JP2016040307A - pH制御パルス送達システム、その調製法及び使用法 - Google Patents

pH制御パルス送達システム、その調製法及び使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】胃腸管の選択された位置/区域への薬物の特異的送達の為、pH変化に応じた薬物等の物質のパルス放出を可能にする送達システムの提供。
【解決手段】コーティング層で囲まれたコアを含むpH制御パルス放出システムであって、該コアが、活性物質、好ましくは薬学的に活性な物質を含み、該コーティング層が、膨潤剤が包埋されたpH感受性コーティング材料を含む、システム。より具体的には、胃腸管への薬物投与に関し、特に、経口経路を介した部位特異的腸内薬物送達に関する。上記膨潤剤は、その重量の少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍の水を吸うことができる。上記膨潤剤がデンプングリコール酸ナトリウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択され、上記コーティング材料が酢酸トリメリト酸セルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重体等から選択される。
【選択図】なし

Description

本発明は、pHの変化に応じた薬物などの物質のパルス放出を可能にする送達システムに関する。より具体的には、本発明は、胃腸(GI)管への薬物投与に関し、特に、経口経路を介した部位特異的腸内薬物送達に関する。腸液のpHに応じた薬物の迅速放出を可能にするpH制御放出システムが提供される。本薬物送達システムは、非常に短期間で完全性(integrity)を完全に喪失させることができ、それにより、所望の位置/区域において、含まれる薬物を実質的に全て送達することが可能になる。これは、膨潤剤(swellable agent)が包埋されたpH感受性コーティング材料の層で薬物を囲むことによって達成される。コーティングの構造は、pH感受性コーティングポリマーの連続マトリクス内に浸出閾値未満の濃度で膨潤剤が包埋されているというものである。pH変化と同時に腸溶コーティング材料の外層が侵食され始めたらすぐに胃腸液が膨潤剤に到達でき、これは、コーティングの更なる完全な崩壊を促進するのに十分な程膨張し、続いて、標的部位における薬物の瞬間的な放出を引き起こす。
pH制御薬物送達システムによって本発明を説明するが、当業者は、本発明の範囲が薬物又は薬物製剤に限定されないことを理解するであろう。むしろ本発明は、pHの変化に応じた物質の迅速放出が望ましい任意の状況において、その用途を見出す。そのような分野の例は、穀物の保護や、洗浄用界面活性剤である。
胃腸管における選択された位置/区域への薬物の特異的送達は、広範な疾患及び状態の処置のために望ましい。胃腸管の特定の領域を標的とするように薬物を送達できることが特に望ましい。胃腸管に沿った特定の領域に対して薬物を標的化することによって、胃腸疾患を局所的に処置する能力が提供され、従って、薬物の副作用や不便で困難な薬物直接送達を減少できる。そのような特異的送達はまた、薬物の効果を潜在的に増大させ、かつ薬物の最小有効量を減少できる。さらに、胃腸管内の特定の部分に標的化された送達は、体循環への薬物の吸収が胃腸管の一部のみに制限される場合に、有利であり得る。そのような場合、特にそれを必要とする部位における吸収のための駆動力が増大するので、薬物がパルス的かつ完全な様式で胃腸吸収領域(window)内に送達された場合に吸収が増大されうる。
胃腸管においてpHの有意な変更が起こり、その値は、胃における約1から、近位小腸における6.6、および遠位小腸における約7.5のピークまでの範囲にわたる(Evans et al., 1988, Gut, 29:1035(非特許文献1))。
胃と小腸との間のpHの違いは、pH感受性重合コーティングを介して薬物を腸管に経口送達するために伝統的に利用されてきた。胃の酸性条件もしくは酵素によって破壊される薬物に関しては、または胃における局所活性によって有害事象を引き起こす薬物に関しては、胃を越えた部位への薬物の送達が特に望ましい。胃内pHが低いこと及び胃内酵素の存在によって、薬物が腸溶コーティングされた経口薬物投与剤形の開発がもたらされた。
腸溶コーティング材料は、酸性の胃液に対して耐性を示すが、腸液中では易溶性又は浸透性である。腸溶重合材料は主に、高いpHでイオン化できる酸性官能基を含む弱酸である。胃の低pHにおいて、腸溶ポリマーはプロトン化されており、従って不溶性である。腸管内でpHが上昇するのにつれてこれらの官能基はイオン化し、ポリマーは腸液内で可溶性になる。したがって、腸溶重合フィルムコーティングによって、薬物を含む被覆固体、例えばカプセルが無傷で胃を通過して小腸に入ることが可能になり、その後、pH制御様式で薬物が放出される。この薬物を、体循環への吸収のために、又は、それが薬理学的効果を発揮できる胃腸管内において局所的に、利用可能にすることができる。
経口薬学的投与剤形を被覆するために現在使用されている腸溶ポリマーは、セルロース、ビニル、およびアクリルの誘導体を含む。最も一般的な腸溶コーティングは、メタクリル酸コポリマー(Eudragit)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、およびスチロールマレイン酸コポリマー(Ritschel, W.A., Angewante Biopharmazie, Stuttgart (1973), pp. 396-402(非特許文献2); Polymers for Controlled Drug Delivery, Tarcha, P.J. ed., CRC Press, (1991) Boca Raton, pp. 39-66のAgyilirah, G.A., et al., "Polymers for Enteric Coating Applications"(非特許文献3))である。
胃腸管内の特定の部分への部位特異的送達を得るために、いくつかの戦略が存在する。時間応答性の送達システムは、該システムが水と接触した瞬間(システムの嚥下)から一定期間後に薬物が放出されるという事実を特徴とする。しかし、これらのシステムの信頼性は、口-盲腸通過時間(OCTT)に起こる有意な変動によってかなり制限される。通過が予想よりも速い又は遅い場合、誤った部位において又は薬物吸収領域の外で薬物が放出される可能性がある。第二の戦略は、胃腸管の異なる部位における環境条件に生じる違いを活かすものであり、それによって、OCTTの変動から起こりうる問題を回避している。2種類の異なる副戦略が存在し、細菌酵素に応答するシステムは結腸を標的とするために使用でき、一方、pH変動に応答するシステムは胃腸管内の様々な部位を標的とするために使用できる。細菌酵素依存システムの欠点とは、その性能に2つの大きな限界があることである。第一に、細菌フローラは個人間で異なる可能性があり、必要な細菌が患者内に存在しない場合には薬物が全く放出されない可能性がある。さらに、これらのシステムからの放出は一般に非常に遅く、パルス放出を得ることが難しい。pH制御薬物送達システムは、部位特異的であるという利点を有する。細菌酵素依存制御製剤と同様に、これは、個人間で変動しうる口-盲腸通過時間(OCTT)にはほとんど依存しない。さらにこれは、細菌の存在にも依存しない。最後に、部位特異的放出を可能にするpH感受性ポリマーは、容易に購入可能である。
しかし、その設定pHよりもごく僅かだけ高いpH値におけるpH感受性コーティング材料の溶解がかなり遅いという事実が、この技術の重大な限界である。腸内pHの変動は、標的部位において環境pHが設定pHよりもほとんど高くないという状況をもたらしうるので、コーティングの溶解/崩壊はゆっくりであることが多い。結果として、所望の標的位置での薬物放出動態は、最大数時間の時間のずれを示すことが多く、または、薬物が数時間の期間にわたってゆっくりと放出される。標的部位における生理学的に制限された滞留時間を考慮すると、この時間のずれまたは少量薬物放出は、標的部位に効果的に送達される薬物の量を著しく制限する。さらに、胃腸運動パターンは、個々の患者および様々な病態において大きく変わりうる。時間のずれ又は薬物放出の遅さの組み合わせによって、薬物放出の部位を制御することが困難になる。例えばこれは、回腸から結腸の深部にわたる領域において起こりうる。
Evans et al., 1988, Gut, 29:1035 Ritschel, W.A., Angewante Biopharmazie, Stuttgart (1973), pp. 396-402 Agyilirah, G.A., et al., "Polymers for Enteric Coating Applications", Polymers for Controlled Drug Delivery, Tarcha, P.J. ed., CRC Press, (1991) Boca Raton, pp. 39-66
したがって、強固なパルス送達型のpH制御送達システムを提供することが本発明の目的である。pH変化が引き金となるパルス薬物放出は、腸における薬物の迅速かつ部位特異的な放出を可能にする。これによって、治療的理由のため、又は濃度駆動性勾配をもたらして吸収領域内の吸収を高めるためのいずれかで、腸管内の特定の部位において比較的短期間に高濃度の薬物が望ましい場合に、利点が提供される。
コーティング層に組み込まれた膨潤剤の提唱された作用様式についての模式図。段階1において、薬物送達システムはpH>7の腸液に曝露される。コーティング層内のpH感受性ポリマー材料が溶解/侵食を開始する。段階2において、表面の真下に存在する膨潤剤の粒子が濡れるように、コーティング層に微小なヒビ又は漏れが形成される。膨潤剤による流体取り込みによってその体積が劇的に増大し(段階3)、それに伴って、コーティング層の更なる侵食、コーティング層への流体浸透の増大、及び膨潤剤の膨張が起こる。この事象の連鎖は、コア表面、例えば薬物カプセルが環境に曝露されるようになるようなコーティング層の迅速かつ完全な崩壊の原因となる(段階4)。最初のpH誘発性侵食から、水性流体への膨潤剤の曝露による侵食への漸進的な移行が起こる。 実施例1記載の疑似胃腸系(GISS)を用いた、5-ASAの登録された様々な剤形の放出プロファイル。フェーズIは胃を、フェーズIIは空腸を、フェーズIIIは遠位回腸を、及びフェーズIVは結腸を模倣している。 pH感受性ポリマー(Eudragit S 100)がコーティングされた、5-ASAを含む6カプセルの平均放出プロファイル。実施例1記載のGISSモデルを用いて、5-ASAの放出を経時的に測定した。更なる詳細については実施例2を参照されたい。 pH感受性ポリマー(Eudragit S 100)及び5%膨潤剤(Primojel(登録商標))がコーティングされた、5-ASAを含む6カプセルの平均放出プロファイル。実施例1記載のGISSモデルを用いて、5-ASAの放出を経時的に測定した。更なる詳細については実施例2を参照されたい。 薬物5-ASA 50mgを有するゼラチンカプセルを含むパルスpH依存放出システム(PPRS)の結腸選択性であって、該カプセルは、7% Eudragit S 100 / 1% PEG6000及び所与のパーセンテージの膨潤剤(Primojel(登録商標))のコーティング層(20 mg/カプセル)を有した。CRP-TQRは合計放出量を基準としているが、これは、フェーズI〜IVにおける5-ASAの実際の合計放出に対する、(結腸に相当する)フェーズIVで放出された5-ASAのパーセンテージである。合計投与量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TD)とは、フェーズIVで放出された合計投与量のパーセンテージである。更なる詳細については実施例2を参照されたい。 コーティング懸濁物中の膨潤剤のパーセンテージが薬物のパルス放出速度に与える効果。この速度は、<5%の薬物放出が検出されたゼロ時(T0)に対して、薬物合計投与の平均50%(T50)又は70%(T70)を放出するのに必要な時間を測定することによって決定される。
本発明者らは驚くべきことに、pH感受性コーティング層のマトリクス内に崩壊剤(すなわち膨潤剤)を組み込んだ場合にこの目的が達成されることを見出した。本明細書で示すように、この新規タイプの複合コーティングによって、崩壊剤を含まない従来のpH感受性コーティング層と比較して有意に増大した薬物放出速度がもたらされる。従って本発明は、コーティング層に囲まれたコアを含むpH制御パルス放出システム(pH-controlled pulsatile release system;PPRS)を提供するが、該コアは活性物質を含み、該コーティング層は、膨潤剤が包埋されたpH感受性コーティング材料を含む。
理論に縛られるのを望むわけではないが、膨潤粒子は、pH感受性ポリマーの連続マトリクス内に包埋されると考えられる。pH感受性ポリマーの溶解による複合コーティング層の最初のpH依存的侵食によって、コーティング層表面の真下の膨潤剤の粒子による水性流体の吸収が可能になる。コーティング層の外殻が膨潤剤の膨張によって破壊され、膨潤剤の基礎をなす粒子、および未だ濡れていないコーティングポリマーに、流体が到達する。したがってコーティング層は漸進的に破壊され、それにより完全かつ迅速な崩壊がもたらされ、続いて薬物のパルス放出が起こる。図1の仮説図およびその説明によって、本発明によるpH制御パルス薬物放出の提唱される機構についての更なる詳細が提供される。
本明細書において使用される「膨潤剤」または「膨張剤」という用語は、水性流体の吸収の際に膨張可能な化合物又は化合物の混合物を指す。これは、製薬分野においては「崩壊剤」と呼ばれることもある。これは、天然、合成、又は半合成起源の親水性材料である。本発明を実施するために使用される膨張剤の膨張能(swelling capacity)は変動しうる。膨張能は、それ自身の乾燥重量に基づく、薬剤が吸収できる水の量として表される。例えば、膨張能10の薬剤は、その重量の10倍の水を吸収できる。ある態様において、膨潤剤は、1.1以上、好ましくは5以上、より好ましくは7以上の膨張能を有する。概して、複合腸溶コーティング内の膨潤剤の膨張能が高くなればなるほど、腸溶コーティング材料の外層の最初のpH依存的侵食(溶解)の際にコーティング層がより早くより効果的に崩壊する。従って、膨潤剤は好ましくはその重量の7倍を上回る、例えば少なくとも10倍、ほぼ15倍、又はさらにそれ以上、ほぼ20又は25倍の水を吸うことができる。
本発明において使用するための適切な膨張剤には、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel(商標)、Explotab(商標))、又は架橋カルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(商標))が含まれる。しかし、既知であるか未発見であるかにかかわらずその他の種類の膨潤化合物も包含されることを、当業者は認識するであろう。さらに、2種又はそれ以上の膨潤剤の組み合わせを使用してもよい。
ある態様において、デンプングリコール酸ナトリウムが膨潤剤として使用される。デンプングリコール酸ナトリウムは、カプセルおよび錠剤製剤中の崩壊剤として経口薬物中で使用されている。水の迅速な取り込みによって崩壊が起こり、続いて迅速かつ膨大な膨張が起こる。しかし、本明細書において提供されたような胃耐性pH感受性コーティングのマトリクス内でのその使用は、以前には記載されていない。デンプングリコール酸ナトリウムは、デンプンのカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩である。分子量は通常500,000〜11,000,000である。これは非常に微細であり、白色又は淡白色であり、さらさらした(free flowing)粉末であり、無臭又はほぼ無臭である。これは水に対してほぼ不溶性であり、大部分の有機溶媒に対して不溶性である。これは、丸みの少ない(less-spherical)直径10〜35μmの顆粒を多少含む、直径30〜100μmの楕円形又は球形の顆粒からなる。好ましい態様において、膨張剤としてPrimojel(登録商標)又はExplotab(商標)が使用される。Primojelは、ジャガイモデンプンの架橋およびカルボキシメチル化ならびにその後の精製によって作製された、デンプングリコール酸ナトリウムUSP-NFである。これは、Ph. Eur. (デンプングリコール酸ナトリウムA型、B型、及びC型)、USP/NF(デンプングリコール酸ナトリウムA型及びB型)、JPEの最新版に適合している。崩壊効率を最大に維持するために、架橋の程度及び置換の程度の両方を最適化した。Primojel(登録商標)は、その重量の23倍の水を吸う。得られる高膨張能と高い水浸透力との組み合わせが、その高い崩壊速度及び効率の原因となる。
本明細書において使用する「腸溶コーティング材料」という用語は、pH感受性及び胃耐性を有するコーティング材料又はその混合物を指す。適切なコーティング材料の例には、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、およびEUDRAGIT(商標)アクリルポリマーが含まれる。ニュートラル又はインテリジェントな重合ネットワークから調製された高度なデザインの膨張ヒドロゲルもまた含まれる(Peppas et al., Expert Opin Biol Ther. 2004 Jun;4(6):881-7又はWO 98/43615を参照されたい)。
好ましい態様において、アクリルポリマーが使用される。ある態様において、十二指腸(pH>5.0)への薬物送達のために、Eudragit(登録商標)L 100又はL 100-55が使用される。空腸(pH>6.0)への送達のためには、Eudragit(登録商標)L 100が適切に使用される。別の態様において、Eudragit(登録商標)S 100と膨潤剤との組み合わせにより、下方回腸及び結腸の上行部(ascending part)(pH 6.0〜7.5)へのパルス薬物放出が可能になる。Eudragit(登録商標)S 100とEudragit(登録商標)L型とを組み合わせることによって、部位特異的薬物送達を達成することもできる。
コーティングは、例えば、ポリマーのフィルム形成を増強し連続的で十分硬化した柔軟なコーティング層の形成を可能にする可塑剤などの添加剤を、1種又は複数含んでもよい。適切なコーティング添加剤には、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸トリエチル(TEC)、セバシン酸ジブチル(DBS)、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、及びクエン酸アセチルトリブチルが含まれる。本発明の特定の局面において、コーティング層には、膨潤剤としてのデンプングリコール酸ナトリウム及び可塑剤としてのポリエチレングリコール(PEG)と組み合わせたEudragit、例えばEudragit S 100が含まれる。以下の例において実証されるように、そのようなコーティング層で被覆されたカプセル内に封入された薬物の放出プロファイルはpH依存的であり、パルス特性を有する。
別の局面において、本発明は、膨潤剤としての架橋カルボキシメチルセルロースと組み合わせたEudragit S 100のコーティング層を含むPPESを提供する。更なる局面において、本発明は、デンプングリコール酸ナトリウムと組み合わせたEudragit L 100のコーティング層を含む。
しかし、本発明の根底をなす概念、すなわち膨潤剤及びコーティング材料の両方を含む複合コーティング層は、特定の種類のコーティング材料に限られないことに留意されたい。したがって本発明は、既知のpH感受性コーティング材料に限定されず、未発見のコーティング及び/又は膨潤材料も包含する。ポリマーの組み合わせによって、特定の標的部位での的確なpH制御薬物放出を達成することができる。
制御薬物放出を達成するための膨張剤の使用は、当技術分野で公知である。米国特許第4,871,549号では、一定期間後の膜の破裂により薬物放出が引き起こされる時間制御持続放出薬物送達システムが開示されている。このシステムには、コア、薬物、膨張剤、及び、水不溶性のコーティング材料の外膜を含む製剤が含まれる。このシステムが溶解媒体または胃腸管内に配置されると、水の流入及び膨張剤の体積拡大によって、水透過膜の破裂が起こる。したがって、所定の期間後に薬物が放出される。本発明とは対照的に、米国特許第4,871,549号のシステムは胃腸液のpHに影響されないことが強調されている。さらに、膨張剤は別個の内側層として存在しており、外側のコーティング層には組み込まれていない。
Alza Company製のOROS(登録商標)プッシュプルシステムは、胃腸管内の特定部位(例えば結腸)での水溶性及び水不溶性の薬物のパルス時間制御(pulsatile time-controlled)送達のために開発された。例えば、OROS-CT(登録商標)システムは浸透性のコア区画(core compartment)の膨張特性を基にしているが、これによってpH非依存的な時間制御薬物放出が提供される。
欧州特許EP0384646 B1では、水不溶性カプセル本体内に包含されてヒドロゲル栓(plug)で密閉された薬物製剤が記載されている。この薬物送達システムは、PULSINCAP(商標)という名称で知られている。経口投与されると、カプセルの蓋が胃液中で溶解し、ヒドロゲル栓が膨張する。制御された所定の時点で、膨張した栓がPULSINCAP(商標)剤形から外れ、カプセルに封入されていた薬物が放出される。
また、欧州特許EP1021171も、時間制御薬物送達システムに関する。これは、薬物及び膨潤剤を含むコアと、コアを囲むコーティングからなる。コアは、水不溶性で親水性の粒子状物質が組み込まれた水不溶性で疎水性の担体からなる。水性の液体の存在下で、粒子状物質は、コーティングの外側表面からコアへのチャネルを形成する。チャネルによって、コア内への水の浸入速度が制御される。コア材料は膨張し、コーティングを破裂させ、迅速に崩壊して、薬物を放出する。EP1021171と本発明の間にはいくつかの重大な相違がある。第一に、疎水性フィルムおよび親水性粒子状物質は胃腸管の流体に対して不溶性である。したがって、本発明とは対照的に、pHに関係なくこのコーティングは不溶性のままである。第二に、それを通して水が膨潤コアに浸入できるようなチャネルを作製するために、粒子状物質が担体材料中に含まれる。この時間制御送達システムがその開示された薬物を放出する速度は、コーティングの厚さ及び粒子状物質の量すなわちチャネルの量に依存する。したがって、コーティング内の粒子状物質の量が、薬物送達の時期(例えば経口薬物投与から4又は6時間後)の決め手となる。しかし本発明は、局所環境のpHにより薬物放出の時期が決定されるような薬物送達システムに関し、膨潤剤の存在が薬物放出の開始に影響を及ぼすことはなく、ただ単に、pH変化によりプロセスが引き起こされたらその速度を上げるように働くに過ぎない。第四に、EP1021171では、周りのコーティングを最終的に破壊するための力が膨潤コアによって与えられる。本発明のシステムは、コアとは明らかに独立している。第五に、EP1021171では、効果的なチャネル形成を確実にするために、親水性粒子状物質の浸出用(percolating)マトリクスを疎水性担体の内部に形成することが必要である。以下でより詳細に説明するように、本発明の複合腸溶コーティングにおいては、浸出用マトリクスの形成は薬物のpH非依存的な即時放出につながりうるので回避すべきである。本発明のシステムのためには、浸出閾値を下回る量の膨潤剤を使用することが極めて重要である。
WO98/13029では、1種又は複数の重合材料を含有するコーティングで囲まれた1種又は複数の活性物質を含有する圧縮コアを含む経口遅延型即時放出(Oral Delayed Immediate Release)製剤が開示されているが、ここで、コアからの活性物質の放出は、一定のタイムラグの後にコーティングの破裂によって引き起こされ、該コアは、1種又は複数の即時放出担体を含みかつ胃腸液への曝露の際に実質的な膨張特性を有さず、該重合コーティング材料は、本質的に胃腸液内で不溶性でありかつ/または侵食不可能である。
したがって、本明細書において提供されるpH感受性コーティング材料のマトリクス内に非浸出様式で包埋された膨潤剤を含むpH制御パルス放出システムは、以前には記載されていない。
コーティング層に囲まれた物質のpH制御放出を確実にするために、膨潤剤は、それが包埋されているマトリクスが最初に溶解する際に限って流体に接触可能となるべきである。したがって、コーティング層の時期尚早な膨張及び崩壊を防止するために、膨潤剤はpH感受性コーティング材料によって最初は流体から遮蔽されていなければならない。腸溶コーティングポリマー又はその他のpH感受性コーティングポリマーなどのpH感受性コーティング材料の溶液中で膨潤剤の粒子の懸濁物を使用する場合にこれを達成できることが見出された。コーティング懸濁物は、コーティング材料が可溶性であり膨潤剤が不溶性かつ非膨張性であるような、溶媒又は溶媒混合液を含む。したがって、コーティング懸濁物中の膨潤剤の不溶性の粒子は、溶解形態のコーティング材料に囲まれている。例えば噴霧によって、コーティング懸濁物を被覆対象の物質に塗布できる。溶媒又は溶媒混合液を除去した後、得られるコーティング層は、膨潤剤の粒子が組み込まれたコーティング材料のマトリクスからなる。
好ましい態様において、コーティング懸濁物は、有機溶媒を用いて調製される。大部分のpH感受性コーティング材料はアセトンやイソプロピルアルコールなどの有機溶媒に可溶であるが、一方、有用な膨潤剤は有機溶媒に不溶であり、これらの溶媒中では非膨張状態となる。ある局面において、コーティング懸濁物は、有機溶媒と低い割合の水の混合液中、例えばアセトン:水[97:3、v/v]中に、コーティング材料としてのEudragit及び膨潤剤としてのデンプングリコール酸ナトリウムを含む。水は可塑剤としてはたらく。
コーティング層の外側に位置する膨潤粒子は所望のpH設定値に到達するより前に既にコーティングの崩壊を誘発しうるので、コーティングを含む膨潤剤を、任意で、膨潤剤を全く含まないpH感受性ポリマーを含むさらなる薄いコーティング層で囲んでもよい。
コーティングの性能は、コーティング材料の組成及び構造に大いに依存する。pH設定値に到達する前のコーティングの崩壊を防止するために、pH感受性ポリマーの連続的なフィルムが存在しかつ膨潤剤が非浸出様式で包埋されている場合にしか、適切な性能は得られない。コーティング層内の膨潤剤の正確な量は、例えば、コーティング材料の物理化学的特性、膨潤剤の物理化学的特性(本明細書においては特に材料の粒度の関連性が高い)、産生プロセス及びプロセスの間の条件、コーティング内に存在できる更なる賦形剤などの、いくつかの要素に左右される。当業者は、例えば実施例1記載の疑似胃腸系を用いて、過度の負担無しに、特定の状況に対する膨潤剤の最適量を実験により決定することができる。最初の実験の成果および浸出システムに対する一般的科学知識に基づいて、当業者は、所望の性能を得るために所与の製剤の設計及び組成をどのように変化させねばならないのかを決定することができるであろう。例えば膨潤剤の粒度を低下させる場合、膨潤材料の浸出マトリクスの形成を予防するためにコーティング層内でのその濃度を低下させるべきである。
別の局面において、本発明は、以下の工程を含む、固体基質のpH制御パルス放出のためのシステムを調製する方法を提供する:本発明によるコーティング懸濁物を提供する工程;該懸濁物を固体基質に塗布する工程;及び、膨潤剤がpH感受性コーティング材料のマトリクス内に包埋されるようなコーティング層が形成されるように、懸濁物の溶媒を蒸発させる工程。懸濁物は、噴霧コーティングを用いて固体基質に容易に塗布される。
さらに、本明細書において上述したコーティング懸濁物の使用は、パルスpH制御放出システム、好ましくは薬物送達システムの製造のために提供される。
本明細書において提供されるパルスpH制御放出システム(PPRS)は、pHの変化に応答した物質のパルス放出を可能にし、コーティング層に囲まれたコアを含み、ここで該コアは活性物質を含む。また、2種又はそれ以上の活性物質の混合物を使用できる。コアの外側表面がコーティング層の内側表面に接触するように、コーティング層を直接コアに塗布することができる。しかし、コアの外側表面をコーティング層の内側表面から分離する1種又は複数の層を存在させることも可能である。
好ましい態様において、pH感受性コーティング層に囲まれた活性物質は、薬物、例えば疾患の治療又は予防のための薬物である。しかし、活性物質は、追跡可能な分子などの診断物質、例えば安定同位体であることもできる。活性物質を含むコアは、例えばカプセル又は錠剤である。この物質および任意で追加の材料を含む固体コアを、本発明のコーティング懸濁物で覆うことができる。薬物含有コアの作製において使用可能な追加の材料は、製剤学で一般に使用される任意の材料であり、活性薬物との適合性及びコアの物理化学的特性に基づいて選択されるべきである。結合剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、安定剤、及び潤滑剤が含まれる。
適切な結合剤には、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、デンプンなどが含まれる。
適切な膨潤剤には、コーンスターチ、α化デンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC-DI-SOL(商標))、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel、EXPLOTAB(商標))、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸、及び、製薬分野で公知の任意の膨潤剤が含まれる。コーティング層内だけでなく薬物含有コア内の膨潤崩壊剤の組み込みも、高度パルス放出プロファイルを有するpH制御薬物送達システムをもたらすことが見出された。
適切な充填剤には、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デンプン、ショ糖、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが含まれる。
例示的な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリンなどである。
任意の抗酸化剤、緩衝液、酸などの安定剤を用いることもできる。
潤滑剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、及びフマル酸ステアリルナトリウムである。
ある態様において、薬物を含むコアは、追加の賦形剤を含む又は単独いずれかの薬物充填ゼラチンカプセルである。カプセル製剤に添加される典型的な賦形剤には、微結晶セルロース、リン酸カルシウム2水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、又は任意のその他の不活性な増量剤等の増量剤が含まれるが、これらに限定されない。さらに、乾式(fumed)二酸化珪素、タルク、又は、粉末を流動させる任意のその他の材料などの流動助剤が存在してもよい。必要ならば、ポリエチレングリコール、ロイシン、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムを使用することによって潤滑剤をさらに加えることができる。
また、薬物を錠剤又はペレット内に組み込むこともできる。
本発明の特定の態様は、例えば薬物又は診断分子などの活性物質を胃腸管の特定部位へ送達するためのPPRSに関する。使用するコーティング材料の種類に応じて、上記薬物送達システムは、例えば結腸特異的薬物送達システム又は十二指腸特異的薬物送達システムである。
特定の局面において、本発明は、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、セトロレリクス(cetrorelix)、もしくはメサラシン(mesalasine)(5-ASA)などの薬物、又は、糖質安定同位体(carbohydrate stable isotope)などの診断分子を結腸に特異的送達するための、結腸特異的PPRSを提供する。胃腸管の結腸領域に対して特異的に薬物を標的化するという挑戦は、過去20年にわたって科学者が取り組んでいるものである。結腸は、水及び電解質の吸収ならびに便の形成及び一時保存にしか関係しない比較的面白味のない臓器であると以前は考えられていたが、最近では、ヒトの生理学において及び薬物送達に関して重要度が増している部位と認められるようになってきた。重篤度の範囲が便秘及び下痢〜消耗性の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病)〜大腸癌(男女両方で最も流行している癌の種類の第3位である)にわたる、結腸の病状をより良好に治療する必要性のために、結腸薬物送達の分野への研究的興味がかき立てられている。したがって、結腸を標的とした薬物送達は、疾患部位における直接治療、投薬量低下、及び全身性の副作用の低減を確実にするものである。局所治療の他に、全身治療目的のための血流への薬物の流入口として結腸を利用することもできる。例えば、小腸と比べて消化酵素のレベルが低いために、胃腸管の上方部で分解されかつ/又はほとんど吸収されない薬物(例えばペプチド又はタンパク質)を結腸から優先的に吸収させてもよい。さらに、結腸薬物送達を、喘息及び関節炎などの概日リズムに対する感受性のある疾患に対する時間治療(chronotherapy)を達成する手段として使用することもできる。
経口経路は、利便性の点で結腸薬物投与の好ましい経路であるが、この経路にも問題がないわけではない。結腸は胃腸管の最も遠位の区域を構成しており、したがって、経口投与された製剤は、理想的には上方胃腸領域における薬物放出を妨害(防止)し、結腸に進入したら薬物を即時放出しなければならない。胃及び小腸の多様かつ過酷な条件に対する薬物の効果的な保護は、pH感受性コーティングの使用によって達成できる。しかし、結腸の管腔内容物の低流体環境(low fluid environment)及び粘性特性は、このように広く知られた結腸特異的製剤からの薬物の溶解及び放出を妨げると考えられる。驚くべきことに、コーティング層に膨潤剤を組み込むことによって後者の問題を解決できることが、本発明者らによって観察された。
本発明者らは疑似胃腸系(GISS;実施例1を参照されたい)を使用して、様々な量の膨潤剤を含むpH感受性腸溶コーティングで被覆されたカプセルからの、モデル薬物であるメサラジン(5-ASA)の薬物放出動態を調査した。コーティング層中の膨潤剤の割合が、本発明のpH制御パルス放出システムの放出プロファイルの開始及びパルス特性に影響を与えることが見出された(実施例2を参照されたい)。4又は5%の膨潤剤PrimojelがEudragit及びPEGを含むコーティング懸濁物に含まれる場合、結腸特異的放出を模倣したGISSのフェーズIVにおける薬物放出が合計放出量の約90%となることが見出された。10% Primojelを含むコーティング懸濁物によって、フェーズIVにおける薬物放出が56%という低い結腸特異性がもたらされた。したがって、本発明によるPPRSのこの特異的適用のためには、コーティング層中の膨潤剤の量の最適範囲が存在すると考えられる。
さらなる態様において、本発明は、薬物、例えばL-Dopa(レボドーパとしても知られる)を十二指腸に特異的に送達するPPRSを提供する。L-Dopaの経口投与は、パーキンソン病を引き起こす脳のドーパミン欠損を治療するための現在好ましい方法である。L-Dopaは、十二指腸及び近位空腸から最適に吸収される。L-Dopaの薬物動態特性は血中濃度の変動を招くが、これによって、感受性の高い患者の運動機能の変動が起こる。本明細書で提供したpH感受性パルス放出コーティングで被覆され、浮力に基づいた胃残留性を有する(gastro-retentative)顆粒(L-Dopaを含む)を用いて、吸収領域内に連続量の薬物を提供することができ、それによって、パーキンソン病の現在の薬物療法で見られる運動機能の変動効果が妨害される。
別の態様において、上記部位特異的送達には、小腸の特殊組織への活性物質の送達が含まれる。例えば本発明は、ワクチンなどの活性物質をパイエル板に送達するためのPPRSを提供する。パイエル板は、小腸の粘液分泌内層(mucus secreting lining)中に位置する大きな楕円形のリンパ組織の集合である。これらのリンパ小節は、回腸と呼ばれる消化器系の領域であるより大きな腸管へと注ぐ小腸の最下部において、特に豊富である。これらは抗原を検出し、B細胞と称する高度に特殊化された白血球を動員して、外来粒子を攻撃するよう設計された抗体を産生する。パイエル板を、架橋カルボキシメチルセルロース(AC-DI-SOL(商標))及びデンプングリコール酸ナトリウム(Primojel、EXPLOTAB(商標))などの膨潤剤と組み合わせたEudragit S 100などのポリマーからなるコーティングの適用の標的とすることができる。
実施例
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明する。これらの実施例は非限定的であり、本発明の範囲を制限するものではない。当業者は、本発明のpH制御パルス放出システムにおいてpH感受性コーティング材料と膨潤剤との多くの様々な組み合わせが適切に使用され、その特定の製剤は経験的に決定できることを理解するであろう。
実施例1:疑似胃腸系(GISS)
本実施例では、本発明のpH制御パルス薬物放出システムの薬物放出プロファイルを調査するために本発明者らにより使用された疑似胃腸系を説明する。
GISSを評価及び実証するための試験薬物として、メサラジン(5-ASA)という薬物を使用した。5-ASAは潰瘍性大腸炎の治療に使用されており、腸の近位部で容易に吸収される。本発明者らは、5-ASAの市販の経口剤形であるSalofalk(登録商標)の錠剤、Salofalk(登録商標)の顆粒、Asacol(登録商標)の錠剤、Pentasa(登録商標)の錠剤及び顆粒を試験した。
GISSは、USP 26及びPh. Eur. IVに記載の薬局方パドル法(apparatus II、Prolabo、Rhone-Poulenc、パリ、フランス)に基づく溶解試験である。試験の際、薬物製剤を、胃、空腸、遠位回腸、及び近位結腸の順序で模倣した4つのフェーズに曝露した。表1は、これらのフェーズの仕様及び適用された生体関連媒体を示す。パドルを50RPMで操作し、システムを37±℃の間の温度で維持した。
(表1)GISSの4つのフェーズの仕様
Figure 2016040307
5-ASAを用いた又は用いないGISSにおいてpHを測定することによって、緩衝能を試験した。溶解試験の間に重量モル浸透圧濃度が仕様の範囲内であり続けるかどうかも試験した。
放出測定
改変された経口剤形の放出プロファイルは、Ultraspec 4052 TDS装置(LKB、Zoetermeer、オランダ)を用いて5-ASAの濃度を分光光度的に測定することによって決定した。各フェーズにおける5-ASAの比吸光度を、λ=331 nmで測定した(n=5)(表2)。測定された濃度が線形の検出範囲から外れた場合は、試料を3N塩酸で希釈し続いてλ=303 nmで測定した後に、オフラインで吸光度を測定した。さらに5-ASAの比吸光度は236.0である。
(表2)フェーズ毎の5-ASAの比吸光度
Figure 2016040307
計算
フェーズ毎の放出量を滞留時間で割ることによって、放出速度を計算した。3つの異なるパラメータによって、結腸選択性を表すことができる。合計放出量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TQR)とは、フェーズIからIVまでの合計放出に対するフェーズIVで放出されたパーセンテージである。第二に、合計投与量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TD)とは、フェーズIVで放出された投与量のパーセンテージである。第三に、結腸選択性分配(Colonic Selectivity Ration;CSR)とは、GISSのその他3つの放出フェーズに対する剤形の結腸選択的放出を示す投与量依存的パラメータである。これは、フェーズIVで放出された画分をそれ以前の3つのフェーズにおける蓄積画分で割ることによって計算される。
結果
疑似胃腸系
pH制御剤形のインビトロ溶解試験の重要な局面とは、放出される化合物がpH自体に与える影響がごく限られたものでしかないと考えられることである。表3において、4つのフェーズにおける5-ASAの放出の間、GISSがpHを規定範囲(表1を参照されたい)内に維持するための十分な緩衝能を有していることが示されている。さらに、5-ASA 50mgの存在に関係なく、重量モル浸透圧濃度は仕様(表1)の範囲内であり続けた。
(表3)GISSにおいて測定された平均pH±標準偏差
Figure 2016040307
1 測定せず(Not measured)
3.2 放出プロファイル
図2において、試験製品の放出プロファイルを示す。予想されたように、pH感受性コーティングを有する製品(Salofalk(登録商標)の錠剤、Salofalk(登録商標)の顆粒、及びAsacol(登録商標)の錠剤)は絶食条件下の疑似胃(フェーズI)では5-ASAを全く放出しない。さらに、Salofalk(登録商標)の錠剤は、Asacol(登録商標)の錠剤よりも近位で5-ASAを放出することが示されている。どちらも疑似近位結腸ではそれほど5-ASAを放出しない。Pentasa(登録商標)の錠剤及びPentasa(登録商標)の顆粒は、SGFsp(USP 26)中での2時間の滞留(stay)の間に、相当量(50〜70%)の5-ASAを放出する。さらに、Pentasa(登録商標)の錠剤及びPentasa(登録商標)の顆粒はどちらも、疑似胃において、疑似小腸及び疑似大腸よりも3〜5倍速く5-ASAを放出する(表4)。Salofalk(登録商標)の顆粒はタイムラグを示し、その後に放出がゼロ次動態で開始する。全ての製品は、それらの薬学的技術概念に従って動作する。
(表4)試験製品に関する異なるフェーズの間の放出速度(投与量500 mgに標準化)
Figure 2016040307
表5において、各製品に関する結腸選択性が得られる。製品の実際の結腸選択性はかなり乏しいことが、データによって示されている。ペレット製品のみが、ある程度の結腸選択性を示している。
(表5)試験製品のCRP-TQR及びCRP-TD
Figure 2016040307
結論
全製品の放出プロファイルは、それらの技術概念及び入手可能なインビボデータと一致している。疑似結腸で放出された投与量のパーセンテージは、全製品において低い。GISSは、様々な種類の改変放出型経口投与剤形を識別できる強固なシステムである。これはインビボ関連性を有する放出プロファイルを明らかにし、従って、様々な物質の部位特異的送達システムの評価のために適切に使用される。
実施例2:パルスpH制御放出システム(PPRS)の開発
本実施例により、pH感受性腸溶コーティング材料のコーティング層に膨潤剤(この例では商品名Primojelとして販売されているデンプングリコール酸ナトリウム)を包埋することの有益な効果が実証される。
材料および方法
アセトン/水の溶媒混合液[97:3;体積あたり]中に7%ポリアクリル酸樹脂(Eudragit S 100)及び1% PEG6000を含む、標準コーティング溶液を調製した。標準コーティング溶液に様々な量(1、2、3、4、5、又は10% (w/v))のPrimojelを添加し、様々なコーティング懸濁物を作製した。第二の実験において、改善されたコーティング手順を用いてカプセルを被覆した。標準コーティング溶液に様々な量(4、5、6、7% w/v)のPrimojelを添加した。
噴霧コーティング(Capsule Coater、Labo Tech)によって、20カプセルあたりコーティング懸濁物20グラムの量で、コーティング懸濁物を硬ゼラチンカプセルに塗布した。カプセルは50 mgの5-ASA及びAvicel(商標)で構成されていた。チャージサイズは20カプセルであった。コーティング工程の後、カプセルを50℃で1時間の熱処理にかけて、溶媒混合液を蒸発させ、カプセルの周りに複合コーティング層が形成されるように重合フィルムを硬化させた。
実施した試験
被覆カプセルの各バッチからの5-ASAの放出プロファイルを調査するために、実施例1記載のGISSを使用した。分光光度計を用いて5-ASAの濃度を331 nmで3分ごとに測定することによって、平均放出プロファイルをオンラインで決定した(n=6)。
計算
放出速度は、内容物のそれぞれ50%(t50)及び70%(t70)を放出するのに必要な時間として表されているが、これは5%を下回る最後の測定値から計算された。結腸選択性は、3つのパラメータによって表す。
1. 合計放出量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TQR)
2. 合計投与量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TD)
結果
図3は、標準コーティング溶液で被覆された、すなわち膨潤剤を含まない、個別の5カプセルの放出プロファイルの平均的な幾何平均(average geometric mean)を示す。図4は、5%膨潤剤を含むコーティング層20gを有する個別の6カプセルの平均放出プロファイルを示す。膨潤剤無しでコーティングされたカプセルは、GISSにおいて360分後に5-ASAの不十分な放出(50.4%)を示している。さらに、放出量に大きな変動が認められた(5〜98%)。膨潤剤をコーティング懸濁物に加えることによって、約240分間のずれ(lag)フェーズの後にパルス放出プロファイルが得られる。明らかに、コーティング層内に膨潤剤が存在することによって、カプセルからの薬物放出速度が増大し、カプセル間の変動が低減し、CRP-TDが増大する。表6に全データを示す。
(表6)様々な濃度の膨潤剤Primojelを含むコーティングを有するカプセルの特徴
Figure 2016040307
コーティング層内の膨潤剤の量が結腸選択的薬物放出に与える影響を、図5に図示する。結腸選択性は、CRP-TQR及びCRP-TD(略称については実施例1を参照されたい)で表される。0〜5% Primojelを含む標準コーティング溶液で被覆されたカプセルは、80%を上回るCRP-TQRを示す。CRP-TQRは、10% Primojelを含むコーティング懸濁物で被覆されたカプセルにおいてより低い。高いCRP-TDに反映されるように、濃度5%のPrimojelにおいてのみ、疑似結腸近位部で大量の薬物合計投与量が放出される。5-ASA合計投与量の平均82%がGISSのフェーズIVで放出されるが、試験された他のカプセルはフェーズIVでは最大50%しか放出されない。
図6は、コーティング懸濁物中のPrimojelのパーセンテージが薬物のパルス放出速度に与える効果を実証している。この速度は、<5%の薬物放出が検出されたゼロ時(T0)に対して、薬物合計投与量の平均50%(T50)又は70%(T70)を放出するのに必要な時間を測定することによって決定される。
実施例3:PPRSの最適化(Optimalisation)
本実施例では、パルスpH制御放出システムの製造のための、実施例2記載の手順の最適化を説明する。最適化は主に、入口管及び出口管(inlet and outlet tubing)の短縮、ポンプの予備運転、ならびに、コーティング懸濁物の供給のための標準化ガラス製品及び撹拌棒の使用などの、コーティングプロセスの機械的局面を含んだ。さらに、膨潤剤はコーティング層内だけでなくコア内にも含まれていた。
材料および方法
ゼラチンカプセルにavicelを充填し、アセトン/水[97:3]の混合液中に7% Eudragit S 100及び1% PEG 6000を含むコーティング懸濁物で、50 mg 5-ASA及び5% Primojelを被覆した。コーティング懸濁物はさらに4、5、6、又は7% [m/v] Primojelを含んだ。カプセルを、実施例2記載のコーティング懸濁物20グラムで被覆した。20カプセルを含む各バッチを実施例1記載のGISSで試験し、5-ASAの放出プロファイルを決定した。
結果
結腸選択的放出を、CRP-TQR及びCRP-TDとして表した(これらの略称の説明については実施例1を参照されたい)。表7に示すように、4又は5% Primojelで被覆されたカプセルからの薬物放出は、GISSのフェーズIVにおいてほぼ90%で起こった(CRP-TQR)。残りはフェーズ3で放出された。疑似結腸近位部における、4又は5% Primojelで被覆されたカプセルの薬物放出は、それぞれ合計投与量の67%及び59%であったことが見出された(CRP-TD)。コーティングの開口時間(opening time)の短縮のために、コーティングの両パラメータは、コーティング内のPrimojelのパーセンテージの増大と共に低下した。6又は7% Primojelを有するカプセルについては、放出の開始がGISSの第2フェーズで起こった(T0はそれぞれ155分及び149分であった)。フェーズIIIの間に、初期の侵食によってコーティングの初期崩壊が起こった。対照的に、4及び5%カプセルのT0はそれぞれ186分及び183分であった。
(表7)実施例3に記載の改善されたコーティング手順に従って被覆されたカプセルの測定データ
Figure 2016040307
表7に示したT50及びT70値によって表されるように、試験した全カプセルがパルス薬物放出プロファイルを示した。4% Primojelコーティング懸濁物で被覆されたカプセルは、薬物放出の開始から67分以内に薬物の70%を放出した。Primojelのパーセンテージが上昇するにつれて薬物放出速度は低下し、コーティング懸濁物に7% Primojelを含めるとT70は99分になった。結論として、試験した全パーセンテージにおいて良好なパルス放出プロファイルが示されたが、(疑似)結腸特異的放出の点では、4又は5% Primojelの濃度が最も良好にはたらく。
実施例4:
本実施例は、第二の種類の膨潤剤の使用を説明する。アセトン/水の溶媒混合液[97:3;体積あたり]中に7%ポリアクリル酸樹脂(Eudragit S 100)及び1% PEG6000を含む、標準コーティング溶液を調製した。標準コーティング溶液に様々な量(0、3、及び5%)のAc-Di-Sol(商標)を膨潤剤として添加し、様々なコーティング懸濁物を作製した。噴霧コーティング(Capsule Coater、Labo Tech)によって、カプセルあたり乾燥コーティング材料50±5 mgの量で、コーティング懸濁物をα化カプセル(gelatinised capsule)に塗布した。カプセルは50 mg 5-ASA、avicel、及び5% Primojel(商標)で構成されていた。チャージサイズは20カプセルであった。コーティングの後、カプセルを50℃で1時間の熱処理にかけて、溶媒混合液を蒸発させ、カプセルの周りに複合コーティング層が形成されるように重合フィルムを硬化させた。被覆カプセルの各バッチからの5-ASAの放出プロファイルを調査するために、実施例1記載のGISSにおいてカプセルを試験した。
結果:
表8は、異なる量のAc-Di-Solを含むカプセルに対して実施された放出測定の結果を示す。試験の間に放出された薬物の合計量(放出)、薬物放出を開始した時間(T0)、放出開始後に薬物の50%を放出するのに要した時間(T50)、薬物の70%を放出するのに要した時間(T70)、及び、合計放出量に対する結腸放出パーセンテージ(CRP-TQR)を、表に示す。
(表8)様々な量のAc-Di-Solを含むEudragit S 100コーティングを用いた薬物放出試験の結果
Figure 2016040307
Ac-Di-Solをコーティングに含めることによって、薬物放出のパルス特性が高まり、結腸に送達される薬物の量が増大することが、結果により明らかに示される。
実施例5:
別の態様において、以下の組成物の水性分散体(aqueous dispersion)を作製した。
水 22.71 g
Eudragit S 100 8.43 g
アンモニア(1M) 4.29 g
クエン酸トリエチル 4.22 g
Primojel(商標) 0.12 g
分散体は迅速に高粘度塊となり、錠剤、カプセル、又はペレットに噴霧することはできなかった。これは、本出願において記載したシステムの作製に関して水性溶媒の使用が適切でないことを示すものである。

Claims (12)

  1. コーティング層で囲まれたコアを含むpH制御パルス放出システム(pH-controlled pulsatile release system;PPRS)であって、該コアが、活性物質、好ましくは薬学的に活性な物質を含み、該コーティング層が、膨潤剤(swellable agent)が包埋されたpH感受性コーティング材料を含む、システム。
  2. 上記膨潤剤が、その重量の少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍の水を吸うことができる、請求項1記載のシステム。
  3. 上記膨潤剤がデンプングリコール酸ナトリウム及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群より選択され、好ましくは該膨潤剤がデンプングリコール酸ナトリウムである、請求項1又は2記載のシステム。
  4. 上記コーティング材料が、酢酸トリメリト酸セルロース(cellulose acetate trimellitate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、例えば商品名EUDRAGIT(商標)として知られる材料などの共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
  5. 上記膨潤剤が、その粒度及びコーティングの構造に関連して非浸出システムを有するコーティングをもたらす量で上記コーティング層内に存在する、請求項1〜4のいずれか一項記載のシステム。
  6. 上記コーティング層が、添加剤、好ましくは可塑剤、より好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)、クエン酸トリエチル(TEC)、及びセバシン酸トリブチル(TBS)からなる群より選択される可塑剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
  7. 上記活性物質が、L-Dopaなどの神経伝達物質、セトロレリクス(cetrorelix)などのホルモンアゴニストもしくはアンタゴニスト、ステロイド系もしくは非ステロイド系の抗炎症薬、安定同位体、ワクチンなどの免疫原物質、又はそれらの混合物からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
  8. 溶媒又は溶媒混合液中のpH感受性コーティング材料及び膨潤剤の混合物を含む、pH制御パルス放出システム(PPRS)の製造において使用するためのコーティング懸濁物であって、該コーティング材料が該溶媒に対して可溶性であり、該膨潤剤が該溶媒に対して不溶性及び非膨張性であり、好ましくは該溶媒又は溶媒混合液が、有機溶媒、好ましくはアセトン又はイソプロピルアルコール、より好ましくはアセトンを含む、コーティング懸濁物。
  9. 以下の工程を含む、固体基質のpH制御パルス放出のためのシステムを調製する方法:
    請求項8記載のコーティング懸濁物を提供する工程;
    好ましくは噴霧コーティングによって、該懸濁物を固体基質に塗布する工程;及び、
    pH感受性コーティング材料のマトリクス内に膨潤剤が包埋されたコーティング層が形成されるように、懸濁物の溶媒を蒸発させる工程。
  10. pH制御パルス放出システム、好ましくは薬物送達システム、より好ましくは結腸特異的薬物送達システム又は十二指腸特異的薬物送達システムの製造のための、請求項8記載のコーティング懸濁物の使用。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項記載のパルスpH制御放出システム(pulsatile pH-controlled release system;PPRS)及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  12. その必要がある対象に請求項11記載の薬学的組成物の適切な量を投与する工程を含む、薬物の部位特異的送達のための方法であって、好ましくは該部位特異的薬物送達が結腸特異的又は十二指腸特異的な薬物送達を含む、方法。
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