JP2016052963A - チタン酸リチウム粒子の製造方法およびリチウム二次電池用活物質 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、チタン源としてペルオキソチタン酸を用い、これにリチウム化合物を混合または溶解し、水熱処理し、洗浄、乾燥して、低温で焼成して、粒子径が小さく均一で、不純物相を含まないスピネル型チタン酸リチウムを製造する方法が提案されている。
特許文献2には、スピネル型チタン酸リチウムの結晶成長を抑制するNaもしくはKを添加して、高温で焼成を行う方法が提案されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を、簡単に製造できるチタン酸リチウム粒子の製造方法を提供することを課題としている。
請求項2に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含むことを特徴とする。
請求項6に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、前記焼成工程を行うことにより、平均粒子径が10〜7000nmの前記焼成物を得ることを特徴とする。
請求項8に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記混合工程において、分散媒を用いて前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを液相混合し、前記焼成工程の前に、前記ミセル構造体を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする。
請求項10に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記焼成工程において、前記ミセル構造体を50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温することを特徴とする。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を製造する方法である。本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有する。
酸化チタン粒子の平均粒子径は、以下のように定義されるものとする。透過型電子顕微鏡(TEM)により、複数の平均粒子径を倍率30万倍で観察し、視野上にある50個以上の酸化チタン粒子を選んで測定した平均値とする。
本実施形態では、アニオン界面活性剤として、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を用いることができる。硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、酸化チタン粒子の分散剤としての機能が優れている。しかも、硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、入手が容易である。
次に、凍結乾燥したミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程を行う。焼成工程では、ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を必要に応じて行った後、ミセル構造体を700〜900℃の最高到達温度まで昇温して2〜45時間加熱することにより焼成物を形成することが好ましい。
また、焼成する際のミセル構造体の最高到達温度が1000℃以下であるので、カーボン被覆層によって、リチウムが揮発することによるチタン酸リチウム粒子の組成の変化を防止できるとともに、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化が防止される。したがって、Li4Ti5O12を高純度で含み、平均粒子径が十分に小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。焼成する際のミセル構造体の最高到達温度は、900℃以下であることが好ましい。焼成する際のミセル構造体の温度が900℃以下であると、リチウムの揮発が抑制されてチタン酸リチウム粒子の組成の変化を効果的に防止できるとともに、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化をより効果的に抑制できる。このため、Li4Ti5O12をより高純度で含み、平均粒子径が十分に小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
平均粒子径が14nmのTiO2を0.733mgと、アニオン界面活性剤であるドデシル硫酸リチウム(LDS:Lithium Dodecyl Sulfate)2.00mgとをメノウ乳鉢にて混合した(混合工程)。酸化チタン粒子とドデシル硫酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
得られた混合粉体を、5%のH2を含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のH2を含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して焼成物を得た(焼成工程)。
100mLの水にアニオン界面活性剤であるドデシル硫酸リチウム(LDS)2.00mgを溶解した溶液に、平均粒子径が14nmのTiO2を0.733mg加えて超音波装置により分散させて分散液とした(混合工程)。酸化チタン粒子とドデシル硫酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
なお、混合工程によって得られた分散液が安定に均一分散していることを目視にて確認した。このことから、アニオン界面活性剤が酸化チタン表面に吸着し、ミセル構造体を形成していると判断した。
その後、分散液を凍結乾燥して水を除去し、得られた粉体を、5%のH2を含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のH2を含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して、焼成物を得た(焼成工程)。
実施例1と同様にして混合工程を行い、得られた混合粉体を5%のH2を含むAr雰囲気中で、400℃で2時間、500℃で2時間、600℃で2時間、700℃で2時間、800℃で15時間加熱して、焼成物を得た(焼成工程)。
平均粒子径が14nmのTiO2を0.733mgと、酢酸リチウム(CH3COOLi)0.485mgとをメノウ乳鉢にて混合した。酸化チタン粒子と酢酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
なお、混合工程によって得られた分散液は、しばらく時間が経過すると沈殿物が生じた。このことから、酢酸リチウムは酸化チタン粒子とミセル構造体を形成していないと判断した。したがって、比較例1では、酸化チタン粒子同士は十分に孤立化していないと推定される。
得られた混合粉体を、5%のH2を含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のH2を含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して、焼成物を得た。
その結果、実施例1では52.6nm、実施例2では43.0nm、実施例3では41.5nm、比較例1では63.4nmであった。
その結果、実施例1〜3では、表面にカーボン被覆層が形成されていることが確認できた。これに対し比較例1では、表面にカーボン被覆層が形成されていなかった。
また、実施例2では、分散媒を用いて酸化チタン粒子とアニオン性界面活性剤とを液相混合し、焼成工程の前に、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行ったため、実施例1と比較して、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られたものと推定される。
また、実施例3では、ミセル構造体を400℃で2時間加熱した後、最高到達温度に到達するまで、緩やかに温度を上昇させたため、実施例1と比較して、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られたものと推定される。
図1は、実施例1および比較例1において用いたTiO2粒子と、実施例1および比較例1において得られたLi4Ti5O12を含む粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真と透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図1(a)はTiO2粒子の写真であり、図1(b)は実施例1のLi4Ti5O12を含む粒子の写真であり、図1(c)は比較例1のLi4Ti5O12を含む粒子の写真である。また、図1(a)〜図1(c)においては、それぞれ上側2枚はSEM写真であり、下側2枚は透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
Claims (11)
- 酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、
前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有し、
前記アニオン性界面活性剤が、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有することを特徴とするチタン酸リチウム粒子の製造方法。 - 前記アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩、脂肪酸リチウム塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸リチウム、ステアリン酸リチウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ドデシルベンゼン硫酸リチウム、コール酸リチウム、デオキシコール酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、アルギン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸リチウムのホルマリン結合物、スチレン-無水マレイン酸リチウム共重合物、オレフィン・無水マレイン酸リチウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸リチウム共重合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記混合工程において、前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを、原子比でLi/Tiが0.48〜1.25となる範囲で混合することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、前記焼成工程を行うことにより、平均粒子径が10〜7000nmの前記焼成物を得ることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を行った後、最高到達温度まで昇温させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記混合工程において、分散媒を用いて前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを液相混合し、
前記焼成工程の前に、前記ミセル構造体を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。 - 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を700〜900℃で2〜45時間加熱することにより焼成物を形成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
- 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法を用いて製造したチタン酸リチウム粒子を含むことを特徴とするリチウム二次電池用活物質。
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