以下、本発明に係る表面増強ラマン散乱ユニットの一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは相当する要素同士には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表面増強ラマン散乱ユニットの平面図である。図2は、図1のII−II線に沿っての断面図である。図3は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの部分的な断面図である。図1〜3に示されるように、本実施形態に係るSERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1は、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2と、ハンドリングプレート(支持部材)3と、第1の磁石部4と、第2の磁石部5と、を備えている。SERS素子2は、表面増強ラマン散乱を生じさせる光学機能部10を有している。ハンドリングプレート3は、SERS素子2を支持する。SERS素子2は、磁力によって、ハンドリングプレート3に固定されている。
ハンドリングプレート3は、主面31と、主面31の反対側の裏面32と、を有する。ハンドリングプレート3は、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。凹部33は、ハンドリングプレート3の長手方向及び短手方向における略中央に配置されている。凹部33は、直方体状に形成されている。裏面32には、凹部34が形成されている。凹部34は、ハンドリングプレート3における肉抜き部である。
凹部33の底面(第1の面)33sと、凹部34の底面(第2の面)34sとは、ハンドリングプレート3の厚さ方向(主面31に交差する方向)からみて、互いに重複している。底面33sと底面34sとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、底面33sと底面34sとの間には、ハンドリングプレート3の一部分3aが介在している。ハンドリングプレート3は、例えば、樹脂(ポリプロピレン、スチロール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、PET、PMMA、シリコーン、液晶ポリマー等)、セラミック、ガラス、シリコン等の材料によって、成型、切削、エッチング等の手法を用いて一体的に形成されている。
SERS素子2は、基板21と、成形層22と、導電体層23と、を有する。基板21は、主面21aと、主面21aの反対側の裏面21bと、を含む。基板21は、例えば、シリコン又はガラス等によって矩形板状に形成されている。基板21は、例えば、数百μm×数百μm〜数十mm×数十mm程度の外形及び100μm〜2mm程度の厚さを有している。
成形層22は、基板21の主面21a上に形成されている。成形層22は、微細構造部24と、支持部25と、枠部26と、を含む。つまり、SERS素子2は、基板21の主面21a上に設けられた微細構造部24を含む。微細構造部24は、成形層22の中央部における基板21と反対側の表層に形成されている。微細構造部24は、例えば、支持部25を介して基板21の主面21a上に形成されている。ただし、微細構造部24は、基板21の主面21a上に直接形成されていてもよい。
微細構造部24は、全体として、例えば数百μm×数百μm〜数十mm×数十mm程度の矩形状の外形を有している。微細構造部24は、周期的パターンを有する領域である。より具体的には、例えば、微細構造部24には、周期的パターンとして、例えば、数nm〜数百nm程度の太さ及び高さを有する複数のピラーが、基板21の主面21aに沿って、数十nm〜数百nm程度のピッチで周期的に配列されている。
支持部25は、微細構造部24を支持する領域である。支持部25は、基板21の主面21a上に形成されている。支持部25は、例えば、矩形板状を呈している。枠部26は、支持部25を包囲する領域である。したがって、枠部26は、例えば、矩形環状を呈している。枠部26は、基板21の主面21a上に形成されている。なお、微細構造部24は、支持部25上だけでなく、支持部25から枠部26にわたって形成されていてもよい。すなわち、枠部26が支持部25と同一の厚さに形成され、微細構造部24を支持する支持部として構成されてもよい。支持部25及び枠部26は、例えば数十nm〜数十μm程度の厚さを有している。
このような成形層22は、例えば、基板21の主面21a上に配置された樹脂(アクリル系、フッ素系、エポキシ系、シリコーン系、ウレタン系、PET、ポリカーボネート若しくは無機有機ハイブリッド材料等)又は低融点ガラスをナノインプリント法によって成形することで、一体的に形成することができる。
導電体層23は、微細構造部24上及び枠部26上に一体的に形成されている。微細構造部24においては、導電体層23は、基板21の反対側に露出する支持部25の表面に達している。SERS素子2では、微細構造部24の表面上、及び基板21の反対側に露出する支持部25の表面上に形成された導電体層23によって、表面増強ラマン散乱を生じさせる光学機能部10が構成されている(図4参照)。一例として、導電体層23は、数nm〜数μm程度の厚さを有している。このような導電体層23は、例えば、ナノインプリント法によって成形された成形層22に金属(Au、Ag、Al、Cu、又はPt等)等の導電体を気相成長させることによって形成することができる。
ここで、基板21の裏面21b上には、第1の磁石部4が設けられている。すなわち、第1の磁石部4は、SERS素子2に設けられている(SERS素子2に含まれている)。第1の磁石部4は、SERS素子2の底部を構成するように膜状に形成されている。ここでは、第1の磁石部4は、裏面21bの全体にわたって形成されている。第1の磁石部4の材料や性質等については後述する。第1の磁石部4は、例えば、基板21の裏面21b上に後述する各種の材料を堆積させることにより形成することができる。
SERS素子2は、ハンドリングプレート3の凹部33に配置されている。ここでは、ハンドリングプレート3の厚さ方向について、SERS素子2の一部(例えば基板21の一部)が凹部33内に収容され、SERS素子2の残部が凹部33から突出している。また、SERS素子2は、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。
一方、第2の磁石部5は、ハンドリングプレート3の凹部34に配置されている。より具体的には、凹部34の底面34sには、係止突起34aが突設されている。第2の磁石部5は、例えば直方体板状を呈しており、その係止突起34aに嵌め合されて(係止されて)底面34s上に保持(配置)されている。したがって、この第2の磁石部5とSERS素子2とは、ハンドリングプレート3の一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。
第1の磁石部4及び第2の磁石部5は、互いの間に磁力Mを生じさせるものである。ここでは、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間に生じる磁力Mは引力である。したがって、SERSユニット1においては、第1の磁石部4と第2の磁石部5とがハンドリングプレート3の一部分3aを介して互いに引き合うことにより、SERS素子2がハンドリングプレート3の凹部33の底面33sに押さえ付けられるようにしてハンドリングプレート3に固定される。
同様に、第2の磁石部5もハンドリングプレート3の凹部34の底面34sに押さえ付けられる。したがって、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mが十分に強い場合には、係止突起34aがなくても、磁力Mにより第2の磁石部5の自重が支えられ、第2の磁石部5を凹部34の底面34s上に保持することが可能である。このように、SERSユニット1においては、SERS素子2は、第2の磁石部5と離間した状態において(すなわち、第2の磁石部5との間にハンドリングプレート3の一部分3aを介在させた状態において)、磁力Mによってハンドリングプレート3に固定されている。つまり、SERSユニット1においては、SERS素子2は、凹部33への嵌め合い等によってハンドリングプレート3に機械的に固定されているのではない。
したがって、磁力Mが生じてない場合には、SERS素子2はハンドリングプレート3に固定されず、凹部33に対して出し入れが可能となる(すなわち、ハンドリングプレート3からの取外しが可能となる)。なお、磁力Mは、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定するのに必要十分な程度の大きさである。したがって、磁力Mは、後述するようなSERSユニット1を用いたラマン分光分析に影響を及ぼすものではない。
なお、第1の磁石部4及び第2の磁石部5は、その両方が永久磁石により構成される場合もあるし、その一方が永久磁石から構成され他方が一時磁石から構成される場合もある。また、ここでの永久磁石とは、外部から磁場や電流の供給を受けることなく、磁石としての性質を長期にわたって保持する物質からなるものである。また、ここでの一時磁石とは、外部から磁化を受けている間のみ磁石としての性質をもつ物質からなるものである。
ここでは、一例として、第1の磁石部4が一時磁石を含む(例えば一時磁石から構成される)。また、第2の磁石部5が永久磁石を含む(例えば永久磁石から構成される)。第1の磁石部4の一時磁石の一例としては、軟鉄(純鉄)、珪素鋼(FeにSiを加えた合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーメンジュール(Fe−Co合金)、アモルファス磁性合金(Pd−Si−Cu系合金、及び、Zr系合金等)、及び、ナノ結晶磁性合金(Fe−Zr−B−Cu系合金等)等から構成されるものが挙げられる。
第2の磁石部5の永久磁石の一例としては、フェライト磁石、金属磁石、及び、ボンド磁石等が挙げられる。フェライト磁石は、例えば、バリウムフェライト磁石及びストロンチウムフェライト磁石等が挙げられる。
金属磁石は、例えば、合金磁石及び希土類磁石等である。合金磁石は、例えば、Fe−Cr−Co磁石、アルニコ磁石、Fe−Mn系磁石、Mn−Al磁石、Mn−Al−C系磁石、及び、白金磁石等である。希土類磁石は、例えば、サマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石、及び、プラセオジム磁石等である。
ボンド磁石は、例えば、ゴム磁石及びプラスチック磁石等である。ゴム磁石は、例えば、フェライトゴム磁石(ラバーマグネット)、及びネオジウムゴム磁石等である。プラスチック磁石は、例えば、フェライトプラスチック磁石、及びネオジウムプラスチック磁石等である。
以上のように構成されたSERSユニット1によるラマン分光分析方法について説明する。ここでは、図5に示されるように、ラマン分光分析装置50を用いてSERSユニット1によるラマン分光分析方法が実施される。ラマン分光分析装置50は、ステージ51と、光源52と、光学部品53,54と、検出器55と、を備える。ステージ51は、SERSユニット1を支持する。光源52は、励起光を出射する。光学部品53は、励起光を光学機能部10に照射するのに必要なコリメーション、フィルタリング、集光等を行う。光学部品54は、ラマン散乱光を検出器55に誘導するのに必要なコリメーション、フィルタリング等を行う。検出器55は、ラマン散乱光を検出する。
ここでは、まず、SERSユニット1を用意し、溶液試料(或いは、水又はエタノール等の溶液に紛体の試料を分散させたもの(以下同様))をSERS素子2の光学機能部10に滴下することにより、光学機能部10上に溶液試料を配置する。なお、溶液試料を滴下するに際し、予め、試料セルを形成するためにシリコーン等からなるスペーサをハンドリングプレート3の上に配置してもよい。その後に、ステージ51上にハンドリングプレート3を配置して、SERSユニット1をラマン分光分析装置50にセットする。
続いて、光源52から出射された励起光を、光学部品53を介して光学機能部10上の溶液試料に照射することにより、溶液試料を励起させる。このとき、ステージ51は、光学機能部10に励起光の焦点が合うように移動させられている。これにより、光学機能部10と溶液試料との界面で表面増強ラマン散乱が生じ、溶液試料由来のラマン散乱光が例えば108倍程度にまで増強されて放出される。そして、放出されたラマン散乱光を、光学部品54を介して検出器55により検出することにより、ラマン分光分析を行う。
なお、光学機能部10上への試料の配置の方法には、上述した方法の他に、次のような方法がある。例えば、ハンドリングプレート3を把持して、溶液試料に対してSERS素子2を浸漬させて引き上げ、ブローして当該試料を乾燥させてもよい。また、溶液試料を光学機能部10上に微量滴下し、当該試料を自然乾燥させてもよい。また、紛体である試料をそのまま光学機能部10上に分散させてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係るSERSユニット1においては、光学機能部10を有するSERS素子2が、磁力Mによってハンドリングプレート3に固定されている。したがって、例えばSERS素子2を接着剤によりハンドリングプレート3に固定する場合のように、接着剤に含まれる成分によって光学機能部10が劣化することが避けられる。また、例えばSERS素子2を保持部材により機械的にハンドリングプレート3に固定する場合のように、保持部材と光学機能部10との物理的干渉により光学機能部10が劣化することが避けられる。このように、このSERSユニット1によれば、光学機能部10の劣化を抑制可能である。
特に、本実施形態に係るSERSユニット1においては、SERS素子2をハンドリングプレート3に機械的に固定するためにSERS素子2の表面(光学機能部10側の面)に接触する部材を必要としない。このため、SERS素子2の表面の広い範囲(例えば全体)にわたって光学機能部10のための領域を確保することが可能である。したがって、表面増強ラマン散乱光が取得しやすくなる。
また、本実施形態に係るSERSユニット1においては、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定するための磁力Mが引力である。磁力Mを斥力とした場合であっても、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定するための構造を実現し得るが、磁力Mが引力であれば、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定するための構造を単純化することができる。
また、本実施形態に係るSERSユニット1においては、SERS素子2がハンドリングプレート3に設けられた凹部33に配置されている。このため、凹部33の内壁によって、例えばハンドリングプレート3の主面31に沿った方向について、SERS素子2の位置決めが可能である。
また、本実施形態に係るSERSユニット1においては、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによって、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定している。したがって、第1の磁石部4及び第2の磁石部5の材料の選択等によって磁力Mの大きさを調整すれば、SERS素子2とハンドリングプレート3との固定強度を制御することができる。
さらに、本実施形態に係るSERSユニット1においては、SERS素子2が第1の磁石部4を含み、第2の磁石部5と離間した状態において磁力Mによりハンドリングプレート3に固定されている。このため、例えば、第2の磁石部5をハンドリングプレート3に埋設してSERS素子2に接触させる場合と比較して、ハンドリングプレート3の成形の自由度が高い。
なお、本実施形態に係るSERSユニット1によれば、接着剤や保持部材によってSERS素子2を固定する場合と比較して、ハンドリングプレート3に対するSERS素子2の脱着が容易である。また、SERS素子2をハンドリングプレート3に固定する工程が簡略化されるため、SERSユニット1の組立時におけるSERS素子2の破損リスクが低減する。
引き続いて、本実施形態に係るSERSユニット1の変形例について説明する。図6は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す断面図である。図6の(a)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Aは、SERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Aを備える点、及び、第2の磁石部5に代えて第2の磁石部5Aを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Aは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。また、第2の磁石部5Aは、第2の磁石部5と同様の材料により形成される。
ハンドリングプレート3Aは、主面31と裏面(第2の面)32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。凹部33の底面(第1の面)33sと裏面32とは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、底面33sと裏面32との間には、ハンドリングプレート3の一部分3aが介在している。SERS素子2は、凹部33に配置されている。一例として、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面(第1の面)33sに接触するように底面33s上に配置されている。
第2の磁石部5Aは、長方形板状を呈している。第2の磁石部5Aは、ハンドリングプレート3Aの裏面32上に配置されている。第2の磁石部5Aは、裏面32の外縁を除いた裏面32の略全体にわたって延在している。裏面32の外縁には、係止突起34aが突設されている。第2の磁石部5Aは、その係止突起34aに嵌め合されて(係止されて)裏面32上に保持されている。
したがって、SERSユニット1Aにおいても、SERS素子2と第2の磁石部5Aとは、ハンドリングプレート3Aの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。すなわち、SERSユニット1Aにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Aと離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Aとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Aに固定されている。
このようなSERSユニット1Aによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Aにおいては、第2の磁石部5Aが、ハンドリングプレート3Aの裏面32の略全体にわたって延在し、係止突起34aによりハンドリングプレート3Aに嵌め合わされている。このため、ハンドリングプレート3Aの反り等の変形が矯正される結果、ラマン散乱を安定して検出することが可能となる。
図6の(b)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Bは、SERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Bを備える点、及び、第2の磁石部5に代えて第2の磁石部5Aを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Bは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。
ハンドリングプレート3Bは、主面31と裏面(第2の面)32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。主面31には、裏面32から主面31に向かう方向に拡大するテーパ状の凹部35が形成されている。凹部33は、その凹部35の底面に形成されている。凹部33及び凹部35は、互いに連続しており、単一の凹部40を構成している。凹部40は、ハンドリングプレート3Bの長手方向及び短手方向における略中央に配置されている。
SERS素子2は、凹部40内に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面(第1の面)33sに接触するように底面33s上に配置され、凹部40内に収容されている。ここでは、SERS素子2の全体が凹部40内に収容されている。特に、ハンドリングプレート3Bの厚さ方向(主面31に交差する方向)について、凹部40の寸法(深さ)は、SERS素子2の寸法(厚さ)よりも大きい。したがって、SERS素子2の光学機能部10が、主面31よりも凹部40の内側に配置される。また、SERS素子2の光学機能部10上には、凹部40の内面によって規定される空間S1が設けられる。
一方、第2の磁石部5Aは、ハンドリングプレート3Bの裏面32上に配置されている。第2の磁石部5Aは、裏面32の外縁を除いた裏面32の略全体にわたって延在している。裏面32の外縁には、係止突起34aが突設されている。第2の磁石部5Aは、その係止突起34aに嵌め合されて(係止されて)裏面32上に保持されている。
したがって、SERSユニット1Bにおいても、SERS素子2と第2の磁石部5Aとは、ハンドリングプレート3Bの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。すなわち、SERSユニット1Bにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Aと離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Aとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Bに固定されている。
このようなSERSユニット1Bによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Bにおいては、第2の磁石部5Aが、ハンドリングプレート3Bの裏面32の略全体にわたって延在し、係止突起34aによりハンドリングプレート3Aに嵌め合わされている。このため、ハンドリングプレート3Bの反り等の変形が矯正される結果、ラマン散乱を安定して検出することが可能となる。
また、SERSユニット1Bにおいては、SERS素子2の光学機能部10が、ハンドリングプレート3Bの主面31よりも凹部40の内側に配置されている。このため、光学機能部10への接触や光学機能部10の汚染のリスクが低減される。また、光学機能部10上には、凹部40の内面によって規定される空間S1が設けられている。このため、このSERSユニット1Bを用いたラマン分光分析の際には、凹部40を溶液試料のセル(チャンバ)として利用することができる。さらに、凹部40がテーパ状であるので、凹部40の内面での反射による迷光の発生が抑制される。
図7は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す断面図である。図7に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Cは、SERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Cを備える点、及び、第2の磁石部5に代えて第2の磁石部5Cを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Cは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。また、第2の磁石部5Cは、第2の磁石部5と同様の材料により形成される。
ハンドリングプレート3Cは、主面31と裏面32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部36が形成されている。また、裏面32には、凹部37が形成されている。凹部36及び凹部37は、ハンドリングプレート3の長手方向及び短手方向における略中央に配置されている。凹部36及び凹部37は、直方体状に形成されている。また、凹部36及び凹部37は、ハンドリングプレート3Cの厚さ方向(主面31に交差する方向)からみて、互いに重複している。
凹部36の底面(第2の面)36sと凹部37の底面(第1の面)37sとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、底面36sと底面37sとの間には、ハンドリングプレート3Cの一部分3aが介在している。この一部分3aには、底面36sと底面37sとを互いに連通する連通孔38が形成されている。したがって、凹部36と凹部37とは、その連通孔38を介して互いに連通している。
SERS素子2は、凹部37に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、SERS素子2の表面(光学機能部10側の表面)2aの外縁が凹部37の底面37sに接触するように底面37s上に配置されている。ここでは、一例として、ハンドリングプレート3Cの厚さ方向について、凹部37の寸法(深さ)は、SERS素子2の寸法(厚さ)と略同一である。したがって、SERS素子2の全体が凹部37に収容されつつ、SERS素子2の裏面(基板21の裏面21b側の面)2bが裏面32と略面一となる。
一方、第2の磁石部5Cは、凹部36に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5Cは、その裏面5bが凹部36の底面36sに接触するように、底面36s上に配置されている。ここでは、一例として、ハンドリングプレート3Cの厚さ方向について、凹部36の寸法(深さ)と第2の磁石部5Cの寸法(厚さ)とは、略同一である。したがって、第2の磁石部5Cの全体が凹部36に収容されつつ、第2の磁石部5Cの表面5aが主面31と略面一となる。
このように、SERSユニット1Cにおいても、SERS素子2と第2の磁石部5Cとは、ハンドリングプレート3Cの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。すなわち、SERSユニット1Cにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Cと離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Cとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Cに固定されている。
ここで、第2の磁石部5Cには、SERS素子2の光学機能部10が連通孔38を介してハンドリングプレート3Cの主面31側に露出するように、孔部5hが設けられている。一例として、第2の磁石部5Cは、孔部5hによって環状とされている。したがって、SERS素子2の光学機能部10上には、第2の磁石部5Cの孔部5hの内面(第2の磁石部5Cの内側面)5sによって規定される空間S2が設けられている。
このようなSERSユニット1Cによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Cにおいては、SERS素子2の光学機能部10が、第2の磁石部5Cの孔部5hを介してハンドリングプレート3Cの主面31側に露出している。このため、SERS素子2の光学機能部10への接触や光学機能部10の汚染のリスクが低減される。
また、SERS素子2の光学機能部10上には、孔部5hの内面5sによって規定される空間S2が設けられている。このため、このSERSユニット1Cを用いたラマン分光分析の際には、孔部5h(すなわち第2の磁石部5C)を溶液試料のセル(チャンバ)として利用することができる。さらに、SERSユニット1Cにおいては、第2の磁石部5Cの全体が主面31の凹部36に収容されており、SERS素子2の全体が裏面32の凹部37に収容されている。このため、ハンドリングプレート3の全体を薄化することが可能である。
ここで、このSERSユニット1Cにおいて、SERS素子2の表面2aの広い範囲にわたって光学機能部10のための領域を確保可能であるという効果が得られることについて説明する。SERSユニット1Cにおいては、SERS素子2の表面2aの外縁がハンドリングプレート3の一部分3a(凹部37の底面37s)に接触することとなる。このため、SERS素子2の表面2aのうちの一部分3aに接触する領域については、光学機能部10として機能させることが困難である。
しかしながら、例えばSERS素子2の表面を押圧する保持部材等によってSERS素子2を機械的にハンドリングプレート3に固定する場合には、SERS素子2をハンドリングプレート3に向けて十分に押圧するために、SERS素子2の表面2aのうち比較的広い領域を保持部材で押さえつける必要がある。すなわち、その場合には、SERS素子2の表面2aの比較的広い領域が保持部材に接触し、光学機能部10として機能させられない。
これに対して、このSERSユニット1Cにおいては、磁力MによるSERS素子2の移動を規制する程度の比較的狭い領域において一部分3aが表面2aに接触していればよい。このため、SERS素子2を保持部材により機械的に固定する場合と比較して、SERS素子2の表面2aの比較的広い領域を露出させて光学機能部10として機能させることが可能である。よって、このSERSユニット1Cによれば、SERS素子2の表面2aの広い範囲にわたって光学機能部10のための領域を確保可能である。
図8は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図8に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Dは、SERSユニット1と比較すると、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Dを備える点、及び、一対の第3の磁石部6さらに備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Dは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。また、第3の磁石部6は、第1の磁石部4又は第2の磁石部5と同様の材料から形成される。
ハンドリングプレート3Dは、主面31と主面31の反対側の裏面32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33と凹部35とによって凹部40が形成されている。一方、裏面32には、複数の凹部が形成されている。より具体的には、裏面32には、凹部41、凹部42、及び、凹部43が形成されている。凹部41〜43は、直方体状に形成されている。凹部41は、ハンドリングプレート3Dの長手方向及び短手方向における略中央に配置されている。
したがって、ハンドリングプレート3Dの厚さ方向(主面31に交差する方向)からみて、凹部41の底面(第2の面)41sと凹部33の底面(第1の面)33sとは、互いに重複している。また、底面33sと底面41sとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、底面33sと底面41sとの間には、ハンドリングプレート3Dの一部分3aが介在している。凹部41の開口部には、係止爪41aが設けられている。凹部42及び凹部43は、それぞれ、ハンドリングプレート3Dの長手方向の端部に形成されている。凹部42の開口部、及び凹部43の開口部には、それぞれ、係止爪42a及び係止爪43aが設けられている。
SERS素子2は、SERSユニット1Bの場合と同様に、凹部40内に配置されている。つまり、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置され、凹部40内に収容されている。一方、第2の磁石部5は、凹部41に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5は、凹部41に挿入された状態において係止爪41aにより係止され、凹部41の底面41s上に保持(配置)されている。
したがって、第2の磁石部5とSERS素子2とは、ハンドリングプレート3Dの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。すなわち、SERSユニット1Dにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5と離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによってハンドリングプレート3Dに固定されている。
第3の磁石部6の一方は、凹部42に配置されている。より具体的には、第3の磁石部6の一方は、凹部42に挿入された状態において係止爪42aにより係止され、凹部42の底面42s上に保持(配置)されている。第3の磁石部6の他方は、凹部43に配置されている。より具体的には、第3の磁石部6の他方は、凹部43に挿入された状態において係止爪43aにより係止され、凹部43の底面43s上に保持(配置)されている。
このSERSユニット1Dによれば、SERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Dによれば、SERSユニット1Bと同様の理由から、SERS素子2の光学機能部10への接触や光学機能部10の汚染のリスクが低減される。また、このSERSユニット1Dを用いたラマン分光分析の際には、凹部40を溶液試料のセル(チャンバ)として利用することができる。また、凹部40がテーパ状であるので、凹部40の内面での反射による迷光の発生が抑制される。
さらに、SERSユニット1Dにおいては、ハンドリングプレート3Dの長手方向の両端部の凹部42及び凹部43に第3の磁石部6が配置されている。このため、例えば、上述したラマン分光分析装置50といった測定装置Dに対して、第3の磁石部6に対応する位置に電磁石Eを設ければ、電磁石Eと第3の磁石部6との間の磁力MDによって、測定装置DとSERSユニット1Dとを互いに引き付けることができる。これにより、例えば電磁石Eが主面31に接触するまで測定装置DとSERSユニット1Dとが近づいたときに、測定装置Dの光学系の焦点位置PがSERS素子2の光学機能部10に一致するように、自動的にアライメントを行うことが可能となる。
また、ハンドリングプレート3Dの厚さ方向(主面31に交差する方向)からみた場合の第3の磁石部6のサイズを適切に設定すれば(例えば、第3の磁石部6の断面のサイズを電磁石Eの断面のサイズと同程度に設定すれば)、第3の磁石部6と電磁石Eとの間の磁力MDによって、ハンドリングプレート3Dの主面31に沿った方向におけるSERSユニット1Dの配置のアライメントも適切に行うことが可能である。また、ハンドリングプレート3Dの主面31の適切な位置に電磁石Eのガイド溝を設ければ、ハンドリングプレート3Dの主面31に沿った方向におけるSERSユニット1Dの配置を確実にアライメントすることが可能である。
以下では、第2の磁石部の移動に応じて、SERS素子2が配置される面に沿ってSERS素子2が可動とされている例について説明する。
図9は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図9に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Eは、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Eを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Eは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。
ハンドリングプレート3Eは、主面31と裏面32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部44が形成されている。凹部44は、直方体状に形成されている。凹部44の底面(第1の面)44sは、ハンドリングプレート3Eの長手方向に配列された2つの機能エリアA1,A2を含む。底面44sは、機能エリアA1において、主面31側に露出している。一方、底面44sは、機能エリアA2において、ハンドリングプレート3Eの主面31に沿って延びる薄板状の延在部3bによって覆われている。
他方、裏面32には、凹部45が形成されている。凹部45は、直方体状に形成されている。凹部45は、ここでは、ハンドリングプレート3Eの厚さ方向(主面31に交差する方向)からみて、凹部44と略同位置において同程度の大きさで形成されている。したがって、ハンドリングプレート3Eの厚さ方向からみて、凹部44の底面44sと凹部45の底面(第2の面)45sとは、互いに重複している。また、底面44sと底面45sとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。このため、底面44sと底面45sとの間には、ハンドリングプレート3Eの一部分3aが介在している。
SERS素子2は、凹部44に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部44の底面44sに接触するように、底面44s上に配置されている。SERS素子2は、その全体が凹部44内に収容されている。ハンドリングプレート3Eの厚さ方向について、凹部44の寸法(深さ)はSERS素子2の寸法(厚さ)よりも大きい。したがって、SERS素子2の光学機能部10は、主面31よりも凹部44の内側に配置される。一方、第2の磁石部5は、凹部45に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5は、凹部45の底面45sに接触するように底面45s上に配置されている。第2の磁石部5は、一例として、その全体が凹部45内に収容されている。
このように、SERSユニット1Eにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5と離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによってハンドリングプレート3Eに固定されている。また、凹部45の底面45s上に沿って第2の磁石部5を移動させることにより、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力MによりSERS素子2を第2の磁石部5に追従させ、凹部44の底面44sに沿ってSERS素子2を移動させることができる。
このようなSERSユニット1Eによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Eにおいては、SERS素子2の光学機能部10が、ハンドリングプレート3Eの主面31よりも凹部44の内側に配置されている。このため、SERS素子2の光学機能部10への接触や光学機能部10の汚染のリスクが低減される。
また、SERSユニット1Eにおいては、凹部45の底面45sに沿った第2の磁石部5の移動に応じて凹部44の底面44sに沿ってSERS素子2が可動とされている。したがって、SERSユニット1Eによれば、SERS素子2を所望の位置に容易に配置させることが可能となる。
特に、凹部44の底面44sは、2つの機能エリアA1,A2を含む。このため、凹部45の底面45s上において第2の磁石部5をスライドさせることにより、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力MによってSERS素子2を底面44s上において第2の磁石部5に追従してスライドさせれば、SERS素子2の配置を機能エリアA1及び機能エリアA2の間で変更することができる。底面44sは、機能エリアA1において主面31側に露出しており、機能エリアA2においてハンドリングプレート3Eの延在部3bにより覆われている。
したがって、例えば、ラマン分光分析等の測定を行う場合にのみ、第2の磁石部5のスライドによってSERS素子2を機能エリアA1上に位置させ、光学機能部10を主面31側に露出させるようし、それ以外の場合にはSERS素子2を機能エリアA2上に位置させて光学機能部10を延在部3bによりカバーしておくようにすることができる。このため、SERSユニット1Eよれば、必要時のみ光学機能部10を露出させることにより、光学機能部10への接触や光学機能部10の汚染のリスクを最小限に抑えることが可能となる。
機能エリアA1は、上述したように、光学機能部10を主面31側に露出させてSERS素子2を用いた測定を可能とする機能を有する測定用エリアである。また、機能エリアA2は、上述したように、光学機能部10を延在部3bにより保護した状態でSERS素子2を保管する機能を有する保管用エリアである。
なお、SERSユニット1Eは、凹部45の底面45s上において第2の磁石部5をスライドさせたときに、第2の磁石部5との間の磁力によって第2の磁石部5に追従して凹部44の底面44s上でスライドするスライドトレイ(不図示)を備えていてもよい。スライドトレイは、第2の磁石部5との間に磁力を生じさせるように、一時磁石又は永久磁石を含む(或いは、一時磁石又は永久磁石から構成される)。この場合、SERS素子2は、スライドトレイに載置されていれば、上述した効果を奏することが可能である。
また、SERS素子2がスライドトレイに固定されていれば、SERS素子2が第1の磁石部4を含まなくてもよい。ただし、SERS素子2が第1の磁石部4を含んでいれば、磁力によってSERS素子2をスライドトレイに固定することができる。その場合には、SERS素子2は、スライドトレイ及び第2の磁石部5を介して、磁力によりハンドリングプレート3Eに固定される。
図10は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な図である。図10の(a)は模式的な断面図であり、図10の(b)は模式的な平面図である。図10に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Fは、SERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Fを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Fは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により作成される。
ハンドリングプレート3Fは、長尺板状に形成されている。ハンドリングプレート3Fは、内側部分7と外側部分8とを有する。内側部分7は、ハンドリングプレート3Fの長手方向に沿って延在している。内側部分7は、ハンドリングプレート3Fの長手方向に沿って起伏する板状を呈している。外側部分8は、内側部分7を囲うように内側部分7の縁部に沿って環状に立設されている。外側部分8は、ハンドリングプレート3の外壁部を構成する。内側部分7と外側部分8とは互いに一体に形成されている。
内側部分7は、主面(第1の面)71と、主面71の反対側の裏面(第2の面)72と、を含む。主面71と裏面72とは、互いに略平行に延在している。したがって、主面71の起伏と裏面72の起伏とは、互いに相補的な関係にある。SERS素子2は、主面71上に配置されており、第2の磁石部5は裏面72上に配置されている。したがって、SERSユニット1Fにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5と離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによってハンドリングプレート3Fに固定されている。
また、裏面72上に沿って第2の磁石部5を移動させることにより、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力MによりSERS素子2を第2の磁石部5に追従させ、主面71に沿ってSERS素子2を移動させることができる。
主面71には、ハンドリングプレート3Fの長手方向に配列された凹部73、凹部74、及び平坦部75が設けられている。凹部73には、例えば溶液試料Sが貯留されている。凹部74には、例えばリンス液Rが貯留されている。SERSユニット1Fにおいては、例えば、まず、凹部73の底面上にSERS素子2を配置し、その反対側の裏面72に第2の磁石部5を配置する。これにより、SERS素子2が凹部73において磁力Mによりハンドリングプレート3Fに固定されると共に、凹部73に貯留された溶液試料Sに浸漬され、光学機能部10に溶液試料が配置される。
その状態において、裏面72上において第2の磁石部5をスライドさせることにより、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力MによってSERS素子2を主面71上において第2の磁石部5に追従してスライドさせ、SERS素子2を凹部74に導入する。これにより、SERS素子2が凹部74に貯留されたリンス液Rに浸漬される。SERS素子2がリンス液Rに浸漬されることにより、光学機能部10に配置された溶液試料のうち、測定対象(分析対象)の分子のみが光学機能部10に残存する。
その後、裏面72上において第2の磁石部5をさらにスライドさせることにより、SERS素子2を主面71上において第2の磁石部5に追従してさらにスライドさせ、SERS素子2を平坦部75に位置させる。平坦部75に配置されたSERS素子2は、例えばラマン分光分析装置50といった測定装置による測定に供される。
このように、SERSユニット1Fにおいては、主面71に対して、ハンドリングプレート3Fの長手方向に配列された凹部73、凹部74、及び平坦部75が設けられている。そして、凹部73は、主面71における機能エリアA3であって、光学機能部10に溶液試料を配置するためにSERS素子2を溶液試料Sに浸漬する機能を有する浸漬エリアである。また、凹部74は、主面71における機能エリアA4であって、光学機能部10に配置された溶液試料のうち測定対象(分析対象)の分子のみを光学機能部10に残存させる機能を有するリンスエリアである。さらに、平坦部75は、主面71における機能エリアA5であって、SERS素子2を用いた測定(例えばラマン分光分析)を行う機能を有する測定エリアである。
このようなSERSユニット1Fによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Fにおいては、裏面72に沿った第2の磁石部5の移動に応じて主面71に沿ってSERS素子2が可動とされている。したがって、SERSユニット1Fによれば、SERS素子2を所望の位置に容易に配置させることが可能となる。
特に、SERSユニット1Fにおいては、主面71は、3つの機能エリアA3〜A5を含む。このため、裏面72上において第2の磁石部5をスライドさせることにより、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力MによってSERS素子2を主面71上において第2の磁石部5に追従してスライドさせれば、SERS素子2の配置を機能エリアA3〜A5の間で変更することができる。
特に、ここでは、機能エリアA3が光学機能部10に溶液試料を配置するための浸漬エリアであり、機能エリアA4が測定対象(分析対象)の分子のみを光学機能部10に残存させるリンスエリアであり、機能エリアA5がSERS素子2を用いた測定を行う測定エリアである。したがって、裏面72上での第2の磁石部5のスライドに追従して主面71上でSERS素子2をスライドさせれば、光学機能部10への試料の配置から測定に至る一連の工程を単一のSERSユニット1F内において実現可能である。
なお、ここでは、主面71と裏面72とが互いに略平行であり、裏面72が主面71の起伏に追従して起伏している形態について説明した。しかしながら、主面71が上記のような起伏を有すると共に、裏面72がその起伏に追従せずに平坦であってもよい。この場合、裏面72における第2の磁石部5の移動をスムーズに行うことが可能となる。
以上のように、SERSユニット1E,1Fにおいては、ハンドリングプレート3E,3FにおけるSERS素子2が配置される面(第1の面)が、それぞれ特定の機能を有する複数の機能エリアを含む。そして、ハンドリングプレート3E,3FにおけるSERS素子2が配置される面と反対側の面(第2の面)に沿った第2の磁石部5の移動に伴って、SERS素子2が各機能エリア間を可動とされている。機能エリアが有する特定の機能は、上述した機能に限らず、例えば光学機能部10に配置された溶液試料を乾燥させるためにSERS素子2を保持する機能等の任意の機能とすることが可能である。また、SERS素子2に施す処理の数に応じて、任意の数の機能エリアを設定することが可能である。
図11は、図2に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図11の(a)に示されるSERSユニット(表面増強ラマンユニット)1Gは、SERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Gを備える点、第2の磁石部5に代えて一対の第2の磁石部5Gを備える点、及び、相補ユニット9をさらに備える点において、SERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Gは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。第2の磁石部5Gは、第2の磁石部5と同様の材料から形成される。
ハンドリングプレート3Gは、主面31と裏面32を有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部46が形成されている。凹部46は、底面46sと内側面(第1の面)46aとを含む。凹部46は、直方体状に形成されている。また、主面31と裏面32との間には、主面31から裏面32に至る空間S3が形成されている。空間S3は、主面31に沿って凹部46を挟むように、凹部46の両側に形成されている。
空間S3の凹部46側の外縁は、内側面(第2の面)S3aにより規定されている。内側面S3aは、凹部46の内側面46aの反対側の面(ハンドリングプレート3Gの一部を介して向かい合う面)である。内側面46aと内側面S3aとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、内側面46aと内側面S3aとの間には、ハンドリングプレート3Gの一部分3aが介在している。
SERS素子2は、凹部46に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、光学機能部10が凹部46の開口部から主面31側に露出するように、凹部46内に収容されている。SERS素子2は、凹部46の底面46s上、及び凹部46の内側面46a上に(内側面46aに沿って)配置されている。ハンドリングプレート3Gの厚さ方向(主面31に交差する方向)について、凹部46の寸法(深さ)はSERS素子2の寸法(厚さ)よりも大きい。したがって、SERS素子2の全体を凹部46の内部に収容可能である。
第2の磁石部5の断面形状は、三角形状である。第2の磁石部5Gは、それぞれ、空間S3に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5Gは、空間S3の内部に収容されており、内側面S3a上に配置されている。したがって、SERS素子2と第2の磁石部5Gとは、ハンドリングプレート3Gの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。したがって、SERSユニット1Gにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Gと離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Gとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Gに固定されている。
ここで、相補ユニット9は、空間S3のそれぞれに2つずつ配置されている。相補ユニット9の断面形状はL字状である。ひとつの空間S3に着目すると、相補ユニット9は、互いに逆向きとされた状態において、空間S3内に突出する仕切り板3cの両側にそれぞれ配置されている。相補ユニット9の一端9aは、第2の磁石部5Gの傾斜面に接触しており、相補ユニット9の他端9bは、空間S3から突出して可動元Uに保持されている。
したがって、例えば、裏面32側に配置された可動元Uが裏面32に沿って凹部46側に移動し、主面31側に配置された可動元Uが主面31に沿って凹部46と反対側に移動すると、可動元Uに保持された相補ユニット9のそれぞれが対応して移動する。これにより、相補ユニット9の一端9aに接触している第2の磁石部5Gが、裏面32から主面31に向かう方向(内側面S3aに沿った方向)に移動させられる。その結果、第2の磁石部5Gの移動に追従して、SERS素子2が凹部46の内側面46aに沿って移動する。つまり、ここでも、内側面S3aに沿った第2の磁石部5Gの移動に応じて、内側面46aに沿ってSERS素子2が可動とされている。なお、第2の磁石部5Gの厚さ(裏面32から主面31に向かう方向における寸法)は、SERS素子2の厚さと同等以下であることが好ましい。これは、第2の磁石部5Gの厚さをSERS素子2の厚さと同等以下とした場合には、空間S3内において第2の磁石部5Gの厚さ方向の可動範囲を大きくとることでき、結果としてSERS素子2の可動範囲を大きくすることが可能となるためである。また、SERS素子2の可動範囲は、SERS素子2の底面が凹部46の底面46sに接触するまでSERS素子2が移動可能となるように設定することが好ましい。この場合、SERS素子2の底面を凹部46の底面46sに接触させることにより、ハンドリングプレート3Gに対するSERS素子2の傾きを矯正することができる。
このようなSERSユニット1Gによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Gにおいては、内側面S3aに沿った第2の磁石部5Gの移動に応じて、内側面46aに沿ってSERS素子2が可動とされている。したがって、SERSユニット1Gによれば、SERS素子2を所望の位置に容易に配置させることが可能となる。
特に、SERSユニット1Gによれば、相補ユニット9の駆動によって第2の磁石部5Gを移動させることにより、SERS素子2の光学機能部10の位置を凹部46の深さ方向(主面31に交差する方向)に沿って変更することができる。つまり、このSERSユニット1Gによれば、上述したラマン分光分析装置50といった測定装置の光学系の焦点とSERS素子2の光学機能部10とのアライメントを、ハンドリングプレート3G側において行うことが可能となる。
その結果、ラマン分光分析装置50といった測定装置を含む測定システムの全体をコンパクト化することが可能となる。特に、このSERSユニット1Gによれば、例えば相補ユニット9の形状等の調整によって、可動元Uの位置や、可動元Uに与える力の方向の自由度を向上させることができる。
図11の(b)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Hは、SERSユニット1と比較すると、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Hを備える点、及び、一対の第2の磁石部5を備える点でハンドリングプレート3と相違している。ハンドリングプレート3Hは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。
ハンドリングプレート3Hは、主面31と裏面32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部46が形成されている。凹部46は、底面46sと内側面(第1の面)46aとを含む。また、主面31と裏面32との間には、空間S4が形成されている。空間S4は、直方体状に形成されている。空間S4は、主面31に沿って凹部46を挟むように、凹部46の両側に形成されている。空間S4の凹部46側の縁部は、内側面(第2の面)S4aにより規定されている。内側面S4aは、凹部46の内側面46aの反対側の面(ハンドリングプレート3Hの一部を介して向かい合う面)である。
内側面46aと内側面S4aとは、互いに離間した状態において略平行に延在している。したがって、内側面46aと内側面S4aとの間には、ハンドリングプレート3Hの一部分3aが介在している。主面31には、空間S4に連通する連通孔31hが形成されている。また、裏面32には、空間S4に連通する連通孔32hが形成されている。したがって、空間S4は、これらの連通孔31h及び連通孔32hにおいて、主面31及び裏面32に開口している。
SERS素子2は、凹部46に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、光学機能部10が凹部46の開口部から主面31側に露出するように、凹部46内に収容されている。SERS素子2は、凹部46の底面46s上、及び凹部46の内側面46a上に配置されている。ハンドリングプレート3Hの厚さ方向(主面31に交差する方向)について、凹部46の寸法(深さ)はSERS素子2の寸法(厚さ)よりも大きい。したがって、SERS素子2の全体を凹部46の内部に収容可能である。
第2の磁石部5は、それぞれ、空間S4に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5は、空間S4の内部に収容されており、空間S4の内側面S4a上に配置されている。したがって、SERS素子2と第2の磁石部5とは、ハンドリングプレート3Hの一部分3aを介在させた状態で互いに近接して対向している。このように、SERSユニット1Hにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5と離間した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによってハンドリングプレート3Hに固定されている。
ここで、それぞれの空間S4に配置された第2の磁石部5は、連通孔31hを介して主面31側から空間S4に挿入された可動元Uと、連通孔32hを介して裏面32側から空間S4に挿入された可動元Uとによって挟持されている。したがって、第2の磁石部5は、それぞれ、例えば可動元Uが裏面32から主面31に向かう方向(内側面S4aに沿った方向)に移動すると、第2の磁石部5も同方向に移動する。つまり、第2の磁石部5の移動に追従して、SERS素子2が内側面46aに沿って移動する。
このようなSERSユニット1Hによれば、上述したSERSユニット1と同様の効果に加えて、次の効果をさらに奏することができる。すなわち、SERSユニット1Hにおいては、内側面S4aに沿った第2の磁石部5の移動に応じて、内側面46aに沿ってSERS素子2が可動とされている。したがって、SERSユニット1Hによれば、SERS素子2を所望の位置に容易に配置させることが可能となる。
特に、SERSユニット1Hにおいては、可動元Uの駆動によって第2の磁石部5を移動させることにより、第2の磁石部5の移動に追従してSERS素子2を内側面46aに沿って移動させ、光学機能部10の位置を凹部46の深さ方向(主面31に交差する方向)に沿って変更することができる。つまり、このSERSユニット1Hによれば、上述したラマン分光分析装置50といった測定装置の光学系の焦点とSERS素子2の光学機能部10とのアライメントを、ハンドリングプレート3H内に配置された第2の磁石部5を用いて行うことが可能となる。
その結果、ラマン分光分析装置50といった測定装置を含む測定システムの全体をコンパクト化することが可能となる。特に、このSERSユニット1Hによれば、SERS素子2を可動制御のための構成が単純化される。
図12に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Kは、例えば、平板状のハンドリングプレート(支持部材)3Kと、ハンドリングプレート3Kの主面(第1の面)31上に配置されたSERS素子2と、ハンドリングプレート3Kの裏面(第2の面)32上に配置された第2の磁石部5と、を備えている。SERSユニット1Kにおいては、第2の磁石部5の裏面32に沿った二次元的な移動に応じて、SERS素子2が主面31に沿って二次元的に可動とされている。
また、光学機能部10には、(微細構造部24のパターンに応じて)複数のパターンPTが設けられている。パターンPTは、ここでは、主面31に沿って二次元状に配列されている。このような場合には、目的のパターンPTに対して選択的に励起光を照射するために、励起光の照射位置に目的のパターンPTを配置する必要がある。
そのためには、例えば、ラマン分光分析装置50において、SERSユニットが載置されたステージ51の移動によりSERSユニットの全体を移動させることが考えられる。しかしながら、この場合には、移動させる部分が、SERSユニットの全体とステージ51との広範囲にわたる。これに対して、SERSユニット1Kにおいては、第2の磁石部5を移動させることによってSERS素子2を主面31に沿って移動させればよい。つまり、移動させる部分がSERS素子2と第2の磁石部5とに限定される。その結果、ラマン分光分析装置50といった測定装置のコンパクト化が可能である。
したがって、測定分子に応じて最適なパターンPTを選択可能なSERS素子2と、コンパクトな測定装置とを組み合わせた測定システムを構築することが可能となる。換言すれば、測定分子に応じた高感度・高精度な表面増強ラマン測定を、コンパクトなシステムにて実現できる。
以上の図9〜図12に示されたSERSユニットにおいては、SERS素子は、磁力によりハンドリングプレートに保持されながらハンドリングプレートに沿って移動可能である。したがって、SERS素子が磁力によりハンドリングプレートに固定されるとは、少なくとも、SERS素子が磁力によりハンドリングプレートの特定の箇所に維持される場合と、SERS素子が磁力によりハンドリングプレートの特定の箇所に一旦保持された後に、ハンドリングプレートから離脱することなく移動させられる場合と、を含む。
[第2実施形態]
以上の第1実施形態は、SERS素子が第2の磁石部と離間した状態においてハンドリングプレートに磁力により固定される形態について説明した。本実施形態においては、SERS素子が第2の磁石部と接触した状態においてハンドリングプレートに磁力により固定される形態について説明する。
図13は、第2実施形態に係る表面増強ラマン散乱ユニットの断面図である。図13に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Mは、第1実施形態の変形例に係るSERSユニット1Bと比較して、ハンドリングプレート3Bに代えてハンドリングプレート(支持部材)3Mを備える点でSERSユニット1Bと相違している。ハンドリングプレート3Mは、ハンドリングプレート3Bと同様の材料及び手法により形成される。
ハンドリングプレート3Mは、主面31と裏面32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。より具体的には、主面31には、凹部35が形成されており、凹部33は、その凹部35の底面に形成されている。凹部33及び凹部35は、互いに連続しており、単一の凹部40を構成している。凹部40は、ハンドリングプレート3Mの長手方向及び短手方向における略中央に配置されている。ここで、凹部33の底面33sは、第2の磁石部5Aの表面5Asによって構成されている。
すなわち、第2の磁石部5Aは、ハンドリングプレート3Mに埋設されており、その主面31側の表面5Asの一部が凹部33の底面33sとして主面31側に露出している。第2の磁石部5Aは、ハンドリングプレート3Mの長手方向に沿ってハンドリングプレート3Mの外縁を除く略全体にわたって延在している。第2の磁石部5Aは、裏面32側には露出していない。
SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33s(すなわち、第2の磁石部5Aの表面5As)に接触するように凹部40内に収容されている。したがって、SERSユニット1Mにおいては、SERS素子2は、第2の磁石部5Aに接触した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5との間の磁力Mによりハンドリングプレート3Mに固定されている。
このようなSERSユニット1Mによれば、ハンドリングプレートの成形の自由度の向上に関する効果を除いて、第1実施形態の変形例に係るSERSユニット1Bと同様の効果を奏することができる。さらに、SERSユニット1Mによれば、第1実施形態の変形例に係るSERSユニット1Bと比較して、第1の磁石部4と第2の磁石部5とが近接する(ここでは接触している)ので、固定強度が高い。また、ハンドリングプレート3Mに第2の磁石部5Aが埋設されているので、SERSユニット1Mの全体のコンパクト化を図ることが可能である。さらに、第2の磁石部5Aの大部分がハンドリングプレート3Mに覆われているので、第2の磁石部5Aが錆びることが抑制される。
引き続いて、本実施形態に係るSERSユニット1Mの変形例について説明する。図14は、図13に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図14の(a)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Nは、SERS素子2と、ハンドリングプレート(支持部材)3Nと、第1の磁石部4(不図示)と、第2の磁石部5Nと、を備えている。
ハンドリングプレート3Nは、主面31と裏面32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。ハンドリングプレート3Nは、永久磁石(又は一時磁石)を含む。或いは、ハンドリングプレート3Nは、永久磁石(又は一時磁石)から構成される。したがって、ハンドリングプレート3Nは、SERS素子2の支持部材としての機能に加えて、第2の磁石部5としての機能を有する。換言すれば、ハンドリングプレート3Nは第2の磁石部5Nとして構成されている。第2の磁石部5Nは、第2の磁石部5と同様の材料から構成される。
SERS素子2は、このようなハンドリングプレート3N(第2の磁石部5N)の主面31の凹部33に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。したがって、SERSユニット1Nにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Nに接触した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Nとの間の磁力Mによりハンドリングプレート3Nに固定されている。
なお、一例として、ハンドリングプレート3Nの厚さ方向(主面31に交差する方向)について、凹部33の寸法(深さ)は、SERS素子2の寸法(厚さ)と略同一である。したがって、SERS素子2の全体が凹部33に収容されつつ、SERS素子2の表面(基板21の主面21a側の面)2aが主面31と略面一となる。
このようなSERSユニット1Nによれば、第1実施形態に係るSERSユニット1と同様の効果を奏することができる。さらに、SERSユニット1Nによれば、第1実施形態に係るSERSユニット1と比較して、第1の磁石部4と第2の磁石部5とが近接する(ここでは接触している)ので、固定強度が高い。
また、SERSユニット1Nにおいては、ハンドリングプレート3Nが少なくとも永久磁石(又は一時磁石)を含む。このため、樹脂材料のみで形成されるハンドリングプレートに比べて有機成分が少ない。このため、ハンドリングプレート3Nの熱変形やアウトガス発生のリスクを低減させることができる。また、ハンドリングプレート3Nが、SERS素子2を支持する支持部材としての機能と、磁力Mを生じさせる第2の磁石部としての機能とを兼ね備えている。このため、部材数を削減することにより、部材管理の利便性やコスト削減を実現可能である。
図14の(b)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Pは、第1実施形態の変形例に係るSERSユニット1Cと比較して、ハンドリングプレート3Cに代えてハンドリングプレート(支持部材)3Pを備えている点でSERSユニット1Cと相違している。ハンドリングプレート3Pは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。ハンドリングプレート3Pは、主面31と裏面32とを有し、長方形板状を呈している。
主面31には、凹部36が形成されている。また、裏面32には、凹部37が形成されている。ただし、凹部37の底面37sは、第2の磁石部5Cの裏面5bによって構成されている。SERS素子2は、その凹部37に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、SERS素子2の表面(光学機能部10の表面)2aの外縁が凹部37の底面37s(すなわち、第2の磁石部5Cの裏面5b)に接触するように底面37s上に配置されている。したがって、SERSユニット1Pにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Cと接触した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Cとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Pに固定されている。
このようなSERSユニット1Pによれば、第1実施形態の変形例に係るSERSユニット1Cと同様の効果を奏することができる。さらに、SERSユニット1Pによれば、SERSユニット1Cと比較して、第1の磁石部4と第2の磁石部5Cとが近接するので、固定強度が高い。また、SERSユニット1Cと比較して、SERS素子2と第2の磁石部5Cとの間にハンドリングプレートの一部分が介在していないので、その分だけ全体を薄化される。
図14の(c)に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Qは、第1実施形態に係るSERSユニット1と比較して、ハンドリングプレート3に代えてハンドリングプレート(支持部材)3Qを備える点、及び、第2の磁石部5に代えて第2の磁石部5Qを備える点でSERSユニット1と相違している。ハンドリングプレート3Qは、ハンドリングプレート3と同様の材料及び手法により形成される。また、第2の磁石部5Qは、第2の磁石部5と同様の材料により形成される。
ハンドリングプレート3Qは、主面31と裏面32とを有し、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が設けられている。SERS素子2は、凹部33に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。
また、第2の磁石部5Qも、SERS素子2と同様に凹部33に配置されている。より具体的には、第2の磁石部5Qは、例えば矩形環状を呈している。第2の磁石部5Qは、互いに対向する内側面5Qsの間にSERS素子2が配置されるように、凹部33に収容されている。換言すれば、第2の磁石部5Qは、例えば、ハンドリングプレート3Qの厚さ方向(主面31に交差する方向)からみて、SERS素子2を囲うように凹部33に配置されている。つまり、SERS素子2及び第2の磁石部5Qは、凹部33内において、主面31に沿って配置されている。SERS素子2の側面2sのうちの少なくとも1つは、その側面2sに対向する第2の磁石部5Qの内側面5Qsに接触している。
したがって、SERSユニット1Qにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Qと接触した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Qとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Qに固定されている。
なお、一例として、ハンドリングプレート3Qの厚さ方向について、SERS素子2及び第2の磁石部5Qの寸法(厚さ)は、凹部33の寸法(深さ)と略同一である。したがって、SERS素子2及び第2の磁石部5Qの全体が凹部33に収容されつつ、SERS素子2の表面(基板21の主面21a側の面)2a及び第2の磁石部5Qの表面5aが主面31と略面一となる。
このようなSERSユニット1Qによれば、第1実施形態に係るSERSユニット1と同様の効果を奏することができる。さらに、SERSユニット1Qによれば、第1の磁石部4と第2の磁石部5Qとが近接(例えば接触)するので、固定強度が高い。また、SERS素子2と第2の磁石部5Qとが略同一の厚さを有し、且つ、SERS素子2と第2の磁石部5とが主面31に沿って配置される。このため、ハンドリングプレート3Qの厚さが低減され、SERSユニット1Qの全体が薄化される。これにより、SERSユニット1Qの可搬性が向上される。
図15は、図13に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図15に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Rは、図13に示されたSERSユニット1Mと比較して、ハンドリングプレート3Mに代えてハンドリングプレート(支持部材)3Rを備える点、及び、第2の磁石部5に代えて第2の磁石部5Rを備える点でSERSユニット1Mと相違している。
ハンドリングプレート3Rは、主面31と裏面32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33及び凹部35が形成されており、それらの凹部33及び凹部35により凹部40が構成されている。ハンドリングプレート3Rは、永久磁石(又は一時磁石)を含む。或いは、ハンドリングプレート3Rは、永久磁石(又は一時磁石)から構成される。したがって、ハンドリングプレート3Rは、SERS素子2の支持部材としての機能に加えて、第2の磁石部5Rとしての機能を有する。換言すれば、ハンドリングプレート3Rは第2の磁石部5Rとして構成されている。第2の磁石部5Rは、第2の磁石部5と同様の材料から構成される。
SERS素子2は、このようなハンドリングプレート3R(第2の磁石部5R)の凹部33に配置されている。より具体的には、SERS素子2は、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2は、第1の磁石部4が凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。したがって、SERSユニット1Rにおいても、SERS素子2は、第2の磁石部5Rに接触した状態において、第1の磁石部4と第2の磁石部5Rとの間の磁力Mによりハンドリングプレート3Rに固定されている。
このようなSERSユニット1Rによれば、第2の磁石部5Aがハンドリングプレート3Bの裏面32の略全体にわたって延在することによる効果を除いて、SERSユニット1Bと同様の効果を奏することができる。また、SERSユニット1Rによれば、第1の磁石部4と第2の磁石部5Rとが近接(例えば接触)するので、固定強度が高い。また、SERSユニット1Rによれば、次のような効果を奏することができる。すなわち、例えば、上述したラマン分光分析装置50といった測定装置Dに対して電磁石Eを設ければ、第2の磁石部5Rとしてのハンドリングプレート3Rと電磁石Eとの間の磁力MDによって、測定装置DとSERSユニット1Rとを互いに引き付けることができる。これにより、例えば電磁石Eが主面31(後述するガイド溝31gの底面)に接触するまで測定装置DとSERSユニット1Rとが近づいたときに、測定装置Dの光学系の焦点位置PがSERS素子2の光学機能部10に一致するように、自動的にアライメントを行うことが可能となる。
さらに、SERSユニット1Rにおいては、ハンドリングプレート3Rの主面31の適切な位置(例えば主面31に交差する方向からみて電磁石Eに重複する位置)に電磁石Eのガイド溝31gを設ければ、電磁石Eがガイド溝31gの内側面にガイドされながらガイド溝31gに入り込むことにより、ハンドリングプレート3Rの主面31に沿った方向におけるSERSユニット1Rの配置を確実にアライメントすることが可能である。
[第3実施形態]
以上の第1実施形態及び第2実施形態は、第1の磁石部がSERS素子に設けられる形態(例えばSERS素子が第1の磁石部を含む形態)について説明した。本実施形態においては、第1の磁石部がSERS素子と別個に設けられる形態について説明する。
図16は、第3実施形態に係る表面増強ラマン散乱ユニットの断面図である。図16に示されるように、本実施形態に係るSERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Sは、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Sと、ハンドリングプレート(支持部材)3Sと、第1の磁石部4Sと、第2の磁石部5Sと、を備えている。SERS素子2Sは、SERS素子2と比較して、第1の磁石部4が設けられていない点(すなわち、第1の磁石部4を含まない点)で相違している。SERS素子2Sのその他の構成はSERS素子2と同様である。したがって、SERS素子2は、光学機能部10を有している。
ハンドリングプレート3Sは、主面31と裏面32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33が形成されている。ハンドリングプレート3Sは、永久磁石(又は一時磁石)を含む。或いは、ハンドリングプレート3Sは、永久磁石(又は一時磁石)から構成される。したがって、ハンドリングプレート3Sは、SERS素子2Sの支持部材としての機能に加えて、第2の磁石部5Sとしての機能を有する。換言すれば、ハンドリングプレート3Sは第2の磁石部5Sとして構成されている。第2の磁石部5Sは、第2の磁石部5と同様の材料から構成される。
SERS素子2Sは、このようなハンドリングプレート3S(第2の磁石部5S)の主面31の凹部33に配置されている。より具体的には、SERS素子2Sは、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2Sは、基板21の裏面21bが凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。ここでは、ハンドリングプレート3の厚さ方向について、SERS素子2Sの一部が凹部33内に収容され、SERS素子2Sの残部が凹部33から突出している。
第1の磁石部4Sは、例えば矩形環状に形成されている。第1の磁石部4Sは、SERS素子2Sの表面(基板21の主面21a側の表面)2aの外縁上に配置される第1の部分4aと、第1の部分4aからハンドリングプレート3Sの主面31側に延びて主面31に接触する第2の部分4bとからなる。第1の磁石部4Sは、第2の磁石部5Sとの間の磁力Mによって、主面31側に引きつけられている。このため、第1の磁石部4Sの第1の部分4aがSERS素子2Sの表面2aの外縁に接触し、SERS素子2Sを凹部33の底面33sに押さえ付ける。これにより、SERS素子2Sは、ハンドリングプレート3Sに固定される。
つまり、このSERSユニット1Sにおいても、SERS素子2Sが第1の磁石部4Sと第2の磁石部5Sとの間の磁力Mによってハンドリングプレート3Sに固定されている。特に、SERSユニット1Sにおいては、SERS素子2Sは、第1の磁石部4S(第1の部分4a)と第2の磁石部5Sとの間に挟持された状態において、ハンドリングプレート3Sに固定されている。その状態において、SERS素子2Sの光学機能部10は、第1の磁石部4Sの互いに対向する第1の部分4aの間から露出している。
このようなSERSユニット1Sによれば、広範囲にわたって光学機能部10のための領域を確保できることに関する効果を除いて、第1実施形態に係るSERSユニット1と同様の効果を奏することができる。さらに、このSERSユニット1Sによれば、第1の磁石部4SをSERS素子2Sに設ける(SERS素子2Sに含める)必要がないので、SERS素子2S及びSERSユニット1Sの製造工程が簡略化される。
図17は、図16に示された表面増強ラマン散乱ユニットの変形例を示す模式的な断面図である。図16に示されるように、SERSユニット(表面増強ラマン散乱ユニット)1Tは、図16に示されたSERSユニット1Sと比較して、ハンドリングプレート3Sに代えてハンドリングプレート(支持部材)3Tを備える点、第1の磁石部4Sに代えて第1の磁石部4Tを備える点、及び、第2の磁石部5Sに代えて第2の磁石部5Tを備えるでSERSユニット1Sと相違している。
ハンドリングプレート3Tは、主面31と裏面32とを含み、長方形板状を呈している。主面31には、凹部33及び凹部35が形成されており、それらの凹部33及び凹部35により凹部40が構成されている。ハンドリングプレート3Tは、永久磁石(又は一時磁石)を含む。或いは、ハンドリングプレート3Tは、永久磁石(又は一時磁石)から構成される。したがって、ハンドリングプレート3Tは、SERS素子2Sの支持部材としての機能に加えて、第2の磁石部5Tとしての機能を有する。換言すれば、ハンドリングプレート3Tは、第2の磁石部5Tとして構成されている。第2の磁石部5Tは、第2の磁石部5と同様の材料から構成される。
SERS素子2Sは、このようなハンドリングプレート3T(第2の磁石部5S)の凹部33に配置されている。より具体的には、SERS素子2Sは、基板21の裏面21bが凹部33の底面33s側になるように配置されている。一例として、SERS素子2Sは、基板21の裏面21bが凹部33の底面33sに接触するように底面33s上に配置されている。ここでは、SERS素子2Sの全体が凹部40内に収容されている。
第1の磁石部4Tは、例えば矩形環状に形成されている。第1の磁石部4Tは、凹部40に配置されている。ここでは、第1の磁石部4Tの全体が凹部40内に収容されている。第1の磁石部4Tは、SERS素子2Sの表面(基板21の主面21a側の表面)2aの外縁上に配置されている。第1の磁石部4Tは、第2の磁石部5Tとの間の磁力Mによって、凹部33の底面33s側に引きつけられている。このため、第1の磁石部4TがSERS素子2Sの表面2aの外縁に接触し、SERS素子2Sを凹部33の底面33sに押さえ付ける。これにより、SERS素子2Sは、ハンドリングプレート3Tに固定される。
つまり、このSERSユニット1Tにおいても、SERS素子2Sが第1の磁石部4Tと第2の磁石部5Tとの間の磁力によってハンドリングプレート3Tに固定されている。特に、SERSユニット1Tにおいては、SERS素子2Sは、第1の磁石部4Tと第2の磁石部5Tとの間に挟持された状態において、ハンドリングプレート3Tに固定されている。その状態において、SERS素子2Sの光学機能部10は、第1の磁石部4Tの互いに対向する部分の間から露出している。
このようなSERSユニット1Tによれば、SERSユニット1Sと同様の効果を奏することができる。また、SERSユニット1Tによれば、SERSユニット1Rと同様に、次のような効果を奏することができる。すなわち、第2の磁石部5Tとしてのハンドリングプレート3Tと測定装置Dの電磁石Eとの間の磁力MDによって、測定装置DとSERSユニット1Tとを互いに引き付けることができる。これにより、例えば電磁石Eが主面31(ガイド溝31gの底面)に接触するまで測定装置DとSERSユニット1Tとが近づいたときに、測定装置Dの光学系の焦点位置PがSERS素子2Sの光学機能部10に一致するように、自動的にアライメントを行うことが可能となる。
さらに、SERSユニット1Tにおいては、ハンドリングプレート3Tの主面31の適切な位置(例えば主面31に交差する方向からみて電磁石Eに重複する位置)に電磁石Eのガイド溝31gを設ければ、電磁石Eがガイド溝31gの内側面にガイドされながらガイド溝31gに入り込むことにより、ハンドリングプレート3Tの主面31に沿った方向におけるSERSユニット1Tの配置を確実にアライメントすることが可能である。
なお、本実施形態においては、ハンドリングプレートが第2の磁石部として構成される場合について説明した。しかしながら、ハンドリングプレートとは別に構成された第2の磁石部がハンドリングプレートに保持されていてもよい。その場合、SERS素子と第2の磁石部との間にハンドリングプレートの一部分等が介在してもよい。つまり、第1の磁石部及び第2の磁石部は、互いの間にSERS素子以外の別の要素(例えばハンドリングプレートの一部分)を介在させた状態において、SERS素子を挟持してハンドリングプレートに固定することができる。換言すれば、第1の磁石部と第2の磁石部とによってSERS素子を挟持するに際して、第1の磁石部及び第2の磁石部がSERS素子に接していなくてもよい。
[SERS素子の変形例]
引き続いて、以上の実施形態に係るSERSユニットに適用されるSERS素子の変形例について説明する。
図18〜20は、図2に示された表面増強ラマン散乱素子の変形例を示す模式的な断面図である。図18の(a)は、上述したSERS素子2である。SERS素子2においては、上述したように、第1の磁石部4が基板21の裏面21b上に設けられている。したがって、SERS素子2においては、基板21の裏面21b側に第2の磁石部5を配置する場合に、第2の磁石部5と第1の磁石部4とを互いに近接(或いは接触)させることが可能となり、SERS素子2の固定を強固にすることが可能となる。
図18の(b)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Aは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Aは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Aにおいては、基板21の主面21aと成形層22(微細構造部24)との間に、第1の磁石部4が設けられている。第1の磁石部4は、膜状に形成されている。
このSERS素子2Aによれば、第1の磁石部4を励起光の反射層として利用することが可能となる。また、例えば、シリコンからなる基板21の主面21aに比べて、蒸着等により形成される第1の磁石部4の表面の方が粗い場合がある。このため、このSERS素子2Aによれば、成形層22(微細構造部24)と第1の磁石部4とをジッパー効果(ファスナー効果)により強固に接合することができる。
図18の(c)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Bは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Bは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Bにおいては、成形層22(微細構造部24)と導電体層23との間に第1の磁石部4が設けられている。ここでは、一例として、微細構造部24の各ピラーの表面と基板21の反対側に露出する支持部25の表面とに第1の磁石部4が設けられている(すなわち、成形層22の全体を覆うように第1の磁石部4が設けられている)。
このSERS素子2Bによれば、第1の磁石部4を励起光の反射層として効率的に利用することが可能となる。また、SERS素子2Bにおいては、第1の磁石部4がSERS素子2Bの表面(基板21の主面21a側の表面)2a近くに配置されるので、基板21の主面21a側に第2の磁石部5を配置する場合に、第1の磁石部4と第2の磁石部5とを比較的近接させることが可能となり、SERS素子2Bの固定を強固にすることが可能となる。
図18の(d)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Cは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Cは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Cにおいては、第1の磁石部4は、SERS素子2の側面2s上に設けられている。SERS素子2の側面2sは、基板21の側面、成形層22の側面、及び導電体層23の側面であり、基板21の主面21aに交差する方向に沿って基板21から導電体層23にわたって延びる面である。
このSERS素子2Cにおいては、SERS素子2Cの側面2s側に第2の磁石部5を配置する場合に、第1の磁石部4と第2の磁石部5とを互いに近接(或いは接触)させることが可能となり、SERS素子2Cの固定を強固にすることが可能となる。このため、SERS素子2Cをハンドリングプレート3に固定するに際して、第1の磁石部4及び第2の磁石部5をSERSユニット1の厚さ方向に配列する必要がないので、SERSユニット1の厚さを低減することが可能となる。また、第2の磁石部5をハンドリングプレート(例えばハンドリングプレート3G,3H)の厚さ方向に移動させる場合に、SERS素子2Cの追従性が向上してSERS素子2Cを所望の位置に配置させやすい。
以上のSERS素子2〜2Cのように、SERS素子の種々の箇所に第1の磁石部4を設けることができる。また、SERS素子の複数の箇所に同時に第1の磁石部4を設けてもよい。すなわち、第1の磁石部4は、裏面21b上、主面21aと微細構造部24(成形層22)との間、微細構造部24(成形層22)と導電体層23との間、及び、主面21aに交差する方向に延びるSERS素子の側面2s上の少なくともいずれかに設けられていればよい。
図19の(a)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Dは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Dは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Dにおいては、基板21が一時磁石(又は永久磁石)から構成されている。或いは、SERS素子2Dにおいては、基板21が一時磁石(又は永久磁石)を含む。つまり、SERS素子2Dにおいては、基板21が第1の磁石部4として構成されている。このSERS素子2Dによれば、基板21と別個に第1の磁石部4を設ける場合と比較して、小型化(薄化)が可能であると共に、部材数の削減によりコストを低減可能である。
また、SERS素子2Dにおいては、SERS素子2と同様に、基板21の裏面21b側に第2の磁石部5を配置する場合に、第1の磁石部4と第2の磁石部5とを互いに近接(或いは接触)させることが可能となり、SERS素子2Dの固定を強固にすることが可能となる。また、SERS素子2Dにおいては、SERS素子2Aと同様に、基板21を励起光の反射層として利用することが可能となる。また、SERS素子2Dにおいては、SERS素子2Aと同様に、ジッパー効果(ファスナー効果)により基板21と成形層22(微細構造部24)とを強固に接合することができる。
特に、SERS素子2Dにおいては、第1の磁石部4としての基板21を、可撓性を有するフィルムとして構成すれば、SERS素子2Dの製造に際してロールtoロール方式を利用することが可能となり、生産性が向上する。また、基板21を、可撓性を有するフィルムとして構成すれば、SERS素子2Dが固定されるハンドリングプレート3の凹凸に対しての追従性が増す。これにより、ハンドリングプレート3におけるSERS素子2Dの固定面(接触面)が曲面状であっても、SERS素子2Dの固定が可能となる。さらに、ハンドリングプレート3の曲面状の固定面(接触面)に追従させてSERS素子2Dを変形させることにより、微細構造部24の周期的パターンを変形して表面増強ラマン散乱の強度を調節可能である。
図19の(b)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Eは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Eは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Eにおいては、成形層22(微細構造部24)が一時磁石(又は永久磁石)から構成されている。或いは、SERS素子2Eにおいては、成形層22(微細構造部24)は一時磁石(又は永久磁石)を含む。つまり、SERS素子2Eにおいては、成形層22(微細構造部24)が第1の磁石部4として構成されている。
このSERS素子2Eによれば、SERS素子2Bと同様に、成形層22(微細構造部24)を励起光の反射層として効率的に利用することが可能となる。また、SERS素子2Eにおいては、SERS素子2Bと同様に、第1の磁石部4がSERS素子2Eの表面(基板21の主面21a側の表面)2a近くに配置されるので、基板21の主面21a側に第2の磁石部5を配置する場合に、第1の磁石部4と第2の磁石部5とを比較的近接させることが可能となり、SERS素子2Eの固定を強固にすることが可能となる。
さらに、SERS素子2Eにおいては、成形層22を樹脂や低融点ガラスで構成する場合と比較して、成形層22と基板21との間の熱膨張係数差を緩和できる場合がある。成形層22を構成する一時磁石(又は永久磁石)として基板21との熱膨張係数差が小さい材料を選択するか、或いは、成形層22に含まれる一時磁石(又は永久磁石)の原料が、成形層22の材料(例えば樹脂や低融点ガラス)と基板21の材料との間の熱膨張係数差を緩和するフィラーとして機能することで、この効果が得られる。これにより、熱応力に伴って成形層22と基板21との間の剥離が生じるリスクを低減することができる。
図19の(c)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Fは、SERS素子2と同様に、基板21、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Fは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Fにおいては、導電体層23が一時磁石(又は永久磁石)から構成されている。或いは、SERS素子2Fにおいては、導電体層23が一時磁石(又は永久磁石)を含む。つまり、SERS素子2Fにおいては、導電体層23が第1の磁石部4として構成されている。
このSERS素子2Fによれば、基板21の主面21a側に第2の磁石部5を配置する場合に、第1の磁石部4と第2の磁石部5とを互いに近接(或いは接触)させることが可能となり、SERS素子2Fの固定を強固にすることが可能となる。また、導電体層23と第1の磁石部4とが単一の工程により形成される。したがって、SERS素子2Fの製造に際して工程数を削減し、コストを低減することが可能となる。
以上のSERS素子2D〜2Fのように、SERS素子の各部材を第1の磁石部4として構成することができる。また、SERS素子の複数の部材を第1の磁石部4として構成してもよい。すなわち、基板21、成形層22(微細構造部24)、及び、導電体層23の少なくともいずれかを第1の磁石部4として構成することができる。
図20の(a)に示されるように、SERS素子(表面増強ラマン散乱素子)2Gは、成形層22(微細構造部24)、導電体層23、及び第1の磁石部4を含む。また、SERS素子2Gは、光学機能部10を含む。ただし、SERS素子2Gは、SERS素子2〜2Fと異なり、基板21を含まない。また、SERS素子2Gにおいては、SERS素子2Eと同様に、成形層22(微細構造部24)が一時磁石(又は永久磁石)から構成されている。或いは、SERS素子2Gにおいては、成形層22(微細構造部24)が一時磁石(又は永久磁石)を含む。つまり、SERS素子2Gにおいては、成形層22(微細構造部24)が第1の磁石部4として構成されている。このSERS素子2Gによれば、SERS素子2B,2Eと同様に、第1の磁石部4を励起光の反射層として効率的に利用することが可能となる。
特に、SERS素子2Gにおいては、第1の磁石部4としての成形層22を、可撓性を有するフィルムとして構成すれば、SERS素子2Gの製造に際してロールtoロール方式を利用することが可能となり、生産性が向上する。また、成形層22を、可撓性を有するフィルムとして構成すれば、SERS素子2Gが固定されるハンドリングプレート3の凹凸に対しての追従性が増す。これにより、ハンドリングプレート3におけるSERS素子2Gの固定面(接触面)が曲面状であっても、SERS素子2Gの固定が可能となる。また、ハンドリングプレート3の曲面状の固定面(接触面)に追従させてSERS素子2Gを変形させることにより、微細構造部24の周期的パターンを変形して表面増強ラマン散乱の強度を調節可能である。
また、SERS素子2Gは、第1の磁石部4としての成形層22(微細構造部24)と導電体層23とのみからなる。このため、基板21を有する形態に比べて部材数が少ないので、部材管理の利便性の向上やコスト低減を実現可能である。また、SERS素子2Gは、同様の理由から、基板21を有する形態に比べて全体の薄化が可能であり、結果として、SERSユニット1のコンパクト化が可能となる。さらに、同様の理由から、例えば複数のSERS素子2Gが一括して形成された基材から、それぞれのSERS素子2Gをチップ化する際に、基板21を有する形態に比べてチップ端面の破損リスクを低減可能である。
図20の(b)に示されるように、SERS素子2Hは、第1の磁石部4のみからなる。第1の磁石部4は、成形層22及び導電体層23と同様の構成を有している。すなわち、第1の磁石部4は、微細構造部24を含み、光学機能部10を構成する。このように、SERS素子2Hを単一の部材から構成すれば、部材管理の利便性の向上やコスト低減を実現可能である。また、SERS素子2Hは、単一の材質により形成可能であるので、少ない工程数により製造され得る。
以上のSERS素子は、SERSユニットの形態に応じて適宜選択し得る。例えば、第1実施形態に係るSERSユニット1,1A,1B,1D,1E,1F,1K、及び、第2実施形態に係るSERSユニット1M,1N,1Rは、SERS素子の基板の裏面側(光学機能部と反対側)に第2の磁石部を配置する形態である。したがって、これらのSERSユニットにおいては、SERS素子2,2D,2G,2Hを用いると比較的強固な固定が可能である。
また、第1実施形態に係るSERSユニット1C及び第2実施形態に係るSERSユニット1Pは、SERS素子の基板の主面側(光学機能部側)に第2の磁石部を配置する形態である。したがって、これらのSERSユニットにおいては、SERS素子2A,2B,2E,2F,2G,2Hを用いると比較的強固な固定が可能である。
さらに、第1実施形態に係るSERSユニット1G,1H、及び、第2実施形態に係るSERSユニット1N,1Qは、SERS素子の側面側に第2の磁石部を配置する形態である。したがって、これらのSERSユニットにおいては、SERS素子2C,2D,2E,2G,2Hを用いると比較的強化固定が可能である。
ただし、上述したSERSユニットとSERS素子との組み合わせは一例であって、SERSユニットとSERS素子との組み合わせはそれらに限定されない。すなわち、第1の磁石部の材料や第2の磁石部の材料を選択することによって第1の磁石部と第2の磁石部との間の磁力を調節すれば、上述した全てのSERSユニットに対して全てのSERS素子を用いることが可能である。