JP2016043513A - 多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 表面の光沢を抑制した多層延伸フィルムの簡便な製造方法、及びかかる製造方法により製造された多層延伸フィルムを用いた網状体を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の層1の片面側または両面側に第2の層2を含んでなる積層体を得る工程であって、前記第2の層2が前記第1の層1と異なる熱可塑性樹脂からなる工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層2にミクロボイドを発生させる工程とを含む、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法、並びにかかる製造方法により製造された多層延伸フィルムを用いた網状体。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1の層1の片面側または両面側に第2の層2を含んでなる積層体を得る工程であって、前記第2の層2が前記第1の層1と異なる熱可塑性樹脂からなる工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層2にミクロボイドを発生させる工程とを含む、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法、並びにかかる製造方法により製造された多層延伸フィルムを用いた網状体。
【選択図】 図1
Description
本発明は、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法に関する。本発明は、特には、光沢を抑制した多層延伸熱可塑性フィルムの簡便な製造方法に関する。
従来、一般包装用途、食品包装用途、あるいは農業資材用途に、熱可塑性樹脂から構成される多層延伸フィルムが使用されている。熱可塑性樹脂製の多層延伸フィルムは、強度や透明度、光沢の点で優れており、また、多層とすることで、その他の機能を付与することができるため、有用である。従来知られている組成及び方法で製造したこれらの多層延伸フィルムは、通常、表面に光沢がある。このような光沢は、用途によっては好ましい場合もあるが、例えば、フィルムを包装材に用いる場合に包装対象物の視認性低下を抑制するといった理由、あるいは、フィルム表面に印刷を施す場合にフィルムの隠蔽性を高めるといった理由で、表面の光沢を抑制すること(艶消しともいう)が求められる場合がある。
樹脂製品の光沢を抑制する一般的な方法としては、例えば、樹脂製品の製造後に、溶剤などの化学的エッチングや、レーザーなどの物理的エッチングを用いる方法が知られている。また、エンボス加工を施す方法、あるいは、顔料を含む層を外側に形成する方法等も挙げられる。このような方法は、光沢抑制のために、樹脂製品の製造自体には必須ではない、別の構成要素や、別工程を必要とするものであり、環境対策を含めたコストがかかるという問題がある。
本出願人らによる、多層延伸フィルムの光沢抑制技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。かかる技術は、熱可塑性樹脂製の一軸配向フィルムを、配向軸が互いに交差するように経緯積層し又は織成し、得られた網状体の表面に、例えばエンボスロールを用いて、粗面加工を施すものである。これにより、網状体の光沢を抑制することができ、網状体を包装材として用いる場合には包装対象物の視認性低下を抑制することができる点で有利である。
しかし、特許文献1に記載された発明は、網状体の材料となる熱可塑性樹脂製の一軸配向フィルムを製造した後に、網状体を製造し、さらに粗面加工を施すため、複数工程を経る必要があった。より簡便な方法で、多層延伸熱可塑性フィルムの光沢を抑制することが求められていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。本発明者らは、多層延伸熱可塑性フィルムの各層を構成する材料の特性を検討し、多層延伸フィルム製造に必要な工程とは別に、光沢抑制のための工程や、光沢抑制のための層を設けることなく、実質的に延伸することのみで、多層延伸フィルムの表面の光沢を抑制する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、一実施形態によれば、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法であって、第1の層の片面側または両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程であって、前記第2の層が前記第1の層と異なる熱可塑性樹脂からなる工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程とを含む。
前記多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法において、前記第2の層に使用される熱可塑性樹脂のメルトフローレートの、前記第1の層に使用される熱可塑性樹脂のメルトフローレートに対する比が、0.1〜5.0であり、前記第2の層の厚みの、前記第1の層の厚みに対する比が、0.2〜2.0であり、前記一軸方向の延伸倍率が、4〜15倍であることが好ましい。
前記多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法において、前記ミクロボイドを発生させる工程により、ヘイズが70%以上となるように延伸されていることが好ましい。
前記多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法において、前記ミクロボイドを発生させる工程により、前記第2の層に対する入射角20°における光沢度が、10%以下となるように延伸されていることが好ましい。
本発明は、別の実施形態によれば、少なくとも2つのフィルムを配向軸が互いに交差するように積層し、隣接する前記フィルムの接触部位同士を面接着させてなる網状体であって、前記2つのフィルムの一方が、前述のいずれかの多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を機械方向に一軸延伸する工程を含み、前記ミクロボイドを発生させる工程の後、前記多層延伸熱可塑性フィルムを割繊し、拡幅する工程をさらに含む方法により得られる割繊維フィルムであり、前記2つのフィルムの他方が、前記割繊維フィルム、または、前述のいずれかの多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記積層体を得る工程の後であって、前記ミクロボイドを発生させる工程の前に、前記積層体に幅方向にスリットを形成する工程をさらに含み、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を幅方向に一軸延伸する工程を含む方法により得られる網状フィルムである、網状体である。
本発明は、また別の実施形態によれば、一軸延伸多層テープを、配向軸が互いに交差するように積層し、もしくは織成してなり、隣接する一軸延伸多層テープの接触部位同士を面接着させて形成された面接着部を備える網状体であって、前記一軸延伸多層テープが、前述のいずれかの多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を一軸延伸する工程を含み、前記ミクロボイドを発生させる工程の前もしくは後に、前記多層熱可塑性フィルムを前記延伸方向に平行に一定幅に裁断する工程を含む方法により得られる、網状体である。
本発明によれば、上記構成を備える多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法により、延伸しにくい層と、延伸しやすい層とを配置し、延伸しにくい層と延伸しやすい層とを同時に延伸することで、延伸切れを発生させずに、延伸しにくい層に連続的にミクロボイドを発生させ、光沢を抑制した多層延伸熱可塑性フィルムを得ることができる。このような多層延伸熱可塑性フィルムは、単独で一般包装材料や食品包装材料として用いられる他、ほかの材料とさらに貼り合わせたりすることによりさらなる機能材料として使用することができる。特には、この多層延伸熱可塑性フィルムから得られた、光沢を抑えた網状体を、製造工程及び材料の観点から、低コストで製造することができる。
[第1実施形態:多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法]
本発明は、第1実施形態によれば、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法に関する。当該製造方法は、第1の層の片面側または両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程とを含む。
本発明は、第1実施形態によれば、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法に関する。当該製造方法は、第1の層の片面側または両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程とを含む。
(1)積層体を得る工程
本実施形態の第1工程においては、第1の層の片面側に第2の層を少なくとも含んでなる積層体を得る。図1に、第1工程で製造する積層体の断面の概念図を示す。図1において、第1の層1、第2の層2が順に積層され、積層体10を構成している。第1の層1の延伸前厚みをd1、第2の層2の延伸前厚みをd2とする。なお、図中、第1の層1が紙面下方、第2の層2が紙面上方に位置しているが、積層体10に上下の区別は存在しない。第2の層2は、ミクロボイド形成層とも指称することができ、第1の層1は、支持層とも指称することができる。
本実施形態の第1工程においては、第1の層の片面側に第2の層を少なくとも含んでなる積層体を得る。図1に、第1工程で製造する積層体の断面の概念図を示す。図1において、第1の層1、第2の層2が順に積層され、積層体10を構成している。第1の層1の延伸前厚みをd1、第2の層2の延伸前厚みをd2とする。なお、図中、第1の層1が紙面下方、第2の層2が紙面上方に位置しているが、積層体10に上下の区別は存在しない。第2の層2は、ミクロボイド形成層とも指称することができ、第1の層1は、支持層とも指称することができる。
第2の層2は熱可塑性樹脂から構成される。第2の層2を構成する熱可塑性樹脂は、後述する第1の層1を構成する熱可塑性樹脂とは異なっており、第1の層1を構成する樹脂と比較して、延伸しにくい樹脂である。第2の層2を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、高圧法によりエチレンをラジカル重合することにより製造されるポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンが挙げられるが、これには限定されない。あるいは、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂は低分子量かつメルトフローレートが大きい、伸びの小さいポリプロピレンであってもよい。また、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂は、上記のように延伸しにくい特性を有する、異なる種類の複数のポリエチレンの混合物や、異なる種類の複数のポリプロピレンの混合物であってもよい。
第2の層2を構成する熱可塑性樹脂がポリエチレンの場合には、メルトフローレートが、0.1〜10.0g/10minの範囲の熱可塑性樹脂であることが好ましく、0.3〜5.0g/10minの範囲であることがより好ましく、0.3〜3.0g/10minの範囲であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、第2の層を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレートをMFR2と略記する。第2の層2を構成する熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合には、メルトフローレートが、30〜50g/10minの範囲であることが好ましい。
第1の層1は、熱可塑性樹脂から構成される。第1の層1を構成する熱可塑性樹脂は、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂とは異なっており、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂と比較して、延伸しやすい樹脂である。第1の層1を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、触媒法により製造されるポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられるが、これらには限定されない。また、第1の層1を構成する熱可塑性樹脂は、前記第2の層2を構成しうる伸びの小さいポリプロピレンと比較して、メルトフローレートが小さい、伸びの大きいポリプロピレンであってもよい。あるいは、第1の層1を構成する熱可塑性樹脂は、上記のように延伸しやすい特性を有する、異なる種類の複数のポリエチレンの混合物や、異なる種類の複数のポリプロピレンの混合物であってもよい。
また、第1の層1を構成する熱可塑性樹脂は、メルトフローレートが、0.1〜10.0g/10minであることが好ましく、0.3〜5.0g/10minであることがより好ましく、0.5〜3.0であることがさらに好ましい。本明細書において、第1の層1を構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレートをMFR1と略記する。
第1の層1を構成する熱可塑性樹脂と、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂とは、延伸性について上記の相対的な関係を有するのに加え、上記MFR2とMFR1との比率であるMFR2/MFR1が、0.1〜5.0であることが好ましく、0.3〜4.0であることがさらに好ましい。第1の層1と第2の層2のMFRの比率を上記範囲とすることで、第1の層1にミクロボイドを発生させることなく、第2の層2のみにミクロボイドを発生させることができるためである。
第1工程で得る積層体10において、第1の層1の延伸前厚みd1と第2の層2の延伸前厚みd2は、その比率d2/d1が、0.2〜2.0であることが好ましく、0.25〜1.0であることがさらに好ましい。第1の層1の延伸前厚みと第2の層2の延伸前厚みとの比をこの範囲とすることで、他の条件と相まって、第2の層2に連続的かつ安定にミクロボイドを発生させることができるためである。
積層体10は、少なくとも、第1の層1と、第2の層2との二層構造を備えればよいが、任意選択的に、第1の層1と第2の層2との間に、さらなる追加の層を備えてもよい。例えば、三層構造であっても良く、四層、五層、六層あるいはそれ以上の層を備える構造であっても良い。この場合、さらなる追加の層は、それぞれ、上記第1の層1と同様の条件を満たす熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。そして、各追加の層は、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂との関係で、第1の層1について定義したのと同様の上記のMFR比率を有することが好ましい。また、さらなる追加の層を備える場合には、第2の層2の厚みと、第1の層1及び追加の層の総厚みとの比率が、上記範囲となる層構成を備えることが好ましい。
積層体10において、第1の層1及び第2の層2を構成する熱可塑性樹脂は、上記のポリエチレンやポリプロピレンなどの高分子化合物のみから構成されるものであってもよい。あるいは、これらに加えて、任意選択的な添加剤を加えてもよい。第2の層2を構成する熱可塑性樹脂に添加する添加剤としては、好ましくは、ミクロボイドの発生を促進する造核剤を用いることができる。造核剤に加えて、第1の層1及び/または第2の層2に所望の機能的特性を付加する添加剤を加えることもできる。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられるが、これらには限定されない。上記熱可塑性樹脂の機能を本発明の目的に照らして損なわない範囲で任意の添加剤を用いることができる。
好ましい添加剤である造核剤は、熱可塑性樹脂の結晶化を促進し、次工程で延伸した際に、ミクロボイドを発生させやすくする。造核剤としては、例えば、タルク、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ポリビニルシクロアルカン、安息香酸ナトリウム、アルミニウムジベンゾエート、カリウムベンゾエート、リチウムベンゾエートなどのカルボン酸金属塩、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等から選択される1種あるいは2種以上を用いることができるが、これらには限定されない。造核剤は、特には、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合に好ましく用いられる。造核剤の添加量は、第2の層2を構成する熱可塑性樹脂の質量を100質量部としたときに、例えば、0.1〜10質量部とすることができる。
添加剤の一例である酸化防止剤は、各層の耐候性向上の目的で用いることができる。酸化防止剤は、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、あるいはこれらを組み合わせて用いることができるが、これらには限定されない。リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等を例示することができる。また、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート))メタン等を例示することができる。
酸化防止剤の添加量は、各層を構成する熱可塑性樹脂の質量を100質量部としたときに、例えば、0.1〜10質量部とすることができる。なお、二種類以上の酸化防止剤を使用する場合には、総量が上記質量部となるようにすることができる。酸化防止剤の種類及び/または添加量は、各層とも同一でもよいし、異なっていてもよい。
添加剤の一例である紫外線吸収剤もまた、各層の耐候性向上の目的で用いることができる。紫外線吸収剤としては、トリアジン系あるいはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤の添加量は、各層を構成する熱可塑性樹脂の質量を100質量部としたときに、例えば、0.1〜10質量部とすることができる。紫外線吸収剤の種類及び/または添加量は、各層とも同一でもよいし、異なっていてもよい。
添加剤の一例である光安定剤もまた、各層の耐候性向上の目的で用いることができる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤を用いることができる。ヒンダードアミン系安定剤としては、BASF社製チヌビン326、キマソーブ944LD等を例示することができる。光安定剤の添加量は、各層を構成する熱可塑性樹脂の質量を100質量部としたときに、例えば、0.1〜10質量部とすることができる。光安定剤の種類及び/または添加量は、各層とも同一でもよいし、異なっていてもよい。
これらの添加剤は、一種類のみを使用することもできるし、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
積層体を得る工程に先だって、各層を構成する熱可塑性樹脂を上記のように決定し、各層の樹脂材料を混練して適宜調製する。積層体を得る工程は、多層インフレーション法や多層Tダイ法、環状ダイ法といった溶融押出成形法等により実施することができる。しかし、上記の層構成を備える積層体が得られるのであれば、特定の方法には限定されない。
(2)延伸、ミクロボイド発生工程
第2工程である延伸することによりミクロボイドを発生させる工程は、第1工程で得られた前記積層体10を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層2にミクロボイドを発生させる工程である。
第2工程である延伸することによりミクロボイドを発生させる工程は、第1工程で得られた前記積層体10を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層2にミクロボイドを発生させる工程である。
延伸工程においては、縦方向の延伸でもよく、横方向の延伸でもよい。なお、縦方向とは、フィルムの長手方向をいい、あるいは、機械方向、供給方向ともいう。一方、横方向とは、フィルムの幅方向をいい、縦方向と直交する方向をいう。いずれの方向に延伸する場合であっても、延伸倍率を、4〜15倍とすることが好ましく、6〜12倍とすることがより好ましい。縦方向もしくは横方向の延伸倍率をこの範囲とすることで、延伸切れを発生させることなく、第2の層2にミクロボイドを発生させ、第1の層1にはミクロボイドを発生させない多層延伸熱可塑性フィルムが得られるためである。
縦方向に一軸延伸する工程は、用いる熱可塑性樹脂のMFRにもよるが、60〜110℃、好ましくは、80〜100℃で、複数の延伸ロール間の周速の差を用いて、上記所定の倍率に延伸する方法によって実施することができる。延伸は、延伸むらを防止する観点から、多段で行うことが好ましい。縦方向への一軸延伸は、一般的に好ましく用いられる。横方向に一軸延伸する工程は、テンター延伸機あるいはプーリー延伸機といった延伸機を用いて、上記と同様の温度条件で、上記所定の倍率に延伸する方法によって実施することができる。横方向への一軸延伸は、後述する網状体の製造において、網状フィルム(スリットウェブ)を製造する場合に好ましく用いられる。
本発明においては、延伸工程後に、エンボスロール等により粗面加工を行う工程や別の層を設ける工程などの、別工程を含まないことが好ましい。本発明においては、このようなさらなる工程を含むことなく、多層延伸熱可塑性フィルムの表面光沢を抑えることができるためである。
このようにして得られた多層延伸熱可塑性樹脂フィルムは、第2の層2にミクロボイドが発生している。本発明において、ミクロボイドとは、約400nm〜約700nmの範囲の波長を有する可視光を散乱させるのに十分なボイドである。ただし、本発明において、典型的には、ミクロボイドは、上記製造方法により得られるものであればよく、ミクロボイドの存在は、個々のボイドの径や、層中のボイドの密度により特定されるものではない。延伸後の多層延伸熱可塑性樹脂フィルムにおいて、顕微鏡等を用いて、目視でボイドの存在が確認されるものであればよい。
ある実施形態においては、延伸後の多層延伸熱可塑性樹脂フィルムにおけるミクロボイドの発生は、光学的特性により評価することができる。例えば、上記製造方法により得られた延伸後の多層延伸熱可塑性樹脂フィルムについて、JIS K7105:1981に準拠して測定したヘイズ値が、70%以上であることが好ましい。かかるヘイズ値は、積層体を構成する樹脂に隠蔽剤や着色剤を用いることなく得られた結果である。ヘイズ値が、70%以上であると、特に、過度に外部から見えることを志向しない内容物の包装用途において好適でありうる。なお、ヘイズ値がかかる数値範囲になくても、ミクロボイドの発生は目視により確認できるものである。
別の実施形態においては、上記製造方法により得られた延伸後の多層延伸熱可塑性樹脂フィルムについて、JIS Z8741:1997に準拠して、第2の層2に対する入射角が20°にて測定した光沢度が10%以下であることが好ましい。かかる光沢度も、積層体を構成する樹脂に隠蔽剤や着色剤を用いることなく得られた結果である。入射角が20°における光沢度が10%以下であると、特に、光沢による包装材料自体の存在感を抑えることを志向する内容物の包装用途において好適でありうる。なお、光沢度がかかる数値範囲になくても、ミクロボイドの発生は目視により確認できるものである。
ヘイズ値、光沢度の両者が、上記数値範囲を満たす場合もあり、この場合は、特に包装材料自体の光沢を抑制しつつ適度に外部から隠蔽することを志向する内容物の包装用途において好適でありうる。
一方、このような多層延伸熱可塑性樹脂フィルムにおいて、第1の層1には、ミクロボイドが発生していない。第1の層1にミクロボイドが発生していないことは、例えば、顕微鏡による観察などにより、目視で確認することができる。なお、第2の層2の内側に2種以上のさらなる追加の層を備える、四層以上の構成を備えるフィルムにおいては、第1の層1以外の層にはミクロボイドが発生していないことが好ましいが、このような態様には限定されない。少なくとも第1の層1にミクロボイドが発生していなければよく、さらなる追加の層のいずれかにミクロボイドが発生していていても良い。このような、ミクロボイドを発生しない第1の層1の存在により、多層延伸熱可塑性樹脂フィルム全体としての強度を保つことができる。
また、本実施形態により得られる多層延伸熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、延伸後の全体の厚みが、10〜80μm程度であり、第2の層2の厚みが、3〜8μmであるが、この範囲には限定されない。
本実施形態により製造された多層延伸熱可塑性樹脂フィルムは、少ない層構成でも有効に光沢を抑制し、かつ、必要な強度を備えたフィルムとなっており、単独で一般包装材料や食品包装材料に好ましく用いられる。その他、任意選択的に、他のフィルムと貼り合わせて用いることができる。
[第2実施形態:多層延伸熱可塑性フィルム(三層)の製造方法]
本発明は、第2実施形態によれば、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法に関する。当該製造方法は、第1の層の両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程とを含む。
本発明は、第2実施形態によれば、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法に関する。当該製造方法は、第1の層の両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程と、前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程とを含む。
(1)積層体を得る工程
本実施形態の第1工程においては、第1の層の両面側に第2の層を少なくとも含んでなる積層体を得る。図2に、第1工程で製造する積層体の断面の概念図を示す。図2において、第2の層2a、第1の層1、第2の層2bが順に積層され、積層体11を構成している。第2の層2aの延伸前厚みをd2a、第1の層1の延伸前厚みをd1、第2の層2bの延伸前厚みをd2bとする。なお、図2中、第2の層2aが紙面上方、第2の層2bが紙面下方に位置しているが、積層体11に上下の区別は存在しない。第2の層2a、2bは、ミクロボイド形成層とも指称することができ、第1の層1は、支持層とも指称することができる。
本実施形態の第1工程においては、第1の層の両面側に第2の層を少なくとも含んでなる積層体を得る。図2に、第1工程で製造する積層体の断面の概念図を示す。図2において、第2の層2a、第1の層1、第2の層2bが順に積層され、積層体11を構成している。第2の層2aの延伸前厚みをd2a、第1の層1の延伸前厚みをd1、第2の層2bの延伸前厚みをd2bとする。なお、図2中、第2の層2aが紙面上方、第2の層2bが紙面下方に位置しているが、積層体11に上下の区別は存在しない。第2の層2a、2bは、ミクロボイド形成層とも指称することができ、第1の層1は、支持層とも指称することができる。
積層体11は、第1実施形態と同様の構成を有する第1の層1及び第2の層2aに対し、さらに、第1の層1の反対側表面に、第2の層2bが形成された構成である。したがって、図2における、第1の層1及び第2の層2aが、第1実施形態における第1の層1及び第2の層2にそれぞれ対応するものとして、それらの層を構成する樹脂特性、層厚み、および相対的な特性についての説明を省略する。少なくとも第2の層2aが、これらの特性及び第1の層1との相対的な特性を備えることで、少なくとも第2の層2aにミクロボイドを発生させることができる。
第2の層2bは、熱可塑性樹脂からなる。第2の層2bを構成する熱可塑性樹脂は、第2の層2aを構成する熱可塑性樹脂と、同一であっても異なっても良い。第2の層2bを構成する熱可塑性樹脂が、第2の層2aを構成する熱可塑性樹脂と異なる場合であっても、第1実施形態の第2の層2について説明したとおりの、特性、種類、メルトフローレート、第1の層1との相対的特性を備えることが好ましい。また、第1実施形態の第2の層2について説明したのと同様に、第2の層2bの延伸前層厚みd2bと、第1の層1の延伸前層厚みd1との比d2b/d1が、0.2〜2.0であることが好ましく、0.25〜1.0であることがさらに好ましい。これらの特性を備えることで、表面層である第2の層2a、2bの両方にミクロボイドを発生させることができるためである。
第2の層2b構成する熱可塑性樹脂にはまた、造核剤や添加剤を含むことができ、それらの種類及び/または添加量は、第1の層や、第2の層2aと、同一でもよいし、異なっていてもよい。
積層体11は、少なくとも三層構造を備えればよく、任意選択的に、第2の層2a、2bよりも内側にさらなる追加の層を備えてもよい。例えば、四層構造であっても良く、五層、六層あるいはそれ以上の層を備える構造であっても良い。この場合も、第2の層よりも内側に位置するさらなる追加の層は、それぞれ、上記第1の層の条件を満たす熱可塑性樹脂から構成される。そして、各追加の層は、第2の層2a、2bを構成する熱可塑性樹脂との関係で、第1の層について定義したのと同様の上記のMFR比率を有することが好ましい。また、さらなる追加の層を備える場合には、第2の層2a、2bの厚みと、追加の層及び第1の層1の総厚みとの比率が、上記範囲となる層構成を備えることが好ましい。
(2)延伸、ミクロボイド発生工程
第2工程である延伸することによりミクロボイドを発生させる工程は、第1工程で得られた前記積層体11を少なくとも一軸方向に延伸することにより、第2の層2a、2bにミクロボイドを発生させる工程である。かかる工程は、第1実施形態の第2工程と同様に実施することができる。
第2工程である延伸することによりミクロボイドを発生させる工程は、第1工程で得られた前記積層体11を少なくとも一軸方向に延伸することにより、第2の層2a、2bにミクロボイドを発生させる工程である。かかる工程は、第1実施形態の第2工程と同様に実施することができる。
第2実施形態の典型的な実施態様においては、第1の層1の両面に設けられた2つの第2の層2a、2bは、同一の熱可塑性樹脂から構成され、その延伸前厚みd2aとd2bが同一である。そしてこの場合、2つの第2の層2a、2bにミクロボイドを形成することができる。
第2実施形態による多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法により製造された、少なくとも三層を含んでなる多層延伸熱可塑性フィルムもまた、ヘイズ値が、70%以上であることが好ましく、及び/または、光沢度が10%以下であることが好ましい。これらの測定方法については、第1実施形態において説明したとおりである。第2実施形態による多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法によれば、2つの第2の層2a、2bの両方にミクロボイドを発生させる構成においては特に、フィルムの隠蔽性が高まる。例えば、測定可能な光学特性に関しては、第1実施形態による方法で製造された多層延伸熱可塑性フィルムよりも、ヘイズ値をさらに大きくすることが可能でありうる。
このような少なくとも三層を含んでなる多層延伸熱可塑性フィルムは、上記実施形態による製造方法により製造されたものをそのまま用いることができる他、別の工程を含んで加工することにより、後述する第3実施形態による網状体の製造方法において好適に用いることができる。網状体の製造方法において好適に用いられる多層延伸熱可塑性フィルムとしては、割繊維フィルム、網状フィルムがある。また、長手方向に延伸された多層延伸テープの形態にある多層延伸熱可塑性フィルムも網状体の製造方法において好適に用いられる。
割繊維フィルムの製造方法は、上記積層体を得る工程、縦方向に一軸延伸することによりミクロボイドを発生させる工程に次いで、延伸することによりミクロボイドが発生したフィルムを、割繊し、拡幅する工程をさらに含む。具体的には、一軸配向多層延伸熱可塑性フィルムに、縦方向に千鳥掛けに、スプリッターを用いて割繊(スプリット処理)するか、または熱刃によりスリット処理を施して多数の平行なスリットを形成する。そして、スリットを形成したフィルムを、スリットの方向と直交する方向に拡幅する。これにより、互いに並行に延びる幹線維と、幹繊維に対して交差して延び、隣接する幹繊維同士を繋ぐ枝繊維とを備え、幹繊維がほぼ縦方向に配列された割繊維フィルムが得られる。縦方向に割繊したフィルムを、スプリットウェブとも指称する。
一方、網状フィルムの製造方法は、上記積層体を得る工程の後であって、延伸することによりミクロボイドを発生させる工程の前に、横方向にスリットを形成する工程をさらに含む。具体的には、積層体を得る工程により得られた積層体11、つまりは延伸およびミクロボイド発生工程に供する前のフィルムに、横方向、すなわちフィルムの供給方向とは直角の方向に、千鳥掛けにスリット処理を施して多数の平行なスリットを形成する。その後、前記スリットを形成したフィルムを横方向に延伸することにより、菱形の網目が形成されたフィルムを得るとともに、表層にミクロボイドを発生させることができる。この際の延伸倍率は、第1実施形態の、延伸、ミクロボイド発生工程において説明した倍率と同様であってよい。このように、横方向にスリットを形成した網状フィルムをスリットウェブとも指称する。
さらに、長手方向に延伸された多層延伸テープは、第2実施形態において、上記積層体を得る工程の後であって、延伸することによりミクロボイドを発生させる工程の前のフィルムを一定幅に裁断し、その後、裁断方向に平行に延伸することにより得ることができる。あるいは、長手方向に延伸された多層延伸テープは、延伸することによりミクロボイドを発生させる工程を経たフィルムを、延伸方向に平行に裁断することにより得ることができる。
[第3実施形態:網状体の製造方法]
本発明は、第3実施形態によれば、網状体の製造方法である。網状体には複数の態様があるため、態様ごとに説明する。
本発明は、第3実施形態によれば、網状体の製造方法である。網状体には複数の態様があるため、態様ごとに説明する。
第1態様による網状体の製造方法は、第2実施形態に記載の方法により割繊維フィルムを製造する第1工程と、前記割繊維フィルムを、配向軸が互いに交差するように経緯積層し、隣接する前記割繊維フィルムの接触部位同士を面接着させて網状体を形成する第2工程とを含む。
第1工程については、第2実施形態において説明した、縦方向に一軸延伸した多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法、特には割繊維フィルム(スプリットウェブ)の製造方法のとおりに実施することができ、ここでは説明を省略する。
第2工程では、第1工程で得られた割繊維フィルムを、配向軸が互いに交差するように、すなわち幹繊維が互いに交差するように、好ましくは直交するように、2枚重ね合せ、これを加熱して溶着する。この際、2枚のうち一方の割繊維フィルムは、第1工程と連続して、インラインで、機械方向にそのまま供給することができる。他方の割繊維フィルムは、第1工程で製造されたものを、インラインで供給される割繊維フィルムの幅と同じ長さに切断してタイル状として間欠的に供給して、重ね合わせる。熱溶着に際しては、重ね合わせた2枚の一軸延伸割繊維フィルムを、対向配置された一対の加熱シリンダ間に供給し、幅方向の収縮が生じないように固定しながら、しかも第2の層2a、2bの延伸効果が失われないように、第1の層1を構成する熱可塑性樹脂の融点以下で、かつ第2の層2a、2bを構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱溶着を行う。これにより、網状体を得ることができる。
第2態様による網状体の製造方法は、第2実施形態に記載の方法により割繊維フィルムを製造する第1工程と、第2実施形態に記載の方法により網状フィルムを製造する第2工程と、第1工程で得られた割繊維フィルムと、第2工程で得られた網状フィルムとを、積層し、接着する第3工程とを含む。
第1工程については、第2実施形態において説明した、縦方向に一軸延伸した多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法、特には割繊維フィルム(スプリットウェブ)の製造方法のとおりに実施することができる。また、第2工程については、第2実施形態において説明した、横方向に一軸延伸した多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法、特には網状フィルム(スリットウェブ)の製造方法のとおりに実施することができる。
第3工程では、第1工程で得られた割繊維フィルムと、第2工程で得られた網状フィルムとを、供給方向に重ね合わせる。これにより、割繊維フィルムと、網状フィルムとを各々の配向軸(延伸方向)が交差するように積層される。これらを、上記と同様にして熱溶着させることで網状体を得ることができる。
第3態様による網状体の製造方法は、第2実施形態に記載の方法により一軸延伸多層熱可塑性フィルムを製造する第1工程と、得られた一軸延伸多層熱可塑性フィルムを延伸方向に沿って裁断して、一軸延伸多層テープを製造する第2工程と、前記一軸延伸多層テープを、配向軸が互いに交差するように、好ましくは直交するように積層し、もしくは織成し、隣接する一軸延伸多層テープの接触部位同士を面接着させて網状体を形成する第3工程とを含む。
第1工程については、第2実施形態において説明した、長手方向に一軸延伸した多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法のとおりに実施することができる。第2工程では、一軸延伸多層熱可塑性フィルムを、延伸方向に沿って、例えば、2mm〜7mmの一定幅で裁断し、長手方向に一軸延伸された多層テープを製造する。長手方向に一軸延伸された多層テープは、別の実施形態によれば、第2実施形態において説明した方法において、積層体を製造する工程の後、延伸することによりミクロボイドを発生させる工程の前に、2mm〜7mmの一定幅で裁断し、ミクロボイドを発生させる工程おいて、裁断方向に沿って、延伸することによって製造することもできる。第3工程では、これらのテープを配向軸(延伸方向)が互いに交差するように組合せる。好ましくは経緯組合せる。すなわち、複数の長手方向に一軸延伸された多層テープを一定の間隔をあけて平行に並べ、それを一軸延伸多層テープの長手方向が概ね直交するように積層して、上記と同様にして熱溶着させることで、不織布からなる網状体を得ることができる。あるいは、この一軸延伸多層テープを配向軸(延伸方向)が互いに交差するように、好ましくは縦横に織成して、上記と同様にして熱溶着させることで、織布からなる網状体を得ることができる。
第3実施形態による製造方法により得られた網状体は、第1〜第3のいずれの態様であっても、従来技術による網状体と比較して、表面光沢が抑えられているといった利点がある。このような網状体は、一般包装材料や食品包装材料に有効に使用することができる。
以下に本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。以下の実施例は本発明を例示する目的であって、本発明を限定するものではない。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態にしたがって、多層延伸熱可塑性フィルムを製造した。具体的には、下記の表1に示す樹脂材料をそれぞれ、第1の層、第2の層として用い、表1に示す層厚さで積層し、二層構造もしくは三層構造の積層体を製造した。積層体の製造は、Tダイ法により実施した。なお、表1に示す各層の厚さは、延伸前の厚さである。
積層体を、表2に記載の延伸倍率により、縦方向に一軸延伸して、多層延伸熱可塑性フィルムを製造した。延伸時の温度条件は、いずれも、95℃とした。次いで、製造した多層延伸フィルムの光学特性を測定した。ヘイズは、JIS K7105:1981に準拠して測定した。光沢度は、JIS Z8741:1997に準拠して入射角が20°にて測定した。光沢度の測定において、実施例1〜4については、表面層側から光を照射した。結果を、表2に示す。
本発明に係る多層延伸熱可塑性フィルムは、一般包装材料や食品包装材料として有用である。
1 第1の層
2、2a、2b 第2の層
10 積層体
11 積層体
2、2a、2b 第2の層
10 積層体
11 積層体
Claims (6)
- 第1の層の片面側または両面側に第2の層を含んでなる積層体を得る工程であって、前記第2の層が前記第1の層と異なる熱可塑性樹脂からなる工程と、
前記積層体を少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記第2の層にミクロボイドを発生させる工程と
を含む、多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法。 - 前記第2の層に使用される熱可塑性樹脂のメルトフローレートの、前記第1の層に使用される熱可塑性樹脂のメルトフローレートに対する比が、0.1〜5.0であり、
前記第2の層の厚みの、前記第1の層の厚みに対する比が、0.2〜2.0であり、
前記一軸方向の延伸倍率が、4〜15倍である、請求項1に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法。 - 前記ミクロボイドを発生させる工程により、ヘイズが70%以上となるように延伸されている、請求項1または2に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法。
- 前記ミクロボイドを発生させる工程により、前記第2の層に対する入射角20°における光沢度が、10%以下となるように延伸されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法。
- 少なくとも2つのフィルムを配向軸が互いに交差するように積層し、隣接する前記フィルムの接触部位同士を面接着させてなる網状体であって、
前記2つのフィルムの一方が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を機械方向に一軸延伸する工程を含み、前記ミクロボイドを発生させる工程の後、前記多層延伸熱可塑性フィルムを割繊し、拡幅する工程をさらに含む方法により得られる割繊維フィルムであり、
前記2つのフィルムの他方が、前記割繊維フィルム、または、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記積層体を得る工程の後であって、前記ミクロボイドを発生させる工程の前に、前記積層体に幅方向にスリットを形成する工程をさらに含み、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を幅方向に一軸延伸する工程を含む方法により得られる網状フィルムである、網状体。 - 一軸延伸多層テープを、配向軸が互いに交差するように積層し、もしくは織成してなり、隣接する一軸延伸多層テープの接触部位同士を面接着させて形成された面接着部を備える網状体であって、
前記一軸延伸多層テープが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法の、前記ミクロボイドを発生させる工程において、前記積層体を一軸延伸する工程を含み、前記ミクロボイドを発生させる工程の前もしくは後に、前記多層熱可塑性フィルムを前記延伸方向に平行に一定幅に裁断する工程を含む方法により得られる、網状体。
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JP2014167679A JP2016043513A (ja) | 2014-08-20 | 2014-08-20 | 多層延伸熱可塑性フィルムの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023060108A1 (en) * | 2021-10-07 | 2023-04-13 | Atieva, Inc. | Vehicle air duct with fiber-film laminate |
-
2014
- 2014-08-20 JP JP2014167679A patent/JP2016043513A/ja active Pending
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