以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。ここでは、画像形成装置1としてプリンターを例示しているが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。また、カラー対応の画像形成装置に限られず、モノクロ対応の画像形成装置であってもよい。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体2を備える。装置本体2は、トナーを用いてシートに画像を形成する。装置本体2には画像形成のための各種機器が収容されている。装置本体2の上面には、排出トレイ9が形成されている。
装置本体2の上部前面には、操作パネル25(厚さ情報取得部)が設けられている。操作パネル25は、操作キー251及びLCDタッチパネル252などを備え、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける。また、操作パネル25は、ユーザーから、用紙Pの厚さを示す厚さ情報の入力を受け付ける。厚さ情報は、例えば、用紙Pが、第1厚さの普通紙であるか、第1厚さより厚い第2厚さの厚紙であるかを示す情報である。
装置本体2の下部には、画像形成処理が施される用紙P(シート)を収容する給紙カセット211が装着されている。給紙カセット211は、装置本体2の前面から手前方向に引出可能である。
装置本体2の前面、給紙カセット211の上部には、装置本体2の内部を露出させるメンテナンスドアー212が取り付けられている。メンテナンスドアー212は、その下端縁において装置本体2に対して回動可能に取り付けられ、開閉可能にされている。
図2は、図1に示す画像形成装置1の概略構造を示す模式的な垂直断面図である。
画像形成装置1は、いわゆるタンデム型カラー画像形成装置であり、給紙部200、垂直搬送路202、レジストローラー対3、画像形成部50、定着部7、排出搬送路8、及び排出トレイ9を含んで構成されている。画像形成部50には、ブラック(B)マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色別に画像形成ユニット5B、5M、5C及び5Y(以下、総括して「画像形成ユニット5」という)が並設され、画像形成ユニット5の上方にベルト搬送部4が配設され、ベルト搬送部4の後方に2次転写部6(転写部)が配設されている。
画像形成装置1は、次のような画像形成工程を行う。用紙Pは、給紙部200の給紙カセット1aよりピックアップローラー1bにて垂直搬送路202に搬送され、レジストローラー対3を介して2次転写部6へ搬送される。
画像形成部50では、中間転写ベルト11(像担持体)が、駆動ローラー41により、矢印の方向に送られる。中間転写ベルト11の周面(第1周面)上には、画像形成ユニット5Y、5C、5M、5Bにおいて各々の感光体ドラム51に形成されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー画像が、順次多重転写され、カラーのトナー像が形成される。ここで形成されたトナー像は、2次転写部6によって、中間転写ベルト11から給紙カセット1aより搬送されてきた用紙Pに2次転写される。用紙P上には、カラーのトナー像が形成される。
この後、未定着のトナー像が転写された用紙Pは、2次転写部6から定着部7に搬送される。定着部7は、互いに圧接された状態で図略のモーターにより回転駆動される加熱ローラー7aと加圧ローラー7bとを含む。加熱ローラー7aと加圧ローラー7bは、転写されてきた用紙Pをニップして加圧しつつ回転することによって、用紙Pを排出搬送路8へ搬送する。加熱ローラー7aには、図略のヒーターが内蔵されている。加熱ローラー7aと加圧ローラー7bとのニップ部にて、用紙Pが加圧されつつこのヒーターが発生する熱によって加熱されることで、用紙Pにトナー像が定着される。
加熱ローラー7a及び加圧ローラー7bの回転速度、すなわち定着部7による用紙Pの搬送速度は、画像形成速度制御部311(図4)によって制御される。
定着部7で定着処理がなされた後、用紙Pは、排出搬送路8を経て排出トレイ9に排出される。
次に、画像形成装置1の主要な構成要素である画像形成部50の構成について、詳細に説明をする。画像形成部50は、ベルト搬送部4と、画像形成ユニット5と、ベルトクリーニングユニット45とからなる。
図2に示すように、ベルト搬送部4は、駆動ローラー41と、従動ローラー42と、この2つのローラーに亘って掛け渡された無端状の中間転写ベルト11とを含む。中間転写ベルト11は、テンションローラー44により、適度なテンションに保たれている。この状態で、駆動ローラー41は、ベルト駆動モーター411(図4)から駆動力を伝達され、図中時計回り方向に回転する。駆動ローラー41が時計回り方向に回転すると、駆動ローラー41及び従動ローラー42に掛け回された中間転写ベルト11が、時計回り方向に周回し、従動ローラー42が時計回り方向に従動回転する。
駆動ローラー41は、各画像形成ユニットの感光体ドラム51のドラムの外周面の表面速度と、中間転写ベルト11の送り速度とが、等速に近い一定速度になるように駆動されるようになっている。
画像形成ユニット5Y、5C、5M、5Bは、ベルト搬送部4の下方に並んで配置されている。画像形成ユニット5Y、5C、5M、5Bは、前方より順に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)用となっている。画像形成ユニット5Y、5C、5M、5Bは、それぞれ対応する色のトナーを収容する図略のトナータンクを備えている。各画像形成ユニット5は、トナータンクに収容されているトナーの色が異なる点を除き、略同じ構成の画像形成ユニットからなる。
画像形成ユニット5は、感光体ドラム51、主帯電装置52、露光装置53、1次転写ローラー54、クリーニング装置55、現像装置56を含み、樹脂等からなる筐体に組み付けられることにより1つのユニットとなり、装置本体に取り付けられている。感光体ドラム51は、現像位置での暗電位が所定の電位になるよう主帯電装置52により帯電される。この帯電した感光体ドラム51の表面に露光装置53が画像情報に応じた光を照射することにより感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。
現像装置56は、図略のトナータンクにより供給されるトナー粒子を例えばプラスに帯電させて現像ローラー57の表面に塗布する。この帯電したトナー粒子を現像ローラー57から、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像に供給することにより、感光体ドラム51にトナー像を現像する。感光体ドラム51上の転写されなかった残留トナーは、クリーニング装置55によって除去される。
続いて、感光体ドラム51表面の残留電位を下げて均一にすべく、除電ランプ58により感光体ドラム51が除電され、次の一連のプロセスに備えられる。画像形成装置1は、上述のようにして、各画像形成ユニット5で、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローに対応する画像を、感光体ドラム51上に現像し、中間転写ベルト11上に順次繰り返し、ずれなく多重転写することで、1つのカラー画像の形成を行う。
図3は、図2に示す画像形成部50のベルトクリーニングユニット45付近の概略構造を示す模式的な垂直断面図である。
ベルトクリーニングユニット45は、ブラシローラー45a(クリーニング部材)、回収ローラー45b、クリーニングブレード45c、プレブラシ45d、及びトナー回収スクリュー45eと、これらの部材を収容するケーシング45fとを備えている。
ブラシローラー45aは、従動ローラー42との間に中間転写ベルト11を挟んで従動ローラー42と対向配置されている。ブラシローラー45aは、従動ローラー42の回転軸と平行に延びる軸芯451の外周に一様にブラシ毛452が植設されて形成されている。ブラシ毛452の先端部分は、ブラシローラー45aの仮想的な外周面(第2周面)を構成する。以下、ブラシローラー45aの仮想的な外周面を、単にブラシローラー45aの外周面と称する。ブラシローラー45aの外周面は、中間転写ベルト11に接触する。
ブラシローラー45aは、ブラシ駆動モーター453(図4)によって反時計回り方向(従動ローラー42と逆方向)に回転駆動される。中間転写ベルト11とブラシローラー45aの間には、定電流源20(図4)から供給された電流が流されている。これにより、中間転写ベルト11の周面に付着した残留トナーがブラシローラー45aにより掻き落とされつつ、掻き落とされた残留トナーが中間転写ベルト11からブラシローラー45aへ移動する。
軸芯451及びブラシ毛452は、例えばアクリルに導電材料を混合した材料によって構成されている。これにより、ブラシローラー45aに導電性が付与されている。
回収ローラー45bは、ブラシローラー45aの軸芯451と平行に延びる円筒状の部材である。回収ローラー45bは、外周面がブラシローラー45aの外周面と接触するように配設されている。回収ローラー45bは、例えば硫黄複合快削鋼(SUM)によって構成されている。
回収ローラー45bは、図略のモーターによって、図中反時計回り方向(ブラシローラー45aと同一方向)に回転駆動される。
ブラシローラー45aと回収ローラー45bの間には、定電流源20(図4)から供給された電流が流されている。これにより、ブラシローラー45aに付着した残留トナーが回収ローラー45bの周面に付着する。
クリーニングブレード45cは、回収ローラー45bに対して当接することにより、回収ローラー45bの周面に付着した残留トナーを掻き落とす。クリーニングブレード45cによって掻き落とされた残留トナーは、ケーシング45fの底部に貯留され、トナー回収スクリュー45eによって、図略の廃トナー容器へ搬送される。
プレブラシ45dは、ブラシローラー45aよりも中間転写ベルト11の移動方向上流側に、中間転写ベルト11の周面に当接するように配設されている。プレブラシ45dは、ブラシローラー45aに先立って中間転写ベルト11の表面を清浄処理する。この清浄処理で中間転写ベルト11の表面に付着している残留トナーを中間転写ベルト11から浮き上がらせるようにし、これによってブラシローラー45aは、残留トナーの中間転写ベルト11からのクリーニング処理をより効果的に行うことができる。
図4は、図1に示す画像形成装置1の電気的な構成を概略的に示すブロック図である。画像形成装置1は、装置全体の動作制御を司る制御部300を備えている。制御部300は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御部300は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成制御部310、画像形成速度制御部311、及びクリーニング速度制御部312として機能する。
制御部300には、上述の操作パネル25、定着部7、及び画像形成部50に加えて、ベルト駆動モーター411(第1駆動部)、ブラシ駆動モーター453(第2駆動部)、定電流源20、用紙搬送機構400、湿度センサー21(湿度検出部)、温度センサー22、及び通信I/F部23が接続されている。用紙搬送機構400は、給紙部200、垂直搬送路202、及び排出搬送路8に含まれる用紙搬送用のローラーを回転駆動するモーターやギア機構等を含む。
ベルト駆動モーター411は、駆動ローラー41を駆動回転させることにより、中間転写ベルト11を周回移動させる。ブラシ駆動モーター453は、ブラシローラー45aを駆動回転させることにより、ブラシローラー45aの外周面を中間転写ベルト11の周面に対して相対移動させる。
定電流源20は、例えばスイッチング電源回路等により構成された定電流回路である。定電流源20は、制御部300からの制御信号に応じて中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間に予め設定された一定の電流Icを流すことにより、中間転写ベルト11の周面上の帯電した残留トナーをブラシローラー45aへ移動させる。
湿度センサー21は、例えば従動ローラー42の近傍に配設され、中間転写ベルト11周辺の空気の湿度を中間転写ベルト11に関する湿度Hとして検出する。なお、湿度センサー21は、必ずしも従動ローラー42や中間転写ベルト11の近傍に配設される例に限らない。中間転写ベルト11近傍の空気の湿度は、画像形成装置1内の湿度や画像形成装置1外部の環境湿度と相関関係がある。従って、湿度センサー21は、画像形成装置1内の湿度や画像形成装置1外部の環境湿度を中間転写ベルト11に関する湿度Hとして検出するように構成されていてもよい。
温度センサー22は、画像形成装置1の周囲環境の温度taを検出する。
通信I/F部23は、例えば有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、又はUSB(Universal Serial Bus)インターフェイス等の通信インターフェイス回路である。通信I/F部23は、図略の通信ケーブルを介して、あるいは無線通信によって、図略のパーソナルコンピューター等の外部端末装置との間でデータ送受信を行う。これにより、通信I/F部23は、用紙Pに画像形成しようとする画像を表す画像データを外部端末装置から受信する。
画像形成制御部310は、通信I/F部23によって受信された画像データに基づいて、画像形成装置1内の各部の動作を制御することによって、用紙Pに画像を形成する。
画像形成速度制御部311は、定着部7による用紙Pの搬送速度を、予め設定された第1搬送速度Sf1と、第1搬送速度Sf1より遅い第2搬送速度Sf2との間で切り替える。また、画像形成速度制御部311は、ベルト駆動モーター411が中間転写ベルト11の周面を移動させる速度を予め設定された第1移動速度Sm1と、第1移動速度Sm1よりも遅い第2移動速度Sm2との間で切り替える。
具体的には、画像形成速度制御部311は、操作パネル25によって取得された厚さ情報が、普通紙を示す場合、定着部7による用紙Pの搬送速度を第1搬送速度Sf1にさせ、かつベルト駆動モーター411が中間転写ベルト11の周面を移動させる速度を第1移動速度Sm1にさせる。また、画像形成速度制御部311は、操作パネル25によって取得された厚さ情報が、厚紙を示す場合、定着部7による用紙Pの搬送速度を第2搬送速度Sf2にさせ、かつベルト駆動モーター411が中間転写ベルト11の周面を移動させる速度を第2移動速度Sm2にさせる。
クリーニング速度制御部312は、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第1移動速度Sm1のとき、ブラシローラー45aの外周面の、中間転写ベルト11の周面に対する相対速度が第1相対速度Sc1になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させる。また、クリーニング速度制御部312は、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第2移動速度Sm2のとき、ブラシローラー45aの外周面の、中間転写ベルト11の周面に対する相対速度が第1相対速度Sc1より速い第2相対速度Sc2になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させる。
また、クリーニング速度制御部312は、湿度センサー21によって検出された湿度Hが予め設定された基準湿度Hrefよりも低いとき、第1相対速度Sc1及び第2相対速度Sc2をそれぞれ増大させる。基準湿度Hrefとしては、例えば40%を好適に用いることができる。
図5、図6は、図4に示す画像形成装置1による中間転写ベルト11のクリーニング処理の一例を示すフローチャートである。図7は、図4に示す画像形成装置1による中間転写ベルト11のクリーニング処理を説明するための概念的な説明図である。まず、ユーザーが操作パネル25を操作して、用紙Pが普通紙であるか、厚紙であるかを示す厚さ情報を入力する。これにより、操作パネル25によって、厚さ情報が取得される(ステップS1)。
なお、厚さ情報は、用紙Pが普通紙であるか厚紙であるかを示す情報に限らない。例えば、厚さ情報は、用紙Pの厚さを数値で表した情報であってもよい。そして、画像形成速度制御部311は、例えば用紙Pの厚さが予め設定された基準厚さ以下のとき、用紙Pの厚さを第1厚さと判定し、用紙Pの厚さが基準厚さより厚いとき、用紙Pの厚さを第2厚さと判定してもよい。
また、厚さ情報は、操作パネル25によって取得される例に限らない。例えば、図略の外部端末装置から、通信I/F部23へ厚さ情報が送信される構成としてもよい。この場合、通信I/F部23が厚さ情報取得部に相当する。
次に、画像形成制御部310によって、操作パネル25で取得された厚さ情報に基づき、用紙Pが厚紙か否かが判断される(ステップS2)。用紙Pが普通紙であり、厚紙ではなかった場合(ステップS2でNO)、画像形成制御部310は印字モードを通常印字モードに設定する(ステップS3)。
画像形成制御部310は、通常印字モードのときは、定着部7での定着時間が普通紙に適した時間となるように、定着部7による用紙Pの搬送速度を予め設定された第1搬送速度Sf1にさせる(ステップS4)。また、画像形成制御部310は、通常印字モードのとき、ベルト駆動モーター411の回転速度を制御して、中間転写ベルト11の周面の移動速度Sbを第1移動速度Sm1にさせ(ステップS5)、処理をステップS11へ移行する。
2次転写部6から定着部7へ搬送される用紙Pの搬送速度は、中間転写ベルト11の周面の移動速度と等しい。従って、2次転写部6から定着部7への用紙Pの搬送をスムーズに実行するためには、定着部7が用紙Pを搬送する速度と、中間転写ベルト11の周面の移動速度Sbとを連動させる必要がある。そこで、画像形成制御部310は、通常印字モードのとき、定着部7が用紙Pを搬送する速度を第1搬送速度Sf1とし、中間転写ベルト11の周面の移動速度Sbを第1移動速度Sm1とする。第1移動速度Sm1は、定着部7が用紙Pを搬送する速度が第1搬送速度Sf1のときに、2次転写部6から定着部7への用紙Pの搬送をスムーズに実行可能となる移動速度Sbが予め設定されている。
一方、ステップS2において、用紙Pが厚紙であった場合(ステップS2でYES)、画像形成制御部310は印字モードを半速印字モードに設定する(ステップS6)。
用紙Pが厚紙であった場合、用紙Pの熱容量が普通紙よりも大きくなる。そのため、定着部7で用紙Pに形成されたトナー像を加熱溶融して用紙Pに定着するために必要な時間が、用紙Pが普通紙の場合よりも厚紙の場合の方が長くなる。
そこで、用紙Pが厚紙であった場合(ステップS2でYES)、画像形成制御部310は印字モードを半速印字モードに設定し(ステップS6)、定着部7による用紙Pの搬送速度を第2搬送速度Sf2にさせる(ステップS7)。第2搬送速度Sf2は、第1搬送速度Sf1より遅い速度、例えば第1搬送速度Sf1の1/2の速度に設定されている。
これにより、用紙Pが厚紙であるために用紙Pの熱容量が普通紙より大きい場合、定着部7による用紙Pへのトナー像の定着時間が長くなるので、用紙Pの厚さに関わらず、用紙Pへのトナー像の定着が良好となる。
また、画像形成制御部310は、半速印字モードのとき、ベルト駆動モーター411の回転速度を制御して、中間転写ベルト11の周面の移動速度Sbを第2移動速度Sm2にさせ(ステップS8)、処理をステップS11へ移行する。第2移動速度Sm2は、第1移動速度Sm1より遅い速度、例えば第1移動速度Sm1の1/2の速度に設定されている。これにより、2次転写部6から定着部7への用紙Pの搬送が、スムーズに実行可能とされている。
ステップS11において、湿度センサー21は、湿度Hを測定する(ステップS11)。
次に、クリーニング速度制御部312は、湿度センサー21によって測定された湿度Hを、基準湿度Hrefと比較する(ステップS12)。そして、湿度Hが基準湿度Href以上であり、湿度が高いとき(ステップS12でNO)、クリーニング速度制御部312は、ステップS13へ処理を移行して印字モードが半速印字モードか否かを判断する(ステップS13)。
ステップS13において、印字モードが通常印字モードのとき(ステップS13でNO)、すなわち中間転写ベルト11の移動速度Sbが第1移動速度Sm1のとき、クリーニング速度制御部312は、ブラシローラー45aの外周面の移動速度Srが中間転写ベルト11の移動速度Sbの1.2倍になるように、ブラシ駆動モーター453の回転速度を制御する(ステップS14)。
この場合、中間転写ベルト11に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度である第1相対速度Sc1は(Sb×0.2)となる。
一方、ステップS13において、印字モードが半速印字モードのとき(ステップS13でYES)、すなわち中間転写ベルト11の移動速度Sbが第2移動速度Sm2のとき、クリーニング速度制御部312は、ブラシローラー45aの外周面の移動速度Srが中間転写ベルト11の移動速度Sbの1.5倍になるように、ブラシ駆動モーター453の回転速度を制御する(ステップS15)。
この場合、中間転写ベルト11に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度である第2相対速度Sc2は(Sb×0.5)となる。
すなわち、ステップS13,S14,S15の処理により、クリーニング速度制御部312は、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第1移動速度Sm1のとき、中間転写ベルト11の周面に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度が第1相対速度Sc1(=Sb×0.2)になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させ(ステップS14)、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第2移動速度Sm2のとき、中間転写ベルト11の周面に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度が第1相対速度Sc1(=Sb×0.2)より速い第2相対速度Sc2(=Sb×0.5)になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させる(ステップS15)。
他方、ステップS12において、湿度Hが基準湿度Hrefに満たず、湿度が低いとき(ステップS12でYES)、クリーニング速度制御部312は、ステップS16へ処理を移行して印字モードが半速印字モードか否かを判断する(ステップS16)。
ステップS16において、印字モードが通常印字モードのとき(ステップS16でNO)、すなわち中間転写ベルト11の移動速度Sbが第1移動速度Sm1のとき、クリーニング速度制御部312は、ブラシローラー45aの外周面の移動速度Srが中間転写ベルト11の移動速度Sbの1.5倍になるように、ブラシ駆動モーター453の回転速度を制御する(ステップS15)。
この場合、中間転写ベルト11に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度である第1相対速度Sc1は(Sb×0.5)となる。
一方、ステップS16において、印字モードが半速印字モードのとき(ステップS16でYES)、すなわち中間転写ベルト11の移動速度Sbが第2移動速度Sm2のとき、クリーニング速度制御部312は、ブラシローラー45aの外周面の移動速度Srが中間転写ベルト11の移動速度Sbの2.0倍になるように、ブラシ駆動モーター453の回転速度を制御する(ステップS17)。
この場合、中間転写ベルト11に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度である第2相対速度Sc2は(Sb×1.0)となる。
すなわち、ステップS16,S15,S17の処理により、クリーニング速度制御部312は、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第1移動速度Sm1のとき、中間転写ベルト11の周面に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度が第1相対速度Sc1(=Sb×0.5)になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させ(ステップS15)、中間転写ベルト11の周面の移動速度が第2移動速度Sm2のとき、中間転写ベルト11の周面に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度が第1相対速度Sc1(=Sb×0.5)より速い第2相対速度Sc2(=Sb×1.0)になるようにブラシ駆動モーター453によってブラシローラー45aを回転駆動させる(ステップS17)。
さらに、中間転写ベルト11の周面の移動速度(印字モード)が同一の条件で湿度Hが異なる場合について整理すると、以下のようになる。
湿度Hが基準湿度Href以上(ステップS12でNO)であって、且つ中間転写ベルト11の周面の移動速度が第1移動速度Sm1のとき(ステップS13でNO)、第1相対速度Sc1は(Sb×0.2)とされ(ステップS14)、湿度Hが基準湿度Hrefに満たず(ステップS12でYES)、且つ中間転写ベルト11の周面の移動速度が第1移動速度Sm1のとき(ステップS16でNO)、第1相対速度Sc1は(Sb×0.5)とされる(ステップS15)。
すなわち、クリーニング速度制御部312は、湿度Hが基準湿度Hrefよりも低いとき(ステップS15)、湿度Hが基準湿度Href以上のとき(ステップS14)よりも第1相対速度Sc1を増大させる。
湿度Hが基準湿度Href以上(ステップS12でNO)であって、且つ中間転写ベルト11の周面の移動速度が第2移動速度Sm2のとき(ステップS13でYES)、第2相対速度Sc2は(Sb×0.5)とされ(ステップS15)、湿度Hが基準湿度Hrefに満たず(ステップS12でYES)、且つ中間転写ベルト11の周面の移動速度が第2移動速度Sm2のとき(ステップS16でYES)、第2相対速度Sc2は(Sb×1.0)とされる(ステップS17)。
すなわち、クリーニング速度制御部312は、湿度Hが基準湿度Hrefよりも低いとき(ステップS17)、湿度Hが基準湿度Href以上のとき(ステップS15)よりも第2相対速度Sc2を増大させる。
ステップS1〜S17の処理により、定着部7の用紙搬送速度、中間転写ベルト11の移動速度Sb、及びブラシローラー45aの外周面の移動速度Srが設定され、定着部7、中間転写ベルト11、及びブラシローラー45aが駆動される。
次に、画像形成制御部310は、定電流源20によって、従動ローラー42と、クリーニングブレード45cとの間に一定の電流Icを流させる(ステップS18)。これにより、従動ローラー42から中間転写ベルト11、ブラシローラー45a、及び回収ローラー45bを経由してクリーニングブレード45cに至る電流経路に電流Icが流れる。
次に、図7を参照しつつ、上述のステップS11〜S18の処理により得られる効果について説明する。
まず、印字モードが通常印字モードにされ(ステップS3)、中間転写ベルト11の移動速度Sbが第1移動速度Sm1にされた場合(ステップS5)、中間転写ベルト11の単位時間当たりの移動距離は、移動距離Lb1となる。一方、印字モードが半速印字モードにされ(ステップS6)、中間転写ベルト11の移動速度Sbが第2移動速度Sm2にされた場合(ステップS8)、中間転写ベルト11の単位時間当たりの移動距離は、移動距離Lb2となる。移動距離Lb2は、移動距離Lb1より短い。
ここで、電流Icが、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの接触位置Aを流れると、単位時間の間に、電流Icが流れる中間転写ベルト11の領域の面積は、単位時間当たりの移動距離が短いほど狭くなる。従って、印字モードが半速印字モードのときの方が、通常印字モードのときよりも、単位時間の間に電流Icが流れる中間転写ベルト11の領域の面積が狭くなる。単位時間の間に電流Icが流れる中間転写ベルト11の領域の面積が狭くなることは、中間転写ベルト11に流れる電流密度が上昇することを意味する。
中間転写ベルト11に流れる電流密度が上昇すると、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗が増大するのと同様の効果をもたらす。定電流源20は、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間に一定の電流Icを流すから、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗が増大すると、オームの法則により中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧が上昇する。
そして、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧が上昇して所定の電圧を超えると、中間転写ベルト11上の残留トナーTとブラシローラー45aとの間で放電が発生し、残留トナーTが逆極性に充電される。すなわち、プラスに帯電していた残留トナーTが放電によりマイナスに帯電される。マイナスに帯電した残留トナーTは、中間転写ベルト11からブラシローラー45aへ電流Icを流しても、中間転写ベルト11からブラシローラー45aへ移動しない。その結果、ブラシローラー45aによる残留トナーTのクリーニング効果が充分に得られなくなる。
そこで、クリーニング速度制御部312は、ステップS13〜S17の処理により、印字モードに応じて、すなわち中間転写ベルト11の移動速度Sbに応じてブラシローラー45aの外周面の移動速度Srを変化させることにより、残留トナーTのクリーニング効果が放電により低下するおそれを低減する。
具体的には、クリーニング速度制御部312は、上述したように、半速印字モードで中間転写ベルト11の移動速度Sbが低速のとき(ステップS13でYES)、中間転写ベルト11に対するブラシローラー45aの外周面の相対速度を、通常印字モードで移動速度Sbが高速のとき(ステップS14)よりも速くする(ステップS15)。
その結果、中間転写ベルト11の移動速度Sbが低速になって中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧が上昇する場合には、ブラシローラー45aの外周面の、中間転写ベルト11に対する単位時間当たりの相対的な移動距離が増大される。ブラシローラー45aの外周面の、中間転写ベルト11に対する単位時間当たりの相対的な移動距離が増大すると、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗を低下させる効果が生じるので、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧上昇を抑制することができる。
これにより、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間で放電が生じるおそれが低減されるので、残留トナーTのクリーニング効果が放電により低下するおそれを低減することができる。
ステップS15〜S17についても、上述のステップS13〜S15と同様の効果が得られる。
また、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗は、湿度の影響により増大する場合がある。すなわち、湿度が高い場合、残留トナーT、中間転写ベルト11、及びブラシローラー45a等で吸湿が生じる。その結果、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗が低下する。一方、湿度が低いと、残留トナーT、中間転写ベルト11、及びブラシローラー45a等が乾燥し、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗が増大する。定電流源20は、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間に一定の電流Icを流すから、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗が増大すると、オームの法則により中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧が上昇する。
そのため、中間転写ベルト11周辺の湿度が低いと、半速印字モードの場合と同様、中間転写ベルト11上の残留トナーTとブラシローラー45aとの間で放電が発生し、ブラシローラー45aによる残留トナーTのクリーニング効果が充分に得られなくなる。
そこで、クリーニング速度制御部312は、湿度Hが基準湿度Hrefよりも低いとき(ステップS12でYES)、湿度Hが基準湿度Href以上のとき(ステップS14)よりも第1相対速度Sc1を増大させる(ステップS15)。また、クリーニング速度制御部312は、湿度Hが基準湿度Hrefよりも低いとき(ステップS12でYES)、湿度Hが基準湿度Href以上のとき(ステップS15)よりも第2相対速度Sc2を増大させる(ステップS17)。
これにより、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電気抵抗を低下させる効果が生じるので、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧上昇を抑制することができ、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間で放電が生じるおそれが低減される。その結果、残留トナーTのクリーニング効果が低湿時の放電により低下するおそれを低減することができる。
図8は、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間の電圧Vcと、電流Icとの関係を示すグラフである。横軸は電流Ic、縦軸は電圧Vcを示している。図8において、電流Icは、ブラシローラー45aから従動ローラー42へ向かう方向の電流を+極性で表し、電圧Vcは、中間転写ベルト11(従動ローラー42)の電位を0Vとしたときの中間転写ベルト11とブラシローラー45a間の電圧を示している。
図8に示すグラフ中、枠線で囲んだクリーニング可能領域Bは、中間転写ベルト11とブラシローラー45aとの間に放電が発生せず、従って中間転写ベルト11のクリーニングを実行可能な領域を示している。以下、中間転写ベルト11の移動速度Sbに対するブラシローラー45aの外周面の移動速度Srの比率を線速比と称する。また、温度23℃、湿度50%を常温常湿と称し、温度10℃、湿度15%を低温低湿と称する。
グラフG1は常温常湿で通常印字モードとし、線速比を1.2とした場合のグラフである。グラフG2は常温常湿で半速印字モードとし、線速比を1.2とした場合のグラフである。グラフG3は常温常湿で半速印字モードとし、線速比を1.5とした場合のグラフである。グラフG4は低温低湿で通常印字モードとし、線速比を1.2とした場合のグラフである。グラフG5は低温低湿で通常印字モードとし、線速比を1.5とした場合のグラフである。グラフG6は低温低湿で半速印字モードとし、線速比を1.2とした場合のグラフである。グラフG7は低温低湿で半速印字モードとし、線速比を2.0とした場合のグラフである。
グラフG2は、電流Icが−10.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲外である。グラフG2の条件では、クリーニング速度制御部312は、ステップS12でNO、ステップS13でYESとなり、線速比を1.5とする(ステップS15)。これにより、グラフG3の条件となる。グラフG3は、電流Icが−10.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲内となるから、クリーニング速度制御部312は、グラフG2の条件をクリーニング可能なグラフG3の条件に変更することになる。
グラフG4は、電流Icが−5.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲外である。グラフG4の条件では、クリーニング速度制御部312は、ステップS12でYES、ステップS16でNOとなり、線速比を1.5とする(ステップS15)。これにより、グラフG5の条件となる。グラフG5は、電流Icが−5.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲内となるから、クリーニング速度制御部312は、グラフG4の条件をクリーニング可能なグラフG5の条件に変更することになる。
グラフG6は、電流Icが−5.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲外である。グラフG6の条件では、クリーニング速度制御部312は、ステップS12でYES、ステップS16でYESとなり、線速比を2.0とする(ステップS17)。これにより、グラフG7の条件となる。グラフG7は、電流Icが−5.0μAのとき、クリーニング可能領域Bの範囲内となるから、クリーニング速度制御部312は、グラフG6の条件をクリーニング可能なグラフG7の条件に変更することになる。
以上のように、図8に示すグラフと、図6に示すフローチャートとから、画像形成装置1によれば、クリーニング効果が減少するおそれを低減できることが確認できた。
なお、通常の気象条件によれば、冬季などの低温環境では湿度が低下し、夏期などの高温環境では湿度が上昇する。そこで、例えば、予め基準温度trefを設定し、ステップS11において、湿度Hに加えて温度センサー22によって温度taを測定し、ステップS12において、湿度H<Hrefであり、かつ温度ta<trefの場合にステップS16へ移行するようにしてもよい。この場合、基準温度trefとしては、例えば15℃程度の温度を用いることができる。