JP2016052963A - チタン酸リチウム粒子の製造方法およびリチウム二次電池用活物質 - Google Patents

チタン酸リチウム粒子の製造方法およびリチウム二次電池用活物質 Download PDF

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Abstract

【課題】表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を、簡単に製造できるチタン酸リチウム粒子の製造方法を提供する。【解決手段】酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有し、前記アニオン性界面活性剤が、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有するチタン酸リチウム粒子の製造方法とする。アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、チタン酸リチウム粒子の製造方法およびリチウム二次電池用活物質に関する。
近年、リチウム二次電池として、チタン酸リチウムを含む活物質を用いたものが注目されている。例えば、チタン酸リチウムであるLiTi12で表されるスピネル型チタン酸リチウム粒子を、負極活物質として用いたリチウム二次電池がある。このようなリチウム二次電池は、負極でのリチウム金属の析出が生じにくく、安全性が高い。また、このリチウム二次電池は、充放電に伴う負極活物質の体積変化が小さいため、優れたサイクル特性が得られる。
スピネル型チタン酸リチウム粒子を活物質として用いたリチウム二次電池では、スピネル型チタン酸リチウム粒子の粒径が小さい程、リチウムイオンの拡散速度が大きくなり、リチウムイオンの伝導性が向上する。また、スピネル型チタン酸リチウム粒子の粒径が小さい程、これを用いたリチウム二次電池において、充放電の繰り返しによる粒子の微粉化が抑制され、サイクル特性が向上する。したがって、活物質として用いるスピネル型チタン酸リチウム粒子は、粒径の小さいものであることが好ましい。
従来、粒径の小さいスピネル型チタン酸リチウム粒子を製造する方法として、例えば、特許文献1および特許文献2に記載の製造方法がある。
特許文献1には、チタン源としてペルオキソチタン酸を用い、これにリチウム化合物を混合または溶解し、水熱処理し、洗浄、乾燥して、低温で焼成して、粒子径が小さく均一で、不純物相を含まないスピネル型チタン酸リチウムを製造する方法が提案されている。
特許文献2には、スピネル型チタン酸リチウムの結晶成長を抑制するNaもしくはKを添加して、高温で焼成を行う方法が提案されている。
また、活物質として、カーボンを含むカーボン被覆層でチタン酸リチウムの表面を被覆した粒子を用いることが提案されている。この活物質を用いたリチウム二次電池では、以下に示す効果が得られる。すなわち、チタン酸リチウムの表面を被覆しているカーボン被覆層による導電性向上機能によって、優れた出力特性を有するリチウム二次電池が得られる。また、カーボン被覆層によって、活物質がリチウムを吸蔵することによる体積膨張が抑制されるとともに、充放電の繰り返しによる粒子の微粉化が抑制されるため、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する。
表面にカーボン被覆層を備えたチタン酸リチウム粒子の製造方法として、例えば、特許文献3には、酸化チタン、水酸化リチウム、硫酸マグネシウムの混合懸濁液の反応生成物に、アセチレンブラックの水分散溶液を添加して乾燥し、得られた乾燥粉末を焼成する方法が記載されている。
特開2010−228980号公報 特開2009−32704号公報 国際公開第2012/029697号
しかしながら、従来の表面にカーボン被覆層を有するチタン酸リチウム粒子の製造方法は、製造工程が複雑であった。このため、表面にカーボン被覆層を有するチタン酸リチウム粒子を、簡単に製造できる製造方法を提供することが要求されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を、簡単に製造できるチタン酸リチウム粒子の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有し、前記アニオン性界面活性剤が、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有することを特徴とする。
請求項2に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含むことを特徴とする。
請求項3に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩、脂肪酸リチウム塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
請求項4に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸リチウム、ステアリン酸リチウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ドデシルベンゼン硫酸リチウム、コール酸リチウム、デオキシコール酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、アルギン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸リチウムのホルマリン結合物、スチレン-無水マレイン酸リチウム共重合物、オレフィン・無水マレイン酸リチウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸リチウム共重合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
請求項5に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記混合工程において、前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを、原子比でLi/Tiが0.48〜1.25となる範囲で混合することを特徴とする。
請求項6に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、前記焼成工程を行うことにより、平均粒子径が10〜7000nmの前記焼成物を得ることを特徴とする。
請求項7に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記焼成工程において、前記ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を行った後、最高到達温度まで昇温させることを特徴とする。
請求項8に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記混合工程において、分散媒を用いて前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを液相混合し、前記焼成工程の前に、前記ミセル構造体を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする。
請求項9に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記焼成工程において、前記ミセル構造体を700〜900℃で2〜45時間加熱することにより焼成物を形成することを特徴とする。
請求項10に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法において、前記焼成工程において、前記ミセル構造体を50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温することを特徴とする。
請求項11に記載したリチウム二次電池用活物質は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法を用いて製造したチタン酸リチウム粒子を含むことを特徴とする。
請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程において、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有するアニオン性界面活性剤が、酸化チタン表面に吸着し、酸化チタン粒子の孤立を促す分散剤として機能する。その結果、混合工程において、酸化チタン粒子が安定した孤立分散状態を形成し、酸化チタン粒子の凝集が防止される。
また、ミセル構造体を600〜1000℃で焼成して焼成物とする焼成工程では、ミセル構造体を形成しているアニオン界面活性剤のリチウムを含む親水基がリチウム源として機能し、炭素鎖を含む親油基が炭素源として機能する。このため、焼成工程において、ミセル構造体を600℃以上の温度に昇温した時点では、既に酸化チタン粒子の表面にカーボン被覆層の一部または全部が形成されている。したがって、焼成工程においてチタン酸リチウム粒子を生成させる際のチタン酸リチウムの肥大化が、カーボン被覆層によって防止される。その結果、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
また、請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、焼成工程を行うことにより、カーボン被覆層を形成するための熱処理と、チタン酸リチウムを生成するための熱処理とを同時に行うことができる。したがって、請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、これらの熱処理を別々に行う場合と比較して、少ない工程で簡単に表面にカーボン被覆層を有するチタン酸リチウム粒子を製造できる。
また、請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法において用いるアニオン性界面活性剤は、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有するものであるので、炭素源およびリチウム源として機能する。したがって、例えば、混合工程において、酸化チタン粒子と炭素源とリチウム源とを混合する場合と比較して、使用する原料数が少なくて済み、簡単に表面にカーボン被覆層を有するチタン酸リチウム粒子を製造できる。
また、請求項1に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法によれば、チタン酸リチウム粒子の粒径を小さいものとするために、リチウム二次電池の性能を劣化させる可能性のあるNaもしくはKを用いる必要はない。したがって、請求項1に記載した発明において得られたチタン酸リチウム粒子を活物質として用いたリチウム二次電池では、チタン酸リチウム粒子の粒径を小さいものとするための添加物に起因する性能劣化を防止できる。
請求項2に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含む。硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、酸化チタン粒子の分散剤としての機能が優れている。このため、表面にカーボン被覆層を有するより粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。しかも、硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、入手が容易であるため、好ましい。
請求項3に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩、脂肪酸リチウム塩から選ばれる1種または2種以上である。これらのアニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の中でも特に、酸化チタン粒子の分散剤としての機能が優れているものであり、しかも入手が容易である。
請求項4に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸リチウム、ステアリン酸リチウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ドデシルベンゼン硫酸リチウム、コール酸リチウム、デオキシコール酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、アルギン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸リチウムのホルマリン結合物、スチレン-無水マレイン酸リチウム共重合物、オレフィン・無水マレイン酸リチウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸リチウム共重合物から選ばれるいずれか1種または2種以上であるので、アニオン性界面活性剤が酸化チタン粒子の表面に吸着しやすい。このため、混合工程において、ミセル構造体が形成されやすくなり、酸化チタン粒子の凝集をより効果的に防止できる。また、これらのアニオン性界面活性剤は、特に、混合工程において、分散媒として水を用いて液相混合を行う場合に、良好なミセル構造体を形成する。したがって、混合工程において、上記のアニオン性界面活性剤を用い、かつ水を用いて液相混合を行うことで、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られやすくなる。
請求項5に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、混合工程において、前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを、原子比でLi/Tiが0.48〜1.25となる範囲で混合する。このため、焼成工程において、アニオン性界面活性剤が酸化チタン粒子と反応して、LiTi12で表されるスピネル型チタン酸リチウムが生成されやすい。したがって、請求項5に記載した発明を用いて得られたチタン酸リチウム粒子は、LiTi12を高純度で含むものとなり、これを活物質として用いたリチウム二次電池は、高い電気容量の得られるものとなる。また、請求項5に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法によれば、焼成工程において、LiTi12よりも相対的にリチウム原子の含有量が多いLiTiOなどのチタン酸リチウムが生成されにくい。LiTiOは、これを活物質として用いたリチウム二次電池の電気容量を低下させる原因となるものであるため、生成されないことが好ましい。
請求項6に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、前記焼成工程を行うことにより、平均粒子径が10〜7000nmの前記焼成物を得るので、これを用いたリチウム二次電池におけるリチウムイオンの拡散速度が大きいものとなるとともに、充放電の繰り返しによる粒子の微粉化が抑制され、優れたサイクル特性が得られるものとなる。
請求項7に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、前記焼成工程において、前記ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を行った後、最高到達温度まで昇温させる。このため、焼成工程において、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤に含まれるリチウムとが反応する前に、既に酸化チタン粒子の表面にカーボン被覆層が充分に形成されている。したがって、カーボン被覆層によって、チタン酸リチウム粒子を生成させる際のチタン酸リチウムの肥大化がより効果的に防止される。その結果、表面にカーボン被覆層を有し、より粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
請求項8に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法は、前記混合工程において、分散媒を用いて酸化チタン粒子とアニオン性界面活性剤とを液相混合し、焼成工程の前に、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を含む方法である。この方法では、混合工程において形成されたミセル構造体が、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行うことにより、硬くなる。このため、ミセル構造体の形状を維持したまま、すなわち、酸化チタン粒子がアニオン界面活性剤によって均一に被覆された状態で、ミセル構造体が焼成される。したがって、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行わない場合と比較して、焼成工程を行うことに起因するミセル構造体の破壊が生じにくい。その結果、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
請求項9に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、焼成工程において、前記ミセル構造体を700〜900℃で2〜45時間加熱することにより焼成物を形成する。よって、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤との反応が促進されるとともに、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化が抑制され、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
請求項10に記載したチタン酸リチウム粒子の製造方法では、焼成工程において、前記ミセル構造体を50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温するので、焼成工程における温度の上昇が緩やかである。このため、混合工程において形成されたミセル構造体が焼成工程において破壊されることを防止できる。また、焼成工程においてミセル構造体の一部が破壊されたとしても、昇温時の原子の熱拡散によりカーボン被覆層が形成されて修復される。その結果、酸化チタン粒子の表面全体にカーボン被覆層が形成され、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られやすくなるとともに、表面全面がカーボン被覆層で隙間なく被覆された高品質のチタン酸リチウム粒子が得られる。
請求項11に記載した発明は、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法を用いて製造したチタン酸リチウム粒子を含むリチウム二次電池用活物質であるので、簡単に製造でき、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を含むものとなる。
実施例1および比較例1において用いたTiO粒子と、実施例1および比較例1において得られたLiTi12を含む粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真と透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
次に、本発明を詳細に説明する。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を製造する方法である。本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有する。
酸化チタン粒子としては、平均粒子径が4nm〜1000nmのものを用いることが好ましい。さらに粒径の小さいチタン酸リチウム粒子を得るために、酸化チタン粒子の平均粒子径は、100nm以下のものであることが好ましい。
酸化チタン粒子の平均粒子径は、以下のように定義されるものとする。透過型電子顕微鏡(TEM)により、複数の平均粒子径を倍率30万倍で観察し、視野上にある50個以上の酸化チタン粒子を選んで測定した平均値とする。
本実施形態において用いるアニオン(陰イオン)界面活性剤は、リチウムを含む親水基と、炭素鎖(炭素原子数2以上)を含む親油基とを有する。このアニオン界面活性剤は、混合工程において、酸化チタン表面に吸着し、酸化チタン粒子とミセル構造体を形成し、酸化チタン粒子の孤立を促す分散剤として機能する。さらに、このアニオン界面活性剤は、焼成工程において、炭素源およびリチウム源として機能する。
本実施形態においては、アニオン界面活性剤として、1種または2種以上を用いることができる。
本実施形態では、アニオン界面活性剤として、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を用いることができる。硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、酸化チタン粒子の分散剤としての機能が優れている。しかも、硫酸リチウム塩およびカルボン酸リチウム塩は、入手が容易である。
また、アニオン界面活性剤として、アルキル硫酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩、脂肪酸リチウム塩から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらのアニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤の中でも特に、酸化チタン粒子の分散剤としての機能が優れている。しかも、これらのアニオン界面活性剤は、入手が容易である。
また、アニオン界面活性剤として、アルキル硫酸リチウム塩(R−OSOLi[式中のRは炭素原子数が5〜30の有機基である(以下の化学式中のRも同様)。])、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩(R−(C)SOLi)、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩(R−CH(SOLi)COOCH)、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩(R−O(CHCHO)SOLi)、脂肪酸リチウム塩(R−COOLi)を用いることができる。
アニオン界面活性剤を示す上記の各化学式におけるRが、炭素原子数5以上の有機基、好ましくは炭素原子数10以上の有機基であるアニオン界面活性剤は、混合工程においてミセル構造体が形成されやすく、アニオン界面活性剤による分散剤としての機能がより一層優れている。また、上記の各化学式におけるRが炭素原子数30以下の有機基、好ましくは炭素原子数20以下の有機基であるアニオン界面活性剤は、合成が容易である。さらに、Rが炭素原子数30以下の有機基、好ましくは炭素原子数20以下の有機基であるアニオン界面活性剤は、精製が容易であり、不純物が少ない。このため、製造したチタン酸リチウム粒子中に含まれるアニオン界面活性剤の不純物が、これを用いたリチウム二次電池の性能を劣化させることを防止できる。
また、上記の各化学式のRで示される炭素原子数5〜30の有機基は、長鎖アルキル基(C2n+1[式中のnは5〜30の整数である。])であることが好ましい。このような長鎖アルキル基を有するアニオン界面活性剤を用いた場合、より一層、混合工程においてミセル構造体が形成されやすいものとなる。
また、アニオン界面活性剤としては、炭素原子数5〜30の長鎖アルキル基を有し、リチウム原子数が1つである1価のリチウム塩を用いることが好ましい。このようなアニオン界面活性剤は、酸化チタン粒子の表面に吸着しやすく、ミセル構造体が非常に形成されやすい。炭素原子数5〜30の長鎖アルキル基を有する1価のリチウム塩としては、具体的には、例えば、アルキル硫酸リチウム(C2n+1SOLi[式中のnは5〜30の整数である。])、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸リチウム(C2n+1O(CO)SOLi[式中のnは12〜18の整数であり、mは0〜8の整数である。])、アルキルカルボン酸リチウム(C2n+1COLi[式中のnは5〜30の整数である。])が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤として、ドデシル硫酸リチウムを用いることが好ましい。ドデシル硫酸リチウムは、酸化チタン粒子の表面に非常に吸着しやすい。このため、アニオン界面活性剤として、ドデシル硫酸リチウムを用いることで、混合工程においてミセル構造体が形成されやすくなり、酸化チタン粒子の凝集がより効果的に防止され、より粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
本実施形態において用いるアニオン界面活性剤としては、具体的には、ドデシル硫酸リチウム、ステアリン酸リチウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ドデシルベンゼン硫酸リチウム、コール酸リチウム、デオキシコール酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、アルギン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸リチウムのホルマリン結合物、スチレン-無水マレイン酸リチウム共重合物、オレフィン・無水マレイン酸リチウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸リチウム共重合物から選ばれるいずれか1種または2種以上が挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤は、酸化チタン粒子の表面に吸着しやすい。このため、混合工程において、ミセル構造体が形成されやすく、酸化チタン粒子の凝集をより効果的に防止できる。また、これらのアニオン性界面活性剤は、特に、混合工程において、分散媒として水を用いて液相混合を行う場合に、良好なミセル構造体を形成する。したがって、混合工程において、上記のアニオン性界面活性剤を用い、かつ水を用いて液相混合を行うことで、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られやすくなる。
混合工程においては、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを原子比でLi/Tiが0.48〜1.25の範囲で混合することが好ましい。Li/Tiが低すぎると、アニオン性界面活性剤と反応しない未反応の酸化チタンの残存量が多くなる。Li/Tiが0.48以上であると、焼成工程において、アニオン界面活性剤が酸化チタン粒子と反応してLiTi12で表されるスピネル型チタン酸リチウムが容易に生成される。Li/Tiは、LiTi12の生成を促進するため、0.60以上であることがより好ましい。しかし、Li/Tiが1.25を超えると、ミセル構造体に、局所的に高濃度でリチウムが存在する部分が形成されやすくなる。高濃度でリチウムが存在する部分では、焼成工程において、LiTiOなどのLiTi12よりも相対的にリチウム原子の含有量が多いチタン酸リチウムが生成されやすくなる。したがって、Li/Tiは、1.25以下であることが好ましい。さらに、LiTi12以外のチタン酸リチウムの生成を防止するために、Li/Tiは0.80以下であることがより好ましい。
酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤との混合方法は、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成できればよく、特に限定されるものではない。例えば、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とは、固相混合を行ってもよいし、液相混合を行ってもよい。具体的には、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを均一に混合するために、分散剤を用いて液相混合を行ってもよい。分散剤としては、有機溶媒、水等を用いることができる。酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを液相混合する場合には、例えば、超音波装置などを用いることができる。
本実施形態では、混合工程において、分散剤を用いて酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを液相混合した場合、焼成工程の前に、混合工程により得られたミセル構造体を凍結乾燥する工程を行うことが好ましい。
次に、凍結乾燥したミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程を行う。焼成工程では、ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を必要に応じて行った後、ミセル構造体を700〜900℃の最高到達温度まで昇温して2〜45時間加熱することにより焼成物を形成することが好ましい。
ミセル構造体を最高到達温度で焼成する前に、300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を行ってから昇温する場合、予備加熱において、酸化チタン粒子の表面に吸着したアニオン界面活性剤の炭素鎖を含む親油基(疎水基)が分解し、酸化チタン粒子の表面上にカーボン被覆層の一部または全部が形成される。そして、予備加熱後に昇温して加熱することで、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤に含まれるリチウムとが反応してチタン酸リチウム粒子が生成する。このように、予備加熱後に昇温して加熱する場合、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤に含まれるリチウムとが反応する前に、既に酸化チタン粒子の表面にカーボン被覆層が充分に形成されている。したがって、チタン酸リチウム粒子を生成させる際のチタン酸リチウムの肥大化を、カーボン被覆層によって効果的に防止できる。その結果、表面にカーボン被覆層を有し、より粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
本実施形態において使用するアニオン界面活性剤では、熱質量解析の結果から炭素鎖を含む親油基が200〜300℃で炭化し始めることが分かっている。したがって、予備加熱温度を300℃以上にすると、炭素鎖を含む親油基が分解し、酸化チタン粒子の表面上にカーボン被覆層が形成される。また、チタン酸リチウムは600℃以上の温度で生成する。したがって、予備加熱温度を500℃以下にすることで、予備加熱中に、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤に含まれるリチウムとが反応してチタン酸リチウムが生成されることを防止できる。よって、予備加熱温度が300℃以上500℃以下であると、酸化チタン粒子の表面上にカーボン被覆層を形成する効果が充分に得られる。
焼成する際のミセル構造体の最高到達温度が600℃以上であると、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを十分に反応させることができる。酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤との反応を促進するためには、焼成する際のミセル構造体の最高到達温度を700℃以上とすることが好ましい。
また、焼成する際のミセル構造体の最高到達温度が1000℃以下であるので、カーボン被覆層によって、リチウムが揮発することによるチタン酸リチウム粒子の組成の変化を防止できるとともに、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化が防止される。したがって、LiTi12を高純度で含み、平均粒子径が十分に小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。焼成する際のミセル構造体の最高到達温度は、900℃以下であることが好ましい。焼成する際のミセル構造体の温度が900℃以下であると、リチウムの揮発が抑制されてチタン酸リチウム粒子の組成の変化を効果的に防止できるとともに、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化をより効果的に抑制できる。このため、LiTi12をより高純度で含み、平均粒子径が十分に小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
焼成工程における最高到達温度での保持時間は、最高到達温度、要求されるチタン酸リチウム粒子の平均粒子径などに応じて、適宜決定できる。具体的には、例えば、2〜45時間であることが好ましい。最高到達温度での保持時間が、2時間以上であると、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを十分に反応をさせることができる。最高到達温度での保持時間が、45時間以下であると、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化を防止でき、より平均粒子径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法では、焼成工程において、ミセル構造体を最高到達温度に到達するまで緩やかに昇温させることが好ましい。ミセル構造体を最高到達温度に到達するまで緩やかに昇温させる方法としては、例えば、昇温過程の少なくとも一部において、50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温する方法とすることが好ましい。昇温過程の少なくとも一部において、50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温する方法としては、100℃ずつ400℃から700℃まで各温度で2時間ずつ保持してから昇温する方法とすることが好ましい。
焼成工程において、ミセル構造体を最高到達温度に到達するまで緩やかに昇温させると、混合工程において形成されたミセル構造体が焼成工程において破壊されることが防止される。また、焼成工程においてミセル構造体の一部が破壊されたとしても、昇温時の原子の熱拡散によりカーボン被覆層が形成されて破壊された部分が修復される。その結果、酸化チタン粒子の表面全体にカーボン被覆層が形成され、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られやすくなるとともに、表面全面がカーボン被覆層で隙間なく被覆された高品質のチタン酸リチウム粒子が得られる。
焼成工程における雰囲気は、Arなどの不活性ガス雰囲気であってもよいし、水素と不活性ガスとからなる雰囲気であってもよい。
本実施形態においては、酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、焼成工程を行うことにより、平均粒子径10〜7000nmのチタン酸リチウム粒子を焼成物として得ることが好ましい。平均粒子径10〜7000nmのチタン酸リチウム粒子は、平均粒子径が4nm〜1000nmの酸化チタン粒子を用いて本実施形態の製造方法により容易に得られる。焼成物であるチタン酸リチウム粒子の平均粒子径は、これを用いたリチウム二次電池において、リチウムイオンの伝導性およびサイクル特性を向上させる観点から、200nm以下であることが、より好ましい。
チタン酸リチウム粒子の平均粒子径は、以下のように定義されるものとする。透過型電子顕微鏡(TEM)により、複数の平均粒子径を倍率30万倍で観察し、視野上にある50個以上の酸化チタン粒子を選んで測定した平均値とする。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法では、酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程において、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有するアニオン性界面活性剤が、酸化チタン表面に吸着し、酸化チタン粒子の孤立を促す分散剤として機能する。このため、本実施形態では、混合工程において、酸化チタン粒子がアニオン界面活性剤によって覆われたミセル構造体が形成される。このことにより、各ミセル構造体が孤立分散化される。したがって、混合工程における酸化チタン粒子の凝集が防止され、焼成工程を行うことにより、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
また、ミセル構造体を600〜1000℃で焼成して焼成物とする焼成工程では、ミセル構造体を形成しているアニオン界面活性剤が、炭素源およびリチウム源として機能する。具体的には、焼成工程において、ミセル構造体の温度が200〜300℃に上昇すると、アニオン界面活性剤の炭素鎖を含む親油基の炭化が開始される。その後、ミセル構造体の温度が600℃以上の焼成温度に達するまでに、アニオン界面活性剤の炭素鎖を含む親油基の一部または全部が炭化して、酸化チタン粒子の表面にカーボン被覆層を形成する。そして、ミセル構造体の温度が600℃以上の焼成温度に達すると、アニオン界面活性剤のリチウムを含む親水基に由来するリチウムと酸化チタン粒子との反応が開始され、アニオン界面活性剤の炭素鎖を含む親油基に由来する炭素の炭化と、チタン酸リチウムの生成とが同時に進行する。
このように、焼成工程において、アニオン界面活性剤と酸化チタン粒子との反応が開始された時点では、既に酸化チタン粒子の表面にカーボン被覆層の一部または全部が形成されている。このため、本実施形態では、焼成工程におけるチタン酸リチウムの肥大化が、カーボン被覆層によって抑制される。その結果、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法の混合工程において、分散媒を用いて酸化チタン粒子とアニオン性界面活性剤とを液相混合し、焼成工程の前に、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行った場合、混合工程において形成されたミセル構造体が、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行うことにより、硬くなる。このため、ミセル構造体の形状を維持したまま、すなわち、酸化チタン粒子がアニオン界面活性剤によって均一に被覆された状態で、ミセル構造体が焼成される。したがって、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行わない場合と比較して、焼成工程を行うことに起因するミセル構造体の破壊が生じにくくなる。その結果、ミセル構造体の酸化チタン粒子を被覆しているアニオン界面活性剤が炭化して、酸化チタン粒子の表面に均一なカーボン被覆層が形成される。したがって、カーボン被覆層によるチタン酸リチウムの肥大化抑制効果が充分に得られ、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られる。
これに対し、混合工程において、分散剤を用いて酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを液相混合し、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行うことなく乾燥工程を行うと、混合工程において酸化チタン粒子の表面に均一に吸着したアニオン界面活性剤が、乾燥工程において吸脱着してしまい、酸化チタン粒子の表面におけるアニオン界面活性剤の被覆構造が不均一となる。この状態のミセル構造体を焼成すると、カーボン被覆層の欠損部が形成されて、チタン酸リチウムの肥大化が進行する場合がある。
本実施形態のチタン酸リチウム粒子の製造方法を用いて製造したチタン酸リチウム粒子は、簡単に製造でき、表面にカーボン被覆層を有する粒径の小さいものであり、リチウム二次電池用活物質として好適である。
本発明のチタン酸リチウム粒子の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、混合工程において、分散剤を用いて酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを液相混合し、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行う場合を例に挙げて説明したが、ミセル構造体を凍結乾燥する工程は、混合工程において液相混合を行った場合に、要求されるチタン酸リチウム粒子の平均粒子径および粒子径分布などに応じて必要に応じて行うものであり、行わなくてもよい。
「実施例1」
平均粒子径が14nmのTiOを0.733mgと、アニオン界面活性剤であるドデシル硫酸リチウム(LDS:Lithium Dodecyl Sulfate)2.00mgとをメノウ乳鉢にて混合した(混合工程)。酸化チタン粒子とドデシル硫酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
得られた混合粉体を、5%のHを含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のHを含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して焼成物を得た(焼成工程)。
「実施例2」
100mLの水にアニオン界面活性剤であるドデシル硫酸リチウム(LDS)2.00mgを溶解した溶液に、平均粒子径が14nmのTiOを0.733mg加えて超音波装置により分散させて分散液とした(混合工程)。酸化チタン粒子とドデシル硫酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
なお、混合工程によって得られた分散液が安定に均一分散していることを目視にて確認した。このことから、アニオン界面活性剤が酸化チタン表面に吸着し、ミセル構造体を形成していると判断した。
その後、分散液を凍結乾燥して水を除去し、得られた粉体を、5%のHを含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のHを含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して、焼成物を得た(焼成工程)。
「実施例3」
実施例1と同様にして混合工程を行い、得られた混合粉体を5%のHを含むAr雰囲気中で、400℃で2時間、500℃で2時間、600℃で2時間、700℃で2時間、800℃で15時間加熱して、焼成物を得た(焼成工程)。
「比較例1」
平均粒子径が14nmのTiOを0.733mgと、酢酸リチウム(CHCOOLi)0.485mgとをメノウ乳鉢にて混合した。酸化チタン粒子と酢酸リチウムとの混合比は、リチウムとチタンの原子比(Li:Ti)で4:5であった。
なお、混合工程によって得られた分散液は、しばらく時間が経過すると沈殿物が生じた。このことから、酢酸リチウムは酸化チタン粒子とミセル構造体を形成していないと判断した。したがって、比較例1では、酸化チタン粒子同士は十分に孤立化していないと推定される。
得られた混合粉体を、5%のHを含むAr雰囲気中、400℃で2時間加熱し、さらに5%のHを含むAr雰囲気中、800℃で8時間加熱して、焼成物を得た。
実施例1〜3、比較例1において得られた焼成物に対して、粉末X線回折(XRD)測定を行った。その結果、実施例1〜3、比較例1のいずれにおいても焼成物としてLiTi12を含む粒子が生成されていることが確認できた。
また、実施例1〜3、比較例1において得られたLiTi12を含む粒子の平均粒子径をXRDの測定結果を用いて、シェラーの式より求めた。
その結果、実施例1では52.6nm、実施例2では43.0nm、実施例3では41.5nm、比較例1では63.4nmであった。
また、実施例1〜3、比較例1において得られたLiTi12を含む粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)により、表面にカーボン被覆層が形成されているか否かを調べた。
その結果、実施例1〜3では、表面にカーボン被覆層が形成されていることが確認できた。これに対し比較例1では、表面にカーボン被覆層が形成されていなかった。
以上の結果より、実施例1〜3では、表面にカーボン被覆層が形成されているため、焼成工程においてチタン酸リチウム粒子を生成させる際のチタン酸リチウムの肥大化が防止されたと推定される。このため、実施例1〜3では、比較例1と比較して、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られたものと推定される。
また、実施例2では、分散媒を用いて酸化チタン粒子とアニオン性界面活性剤とを液相混合し、焼成工程の前に、ミセル構造体を凍結乾燥する工程を行ったため、実施例1と比較して、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られたものと推定される。
また、実施例3では、ミセル構造体を400℃で2時間加熱した後、最高到達温度に到達するまで、緩やかに温度を上昇させたため、実施例1と比較して、粒径の小さいチタン酸リチウム粒子が得られたものと推定される。
また、実施例1および比較例1において用いたTiO粒子と、実施例1および比較例1において得られたLiTi12を含む粒子とを、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。その結果を図1に示す。
図1は、実施例1および比較例1において用いたTiO粒子と、実施例1および比較例1において得られたLiTi12を含む粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真と透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図1(a)はTiO粒子の写真であり、図1(b)は実施例1のLiTi12を含む粒子の写真であり、図1(c)は比較例1のLiTi12を含む粒子の写真である。また、図1(a)〜図1(c)においては、それぞれ上側2枚はSEM写真であり、下側2枚は透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
図1に示すように、実施例1のLiTi12を含む粒子は、TiO粒子と比較して粒径が大きくなっているが、比較例1のLiTi12を含む粒子と比較して粒径が小さくなっている。これは、実施例1のLiTi12を含む粒子では、表面に形成されたカーボン被覆層によって、LiTi12を含む粒子の肥大化が防止されたためと推定される。

Claims (11)

  1. 酸化チタン粒子とアニオン界面活性剤とを混合してミセル構造体を形成する混合工程と、
    前記ミセル構造体を600〜1000℃の最高到達温度で焼成して焼成物とする焼成工程とを有し、
    前記アニオン性界面活性剤が、リチウムを含む親水基と炭素鎖を含む親油基とを有することを特徴とするチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  2. 前記アニオン性界面活性剤が、硫酸リチウム塩および/またはカルボン酸リチウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  3. 前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、α-スルホ脂肪酸エステルリチウム塩、アルキルエーテル硫酸エステルリチウム塩、脂肪酸リチウム塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  4. 前記アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸リチウム、ステアリン酸リチウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ドデシルベンゼン硫酸リチウム、コール酸リチウム、デオキシコール酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、アルギン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸リチウムのホルマリン結合物、スチレン-無水マレイン酸リチウム共重合物、オレフィン・無水マレイン酸リチウム共重合物、アクリルアミド・アクリル酸リチウム共重合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  5. 前記混合工程において、前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを、原子比でLi/Tiが0.48〜1.25となる範囲で混合することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  6. 前記酸化チタン粒子として平均粒子径が4〜1000nmのものを用い、前記焼成工程を行うことにより、平均粒子径が10〜7000nmの前記焼成物を得ることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  7. 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を300〜500℃で1〜5時間加熱する予備加熱を行った後、最高到達温度まで昇温させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  8. 前記混合工程において、分散媒を用いて前記酸化チタン粒子と前記アニオン性界面活性剤とを液相混合し、
    前記焼成工程の前に、前記ミセル構造体を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  9. 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を700〜900℃で2〜45時間加熱することにより焼成物を形成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  10. 前記焼成工程において、前記ミセル構造体を50〜150℃毎に10〜180分間保持して700℃まで昇温することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粒子の製造方法を用いて製造したチタン酸リチウム粒子を含むことを特徴とするリチウム二次電池用活物質。
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