JP2016040769A - 透明導電積層体およびその製造方法 - Google Patents

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直樹 今津
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Abstract

【課題】透明導電性に優れた透明導電積層体の提供。
【解決手段】透明基材上にアンダーコート層(X)と導電層(Y)とを透明基材側からこの順で有し、かつ以下の(i)〜(iii)を満たす透明導電積層体。(i)アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす。[A]直径25〜50nmの粒子が10〜50%[B]直径70〜95nmの粒子が10〜50%(ii)導電層(Y)がカーボンナノチューブ(C)及びカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む(iii)カーボンナノチューブバンドル径の平均が以下の(a)又は(b)のいずれかを満たす(a)光吸収率1〜5%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が2.5〜3.5nm(b)光吸収率5〜9%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が3.5〜4.4nm
【選択図】図2

Description

本発明は、透明導電積層体に関する。より詳細には、透明導電性に優れる透明導電積層体およびその製造方法に関する。なお、本発明における透明導電積層体とは、透明基材上に、基材とは異なる材料を少なくとも一層以上積層させたものを指す。
カーボンナノチューブは実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブ、中でも特に2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、自体が優れた真性の導電性を有し、導電性材料として使用されることが期待されている。
カーボンナノチューブを用いた透明導電積層体を作製するために、カーボンナノチューブを均一に分散液中に分散させる必要がある。良好な分散性を有したカーボンナノチューブの分散手法については今まで多くの検討がなされてきた。カーボンナノチューブの溶媒中への均一分散は比較的容易に達成でき、その分散性の評価法も各種検討されている。
例えば特許文献1には、走査型電子顕微鏡観察にて基材上のカーボンナノチューブのバンドル集合状態であるロープ形状を確認した例が記載されている。
また、特許文献2には、カーボンナノチューブ分散液のpHを塩基性にすることで、カルボン酸のイオン化による反発性基を利用し、分散性を向上した透明導電体の例が記載されている。
さらに、特許文献3には、走査型電子顕微鏡観察で観察したときのカーボンナノチューブのバンドル径を定量的に算出した例が記載されている。
特開2008−108575号公報 特開2009−508292号公報 特開2009−29695号公報
しかしながら、特許文献1においては、好ましい基材上のバンドル径が20〜100nmとあり、均一なカーボンナノチューブ分散体としては不十分である。
特許文献2においては、好ましい基材上のバンドル径が20nm未満とあるが、具体的な達成手段は示されていない。
特許文献3においては、カーボンナノチューブのバンドル径の平均が20nm以下との記載があるが、走査型電子顕微鏡観察の際に基材上にコーティングしたカーボンナノチューブサンプルを用いておらず、基材上でのバンドル径を直接反映しているものではない。
本発明は、前記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、透明導電性に優れた透明導電積層体を提供することである。
本発明は以下の透明導電積層体を提供する。
透明基材上にアンダーコート層(X)と導電層(Y)とを透明基材側からこの順で有し、かつ以下の(i)〜(iii)を満たす透明導電積層体。
(i)前記アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす
[A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
[B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である
(ii)前記導電層(Y)がカーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む
(iii)カーボンナノチューブバンドル径の平均が以下の(a)または(b)のいずれかを満たす
(a)光吸収率1%以上、5%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が2.5nm以上、3.5nm以下
(b)光吸収率5%以上、9%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が3.5nm以上、4.4nm以下。
本発明によれば、透明導電性に優れる透明導電積層体を提供することができる。
本発明におけるカーボンナノチューブの合成方法を説明する概略図である。 実施例1,2,3、比較例1,2,3および比較例4,5,6のアンダーコート層表面における無機酸化物粒子の粒子数を表したヒストグラムである。
本発明の透明導電積層体は、透明基材上にアンダーコート層(X)と導電層(Y)とを透明基材側からこの順で有し、かつ以下の(i)〜(iii)を満たす透明導電積層体に関するものである。
(i)前記アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす
[A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
[B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である
(ii)前記導電層(Y)がカーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む
(iii)カーボンナノチューブバンドル径の平均が以下の(a)または(b)のいずれかを満たす
(a)光吸収率1%以上、5%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が2.5nm以上、3.5nm以下
(b)光吸収率5%以上、9%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が3.5nm以上、4.4nm以下。
本発明の透明導電積層体は、かかる構成を有することにより、透明導電積層体を用いる電子デバイスに用いた場合、デバイスの透明導電性を向上させることができる。
本発明の透明導電積層体の製造方法は、透明基材上に、以下の(i)を満たすアンダーコート層(X)を設けるアンダーコート層(X)形成工程と、カーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む分散液をアンダーコート層(X)上に設ける導電層(Y)形成工程とを有することが好ましい。
(i)前記アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす
[A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
[B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である。
[透明基材]
本発明に用いられる透明基材の素材としては、樹脂、ガラスなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどを用いることができる。ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の透明基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた透明基材、2種以上の樹脂を積層した透明基材などの複合透明基材であってもよい。樹脂フィルムにハードコートを設けたようなものであってもよい。透明基材の種類は前記に限定されることはなく、用途に応じて耐久性やコスト等から最適なものを選ぶことができる。透明基材の厚みは特に限定されるものではないが、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連の電極に用いる場合、10μm〜1,000μmの間にあることが好ましい。
[アンダーコート層]
本発明の透明導電積層体は透明基材上にアンダーコート層を設けることが好ましい。また、アンダーコート層には無機酸化物粒子を含むことが好ましい。
(1)アンダーコート層
アンダーコート層に含まれるバインダーの種類は、以下の無機酸化物粒子と混合できるものであれば特に限定されない。例えばフェノール、シリコン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、オレフィン、ビニル、アクリル、セルロースなどが好ましい。
アンダーコート層の水接触角は、アンダーコート層を形成する塗料組成物中の無機酸化物粒子の含有量を調節し、アンダーコート層の表面積を増加させたり、バインダーに含まれる親水性官能基の共重合量を多くしたりすることにより小さくすることができる。よって、アンダーコート層の水接触角は、無機酸化物粒子の含有量や、バインダーに含まれる親水性官能基の共重合量、親水性官能基の種類によって、適宜調整することができる。
アンダーコート層の厚みは後述するようにカーボンナノチューブ(以降、CNTと記す場合もある)分散液塗布時に分散剤が移行できる厚みであれば、限定されない。光学干渉による反射防止効果が有効に得られる厚みであれば、光線透過率が向上するため好ましい。このため、後述するオーバーコート層の厚みと合わせた厚みが20〜400nmの範囲にあることが好ましい。
(2)無機酸化物粒子
アンダーコート層に含まれる無機酸化物粒子とは、有機化合物以外の化合物の中で、共有結合を有し、2種以上の原子からなる分子が最小単位となる化合物からなる粒子をいう。
本発明においてアンダーコート層が無機酸化物粒子を含有することにより、アンダーコート層表面のぬれ性が向上する。その結果、アンダーコート層の上に形成される導電層に含まれるカーボンナノチューブが分散しやすくなるため好ましい。
アンダーコート層表面における無機酸化物粒子の全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子数が10〜50%であり、直径70〜95nmの粒子数が10〜50%であることが好ましい。この範囲にあることによりアンダーコート層における無機酸化物粒子は最密充填構造を有することでき、カーボンナノチューブを凝集させることなく高分散状態で、アンダーコート層上に塗布できるため好ましい。より好ましくは、直径25〜50nmの粒子数が15〜40%であり、直径70〜95nmの粒子数が20〜40%である。さらに好ましくは、直径25〜50nmの粒子数が20〜30%であり、直径70〜95nmの粒子数が25〜35%である。
ここで、アンダーコート層表面における全粒子数とは、後述する方法で得られたアンダーコート層表面の画像における粒子の総数をいう。また、粒子の直径とは、原子間力顕微鏡(以降、AFMと記す)で観察したアンダーコート層表面における粒子の直径のことをいう。ここで粒子の直径とは、粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径、すなわち、円相当径(ヘイウッドHeywood径)のことをいう。アンダーコート層表面における粒子の直径の測定は、AFMによりアンダーコート層の表面を測定した後、装置付属のソフトにより粒経分析を行うことで取得することが可能である。
無機酸化物の組成としては、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、各種金属酸化物からなる粒子などが好ましい。バインダーへの分散性や、粒子の硬度、耐熱性、耐アルカリ接着性の点から無機コロイド粒子が好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。特にシリカ粒子またはアルミナ被覆シリカ粒子や、シリカ粒子およびアルミナ被覆シリカ粒子を混合したものが好ましい。
本発明において、粒子はアンダーコート層表面に凹凸を付与することを目的の1つとしており、本発明に用いられる粒子形状は特に限定されない。
本発明に用いる粒子の形状としては、1次粒子の形状が例えば球形、回転楕円体形、幾何学的な形状(立方体・ロッド状・板状・繊維状・テトラポッド形・三角柱形)の粒子が挙げられる。また、2次粒子の形状として、鎖状形、パールネックレス状形などが挙げられる。表面凹凸付与の観点より、球形、鎖状形、パールネックレス状形が好ましい。また、必要に応じてこれらの粒子を混合し併用することができる。
粒子の形状が球形とは、粒子が立体的な球状の粒子であることをいう。球形の無機粒子としては、日産化学工業(株)社製の“スノーテックス”“ナノユース”“セルナックス”(登録商標)シリーズや日揮触媒化成(株)社製の“カタロイド”シリーズや日本触媒(株)社製の“シーホスター”(登録商標)シリーズなどが好ましく用いられる。球形の有機粒子としては、アイカ工業(株)社製の“ガンツパール”シリーズや東洋紡(株)社製の“タフチック”(登録商標)シリーズや日本触媒(株)社製の“エポスター”(登録商標)シリーズなどが好ましく用いられる。粒子の形状が鎖状形とは、球形の1次粒子が数珠状に連結及び/又は分岐し、鎖状の構造を形成した形状であることをいう。1次粒子の平均粒子径が3〜20nmであることが好ましい。1次粒子の平均連結数は、2〜30個であることが好ましく、2〜30個の1次粒子が鎖状に連結した無機酸化物粒子であることが好ましい。鎖状形の無機粒子としては、日産化学工業(株)社製の“スノーテックス”(登録商標)シリーズや日揮触媒化成(株)社製の“カタロイド”シリーズなどが好ましく用いられる。鎖状形の有機粒子としては、東洋紡(株)社製の“タフチック”(登録商標)シリーズなどが好ましく用いられる。粒子の形状がパールネックレス状形とは、3次元の各方向に分岐した構造を有する形状であり、パールネックレス状形である粒子は数珠の球に相当する球状粒子と糸に相当する粒子とから構成されることをいう。パールネックレス状形の無機粒子としては、日産化学工業(株)社製の“スノーテックス”(登録商標)シリーズなどが好ましく用いられる。パールネックレス状形の有機粒子としては、東洋紡(株)社製の“タフチック”(登録商標)シリーズなどが好ましく用いられる。
(3)アンダーコート層の形成方法
前述した無機酸化物粒子、並びに必要に応じて、バインダー、添加剤、溶媒を含有する塗料組成物を透明基材上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、透明基材上にアンダーコート層を形成することができる。
また、溶媒として水系溶媒を用いることが好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一なアンダーコート層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合されているものを指す。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一なアンダーコート層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
塗料組成物の透明基材上への塗布方法はインラインコート法、オフコート法のどちらでも用いることができる。
インラインコート法とは、透明基材の製造工程内で塗布を行う方法である。具体的には、透明基材を構成する熱可塑性樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後、急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)熱可塑性樹脂フィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)熱可塑性樹脂フィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)熱可塑性樹脂フィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
オフコート法とは、既知のウェットコーティング方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また、ドライコーティング方法を用いてもよい。乾式コーティング方法としては、スパッタリング、蒸着などの物理気相成長や化学気相成長などが利用できる。また塗布は、複数回に分けて行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせてもよい。好ましい塗布方法は、ウェットコーティングであるグラビアコーティング、バーコーティング、スロットダイコーティングである。
[カーボンナノチューブ]
本発明において用いられるCNTは、実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有するものであれば特に限定されず、グラファイトの1枚面を1層に巻いた単層CNT、多層に巻いた多層CNTいずれも適用できるが、中でもグラファイトの1枚面を2層に巻いた2層CNTが100本中に50本以上含まれているCNTであると、導電性ならびに塗布用分散液中でのCNTの分散性が極めて高くなることから好ましい。さらに好ましくは100本中75本以上が2層CNT、最も好ましくは100本中80本以上が2層CNTである。なお、2層CNTが100本中に50本含まれていることを、2層CNTの割合が50%と表示することもある。また、2層CNTは酸処理などによって表面が官能基化された場合でも導電性などの本来の機能が損なわれ難い点からも好ましい。
CNTは、例えば次のように製造される。マグネシアに鉄を担持した粉末状の触媒を、縦型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在させ、該反応器内にメタンを鉛直方向に供給し、メタンと前記触媒を500〜1,200℃で接触させ、CNTを製造した後、CNTを酸化処理することにより、単層〜5層のCNTを含有するCNTを得ることができる。CNTは、製造した後、酸化処理を施すことにより単層〜5層の割合を、特に2層〜5層の割合を増加させることができる。酸化処理は例えば、硝酸処理する方法により行われる。硝酸はCNTに対するドーパントとしても作用するため、好ましい。ドーパントとは、CNTに余剰の電子を与える、または電子を奪ってホールを形成する作用をなすものであり、自由に動くことのできるキャリアを生じさせることにより、CNTの導電性を向上させるものである。硝酸処理に当たっての条件は本発明のCNTが得られる限り、特に限定されないが、通常、140℃のオイルバス中で行われる。硝酸処理の時間は特に限定されないが、5時間〜50時間の範囲であることが好ましい。
[カーボンナノチューブ分散剤]
本発明においてCNTの分散剤としては、界面活性剤、各種分散剤(水溶性分散剤等)等を用いることができるが、分散性が高いイオン性分散剤を含むことが好ましい。イオン性分散剤としてはアニオン性分散剤やカチオン性分散剤、両性分散剤がある。CNT分散能が高く、分散性を保持できるものであればどの種類も用いることができるが、分散性、および分散保持性に優れることから、アニオン性分散剤が好ましい。なかでも、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸の塩がCNT分散液においてCNTを効率的に分散することができ好ましい。
本発明において、カルボキシメチルセルロース塩、ポリスチレンスルホン酸塩を用いる場合、塩を構成するカチオン性の物質としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のカチオン、アンモニウムイオン、あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、エチルアミン、ブチルアミン、ヤシ油アミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン等の有機アミンのオニウムイオン、または、これらのポリエチレンオキシド付加物を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
CNT分散液を調製する方法としては、原料として使用するCNTの表面改質および/またはCNT分散剤の選択により行われる。
CNT分散液を調整するためのCNT表面改質処理の方法は特に限定されないが、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理処理、酸処理やアルカリ処理などの化学的処理により、カルボキシル基、ヒドロキシル基等のアニオン性基をCNT側壁に導入することが好ましい。
CNT分散液を調整するためのCNT分散剤としては、CNT分散能が高く、分散性を保持できるものであればどの種類も用いることができる。中でも、分散剤として、上記記載のアニオン性分散剤が最も好ましい。アニオン性分散剤を使用した場合、CNT分散液のpHが5.5〜11であると、CNT表面を修飾しているカルボン酸など酸性官能基や、CNTの周りに位置している分散剤に含まれるカルボン酸などの酸性官能基の電離度が向上し、その結果、CNT、あるいはCNT周りの分散剤がマイナスの電位を帯びる。以上より、CNT分散液を調製する方法として、静電反発を利用するために、アニオン性のイオン性分散剤を選択することが最も好ましい。
また、前項に示した、CNT表面改質を組み合わせることで、アニオン性分散剤に限らず、カチオン性分散剤および両性分散剤も用いることができる。
本発明では、アンダーコート層とCNT間の静電相互作用を利用するために、CNT分散液中に存在するアニオン性を有するCNTが、CNT分散液と比較してカチオン性を有するアンダーコート層の表面に引き寄せられ、静電吸着により高分散状態が実現できたと考えられる。よって、同様に、CNT分散液中に存在するカチオン性を有するCNTが、CNT分散液と比較してアニオン性を有するアンダーコート層の表面に引き寄せられ、静電吸着により高分散状態を実現することも可能である。
分散剤の重量平均分子量は100以上が好ましい。重量平均分子量が100以上であればCNTとの相互作用がより効果的に生じ、CNTの分散がより良好となる。CNTの長さにもよるが、重量平均分子量が大きいほど分散剤がCNTと相互作用し分散性が向上する。例えば、ポリマーの場合であれば、ポリマー鎖が長くなるとポリマーがCNTにからみつき、非常に安定な分散が可能となる。しかし、重量平均分子量が大きすぎると逆に分散性が低下する場合があるので、重量平均分子量は好ましくは1,000万以下であり、さらに好ましくは、100万以下である。最も好ましい重量平均分子量の範囲は1万〜50万である。
CNT分散液のpHは、アレニウスの定義による酸性物質や塩基性物質をCNT分散液に添加することで調整できる。酸性物質は、例えば、プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸や、有機カルボン酸、フェノール類、有機スルホン酸等が挙げられる。さらに、有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、ショウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。有機スルホン酸としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ピレンスルホン酸などが挙げられる。この中でも好ましいのは、塗布乾燥時に揮発する揮発酸であり、例えば塩酸、硝酸などである。
塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどが挙げられる。この中でも好ましいのは、塗布乾燥時に揮発する揮発塩基であり、例えばアンモニアである。
CNT分散液のpH調整は、pHを測定しながら、上記酸性物質および/または塩基性物質を所望のpHとなるまで添加することで行う。pH測定法としては、リトマス試験紙などのpH試験紙を用いる方法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法などが挙げられるが、この中でもガラス電極法が簡便であり、必要な精度を得られるため好ましい。また、酸性物質、あるいは、塩基性物質を過剰に添加して所望のpH値を超えてしまった場合には、逆の特性を持つ物質を添加してpHを調整すればよい。かかる調整に適用する酸性物質としては硝酸が、塩基性物質としてはアンモニアが好ましい。
本発明において用いられるCNT分散液の調製に用いる分散媒は、廃液の処理が容易である等の観点から、水が好ましい。
本発明において用いるCNT分散液の調製方法は、特に限定されないが、例えば次のような手順で行うことができる。分散時の処理時間が短縮できることから、一旦、分散媒中にCNTを0.003〜0.15質量%の濃度範囲で含まれる分散液を調製した後、希釈することで、所定の濃度とすることが好ましい。本発明において、CNTに対する分散剤の質量比は10以下であることが好ましい。かかる好ましい範囲であると、均一に分散させることが容易である一方、導電性低下の影響が少ない。CNTに対する分散剤の質量比は0.5〜9であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましい。CNT分散液の調製時の分散手段としては、CNTと分散剤を分散媒中で塗液製造に慣用の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合することが挙げられる。また、これら複数の混合分散機を組み合わせて段階的に分散を行ってもよい。中でも、振動ボールミルで予備的に分散を行った後、超音波装置を用いて分散する方法が、得られる塗布用分散液中のCNTの分散性が良好であることから好ましい。
[透明導電積層体の製造方法]
本発明の透明導電積層体の製造方法は、透明基材上に、以下の(i)を満たすアンダーコート層(X)を設けるアンダーコート層(X)形成工程と、カーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む分散液をアンダーコート層(X)上に設ける導電層(Y)形成工程とを有する透明導電積層体の製造方法であることが好ましい。以下で各工程を説明する。
(i)前記アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす。
[A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
[B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である。
[アンダーコート層形成工程]
前述した[アンダーコート層]の項で説明したとおり、無機酸化物粒子、並びに必要に応じて、バインダー、添加剤、溶媒を含有する塗料組成物を透明基材上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、透明基材上にアンダーコート層を形成することができる。
[導電層形成工程]
本発明の透明導電積層体において、導電層は、CNT分散液をアンダーコート層の上に塗布する塗布工程と、その後分散媒を除去する乾燥工程を経て形成される。塗布工程では、前記方法により得たCNT分散液を、透明基材上に設けたアンダーコート層の上に塗布するとき親水性の部位を持つCNT分散剤が、無機酸化物粒子を含むことにより親水性を有するアンダーコート層の表面に引き寄せられ、吸着されると考えられる。また、その後分散媒を乾燥させてCNTをアンダーコート層上に固定してCNT層を形成するが、分散媒がアンダーコート層の上に残存しており、CNT分散剤がCNTからアンダーコート層の表面へ移動可能な状態である間は、塗布時と同様、CNT分散剤が親水基を有するアンダーコート層の表面に引き寄せられ、吸着されると考えられる。このように、無機酸化物粒子を含むアンダーコート層に分散剤が吸着されることで、CNT層のCNT分散剤量が低下しているものと考えられる。また、CNT分散液を塗布厚み1μm〜50μmの範囲で塗布し、分散媒がCNT層中から乾燥によって除去される時間が0.1秒〜100秒の範囲であれば、かかるメカニズムによる分散剤の吸着をより効果的に生じさせることができるため好ましい。
また、CNT分散液を透明基材上に塗布後乾燥させて作製する透明導電積層体においては、塗布後の乾燥時の分散液の濃度上昇や、CNT分散液と透明基材との間に生じる静電反発力により、CNTのバンドル化が起こる場合がある。ところが、分散液中においてCNTをマイナスに帯電させるとともに、かかるCNT分散液を、アンダーコート層上に塗布して乾燥させることにより、CNT分散液中に分散したCNTがアンダーコート層に静電吸着され、透明基材上での乾燥時に起こっていたCNTのバンドル化を抑制することができるため好ましい。これにより、透明導電性に優れた透明導電積層体を得ることができる。
本発明の透明導電積層体において、分散液を透明基材上に塗布する方法は特に限定されない。既知の塗布方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また塗布は、複数回に分けて行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせてもよい。最も好ましい塗布方法は、グラビアコーティング、バーコーティング、スロットダイコーティングである。
CNT分散液を透明基材上に塗布する際の塗布厚みは、CNT分散液の濃度にも依存するため、望む表面抵抗値が得られるように適宜調整すればよい。本発明におけるCNT塗布量は、導電性を必要とする種々の用途を達成するために、容易に調整可能である。例えば、塗布量が0.1mg/m〜5mg/mであれば、以下で示すオーバーコート後の光吸収率を4%以下とすることができ、好ましい。
[オーバーコート処理]
本発明においては導電層形成後、オーバーコート処理を行ってもよい。オーバーコート処理を行うことにより、導電層内のカーボンナノチューブの間の空間にマトリックスが形成されたり、あるいは、導電層の上面に被膜が形成されたりするので、さらに透明導電性や耐熱性安定性、耐湿熱安定性が向上するため好ましい。以下、オーバーコート処理により形成されるマトリックスや被膜を総称して、オーバーコートと記す。
オーバーコートに用いる材料としては有機材料、無機材料ともに用いることができるが、抵抗値安定性の観点から無機材料が好ましい。無機材料としては、シリカ、酸化錫、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物が挙げられるが、抵抗値安定性の観点からシリカが好ましい。
本発明において、オーバーコート処理を行う方法は特に限定されない。既知の湿式コーティング方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、バーコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷、またはなどが利用できる。また、乾式コーティング方法を用いてもよい。乾式コーティング方法としては、スパッタリング、蒸着などの物理気相成長や化学気相成長などが利用できる。またオーバーコート処理を行う操作は、複数回に分けて行ってもよく、異なる2種類の方法を組み合わせてもよい。好ましい方法は、湿式コーティングであるグラビアコーティング、バーコーティングである。
湿式コーティングを用いてシリカ層を形成する方法として、有機シラン化合物を用いることが好ましく、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシランなどの有機シラン化合物を加水分解して作製したシリカゾルを溶媒に溶解したものを塗布液として、前記湿式コーティングを行い、溶媒乾燥時に、シラノール基同士の脱水縮合を生じさせ、シリカ薄膜を形成させる方法が挙げられる。
オーバーコートの付着量は、塗布液中のシリカゾル濃度および塗布時の塗布厚みを調整することで制御する。
[透明導電性]
上述のようにして透明導電性に優れる透明導電積層体を得ることができる。透明導電性とは透明性と導電性を兼ね備えていることを示す。導電性の指標としては表面抵抗値が用いられ、表面抵抗値が低い方が導電性は高い。透明性の指標として、カーボンナノチューブ層光吸収率(以下、単に「光吸収率」と記載することもある)が挙げられる。カーボンナノチューブ層光吸収率は、波長550nmにおける次式で表される指標である。
カーボンナノチューブ層光吸収率(550nm)=100−全光透過率(550nm)−相対反射率(550nm)。
本発明の透明導電積層体は、光吸収率と表面抵抗値とが以下の(a)〜(c)のいずれかを満たすことが好ましい。
(a)光吸収率1%以上、3%未満における表面抵抗値が500Ω/□以上、1,400Ω/□以下
(b)光吸収率3%以上、5%未満における表面抵抗値が200Ω/□以上、500Ω/□以下
(c)光吸収率5%以上、7%未満における表面抵抗値が100Ω/□以上、200Ω/□以下。
なお、透明性の指標として代表的なものは、光吸収率であり、導電層を1層含んだ透明導電積層体の光吸収率が実用的な意味がある。
また、導電性の指標として代表的なものは、透明導電積層体の表面抵抗値であり、導電層を1層含んだ透明導電積層体の表面抵抗値が実用的な意味がある。
かかる導電性(表面抵抗値)、及び、透明性(カーボンナノチューブ層光吸収率)は、カーボンナノチューブ塗布量により調整することができる。しかしながら、カーボンナノチューブ塗布量が少ないと、導電性は低くなる一方、透明性は高くなり、塗布量が多いと導電性は高くなる一方、透明性は低くなる。すなわち、両者はトレードオフの関係にあり、両者を共に満たすことは困難である。かかる関係があるため、透明導電性を比較するためには、どちらかの指標を固定化してその上でもう一方の指標を比較する必要がある。
本発明により得られる透明導電積層体は、走査型電子顕微鏡で観察したカーボンナノチューブバンドル径の平均が以下の(a)または(b)のいずれかを満たすことが好ましい。
(a)光吸収率1%以上、5%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が2.5nm以上、3.5nm以下
(b)光吸収率5%以上、9%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が3.5nm以上、4.4nm以下。
カーボンナノチューブのバンドル化の抑制により、従来の技術によるものに比較してカーボンナノチューブを効果的に用いることができ、カーボンナノチューブの塗布量を減らした状態で高い導電性を達成することが可能となるためである。さらに、バンドル径の低下によりカーボンナノチューブ層の表面の平滑性が向上するため好ましい。よって、表面平滑性を必要とする有機エレクトロルミネッセンス等への用途の透明電極に好ましく使用できる。
カーボンナノチューブのバンドル径の測定手法としては、測定精度の観点から、金属を蒸着することなく観察可能な走査型電子顕微鏡を用いることが好ましい。なお、バンドル径を測定する際のカーボンナノチューブ層の厚みについては特に限定はない。
[用途]
本発明の透明導電積層体は、カーボンナノチューブの分散状態の均一性が高く電圧を均一にかけることが可能になるため、電子ペーパーに好ましく用いることができる。また、カーボンナノチューブの分散状態の均一性が高く描画耐久性に優れているため、タッチパネルおよびタッチスイッチに好ましく用いることができる。さらに、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスなどのディスプレイ関連の電極、および透明面状発熱体用の電極として好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。本実施例で用いた測定法を以下に示す。
(1)表面抵抗値
5cm×10cmにサンプリングした透明導電積層体のカーボンナノチューブ層側の中央部にプローブを密着させて、4端子法により室温下で抵抗値を測定した。使用した装置は、ダイアインスツルメンツ(株)製の抵抗率計MCP−T360型、使用したプローブはダイアインスツルメンツ(株)製の4探針プローブMCP−TPO3Pである。
(2)カーボンナノチューブ層光吸収率
5cm×10cmにサンプリングした透明導電積層体を(株)島津製作所製の紫外可視赤外分光光度計UV−3150を用いて測定した。透明導電積層体の導電層が形成された側から垂直に光を入射させ、550nmの全光透過率と相対反射率を測定して下式により光吸収率を算出することで、透明導電積層体の光吸収率を求めた。
光吸収率(550nm)=100−全光透過率(550nm)−相対反射率(550nm)。
(3)カーボンナノチューブのバンドル径測定
オーバーコート処理前のサンプルを、金属を蒸着することなく観察可能な走査型電子顕微鏡(Hitachi,SU8000)を用いて、加速電圧2.0kV,100,000倍で2視野観察した。各視野ごとに得られた顕微鏡画像を横方向に4等分する縦方向の線を3本引き、該3本の線との交点に存在するカーボンナノチューブのバンドル径をすべて測定した。なお、前記3本の線との交点に存在するカーボンナノチューブが50本に満たない場合は、上記の3本の線の中間に前記3本の線と平行に4本の線を引き、それらの4本の線との交点に存在するカーボンナノチューブのバンドル径についても測定した。この様にして測定対象のカーボンナノチューブを1視野あたり50本以上とし、2視野すべてについて平均値を算出した。
(4)無機酸化物粒子の直径
無機酸化物粒子の直径は、原子間力顕微鏡(以降、AFMと記す)で観察したアンダーコート層表面における粒子の直径(円相当径(ヘイウッドHeywood径))のことをさす。AFM(BRUKER,ScanAsyst Air)により、測定モードScanAsyst Airで行い、AFMカンチレバーとして、BRUKER,ScanAsyst−Airを用いた。測定条件は、1μm×1μmの視野において、走査速度1.0Hz、画素数512×512とした。
上記の条件でアンダーコート層表面を測定した後、画像解析ソフト(東陽テクニカ,SPIP)により以下のように粒子直径を解析した。HeightSensor像に対して、汎用のプラグイン(PrugIn_BoundaryDropper(Particle7x7))にて粒子の境界を強調した後、画像イメージの端は含まず閾値の自動算出で粒子検出を行った。上記の画像解析で得られた直径をヒストグラム化し、1μm×1μmにおける全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子数および直径70〜95nmの粒子数の割合をそれぞれ算出した。
<粒子種類>
アンダーコート層の形成に用いた粒子は、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製 “スノーテックス”(登録商標))のうち、以下のグレードを用いた。
スノーテックス−OL(以下、ST−OL)
スノーテックス−O(以下、ST−O)
スノーテックス−AKL(以下、ST−AKL)
スノーテックス−AK(以下、ST−AK)
スノーテックス−OUP(以下、ST−OUP)
スノーテックス−PS−SO(以下、ST−PS−SO)。
<CNT分散液>
各実施例および比較例に用いたCNT分散液の製造方法を以下に示す。
(1)触媒調製例:マグネシアへの触媒金属塩の担持
クエン酸アンモニウム鉄(和光純薬工業(株)製)2.46gをメタノール(関東化学(株)製)500mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷化学工業(株)製 MJ−30)を100.0g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理し、懸濁液を減圧下、40℃で濃縮乾固した。得られた粉末を120℃で加熱乾燥してメタノールを除去し、酸化マグネシウム粉末に金属塩が担持された触媒体を得た。得られた固形分は篩い上で、乳鉢で細粒化しながら、20〜32メッシュ(0.5〜0.85mm)の範囲の粒径のものを回収した。得られた触媒体に含まれる鉄含有量は0.38質量%であった。また、かさ密度は、0.61g/mLであった。前記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
(2)CNT集合体製造例:CNT集合体の合成
図1に示した装置を用いてCNTの合成を行った。反応器503は内径75mm、長さは1,100mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板502を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ラインである混合ガス導入管508、上部には廃ガス管506を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器として3台の電気炉501を具備する。また反応管内の温度を検知するために熱電対505を具備する。
触媒調製例で調製した固体触媒体132gをとり、鉛直方向に設置した反応器の中央部の石英焼結板上に導入することで触媒層504を形成した。反応管内温度が約860℃になるまで、触媒体層を加熱しながら、反応器底部から反応器上部方向へ向けてマスフローコントローラー507を用いて窒素ガスを16.5L/分で供給し、触媒体層を通過するように流通させた。その後、窒素ガスを供給しながら、さらにマスフローコントローラー507を用いてメタンガスを0.78L/分で60分間導入して触媒体層を通過するように通気し、反応させた。この際の固体触媒体の質量をメタンの流量で割った接触時間(W/F)は、169分・g/L、メタンを含むガスの線速が6.55cm/秒であった。メタンガスの導入を止め、窒素ガスを16.5L/分通気させながら、石英反応管を室温まで冷却した。
加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒体とCNTを含有するCNT含有組成物を取り出した。
(3)CNT集合体の精製および酸化処理
CNT集合体製造例で得られた触媒体とCNTを含有するCNT含有組成物を130g用いて4.8Nの塩酸水溶液2,000mL中で1時間撹拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解した。得られた黒色懸濁液は濾過した後、濾取物は再度4.8Nの塩酸水溶液400mLに投入し脱MgO処理をし、濾取した。この操作を3回繰り返した(脱MgO処理)。その後、イオン交換水で濾取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、水を含んだウェット状態のままCNT含有組成物を保存した。このとき水を含んだウェット状態のCNT含有組成物全体の質量は102.7gであった(CNT含有組成物濃度:3.12質量%)。
得られたウェット状態のCNT含有組成物の乾燥質量分に対して、約300倍の質量の濃硝酸(和光純薬工業(株)製、1級、Assay60〜61質量%)を添加した。その後、約140℃のオイルバスで25時間攪拌しながら加熱還流した。加熱還流後、CNT含有組成物を含む硝酸溶液をイオン交換水で3倍に希釈して吸引ろ過した。イオン交換水で濾取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、水を含んだウェット状態のCNT集合体を得た。このとき水を含んだウェット状態のCNT組成物全体の質量は3.351gあった(CNT含有組成物濃度:5.29質量%)。
(4)CNT分散液の調製
得られたウェット状態のCNT集合体(乾燥質量換算で25mg)、6質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)製、セロゲン7A(重量平均分子量:20万))水溶液1.04g、イオン交換水0.8g、ジルコニアビーズ(東レ(株)社製、“トレセラム”(登録商標)、ビーズサイズ:0.8mm)13.3gを容器に加え、28質量%アンモニア水溶液(キシダ化学(株)製)を用いてpH10に調整した。(分散剤/CNT質量比=2.5)この容器を振動ボールミル((株)入江商会社製、VS−1、振動数:1,800cpm(60Hz))を用いて2時間振盪させ、CNTペーストを調製した。
次にこのCNTペーストをCNTの濃度が0.15質量%となるようにイオン交換水で希釈し、その希釈液10gに対して再度28質量%アンモニア水溶液でpH10に調整した。その水溶液を超音波ホモジナイザー(家田貿易(株)製、VCX−130)の出力を20Wとし、1.5分間(0.6kW・分/g)、氷冷下分散処理した。分散中液温が10℃以下となるようにした。得られた液を高速遠心分離機((株)トミー精工、MX−300)にて10,000G、15分遠心処理し、CNT分散液9gを得た。その後、水を添加して終濃度でCNT集合体の濃度が0.03質量%となるように調製してCNT分散液とした。
(実施例1〜21、比較例1〜12)
表1に示す粒子の組み合わせにて無機酸化物粒子A、Bを混合し、固形分濃度5質量%の水溶液を調整し、アンダーコート層塗液を作成した。E値100W・sの条件でコロナ処理を施した厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム 東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)U48上に、ワイヤーバー#6を用いて前記アンダーコート層塗液を塗布した。塗布後、100℃の乾燥機内で1分間乾燥させた。
次に、前記カーボンナノチューブ分散液にイオン交換水を添加して、0.03質量%に調整後、前記のアンダーコート層を設けた透明基材にワイヤーバー#3,#6,12を用いて塗布、100℃乾燥機内で1分間乾燥させカーボンナノチューブ組成物を固定化した。
評価結果および詳細な製造条件については表1〜3に記載する。
Figure 2016040769
Figure 2016040769
Figure 2016040769
透明導電性に優れた本発明の透明導電積層体は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連の電極、および透明面状発熱体用の電極として好ましく用いることができる。
501:電気炉
502:石英焼結板
503:反応器
504:触媒層
505:熱電対
506:廃ガス管
507:マスフローコントローラー
508:ガス導入管

Claims (9)

  1. 透明基材上にアンダーコート層(X)と導電層(Y)とを透明基材側からこの順で有し、かつ以下の(i)〜(iii)を満たす透明導電積層体。
    (i)前記アンダーコート層(X)表面における無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす
    [A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
    [B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である
    (ii)前記導電層(Y)がカーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む
    (iii)カーボンナノチューブバンドル径の平均が以下の(a)または(b)のいずれかを満たす
    (a)光吸収率1%以上、5%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が2.5nm以上、3.5nm以下
    (b)光吸収率5%以上、9%未満におけるカーボンナノチューブバンドル径の平均が3.5nm以上、4.4nm以下
  2. 光吸収率と表面抵抗値とが以下の(a)〜(c)のいずれかを満たす請求項1に記載の透明導電積層体。
    (a)光吸収率1%以上、3%未満における表面抵抗値が500Ω/□以上、1,400Ω/□以下
    (b)光吸収率3%以上、5%未満における表面抵抗値が200Ω/□以上、500Ω/□以下
    (c)光吸収率5%以上、7%未満における表面抵抗値が100Ω/□以上、200Ω/□以下
  3. 前記無機酸化物粒子がシリカ粒子および/またはアルミナ被覆シリカ粒子である請求項1または2のいずれかに記載の透明導電積層体。
  4. 前記無機酸化物粒子が鎖状形の無機酸化物粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電積層体。
  5. 前記カーボンナノチューブ分散剤(D)がイオン性分散剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電積層体。
  6. 透明基材上に、以下の(i)を満たすアンダーコート層(X)を設けるアンダーコート層(X)形成工程と、カーボンナノチューブ(C)およびカーボンナノチューブ分散剤(D)を含む分散液をアンダーコート層(X)上に設ける導電層(Y)形成工程とを有する透明導電積層体の製造方法。
    (i)前記アンダーコート層(X)に含まれる無機酸化物粒子が以下の[A]および[B]を満たす
    [A]全粒子数を100%としたとき、直径25〜50nmの粒子が10〜50%である
    [B]全粒子数を100%としたとき、直径70〜95nmの粒子が10〜50%である
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電積層体または請求項5に記載の製造方法によって得られた透明導電積層体を用いた電子ペーパー。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電積層体または請求項5に記載の製造方法によって得られた透明導電積層体を用いたタッチパネル。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電積層体または請求項5に記載の製造方法によって得られた透明導電積層体を用いたタッチスイッチ。
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