JP2016056237A - 試料作製方法及び試料観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋ゴムに対する樹脂包埋設法において、架橋ゴムの内部でも樹脂を充分に硬化させることで、膨潤度を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ゴムを観察することができる試料の作製方法及び試料の観察方法を提供する。【解決手段】重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させる工程、及び、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマーを重合させて、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る工程を含み、前記重合開始剤の配合量が、前記重合性モノマー100質量%に対して、10〜70質量%であることを特徴とする試料作製方法。【選択図】なし

Description

本発明は、試料作製方法及び試料観察方法に関する。
一般に、加硫ゴム等の架橋ゴムの力学的性質は、その架橋点間分子量の均一・不均一性に大きく依存することが知られているが(非特許文献1参照)、ゴムの架橋においては、条件によってはかなりの不均一な架橋が起きている可能性があると言われている。しかしながら、その詳細は判っておらず、その解明はゴムの架橋の物理化学における今後の課題に挙げられている。これは、ゴムの架橋が、本質的には、高分子鎖の三次元化、ネットワーク化の問題であり、その解析が難しいためとされている(非特許文献2参照)。
他方、架橋ゴムに対して樹脂包埋設法を適用することで、網目構造を直接的に透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することができ、架橋ゴムの架橋点間分子量分布(均一・不均一性)の定量化が可能であることが紹介されている(非特許文献3参照)。また、架橋ゴムに対して樹脂包埋設法を適用し、架橋ゴムの架橋網目構造を三次元で観察、定量化した例が開示されている(特許文献1参照)。
特許第5215053号公報
Mark,J.E.,Erman,B.:Rubberlike Elasticity A Molecular Primer 2nd ed.,Cambridge,UK(2007) 西敏夫、日本ゴム協会誌、2002年、第75巻、第2号、p24−30、「架橋の物理化学」 椎橋透、広瀬和正、田形信雄、高分子論文集、1989年、第46巻、第8号、p473−479、「高分子鎖の直接電子顕微鏡観察」
上記のとおり、ゴムの架橋状態を解析する方法について検討が行われているが、特に従来の架橋ゴムに対する樹脂包埋設法では、架橋ゴムの内部で樹脂が充分に硬化せず、未硬化のモノマーが残存してしまう。これは、樹脂を硬化させる際に用いられる重合開始剤とゴムとの相溶性が悪く、ゴムの内部にまで重合開始剤が充分に浸透できないことが原因と考えられる。架橋ゴムを包埋した樹脂が充分に硬化しておらず、未硬化のモノマーを含んでいるような樹脂包埋架橋ゴムを試料として、透過型電子顕微鏡(TEM)など高真空条件で観察を行うと、未硬化のモノマーが揮発してTEMの試料室内が当該モノマーで汚染されたり、未硬化モノマーの揮発により観察試料の膨潤度が低下して正確な膨潤状態での観察が困難となったりすることが懸念される。このように、ゴムの架橋状態を解析する方法としては、いまだ改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、架橋ゴムに対する樹脂包埋設法において、架橋ゴムの内部でも樹脂を充分に硬化させることで、膨潤度を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ゴムを観察することができる試料の作製方法及び試料の観察方法を提供することを目的とする。
本発明は、重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させる工程、及び、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマーを重合させて、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る工程を含み、前記重合開始剤の配合量が、前記重合性モノマー100質量%に対して、10〜70質量%であることを特徴とする試料作製方法に関する。
上記試料作製方法において、更に、染色剤を用いて前記樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを染色する工程を含むことが好ましい。
前記染色剤が、四酸化オスミウムであることが好ましい。
本発明はまた、上記試料作製方法で作製した試料を、電子顕微鏡を用いて観察する工程を含み、前記電子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡、又は、透過型電子顕微鏡であることを特徴とする試料観察方法に関する。
本発明によれば、重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させる工程、及び、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマーを重合させて、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る工程を含み、前記重合開始剤の配合量が、重合性モノマー100質量%に対して、10〜70質量%である試料作製方法であるので、架橋ゴムに対する樹脂包埋設法において、架橋ゴムの内部でも樹脂を充分に硬化させることができ、これにより、膨潤度を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ゴムを観察することができる試料を作製することができる。
本発明の試料作製方法は、重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させた後、重合開始剤の存在下に当該重合性モノマーを重合させることで、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る方法であり、その際、重合開始剤の配合量が、重合性モノマー100質量%に対して10〜70質量%であるものである。このように、重合開始剤を多量に用いることにより、架橋ゴムの内部でも樹脂を充分に硬化させることが可能となり、以て、このような架橋ゴムの内部まで樹脂が充分に硬化した樹脂包埋架橋ゴムを試料サンプルとして電子顕微鏡観察を行うと、膨潤度を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ゴムを観察することができる。本発明の試料作製方法により作製される試料は、膨潤度を保ったまま架橋ゴムを観察することができるため、より正確にゴムの架橋状態を解析することが可能である。
本発明の試料作製方法は、重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させる工程(以降、膨潤工程ともいう。)、及び、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマーを重合させて、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る工程(以降、重合工程ともいう。)を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明の試料作製方法において用いることができる架橋ジエンゴムとしては架橋可能なゴム成分を架橋したものであれば特に制限されず、当該ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ニトリルゴム(NBR)などのジエン系ゴムが挙げられる。
また、これらゴム成分には、充填剤、カップリング剤、老化防止剤、架橋剤などが配合されていてもよく、そのようなゴム組成物を架橋反応に供したものを架橋ジエンゴムとして用いることもできる。
上記膨潤工程において用いられる重合性モノマーは、上記架橋ジエンゴムの良溶媒となり、該架橋ジエンゴムを飽和状態まで膨潤させることができ、かつ、当該膨潤した架橋ジエンゴムとの共存下で重合することができるものであれば、特に制限されず、例えば、スチレンモノマー、スチレン誘導体モノマー、エポキシ、フラン、キシレン、シリコーン、ジアリルフタレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。架橋ジエンゴムを膨潤させる溶媒として重合性モノマーを用いることによって、膨潤工程後に重合操作を施すことで、架橋ジエンゴムを膨潤状態のまま固定化でき、透過型電子顕微鏡など真空中で観察する際にも、膨潤状態を変えることなく観察することができる。また、重合性モノマーが架橋ジエンゴムの貧溶媒であると、架橋ジエンゴムを充分に膨潤させることが困難となり、所望の膨潤度を得ることができない。重合性モノマーとしては、なかでも、架橋ジエンゴムとの相溶性の観点から、スチレンモノマー、スチレン誘導体モノマーが好適に用いられる。
上記膨潤工程において、架橋ジエンゴムを重合性モノマーで膨潤させる方法としては、重合性モノマーで架橋ジエンゴムを膨潤させることができれば特に制限されないが、例えば、架橋ジエンゴムを重合性モノマー溶液に浸漬する方法が好適に用いられる。浸漬条件としては、架橋ジエンゴムを充分に膨潤させることができれば特に制限されず、適宜設定することができるが、例えば、室温(25℃)で、1〜100時間浸漬すればよい。
上記架橋ジエンゴムを重合性モノマー溶液に浸漬する方法として、具体的には、例えば、架橋ジエンゴムを平衡膨潤させるのに充分量(平衡膨潤で吸収される量以上の量)の、1〜100%濃度の重合性モノマー溶液に、架橋ジエンゴムを室温(25℃)で1〜100時間浸漬する方法が挙げられる。
上記重合工程は、重合開始剤の存在下で重合性モノマーを重合させる工程であるが、用いられる重合開始剤としては、熱、光、振動などによってラジカルを発生するものであれば特に制限されず、過酸化ベンゾイル(BPO)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過硫酸カリウム、過酸化ラウロイル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2′−アゾビスジメチルバレロニトリルなどを選択することができる。なかでも、充分な重合速度を確保できることから、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルが好適に使用される。
上記重合工程は、例えば、膨潤した架橋ジエンゴムを含む重合性モノマー溶液に重合開始剤を添加し、重合反応を進行させることで行うことができる。重合反応条件は、重合性モノマー、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、例えば、重合性モノマーにスチレンモノマーを、重合開始剤として過酸化ベンゾイルを用いる場合には、50〜80℃で、4時間以上加熱することで重合反応を進行させることができる。
なお、上記重合開始剤を重合性モノマー溶液に添加する時機としては、重合性モノマーによる架橋ジエンゴムの膨潤が完了した後であってもよいし、架橋ジエンゴムの膨潤が進行している最中であってもよい。更には、架橋ジエンゴムが充分に膨潤するまで重合性モノマーの重合が進行しないならば、重合開始剤を添加した重合性モノマーと架橋ジエンゴムとを接触させて膨潤工程を行ってもよい。これらのなかでも、架橋ジエンゴムの内部での樹脂の硬化が充分に行われるように、重合性モノマーによる架橋ジエンゴムの膨潤が完了した後に重合開始剤を添加するのが好ましい。
本発明の試料作製方法においては、上記重合開始剤の配合量は、前記重合性モノマー100質量%に対して、10〜70質量%である。重合開始剤の配合量がこのような範囲であることにより、架橋ジエンゴムの内部での樹脂の硬化を充分に行うことが可能となる。他方、10質量%未満であると、架橋ジエンゴムの内部での樹脂の硬化を充分に行うことができないおそれがあり、70質量%を超えると、重合開始剤が過剰に供給されることで、生成する樹脂の分子量が低下し、完全に硬化しなかったり、あるいは、重合開始剤が飽和溶解度以上供給されて溶け残りが発生し、重合開始剤としての効果の上昇が見込めなかったりといった問題が発生する場合がある。該配合量としては、30〜70質量%であることが好ましく、50〜70質量%がより好ましい。
なお、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤は爆発性があることから、通常試薬として販売される際には水を含んだ状態となっており、従来は、使用する際に40℃程度の低温で長時間放置し水分を除去した後に使用されてきた。そのため、そのような処理を施した重合開始剤は大量に使用すると爆発の危険性が増すため、10質量%以上も配合するといったことは行われてこなかった。ところが、本発明者等は、含水状態のままの重合開始剤を用いても樹脂包埋設法を行うのに充分な重合反応を進行させることが可能であることを見出し、重合開始剤の配合量を、重合性モノマー100質量%に対して、10質量%以上とすることに到達した。
ここで、添加する重合開始剤の含水率は、5〜50質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。含水率が上記範囲内の重合開始剤を重合性モノマー溶液に添加することで、爆発の危険を回避しつつ、上記量の重合開始剤を添加することができる。
本発明の試料作製方法においては、上述の膨潤工程、及び、重合工程を経て、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得ることができ、当該樹脂包埋架橋ジエンゴムを試料サンプルとして電子顕微鏡観察を行うことができるが、更に試料を染色、固定することで電子顕微鏡観察をより容易に、より詳細に行うことが可能となる。すなわち、更に、染色剤を用いて上記樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを染色する工程(以降、染色工程ともいう。)を含むこともまた、本発明の試料作製方法の好適な実施形態の1つである。
上記染色工程において用いられる染色剤としては、架橋ジエンゴムのゴム鎖を良好に染色することができるものであれば特に制限されず、例えば、オスミウム、ルテニウム、ヨウ素、金、セレン、タングステンなどの各種の染色化合物を用いることができ、なかでも、更に重合性モノマーを染色しないものが望ましく、具体的には、試料中の炭素−炭素二重結合に付加する性質がある(炭素−炭素二重結合のある部分のみを染色する)四酸化オスミウムが好ましい。また、例えば、試料中のスチレン部分のみを染色する場合には、四酸化ルテニウム(RuO)などを用いることができる。
上記染色工程において、染色剤を用いて樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを染色する方法は、通常行われる方法により行うことができる。
本発明の試料作製方法の好ましい形態の一例を挙げると、架橋ジエンゴムとしてポリイソプレンゴムを用い、重合性モノマーとしてスチレンモノマー、染色剤として四酸化オスミウムを用いる形態が挙げられ、例えば、ポリイソプレンゴム(0.5cm×0.5cm×0.2cm)を、1〜100%濃度で充分な量のスチレンモノマー溶液で平衡膨潤させ、該スチレンモノマー溶液に過酸化ベンゾイルをスチレンモノマー100質量%に対して10〜70質量%、好ましくは30〜70質量%、加えて撹拌しながら重合、固化した後、得られた樹脂包埋架橋ジエンゴムを四酸化オスミウム溶液に浸漬することにより、架橋ジエンゴムのゴム鎖のみを染色、固定化した試料ゴムを調製することができる。
本発明はまた、上述した試料作製方法で作製した試料を、電子顕微鏡を用いて観察する工程を含み、当該電子顕微鏡が走査型電子顕微鏡、又は、透過型電子顕微鏡である試料観察方法でもある。
本発明の試料観察方法は、上述した本発明の試料作製方法により作製した試料を用いることから、架橋ジエンゴムの膨潤状態を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ジエンゴムを観察することができるものである。
上記電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡、又は、透過型電子顕微鏡を用いることができ、いずれの電子顕微鏡においても通常行われる方法により観察することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例で用いた各種薬品をまとめて説明する。
ポリイソプレンゴム:日本ゼオン(株)製のNipol IR2200
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
トルエン:和光純薬工業(株)製の1級トルエン
重合性モノマー(膨潤溶媒):米山薬品工業株式会社製のスチレンモノマー(純度:99%)
重合開始剤:和光純薬工業(株)製の過酸化ベンゾイル(含水率:25質量%)
四酸化オスミウム:東京化成工業(株)製の四酸化オスミウム(4%溶液)
(架橋ジエンゴムの作製)
下記表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴムを得た。次に得られた未加硫ゴムを150℃で30分間加硫して加硫ゴム(架橋ジエンゴム)を得た。得られた架橋ジエンゴム1gを充分量のトルエンに25℃で72時間浸漬し、膨潤させ、下記式により膨潤度を算出した。トルエンによる膨潤度を表1に示す。
(膨潤度[%])=〔(架橋ジエンゴムの膨潤後の体積)/(架橋ジエンゴムの膨潤前の体積)〕×100
Figure 2016056237
(樹脂包埋架橋ジエンゴムの作製及び透過型電子顕微鏡による観察)
充分量の重合性モノマー溶液に、得られた架橋ジエンゴム1gを25℃で72時間浸漬し、膨潤させた。その後、重合開始剤を下記表2に示す量添加し、オーブン中で静置し、70℃で48時間重合して、樹脂に包埋した膨潤ゴム(樹脂包埋架橋ジエンゴム)サンプルを得た。
樹脂包埋架橋ジエンゴムサンプルからクライオミクロトーム(JEOL社製のLeica EM FC7)を用いて薄膜状のゴム切片(長さ×幅×厚さ=5mm×5mm×100nm)を作製し、四酸化オスミウムにて染色(四酸化オスミウム蒸気雰囲気中に15分放置)の後、透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所社製のH−7100)を用いて、5万倍で3.23μmの範囲について観察を行った。樹脂包埋設条件、樹脂の硬化状態を下記表2に示す。
なお、表2中の膨潤度は、下記式より算出した。
(膨潤度[%])=〔(架橋ジエンゴムの膨潤後の体積)/(架橋ジエンゴムの膨潤前の体積)〕×100
また、架橋ゴムを包埋した樹脂が充分に硬化しておらず、未硬化の重合性モノマーを含む樹脂包埋架橋ジエンゴムを観察試料とすると、真空中の透過型電子顕微鏡測定室内に入れたときに未硬化の重合性モノマーが揮発するため、試料の重量が低下する。そこで、表2中の樹脂の硬化状態については、TEM観察前後で観察試料の重量を測定して、その重量変化率が5%以下である場合には、樹脂は完全に硬化していると判断した。他方、5%より大きく75%未満である場合には、樹脂は完全に硬化しておらず、架橋ジエンゴム内部の樹脂が未硬化であると判断し、75%以上である場合には、樹脂が硬化しなかったと判断した。なお、上記重量変化率は、下記式より算出した。
Figure 2016056237
Figure 2016056237
重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させた後、重合開始剤の存在下に当該重合性モノマーを重合させることで、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る際、重合開始剤の配合量が、重合性モノマー100質量%に対して10〜70質量%である実施例では、樹脂を完全に硬化させることができた。他方、重合開始剤の配合量が重合性モノマー100質量%に対して10質量%未満であったり、70質量%を越えたりした場合には(比較例)、樹脂が硬化しなかったり、架橋ジエンゴム内部の樹脂が充分に硬化しなかったりした。
そして、上述のように、実施例においては、架橋ゴムの内部まで樹脂を完全に硬化させることができていることから、観察試料の膨潤度を保ったまま、電子顕微鏡の試料室内を汚染することなく架橋ゴムを観察することができることが分かる。

Claims (4)

  1. 重合性モノマーを用いて架橋ジエンゴムを膨潤させる工程、及び、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマーを重合させて、樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを得る工程を含み、
    前記重合開始剤の配合量が、前記重合性モノマー100質量%に対して、10〜70質量%である
    ことを特徴とする試料作製方法。
  2. 更に、染色剤を用いて前記樹脂に包埋した架橋ジエンゴムを染色する工程を含む請求項1に記載の試料作製方法。
  3. 前記染色剤が、四酸化オスミウムである請求項2に記載の試料作製方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の試料作製方法で作製した試料を、電子顕微鏡を用いて観察する工程を含み、
    前記電子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡、又は、透過型電子顕微鏡である
    ことを特徴とする試料観察方法。
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