JP2016049099A - 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット - Google Patents

多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット Download PDF

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Abstract

【課題】高品質な心筋細胞を、大量に、安定して、安価に、かつ簡便に製造することが可能な多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットを提供すること。【解決手段】多能性幹細胞を浮遊培養し、胚様体を形成する胚様体形成工程と、前記胚様体を浮遊培養し、中胚葉を誘導する中胚葉誘導工程と、前記中胚葉誘導後の胚様体を浮遊培養し、心筋細胞を誘導する心筋細胞誘導工程とを含み、前記心筋細胞誘導工程が、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理とを含み、前記各工程における培地が、特定の培地であることを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法などである。【選択図】なし

Description

本発明は、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する培地添加剤、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する分化誘導調節剤、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットに関する。
近年、多能性幹細胞の1つである人工多能性幹細胞(以下、「iPS細胞」と称することがある)の研究が進められている。例えば、ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞は、再生医療、創薬研究、薬物安全性試験などの様々な用途への応用が期待されている。
再生医療では、例えば、自己のiPS細胞やバンキングされたiPS細胞から分化誘導された心筋細胞を心臓に移植することにより、失われた心臓の機能を回復させることが期待されている。また、創薬研究では、例えば、健常者のiPS細胞や難病患者から作製された疾患特異的iPS細胞から分化誘導された心筋細胞を解析やスクリーニングに利用し、循環器疾患や難病に対する新薬を開発することが期待されている。また、薬物安全性試験では、開発中もしくは開発された薬の心毒性のスクリーニングのために心筋細胞を用いたりすることが期待されている。
再生医療、創薬研究、薬物安全性試験などの様々な用途に心筋細胞が産業利用されるためには、多能性幹細胞から、大量に、安定して心筋細胞を得る必要があり、そのためには心筋細胞を分化誘導する方法が、技術的に容易で少ない手順から構成されており、かつ安価な方法でなければならない。また、前記心筋細胞は、大きく明瞭なプラトー相を有する活動電位を示し、大きなピークカリウム電流(300pA以上)、ピークカルシウム電流(1nA以上)、ピークナトリウム電流(6.5nA以上)を安定して示す、高品質なものであることが好ましい。
これまでに、胚様体形成法で心筋細胞を分化誘導する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
前記提案では、フィーダー細胞上で培養されているiPS細胞を剥離した後、一旦フィーダー細胞が無い状態で平面培養し、再度剥離した後に浮遊培養を行っている(図1参照)。また、前記提案では、浮遊培養時の培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、培地添加剤として、L−グルタミンを2mM、トランスフェリンを150μg/mL、アスコルビン酸を50μg/mL、1−チオグリセロールを50μg/mL加えた培地を用い、分化誘導調節剤として、浮遊培養開始時から1日目までは骨形成タンパク質4(以下、「BMP4」と称することがある)を0.5ng/mL添加し、1日目から4日目まではBMP4を10ng/mL、塩基性線維芽細胞成長因子(以下、「bFGF」と称することがある)を5ng/mL、及びアクチビンAを6ng/mL添加し、4日目から8日目までは血管内皮増殖因子(以下、「VEGF」と称することがある)を10ng/mL、及び分泌タンパク質Dickkopf1(以下、「Dkk−1」と称することがある)を150ng/mLを添加し、8日目以降はVEGFを10ng/mL、Dkk−1を150ng/mL、及びbFGFを5ng/mL添加することで心筋細胞への分化を誘導している。
前記提案によれば、浮遊培養(三次元培養)により心筋細胞へ分化誘導することができるので、大量に心筋細胞を得ることができると考えられる。
しかしながら、前記提案では、高価で製造業者間による品質の差やロット間差の大きいサイトカイン(アクチビンA、BMP4、Dkk−1、bFGF、及びVEGF)が用いられており、また、StemPro(登録商標)34には、毒物である2−メルカプトエタノール、成分が明らかでない脂質成分であるHuman−ExCyte、及び高価でロット間差が大きいヒト血清アルブミンが用いられているため、安全性に優れ、安定して、安価に心筋細胞を得ることができないという問題がある。
また、サイトカインを使わずに心筋細胞を分化誘導する方法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
前記提案では、フィーダーレス培養後、単細胞に単離し、その後、高密度で播種し、接着培養を行っている(図2参照)。
前記提案によれば、高価でロット間差の大きいサイトカインではなく、CHIR99021やIWP2などの低分子化合物を用いているため、安定に、安価に心筋細胞を得ることができると考えられる。
しかしながら、前記提案は、接着培養により行われるものであり、大量に心筋細胞を得ることが困難であるという問題があり、また、フィーダーレス培養に馴化することが可能な細胞でなければ分化させることが困難であるという問題や、培養液を交換するタイミングが非常に厳密でかつ培養液を交換する際に細胞が剥がれやすいなど技術的に困難であるという問題がある。
また、接着培養と、浮遊培養とを併用し、心筋細胞を分化誘導する方法も提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
前記提案では、フィーダー細胞培養後、浮遊培養を行い、その後、接着培養を介して、更に浮遊培養を行っている(図3参照)。
前記提案によれば、高価でロット間差の大きいサイトカインではなく、CHIR99021、BIO、KY02111などの低分子化合物を用いているため、安定に、安価に心筋細胞を得ることができると考えられる。
しかしながら、前記提案は、接着培養と、浮遊培養とを併用するため、技術的に困難な複数の手順から構成されており、非常に煩雑であるという問題がある。
したがって、高品質な心筋細胞を、大量に、安定して、安価に、かつ簡便に製造することが可能な心筋細胞の分化誘導方法の開発が強く求められているのが現状である。
Yang L, et al.、 Human cardiovascular progenitor cells develop from a KDR+ embryonic−stem−cell−derived population.、 Nature.、 2008 May 22;453(7194):524−8 Lian X, et al.、 Robust cardiomyocyte differentiation from human pluripotent stem cells via temporal modulation of canonical Wnt signaling.、 Proc Natl Acad Sci U S A.、 2012 July 3;109(27):E1848−57 Minami I, et al.、 A small molecule that promotes cardiac differentiation of human pluripotent stem cells under defined, cytokine− and xeno−free conditions.、 Cell Rep.、 2012 Nov 29;2(5):1448−60
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高品質な心筋細胞を、大量に、安定して、安価に、かつ簡便に製造することが可能な多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 多能性幹細胞を浮遊培養し、胚様体を形成する胚様体形成工程と、
前記胚様体を浮遊培養し、中胚葉を誘導する中胚葉誘導工程と、
前記中胚葉誘導後の胚様体を浮遊培養し、心筋細胞を誘導する心筋細胞誘導工程とを含み、
前記心筋細胞誘導工程が、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理とを含み、
前記胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地のいずれかであり、
前記中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、トランスフォーミング増殖因子β(以下、「TGF−β」と称することがある)シグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第1の分化誘導培地が、基礎培地に、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、及び1−チオグリセロールを加えた培地であり、
前記第2の分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であり、
前記一液式分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、トランスフェリン、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であることを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<2> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する培地添加剤であって、
アルブミン及び1−チオグリセロールの少なくともいずれかを含むことを特徴とする培地添加剤である。
<3> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する分化誘導調節剤であって、
ROCK阻害剤、Wntシグナル活性化物質、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする分化誘導調節剤である。
<4> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地であって、
前記<2>に記載の培地添加剤と、
前記<3>に記載の分化誘導調節剤とを含み、
基礎培地が、ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする培地である。
<5> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地作製用キットであって、
前記<2>に記載の培地添加剤と、
前記<3>に記載の分化誘導調節剤と、
ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種の基礎培地とを含むことを特徴とする培地作製用キットである。
<6> 前記<4>に記載の培地、及び前記<5>に記載の培地作製用キットの少なくともいずれかを含むことを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットである。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高品質な心筋細胞を、大量に、安定して、安価に、かつ簡便に製造することが可能な多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作製用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットを提供することができる。
図1は、従来の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の一例を説明する図である。 図2は、従来の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の他の一例を説明する図である。 図3は、従来の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の他の一例を説明する図である。 図4は、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の一例を説明する図である。 図5は、試験例1の結果を示す図である。 図6は、試験例2におけるクローン1の結果を示す図である。 図7は、試験例2におけるクローン2の結果を示す図である。 図8は、試験例3の結果を示す図である。 図9は、試験例4におけるクローン1の結果を示す図である。 図10は、試験例4におけるクローン2の結果を示す図である。 図11は、試験例5の結果を示す図−1である。 図12は、試験例5の結果を示す図−2である。 図13は、試験例6の結果を示す図である。 図14は、試験例7におけるbFGFを添加した場合の結果を示す図である。 図15は、試験例7におけるCHIR99021を添加した場合の結果を示す図である。 図16は、試験例8の結果を示す図である。 図17は、試験例9の結果を示す図である。 図18は、試験例10の結果を示す図である。 図19は、試験例11の結果を示す図である。 図20は、試験例12の結果を示す図である。 図21は、試験例13の結果を示す図である。 図22は、試験例14の結果を示す図である。 図23は、試験例15の結果を示す図である。 図24は、試験例16の拍動している胚様体の割合を測定した結果を示す図である。 図25Aは、試験例16のパッチクランプ法で測定した活動電位の一例を示す図である。 図25Bは、試験例16のパッチクランプ法で測定したナトリウム電流の一例を示す図である。 図25Cは、試験例16のパッチクランプ法で測定したカリウム電流の一例を示す図である。 図25Dは、試験例16のパッチクランプ法で測定したカルシウム電流の一例を示す図である。 図26は、これまでに報告されているパッチクランプ法で測定した活動電位の結果の一例を示す図である。 図27は、これまでに報告されているパッチクランプ法で測定した活動電位の結果の他の一例を示す図である。
(多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法)
本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法は、胚様体形成工程と、中胚葉誘導工程と、心筋細胞誘導工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の一例を図4に示す。
図4中、Day 0〜1は、前記胚様体形成工程であり(胚様体形成工程開始0日目〜1日目)、Day 1〜3は、前記中胚葉誘導工程であり(胚様体形成工程開始1日目〜3日目)、Day 3〜6は、前記心筋細胞誘導工程における第1の心筋細胞誘導処理であり(胚様体形成工程開始3日目〜6日目)、Day 6以降は、前記心筋細胞誘導工程における第2の心筋細胞誘導処理である(胚様体形成工程開始6日目以降)。
また、図4中、Y27632、CHIR99021、IWP2、SB431542、及びエストラジオール(Estradiol)は、前記各工程の培地に添加する分化誘導調節剤の一例を示す。
<胚様体形成工程>
前記胚様体形成工程は、多能性幹細胞を浮遊培養し、胚様体を形成する工程である。
<<多能性幹細胞>>
前記多能性幹細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、iPS細胞、ES細胞などが挙げられる。これらの中でも、iPS細胞が好ましい。
前記多能性幹細胞の種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記多能性幹細胞の調製方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、後述するフィーダー細胞培養工程により未分化状態で維持されている多能性幹細胞をコロニー状に解離したものを前記胚様体形成工程に用いることができる。
<<培地>>
前記胚様体形成工程における培地(以下、「胚様体形成工程用培地」、「胚様体形成工程用培養液」と称することがある)は、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地のいずれかであり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−第1の分化誘導培地−
前記第1の分化誘導培地(以下、「第一培地」と称することがある)は、基礎培地に、培地添加剤(以下、「第1の分化誘導培地用培地添加剤」と称することがある)を加えた培地であり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−基礎培地−−
前記第1の分化誘導培地における基礎培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム(以下、「DMEM/F12」と称することがある)、イスコフ改変ダルベッコ培地(以下、「IMDM」と称することがある)、ダルベッコ改変イーグル培地(高グルコース)(以下、「DMEM(高グルコース)」と称することがある)、ダルベッコ改変イーグル培地(低グルコース)(以下、「DMEM(低グルコース)」と称することがある)、αMEM培地などが挙げられる。これらの中でも、心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、DMEM/F12、IMDMが好ましく、DMEM/F12がより好ましい。
前記DMEMは、高グルコースであってもよいし、低グルコースであってもよい。
前記基礎培地は、市販品を用いてもよいし、適宜調製したものを用いてもよい。
−−第1の分化誘導培地用培地添加剤−−
前記第1の分化誘導培地用培地添加剤は、インスリンと、トランスフェリンと、アルブミンと、1−チオグリセロールとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記第1の分化誘導培地におけるインスリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜100mg/Lが好ましく、5mg/L〜50mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるトランスフェリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜50mg/Lが好ましく、2mg/L〜20mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるアルブミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4,000mg/L〜16,000mg/Lが好ましく、6,000mg/L〜14,000mg/Lがより好ましく、8,000mg/L〜12,000mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記アルブミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト血清アルブミン、牛血清アルブミン、リコンビナントヒトアルブミン、リコンビナント牛アルブミンなどが挙げられる。
前記第1の分化誘導培地における1−チオグリセロールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mg/L〜80mg/Lが好ましく、30mg/L〜70mg/Lがより好ましく、40mg/L〜60mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地用培地添加剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含むことが好ましい。
前記第1の分化誘導培地におけるグリシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜200mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−アラニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜20mg/Lが好ましく、5mg/L〜15mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−アスパラギン・HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜100mg/Lが好ましく、10mg/L〜50mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−アスパラギン酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜100mg/Lが好ましく、10mg/L〜50mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−グルタミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mg/L〜1,000mg/Lが好ましく、100mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−グルタミン酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜100mg/Lが好ましく、10mg/L〜50mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−ヒスチジンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜300mg/Lが好ましく、10mg/L〜200mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−イソロイシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mg/L〜4,000mg/Lが好ましく、100mg/L〜1,000mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−メチオニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜250mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−フェニルアラニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜500mg/Lが好ましく、10mg/L〜400mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−プロリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜1,200mg/Lが好ましく、10mg/L〜1,000mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−ヒドロキシプロリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜60mg/Lが好ましく、5mg/L〜40mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−セリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜300mg/Lが好ましく、10mg/L〜200mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−スレオニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mg/L〜650mg/Lが好ましく、100mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−トリプトファンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mg/L〜150mg/Lが好ましく、20mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−チロシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mg/L〜200mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるL−バリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜650mg/Lが好ましく、10mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるチアミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜25mg/Lが好ましく、2mg/L〜15mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地における還元型グルタチオンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜25mg/Lが好ましく、1.5mg/L〜15mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるアスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜250mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるAgNOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000008mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.000008mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるAlCl・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000015mg/L〜0.0015mg/Lが好ましく、0.00015mg/L〜0.0015mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるBa(Cの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00006mg/L〜0.006mg/Lが好ましく、0.0006mg/L〜0.003mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地における3CdSO・8HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00005mg/L〜0.05mg/Lが好ましく、0.0005mg/L〜0.04mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるCoCl・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00004mg/L〜0.004mg/Lが好ましく、0.0004mg/L〜0.003mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるCr(SO・HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00000025mg/L〜0.0025mg/Lが好ましく、0.0000025mg/L〜0.001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるGeOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000009mg/L〜0.0009mg/Lが好ましく、0.00009mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるNaSeOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0007mg/L〜0.07mg/Lが好ましく、0.001mg/L〜0.01mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるKBrの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000009mg/L〜0.0009mg/Lが好ましく、0.000009mg/L〜0.0005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるKIの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00001mg/L〜0.001mg/Lが好ましく、0.00005mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるMnCl・4HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000004mg/L〜0.004mg/Lが好ましく、0.00004mg/L〜0.001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるNaFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00006mg/L〜0.006mg/Lが好ましく、0.0006mg/L〜0.005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるNaSiO・9HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001mg/L〜1mg/Lが好ましく、0.01mg/L〜0.5mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるNaVOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000005mg/L〜0.005mg/Lが好ましく、0.00005mg/L〜0.004mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地における(NHMo24・4HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00008mg/L〜0.08mg/Lが好ましく、0.0008mg/L〜0.05mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるNiSO・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000025mg/L〜0.00025mg/Lが好ましく、0.000025mg/L〜0.00025mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるRbClの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000009mg/L〜0.009mg/Lが好ましく、0.000009mg/L〜0.005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるSnCl・2HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000001mg/L〜0.001mg/Lが好ましく、0.00001mg/L〜0.0001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地におけるZrOCl・8HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00007mg/L〜0.007mg/Lが好ましく、0.0007mg/L〜0.006mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の分化誘導培地用培地添加剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記第1の分化誘導培地用培地添加剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
−一液式分化誘導培地−
前記一液式分化誘導培地(以下、「一液式培地」と称することがある)は、IMDMに、培地添加剤(以下、「一液式分化誘導培地用培地添加剤」と称することがある)を加えた培地であり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−基礎培地−−
前記一液式分化誘導培地における基礎培地は、IMDMである。
前記基礎培地は、市販品を用いてもよいし、適宜調製したものを用いてもよい。
−−一液式分化誘導培地用培地添加剤−−
前記一液式分化誘導培地用培地添加剤は、トランスフェリンと、アルブミンと、ポリビニルアルコールと、エタノラミン塩酸塩と、亜セレン酸ナトリウムと、ヒドロコルチゾンと、DL−α−トコフェロール酢酸エステルと、N−アセチル−L−システインと、1−チオグリセロールと、アスコルビン酸とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記一液式分化誘導培地におけるトランスフェリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜150mg/Lが好ましく、2mg/L〜100mg/Lがより好ましく、3mg/L〜50mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるアルブミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L超8,000mg/L以下が好ましく、1,500mg/L超7,000mg/L以下がより好ましく、3,000mg/L超6,000mg/L以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記アルブミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト血清アルブミン、牛血清アルブミン、リコンビナントヒトアルブミン、リコンビナント牛アルブミンなどが挙げられる。
前記一液式分化誘導培地におけるポリビニルアルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L超4,000mg/L以下が好ましく、600mg/L超2,000mg/Lがより好ましく、800mg/L超1,500mg/L以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記ポリビニルアルコールの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30,000〜70,000が好ましい。
前記一液式分化誘導培地におけるポリビニルアルコールの含有量と、アルブミンの含有量との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリビニルアルコールの含有量が500mg/L〜1,500mg/Lの場合は、アルブミンの含有量は、3,000mg/L超が好ましく、ポリビニルアルコールの含有量が4,000mg/Lの場合は、アルブミンの含有量は、500mg/L以上が好ましい。
前記一液式分化誘導培地におけるエタノラミン塩酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mg/L〜18mg/Lが好ましく、5mg/L〜15mg/Lがより好ましく、7mg/L〜12mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地における亜セレン酸ナトリウムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.002mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.003mg/L〜0.007mg/Lがより好ましく、0.004mg/L〜0.006mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるヒドロコルチゾンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mg/L〜0.08mg/Lが好ましく、0.03mg/L〜0.07mg/Lがより好ましく、0.04mg/L〜0.06mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるDL−α−トコフェロール酢酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.005mg/L〜0.04mg/Lがより好ましく、0.01mg/L〜0.03mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるN−アセチル−L−システインの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L〜3,000mg/Lが好ましく、1,000mg/L〜2,500mg/Lがより好ましく、1,500mg/L〜2,000mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地における1−チオグリセロールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mg/L〜80mg/Lが好ましく、30mg/L〜70mg/Lがより好ましく、40mg/L〜60mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるアスコルビン酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mg/L〜80mg/Lが好ましく、30mg/L〜70mg/Lがより好ましく、40mg/L〜60mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地用培地添加剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含むことが好ましい。
前記一液式分化誘導培地におけるグリシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜200mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−グルタミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mg/L〜1,000mg/Lが好ましく、100mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−ヒスチジンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜300mg/Lが好ましく、10mg/L〜200mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−イソロイシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mg/L〜4,000mg/Lが好ましく、100mg/L〜1,000mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−メチオニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜250mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−フェニルアラニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜500mg/Lが好ましく、10mg/L〜400mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−プロリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜1,200mg/Lが好ましく、10mg/L〜1,000mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−ヒドロキシプロリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜60mg/Lが好ましく、5mg/L〜40mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−セリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜300mg/Lが好ましく、10mg/L〜200mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−スレオニンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mg/L〜650mg/Lが好ましく、100mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−トリプトファンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mg/L〜150mg/Lが好ましく、20mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−チロシンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mg/L〜200mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるL−バリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mg/L〜650mg/Lが好ましく、10mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるチアミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜25mg/Lが好ましく、2mg/L〜15mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地における還元型グルタチオンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜25mg/Lが好ましく、1.5mg/L〜15mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるアスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜250mg/Lが好ましく、10mg/L〜100mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるAgNOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000008mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.000008mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるAlCl・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000015mg/L〜0.0015mg/Lが好ましく、0.00015mg/L〜0.0015mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるBa(Cの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00006mg/L〜0.006mg/Lが好ましく、0.0006mg/L〜0.003mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地における3CdSO・8HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00005mg/L〜0.05mg/Lが好ましく、0.0005mg/L〜0.04mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるCoCl・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00004mg/L〜0.004mg/Lが好ましく、0.0004mg/L〜0.003mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるCr(SO・HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00000025mg/L〜0.0025mg/Lが好ましく、0.0000025mg/L〜0.001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるGeOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000009mg/L〜0.0009mg/Lが好ましく、0.00009mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるNaSeOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0007mg/L〜0.07mg/Lが好ましく、0.001mg/L〜0.01mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるKBrの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000009mg/L〜0.0009mg/Lが好ましく、0.000009mg/L〜0.0005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるKIの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00001mg/L〜0.001mg/Lが好ましく、0.00005mg/L〜0.0008mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるMnCl・4HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000004mg/L〜0.004mg/Lが好ましく、0.00004mg/L〜0.001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるNaFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00006mg/L〜0.006mg/Lが好ましく、0.0006mg/L〜0.005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるNaSiO・9HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001mg/L〜1mg/Lが好ましく、0.01mg/L〜0.5mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるNaVOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000005mg/L〜0.005mg/Lが好ましく、0.00005mg/L〜0.004mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地における(NHMo24・4HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00008mg/L〜0.08mg/Lが好ましく、0.0008mg/L〜0.05mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるNiSO・6HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000025mg/L〜0.00025mg/Lが好ましく、0.000025mg/L〜0.00025mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるRbClの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.0000009mg/L〜0.009mg/Lが好ましく、0.000009mg/L〜0.005mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるSnCl・2HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.000001mg/L〜0.001mg/Lが好ましく、0.00001mg/L〜0.0001mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地におけるZrOCl・8HOの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00007mg/L〜0.007mg/Lが好ましく、0.0007mg/L〜0.006mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記一液式分化誘導培地用培地添加剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記一液式分化誘導培地用培地添加剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
−分化誘導調節剤−
前記ROCK阻害剤は、分化誘導調節剤の1つである。
前記胚様体形成工程用培地に添加する分化誘導調節剤(以下、「胚様体形成工程用分化誘導調節剤」と称することがある)としては、ROCK阻害剤を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ROCK阻害剤としては、例えば、Y27632、Fasudil Hydrochlorideなどが挙げられる。これらの中でも、心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、Y27632が好ましい。
前記ROCK阻害剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ROCK阻害剤は、ヒトiPS細胞の細胞死を防ぐ作用がある物質として知られている。
前記胚様体形成工程用培地における分化誘導調節剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記胚様体形成工程用培地における分化誘導調節剤としてY27632を用いる場合には、2μM〜10μMが好ましく、3μM〜8μMがより好ましく、4μM〜6μMが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記胚様体形成工程用分化誘導調節剤は、ROCK阻害剤以外の分化誘導調節剤を含んでもよいし、含まなくてもよいが、心筋細胞を安価、かつ簡便に得ることができる点で、ROCK阻害剤以外の分化誘導調節剤を含まないことが好ましい。
前記胚様体形成工程用分化誘導調節剤におけるROCK阻害剤以外の分化誘導調節剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGF、CHIR99021(CAS番号:252917−06−9)などが挙げられる。
前記胚様体形成工程用培地にbFGFを添加する場合におけるbFGFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10ng/mL〜100ng/mLなどが挙げられる。
前記胚様体形成工程用培地にCHIR99021を添加する場合におけるCHIR99021の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5nM〜5μMなどが挙げられる。
前記胚様体形成工程用分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記胚様体形成工程用分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
前記胚様体形成工程用培地の好ましい態様としては、下記胚様体形成工程用培地(1)、(2)が挙げられる。これらの中でも、胚様体形成工程用培地(1)がより好ましい。
−胚様体形成工程用培地(1)−
基礎培地としてDMEM/F12を用い、下記表1−1及び1−2に記載の組成となるように、第1の分化誘導培地用培地添加剤を添加した第1の分化誘導培地に、Y27632を5μMとなるように添加した培地。
−胚様体形成工程用培地(2)−
下記表2−1及び2−2に記載の組成となるように、一液式分化誘導培地用培地添加剤を添加した一液式分化誘導培地に、Y27632を5μMとなるように添加した培地。
<<浮遊培養>>
前記浮遊培養の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、接着加工を行っていない培養皿や低接着加工を行った培養皿を用い、前記多能性幹細胞を培養する方法が挙げられる。
前記接着加工を行っていない培養皿や低接着加工を行った培養皿は、市販品を用いることができる。
前記浮遊培養の培養条件としては、特に制限はなく、公知の培養条件を適宜選択することができる。
前記浮遊培養は、低酸素条件で行ってもよいし、大気条件で行ってもよいが、分化効率に優れる点で、低酸素条件が好ましい。
低酸素条件とは、常酸素濃度(21%)を下回る酸素濃度条件をいう。
前記低酸素条件における酸素濃度としては、21%未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1%以上21%未満が好ましく、1%以上10%以下がより好ましく、4%以上6%以下が特に好ましい。
前記胚様体形成工程の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、24時間〜48時間などが挙げられる。
<中胚葉誘導工程>
前記中胚葉誘導工程は、前記胚様体形成工程後の胚様体を浮遊培養し、中胚葉を誘導する工程である。
<<培地>>
前記中胚葉誘導工程における培地(以下、「中胚葉誘導工程用培地」、「中胚葉誘導工程用培養液」と称することがある)は、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地のいずれかであり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−第2の分化誘導培地−
前記第2の分化誘導培地(以下、「第二培地」と称することがある)は、基礎培地に、培地添加剤(以下、「第2の分化誘導培地用培地添加剤」と称することがある)を加えた培地であり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−基礎培地−−
前記第2の分化誘導培地における基礎培地は、IMDMである。
前記基礎培地は、市販品を用いてもよいし、適宜調製したものを用いてもよい。
−−第2の分化誘導培地用培地添加剤−−
前記第2の分化誘導培地用培地添加剤は、アルブミンと、ポリビニルアルコールと、エタノラミン塩酸塩と、亜セレン酸ナトリウムと、ヒドロコルチゾンと、DL−α−トコフェロール酢酸エステルと、N−アセチル−L−システインと、1−チオグリセロールと、アスコルビン酸とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記第2の分化誘導培地におけるアルブミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L超8,000mg/L以下が好ましく、1,500mg/L超7,000mg/L以下がより好ましく、3,000mg/L超6,000mg/L以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記アルブミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト血清アルブミン、牛血清アルブミン、リコンビナントヒトアルブミン、リコンビナント牛アルブミンなどが挙げられる。
前記第2の分化誘導培地におけるポリビニルアルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L超4,000mg/L以下が好ましく、600mg/L超2,000mg/Lがより好ましく、800mg/L超1,500mg/L以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記ポリビニルアルコールの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30,000〜70,000が好ましい。
前記第2の分化誘導培地におけるポリビニルアルコールの含有量と、アルブミンの含有量との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリビニルアルコールの含有量が500mg/L〜1,500mg/Lの場合は、アルブミンの含有量は、3,000mg/L超が好ましく、ポリビニルアルコールの含有量が4,000mg/Lの場合は、アルブミンの含有量は、500mg/L以上が好ましい。
前記第2の分化誘導培地におけるエタノラミン塩酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mg/L〜18mg/Lが好ましく、5mg/L〜15mg/Lがより好ましく、7mg/L〜12mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地における亜セレン酸ナトリウムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.002mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.003mg/L〜0.007mg/Lがより好ましく、0.004mg/L〜0.006mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地におけるヒドロコルチゾンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mg/L〜0.08mg/Lが好ましく、0.03mg/L〜0.07mg/Lがより好ましく、0.04mg/L〜0.06mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地におけるDL−α−トコフェロール酢酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001mg/L〜0.008mg/Lが好ましく、0.005mg/L〜0.04mg/Lがより好ましく、0.01mg/L〜0.03mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地におけるN−アセチル−L−システインの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500mg/L〜3,000mg/Lが好ましく、1,000mg/L〜2,500mg/Lがより好ましく、1,500mg/L〜2,000mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地における1−チオグリセロールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mg/L〜80mg/Lが好ましく、30mg/L〜70mg/Lがより好ましく、40mg/L〜60mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地におけるアスコルビン酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mg/L〜80mg/Lが好ましく、30mg/L〜70mg/Lがより好ましく、40mg/L〜60mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地用培地添加剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、L−グルタミン、及びトランスフェリンを含むことが好ましい。
前記第2の分化誘導培地におけるL−グルタミンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50mg/L〜1,000mg/Lが好ましく、100mg/L〜500mg/Lがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地におけるトランスフェリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mg/L〜150mg/Lが好ましく、2mg/L〜100mg/Lがより好ましく、3mg/L〜50mg/Lが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第2の分化誘導培地用培地添加剤は、前記その他の成分としてインスリンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記第2の分化誘導培地にインスリンを添加する場合におけるインスリンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5ng/mL〜15ng/mLなどが挙げられる。
前記第2の分化誘導培地用培地添加剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記第2の分化誘導培地用培地添加剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
−一液式分化誘導培地−
前記一液式分化誘導培地は、上記胚様体形成工程の一液式分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−分化誘導調節剤−
前記中胚葉誘導工程用培地に添加する分化誘導調節剤(以下、「中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤」と称することがある)としては、Wntシグナル活性化物質を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Wntシグナル活性化物質としては、例えば、CHIR99021、BIO、Wnt アゴニスト(CAS 853220−52−7)、Wnt アゴニストII(SKL2001)などが挙げられる。これらの中でも、細胞毒性が弱く、分化誘導効率に優れる点で、CHIR99021が好ましい。
前記Wntシグナル活性化物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中胚葉誘導工程用培地における分化誘導調節剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記中胚葉誘導工程用培地における分化誘導調節剤としてCHIR99021を用いる場合には、2μM〜6μMが好ましく、3μM〜5μMがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤は、Wntシグナル活性化物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいし、含まなくてもよいが、心筋細胞を安価、かつ簡便に得ることができる点で、CHIR99021以外の分化誘導調節剤を含まないことが好ましい。特に、Wntシグナル活性化物質の中では、BIO、Wnt アゴニスト、Wnt アゴニストIIを含まないことが好ましい。
前記中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤におけるWntシグナル活性化物質以外の分化誘導調節剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGFなどが挙げられる。
前記中胚葉誘導工程用培地にbFGFを添加する場合におけるbFGFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10ng/mL〜100ng/mLなどが挙げられる。
前記中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
前記中胚葉誘導工程用培地の好ましい態様としては、下記中胚葉誘導工程用培地(1)、(2)が挙げられる。これらの中でも、中胚葉誘導工程用培地(1)がより好ましい。
−中胚葉誘導工程用培地(1)−
下記表3に記載の組成となるように、第2の分化誘導培地用培地添加剤を添加した第2の分化誘導培地に、CHIR99021を4μMとなるように添加した培地。
−中胚葉誘導工程用培地(2)−
上記表2−1及び2−2に記載の組成となるように、一液式分化誘導培地用培地添加剤を添加した一液式分化誘導培地に、CHIR99021を4μMとなるように添加した培地。
<<浮遊培養>>
前記浮遊培養の方法、培養条件としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、上記胚様体形成工程の浮遊培養の項目に記載したものと同様とすることができる。
前記中胚葉誘導工程の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚様体形成工程開始1日目〜3日目、胚様体形成工程開始1日目〜4日目、胚様体形成工程開始2日目〜4日目などとすることができる。
<心筋細胞誘導工程>
前記心筋細胞誘導工程は、前記中胚葉誘導後の胚様体を浮遊培養し、心筋細胞を誘導する工程である。
前記心筋細胞誘導工程は、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の処理を含む。
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記第1の心筋細胞誘導処理は、前記中胚葉誘導後の胚様体を第1の心筋細胞誘導処理用培地(以下、「第1の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)で培養する処理である。
−培地−
前記第1の心筋細胞誘導処理における培地(以下、「第1の心筋細胞誘導処理用培地」、「第1の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)は、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−第2の分化誘導培地−−
前記第2の分化誘導培地は、上記中胚葉誘導工程の第2の分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−一液式分化誘導培地−−
前記一液式分化誘導培地は、上記胚様体形成工程の一液式分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−分化誘導調節剤−−
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地に添加する分化誘導調節剤(以下、「第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤」と称することがある)は、Wntシグナル抑制物質と、TGF−βシグナル阻害剤と、エストロゲン様作用物質とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地における分化誘導調節剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Wntシグナル抑制物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IWP2、IWR1、XAV939、KY02111などが挙げられる。これらの中でも、IWP2が、低濃度から優れた分化誘導効率を発揮する点で、好ましい。
前記Wntシグナル抑制物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地におけるWntシグナル抑制物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μM〜10μMが好ましく、2μM〜9μMがより好ましく、4μM〜7μMが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記TGF−βシグナル阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SB431542、SB505124、A−83−01などが挙げられる。これらの中でも、SB431542が、分化誘導効率に優れる点で、好ましい。
前記TGF−βシグナル阻害剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地におけるTGF−βシグナル阻害剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μM〜10μMが好ましく、2μM〜9μMがより好ましく、3μM〜8μMが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記エストロゲン様作用物質とは、エストロゲン作用を示すホルモン、低分子化合物をいう。
前記エストロゲン様作用物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エストラジオール、エストロン、エストリオール、ゲニステインなどが挙げられる。これらの中でも、エストラジオールが、分化誘導効率に優れる点で、好ましい。
前記エストロゲン様作用物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地におけるエストロゲン様作用物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nM〜10,000nMが好ましく、10nM〜1,000nMがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、より心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、有利である。
前記第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
前記エストロゲン様作用物質の代わりに、VEGFを10ng/mLの濃度で用いることも可能であるが、心筋細胞を安価、かつ簡便に得ることができる点で、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含まないことが好ましい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤におけるWntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGFなどが挙げられる。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地にbFGFを添加する場合におけるbFGFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10ng/mL〜100ng/mLなどが挙げられる。
前記第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理用培地の好ましい態様としては、下記第1の心筋細胞誘導処理用培地(1)、(2)が挙げられる。これらの中でも、第1の心筋細胞誘導処理用培地(1)がより好ましい。
−第1の心筋細胞誘導処理用培地(1)−
上記表3に記載の組成となるように、第2の分化誘導培地用培地添加剤を添加した第2の分化誘導培地に、IWP2を5μM、SB431542を5μM、及びエストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)−
上記表2−1及び2−2に記載の組成となるように、一液式分化誘導培地用培地添加剤を添加した一液式分化誘導培地に、IWP2を5μM、SB431542を5μM、及びエストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−浮遊培養−
前記浮遊培養の方法、培養条件としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、上記胚様体形成工程の浮遊培養の項目に記載したものと同様とすることができる。
前記第1の心筋細胞誘導処理の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚様体形成工程開始3日目〜6日目、胚様体形成工程開始3日目〜5日目、胚様体形成工程開始4日目〜6日目などとすることができる。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記第2の心筋細胞誘導処理は、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を第2の心筋細胞誘導処理用培地(以下、「第2の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)で培養する処理である。
−培地−
前記第2の心筋細胞誘導処理における培地(以下、「第2の心筋細胞誘導処理用培地」、「第2の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)は、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−第2の分化誘導培地−−
前記第2の分化誘導培地は、上記中胚葉誘導工程の第2の分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−一液式分化誘導培地−−
前記一液式分化誘導培地は、上記胚様体形成工程の一液式分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−分化誘導調節剤−−
前記第2の心筋細胞誘導処理用培地に添加する分化誘導調節剤(以下、「第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤」と称することがある)は、エストロゲン様作用物質を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記第2の心筋細胞誘導処理用培地における分化誘導調節剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エストロゲン様作用物質、及びその含有量は、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地の項目に記載したものと同様である。
前記第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、エストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
前記エストロゲン様作用物質の代わりに、VEGFを10ng/mLの濃度で用いることも可能であるが、心筋細胞を安価、かつ簡便に得ることができる点で、エストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含まないことが好ましい。
前記第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤におけるエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGFなどが挙げられる。
前記第2の心筋細胞誘導処理用培地にbFGFを添加する場合におけるbFGFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10ng/mL〜100ng/mLなどが挙げられる。
前記第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
前記第2の心筋細胞誘導処理用培地の好ましい態様としては、下記第2の心筋細胞誘導処理用培地(1)、(2)が挙げられる。これらの中でも、第2の心筋細胞誘導処理用培地(1)がより好ましい。
−第2の心筋細胞誘導処理用培地(1)−
上記表3に記載の組成となるように、第2の分化誘導培地用培地添加剤を添加した第2の分化誘導培地に、エストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)−
上記表2−1及び2−2に記載の組成となるように、一液式分化誘導培地用培地添加剤を添加した一液式分化誘導培地に、エストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−浮遊培養−
前記浮遊培養の方法、培養条件としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、上記胚様体形成工程の浮遊培養の項目に記載したものと同様とすることができる。
前記第2の心筋細胞誘導処理の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚様体形成工程開始6日目以降、胚様体形成工程開始8日目以降などとすることができる。
<<その他の処理>>
前記その他の処理としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、更なる心筋細胞誘導処理、洗浄処理などが挙げられる。
−更なる心筋細胞誘導処理−
前記更なる心筋細胞誘導処理としては、前記第1の心筋細胞誘導処理と、前記第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理であり、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(以下、「第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)で培養する処理が挙げられる。
−−培地−−
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地は、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−−−第2の分化誘導培地−−−
前記第2の分化誘導培地は、上記中胚葉誘導工程の第2の分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−−一液式分化誘導培地−−−
前記一液式分化誘導培地は、上記胚様体形成工程の一液式分化誘導培地の項目に記載したものと同様である。
−−−分化誘導調節剤−−−
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地に添加する分化誘導調節剤(以下、「第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤」と称することがある)は、Wntシグナル抑制物質と、エストロゲン様作用物質とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地における分化誘導調節剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Wntシグナル抑制物質、及びその含有量は、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地の項目に記載したものと同様である。
前記エストロゲン様作用物質、及びその含有量は、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地の項目に記載したものと同様である。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
前記エストロゲン様作用物質の代わりに、VEGFを10ng/mLの濃度で用いることも可能であるが、心筋細胞を安価、かつ簡便に得ることができる点で、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含まないことが好ましい。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤におけるWntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGFなどが挙げられる。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地にbFGFを添加する場合におけるbFGFの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10ng/mL〜100ng/mLなどが挙げられる。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤として培地に添加してもよいし、成分ごとに別々の剤として培地に添加してもよいし、任意の複数の成分を含む剤として培地に添加してもよい。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地の好ましい態様としては、下記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(1)、(2)が挙げられる。これらの中でも、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(1)がより好ましい。
−第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(1)−
上記表3に記載の組成となるように、第2の分化誘導培地用培地添加剤を添加した第2の分化誘導培地に、IWP2を5μM、及びエストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(2)−
上記表2−1及び2−2に記載の組成となるように、一液式分化誘導培地用培地添加剤を添加した一液式分化誘導培地に、IWP2を5μM、及びエストラジオールを100nMとなるように添加した培地。
−−浮遊培養−−
前記浮遊培養の方法、培養条件としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、上記胚様体形成工程の浮遊培養の項目に記載したものと同様とすることができる。
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚様体形成工程開始6日目〜8日目、胚様体形成工程開始5日目〜8日目などとすることができる。
−洗浄処理−
前記洗浄処理は、前記第1の心筋細胞誘導処理、前記第2の心筋細胞誘導処理、及び前記更なる心筋細胞誘導処理の少なくともいずれかの後に、前記胚様体を洗浄する処理であり、後述する洗浄工程と同様にして行うことができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィーダー細胞培養工程、洗浄工程などが挙げられる。
<<フィーダー細胞培養工程>>
前記フィーダー細胞培養工程は、多能性幹細胞と、フィーダー細胞とを共に培養し、多能性幹細胞を未分化な状態で維持する工程である。
前記フィーダー細胞としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができる。
前記フィーダー細胞培養工程の培養条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<洗浄工程>>
前記洗浄工程は、上述した胚様体形成工程、中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程の少なくともいずれかの後に、前記胚様体を洗浄する工程である。
前記洗浄の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養後の胚様体を培養液ごと容器に回収し、静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去し、次いで、培養液又は緩衝液を加え、再度静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去する方法などが挙げられる。
前記洗浄の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数回行うことが好ましい。
前記各工程における培地の組合せの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である態様、胚様体形成工程における培地が、一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、中胚葉誘導工程における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、第1の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、第2の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である態様が好ましく、胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である態様がより好ましい。
上記方法により、多能性幹細胞から心筋細胞が得られたか否かは、胚様体が拍動しているか否かにより確認することができる。
また、得られた心筋細胞が高品質であるか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パッチクランプ法などが挙げられる。前記パッチクランプ法により、大きく明瞭なプラトー相を有する活動電位(活動電位振幅140mV以上)、大きなピークカリウム電流(300pA以上)、大きなピークカルシウム電流(1nA以上)、大きなピークナトリウム電流(6.5nA以上)電流が確認された場合には、高品質な心筋細胞が得られたと判断することができる。
(培地添加剤)
本発明の培地添加剤は、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する培地添加剤であって、アルブミン及び1−チオグリセロールの少なくともいずれかを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地添加剤は、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に好適に用いることができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トランスフェリン、インスリン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、アスコルビン酸、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、ZrOCl・8HOなどが挙げられる。
前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、トランスフェリン、インスリン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、及びアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む態様、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOからなる群から選択される少なくとも1種を含む態様が好ましい。
前記培地添加剤の態様としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記培地添加剤(1)〜(3)の少なくともいずれかの態様が好ましい。
<培地添加剤(1)>
前記培地添加剤(1)は、インスリンと、トランスフェリンと、アルブミンと、1−チオグリセロールとを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地添加剤(1)におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含むことが好ましい。
前記培地添加剤(1)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の分化誘導培地における第1の分化誘導培地用培地添加剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の分化誘導培地用培地添加剤と同様とすることができる。
<培地添加剤(2)>
前記培地添加剤(2)は、アルブミンと、ポリビニルアルコールと、エタノラミン塩酸塩と、亜セレン酸ナトリウムと、ヒドロコルチゾンと、DL−α−トコフェロール酢酸エステルと、N−アセチル−L−システインと、1−チオグリセロールと、アスコルビン酸とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地添加剤(2)におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、L−グルタミン、及びトランスフェリンを含むことが好ましい。
前記培地添加剤(2)は、前記その他の成分としてインスリンを含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記培地添加剤(2)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の分化誘導培地における第2の分化誘導培地用培地添加剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の分化誘導培地用培地添加剤と同様とすることができる。
<培地添加剤(3)>
前記培地添加剤(3)は、トランスフェリンと、アルブミンと、ポリビニルアルコールと、エタノラミン塩酸塩と、亜セレン酸ナトリウムと、ヒドロコルチゾンと、DL−α−トコフェロール酢酸エステルと、N−アセチル−L−システインと、1−チオグリセロールと、アスコルビン酸とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地添加剤(3)におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含むことが好ましい。
前記培地添加剤(3)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の一液式分化誘導培地における一液式分化誘導培地用培地添加剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の一液式分化誘導培地用培地添加剤と同様とすることができる。
前記培地添加剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記培地添加剤は、各成分を含む1剤であってもよいし、成分ごとに別々の剤としてもよいし、任意の複数の成分を含む剤を組み合わせたものであってもよい。
(分化誘導調節剤)
本発明の分化誘導調節剤は、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する分化誘導調節剤であって、ROCK阻害剤、Wntシグナル活性化物質、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質からなる群から選択される少なくとも1種を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤は、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に好適に用いることができる。
<ROCK阻害剤>
前記ROCK阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Y27632、Fasudil Hydrochlorideなどが挙げられる。これらの中でも、心筋細胞への分化誘導効率に優れる点で、Y27632が好ましい。
前記ROCK阻害剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<Wntシグナル活性化物質>
前記Wntシグナル活性化物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CHIR99021、BIO、Wnt アゴニスト(CAS 853220−52−7)、Wnt アゴニストII(SKL2001)などが挙げられる。これらの中でも、分化誘導効率に優れる点で、CHIR99021が好ましい。
前記Wntシグナル活性化物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<Wntシグナル抑制物質>
前記Wntシグナル抑制物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IWP2、IWR1、XAV939、KY02111などが挙げられる。これらの中でも、低濃度から優れた分化誘導効率を発揮する点で、IWP2が好ましい。
前記Wntシグナル抑制物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<TGF−βシグナル阻害剤>
前記TGF−βシグナル阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SB431542、SB505124、A−83−01などが挙げられる。これらの中でも、分化誘導効率に優れる点で、SB431542が好ましい。
前記TGF−βシグナル阻害剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<エストロゲン様作用物質>
前記エストロゲン様作用物質とは、エストロゲン作用を示すホルモン、低分子化合物をいう。
前記エストロゲン様作用物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エストラジオール、エストロン、エストリオール、ゲニステインなどが挙げられる。これらの中でも、分化誘導効率に優れる点で、エストラジオールが好ましい。
前記エストロゲン様作用物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、bFGF、VEGFなどが挙げられる。
前記分化誘導調節剤の態様としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記分化誘導調節剤(1)〜(5)の少なくともいずれかの態様が好ましい。
<分化誘導調節剤(1)>
前記分化誘導調節剤(1)は、ROCK阻害剤を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤(1)は、ROCK阻害剤以外の分化誘導調節剤を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記分化誘導調節剤(1)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程用分化誘導調節剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程用分化誘導調節剤と同様とすることができる。
<分化誘導調節剤(2)>
前記分化誘導調節剤(2)は、Wntシグナル活性化物質を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤(2)は、Wntシグナル活性化物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいが、含まないことが好ましい。特に、Wntシグナル活性化物質の中では、BIO、Wnt アゴニスト、Wnt アゴニストIIを含まないことが好ましい。
前記分化誘導調節剤(2)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程用分化誘導調節剤と同様とすることができる。
<分化誘導調節剤(3)>
前記分化誘導調節剤(3)は、Wntシグナル抑制物質と、TGF−βシグナル阻害剤と、エストロゲン様作用物質とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤(3)は、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記分化誘導調節剤(3)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤と同様とすることができる。
<分化誘導調節剤(4)>
前記分化誘導調節剤(4)は、エストロゲン様作用物質を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤(4)は、エストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記分化誘導調節剤(4)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤と同様とすることができる。
<分化誘導調節剤(5)>
前記分化誘導調節剤(5)は、Wntシグナル抑制物質と、エストロゲン様作用物質とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記分化誘導調節剤(5)は、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質以外の分化誘導調節剤を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
前記分化誘導調節剤(5)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤として好適に用いることができ、培地における含有量等も上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用分化誘導調節剤と同様とすることができる。
前記分化誘導調節剤は、市販品を用いてもよいし、化学合成したものを用いてもよい。
前記分化誘導調節剤は、各成分を含む1剤であってもよいし、成分ごとに別々の剤としてもよいし、任意の複数の成分を含む剤を組み合わせたものであってもよい。
(培地)
本発明の培地は、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地であって、本発明の培地添加剤と、本発明の分化誘導調節剤とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地は、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に好適に用いることができる。
前記培地に用いる基礎培地は、DMEM/F12、DMEM、IMDM、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種である。
前記DMEMは、高グルコースであってもよいし、低グルコースであってもよい。
前記培地の態様としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記培地(1)〜(10)の少なくともいずれかの態様が好ましい。
<培地(1)>
前記培地(1)は、基礎培地として、DMEM/F12、DMEM、IMDM、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種を用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(1)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(1)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記基礎培地の中でも、DMEM/F12が好ましい。
前記培地(1)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程における第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(1)の好ましい態様としては、上記胚様体形成工程用培地(1)が挙げられる。
<培地(2)>
前記培地(2)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(3)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(1)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(2)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程における一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(2)の好ましい態様としては、上記胚様体形成工程用培地(2)が挙げられる。
<培地(3)>
前記培地(3)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(2)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(2)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(3)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(3)の好ましい態様としては、上記中胚葉誘導工程用培地(1)が挙げられる。
<培地(4)>
前記培地(4)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(3)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(2)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(4)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(4)の好ましい態様としては、上記中胚葉誘導工程用培地(2)が挙げられる。
<培地(5)>
前記培地(5)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(2)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(3)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(5)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(5)の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地(6)>
前記培地(6)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(3)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(3)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(6)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(6)の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
<培地(7)>
前記培地(7)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(2)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(4)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(7)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(7)の好ましい態様としては、上記第2の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地(8)>
前記培地(8)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(3)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(4)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(8)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(8)の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
<培地(9)>
前記培地(9)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(2)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(5)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(9)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、前記第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(9)の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地(10)>
前記培地(10)は、基礎培地として、IMDMを用い、前記培地添加剤として、前記培地添加剤(3)を含み、前記分化誘導調節剤として、前記分化誘導調節剤(5)を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記培地(10)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、前記第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地として好適に用いることができる。
前記培地(10)の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
(培地作製用キット)
本発明の培地作製用キットは、多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地作製用キットであって、本発明の培地添加剤と、本発明の分化誘導調節剤と、基礎培地とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キットは、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に好適に用いることができる。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培地を作製するための方法を教示する説明書などが挙げられる。
前記培地作製用キットにおける基礎培地は、DMEM/F12、DMEM、IMDM、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種である。
前記DMEMは、高グルコースであってもよいし、低グルコースであってもよい。
前記培地作製用キットの態様としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記培地作製用キット(1)〜(10)の少なくともいずれかの態様が好ましい。
<培地作製用キット(1)>
前記培地作製用キット(1)は、前記培地添加剤(1)と、前記分化誘導調節剤(1)と、基礎培地として、DMEM/F12、DMEM、IMDM、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種とを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記基礎培地の中でも、DMEM/F12が好ましい。
前記培地作製用キット(1)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程における第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(1)により作製する培地の好ましい態様としては、上記胚様体形成工程用培地(1)が挙げられる。
<培地作製用キット(2)>
前記培地作製用キット(2)は、前記培地添加剤(3)と、前記分化誘導調節剤(1)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(2)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の胚様体形成工程における一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(2)により作製する培地の好ましい態様としては、上記胚様体形成工程用培地(2)が挙げられる。
<培地作製用キット(3)>
前記培地作製用キット(3)は、前記培地添加剤(2)と、前記分化誘導調節剤(2)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(3)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(3)により作製する培地の好ましい態様としては、上記中胚葉誘導工程用培地(1)が挙げられる。
<培地作製用キット(4)>
前記培地作製用キット(4)は、前記培地添加剤(3)と、前記分化誘導調節剤(2)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(4)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の中胚葉誘導工程における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(4)により作製する培地の好ましい態様としては、上記中胚葉誘導工程用培地(2)が挙げられる。
<培地作製用キット(5)>
前記培地作製用キット(5)は、前記培地添加剤(2)と、前記分化誘導調節剤(3)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(5)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(5)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地作製用キット(6)>
前記培地作製用キット(6)は、前記培地添加剤(3)と、前記分化誘導調節剤(3)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(6)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(6)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
<培地作製用キット(7)>
前記培地作製用キット(7)は、前記培地添加剤(2)と、前記分化誘導調節剤(4)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(7)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(7)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第2の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地作製用キット(8)>
前記培地作製用キット(8)は、前記培地添加剤(3)と、前記分化誘導調節剤(4)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(8)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第2の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(8)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
<培地作製用キット(9)>
前記培地作製用キット(9)は、前記培地添加剤(2)と、前記分化誘導調節剤(5)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(9)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、前記第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(9)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(1)が挙げられる。
<培地作製用キット(10)>
前記培地作製用キット(10)は、前記培地添加剤(3)と、前記分化誘導調節剤(5)と、基礎培地として、IMDMとを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記培地作製用キット(10)は、上述した多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法の第1の心筋細胞誘導処理と、前記第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地の作製用キットとして好適に用いることができる。
前記培地作製用キット(10)により作製する培地の好ましい態様としては、上記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地(2)が挙げられる。
(多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット)
本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットは、本発明の培地、及び本発明の培地作製用キットの少なくともいずれかを含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。
前記多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットは、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に好適に用いることができる。
前記培地、及び前記培地作製用キットは、どちらか一方を含んでいてもよいし、両者を含んでいてもよい。
前記培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述した本発明の培地の項目に記載した前記培地(1)〜(10)の少なくともいずれかを含むことが好ましく、前記培地(1)、(3)、(5)、及び(7)を含むことがより好ましく、前記培地(1)、(3)、(5)、(7)、及び(9)を含むことが特に好ましい。
前記培地作製用キットとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述した本発明の培地作製用キットの項目に記載した前記培地作製用キット(1)〜(10)の少なくともいずれかを含むことが好ましく、前記培地作製用キット(1)、(3)、(5)、及び(7)を含むことがより好ましく、前記培地作製用キット(1)、(3)、(5)、(7)、及び(9)を含むことが特に好ましい。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養皿、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法を教示する説明書などが挙げられる。これらの中でも、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法を教示する説明書を含むことが好ましい。
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
中胚葉誘導工程における培地に添加するWntシグナル活性化物質の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
多能性幹細胞として、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立した2つのヒトiPS細胞(クローン1、クローン2)を用いた。
<胚様体形成工程>
常法に則って未分化状態で維持されている前記ヒトiPS細胞をコロニー状に解離し、下記培地(以下、「胚様体形成工程用培養液」と称することがある)に懸濁した後、低接着加工を行った培養皿(Corning超低接着加工表面(コーニング社製))で浮遊培養(培養条件:37℃、5%CO、5%O)を開始し(0日目)、1日間培養することで、前記ヒトiPS細胞の凝集体(胚様体(Embryoid Body:EB)を形成させた。
−胚様体形成工程用培養液−
基礎培地として、DMEM/F12(ナカライテスク株式会社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、ROCK阻害剤であるY27632(シグマ社製、5μM)、培地添加剤として、下記表4−1〜表4−2に記載の濃度となるように各成分を添加し、胚様体形成工程用培養液とした。
<洗浄工程>
前記胚様体を培養液ごと遠心管に回収し、静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。次いで、IMDMを加え、再度静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。この作業を2回繰り返し行った。
<中胚葉誘導工程>
前記洗浄工程後、下記培地(以下、「中胚葉誘導工程用培養液」と称することがある)を加え、前記培養皿で、浮遊培養を再開した(胚様体形成工程開始1日目〜3日目)。
−中胚葉誘導工程用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、Wntシグナル活性化物質であるCHIR99021(ミリポア社製、1μM、3μM、5μM、又は7μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、中胚葉誘導工程用培養液とした。
なお、ネガティブコントロールとして、Wntシグナル活性化物質を含まない培養液も調製した。
<洗浄工程>
前記中胚葉誘導後の胚様体を培養液ごと遠心管に回収し、静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。次いで、IMDMを加え、再度静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。この作業を2回繰り返し行った。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記洗浄工程後、下記培地(以下、「第1の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)を加え、前記培養皿で、浮遊培養を再開した(胚様体形成工程開始3日目〜6日目)。
−第1の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第1の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<<洗浄処理>>
前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を培養液ごと遠心管に回収し、静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。次いで、IMDMを加え、再度静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。この作業を2回繰り返し行った。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記洗浄処理後、下記培地(以下、「第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)を加え、前記培養皿で、浮遊培養を再開した(胚様体形成工程開始6日目〜8日目)。
−第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<<洗浄処理>>
前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を培養液ごと遠心管に回収し、静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。次いで、IMDMを加え、再度静置して前記胚様体を沈殿させた後、上清を除去した。この作業を2回繰り返し行った。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記洗浄処理後、下記培地(以下、「第2の心筋細胞誘導処理用培養液」と称することがある)を加え、前記培養皿で、浮遊培養を再開した(胚様体形成工程開始8日目〜16日目)。
−第2の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、VEGF(R&D社製、10ng/mL)、及びbFGF(和光純薬工業株式会社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<評価>
前記第2の心筋細胞誘導処理後の胚様体を倒立顕微鏡(カール・ツァイス社製)により観察し、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図5に示す。
図5中、CHIRは、CHIR99021を表し、各項目における左側(黒色)は、クローン1、右側(灰色)は、クローン2の結果を表す。
図5の結果から、中胚葉誘導工程における培地にWntシグナル活性化物質を添加することにより、拍動している胚様体が得られることが示された。
(試験例2)
中胚葉誘導工程における培地に添加するCHIR99021の至適濃度の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例1と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立した2つのヒトiPS細胞(クローン1、クローン2)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例1と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
前記試験例1において、Wntシグナル活性化物質をCHIR99021(濃度:1μM、3μM、3.5μM、4μM、4.5μM、5μM、5.5μM、6μM、又は7μM)とした以外は、前記試験例1と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図6及び図7に示す。
図6は、クローン1の結果を示し、図7は、クローン2の結果を示す。
図6及び図7の結果から、CHIR99021の濃度が3μM以上6μM以下の範囲において、拍動している胚様体が得られることがわかった。
また、図6の結果から、クローン1におけるCHIR99021の至適濃度は、3.91μMであり、図7の結果から、クローン2におけるCHIR99021の至適濃度は、4.31μMであることがわかった。
(試験例3)
第1の心筋細胞誘導処理、及び第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における培地において添加するWntシグナル抑制物質の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例1と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立した2つのヒトiPS細胞(クローン1、クローン2)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例1と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
前記試験例1において、Wntシグナル活性化物質をCHIR99021(濃度:4μM)とした以外は、前記試験例1と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1において、第1の心筋細胞誘導処理用培養液における分化誘導調節剤を、下記Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤であるSB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)に代えた以外は、前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
なお、ネガティブコントロールとして、Wntシグナル抑制物質に代えてDMSO(シグマ社製)を添加した培養液も調製した。
−−Wntシグナル抑制物質−−
・ IWP2(シグマ社製)
濃度:1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、又は10μM
・ IWR1(シグマ社製)
濃度:1μM、2μM、5μM、10μM、又は15μM
・ XAV939(シグマ社製)
濃度:1μM、2μM、5μM、10μM、15μM、又は20μM
・ KY02111(シグマ社製)
濃度:1μM、2μM、5μM、10μM、20μM、又は40μM
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1において、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液における分化誘導調節剤を、前記第1の心筋細胞誘導処理用培養液に用いたWntシグナル抑制物質、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)に代えた以外は、前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
なお、ネガティブコントロールとして、Wntシグナル抑制物質に代えてDMSO(シグマ社製)を添加した培養液も調製した。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図8に示す。
図8中、nega con(DMSO)は、ネガティブコントロールを表し、各項目における左側(黒色)は、クローン1、右側(灰色)は、クローン2の結果を表す。
図8の結果から、いずれのWntシグナル抑制物質を用いた場合にも、拍動している胚様体が得られることが示された。これらの中でも、IWP2が低濃度帯から最も安定して分化誘導能を発揮した。
(試験例4)
第1の心筋細胞誘導処理、及び第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理における培地に添加するIWP2の至適濃度の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例1と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立した2つのヒトiPS細胞(クローン1、クローン2)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例1と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
前記試験例3と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例3において、Wntシグナル抑制物質をIWP2(濃度:1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、又は10μM)とした以外は、前記試験例3と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例3において、Wntシグナル抑制物質をIWP2(濃度:1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、又は10μM)とした以外は、前記試験例3と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例1と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図9及び図10に示す。
図9は、クローン1の結果を示し、図10は、クローン2の結果を示す。
図9及び図10の結果から、少なくともIWP2の濃度が1μM以上10μM以下の範囲において、拍動している胚様体が得られることがわかった。
また、図9の結果から、クローン1におけるIWP2の至適濃度は、6.22μMであり、図10の結果から、クローン2におけるIWP2の至適濃度は、5.11μMであることがわかった。
(試験例5)
第1の心筋細胞誘導処理、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理、及び第2の心筋細胞誘導処理における培地に添加するVEGFに代わる物質の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
多能性幹細胞として、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例1と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として下記中胚葉誘導工程用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−中胚葉誘導工程用培養液−
基礎培地として、IMDM(ナカライテスク株式会社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、下記表5−1〜表5−2に記載の濃度となるように各成分を添加し、中胚葉誘導工程用培養液とした。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理用培地として下記第1の心筋細胞誘導処理用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
−第1の心筋細胞誘導処理用培養液−
本試験例5の中胚葉誘導工程用培養液における分化誘導調節剤をIWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及び下記候補物質に代えた以外は、前記中胚葉誘導工程用培養液と同様として、第1の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
なお、ネガティブコントロール((−))として、下記候補物質を含まない培養液も調製した。
−−候補物質−−
・ VEGF(R&D社製)
濃度:10ng/mL
・ レチノイン酸(シグマ社製)
濃度:1nM、又は10nM
・ エストラジオール(シグマ社製)
濃度:1nM、10nM、100nM、又は10μM
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地として下記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液を用い、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始6日目〜8日目とした以外は、本試験例5の前記第1の心筋細胞誘導処理と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
−第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液−
本試験例5の中胚葉誘導工程用培養液における分化誘導調節剤をIWP2(シグマ社製、5μM)、及び下記候補物質に代えた以外は、前記中胚葉誘導工程用培養液と同様として、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
なお、ネガティブコントロール((−))として、下記候補物質を含まない培養液も調製した。
−−候補物質−−
・ VEGF(R&D社製)
濃度:10ng/mL
・ レチノイン酸(シグマ社製)
濃度:1nM、又は10nM
・ エストラジオール(シグマ社製)
濃度:1nM、10nM、100nM、又は10μM
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
第2の心筋細胞誘導処理用培地として下記第2の心筋細胞誘導処理用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
−第2の心筋細胞誘導処理用培養液−
本試験例5の中胚葉誘導工程用培養液における分化誘導調節剤を下記候補物質に代えた以外は、前記中胚葉誘導工程用培養液と同様として、第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
なお、ネガティブコントロール((−))として、下記候補物質を含まない培養液も調製した。
−−候補物質−−
・ VEGF(R&D社製)
濃度:10ng/mL
・ レチノイン酸(シグマ社製)
濃度:1nM、又は10nM
・ エストラジオール(シグマ社製)
濃度:1nM、10nM、100nM、又は10μM
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図11及び図12に示す。
なお、本試験例5では、前記候補物質は、各処理で同一の候補物質とし、その濃度も同一とした。即ち、候補物質としてエストラジオール(1nM)を用いた例では、第1の心筋細胞誘導処理、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理、及び第2の心筋細胞誘導処理の全ての処理において、エストラジオール(1nM)を使用した。
図11中、RAは、レチノイン酸を表す。
図11及び図12中、E2は、エストラジオールを表す。
図11及び図12の結果から、エストラジオールを1nM〜10μMの濃度で添加することにより、VEGFを上回る分化効率が得られることが認められた。
(試験例6)
胚様体形成工程における培地に用いる基礎培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
胚様体形成工程用培養液として、下記(1)〜(6)の胚様体形成工程用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、胚様体形成工程を行った。
−胚様体形成工程用培養液−
(1)〜(5):
基礎培地 ・・・ 5mL
KnockOut Serum Replacement(インビトロジェン社製、以下、「KSR」と称することがある) ・・・1mL
MEM Non−Essential Amino Acids(ナカライテスク株式会社製、以下、「MEM NEAA」と称することがある) ・・・ 60μL
1−チオグリセロール(シグマ社製) ・・・ 50mg/L
Y27632(シグマ社製) ・・・ 5μM
bFGF(和光純薬工業株式会社製) ・・・ 10ng/mL
前記基礎培地は、(1)DMEM(高グルコース)(ナカライテスク株式会社製)、(2)DMEM(低グルコース)(ナカライテスク株式会社製)、(3)DMEM/F12(ナカライテスク株式会社製)、(4)IMDM(ナカライテスク株式会社製)、又は(5)αMEM培地(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
(6)(コントロール):
ReproFF2(株式会社リプロセル製) ・・・ 5mL
Y27632 ・・・ 5μM
bFGF ・・・ 10ng/mL
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として下記中胚葉誘導工程用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−中胚葉誘導工程用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、中胚葉誘導工程用培養液とした。
<洗浄工程>
前記試験例1と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理用培地として下記第1の心筋細胞誘導処理用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
−第1の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第1の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地として下記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液を用い、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始6日目〜8日目とした以外は、本試験例6の第1の心筋細胞誘導処理と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
−第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<<洗浄処理>>
前記試験例1と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
第2の心筋細胞誘導処理用培地として下記第2の心筋細胞誘導処理用培養液を用いた以外は、前記試験例1と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
−第2の心筋細胞誘導処理用培養液−
基礎培地として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)を用い、前記基礎培地に、分化誘導調節剤として、VEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加し、第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図13に示す。
図13の結果から、基礎培地としてDMEM/F12を用いた場合には、コントロールであるReproFF2よりも分化効率が優れていることが示された。また、DMEM/F12以外の基礎培地であっても、拍動している胚様体が得られることが示された。
(試験例7)
胚様体形成工程における培地に添加する分化誘導調節剤の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
胚様体形成工程用培養液として、前記試験例6の胚様体形成工程用培養液(3)(基礎培地として、DMEM/F12を使用したもの)に、CHIR99021(ミリポア社製)及びbFGF(和光純薬工業株式会社製)の添加濃度を下記の濃度とした胚様体形成工程用培養液を用いた以外は、前記試験例6と同様にして、胚様体形成工程を行った。なお、コントロールとして、前記試験例6の胚様体形成工程用培養液(6)(ReproFF2を使用したもの、以下、「ReproFF2」と称することがある)についても同様にして、胚様体形成工程を行った。
−bFGF及びCHIR99021の添加濃度−
・ bFGF:0ng/mL(以下、「FGF 0」と称することがある)、50ng/mL(以下、「FGF 50」と称することがある)、又は100ng/mL(以下、「FGF 100」と称することがある)
・ CHIR99021:0.005μM(以下、「CHIR 0.005」と称することがある)、0.25μM(以下、「CHIR 0.25」と称することがある)、又は5μM(以下、「CHIR 5」と称することがある)
<洗浄工程>
前記試験例6と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
前記試験例6と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例6と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例6と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図14及び図15に示す。
前記試験例6の結果、及び図14の結果から、bFGFを10ng/mL〜100ng/mL加えてもReproFF2よりも分化効率が優れていることが示されたが、bFGFを含まない場合が最も分化効率が優れていた。
また、図15の結果から、CHIR99021を5nM〜5μM加えてもReproFF2よりも分化効率が優れていることが示された。なお、CHIR99021を5nM加えた場合が最も分化効率が優れていたが、CHIR99021を添加しなくても十分な分化効率が得られることから、コスト及び手間を考慮すると、CHIR99021を添加しない態様が好ましいと考えられた。
(試験例8)
胚様体形成工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
胚様体形成工程用培養液として、以下の胚様体形成工程用培養液A又はBを用いた以外は、前記試験例6と同様にして、胚様体形成工程を行った。
−胚様体形成工程用培養液A−
前記試験例1における胚様体形成工程用培養液。
−胚様体形成工程用培養液B−
前記試験例6の胚様体形成工程用培養液(3)((基礎培地として、DMEM/F12を使用したもの)において、bFGFを除いた培養液。
<洗浄工程>
前記試験例6と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
前記試験例6と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例6と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例6と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例6と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例6と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図16に示す。
図16の結果から、前記胚様体形成工程用培養液Aを用いた場合のほうが、分化効率が優れていることが示された。前記胚様体形成工程用培養液Aは、組成不明の脂質と結合したBSAを使用した前記KSR(インビトロジェン社製)が含まれていないため、例えば、心筋細胞の分化に脂質成分が与える影響を調べる実験など、実験の応用範囲が広がると考えられる。
(試験例9)
中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
胚様体形成工程用培養液として、前記試験例8における胚様体形成工程用培養液Bを用いた以外は、前記試験例5と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液におけるポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称することがある)及び牛血清アルブミン(以下、「BSA」と称することがある)の濃度を下記の濃度とした培養液を用いた以外は、前記試験例5と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−ポリビニルアルコール及び牛血清アルブミンの濃度−
(1)PVA 4,000mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA4000/BSA5000」と称することがある)
(2)PVA 4,000mg/L、BSA 500mg/L(以下、「PVA4000/BSA500」と称することがある)
(3)PVA 4,000mg/L、BSA 0mg/L(以下、「PVA4000/BSA0」と称することがある)
(4)PVA 1,000mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA1000/BSA5000」と称することがある)
(5)PVA 1,000mg/L、BSA 500mg/L(以下、「PVA1000/BSA500」と称することがある)
(6)PVA 1,000mg/L、BSA 0mg/L(以下、「PVA1000/BSA0」と称することがある)
(7)PVA 0mg/L、BSA 0mg/L(以下、「PVA0/BSA0」と称することがある)
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理用培地として、本試験例9の前記中胚葉誘導工程用培養液におけるCHIR99021を、IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)に代え、インスリン(シグマ社製、10ng/mL)を追加した以外は同様とした第1の心筋細胞誘導処理用培地を用い、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始3日目〜5日目に変えた以外は、前記試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
また、コントロールとして、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した培養液についても同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地として、本試験例9の前記中胚葉誘導工程用培養液におけるCHIR99021を、IWP2(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)に代え、インスリン(シグマ社製、10ng/mL)を追加した以外は同様とした第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を用い、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始5日目〜8日目に変えた以外は、前記試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
また、コントロールとして、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した培養液についても同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
第2の心筋細胞誘導処理用培地として、本試験例9の前記中胚葉誘導工程用培養液におけるCHIR99021を、VEGF(R&D社製、10ng/mL)に代え、インスリン(シグマ社製、10ng/mL)を追加した以外は同様とした第2の心筋細胞誘導処理用培地を用いた以外は、前記試験例5と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
また、コントロールとして、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、VEGF(R&D社製、10ng/mL)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した培養液についても同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図17に示す。
図17の結果から、(1)PVA 4,000mg/L、BSA 5,000mg/L、及び(4)PVA 1,000mg/L、BSA 5,000mg/Lの場合には、コントロールよりも優れた分化効率を示した。コントロールに用いたStemPro(登録商標)34には、毒物である2−メルカプトエタノール、成分が明らかでない脂質成分であるHuman−ExCyte、及び高価でロット間差が大きいヒト血清アルブミンが含まれているが、これらを含まない培地でも優れた分化効率を示す培地が得られることが示された。
(試験例10)
中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例9と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液におけるポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称することがある)及び牛血清アルブミン(以下、「BSA」と称することがある)の濃度を下記の濃度とした培養液を用いた以外は、前記試験例9と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−ポリビニルアルコール及び牛血清アルブミンの濃度−
(8)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA500/BSA5000」と称することがある)
(9)PVA 500mg/L、BSA 1,500mg/L(以下、「PVA500/BSA1500」と称することがある)
(10)PVA 500mg/L、BSA 500mg/L(以下、「PVA500/BSA500」と称することがある)
(11)PVA 500mg/L、BSA 0mg/L(以下、「PVA500/BSA0」と称することがある)
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例10の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例10の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例10の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図18に示す。
図18の結果から、(8)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/Lの場合には、コントロールよりも優れた分化効率を示した。
(試験例11)
中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例9と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液におけるポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称することがある)及び牛血清アルブミン(以下、「BSA」と称することがある)の濃度を下記の濃度とした培養液を用いた以外は、前記試験例9と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−ポリビニルアルコール及び牛血清アルブミンの濃度−
(12)PVA 1,500mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA1500/BSA5000」と称することがある)
(13)PVA 1,500mg/L、BSA 4,000mg/L(以下、「PVA1500/BSA4000」と称することがある)
(14)PVA 1,500mg/L、BSA 3,000mg/L(以下、「PVA1500/BSA3000」と称することがある)
(15)PVA 1,000mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA1000/BSA5000」と称することがある)
(16)PVA 1,000mg/L、BSA 4,000mg/L(以下、「PVA1000/BSA4000」と称することがある)
(17)PVA 1,000mg/L、BSA 3,000mg/L(以下、「PVA1000/BSA3000」と称することがある)
(18)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA500/BSA5000」と称することがある)
(19)PVA 500mg/L、BSA 4,000mg/L(以下、「PVA500/BSA4000」と称することがある)
(20)PVA 500mg/L、BSA 3,000mg/L(以下、「PVA500/BSA3000」と称することがある)
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例11の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例11の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例11の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図19に示す。
図19の結果から、(12)PVA 1,500mg/L、BSA 5,000mg/L、(13)PVA 1,500mg/L、BSA 4,000mg/L、(15)PVA 1,000mg/L、BSA 5,000mg/L、(16)PVA 1,000mg/L、BSA 4,000mg/L、(18)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/L、及び(19)PVA 500mg/L、BSA 4,000mg/Lの場合には、コントロールよりも優れた分化効率を示した。
(試験例12)
中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例9と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液におけるポリビニルアルコール(以下、「PVA」と称することがある)及び牛血清アルブミン(以下、「BSA」と称することがある)の濃度を下記の濃度とした培養液を用いた以外は、前記試験例9と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
−ポリビニルアルコール及び牛血清アルブミンの濃度−
(21)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA500/BSA5000」と称することがある)
(22)PVA 0mg/L、BSA 5,000mg/L(以下、「PVA0/BSA5000」と称することがある)
(23)PVA 0mg/L、BSA 4,000mg/L(以下、「PVA0/BSA4000」と称することがある)
(24)PVA 0mg/L、BSA 3,000mg/L(以下、「PVA0/BSA3000」と称することがある)
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例12の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例12の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例12の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図20に示す。
図20の結果から、(21)PVA 500mg/L、BSA 5,000mg/Lの場合には、コントロールよりも優れた分化効率を示した。
(試験例13)
中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における培地の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
前記試験例9と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液におけるトランスフェリンの濃度を5mg/L、又は0mg/Lとした培養液を用いた以外は、前記試験例9と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例13の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理用培地を調製し、また、インスリン(10ng/mL)の添加を行った場合と、行わなかった場合のそれぞれの培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例13の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地を調製し、また、インスリン(10ng/mL)の添加を行った場合と、行わなかった場合のそれぞれの培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
前記試験例9において、試験例9の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製していた点を、本試験例13の中胚葉誘導工程用培養液に基づいて第2の心筋細胞誘導処理用培地を調製し、また、インスリン(10ng/mL)の添加を行った場合と、行わなかった場合のそれぞれの培地を調製した以外は、試験例9と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第2の心筋細胞誘導処理を行った。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図21に示す。
なお、本試験例13では、各処理におけるインスリンの添加の有無は同一とした。即ち、第1の心筋細胞誘導処理用培養液にインスリンを添加した場合には、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液、及び第2の心筋細胞誘導処理用培養液においてもインスリンを添加し、第1の心筋細胞誘導処理用培養液にインスリンを添加しなかった場合には、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液、及び第2の心筋細胞誘導処理用培養液においてもインスリンを添加しなかった。
図21中、トランスフェリン、及びインスリンのそれぞれについて、培養液中に含まれる場合を+、含まれない場合を−で示した。
図21の結果から、トランスフェリンを含まなくてもコントロール(従来使用されていたStemPro34)を上回る分化効率を示すが、トランスフェリンを含むほうが、分化効率が優れることがわかった。また、心筋細胞誘導工程で用いる培地にインスリンが含まれていてもコントロールを上回る分化効率を示すが、インスリンを含まないほうが、分化効率が優れることもわかった。
(試験例14)
浮遊培養時の酸素条件、及び中胚葉誘導工程の培地へのインスリンの添加の有無の検討を以下のようにして行った。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
浮遊培養時の酸素条件を、(1)低酸素条件(酸素濃度5%)、又は(2)低酸素でない条件(酸素濃度21%)とした以外は、前記試験例9と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
中胚葉誘導工程用培地として、前記試験例5の中胚葉誘導工程用培養液に、インスリン(10ng/mL)を添加した培養液、又は添加しなかった培養液を用い、また、浮遊培養時の酸素条件を、(1)低酸素条件(酸素濃度5%)、又は(2)低酸素でない条件(酸素濃度21%)とした以外は、前記試験例9と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
また、コントロール(以下、「SP34」と称することがある)として、StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した中胚葉誘導工程用培養液についても同様にして、中胚葉誘導工程を行った。なお、コントロールにおける浮遊培養時の酸素条件は、低酸素条件である。
<洗浄工程>
前記試験例9と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理用培地として、インスリンを追加しなかった以外は、前記試験例9における第1の心筋細胞誘導処理用培養液と同様とした培地を用い、浮遊培養時の酸素条件を、(1)低酸素条件(酸素濃度5%)、又は(2)低酸素でない条件(酸素濃度21%)とした以外は、前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理を行った。なお、コントロールにおける浮遊培養時の酸素条件は、低酸素条件である。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培地として、インスリンを追加しなかった以外は、前記試験例9における第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液と同様とした培地を用い、浮遊培養時の酸素条件を、(1)低酸素条件(酸素濃度5%)、又は(2)低酸素でない条件(酸素濃度21%)とした以外は、前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。なお、コントロールにおける浮遊培養時の酸素条件は、低酸素条件である。
<<洗浄処理>>
前記試験例9と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
第2の心筋細胞誘導処理用培地として、インスリンを追加しなかった以外は、前記試験例9における第2の心筋細胞誘導処理用培養液と同様とした培地を用い、浮遊培養時の酸素条件を、(1)低酸素条件(酸素濃度5%)、又は(2)低酸素でない条件(酸素濃度21%)とした以外は、前記試験例9と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
また、前記試験例9と同様にして、コントロールについても第2の心筋細胞誘導処理を行った。なお、コントロールにおける浮遊培養時の酸素条件は、低酸素条件である。
<評価>
前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図22に示す。
なお、本試験例14では、各工程における浮遊培養時の酸素条件は同一とした。即ち、胚様体形成工程における酸素条件を低酸素条件とした場合には、中胚葉誘導工程、及び心筋細胞誘導工程における酸素条件は、低酸素条件とした。
図22中、低酸素条件の場合を+、低酸素でない条件の場合を−で示し、中胚葉誘導工程における培養液にインスリンが含まれる場合を+、含まれない場合を−で示した。
図22の結果から、中胚葉誘導工程における培養液がインスリンを含まないことで、コントロール(従来使用されていたStemPro34)を上回る分化効率を示すことがわかった。また、従来の分化誘導方法は、低酸素条件下で行われていたが、本発明の培地を用いることにより、低酸素でない条件でもコントロールよりも優れた分化効率を示すことがわかった。
(試験例15)
各種培地の検討を以下のようにして行った。
<培地の調製>
(1) StemPro(登録商標)34(インビトロジェン社製)に、培地添加剤として、L−グルタミン(インビトロジェン社製、2mM)、トランスフェリン(シグマ社製、150μg/mL)、アスコルビン酸(シグマ社製、50μg/mL)、及び1−チオグリセロール(シグマ社製、50μg/mL)を添加した培地(以下、「StemPro34」と称することがある)を調製した。
(2) ReproFF2(株式会社リプロセル製、以下、「ReproFF2」と称することがある)を用意した。
(3) 基礎培地として、IMDM(ナカライテスク株式会社製)を用い、前記基礎培地に、培地添加剤として、下記表6−1〜表6−2に記載の濃度となるように各成分を添加した培地(以下、「一液式培地」と称することがある)を調製した。
(4) 基礎培地として、DMEM/F12(ナカライテスク株式会社製)を用い、前記基礎培地に、培地添加剤として、下記表7−1〜表7−2に記載の濃度となるように各成分を添加した培地(以下、「第一培地」と称することがある)を調製した。
(5) 基礎培地として、IMDM(ナカライテスク株式会社製)を用い、前記基礎培地に、培地添加剤として、下記表8に記載の濃度となるように各成分を添加した培地(以下、「第二培地」と称することがある)を調製した。
<多能性幹細胞>
前記試験例5と同様に、国立大学法人 東京大学医学部附属病院にて樹立したヒトiPS細胞(クローン3)を用いた。
<胚様体形成工程>
上記で調製した培地(StemPro34、ReproFF2、一液式培地、又は第一培地)に、分化誘導調節剤として、Y27632(シグマ社製、5μM)を添加した培地を胚様体形成工程用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
上記で調製した培地(StemPro34、一液式培地、又は第二培地)に、分化誘導調節剤として、CHIR99021(ミリポア社製、4μM)を添加した培地を中胚葉誘導工程用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した培地(StemPro34、一液式培地、又は第二培地)に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びエストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第1の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した培地(StemPro34、一液式培地、又は第二培地)に、分化誘導調節剤として、IWP2(シグマ社製、5μM)、及びエストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した培地(StemPro34、一液式培地、又は第二培地)に、分化誘導調節剤として、エストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
本試験例15の各工程における培地と、分化誘導調節剤とを下記表9に示す。
<評価>
胚様体形成工程開始8日目、12日目、及び16日目に測定した以外は、前記試験例1と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図23に示す。
図23の結果から、本発明の培地と、分化誘導調節剤との組合せを用いたB−1、及びF−1では、従来の培地を用いたA−1、C−1、D−1、及びE−1よりも優れた分化効率が得られることが示された。また、一液式の培地であるB−1よりも、二液式の培地としたF−1のほうが心筋細胞の分化誘導効率に優れていることが示された。
(試験例16)
分化誘導調節剤の検討を以下のようにして行った。
<培地の調製>
前記試験例15と同様にして、第一培地、及び第二培地を調製した。
<多能性幹細胞>
多能性幹細胞として、前記試験例1で用いたヒトiPS細胞のうち、クローン1を用いた。
<胚様体形成工程>
上記で調製した第一培地に、分化誘導調節剤として、BMP4(R&D社製、0.5ng/mL)、又はY27632(シグマ社製、5μM)を添加した培地を胚様体形成工程用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、胚様体形成工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記胚様体を洗浄した。
<中胚葉誘導工程>
上記で調製した第二培地に、分化誘導調節剤として、(1)Activin A(R&D社製、6ng/mL)、BMP4(R&D社製、10ng/mL)、及びbFGF(FGF2、R&D社製、5ng/mL)、又は(2)CHIR99021(ミリポア社製、4μM)を添加した培地を中胚葉誘導工程用培養液とし、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始1日目〜3日目、又は1日目〜4日目とした以外は、試験例5と同様にして、中胚葉誘導工程を行った。
<洗浄工程>
前記試験例5と同様にして、前記中胚葉誘導後の胚様体を洗浄した。
<心筋細胞誘導工程>
<<第1の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した第二培地に、分化誘導調節剤として、(1)Dkk1(R&D社製、150ng/mL)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、又は(2)IWP2(シグマ社製、5μM)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びエストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第1の心筋細胞誘導処理用培養液とし、浮遊培養の期間を胚様体形成工程開始3日目〜6日目、又は4日目〜6日目とした以外は、試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した第二培地に、分化誘導調節剤として、(1)Dkk1(R&D社製、150ng/mL)、SB431542(シグマ社製、5μM)、及びVEGF(R&D社製、10ng/mL)、又は(2)IWP2(シグマ社製、5μM)、及びエストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理を行った。
<<洗浄処理>>
前記試験例5と同様にして、前記第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間の心筋細胞誘導処理後の胚様体を洗浄した。
<<第2の心筋細胞誘導処理>>
上記で調製した培地(StemPro34、一液式培地、又は第二培地)に、分化誘導調節剤として、エストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
上記で調製した第二培地に、分化誘導調節剤として、(1)VEGF(R&D社製、10ng/mL)、及びbFGF(FGF2、R&D社製、5ng/mL)、又は(2)エストラジオール(シグマ社製、100nM)を添加した培地を第2の心筋細胞誘導処理用培養液とした以外は、試験例5と同様にして、第2の心筋細胞誘導処理を行った。
本試験例16の各工程における分化誘導調節剤と、培地とを下記表10に示す。
<評価−1>
前記試験例15と同様にして、任意に選択した50個の胚様体における拍動している胚様体の割合を求めた。結果を図24に示す。
図24の結果から、本発明の培地と、分化誘導調節剤との組合せを用いたC−2では、本発明の培地と、分化誘導調節剤との組合せではないA−2、及びB−2よりも優れた分化効率が得られることが示された。
<評価−2>
本試験例16の前記C−2により分化誘導を行い、得られた心筋細胞をパッチクランプ法により評価した。結果の一例を図25A〜図25Dに示す。また、これまでに報告されているデータを図26(リプロセル株式会社のホームページより)及び図27(Am J Physiol Heart Circ Physiol 301: H2006−H2017, 2011)に示す。
−パッチクランプ法−
得られた心筋細胞をEBから単離し、ゼラチンをコートしたカバーグラス上に播種した。5〜10日間培養した後、自発的に拍動している単細胞をホールセル状態にし、活動電位は電流固定下(0pA)で自発性の活動電位を測定し、各種イオンチャネル電流は電位固定下で観察した。細胞外液の組成は、NaCl 150mmol/L、KCl 4mmol/L、CaCl 1.2mmol/L、MgCl 1mmol/L、D(+)−Glucose 10mmol/L、HEPES 10mmol/L(NaOHを用いてpH7.4に調整)のものを用いた。電極内液の組成は、KCl 140mmol/L、MgCl 1mmol/L、EGTA 5mmol/L、MgATP 5mmol/L、HEPES 10mmol/L(KOHを用いてpH7.2に調整)のものを用いた。
イオンチャネル電流を測定する際の電位プロトコルは以下を用いた。
・ ナトリウム電流 : 保持電位−90mVから−20mVまで20ミリ秒の脱分極刺激を1秒間隔で与えた。
・ カルシウム電流 : 保持電位−40mVから−0mVまで100ミリ秒の脱分極刺激を10秒間隔で与えた。
・ カリウム電流 : 保持電位−90mVから−40mVまで50ミリ秒の脱分極の後、20mV、2秒の脱分極、更に−40mV、0.5秒に再分極させる刺激を15秒間隔で与えた。
図25Aは、活動電位を測定した結果を示し、図25Bは、ナトリウム電流を測定した結果を示し、図25Cは、カリウム電流を測定した結果を示し、図25Dは、カルシウム電流を測定した結果を示す。
図25A〜図27の結果から、本発明の方法により分化誘導された心筋細胞は、95%が活動電位振幅140mV以上の大きな活動電位を有しており、過去に報告されているiPS細胞由来心筋細胞と比べて、大きく明瞭なプラトー相を有する活動電位が確認された。また、本発明の方法により分化誘導された心筋細胞は、300pA以上のピークカリウム電流、1nA以上のピークカルシウム電流、及び6.5nA以上のピークナトリウム電流を示していた。したがって、本発明の方法により分化誘導された心筋細胞は、高品質な心筋細胞であることが示された。
また、Wntシグナル活性化物質及びWntシグナル抑制物質だけでは、心筋細胞への分化誘導効率は非常に低効率であることから、TGF−βシグナル阻害剤及びエストラジオールを追加することが、接着培養系を介することなく浮遊培養系のみで心筋細胞へ分化させるために必要であったと推察される。
本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法によれば、浮遊培養開始後に接着培養を介することなく心筋細胞を分化誘導することができるので、大量に、かつ簡便に高品質な心筋細胞を製造することができる。
また、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法では、安定して入手可能であり、ロット間差が少ない成分を分化誘導調節剤として用いるため、安定して高品質な心筋細胞を製造することができる。
また、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に用いる培地は、安価な成分で構成されているため、安価に高品質な心筋細胞を製造することができる。
更に、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法に用いる培地は、毒物(例えば、2−メルカプトエタノール)や、成分が明らかでない脂質成分(例えば、Human−ExCyte)を含まないので、安全性にも優れる。
また、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法によれば、クローン間差を問わずに、高品質な心筋細胞を製造することができる。
また、本発明の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法では、iPS細胞の単細胞培養、細胞外基質の培養皿へのコーティング、剥離しやすい細胞の培地交換、厳密なタイミングの培地交換、分化心筋の再浮遊などの特別な技術を用いなくても高品質な心筋細胞を製造することができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 多能性幹細胞を浮遊培養し、胚様体を形成する胚様体形成工程と、
前記胚様体を浮遊培養し、中胚葉を誘導する中胚葉誘導工程と、
前記中胚葉誘導後の胚様体を浮遊培養し、心筋細胞を誘導する心筋細胞誘導工程とを含み、
前記心筋細胞誘導工程が、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理とを含み、
前記胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地のいずれかであり、
前記中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
前記第1の分化誘導培地が、基礎培地に、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、及び1−チオグリセロールを加えた培地であり、
前記第2の分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であり、
前記一液式分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、トランスフェリン、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であることを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<2> 胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、
中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、
第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、
第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である前記<1>に記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<3> 胚様体形成工程における培地が、一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、
中胚葉誘導工程における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、
第1の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、
第2の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である前記<1>に記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<4> 第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間に、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかで培養する処理を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<5> 第1の分化誘導培地が、更に、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含み、
第2の分化誘導培地が、更に、L−グルタミン、及びトランスフェリンを含み、
一液式分化誘導培地が、更に、グリシン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法である。
<6> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する培地添加剤であって、
アルブミン及び1−チオグリセロールの少なくともいずれかを含むことを特徴とする培地添加剤である。
<7> 更に、トランスフェリン、インスリン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、及びアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<6>に記載の培地添加剤である。
<8> 更に、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOからなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<6>から<7>のいずれかに記載の培地添加剤である。
<9> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する分化誘導調節剤であって、
ROCK阻害剤、Wntシグナル活性化物質、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする分化誘導調節剤である。
<10> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地であって、
前記<6>から<8>のいずれかに記載の培地添加剤と、
前記<9>に記載の分化誘導調節剤とを含み、
基礎培地が、ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする培地である。
<11> 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地作製用キットであって、
前記<6>から<8>のいずれかに記載の培地添加剤と、
前記<9>に記載の分化誘導調節剤と、
ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種の基礎培地とを含むことを特徴とする培地作製用キットである。
<12> 前記<10>に記載の培地、及び前記<11>に記載の培地作製用キットの少なくともいずれかを含むことを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットである。
<13> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法を教示する説明書を含む前記<12>に記載の幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキットである。

Claims (13)

  1. 多能性幹細胞を浮遊培養し、胚様体を形成する胚様体形成工程と、
    前記胚様体を浮遊培養し、中胚葉を誘導する中胚葉誘導工程と、
    前記中胚葉誘導後の胚様体を浮遊培養し、心筋細胞を誘導する心筋細胞誘導工程とを含み、
    前記心筋細胞誘導工程が、第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理とを含み、
    前記胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地のいずれかであり、
    前記中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地のいずれかであり、
    前記第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
    前記第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかであり、
    前記第1の分化誘導培地が、基礎培地に、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、及び1−チオグリセロールを加えた培地であり、
    前記第2の分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であり、
    前記一液式分化誘導培地が、イスコフ改変ダルベッコ培地に、トランスフェリン、アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、1−チオグリセロール、及びアスコルビン酸を加えた培地であることを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法。
  2. 胚様体形成工程における培地が、第1の分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、
    中胚葉誘導工程における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、
    第1の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、
    第2の心筋細胞誘導処理における培地が、第2の分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である請求項1に記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法。
  3. 胚様体形成工程における培地が、一液式分化誘導培地に、ROCK阻害剤を加えた培地であり、
    中胚葉誘導工程における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル活性化物質を加えた培地であり、
    第1の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地であり、
    第2の心筋細胞誘導処理における培地が、一液式分化誘導培地に、エストロゲン様作用物質を加えた培地である請求項1に記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法。
  4. 第1の心筋細胞誘導処理と、第2の心筋細胞誘導処理との間に、第2の分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地、及び一液式分化誘導培地に、Wntシグナル抑制物質、及びエストロゲン様作用物質を加えた培地のいずれかで培養する処理を含む請求項1から3のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法。
  5. 第1の分化誘導培地が、更に、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含み、
    第2の分化誘導培地が、更に、L−グルタミン、及びトランスフェリンを含み、
    一液式分化誘導培地が、更に、グリシン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOを含む請求項1から4のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法。
  6. 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する培地添加剤であって、
    アルブミン及び1−チオグリセロールの少なくともいずれかを含むことを特徴とする培地添加剤。
  7. 更に、トランスフェリン、インスリン、ポリビニルアルコール、エタノラミン塩酸塩、亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、DL−α−トコフェロール酢酸エステル、N−アセチル−L−システイン、及びアスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6に記載の培地添加剤。
  8. 更に、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン・HO、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、チアミン、還元型グルタチオン、アスコルビン酸−2−2POのマグネシウム塩、AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、3CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・HO、GeO、NaSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl・2HO、及びZrOCl・8HOからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6から7のいずれかに記載の培地添加剤。
  9. 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地に添加する分化誘導調節剤であって、
    ROCK阻害剤、Wntシグナル活性化物質、Wntシグナル抑制物質、TGF−βシグナル阻害剤、及びエストロゲン様作用物質からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする分化誘導調節剤。
  10. 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地であって、
    請求項6から8のいずれかに記載の培地添加剤と、
    請求項9に記載の分化誘導調節剤とを含み、
    基礎培地が、ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする培地。
  11. 多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するための培地作製用キットであって、
    請求項6から8のいずれかに記載の培地添加剤と、
    請求項9に記載の分化誘導調節剤と、
    ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI1640培地、及びαMEM培地からなる群から選択される少なくとも1種の基礎培地とを含むことを特徴とする培地作製用キット。
  12. 請求項10に記載の培地、及び請求項11に記載の培地作製用キットの少なくともいずれかを含むことを特徴とする多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット。
  13. 請求項1から5のいずれかに記載の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法を教示する説明書を含む請求項12に記載の幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット。
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