JP2016041784A - ガス化炉 - Google Patents

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【課題】旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナにおいて、バーナ出口の閉塞を防止できるとともに、ガス化性能の向上に有効なガス化バーナを備えたガス化炉を提供する。
【解決手段】高温ガスGの旋回流場に対して炉壁面の周方向に設けた1または複数のガス化バーナ10から原料を吹き込んでガス化を行うリダクタ(ガス化炉)3であって、ガス化バーナ10は、ガス化バーナ10を設置する炉断面の直径(R)を基準にして炉軸Cfを中心に描かれる0〜0.8Rの仮想円に接するとともに、高温ガスGの旋回流と同方向に傾斜させた向きに設置され、ガス化バーナ10から吹き出される原料流速(V)は、炉軸Cfの中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)が、高温ガスGの軸方向平均流速(Vz)を基準にして0.5倍以上5倍以下の範囲内に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体または液体の原料をガス化するガス化バーナを備えたガス化炉に係り、特に、原料を高温ガスの旋回流場に投入してガス化するガス化バーナを備えたガス化炉に関する。
従来、固体または液体の原料をガス化するガス化炉として、原料を高温ガスの旋回流場に吹き込んでガス化するガス化炉が知られている。
図5に示すガス化炉1は、原料を高温ガスの旋回流場に吹き込んでガス化する2段2室ガス化炉の一例である。このような2段2室のガス化炉1は、コンバスタ2と呼ばれる1段1室目の炉に原料及びガス化剤を投入し、さらに、リダクタ3と呼ばれる2段2室目の炉に原料を投入して合成ガスを得るものである。すなわち、下段のコンバスタ2は、原料を燃焼させて高温ガスを得る1段目のバーナ群及び1室目の空間であり、上段のリダクタ3は、コンバスタ2で得た高温ガス(含むCO,HO)と原料とを反応させて合成ガス(CO,H,その他炭化水素等を含んだ燃料または原料となるガス)を得る2段目のバーナ群(または原料供給管)及び2室目の空間である。
上述したリダクタ3のバーナ群は、コンバスタ2から流入してくる高温ガスの旋回流場に原料を投入する複数のガス化バーナ10、あるいは原料供給管により構成されている。
このようなガス化バーナ10については、例えば下記の特許文献1に開示されているように、周方向において4個の上段バーナを炉軸中心方向に向けて対向配置することが記載されている。
また、下記の特許文献2には、混合性に着目した改質石炭吹き込みノズルの設置方法として、高温ガスの旋回流場と逆方向に向けることが開示されている。
特開平8−73869号公報 特開2014−62197号公報
ところで、上述した旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナ10は、原料の投入方向によって閉塞に至ることが懸念されている。なお、以下ではガス化バーナ10について説明するが、原料供給管の場合も同様である。
ガス化バーナ10の閉塞は、例えば図6(a)に示すように、コンバスタ2からリダクタ3に旋回成分を持ったガス流が流れ込む場合において、リダクタ3に設置されたガス化バーナ10が高温ガスGの旋回方向(図中の白抜矢印Gを参照)と対向する逆向きに取り付けられている場合に生じやすい。すなわち、リダクタ3のガス化バーナ10が、旋回流場の旋回方向へ向けてバーナ出口10aを開口するように傾斜して取り付けられている場合には、コンバスタ2で供給された原料の残渣、または残渣の溶融物(例えば溶融灰)がガス化バーナノズル10へ向けて吹き込むので、これらの閉塞物質Nがバーナ出口10aの周辺に付着して閉塞につながることとなる。
また、ガス化バーナ10の閉塞は、例えば図6(b)に示すように、リダクタ3に設置されたガス化バーナ10が、炉内を流れる高温ガスGの軸方向流れ(図中の白抜矢印Gを参照)と逆向きに傾いている場合にも同様の理由で生じやすい。すなわち、ガス化バーナ10が、軸方向上向きの流れに向けてバーナ出口10aを開口するよう下向きに傾斜して取り付けられている場合にも、閉塞物質Nがバーナ出口10aの周辺に付着して閉塞につながる。
一方、リダクタ3のように旋回成分を持ったガス流に対してガス化バーナ10から原料を吹き込む際、旋回流の主流はリダクタ3の炉外側を通る。このため、例えば図7(a)に示すように、ガス化バーナ10の噴流がリダクタ3の炉中心に到達するほどの高流速で原料Mを吹き込むと、高温ガスGの主流(旋回流)から離れた位置まで投入された原料Mは、高温ガスGとの混合が十分にできなくなる。このような混合性の悪化は、ガス化反応性を悪化させる原因となるので、リダクタ3のガス化性能向上にとって好ましくない。
また、図7(b)に示すように、ガス化バーナ10が炉内の軸方向流れ(図中の白抜矢印Gを参照)と順方向の上向きに傾いていると、原料Mと高温ガスGとの混合位置が炉内上方の後流側へ移動することになることから、反応時間が延びてリダクタ3のガス化性能を悪化させることとなる。
このような背景から、上述したリダクタ3のように、旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナ10は、バーナ出口10aの閉塞を防止でき、しかも、ガス化性能に悪影響を及ぼすことのない配置の最適化が望まれる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナにおいて、バーナ出口の閉塞を防止でき、しかも、ガス化性能の向上に有効な配置のガス化バーナを備えたガス化炉を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るガス化炉は、高温ガスの旋回流場に対して炉壁面の周方向に設けた1または複数の原料供給部から原料を吹き込んでガス化を行うガス化炉であって、前記原料供給部は、前記原料供給部を設置する炉断面の直径(R)を基準にして炉軸を中心に描かれる0〜0.8Rの仮想円に接するとともに、前記高温ガスの旋回流と同方向に傾斜させた向きに設置され、前記原料供給部から吹き出される原料流速(V)は、炉軸中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)が、前記高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして0.5倍以上5倍以下の範囲内に設定されることを特徴とするものである。
このような本発明のガス化炉において、原料供給部は、原料供給部を設置する炉断面の直径(R)を基準にして炉軸を中心に描かれる直径が0〜0.8Rの仮想円に接するとともに、高温ガスの旋回流の流れ方向と同方向に傾斜させた向きに設置されているので、旋回流と共に流入してくる原料の残渣や残渣の溶融物が原料供給部の出口開口へ向けて吹き込むことはなく、従って、これらの閉塞物質が出口開口周辺に付着して閉塞に至ることもない。
なお、直径が0Rの仮想円は、原料供給部が炉軸中心方向を向くように設置された場合であり、例えば周方向に90度ピッチで4つの原料供給部を配置すれば、出口開口どうしが同一直線上で対向する位置にある垂直配置となる。
また、原料供給部から吹き出される原料流速(V)は、炉軸中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)が、高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして0.5倍以上5倍以下の範囲内に設定されるので、炉内に投入された原料が炉軸中心方向へ向かう流速の速度成分(Vr)を抑制し、炉中心に到達するような高流速になることを防止できる。このため、高温ガスと原料との混合性を確保することができ、この結果、良好なガス化性能を得ることが可能になる。
この場合、原料供給部を旋回流と同方向(旋回方向)に傾斜させた向きに設置すると、原料流速(V)を流路内で閉塞しにくい大きな値にしても、混合性に影響を及ぼす速度成分(Vr)を小さくすることができる。従って、垂直配置と比較すれば、原料流速(V)を大きな値に設定することが可能になる。
上記の発明において、より好適な前記速度成分(Vr)は、前記高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして、1倍以上3倍以下の範囲内に設定されており、この結果、より一層良好なガス化性能を得ることができる。
上記の発明において、前記原料供給部は、水平からの上下方向傾斜角度が±30度の範囲内に設定されていることが好ましい。このような上下方向傾斜角度であれば、上下方向の傾きに依存する反応性の悪化や、閉塞物質による原料搬送部の閉塞を防止または抑制できる。
上記の発明において、前記原料供給部の流路断面積(Sa)は、原料供給部まで原料を搬送する搬送部(配管流路)の流路断面積(Sb)より大(Sa>Sb)であることが好ましく、これにより、搬送部の流速を速くして原料の滞留による流路閉塞を防ぐことができる。さらに、原料供給部の流路断面積を拡大して流速を低下させているので、高温ガスと原料との混合性を確保することができる。
この場合、前記搬送部から前記原料供給部へ流路断面積を増す位置に、開閉弁を備えたパージガス供給流路を連結して設けることが好ましく、これにより、流路断面積の拡大により流速の低下した原料供給部に原料が滞留しても、パージガスを供給することで瞬間的に流速を上げることができるので、原料供給部に原料が滞留して生じる流路閉塞を防止できる。
上述した本発明によれば、旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナを備えたガス化炉において、バーナ出口が旋回流に含まれる閉塞物質(原料の残渣や残渣の溶融物)によって閉塞されることや、原料を搬送ずる流路等に原料が滞留して閉塞されることを防止できるので、安定したガス化炉の運転が可能になる。
また、上述した本発明によれば、ガス化炉内に投入された原料が炉軸中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)を最適化できるので、高温ガスと原料との良好な混合性を確保してガス化性能を向上させることが可能になる。
本発明に係るガス化炉の一実施形態を示す断面図(図2のA−A断面)であり、(a)はガス化バーナ(原料供給部)の出口開口を対向させて設置した場合の閉塞防止を説明する図、(b)はガス化バーナを旋回方向へ傾斜させて設置した場合の閉塞防止を説明する図、(c)はガス化バーナの出口開口を対向させて設置した場合の反応性を説明する図、(d)はガス化バーナを旋回方向へ傾斜させて設置した場合の反応性を説明する図である。 本発明に係るガス化炉の一実施形態として、下段から流入した高温ガスの旋回流場に原料を投入してガス化する2段2室ガス化炉の構成例を示す断面図である。 本発明に係るガス化炉の他の実施形態を示す図で、(a)は図1(b)のガス化バーナを上下方向に傾斜設置した場合の閉塞防止を説明する図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は図1(b)のガス化バーナを上下方向に傾斜設置した場合の反応性を説明する図、(d)は(c)のB−B断面図である。 ガス化炉に設置されるガス化バーナの変形例を示す断面図で、(a)は原料供給部の流路断面積を搬送部(配管流路)の流路断面積より大とした構成例を示す横断面図、(b)は搬送部から原料供給部へ流路断面積を増す位置に開閉弁を備えたパージガス供給流路を連結して設けた構成例を示す横断面図である。 下段から流入した高温ガスの旋回流場に原料を投入してガス化する2段2室ガス化炉の従来例を示す断面図である。 図5のC−C断面図であり、(a)はガス化バーナの出口開口を旋回方向へ向けて設置した場合の閉塞を説明する図、(b)は(a)のD−D断面図である。 図5のC−C断面図であり、(a)はガス化バーナの出口開口を炉内の軸方向流れと順方向に傾斜させて設置した場合の反応性を説明する図、(b)は(a)のE−E断面図である。
以下、本発明に係るガス化炉の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、固体または液体の原料をガス化する2段2室のガス化炉1Aであり、原料を高温ガスの旋回流場に吹き込んでガス化するガス化炉の一例を示している。このガス化炉1Aでは、コンバスタ2と呼ばれる1段1室目の炉に原料及びガス化剤を投入して高温ガスを生成し、この高温ガスが旋回流となってリダクタ3と呼ばれる2段2室目の炉内へ流れ込む構成となっている。
上段のリダクタ3では、流入した高温ガスが形成する旋回流場に対して、炉壁面の周方向に設けた1または複数のガス化バーナ(原料供給部)10から原料を吹き込んでガス化を行うようになっている。図示の構成例では、炉壁面の周方向に90度ピッチで4個のガス化バーナ10を設置してあるが、特に限定されることはない。
本実施形態のガス化バーナ10は、図1(a),(b)に示すように、ガス化バーナ10を設置する炉断面の直径(R)を基準にして、炉軸Cfを中心に描かれる直径0〜0.8Rの仮想円20に接し、かつ、高温ガスGの旋回流(図中の白抜矢印Gを参照)の流れ方向と同方向に傾斜させた向きに設置されている。この場合、ガス化バーナ10は、炉軸Cfと直交する水平面上に設置されている。なお、炉断面が多角形の場合には、多角形に接する円の直径を炉断面の直径(R)とすればよい。
図1(a)には、仮想円20の直径Raを0Rとした場合(Ra=0R)のガス化バーナ10Aが示されている。すなわち、仮想円20の直径Raを0Rとすれば、仮想円20は存在しないことになるため、ガス化バーナ10Aは、図中の半径r方向において炉軸Cfの中心方向を向くように設置されている。従って、例えば周方向に90度ピッチで4つのガス化バーナ10Aを配置すれば、バーナ出口10aの開口どうしが同一直線上で対向する位置にある垂直配置となる。また、図中のZは炉軸Cfの鉛直方向であり、ガス化バーナ10Aのバーナ出口10aは、炉軸Cfと直交する水平面上に向けられている。
図1(b)には、仮想円20の直径Raを0〜0.8Rとした場合(0<Ra≦0.8R)のガス化バーナ10Bを示している。すなわち、ガス化バーナ10Bは、仮想円20の接線方向へ向けて傾斜させ、しかも、高温ガスの旋回流と同方向へ向けて原料を投入する傾斜配置となる。
また、ガス化バーナ10A,10Bから吹き出される原料流速(V)は、炉軸Cfの中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)が、旋回流場を形成する高温ガスの上向き速度成分である軸方向平均流速(Vz)を基準にして、0.5倍以上5倍以下の範囲内(0.5Vz≦Vr≦5Vz)に設定される。なお、軸方向平均流速(Vz)は、空塔速度とも呼ばれている。
従って、垂直配置のガス化バーナ10Aは、原料流速(V)と速度成分(Vr)とが同じであるため、原料流速(V)が0.5Vz以上5Vz以下の範囲内となるように設定すればよい。
ここで、原料流速(V)と軸方向平均流速(Vz)との関係について、軸方向流速に対する比率で制限できる理由について説明する。
リダクタ3は、炉内の旋回が流動形状相似となるように設計されるため、「軸流速:旋回流速」が一定となる。すなわち、「軸方向流速∝旋回流速」となることから、原料流速(V)と軸方向平均流速(Vz)との関係を軸方向流速に対する比率で制限することが可能になる。
この場合、高温ガスGの旋回流と同方向に傾斜させた向きに設置されているガス化バーナ10Bは、速度成分(Vr)が原料流速(V)より小さな値になる。このため、原料流速(V)を閉塞しにくい大きな値に設定しても、混合性に影響する速度成分(Vr)を上述した範囲内の値に設定することが可能になる。従って、傾斜配置のガス化バーナ10Bは、ガス化バーナ10Aのような垂直配置の場合と比較して、原料流速(V)を大きな値に設定して原料の閉塞を防止することが可能になる。
このように、本実施形態のガス化バーナ10A,10Bを備えたガス化炉1Aでは、対向する垂直配置にして、あるいは、旋回流と同方向へ傾斜させる傾斜配置にして設置されているので、ガス化バーナ10A,10Bは、旋回流と共に流入する閉塞物質(原料の残渣や残渣の溶融物)がバーナ出口10aの開口へ向けて吹き込むことを防止または抑制できる。すなわち、旋回流と逆方向へ傾斜させた配置のように、バーナ出口10aの内部に向けて閉塞物質が流入することはなくなるので、閉塞物質がバーナ出口10aの開口周辺に付着して閉塞に至ることもない。
さらに、ガス化バーナ10A,10Bから吹き出されて炉軸Cfの中心方向に向かう原料は、流速の速度成分(Vr)が0.5Vz以上5Vz以下の範囲内に抑えられるので、原料が炉中心に到達するような高流速になることを防止できる。このため、リダクタ3の炉内に投入された原料は、図1(c)及び(d)に示すように、炉中心部に到達することなく炉壁側に主流がある高温ガスGの旋回流と合流して混合される。この結果、ガス化バーナ10A,10Bから吹き出された原料は、高温ガスGの旋回流との混合性が向上するので、良好なガス化性能を得ることが可能になる。
ここで、速度成分(Vr)を0.5Vzより小さくすると原料が詰まる原因となり、反対に、速度成分(Vr)を5Vzより大きくすると混合性の確保が困難になるため、いずれの場合も好ましくない。
また、より好適な速度成分(Vr)は、高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして、1倍以上3倍以下の範囲内(1Vz≦Vr≦3Vz)である。このような流速設定にすれば、より一層良好なガス化性能を得ることができる。
ところで、上述した実施形態ではガス化バーナ10A,10Bを水平配置としたが、以下に説明する他の実施形態では、例えば図3に示すように、水平からの上下方向傾斜角度αが±30度(α=60度)の範囲内に設定された傾斜配置としてもよい。
図3(a)〜(d)に示すガス化バーナ10Cは、傾斜配置したガス化バーナ10Bをさらに上下方向にも傾斜させたものである。この場合、ガス化バーナ10Cの上下方向傾斜角度αは、閉塞防止や混合性を考慮して、水平から±30度の範囲内となっている。
このような上下方向の傾斜は、上下方向の傾きに依存する反応性の悪化や閉塞を防止または抑制できる。
すなわち、下向きに30度以下の傾斜であれば、図3(a)に示すように、閉塞物質の付着によるガス化バーナ10Cの閉塞が悪影響を受けることはほとんどない。
また、上向きに30度以下の傾斜であれば、図3(b)に示すように、原料Mとの混合位置が炉内上方へ移動することによるリダクタ3のガス化性能悪化についても、悪影響を受けることはほとんどない。
なお、このような上下方向の傾斜は、炉軸Cfに向けた垂直配置のガス化バーナ10Aに適用してもよい。
図4は、上述したガス化バーナ10の変形例として、ガス化バーナ10へ原料を搬送する搬送部である配管流路30との連結部構造を示している。
図4(a)に示すガス化バーナ10では、ガス化バーナ10の流路断面積(Sa)が、ガス化バーナ10の入口付近まで原料を搬送してくる配管流路30の流路断面積(Sb)より大(Sa>Sb)となるように設定されている。すなわち、流路断面積(Sb)の配管流路30は、ガス化バーナ10との間を連結する連結部31で拡径され、最終的に流路断面積(Sa)のガス化バーナ10に接続される。
このような連結部構造とすることにより、ガス化バーナ10から炉内へ投入される原料は、流路断面積の小さい配管流路30を上述した原料流速(V)より速い流速で流すことができる。このため、原料が失速するなどして配管流路30内に滞留し、滞留した原料が配管流路30内を閉塞させるという問題を防止できる。
また、原料を炉内へ投入する時点においては、ガス化バーナ10の流路断面積拡大により流速を所望の値まで低下させることができるので、高温ガスGと原料との混合性を十分確保することができる。
この場合、例えば図4(b)に示すように、配管流路30からガス化バーナ10へ流路断面積を増す位置の連結部31に対し、図示しないパージガス供給源に接続されたパージガス供給流路40を連結しておくことが望ましい。このパージガス供給流路40は、開閉弁41を備えている。従って、この開閉弁41を開とすることにより、必要に応じて連結部31の内部にパージガス供給することができる。
このようなパージガス供給流路40を設けると、連結部31における流路断面積の拡大により流速が低下し、連結部31やガス化バーナ10の内部に原料が滞留するようなことがあっても、パージガスを供給することで瞬間的に流速を上げることができるため、原料によるガス化バーナ10の流路閉塞を防止できる。
このように、上述した本実施形態によれば、旋回流場に原料を吹き込むガス化バーナ10を備えたガス化炉1Aにおいて、バーナ出口10aが旋回流に含まれる原料の残渣や残渣の溶融物によって閉塞することや、原料を搬送する配管流路30の内部等に原料が滞留して閉塞されることを防止できるので、ガス化炉1の安定した運転が可能になる。
また、ガス化炉1A内に投入された原料が炉軸Cfの中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)を最適化できるので、原料を高温ガスGの主流付近に投入し、高温ガスGと原料との良好な混合性を確保してガス化性能を向上させることが可能になる。
上述した本実施形態では、2段2室ガス化炉について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、高温ガスGの旋回流場に対して炉壁面の周方向に設けた1または複数のガス化バーナから原料を吹き込んでガス化を行うガス化炉全般に適用可能である。
また、上述した実施形態では、原料供給部として4個のガス化バーナ10よりなるバーナ群を例示しているが、例えばガス化バーナ10に代えて原料供給管を採用してもよく、さらに、その設置個数等についても特に限定されることはない。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1,1A ガス化炉
2 コンバスタ
3 リダクタ
10,10A〜10C ガス化バーナ(原料供給部)
10a バーナ出口
20 仮想円
30 配管流路(搬送部)
31 連結部
40 パージガス供給流路
41 開閉弁

Claims (5)

  1. 高温ガスの旋回流場に対して炉壁面の周方向に設けた1または複数の原料供給部から原料を吹き込んでガス化を行うガス化炉であって、
    前記原料供給部は、前記原料供給部を設置する炉断面の直径(R)を基準にして炉軸を中心に描かれる0〜0.8Rの仮想円に接するとともに、前記高温ガスの旋回流と同方向に傾斜させた向きに設置され、
    前記原料供給部から吹き出される原料流速(V)は、炉軸中心方向に向かう流速の速度成分(Vr)が、前記高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして0.5倍以上5倍以下の範囲内に設定されることを特徴とするガス化炉。
  2. 前記速度成分(Vr)が、前記高温ガスの軸方向平均流速(Vz)を基準にして1倍以上3倍以下の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1に記載のガス化炉。
  3. 前記原料供給部は、水平からの上下方向傾斜角度が±30度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス化炉。
  4. 前記原料供給部の流路断面積(Sa)は、搬送部の流路断面積(Sb)より大(Sa>Sb)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガス化炉。
  5. 前記搬送部から前記原料供給部へ流路断面積を増す位置に、開閉弁を備えたパージガス供給流路を連結したことを特徴とする請求項4に記載のガス化炉。
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