JP2016044690A - 液圧モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンスの作業効率を向上する。【解決手段】斜板の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化するピストンモータを制御する液圧モータ制御装置100において、斜板の傾転角度を切り換える容積切換バルブ30を備え、容積切換バルブ30は、収容孔61に収容される第1スプール40と、収容孔61を閉塞するプラグ48と、第1スプール40を付勢するスプリング42と、第1スプール40の摺動孔40d内に摺動自在に挿入される第2スプール41と、を有し、プラグ48が取り外され、スプリング42の付勢力がなくなるまでスプリング42の付勢力によって第1スプール40が移動する際に、第1スプール40の摺動孔40d内に第2スプール41が挿入される状態が維持される。【選択図】図2

Description

本発明は、斜板の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化するピストンモータを制御する液圧モータ制御装置に関するものである。
特許文献1には、液圧モータの容積を切り換える容積切換バルブを備える液圧モータ制御装置において、容積切換バルブが、収容孔に収容され一端側にパイロット圧が作用する第1スプールと、第1スプールの他端側から第1スプール内に摺動自在に挿入され第1スプールの内部に圧力室を画定する第2スプールと、パイロット圧に抗して第1スプールを付勢するスプリングと、第1スプールの一端側の収容孔の開口部を閉塞するプラグと、を有する構成が開示されている。
特開平1−116301号公報
上記液圧モータ制御装置において、メンテナンス等のために、収容孔を閉塞するプラグを取り外した場合、スプリングの付勢力によって第1スプールが押し出され、第1スプール内に挿入されていた第2スプールが、第1スプールから抜け出ることがある。第2スプールは、第1スプール内に微小な隙間を介して挿入されているため、一旦抜け出てしまうと再度挿入することが困難となる。このため、メンテナンスの作業効率が低下するおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、メンテナンスの作業効率を向上することを目的とする。
本発明は、斜板の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化するピストンモータを制御する液圧モータ制御装置において、切換パイロット圧室及び切換圧力室に導かれる作動液の圧力に応じて前記斜板の傾転角度を切り換える容積切換バルブを備え、前記容積切換バルブは、収容孔に収容され一端が前記切換パイロット圧室に臨み他端がばね室に臨む第1スプールと、前記収容孔を閉塞し前記切換パイロット圧室を画定するプラグと、前記ばね室に収装され前記第1スプールを前記切換パイロット圧室の圧力に抗して付勢する付勢部材と、前記ばね室に臨み前記第1スプールに形成される摺動孔内に摺動自在に挿入され前記第1スプールの内部に前記切換圧力室を画定する第2スプールと、を有し、前記プラグが取り外され、前記付勢部材の付勢力がなくなるまで前記付勢部材の付勢力によって前記第1スプールが移動する際に、前記第1スプールの前記摺動孔内に前記第2スプールが挿入される状態が維持されることを特徴とする。
本発明によれば、収容孔を閉塞するプラグが取り外され、第1スプールを付勢するスプリングの付勢力がなくなるまでスプリングの付勢力によって第1スプールが移動する際に、第1スプールの摺動孔内に第2スプールが挿入される状態が維持される。このため、プラグを取り外すメンテナンス作業を行う際の作業効率を向上することができる。
本発明の実施形態に係る液圧モータ制御装置の液圧回路図である。 本発明の実施形態に係る液圧モータ制御装置の断面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 プラグが取り外された状態を説明するための断面図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態に係る液圧モータ制御装置について説明する。
図1は、油圧ショベル等の作業機に搭載される液圧モータ制御装置100の液圧回路図である。液圧モータ制御装置100は、図示しない作業機の走行装置を制御するものである。
液圧モータ制御装置100は、斜板2の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化するピストンモータ1と、ピストンモータ1の作動を許容するとともにピストンモータ1の停止状態を保持するカウンタバランスバルブ10と、斜板2の傾転角度を切り換えて押しのけ容積を変化させピストンモータ1の作動速度を切り換える容積切換バルブ30と、ピストンモータ1に接続され作動液としての作動油が流通する第1主通路4及び第2主通路5と、を備える。ここで、押しのけ容積とは、ピストンモータ1が1回転当たりに押しのける幾何学的容積である。
液圧モータ制御装置100は、外部と連通する複数のポートP1,P2,T,Psを有しており、給排ポートP1,P2には、作動油を加圧して供給するポンプ70が接続され、タンクポートTには作動油を貯留するタンク71が接続され、パイロット給排ポートPsには図示しないパイロット圧供給源が接続される。液圧モータ制御装置100とポンプ70との間には、ポンプ70から供給される作動油を何れの給排ポートP1,P2に導くかを切り換える走行制御バルブ72が介装されている。走行制御バルブ72は、ピストンモータ1を正回転させる正回転ポジション72Aと、ピストンモータ1を停止させる停止ポジション72Bと、ピストンモータ1を逆回転させる逆回転ポジション72Cと、を有する。走行制御バルブ72の位置は、オペレータが操作レバー73を操作することによって切り換えられ、この操作により、作業機は、前進,後進または停止する。
ピストンモータ1は、モータポートM1,M2へ選択的に供給される作動油によって正方向または逆方向に回転作動する斜板式液圧ピストンモータである。ピストンモータ1は、第1主通路4を介して給排ポートP1に接続されるモータポートM1と、第2主通路5を介して給排ポートP2に接続されるモータポートM2と、斜板2の傾転角度を切り換える一対の切換アクチュエータ20,21と、斜板2を付勢する斜板スプリング3と、を有する。ピストンモータ1の容量は、斜板2の傾転角度が最大になったときに最大となり、斜板2の傾転角度が最小になったときに最小となる。斜板スプリング3は、斜板2の傾転角度を大きくする方向に斜板2を付勢しており、切換アクチュエータ20,21は、斜板2の傾転角度を小さくする方向に伸張する。すなわち、斜板2の傾転角度は、斜板スプリング3の付勢力と切換アクチュエータ20,21の推力とに応じて変化する。ピストンモータ1の出力軸の回転は、減速機等を介して作業機の駆動輪へ伝達される。
カウンタバランスバルブ10は、第1主通路4及び第2主通路5に介装されるスプールバルブである。カウンタバランスバルブ10は、図1に示されるように、給排ポートP1,P2と連通する2つの給排ポート10a,10bと、モータポートM1,M2と連通する2つの給排ポート10c、10dと、切換圧通路35を通じて容積切換バルブ30と連通するパイロットポート10eと、絞り18が設けられる排出通路17を通じてタンクポートTと連通する排出ポート10fと、の6つのポートを有する。
カウンタバランスバルブ10は、さらに、絞り14aが設けられたパイロット通路13aを通じてポンプ70から供給される作動油が導かれるパイロット室12aと、絞り14bが設けられたパイロット通路13bを通じてポンプ70から供給される作動油が導かれるパイロット室12bと、2つの戻しばね11a,11bと、を有する。
パイロット室12aに導かれる作動油の圧力による推力は、カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Aに位置するように作用する。カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Aに位置すると、給排ポート10aがパイロットポート10eと連通するとともに、モータポートM1への流れを許容する逆止弁を介して給排ポート10cに接続され、給排ポート10bが給排ポート10dと連通する。
パイロット室12bに導かれる作動油の圧力による推力は、カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Bに位置するように作用する。カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Bに位置すると、給排ポート10bがパイロットポート10eと連通するとともに、モータポートM2への流れを許容する逆止弁を介して給排ポート10dに接続され、給排ポート10aが給排ポート10cと連通する。
戻しばね11a,11bの付勢力は、カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Cに位置するように作用する。カウンタバランスバルブ10が作動ポジション10Cに位置すると、給排ポート10aがモータポートM1からの流れを遮断する逆止弁を介して給排ポート10cに接続され、給排ポート10bがモータポートM2からの流れを遮断する逆止弁を介して給排ポート10dに接続され、パイロットポート10eが排出ポート10fと連通する。
容積切換バルブ30は、切換アクチュエータ20,21への作動油の供給と排出を切り換えるスプールバルブである。容積切換バルブ30は、第1分岐通路31を通じてモータポートM1側の第1主通路4と連通する第1供給ポート30aと、第2分岐通路32を通じてモータポートM2側の第2主通路5と連通する第2供給ポート30bと、第1排出通路33を通じてタンクポートTと連通する第1排出ポート30cと、第2排出通路34を通じてタンクポートTと連通する第2排出ポート30dと、絞り24が設けられる第1切換通路22を通じて切換アクチュエータ20と連通する第1給排ポート30eと、絞り25が設けられる第2切換通路23を通じて切換アクチュエータ21と連通する第2給排ポート30fと、の6つのポートを有する。
容積切換バルブ30は、さらに、パイロット給排ポートPsからパイロット圧が導かれる切換パイロット圧室43と、切換圧通路35を通じてカウンタバランスバルブ10と連通する切換圧力室44と、付勢部材としてのスプリング42と、を有する。
スプリング42による付勢力と切換圧力室44に導かれる作動油の圧力による推力とは、容積切換バルブ30が低速ポジション30Aに位置するように作用する。容積切換バルブ30が低速ポジション30Aに位置すると、第1排出ポート30cと第1給排ポート30eとが連通し、第2排出ポート30dと第2給排ポート30fとが連通する。
一方、切換パイロット圧室43に導かれるパイロット圧による推力は、容積切換バルブ30が高速ポジション30Bに位置するように作用する。容積切換バルブ30が高速ポジション30Bに位置すると、第1供給ポート30aと第1給排ポート30eとが連通し、第2供給ポート30bと第2給排ポート30fとが連通する。パイロット給排ポートPsから切換パイロット圧室43に供給されるパイロット圧は、作業機の走行速度を低速と高速とに切り換える速度切換レバー(図示せず)がオペレータによって高速側に操作された場合にパイロット圧供給源から供給され、操作レバーが低速側にある場合は供給されない。
次に、カウンタバランスバルブ10の作動について説明する。
走行制御バルブ72の操作レバー73がオペレータによって操作され、走行制御バルブ72が停止ポジション72Bから正回転ポジション72Aに切り換わると、給排ポートP1はポンプ70と接続され、給排ポートP2は排出通路74を通じてタンク71に接続される。ポンプ70から作動油が給排ポートP1に供給されると、作動油の一部はパイロット通路13aを通じてパイロット室12aに導かれる。パイロット室12aに導かれた作動油の圧力による推力によってカウンタバランスバルブ10の位置は作動ポジション10Aに切り換えられる。作動ポジション10Aでは、第1主通路4を通じてピストンモータ1のモータポートM1に作動油が供給されるとともに、モータポートM2から流出する作動油が第2主通路5,給排ポートP2及び排出通路74を通じてタンク71へ戻される。これにより、ピストンモータ1は正方向に回転作動する。また、このとき、切換圧通路35を通じて容積切換バルブ30にも作動油が導かれる。
一方、走行制御バルブ72の操作レバー73がオペレータによって操作され、走行制御バルブ72が停止ポジション72Bから逆回転ポジション72Cに切り換わると、給排ポートP2はポンプ70と接続され、給排ポートP1は排出通路74を通じてタンク71に接続される。ポンプ70から作動油が給排ポートP2に供給されると、作動油の一部はパイロット通路13bを通じてパイロット室12bに導かれる。パイロット室12bに導かれた作動油の圧力による推力によってカウンタバランスバルブ10の位置は作動ポジション10Bに切り換えられる。作動ポジション10Bでは、第2主通路5を通じてピストンモータ1のモータポートM2に作動油が供給されるとともに、モータポートM1から流出する作動油が第1主通路4,給排ポートP1及び排出通路74を通じてタンク71へ戻される。これにより、ピストンモータ1は逆方向に回転作動する。また、このとき、切換圧通路35を通じて容積切換バルブ30にも作動油が導かれる。
走行制御バルブ72の操作レバー73がオペレータによって操作され、走行制御バルブ72が停止ポジション72Bに切り換わると、両給排ポートP1,P2が連通するとともに、ポンプ70から吐出される作動油は排出通路74を通じてタンク71へ戻される。両給排ポートP1、P2の圧力差がなくなり、パイロット室12a内の作動油の圧力による推力とパイロット室12b内の作動油の圧力による推力とが同じになるため、カウンタバランスバルブ10の位置は、戻しばね11a,11bの付勢力によって停止ポジション10Cに切換わる。停止ポジション10Cでは、モータポートM1,M2から給排ポートP1,P2への作動油の流れが遮断され、モータポートM1,M2と給排ポート10c,10dとの間にブレーキ圧が発生するため、ピストンモータ1は回転作動を停止し、停止し続ける。また、このとき、切換圧通路35は排出通路17を通じてタンクポートTに接続されるため、切換圧通路35内の圧力は低下する。このように、カウンタバランスバルブ10は、給排ポートP1,P2に供給される作動油の圧力に応じて、ピストンモータ1の作動を許容するとともにピストンモータ1の停止状態を保持する。
カウンタバランスバルブ10の位置が急速に切り換わると、ピストンモータ1の状態が停止状態から回転状態または回転状態から停止状態へ急激に変化する。このような変化は、作業機の走行開始時及び走行停止時に振動を発生させ、オペレータに衝撃を与えるおそれがある。本実施形態では、パイロット通路13a,13bに設けられた絞り14a,14bによって、パイロット通路13a,13bを通じてパイロット室12a,12bに導かれる作動油の流れ及びパイロット室12a,12bから排出される作動油の流れに抵抗が付与される。このため、カウンタバランスバルブ10のポジションが急速に切り換わることが抑制され、ピストンモータ1の状態が変化する際の衝撃は緩和される。
次に、容積切換バルブ30の作動について説明する。
作業機が走行中であって、図示しない速度切換レバーがオペレータによって高速側に操作されていない場合、切換パイロット圧室43にパイロット圧が導かれないため、スプリング42による付勢力と切換圧力室44に導かれる作動油の圧力による推力とにより、容積切換バルブ30の位置は低速ポジション30Aに保持される。このとき、各切換アクチュエータ20,21はそれぞれ第1切換通路22及び第1排出通路33または第2切換通路23及び第2排出通路34を通じてタンクポートTと連通するため、切換アクチュエータ20,21は、斜板スプリング3の付勢力により収縮する。斜板スプリング3の付勢力によって斜板2の傾転角度が最大となるとピストンモータ1の容量は最大となり、ピストンモータ1は低速で作動する。この結果、作業機の走行速度は低速となる。
一方、速度切換レバーがオペレータによって高速側に操作された場合、切換パイロット圧室43にはパイロット圧が導かれる。切換パイロット圧室43に導かれるパイロット圧による推力が、スプリング42による付勢力と切換圧力室44に導かれる作動油の圧力による推力との合力を上回ると、容積切換バルブ30は高速ポジション30Bに切り換わる。このとき、切換アクチュエータ20は第1切換通路22及び第1分岐通路31を通じて第1主通路4と連通し、切換アクチュエータ21は第2切換通路23及び第2分岐通路32を通じて第2主通路5と連通する。切換アクチュエータ20,21の何れか一方には、第1主通路4または第2主通路5を流通する作動油が導かれるため、切換アクチュエータ20,21の何れか一方は、斜板スプリング3の付勢力に抗して伸張する。切換アクチュエータ20,21の推力によって、斜板2の傾転角度が最小となるとピストンモータ1の容量は最小となり、ピストンモータ1は高速で作動する。この結果、作業機の走行速度は高速となる。
容積切換バルブ30の位置が急速に切り換わると、斜板2の傾転角度が急激に変化し、ピストンモータ1の作動速度が急激に変化する。このような変化は、作業機の走行速度の変化にも影響し、オペレータに走行速度の急激な変化による衝撃を与えるおそれがある。本実施形態では、第1切換通路22及び第2切換通路23にそれぞれ設けられた絞り24,25によって切換アクチュエータ20,21に出入する作動油の流れに抵抗が付与される。このため、切換アクチュエータ20,21の収縮及び伸張動作が緩慢となり、ピストンモータ1の変速に起因する衝撃は緩和される。
また、ピストンモータ1が高速で作動しているときに、作業機が登坂状態等になると駆動力が不足してしまうため、ピストンモータ1の作動速度を高速から低速に切り換える必要がある。本実施形態における液圧モータ制御装置100は、パイロット給排ポートPsからパイロット圧が供給され、ピストンモータ1の作動速度が高速となっているときであっても、作業機が登坂状態等になりピストンモータ1の負荷が増大するとピストンモータ1の作動速度を自動的に低速に切り換える容積切換機能を有する。
以下に、容積切換バルブ30による容積切換機能について説明する。
ピストンモータ1が高速で作動しているとき、容積切換バルブ30は、切換パイロット圧室43に導かれるパイロット圧による推力が、スプリング42による付勢力と切換圧力室44に導かれる作動油の圧力による推力との合力を上回ることで高速ポジション30Bに位置している。作業機が登坂状態等になりピストンモータ1の負荷が増大すると、これに対応してポンプ70の吐出圧も上昇するため、切換圧力室44に導かれる作動油の圧力も上昇する。このため、容積切換バルブ30が高速ポジション30Bに位置しているときであっても、切換圧力室44内の圧力が上昇し、スプリング42による付勢力と切換圧力室44に導かれる作動油の圧力による推力との合力が、切換パイロット圧室43に導かれるパイロット圧による推力を上回ると、容積切換バルブ30の位置は、高速ポジション30Bから低速ポジション30Aに切り換わる。このように、作業機が登坂状態等になると、容積切換バルブ30の位置が高速ポジション30Bから低速ポジション30Aに自動的に切り換わるので、特段の操作を要することなく作業機の走行速度は低速となり走行状態を維持することが可能となる。このように、容積切換バルブ30は、パイロット給排ポートPsから供給されるパイロット圧及び切換圧力室44に導かれる作動油の圧力に応じて、斜板2の傾転角度を切り換えてピストンモータ1の作動速度及び出力トルクを切り換える。
次に、図2及び図3を参照し、容積切換バルブ30の構造について説明する。以下では、容積切換バルブ30の構造を中心に説明し、図1と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
容積切換バルブ30は、図2に示されるように、液圧モータ制御装置100のボディ60に設けられるスプールバルブである。容積切換バルブ30は、ボディ60に穿設された収容孔61に収容される第1スプール40と、収容孔61の一端を閉塞するプラグ48と、第1スプール40の一端40aとプラグ48とにより画定される切換パイロット圧室43と、収容孔61の他端を閉塞するプラグ49と、第1スプール40の他端40bとプラグ49とにより画定されるばね室46と、ばね室46内に収装され第1スプール40を切換パイロット圧室43の圧力に抗して付勢する付勢部材としてのスプリング42と、プラグ49とスプリング42との間に介装されるスプリングシート45と、ばね室46側から第1スプール40内に摺動自在に挿入される第2スプール41と、第1スプール40と第2スプール41とにより画定され第1スプール40の内部に形成される切換圧力室44と、を有する。
第1スプール40は、円筒状の部材であり、切換パイロット圧室43に臨む一端40aは、平面状に形成されている。一方、ばね室46に臨む他端40bには、スプリング42の一部を収容するスプリング収容孔40cと、第2スプール41が摺動自在に挿入される摺動孔40dと、が同軸上に連通して形成されている。スプリング収容孔40cの内径は、摺動孔40dの内径よりも大きく設定され、スプリング収容孔40cと摺動孔40dとの間には段部40kが形成される。第1スプール40の一端40aには、切換パイロット圧室43の一部を構成する凹部を形成してもよい。
第1スプール40が収容される収容孔61には、第1スプール40の軸方向に離間して、プラグ48側から順に、第1排出ポート30cと、第1給排ポート30eと、第1供給ポート30aと、切換圧通路35を通じてカウンタバランスバルブ10と連通するパイロットポート30gと、第2供給ポート30bと、第2給排ポート30fと、第2排出ポート30dと、が形成される。
第1スプール40には、収容孔61に形成される各ポート間を連通、遮断する環状溝等が形成される。具体的には、第1給排ポート30eを第1排出ポート30cまたは第1供給ポート30aに対して連通、遮断する第1環状溝40eと、第2給排ポート30fを第2供給ポート30bに対して連通、遮断する第3環状溝40gと、が第1スプール40の外周面に形成される。また、第2給排ポート30fを第2排出ポート30dに対して連通、遮断するために、第1スプール40の外周面に形成される第2環状溝40fと、第2環状溝40fを第2排出ポート30dが開口するばね室46に連通する連通孔40jと、が設けられる。
摺動孔40d内に挿入される第2スプール41は、略円筒状の部材であり、ばね室46に隣接して形成され摺動孔40dに摺接する第1摺動部41aと、切換圧力室44に隣接して形成され摺動孔40dに摺接する第2摺動部41cと、第1摺動部41aと第2摺動部41cとの間に設けられる環状溝部41bと、第2摺動部41cと比較して小径に形成され第2摺動部41cから切換圧力室44側へ突出する小径部41dと、を有する。第2摺動部41cの第2スプール41の軸方向における長さは、第2摺動部41cの直径以上に設定されている。第2摺動部41cの外周面には、図3に示されるように、面取部41eが形成される。環状溝部41bと切換圧力室44とは、面取部41eと摺動孔40dとで画定される連通路47によって連通している。連通路47は、上記構成に限らず、環状溝部41bと切換圧力室44とを連通する通路であればどのような通路であってもよく、例えば、第2摺動部41cを第2スプール41の軸方向に貫通する通路であってもよい。
第2スプール41の環状溝部41bに対向する第1スプール40の略中央には、摺動孔40dに開口する連通孔40iが径方向に穿設される。さらに、第1スプール40の外周面には、連通孔40iとパイロットポート30gとを常時連通する第4環状溝40hが形成される。このように、切換圧力室44は、連通路47と、環状溝部41bと、連通孔40iと、第4環状溝40hと、パイロットポート30gと、切換圧通路35と、を通じてカウンタバランスバルブ10と常時連通しており、ピストンモータ1が駆動する際には作動油が導かれる。
第1スプール40とともに切換パイロット圧室43を画定するプラグ48には、切換パイロット圧室43にパイロット給排ポートPsからのパイロット圧を導く切換パイロット通路48aが形成される。切換パイロット通路48aは、プラグ48内に限定されず、ボディ60に形成されてもよい。
スプリング42は、第1スプール40の段部40kとスプリングシート45との間に介装される。スプリング42の配置はこれに限定されず、第1スプール40を切換パイロット圧室43の圧力に抗して付勢することが可能な配置であればよく、例えば、スプリングシート45と第2スプール41との間にスプリング42を介装し、第2スプール41を介して第1スプール40を付勢してもよいし、第2スプール41と第1スプール40との間にスプリング42を介装してもよい。
スプリングシート45は、段付き円筒状の部材であり、スプリング42が当接するシート部45aと、シート部45aからばね室46側へ突出しスプリング42の内部に挿通される突出部45bと、を有する。突出部45bには、第2スプール41の小径部41dとは反対側の端部が当接する。本実施形態において、スプリングシート45は、第2スプール41及びプラグ49と別部材で形成されている。これに代えて、スプリングシート45を第2スプール41またはプラグ49と一体的に形成してもよいし、スプリングシート45,第2スプール41及びプラグ49を一体的に形成してもよい。
次に、図4を参照し、プラグ48を取り外した状態について説明する。図4は、メンテナンス等のために、収容孔61からプラグ48が取り外された状態における容積切換バルブ30の断面図である。
収容孔61からプラグ48を取り外す際、スプリング42の付勢力によってプラグ48に押し付けられた第1スプール40は、スプリング42の付勢力がなくなるまでプラグ48とともに図4中において右方向に移動する。スプリング42の付勢力がなくなったとき、すなわち、スプリング42が自然長になったとき、第1スプール40に作用する推進力がなくなるため、第1スプール40は図4に示される位置に留まる。本実施形態においては、このような場合にも、第1スプールの摺動孔40d内に、第2スプール41の第2摺動部41cが完全に挿入される状態が維持されるように、第2摺動部41cの位置や摺動孔40dの長さが設定される。このため、プラグ48が取り外されても第2スプール41が第1スプール40から抜け出ることはない。特に、第2摺動部41cの第2スプール41の軸方向における長さは、第2摺動部41cの直径以上に設定されているため、第2スプール41が第1スプール40から抜け出ることが確実に防止される。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
第2スプール41は、第1スプール40の摺動孔40d内に微小な隙間を介して挿入されているため、一旦抜け出てしまうと再度挿入することが困難であり、無理に挿入すると第2スプール41が固着してしまう。本実施形態によれば、収容孔61を閉塞するプラグ48が取り外され、第1スプール40を付勢するスプリング42の付勢力がなくなるまで、すなわち、スプリング42が自然長となるまで、スプリング42の付勢力によって第1スプール40が移動したとしても、第1スプール40の摺動孔40d内に第2スプール41の第2摺動部41cが挿入される状態が維持される。このように、プラグ48を取り外しても第2スプール41が第1スプール40から抜け出ることはないため、プラグ48を取り外すメンテナンス作業を行う際の作業効率を向上することができる。
また、第2摺動部41cの直径以上の長さを有する第2摺動部41cが第1スプール40の摺動孔40d内に挿入される状態が維持されるので、プラグ48を取り外しても第2スプール41が第1スプール40から抜け出ることが確実に防止される。このため、プラグ48を取り外すメンテナンス作業を行う際の作業効率を向上することができる。
また、第1スプール40の摺動孔40d内への挿入状態が維持される第2摺動部41cは、切換圧力室44と環状溝部41bとの間に設けられているが、第2摺動部41cには、切換圧力室44と環状溝部41bとを連通する連通路47が設けられている。このため、連通路47を通じて環状溝部41bに供給される作動油を切換圧力室44に導くことができる。このように、容積切換バルブ30の切換圧力室44を利用する機能の作動を妨げることなく、プラグ48を取り外すメンテナンス作業を行う際の作業効率を向上することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、本発明の実施形態に係る液圧モータ制御装置100は、掘削装置や建設機械の運転台を旋回させる旋回装置の制御にも適用可能である。また、建設機械に限らず、農業用機械や船舶に設けられる回転駆動装置に適用してもよい。これらの装置において、オペレータが操作レバーを操作すると、装置は正転、逆転または停止する。
また、本実施形態では、カウンタバランスバルブ10を通じて切換圧通路35に作動油が導かれている。これに代えて、あるいは、これに加えて、第1主通路4及び第2主通路5のうち圧力が高い作動油が流通している通路の圧力を選択する圧力選択バルブを通じて切換圧通路35に作動油を導いてもよい。
また、本実施形態では、作動液としての作動油を用いているが、これに代えて、例えば水溶性代替液等の作動流体を用いてもよい。
100 液圧モータ制御装置
1 ピストンモータ
2 斜板
4 第1主通路
5 第2主通路
10 モータ作動切換バルブ
30 容積切換バルブ
40 第1スプール
40d 摺動孔
41 第2スプール
41a 第1摺動部
41b 環状溝部
41c 第2摺動部
41d 小径部
42 スプリング(付勢部材)
43 切換パイロット圧室
44 切換圧力室
46 ばね室
47 連通路
48 プラグ
61 収容孔
P1,P2 給排ポート
M1,M2 モータポート
Ps パイロット給排ポート
T タンクポート

Claims (4)

  1. 斜板の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化するピストンモータを制御する液圧モータ制御装置において、
    切換パイロット圧室及び切換圧力室に導かれる作動液の圧力に応じて前記斜板の傾転角度を切り換える容積切換バルブを備え、
    前記容積切換バルブは、
    収容孔に収容され一端が前記切換パイロット圧室に臨み他端がばね室に臨む第1スプールと、
    前記収容孔を閉塞し前記切換パイロット圧室を画定するプラグと、
    前記ばね室に収装され前記第1スプールを前記切換パイロット圧室の圧力に抗して付勢する付勢部材と、
    前記ばね室に臨み前記第1スプールに形成される摺動孔内に摺動自在に挿入され前記第1スプールの内部に前記切換圧力室を画定する第2スプールと、を有し、
    前記プラグが取り外され、前記付勢部材の付勢力がなくなるまで前記付勢部材の付勢力によって前記第1スプールが移動する際に、前記第1スプールの前記摺動孔内に前記第2スプールが挿入される状態が維持されることを特徴とする液圧モータ制御装置。
  2. 前記第2スプールは、前記摺動孔に摺接する摺動部を有し、
    前記プラグが取り外され、前記付勢部材の付勢力がなくなるまで前記付勢部材の付勢力によって前記第1スプールが移動する際に、前記第1スプールの前記摺動孔内に前記第2スプールの前記摺動部が前記摺動部の直径以上挿入される状態が維持されることを特徴とする請求項1に記載の液圧モータ制御装置。
  3. 前記第2スプールは、前記ばね室に隣接して形成され前記摺動孔に摺接する第1摺動部と、前記切換圧力室に隣接して形成され前記摺動孔に摺接する第2摺動部と、前記第1摺動部と前記第2摺動部との間に設けられ作動液が供給される環状溝部と、を有し、
    前記第2摺動部は、前記環状溝部と前記切換圧力室とを連通し前記切換圧力室に作動液を導く連通路を有し、
    前記プラグが取り外され、前記付勢部材の付勢力がなくなるまで前記付勢部材の付勢力によって前記第1スプールが移動する際に、前記第1スプールの前記摺動孔内に前記第2スプールの前記第2摺動部が挿入される状態が維持されることを特徴とする請求項1に記載の液圧モータ制御装置。
  4. 前記第2摺動部の長さは、前記第2摺動部の直径以上に設定されることを特徴とする請求項3に記載の液圧モータ制御装置。
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