JP2016056284A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた靭性、成形加工性、耐熱性を有し、さらには熱伝導性と表面外観が改善された熱可塑性樹脂組成物を供する。【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)20〜80重量%と熱伝導性フィラー(B)80〜20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、カルボン酸アミド系化合物(C)を0.01〜5重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関するものである。
近年、自動車部品や産業用資材において装置の高機能化や小型化が進む一方で、装置からの発熱量の増加や気密性の向上などによる排熱の問題が大きな課題となってきており、熱対策が急務となりつつある。
一般的には熱伝導率の高い金属やセラミックによる熱対策がなされているが、近年では形状の自由度や軽量化の観点から高熱伝導性を有した樹脂材料が用いられている。
一般的に高熱伝導性を有した樹脂材料はベースとなる樹脂に対して大量の熱伝導フィラーを配合し作られているため、その成形品は非常に脆くなりやすく、また成形品の表面状態も悪いものが多い。表面状態が悪いと、発熱体と高熱伝導性を有した樹脂材料からなる成形品との界面に空気層が生じやすく、効率的に熱を伝えることが出来なくなる。
共重合型ポリブチレンテレフタレート樹脂や熱可塑性エラストマーをベースとして用いることによって、高い耐熱性に加え成形加工性、耐衝撃性が改善された放熱熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、樹脂と熱伝導フィラーを含む樹脂組成物に対し離型剤を配合することによって離型性や成形加工性を改善した樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。
特開2008−239898号公報 特開2013−249356号公報 特開2007−224265号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために検討した結果達成されたものである。
本発明の目的は、優れた靭性、成形加工性、耐熱性を有し、さらには熱伝導性と表面外観が改善された熱可塑性樹脂組成物及び成形品を提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために誠意検討した結果、熱可塑性樹脂(A)20〜80重量%と熱伝導性フィラー(B)80〜20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、カルボン酸アミド系化合物(C)を0.01〜5重量部含有する熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、上記の目的が初めて達成されることを見出し本発明に到達した。
本発明によれば、耐熱性、靱性、成形加工性に優れるだけでなく、熱伝導性も改善された熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る。また、本熱可塑性樹脂組成物を用いることで、高い熱伝導性と、優れた靱性と表面外観を有した成形品を得ることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、自動車部品、電機機器、工業用品等に好適に利用できる。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性の高分子化合物であり、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエーテル系樹脂等が好ましい。本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン系アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド6−6、共重合ポリアミド6/6−6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアセタール、(変性)ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペート、ポリブチレンサクシネート−テレフタレート、ポリブチレンサクシネート−カーボネート、ポリエチレンテレフタレート−サクシネート、ポリブチレンアジペート−テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート−テレフタレート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)として、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、エチレン−ブテン共重合エラストマー、エチレン−ヘキセン共重合エラストマー、エチレン−オクテン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、アクリル酸エステル系コア・シェルグラフト共重合体等の各種熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
本発明では、これらの熱可塑性樹脂の中でも特に熱可塑性エラストマーであることが好ましく、その中でも特に、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合セグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを構成成分とするポリエステルエラストマーであることが、耐熱性、柔軟性、靱性、機械特性、成形加工性のバランスが優れているため好ましい。
上記ポリエステルエラストマーの高融点結晶性重合体セグメント(a1)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルである。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。高融点結晶性重合体セグメント(a1)は、必要によっては、芳香族ジカルボン酸の一部を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4'−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸に置換してもよい。
ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロプルエステル、ジブチルエステルなどの低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物などは、芳香族ジカルボン酸と同等に用いることができる。
また高融点結晶性重合体セグメント(a1)のジオールとしては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましい。ジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩等の形でも用いることができる。
また、これらのジオール成分またはそのエステル形成性誘導体を二種類以上併用してもよい。
前記ポリエステルエラストマーの低融点重合体セグメント(a2)は、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルからなる低融点重合体セグメントである。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルエラストマーの弾性特性から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペートなどが好ましく、これらの中でも特にポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキサイド付加物が好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを用いた場合に最良の効果を発揮する。
前記ポリエステルエラストマーの低融点重合体セグメント(a2)の共重合量は、好ましくは、ポリエステルエラストマー全体の20〜90重量%であり、より好ましくは30〜85重量%であり、さらに好ましくは40〜80重量%である。低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が、ポリエステルエラストマー(A)全体の20〜90重量%であると、柔軟性・靱性の点から好ましい。
前記ポリエステルエラストマーは公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、また、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法、高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法、さらにポリ(ε−カプロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合は、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノマを付加反応させる方法などを選択でき、中でも、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法が好ましい。
本発明に用いられる熱伝導性フィラー(B)としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ化合物、チタン酸カルシウム、黒鉛粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。アルミナ化合物としては、アルミナ、カオリン、クレー、マイカ、ホウ酸アルミニウム、バーミキュライト等が挙げられる。これらのうち、電子部品材料の用途を考慮した場合、絶縁性熱伝導性フィラーが好ましく、その中でも特に、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛を用いることが熱伝導性、柔軟性、靱性の点で好ましい。
熱伝導性フィラー(B)の平均粒子径は、通常0.5〜90μmであり、好ましくは1〜80μm、より好ましくは1〜50μmである。また2種類以上の異なる粒径のものを併用しても良い。
本発明に用いられる熱伝導性フィラー(B)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、RF−10C(商品名;酸化マグネシウム;宇部マテリアルズ(株)製)、RF−30(商品名;酸化マグネシウム;宇部マテリアルズ(株)製)、RF−50(商品名;酸化マグネシウム;宇部マテリアルズ(株)製)、RF−70C(商品名;酸化マグネシウム;宇部マテリアルズ(株)製)、DAW−45(商品名;アルミナ;電気化学工業(株)製)、DAW−05(商品名;アルミナ;電気化学工業(株)製)、クラウンタルクDR(商品名;松村産業(株)製)、クラウンタルク PP(商品名;松村産業(株)製)、ハイフィラー(商品名;松村産業(株)製)等が挙げられる。
本発明の熱伝導性フィラー(B)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(A)と熱伝導性フィラー(B)の合計を100重量部とした場合に、20〜80重量%であり、熱伝導性を向上させるために好ましくは、25〜75重量%であり、特に好ましくは30〜70重量%である。熱伝導性フィラー(B)の含有量が、20重量%未満では、熱可塑性樹脂(A)と組み合わせても、十分な熱伝導率を得られない、80重量%を超えると、加工工程で、押出機を用いた溶融混練の際に吐出ができずペレットを得ることができない。
本発明に用いられる脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C)は、耐ブリードアウト性の観点から、高級脂肪族モノカルボン酸および/または多塩基酸の混合物とジアミン酸との重縮合反応によって得られるカルボン酸アミドが好ましい。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
カルボン酸アミド系化合物は、その製造に使用する高級脂肪族モノカルボン酸に対する多塩基酸の混合割合を変えることにより、軟化点を任意に調整することが出来る。多塩基酸の混合割合は、高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対し、通常0.18〜1モルである。また、ジアミンの混合割合は、高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対し、通常1.5〜2モルであり、使用する多塩基酸の量に従って変化する。
カルボン酸アミド系化合物としては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合してなる化合物が好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを重縮合させた化合物がさらに好ましい。また、N,N‘−メチレンビスステアリン酸アミドやN,N‘−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪族カルボン酸とを反応させて得られるビスアミド系化合物の他、N,N‘−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等のジカルボン酸アミド゛化合物も好適に使用できる。
本発明の脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C)の含有量は、前記熱可塑性樹脂(A)と熱伝導性フィラー(B)の合計100重量部に対し、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部である。脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C)の含有量が0.05重量部未満では表面改質効果や熱伝導率向上効果が小さく、又は5重量部を超えると、ブルーミングを生じる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、シランカップリング剤(D)を含めていてもよい。本発明に用いられるシランカップリング剤(D)としては、好ましくは、1分子中にアミノ基、エポキシ基、フェニル基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、スルフィド基等を有するものであり、なかでも、エポキシ基、フェニル基を有するシランカップリング剤が好適に使用される。シランカップリング剤(D)の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリイルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等があり、好ましくは、エポキシ基又はフェニル基含有化合物であり、これらは1種単独又は2種以上併用して使用することができる。
本発明のシランカップリング剤(D)の含有量は、前記熱可塑性樹脂(A)と熱伝導性フィラー(B)の合計100重量部に対し、好ましくは、0.01〜5重量部であり、より好ましくは、0.05〜3重量部であり、さらにより好ましくは、0.1〜1.0重量部である。シランカップリング剤(D)の含有量が0.01重量部未満では熱可塑性樹脂(A)と熱伝導性フィラー(B)との分散性改善効果が低く、又は5重量部を超えると、ブルーミングを生じたり、熱安定性が低下するため、好ましくない。
シランカップリング剤(D)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040、Z−6043(いずれもエポキシ基含有化合物)、Z6124(フェニル基含有化合物)等が挙げられる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記添加剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤を添加することができる。例えば公知の結晶核剤又は滑剤等の成形助剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物の耐光剤、耐加水分解改良剤、顔料や染料等の着色剤、耐熱剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤、可塑剤等を任意に含有することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)、脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C)、シランカップリング剤(D)を配合した原料を、スクリュー型押出機に供給し、溶融混練して製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形等の各種方法により成形加工して、成形品とすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱伝導率が、0.8W/m・K以上であるものが好適に挙げられる。熱伝導率は、JIS R1611に記載された方法により測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の比重は、通常2.35以下であり、2.1以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、JIS K7113:1995に従って測定した引張破断伸びが10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
以下に、実施例及び比較例により本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施例でいう部及び%は、特に断らない限りは重量単位を示す。
また、以下の実施例及び比較例における熱可塑性樹脂組成物の硬度、比重、引張破断強さ、引張破断伸び、熱伝導率、表面外観の評価は、次の方法により行った。
[硬度]
90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度210℃と金型温度50℃の成形条件で、120×75×2mm厚角板を成形し角板を3枚重ねた後、JISK7215:1986のDタイプに従って測定した。
[比重]
90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度210℃と金型温度50℃の成形条件で成形した、120×75×2mm厚角板を使用し、JISK7112:1999のC法に従って測定した。
[引張破断強さ、引張破断伸び]
90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度210℃と金型温度50℃の成形条件で、JIS K7113 2号ダンベル試験片を成形し、JIS K7113:1995に従って測定した。
[熱伝導率]
90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度220℃と金型温度50℃の成形条件で、120×75×2mm厚角板を成形し、その角板から樹脂の流れ方向2mm、流れと垂直方向10mmとなる試験片を切り出し、樹脂の流れ方向が上下となるように90℃回転させたものを5本並べて高さが2mm、横と縦が10mmの平板を作製。キセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製 LFA447 Nanoflash)を用い、JIS R1611に記載された方法で、高さ2mm方向の熱伝導率を測定した。高さ2mm方向は射出成形品で面方向の熱伝導率に対応する。
[熱可塑性樹脂(A−1)の製造]
ジメチルテレフタレート酸273部、1,4−ブタンジオール120部および数平均分子量約2000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール723部を、チタンテトラブトキシド3部およびトリメリット酸無水物3部と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間30分加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出させた。反応混合物に”イルガノックス”1330(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで、 50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で1時間50分重合をおこなった。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングによりペレットとした。得られたペレットの融点は160℃であった。また得られたペレットの低融点重合体セグメントの共重合量はポリエステルエラストマー全体の78重量%であった。
[熱可塑性樹脂(A−2)の製造]
テレフタル酸340部、イソフタル酸100部、1,4−ブタンジオール394部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール495部を、チタンテトラブトキシド2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間45分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。得られたペレットの融点は164℃であった。また得られたペレットの低融点重合体セグメントの共重合量はポリエステルエラストマー全体の50重量%であった。
[熱可塑性樹脂(A−3)の製造]
テレフタル酸658部、イソフタル酸285部、1,4−ブタンジオール843部および数平均分子量約1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール271部を、チタンテトラブトキシド2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間45分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。得られたペレットの融点は160℃であった。また得られたペレットの低融点重合体セグメントの共重合量はポリエステルエラストマー全体の20重量%であった。
[熱伝導性フィラー(B)]
B−1:松村産業(株)製ケイ酸マグネシウム ハイフィラー#5000PJ (平均粒径:4.0μm)
B−2:松村産業(株)製ケイ酸マグネシウム ハイフィラー#12 (平均粒径:6.8μm)
B−3:宇部マテリアルズ(株)製酸化マグネシウム RF−10C (平均粒径:6.5μm) 。
[脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C)]
C−1:共栄社化学(株)製、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物“ライトアマイド WH−255”
[シランカップリング剤(D)]
D−1:東レ・ダウコーニング(株)製 “Z−6124” (フェニル基含有アルコキシシラン)
[離型剤(E)]
E−1:三井化学(株)製、エチレンプロピレン共重合物の無水マレイン酸化物“ハイワックス“
[実施例1〜7、比較例1〜6]
熱可塑性樹脂(A−1)、(A−2)、(A−3)、熱伝導性フィラー(B−1)、(B−2)、(B−3)、脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C−1)、シランカップリング剤(D−1)、離型剤(E−1)を、表1、表2に示す比率でドライブレンドし、45mmφのスクリューを有する2軸押出機を用いて240℃の温度設定で溶融混練したのち,ペレット化した。このペレットを80℃で5時間乾燥した後、各種特性値の測定試験を行った。測定結果を表1、表2に示す。
Figure 2016056284
Figure 2016056284
表1、表2の結果から明らかなように、脂肪族カルボン酸アミド系化合物(C―1)を含有することにより、外観表面を改善するだけでなく、熱伝導性や靱性を向上させることが出来た。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)20〜80重量%と熱伝導性フィラー(B)80〜20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、カルボン酸アミド系化合物(C)を0.01〜5重量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. カルボン酸アミド系化合物が高級脂肪族モノカルボン酸および/または多塩基酸の混合物とジアミン酸との反応によって得られるカルボン酸アミドである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂(A)が結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合セグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)とを構成成分とするポリエステルエラストマーである請求項1または〜2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱伝導性フィラー(B)が、絶縁性熱伝導性フィラーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 絶縁性熱伝導性フィラーが、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の熱伝導性フィラーである請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂(A)20〜80重量%と熱伝導性フィラー(B)80〜20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、さらに、シランカップリング剤(D)を0.01〜5重量部含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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