以下、図面を参照して本発明の二次電池の実施形態を説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る二次電池100の斜視図である。
本実施形態の二次電池100は、例えば、上部に開口を有する有底角筒状の電池缶12と、電池缶12の上部の開口を封止する長方形板状の電池蓋11とを有する扁平箱形の電池容器10を備えた角形リチウムイオン二次電池である。電池容器10は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属材料によって製作されている。
電池容器10の幅方向すなわち電池蓋11の長手方向の両端には、電池容器10の外部で電池蓋11の上面に、正極及び負極の外部端子20A,20Bが設けられている。外部端子20A,20Bと電池蓋11との間には、絶縁部材2が配置され、外部端子20A,20Bが電池蓋11に対して電気的に絶縁されている。正極の外部端子20Aは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、負極の外部端子20Bは、例えば銅又は銅合金によって製作されている。
電池蓋11の正極及び負極の外部端子20A,20Bの間には、ガス排出弁13と注液口14とが設けられている。ガス排出弁13は、例えば電池蓋11を薄肉化して溝部13aを形成することによって設けられ、電池容器10の内部の圧力が所定値を超えて上昇した時に開裂して内部のガスを放出することで、電池容器10の内部の圧力を低下させる。注液口14は、電池容器10の内部に非水電解液を注入するのに用いられ、例えばレーザ溶接によって注液栓15が溶接されて封止されている。
図2は、図1に示す二次電池100の分解斜視図である。
電池蓋11の長手方向の両端で、電池容器10の内側となる電池蓋11の下面には、絶縁部材3A,3Bを介して正極及び負極の集電板30A,30Bが固定されている。正極の集電板30Aは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金よって製作され、負極の集電板30Bは、例えば、銅又は銅合金によって製作されている。集電板30A,30Bは、それぞれ、絶縁部材3A,3Bに固定されて電池蓋11に対向する基部31A,31Bと、基部31A,31Bの一側から電池缶12の底面12cに向けて延びる接続端子部32A,32Bと、を有している。
正極の集電板30Aは、基部31Aに接続された接続板33を有している。接続板33は、電池蓋11と略平行に設けられた板状の部分であり、絶縁部材3Aを介して電池蓋11に固定されている。接続板33と正極の外部端子20Aとの間には、これらに接続されたダイヤフラム5が配置されている。接続板33とダイヤフラム5は、二次電池100の電流遮断機構50を構成している。
すなわち、電流遮断機構50は、電池容器10内に収容され、外部端子20Aに接続されたダイヤフラム5と、電極群40の正電極41(図3参照)に接続された集電板30Aとを備え、外部端子20Aと正電極41との間の電流経路に配置されている。詳細は後述するが、電流遮断機構50は、電池容器10の内部の圧力が所定の圧力を超えて上昇したときに、外部端子20Aと正電極41との間の電流経路を遮断する。
正極及び負極の集電板30A,30Bの接続端子部32A,32Bは、電池容器10の厚さ方向における基部31A,31Bの一側から、電池缶12の最大面積の広側面12bに沿って電池缶12の底面12cに向けて延びる板状に形成されている。接続端子部32A,32Bは、それぞれ、延在方向の途中で電池容器10の厚さ方向に屈曲し、例えば超音波溶接によって、電極群40の集電板接合部41d,42dにそれぞれ接合されることで、電極41,42(図3参照)に接続されている。
これにより、外部端子20A,20Bは、ダイヤフラム5及び集電板30A,30Bを介して電極41,42(図3参照)に電気的に接続されている。また、外部端子20A,20B、絶縁部材2、絶縁部材3A,3B、集電板30A,30B、及び電流遮断機構50が、電池蓋11に組み付けられて蓋組立体が構成されている。また、蓋組立体において、集電板30A,30Bの接続端子部32A,32Bに電極群40の集電板接合部41d,42dを接合し、電極群40を集電板30A,30Bの間に支持することで、蓋組立体と電極群40からなる発電要素60が構成されている。
二次電池100の製造時に、発電要素60は、電極群40と電池缶12との間に不図示の絶縁シートを配置してこれらを電気的に絶縁した状態で、電極群40の下方側の湾曲部40bから電池缶12の開口部12aに挿入される。電極群40は、捲回軸D方向の両側に電池缶12の狭側面12d,12dが位置し、捲回軸D方向が電池缶12の底面12c及び広側面12bに略平行に沿うように電池缶12内に収容される。
電極群40は、一方の湾曲部40bが電池蓋11に対向し、もう一方の湾曲部40bが電池缶12の底面12cに対向し、平面部40aが広側面12bに対向した状態で電池容器10に収容される。そして、電池蓋11によって電池缶12の開口部12aを閉塞した状態で、例えば、レーザ溶接によって電池蓋11の全周を電池缶12の開口部12aに接合する。これにより、電池缶12の開口部12aが電池蓋11によって封止され、電池蓋11と電池缶12からなる電池容器10が形成される。
その後、電池蓋11の注液口14を介して電池容器10の内部に非水電解液を注入し、例えば、レーザ溶接によって注液栓15を注液口14に接合して封止することで、電池容器10が密閉されている。電池容器10の内部に注入する非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。なお、非水電解液は、リチウム塩や有機溶媒に制限されない。一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いるようにしてもよい。
電解質としては、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトニル等又はこれら2種類以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、混合配合比についても特に限定されない。
図3は、図2に示す電極群40の一部を展開した分解斜視図である。
電極群40は、セパレータ43,44を介在させて積層させた正負の電極41,42からなる帯状の積層体を捲回軸Dに平行な軸心の周りに捲回して扁平形状に成形した捲回電極群である。帯状の積層体は、例えば、延在方向に約10Nの引張荷重をかけながら捲回される。このとき、帯状の積層体は、幅方向すなわち捲回軸D方向の両端部における正電極41、負電極42及びセパレータ43,44の端部が一定の位置になるように蛇行制御しながら捲回される。
電極群40は、電池缶12の広側面12bに対向して配置される平坦な一対の平面部40aと、電池蓋11及び電池缶12の底面12cに対向して配置される半円筒状の一対の湾曲部40bを有している。セパレータ43,44は、正電極41と負電極42との間を絶縁すると共に、最外周に捲回された負電極42の外側にもセパレータ44が捲回されている。
正電極41は、正極集電体である正極箔41aと、正極箔41aの両面に塗布された正極活物質合剤からなる正極合剤層41bとを有している。正電極41の幅方向の一側は、正極合剤層41bが形成されず、正極箔41aが露出した箔露出部41cとされている。正電極41は、箔露出部41cが負電極42の箔露出部42cと捲回軸D方向の反対側に配置されて、捲回軸Dの周りに捲回されている。
正電極41は、例えば、正極活物質に導電材、結着剤及び分散溶媒を添加して混練した正極活物質合剤を、幅方向の一側を除いて正極箔41aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。正極箔41aとしては、例えば、厚さ約20μmのアルミニウム箔を用いることができる。正極箔41aの厚みを含まない正極合剤層41bの厚さは、例えば、約90μmである。
正極活物質合剤の材料としては、例えば、正極活物質として100重量部のマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)を、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛を、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を、それぞれ用いることができる。正極活物質は、前記したマンガン酸リチウムに限定されず、例えば、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム、一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物を用いてもよい。また、正極活物質として、層状結晶構造を有するコバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、及びこれらの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウム−金属複合酸化物を用いてもよい。
負電極42は、負極集電体である負極箔42aと、負極箔42aの両面に塗布された負極活物質合剤からなる負極合剤層42bとを有している。負電極42の幅方向の一側は、負極合剤層42bが形成されず、負極箔42aが露出した箔露出部42cとされている。負電極42は、その箔露出部42cが正電極41の箔露出部41cと捲回軸D方向の反対側に配置されて、捲回軸D周りに捲回されている。
負電極42は、例えば、負極活物質に結着剤及び分散溶媒を添加して混練した負極活物質合剤を、幅方向の一側を除く負極箔42aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断することによって製作することができる。負極箔42aとしては、例えば、厚さ約10μmの銅箔を用いることができる。負極箔42aの厚みを含まない負極合剤層42bの厚さは、例えば、約70μmである。
負極活物質合剤の材料としては、例えば、負極活物質として100重量部の非晶質炭素粉末を、結着剤として10重量部のPVDFを、分散溶媒としてNMPをそれぞれ用いることができる。負極活物質は、前記した非晶質炭素に限定されず、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi2等)、又はそれらの複合材料を用いてもよい。負極活物質の粒子形状についても特に限定されず、鱗片状、球状、繊維状又は塊状等の粒子形状を適宜選択することができる。
なお、前記した正極及び負極の合剤層41b,42bに用いる結着材は、PVDFに限定されない。前記した結着材として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体及びこれらの混合体などを用いてもよい。
セパレータ43,44は、例えばポリエチレン製の微多孔性を有する絶縁材料からなり、正電極41と負電極42とを絶縁する役割を有している。また、セパレータ43,44を介在させて正電極41及び負電極42を重ねて捲回する際の軸芯は、例えば、正極箔41a、負極箔42a、セパレータ43,44のいずれよりも曲げ剛性の高い樹脂シートを捲回したものを用いることができる。
電極群40の捲回軸D方向において、負電極42の負極合剤層42bの幅は、正電極41の正極合剤層41bの幅よりも広くなっている。また、電極群40の最内周と最外周には負電極42が捲回されている。これにより、正極合剤層41bは、電極群40の最内周から最外周まで負極合剤層42bの間に挟まれている。
正電極41及び負電極42の箔露出部41c,42cはそれぞれ電極群40の平面部40aで束ねられて前記した集電板接合部41d,42d(図2参照)が形成される。正電極41及び負電極42のそれぞれの集電板接合部41d,42dは、例えば抵抗溶接又は超音波溶接等によって、正極及び負極の集電板30A,30Bのそれぞれの接続端子部32A,32Bに接合される。これにより、正極側及び負極側において、外部端子20A,20Bが、それぞれ集電板30A,30Bを介して、電極群40を構成する正負の電極41,42とそれぞれ電気的に接続される。
なお、電極群40の捲回軸D方向において、セパレータ43,44の幅は負極合剤層42bの幅よりも広いが、正電極41及び負電極42の箔露出部41c,42cは、それぞれセパレータ43,44の幅方向端部よりも幅方向外側に突出している。したがって、セパレータ43,44は、箔露出部41c,42cを束ねて溶接する際の支障にはならない。
図4は、図1に示す二次電池100の外部端子20A近傍の各部材の分解斜視図である。図5は、図1に示す二次電池100の外部端子20A近傍の拡大断面図である。なお、図4において、電極群40の図示は省略している。
電流遮断機構50は、電池容器10内に収容され、外部端子20Aに接続されたダイヤフラム5と、電極群40の電極41に接続された集電板30Aとを備え、外部端子20Aと電池容器10内の電極41との間の電流経路に配置されている。
外部端子20Aは、電池容器10外側の絶縁部材2とガスケット4を介して電池容器10の外側で電池蓋11の上面に固定されている。ダイヤフラム5は、絶縁部材3Aと導電板6とを介して電池容器10の内側で電池蓋11の下面に固定されている。集電板30Aは、基部31A及び接続板33が、絶縁部材3Aを介して電池蓋11の下面に固定されている。集電板30Aの接続板33と、絶縁部材3Aとの間には、ダイヤフラム5と導電板6が配置されている。
外部端子20Aは、電池容器10の幅方向すなわち電池蓋11の長手方向に沿って延びる板状部21Aと、該板状部21Aの電池容器10の幅方向内側における端部に設けられた円柱状の接続部22Aと、板状部21A及び接続部22Aを貫通する貫通孔23Aと、を有している。外部端子20Aの板状部21Aは、延在方向の中央部に、延在方向に交差する方向、例えば電池容器10の厚さ方向に沿って溝部24Aが形成されることで、部分的に厚さが薄くされている。
外部端子20Aの接続部22Aは、板状部21Aから電池蓋11を貫通する軸方向の先端に向けて、板状部21Aの底面に段差状に設けられた段差部22aと、直径が拡大された拡径部22bと、直径が縮小された縮径部22cと、該縮径部22cの先端を塑性変形させて拡径したかしめ部22dと、を有している。外部端子20Aの貫通孔23Aは、接続部22Aの軸方向に沿って外部端子20Aを貫通し、板状部21Aの上面とかしめ部22dの中央部に開口している。
電池容器10外側の絶縁部材2は、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、外部端子20Aの板状部21Aの周側面を覆う縁部2aと、板状部21Aの底面及び電池蓋11の上面に密着する底部2bと、を有している。絶縁部材2の縁部2aは、板状部21Aの周側面を覆うことで、板状部21Aと電池蓋11又はその他の部材との短絡を防止している。絶縁部材2の底部2bは、外部端子20Aの板状部21Aと電池蓋11との間に配置され、これらを電気的に絶縁している。絶縁部材2の底部2bには、電池蓋11の上面に設けられた凹部11aに係合する凸部2cと、外部端子20Aの接続部22Aを挿通させる開口部2dとが設けられている。
ガスケット4は、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、円筒状の筒状部4aと、筒状部4aの軸方向において電池容器10外方側の端部に設けられたフランジ部4bとを有している。ガスケット4の筒状部4aは、内側に外部端子20Aの接続部22Aを挿通させた状態で、電池蓋11の貫通孔11bに挿通され、外部端子20Aの接続部22Aと電池蓋11の貫通孔11bの内周面との間に配置され、接続部22Aと電池蓋11とを電気的に絶縁している。ガスケット4のフランジ部4bは、絶縁部材2の開口部2d内に配置され、電池蓋11の貫通孔11bの周囲に設けられた凹状の段差部11cに係合し、該段差部11cと外部端子20Aの凸状の段差部22aとの間で圧縮されている。これにより、ガスケット4は、凹状の段差部11cと凸状の段差部22aに密着し、電池蓋11の貫通孔11bを封止している。
電池容器10内側の絶縁部材3Aは、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって製作され、電池容器10の幅方向に延在する本体部3aと、本体部3aの延在方向中央部に設けられた貫通孔3bと、を有している。絶縁部材3Aの本体部3aは、集電板30Aの基部31Aと電池蓋11との間に配置される厚肉部3cと、導電板6を介してダイヤフラム5が固定される薄肉部3dと、本体部3aから電池容器10内方に向けて突出して集電板30Aの接続板33を支持する支持部3eと、集電板30Aの基部31A及び接続板33を固定する円柱状の突起部3fと、を有している。すなわち、絶縁部材3Aは、集電板30Aの基部31Aと電池蓋11との間の部分の厚さよりも、導電板6と電池蓋11との間の部分の厚さが薄くなっている。
絶縁部材3Aの薄肉部3dには、導電板6を係合させる凹部3gが設けられている。薄肉部3dの凹部3gは、導電板6の平面形状に対応する平面形状に形成されている。絶縁部材3Aの突起部3fの先端は、集電板30Aの基部31A及び接続板33の貫通孔31a,33aを貫通した状態で基部31A及び接続板33に熱溶着され、拡径するように溶融及び固化されている。これにより、絶縁部材3Aの突起部3fは、集電板30Aの基部31A及び接続板33をそれぞれ厚肉部3c及び支持部3eに支持固定している。なお、集電板30Aは、ネジ、リベット、接着剤等を用いて絶縁部材3Aに固定してもよい。
図2に示す負極側の絶縁部材3Bは、正極側の絶縁部材3Aと同様に本体部3a及び貫通孔3bを有しているが、厚肉部3c、薄肉部3d、支持部3e、及び突起部3f等は有していない点で、正極側の絶縁部材3Aと異なっている。
導電板6は、電池蓋11の上面に垂直な平面視でダイヤフラム5の平面形状に対応する平面形状を有する板状の部材である。導電板6は、外部端子20Aの接続部22Aを挿通させる貫通孔6aと、ダイヤフラム5の周縁部5aを係合させる環状溝6bを有している。導電板6の環状溝6bには、ダイヤフラム5の周縁部5aが、例えばレーザ溶接によって接合されている。導電板6は、電池容器10内側の絶縁部材3Aの薄肉部3dに形成された凹部3gに係合した状態で貫通孔6aに外部端子20Aの接続部22Aが挿通されている。導電板6は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等、正極の外部端子20A及び集電板30Aと同一の材料によって製作することができる。
導電板6の貫通孔6aを貫通した接続部22Aは、先端が導電板6の電池容器10内方を向く面6cで拡径され、先端にかしめ部22dが形成されている。これにより、導電板6が絶縁部材3Aに固定されて外部端子20Aとダイヤフラム5との間に配置され、これらを電気的に接続している。なお、導電板6の電池容器10内方を向く面6cは、リブや凸部を有さない平坦な面であることが好ましい。導電板6の電池容器10内方を向く面6cが平坦であれば、かしめ部22dがリブや凸部に干渉することが防止されるので、かしめ部22dの直径を確保して外部端子20Aの接続部22Aによるかしめ固定の強度を確保することができるからである。
以上のように、外部端子20A,20B、電池容器10外側の絶縁部材2、ガスケット4、電池容器10内側の絶縁部材3A,3B及び導電板6は、電池蓋11に一体的にかしめ固定されている。すなわち、外部端子20Aは、板状部21Aが電池容器10の外側で電池蓋11の上面に配置され、接続部22Aが電池容器10外側の絶縁部材2の開口部2dと、ガスケット4の筒状部4aと、電池蓋11の貫通孔11bと、電池容器10内側の絶縁部材3Aの貫通孔3bと、導電板6の貫通孔6aとを貫通してかしめ部22dが形成されることで、これらの部材を一体的に固定している。また、各部材を貫通した外部端子20Aの接続部22Aに設けられた貫通孔23Aによって、電池容器10の外部空間と、導電板6とダイヤフラム5との間の空間とが連通している。なお、負極側の外部端子20Bは、正極側の外部端子20Aの接続部22Aと同様の接続部が、集電板30Bの基部31Bを貫通してかしめ部が形成されているが、貫通孔は有していない。
ダイヤフラム5は、中央部が周縁部よりも集電板30Aに向けて膨出した凸形状を有している。また、ダイヤフラム5は、集電板30Aの接続板33よりも電池容器10の外方側に配置されて電池容器10の内方を向く凸形状を有している。すなわち、ダイヤフラム5は、電池蓋11に垂直な電池容器10の高さ方向に深さを有する椀形の形状に形成されている。
ダイヤフラム5は、電池蓋11の上面に垂直な平面視で、電池容器10の幅方向すなわち電池蓋11の長辺方向の寸法が、電池容器10の厚さ方向すなわち電池蓋11の短辺方向の寸法よりも大きい平面形状を有している。本実施形態では、ダイヤフラム5は、電池容器10の幅方向に沿う直線部分と、その両端に円弧状の曲線部分とを有する、フィールドトラック形の平面形状を有している。なお、ダイヤフラム5の平面形状は、長円形又は楕円形であってもよい。
ダイヤフラム5は、電池容器10の外方側すなわち電池蓋11側から、電池容器10の内方側すなわち集電板30Aの接続板33側へ向けて、順次、周縁部5a、側壁部5b、底壁部5c、及び突起部5dを有している。ダイヤフラム5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等、正極の外部端子20A及び集電板30Aと同一の材料によって製作することができる。
ダイヤフラム5の周縁部5aは、電池蓋11に平行な方向に沿うように曲折され、導電板6の電池容器10内方を向く面に形成された環状溝6bに係合し、環状溝6bの底部に当接して、例えば、レーザ溶接によって導電板6に接合されている。これにより、ダイヤフラム5の電池容器10外方側の空間は、電池容器10の内部空間から隔絶されて、外部端子20Aの貫通孔23Aによって電池容器10の外部空間と連通している。ダイヤフラム5の側壁部5bは、周縁部5aから電池蓋11と垂直な方向に沿って電池缶12の底面12cに向けて伸長し、電池蓋11と垂直な方向に対する角度が電池蓋11と平行な方向に対する角度よりも小さくされている。
ダイヤフラム5の底壁部5cは、側壁部5bの端部から電池蓋11と平行な方向に沿ってダイヤフラム5の中央部に向けて伸展し、電池蓋11と垂直な方向に対する角度が電池蓋11と平行な方向に対する角度よりも大きくされている。また、底壁部5cの電池容器10の内方を向く面は、凸曲面とされている。ダイヤフラム5の突起部5dは、平面視でダイヤフラム5の平面形状に対応する形状、例えば相似形状に形成され、底壁部5cの中央部において集電板30Aの接続板33に向けて突出するように形成されている。
ダイヤフラム5は、凸形状の少なくとも一部が集電板30Aの凹部33bに収容され、該凹部33b内で集電板30Aに接合されている。より具体的には、本実施形態において、ダイヤフラム5は、底壁部5cの大部分と突起部5dが集電板30Aの凹部33bに収容され、突起部5dが、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接又は超音波溶接によって集電板30Aの凹部33b内で、凹部33bの底部33fに接合されている。
正極の集電板30Aは、前記したように、絶縁部材3Aを介して電池蓋11に固定された基部31Aと、電極群40の集電板接合部41dに接合された接続端子部32Aと、基部31Aに連結部34を介して接続された接続板33とを有している。なお、接続板33は、基部31Aの一部とみなすこともできる。換言すると、集電板30Aの基部31Aは、連結部34を介して接続された接続板33を有している。
基部31Aと接続板33は、電池蓋11に対向して電池蓋11と平行に配置されている。基部31Aの接続端子部32Aに隣接する部分と、接続板33には、それぞれ、絶縁部材3Aの突起部3fを挿通させる複数の貫通孔31a,33aが設けられている。貫通孔31a,33aは、基部31A及び接続板33を流れる電流の最短経路を避けるように配置することが好ましい。
連結部34は、例えば、S字状に湾曲した可撓性を有する形状を有し、接続板33が基部31Aよりも電池蓋11から離れた電池容器10の内方側に配置されている。これにより、接続板33と集電板30Aの基部31Aとの間に、電池蓋11と垂直な方向の段差が形成されている。この段差によって、電池蓋11と接続板33との間に、電池容器10の内方に向けて凸形状を有するダイヤフラム5、導電板6および絶縁部材3Aを配置するスペースが確保されている。
集電板30Aは、接続板33のダイヤフラム5に対向する面に、凹部33bを有している。凹部33bは、例えば、周縁部から中央部に向けて段差が形成されて漸次深くなり、ダイヤフラム5の凸形状の少なくとも一部を収容している。凹部33bの底部33fには、ダイヤフラム5の突起部5dが接合されている。
図6は、図5に示すダイヤフラム5の突起部5dと、集電板30Aの基部31Aの接続板33との接合部Wの近傍の拡大断面図である。図7は、電池蓋11に垂直な方向から見た接続板33の拡大平面図である。なお、図6は、図7に示すVI-VI線に沿う断面図である。
接続板33の凹部33bは、外縁がダイヤフラム5の平面形状に対応する平面形状を有し、内側に段差が形成されて中央部がさらに一段深くなることで、隣接する外側の部分の肉厚よりも肉厚が薄くされた底部33fを有している。本実施形態では、凹部33bの外縁は、電池容器10の幅方向すなわち電池蓋11の長辺方向を長手方向とするフィールドトラック形状の平面形状を有し、中央部に段差が設けられて円形の底部33fが形成されている。底部33fは、ダイヤフラム5の突起部5dの底面全体と接触する面積を有している。
凹部33bの底部33fの中央部には、例えば、レーザ溶接によって、ダイヤフラム5の突起部5dが接合され、凹部33bの底部33fとダイヤフラム5との間に接合部Wが形成されている。すなわち、集電板30Aは、ダイヤフラム5との間に接合部Wを有している。また、集電板30Aは、接続端子部32Aを介して電極41に接続されているため、ダイヤフラム5と集電板30Aとの間に接合部Wが形成されることで、ダイヤフラム5が集電板30Aを介して電極41に接続される。底部33fには、ダイヤフラム5の突起部5dの底面が当接しているが、凹部33bの底部33fとダイヤフラム5の底面との間は、接合部Wを除いて接合されていない。
集電板30Aは、接続板33の凹部33bの底部33fに、接合部Wを囲む薄肉部33dを有している。薄肉部33dは、例えば、接合部Wの周囲に環状に設けられている。本実施形態では、薄肉部33dは、集電板30Aに設けられた環状溝33gによって形成されている。環状溝33gは、接続板33の凹部33bの底部33fに設けられた接合部Wの周囲に、間隔をあけて円環状に設けられている。薄肉部33dは、その一部がさらに局所的に薄肉化された応力集中部33hを有している。薄肉部33d及び応力集中部33hは、例えば、プレス加工によって同時に又は別工程で形成することができ、或いは、切削加工によって形成することもできる。
応力集中部33hは、例えば、図6及び図7に示すように、環状溝33gの底部33fに設けられた薄肉部33dに矩形の断面を有する凹部を形成することで、薄肉部33dの一部がさらに薄肉化された部分である。図7に示すように、応力集中部33hは、接合部Wを囲む薄肉部33dの周方向すなわち環状溝33gの周方向に沿って、所定の長さL1で形成されている。本実施形態では、応力集中部33hの幅D1と、環状溝33gの幅すなわち薄肉部33dの幅D2とは、実質的に等しくなっている。また、薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚は、それぞれ環状溝33gの周方向及び幅方向に沿って一様である。一例として、薄肉部33dは、約0.1mmから0.05mm程度の範囲の肉厚にすることができ、応力集中部33hは、約0.05mmから0.01mm程度の範囲の肉厚にすることができる。
薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚、幅D1,D2及び応力集中部33hの長さL1は、例えば、試行錯誤を行って最適な値を決定するか、又は、材料解析のシミュレーションを行って決定することができる。例えば、まず、電流遮断機構50が作動して電流を遮断する電池容器10の内部圧力を、電流遮断機構50の作動圧力として設定する。次に、作動圧力を受けたダイヤフラム5によって接合部Wを介して集電板30Aの薄肉部33d及び応力集中部33hに作用する応力を算出する計算式を求める。そして、応力集中部33hに作用する応力によって応力集中部33hが破断し、応力集中部33hを起点として薄肉部33d全体が連鎖的に破断するように、薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚、幅D1,D2及び応力集中部33hの長さL1を決定することができる。
応力集中部33hは、電池蓋に垂直な方向からの平面視で、ダイヤフラム5の長手方向に沿う中心線CLに重なる位置に形成されていることが好ましい。また、電池蓋11の長辺方向を電池容器10の幅方向として、集電板30Aの接続端子部32Aが、基部31Aの幅方向外側に設けられている場合には、薄肉部33dは、基部31Aの幅方向内側に設けられ、応力集中部33hは、薄肉部33dの幅方向内側に設けられることが好ましい。
以下、本実施形態の二次電池100の作用について説明する。
前記したように、本実施形態の二次電池100は、外部端子20Aと電池容器10内の正電極41との間の電流経路に配置された電流遮断機構50を備えている。そのため、二次電池100は、平常時において、発電機等の外部発電装置から供給された電力を、外部端子20A,20B、電流遮断機構50及び集電板30A,30Bを介して、電極群40の電極41,42間に蓄積する。また、二次電池100は、電極群40の電極41,42間に蓄積した電力を、電流遮断機構50、集電板30A,30B及び外部端子20A,20Bを介して、モータ等の外部機器に供給する。
二次電池100は、例えば、過充電、過昇温又は外力による破損等、何らかの異常によって、電池容器10内部のガス圧が上昇する場合がある。この場合、電流遮断機構50を構成するダイヤフラム5において、電池容器10の内部空間に面する凸形状の外側に作用する圧力が、電池容器10の内部空間から隔絶された電池蓋11側の空間に面する凸形状の内側に作用する圧力よりも大きくなる。
これにより、ダイヤフラム5を電池蓋11に向けて変形させる力が作用し、ダイヤフラム5から接合部Wを介して集電板30Aに引張及びせん断等の応力が作用する。ここで、集電板30Aは、隣接する他の部分よりも肉厚が薄く、接合部Wを囲む薄肉部33dを有しているため、ダイヤフラム5から接合部Wを介して集電板30Aに作用する引張及びせん断等の応力は、薄肉部33dに集中的に作用する。さらに、薄肉部33dは、局所的に薄肉化された応力集中部33hを有しているため、薄肉部33dに作用する応力は、応力集中部33hにおいて最も高くなる。
そのため、電池容器10内部のガス圧が設定された作動圧力に達すると、最も高い応力が集中的に作用する応力集中部33hが最初に破断する。そして、応力集中部33hの破断した部分にさらに応力が集中することで、薄肉部33dは、応力集中部33hを起点として、全体が連鎖的かつ連続的に破断する。それと同時に、ダイヤフラム5が電池蓋11に向けて変形し、ダイヤフラム5と集電板30Aとの間の電気的導通が遮断される。
以上のように、本実施形態の二次電池100によれば、電流遮断機構50の作動圧力で応力集中部33hをより容易かつ確実に破断させ、応力集中部33hを起点として薄肉部33dの全体をより容易に、確実かつ均一に破断させることができる。そのため、薄肉部33dの肉厚にバラツキが生じても、応力集中部33hを起点として薄肉部33dを破断することで、薄肉部33dが破断する箇所及び破断する際のガス圧を均一化することができ、薄肉部33dの破断後の接続板33の形状も制御しやすくなる。
これにより、変形後のダイヤフラム5と接続板33の残存した部分が、例えば、電解液を介して導通することが防止され、電池容器10の内部圧力の上昇時に電極41と外部端子20Aとの間の電流経路を確実に遮断することができる。したがって、本実施形態の二次電池100によれば、電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより確実に安定して行うことができる。
また、電流遮断機構50の作動圧力で応力集中部33hを破断させ、その後、破断した応力集中部33hを起点として連続的に薄肉部33hを破断させることができるので、薄肉部33dの機械的強度を向上させることができる。したがって、振動等による電流遮断機構50の誤作動を防止することができる。
また、薄肉部33dは、接合部Wの周囲に環状に設けられている。そのため、ダイヤフラム5から接合部Wを介して集電板30Aに作用する応力を、薄肉部33dの全体に、より均等に作用させ、応力集中部33hの破断後に、薄肉部33dの全体をより容易かつ確実に破断させることができる。また、薄肉部33dは、集電板30Aに設けられた環状溝33gによって形成されている。これにより、例えば、プレス加工や切削加工によって、集電板30Aに環状溝33gを形成することで、集電板30Aに薄肉部33dを容易に形成することができる。
また、薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚は、それぞれ環状溝33gの周方向及び幅方向に沿って一様である。そのため、薄肉部33d及び応力集中部33hに作用する応力を、それぞれ、均一にすることができる。これにより、例えば、電池容器10の内部圧力が作動圧力に達する前に応力集中部33h及び薄肉部33dが破断したり、作動圧力に達しても応力集中部33h及び薄肉部33dが破断しなかったりすることを抑制できる。したがって、電流遮断機構50を作動圧力で正確に作動させることができる。
また、応力集中部33hは、環状溝33gの幅と等しい幅を有し、環状溝33gの幅方向に沿う断面視で断面形状が矩形であることから、隣接する他の部分よりも肉厚が薄く破断しやすい応力集中部33hの面積を十分に確保することができる。したがって、電流遮断機構50の作動圧力において応力集中部33hをより確実に破断させることができる。
また、電池蓋11に垂直な方向の平面視で、ダイヤフラム5は、電池蓋11の長辺方向の寸法が電池蓋11の短辺方向の寸法よりも大きい平面形状に形成されている。そのため、ダイヤフラム5は、長手方向の両側の部分の表面積が、短手方向の両側の部分の表面積よりも大きくなり、長手方向に沿う中心線CLに沿って、より大きな応力を薄肉部33dに作用させることができる。そして、応力集中部33hは、ダイヤフラム5の長手方向に沿う中心線CLに重なる位置に形成されている。したがって、電流遮断機構50の作動圧力において、ダイヤフラム5から応力集中部33hにより大きな応力を作用させ、応力集中部33hをより容易かつ確実に破断させることができる。
また、集電板30Aは、電池蓋11に対向する接続板33を含む基部31Aと、該基部31Aの一側から電池缶12の底面12cに向けて延びて電極41に接続される接続端子部32Aと、を有している。そして、電池蓋11の長辺方向を電池容器10の幅方向として、接続端子部32Aは、基部31Aの幅方向外側に設けられ、薄肉部33dは、基部31Aの幅方向内側の接続板33に設けられている。さらに、応力集中部33hは、薄肉部33dの幅方向内側に設けられている。これにより、例えば、二次電池100に振動や慣性力が作用して電池容器10の内部で電極群40が振動又は揺動しても、電極群40に接続された接続端子部32Aと応力集中部33hとの距離を遠くして、応力集中部33hに及ぶ振動等の影響を最小限に留めることができる。したがって、応力集中部33hが電極群40の振動又は揺動の影響で破断したり強度が低下したりすることが防止され、電流遮断機構50の誤作動を防止できる。
また、ダイヤフラム5は、中央部が周縁部よりも集電板30Aの基部31Aが有する接続板33に向けて膨出する凸形状を有している。そのため、ダイヤフラム5が平板状の場合と比較して、電池容器10の内部のガス圧が所定の圧力に達するまでの機械的強度を向上させ、ダイヤフラム5の誤作動を防止することができる。また、電池容器10の内部のガス圧が所定の圧力に達したときに、ダイヤフラム5が反転するように変形することで、ダイヤフラム5の変形量を増加させ、変形後のダイヤフラム5と接続板33の残存した部分とが導通することをより確実に防止できる。
また、ダイヤフラム5が突起部5dを有することで、突起部5dの周側壁をリブとして作用させ、ダイヤフラム5の強度を向上させ、ダイヤフラム5が誤作動によって変形することを防止できる。また、突起部5dの底面が、集電板30Aの接続板33に薄肉部33dの外側で接することで、薄肉部33dに振動等による応力が作用することが抑制され、意図せず薄肉部33dが破断することを防止できる。
また、集電板30Aの基部31Aに含まれる接続板33は、ダイヤフラム5に対向する面に、ダイヤフラム5の凸形状の少なくとも一部を収容する凹部33bを有している。これにより、凸形状のダイヤフラム5を配置するスペースを確保しつつ、電池蓋11の上面に垂直な方向の電流遮断機構50の寸法を小さくすることができる。また、凹部33bを形成することで、底部33fにおいて接続板33の肉厚を薄くして、薄肉部33d及び応力集中部33hの形成を容易にすることができる。
また、ダイヤフラム5及び集電板30Aの材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。そのため、ダイヤフラム5及び集電板30Aの材料が、銅又は銅合金である場合と比較して、ダイヤフラム5及び集電板30Aの機械的強度を低下させ、ダイヤフラム5の変形及び集電板30Aの薄肉部33d及び応力集中部33hの破断を容易にすることができる。したがって、正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより容易かつ確実に行うことが可能になる。なお、電流遮断機構50は、負極側に設けることも可能である。
また、電流遮断機構50によって正電極41と外部端子20Aとの間の電流経路を遮断した後に、さらに電池容器10内部のガス圧が上昇すると、ガス排出弁13が開裂して電池容器10内部のガスを外部に放出する。これにより、二次電池100の安全性を確保することができる。
以上説明したように、本実施形態の二次電池100によれば、薄肉部33dが局所的に薄肉化された応力集中部33hを有することで、電池容器10の内部圧力の上昇時に電極41と外部端子20Aとの間の電流経路の遮断をより確実に安定して行うことができる。
[実施形態2及び3]
図8及び9は、それぞれ、前述の実施形態1の図6に相当する、本発明の実施形態2及び3に係る二次電池のダイヤフラム5と集電板30Aとの接合部Wの近傍の拡大断面図である。
実施形態2及び3の二次電池は、応力集中部33h1,33h2の構成が、実施形態1の二次電池100の応力集中部33hの構成と異なっている。実施形態2及び3の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
実施形態2及び3の二次電池において、応力集中部33h1,33h2の肉厚は、環状溝33gの径方向すなわち幅方向に沿って、両端部が最も厚く、両端部の間の中間部が最も薄くなっている。より具体的には、実施形態2の二次電池の応力集中部33h1は、環状溝33gの幅方向の断面視で、互いに対向する一対の平坦な傾斜面を有し、V字形の断面形状を有している。また、実施形態3の二次電池の応力集中部33h2は、環状溝33gの幅方向の断面視で、曲面状の傾斜面を有する半円状の断面形状を有している。
これにより、板材からプレス加工によって集電板30Aに接続板33を含む基部31Aを形成し、接続板33に環状溝33g及び応力集中部33h1,33h2を形成するのを容易にすることができる。また、応力集中部33h1,33h2の幅方向両端部において肉厚を厚くして、振動等による応力集中部33h1,33h2の破断又は強度低下を防止すると共に、幅方向中間部の肉厚を薄くして、電流遮断機構50の作動圧力で応力集中部33h1,33h2を確実に破断させることができる。したがって、電流遮断機構50の誤作動を防止することができる。
[実施形態4]
図10は、前述の実施形態1の図6に相当する、本発明の実施形態4に係る二次電池のダイヤフラム5と集電板30Aとの接合部Wの近傍の拡大断面図である。
本実施形態の二次電池は、応力集中部33h3の構成が、実施形態1の二次電池100の応力集中部33hの構成と異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態の二次電池は、環状溝33gの幅方向において、応力集中部33h3の幅w1が、薄肉部33dの幅w2よりも狭い。これにより、プレス加工によって環状溝33gを形成した後に応力集中部33h3を形成する場合でも、応力集中部33h3の多少の位置ずれを許容し、プレス加工を容易にすることができる。また、応力集中部33h3の面積を減少させ、薄肉部33dの強度を高くすることができる。
[実施形態5]
図11は、前述の実施形態1の図6に相当する、本発明の実施形態5に係る二次電池のダイヤフラム5と集電板30Aとの接合部Wの近傍の拡大断面図である。
本実施形態の二次電池は、環状溝33g1,33g2の構成が、実施形態1の二次電池100の環状溝33gと異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態の二次電池において、環状溝33g1,33g2は、集電板30Aのダイヤフラム5に対向する面及びダイヤフラム5と反対側の面の両方に設けられている。これにより、環状溝33g1,33g2の深さを変更することで、薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚及び凹部33bの底部33fにおける厚さ方向の位置を自由に設定することが可能になる。なお、環状溝33g1,33g2は、必ずしも集電板30Aのダイヤフラム5に対向する面及びダイヤフラム5と反対側の面の両方に設ける必要はなく、少なくとも一方の面に設けられていればよい。
例えば、凹部33bの底部33fの厚さ方向における薄肉部33d及び応力集中部33hの位置が、中間位置よりもダイヤフラム5に近ければ、ダイヤフラム5と集電板30Aとをレーザ溶接する際により高温になる接続板33のダイヤフラム5と反対側の面からの距離が遠くなる。これにより、薄肉部33d及び応力集中部33hに対する熱の影響を低減することができ、電流遮断機構50の誤作動を防止することができる。
また、凹部33bの底部33fの厚さ方向における薄肉部33d及び応力集中部33hの位置が、中間位置よりもダイヤフラム5から遠ければ、薄肉部33d及び応力集中部33hの破断後に生じるバリと変形後のダイヤフラム5との距離を遠ざけることができる。これにより、薄肉部33d及び応力集中部33hの破断後にダイヤフラム5と集電板30Aとの間が、例えば電解液を介して導通するのを防止して、外部端子20Aと電極41との間の電流経路を確実に遮断することができる。
また、凹部33bの底部33fの厚さ方向における薄肉部33d及び応力集中部33hの位置が、中間位置であれば、二次電池100の製造工程において工具や治具等が誤って薄肉部33d及び応力集中部33hに接触することが防止される。これにより、薄肉部33d及び応力集中部33hの破損及び強度低下を防止して、電流遮断機構50の誤作動を防止することができる。
[実施形態6及び7]
図12(a)は、前述の実施形態1の図7に示すXII-XII線に沿う実施形態1の二次電池100の薄肉部33d及び応力集中部33hの拡大断面図である。図12(b)は、図12(a)に相当する、本発明の実施形態6に係る二次電池の薄肉部33d及び応力集中部33h4の拡大断面図である。図12(c)は、図12(a)に相当する、本発明の実施形態7に係る二次電池の薄肉部33d及び応力集中部33h5の拡大断面図である。
実施形態6及び7の二次電池は、応力集中部33h4,33h5の構成が、実施形態1の二次電池100の応力集中部33hと異なっている。実施形態6及び7の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図12(a)に示すように、実施形態1の二次電池100において、薄肉部33d及び応力集中部33hの肉厚は、それぞれ環状溝33gの周方向すなわち接線方向に沿って一様である。これに対し、図12(b)及び(c)に示すように、実施形態6及び7の二次電池は、薄肉部33dの肉厚は、環状溝33gの周方向に沿って一様であるが、応力集中部33h4,33h5の肉厚は、環状溝33gの周方向に沿って、両端部が最も厚く、該両端部の間の中間部が最も薄くなっている。より具体的には、実施形態6の二次電池の応力集中部33h4は、環状溝33gの周方向の断面視で、互いに対向する一対の平坦な傾斜面を有し、V字形の断面形状を有している。また、実施形態7の二次電池の応力集中部33h5は、環状溝33gの周方向の断面視で、曲面状の傾斜面を有する半円状又は半楕円状の断面形状を有している。
これにより、板材からプレス加工によって集電板30Aに接続板33を含む基部31Aを形成し、接続板33に環状溝33g及び応力集中部33h4,33h5を形成するのを容易にすることができる。また、環状溝33gの周方向において、応力集中部33h4,33h5の両端部で肉厚を厚くして、振動等による応力集中部33h4,33h5の破断又は強度低下を防止すると共に、中間部の肉厚を薄くして、電流遮断機構50の作動圧力で応力集中部33h4,33h5を確実に破断させることができる。したがって、電流遮断機構50の誤作動を防止することができる。
[実施形態8]
図13は、前述の実施形態1の図7に相当する、本発明の実施形態8に係る二次電池の集電板30Aの拡大平面図である。
本実施形態の二次電池は、複数の応力集中部33hを有する点で、実施形態1の二次電池100と異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態の二次電池は、薄肉部33dに複数の応力集中部33hが形成されているので、仮にダイヤフラム5から接合部Wを介して薄肉部33dの周方向に偏った応力が作用しても、いずれかの応力集中部33hを破断させることができる。したがって、電流遮断機構50の作動圧力で薄肉部33dをより確実に破断させることができる。
なお、ダイヤフラム5が電池蓋11の長辺方向を長手方向とする一方向に長い形状に形成され、応力集中部33hを2つ以上設ける場合には、電池蓋11の上面に垂直な平面視で、2つの応力集中部をダイヤフラム5の長手方向に沿う中心線CLに重なる位置に配置し、さらにこれらの間に等間隔で応力集中部33hを配置していくことが好ましい。これにより、中心線CLに重なる位置の応力集中部33hにより高い応力を作用させることができるだけでなく、薄肉部33dの周方向に偏った応力が作用しても、いずれかの応力集中部33hをより確実に破断させることができる。
[実施形態9]
図14は、前述の実施形態1の図6に相当する、本発明の実施形態9に係る二次電池の拡大断面図である。
本実施形態の二次電池は、集電板30Aではなく、ダイヤフラム5が接合部Wを囲む薄肉部5eを有している点で、実施形態1の二次電池100と異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
本実施形態の二次電池において、薄肉部5eは、局所的に薄肉化された応力集中部5fを有している。また、薄肉部5eは、ダイヤフラム5に設けられた環状溝5gによって形成されている。本実施形態の二次電池によれば、実施形態1の二次電池100と同様の効果が得られるだけでなく、集電板30Aのように接続端子部32Aを形成する曲げ加工を伴わないダイヤフラム5に薄肉部5e及び応力集中部5fを形成することができる。したがって、集電板30Aに薄肉部33d及び応力集中部33hを設ける場合と比較して、薄肉部5e及び応力集中部5fに対する残留応力を低減し、電流遮断機構50の作動圧力でより精度よく薄肉部5e及び応力集中部5fを破断させることができる。
なお、図11に示す実施形態5の二次電池と同様に、環状溝5gは、ダイヤフラム5の集電板30Aに対向する面及び集電板30Aと反対側の面の少なくとも一方に設けられていればよい。これにより、実施形態5の二次電池と同様の効果を得ることができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。