JP2016052304A - ケーシングの改質剤、改質方法、改質されたケーシング、その製造方法およびそのケーシングを用いた食肉加工品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ソーセージ等の食肉加工品のケーシングの食感の改質剤、改質方法、改質されたケーシングおよびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】コラゲナーゼを有効成分とする、ソーセージなど食肉加工品のケーシングの改質剤、ケーシング処理方法、ソーセージなどの食肉加工品の製造方法、ソーセージなどの食肉加工品を提供する。本発明は、ソーセージ等の食肉加工品のケーシングの製造業、ソーセージ等の食肉加工品の製造業などにおいて利用できる。【選択図】図2
Description
本発明は、ケーシングの改質剤、改質方法、改質されたケーシング、その製造方法およびそのケーシングを用いた食肉加工品に関し、より詳細には食肉加工品などの食品におけるケーシングの改質剤、改質方法、改質されたケーシング、その製造方法およびそのケーシングを用いた食肉加工品に関する。
従来、ソーセージなどの食肉加工品のケーシングとして羊、豚、牛などの動物の天然腸が使用されている。しかし、このような天然腸のケーシングは、一般に人工ケーシングに比べ歯切れが悪く硬いものが多い。これらをソーセージなどに使用すると、歯切れが悪く、また硬さのために咀嚼後もケーシングの断片が口の中に残ることがあった。
このような天然腸の欠点を改良する方法として、例えば、食品乳化剤で処理することを特徴とする改質方法(特許文献1)などが知られている。それ以外にも、半製品である練り肉を天然腸ケーシングに充填したものを、酸性、あるいはアルカリ性に調整した温水で処理し、熱処理することを特徴とするソーセージ類の製造法(特許文献2)が知られている。
酵素を使用した天然腸または食用ケーシングの食感改善を特徴とする特許文献としては、パパイン、プロメラインとして知られているタンパク質分解酵素で処理することによりケーシングの食感を改善することを特徴とする改質方法(特許文献3)が知られている。その他にキノコまたはキウイフルーツ由来のタンパク質分解酵素で処理することを特徴とする改質方法(特許文献4)も知られている。
しかし、上記の方法で改質した天然腸をケーシングに使用しても、ソーセージの食感の改良において効果が十分ではなく、羊腸や豚腸の産地や部位によっては、さらなる品質改善が求められている。また、これらの酵素を使用すると処理が進みすぎることで、羊腸が破れるか、または、破損することが予想される。さらに、温度や時間を細かくコントロールする必要性があるという問題があった。
そこで、食肉加工品のケーシングの食感や硬さを改善する製剤や方法が求められていた。
本発明は、ケーシングの改質剤、改質方法、改質されたケーシング、その製造方法およびそのケーシングを用いた食肉加工品を提供することを目的とする。
本発明は、部位特異的に切断するプロテアーゼを有効成分とするケーシングの改質剤である。
1つの実施形態としては、前記部位特異的に切断するプロテアーゼは、結合組織タンパク質を特異的に分解するプロテアーゼである。
1つの実施形態としては、前記部位特異的に切断するプロテアーゼは、コラゲナーゼである。
1つの実施形態としては、前記コラゲナーゼが放線菌由来である。
本発明はまた、前記改質剤でケーシングを処理する方法である。
本発明はまた、前記改質剤で処理する工程を含むことを特徴とする、ケーシングの製造方法である。
本発明はまた、前記改質剤で処理する工程を含む製造方法により製造されたケーシングである。
本発明はまた、前記改質剤で処理する工程を含む製造方法により製造される食肉加工品である。
本発明はまた、前記改質剤で処理したケーシングまたは前記製造方法により製造されたケーシングに包入されることを特徴とする、食肉加工品である。
1つの実施形態としては、前記食肉加工品がソーセージである。
本発明はまた、前記改質剤でケーシングを処理する工程を含む、食肉加工品の製造方法である。
1つの実施形態としては、前記食肉加工品の製造方法は、前記改質剤で処理したケーシングに食材を包入する工程をさらに含む。
本発明によれば、食感の向上したケーシング、該ケーシングを用いた食肉加工品が得られる。
本発明は、食肉加工品のケーシングの改質剤に関する。本改質剤によればケーシングの弾力性を保持したままパリッとした食感(パリッと感)が改善される。パリッと感とは、ケーシングに詰められた食品を食した際のケーシングの破損に伴う食感をいい、例えば、ソーセージ類のパリッとした張りのある食感である。食肉加工品としてはケーシングに包入された食品であれば特に制限されないが、例えばハム、ソーセージが挙げられる。ソーセージとしては、フランクフルト・ソーセージ、ウインナー・ソーセージ、ボロニア・ソーセージ、サラミ・ソーセージ等が挙げられるがこれらに限られない。要は、食肉加工品は、羊、豚、牛等の腸などのケーシングに食肉を含む食材を包入されたものであればよい。
包入される食肉としては、例えば、牛、豚、鳥、魚類等の肉や植物由来のタンパク質加工品が挙げられる。これらの食肉を、例えば肉エマルジョンとして管状のケーシングに包入することができる。
本明細書においては、ケーシングとは、食肉などの食材を包入するための膜をいう。本発明の対象となるケーシングとしては、豚、羊または牛等動物の腸や、胃または食道が好ましく用いられるが、コラーゲンを含む限り人工ケーシングにも使用できる。
本発明は、ケーシングの処理方法を提供する。これは、本発明の改質剤をケーシングに処理することを特徴とする。本発明はさらに、歯切れが良く適度な硬さのソーセージなどの食肉加工品を製造できるケーシングの改質方法を提供する。本発明の方法でケーシングを処理することで、パリッと感および硬さの改質されたケーシング(例えば、動物天然腸に基づくケーシング)の製造方法が提供される。また、本発明によれば、食肉加工品を食した際に、ケーシングが、(例えば、ソーセージの皮として)口の中に残らないか、ほとんど残らなくなるという効果も有する。本発明によれば、ケーシングの破断強度の指標となる最大荷重低下割合を一定の範囲に収めやすく、ケーシングの柔軟化度合のコントロールがしやすい。最大荷重低下割合は、酵素なしの条件における最大荷重低下割合を0%とし、酵素を使用した条件で最大荷重が何%低下したかにより表され得る。この場合、最大荷重低下割合は、例えば、15%〜70%の範囲内であり、好ましくは、20%〜68%の範囲内である。
本発明のケーシングは、ケーシングを部位特異的に切断するプロテアーゼ(例えば、コラゲナーゼ)で処理することに特徴がある。従来のケーシング処理方法としては、特許文献3または特許文献4に開示されているように、植物由来のタンパク質分解酵素で処理する方法もあるが、これらの酵素は非特異的にタンパク質を分解するため、柔らかくなりすぎ、パリッと感がなくなるという問題があった。
本発明の改質剤は、部位特異的に切断するプロテアーゼを有効成分として含有する。部位特異的に切断するプロテアーゼとしては、タンパク質やペプチドを非特異的に分解するプロテアーゼ以外であって、アミノ酸配列または立体構造特異的に分解するプロテアーゼであれば特に制限無く使用できる。例えば、コラゲナーゼ、エラスターゼ、トリプシン等が挙げられるがこれらに限られない。これにより、パリッとしたケーシングが製造できる。
部位特異的に切断するプロテアーゼとしては、コラーゲンを分解するコラゲナーゼが好ましく用いられる。本発明において用いられる部位特異的に切断するプロテアーゼ(例えば、コラゲナーゼ)は、例えば、非特異的にタンパク質を切断するパパイン等のプロテアーゼとは異なり、結合組織の一部を部位特異的に切断するためケーシングの弾力は残るという特徴がある。これにより、パリッとした張りのある食感及び硬さの改質されたケーシング(例えば、動物天然腸に基づくケーシング)が製造できる。
本発明を構成するコラゲナーゼの種類としては、特に限定されず、市販の酵素であっても、コラゲナーゼを産生する生物より調製したものであっても、動物、植物または微生物由来のコラゲナーゼを遺伝子組換え技術によって調製したものであっても、DNAまたはアミノ酸の人工合成により作製されたもの由来であってもよい。コラゲナーゼとしては、例えば、放線菌、糸状菌、担子菌、細菌、酵母およびヒト由来のコラゲナーゼが挙げられるがこれらに限られない。放線菌由来のコラゲナーゼを含むコラゲナーゼ製剤が好ましい。このようなコラゲナーゼを産生し得る放線菌の例としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アクチノマイセス(Actinomyces)属、ノカルディア(Nocardia)属およびロドコッカス(Rhodococcus)属に属する放線菌が挙げられる。本発明の改質剤であるコラゲナーゼ製剤は、上記コラゲナーゼを1種類のみ含有していてもよく、複数種類を含有していてもよい。
上記コラゲナーゼ製剤は、本発明の製剤における製剤全体重量1gを基準とした場合、好ましくは0.1ユニット(U)〜1000ユニット(U)、より好ましくは1ユニット(U)〜100ユニット(U)の割合でコラゲナーゼを含有する。あるいは、上記コラゲナーゼ製剤は、コラゲナーゼ製剤全体の重量を基準として、例えばコラゲナーゼを0.01〜20重量%、好ましくは、0.1〜10重量%含有する。本発明においては、このような範囲内でコラゲナーゼを含有していることにより、ケーシングに対する改質効果を十分に発揮することができる。なお、コラゲナーゼの活性は、例えば、0.6%ミルクカゼイン(pH7.5、M/25リン酸緩衝液)5mLに1mLの酵素液を加え、30℃にて10分間反応させ、1分間に1μgのチロシンに相当するフォリン発色をトリクロロ酢酸(TCA)可溶性成分として遊離する酵素量を1ユニット(U:酵素活性単位)とすることにより算出することができる。
本発明の改質剤は、部位特異的に切断するプロテアーゼ(例えば、コラゲナーゼ)のみで構成されていてもよく、あるいは当該プロテアーゼが有する効果を阻害しない程度において、賦形剤、pH調整剤などの酵素製剤が通常含有し得る他の成分を含有していてもよい。他の成分として含有し得る賦形剤としては、特に限定されず、例えば、グルコース、乳糖、トレハロースなどの糖、マルチトール、ソルビトールなどの糖アルコール、デキストリン、デンプン、ペクチン、マンナンなどの多糖類、ガム類、および無機塩類(食塩など)が挙げられる。pH調整剤としては、特に限定されず、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびリン酸または縮合リン酸およびそれらの塩が挙げられる。また、必要に応じて、他の種類のタンパク質分解酵素などの酵素を添加してもよい。改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)に含有される当該他の成分の含有量は特に限定されず、当業者によって任意の量が選択され得る。
改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)の形態もまた特に限定されない。例えば、粉末状、ペースト状、液状のいずれであってもよい。
さらに処理に付されるケーシングは、例えば、生の動物の腸、冷凍された腸または乾燥された腸であってもよい。
本発明の改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)を用いたケーシングの処理は、例えば以下のようにして行われる。
まずケーシングに対して改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)で処理が施される。例えば、粉末状、ペースト状、液状等のコラゲナーゼ製剤を直接ケーシングと接触させられる。コラゲナーゼ製剤の添加量は、ケーシングの種類、処理温度、処理時間、および/または処理方法に依存し得る。コラゲナーゼ製剤は、例えば、ケーシング1kgあたり、1ユニット(U)〜10000ユニット(U)、好ましくは、10ユニット(U)〜1000ユニット(U)のコラゲナーゼで処理されるように添加されるが、これに限定されない。
例えば、改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)を含有する溶液(溶媒としては、例えば、水(例えば、水道水、蒸留水およびイオン交換水)が用いられ得る)を調製し、これがケーシングと接触させられる。ケーシングと改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)を含有する溶液との接触は、例えば、ケーシングを当該溶液を含む浴に漬け込む方法、ケーシングを減圧下で当該溶液を含む浴に漬け込む方法、ケーシングに当該溶液をスプレーまたは塗布する方法、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、コラゲナーゼ製剤である改質剤を含有する溶液の浴中にケーシングを浸漬処理する場合、コラゲナーゼの由来に依存し得るが、溶液中のコラゲナーゼの濃度を、例えば、1リットル(L)あたり、1ユニット(U)〜10000ユニット(U)、好ましくは、10ユニット(U)〜1000ユニット(U)の濃度とすることができる。
なお、本発明のケーシングおよび/または食肉加工品(例えば、ソーセージ)の製造方法において、処理に要する温度は、特に限定されないが、使用する改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)中のプロテアーゼの酵素活性が充分に引き出される程度の温度、例えば0℃〜80℃に設定することができる。より好ましくは10℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。さらに、本発明のケーシングおよび/またはソーセージの製造方法において、処理に要するpHもまた、特に限定されないが、使用する改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)の活性を充分に引き出す目的で、例えば2〜12、好ましくは3〜10のpHに設定することができる。
また、本発明においては、改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)を充分に作用させるため、処理においてケーシングは適切な時間および温度をかけて熟成させることが望ましい。熟成に要する時間および温度は、使用するケーシングの種類や形態、他の素材の有無、加工されるケーシングの種類および形態等によって変動するため、特に限定されず、当業者によって適切な熟成時間および熟成温度が適宜選択され得る。
さらに、ケーシングに接触した改質剤中の酵素を失活させ得る。このような失活は、処理後に当該酵素が失活する温度での加熱工程を設けて行ってもよく、または食肉加工品の製造中の工程における加熱工程(例えば、蒸煮工程)で行ってもよい。
改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)で処理したケーシングは、食品の保存に通常用いられ得る低温(例えば、0℃〜5℃)および冷凍下で保存し得る。よって、本発明によって処理または製造されたケーシングは、食肉加工品の製造までの間の保存、輸送などに好適である。
食肉加工品は、改質剤(例えば、コラゲナーゼ製剤)で処理したケーシングに食材を包入することによって、製造され得る。食肉加工品の製造方法は、当業者によって適宜選択され得る。例えば、ソーセージは、図1に示す工程フローに従って製造され得る。食肉加工品の製造方法において加熱(例えば、蒸煮)の工程がある場合、この加熱工程にて、改質剤の酵素の失活を行うこともできる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
試験酵素としては以下の酵素を使用した。
コラゲナーゼ(ナガセケムテックス社製NAGAZYME−01、30ユニット(U)/g)
市販パパイン製剤
コラゲナーゼ(ナガセケムテックス社製NAGAZYME−01、30ユニット(U)/g)
市販パパイン製剤
<試験例1>
(ケーシング処理方法およびウインナー・ソーセージ製造方法)
酵素を表1または表2の濃度(重量%(表中「%」は「重量%」を表す)および1リットル(L)当たりの酵素活性単位(U)(「U/L」)にて示す)で水道水に溶解して、予め塩抜き(脱塩)した4mの羊腸(中国産)を漬込んで処理を行った。工程フローを図1に示す。塩漬羊腸(中国品)を水戻しし、この水戻しした羊腸を、酵素を溶解させた溶液に5℃で16時間または37℃で1時間浸漬させた。処理済み羊腸に肉を詰め、乾燥、スモーク、蒸煮、冷却の工程にてウインナーを製造した。これを煮沸しない程度のお湯で3分間加熱したものについてパネラーによる官能評価を行った。
(ケーシング処理方法およびウインナー・ソーセージ製造方法)
酵素を表1または表2の濃度(重量%(表中「%」は「重量%」を表す)および1リットル(L)当たりの酵素活性単位(U)(「U/L」)にて示す)で水道水に溶解して、予め塩抜き(脱塩)した4mの羊腸(中国産)を漬込んで処理を行った。工程フローを図1に示す。塩漬羊腸(中国品)を水戻しし、この水戻しした羊腸を、酵素を溶解させた溶液に5℃で16時間または37℃で1時間浸漬させた。処理済み羊腸に肉を詰め、乾燥、スモーク、蒸煮、冷却の工程にてウインナーを製造した。これを煮沸しない程度のお湯で3分間加熱したものについてパネラーによる官能評価を行った。
条件1:表1の組成の酵素液で5℃で一晩(16時間)処理した。
条件2:表2の組成の酵素液で37℃で1時間処理した。
(評価の方法および結果)
評価方法は、処理した羊腸を用いてウインナー・ソーセージを製造し、パネラーによる官能評価により行った。評価項目は、羊腸の食感(歯切れ)および皮の残り具合を評価した。結果を表3に示す。
評価方法は、処理した羊腸を用いてウインナー・ソーセージを製造し、パネラーによる官能評価により行った。評価項目は、羊腸の食感(歯切れ)および皮の残り具合を評価した。結果を表3に示す。
表3によると、酵素を添加していない対照区(比較例1および3)ではパリッと感も少なく、口の中に皮が残った。パパイン処理ソーセージは、皮は残らなかったが、パリッと感は少なかった(表3、比較例2および4)。コラゲナーゼ処理ソーセージはパリッと感があり、皮も感じないか、ほとんど気にならなかった。これはコラゲナーゼが腸を程良く軟化し、食感を改善することができたためと考えられる(表3、実施例1、2、3および4)。
<試験例2>
(ケーシングの処理および評価方法)
酵素を表4の濃度(重量%(表中「%」は「重量%」を表す)および1リットル(L)当たりの酵素活性単位(U)(「U/L」)にて示す)で水道水に溶解して、予め塩抜き(脱塩)した1mの羊腸(中国産)を漬込んで処理を行った。塩漬羊腸を水戻しし、水戻しした羊腸を、酵素を溶解させた溶液に25℃で2時間浸漬させた。処理済み羊腸は筒状であるが、これを切り開いた。この羊腸をピンと張った状態で固定し、レオメーター(株式会社サン科学製)を用いて、直径5mmの円柱で突き破る際の最大荷重を測定した。
(ケーシングの処理および評価方法)
酵素を表4の濃度(重量%(表中「%」は「重量%」を表す)および1リットル(L)当たりの酵素活性単位(U)(「U/L」)にて示す)で水道水に溶解して、予め塩抜き(脱塩)した1mの羊腸(中国産)を漬込んで処理を行った。塩漬羊腸を水戻しし、水戻しした羊腸を、酵素を溶解させた溶液に25℃で2時間浸漬させた。処理済み羊腸は筒状であるが、これを切り開いた。この羊腸をピンと張った状態で固定し、レオメーター(株式会社サン科学製)を用いて、直径5mmの円柱で突き破る際の最大荷重を測定した。
(結果)
酵素なしの条件における最大荷重低下割合を0%とし、酵素を使用した条件で、最大荷重が何%低下したかを求めた。表5に、この結果を示す。また、図2に、コラゲナーゼ(実施例5)で処理したケーシングの処理濃度に対する最大荷重低下割合を、そして図3に、市販パパイン製剤(比較例5)で処理したケーシングの処理濃度に対する最大荷重低下割合を、酵素濃度増加に対する低下割合の変化とともに示す。図2および図3はともに、横軸に酵素濃度、縦軸に最大荷重低下割合を示す。
酵素なしの条件における最大荷重低下割合を0%とし、酵素を使用した条件で、最大荷重が何%低下したかを求めた。表5に、この結果を示す。また、図2に、コラゲナーゼ(実施例5)で処理したケーシングの処理濃度に対する最大荷重低下割合を、そして図3に、市販パパイン製剤(比較例5)で処理したケーシングの処理濃度に対する最大荷重低下割合を、酵素濃度増加に対する低下割合の変化とともに示す。図2および図3はともに、横軸に酵素濃度、縦軸に最大荷重低下割合を示す。
図2および図3より、市販パパイン製剤(比較例5)では酵素濃度と最大荷重低下割合が比例関係にあるのに対し、コラゲナーゼ(実施例5)では酵素濃度が大きくなるにつれて、最大荷重低下割合の変化の割合が小さくなっていることがわかる。すなわち、コラゲナーゼ(実施例5)の酵素濃度増大に対する最大荷重低下割合の変化は、市販パパイン製剤(比較例5)の酵素濃度増大に対する最大荷重低下割合の変化と比べてゆるやかな傾向を示した。このように、コラゲナーゼを用いた場合は、パパインを用いた場合に比べて最大荷重低下割合を一定の範囲に収めやすく、柔軟化度合のコントロールがしやすいことがわかった。
本発明は、ソーセージなどの食肉加工品のケーシングの製造業、食肉加工品の製造業に利用できる。
Claims (10)
- 部位特異的に切断するプロテアーゼを有効成分とするケーシングの改質剤。
- 前記部位特異的に切断するプロテアーゼが、結合組織タンパク質を特異的に分解するプロテアーゼである、請求項1に記載のケーシングの改質剤。
- 前記部位特異的に切断するプロテアーゼがコラゲナーゼである、請求項1または2に記載のケーシングの改質剤。
- 前記コラゲナーゼが放線菌由来である請求項3に記載の改質剤。
- 請求項1から4のいずれかに記載の改質剤でケーシングを処理する方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の改質剤で処理する工程を含むことを特徴とする、ケーシングの製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の改質剤で処理する工程を含む製造方法により製造された、ケーシング。
- 請求項1から4のいずれかに記載の改質剤でケーシングを処理する工程を含む製造方法により製造される食肉加工品。
- 請求項5に記載の方法により処理され、もしくは請求項6に記載の製造方法で製造されたケーシングまたは請求項7に記載のケーシングに包入されることを特徴とする、食肉加工品。
- 前記食肉加工品がソーセージである、請求項8または9に記載の食肉加工品。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2014179624 | 2014-09-03 | ||
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Cited By (1)
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CN111802597A (zh) * | 2020-07-22 | 2020-10-23 | 哈尔滨学院 | 菠萝猪肉香肠的制作方法 |
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2015
- 2015-09-02 JP JP2015173087A patent/JP2016052304A/ja active Pending
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