステル化反応またはエステル交換反応におけるジオール成分と、ジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)を後述の好ましい範囲に調整する方法などにより、前述の範囲に調整することができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートのジカルボン酸残基を構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸および必要に応じて他の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸を含んでもよいジカルボン酸成分と、前記ジカルボン酸成分のエステル形成誘導体を含むジカルボン酸成分が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのジカルボン酸成分は、化石資源由来またはバイオマス資源由来のいずれでもよい。
他の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸および5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。テレフタル酸または他の芳香族ジカルボン酸のエステル形成誘導体としては、例えば、テレフタル酸や前記芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。より具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸と、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、前記脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。より具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
耐熱性、引張伸びや引張強度などの機械特性および耐薬品性により優れるポリブチレンテレフタレートを効率的に製造できるという点で、全ジカルボン酸成分中、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体(A)が50モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分として、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸を併用することも好ましい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートのジオール残基を構成するジオール成分としては、1,4−ブタンジオール(B)および必要に応じて芳香族ジオール、他の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、複素環式ジオールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのジオール成分は、化石資源由来またはバイオマス資源由来のいずれでもよい。
芳香族ジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシエチレン−(3.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のエチレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体と、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシプロピレン−(3.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
他の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
脂環式ジオールとしては、例えば、シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
複素環式ジオールとしては、例えば、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイデット等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
結晶化特性、成形性、耐熱性および引張伸びや引張強度などの機械特性により優れるポリブチレンテレフタレートを効率的に製造できるという点から、全ジオール成分中、1,4−ブタンジオール(B)が50モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。1,4−ブタンジオール以外のジオール成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを併用することも好ましい。
耐加水分解特性向上の観点から、テレフタル酸残基および/または1,4−ブタンジオール残基の少なくとも一部がバイオマス資源由来であることが好ましく、1,4−ブタンジオール残基の少なくとも一部がバイオマス資源由来であることがより好ましい。
次に、本発明のポリブチレンテレフタレートプレポリマー(以下、BHTと記載する場合がある)について説明する。本発明のポリブチレンテレフタレートプレポリマーは、テレフタル酸と、HB−THFを含有する1,4−ブタンジオールとのエステル化反応、または、テレフタル酸のエステル形成誘導体と、HB−THFを含有する1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応により得られ、数平均分子量が5000未満である。なお、本発明におけるBHTの数平均分子量とは、GPCにより標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めたものを指す。本発明の効果を損なわない範囲で、前述の他のジカルボン酸残基やジオール残基を有してもよい。
前述のとおり、BHTの原料である1,4−ブタンジオールには、通常HB−THFが不純物として含まれており、従来、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用いたとき、1,4−ブタンジオール中のHB−THFにより、得られるポリエステルのDSCによって測定される融解熱量(ΔHm)が増加する場合があった。本発明のBHTは、下記式(a)で表される、BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))が、0.3%未満であることが好ましい。かかるBHTにより、ポリブチレンテレフタレートの製造における反応時間を短縮でき、かかるBHTを用いたポリブチレンテレフタレートの融解熱量やHB−THFの含有量を、前述の好ましい範囲に調整することができる。
R=NHB−THF×100 (a)
上記式(a)中、NHB−THFはポリブチレンテレフタレートプレポリマー1モル中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン含有量(モル)を表し、下記式(b)により表される。
Figure 2016060759
上記式(b)中、MBDOは1,4−ブタンジオールの分子量90を表し、MHB−THFはHB−THFの分子量160を表す。Xは、ガスクロマトグラフ質量分析により求められるHB−THFを含む1,4−ブタンジオール(HB−THFと1,4−ブタンジオールの合計100重量%)中のHB−THF含有率(重量%)を表す。nはポリブチレンテレフタレートプレポリマーの重合度を表し、下記式(c)により表される。
Figure 2016060759
上記式(c)中、MBHTは、ゲル浸透クロマトグラフ分析により求められるポリブチレンテレフタレートプレポリマーの分子量を表す。MTPAはテレフタル酸の分子量166を表し、MH2Oは水の分子量18を表す。また、式(b)と同様に、MBDOは1,4−ブタンジオールの分子量90を表し、MHB−THFはTHFの分子量160を表す。
なお、上記式(b)における1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有量 X(重量%)は、次の条件下におけるガスクロマトグラフ(GC)測定および質量(MS)測定により求めることができる。GC装置に島津製作所製GC−2010を用い、検出器にAgilent社製HP6890を用いて、インジェクター温度を300℃、ディテクター温度を310℃に設定する。カラムにDB−5 30m×0.25mmid×0.25μmを用い、カラム温度を50℃から300℃までを15℃/分の昇温条件で昇温し、スプリット比1/30、ガス流量1ml/分の条件でGC測定する。質量(MS)測定は、日本電子社製JMS−700を用い、イオン化電圧を70eV、イオン化電流を300μA、測定質量範囲を10〜400として実施する。
上記式(c)におけるポリブチレンテレフタレートプレポリマーの分子量MBHTは、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリメチルメタクリレート換算の数平均分子量として求めることができる。
本発明の実施形態において、Rは、BHT中のHB−THF含有率(%(mol/mol))を表している。HB−THFは、ポリブチレンテレフタレート製造における重縮合反応性を低下させるため、本発明においては、重縮合反応性の指標として、特に、重縮合反応に用いられるBHT中の、重縮合反応性を低下させるHB−THFの含有率Rに着目する。この値が小さいほど、重縮合反応性に優れるといえる。
本発明の実施形態において、BHT1モル中に含まれるHB−THFのモル数の割合(BHT中のHB−THF含有率)R(%(mol/mol))が、0.3%未満であると、重縮合反応時間をより短縮することができる。また、かかるBHTを用いたポリブチレンテレフタレートの融解熱量やHB−THFの含有量を、前述の好ましい範囲に調整することができる。BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))は0.25%以下が好ましく、0.20%以下がより好ましく、0.15%以下が特に好ましく、0.10%以下が最も好ましい。一方、BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))の下限値は、これを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレートの耐加水分解特性が向上する点から、0.01%以上がより好ましく、0.025%以上がさらに好ましく、0.045%以上が特に好ましく、0.050%以上が最も好ましい。
本発明の実施形態において、BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))は、例えば、後述する1,4−ブタンジオール中のHB−THF含有率が0.2重量%未満である1,4−ブタンジオールを用いる方法、エステル化反応またはエステル交換反応におけるジオール成分と、ジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)を後述の好ましい範囲に調整する方法などにより、前述の範囲に調整することができる。
次に、本発明のポリブチレンテレフタレートプレポリマーおよびポリブチレンテレフタレートの製造方法について説明する。本発明のポリブチレンテレフタレートは、例えば、テレフタル酸と、HB−THFを含有する1,4−ブタンジオールとのエステル化反応、または、テレフタル酸のエステル形成誘導体と、HB−THFを含有する1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応により得られる、前述のポリブチレンテレフタレートプレポリマーを、重縮合反応させることにより得ることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体および1,4−ブタンジオールに加えて、前述の他のジカルボン酸やジオールを用いてもよい。
本発明の実施形態のポリブチレンテレフタレートの製造方法としては、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの直接エステル化反応により得られるBHTを重縮合させる直接重合法、テレフタル酸のエステル形成誘導体と1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応により得られるBHTを重縮合させるエステル交換法が挙げられる。
本発明の実施形態において、エステル化反応またはエステル交換反応には、1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xが0.2重量%未満である1,4−ブタンジオールを用いることが好ましい。1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xが小さいほど、それを用いて得られるポリブチレンテレフタレートプレポリマーやポリブチレンテレフタレートのHB−THFは低下する傾向にある。このため、1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xが0.2重量%未満であると、BHT中のHB−THF含有率やポリブチレンテレフタレート中のHB−THF含有量、これを用いて得られるポリブチレンテレフタレートの融解熱量(ΔHm2nd)を前述の好ましい範囲に調整することができ、引張伸び、引張強度および製膜性をより向上させることができる。1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xは、0.15重量%以下がより好ましく、0.10重量%以下がさらに好ましく、0.075重量%以下が特に好ましく、0.060重量%以下が最も好ましい。一方、1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xが0.001重量%以上であると、BHT中のHB−THF含有率やポリブチレンテレフタレート中のHB−THF含有量を、前述の好ましい範囲に調整することができ、これを用いて得られるポリブチレンテレフタレートの耐加水分解特性をより向上させることができる。1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xは、0.002重量%以上がより好ましく、0.010重量%以上がさらに好ましく、0.030重量%以上が特に好ましく、0.035重量%以上が最も好ましい。
本発明の実施形態において、エステル化反応またはエステル交換反応を、反応圧力30kPa以上95kPa以下の減圧下にて実施することが好ましい。エステル化反応またはエステル交換反応の反応圧力が30kPa以上の場合、ポリブチレンテレフタレートの機械特性および耐加水分解特性をより向上させることができる。一方、エステル化反応またはエステル交換反応の圧力が95kPa以下であると、エステル化反応またはエステル交換反応の反応時間をより短縮することができる。
本発明の実施形態において、エステル化反応またはエステル交換反応には、反応時間を短縮できる点から、反応触媒を使用することができる。反応触媒としては、チタン化合物(D−1)および/またはスズ化合物(D−2)などが挙げられる。本発明においては、反応時間をより短縮できる点から、チタン化合物(D−1)を用いることが好ましい。
本発明の実施形態において、エステル化反応時またはエステル交換反応時に反応触媒として使用されるチタン化合物(D−1)としては、一般式(RO)Ti(OR4−n(ただし、式中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜l0の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基を表し、nは0〜4の数字(小数を含む)を表す。)で示されるチタン酸エステルまたはその縮合物が好ましい。
上記一般式(1)で表されるチタン化合物(D−1)の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−t−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステルおよびトリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのなかでも、ポリブチレンテレフタレートをより効率的に製造できるという点から、チタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステルおよびテトライソプロピルエステルが好ましく、特にチタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが好ましく使用される。
これらのチタン化合物(D−1)の添加量は、ポリブチレンテレフタレートをより効率的に製造できるという点から、生成するポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、好ましくは0.02〜0.2重量部の範囲である。
本発明の実施形態において、エステル化反応時またはエステル交換反応時に反応触媒として使用されるスズ化合物(D−2)としては、下記一般式(2)または(3)で示される化合物またはその縮合体が好ましい。
Figure 2016060759
(ただし、一般式(2)〜(3)中、Rは炭素数1〜15のアルキル基またはアリール基を表し、X〜Xは炭素数1〜15のアルキル基、アリール基、アリルオキシ基、シクロヘキシル基、ヒドロキシ基またはハロゲンを表し、同一であっても異なっていてもよい。また、Xは硫黄または酸素原子を表す。)
上記一般式(2)または(3)で表されるスズ化合物(D−2)の具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズオキサイド、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイドおよびブチルヒドロキシスズオキサイドなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのなかでも、ポリブチレンテレフタレートをより効率的に製造できるという点から、モノアルキルスズ化合物が好ましく使用される。
また、他のスズ化合物(D−2)としては、スタンノン酸も用いることができる。例えば、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸およびブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸が好ましく使用される。これらを2種以上用いてもよい。
これらのスズ化合物(D−2)の添加量は、ポリポリブチレンテレフタレートをより効率的に製造できるという点から、生成するポリポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、好ましくは0.03〜0.2重量部の範囲である。
これら反応触媒の添加時期は、エステル化反応またはエステル交換反応終了前であればいつでも構わないが、反応時間をより短縮できる点から、エステル化反応またはエステル交換反応開始前に添加することがより好ましい。
本発明の実施形態において、エステル化反応またはエステル交換反応は、1,4−ブタンジオール(B)を含むジオール成分と、テレフタル酸および/またはそのエステル形成誘導体(A)を含むジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)が1.2より大きく2.0以下である条件下で行うことが好ましい。経済効率に優れるポリブチレンテレフタレートが得られるという点、BHT1モル中に含まれるHB−THFのモル数の割合(BHT中のHB−THF含有率)R(%(mol/mol))がより小さくなり、重縮合反応時間がより短縮できる点、および、より引張強度に優れるポリブチレンテレフタレートが得られるという点から、HB−THFを含有する1,4−ブタンジオール(B)を含むジオール成分とテレフタル酸(A)を含むジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)を、1.2より大きく2.0以下の範囲内としてエステル化反応を実施することが好ましい。かかるモル比は、1,4−ブタンジオールの環化による副生THF発生量を抑え、効率的に製造することができ、重縮合反応の反応時間を短縮する効果の点から、1.8以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態におけるエステル化反応またはエステル交換反応において、反応を効率的に進行させるという点から、ジオール成分の追加添加を行ってもよい。ジオール成分の追加添加は、エステル化反応またはエステル交換反応の終了後、重縮合反応の開始前に行ってもよいが、重合時間短縮の点から、エステル化反応またはエステル交換反応の開始後、重縮合反応の開始までのいずれかの段階で行うことがより好ましい。ジオール成分の追加添加は、複数回行ってもよいが、操作性の点から、エステル化反応またはエステル交換反応の開始後、重縮合反応の開始までのいずれかの段階で1回行うことが好ましい。
本発明の実施形態において、エステル化反応またはエステル交換反応の反応温度は、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、160℃以上がさらに好ましい。また、エステル化反応の反応温度は、好ましくは290℃以下であり、より好ましくは280℃以下であり、240℃以下がさらに好ましい。
次に本発明の実施形態における重縮合反応について説明する。
本発明の実施形態において、重縮合反応は、重縮合反応時間を短縮できるという点から、反応圧力133Pa以下の減圧条件下で行うことが好ましい。
重縮合反応では、回分法または連続法などの、通常のポリエステルの製造に用いられる重縮合条件をそのまま適用することができる。例えば、重縮合反応の反応温度は、好ましくは230℃以上であり、さらに好ましくは240℃以上である。また、重縮合反応の反応温度は、好ましくは260℃以下であり、さらに好ましくは255℃以下である。
本発明の実施形態において、重縮合反応は、重縮合反応を効果的に進める上で、必要に応じて反応触媒を別途添加することができる。例えば、三酸化アンチモンや酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、前記のチタン化合物(D−1)および前記のスズ化合物(D−2)などを、生成するポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.01〜0.15重量部の範囲で添加することが好ましく、特にチタン化合物を使用することが好ましい。
これら反応触媒の添加時期は、重縮合反応終了前であればいつでも構わないが、反応時間を短縮できる点から、エステル化反応またはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前に添加することが好ましい。
本発明の実施形態において、分子量が大きく、固有粘度が高いポリエステル原料を得るために、さらに固相重合を行ってもよい。固相重合は、減圧下または窒素雰囲気下で行われることが一般的であるが、本発明においては特に限定されない。固相重合温度は、反応速度および生産性の点から、180℃以上が好ましく、185℃以上がより好ましい。一方、ポリエステルチップ同士の融着を抑制する点から、240℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。固相重合温度は、上記範囲内で任意に設定可能である。一般的な傾向として、低い温度で重合した場合には、反応速度が低下して期待する固有粘度まで上昇させる時間が長くなるが、最高到達固有粘度は高くなる。逆に重合温度を高くした場合には、反応速度が上昇するが、同時に劣化反応も進行するため、最高到達固有粘度は低くなる。
本発明のポリブチレンテレテレフタレートは、必要に応じて各種成分を配合し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物としてもよい。例えば、本発明の目的を損なわない範囲で、結晶核剤、可塑剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、安定剤、滑剤、離型剤、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、無機充填材や耐衝撃性改良剤を配合してもよい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、リン酸トリアミド、リン酸モノアンモニウム、リン酸トリメチル、リン酸ジメチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニルおよびホスホン酸ジメチルフェニルなどのリン化合物を配合することにより、ポリブチレンテレフタレートの色調が著しく改善されるという好ましい効果が得られる。これらのリン化合物は、例えば、ポリブチレンテレフタレートの製造方法において、重縮合反応時に添加することが好ましい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に無機充填材を配合することにより、機械強度をより向上させることができる。無機充填材の配合量は、機械強度をより向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して1重量部以上が好ましい。一方、流動性を向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して50重量部以下が好ましい。
無機充填材としては、具体的には、ガラス繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、硫酸バリウムなどの粉状、粒状あるいは板状の充填材などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。中でもガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。上記無機充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。また、上記無機充填材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に耐衝撃性改良剤を配合することにより、耐衝撃性を向上させることができる。耐衝撃性改良剤の配合量は、耐衝撃性を向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して1重量部以上が好ましい。一方、流動性を向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して50重量部以下が好ましい。
耐衝撃性改良剤としては、具体的には、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、耐衝撃改質ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などのポリエステルエラストマー、MBS(ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン)共重合体)などのオレフィン系コアシェルエラストマーまたはアクリル系のコアシェルエラストマーなどが挙げられる。これらを2種以上使用することができる。オレフィン系またはアクリル系のコアシェルエラストマーとしては、日油(株)製“モディパー”(登録商標)、住友化学(株)製“ボンドファースト”(登録商標)、三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)、三菱レイヨン製“メタブレン”(登録商標)、カネカ製“カネエース”(登録商標)、ダウ・ケミカル社製“パラロイド”(登録商標)などが挙げられる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に結晶核剤を配合してもよく、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性をより向上させることができる。結晶核剤としては、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれでもよい。無機系結晶核剤としては、例えば、合成マイカ、クレー、ゼオライト、酸化マグネシウム、硫化カルシウム、窒化ホウ素、酸化ネオジウムなどを挙げることができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中における分散性を高めるために、無機系結晶核剤は、有機物で修飾されていることが好ましい。また、有機系結晶核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ソルビトール系化合物、フェニルホスホネートの金属塩、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなどのリン化合物金属塩などを挙げることができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に安定剤を配合してもよく、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性をより向上させることができる。安定剤としては、具体的には、酸化防止剤、光安定剤などを挙げることができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に滑剤を配合してもよく、成形性をより向上させることができる。滑剤としては、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に離型剤を配合してもよく、機械特性、成形性、耐熱性および耐久性をより向上させることができる。離型剤としては、具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、変性シリコーンなどを挙げることができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に難燃剤を配合してもよく、難燃性を向上させることができる。難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、その他の無機系難燃剤などを用いることができる。難燃性および機械特性に優れるという点で、上記難燃剤から選択される2種以上の難燃剤を用いることが好ましい。
臭素系難燃剤の具体例としては、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂などが挙げられる。
塩素系難燃剤の具体例としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、パークロロシクロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸などが挙げられる。
リン系難燃剤の具体例としては、芳香族縮合リン酸エステルである、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートなどが挙げられる。
窒素化合物系難燃剤としては、メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートなどが挙げられる。なお、上記窒素化合物系難燃剤の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や公知の表面処理剤などを併用してもよい。
シリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルを挙げることができる。
その他の無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、フッ素系化合物、膨潤性黒鉛などが挙げられる。フッ素系化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド/エチレン共重合体などが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体も好ましい。
本発明の実施形態において、難燃剤の配合量は、ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、0.5〜150重量部が好ましく、2〜80重量部が最も好ましい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明のポリブチレンテレフタレートと必要に応じてその他の成分を、ポリブチレンテレフタレートの融点以上において溶融混練する方法や、これらを溶液中において混合した後に溶媒を除く方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性の点から、溶融混練する方法が好ましい。溶融混練装置としては、例えば、単軸または二軸押出機などが挙げられる。引張強度に優れたポリブチレンテレフタレート組成物が得られるという点から、二軸押出機で均一に溶融混練する方法が特に好ましい。
本発明の実施形態において、溶融混練する場合に、各成分を投入する方法は、例えば、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口からポリブチレンテレフタレートとその他の成分を供給する方法や、主投入口からポリブチレンテレフタレートを供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口からその他の成分を供給し溶融混合する方法などが挙げられ、特に限定されない。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する際の溶融混練温度は、引張強度により優れるという点で、110〜360℃が好ましく、200℃〜320℃がさらに好ましく、220〜300℃が特に好ましい。
本発明の実施形態のポリブチレンテレフタレートおよびそれを含む樹脂組成物は、公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などが挙げられる。フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として好適に利用することができる。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法としては、インフレーション法、押出キャスト法などが挙げられる。インフレーション法を用いる場合、チューブ状に押し出されたポリブチレンテレフタレート樹脂内に注入する乾燥エアーの温度を調整し、シート膨張部での樹脂温度を好ましくは120〜140℃、より好ましくは125℃〜135℃とすることにより、より高精度にポリブチレンテレフタレートフィルムの密度を所望の範囲に調整することができる。また、押出キャスト法にて製造する場合は、急冷による未延伸フィルムが安定して得られるという点から、キャスティングドラム温度を65℃〜80℃に調整することが好ましい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートフィルムは、フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましい。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレートフィルムの厚みは、経済性、生産性、加工性などの点から10〜40μmが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。
本発明の実施形態において、ポリブチレンテレフタレート繊維の製造方法としては、ポリブチレンテレフタレートを紡糸機で溶融させ、紡糸パックでろ過した後、口金の細孔を通して紡出し、冷風で冷却固化した後、油剤を付与し、次いで延伸した後、緊張又は弛緩熱処理する方法が挙げられる。溶融紡出してから冷風で冷却固化させる間に、高温に保持された加熱筒内を通過させると、高強度、高伸度の繊維を得ることができるため、加熱筒を用いても良い。加熱筒を用いる場合は、加熱筒内の温度は280℃〜330℃が好ましく、加熱筒長さは50mm〜500mmが好ましい。延伸の条件は目標とする繊維の繊度、強度、伸度、収縮率等によって適宜選択すればよく、通常はトータル3.5〜6.5の倍率を2〜3段に分けて実施することが一般的である。形態安定性の優れた繊維を得るためには弛緩熱処理することが好ましく、弛緩率は1〜8%、熱処理温度200〜250℃の範囲が好ましい。
本発明の実施形態のポリブチレンテレフタレートおよびそれを成形してなる成形品は、機械特性、耐加水分解特性に優れるため、自動車部品や電気・電子部品、包装資材、建築資材、医療機器、衣料品などの成形品として好適に使用できる。
以下、実施例により本発明のポリエステルを具体的に説明する。まず、本発明で用いた測定方法および判定方法を、次に示す。
(1)DSC測定熱特性(融解熱量(ΔHm))
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートの融解熱量(ΔHm2nd)を、示差走査型熱量計(DSC)により測定した。DSC測定は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC−7型)を用い、30℃で1分間保持してから、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、250℃で5分間保持し、次いで30℃まで降温速度20℃/分で降温した後、30℃で1分間保持し、再び30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温したときの、2回目の昇温における(ΔHm2nd)を測定した。融解熱量(ΔHm)が小さい程、引張伸びや引張強度が向上する。
(2)HB−THF量測定
1,4−ブタンジオール中のHB−THF含有率は、ガスクロマトグラフィー(GC)および質量分析(MS)により測定した。GC測定は、装置に島津製作所製GC−2010を用い、検出器にAgilent社製HP6890を用い、インジェクター温度を300℃、ディテクター温度を310℃に設定し、カラムにDB−5 30m×0.25mmid×0.25μmを用い、カラム温度を50℃から300℃まで昇温速度15℃/分の条件で昇温し、スプリット比1/30、ガス流量1ml/分の条件にて実施した。MS測定は、日本電子社製JMS−700を用い、イオン化電圧を70eV、イオン化電流を300μA、測定質量範囲を10〜400として実施した。
また、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THF量は、エステル化反応工程および重縮合反応工程からの留出液中のHB−THF量をGC/MS測定より求め、1,4−ブタンジオール中のHB−THF量から算出される反応仕込時のHB−THF量との差から算出した。
BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))は、下記式(a)により算出した。
R=NHB−THF×100 (a)
上記式(a)中、NHB−THFはBHT1モル中のHB−THF含有量(モル)を表し、下記式(b)により算出した。
Figure 2016060759
上記式(b)中、Xは、1,4−ブタンジオール中のHB−THF含有率(重量%)を表し、前述の方法により算出した。nはポリブチレンテレフタレートプレポリマーの重合度を表し、下記式(c)により算出した。
Figure 2016060759
上記式(c)中、MBHTは、下記(2)の方法により求められるBHTの分子量を表す。
(3)GPC測定分子量特性(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートの重量平均分子量(Mw)およびポリブチレンテレフタレートプレポリマーの数平均分子量(Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリメチルメタクリレート換算の値として測定した。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速1.0mL/分とし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が大きい程、優れた機械特性を有することを示す。
(4)ガラス転移温度(Tg)
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートのガラス転移温度を、パーキンエルマー製DSC7を用いて、試料5mg、窒素雰囲気下中、昇温速度20℃/分の条件で測定した。このガラス転移温度(Tg)が高い程、優れた機械特性、耐煮沸性、寸法安定性を有することを示す。
(5)引張伸びおよび引張強度
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートを用いて、ASTM D−638に従って、ASTM1号ダンベル試験片を作製し、引張伸びおよび引張降伏強度を測定した。測定は5回行い、その平均値を引張伸びおよび引張降伏強度とした。この引張伸びおよび引張強度がそれぞれ大きい程、優れた機械特性を有することを示す。
(6)製膜性
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートを110℃で一晩乾燥後、リップ間隔0.6mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、250℃の温度で溶融製膜を実施した。ドラム温度を80℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約80μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムから8cm四方のフィルムを切り出し、フィルム自動二軸延伸装置IMC−11A9型(井元製作所製)に供し、室温(r.t.)、120℃、200℃の3種類の温度条件で、1.5倍同時二軸延伸を実施し、製膜性評価を行った。二軸延伸時に「破れ」が発生しないとき、優れた製膜性を有することを示す。
(7)耐加水分解特性
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートに対して、TABAI ESPEC製PRESSURE COOKER TPC−411を用いて、温度121℃、相対湿度100%、加水分解処理時間50時間の条件で加水分解処理を行った。加水分解処理後のサンプルについて、上記(3)に記載の方法と同様にしてGPC測定を行い、加水分解処理後の重量平均分子量を測定し、処理前の重量平均分子量に対する処理後の重量平均分子量の保持率を算出した。保持率が大きい程、高い耐加水分解特性を有することを示す。
(8)植物化炭素比率測定
各実施例および比較例により得られたポリブチレンテレフタレートを用いて、ASTM D−6866に従って、植物化炭素比率を測定した。この測定結果は、測定試料中の全炭素中に対する、バイオマス資源由来原料の炭素の割合を示している。
(9)耐煮沸性(フィルム)
実施例6および比較例3において、得られた二軸延伸前フィルムを、JIS S2029に準拠し、熱湯の中に完全に浸漬した状態で1時間煮沸した。続いて熱湯から取り出したフィルムを室温下に30分間静置してからフィルムの外観を観察した。フィルムに変形が全く認められない場合を「○」、フィルムに変形が僅かに認められる場合を「△」、フィルムに変形が明らかに認められる場合を「×」と評価した。
(10)布帛の寸法安定性
実施例9および比較例7により得られた繊維を、平織りにて、原糸の繊度に合わせて布帛のカバーファクタが一定になるように打込み本数をコントロールし布帛を製織した。この布帛について、JIS−L−10966.9に準拠して布帛水分率を測定した。また、この布帛を120℃で500時間熱処理し、熱処理前後の通気量変化を測定した。これらの結果から繊維特性を相対評価し、○=良好、△=やや不良、×=不良とした。
[参考例1]1,4−ブタンジオールの調製(直接醗酵法)
微生物発酵により1,4−ブタンジオール発酵液を得た(国際公開第2008/115840号参照)。得られた発酵液から精製し直接醗酵法1,4−ブタンジオールを得た(国際公開第2010/141780号参照)。なお、得られたBDO中のHB−THF含有率は0.05重量%であった。
[実施例1]
[参考例1]にて得られた1,4−ブタンジオール(BDO)(HB−THF含有量0.05重量%)1kgに、2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(HB−THF)(Angene International Limited製)を1.1g添加して撹拌し、HB−THF量が0.16重量%であるBDOを得た。
BDO100gを100℃に加熱後、チタン化合物(D−1):テトラ−n−ブトキシチタネート(TBT)(東京化成工業(株)製)を11.2g混合して触媒溶液を得た。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)(東京化成工業(株)製)780g、ジオール成分として上記方法により得られたHB−THFを0.16重量%含有するBDO760g、エステル化(ES)反応触媒として上記方法により得られた触媒溶液4.6mLを、精留塔の付いた反応器に仕込んだ。このとき、BDO(B)とTPA(A−1)のモル比((B)/(A−1))は1.8、生成するポリブチレンテレフタレート100gに対するTBT添加量は1.3×10−4モル(ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.045重量部)であった。温度160℃、圧力93kPaの減圧下にてエステル化反応を開始した後、徐々に昇温し、最終的に温度225℃の条件下でエステル化反応を285分間行った。得られた反応物に重縮合反応触媒として、TBT添加量が生成するポリブチレンテレフタレート100gに対して0.5×10−2モル(ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.05重量部)となるように、上記方法により得られた触媒溶液0.49mLを添加し、温度245℃、圧力100Paの条件で重縮合反応を230分間行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例2]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを0.8g添加して撹拌し、HB−THF量が0.13重量%であるBDOを得た。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.13重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を220分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例3]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを0.5g添加して撹拌し、HB−THF量が0.10重量%であるBDOを得た。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.10重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を210分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例4]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを0.25g添加して撹拌し、HB−THF量が0.075重量%であるBDOを得た。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.075重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を205分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例5]
石油由来の純度99.8%のBDO(HB−THF量0.10重量%)1Lを、留出管を備えたガラス製2Lフラスコに入れ、80Pa、200℃の条件で7.5時間撹拌したところ、BDO中のHB−THF量は0.055重量%となった。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.055重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を200分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例6]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを0.05g添加して撹拌し、HB−THF量が0.055重量%であるBDOを得た。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.055重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を200分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例7]
HB−THFの含有率が0.055重量%であるBDOの仕込量を635gとし、(B)と(A−1)のモル比((B)/(A−1))を1.5とし、エステル化反応圧力を85kPaとし、エステル化反応時間を270分間、重縮合反応時間を180分間としたこと以外は実施例6と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[実施例8]
HB−THFの含有率が0.055重量%であるバイオBDOの仕込量を510gとし、(B)と(A−1)のモル比((B)/(A−1))を1.2とし、スズ化合物(D−2):モノブチルヒドロキシスズオキサイド(MBO)(東京化成工業(株)製)をエステル化反応触媒として追加し、MBO添加量が生成するポリブチレンテレフタレート100gに対して2.0×10−4モル(ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.045重量部)となるように添加し、エステル化反応圧力を60kPaとし、エステル化反応時間を260分間、重縮合反応時間を180分間としたこと以外は実施例6と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例1]
石油由来の純度99.8%のBDO(HB−THF量0.10重量%)1Lを、留出管を備えたガラス製2Lフラスコに入れ、80Pa、200℃の条件で13時間撹拌したところ、BDO中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(HB−THF)量は0.028重量%となった。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.030重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を270分間、重縮合反応時間を190分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例2]
石油由来の純度99.8%のBDO(HB−THF量0.10重量%)1Lを、留出管を備えたガラス製2Lフラスコに入れ、80Pa、200℃の条件で12時間撹拌したところ、BDO中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(HB−THF)量は0.030重量%となった。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.030重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を270分間、重縮合反応時間を190分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例3]
実施例1で用いたBDOにかえて、石油由来の純度99.8%のBDO(HB−THF量0.10重量%)をそのまま用い、エステル化反応時間を280分間、重縮合反応時間を215分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例4]
[参考例1]にて得られたHB−THF量が0.16重量%であるBDO1Lを、留出管を備えたガラス製2Lフラスコに入れ、80Pa、200℃の条件で15時間撹拌を行ったところ、BDO中のHB−THF量は0.0020重量%となった。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有量が0.0020重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を270分間、重縮合反応時間を190分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例5]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを1.5g添加して撹拌し、HB−THF量が0.20重量%であるBDOを得た。
実施例1で用いたBDOにかえて、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.20重量%であるBDOを用い、エステル化反応時間を290分間、重縮合反応時間を240分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
[比較例6]
[参考例1]にて得られたBDO1kgに、HB−THFを0.6g添加して撹拌し、HB−THF量が0.11重量%であるBDOを得た。
特許文献3(特開2014−12822号公報)中の実施例1に基づき、上記方法により得られたHB−THFの含有率が0.10重量%であるBDOを用い、(B)と(A−1)のモル比((B)/(A−1))を3.0とし、エステル化反応時間を285分間、重縮合反応時間を240分間としたこと以外は実施例1と同様にエステル化反応および重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレートを得た。
なお、本比較例における(B)/(A−1)は3.0であり、モル比1.0分の未反応BDOが存在しているため、BHT中のHB−THF量Rは下記式により算出した。
Figure 2016060759
実施例1〜8および比較例1〜6により得られたポリブチレンテレフタレートについて、前記(1)〜(8)に記載の方法により測定した特性をまとめて表1、2に示す。
Figure 2016060759
Figure 2016060759
実施例6および比較例3により得られたポリブチレンテレフタレートフィルムについて、前記(9)に記載の方法によりフィルム特性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2016060759
[実施例9]
実施例2にて得られたポリブチレンテレフタレートを110℃で一晩乾燥後、ホール数が112の紡糸口金を用いて、紡糸温度250℃、巻取速度1500m/分の条件で溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。続いて、得られた未延伸糸を巻取速度500m/分、予熱温度90℃、熱セット温度160℃の条件で延伸し、繊維を得た。
[比較例7]
実施例2にて得られたポリブチレンテレフタレートにかえて、比較例2にて得られたポリブチレンテレフタレートを用いたこと以外は実施例9と同様に実施し、繊維を得た。
実施例8および比較例9により得られた繊維を用いて、前記(10)に記載の方法により布帛特性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2016060759
上記の実施例および比較例の結果から、DSC測定における融解熱量(ΔHm2nd)が50J/g以下であるポリブチレンテレフタレートは、機械特性および製膜性に優れることがわかる。一方、融解熱量(ΔHm2nd)が50J/gより大きいと機械特性および製膜性が低下することがわかる。さらに、実施例1〜8の結果から、DSC測定における融解熱量(ΔHm2nd)は48J/g以下が好ましく、47J/gがより好ましく、特に45J/g以下が好ましいことがわかる。
実施例1〜8、比較例5、6の結果から、機械特性および製膜性の観点から、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量は、7.5eq/t以下が好ましく、6.0eq/t以下がより好ましく、4.5eq/t以下がより好ましく、3.5eq/t以下がさらに好ましく、2.5eq/t以下が特に好ましいことがわかる。一方、実施例7、8、比較例1、2の結果から、耐加水分解特性の観点から、ポリブチレンテレフタレート中のHB−THFの含有量は、1.3eq/t以上が好ましく、1.4eq/t以上がさらに好ましいことがわかる。
実施例1〜6、比較例5の結果から、重縮合時間および引張伸びの観点から、BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))は0.3%未満が好ましく、0.25%以下がより好ましく、0.20%以下がさらに好ましく、0.15%以下が特に好ましく、0.10%以下が最も好ましいことがわかる。一方、実施例5、比較例1、2、4の結果から、耐加水分解特性の観点から、BHT中のHB−THF含有率R(%(mol/mol))は、0.01%以上がより好ましく、0.025%以上がさらに好ましく、0.045%以上が特に好ましく、0.050%以上が最も好ましいことがわかる。
実施例1〜8、比較例5の結果から、機械特性および製膜性の観点から、1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xは0.2重量%未満が好ましく、0.15重量%以下がより好ましく、0.10重量%以下がさらに好ましく、0.075重量%以下が特に好ましく、0.055重量%以下が最も好ましいことがわかる。一方、実施例5〜7、比較例1、2、4の結果から、耐加水分解特性の観点から、1,4−ブタンジオール中のHB−THFの含有率Xは0.001重量%以上が好ましく、0.002重量%以上がより好ましく、0.010重量%以上がさらに好ましく、0.030重量%以上が特に好ましく、0.035重量%以上が最も好ましいことがわかる。
実施例6〜8、比較例6の結果から、機械特性、製膜性および耐加水分解特性の観点から、BDOとTPAのモル比は1.2より大きく2.0以下が好ましいことがわかる。
実施例5と6の結果から、機械強度および製膜性の観点から、バイオマス資源由来のBDOが好ましいことがわかる。

Claims (11)

  1. 示差走査熱量測定において、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、250℃で5分間保持し、次いで30℃まで降温速度20℃/分で降温した後、30℃で1分間保持し、再び30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温したときの融解熱量(ΔHm2nd)が50J/g以下であるポリブチレンテレフタレート。
  2. 2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを7.5eq/t以下含有する請求項1記載のポリブチレンテレフタレート。
  3. テレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを含有する1,4−ブタンジオールを含むジオール成分とのエステル化反応、または、テレフタル酸のエステル形成誘導体を含むジカルボン酸成分と、2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを含有する1,4−ブタンジオールを含むジオール成分とのエステル交換反応により得られるポリブチレンテレフタレートプレポリマーであって、下記式(a)で表される、ポリブチレンテレフタレートプレポリマー中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン含有率R(%(mol/mol))が、0.3%未満であるポリブチレンテレフタレートプレポリマー。
    R=NHB−THF×100 (a)
    上記式(a)中、NHB−THFはポリブチレンテレフタレートプレポリマー1モル中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン含有量(モル)を表し、下記式(b)により表される。
    Figure 2016060759
    上記式(b)中、MBDOは1,4−ブタンジオールの分子量90を表し、MHB−THFは2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランの分子量160を表す。Xは、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる1,4−ブタンジオール中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン含有率(重量%)を表す。nはポリブチレンテレフタレートプレポリマーの重合度を表し、下記式(c)により表される。
    Figure 2016060759
    上記式(c)中、MBHTは、ゲル浸透クロマトグラフ分析により求められるポリブチレンテレフタレートプレポリマーの分子量を表す。MTPAはテレフタル酸の分子量166を表し、MH2Oは水の分子量18を表す。また、式(b)と同様に、MBDOは1,4−ブタンジオールの分子量90を表し、MHB−THFは2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランの分子量160を表す。
  4. 請求項3記載のポリブチレンテレフタレートプレポリマーを重縮合反応させて得られる請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート。
  5. テレフタル酸残基と1,4−ブタンジオール残基とを有するポリブチレンテレフタレートであって、前記テレフタル酸残基および/または1,4−ブタンジオール残基の少なくとも一部がバイオマス資源由来である請求項1、2または4記載のポリブチレンテレフタレート。
  6. 請求項3記載のポリブチレンテレフタレートプレポリマーを重縮合反応させる請求項1、2、4または5記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  7. 前記2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを含有する1,4−ブタンジオール中の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン含有率(重量%)が0.2重量%未満である請求項6記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  8. 前記エステル化反応またはエステル交換反応におけるテレフタル酸および/またはそのエステル形成誘導体(A)、および/または、1,4−ブタンジオール(B)の少なくとも一部がバイオマス資源由来成分である請求項6または7に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  9. 前記エステル化反応またはエステル交換反応を、1,4−ブタンジオール(B)を含むジオール成分と、テレフタル酸および/またはそのエステル形成誘導体(A)を含むジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)が1.2より大きく2.0以下である条件下で行う請求項6〜8のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
  10. 請求項1、2、4または5記載のポリブチレンテレフタレートを成形してなる成形品。
  11. 自動車部品、電気・電子部品、包装資材、建築資材、医療機器または衣料品用途である請求項10記載の成形品。
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