JP2016050181A - 血管炎治療剤 - Google Patents

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克仁 池田
Katsuto Ikeda
克仁 池田
悠司 安田
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Abstract

【課題】抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療剤および治療方法の提供【解決手段】下記式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の組み合わせの治療上の有効量を治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ANCA関連血管炎の治療方法を提供する(式中、R1はメチル基、エチル基またはイソプロピル基を示し、R2は水素原子、−SO2NH2または−SO2CH3を示す)。【選択図】なし

Description

本発明は、血管炎の治療剤および治療方法、より詳しくは、抗好中球細胞質抗体(ANCA:anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎の新規な治療剤および治療方法に関する。
下記の式(I)で示される化合物は好中球エラスターゼ阻害活性を有する化合物であり、好中球エラスターゼが関与する様々な疾患への用途が期待されている(特許文献1)。
Figure 2016050181
一方、ステロイドおよび免疫抑制剤は広範な抗炎症作用を有し、ANCA関連血管炎を含む様々な炎症性疾患の治療に用いられている。
ANCA関連血管炎は、血中にANCAが検出されることを特徴とする原発性血管炎で、全身性の炎症性疾患である(非特許文献1)。その症状は、炎症により障害される部位によって異なり、急速進行性糸球体腎炎、肺出血、皮下出血、消化管出血など多彩であるが、その中でも腎臓および肺での症状が最も多く認められる。特に腎症状が悪化すると人工透析が必要になる非常に重篤な疾患である。
ANCA関連血管炎の薬物療法としては、炎症を抑制することを目的として主にステロイド、免疫抑制剤あるいはそれらの併用が用いられる。しかしながら、ステロイドと免疫抑制剤の2剤を併用しても血管炎症状を抑制できない重症例が存在することから、重症例を治療し得る治療法の確立が求められている。
国際公開第2013/018804
ANCA関連血管炎の診療ガイドライン 厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業、2011年2月28日発行
本発明の目的はANCA関連血管炎の治療剤および治療方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本願発明の式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の組み合わせにより、ANCA関連血管炎に対する治療効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[項1]
式(I):
Figure 2016050181
(式中、Rはメチル基、エチル基またはイソプロピル基を示し、Rは水素原子、−SONHまたは−SOCHを示す)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する、ANCA関連血管炎の治療剤。
[項2]
ステロイドがプレドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンおよびベタメタゾンリン酸エステルナトリウムからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩である、項1に記載の治療剤。
[項3]
免疫抑制剤がシクロフォスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、シロリムスおよびメトトレキサートからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩である、項1または2に記載の治療剤。
[項4]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項1〜3のいずれかに記載の治療剤。
[項5]
式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の組み合わせの治療上の有効量を治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ANCA関連血管炎の治療方法。
[項6]
ANCA関連血管炎の治療用医薬組成物を製造するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の使用。
[項7]
ANCA関連血管炎の治療に使用されるための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する医薬組成物。
[項8]
式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する、ANCA関連血管炎の治療のためのキット。
[項9]
ステロイドおよび免疫抑制剤と併用するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩を含有するANCA関連血管炎の治療剤。
[項10]
ステロイドおよび免疫抑制剤と併用することを特徴とするANCA関連血管炎の治療用医薬組成物を製造するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩の使用。
[項11]
ステロイドおよび免疫抑制剤と併用してANCA関連血管炎を治療することに使用するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩を含有する医薬組成物。
[項12]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項5に記載の治療方法。
[項13]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項6に記載の使用。
[項14]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項7に記載の医薬組成物。
[項15]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項8に記載のキット。
[項16]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項9に記載の治療剤。
[項17]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項10に記載の使用。
[項18]
式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、項11に記載の医薬組成物。
本発明の一つの態様において、本発明は、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩と他の抗炎症剤と併用することを含む、ANCA関連血管炎の治療方法に関する。ここで併用される他の抗炎症剤としては、ステロイドおよび免疫抑制剤が好ましく、その態様としては、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩の治療上の有効量、ステロイドの治療上の有効量および免疫抑制剤の治療上の有効量を同時に治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ANCA関連血管炎の治療方法に関するものである。
また、ここで用いられる式(I)で示される化合物で、好ましい化合物は、Rが-Me基であり、Rが-SONH基である1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドであり、より好ましい化合物は(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミド(以下、化合物Aと記載する場合もある)である。
また、ここで用いられるステロイドとしては、プレドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンおよびベタメタゾンリン酸エステルナトリウムからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩が好ましく、より好ましくはプレドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロン酢酸エステルからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩であり、さらにより好ましくは、プレドニゾロンまたはその薬学上許容される塩である。
また、ここで用いられる免疫抑制剤は、シクロフォスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、シロリムスおよびメトトレキサートからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩が好ましく、より好ましくはシクロフォスファミドまたはその薬学上許容される塩である。
本発明の別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩の有効量、ステロイドの有効量および免疫抑制剤の有効量を哺乳動物に投与することを含む、ANCA関連血管炎症状改善方法に関するものである。
本発明の別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含む、ANCA関連血管炎の治療のための薬学製品に関する。
本発明の別の態様において、本発明は、ステロイドと免疫抑制剤のANCA関連血管炎の治療効果を増強させるための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩の使用に関する。
本発明の好ましい態様において、本発明で用いられるステロイドは、これらに制限されないが、以下の表に挙げられた化合物およびその薬学上許容される酸付加塩を含む。より好ましくはプレドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロン酢酸エステルからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩である。さらにより好ましくは、プレドニゾロンまたはその薬学上許容される塩である。

(ステロイド一覧表)
Figure 2016050181

(ステロイド一覧表)
Figure 2016050181
また、本発明の好ましい態様において、本発明で用いられる免疫抑制剤は、これらに制限されないが、以下の表に挙げられた化合物およびその薬学上許容される酸付加塩を含む。より好ましくはシクロフォスファミドまたはその薬学上許容される塩である。

(免疫抑制剤一覧表)
Figure 2016050181
式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩をステロイドおよび免疫抑制剤と併用することで、そのステロイドと免疫抑制剤の併用によるANCA関連血管炎における腎症状、肺出血、消化管出血、皮下出血などの症状抑制効果を増強することができる。より詳細には、ANCA関連血管炎における腎症状抑制効果を大きく増強することが期待できる。また、抗MPO抗体が検出される割合が高い顕微鏡多発血管炎症状抑制効果を大きく増強することが期待できる。さらに、ステロイドおよび/又は免疫抑制剤抵抗性患者に対しても治療効果が期待できる。より詳細には、顕微鏡的多発血管炎のステロイドおよび/又は免疫抑制剤抵抗性の患者に対して治療効果が期待できる。
また、本発明は、ANCA関連血管炎以外の血管炎、例えば、ウェジナー肉芽腫症、限局型ウェジナー肉芽腫症、ウェジナー肉芽腫症性呼吸器障害、全身型ウェジナー肉芽腫症、大動脈炎症候群、多発性血管炎、壊死性血管炎、薬剤誘発性過敏性血管炎、壊疽性鼻炎、グッドパスチャー症候群、血栓性微小血管症、側頭動脈炎などに対する効果も期待できる。
図1は、実施例1のhMPO誘発ラットANCA関連血管炎モデルにおける各群の平均血尿スコアの経日変化をプロットしたものであり、エラーバーは標準誤差を示す。なお、縦軸の血尿スコアは、検査紙による測定結果の−、±、+、++、+++をそれぞれ、0、1、2、3、4点として示した。また、横軸はhMPO投与後の日数を示す。
本発明に関する化合物Aを含む式(I)の化合物は、特許文献1に記載の製造方法および実施例に従い製造することができる。
本発明における式(I)で示される化合物の薬学上許容される塩とは、構造中に酸付加塩を形成しうる基を有する式(I)の化合物の薬学上許容される酸付加塩、または構造中に塩基との塩を形成しうる基を有する式(I)の化合物の薬学上許容される塩基との塩を意味する。酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、およびリン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびトリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、ならびにグルタミン酸塩、およびアスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。塩基との塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、ピリジニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のような有機塩基との塩、およびリジン、アルギニン等のアミノ酸との塩が挙げられる。
式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物および/または溶媒和物もまた本発明の式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩に包含される。即ち、「式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩」には、式(I)で表される化合物およびそれらの薬学上許容される塩に加えて、これらの水和物および/または溶媒和物が含まれる。
また、式(I)で表される化合物およびそれらの薬学上許容される塩は、軸性キラリティ(アトロプ異性体)を生じることがあり、立体異性体として存在しうる。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物およびラセミ体も本発明の式(I)で表される化合物およびそれらの薬学上許容される塩に包含される。
本発明には式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩のプロドラッグの範囲も含まれる。一般的にかかるプロドラッグは、必要な化合物に生体内で容易に変換され得る本発明の化合物の機能性誘導体である。
本発明の具体的なプロドラッグは、これに制限されないが、例えば、Nature Reviews Drug Discovery, 2008, 7, 255-270に記載の方法などで製造することができる。
本発明で用いる「治療上の有効量」とは、組織、系、動物またはヒトにおいて、研究者または医師によって要求される生物学的または医薬的応答を誘発する薬物または医薬の量を意味する。
本発明で用いる「治療」とは、疾患のあらゆる治療(例えば、症状の改善、症状の軽減、症状の進行の抑制など)が含まれる。
本発明で用いる「薬学製品」とは、特定の量で特定の成分を含む製品、並びに特定の量で特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に生じるあらゆる製品を包含することを意図している。
本発明の式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤との組み合わせにおいて、3剤は別々に投与してもよく、また1つの医薬組成物として一緒に投与してもよい。また、本発明の組み合わせのいずれかの成分をその他の成分に対して先に、同時に、または後に投与してもよい。これらの成分は、単一剤形または分離した剤形のいずれの医薬製剤に調製してもよい。
本発明の活性成分の用量は特に制限されないが、ステロイドは1mg/日から1000mg/日の範囲、好ましくは20mg/日から500mg/日の範囲、免疫抑制剤は1mgから150mg/日の範囲、好ましくは20mg/日から500mg/日の範囲、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩は1mgから100mg/日の範囲、好ましくは30mgから70mg/日の範囲である。好適な投与量は投与回数、投与形態あるいは治療を要する疾病の病状の程度によって異なる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1
(方法)
ヒトミエロペルオキシダーゼ(hMPO)で免疫されたWKYラットはANCA関連血管炎様症状を発症することが知られている(参考文献1−(1):Am J Pathol (2009), 174(4), 1212-20.)。本発明者は、本方法を用いて化合物A、ステロイドおよび免疫抑制剤との併用効果を評価できるものと考え、以下の通りの実験を行った。
本発明におけるANCA関連血管炎ラットモデルは、上記参考文献1−(1)記載の条件に従い、下記の通り作製した。hMPO(EMD Biosciences)を完全フロイドアジュバン(シグマアルドリッチ)でエマルジョン化し、WKYラット(6週齢,日本チャールスリバー株式会社)に400μg/kgの用量で大腿部に筋肉内投与した。非病態対照群には、hMPOを含まない完全フロイドアジュバントエマルジョンを大腿部に筋肉内投与した。投与18日後にhMPOを投与したラットについては、試験紙によって測定される血尿スコアの平均が1.5程度になるように6例ずつ群分けし、化合物あるいは媒体の投与を開始した。化合物A、プレドニゾロン(シグマアルドリッチ)およびシクロフォスファミド一水和物(和光純薬工業)(以下、シクロフォスファミドと記す)はそれぞれ0.5%メチルセルロース(MC)に懸濁あるいは溶解させ、ラットに対して5mL/kgの懸濁液として経口投与に供した。なお、プレドニゾロン、シクロフォスファミド、および化合物Aの投与用量は、それぞれ、5mg/kg、5mg/kg、および3mg/kgとした。なお、プレドニゾロン、シクロフォスファミドは1日1回投与、化合物Aは1日2回投与した。投与開始から17日間、化合物を連日投与するとともに血尿スコアの測定を行った。最終日に、ラットに安楽死処置を施し、腎臓を摘出し、病理組織学的検査に供した。
(結果)
図1に示す通り、hMPO免疫/媒体投与群では、経日的に病態が悪化し、最終日の平均血尿スコアは3.5であった。それに対してhMPO免疫/プレドニゾロン、シクロフォスファミドの2剤併用群では、病態悪化が抑制される傾向があり、最終日の平均血尿スコアは2.7であった。hMPO免疫/プレドニゾロン、シクロフォスファミド、化合物Aの3剤併用群での最終日の平均スコアは、1.3であり、プレドニゾロン、シクロフォスファミドの2剤併用群よりも非常に強い抑制を示す傾向が認められた。なお、非病態対照群では、明らかな血尿スコアの変化は認められなかった。
また、下記表3に示す通り、病理組織学的検査においては、糸球体、ボーマン嚢上皮の増生及び半月体形成、尿細管上皮の変性/壊死、赤血球円柱の指標において病態群で軽度から中程度の変化が認められた。それらの指標に対してプレドニゾロン、シクロフォスファミドの2剤併用群では、抑制傾向を示した。プレドニゾロン、シクロフォスファミド、化合物Aの3剤併用では、プレドニゾロン、シクロフォスファミドの2剤併用群よりも明らかに強い抑制傾向が認められ、特に尿細管上皮の変性/壊死、赤血球円柱においては、プレドニゾロン、シクロフォスファミドの2剤併用群よりも非常に強い抑制傾向を示した。
(hMPO誘発ラットANCA関連血管炎モデルにおける病理組織学的検査結果)
Figure 2016050181
※病理組織学的検査結果を、0〜4までの5段階のグレード(0;著変なし、1;軽微、2;軽度、3;中等度、4;重度)で表示。
これらの結果より、プレドニゾロンとシクロフォスファミドに化合物Aを追加で併用することにより、プレドニゾロンとシクロフォスファミドの2剤併用よりも非常に強い効果が示されることが示唆された。
式(I)で示される化合物は、化合物Aと同様に好中球エラスターゼ阻害活性を有する化合物であり(特許文献1参照)、化合物Aと同様にステロイド(例えば、プレドニゾロン)および免疫抑制剤(例えば、シクロフォスファミド)と併用することで、そのステロイドと免疫抑制剤の2剤併用によるANCA関連血管炎症状抑制効果、より詳細には、ANCA関連血管炎における腎症状抑制効果を大きく増強することが期待できる。また、抗MPO抗体が検出される割合が高い顕微鏡多発血管炎症状抑制効果を大きく増強することが期待できる。さらに、ステロイドおよび/又は免疫抑制剤抵抗性患者に対しても治療効果が期待できる。より詳細には、顕微鏡的多発血管炎のステロイドおよび/又は免疫抑制剤抵抗性の患者に対しても治療効果が期待できる。
本願発明の式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を組み合わせることにより、ANCA関連血管炎の治療に効果があり、前記3剤を組み合わせた製剤、治療方法、治療キット等はANCA関連血管炎の治療に有用である。

Claims (11)

  1. 式(I):
    Figure 2016050181
    (式中、Rはメチル基、エチル基またはイソプロピル基を示し、Rは水素原子、−SONHまたは−SOCHを示す)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する、ANCA関連血管炎の治療剤。
  2. ステロイドがプレドニゾロン、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンおよびベタメタゾンリン酸エステルナトリウムからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩である、請求項1に記載の治療剤。
  3. 免疫抑制剤がシクロフォスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、シロリムスおよびメトトレキサートからなる群から選択される1または2以上の薬物またはその薬学上許容される塩である、請求項1または2に記載の治療剤。
  4. 式(I)で示される化合物が(+)-1−(4−シアノフェニル)−5−(3,6−ジメチル−2,4−ジオキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−スルホンアミドである、請求項1〜3のいずれかに記載の治療剤。
  5. 式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の組み合わせの治療上の有効量を治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ANCA関連血管炎の治療方法。
  6. ANCA関連血管炎の治療用医薬組成物を製造するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤の使用。
  7. ANCA関連血管炎の治療に使用されるための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する医薬組成物。
  8. 式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩、ステロイドおよび免疫抑制剤を含有する、ANCA関連血管炎の治療のためのキット。
  9. ステロイドおよび免疫抑制剤と併用するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩を含有するANCA関連血管炎の治療剤。
  10. ステロイドおよび免疫抑制剤と併用することを特徴とするANCA関連血管炎の治療用医薬組成物を製造するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩の使用。
  11. ステロイドおよび免疫抑制剤と併用してANCA関連血管炎を治療することに使用するための、式(I)で示される化合物またはその薬学上許容される塩を含有する医薬組成物。
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