JP3481453B2 - 難燃性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる家電製品用成形品並びにその製造方法 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる家電製品用成形品並びにその製造方法

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JP3481453B2 JP07753198A JP7753198A JP3481453B2 JP 3481453 B2 JP3481453 B2 JP 3481453B2 JP 07753198 A JP07753198 A JP 07753198A JP 7753198 A JP7753198 A JP 7753198A JP 3481453 B2 JP3481453 B2 JP 3481453B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形サイクルが長
く溶融樹脂温度が高い成形条件で溶融樹脂の熱安定性が
あり、かつ成形品表面外観性、色調、光沢性に優れ、し
かも剛性や耐熱性に優れている難燃性ポリエステル樹脂
組成物と該組成物を成形してなる家電製品用成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】家電製品などの電気製品分野では、製造
物責任法(PL法)への対応の必要もあり、製品安全性
の向上が求められている。
【0003】その一貫としてプラスチックス部品の難燃
化の動きがある。この様な電化製品としてはアイロン、
ドライヤー、オーブン、電子レンジなどがあり、耐熱用
途としてエンジニアリングプラスチックスが使用されて
いる。
【0004】ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートに代表される芳香族ポリエステル樹脂
は一般に耐酸化性、耐溶剤性をはじめ種々の優れた特性
を有するため、射出成形により良好な物理的、機械的性
質を有する成形品を得るのに適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さらにこれらの芳香族
ポリエステル樹脂から成形された成形品を家電製品など
に用いる電気製品分野では、耐熱性や機械的特性を保ち
ながらUL94規格に規定されている難燃性を満足する
必要があり、更に製品の外観が家電製品として使用する
ための光沢性を持っていなければならない。
【0006】これらの成形品を成形する場合、溶融樹脂
の粘度を下げて成形しやすくするため、溶融樹脂の温度
を上げることがある。従来の溶融熱安定化の技術では機
械的特性の維持に着目して種々の技術開発が行われてき
たため、通常の溶融樹脂温度、成形サイクルでは十分な
安定化効果が得られた。
【0007】しかしながら、家電製品のように日光・蛍
光灯にさらされたときの退色によって商品価値が損なわ
れるような用途においては、例えば耐光変色の良好な臭
素化ポリカーボネート難燃剤が好ましく用いられている
が、高温での成形時、或いは成形サイクルが長くなるこ
とでおこる滞留の時に、ポリエステル樹脂と臭素化ポリ
カーボネートとのエステル交換に起因する黄変が起こる
ことがあり、色デザイン等の意匠性の自由度が制限され
ていた。
【0008】また、成形品の難燃性を得るために難燃剤
を配合すると、成形品外観性特に表面光沢が悪くなる
が、溶融時の熱安定性が良くなく溶融樹脂粘度が上昇す
ると、金型への転写性が悪くなり、更に成形品表面外観
が悪くなる。このように成形品表面外観が悪くなると家
電製品としての製品価値が低下し好ましくない。
【0009】本願発明は上述の問題点を解決するための
ものであり、優れた耐熱性、機械的特性、難燃性を保ち
ながら、成形したときに成形品の表面外観性、特に色調
と光沢の良好な樹脂組成物及びそれからなる家電製品用
成形品を得ることを課題とする。
【0010】また本発明は長い成形サイクルおよび高い
溶融樹脂温度の成形条件を採用し、該条件で安定した溶
融樹脂粘度の難燃性ポリエステル樹脂組成物を用いて表
面外観性、特に色調と光沢の良好な家電製品用成形品を
得ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、芳香
族ポリエステル100重量部あたり、臭素化ポリカーボ
ネート3〜60重量部、リン化合物0.01〜4重量部
を含有してなり、該臭素化ポリカーボネートの平均のカ
ーボネート繰り返し単位が3〜7であり、かつ該リン化
合物が、リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる
群並びにリン酸及び亜リン酸の金属塩からなる群の各群
から選ばれる各々1種類以上である難燃性ポリエステル
樹脂組成物である。
【0012】本発明に用いられる芳香族ポリエステル
は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、グリコール
成分として炭素原子数2から10のアルキレングリコー
ルからなる。アルキレングリコールとしてはエチレング
リコール、テトラメチレングリコールまたはプロピレン
グリコールが好ましい。
【0013】芳香族ポリエステルは、そのテレフタル酸
成分および/またはエチレングリコールの成分の一部を
共重合成分で置き換えたものでもよい。
【0014】かかる共重合成分としては、ジカルボン酸
成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸;テトラブ
ロムフタル酸、テトラブロムテレフタル酸等の如きハロ
ゲン置換フタル酸;メチルイソフタル酸等の如きアルキ
ル置換フタル酸;2,6−ナフタリンジカルボン酸、
2,7−ナフタリンジカルボン酸、1,5−ナフタリン
ジカルボン酸等の如きナフタリンジカルボン酸;4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニル
ジカルボン酸等の如きジフェニルジカルボン酸;4,
4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、デカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸等の如き脂肪族または脂環族ジカルボン酸を例示する
ことができ、グリコール成分として、例えばトリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール等の如き脂肪族または脂環族
ジオール;ハイドロキノン、レゾルシン等の如きジヒド
ロキシベンゼン;2,2’−ビス(ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−スルホン等の如きビスフェノール;ビスフェノー
ルとエチレングリコールの如きグリコールとから得られ
るエーテルジオールなどの如き芳香族ジオール;ポリオ
キシテトラメチレングリコール等の如きポリオキシアル
キレングリコールを例示することができる。さらに、ε
-オキシカプロン酸ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエ
トキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸を例示するこ
とができる。
【0015】これらの共重合成分は1種または2種以上
用いることができ、またその割合は全ジカルボン酸(オ
キシカルボン酸はその半分量がカルボン酸として計算)
当たり20モル%以下、特に10モル%以下であること
が好ましい。
【0016】更に上述の芳香族ポリエステルは、分岐成
分、例えばトリカルバリル酸、トリメリシン酸、トリメ
リット酸等の如き三官能、もしくはピロメリット酸のご
とき四官能のエステル形成能を有する酸またはグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の
如き三官能もしくは四官能のエステル形成能を有するア
ルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%
以下、更に好ましくは0.3モル%以下を共重合せしめ
たものであってもよい。またこれら芳香族ポリエステル
樹脂は、1種類または2種類以上配合して用いることが
できる。
【0017】芳香族ポリエステルとしては特にポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが好
ましい。
【0018】[臭素化ポリカーボネート]本発明で用い
られる臭素化ポリカーボネートとしては、臭素化ビスフ
ェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得
られるポリカーボネートが好ましい。その末端構造は4
−t−ブチルフェニル基や2,4,6−トリブロモフェ
ニル基等を例示することができるが、本発明の成形品の
外観光沢を向上せしめるには、特に末端基構造に2,
4,6−トリブロモフェニル基を持つものが好ましい。
【0019】これらの臭素化ポリカーボネートは、平均
のカーボネート繰り返し単位が3〜7であることが好ま
しく、臭素化ポリカーボネートの融点が185℃〜25
0℃であることが好ましい。平均のカーボネート繰り返
し単位が3未満のポリカーボネートは融点も低くなり、
特にポリエステルと共に使用する場合は溶融時に該ポリ
エステルの分子量低下を引き起こすので好ましくない。
また、繰り返し単位が7を越える場合は、ポリカーボネ
ートの溶融粘度が高くなり、成形品内の分散不良を引き
起こして成形品外観、特に光沢性を低くするため好まし
くない。臭素化ポリカーボネートの融点が185℃〜2
50℃であると成形品外観性に光沢性の観点から特に好
ましい。
【0020】上記臭素化ビスフェノールAから得られる
臭素化ポリカーボネートは、例えば臭素化ビスフェノー
ルとホスゲンとを反応させる通常の方法で得るすること
ができる。末端封鎖剤としてはハロゲン又は有機基で置
換されていてもよい芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げ
られる。
【0021】本発明に用いられる臭素化ポリカーボネー
トの量は、芳香族ポリエステル100重量部当たり、3
〜60重量部であり、好ましくは10〜50重量部であ
る。全組成物中の無機充填剤の配合量を多くした場合や
後述する難燃助剤を使用した場合には、難燃剤の配合量
を少なくできるが、その場合でも本発明の目的を達成す
るためには少なくとも3重量部は必要であり、3重量部
未満では得られる組成物の難燃性が不十分である。具体
的には3重量部未満では厚さ1.6mmで垂直燃焼規格
UL94V−0に達することができない。また、臭素化
ポリカーボネートの量が60重量部を超えると、溶融時
の熱安定性が低下し、成形品表面外観、特に光沢性が低
下する。
【0022】[リン化合物]本発明に用いられるリン化
合物は、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル、
リン酸及び亜リン酸の金属塩からなる群から選ばれるリ
ン化合物である。更に具体的には、リン酸エステル及び
亜リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸
メチルジエチル、リン酸トリエチル、リン酸イソプロピ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸ト
リベンジル、リン酸トリシクロヘキシル等のリン酸エス
テル;亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リ
ン酸トリブチル、亜リン酸トリ(δ−ヒドロキシブチ
ル)、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル;リ
ン酸及び亜リン酸の金属塩としてはリン酸1ナトリウ
ム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウムリン酸1
カリウム、リン酸1リチウム、リン酸アルミニウム、ピ
ロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキ
サメタリン酸ナトリウム等のリン酸の金属塩及びその水
和物、並びに対応する亜リン酸金属塩が挙げられる。
【0023】本発明においてリン化合物はこれらのリン
化合物のうち、リン酸エステル及び亜リン酸エステルか
らなる群並びにリン酸及び亜リン酸の金属塩からなる群
の各群から選ばれる各々1種類以上であることが必要で
ある。リン化合物として、上記のいずれか片方の群から
選ばれる1種以上のリン化合物のみを配合しても、溶融
樹脂温度260℃以上、成形サイクル60秒以上の成形
条件で成形した場合、溶融時の安定化の効果を得、これ
に起因する成形品外観安定化の効果と変色抑制の効果の
両方の効果を同時に得ることはできない。
【0024】リン化合物は芳香族ポリエステル樹脂10
0重量部に対して0.01〜4重量部配合する。0.0
1重量部未満では溶融時の安定化効果及び変色抑制効果
が少ないうえに、成形品の外観安定化効果も少なく好ま
しくない。また、4重量部を越える量を添加してもより
一層の溶融時安定化効果、変色抑制効果、成形品外観性
安定化効果が得られない。
【0025】リン酸エステル及び亜リン酸エステルから
なる群から選ばれるリン化合物は、好ましくは本発明に
おけるリン化合物の総重量100重量%あたり20重量
%〜80重量%であり、リン酸及び亜リン酸の金属塩か
らなる群のから選ばれるリン化合物は好ましくは本発明
におけるリン化合物の総重量100重量%あたり20重
量%〜80重量%である。この範囲にあれば、成形品外
観安定化の効果と変色抑制の効果の両方の効果を同時に
得ることができ好ましい。
【0026】[フッ素化合物]本発明の樹脂組成物はフ
ッ素系化合物を含有することが好ましい。フッ素系化合
物としては、フッ素置換のポリオレフィン系樹脂を挙げ
ることができ、ポリテトラフルオロエチレンが特に好ま
しい。フッ素系化合物の配合量は、芳香族ポリエステル
樹脂100重量部に対して0〜4重量部、好ましくは
0.2〜2重量部である。4重量部を越える量を添加し
ても難燃剤低減効果に伴う、より一層の成形品外観改良
の効果は得られないが、0.2重量部以上添加すると難
燃性向上および成形品外観改良の効果が高く好ましい。
【0027】[アンチモン化合物]本発明において、難
燃効果を助長する目的で、難燃助剤としてアンチモン化
合物を配合することができる。好適なアンチモン化合物
の例として、Sb23および/またはxNa2O・Sb2
5・yH2O(x=0〜1、y=0〜4)を挙げること
ができる。
【0028】アンチモン化合物が含有される場合、その
粒径は0.02〜5μmが好ましい。また所望により、
エポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合
物、チタネート化合物等で表面処理されたものを用いる
ことができる。アンチモン化合物の量は臭素化ポリカー
ボネート100重量部に対して0〜40重量部である
が、効果的に難燃性を付与するためには臭素化ポリカー
ボネート100重量%に対して20〜70重量%となる
ように配合することが好ましい。添加量が臭素化ポリカ
ーボネート100重量部に対して40重量部を越えると
樹脂や配合剤の分解を促進し、成形品の特性が低下する
ことがあり好ましくない。
【0029】[他の併用難燃剤]本発明において、難燃
性、機械特性向上を目的として他の難燃剤を併用するこ
とができる。これら他の難燃剤が追加含有される場合、
好適な臭素化ビスフェノールA系化合物としては臭素化
ビスフェノールA系エポキシ樹脂を挙げることができ、
好適な臭素化された置換基を有するビニル系ポリマー難
燃剤として臭素化ポリスチレンおよび臭素化ベンジルア
クリレートを挙げることができる。これらの難燃剤のう
ち臭素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂が特に好まし
い。
【0030】[添加物]また難燃性向上の目的として、
ヒンダートフェノール化合物、硫化化合物の如き酸化防
止剤を添加することもできる。その他の添加剤として
は、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等が例示され
る。
【0031】更には機械的特性向上を目的として用いら
れるガラス繊維、アスベスト、炭素繊維、芳香族ポリア
ミド繊維、チタン酸カリウム繊維、スチール繊維、セラ
ミックス繊維、ポロンウィスカー繊維等の如き繊維状
物、マイカ、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス
ビーズ、ガラスフレークス、クレー、ウオラストナイト
等の如き粉状、粉状あるいは板状の無機フィラーを添加
することもできる。
【0032】[製造方法]一般に、難燃性ポリエステル
樹脂組成物を成形する際に好ましく用いられる成形条件
は、溶融樹脂温度が250℃以下、成形サイクルが30
秒以下であり、成形サイクルが短いほど好ましいが、大
型の成形品や複雑な構造の成形品の成形、ホットランナ
ー成形の場合には、樹脂の流動性を高めるため溶融樹脂
温度を高くする必要がある。ところが、通常の難燃性ポ
リエステル樹脂組成物を溶融樹脂温度で250℃を超え
かつ成形サイクル30秒/サイクル以上の成形条件で成
形すると溶融樹脂の劣化が促進される。特に溶融樹脂温
度で260℃以上かつ成形サイクル60秒/サイクル以
上の条件をとると、通常の難燃性ポリエステル樹脂組成
物では樹脂の劣化が著しくなる。なお、溶融樹脂温度と
は成形機シリンダー内部にある樹脂の温度のことを指
す。
【0033】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物
は、特にこの劣悪な成形条件でも外観と色調が優れた樹
脂成形品を得ることができる点に特徴がある。すなわ
ち、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は、特に大
型の成形品もしくは複雑な構造の成形品を成形すること
のできる条件である、溶融樹脂温度で260℃以上かつ
成形サイクル60秒/サイクル以上の条件をとっても、
外観と色調が優れた樹脂成形品を得ることができる点に
著しい特徴がある。
【0034】外観と色調が優れた樹脂成形品を得ること
ができる本発明の特徴はホットランナー成形により樹脂
を成形する場合にも妥当する。なお、ホットランナーと
は金型のランナー部分を成形機シリンダーと同様に加熱
して固化しないようにしてある金型である。ホットラン
ナー成形の場合にはシリンダー内部だけでなく金型内部
のランナー部分における溶融樹脂が高温のまま保持さ
れ、滞留もあり、通常は樹脂の劣化が起こりやすい条件
であるが、本発明の難燃性樹脂組成物を用いると外観と
色調に優れた成形品を得ることができる。
【0035】すなわち、本発明の難燃性ポリエステル樹
脂組成物においては、大型の成形品の成形条件として溶
融樹脂温度260℃以上かつ成形サイクル60秒以上の
成形条件を用いることができる。本発明の難燃性ポリエ
ステル樹脂組成物をこの条件で成形すると、電気製品の
筐体など大型の成形品を成形するときに、良好な表面外
観を備える大型の成形品または複雑な構造の成形品を得
ることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例をあげて説明する。組成は重量
部単位である。
【0037】[実施例1〜2および比較例1〜4]ポリ
ブチレンテレフタレート(極限粘度0.86)、臭素化
ポリカーボネート(ポリカーボネート繰り返し単位3〜
5)、リン酸金属塩(リン酸ナトリウム)、リン酸エス
テル(リン酸トリメチル)、フッ素化合物(ポリテトラ
フルオロエチレン)および長さ3mm、断面直径13μ
mのガラスチョップドストランドを表1に示す割合(重
量部単位)でV型ブレンダーで均一に混合して、種々の
樹脂の混合物を準備した。得られた混合物を44mm径
の二軸押出機でバレル温度260℃にて溶融混練し、ダ
イスから取り出されるスレッドを冷却切断して長さ3〜
6mm、直径2〜4mmの成形用ペレットを得た。
【0038】ついでこれらのペレットを130℃で5時
間熱風乾燥した後、8.3オンスの射出成形機に試験片
モールドを取り付けて、溶融樹脂温度270℃、金型温
度60℃射出圧力700kg/cm2、冷却時間20秒
および全サイクル35秒および600秒の成形条件で厚
さ1.0mm、50.0mm×80.0mmの平板試験
片を成形した。これら試験片について特性を評価した結
果を表1に組成と共に示す。
【0039】表1において成形品表面外観性は色差△E
と光沢度として示されている。色差△Eとは分光エネル
ギーの相違によってその性質の差異が認められる可視放
射の特性又は視知覚の様相を数値的に表した数値であ
り、成形サイクル35秒で得た成形品の値と成形サイク
ル600秒で得た成形品の値の差として表記してある。
光沢度とは入射角60度で照射した可視光線の反射率の
ことである。表面外観性は、光沢度が80%を越えかつ
色差が2.5以下であるものを良いものと判定した。一
方、溶融熱安定性は、成形品の極限粘度数(η)が0.
80以上のものを良いと判定した。また、燃焼試験はU
L94規格に基づいて行い、成形品の厚みは0.7mm
tで評価した。
【0040】表1および本実施例の記載において使用し
た略称の意味をまとめて示す。
【0041】
【表1】
【0042】・図の組成は全てポリブチレンテレフタレ
ート100重量部に対する重量部で示してある。 ・光沢度は入射角60度で可視光線を照射したときの反
射率で、単位は%。 ・成形品表面外観性は光沢度が80%を越えたとき良い
と判定した。 ・成形品の極限粘度は0.80以上のとき、溶融熱安定
性が良いと判断した。
【0043】表1から、本発明に示したとおり、比較例
1〜2の様にリン酸金属塩を単体で用いたときは、溶融
熱安定性が良いが、成形品の色差が大きく、光沢度も6
0%以下と低い。また比較例3〜4の様にリン酸エステ
ルを単体で用いたときは、成形品の色差が小さく、光沢
度も高いが、溶融時の熱安定性が良くなく、成形品の極
限粘度の低下が大きい。一方、実施例1〜2の様にリン
酸金属塩とリン酸エステルを併用すると成形品の光沢度
が85%以上と高くなり、色差も小さく、かつ極限粘度
の低下が小さい成形品が得られることが示される。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性、機械的
特性、難燃性を保ちながら、成形した成形品の表面外観
性、特に色調と光沢の良好な樹脂組成物及びそれからな
る家電製品用成形品を得ることができる。また、長い成
形サイクル、高い溶融樹脂温度である成形条件において
も溶融樹脂粘度の安定した難燃性ポリエステル樹脂組成
物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリエステル100重量部あた
    り、臭素化ポリカーボネート3〜60重量部、リン化合
    物0.01〜4重量部を含有してなり、該臭素化ポリカ
    ーボネートの平均のカーボネート繰り返し単位が3〜7
    であり、かつ該リン化合物が、リン酸エステル及び亜リ
    ン酸エステルからなる群並びにリン酸及び亜リン酸の金
    属塩からなる群の各群から選ばれる各々1種類以上であ
    る難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリエステルがポリブチレンテレ
    フタレート及び/またはポリエチレンテレフタレートで
    ある請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂
    組成物からなる家電製品用成形品。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の難燃性ポリエ
    ステル樹脂組成物を溶融樹脂温度260℃以上、成形サ
    イクル60秒以上の成形条件で成形することを特徴とす
    る家電製品用成形品の製造方法。
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