実施の形態1.
<3次元配線を有する回路装置>
図1(A)は、3次元配線を有する回路装置についての一実施形態を概略的に示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示したI−I線断面の概略図である。図1(A)および図1(B)に示す3次元配線を有する回路装置はシリコン貫通配線基板である。以下、当該シリコン貫通配線基板の参照符号を「1」として説明する。
シリコン貫通配線基板1は、シリコン基板10と、シリコン基板10の上面上に上側バリア層を介して形成された複数の上側配線と、シリコン基板10の下面上に下側バリア層を介して形成された複数の下側配線と、各々がシリコン基板10を貫通して所定の上側配線と所定の下側配線とを電気的に接続する複数のコンタクトプラグとを有する。各上側バリア層は、平面視上、その上の上側配線と同一の形状および大きさを有する。同様に、各下側バリア層は、平面視上、その下の下側配線と同一の形状および大きさを有する。
図1(A)には5つの上側配線12a〜12eが示されており、図1(B)には3つの上側配線12a〜12cと2つの下側配線13a〜13bとが示されている。また、図1(A)には6つのコンタクトプラグ14a〜14fが示されており、図1(B)には3つのコンタクトプラグ14a〜14cが示されている。コンタクトプラグによって互いに電気的に接続された上側配線および下側配線は、コンタクトプラグと共に1つの3次元配線を構成する。
図1(B)に示すように、個々の上側バリア層11a1〜11a3は、対応するコンタクトプラグ14a,14b,または14cが設けられている貫通孔THの内壁からシリコン基板10の上面を覆い、各下側バリア層11b1,11b2はシリコン基板10の下面を覆う。上側バリア層11a1〜11a3および下側バリア層11b1,11b2の各々は、例えば高融点金属、高融点金属の合金、または高融点金属の化合物からなる層を少なくとも1層含み、各上側配線12a〜12e、各下側配線13a〜13b、および各コンタクトプラグ14a〜14fからシリコン基板10へのエレクトロマイグレーションの発生を抑える。
上側バリア層11a1〜11a3および下側バリア層11b1,11b2それぞれの材料の具体例としては、チタン膜上にチタン窒化物膜およびチタン膜をこの順番で積層した3層積層膜、チタン膜上にチタン窒化物膜を積層した2層積層膜、シリコン酸化物膜、チタン膜、タンタル膜、タンタル窒化物膜、タングステン窒化物膜等が挙げられる。シリコン酸化物膜によって上側バリア層11a1〜11a3または下側バリア層11b1,11b2を形成する場合には、シリコン基板10の表面を自然酸化させることによって当該バリア層を形成することが可能である。なお、図1(B)においては、上側バリア層11a1〜11a3へのハッチングの付与を省略している。
各上側配線12a〜12eおよび各下側配線13a〜13bは、例えば銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム等の金属や、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金、あるいはITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電材料からなり、その形成方法は気相蒸着法等、適宜選定可能である。
各コンタクトプラグ14a〜14cは、対応する貫通孔THの内壁上に上側バリア層11a1,11a2,または11a3を介して形成されたシード層Sと、シード層S上に形成されて貫通孔THを埋めるプラグ本体PBとを有する。他のコンタクトプラグについても同様である。
各シード層Sは、周期表の第10族および第11族から選ばれる金属の塩および粒子の少なくとも一方を含有する金属膜形成用組成物の塗膜を加熱して形成された金属膜であり、対応する貫通孔THの下端から上端にかけて延在している。シード層Sの材料となる金属膜形成用組成物については、後に詳述する。
個々のシード層Sの厚さは、貫通孔THの内壁上での平均値で10〜2000nmの範囲内とすることが好ましく、30〜50nmの範囲内とすることが更に好ましい。また、各シード層Sは、銅粒子の焼結膜であることが好ましい。そして、当該シード層Sが形成される貫通孔THは、口径(上側バリア層11aまたはその母材を形成し終えた段階での口径)が1〜100μmの範囲内、更に好ましくは4〜100nmの範囲内で、当該口径に対する深さの比が1〜50の範囲内であることが好ましい。
各プラグ本体PBは、めっき法によってシード層S上に堆積して貫通孔THを埋める導電体からなる。個々のプラグ本体PBは、例えば銅やニッケル等の金属や、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金によって形成することができる。
上述した各構成要素を有するシリコン貫通配線基板1では、各コンタクトプラグ14a〜14fのプラグ本体PBがめっき法で形成され、これらのコンタクトプラグ14a〜14fによって上側配線12a〜12eと所定の下側配線とが電気的に接続されているので、当該シリコン貫通配線基板1が有する3次元配線の導電性は良好である。
また、上述した金属膜形成用組成物の塗膜はステップカバレジ性が良好で、貫通孔THの下端側から上端側にかけての膜厚が略均一な金属膜を容易に形成することができる。このため、めっき法でプラグ本体PBを形成するときに、プラグ本体PBの下端側の形成に要する時間と上端側の形成に要する時間との差が小さくなる。結果として、プラグ本体PBの形成時にシリコン基板10の上面側にめっき膜が過剰に堆積してその除去に長時間を要するという事態になることや、シリコン基板10の上面側に堆積しためっき膜を化学的機械的研磨(CMP)法等の方法で除去する際にタクトタイムが増大するという事態になることが抑えられる。また、プラグ本体内PB内でのボイドの発生が抑えられる。
したがって、シリコン貫通配線基板1は、比較的高い生産性の下に、かつ比較的低い製造コストの下に製造することが容易である。
以下、シリコン貫通配線基板1の製造方法を例にとり、図2(A)〜図2(D)および図3(E)〜図3(I)を参照して、3次元配線の形成方法の一実施形態を説明する。
<3次元配線の形成方法>
図2(A)〜図2(D)は、それぞれ、図1に示したシリコン貫通配線基板を製造する際の一工程を概略的に示す断面図である。また、図3(E)〜図3(I)は、それぞれ、図2(D)に示した工程の後に行われる一工程を概略的に示す断面図である。
図2(A)に示すように、図1(A)および図1(B)に示したシリコン貫通配線基板1を製造するにあたっては、まず、シリコン基板10(図1(A)および図1(B)参照)に最終的に成形される母材20の上面上にマスク材料層21を形成する。このマスク材料層21の材質は、後述するブラインドビアホールをウエットエッチング法によって形成するのかドライエッチング法によって形成するのかに応じて、適宜選択される。ウエットエッチング法によってブラインドビアホールを形成する場合には、有機系のポジ型レジスト層またはネガ型レジスト層をマスク材料層21として用いることができる。また、ドライエッチング法によってブラインドビアホールを形成する場合には、例えばプラズマCVD法によって成膜したシリコン窒化物膜をマスク材料層21として用いることができる。
次いで、マスク材料層21をリソグラフィ法等によりパターニングして、図2(B)に示すように、複数の所定箇所にそれぞれ開口部OP1が形成されたエッチングマスク21aを得る。各開口部OP1の形成位置は、図1(B)に示した貫通孔THの形成箇所に対応する。
次に、母材20の上面側から例えば反応性イオンエッチング法によって母材20をエッチングして、図2(C)に示すように、当該母材20の複数箇所にブラインドビアホールBVを形成する。個々のブラインドビアホールBVの口径は1〜100μm、深さは20〜200μm、アスペクト比(口径に対する深さの比)は1〜50とすることが好ましい。エッチングマスク21aは、ブラインドビアホールBVの形成後に除去する。
次に、母材20の上面および各ブラインドビアホールBVの内面にPVD法またはCVD法によって上側バリア層の母材となる上側バリア層用高融点膜を形成した後、前述した金属膜形成用組成物をスピンコート法や印刷法等によって塗工して塗膜を形成し、当該塗膜を加熱して金属膜にする。図2(D)に示すように、母材20の上面および各ブラインドビアホールBVの内面上には、上側バリア層用高融点膜22と金属膜23とがこの順番で積層される。
上側バリア層用高融点膜22は、図1(B)に示した各上側バリア層11a1〜11a3の母材に相当し、例えば高融点金属、高融点金属の合金、または高融点金属の化合物からなる層を少なくとも1層含む高融点膜、具体的には、チタン膜上にチタン窒化物膜およびチタン膜をこの順番で積層した3層積層膜、チタン膜上にチタン窒化物膜を積層した2層積層膜、シリコン酸化物膜、チタン膜、タンタル膜、タンタル窒化物膜、タングステン窒化物膜等の高融点膜をPVD法やCVD法等によって成膜することで形成可能である。なお、図2(D)ならびに後掲の図3(E)および図3(F)においては、上側バリア層用高融点膜22へのハッチングの付与を省略している
金属膜23は、図1(B)に示したシード層Sの母材に相当する。当該金属膜23は、良好な段差被覆性を有する。金属膜23を形成するにあたっては、金属膜形成用組成物の塗工時の粘度を1Pa・s以下、金属濃度を5〜50質量%とすることが好ましく、塗膜の加熱は、酸素濃度500ppm以下の雰囲気中または真空中にて100〜200℃で行うことが好ましい。また、ブラインドビアホールBVの内壁上での金属膜23の厚さの平均値が10〜2000nmの範囲内となるように塗工量を調整することが好ましい。金属膜23は、銅粒子の焼結膜であることが好ましい。
次に、めっき法によって金属膜23の外表面全体に亘って銅等の導電体を堆積させて、導電体層24を形成する。図3(E)に示すように、導電体層24の形成は、当該導電体層24によって各ブラインドビアホールBVが埋まるまで行う。導電体層24は、図1(B)に示した各プラグ本体PBの母材となる。
次いで、金属膜23および導電体層24の各々について、母材20の上面側に形成された領域を化学的機械的研磨(CMP)法等によって研磨除去する工程を行う。この工程を行うことにより、図3(F)に示すように、金属膜23のうちで母材20の上面側に位置していた領域が除去されて当該金属膜23が研磨済み金属膜23aになると共に、導電体層24から図1(A)に示した各コンタクトプラグ14a〜14fのプラグ本体PBが形成される。
次いで、母材20の下面側から当該母材20を研磨して、その厚みを減じる。この研磨は、図3(G)に示すように、プラグ本体PBの下端が完全に露出するまで行う。この研磨により、母材20が図1(B)に示したシリコン基板10になる。また、上記の研磨処理によって、上側バリア層用高融点膜22のうちでブラインドビアホールBVの底面上に位置していた領域とその上方の一定領域も除去されて、当該上側バリア層用高融点膜22が研磨済み上側バリア層用高融点膜22aになる。
さらに、上記の研磨処理によって、研磨済み金属膜23aのうちでブラインドビアホールBVの底面上に位置していた領域とその上方の一定領域も除去されて、当該研磨済み金属膜23から図1(B)に示した各シード層Sが形成される。そして、ブラインドビアホールBVは、図1(B)に示した貫通孔THになる。結果として、図1(A)に示した各コンタクトプラグ14a〜14fが形成される。
次に、図3(H)に示すように、シリコン基板10の上面上には上側配線用導電体膜25を形成し、下面上には、図1(B)に示した下側バリア層11bの母材となる高融点膜を形成した後に当該高融点膜を所定形状にパターニングして、下側バリア層用高融点膜26を形成する。この後、シリコン基板10の下面側全体に下側配線用導電体膜27を形成する。
上側配線用導電体膜25は、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム等の金属や、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金、あるいはITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電材料によって形成することができ、その形成方法は気相蒸着法等、適宜選定可能である。
下側バリア層用高融点膜26は、各コンタクトプラグ14a〜14fの下端面を露出させる開口部OP2を有する。当該下側バリア層用高融点膜26は、上側バリア層用高融点膜22と同様に、高融点金属、高融点金属の合金、または高融点金属の化合物からなる層を少なくとも1層含む高融点膜をPVD法やCVD法等によってシリコン基板10の下面全体に成膜した後、この高融点膜をリソグラフィ法によってパターニングして所定箇所に上記の開口部OP2を設けることによって形成可能である。また、シリコン基板10の下面を自然酸化させることによって下側バリア層用高融点膜26を形成することも可能である。
下側配線用導電体膜27は、上側配線用導電体膜25と同様に、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム等の金属や、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金、あるいはITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電材料によって形成することができ、その形成方法は気相蒸着法等、適宜選定可能である。当該下側配線用導電体膜27は、下側バリア層用高融点膜26および個々のコンタクトプラグ14a〜14fの下端面を覆う。
なお、各コンタクトプラグ14a〜14fを形成してから上側配線用導電体膜25を形成するまでの間に各コンタクトプラグ14a〜14fの上端面に自然酸化膜が形成されている場合には、当該自然酸化膜をウエットエッチング等によって除去してから上側配線用導電体膜25を形成することが好ましい。各コンタクトプラグ14a〜14fを形成してから下側配線用導電体膜27を形成するまでの間に各コンタクトプラグ14a〜14fの下端面に自然酸化膜が形成されている場合も、同様である。
次いで、上側配線用導電体膜25の上面上に例えば有機系のレジスト材料によってレジスト層を形成し、このレジスト層を例えばウエットエッチング法によりパターニングして、複数の所定箇所にそれぞれ開口部が形成されたエッチングマスクを得る。各開口部の形成箇所は、図1(A)に示した各上側配線12a〜12eの形成箇所を除いた箇所に対応する。
次に、上側配線用導電体膜25の上面側から例えばウエットエッチング法によって当該上側配線用導電体膜25とその下の研磨済み上側バリア層用高融点膜22aとをエッチングする。このとき、図3(I)に示すように、上側配線用導電体膜25のうちでエッチングマスク28の開口部OP3の下方に位置していた領域と、研磨済み上側バリア層用高融点膜22aのうちで開口部OP3の下方に位置していた領域とがエッチング除去される。このエッチングにより、図1(A)に示した各上側配線12a〜12eが形成されると共に、個々の上側配線12a〜12eとシリコン基板10との間に介在する上側バリア層が形成される。図3(I)には、図1(B)に示した3つの上側配線12a〜12cと3つの上側バリア層11a1〜11a3とが示されている。
この後、上側配線用導電体膜25のエッチングと同様の要領で下側配線用導電体膜27および下側バリア層用高融点膜26をエッチングして、所定数の下側配線と下側バリア層を形成する。下側配線および下側バリア層まで形成することにより、図1(A)および図1(B)に示した3次元配線を有するシリコン貫通配線基板1が得られる。
上述のようにして3次配線を形成すると、シリコン貫通配線基板1についての説明の中で述べたように、導電性が良好な3次元配線を比較的高い生産性の下に、かつ比較的に低い製造コストの下に形成することができる。
実施の形態2.
<3次元配線を有する回路装置>
図4(A)は、3次元配線を有する回路装置についての他の実施形態を概略的に示す断面図であり、図4(B)は、図4(A)中に一点鎖線で描いた円Cによって囲まれた領域の拡大図である。図4(A)に示す3次元配線を有する回路装置は半導体装置である。以下、当該半導体装置の参照符号を「100」として説明する。
図4(A)に示す半導体装置100は、半導体基板110と、半導体基板110に形成された複数の回路素子と、これらの回路素子を覆うようにして半導体基板110上に形成された多層配線部130とを有する。図4においては、上記の回路素子として2つの電界効果トランジスタ120,120が示されている。以下、半導体装置100の各構成要素について説明する。
半導体基板110は、互いに隣り合って配置される回路素子同士を電気的に分離するための素子分離領域110aが所定のパターンで形成されたシリコン単結晶基板である。シリコン単結晶基板に代えてガリウムヒ素のような化合物半導体からなる基板やSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることもできる。半導体基板110に形成される複数の回路素子は、当該半導体基板110上に形成される多層配線部130と共に集積回路を構成するものであり、どのような回路素子を半導体基板110に幾つ形成するかは、半導体装置100に求められる機能や半導体装置100の用途等に応じて適宜選択される。
各電界効果トランジスタ120は、半導体基板110上にゲート絶縁膜121を介して配置されたゲート電極122と、半導体基板110に形成されたソース領域123およびドレイン領域124と、ゲート電極122の線幅方向両側面に形成されたサイドウォールスペーサ125,125とを有する。図4(A)においては、ゲート絶縁膜121にスマッジングを付してある。
多層配線部130は、半導体基板110上にエッチングストッパ膜ESを介して積層された複数の配線層と、上下方向に隣り合う2つの配線層の間に介在するライナー層Lとを有する。図4(A)には、第1配線層131〜第3配線層133の計3つの配線層が表れている。図4(A)においては、エッチングストッパ膜ESおよび各ライナー層Lへのハッチングの付与を省略している。
エッチングストッパ膜ESは、例えばシリコン炭窒化物やシリコン窒化物により形成されて、第1配線層131の母材となる電気絶縁層に貫通孔(コンタクトホール)を設ける際のエッチングストッパとして利用される。各ライナー層Lは、当該ライナー層Lの下地となる配線層の母材とは異なる材料によって形成することが好ましい。例えば、配線層の母材としてシリコン酸化物を用いた場合、当該母材から形成した配線層の上には、例えばシリコン炭窒化物等からなるライナー層を形成することが好ましい。
各配線層131〜133は、母材となる電気絶縁層にウエットエッチング法またはドライエッチング法で形成された所定パターンのトレンチおよび貫通孔それぞれの内面ならびに上記の貫通孔の下側開口部に露出した下地層を覆うバリア層Bと、バリア層B上に形成されてトレンチおよび貫通孔の各々を埋めるダマシン配線Dとを有する。上記の電気絶縁層は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、低誘電率誘電体等によって形成することができる。バリア層Bは、図1(B)に示した各上側バリア層11a1〜11a3と同様に、例えば高融点金属、高融点金属の合金、または高融点金属の化合物からなる層を少なくとも1層含む。
図4(B)に示すように、各ダマシン配線Dは、バリア層B上に形成されたシード層Sと、シード層S上に形成されてトレンチTおよび貫通孔THを埋める導電体とを有する。導電体のうちでトレンチTを埋める領域は配線WLになり、貫通孔THを埋める領域はコンタクトプラグCPのプラグ本体PBになる。コンタクトプラグCPは、シード層Sのうちで貫通孔TH内に形成された領域と、プラグ本体PBとを有する。
ダマシン配線Dを構成するシード層Sは、図1(B)に示したシード層Sと同様に、周期表の第10族および第11族から選ばれる金属の塩および粒子の少なくとも一方を含有する金属膜形成用組成物の塗膜を加熱して形成された金属膜である。個々のシード層Sの厚さは、貫通孔THの内壁上での平均値で10〜2000nmの範囲内とすることが好ましい。また、各シード層Sは、銅粒子の焼結膜であることが好ましい。そして、当該シード層Sが形成される貫通孔THは、口径(バリア層Bまたはその母材を形成し終えた段階での口径)が1〜100μmの範囲内で、当該口径に対する深さの比が1〜50の範囲内であることが好ましい。プラグ本体PBおよび配線WLを構成する導電体は、めっき法によってシード層S上に堆積される。この導電体としては、例えば銅を用いることができる。
第1配線層131に形成されたコンタクトプラグCPは、当該第1配線層131に形成されバリア層B中の一領域を介して、電界効果トランジスタ120のソース領域123またはドレイン領域124に電気的に接続される。同様に、第2配線層132および第3配線層133の各々に形成されたコンタクトプラグは、当該配線層132,133に形成されバリア層B中の一領域を介して、直下にある第1配線層131または第2配線層132に形成されたダマシン配線Dに電気的に接続される。個々のコンタクトプラグCPに対しては、当該コンタクトプラグCPの上端側に一体的に形成されている配線WLが上側配線に相当し、当該コンタクトプラグCPの下端側においてバリア層Bを介して電気的に接続される配線WLまたは他のコンタクトプラグCPが下側配線に相当する。多層配線部130には、多数の三次元配線が形成されている。
上述した各構成要素を有する半導体装置100では、ダマシン配線Dによって3次元配線を形成するので、当該半導体装置100が有する3次元配線の導電性は良好である。また、ダマシン配線Dを構成するシード層Sの材料として用いる前述の金属膜形成用組成物の塗膜はステップカバレジ性が良好で、貫通孔THの下端側から上端側にかけての膜厚が略均一な金属膜を容易に形成することができる。このため、めっき法でプラグ本体PBを形成するときに、プラグ本体PBの下端側の形成に要する時間と上端側の形成に要する時間との差が小さくなる。結果として、ダマシン配線Dの形成時に配線層の上面側にめっき膜が過剰に堆積してその除去に長時間を要するという事態になることや、配線層の上面側に堆積しためっき膜を化学的機械的研磨(CMP)法等の方法で除去する際にタクトタイムが増大するという事態になることが抑えられる。また、プラグ本体内PB内でのボイドの発生が抑えられる。
したがって、半導体装置100では、比較的高い生産性の下に、かつ比較的低い製造コストの下に多層配線部130を製造することが容易である。結果として、半導体装置100は、比較的高い生産性の下に、かつ比較的低い製造コストの下に製造することが容易である。
以下、半導体装置100の製造方法を例にとり、図5(A)〜図(C)および図6(D)〜図6(F)を参照して、3次元配線の形成方法の他の実施形態を説明する。
<3次元配線の形成方法>
図5(A)〜図5(C)は、それぞれ、図4に示した半導体装置を製造する際の一工程を概略的に示す断面図である。また、図6(D)〜図6(F)は、それぞれ、図5(C)に示した工程の後に行われる一工程を概略的に示す断面図である。
図5(A)に示すように、図4(A)および図4(B)に示した半導体装置100を製造するにあたっては、まず、電界効果トランジスタ120等の所望の回路素子が形成された後の半導体基板110上に、図4(A)に示したエッチングストッパ膜ESの母材である第1エッチングストッパ膜ES1をPVD法またはCVD法によって形成する。第1エッチングストッパ膜ES1は、各電界効果トランジスタ120のゲート電極122および各サイドウォールスペーサ125,125を覆うようにして形成してもよい。なお、図5(A)においては、第1エッチングストッパ膜ES1へのハッチングの付与を省略している。
次に、半導体基板110上に第1配線層131の母材となる電気絶縁層をPVD法またはCVD法によって形成し、その上に所定形状のエッチングマスクを形成した後に当該電気絶縁層をウエットエッチング法またはドライエッチング法で成形して、所定パターンのトレンチおよび貫通孔を有する第1配線層を得る。この後、上記のエッチングマスクをそのまま用いて第1エッチングストッパ膜ES1をエッチングして、第1配線層131に設けた貫通孔の下方に位置する領域を除去して、第1エッチングストッパ膜ES1を図4(A)に示したエッチングストッパ膜ESに成形する。
図5(B)は、上述のようにして形成された第1配線層131およびエッチングストッパ膜ESを示す。第1配線層131には、所定数のトレンチTおよび貫通孔THが形成されている。エッチングストッパ膜ESでは、第1配線層131に設けた貫通孔THの下方に位置する領域に開口部OP3が形成されている。
次いで、例えばCVD法により高融点膜の成膜を行って、図5(C)に示すように、第1配線層131の上面、トレンチTの内面、貫通孔THの内面、エッチングストッパ膜ESにおける開口部OP3の内壁、および開口部OP3から露出している半導体基板110の表面を覆うバリア層用高融点膜HBを形成する。当該バリア層用高融点膜HBの材質は、例えば図1(B)に示した各上側バリア層11a1〜11a3と同じ材質にすることができる。
次に、バリア層用高融点膜HB上に前述の金属膜形成用組成物をスピンコート法や印刷法等によって塗工して塗膜を形成し、当該塗膜を加熱して、図6(D)に示すように、バリア層用高融点膜HB上に金属膜MFを形成する。金属膜MFは、良好な段差被覆性を有する。
金属膜MFを形成するにあたっては、金属膜形成用組成物の塗工時の粘度を1Pa・s以下、金属濃度を5〜50質量%とすることが好ましく、塗膜の加熱は、酸素濃度500ppm以下の雰囲気中または真空中にて100〜200℃で行うことが好ましい。また、貫通孔THの内壁上での金属膜MFの厚さの平均値が10〜2000nmの範囲内となるように塗工量を調整することが好ましい。金属膜23は、銅粒子の焼結膜であることが好ましい。
次に、めっき法によって金属膜MFの外表面全体に銅等の導電体を堆積させて、導電体層を形成する。図6(E)に示すように、導電体層CLの形成は、当該導電体層CLによって第1配線層131のトレンチTおよび各貫通孔THが埋まるまで行う。
次に、第1配線層131の上面と導電体層CLの上面とが実質的に同一の平面上に位置することになるように、例えば化学的機械的研磨(CMP)法によって導電体層CL、金属膜MF、および高融点膜HBを研磨する。これにより、図6(F)に示すように、各貫通孔TH内にはシード層Sとプラグ本体PBとを有するコンタクトプラグCPが形成され、トレンチT内には配線WLが形成されて、第1配線層131に所定パターンのダマシン配線Dが形成される。次いで、図6(F)に併記するように、第1配線層131上に所定パターンのライナー層Lを形成する。
この後、第1配線層131の形成および当該第1配線層131でのダマシン配線Dの形成と同様にして、第1配線層131上に所望数の配線層(ダマシン配線Dまで形成したもの)をライナー層Lを介して順次積層することにより、図4(A)に示した半導体装置100を得ることができる。半導体装置100についての説明の中で述べたように、上述のようにして3次配線を形成すると、導電性が良好な3次元配線を比較的高い生産性の下に、かつ比較的に低い製造コストの下に形成することができる。
実施の形態3.
<金属膜形成用組成物および金属膜の形成>
金属膜形成用組成物の一実施形態では、当該金属膜形成用組成物は、金属塩および金属粒子の少なくとも一方を含有する。以下、この成分を(A)成分という。また、本実施形態の金属膜形成用組成物は、(B)成分としてアミン化合物を含有することができる。更に、任意成分として、溶媒または分散媒を含有することができる。以下、この溶媒または分散媒を(C)成分という。更に、本実施形態の金属膜形成用組成物は、上記各成分に加え、その他任意成分を含有することができる。
本実施形態の金属膜形成用組成物は、公知の多様な塗工法によって塗膜の形成が可能であり、またその塗膜は、加熱されて金属膜を形成することができる。このとき、本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述の組成を有することにより、適当な基板上に塗工されて塗膜を形成した後、大気下や、窒素ガス等による非酸化性雰囲気下や、酸素濃度500ppm以下の雰囲気下や、真空中での加熱により、基板上に金属膜を形成することができる。そして、加熱の温度は250℃以下とすることが可能であり、更に低い200℃以下とすることも可能である。
以下、本実施形態の金属膜形成用組成物の各成分について説明する。
[(A)成分]
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述したように、(A)成分として、金属膜の原料となる、金属塩および金属粒子の少なくとも一方を含有する。
(A)成分は、好ましくは、周期表の第10族および第11族から選ばれる金属の塩および粒子の少なくとも一方である。(A)成分として、第10族および第11族から選ばれる金属の塩および粒子の少なくとも一方を含むことにより、低電気抵抗の金属膜を形成することができる。
そして、簡便に低電気抵抗の金属膜を形成するという観点から、本実施形態の金属膜形成用組成物は、(A)成分として、周期表の第10族および第11族の遷移金属(パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)および金(Au))よりなる群から選ばれる金属を含む金属塩および金属粒子の少なくとも一方を含有することがより好ましい。また、より低い製造コストにて低電気抵抗の金属膜を形成するという観点から、本実施形態の金属膜形成用組成物は、(A)成分として、銅、銀およびニッケルよりなる群から選ばれる金属を含む金属塩および金属粒子の少なくとも一方を含有することが特に好ましい。
(A)成分として用いることができる金属塩は金属イオンを含有する化合物であればよく、特に限定はされない。この金属塩としては、例えば、金属イオンと、無機アニオン種および有機アニオン種のうちの少なくとも一方とからなる金属塩を用いることができる。
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述したように、(A)成分に、銅、銀およびニッケルよりなる群から選ばれる金属を含む金属塩を用いることが特に好ましい。(A)成分として銅を含む金属塩、すなわち、銅塩を用いる場合、溶解度の観点から、銅カルボン酸塩、および、銅とアセチルアセトン誘導体との錯塩からなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
そして、例えば、銅カルボン酸としては、酢酸銅、トリフルオロ酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、2−メチル酪酸銅、2−エチル酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、ヘキサン酸銅、ヘプタン酸銅、オクタン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、ノナン酸銅等の脂式カルボン酸との銅塩、マロン酸銅、コハク酸銅、マレイン酸銅等のジカルボン酸との銅塩、安息香酸銅、サリチル酸銅等の芳香族カルボン酸との銅塩、ギ酸銅、ヒドロキシ酢酸銅、グリオキシル酸銅、乳酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、クエン酸銅等の還元力を有するカルボン酸との銅塩、および前記銅塩の水和物等を好適なものとして挙げることができる。
また、銅とアセチルアセトン誘導体との錯塩としては、銅原子あたりアセチルアセトン誘導体あるいはアセト酢酸エステル誘導体が1〜2分子の割合で錯形成したものが挙げられ、その具体例としては、アセチルアセトナト銅、アセト酢酸エチル銅、1,1,1−トリメチルアセチルアセトナト銅、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチルアセチルアセトナト銅、1,1,1−トリフルオロアセチルアセトナト銅、および、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト銅等が好適なものとして挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点および低電気抵抗の金属膜(銅膜)を形成する観点から、酢酸銅、トリフルオロ酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、2−メチル酪酸銅、ピバリン酸銅、ギ酸銅、ヒドロキシ酢酸銅、グリオキシル酸銅、シュウ酸銅、アセチルアセトナト銅、アセト酢酸エチル銅、1,1,1−トリフルオロアセチルアセトナト銅および1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト銅、およびこれらの水和物がより好ましい銅塩として挙げられる。そして更に、ギ酸銅およびギ酸銅水和物を特に好ましい銅塩として挙げることができる。
また、(A)成分として銀を含む金属塩、すなわち銀塩を用いる場合、上述したように、銀の塩であれば特に限定はされない。(A)成分に銀塩を用いる場合、例えば、硝酸銀、酢酸銀、ギ酸銀、シュウ酸銀、酸化銀、アセチルアセトン銀、アセト酢酸エチル銀、安息香酸銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、フッ化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、硫酸銀、硫化銀、およびトリフルオロ酢酸銀等を好適なものとして挙げることができる。
これらの銀塩の中でも、低電気抵抗の金属膜(銀膜)を形成する観点から、銀カルボン塩を用いることがより好ましく、酢酸銀、ギ酸銀、シュウ酸銀等をより好ましい銀塩の例として挙げることができる。そして、ギ酸銀を特に好ましい銀塩として挙げることができる。
また、(A)成分としてニッケルを含む金属塩、すなわちニッケル塩を用いる場合、上述したように、ニッケルの塩であれば特に限定されない。そして、低電気抵抗の金属膜(ニッケル膜)を形成する観点から、ニッケルカルボン塩を用いることが好ましく、酢酸ニッケル、ギ酸ニッケル、シュウ酸ニッケル等をより好ましいニッケル塩の例として挙げることができる。そして、ギ酸ニッケルを特に好ましいニッケル塩として挙げることができる。
(A)成分としての金属塩は、市販のものでも、公知の方法により合成したものでも良く、更には、金属イオンを含む化合物と、無機アニオン種および有機アニオン種のうちの少なくとも一方とを混合することにより、反応系の中で形成させたものでも何ら差し支えなく使用することができ、特に限定されない。
また、(A)成分の金属塩として還元力を有するカルボン酸との金属塩、すなわち、金属カルボン酸塩を用いた場合、対アニオンである還元力を有するカルボン酸が還元剤として作用するため、別途、還元剤を加えなくても差し支えない。
(A)成分としての金属塩の純度については特に限定されないが、あまりにも低純度であると金属膜を形成した際に、導電性(電気抵抗特性)に悪影響を与えるおそれがある。したがって、(A)成分の金属塩の純度は90%以上が好ましく、95%以上が更に好ましい。
(A)成分として金属粒子を用いる場合、当該金属粒子は、金属からなる粒子であれば特に限定されない。そして、簡便に低電気抵抗の金属膜を形成するという観点から、(A)成分の金属粒子としては、周期表の第10族および第11族の遷移金属(パラジウム、白金、銅、銀、ニッケルおよび金)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属粒子を用いることがより好ましい。これらの金属種は、単体であってもその他の金属との合金であっても差し支えない。これらの金属種が単体である場合、好ましい金属粒子としては、パラジウム粒子、白金粒子、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子および金粒子からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせとなる。
これらの中でもコスト面、入手の容易さ、および、より低電気抵抗の金属膜を形成するという観点から、銀、銅およびニッケルからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属種を含有することが好ましい。これら以外の金属粒子を使用しても差し支えないが、例えば、金属塩である銅塩と併用した場合、銅イオンにより金属粒子が酸化を受けるおそれがあるため、上述した金属粒子を使用することがより好ましい。
(A)成分として用いる金属粒子の平均粒子径は、5〜100nmの範囲であることが好ましい。(A)成分として用いる金属粒子の粒子径が5nm未満になると、金属表面の活性が非常に高くなり、酸化反応を生じる、あるいは溶解するおそれがある他、粒子間で凝集体を形成し、保存中に沈降することがある。また、100nmを超えると、長期保存した場合に金属粒子が沈降することがある。よって、(A)成分として用いる金属粒子の平均粒子径は、上述の範囲内であることが好ましい。
(A)成分として用いる金属粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な微粒子に適用される測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上述した顕微鏡を用いて観測し、観測された視野の中から、粒子径が比較的揃っている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。得られた各々の写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさし等の測長機で測定し、測定倍率で除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより、求めることができる。また、標準偏差については、上述の観察時に個々の金属粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上述した平均粒子径およびその標準偏差に基づいて、下式により算出することができる。
(A)成分として用いる金属粒子は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。公知の合成方法としては、例えば、スパッタリング法やガス中蒸着法等、物理的な手法で合成反応を行う気相法(乾式法)や、金属化合物溶液を表面保護剤の存在下で還元して金属粒子を析出させる等の液相法(湿式法)等が一般的に知られている。
(A)成分として用いる金属粒子の純度については特に限定するものではないが、低純度であると形成された金属膜の導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましい。
本実施形態の金属膜形成用組成物中の(A)成分の含有量としては、本実施形態の金属膜形成用組成物が含有する全成分の総質量を100質量%としたときに、1質量%〜70質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。(A)成分の含有量を1質量%〜70質量%とすることによって、優れた導電性を有する金属膜を形成できる。(A)成分の含有量を5質量%〜50質量%とすることによって、より低い電気抵抗値の金属膜を形成することができる。
[(B)成分]
本実施形態の金属膜形成用組成物においては、上記した(A)成分の他に、(B)成分としてアミン化合物を含有することができる。
(B)成分のアミン化合物としては、下記一般式(1)、下記一般式(2)および下記一般式(3)のうちの少なくとも1つの一般式で表されるアミン化合物を用いることができる。
上記一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R3は、単結合、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R4は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、アミノ基、ジメチルアミノ基、または、ジエチルアミノ基を示す。
上記一般式(2)中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R7は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R8は、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。但し、R5およびR6が水素原子の場合、R8はメチル基およびエチル基以外を示す。
上記一般式(3)中、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R11は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R12、R13は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。
上記一般式(1)で表されるアミン化合物が含む基R1およびR2の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(1)で表されるアミン化合物が含む基R4の例としては、水素原子、アミノ基、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるアミン化合物の具体的な例としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソペンチルアミン、ネオペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、1−エチルプロピルアミン、1,1−ジメチルプロピルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、1,1,2−トリメチルプロピルアミン、1,2,2−トリメチルプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ネオペンチルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、4−ヘプチルアミン、2−ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるアミン化合物が含む基R5およびR6の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(2)で表されるアミン化合物が含む基R8の例としては、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。但し、R5およびR6がともに水素原子である場合、R8はメチル基およびエチル基以外である。
上記一般式(2)で表されるアミン化合物の具体的な例としては、例えば、メトキシ(メチル)アミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、4−メトキシブチルアミン、エトキシ(メチル)アミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、4−エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、2−プロポキシエチルアミン、2−イソプロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、2−プロポキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、4−プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、2−ブトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、4−ブトキシブチルアミン、オキシビス(エチルアミン)等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるアミン化合物が含む基R9およびR10の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(3)で表されるアミン化合物が含む基R12およびR13の例としては、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるアミン化合物の具体例としては、例えば、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール等が挙げられる。
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上記一般式(1)、上記一般式(2)および上記一般式(3)の少なくとも1つの一般式で表されるアミン化合物よりなる群より選ばれる1種、または互いに相溶性のある2種以上を組み合わせて、(B)成分として用いることが好ましい。(B)成分は、市販品の使用が可能であり、入手方法等については特に限定されない。
(B)成分の純度については特に限定するものではないが、金属膜形成用組成物が電子材料分野で使用されることを考慮し、金属膜中の不純な含有物を低減することができるように、95%以上が好ましく、99%以上が更に好ましい。
(B)成分の含有量としては、本実施形態の金属膜形成用組成物が含有する全成分の総質量を100質量%としたときに、99質量%以下とすることができ、0.1質量%〜99質量%が好ましく、1質量%〜90質量%がより好ましく、2質量%〜80質量%が更に好ましい。(B)成分の含有量を0.1質量%〜99質量%とすることによって、優れた導電性を有する金属膜を形成できる。(B)成分の含有量を1質量%〜99質量%とすることによって、より低い温度での加熱によって、より低い電気抵抗値の金属膜を形成することができる。2質量%〜80質量%とすることによって、低い電気抵抗値の金属膜形成を達成できると共に、生産性に優れた金属膜形成用組成物を調製することができる。
[(C)成分]
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述したように、(A)成分および(B)成分の他に、任意成分である(C)成分として、溶媒または分散媒(以下、溶剤と総称する)を含有することができる。溶剤を金属膜形成用組成物中に含有させることにより、塗工方法に対応した金属膜形成用組成物の粘度調整が容易となり、また、安定した均一な物性の金属膜を形成することが可能となる。
溶剤は、金属膜形成用組成物中の各成分を溶解または分散することができるものであれば、特に限定するものではない。例えば、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種の液体、または、相溶性のある2種以上の液体が挙げられる。
溶剤として用いることができるアルコール類の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール(1−プロパノール)、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール(1−ブタノール)、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
これらの溶剤のうち、特に金属膜形成用組成物の粘度の調整のし易さの観点から、エーテル類が好ましい。
(C)成分である溶剤の含有量は、本実施形態の金属膜形成用組成物の全成分の総質量を100質量%としたときに、0質量%〜95質量%の範囲であり、0質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
[その他任意成分]
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述した(A)成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他任意成分を含有することができる。その他任意成分としては、ギ酸およびギ酸アンモニウムの少なくとも一方を含有することができ、他には、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、塗膜形成補助剤、密着助剤等を含有することが可能である。
その他任意成分であるギ酸およびギ酸アンモニウムは、本実施形態の金属膜形成用組成物から金属膜を形成するに際し、還元反応を促進する効果を有し、所望とする電気抵抗特性の金属膜形成を促進することができる。
本実施形態の金属膜形成用組成物に含有可能なギ酸およびギ酸アンモニウムとしては、市販品の使用が可能であり、入手方法等については特に限定はされない。
ギ酸およびギ酸アンモニウムの純度については特に限定するものではない。しかし、低純度であると、金属膜を形成する際に、当該金属膜の導電性を低下させる懸念がある。したがって、ギ酸およびギ酸アンモニウムの純度は95%以上が好ましく、99%以上が更に好ましい。
本実施形態の金属膜形成用組成物におけるギ酸とギ酸アンモニウムの総含有量は特に制限はないが、本実施形態の金属膜形成用組成物が含有する全成分の総質量を100質量%としたときに、0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲とするのがより好ましい。ギ酸とギ酸アンモニウムの総含有量が50質量%を超えるように添加しても、含有量に対応するような効果は得られない。更に、金属膜形成用組成物の単位質量当たりの金属形成の量が低下し、所望とする特性の金属膜を高い製造効率で形成できないおそれがある。
また、本実施形態の金属膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他任意成分として、上述したギ酸等以外の成分も含有することができる。本実施形態の金属膜形成用組成物において含有可能な、ギ酸等以外のその他任意成分については、所望とする特性を備え、かつ(A)成分による金属膜の形成反応を阻害しないものであれば、特に制限するものではない。例えば、上述した各成分が溶解して反応をしない有機溶剤の中から選択し、その他任意成分として含有させることも可能である。そして、その有機溶剤を添加することにより、金属膜形成用組成物を所望の濃度、表面張力、粘度となるよう調製することができ、あるいはバリア層等との密着性を向上させることができる。
本実施形態の金属膜形成用組成物における、ギ酸およびギ酸アンモニウム以外のその他任意成分の含有量は特に制限はないが、本実施形態の金属膜形成用組成物が含有する全成分の総質量を100質量としたときに、0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲とするのがより好ましい。その他任意成分の含有量が50質量%を超えるように添加しても、含有量に対応するような、その他任意成分による効果は得られない。更に、金属膜形成用組成物の単位質量当たりの金属形成の量が低下し、所望とする特性の金属膜を高い製造効率で形成できないおそれがある。
次に、上述した成分を含有する本実施形態の金属膜形成用組成物の調製方法について説明する。
[金属膜形成用組成物の調製]
本実施形態の金属膜形成用組成物は、上述した(A)成分の他に、必要に応じて(B)成分、および他の任意成分を混合することで、簡便に調製し、製造することができる。また、本実施形態の金属膜形成用組成物が(C)成分である溶剤を含有する場合も、(A)成分および(C)成分、並びに必要に応じての(B)成分およびその他の任意成分を混合することで、簡便に調製し、製造することができる。
本実施形態の金属膜形成用組成物の調製において、(B)成分であるアミン化合物と(C)成分である溶剤とを添加する場合、(C)成分の添加は、上述した(A)成分と(B)成分とを混合した後に行うことができる。添加する溶剤としては、上述したように、(A)成分および(B)成分を溶解または分散するものであれば特に限定はされない。そして、(B)成分を溶解または分散するものが好ましい。
本実施形態の金属膜形成用組成物の調製において、その他任意成分として、上述したギ酸等や、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤等を含有させる場合、当該その他任意成分は、例えば、(A)成分と(B)成分とを混合した後、あるいは(A)成分と(B)成分と(C)成分とを混合した後に添加することができる。そして、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、密着助剤等の任意成分は、本実施形態の金属膜形成用組成物の成分濃度、表面張力、粘度等を調整し、あるいはバリア層等との密着性を向上させる。
本実施形態の金属膜形成用組成物の調製時における混合方法としては、特に限定するものではないが、例えば、攪拌羽による攪拌、スターラーおよび攪拌子による攪拌、沸盪器による攪拌、超音波ホモジナイザー、ディゾルバー、ビーズミル、ペイントシェーカーまたは攪拌脱泡装置等を使用した方法等が挙げられる。混合の条件としては、例えば、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の回転速度が、通常1rpm〜4000rpmの範囲、好ましくは10rpm〜2000rpmの範囲である。
次に、本実施形態の金属膜形成用組成物を用いた金属膜の形成と、形成される金属膜とについて説明する。
[金属膜の形成]
本実施形態の金属膜形成用組成物を用いて金属膜を形成するにあたっては、まず、所望とする適当な基材上に当該金属膜形成用組成物を塗工して、塗膜を形成する。次いで、この塗膜を加熱して、基材上に金属膜を形成する。
このときの塗膜の加熱は、大気下や、窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスを利用した非酸化性雰囲気下や、酸素濃度500ppm以下の雰囲気下や、真空中で行うことができる。上述した実施形態の金属膜形成用組成物は、簡便に金属膜形成のための加熱を行って、金属膜を形成することができる。金属膜形成用組成物が(A)成分として金属塩を含む場合には、金属塩の金属イオンが還元反応して金属粒子を生成するので、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気下で加熱する必要性はない。
金属膜形成用組成物の塗膜を形成する基材としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
この基材としては、例えば、樹脂等の有機基材、金属、金属合金、非金属、セラミックス、ガラス等の無機基材が挙げられ、より具体的には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート)、ポリアセタール樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材、銅、鉄、銀、金、白金、アルミ、ニッケル、チタン、タンタル、コバルト、タングステン、ルテニウム、鉛等の金属基材、ジュラルミン、ステンレス鋼等の金属合金基材、炭素、ケイ素、ガリウム等の非金属基材、アルミナ、チタニア、酸化スズ、酸化イットリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、サファイア、ジルコニア、窒化ガリウム、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、ポリシリコン等のセラミックス基材、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス、カルコゲンガラス等のガラス基材、ガラスエポキシ等の有機無機複合基材等が挙げられる。
本実施形態の金属膜形成用組成物の塗工方法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷、(シルク)スクリーン印刷、凸版印刷等の印刷法や、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、キャスト法、ディップコート法、および、ロールコータ法等の塗工方法が挙げられる。
本実施形態の金属膜形成用組成物の塗工方法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷、(シルク)スクリーン印刷、凸版印刷等の印刷法や、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、キャスト法、ディップコート法、および、ロールコータ法等の塗工方法が挙げられる。
印刷法を利用した場合には、所望のパターンを直接描画することができる。その結果、適当な基材上に形成された塗膜を加熱することで形成した金属膜を用いて、めっき法に適用される導電性層を形成する等が可能になる。スピンコート法等を利用した場合には、基板上に一様なベタ状の塗膜が形成されるので、この塗膜を加熱することで一様なベタ状の金属膜を形成することが可能になる。また、スピンコート法等を利用した場合には、たとえ基材に貫通孔やブラインドビアホール等が形成されていても、これら貫通孔やブラインドビアホールの内面上、および基材の上面上に略一様な塗膜を形成することが可能になるので、この塗膜を加熱することで略コンフォーマルな金属膜を形成することが可能になる。
金属膜形成用組成物の塗工量は、所望する金属膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。また、塗工方法や基材との濡れ性(基材の表面エネルギーの大きさ)等に応じて、金属膜形成用組成物の粘度を調整することが好ましい。金属膜形成用組成物の粘度は、(C)成分である溶剤を含有させる場合には、当該(C)成分の種類と含有量を適宜選定することにより、調整することが可能である。金属膜形成用組成物に(B)成分であるアミン化合物を含有させる場合には、(B)成分の種類と含有量を適宜選定することによっても、金属膜形成用組成物の粘度を調整することが可能である。
本実施形態の金属膜形成用組成物を塗工して得た塗膜を加熱する際の温度は、前述した(A)成分として金属塩を含有するか金属微粒子を含有するかに応じて、適宜設定可能である。金属膜形成用組成物が(A)成分として金属塩を含有する場合の加熱温度は、(A)成分の金属塩が還元され、不要な有機物が分解、揮発する温度であればよく、例えば50℃〜300℃の範囲で選定することが好ましく、50℃〜250℃の範囲がより好ましく、50℃〜200℃の範囲が更に好ましい。加熱温度が50℃未満であると、金属塩の還元反応が完全に進行せず、また不要な有機物の残存が顕著になる場合があり、300℃を超えると、有機材料からなる基板を利用できない、あるいはすでに形成された回路部分にダメージを与える恐れがある。250℃以下であれば、有機材料からなる基板を選択して使用することが可能となる。また、200℃以下であれば、有機材料からなる基板を含む、より多様な基板の群から所望の基板を選択して使用することができる。
一方、(A)成分として金属粒子を含有する場合の加熱温度は、(A)成分の金属粒子同士が焼結ないし融着する温度とすることが好ましい。金属微粒子の平均粒子径が数nm〜数10nm程度である場合には、バルクの金属よりも融点が降下し、300℃程度の比較的低温の加熱で粒子同士の焼結ないし融着が起こる。金属微粒子の平均粒子径が100nm程度である場合にも、比較低温の加熱で粒子同士の焼結ないし融着が起こる。
また、加熱時間は、金属膜形成用組成物中の(A)成分、並びに必要に応じて添加される(B)成分、(C)成分およびその他任意成分等の各成分の種類や、所望する金属膜の導電性(電気抵抗値)を考慮して適宜選択すればよく、特に限定するものではない。200℃程度またはそれ以下の比較的低温の加熱温度を選択した場合には、加熱時間は、5分間〜100分間程度とすることが好ましい。
金属膜形成用組成物の塗膜を加熱して得た金属膜をコンタクトプラグ形成のためのめっき処理用シード層として利用する場合には、実施の形態1および実施の形態2で説明したように、金属膜形成用組成物の粘度を1Pa・s以下、金属濃度を5〜50質量%とすることが好ましい。ここで、金属膜形成用組成物の金属濃度とは、金属膜形成用組成物に占める(A)成分の割合を意味する。また、この場合、金属膜形成用組成物の塗膜を酸素濃度500ppm以下の雰囲気中または真空中にて100〜200℃に加熱することで、金属膜を形成することが好ましい。
金属膜形成用組成物の塗膜を加熱して得られる金属膜の膜厚および段差被覆性は、金属膜形成用組成物の組成、金属膜形成用組成物の塗工量、金属膜形成用組成物の粘度、金属膜形成用組成物の金属濃度、金属形成用組成物と基材との濡れ性、塗工条件等に応じて変動する。良好な段差被覆性を有する所望膜厚の金属膜を形成するうえからは、基材との濡れ性を勘案して、これら金属膜形成用組成物の組成、粘度および金属濃度、ならびに塗工条件の好ましい範囲を予め実験により求めておくことが望ましい。
例えばブラインドビアホールが形成されたシリコンウエハ上に金属膜形成用組成物をスピンコート法により塗工して塗膜を得、この塗膜を加熱して金属膜を形成する場合、金属膜形成用組成物の組成、金属膜形成用組成物の塗工量、金属膜形成用組成物の粘度、金属膜形成用組成物の金属濃度等を適宜調整することにより、例えば図7〜図9に示すように、略一様で段差被覆性が良好な金属膜を形成することができる。すなわち、コンフォーマルな金属膜を形成することができる。
図7〜図9の各々は、ブラインドビアホールが形成されたシリコンウエハ上に金属膜形成用組成物をスピンコート法により塗工して塗膜を得、この塗膜を加熱して銅膜を形成したときの銅膜の断面形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。図7は、ブラインドビアホール全体での銅膜の断面形状を示し、図8は、ブラインドビアホールの上端部およびその近傍での銅膜の断面形状を示し、図9は、ブラインドビアホールの下端部およびその近傍での銅膜の断面形状を示す。
シリコンウエハに形成されているブラインドビアホールの口径は15μm、深さは50μmであり、金属膜形成用組成物の粘度は160mP・sである。また、スピンコートのメインローテンション時における回転数は500rpm、継続時間は10秒である。塗膜の加熱は、窒素ガス気流中、200〜230℃で10分間行った。
図7〜図9から明らかなように、上記の条件で形成された銅膜は銅粒子の焼結膜であり、当該銅膜は、ブラインドビアホールの底部から上端部、更にはシリコンウエハの上面にかけて略一様な膜厚を有している。すなわち、良好な段差被覆性を有しており、略コンフォーマルに形成されている。この金属膜の平均膜厚は0.7μm、固有抵抗率は20μΩ・cmである。
以上説明したように、本実施形態の金属膜形成用組成物を用いれば、良好な電気抵抗特性を有する金属膜を簡便に形成することが可能になると共に、良好な段差被覆性の下に金属膜を形成することが容易になる。アスペクト比が大きい貫通孔やブラインドビアホールであっても、当該貫通孔やブラインドビアホール内に良好な段差被覆性の下に金属膜を容易に形成することができる。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、粘度に関してはE型粘度計(東機産業社製)にて測定した。
実施例1
冷却ジャケットおよび攪拌機を装備したガラス製反応器へ、ギ酸銅4水和物を33重量部、n−オクチルアミンを67重量部仕込んだ。次いで液温を30℃にコントロールしながら300rpmで20時間混合し、原子換算での銅濃度が9.3質量%の金属膜形成用組成物1を調整した。当該金属膜形成用組成物の粘度は390mPa・sであった。
実施例2
ギ酸銅4水和物に代えて無水ギ酸銅を22重量部とし、オクチルアミンに代えて2−エチルヘキシルアミンを78重量部とした以外は実施例1と同様の操作にて、原子換算での銅濃度が9.1質量%の金属膜形成用組成物2を調製した。当該金属膜形成用組成物の粘度は100mPa・sであった。
実施例3
ギ酸銅4水和物に代えてギ酸ニッケルを23重量部とし、オクチルアミンを77重量部とした以外は実施例1と同様の操作にて、原子換算での銅濃度が9.0質量%の金属膜形成用組成物3を調製した。当該金属膜形成用組成物の粘度は150mPa・sであった。
実施例4
ギ酸ニッケルを7重量部、無水ギ酸銅を15重量部、オクチルアミンを58重量部、3−エトキシプロピルアミンを20重量部用いた以外は、実施例1と同様の操作にて、金属膜形成用組成物4を調製した。当該金属膜形成用組成物の粘度は320mPa・sであった。
実施例5
無水ギ酸銅を22重量部、オクチルアミンを55重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテルを23重量部用い、表面調整剤としてBYK370(ビックケミー社製、固形分濃度25質量%)を0.5重量部外添した以外は、実施例1と同様の操作にて、金属膜形成用組成物5を調製した。当該金属膜形成用組成物の粘度は90mPa・sであった。
実施例6
ガラス製還流冷却管および攪拌機を装備したガラス製の反応器へ、1−ブタノール32.3重量部、2−エチルヘキシルアミン46.2重量、オレイン酸3.2重量部、無水ギ酸銅18.3重量部を仕込み、窒素流通下で均一溶解するまで攪拌し、次にオイルバスで100℃に加熱、60分間攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。当該銅微粒子分散体を室温にまで放冷した後、メタノール100重量部を添加し、遠心分離により上澄みを分離除去し、銅ナノ粒子を主成分とする固形物10.2重量部を得た。透過型電子顕微鏡(TEM)による分析において、銅ナノ粒子の平均粒径は54nmであった。得られた上述の銅ナノ粒子を主成分とする固形物4.0重量部にオレイン酸0.4重量部、オクチルアミン0.3重量部、n−オクタン3.5重量部、ブタノール3.5重量部、ソルスパース24000(ルーブリゾール社製)0.1重量部を遊星式脱泡撹拌混合器にて混合し、原子換算での銅濃度が33質量%の金属膜形成用組成物6を得た。当該金属膜形成用組成物の粘度は75mPa・sであった。
実施例7
実施例1のギ酸銅4水和物に代えて、無水ギ酸銅10.5重量部とし、n−オクチルアミン67重量部を89重量部に代えて、BYK370(ビックケミー社製、固形分濃度25質量%)0.5重量部を追加した以外は実施例1と同様の操作にて、原子換算での銅濃度4.4wt%の金属膜形成用組成物を調製した。当該金属膜形成用組成物の粘度は80mPa・sであった。
実施例8〜14
(シリコン貫通配線基板の作成)
図1に示した構造の基板を図2および図3に記載の工程に従い作成した。まずシリコンウエハ基板の上面にプラズマCVD法によりシリコン窒化物膜を形成した。その上にレジストをフォトリソグラフィーにてパターニングし、続くウエットエッチングによってブラインドビアホール形状のマスク材料層を形成した。次に、マスク材料層形成面から、反応性イオンエッチング法によって、シリコンウエハ基板に口径10um、深さ100umのブラインドビアホールを形成した。その後にマスク材料層であるシリコン窒化物膜はウエットエッチングにより除去した。
次に、シリコンウエハ基板の上面、およびブラインドビアホールの内面にプラズマCVD法でシリコン酸化物膜を形成した。さらにPVD法でバリア層であるチタン膜を形成した。
チタン膜を有する上記ブラインドビアホール基板に、実施例1〜7の金属膜形成用組成物1〜7をスピンコートし、窒素気流下、ホットプレートにて所定の温度で30分焼成し、ブランドビアホール形成面の上面、およびブランドビアホールの内面にシード層Sの母材となる金属膜23(図2参照)として銅粒子の焼結膜を形成した。ブラインドビアホール形成面上面の金属膜23の平均厚みは300nmであった。金属膜付きブラインドビアホール基板の上面の表面抵抗値を四探針抵抗測定機(商品名:Model sigma−5、NPS社)を用いて測定した。また密着性試験をJIS−H−8504に記載のテープ試験法に準拠して行った。評価は以下のA〜Cの3段階で行った。
A:テープの粘着面に金属膜が付着しなかった場合
B:テープの粘着面に金属膜の一部が付着した場合
C:テープの粘着面に金属膜の全部が付着した場合
焼成温度条件、および評価結果を表1に示す。
次に特許第3964263号公報の実施例2に記載の条件にて、ブラインドビアホール形成面に電気銅めっき処理を施し、ブランドビアホールを銅で充填後、特許第3837277号公報の実施例1に記載の条件で、電気銅めっき層を化学的機械的研磨(CMP)法で研磨することで、ブランドビアホール上面の銅膜を平坦化した。次に、ブランドビアホール形成面とは反対の面(シリコンウエハ基板の下面)をバリア層の下面が完全に露出するまでCMP法にて研磨し、次いでプラズマCVD法でシリコン酸化物膜を形成し、ブラインドビアホール内にあった電気銅メッキ層と平面視上重なる位置にあるシリコン酸化膜をウエットエッチングにより除去後、下側共通電極としてアルミニウム層をPVD法で形成した。
次に、上側配線として残す領域以外の電気銅メッキ層/金属膜23/バリア層をウエットエッチングにより除去することで、上側配線を形成し、シリコン貫通配線基板を得た。該シリコン貫通配線基板の下側共通電極と上側配線間の電気抵抗値を測定することで、形成された20点のコンタクトプラグの導通性を確認した。上側配線の測定端子からコンタクトプラグまでの抵抗値を補正し、コンタクトプラグの上下間の抵抗値を算出した。抵抗値範囲ごとにまとめた結果を表2に示す。
また各基板のコンタクトプラグ部分を収束イオンビーム加工(FIB)にて断面加工し、高分解能走査電子顕微鏡(SEM)にて観測し、充填性すなわちボイド発生の状態を評価した。評価は以下の3段階で行った。
○:ボイドが見られず良好に接続されている
△:ボイドが発生している部分がある
評価結果を表2に併記する。
以上、実施例を挙げて本発明について説明したが、本発明は上述した実施の形態や実施例に限定されるものではない。本発明については、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。例えば、3次元配線を構成するコンタクトプラグの下端と下側配線とは、実施の形態1で説明したようにバリア層が介在することなく直接接続されていてもよし、実施の形態2や実施例8〜14で説明したようにバリア層を介して接続されていてもよい。バリア層を介してコンタクトプラグと下側配線とを接続する場合でも、バリア層を形成してから底部シード層を形成するまでの間にバリア層表面が酸化や窒化等によって不動態化してしまうのを防止しておけば、コンタクトプラグと下側配線との接触抵抗値を比較的低い値にすることができる。バリア層表面の不動態化は、例えばバリア層の形成と底部シード層の形成とを一連の真空環境下で行うことによって防止可能である。
本発明の3次元配線を有する回路装置は、ビルドアップ配線板のように多層配線構造を有する配線板や回路基板、あるいは実装基板であってもよい。本発明の3次元配線の形成方法は、複数のダマシン配線によって構成される3次元配線の形成に好適に適用することができる。