JP2016049867A - ハイブリッド車 - Google Patents
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Abstract
【課題】EV走行中において、エンジンの負側に回転する程度を抑制し、エンジンの耐久性が悪化するのを抑制する。【解決手段】EV走行中にモータMG2の回転数Nm2が低下して回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満のときには(S120,S130)、モータMG1を駆動するインバータ41の三相をオンとする(S140)。これにより、モータMG1に回転を抑制する方向のトルクを生じさせてエンジン22が負側の回転(逆回転)する程度を抑制する。この結果、エンジン22が負側に回転する程度が大きくなることによる耐久性の悪化を抑制することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、ハイブリッド車に関する。
従来、この種のハイブリッド車としては、エンジンと、動力を入出力可能な発電機と、発電機の回転軸とエンジンの出力軸と車軸に連結された駆動軸とに共線図上でこの順に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、発電機用のインバータと、電動機用のインバータと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車では、走行中にシフトポジションがニュートラルとされたときには、基本的には、エンジンの運転を停止すると共に発電機用のインバータと電動機用のインバータとをシャットダウンする。このとき、電動機は車速により正側の回転数で回転し、エンジンの回転は停止しているため、発電機は車速によって連れ回されて負側の回転数で回転する。
上述のハイブリッド車では、エンジンの運転を停止した状態で電動機からの動力だけで走行する電動走行モード(EV走行モード)のときには、電動機からは走行用のトルクが出力され、エンジンは運転停止状態(回転停止)とされ、発電機からはトルクが出力されないようにインバータが制御される。このため、発電機は、走行により連れ回されて負側の回転数で回転する。この状態で、減速により電動機の回転数が低下すると、発電機は慣性の法則によりその回転数を維持しようとするため、エンジンが負側に回転(逆回転)しようとする。エンジンは、通常は正側にのみに回転するものであるため、負側への回転は想定されておらず、負側に回転する程度が大きくなると、その耐久性が悪化してしまう。
本発明のハイブリッド車は、EV走行中において、エンジンの負側に回転する程度を抑制し、エンジンの耐久性が悪化するのを抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車は、
エンジンと、動力の入出力が可能な第1電動機と、前記エンジンの出力軸と前記第1電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸とが共線図上で前記回転軸,前記出力軸,前記駆動軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力する第2電動機と、前記第1電動機を駆動する第1インバータと、前記第2電動機を駆動する第2インバータと、走行のために前記エンジンと前記第1インバータと前記第2インバータとを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド車において、
前記制御手段は、エンジンを運転停止した状態で前記第2電動機からの動力だけで走行する電動走行している最中に、前記第2電動機の回転数の変化速度が負の値の所定値未満のときには、前記第1インバータの三相をオンとする、
ことを特徴とする。
エンジンと、動力の入出力が可能な第1電動機と、前記エンジンの出力軸と前記第1電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸とが共線図上で前記回転軸,前記出力軸,前記駆動軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力する第2電動機と、前記第1電動機を駆動する第1インバータと、前記第2電動機を駆動する第2インバータと、走行のために前記エンジンと前記第1インバータと前記第2インバータとを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド車において、
前記制御手段は、エンジンを運転停止した状態で前記第2電動機からの動力だけで走行する電動走行している最中に、前記第2電動機の回転数の変化速度が負の値の所定値未満のときには、前記第1インバータの三相をオンとする、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド車では、遊星歯車機構の3つの回転要素に共線図上で第1電動機の回転軸,エンジンの出力軸,車軸に連結された駆動軸の順に接続されている。このため、エンジンを運転停止した状態で第2電動機からの動力だけで走行する電動走行では、通常は、エンジンが回転停止した状態で第1電動機が連れ回されて負側に回転する。こうした電動走行している最中に第2電動機の回転数の変化速度が負の値となると、即ち第2電動機の回転数が低下すると、連れ回されている第1電動機は慣性の法則によりそのときの回転数を維持しようとするため、エンジンを負側に回転(逆回転)させようとする。本発明のハイブリッド車では、第2電動機の回転数の変化速度が負の値の所定値未満のときには第1インバータの三相をオンとすることにより、負側に回転している第1電動機に正側に回転する方向のトルクを発生させ、第1電動機の負側の回転数を小さくすると共にエンジンに正側に回転する方向のトルクを作用させてエンジンが負側に回転しようとするのを抑制する。この結果、エンジンが負側に回転する程度を抑制することができ、エンジンが負側に回転する程度が大きくなることによる耐久性の悪化を抑制することができる。ここで、所定値としては、エンジンを負側に回転させることができる力をエンジンに作用させることができる程度の第2電動機の回転数の変化速度近傍の値が好ましく、エンジンの性状や第1電動機の慣性モーメントなどを考慮して実験などにより定めることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50と、インバータ41,42が接続された駆動電圧系電力ライン54aとバッテリ50が接続された電池電圧系電力ライン54bとに接続されて駆動電圧系電力ライン54aの電圧VHを電池電圧系電力ライン54bの電圧VL以上の範囲で調節すると共に駆動電圧系電力ライン54aと電池電圧系電力ライン54bとの間で電力のやりとりを行なう昇圧コンバータ55と、インバータ41,42を制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に昇圧コンバータ55を制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサからのクランクポジションθcrやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Twなどが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号が出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータMG1,MG2は、いずれも、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、図2に示すように、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜26と、トランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26と、により構成されている。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれ駆動電圧系電力ライン54aの正極母線と負極母線とに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。なお、駆動電圧系電力ライン54aの正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ57が接続されている。
昇圧コンバータ55は、図2に示すように、2つのトランジスタT51,T52とトランジスタT51,T52に逆方向に並列接続された2つのダイオードD51,D52とリアクトルLとからなる昇圧コンバータとして構成されている。2つのトランジスタT51,T52は、それぞれ駆動電圧系電力ライン54aの正極母線,駆動電圧系電力ライン54aおよび電池電圧系電力ライン54bの負極母線に接続されており、トランジスタT51,T52の接続点と電池電圧系電力ライン54bの正極母線とにリアクトルLが接続されている。なお、電池電圧系電力ライン54bの正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ58が接続されている。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26へのスイッチング制御信号や昇圧コンバータ55のトランジスタT51,T52へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧Vbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。HVECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。走行モードとしては、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御して走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)と、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御して走行する電動走行モード(EV走行モード)とがある。なお、EV走行モードのときには、モータMG1に対しては、モータMG1から値0のトルクが出力されるようインバータ41を制御するゼロトルク制御が実行される。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にEV走行モードで走行している最中にモータMG2の回転数Nm2が低下したときの動作について説明する。図3は、実施例のHVECU70により実行されるエンジン逆回転抑制処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
図3のエンジン逆回転抑制処理が実行されると、まず、HVECU70は、モータMG2の回転数Nm2を入力すると共に(ステップS100)、モータMG2の回転数Nm2の単位時間当たりの変化量としての回転数変化速度dNm2/dtを計算する(ステップS110)。ここで、モータMG2の回転数Nm2は、モータECU40により演算されたものを通信により入力するものとした。また、回転数変化速度dNm2/dtは、例えば、入力した回転数Nm2から前回この処理が実行されたときに入力した回転数Nm2(前回Nm2)を減じたものをこの処理の起動間隔時間Δtで除することにより計算することができる。
そして、EV走行モードであるか否かを判定し(ステップS120)、EV走行モードではないと判断されたときには、エンジン22の逆回転を抑制する処理は不要と判断し、本処理を終了する。一方、EV走行モードであると判定されたときには、計算した回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満であるか否かを判定し(ステップS130)、回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満のときには、モータMG1を駆動するインバータ41のトランジスタT11〜T16のうちの上アーム(T11〜T13)をオンとすると共に下アーム(T14〜T16)をオフとするか、あるいは、上アーム(T11〜T13)をオフとすると共に下アーム(T14〜T16)をオンとすることによってインバータ41の三相をオンとして(ステップS140)、本処理を終了する。ここで、所定値N1は、エンジン22を負側に回転させることができる力をエンジン22に作用させることができる程度のモータMG2の回転数Nm2の変化速度近傍の値であり、エンジン22の静止摩擦力やモータMG1の慣性モーメントなどを考慮して実験などにより予め定められるものである。いま、モータMG2の回転数Nm2が低下したときを考えているから、回転数変化速度dNm2/dtは負の値であり、回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満であるということは、回転数変化速度dNm2/dtの絶対値が所定値N1の絶対値より大きいことを意味している。インバータ41の三相をオンとした状態におけるモータMG1の回転数Nm1とモータMG1から出力されるトルクとの関係の一例を図4に示す。図示するように、インバータ41の三相をオンとした状態では、モータMG1からはその回転数Nm1に応じた回転数Nm2を減少させる方向のトルクが出力される。
図5は、EV走行モードでモータMG2の回転数Nm2が低下したときのプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を共線図を用いて説明する説明図である。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤの回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリアの回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤの回転数Nrを示す。いま、モータMG2の回転数Nm2が回転数Nm2(1)から回転数Nm2(2)に低下したときを考える。モータMG2の回転数Nm2が回転数Nm2(1)のときの状態は図中ではエンジン22の回転数Neが値0と通る実線で示されている。モータMG2の回転数Nm2が回転数Nm2(2)に低下したときにモータMG1に対してゼロトルク制御を実行すると、モータMG1の回転数Nm1は,慣性の法則によりその回転数Nm1(1)を保持しようとするが、エンジン22のフリクションにより減少するため、回転数Nm1(1)より絶対値が小さな負側の回転数Nm1(a)となる。この状態が図中の破線である。このとき、エンジン22は負側に回転する。一方、モータMG2の回転数Nm2が回転数Nm2(2)に低下したときにモータMG1のインバータ41の三相をオンとすると、モータMG1の回転数Nm1は,慣性の法則によりその回転数Nm1(1)を保持しようとするが、エンジン22のフリクションによる回転数の減少に加えて、インバータ41の三相オンに伴ってモータMG1にはその回転数Nm1(1)の絶対値を低下させる方向のトルクが生じて回転数の絶対値を減少させるため、回転数Nm1(a)より絶対値が小さな負側の回転数Nm1(b)となる。この状態が図中の一点鎖線である。なお、この一点鎖線のS軸に作用する矢印はモータMG1に生じるトルクを示す。このときもエンジン22は負側に回転するが、その程度は、モータMG1に対してゼロトルク制御を実行したとき(図中の破線)に比して小さい。即ち、EV走行中にモータMG2の回転数Nm2が低下したときに、モータMG1に対してゼロトルク制御を実行しているときに比して、インバータ41の三相をオンとしたときの方がエンジン22の負側の回転(逆回転)を抑制することができるのである。したがって、実施例のエンジン逆回転抑制処理では、モータMG2の回転数Nm2の回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満のときにインバータ41の三相をオンとすることにより、エンジン22の負側の回転(逆回転)を抑制することができる。
ステップS130で回転数変化速度dNm2/dtが所定値Nref以上であると判定されたときには、モータMG1に対してゼロトルク制御が実行されているときにはそのゼロトルク制御を継続し、インバータ41の三相がオンされているときにはインバータ41の三相オン状態を解除してモータMG1に対してゼロトルク制御を実行して(ステップS150)、本処理を終了する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、EV走行モードによって走行している最中にモータMG2の回転数Nm2が低下して回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満のときには、モータMG1を駆動するインバータ41の三相をオンとすることにより、モータMG1に回転を抑制する方向のトルクを生じさせてエンジン22が負側の回転(逆回転)する程度を抑制することができる。この結果、エンジン22が負側に回転する程度が大きくなることによる耐久性の悪化を抑制することができる。しかも、インバータ41の三相をオンとしてモータMG1に回転を抑制する方向のトルクを生じさせても、バッテリ50を充電しないから、バッテリ50の蓄電割合SOCに拘わらずに、モータMG1に回転を抑制する方向のトルクを生じさせることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、EV走行中にモータMG2の回転数Nm2の回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満に至ったときにモータMG1を駆動するインバータ41の三相をオンとするものとしたが、EV走行中にモータMG2の回転数Nm2が閾値N2以上の状態で回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満に至ったときにモータMG1を駆動するインバータ41の三相をオンとするものとしてもよい。即ち、EV走行中にモータMG2の回転数Nm2が閾値N2未満のときには回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満に至ってもモータMG1を駆動するインバータ41の三相をオンとしないのである。この場合のエンジン逆回転抑制処理の一例を図6に示す。図6では、モータMG2の回転数Nm2を入力して回転数変化速度dNm2/dtを計算した後に(ステップS100,S110)、EV走行モードであるか否かを判定し(ステップS120)、EV走行モードのときには、モータMG2の回転数Nm2が閾値N2以上であるか否かを判定する(ステップS125)。モータMG2の回転数Nm2が閾値N2以上のときには、回転数変化速度dNm2/dtが負の値の所定値N1未満であるか否かを判定し(ステップS130)、回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満のときには、インバータ41の三相をオンとして(ステップS140)、本処理を終了し、モータMG2の回転数Nm2が閾値N2未満のときには、モータMG1に対してゼロトルク制御が実行されているときにはそのゼロトルク制御を継続し、インバータ41の三相がオンされているときにはインバータ41の三相オン状態を解除してモータMG1に対してゼロトルク制御を実行して(ステップS150)、本処理を終了する。このように、EV走行モードでもモータMG2の回転数Nm2が閾値N2未満のときに回転数変化速度dNm2/dtに拘わらずにモータMG1に対してゼロトルク制御の実行を保持するのは、この状態ではモータMG1の回転数Nm1の絶対値は小さく、回転数変化速度dNm2/dtが所定値N1未満となってもエンジン22の負側に回転する程度は小さくなるからである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54a 駆動電圧系電力ライン、54b 電池電圧系電力ライン、55 昇圧コンバータ、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、D11〜D16,D21〜D26,D31〜D36,D51,D52 ダイオード、L リアクトル、MG1,MG2,MG3 モータ、T11〜T16,T21〜T26,T31〜T36,T51,T52 トランジスタ。
Claims (1)
- エンジンと、動力の入出力が可能な第1電動機と、前記エンジンの出力軸と前記第1電動機の回転軸と車軸に連結された駆動軸とが共線図上で前記回転軸,前記出力軸,前記駆動軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力する第2電動機と、前記第1電動機を駆動する第1インバータと、前記第2電動機を駆動する第2インバータと、走行のために前記エンジンと前記第1インバータと前記第2インバータとを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド車において、
前記制御手段は、エンジンを運転停止した状態で前記第2電動機からの動力だけで走行する電動走行している最中に、前記第2電動機の回転数の変化速度が負の値の所定値未満のときには、前記第1インバータの三相をオンとする、
ことを特徴とするハイブリッド車。
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2014
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