本発明では、銅膜の形成用として、銅粒子を用い、有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方とともに銅膜形成用組成物を調製する。有機酸アミン塩は、銅に対して還元作用を示して還元剤となる。同様に、有機酸アンモニウム塩も、銅に対して還元作用を示して還元剤となる。すなわち、有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩は、銅の酸化物、水酸化物、または塩等の銅化合物から金属銅に還元する能力を有する還元剤として、本発明の銅膜形成用組成物に含有される。
上述したように、従来の還元剤の場合、還元性が高く、銅粒子を含有する銅膜形成用組成物に用いられた場合、室温でも還元反応が進むことがあって、銅膜形成用組成物の保存安定性が損なわれることがあった。そのため、適度な還元性を有し、銅粒子を含有する銅膜形成用組成物に用いられた場合、保存安定性の低下を低減できる還元剤が求められている。
より具体的には、銅粒子を含有させた銅膜形成用組成物に使用できる理想的な還元剤として、室温で還元反応が進まずに安定であり、銅膜形成のための加熱による温度上昇によって還元反応が進むものが好ましい。例えば、100℃以上の加熱によって、還元反応が進む還元剤が好ましい。
そこで、鋭意検討の結果、本発明者は、有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩が上述の理想的な特性を有していることを見出した。そして、特に、ギ酸アミン塩が理想に近い還元性を備えることを見出した。したがって、本発明の銅膜形成用組成物においては、上述したように、銅粒子とともに、還元剤となる有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方を含有する。
そして、本発明では、その銅膜形成用組成物を用い、例えば、基板上に塗布して塗膜を形成する。次いで、その塗膜を、従来技術と比較して低温となる温度で加熱して、低抵抗の銅膜を形成する。
このとき、本発明の銅膜形成用組成物の塗膜に対する加熱は、従来技術において多用されてきた水素ガスを必須とはせず、窒素ガス、アルゴンガスまたはヘリウムガス等を利用した非酸化性雰囲気下で加熱を行って低抵抗の銅膜を形成することができる。すなわち、大気下等の酸化性雰囲気を除く雰囲気環境を非酸化性雰囲気と定義すれば、本発明の銅膜形成用組成物は、非酸化性雰囲気下でも、加熱によって、所望とする抵抗特性の銅膜を形成することができる。したがって、本発明の銅膜形成用組成物は、銅膜形成時の加熱工程で爆発の危険がある水素ガスをあえて使用することはなく、安全で簡便な加熱工程によって銅膜を形成することができる。
そして、本発明の銅膜形成用組成物は、基板上に一様なベタ状の銅膜を形成可能であるとともに、適当な塗布法と組み合わせることにより、配線や電極や端子等となる、パターニングされた銅膜を直接に基板上に形成することも可能である。したがって、本発明において、「銅膜」とは、銅からなるベタ状の膜とともに、パターニングされた銅膜を含む概念である。すなわち、銅配線や銅電極等のパターンについても本発明の「銅膜」の中に含まれる。同様に、「膜」についても、パターンを含む概念として使用されることがある。
また、本発明において、「回路基板」は、上述した、所謂プリント配線板として知られた回路基板のみに限られるわけではない。本発明において、「回路基板」には、パターニングされた金属膜が基板上に形成されて、配線、電極および端子等を構成している基板が全て含まれる。例えば、本発明において、「回路基板」には、上述したプリント配線板の他に、タッチパネルや、液晶表示素子や、有機EL素子等を構成するための基板が含まれる。すなわち、それらを構成するための基板であって、パターニングされた金属膜が基板上に形成されて、配線、電極および端子等を構成している基板が含まれる。
尚、以下の本発明の説明においては、回路基板の有する配線、電極および端子等と称される導電性の電気的導通部材を、便宜上、配線と総称する。
次に、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物について、より詳しく説明する。その後、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物の調製と、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用いた本発明の実施形態の銅膜形成方法について説明する。
<銅膜形成用組成物>
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、銅膜の原料として銅粒子を含み、さらに、有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方を含む組成物であり、還元反応型の銅膜形成用組成物である。尚、以下、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物に含有される有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方を(A)成分ということがあり、銅粒子を(B)成分ということがある。
また、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、上記(A)成分および(B)成分に加え、溶剤を含有することができる。さらに、本実施形態の銅膜形成用組成物は、上記各成分に加え、その他任意成分を含有することができる。そして、本実施形態の銅膜形成用組成物は、公知の多様な塗布法によるパターニングされた塗膜の形成が可能であり、またその塗膜は、加熱されて銅膜を形成することができる。
このとき、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した組成を有することにより、適当な基板上に塗布されて塗膜を形成した後、例えば、窒素ガス等の非酸化性雰囲気下での加熱により、基板上に本発明の実施形態の銅膜を形成することができる。そして、加熱の温度としては、従来技術に比べて低温となる250℃以下とすることが可能であり、さらに低い200℃以下とすることも可能である。
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物では、特に水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気を形成する必要はなく、簡便で安全な状態での比較的低温の加熱によって優れた抵抗特性の銅膜を形成することができる。
以下、本実施形態の銅膜形成用組成物の各成分について説明する。
[有機酸アミン塩]
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物の成分として含有される有機酸アミン塩は、有機酸とアミン化合物との塩である。本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、1種または2種以上の有機酸アミン塩を含有することができる。
有機酸アミン塩の好ましい有機酸としては、カルボン酸を挙げることができる。
上述のカルボン酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸等の脂式カルボン酸を挙げることができ、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸を挙げることができ、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸を挙げることができ、ギ酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等の還元力を有するカルボン酸を挙げることができる。
そして、上述のカルボン酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、ピバリン酸、ギ酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸およびシュウ酸がより好ましく、ギ酸がさらに好ましい。
すなわち、有機酸アミン塩は、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、ピバリン酸、ギ酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸およびシュウ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなる有機酸アミン塩であることより好ましい。本実施形態の銅膜形成用組成物は、1種または2種以上のより好ましい有機酸アミン塩を含有することができる。
そして、有機酸アミン塩は、ギ酸アミン塩であることがさらに好ましい。本実施形態の銅膜形成用組成物は、ギ酸アミン塩を含む1種または2種以上の有機酸アミン塩を含有することができる。
また、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物において、有機酸アミン塩のアミン化合物は、有機酸との間で塩を形成しうるものであって、有機酸アミン塩を形成するために有機酸と混合されたときに、形成された有機酸アミン塩を溶解させ、固化させないようにできるアミン化合物の選択が好ましい。
その場合、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物において、有機酸アミン塩は、有機酸とアミン化合物とのモル比((有機酸)/(アミノ化合物))の範囲が、((有機酸)/(アミノ化合物))=1/1〜1/5の範囲であることが好ましい。
有機酸アミン塩の有機酸とアミン化合物とのモル比が上記の範囲にあることにより、本実施形態の銅膜形成用組成物は、低抵抗の銅膜を提供することができる。
本実施形態の銅膜形成用組成物の有機酸アミン塩の形成に使用可能なアミン化合物としては、例えば、下記一般式(1)、下記一般式(2)および下記一般式(3)のうちの少なくとも1つの一般式で表されるアミン化合物を挙げることができる。
上記一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R3は、単結合、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R4は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、アミノ基、ジメチルアミノ基、または、ジエチルアミノ基を示す。
上記一般式(2)中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R7は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R8は、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。但し、R5およびR6が水素原子の場合、R8はメチル基およびエチル基以外を示す。
上記一般式(3)中、R9、R10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。R11は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、または、フェニレン基を示す。R12、R13は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、または、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を示す。
上記一般式(1)で表されるアミン化合物が含む基R1およびR2の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(1)で表されるアミン化合物が含む基R4の例としては、水素原子アミノ基、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるアミン化合物の具体的な例としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、イソプロピルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソペンチルアミン、ネオペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、1−エチルプロピルアミン、1,1−ジメチルプロピルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、1,1,2−トリメチルプロピルアミン、1,2,2−トリメチルプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ネオペンチルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、4−ヘプチルアミン、2−ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるアミン化合物が含む基R5およびR6の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(2)で表されるアミン化合物が含む基R8の例としては、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。但し、R5およびR6がともに水素原子である場合、R8はメチル基およびエチル基以外である。
上記一般式(2)で表されるアミン化合物の具体的な例としては、例えば、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、イソプロポキシプロピルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、(エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、イソブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、オキシビス(エチルアミン)等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるアミン化合物が含む基R9およびR10の例としては、水素原子の他、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
そして、上記一般式(3)で表されるアミン化合物が含む基R12およびR13の例としては、直鎖状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基等が挙げられ、分岐状のものとしてイソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、ネオペンチル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−ヘプチル基、2−ヘプチル基等が挙げられ、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるアミン化合物の具体的な例としては、例えば、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール等が挙げられる。
そして、以上のアミン化合物において、上述したように、有機酸アミン塩を形成するために有機酸と混合されたときに、形成された有機酸アミン塩を固化させないようにできるアミン化合物の選択が好ましい。
そのようなアミン化合物としては、例えば、有機酸がギ酸である場合、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−アミノプロパノール、N−メチル−1,3−プロパンジアミンおよび1,3−プロパンジアミンを選択することが好ましい。
すなわち、ギ酸アミン塩のアミノ化合物は、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−アミノプロパノール、N−メチル−1,3−プロパンジアミンおよび1,3−プロパンジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
そして、上述したように、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物において、ギ酸アミン塩は、ギ酸とアミン化合物とのモル比((ギ酸)/(アミン化合物))の範囲が、((ギ酸)/(アミン化合物))=1/1〜1/5の範囲にあることが好ましい。
本実施形態の銅膜形成用組成物は、含有するギ酸アミン塩のギ酸とアミン化合物とのモル比が上記の範囲にあることにより、より低抵抗の銅膜を形成することができる。
[有機酸アンモニウム塩]
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、還元剤として、1種または2種以上の有機酸アンモニウム塩を含有することができる。
有機酸アンモニウム塩の好ましい有機酸としては、上述した有機酸アミン塩の有機酸と同様のものを挙げることができる。
[銅粒子]
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、銅膜の原料として、銅粒子を含有する。
本実施形態の銅膜形成用組成物において、銅粒子の平均粒子径は、0.001μm〜3μmの範囲であることが好ましい。銅粒子の粒子径が0.001μm未満になると、銅表面の活性が非常に高くなり、酸化反応を生じやすくなるほか、溶解するおそれがある。また、3μmを超えると、長期保存した場合に銅粒子が沈降することがある。よって、銅粒子の平均粒子径は、上述の範囲内であることが好ましい。
本発明の実施形態において、銅粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な微粒子に適用される測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上述した顕微鏡を用いて観測し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。得られた各々の写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさし等の測長機で測定し、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより、求めることができる。また、標準偏差については、上述の観察時に個々の金属微粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上述した平均粒子径およびその標準偏差に基づいて、下記式により算出することができる。
本実施形態の銅膜形成用組成物において、銅粒子は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。公知の合成方法としては、例えば、スパッタリング法やガス中蒸着法等、物理的な手法で合成反応を行う気相法(乾式法)や、銅化合物溶液を表面保護剤の存在下、還元して銅粒子を析出させる等の液相法(湿式法)等が一般的に知られている。
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物において、銅粒子の純度については特に限定するものではないが、低純度であると銅膜とした際に、導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましい。
本実施形態の銅膜形成用組成物における銅粒子の含有量は特に制限はないが、(B)成分である銅粒子と(A)成分との重量比(((B)成分の重量)/((A)成分の重量))が、1〜10の範囲であることが好ましい。
例えば、本実施形態の銅膜形成用組成物が(A)成分として有機酸アミン塩のみを含有する場合、(B)成分である銅粒子と、(A)成分である有機酸アミン塩の重量比((銅粒子の重量)/(有機酸アミン塩の重量))は、1〜10の範囲であることが好ましい。また、本実施形態の銅膜形成用組成物が(A)成分として有機酸アンモニウム塩のみを含有する場合、(B)成分である銅粒子と、(A)成分である有機酸アンモニウム塩の重量比((銅粒子の重量)/(有機酸アンモニウム塩の重量))は、1〜10の範囲であることが好ましい。そして、実施形態の銅膜形成用組成物が(A)成分として有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩を含有する場合、(B)成分である銅粒子と、(A)成分である有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の重量比((銅粒子の重量)/(有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の合計重量))は、1〜10の範囲であることが好ましい。以上をまとめると、(B)成分である銅粒子と(A)成分である有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方との重量比((銅粒子の重量)/(有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩の少なくとも一方の重量))が、1〜10の範囲であることが好ましい。銅粒子の含有量を上述の範囲とすることで、所望とする抵抗特性の銅膜を形成することができる。
また、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物においては、銅粒子として、表面が被覆処理されたものを使用することも可能である。
銅は酸化されやすく、形成された酸化物は導電性が低い。そのため、酸化を防止して導電性の維持が可能となるように、銅粒子の表面に被覆材を配置することが可能である。
また、ナノ粒子に代表される微粒子は、表面積が非常に大きいため、極めて凝集し易く分散が困難である。金属微粒子の分散性は、バインダー樹脂や分散剤を金属微粒子に吸着させることによって改善することができ、微粒子の凝集を防止して保存安定性を高め、分散体の流動性を確保することができる。
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物においては、銅粒子の分散性を向上させるという観点からも、表面に被覆材を設けた銅粒子を用いることが可能である。その場合、被覆材としては、上述したバインダー樹脂や分散剤を用いることができ、それらを銅粒子の表面に吸着させることで、本実施形態の銅膜形成用組成物における銅粒子の分散性を向上させることができる。
しかしながら一方で、銅粒子等の金属微粒子は、微細化するほど、多量の被覆材が必要になる。そして、銅粒子の酸化防止や分散性の向上を目的として多量の被覆材を用いた場合、バインダー樹脂や分散剤等の被覆材が銅粒子相互の接触を妨げ、形成された銅膜の導電性を低下させる懸念がある。したがって、本実施形態の銅膜形成用組成物を用い、低抵抗の銅膜を得るためには、銅粒子表面の被覆材の量や配置等の状態を、好ましい条件で規定する必要がある。
そこで、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物においては、銅粒子の酸化抑制と分散性向上を実現し、低抵抗の銅膜を形成できるように、許容可能な銅粒子の被覆材の状態を、100℃〜500℃の不活性雰囲気下での銅粒子の重量減少率(TG(%))と比表面積(SS(m2/g))から算出される(TG/SS)値により規定する。
すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物の銅粒子は、平均粒径が、上述したように、0.001μm〜3μmの範囲であり、(TG/SS)値が、0.3より小さいことが好ましい。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物において、銅粒子は、(TG/SS)<0.3であることが好ましい。
このように、銅粒子において、被覆材の状態を規定することで、それを含有する本発明の実施形態の銅膜形成用組成物では、銅粒子の酸化抑制と分散性向上を実現し、低抵抗の銅膜を形成できる。
[溶剤]
本実施の形態の銅膜形成用組成物において、上記した(A)成分の有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩のうちの少なくとも一方、並びに、(B)成分の銅粒子のほかに、溶剤を成分として添加することが可能である。溶剤を添加して銅膜形成用組成物中に含有させることにより、塗布方法に対応した銅膜形成用組成物の粘度調整が容易となり、また、安定した均一な物性の銅膜を形成することが可能となる。
添加する溶剤としては、銅膜形成用組成物中の各成分を溶解または分散することができるものであり、銅膜の形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではない。例えば、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種の液体、または、相溶性のある2種以上の液体が挙げられる。
溶剤の具体例について、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール(1−プロパノール)、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール(1−ブタノール)、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
これら有機溶剤のうち、特に銅膜形成用組成物の粘度の調整のし易さの観点から、エーテル類が好ましい。
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される溶剤は任意成分であり、その含有量は本実施形態の銅膜形成用組成物の全成分の100質量%に対して0質量%〜95質量%の範囲であり、0質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
[その他任意成分]
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した(A)成分である有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩のうちの少なくとも一方、並びに、(B)成分の銅粒子に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他任意成分として、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、塗膜形成補助剤を含有することが可能である。
本実施形態の銅膜形成用組成物における、その他任意成分の含有量は特に制限はないが、それらは任意の成分であり、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲とするのがより好ましい。その他任意成分の含有量が50質量%を超えるように添加されても、含有量に対応するような、その他任意成分による効果は得られない。さらに、銅膜形成用組成物の単位重量当たりの金属銅の形成量が低下し、所望とする特性の銅膜を高い製造効率で形成できないおそれがある。
<銅膜形成用組成物の調製>
[調製方法]
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した(A)成分である有機酸アミン塩および有機酸アンモニウム塩のうちの少なくとも一方、並びに、(B)成分の銅粒子を混合することで、簡便に調製し、製造することができる。混合する順序は特に限定するものではない。
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製において、上述したように溶剤を添加することが可能である。溶剤の添加は、例えば、上述した(A)成分および(B)成分を混合した後に行うことができる。添加する溶剤としては、上述したように、(A)成分および(B)成分を溶解または分散するものであれば特に限定はされない。
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製においては、その他任意成分として、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤等を添加することができる。その他任意成分は、例えば、(A)成分および(B)成分を混合した後に添加することができる。そして、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤等のその他任意成分は、銅化合物等の必須成分とともに用いられ、本実施形態の銅膜形成用組成物が所望の成分濃度、表面張力、粘度等を有するように調整することができる。
[混合方法]
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製における混合方法としては、特に限定するものではないが、例えば、攪拌羽による攪拌、スターラーおよび攪拌子による攪拌、沸盪器による攪拌、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、ペイントシェーカーまたは攪拌脱泡装置等を使用した方法等が挙げられる。混合の条件としては、例えば、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の回転速度が、通常1rpm〜4000rpmの範囲、好ましくは10rpm〜2000rpmの範囲である。
<銅膜形成方法および銅膜>
以上で説明した本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、所望とする適当な基板上に塗布され、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を形成する。そして、その本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜が加熱されて基板上に銅膜を形成する。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、本発明の実施形態の銅膜を形成する。その結果、本発明の実施形態の銅膜を用い、本発明の実施形態の回路基板を製造することができる。
このとき、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用いることで、窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスを利用した非酸化性雰囲気下の加熱によって銅膜を形成することができる。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気を形成する必要は特になく、簡便に、安全な状態で、銅膜形成のための加熱を行い、銅膜を形成することができる。
本発明の実施形態の銅膜形成方法においては、基板上に塗布された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を加熱することによって、(B)成分である銅粒子同士の融着を生じさせ、銅膜を形成する。このとき、塗膜の加熱により、銅粒子とともに含有される(A)成分が還元剤として作用し、銅の酸化による弊害を抑えた銅膜の形成を可能とする。その結果、本実施形態の銅膜は、低抵抗化が実現される。
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、(1)(A)成分および(B)成分を含む本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、その塗膜を基板上に形成する工程と、(2)その基板上の塗膜を非酸化性雰囲気下において加熱する工程とを含んで構成することが好ましい。
以下、本発明の実施形態の銅膜形成方法について、さらに詳しく説明する。
[基板]
本発明の実施形態の銅膜形成方法において、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を形成する基板としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
基板を構成する材料としては、例えば、樹脂、紙、金属、ガラス等が挙げられ、より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート)、ポリアセタール樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール段ボール等の紙基材、銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材、アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、ITO(インジウム錫オキサイド)等が挙げられる。
[塗布方法]
本発明の実施形態の銅膜形成方法における、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗布方法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、(シルク)スクリーン印刷、凸版印刷等の印刷方法が挙げられ、また、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、キャスト法、ディップコート法、および、ロールコータ法等の塗布方法が挙げられる。本実施形態の銅膜形成用組成物を基板に塗布する塗布量としては、所望する銅膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した塗布方法への適用が可能である。そのため、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用い、基板上に一様なベタ状の塗膜を形成して本実施形態の銅膜を形成することが可能である。さらに、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷法、(シルク)スクリーン印刷法、凸版印刷等を利用した直接描画により、所望の形状にパターニングされた塗膜を形成し、配線や電極や端子等となる、パターニングされた銅膜を直接に基板上に形成することも可能である。その結果、適当な基板上に形成された、本発明の実施形態のパターニングされた銅膜を用い、本発明の実施形態の回路基板を製造することができる。
尚、その場合、選択される塗布方法に対応して、本実施形態の銅膜形成用組成物は、(A)成分や溶剤等について、その種類と量を調整し、用いる塗布方法に好適となるように銅膜形成用組成物の粘度を調整することが好ましい。
[加熱条件]
本発明の実施形態の銅膜形成方法において、本実施形態の銅膜形成用組成物から銅膜を形成するための加熱は、上述したように、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気を特に必要とはしない。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成方法において、銅膜を形成するための加熱は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスの利用による不活性雰囲気の非酸化性雰囲気下で行うことができる。すなわち、本実施形態の銅膜形成方法は、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を非酸化性雰囲気下で加熱して、その基板上に銅膜を形成することができる。
尚、本実施形態の銅膜形成方法は、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気下で加熱して、その基板上に銅膜を形成することも可能である。
本実施形態の銅膜形成方法において、加熱温度は、本実施形態の銅膜形成用組成物の銅塩が還元され、不要な有機物が分解、揮発する温度であればよく、特に限定するものではない。例えば、加熱温度は、50℃〜300℃の範囲が好ましく、50℃〜250℃の範囲がより好ましく、50℃〜200℃の範囲がさらに好ましい。加熱温度が50℃未満であると、銅塩の還元反応が完全に進行せず、また不要な有機物の残存が顕著になる場合があり、300℃を超えると、有機材料からなる基板を利用できなくなる恐れがある。250℃以下であれば、有機材料からなる基板を選択して使用することが可能となる。また、200℃以下であれば、有機材料からなる基板を含む、より多様な基板の群から所望の基板を選択して使用することができる。
尚、加熱温度が250℃以下である場合、特に、200℃以下である場合、従来の技術では、所謂、加熱不足による銅膜の特性低下が懸念される。しかしながら、本実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用いて銅膜の形成を行っており、250℃以下、さらには、200℃以下の加熱条件であっても所望とする特性の銅膜、特に、所望とする優れた抵抗特性の銅膜を形成することができる。したがって、簡便さ等の観点からも、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、上述したように、加熱温度を250℃以下とすることが好ましく、200℃以下とすることがより好ましい。
また、加熱時間は、(A)成分等の各成分の種類や、所望する銅膜の導電性(抵抗値)を考慮して適宜選択すればよく、特に限定するものではない。そして、200℃程度またはそれ以下の比較的低温の加熱温度を選択した場合には、加熱時間は、5分間〜100分間程度とすることが好ましい。
以上のように、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用い、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気を特に必要とせず、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスを利用した非酸化性雰囲気下での低温での加熱により、簡便に、低抵抗の銅膜を形成することができる。そして、得られた基板上の本発明の実施形態の銅膜を用い、本発明の実施形態の回路基板を提供することができる。
<電子機器>
上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、本発明の実施形態の銅膜を形成する。そして、本発明の実施形態の銅膜を用い、それを配線とする回路基板や半導体パッケージを提供することができる。また、本実施形態の銅膜を配線として使用する本発明の実施形態の電子機器を提供することができる。
本発明の実施形態の電子機器としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子および有機EL素子等を挙げることができる。また、入力装置として本発明の実施形態のタッチパネルを備えたタッチパネル付の電子機器を挙げることができる。
以下、本発明の実施形態の電子機器として例示した本発明の実施形態のタッチパネルについて説明する。
[タッチパネル]
本発明の実施形態のタッチパネルは、例えば、検知電極およびそれを引き出すための引き出し配線が設けられた基板上に、その検知電極を覆うように形成された光透過性の絶縁膜を有するタッチパネルである。このタッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルとすることができる。
尚、本発明の実施形態のタッチパネルにおいては、上述の絶縁膜を設けない構造とすることも可能である。
図1は、本発明の実施形態のタッチパネルを示す平面図である。
図2は、図1のB−B’線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態のタッチパネル21は、透明基板22の表面に、X方向に延在する第1検知電極23と、X方向に直交するY方向に延在する第2検知電極24を有する。
透明基板22はガラス基板とすることができる。また、透明基板22は、樹脂基板とすることもでき、その場合、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、環状オレフィンの開環重合体フィルムおよびその水素添加物からなるフィルム等を用いることができる。透明基板22の厚みとしては、ガラス基板の場合、0.1mm〜3mmとすることができる。樹脂基板の場合、10μm〜3000μmとすることができる。
第1検知電極23と第2検知電極24は、それぞれ複数が配置される。そして、第1検知電極23と第2検知電極24は、タッチパネル21の操作領域でマトリクス状に配置されている。第1検知電極23は、操作者によるタッチ位置のY方向の座標を検出するために用いられる。第2検知電極24は、操作者によるタッチ位置のX方向の座標を検出するために用いられる。第1検知電極23と第2検知電極24は、透明基板22の同一面の同一層に設けられている。尚、第1検知電極23および第2検知電極24の数は図1の例に限られるものではなく、操作領域の大きさと必要とされるタッチ位置の検出精度に応じて決定されることが好ましい。すなわち、より多い数や少ない数の第1検知電極23および第2検知電極24を用い、タッチパネル21を構成することができる。
図1に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、菱形形状の複数の電極パッド30から構成されている。第1検知電極23と第2検知電極24は、第1検知電極23の電極パッド30がそれと隣接する第2検知電極24の電極パッド30と離間するように配置される。このとき、それら電極パッド30間の隙間は、絶縁性が確保できる程度のごく小さなものとされる。
そして、第1検知電極23と第2検知電極24とは、互いに交差する部分をできる限り小さくできるように配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24を構成する電極パッド30がタッチパネル21の操作領域全体に配置されるようにする。
図1に示すように、電極パッド30は菱形形状とすることができるが、こうした形状に限られず、例えば、六角形等の多角形形状とすることができる。
第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、タッチパネル21の下に配置される液晶表示素子(図示されない)等のディスプレイの視認性を低下させないように、透明電極であることが好ましい。ここで、透明電極とは、可視光に対して高い透過性を備える電極である。第1検知電極23および第2検知電極24としては、ITOからなる電極や、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる電極等、透明導電材料からなる電極を用いることができる。第1検知電極23および第2検知電極24がそれぞれITOからなる場合、十分な導電性を確保できるよう、それらの厚さを10nm〜100nmとすることが好ましい。
第1検知電極23および第2検知電極24の形成は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ITO等の透明導電材料からなる膜をスパッタリング法等を用いて成膜し、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングすることで行うことができる。
図1および図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、透明基板22の同一面上に形成されており、同一層をなしている。そのため、第1検知電極23と第2検知電極24とは、操作領域において、複数の箇所で交差しており、交差部28を形成している。
本実施形態のタッチパネル21では、図2に示すように、交差部28において、第1検知電極23および第2検知電極24のいずれか一方が他方と接触しないように分断される。すなわち、交差部28において、第1検知電極23は繋がっているが、図2の左右方向に伸びる第2検知電極24は分断されて形成されている。そして、第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるために、ブリッジ電極32が設けられている。ブリッジ電極32と第1検知電極23との間には、絶縁性物質からなる層間絶縁膜29が設けられている。
図2に示すように、交差部28で、第1検知電極23の上に設けられた層間絶縁膜29は、光透過性に優れた材料から形成されている。層間絶縁膜29は、ポリシロキサン、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマー等を用いて印刷法で塗布し、必要な場合にパターニングを行った後、それを加熱硬化させて形成することができる。ポリシロキサンを用いて形成した場合には、層間絶縁膜29はシリコン酸化物(SiO2)からなる無機絶縁層となる。また、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマーを用いた場合には、層間絶縁膜29は樹脂からなる有機絶縁層となる。層間絶縁膜29にSiO2を用いる場合には、例えば、マスクを用いたスパッタリング法によって、交差部28における第1検知電極23の上にのみSiO2膜を形成して、層間絶縁膜29を構成することもできる。
層間絶縁膜29の上層には、ブリッジ電極32が設けられている。ブリッジ電極32は、上述したように、交差部28で途切れた第2検知電極24同士を電気的に接続する機能を果たす。ブリッジ電極32は、ITO等の光透過性に優れた材料によって形成されることが好ましい。ブリッジ電極32を設けることにより、第2検知電極24をY方向に電気的に接続することができる。
図1に示すように、第1検知電極23と第2検知電極24は、上述したように、菱形の電極パッド30を縦または横に複数並べた形状を有する。第1検知電極23において、交差部28に位置する接続部分は、第1検知電極23の菱形の電極パッド30より幅の狭い形状とされる。また、ブリッジ電極32も、菱形の電極パッド30より幅の狭い形状であって、短冊状に形成されている。
タッチパネル21の第1検知電極23と第2検知電極24の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子からそれぞれ引き出し配線31が引き出される。引き出し配線31は、上述した本発明の実施形態の銅膜を使用した金属配線とすることができる。同様に、端子も、本発明の実施形態の銅膜を用いて形成することができる。
すなわち、タッチパネル21の引き出し配線31等は、上述した本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法に従って形成することができる。
例えば、本発明の実施形態の銅膜形成方法で例示した塗布方法により、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を第1検知電極23および第2検知電極24等の形成された透明基板22上に形成し、配線パターンを形成する。例えば、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷法、(シルク)スクリーン印刷法、凸版印刷等を利用した直接描画により、塗膜を形成し、配線パターンを形成することができる。
そして、上述したように、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガス等の不活性ガスを利用した非酸化性雰囲気下で加熱し、引き出し配線31等を形成することができる。
尚、塗膜の加熱は、上述したように、水素ガス等の還元性ガスを利用した還元性雰囲気下でも行うことができる。
引き出し配線31は、その端部の接続端子(図示されない)を用いて、第1検知電極23および第2検知電極24への電圧印加やタッチ操作の位置を検出する外部の制御回路(図示されない)に電気的に接続される。
図1および図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24の配置された透明基板22の表面には、第1検知電極23および第2検知電極24を覆うように、光透過性の絶縁膜25が配置されている。
絶縁膜25は、タッチパネル21の操作領域で、第1検知電極23および第2検知電極24を被覆して保護するようにパターニングされて形成される。併せて、絶縁膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24から引き出される引き出し配線31の端部の接続端子(図示されない)が露出するようにパターニングされて形成される。
絶縁膜25の形成には、感放射線性の樹脂組成物を用いることができ、所定のパターニングを行って第1検知電極23および第2検知電極24上に配置することができる。
タッチパネル21は、透明基板22の第1検知電極23および第2検知電極24の形成面に、例えば、アクリル系の透明接着剤からなる接着層(図示されない)を用いて透明な樹脂からなるカバーフィルム(図示されない)を設けることが可能である。
以上の構成を有するタッチパネル21は、第1検知電極23と第2検知電極24がマトリクス状に配置された操作領域において静電容量を計測し、操作者の指等のタッチ操作があった場合に生じる静電容量の変化から、指等の接触位置を検知することができる。そして、液晶表示素子や有機EL素子等のディスプレイの上に載置し、電子機器のディスプレイの入力装置として好適に使用することが可能である。
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用いて、上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法に従って形成された本発明の実施形態の銅膜を用い、引き出し配線を構成することができる。そして、その本発明の実施形態の銅膜からなる引き出し配線を用いてタッチパネルを構成することができる。さらに、そのタッチパネルを備えた液晶表示素子や有機EL素子等の本発明の実施形態の電子機器を提供することができる。したがって、本発明の実施形態のタッチパネル付液晶表示素子等の電子機器は、本発明の実施形態の銅膜形成方法に従って形成された本発明の実施形態の銅膜を有して構成される。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<銅膜形成用組成物の調製>
実施例1〜実施例10および比較例1〜比較例15では、以下に示す方法で、それぞれ銅膜形成用組成物を調製した。各実施例および各比較例で使用した銅粒子を示す。併せて、100℃〜500℃の不活性雰囲気下での銅粒子の重量減少率(TG(%))と比表面積(SS(m2/g))とを用いた(TG/SS)値の算出方法を示す。尚、実施例1〜実施例10および比較例1〜比較例15の各銅膜形成用組成物の調製に用いたギ酸およびアミノ化合物は市販品を使用した。
[銅粒子]
銅粉(1)(三井金属鉱業社製、平均粒径1.0μm、(TG/SS)値=0.2)
銅粉(2)(三井金属鉱業社製、平均粒径0.49μm、(TG/SS)値=0.23)
銅粉(3)(三井金属鉱業社製、平均粒径0.36μm、(TG/SS)値=0.44)
[(TG/SS)値の算出]
不活性雰囲気下の100℃〜500℃の重量減少率(TG(%))は、窒素雰囲気下にて、示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA 7300(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定した。比表面積(SS(m2/g))は、オートソーブ1(Quantachrome社)を用いて測定した。これら測定値を用い、(TG/SS)値を算出した。
[実施例1]
ギ酸0.1モルに3−エトキシプロピルアミン0.1モルを混合し、ギ酸アミン塩を調製した。次に、調製したギ酸アミン塩1.2gと銅粉(1)2.0gとを三本ロールで混練し、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例2]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例3]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、ブチルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例4]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、ヘキシルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例5]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、2−エチルヘキシルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例6]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、3−アミノプロパノールを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例7]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、N−メチル−1,3−プロパンジアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例8]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、1,3−プロパンジアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例9]
実施例1の銅粉(1)の代わりに、銅粉(2)2.0gを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[実施例10]
銅粉(3)を窒素雰囲気下、300℃で、1時間加熱処理することで、(TG/SS)値=0.09の銅粉(3B)を得た。実施例1の銅粉(1)の代わりに、この銅粉(3B)を用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例1]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、DL−1フェニルエチルアミンを用い、同様の方法で銅膜形成用組成物の調製を試みたが、得られるギ酸アミン塩が固化して、銅膜形成用組成物の調製は行えなかった。
[比較例2]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、t−ブチルアミンを用い、同様の方法で銅膜形成用組成物の調製を試みたが、得られるギ酸アミン塩が固化して、銅膜形成用組成物の調製は行えなかった。
[比較例3]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、トリエチルアミンを用い、同様の方法で銅膜形成用組成物の調製を試みたが、ギ酸とトリアチルアミンは分離して、ギ酸アミン塩とはならず、銅膜形成用組成物の調製は行えなかった。
[比較例4]
実施例2と同様に、アミン化合物にN,N−ジエチルヒドロキシルアミンを用い、ギ酸0.1モルに3−エトキシプロピルアミン0.08モルを混合し、同様の方法で銅膜形成用組成物の調製を試みたが、得られるギ酸アミン塩が固化して、銅膜形成用組成物の調製は行えなかった。
[比較例5]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例6]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例7]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、ジブチルアミノプロピルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例8]
実施例1で用いた銅粉(1)2.0gとギ酸0.4gとを三本ロールで混合し、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。得られた銅膜形成用組成物は、室温で、30分程度放置すると、固化した。本比較例の銅膜形成用組成物は、保存安定性が悪く、この点で、実用性がないことが確認された。
[比較例9]
実施例1で用いた銅粉(1)2.0gとN,N−ジエチルヒドロキシルアミン0.4gとを三本ロールで混合し、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例10]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、トリ−n−オクチルアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例11]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、ジエタノールアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例12]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、1,3−ジアミノプロパンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例13]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、1,2−ジアミノプロパンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例14]
実施例1の3−エトキシプロピルアミンの代わりに、エチレンジアミンを用い、同様の方法で、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
[比較例15]
ギ酸0.1モルに3−エトキシプロピルアミン0.1モルを混合し、ギ酸アミン塩を調製した。次に、調製したギ酸アミン塩1.2gと銅粉(3)2.0gとを三本ロールで混練し、ペースト状の銅膜形成用組成物を得た。
<銅膜の形成>
[実施例11]
実施例1〜実施例10および比較例5〜比較例15の銅膜形成用組成物を用い、基材である縦150mm、横150mmの正方形状の無アルカリガラス基板上に、バーコーターを用いて塗布し、縦50mm、横50mmの正方形状にパターニングされ、膜厚が100μmである均一な塗膜を形成した。次に、ホットプレートを用い、水素ガス等の還元性ガスを用いた還元雰囲気を形成することなく、窒素雰囲気下で、前述の塗膜の形成されたガラス基板を、190℃で10分間加熱処理した。
その結果、実施例1〜実施例10、比較例5〜比較例9および比較例15の銅膜形成用組成物を用いた場合、膜厚が10μm〜30μm程度の上記形状にパターニングされた膜が得られた。
一方、比較例10〜比較例14の銅膜形成用組成物を用いた場合、後述する体積抵抗値の測定が可能となるような、均一な膜は得られなかった。
<銅膜の評価>
[実施例12]
実施例1〜実施例10、比較例5〜比較例9および比較例15の銅膜形成用組成物を用い、上述の実施例11に示す方法で基材上に形成された膜を用い、それらの比抵抗値(体積抵抗値(μΩ・cm))を評価した。比抵抗値の測定は、四探針抵抗測定機(商品名:Model sigma−5、NPS社)を用いて行った。評価結果は、各銅膜形成用組成物に含まれる銅粒子の(TG/SS)値とともに、表1に示す。尚、比較例6および比較例7の銅膜形成用組成物を用いて形成された膜は、比抵抗値が大きいため、評価ができなかった。
表1に示すように、実施例1〜実施例10の銅膜形成用組成物は、均一な薄膜として銅膜を形成することができ、また得られた銅膜は、1000μΩ・cm(1mΩ・cm)以下の低い比抵抗値を示すことがわかった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。