JP2009019125A - ガス化方法及び装置 - Google Patents

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穐山  徹
Fumihiko Kiso
文彦 木曽
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真二 田中
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隆弘 西田
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正徳 山藤
Akio Ueda
昭雄 植田
Makoto Takeda
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Abstract

【課題】バーナの先端面及びガス化炉壁の減肉、ひび割れ、溶損を低減し、安定かつ安全に創業できるガス化装置とガス化方法を提供する。
【解決手段】微粉炭などの粉砕された固体燃料を、酸素を含むガスにより部分燃焼して一酸化炭素や水素、メタンなどの可燃性ガスを得るガス化装置のガス化室が円筒形であり、ガス化室内径の0.7から0.8倍の直径の同心円の接線上に上段バーナを設置し、ガス化室内径の0.25から0.4倍の直径の同心円の接線上に下段バーナを設置する。そして、上段及び下段バーナから供給する酸素や空気の噴出流速を20m/s以上、90m/s以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭などの固体燃料をガス化するためのガス化方法とガス化装置に関する。
石炭やプラスチック廃棄物などの固体炭化水素を微粉砕し、部分酸化して一酸化炭素や水素を主成分とする可燃性ガスを生成するガス化装置として、気流層方式のガス化装置がある。噴流層方式とも呼ばれる。気流層方式のガス化装置は、約1500℃の高温での運転が可能であり、灰分の溶融温度以上で運転できるため、灰分を溶融してスラグとして回収し、再利用することができる。また、高温では石炭などの反応速度が速いため、滞留時間が短くても高効率なガス化装置が実現できる。
気流層ガス化装置は、微粉砕された固体燃料を気流中でガス化剤と接触させることにより、ガス化反応を生じさせる装置である。従って、ガス化装置内部のガス及び燃料粒子の流れ状態がガス化効率に大きな影響を及ぼす。つまり、ガス化装置内のガス及び燃料粒子の流れを制御することにより、効率の向上が期待できる。このため、様々な構造及び運転方法が提案されている。
特許文献1には、気流層ガス化装置において、円筒形のガス化装置の上段部分と下段部分に旋回流を形成するバーナを配し、上段部分に形成される旋回流の旋回径をガス化室内径の0.7〜0.8倍、下段部分に形成される旋回流の旋回径をガス化室内径の0.25〜0.4倍とすることが記載されている。
特開昭60−173092号公報(特許請求の範囲)
特許文献1に記載のガス化装置では、ガス化室の上段部分と下段部分で、それぞれ旋回流を発生させ、それらの旋回流により、石炭などの微粉砕された固体燃料をガス化炉内に一定時間保持することにより、高いガス化効率で一酸化炭素や水素の製造と、灰分の溶融スラグ化を可能にしている。
旋回流の旋回力は、主にバーナから噴出するときの初速により決定される。バーナ噴出時の初速を速くすることにより旋回力が増加し、より高効率になる。
しかし、バーナから噴出される酸素や空気の噴出速度の違いにより、微粉砕された石炭などの燃料と酸素や空気との混合状態が変化し、火炎の長さが変化すると考えられる。酸素や空気の噴出速度が速いと、バーナ先端面が火炎から受ける熱流束が大きくなり、バーナ先端面の金属の減肉、ひび割れ、溶損などの問題が発生することガ考えられる。
また、旋回力が大きすぎると、その遠心力により、火炎が外側に向かおうとして炉壁に接近するおそれがある。高温の火炎が炉壁に接近しすぎると、炉壁の溶損やひび割れなどの問題が発生する。特許文献1には、酸素や空気などのガスの流速と、それに伴う問題については記載されていない。
本発明の目的は、ガス化室の上段部分と下段部分で、それぞれ旋回流を発生させて固体燃料をガス化するガス化方法及び装置において、ガス化炉の炉壁の減肉やひび割れ、溶損を低減し、安定、安全に操業できるようにしたガス化方法とガス化装置を提供することにある。
本発明は、円筒形のガス化室の上段に設置されたバーナから、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスの混合流体を、ガス化室内径の0.7倍から0.8倍の直径を有する同心円の接線上に向けて供給して旋回流を形成し、下段に設置されたバーナから、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスの混合流体を、ガス化室内径の0.25倍から0.4倍の直径を有する同心円の接線上に向けて供給して旋回流を形成し、前記固体燃料を前記酸素含有ガスにより部分燃焼して可燃性ガスを生成するガス化方法において、前記ガス化室の上段及び下段に設置された前記バーナから供給する酸素含有ガスの噴出流速を20m/s以上、90m/s以下にすることを特徴とするガス化方法にある。
本発明は、円筒形のガス化室の上段部分に、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスとが、ガス化室内径の0.7倍から0.8倍の直径を有する同心円の接線上に供給されるようにしたバーナを備え、前記ガス化室の下段部分に、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスとが、ガス化室内径の0.25倍から0.4倍の直径を有する同心円の接線上に供給されるようにしたバーナを備えたガス化装置において、前記ガス化室の上段部分及び下段部分に設置された前記バーナから噴出される酸素含有ガスの流速が20m/s以上、90m/s以下になるように前記酸素含有ガスの噴出孔径が設定されていることを特徴とするガス化装置にある。
本発明により、ガス化炉に設置されるバーナの先端面やガス化炉炉壁の減肉、ひび割れ、溶損を低減し、安定、安全にガス化装置を操業することができる。
以下、石炭粒子である微粉炭をガス化するガス化装置とガス化方法を例にとって、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、石炭粒子と酸素含有ガスを供給する微粉炭バーナの先端部分における噴出孔の模式図である。図2は、ガス化装置の垂直断面図である。図3は、上段バーナの設置部におけるガス化装置の水平断面図である。図4は、下段バーナの設置部におけるガス化装置の水平断面図である。図5は、遠心加速度が石炭粒子の炉内滞留時間に及ぼす影響、つまり、遠心加速度と石炭粒子の炉内滞留時間との関係を示したグラフである。図6は、下段仮想旋回径がガス化室内における石炭の滞留時間に及ぼす影響、つまり、下段仮想旋回径とガス化室内の石炭滞留時間との関係を示したグラフである。図7は、バーナからの酸素の噴出速度がガス化効率に及ぼす影響、つまり、酸素噴出速度とガス化効率との関係を示したグラフである。図8は、バーナからの酸素噴出速度が、バーナ先端面が受ける熱流束に及ぼす影響、つまり酸素噴出速度と熱流速との関係を示したグラフである。
炉内に旋回流を発生させる形態のガス化装置は、一般に加圧状態で操業されることが多いため、図2に示したように、全体が圧力容器4に格納されている。ガス化室6は円筒形であり、ガス化室壁5は、水冷管を連結して構成された水冷壁に、耐火材を添付した構造である。ガス化室6の上端面にはガス化室で生成したガスを排出するガス出口孔3が設置され、ガス化室6の下端面には灰分を溶融スラグ化して排出するためのスラグ排出孔7が設置される。ガス化室6の上段部分には上段バーナ1が設置され、下段部分には下段バーナ2が設置される。下段部分には、図4に示すように、石炭の揮発分がガス化し、残った固定炭素分と灰分を主成分とする固体であって、ガス化室6から飛散して下流で回収したチャーを再供給するチャーバーナ10が設置されることもある。
上記構造のガス化装置に設置されるバーナの一例としては、図1に示したように、石炭をガス化室に供給する石炭噴出孔13を中心とし、その外側にガス化剤である酸素を供給する酸素噴出孔14を設け、更に、その外側に冷却管を配してある冷却部12を有するバーナ外筒11を設けてあるものが挙げられる。
バーナをガス化装置に設置する位置としては、上段バーナ1については、図3に示したように、ガス化室壁5と同心円である上段仮想旋回円8の接線上に配置され、下段バーナ2については、下段仮想旋回円9の接線上に配置される。各バーナから噴出供給される石炭や酸素は、仮想円に沿って旋回する火炎を形成する。旋回流は、石炭を一定の時間、ガス化室6内に留めておくのに有効であり、また、灰分をガス化室壁5に衝突させて、飛散するのを抑制するのにも有効である。
上記のように、ガス化室内に旋回流を発生させる形式のガス化装置において、旋回力Fは、石炭粒子の質量mと遠心加速度αにより、下式によって算出できる。
F=mα
α=(旋回流速)/(旋回半径)
石炭粒子の質量mは、反応中は時々刻々変化するものであり、また、ガス化装置の性能に無関係であるので、遠心加速度αがガス化装置の性能を表す指標として用いられる。図5に示したように、遠心加速度αを大きくすることにより、石炭粒子がガス化室内に留まる時間である石炭粒子滞留時間は長くなる。従って、遠心加速度αが大きいほど、ガス化効率は高くなると言える。
遠心加速度αを大きくするためには、旋回流速を速くするか、旋回半径を小さくする必要がある。しかし、ガス化室6の中心部は、発生した生成ガスが上昇する領域であり、旋回径を小さくしすぎると、ガス化室6に投入した石炭が上昇ガス流に同伴して炉外に飛散しやすくなる。図6に示したように、下段仮想旋回円9の径とガス化室6の内径との比である下段旋回径比が0.3のときに、石炭粒子のガス化室内における滞留時間が最も長くなることが分かった。下段旋回径比を0.3より小さくして遠心加速度を増加させても、滞留時間は減少する。この結果を踏まえて、本発明では、ガス化室内径の0.25倍から0.4倍の直径の同心円の接線上に、下段バーナから、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスの混合流体を供給するようにした。
下段旋回径比を0.25から0.4にしたときに、上段旋回径比は0.7から0.8にすることが望ましい。上段の旋回径を下段の旋回径よりも大きくすることにより、ガス化室壁5の近傍では下降旋回流が形成され、ガス化室6の中心では上昇流が形成されるようになり、滞留時間を長くできる。上段バーナの旋回径が下段バーナの旋回径と同等、或いは小さいと、下降旋回流が形成されなくなり、滞留時間を稼げない。このため、上段バーナのガス速度を上げなければならず、バーナの材料が溶損しやすくなる。上段バーナの旋回径比0.7から0.8は、下段バーナの旋回径比を0.25から0.4にしたときに、バーナ先端面及びガス化炉壁の減肉、ひび割れ、溶損を低減しつつ、滞留時間を稼げる最も好ましい範囲である。
遠心加速度を増加させて石炭粒子のガス化室内滞留時間を増加させるためには、旋回流速を大きくすることが有効である。即ち、バーナからの石炭や酸素の噴出流速を速くすることである。しかし、石炭は不活性な窒素などのガス流で供給することが多いので、流速を上昇させると不活性なガス流量が大きくなり、不利である。従って、酸素の噴出流速を大きくする。即ち、酸素噴出孔14の径により旋回流速を調整する。
酸素の噴出速度によってガス化効率が変化する様子の一例を図7に示した。ガス化効率は、ガス化装置に供給した石炭中の炭素分が一酸化炭素や二酸化炭素などのガスに変換した割合で示した。ガス化効率は、炉径や炉高などのガス化装置の大きさや、石炭の種類、石炭と酸素の供給量、圧力、冷却水の温度などの運転条件によって変化し、一義的に決まらない。本例は、特定のガス化装置を用いて測定した結果の一例である。酸素の噴出速度を増加させると、ガス化効率は向上する。これは、酸素の噴出速度が増加することによって遠心力が増加し、石炭がガス化室内に滞在する時間である滞留時間が増加して、石炭がガス化室内で反応する時間が延びたためである。この測定例では、酸素の噴出速度が60m/s以上となると、ガス化効率はほぼ一定となり、それ以上のガス化効率向上は望めなかった。これは、このガス化装置での最高のガス化効率となったためである。即ち、この運転条件において反応すべき石炭中の炭素分が、全て反応し尽くしたことを示している。このため、これ以上、滞留時間を増加しても、ガス化効率は向上しない。
このように、酸素の噴出速度を増加することにより、ガス化効率が向上する効果が認められる。この例では、酸素の噴出速度が60m/s以上で、ガス化効率が最大となっているが、運転条件によっては、100m/s以上でもガス化効率が向上することもあり得る。
一方、酸素の流速を増加すると、石炭と酸素の混合が促進され、火炎の温度が上昇する。これにより、図8に示したように、火炎から輻射などによりバーナが受ける熱流束が増加する。金属製のバーナを使用した場合、酸素の噴出速度が90m/sを超えると、熱による材料の減肉が年間1mm以上となり、耐用年数が少なくなるため、酸素の噴出速度は90m/s以下とすることが望ましい。
一方、石炭は、窒素などのガス化反応に対してほぼ不活性であるガスにより気流搬送されてバーナの石炭噴出孔13を介してガス化室6内に供給される。このときの石炭の搬送速度が5m/s以下であると、搬送が不安定となる。また、10m/s以上であると、ガス化反応に対してほぼ不活性である窒素などのガスがガス化室6内に供給される量が多くなるため、ガス化効率が低下する。従って、搬送速度は7m/s程度であることが多い。ここで、酸素の噴出速度が石炭搬送速度の2〜3倍である20m/s以上であると、石炭と酸素の混合には良いが、20m/sよりも小さい場合には反応速度が低下することがある。従って、酸素噴出速度は20m/s以上であることが望ましい。
本発明のガス化装置では、上段バーナ及び下段バーナから噴出される酸素又は酸素含有ガスの噴出流速が20m/s以上、90m/s以下となるように噴出孔径が設定される。ガス化炉の規模が異なり、石炭量が違えば、使用する酸素の量も違ってくるので、同じ流速でもバーナ孔径を変えなければならず、孔径は一義的に決まらない。概ね、発電量から必要な石炭量を計算し、必要な酸素量を計算して、酸素流速を設定し、酸素量と設定した酸素流速からバーナの孔径を決定するという過程を経て、バーナのガス噴出孔径が設定される。
石炭ガス化用バーナ先端の噴出孔の模式図である。 ガス化装置の垂直断面図である。 上段バーナ設置部におけるガス化装置の水平断面図である。 下段バーナ設置部におけるガス化装置の水平断面図である。 遠心加速度が石炭粒子の炉内滞留時間に及ぼす影響を示した図である。 下段仮想旋回径が石炭のガス化室内における滞留時間に及ぼす影響を示した図である。 バーナからの酸素の噴出速度がガス化効率に及ぼす影響を示した図である。 バーナからの酸素噴出速度が、バーナ先端面が受ける熱流束に及ぼす影響を示した図である。
符号の説明
1…上段バーナ、2…下段バーナ、3…ガス出口孔、4…圧力容器、5・・・ガス化室壁、6…ガス化室、7…スラグ排出孔、8…上段仮想旋回円、9…下段仮想旋回円、10…チャーバーナ、11…バーナ外筒、12…冷却部、13…石炭噴出孔、14…酸素噴出孔。

Claims (4)

  1. 円筒形のガス化室の上段に設置されたバーナから、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスを、ガス化室内径の0.7倍から0.8倍の直径を有する同心円の接線上に向けて供給して旋回流を形成し、下段に設置されたバーナから、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスを、ガス化室内径の0.25倍から0.4倍の直径を有する同心円の接線上に向けて供給して旋回流を形成し、前記固体燃料を前記酸素含有ガスにより部分燃焼して可燃性ガスを生成するガス化方法において、前記ガス化室の上段及び下段に設置された前記バーナから供給する酸素含有ガスの噴出流速を20m/s以上、90m/s以下にすることを特徴とするガス化方法。
  2. 前記固体燃料として石炭粒子を供給する請求項1記載のガス化方法。
  3. 円筒形のガス化室の上段部分に、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスとが、ガス化室内径の0.7倍から0.8倍の直径を有する同心円の接線上に供給されるようにしたバーナを備え、前記ガス化室の下段部分に、粉砕された固体燃料と酸素含有ガスとが、ガス化室内径の0.25倍から0.4倍の直径を有する同心円の接線上に供給されるようにしたバーナを備えたガス化装置において、前記ガス化室の上段部分及び下段部分に設置された前記バーナから噴出される酸素含有ガスの流速が20m/s以上、90m/s以下になるように前記酸素含有ガスの噴出孔径が設定されていることを特徴とするガス化装置。
  4. 前記バーナから供給される固体燃料が石炭粒子であることを特徴とする請求項3記載のガス化装置。
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