JP2016044391A - 補強構造物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存建物の補強を簡易且つ低コストに行うことができる補強構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】既存建物1を補強するための補強構造物2の製造方法は、既存建物1の外壁面F側で且つ柱部4、梁部5及び交差部6に対応する位置に鉄筋を配置する工程と、鉄筋のうち柱部4に対応する部分に構成された第1の型枠内と、鉄筋のうち梁部5に対応する部分に構成された第2の型枠内とにそれぞれコンクリートを打設する工程と、鉄筋のうち交差部6に対応する部分に構成された第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する工程とを含む。ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体の圧縮強度は、コンクリートが硬化したコンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい。
【選択図】図3

Description

本開示は、既存建物を補強するための補強構造物の製造方法に関する。
特許文献1は、工場などで予め製造されたコンクリート部品(プレキャストコンクリート製の補強ユニット)を組み立てながら既存建物の外側(外壁)と一体化させ、既存建物を補強する補強工法を開示している。これらのコンクリート部品を組み立てる際には、補強柱となるコンクリート部品(補強柱ユニット)と補強梁となるコンクリート部品(補強梁ユニット)とを挿通する横PC鋼材により、これらに対して予め圧縮応力(プレストレス)を付与し、補強ユニットの耐震性能の向上を図っている。
特開2005−155137号公報
特許文献1が開示するような補強ユニットを用いた補強工法の場合、重量物であるコンクリート部品を工場から現場に運搬する必要が生ずる。加えて、同補強工法の場合、補強ユニットを製造するための設備や、プレストレスを補強ユニットに付与する工程を要する。従って、補強工法の煩雑化や高コスト化を招いていた。
そこで、本開示は、既存建物の補強を簡易且つ低コストに行うことが可能な補強構造物の製造方法を説明する。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法は、柱部と、梁部と、柱部及び梁部が交差する箇所に位置する交差部とを備える既存建物を補強するための補強構造物の製造方法であって、既存建物の外壁面側で且つ柱部、梁部及び交差部に対応する位置に鉄筋を配置する工程と、鉄筋を配置する工程の後で、鉄筋のうち柱部に対応する部分に第1の型枠を構成する前に、第1の型枠の下端部の内側に位置するように、当該下端部を閉塞するための板状部材を配置する工程と、板状部材を配置する工程の後に、第1の型枠内にコンクリートを打設する工程と、鉄筋を配置する工程の後に、鉄筋のうち梁部に対応する部分に構成された第2の型枠内にコンクリートを打設する工程と、第1の型枠内にコンクリートを打設する工程の後に、板状部材を取り除く工程と、板状部材を取り除く工程及び第2の型枠内にコンクリートを打設する工程の後に、鉄筋のうち交差部に対応する部分に構成された第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する工程とを含み、ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体の圧縮強度はコンクリートが硬化したコンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、第1及び第2の型枠内にコンクリートを打設して、既存建物の外壁面側で且つ既存建物の柱部及び梁部に対応する箇所にコンクリート硬化体を設けている。その後、第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填して、既存建物の外壁面側で且つ既存建物の交差部に対応する箇所にモルタル硬化体を設けている。そのため、第1の型枠を取り除くことで、補強構造物の柱部(補強柱部)がコンクリート硬化体によって構成される。第2の型枠を取り除くことで、補強構造物の梁部(補強梁部)がコンクリート硬化体によって構成される。第3の型枠を取り除くことで、補強柱部及び補強梁部が交差する補強構造物の交差部(補強交差部)がモルタル硬化体によって構成される。
ところで、補強柱部、補強梁部及び補強交差部の全てをモルタル硬化体によって構成する場合、極めて強度の大きな補強構造物を得ることができる一方で、コストが大幅に嵩んでしまう。しかしながら、本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、より大きな強度が求められる補強交差部を、コンクリート硬化体よりも圧縮強度が大きいモルタル硬化体によって構成し、補強交差部ほどの強度を要しない補強柱部及び補強梁部をコンクリート硬化体によって構成している。そのため、補強構造物によって既存建物を十分に補強しつつ、補強構造物を低コストで製造することが可能となる。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、より大きな強度が求められる補強交差部を、コンクリート硬化体よりも圧縮強度が大きいモルタル硬化体によって構成している。そのため、補強構造物の全体をコンクリート硬化体によって構成した場合と比較して、補強柱部の幅及び補強梁部の梁成を小さくしても補強構造物としての強度が確保される。従って、補強構造物が設けられた既存建物の外観が補強柱部及び補強梁部によって損なわれ難くなるのみならず、設計の自由度が高まり意匠性に富んだ補強構造物を提供することが可能となる。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、板状部材を取り除く工程及び第2の型枠内にコンクリートを打設する工程の後に、鉄筋のうち交差部に対応する部分に構成された第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填している。つまり、補強構造物を得るために、補強柱部及び補強梁部を構成した後に補強交差部を構成している。そのため、補強構造物の工期が極めて短くなる。従って、既存建物の補強を極めて簡易に行うことが可能となる。特に、既存建物が高層建築物の場合には、地面に近い側から高層側へと順次補強構造物を施工すると工期が長期にわたってしまうが、本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法によれば、既存建物の高さによる影響をほとんど受けずに、極めて短い工期で補強構造物を得ることができる。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、鉄筋を配置する工程の後で、鉄筋のうち前記柱部に対応する部分に第1の型枠を構成する前に、第1の型枠の下端部の内側に位置するように、当該下端部を閉塞するための板状部材を配置している。そのため、この場合、第1の型枠内にコンクリートを打設する際、コンクリートに含まれる水分やセメント粒子等(いわゆる「ノロ」)が第1の型枠の下端部を閉塞する板状部材によって留められ、第1の型枠の下方に流出し難い。そのため、下方に流出した当該水分等が他の第1の型枠内に浸入して、他の第1の型枠内のコンクリートの性質に影響を及ぼすといった事態を抑制することが可能となる。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法では、第1の型枠内にコンクリートを打設する工程の後に、板状部材を取り除いている。そのため、その後に補強交差部が形成された場合に、補強柱部の下端と補強交差部とが直接接合される。従って、補強構造物の強度をより向上させることが可能となる。
板状部材を配置する工程では、板状部材が鉛直方向に対して斜めの姿勢とされてもよい。この場合、第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する際、空気が第3の型枠外に排出されやすくなる。
板状部材は、鉄筋のうち第1の型枠の下端部に位置する剪断補強筋によって支持されていてもよい。
板状部材は石膏板材又はスチレン板材であってもよい。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法は、鉄筋を配置する工程の後で、第1の型枠内にコンクリートを打設する工程の前に、第1の型枠の下端部の内側で且つ板状部材上に位置するように網状部材を配置する工程をさらに含んでもよい。この場合、第1の型枠の下端部からの未固化コンクリートの流出を、網状部材によって抑制することが可能となる。
本開示の一つの観点に係る補強構造物の製造方法は、鉄筋を配置する工程の後で、第2の型枠内にコンクリートを打設する工程の前に、第2の型枠の各端部の内側に位置するように網状部材を配置する工程をさらに含んでもよい。この場合、第2の型枠の各端部からの未固化コンクリートの流出を、網状部材によって抑制することが可能となる。
本開示に係る補強構造物の製造方法によれば、既存建物の補強を簡易且つ低コストに行うことが可能となる。
図1は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の一つの例を示す概略図である。 図2は、補強構造物を示す正面図である。 図3の(a)は、図2のIIIA−IIIA線断面図であり、図3の(b)は、図2のIIIB−IIIB線断面図である。 図4は、主として交差部を示す補強構造物の透視図である。 図5は、補強構造物の製造過程の一つの例を示す図である。 図6は、補強構造物の製造過程の一つの例を示す図である。 図7は、補強構造物の製造過程の一つの例を示す図である。 図8は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の他の例を示す概略図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、既存建物1に補強構造物2が施工された補強済建物3の構造について、図1を参照して説明する。既存建物1は、柱部4と、梁部5と、交差部6と、スラブ部7とを備える。柱部4、梁部5、交差部6及びスラブ部7は、例えば鉄筋コンクリートによって構成される。図示はしていないが、既存建物1は外壁等も備える。
柱部4は、基礎部8上に設けられ、鉛直方向に沿って延びる。梁部5は、隣り合う柱部4の間に配設され、水平方向に沿って延びる。そのため、柱部4と梁部5とが組み立てられた組物は、格子状を呈している。柱部4及び梁部5は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。柱部4の厚み(奥行)は、400mm〜1000mm程度であってもよい。柱部4の幅は、400mm〜1000mm程度であってもよい。梁部5の厚み(奥行)は、例えば200mm〜500mm程度であってもよい。梁部5の幅は、500mm〜1200mm程度であってもよい。
交差部6は、柱部4と梁部5とが交差する箇所に位置する部分である。交差部6は、柱部4の一部としても機能する。スラブ部7は、柱部4及び梁部5の間において水平面に沿って延びている。スラブ部7は、床や天井として機能する。図1においては、柱部4の上端と下端との間に、4つのスラブ部7が鉛直方向に沿って並んでいる。そのため、図1に例示される既存建物1は、3階建ての建物である。
補強構造物2は、既存建物1の外壁面(補強構造物2の施工面)F(図3参照)上に設けられている。補強構造物2は、図1に示されるように、補強柱部9と、補強梁部10と、補強交差部11とを備える。補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。
補強柱部9は、外壁面F上で且つ柱部4に対応する位置に配置されている。補強柱部9は、柱部4の延在方向と同一方向に沿って延びている。すなわち、補強柱部9は、鉛直方向に沿って延びている。図1に示される例では、既存建物1の1階部分及び2階部分に補強柱部9がそれぞれ位置している。既存建物1の中央部分においては、既存建物1の3階部分にも補強柱部9が位置している。図1に示されるように、鉛直方向において隣り合う補強柱部9は、同一の柱部4に対応している。補強柱部9の厚み(奥行)は、例えば350mm〜600mm程度であってもよい。補強柱部9の幅は、500mm〜800mm程度であってもよい。
補強梁部10は、外壁面F上で且つ梁部5に対応する位置に配置されている。補強梁部10は、梁部5の延在方向と同一方向に沿って延びている。すなわち、補強梁部10は、水平方向に沿って延びている。補強梁部10は、水平方向において隣り合う補強柱部9の間に位置している。図1に示されるように、水平方向において隣り合う補強梁部10は、同一の梁部5に対応している。補強梁部10の厚み(奥行)は、例えば350mm〜500mm程度であってもよい。補強梁部10の梁成は、500mm〜900mm程度であってもよく、補強柱部9の幅よりも100mm程度大きくてもよい。
補強交差部11は、外壁面F上で且つ交差部6に対応する位置に配置されている。補強交差部11は、補強柱部9及び補強梁部10の端部同士を接続している。そのため、補強交差部11は、補強柱部9と補強梁部10との交点に位置している。従って、補強構造物2は、補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11によって格子状に構成されている。補強交差部11の厚み(奥行)及び幅の一方が600mm以下であってもよい。補強交差部11の高さは、例えば500mm〜900mm程度であってもよい。
補強柱部9及び補強梁部10は、例えば鉄筋がコンクリート硬化体に埋設された鉄筋コンクリートによって構成されている。コンクリート硬化体は、コンクリートが硬化されてなる。補強交差部11は、例えば鉄筋が埋設されたモルタル硬化体によって構成されている。モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルが硬化されてなる。本実施形態において、モルタル硬化体の圧縮強度は、同日の材齢で比較した場合、コンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい。
ここで、ポリマーセメントモルタルについて説明する。ポリマーセメントモルタルは、ポリマーセメント組成物と水との混合物である。
<ポリマーセメント組成物>
本実施形態のポリマーセメント組成物は、補強工法用のポリマーセメント組成物であって、セメント、細骨材、流動化剤、再乳化形粉末樹脂、無機系膨張材、及び、合成樹脂繊維を含有する。
セメントは、水硬性材料として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。それらの中でも、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」に規定されるポルトランドセメントを含むことが好ましい。流動性と速硬性の観点から、早強ポルトランドセメントを含むことがより好ましい。
強度発現性の観点からセメントのブレーン比表面積は、
好ましくは3000〜6000cm/gであり、
より好ましくは4000〜5000cm/gであり、
さらに好ましくは4200〜4800cm/gである。
細骨材としては、珪砂、川砂、陸砂、海砂及び砕砂等の砂類を例示することができる。細骨材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、ポリマーセメントモルタルの型枠への充填性を一層円滑にする観点から、珪砂を含むことが好ましい。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、ふるい目開き2000μmにおいて、0質量%であることが好ましい。ふるい目開き2000μmのふるいを細骨材がすべて通過する場合、上記質量分率は0質量%である。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、5.0〜25.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、5.0〜25.0であり、
ふるい目開き75μmにおいて、0〜10.0であることが好ましい。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、10.0〜20.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、10.0〜20.0であり、
ふるい目開き75μmにおいて、0〜5.0であることがより好ましい。
細骨材を上記規定でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が上述の範囲内であることにより、より良好な材料分離抵抗性及び流動性を有するモルタルや、より高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、細骨材の粗粒率が
好ましくは、1.60〜3.00であり、
より好ましくは、1.90〜2.80であり、
さらに好ましくは、2.10〜2.70であり、
特に好ましくは2.30〜2.60である。
細骨材の粗粒率が上述の範囲であることにより、より良好な材料分離抵抗性や流動性を有するポリマーセメントモルタルや、より良好な強度特性を有する硬化体を得ることができる。
上記ふるい分けは、JIS Z 8801−1:2006「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定される目開きの異なる数個のふるいを用いて行うことができる。
細骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、80〜130質量部であり、
好ましくは85〜125質量部であり、
より好ましくは90〜120質量部であり、
さらに好ましくは95〜115質量部であり、
特に好ましくは100〜110質量部である。
細骨材の含有量を上述の範囲とすることにより、より高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
流動化剤は、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、及びポリカルボン酸系のもの等を例示することができる。流動化剤は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、高い減水効果を得る観点から、ポリカルボン酸系の流動化剤を含むことが好ましい。ポリカルボン酸系の流動化剤を用いることによって、水粉体比を低減して、モルタル硬化体の強度発現性を一層良好にすることができる。
流動化剤の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.04〜0.55質量部であり、
より好ましくは0.11〜0.38質量部であり、
さらに好ましくは0.13〜0.32質量部であり、
特に好ましくは0.15〜0.28質量部である。
流動化剤の含有量を上述の範囲とすることにより、より良好な流動性を有するポリマーセメントモルタルを得ることができる。また、一層高い圧縮強度を有するモルタル硬化体を得ることができる。
再乳化形粉末樹脂は、特にその種類及び製造方法は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。また、再乳化形粉末樹脂は、表面にブロッキング防止剤を有していてもよい。モルタル硬化体の耐久性の観点から、再乳化形粉末樹脂は、アクリルを含有することが好ましい。さらに、接着性及び圧縮強度の観点から、再乳化形粉末樹脂のガラス転移温度(Tg)は、5〜20℃の範囲であることが好ましい。
再乳化形粉末樹脂の含有量は、セメント100質量部に対して、
0.2〜6.0質量部であり、
好ましくは0.5〜3.5質量部であり、
より好ましくは0.7〜2.8質量部であり、
さらに好ましくは0.9〜2.1質量部であり、
特に好ましくは1.1〜1.8質量部である。
再乳化形粉末樹脂の含有量を上述の範囲とすることにより、ポリマーセメントモルタルの接着性と、モルタル硬化体の圧縮強度を一層高水準で両立することができる。
無機系膨張材としては、生石灰−石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、及び生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を例示することができる。無機系膨張材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、硬化体の圧縮強度をより向上する観点から、生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材を含むことが好ましい。
無機系膨張材の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは2.0〜10.0質量部であり、
より好ましくは3.0〜9.0質量部であり、
さらに好ましくは4.0〜8.0質量部であり、
特に好ましくは5.0〜7.0質量部である。
無機系膨張材の含有量を上述の範囲とすることにより、一層適正な膨張性が発現され、モルタル硬化体の収縮を抑制することができる。
合成樹脂繊維としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニロン及びポリ塩化ビニル等を例示することができる。合成樹脂繊維は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
合成樹脂繊維の繊維長は、モルタル中での分散性、及びモルタル硬化体の耐クラック性向上の点から、
好ましくは4〜20mmであり、
より好ましくは6〜18mmであり、
さらに好ましくは8〜16mmであり、
特に好ましくは10〜14mmである。
合成樹脂繊維の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.11〜0.64質量部であり、
より好ましくは0.21〜0.53質量部であり、
さらに好ましくは0.28〜0.47質量部であり、
特に好ましくは0.32〜0.43質量部である。
合成樹脂繊維の繊維長及び含有量を上述の範囲にすることにより、モルタル中での分散性やモルタル硬化体の耐クラック性をより向上することができる。
本実施形態のポリマーセメント組成物は、用途に応じて、凝結調整剤、増粘剤、金属系膨張材、及び消泡剤等を含有してもよい。
<ポリマーセメントモルタル>
ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを含む。ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを配合し混練することによって調製することができる。このようにして調製されるポリマーセメントモルタルは、優れた流動性(フロー値)を有する。このため、補強構造物を形成するための型枠内への充填を円滑に行うことができる。したがって、既存建物の補強構造物用のポリマーセメントモルタルとして好適に用いることができる。ポリマーセメントモルタルを調製する際に、水粉体比(水量/ポリマーセメント組成物量)を適宜変更することによって、ポリマーセメントモルタルのフロー値を調整することができる。
水粉体比は、
好ましくは、0.135〜0.185であり、
より好ましくは、0.140〜0.180であり、
更に好ましくは、0.143〜0.177であり、
特に好ましくは、0.145〜0.175である。
本明細書におけるフロー値は、以下の手順で測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ100mmの円筒形状の塩化ビニル製パイプを配置する。このとき、塩化ビニル製パイプの一端がみがき板ガラスと接触し、他端が上向きとなるように配置する。他端側の開口からポリマーセメントモルタルを注入して、塩化ビニル製パイプ内にポリマーセメントモルタルを充填した後、塩化ビニル製パイプを垂直に引き上げる。モルタルの広がりが静止した後、互いに直交する2つの方向における直径(mm)を測定する。測定値の平均値をフロー値(mm)とする。
ポリマーセメントモルタルのフロー値は、
好ましくは、160〜280mmであり、
より好ましくは、165〜270mmであり、
さらに好ましくは、170〜260mmである。
フロー値が上述の範囲であることにより、材料分離抵抗性及び充填性に優れたポリマーセメントモルタルを得ることができる。
<モルタル硬化体>
モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルを硬化して形成することができる。このようにして形成されるモルタル硬化体は、既存建物の補強構造物を構成するコンクリートの柱や梁と一体化するに際し、強度発現性に優れる。このため、補強工法の工期を短縮することができる。また、高い圧縮強度を有することから、既存建物の耐震性を向上することができる。
圧縮強度とは、内径5cm、高さ10cmの円筒型枠にモルタルを充填し、24時間後に脱型した後、所定材齢まで水中養生した試験体をJIS A 1108:2006「コンクリートの圧縮試験方法」に準拠して測定される値(N/mm)である。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢7日において圧縮強度は、
好ましくは、60N/mm以上であり、
より好ましくは、61N/mm以上であり、
さらに好ましくは、62N/mm以上である。
特に好ましくは、63N/mm以上である。
材齢7日で上述の圧縮強度に到達できるような強度発現性を有するモルタル硬化体を用いることによって、補強工法の工期を一層短縮することができる。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢28日の圧縮強度は、
好ましくは、65N/mm以上であり、
より好ましくは、70N/mm以上であり、
さらに好ましくは、71N/mm以上である。
特に好ましくは、72N/mm以上である。
圧縮強度が上述の範囲であることにより、補強用のコンクリートの柱や梁と一体化した際に、一層優れた耐震性能を発揮することができる。
続いて、図2〜図4を参照して、補強構造物2についてより詳しく説明する。補強構造物2を構成する補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11内には、鉄筋12と、網状部材13とが設けられている。鉄筋12は、鉛直鉄筋14と、水平鉄筋15とを有する。
鉛直鉄筋14は、柱部4に対応する位置に配置されると共に、柱部4の延在方向と同一方向に沿って延びる。鉛直鉄筋14は、鉛直方向に沿うように補強柱部9及び補強交差部11内を縦断している。鉛直鉄筋14は、主筋16と、剪断補強筋17とを含む。
主筋16は、鉛直鉄筋14の延在方向に延びる。複数の主筋16は、鉛直方向から見て矩形状を呈するように並んでいる。主筋16の外周面には、雄ねじが形成されている。図4に示されるように、主筋16のうち補強柱部9の下端部近傍には、ナット18が螺合されている。ナット18のうち既存建物1(外壁面F)から離れる側の主筋16と螺合しているナット18Aの高さ位置は、ナット18のうち既存建物1(外壁面F)に近い側の主筋16と螺合しているナット18Bの高さ位置よりも高い。
剪断補強筋17は、複数の主筋16を取り囲むように主筋16と接続されている。剪断補強筋17と主筋16との接続は、例えば、溶接や、フック等の係合部材を用いた係合により行われてもよい。以下では、補強柱部9の下端部近傍に位置する剪断補強筋17を「剪断補強筋17A」と称することがある(図2、図4及び図5参照)。
水平鉄筋15は、梁部5に対応する位置に配置されると共に、梁部5の延在方向と同一方向に沿って延びる。水平鉄筋15は、水平方向に沿うように補強梁部10及び補強交差部11内を横断している。水平鉄筋15は、主筋19と、剪断補強筋20とを含む。
主筋19は、水平鉄筋15の延在方向に延びる。複数の主筋19は、水平方向から見て矩形状を呈するように並んでいる。
剪断補強筋20は、複数の主筋19を取り囲むように主筋19と接続されている。剪断補強筋20と主筋19との接続は、例えば、溶接や、フック等の係合部材を用いた係合により行われてもよい。以下では、補強梁部10の両端部近傍にそれぞれ配置される剪断補強筋20を「剪断補強筋20A」と称することがある(図2、図4及び図5参照)。
鉄筋12に使用する鋼材の降伏点は、390N/mm以上でもよく、490N/mm〜1275N/mmでもよく、685N/mm〜1275N/mmでもよい。当該鋼材の引張り強さは、560N/mm以上でもよく、620N/mm〜1500N/mmでもよく、800N/mm〜1500N/mmでもよい。本明細書でいう「降伏点」及び「引張り強さ」は、JIS Z2241−2011に記載の方法に準拠して測定された値を意味する。
網状部材13は、例えばメタルラス(JIS A 5505参照)である。網状部材13としては、例えば、平ラス、こぶラス、波形ラス、リブラスを用いてもよい。網状部材13の網目の大きさは、例えば、5mm〜20mmであってもよい。網状部材13は、補強柱部9の下端部近傍と、補強梁部10の両端部近傍とにそれぞれ配置されている。以下では、補強柱部9の下端部近傍に位置する網状部材13を「網状部材13A」と称し、補強梁部10の両端部近傍にそれぞれ配置される網状部材13を「網状部材13B」と称することがある(図4及び図5参照)。
図4に示されるように、網状部材13Aと、剪断補強筋17のうち補強柱部9の下端部近傍に位置する剪断補強筋17Aとは、鉛直方向に対して斜めの姿勢となっている。具体的には、網状部材13A及び剪断補強筋17Aは、既存建物1(外壁面F)から離れるにつれて上に向かうように傾いている。水平面に対する網状部材13A及び剪断補強筋17Aの傾斜角は、例えば1.5°〜3.5°程度であってもよい。
補強構造物2と既存建物1とは、アンカー21によって接続されている。アンカー21の一端側は、補強構造物2(補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11)に埋設されている。アンカー21の他端側は、既存建物1(柱部4、梁部5及び基礎部8)に埋設されている。アンカー21は、既存建物1に加わる振動エネルギー(例えば、地震エネルギー)を補強構造物2に伝える役割を果たす。アンカー21としては、例えば種々の公知のアンカーボルトを使用してもよい。
続いて、既存建物1に補強構造物2を施工する方法(補強構造物2の製造方法)について説明する。まず、柱部4、梁部5及び基礎部8の所定箇所をドリル等により穿孔し、複数の孔を形成する。次に、これらの孔内にアンカー21を挿入し柱部4、梁部5及び基礎部8とアンカー21とを接合する。柱部4、梁部5及び基礎部8とアンカー21との接合には、例えばエポキシ系の接着剤を用いてもよい。
次に、既存建物1の外壁面F上で且つ柱部4、梁部5及び交差部6に対応する位置に、鉄筋12を配置する。このとき、補強交差部11の直上(補強柱部9の下端部近傍)においてナット18Aの高さ位置がナット18Bの高さ位置よりも高くなるように、主筋16にナット18を螺合する(図4及び図5参照)。その後、これらのナット18上に剪断補強筋17Aを載置し、ナット18と剪断補強筋17Aとを接合する。ナット18と剪断補強筋17Aとの接合は、例えば溶接によって行われてもよい。
その後、主筋16に対応する位置に貫通孔が設けられた板状部材22を用意する。そして、主筋16の上端側から当該貫通孔に主筋16を挿通して、図5に示されるように、板状部材22を剪断補強筋17A上に載置する。板状部材22としては、例えば、石膏板材(石膏ボードなど)や、スチレン板材(スチレンボード、スチレンペーパーなど)を用いてもよい。
その後、板状部材22上に網状部材13Aを載置する。すなわち、補強柱部9の下端部となる箇所の近傍に網状部材13Aを配置する。補強交差部11となる箇所の側方(補強梁部10の端部となる箇所の近傍)に網状部材13Bを配置する。網状部材13Bは、剪断補強筋20Aよりも補強梁部10の中央部寄りに位置していてもよい。網状部材13Bは、例えば取り付け金具により剪断補強筋20Aに固定されていてもよい。
上記のようにナット18A,18Bの高さ位置が異なっているので、ナット18A,18B上に配置される剪断補強筋17A、板状部材22及び網状部材13Aは、鉛直方向に対して斜めの姿勢となる。具体的には、剪断補強筋17A、板状部材22及び網状部材13Aは、既存建物1(外壁面F)から離れるにつれて上に向かうように傾く。
次に、図6に示されるように、鉄筋12のうち柱部4に対応する部分に、型枠(第1の型枠)23を構成する。これにより、鉄筋12のうち柱部4に対応する部分は、型枠23と外壁面Fとで囲まれる。型枠23と外壁面Fとで囲まれる空間の下端部には、網状部材13A及び板状部材22が位置する。当該空間の下端部は、板状部材22によって閉塞される。
図6に示されるように、鉄筋12のうち梁部5に対応する部分に、型枠(第2の型枠)24を構成する。これにより、鉄筋12のうち梁部5に対応する部分は、型枠24と外壁面Fとで囲まれる。型枠24と外壁面Fとで囲まれる空間の両端部にはそれぞれ、網状部材13Bが位置する。
次に、型枠23,24の上方からそれぞれ型枠23,24内にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化してコンクリート硬化体となった後に型枠23,24を取り外すことで、補強柱部9及び補強梁部10が得られる。このとき、補強柱部9の下端には板状部材22が付着している。そのため、板状部材22を破壊して取り除く。
次に、図7に示されるように、鉄筋12のうち交差部6に対応する部分に、型枠(第3の型枠)25を構成する。これにより、鉄筋12のうち交差部6に対応する部分は、型枠25と、外壁面Fと、補強柱部9の端面と、補強梁部10の端面とで囲まれる。
次に、型枠25の下方に取り付けられた供給管26を介して、型枠25と、外壁面Fと、補強柱部9の端面と、補強梁部10の端面とで囲まれる空間内にポリマーセメントモルタルを圧入し、当該空間内をポリマーセメントモルタルで充填する。このとき、型枠25の上方に取り付けられた空気抜き管27から、空気が混入していないポリマーセメントモルタルが排出されるまで、当該空間内へのポリマーセメントモルタルの供給を続ける。これにより、当該空間内における空気が、ポリマーセメントモルタルによって置換される。ポリマーセメントモルタルが硬化してモルタル硬化体となった後に型枠25を取り外すことで、補強交差部11が得られる。
以上により、既存建物1に補強構造物2が設けられ、補強済建物3が完成する。
以上のような本実施形態では、型枠23,24内にコンクリートを打設して、既存建物1の外壁面F側で且つ既存建物1の柱部4及び梁部5に対応する箇所にコンクリート硬化体を設けている。その後、型枠25内にポリマーセメントモルタルを充填して、既存建物1の外壁面F側で且つ既存建物1の交差部6に対応する箇所にモルタル硬化体を設けている。そのため、型枠23を取り除くことで、補強柱部9がコンクリート硬化体によって構成される。型枠24を取り除くことで、補強梁部10がコンクリート硬化体によって構成される。型枠25を取り除くことで、補強交差部11がモルタル硬化体によって構成される。
ところで、補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11の全てをモルタル硬化体によって構成する場合、極めて強度の大きな補強構造物2を得ることができる一方で、コストが大幅に嵩んでしまう。しかしながら、本実施形態に係る補強構造物2の製造方法では、より大きな強度が求められる補強交差部11を、コンクリート硬化体よりも圧縮強度が大きいモルタル硬化体によって構成し、補強交差部11ほどの強度を要しない補強柱部9及び補強梁部10をコンクリート硬化体によって構成している。そのため、補強構造物2によって既存建物1を十分に補強しつつ、補強構造物2を低コストで製造することが可能となる。
本実施形態では、より大きな強度が求められる補強交差部11を、コンクリート硬化体よりも圧縮強度が大きいモルタル硬化体によって構成している。そのため、補強構造物2の全体をコンクリート硬化体によって構成した場合と比較して、補強柱部9の幅及び補強梁部10の梁成を小さくしても補強構造物2としての強度が確保される。従って、補強構造物2が設けられた既存建物1の外観が補強柱部9及び補強梁部10によって損なわれ難くなるのみならず、設計の自由度が高まり意匠性に富んだ補強構造物2を提供することが可能となる。
本実施形態では、補強柱部9及び補強梁部10を構成した後に補強交差部11を構成することで、補強構造物2が得られる。そのため、補強構造物2の工期が極めて短くなる。具体的には、最短で2日で補強構造物2が構成され、その後、3日程度の養生期間により補強構造物2を完成させることができる。従って、既存建物1の補強を極めて簡易に行うことが可能となる。特に、既存建物1が高層建築物の場合には、地面に近い側から高層側へと順次補強構造物2を施工すると工期が長期にわたってしまうが、本実施形態によれば、既存建物1の高さによる影響をほとんど受けずに、極めて短い工期で補強構造物2を得ることができる。
本実施形態では、型枠23と外壁面Fとで囲まれる空間の下端部を、板状部材22によって閉塞している。そのため、型枠23内にコンクリートを打設する際、コンクリートに含まれる水分やセメント粒子等(いわゆる「ノロ」)が型枠23の下端部を閉塞する板状部材によって留められ、型枠23の下方に流出し難い。そのため、下方に流出した当該水分等が他の型枠23内に浸入して、他の型枠23内のコンクリートの性質に影響を及ぼすといった事態を抑制することが可能となる。
本実施形態では、コンクリート硬化体を得た後、型枠25を構成する前に、板状部材22を取り除いている。そのため、その後に補強交差部11が形成された場合に、補強柱部9の下端と補強交差部11とが直接接合される。従って、補強構造物2の強度をより向上させることが可能となる。
本実施形態では、型枠23と外壁面Fとで囲まれる空間の下端部に配置される板状部材22が、鉛直方向に対して斜めの姿勢とされている。そのため、型枠25内にポリマーセメントモルタルを充填する際、空気が型枠25外に排出されやすくなる。
本実施形態では、型枠23と外壁面Fとで囲まれる空間の下端部に、網状部材13Aを配置している。そのため、型枠23の下端部からの未固化コンクリートの流出を、網状部材13Aによって抑制することが可能となる。
本実施形態では、型枠24と外壁面Fとで囲まれる空間の両端部にそれぞれ、網状部材13Bを配置している。そのため、型枠24の各端部からの未固化コンクリートの流出を、網状部材13Bによって抑制することが可能となる。
これらの網状部材13(13A,13B)として、網部分が非平面状に形成された部材(例えば、こぶラス、波形ラス、リブラスなど)を採用すると、補強柱部9及び補強梁部10の端面が網状部材13の形状に応じて非平面状となる。この場合、補強交差部11との接触面積が増加する。従って、補強柱部9及び補強梁部10と補強交差部11とをより強固に接続することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、上記の実施形態のように補強構造物2が既存建物1の外壁面Fに接していなくてもよい。具体的には、図8に示されるように、補強構造物2が外壁面Fと離間しており、補強構造物2と外壁面Fとの間を補強梁部28及び補強スラブ29で接続していてもよい。補強梁部28は、既存建物1の交差部6と補強構造物2の補強交差部11との間で延びている。補強スラブ29は、既存建物1の梁部5と、補強構造物2の補強梁部10と、補強構造物2とで囲まれる領域において、水平方向に拡がるように配置されている。補強梁部28及び補強スラブ29は、鉄筋コンクリートで構成されていてもよいし、プレキャストコンクリートで構成されていてもよい。
未硬化コンクリートの型枠23,24からの流出を抑制できる機能を有していれば、網状部材13に代えて、網状以外の形状を呈する他の部材を採用してもよい。
コンクリートに含まれる水分等の下方への流出を抑制でき、且つ、コンクリートが硬化した後に除去可能な機能を有していれば、板状部材22として種々の部材又は材料を採用してもよい。板状部材22の表面形状は、平面状のみならず、非平面状(例えば、凹凸形状、波形状、鋸刃状など)であってもよい。この場合、補強柱部9の下端面が非平面状になりやすい。そのため、補強柱部9と補強交差部11との接触面積が増加する。従って、補強柱部9と補強交差部11とをさらに強固に接続することが可能となる。
型枠23〜25を取り外す順番は、上記の実施形態に限定されない。例えば、型枠25に充填されたポリマーセメントモルタルがモルタル硬化体となった後に、型枠23〜25を取り外すようにしてもよい。
水平鉄筋15のうち梁部5に対応する部分に構成される型枠24は、底板と、外壁面Fと対向する側板とからなり、天板を有していなくてもよい。この場合、上方から容易に型枠内にコンクリートを打設することができる。一方、水平鉄筋15のうち梁部5に対応する部分に構成される型枠24は、底板と、外壁面Fと対向する側板と、天板とからなっていてもよい。この場合、例えば天板に形成された開口部からコンクリートを型枠内に打設することができる。
1…既存建物、2…補強構造物、3…補強済建物、4…柱部、5…梁部、6…交差部、9…補強柱部、10…補強梁部、11…補強交差部、12…鉄筋、13,13A,13B…網状部材、17,17A…剪断補強筋、20,20A…剪断補強筋、23…型枠(第1の型枠)、24…型枠(第2の型枠)、25…型枠(第3の型枠)、F…外壁面。

Claims (6)

  1. 柱部と、梁部と、前記柱部及び前記梁部が交差する箇所に位置する交差部とを備える既存建物を補強するための補強構造物の製造方法であって、
    前記既存建物の外壁面側で且つ前記柱部、前記梁部及び前記交差部に対応する位置に鉄筋を配置する工程と、
    前記鉄筋を配置する前記工程の後で、前記鉄筋のうち前記柱部に対応する部分に第1の型枠を構成する前に、前記第1の型枠の下端部の内側に位置するように、当該下端部を閉塞するための板状部材を配置する工程と、
    前記板状部材を配置する前記工程の後に、前記第1の型枠内にコンクリートを打設する工程と、
    前記鉄筋を配置する前記工程の後に、前記鉄筋のうち前記梁部に対応する部分に構成された第2の型枠内にコンクリートを打設する工程と、
    前記第1の型枠内にコンクリートを打設する前記工程の後に、前記板状部材を取り除く工程と、
    前記板状部材を取り除く前記工程及び前記第2の型枠内にコンクリートを打設する前記工程の後に、前記鉄筋のうち前記交差部に対応する部分に構成された第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する工程とを含み、
    前記ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体の圧縮強度は前記コンクリートが硬化したコンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい、製造方法。
  2. 前記板状部材を配置する前記工程では、前記板状部材が鉛直方向に対して斜めの姿勢とされる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記板状部材は、前記鉄筋のうち前記第1の型枠の下端部に位置する剪断補強筋によって支持されている、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記板状部材は石膏板材又はスチレン板材である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記鉄筋を配置する前記工程の後で、前記第1の型枠内にコンクリートを打設する前記工程の前に、前記第1の型枠の下端部の内側で且つ前記板状部材上に位置するように網状部材を配置する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記鉄筋を配置する前記工程の後で、前記第2の型枠内にコンクリートを打設する前記工程の前に、前記第2の型枠の各端部の内側に位置するように網状部材を配置する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
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