JP2016041020A - 容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに容器詰緑茶飲料の苦渋味抑制方法 - Google Patents

容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに容器詰緑茶飲料の苦渋味抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 冷温領域から常温領域において飲用する場合において強調される苦渋味を抑え、また、少量の飲用であっても、薄くて物足りないという印象を与えず、高級緑茶のような飲み応えのある濃度感を味わえつつも、のど越しが良く、良好な味の余韻を愉しめる容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに緑茶飲料の苦渋味抑制方法を提供する
【解決手段】飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0であって、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰緑茶飲料及びその製造方法であって、特に冷温領域から常温領域において飲用する場合において特に強調され易い苦渋味を抑制し、且つ、少量の飲用であっても、薄くて物足りないという印象を与えず、高級緑茶のような飲み応えのある濃度感を味わえつつも、のど越しが良く、良好な味の余韻を愉しめる容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに容器詰緑茶飲料の苦渋味抑制方法に関する。
緑茶の飲用形態としては、従来は急須で淹れて熱い状態で少しずつ飲用する形態が中心であり、一部、冷水で長時間かけて抽出したものを飲用する場合もあったものの、手間と時間がかかり一般的な方法とは言えなかった。
近年は、このような形態に代わって、緑茶の抽出液を容器詰の形態として、いつでもすぐに飲用できる形態、所謂RTD(Ready to Drink)形態の容器詰緑茶飲料が広く普及している。
前記容器詰緑茶飲料は、止渇飲料として飲用されるシーンが多かったが、容器の強化、改良等を通じて、加温販売にも対応できるようになり、ホット飲料としても利用される等、消費者ニーズに従って多様に進化を続けている。
また、冷温〜常温領域で飲用する場合であっても、従来のように止渇飲料として水代わりに多量に飲用するのではなく、仕事や読書等の合間に少しずつ飲用する形態、所謂「ちびだら飲み」といわれる形態で飲用されるシーンも増えてきている。
更に近年では、容器詰緑茶飲料に対しても緑茶本来の香りや味を愉しみたいという、本来のお茶好きの嗜好も満たすことできる高い品質が要求されてきており、例えば、小容量であっても高級茶のような香味を味わうことができるといったコンセプトの容器詰緑茶飲料へのニーズが高まってきている。
また、緑茶飲料を冷温〜常温の温度領域で飲用する場合であっても、止渇性飲料として飲まれる場合は、いわば水代わりに飲用することから、緑茶の香味が強すぎると、返って飲み難しくなる。
このため、ホット領域で飲用する容器詰緑茶飲料と比較して濃度は薄く、香気も控えめに調整されているが、止渇飲料として飲用する場合は、飲み易さが優先されるため、特に問題が生じることは無かった。
しかしながら、前述の通り、容器詰緑茶飲料を嗜好性飲料としてゆっくりと味わう飲用シーンも増えてきており、冷温若しくは常温の温度領域で飲用されることも多く、このような温度帯域で少量を飲用した場合であっても、高級緑茶のような緑茶の甘い香りや、飲み応えと余韻等といった香味を愉しめ、十分な満足感を得たいというニーズが高まっている。
ところが、緑茶飲料は、ホットで飲用する場合と比較して、冷温で飲用すると香味を感じ難くなる一方、苦渋味がより強調されるという傾向がある。
香味と苦渋味の感じ方の傾向は互いに相反することから、単純に抽出時間や茶葉の量を増やし、単に抽出液の「濃度」を上げた場合、香味は強くなるが、一方でカテキン類やカフェイン、タンニンといった、苦渋味成分の含有量も濃度に比例して増大するため、苦渋味の抑制の点においては逆効果となるという問題があった。
緑茶飲料の味や香りは非常にデリケートであることから、冷温〜常温の温度帯域で飲用する容器詰緑茶飲料において、高級緑茶のような甘い香りや、十分な飲み応えと余韻を感じることができるように、一定の香気を確保しつつも苦渋味を抑制し、バランスが好適となるように香味を設計することは、技術的ハードルが極めて高かった。
飲用シーンの多様化や緑茶飲料に特有の技術的課題を解決するために、現在までに様々な試みが提案されている。
例えば、特許文献1には、単糖の濃度と二糖の濃度とを合わせた糖類濃度が100ppm〜300ppmであり、単糖の濃度に対する二糖の濃度の比率(二糖/単糖)が10〜28である容器詰緑茶飲料を提供することにより、火香(こうばしい香り)が強く、薄い味ではなく、しかもさっぱりとした後味を備えており、冷めた状態でもおいしく飲用できる緑茶飲料が開示されている。
また、特許文献2には、単糖と二糖とを合わせた糖類の濃度が150ppm〜500ppmであり、単糖の濃度に対する二糖の濃度の比率(二糖/単糖)が2.0〜8.0であり、前記糖類の濃度に対する電子局在カテキンの濃度の比率(電子局在カテキン/糖類)が1.8〜4.0であり、ゲラニオールに対するフルフラールの含有比(フルフラール/ゲラニオール)が0.5〜3.0である容器詰緑茶飲料を提供することにより、口の中に香りが広がるとともに余韻が残り、しかも味にコク・濃度感を備えており、冷めた状態でも香り立ちのある、新たな容器詰緑茶飲料が開示されている。
しかし、特許文献1、2に係る発明は、冷温時における飲用感の向上という観点においては一定の効果を呈するものの、本願発明のように、高級茶のような甘い香りを感じることができると共に、冷温状態で強くなる苦渋味が抑制され、且つ飲み応えと心地よい余韻を感じることができる容器詰緑茶飲料を実現するためには、いずれも不十分なものであった。
また、前記特許文献以外においては、係る特性を有する容器詰緑茶飲料を開発するという技術課題について認識されておらず、本技術課題を解決するための方法についての具体的な知見、及びこれを評価するための指標は、当業者の間でもこれまで提案されていなかった。
特許第4843118号公報 特許第4843119号公報
本発明は、前記先行技術文献の知見を活かしつつ、特に冷温領域から常温領域において飲用する場合において強調される苦渋味を抑え、また、少量の飲用であっても、薄くて物足りないという印象を与えず、高級緑茶のような飲み応えのある香りと濃度感を味わえつつも、のど越しが良く、良好な味の余韻を愉しめる容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに緑茶飲料の苦渋味抑制方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、冷温〜常温状態において、より強く感じられる苦渋味を効果的に抑制する方法について鋭意研究した結果、茶の苦味成分であるガレート型カテキン類と酸性アミノ酸の含有量をそれぞれ所定の比率に調整した上で、香気成分に含まれる、脂肪酸分解物類に対するピラジン類の含有比率(火入れ爽快香)を所定範囲に調整することによって、前記酸性アミノ酸によるガレート型カテキン類に起因する苦渋味のマスク効果が、より効果的に発揮され、冷温状態においても、緑茶飲料の苦渋味を効率的に抑制し、更に良好な香味を味わえる容器詰緑茶飲料が得られることを見出した。
すなわち本願発明は以下のような構成からなる。
(1)
飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0であって、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0であることを特徴とする容器詰緑茶飲料。
(2)
前記酸性アミノ酸の含有量がアスパラギン酸とグルタミン酸の合計含有量であることを特徴とする1の容器詰緑茶飲料。
(3)
前記ガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)が10.0〜75.0であることを特徴とする1または2の容器詰緑茶飲料。
(4)
飲料液中の脂肪酸分解物類の含有量に対するピラジン類の含有量比率が2.0〜65.0であることを特徴とする1〜3いずれか1の容器詰緑茶飲料。
(5)
飲料液中のアミノ酸含有量合計(mg/100ml)が25.0未満であることを特徴とする1〜4いずれか1の容器詰緑茶飲料。
(6)
飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0となるように調整され、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0となるように調整されることを特徴とする容器詰緑茶飲料の製造方法。
(7)
前記ガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)が10.0〜75.0に調整されることを特徴とする6の容器詰緑茶飲料の製造方法。
(8)
飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0となるように調整され、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0となるように調整されることを特徴とする容器詰緑茶飲料の苦渋味調整方法。
本願発明は前記の構成を具備することにより、冷温領域から常温領域において飲用する場合において強調される苦渋味を抑え、また、少量の飲用であっても、薄くて物足りないという印象を与えず、高級緑茶のような飲み応えのある濃度感を味わえつつも、のど越しが良く、良好な味の余韻を愉しめる容器詰緑茶飲料及びその製造方法並びに緑茶飲料の苦渋味抑制方法を提供することができる。
本願発明に係る容器詰緑茶飲料を実施する為の形態について、以下具体的に詳述するが、本願発明の技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、以下に示す実施形態以外の公知手法を適宜選択することも可能である。
(容器詰緑茶飲料)
本実施形態にかかる容器詰緑茶飲料は、緑茶を抽出して得られた抽出液を主たる原料とし、容器に充填してなる飲料である。
容器に充填される緑茶飲料は、例えば緑茶を抽出して得られた抽出液のみからなる液体、或いは、当該抽出液を濃縮又は希釈した液体、或いは異なる濃度、若しくは異なる種別の茶葉から抽出液した抽出液どうしを所定割合で混合した液体、或いはこれら前記何れかの液体に添加物を加えた液体等の形態を例示することができる。
なお、主たる原料とは、少なくとも配合割合が50%以上であることを示している。
(原料茶葉)
本発明における容器詰緑茶飲料の原料茶葉は、その種類を特に制限するものではない。
具体的に例示すれば、蒸し茶、煎茶、玉露、抹茶、番茶、玉緑茶、釜炒り茶、中国緑茶など、不発酵茶に分類される茶を広く包含する概念である。
また、本実施形態係る原料茶葉は、2種類以上をブレンドしたものであっても良く、玄米等の穀物類、ジャスミン花、その他のハーブ等のフレーバー類を添加してあるものでもよい。
(香気成分)
本願発明における容器詰緑茶飲料の飲料液中に含まれる香気成分の内、ピラジン類の合計含有量とは、メチルピロール、メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、エチルピラジン、及び3−エチル−2,5−ジメチルピラジンのような複素環式化合物の含有量の合計を示し、火入れで増加し、アミノ酸の含有量が多い茶葉で多くなるという傾向を有する。
また、本願において、脂肪酸分解物類の合計含有量とは、1−ペンテン−3−オール、Z−2−ペンテン−1−オール、2Z,4E−ヘプタジエナール、2E,4E−ヘプタジエナールといった、脂肪族アルコール類及び脂肪族アルデヒド類の含有量の合計をいう。
前記の他、飲用液中の香気成分としては、リナロール、トリエノール、α−テルピネオール、ネロール、及びネロリドール等のテルペンアルコール類、ペンタナール、ヘキサナール、ペプテナール、ノナナール、E−2−ヘキサナール等のアルデヒド類、フルフラール、5−メチルフルフラール等のフラン類等に起因するものがある。
また、ヨノン類としては2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド、α−ヨノン、β−ヨノン、5,6−エポキシ−β−ヨノン、及びジヒドロアクチニジオライド等がある。
本願発明にあっては、前記香気成分のうち、脂肪酸分解物類に対するピラジン類(ピラジン類/脂肪酸分解物類)の含有比率である「火入れ爽快香」の指標と、後述する酸性アミノ酸に対するガレート型カテキン(苦渋味)の含有量に着目することで苦渋味を効果的に抑制するものである。
前記ピラジン類/脂肪酸分解物類の比率は2.0〜70.0であって、2.0〜65.0であることが好ましく、4.0〜50.0がより好ましく、4.0〜45.0であることが更に好ましい。
ピラジン類は、茶葉中のアミノ酸が火入れ等による加熱でアミノ−カルボニル反応を起こすことで発生する甘く香ばしい香気であり、主に高級茶独特の甘みに寄与すると考えられる。
これに対し、脂肪酸分解物類は茶葉の酸化等によって増加し、一般的にスミレの花に近い香りといわれている。前記ピラジン類と所定の範囲の比率で存在することによって、高級茶のような甘くさわやかな香味に調製することができる。
なお、前記香気成分の調整は、茶葉の水蒸気蒸留エキスの添加によって行うことが可能である他、茶種、加工方法、火入れの条件、若しくは抽出条件等によっても調整することができる。
ピラジン類や脂肪酸分解物類といった香気成分が、茶種や抽出温度条件等によって変動することは前述の通り周知であり、またその傾向も当業者の間では知られている。
しかしながら、ピラジン類と脂肪酸分解物類の好適バランスの知見、並びに飲用液中のガレート型カテキンと酸性アミノ酸の好適バランスとの関係に着目することで、高級茶の味わいを実現できる旨の知見は、現在まで当業者に全く知られていなかった。
このため、指標となる成分の数値範囲が明らかとなれば、公知技術によって所望の数値範囲にピラジン類と脂肪酸分解物類を調製することは、試行錯誤的調整を経ることなく当業者に可能である。
(アミノ酸類)
容器詰緑茶飲料に含まれるアミノ酸類としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、テアニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、メチオニン、アルギニン、リシン等があるが、本願にあってアミノ酸含有量とは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン、テアニンの合計含有量をアミノ酸合計含有量(mg/100ml)の値を示している。
本願発明の指標の一つである酸性アミノ酸とは、酸性を示す側鎖を有するアミノ酸であり、前述の各アミノ酸類のうち、アスパラギン酸とグルタミン酸の合計含有量(mg/100ml)を示している。
本実施形態にあっては前記酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)は10.0未満であることが好ましく、0.1〜9.0であることがなお好ましく、0.2〜8.0であることがさらにのぞましい。
また、本実施形態にあっては、アミノ酸含有量(mg/100ml)は、30.0未満であることが好ましく2.0〜25.0であることがなお好ましく、2.0〜22.0であることが更に好ましく、2.5〜20.0であることが最も好ましい。
酸性アミノ酸及び、アミノ酸の含有量が前記範囲にあることによって、前述の火入れ爽快香等の香気とのバランスが好適なものとなる。
(カテキン類)
容器詰緑茶飲料にふくまれるカテキン類は、所謂非重合体カテキンと称される、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)の合計8種の意味である。
本実施形態にあっては、カテキン類の含有量(mg/100ml)は25.0〜110.0が好ましく、35.0〜100.0がより好ましく、35.0〜80.0がさらに好ましく、45.0〜75.0が最も好ましい。容器詰緑茶飲料のカテキン類濃度が25.0下回ると香気成分による甘い火香は強調されるものの濃度感が十分に得られないなどバランスに影響を与える点で好ましくなく、110.0を上回ると甘い火香が弱過ぎたり、苦渋味やエグ味が強調され過ぎてバランスに影響を与える点で好ましくない。
非重合体カテキン類濃度を前記範囲に調整するには、抽出条件等で調整するようにすればよいが、カテキン製剤等を添加することによっても調整することも可能である。
前述の非重合体カテキンの内、ガレート基を含むカテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)はガレート型カテキンと総称される。本実施形態においては、前記ガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)は、10.0〜85.0であることが好ましく、10.0〜75.0であることがなお好ましく、15.0〜55.0であることがさらに好ましい。
また、本発明にあっては、前記酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率は5.0〜25.0であり、7.0〜24.0であることが好ましく、8.0〜22.0であることがなお好ましく、10.0〜20.0であることが更に好ましい。
本比率が前記範囲にあることによって、前記火入れ爽快味の指標とあいまって、一定量のガレート型カテキンを含みつつも、苦渋味が効果的に抑制され、高級緑茶のような飲み応えのある濃度感を味わえる。
(エピ体カテキン類・非エピ体カテキン類)
本発明の緑茶飲料におけるカテキン類は、「エピ体カテキン類」すなわち(−)EC、(−)EGC、(−)ECg、(−)EGCgといった没食子酸とのエステル結合を含んでいて良く、又、「非エピ体カテキン類」すなわち(−)C、(−)GC、(−)Cg、(−)GCgを含んでいてよい。「非エピ体カテキン類」は、約80℃以上で加熱処理して熱異性化(エピマ−化)を促すことにより得ることができる。本発明の緑茶飲料における「非エピ体カテキン類に対する非エピ体カテキン類の比率(エピ体カテキン類濃度/非エピ体カテキン類濃度)」は、0.4〜3.0が好ましく、0.5〜3.0がさらに好ましく、0.6〜1.5が最も好ましい。
(電子局在カテキン)
容器詰緑茶飲料中に含まれる「電子局在カテキン」とは、トリオール構造(ベンゼン環にOH基が3基隣り合う構造)を有し、イオン化したときに電荷の局在が起こりやすいと考えられるカテキンであり、具体的には、エピガロカテキンガレート(EGCg)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、ガロカテキンガレート(GCg)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)などがある。
(電子局在カテキン濃度)
電子局在カテキン濃度を前記範囲に調整するには、抽出条件で調整すればよいが、抽出時間や温度で変化しやすいため、温度が高すぎたり、抽出時間が長すぎたりするのは、飲料の香気保持の面からも好ましくない。この際、電子局在カテキンを添加して調整することも可能であるが、緑茶飲料のバランスが崩れるおそれがあるため、茶抽出液を得るための条件を調整するほか、茶抽出液どうしの混合、或いは茶抽出物の添加などによって調整することが好ましい。
本発明の緑茶飲料における電子局在カテキン濃度(mg/100ml)は、13.0〜100.0であることが好ましく、14.0〜90.0がより好ましく、15.0〜80.0がさらに好ましい。
(浮遊物質濃度(suspended solids(SS)))
本実施形態において浮遊物質濃度(suspended solids(SS))とは、水色の濁り度合を示す指標の一つである。
具体的には、飲用液中に浮遊する「粒径2mm以下」の不溶解性物質の総称であって、重量濃度(mg/L(ppm))で表される。
浮遊物質濃度の測定には、ガラス繊維濾紙法と遠心分離法があるが、通常はガラス繊維濾紙法が用いられ、遠心分離法は濾過しにくい試料に適用される。 ガラス繊維濾紙法は、試料を孔径1μmのガラス繊維濾紙で吸引濾過し、濾過残留物を105〜110℃で2時間乾燥させたのち、残留物の重量を測定する。また、浮遊物質濃度値が透視度と逆数にある性質を利用して、より簡便に浮遊物質濃度値を求める方法もある。本発明における浮遊物質濃度の測定は、前記簡便法による測定方法を想定するものの、当業者が通常実施する範囲においてより厳密な測定方法により得られた測定値を採用することを排除するものではない。
(容器詰緑茶飲料の浮遊物質濃度(SS))
本実施形態にあっては飲料液の浮遊物質濃度(SS)(mg/L)は、10.0〜100.0であることが好ましく、10.0〜70.0がより好ましく、15.0〜70.0がさらに好ましく、15.0〜65.0が最も好ましい。
容器詰緑茶飲料の浮遊物質濃度(SS)が10.0を下回ると緑茶飲料における満足感が不足してしまう傾向があり好ましくなく、100.0を上回ると緑茶飲料における火入れ爽快香が不足する点で好ましくない。
(浮遊物質濃度(SS)の調整方法)
緑茶飲料の浮遊物質濃度(SSは、緑茶飲料の製造に供する原料茶の種類、茶期、火入れ・加工方法、若しくは異なる2種以上の原料茶の混合、又は抽出時の条件、ビタミンC等の添加物、若しくは異なる2種以上の茶抽出液の混合により調整することができる。
例えば、原料茶として微粉を多く含む茶葉(深蒸し煎茶、粉茶、粉末茶など)を選択し、例えば圧搾抽出や抽出時に攪拌するなどの、茶葉を切断・破砕するような抽出を実施することにより、緑茶飲料の浮遊物質濃度(SS)を増加させることができる。また、原料茶として微粉が少ない茶葉(釜炒り茶、粉抜きを実施した煎茶など)を選択し、単独又は複数種類を適宜割合で混合し、例えばカラム式抽出機を使用してシャワー抽出を実施するなどの、茶葉が切断・破砕されないような抽出を実施し、抽出液を濾過(濾滓濾過など)することによって、緑茶飲料の浮遊物質濃度(SS)を低下させることができる。また、例えば、浮遊物質濃度(SS)が高い緑茶飲料と、浮遊物質濃度(SS)が低い緑茶飲料を適宜割合で混合することにより、浮遊物質濃度(SS)を調整することもできる。
(カフェイン濃度)
本発明の緑茶飲料におけるカフェイン濃度(mg/100ml)は、35.0未満であることが好ましく、7.0〜30.0がより好ましく、8.0〜20.0がさらに好まししい。カフェイン濃度が35.0を上回ると、カフェイン由来の苦味が香りの感じ方と苦味とのバランスに影響を与える点で好ましくない。
カフェイン濃度を前記範囲に調整するには、茶葉に熱湯を吹き付けたり、茶葉を熱湯に浸漬させたりして茶葉中のカフェインを溶出させ、その茶葉を用いて茶抽出液を作製し、これら茶抽出液どうしを混合して調整すればよい。また、抽出液に活性炭や白土等の吸着剤を作用させてカフェインを吸着除去してもよい。
(糖類)
本実施形態おける容器詰緑茶飲料に含まれる糖類としては、単糖類と二糖類がある。
単糖は、一般式C(HO)で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上簡単な糖にならないものであり、本実施形態にあっては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)を指す。
本実施形態の容器詰緑茶飲料の単糖の濃度(ppm)は、5.0〜120.0であることが好ましく、11.0〜100.0がより好ましく、15.0〜80.0が更に好ましく、18.0〜70.0最も好ましい。
容器詰緑茶飲料の単糖の濃度が5.0ppmを下回ると緑茶飲料における濃度感(コク
)が不足してしまう観点で好ましくなく、120.0ppmを上回ると緑茶飲料における爽快味が不足してしまう観点で好ましくない。
(二糖)
二糖は、一般式C12(HO)11で表される炭水化物であり、加水分解により単糖を生じるものであり、本発明でいう二糖とは、スクロース(蔗糖)、セロビオース、マルトース(麦芽糖)を指す。
本発明の緑茶飲料の二糖の濃度(ppm)は、80.0〜260.0であることが好ましく、80.0〜230.0がより好ましく、90.0〜200.0が更に好ましく、90.0〜180.0最も好ましい。
容器詰緑茶飲料の二糖の濃度が80.0ppmを下回ると緑茶飲料における濃度感(コク)が不足してしまう観点で好ましくなく、260.0ppmを上回ると緑茶飲料における爽快味が不足してしまう観点で好ましくない。
(糖類濃度)
本発明における「単糖の濃度と二糖の濃度とを合わせた糖類濃度」とは、前記単糖の濃度と前記二糖の濃度とを合計したものである。
本発明の緑茶飲料の「単糖の濃度と二糖の濃度とを合わせた糖類濃度」(ppm)は、85.0〜380.0であることが好ましく、91.0〜320.0がより好ましく、105.0〜280.0が更に好ましく、108.0〜250.0が最も好ましい。
容器詰緑茶飲料の「単糖の濃度と二糖の濃度とを合わせた糖類濃度」の濃度が85.0を下回ると緑茶飲料における濃度感(コク)が不足してしまう観点で好ましくなく、380.0を上回ると緑茶飲料における爽快味が不足してしまう観点で好ましくない。
また、単糖の濃度と二糖の濃度との比率(二糖/単糖)は、特に限定されるものでないが0.5〜0.95であってよい。
(ショ糖濃度)
本発明におけるショ糖とは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖類の一種である。
本発明の緑茶飲料のショ糖濃度(ppm)は、80.0〜350.0であることが好ましく、90.0〜300.0が更に好ましく、90.0〜280.0最も好ましい。
容器詰緑茶飲料のショ糖濃度80.0を下回ると緑茶飲料における苦みが目立ってしまう観点で好ましくなく、350.0を上回ると緑茶飲料におけるエグ味が目立ってしまう観点で好ましくない。
(糖類濃度に対するショ糖濃度の比率(ショ糖/糖類濃度))
本発明における「糖類濃度に対するショ糖濃度の比率(ショ糖/糖類濃度)」とは、前記単糖の濃度と前記二糖の濃度とを合計したものである糖類濃度に対するショ糖濃度の比率(ショ糖/糖類濃度)である。本発明における「ショ糖/糖類濃度」は、特に限定されるわけではないが、0.5〜0.95であってよい。
(糖類の濃度・比率の調整方法)
糖類濃度や糖類比率を前記範囲に調整するには、例えば特許第4843118号が記載するように、茶葉の乾燥(火入れ)加工や抽出を適宜条件にして調整することができる。例えば、茶葉の乾燥(火入れ)加工を強くすると糖類は分解されて減少し、また、高温で長時間抽出すると糖類は分解されて減少する。しかるに、茶葉の乾燥(火入れ)条件と、抽出条件により、糖類濃度や糖類比率を調整することができる。
この際、糖類を添加して調整することも可能であるが、緑茶飲料本来の香味バランスが崩れるおそれがあるため、糖を添加することなく、例えば茶抽出液を得るための条件を調整したり、複数の異なる茶抽出液の混合割合を調整したり、茶抽出物や茶精製物を添加することにより調整するなどの方法が好ましい。
(pH)
本実施形態における容器詰緑茶飲料のpHは、20℃で6.0〜6.5であることが好ましい。pHは6.0〜6.4であるのがより好ましく、中でも特に6.0〜6.3であるのがさらに好ましい。
(各成分の測定方法)
前記した単糖類、二糖類、総カテキン類、電子局在カテキン類、カフェイン及びアミノ酸の濃度は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(容器)
本発明の緑茶飲料を充填する容器は、特に限定するものではなく、例えばプラスチック製ボトル(所謂ペットボトル)、スチール、アルミなどの金属缶、ビン、紙容器などを用いることができ、特に、ペットボトルなどの透明容器等を好ましく用いることができる。
(製造方法)
本発明の緑茶飲料は、例えば、茶葉原料の選定と共に、茶葉の乾燥(火入)加工や抽出条件、さらには抽出液や粉砕茶葉の混合割合を適宜調整して、飲用液中の香気成分のうち、脂肪酸分解物類量に対するピラジン類の合計含有量の比率を2.0〜70.0とし、且つ前記飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0に調整することにより製造することができる。但し、このような製造方法に限定されるものではない。
以下、前記実施形態に基づき、本発明の実施例を説明するが、本願発明の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜形態の変更を行うことができる。
1.試料の調製(使用茶葉)
本実施例における実施例試料及び比較例試料の調製方法について以下説明する。
本実施例に係る容器詰緑茶飲料は以下の茶葉を用いて抽出液を得た。
(抽出用液用茶葉A)
やぶきた種、静岡県産一番茶浅蒸し 荒茶
(抽出液用緑茶葉B)
ゆたかみどり種、鹿児島県産覆下栽培一番茶深蒸し 荒茶 を回転ドラム型火入機にて320℃7分間で火入れ加工したもの)
(混濁液用粉砕茶葉C)
やぶきた種、静岡県産一番茶深蒸し 荒茶 ボールミル粉砕(マキノ社製BM−400)(投入量200kg)
2.茶抽出液、粉砕茶葉懸濁液及び水蒸気蒸留エキスの調製
前記茶葉を原料として茶抽出液、粉砕茶葉懸濁液及び水蒸気蒸留エキスを得た。
なお、水蒸気蒸留エキスは香気成分の調整用に使用した。
(茶抽出液A)
前記茶葉A6g、B6gを90℃の湯480mLで6分抽出した後、遠心分離機(ウエストファリア社製SA1連続遠心分離機)を用いて流速300L/hr、回転数10000rpm、遠心沈降面積(Σ)1000mで処理し、目開1μmのフィルター(ポリプロピレン製)で濾過し茶抽出液Aを得た。
(茶抽出液B)
前記茶葉A6g、B6gを90℃の湯480mLで6分抽出した後、濾過助剤(シンワフーズケミカル(株)「ダイバガン」)0.48gを添加し3分間攪拌した後、遠心分離機(ウエストファリア社製SA1連続遠心分離機)を用いて流速300L/hr、回転数10000rpm、遠心沈降面積(Σ)1000mで処理し、目開1μmのフィルター(ポリプロピレン製)で濾過し茶抽出液Bを得た。
(茶抽出液C)
前記茶葉A6g、B6gを90℃の湯480mLで6分抽出した後、濾過助剤(シンワフーズケミカル(株)「ダイバガン」)0.68gを添加し3分間攪拌した後、遠心分離機(ウエストファリア社製SA1連続遠心分離機)を用いて流速300L/hr、回転数10000rpm、遠心沈降面積(Σ)1000mで処理し、目開1μmのフィルター(ポリプロピレン製)で濾過し茶抽出液Cを得た。
(粉砕茶葉懸濁液)
前記粉砕茶葉Cを高速ホモジナイザーで水中に分散し、目開25μmのフィルター(ポリプロピレン製)で濾過し、粉砕茶葉懸濁液を得た。
(水蒸気蒸留エキスA)
抽出液用茶葉A100gを40℃の温水100gで10分浸漬し、水蒸気蒸留法により150gの留出液を回収し、「水蒸気蒸留エキスA」を得た。
(水蒸気蒸留エキスB)
抽出液用茶葉B100gを40℃の温水100gで10分浸漬し、水蒸気蒸留法により150gの留出液を回収し、「水蒸気蒸留エキスB」を得た。
3.飲料原料液の調製
前記茶抽出液、粉砕茶葉懸濁液、水蒸気蒸留エキスをそれぞれ下記の条件で混合し、実施例試料及び比較例試料を調整するための飲料原料液A〜Dを得た。
(飲料原料液A)
抽出液Aに最終メスアップ時、SSが50mg/Lとなるように粉砕茶葉懸濁液を混合し混合液を得た。前記混合液の最終メスアップ時に合わせて、ピラジン類/脂肪酸分解物類が75.0となるように水蒸気蒸留エキスBを混合し、茶抽出物(株式会社伊藤園「テアフラン90S」)を1.6g添加し、更にビタミンCを400ppm加え、重曹にてpH調整を行った後、2000mlに純水でメスアップし、「飲料原料液A」を得た。
(飲料原料液B)
抽出液Bに最終メスアップ時、SSが50mg/Lとなるように粉砕茶葉懸濁液を混合し混合液を得た。前記混合液の最終メスアップ時に合わせて、ピラジン類/脂肪酸分解
物が0.7となるように水蒸気蒸留エキスAを混合し、更にビタミンCを400ppm加え、重曹にてpH調整を行った後、2000mlに純水でメスアップし、「飲料原料液B」を得た。
(飲料原料液C)
抽出液Cに最終メスアップ時、SSが50mg/Lとなるように粉砕茶葉懸濁液を混合し混合液を得た。前記混合液の最終メスアップ時に合わせて、ピラジン類/脂肪酸分解物類が72.0となるように水蒸気蒸留エキスBを混合し、更にビタミンCを400ppm加え、重曹にてpH調整を行った後、2000mlに純水でメスアップし、「飲料原料液C」を得た。
(飲料原料液D)
抽出液Aに最終メスアップ時、SSが50mg/Lとなるように粉砕茶葉懸濁液を混合し混合液を得た。前記混合液の最終メスアップ時に合わせて、ピラジン類/脂肪酸分解物類が1.0となるように水蒸気蒸留エキスAを混合し、茶抽出物(株式会社伊藤園「テアフラン90S」)を1.6g添加し、更にビタミンCを400ppm加え、重曹にてpH調整を行った後、2000mlに純水でメスアップし、「飲料原料液D」を得た。
4.実施例試料の調整
前記飲料用原料液A〜Dをそれぞれ表1に示す混合比率にて混合し、実施例試料1〜8及び比較例試料1〜4を得た。
なお香気成分である脂肪酸分解物類に対するピラジン類の比率については、本願発明の要件にあわせ、水蒸気蒸留エキスA及び又はBを適宜添加し、それぞれ表2に示す香気成分比率となるように調整を行った。
なお、実施例試料8に関しては、テアニン製剤(太陽化学(株)「サンテアニン」)をアミノ酸量が25mg/100mlになるように添加した。
また、調整した実施例試料1〜8及び比較例試料1〜4は、それぞれUHT殺菌(135℃、30秒)し、プレート内で冷却し85℃にて、透明プラスチックボトル(PETボトル)に充填した。
Figure 2016041020
表1の通りに調製した実施例試料1〜8及び比較例試料1〜4について、ぞれぞれ本願発明の構成要件である香気成分等について、表2の通り分析測定を行った。
Figure 2016041020
なお、本実施例においては、各成分の分析は、以下に示す方法によって測定した。
(1)各成分の測定方法(単糖類、二糖類、各カテキン類、カフェイン)
既述のとおり、単糖類、二糖類、総カテキン類、電子局在カテキン類、カフェイン及びアミノ酸の濃度は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定した。
(2)浮遊物質濃度(suspended solids(SS)))
浮遊物質濃度(suspended solids(SS))については、JIS(日本工業規格)K0102の9の方法に準拠し、5℃のサンプルを供試し測定した。ろ過材(メンブレンフィルター(セルロースアセテートタイプ)、孔径1μm、径47mm(東洋濾紙社製))をろ過器に取り付け、サンプル適量(45〜100ml)をろ過器に注ぎ入れて吸引ろ過し、その後50mlの純水にて洗浄を行い、ろ過材をピンセットを用いてろ過器から取り外し、90℃で30分間乾燥した。そのろ過材をデシケーター中で放冷し、ろ過材上の残留物質の質量を測定した。
(3)ピラジン類群、脂肪酸分解物類群
ピラジン類群の含量比及び脂肪酸分解物類群の含量比は、以下に示す装置を用い、SPME法(固層マイクロ抽出法)で測定した。
なお、本実施例で測定されたピラジン類は、メチルピロール、メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、エチルピラジン、及び3−エチル2,5−ジメチルピラジンであり、脂肪酸分解物類群は、1−ペンテン−3−オール、Z−2−ペンテン−1−オール、2Z,4E−ヘプタジエナール、2E,4E−ヘプタジエナールである。
(分析装置/仕様)
SPMEファイバー:スペルコ社製DVB/carboxen/PDMS
装置:アジレント社製5973N
GC−MSシステム
カラム:アジレント社製DB−WAX,60mm×0.25mm×0.25μm
カラムオーブン:35〜240℃、6℃/min
(測定方法)
バイアル瓶にサンプル10mlとNaCl3g、内部指標として0.1% シクロヘキサノールを5μL添加し密閉した後、60℃に加温して30分間SPME法(固相マイクロ抽出法)で抽出し以下の装置を用いて測定した。
ピラジン類群、脂肪酸分解物類群の含有比は、得られたMSスペクトルより、特徴のあるピークを選定し面積値から算出した。
(評価方法)
実施例試料1〜8及び比較例試料1〜4全てについて、専門のパネリスト10人が、15℃で200mlを飲み干した状態で官能評価を実施し、それぞれのサンプルについて5段階評価(5〜1点)をしてその平均値を算出し、良好な評価の順にそれぞれ「◎」(5点)、「○」(4点)、「△」(3点)、「▲」(2点)、「×」(1点)とした。また、総合評価は上記各々評価の合計点が、20〜17点を◎、16〜14点を○、13〜11点を△、10点以下、若しくは上記各項目のいずれかで×、即ち1点評価があった場合は×とした。なお、それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。
(評価項目)
本が発明は、冷温領域から常温領域において飲用する場合において強調される苦渋味を抑え、また、少量の飲用であっても、薄くて物足りないという印象を与えず、高級緑茶のような飲み応えのある濃度感を味わえつつも、のど越しが良く、良好な味の余韻を愉しめる容器詰緑茶飲料を得ることを目的としていることから、これを達成できているか否かについて、以下の4項目において前記評価基準によって採点を行うことで評価した。
・含み香
・香の余韻
・爽快味
・満足感(渋味の心地よいコク):好適な渋味
前記評価項目による官能試験結果を表3に示す。
Figure 2016041020
(考察)
本実施例においては、通常の容器詰緑茶飲料よりも少ない200mlという容量で、且つ15℃の常温に近い状態で飲用した場合に、実施例試料1〜8についてからについて「含み香」、「香りの余韻」、「爽快味」、「満足感(渋味の心地よいコク):好適な渋味」の評価項目のいずれについても比較例試料に対して優れている旨を確認できた。
これに対して、本願発明の要件を満たさない比較例試料1〜4については、評価項目一つ以上において、最低である1点の評価となり、飲料としての要件を満たさないことが判明した。
本発明は、容器詰緑茶飲料及びその製造方法であって、並びに容器詰緑茶飲料の苦渋味抑制方法に利用することができる。

Claims (8)

  1. 飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0であって、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0であることを特徴とする容器詰緑茶飲料。
  2. 前記酸性アミノ酸の含有量がアスパラギン酸とグルタミン酸の合計含有量であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰緑茶飲料。
  3. 前記ガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)が10.0〜75.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器詰緑茶飲料。
  4. 飲料液中の脂肪酸分解物類の含有量に対するピラジン類の含有量比率が2.0〜65.0であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の容器詰緑茶飲料。
  5. 飲料液中のアミノ酸含有量合計(mg/100ml)が25.0未満であることが特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の容器詰緑茶飲料。
  6. 飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0となるように調整され、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0となるように調整されることを特徴とする容器詰緑茶飲料の製造方法。
  7. 前記ガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)が10.0〜75.0であることを特徴とする請求項6に記載の容器詰緑茶飲料の製造方法。
  8. 飲料液中に含まれるアミノ酸の内、酸性アミノ酸の含有量(mg/100ml)に対するガレート型カテキンの含有量(mg/100ml)の比率が5.0〜25.0となるように調整され、前記飲料液中に含まれる脂肪酸分解物類の合計含有量に対するピラジン類の合計含有量比率が2.0〜70.0となるように調整されることを特徴とする容器詰緑茶飲料の苦渋味調整方法。
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