JP2016040093A - 表面保護フィルム、表面保護フィルム付きハードコートフィルム - Google Patents

表面保護フィルム、表面保護フィルム付きハードコートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】指滑り性を備えるハードコートフィルムの当該指滑り性を低下させることのない表面保護フィルム、当該表面保護フィルムを備えたハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】ハードコートフィルムを保護するための表面保護フィルムであって、前記ハードコートフィルムは硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を含むものであり、前記硬化性組成物はコーティング材及び硬化型樹脂を含み、前記コーティング材は特定の反応物で構成されてなり、前記表面保護フィルムは基材の一方の面に粘着層が形成されてなり、前記表面保護フィルムの粘着層は(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面に指滑り性を有するハードコートフィルムを保護するための表面保護フィルムに関し、当該表面保護フィルムを当該ハードコートフィルムに貼り付けた後剥離したとしても、当該ハードコートフィルムの滑り性を阻害することのない表面保護フィルム、当該表面保護フィルム付きハードコートフィルムに関する。
近年、光学フィルムやハードコートフィルム等の各種機能性フィルム、携帯電話、スマートフォン、PND、タブレットPC、スレートPCなど様々な電子機器等の製造時、輸送時及び保管時等において、当該機能性フィルム・電子機器表面の傷付き、ゴミの付着、汚染などを防止するために、透明樹脂フィルムの一方の面に粘着層を備えた表面保護フィルムを、当該パネル機能性フィルムや電子機器の表面に貼って一時的に保護することが一般に行われている。
特にハードコートフィルムに関しては、単にハードコート性だけでなく防指紋性、指滑り性などの高機能を付加したハードコートフィルムの需要が高まってきている(特許文献1)。
特開2007−264281号公報
高機能の一例として指滑り性を備えたハードコートフィルムの出荷時において、その表面の傷付きを防止するために一時的に表面保護フィルムが貼り合わされるが、かかる表面保護フィルムをハードコートフィルムから剥離すると、その指滑り性の機能を低下させてしまうことがあった。
本発明は、ハードコートフィルムが備える指滑り性を低下させることのない表面保護フィルム、当該表面保護フィルムを備えたハードコートフィルム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこのような問題に対し、表面保護フィルムの粘着層中に特定の粘着剤を用いることで、指滑り性を有するハードコートフィルムの表面保護用として当該フィルムを貼り付けても、指滑り性が低下するのを防止できることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち本発明の表面保護フィルムは、ハードコートフィルムを保護するためのものであって、前記ハードコートフィルムは、硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を含むものであり、前記硬化性組成物は、コーティング材及び硬化型樹脂を含み、前記コーティング材は、下記化合物A、B、C、Dの反応物で構成されてなり、前記表面保護フィルムは、基材の一方の面に(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含む粘着層が形成されてなることを特徴とするものである。
化合物A:側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー
化合物B:ジイソシアネート
化合物C:ポリエーテルポリオール
化合物D:水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物
また、本発明の表面保護フィルムは、好ましくは前記粘着層中の(a)ポリオールに対する(b)イソシアネート系硬化剤の割合が、(a)ポリオール100重量部に対して(b)イソシアネート系硬化剤が0.2〜3.5重量部であることを特徴とするものである。
また、本発明のハードコートフィルムは、表面保護フィルム付きハードコートフィルムであって、前記表面保護フィルムは、基材の一方の面に(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含む粘着層が形成されてなるものであり、前記ハードコートフィルムは、硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を含むものであり、前記硬化性組成物は、コーティング材及び硬化型樹脂を含むものであり、前記コーティング材は、下記化合物A、B、C、Dの反応物で構成されてなることを特徴とするものである。
化合物A:側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー
化合物B:ジイソシアネート
化合物C:ポリエーテルポリオール
化合物D:水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物
また、本発明のハードコートフィルムは、好ましくは前記硬化性組成物が、コーティング材と硬化型樹脂の総量を100質量部としたときに、コーティング材を2質量部以上40質量部以下、硬化型樹脂を60質量部以上98質量部以下、の各範囲で含むことを特徴とするものである。
また、本発明のハードコートフィルムは、好ましくは前記コーティング材中の化合物Aの含有割合が、化合物A、B、C及びDの総量100質量部に対し、5〜90質量部であることを特徴とするものである。
本発明のハードコートフィルムを保護するための表面保護フィルムによれば、指滑り性の機能を備えたハードコートフィルムを保護するために用いたとしても、当該表面保護フィルムの剥離時におけるハードコートフィルムの指滑り性を維持することができる。また当該表面保護フィルム付きハードコートフィルムは、使用時に表面保護フィルムを剥離しても、ハードコートフィルムの指滑り性が良好に発揮することになる。
図1は、滑り性評価の一方法を示す概略図である。
以下、本発明の表面保護フィルム、表面保護フィルム付きハードコートフィルムの実施形態について説明する。
<表面保護フィルム>
本発明の表面保護フィルムは、基材の一方の面に粘着層が形成されてなるものである。基材としては特に限定されないが、光学的透明性の高いものが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニル、ノルボルネン化合物等があげられる。特に、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、寸法安定性に優れているために好適に使用される。また、当該透明樹脂フィルムにプラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、下引き易接着層の形成等の易接着処理が施されたものを用いてもよい。
基材の厚みは、特に限定されないが、取扱性や機械的強度等を考慮すると、10〜500μmが好ましく、25〜300μmとすることがより好ましい。
次に、粘着層は、(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含むものである。当該粘着層は、本発明の指滑り性を有するハードコートフィルムに貼着可能とするものであり、かつ、貼着後の剥離を容易にさせる機能を果たす。
(a)ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等を挙げることができる。なお、ポリエーテルポリオールとしては、メチレンオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖等のアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造をそれぞれ単独で、あるいは2種類以上有するものが使用できる。
(b)イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する多官能化合物であればよく、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
粘着層をこのように(a)ポリオールと(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を用いる構成とすることで、指滑り性を有するハードコートフィルムに貼り付けたとしても、当該ハードコートフィルム表面の指滑り性を阻害することなく、当該粘着層を剥離した後においても引き続き当該ハードコートフィルムの指滑り性が発揮されるものとなる。なお、当該ウレタン系粘着剤を含む粘着層を用いることで、ハードコートフィルムに貼り付ける際に気泡が混入するのを防止し、さらに、表面保護フィルムを剥離するの際の当該粘着層に起因した糊残りも防止しうるという効果を発揮する。
(a)ポリオールと(b)イソシアネート系硬化剤との含有割合は、イソシアネート系硬化剤のNCO基価等にも左右されるため一概にはいえないが、(a)ポリオール100重量部に対して(b)イソシアネート系硬化剤を0.2〜3.5重量部含有することが好ましい。上述の含有割合は、下限としてさらに0.25重量部以上とすることがより好ましい。また、上限としてさらに3.4重量部以下とすることがより好ましい。
また、上述したイソシアネート系硬化剤中におけるNCO基の含有量は、固形分75%の場合において5〜20%であることが好ましい。
粘着層には、本発明の効果を阻害しない範囲において、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などの添加剤を、使用する用途に応じて含有させても良い。
粘着層の厚みは、1〜30μmとすることが好ましい。
<ハードコートフィルム>
次に、本発明のハードコートフィルムは、少なくともハードコート層を備えたもので構成され、例えばハードコート層単層からなるものでも良く、基材上にハードコート層を形成した積層構造からなるものであっても良い。
本発明のハードコート層は、少なくともコーティング材及び硬化型樹脂を含む硬化性組成物を硬化させてなるものである。
コーティング材は、少なくとも化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dの反応物で構成される。本発明では、化合物Aは側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー、化合物Bはジイソシアネート、化合物Cはポリエーテルポリオール、化合物Dは水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物をいう。コーティング剤としてこのようなものを用いることで、指滑り性が発揮されるものとなり、同時に防指紋性も発揮されるものとなる。
化合物A(側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー)は、単量体組成物の重合物で構成される。本例の単量体組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含み、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な水酸基含有ビニルモノマーを含む。
なお、化合物Aが主にハードコートフィルムの滑り性発揮に寄与することになるが、本発明のように表面保護フィルムとして二液硬化型ウレタン系粘着剤により構成される粘着層を用いることで、表面保護フィルムを当該ハードコートフィルムに貼り付けても当該指滑り性機能を阻害することなく、表面保護フィルムを剥離した後のハードコートフィルムの指滑り性が維持されることとなる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられ、より好ましくは(メタ)アクリル酸メチルが挙げられ、特に好ましくはメタクリル酸メチル(MMA)が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であって、通常100質量%未満である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に(メタ)アクリル酸メチル)の配合割合が上記範囲であれば、化合物Aのガラス転移温度を高く設定することができ、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた指滑り性を確保することができる。
水酸基含有ビニルモノマーは、水酸基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであって、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミドなどが挙げられる。これら水酸基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
水酸基含有ビニルモノマーとして、好ましくは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)が挙げられる。
水酸基含有ビニルモノマーの配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは40質量%以下であって、通常5質量%以上である。
本発明の単量体組成物は、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または水酸基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含有することができる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、エポキシ基含有ビニルモノマー、アミド基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、イミド基含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、アルコキシポリアルキレングリコール基含有ビニルモノマーなどの官能基含有ビニルモノマー(水酸基含有ビニルモノマーを除く。)が挙げられる。すなわち所定の官能基群(例えばエポキシ基、アミド基、シアノ基、イミド基、カルボキシル基、アルコキシポリアルキレングリコール基など)から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつ水酸基を含有しない共重合性ビニルモノマーが挙げられる。
エポキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。
アミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、より好ましくはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)が挙げられる。
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
イミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー; 例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー; 例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー; が挙げられる。
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸; 例えば、無水フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物; 例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和ジカルボン酸モノエステル; 例えば、2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸などの不飽和トリカルボン酸モノエステル; 例えば、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレートなどのカルボキシアルキルアクリレート; が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコール基含有ビニルモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、共重合性ビニルモノマーとして、さらに、ラジカル重合可能な官能基を複数有する多官能モノマーが挙げられる。
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
また、共重合性ビニルモノマーとしては、上記した共重合性ビニルモノマー以外に、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類; 例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー; 例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル; 例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル類; 例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー; 例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー; 例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有モノマー; 例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのビニル基含有複素環化合物; 例えば、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー; などが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとして、好ましくは官能基含有ビニルモノマー、より好ましくはアミド基含有ビニルモノマーが挙げられる。これら共重合性ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。
共重合性ビニルモノマーが用いられる場合において、その配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。
上記した単量体組成物を重合させることにより、化合物Aを得ることができる。重合方法としては、例えば、乳化重合(懸濁重合を含む)、溶液重合、塊状重合などが挙げられ、好ましくは乳化重合、溶液重合が挙げられる。
乳化重合では、例えば、上記した単量体組成物とともに、重合開始剤、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において配合して重合する。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、分割仕込み法(多段重合法)などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、反応条件などは、適宜選択される。
重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられる。例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシビバレートなどの有機過酸化物; 例えば、2,2−アゾビス−iso−ブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル(ABN−E、日本ヒドラジン工業社製)などのアゾ化合物; が挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種以上併用することができる。これら重合開始剤のうち、好ましくはアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.01〜5質量部である。
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知の乳化剤(例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤など)が用いられる。乳化剤の配合割合は、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部である。
連鎖移動剤は、必要により配合され、化合物Aの分子量を調節するものであって、例えば、1−ドデカンチオールなどのメルカプタン類などが挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独使用または併用することができ、その配合割合は、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.1〜1質量部である。
乳化重合によって得られる化合物Aは、エマルション(水分散型)、つまり、化合物Aの水分散液として調製される。化合物Aの水分散液における固形分(不揮発分)濃度は、例えば5〜50質量%である。
溶液重合では、上記した単量体組成物とともに、上記した重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、有機溶媒中において配合して重合する。
有機溶媒としては、上記した単量体組成物を溶解できればよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤; 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤; ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶剤; メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系有機溶剤; トルエン、キシレン、「ソルベッソ100」(エクソンモービルケミカル社製)などの芳香族炭化水素系有機溶剤; n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、「ロウス」(シェルケミカルズ社製)、「ミネラルスピリットEC」(シェルケミカルズ社製)などの脂肪族炭化水素系/脂環族炭化水素系有機溶剤; メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系有機溶剤; テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系有機溶剤; n−ブチルカルビトール、iso−アミルカルビトールなどのカルビトール系有機溶剤;などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
溶液重合では、上記した単量体組成物を、重合開始剤の存在下、例えば、30〜150℃において、3〜12時間、有機溶媒中で重合させる。
溶液重合によって得られる化合物Aは、有機溶媒溶液(溶液型)、つまり、化合物Aの有機溶媒溶液として調製される。化合物Aの有機溶媒溶液における固形分濃度は、例えば、5〜50質量%、好ましくは、10〜40質量%である。
化合物Aの重量平均分子量(Mw)は、例えば5000〜150000、好ましくは10000〜120000である。また、得られる化合物Aの数平均分子量(Mn)は、例えば1000〜50000、好ましくは5000〜50000である。
なお、Mw及びMnの値は、例えば、示差屈折率検出器(RID)を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって、化合物Aの分子量分布を測定して、得られたクロマトグラム(チャート)から、標準ポリスチレンを検量線として、算出することができる(以下同様)。
化合物Aのフォックスの式により求められるガラス転移温度(Tg)は、例えば23℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは45℃以上、通常120℃以下である。化合物Aのガラス転移温度が上記下限以上であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた指滑り性を確保することができる。
化合物Aを溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば2〜200mPa・s、好ましくは5〜150mPa・sである。なお、粘度は、コーン・プレート粘度計(JIS K 5600−2−3:1999)、「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第3節:粘度(コーン・プレート粘度計法)」に準拠)を用いて測定することができる(以下同様。)。
化合物Aの水酸基価(JIS K 1557−1:2007(ISO 14900:2001)、「プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方」の4.2 B法に準拠)は、例えば5〜70mgKOH/g、好ましくは10〜50mgKOH/g、より好ましくは10〜45mgKOH/gである。化合物Aの水酸基価が上記範囲であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた硬度を確保することができ、また、指滑り性の向上を図ることができる。
化合物B(ジイソシアネート)としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)、4,4’−トルイジンジイソシアネートなど); 芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)など)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど); 脂環族ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなど);が挙げられる。これら化合物Bは、単独使用または2種類以上併用することができる。
化合物Bとして、好ましくは、耐光性、耐黄変性などの観点から、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
化合物C(ポリエーテルポリオール)は、例えば、低分子量ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)または芳香族/脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミンなど)を開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られる。例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリエチレンポリプロピレンポリオール(ランダムまたはブロック共重合体)などが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールなども挙げられる。
これら化合物Cは、単独使用または2種類以上併用することができる。
化合物Cの水酸基価(JIS K 1557−1(2007)のB法に準拠)は、例えば3〜600mgKOH/g、好ましくは5〜300mgKOH/gである。
化合物Cの平均官能基数は、例えば1〜8、好ましくは2〜6である。なお、化合物Cの平均官能基数は、開始剤の種類および配合割合から求めることができる。
化合物CのMnは、例えば300〜30000、好ましくは700〜20000である。なお、化合物CのMnは、上記した水酸基価と平均官能基数とから求めることもできる。
化合物D(水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物)において、光重合性基は、光重合可能な官能基であって、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などが挙げられる。光重合性基として、好ましくは、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
化合物Dにおいて、水酸基および光重合性基の数は、特に制限されず、1つ(単数)であってもよく、2つ以上(複数)であってもよい。化合物Dが複数の光重合性基を有する場合において、各光重合性基は同一であってもよく、また、互いに異なっていてもよい。
化合物Dとしては、例えば、上記した水酸基含有ビニルモノマーなどの、1分子中に1つの水酸基と1つの光重合性基とを有する光重合性化合物、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの、1分子中に1つの水酸基と2つ以上の光重合性基を有する光重合性化合物、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの、1分子中に2つ以上の水酸基と2つ以上の光重合性基とを有する光重合性化合物、2,2−ジヒドロキシエチルアクリレートなどの、1分子中に2つ以上の水酸基と1つの光重合性基とを有する光重合性化合物などが挙げられる。これら化合物Dは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また必要により、化合物Dとともに、化合物D1(水酸基を有さずかつ光重合性基を有する光重合性化合物)を併用することができる。
化合物D1としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート; 例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート; 例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロぺンタジエンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート; 例えば、ビスフェノールAEO付加ジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートまたはそれらのアルキレンオキシド変性体、ジビニルベンゼン、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテルジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(AH−600、共栄社化学社製)、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー(AT−600、共栄社化学社製)などの1分子中に2つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物; 例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、またはそれらのアルキレンオキシド変性体、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性体のトリ(メタ)アクリレートなどの1分子中に3つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物; 例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートまたはそれらのアルキレンオキシド変性体などの1分子中に4つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物; 例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA−306H、共栄社化学社製)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,またはそれらのアルキレンオキシド変性体などの1分子中に6つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物;などが挙げられる。これら化合物D1は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、化合物Dと化合物D1を併用する場合、それらの配合割合は、化合物Dと化合物D1の総量100質量部に対して、化合物Dが、例えば10〜90質量部、好ましくは50〜70質量部であり、化合物D1が、例えば10〜90質量部、好ましくは30〜50質量%である。
そして、コーティング材の製造において、上記した各原料成分(すなわち化合物A、BC及びD)の配合割合は、それらの総量100質量部に対して以下のとおりとする。
化合物A:例えば5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部、
化合物B:例えば1〜40質量部、好ましくは5〜30質量部、
化合物C:例えば1〜60質量部、好ましくは5〜40質量部、
化合物D:例えば5〜70質量部、好ましくは10〜50質量部。
各原料成分の配合割合を上記範囲とすれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた汚れの拭き取り易さを確保することができる。
一方、化合物Aの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の指滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。また、化合物Aの配合割合が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。
化合物Bの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。また、化合物Bの配合割合が上記上限を超過するときにも、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。
化合物Cの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。また、化合物Cの配合割合が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。
化合物Dの配合処方が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。また、化合物Dの配合処方が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。
上記した各成分の反応では、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法が採用され、好ましくはプレポリマー法が採用される。
プレポリマー法では、まず、化合物B、C及びDを反応させて分子末端にイソシアネート基および光重合性基を併有するプレポリマーを合成し、その後、得られたプレポリマーのイソシアネート基と、化合物Aが側鎖に有する水酸基とを反応させる。具体的には、まず、化合物Bと、化合物C及びDとを、化合物C及びD中の水酸基に対する化合物B中のイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基)が、1を超過、例えば1.1〜10、好ましくは1.5〜4.5となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば室温〜150℃で、例えば0.5〜24時間、ウレタン化反応させる。
ウレタン化反応では、必要により、有機溶媒を配合することができる。有機溶媒としては、例えば、上記した有機溶媒が挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、ウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ビスマス系触媒などが挙げられる。これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、さらに、重合防止剤を配合することができる。重合防止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、p−メトキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのキノン類、例えば、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノンなどのハイドロキノン類、例えば、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテルなどのフェノール類などが挙げられる。これら重合防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、フェノール類、さらに好ましくは、p−メトキシフェノールが挙げられる。
さらに、必要により、得られるプレポリマーから未反応の化合物Bを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。また、プレポリマーにおいて、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば1〜3.0、好ましくは1〜2.5である。
得られるプレポリマーのMwは、例えば4000〜40000、好ましくは8000〜25000である。得られるプレポリマーのMnは、例えば、1000〜15000、好ましくは2000〜10000である。
また、プレポリマーは、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
プレポリマーを溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば2〜20mPa・s、好ましくは5〜10mPa・sである。
次いで、この方法では、得られたプレポリマーと化合物Aとを、例えば、上記した有機溶媒中において、化合物A中の水酸基に対するプレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基)が、例えば0.7〜1.3、好ましくは0.9〜1.1となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば室温〜150℃で、例えば0.5〜24時間、ウレタン化反応させる。ウレタン化反応においては、上記と同様、必要に応じて、上記したウレタン化触媒、さらには、重合防止剤を添加することができる。
このようなプレポリマー法により得られるコーティング材によれば、コーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた汚れの拭き取り易さを確保することができる。
本例のコーティング材には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、消泡剤などを添加することができる。
このような添加剤は、上記した各原料成分(すなわち化合物A、B、C及びD)の少なくともいずれか、および/または、上記したプレポリマーに予め添加することができ、また、プレポリマーと化合物Aとの反応時に、別途添加することができ、さらに、プレポリマーと化合物Aとの反応により得られるコーティング材に直接添加することもできる。なお、添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
本発明のコーティング材のMwは、例えば5000〜100000、好ましくは10000〜80000である。コーティング材のMnは、例えば1000〜50000、好ましくは4000〜40000である。
本発明のコーティング材は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。コーティング材を溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば1〜100mPa・s、好ましくは5〜80mPa・sである。
そして、このコーティング材によれば、コーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた拭取り性と滑り性とを確保することができる。
次に、硬化型樹脂としては、例えば、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂などが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。これら熱硬化型樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。電離放射線硬化型樹脂としては、電離放射線(紫外線または電子線)の照射によって架橋硬化する光重合性プレポリマーを用いることができる。光重合性プレポリマーとしては、好ましくは、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが挙げられる。
アクリル系プレポリマーとして、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレートなどが挙げられる。これらアクリル系プレポリマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。アクリル系プレポリマーとして、好ましくは、ウレタンアクリレートが挙げられる。
光重合性プレポリマーは、それ単独で、電離放射線硬化型樹脂として使用可能である。ただし、架橋硬化性および硬度を向上させる観点から、光重合性プレポリマーとともに、光重合性モノマーを併用することができる。
光重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどの単官能アクリルモノマー; 例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートなどの2官能アクリルモノマー; 例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(3官能以上)アクリルモノマー;などが挙げられる。これら光重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合性モノマーの配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて適宜設定される。
本発明では、電離放射線硬化型樹脂として、例えば、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を用いてもよい。電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂とは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で代表される従来からの複合体と異なり、有機物と無機物の混ざり方が緊密であり、また分散状態が分子レベルかそれに近いもので、電離放射線の照射により、無機成分と有機成分とが反応して、被膜を形成することができるものである。
ハイブリッド樹脂中の無機成分としては、例えば、シリカ、チタニアなどの金属酸化物が挙げられ、好ましくはシリカが挙げられる。シリカとしては、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカが挙げられる。反応性シリカは、平均粒子径が、好ましくは1nm以上であって、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下のものを用いる。平均粒子径が所定範囲の反応性シリカを使用することによって、被膜にした時の透明性を維持しやすくなる。ハイブリッド樹脂中での無機成分の含有率は、好ましくは65重量%以下、より好ましくは40重量%以下とする。無機成分の含有率を65重量%以下とすることにより、被膜にした時の透明性を維持しやすくなる。
ハイブリッド樹脂中の有機成分としては、前記無機成分(好ましくは反応性シリカ)と重合可能な重合性不飽和基を有する化合物(例えば、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、または分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等)が挙げられる。
これら硬化型樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
硬化型樹脂として、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。硬化型樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いれば、得られる硬化物に優れた耐擦傷性を付与することができる。
電離放射線硬化型樹脂は、市販品として得ることができ、具体的には、例えば、ユニディック17−813(ウレタンアクリレート、固形分80%、DIC社製)、紫光UV 7600BA(ウレタンアクリレート、固形分80%、日本合成化学工業社製)などが挙げられる。
硬化型樹脂は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
本発明の硬化性組成物は、上記したコーティング材と、硬化型樹脂とを混合および撹拌することにより得ることができる。
硬化性組成物において、コーティング材および硬化型樹脂の配合割合は、それらの総量100質量部に対して、コーティング材(固形分)の配合割合が、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
また、硬化型樹脂(固形分)の配合割合が、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上であり、好ましくは98質量部以下、より好ましくは95質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
本発明では、硬化性組成物中にコーティング材が少量でも含まれていれば、防指紋性と指滑り性の向上が期待できる。従って本発明ではコーティング材の配合割合は特に限定していない。しかしながら好ましい態様として、コーティング材の配合割合が上記下限(2質量部)以上であれば、防指紋性および指滑り性をより良好にすることができる。また、コーティング材の配合割合が上記上限(40質量部)以下であれば、耐湿性や耐擦傷性が低下することを防止することができる。
本発明では、硬化性組成物中に硬化型樹脂が多量に含まれる場合でも、防指紋性と滑り性の両立は可能である。従って本発明では硬化型樹脂の配合割合も特に限定していない。しかしながら好ましい態様として、硬化型樹脂の配合割合が上記上限(98質量部)以下であれば、防指紋性および指滑り性が低下することを防止しやすくできる。また、硬化型樹脂の配合割合が上記下限(60質量部)以上であれば、耐湿性や耐擦傷性を良好にすることができる。
なお、硬化型樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用い、該電離放射線硬化型樹脂を紫外線照射によって硬化させる場合、上記した光重合性プレポリマーおよび光重合性モノマーの他、必要によりさらに、光重合開始剤や光重合促進剤などの添加剤を、硬化性組成物中に配合することもできる。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類などが挙げられる。これら光重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合開始剤が配合される場合において、その配合割合は、コーティング材および硬化型樹脂の総量(固形分)100質量部に対して、例えば3〜7質量部である。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これら光重合促進剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合促進剤が配合される場合において、その配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、硬化性組成物中には、上記した性能を阻害しない範囲で、例えば、レベリング剤、消泡剤などの界面活性剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤、さらには、防眩性やブロッキング防止性を付与するための顔料など、公知の添加剤を配合することもできる。なお、添加剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、硬化性組成物は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
ハードコート層が基材上に形成される場合における基材としては、上述した表面保護フィルムで用いられるものと同様のものが用いられる。
本発明のハードコートフィルムの作製方法の一例としては、次のとおりである。
基材表面に上記した硬化性組成物を塗布し、必要により乾燥させた後、例えば、電離放射線の照射や加熱により硬化させる。これにより、基材の表面にハードコート層が形成されたハードコートフィルムを作製することができる。
塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などによる塗布や、バーコーター、アプリケーターなどを用いたキャスティングなどが挙げられる。
本発明では、上記方法以外の方法、例えば転写法によってハードコートフィルムを得ることもできる。転写法では、例えば、まず、公知の離型紙の表面に上記した硬化性組成物を塗布し、必要により乾燥させた後、例えば、電離放射線の照射や加熱により硬化させ、ハードコート層を形成する。その後、得られたハードコート層を基材に圧着した後、離型紙を剥離(転写)することにより、ハードコートフィルムを得る。
ハードコートフィルムの厚みは、耐擦傷性の観点から、1μm以上であることが好ましく、またクラック防止の観点から、10μm以下であることが好ましい。
ハードコートフィルムは、傷つき防止の観点から、JIS−K5400:1990の鉛筆硬度がH以上であることが好ましく、2H以上、さらには3H以上であることがより好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、その表面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた拭取り性と滑り性とを確保することができる。
本発明のハードコートフィルムは、例えば、電子機器本体や、時計や計器のカバーガラス、窓ガラス、ショーケースなどにおける表示装置などの表面に配置し、その表面を保護するために好適に用いられる。好ましくは電子機器本体の表面保護用途に使用する。
すなわち本発明の電子機器は、本発明のハードコートフィルムを電子機器本体に対して基材側が対向するように配置して構成される。
電子機器本体としては、例えば、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などの表示装置、これら表示装置を備えた携帯情報端末やパーソナルコンピュータ、タッチパネルなどが挙げられる。
電子機器本体として、好ましくは、防指紋性と滑り性との両立が強く求められているタッチパネル(抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネルなど)が挙げられ、とりわけ好ましくは静電容量式タッチパネルが挙げられる。
抵抗膜式タッチパネルは、透明基板の一方の面に透明導電層を有する上部電極と、透明基板の一方の面に透明導電層を有する下部電極とを、上部電極および下部電極の透明導電層同士が対向するようにスペーサーを介して配置した基本構成からなる。
このような抵抗膜式タッチパネルにおいては、上部電極の透明基板として上記したハードコートフィルムを用いるか、上部電極の透明基板上に、上記したハードコートフィルムを配置することができる。
静電容量式タッチパネルは、表面型(Surface Capacitive)と投影型(Projected Capacitive)に分けることができる。
表面型は、基板の一方の面に透明導電膜、保護層を備え、さらに4隅に配置された電極を具備した基本構成からなる。このような表面型の静電容量式タッチパネルを構成する基板および透明導電膜として、公知の透明導電膜基材を用いることができる。このような表面型の静電容量式タッチパネルにおいては、保護層として上記したハードコートフィルムを用いるか、保護層上に、上記したハードコートフィルムを配置する。
投影型は、透明基板上に、所定の第1方向に沿って形成された導電素子群であるX軸トレース、当該X軸トレースと交差する第2方向に沿って形成された導電素子群であるY軸トレース、これらX軸トレースとY軸トレースとの少なくとも交差部に配置された絶縁層、および、外部取り出し線への接続配線とを具備した基本構成からなる。このような投影型の静電容量式タッチパネルにおいては、透明基板として上記したハードコートフィルムを用いるか、透明基板上に、上記したハードコートフィルムを配置する。
次に、本発明を、合成例、調製例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されない。本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り質量基準である。
なお、合成例などにおいて用いられる物性の測定方法を以下に示す。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw及びMnの測定>
サンプル約0.2mgを採取し、これをテトラヒドロフラン10mLに溶解させ、RIDを装備したGPCによって測定し、サンプルの分子量分布を得た。その後、得られたクロマトグラム(チャート)から、標準ポリスチレンを検量線として、サンプルのMwを算出した。測定装置および測定条件を以下に示す。
・データ処理装置:品番HLC−8220GPC(東ソー社製)
・RID:品番HLC−8220GPCに内蔵されたRI検出器
・カラム:品番TSKgel GMHXL(東ソー社製)3本
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム流量:0.5mL/min
・注入量:20μL
・測定温度:40℃
・標準ポリスチレン分子量:1250、3250、9200、28500、68000、165000、475000、950000、1900000
<粘度>
サンプルの25℃における粘度を、コーン・プレート粘度計を用いて、JIS K 5600−2−3:1999に準拠して測定した。
<水酸基価>
サンプルの水酸基価を、JIS K 1557−1(2007)のB法(フタル化法)に準拠して測定した。
[化合物aの合成]
《合成例A−1》
反応容器中に、溶媒としてメチルエチルケトン(以下、MEK)233部を仕込み、85℃まで昇温した。一方、メタクリル酸メチル90部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル10部からなる単量体組成物に、重合触媒としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル(ABN−E、日本ヒドラジン工業社製)4部を撹拌混合することによりモノマー混合液を調製した。次いで、上記の溶媒にモノマー混合液を85℃で2時間かけて滴下し、滴下終了後4時間熟成させることにより、側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー(化合物A)の溶液(固形分30%)を得た。
得られた化合物AのMwは18000、Mnは9500、Tgは88℃、粘度(25℃)は7mPa・s、水酸基価は17mgKOH/gであった。なお、Mw、Mn、粘度および水酸基価は、上記の方法により求めた。また、ガラス転移温度は、フォックスの式により算出した。
[プレポリマーの合成]
《合成例B−1》
反応容器中に、溶媒としてMEK233部を仕込み、80℃まで昇温した。次いで、反応容器中に、ジイソシアネート(化合物B:ヘキサメチレンジイソシアネート)を15部、ポリエーテルポリオール(化合物C:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、エパンU-105、Mn:6400、第一工業製薬社製)を30部、光重合性化合物(水酸基および光重合性基を併有する化合物Dと水酸基を有さずかつ光重合性基を有する光重合性化合物D1の混合物:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物、アロニックスM-403、ペンタエリスリトールペンタアクリレート含有率50〜60%、NCO/OH当量比2.9、東亞合成社製)を55部を仕込み、さらに、触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合した。
これにより、分子末端にイソシアネート基および光重合性基を併有するプレポリマー(化合物B、C、D及びD1の反応物)の溶液(固形分30%)を得た。
得られたプレポリマーのMwは12000、Mnは4000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
[コーティング材の調製]
《合成例C−1》
反応容器中に、合成例A−1で得られた化合物Aの溶液を20部、合成例B−1で得られたプレポリマーの溶液を80部、仕込み、さらに触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合し、これにより、コーティング材溶液(固形分30%)を得た。得られたコーティング材のMwは19000、Mnは6000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
《合成例C−2》
反応容器中に、合成例A−1で得られた化合物aの溶液を40部、合成例B−1で得られたプレポリマーの溶液を60部、仕込み、さらに触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合し、これにより、コーティング材の溶液(固形分30%)を得た。得られたコーティング材のMwは19000、Mnは8000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
[ハードコート層塗料の調製]
以下に示す成分を混合および撹拌することにより、硬化性組成物を調製した。
・合成例C−1で得られたコーティング材溶液(固形分30%)6.67部
(コーティング材固形分:2部)
・電離放射線硬化型樹脂(固形分80%) 122.5部
(ユニディック17−813:ウレタンアクリレート、DIC社製)
(ウレタンアクリレート固形分:98部)
・光重合開始剤 3部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製)
・希釈溶剤(酢酸ブチル) 200部
[ハードコートフィルムの製造]
100μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡社)の一方の面に、上記ハードコート層塗料を塗布・乾燥し、紫外線照射により硬化させて、厚み5μmのハードコート層を形成し、ハードコートフィルムAを作製した。
合成例C−1で得られたコーティング材溶液に代えて、合成例C−2で得られたコーティング材溶液(固形分30%)を用い、その添加量を50部(固形分15部)に変更し、電離放射線硬化型樹脂の添加量を106.25部(固形分85部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムBを作製した。
[表面保護フィルムの作製]
[実施例1]
100μmのポリエステルフィルム(エステルフィルム:東洋紡社)の一方の面に、下記粘着層塗料を塗布・乾燥して、厚み5μmの粘着層を形成し、実施例1の表面保護フィルムを作製した。
<粘着層塗料>
・ポリオール含有ウレタン系粘着剤 100重量部
(オリバインEXK13-565:トーヨーケム社、固形分64.2%)
・イソシアネート系硬化剤 15重量部
(サイアバインT-501B:トーヨーケム社、固形分75.0%)
・希釈溶媒 150重量部
[比較例1]
100μmのポリエステルフィルム(エステルフィルム:東洋紡社)の一方の面に、下記粘着層塗料を塗布・乾燥して、厚み5μmの粘着層を形成し、実施例1の表面保護フィルムを作製した。
<粘着層塗料>
・アクリル系粘着剤 100重量部
(コーポニールN7600:日本合成化学社、固形分30%)
・硬化剤 3重量部
(コロネートHX:日本ポリウレタン社、固形分100%)
・希釈溶媒 10重量部
実施例1、比較例1の表面保護フィルム及び、市販の表面保護フィルムA(ピュアテクトVL29G:東セロ)、表面保護フィルムB(ピュアテクトVL27HR:東セロ)、表面保護フィルムC(サニテクトMS14L:サンエー化研)Dの粘着層と、ハードコートフィルムA、またはハードコートフィルムBのハードコート層とを貼り合わせ、常温で1日放置し、表面保護フィルムを剥離した後、下記項目の評価を行った。
[合皮による摩擦力]
実施例1、比較例1、市販の表面保護フィルムA〜Dを剥離後のハードコートフィルム1を、ガラス板21上にハードコート層を上にして固定し、当該ハードコートフィルム1の上に、合皮22、ガラス23(6.5cm×6.5cm)、錘24(荷重 1kg)の順に配置し、その後、合皮の他端部に目玉クリップ25を取り付け、目玉クリップ25の孔にばね秤26のフックを引っ掛けた。次いで、ばね秤26を引っ張り、ハードコート層上で合皮22が動き出した時の荷重を測定した。また、各試験片の表面保護フィルムを貼着する前のハードコート層についても、同様に測定した。
表面保護フィルム剥離後の摩擦力が、表面保護フィルム貼着前の摩擦力の0.8〜1.5倍以内のものを「○」、0.8より小さいもの、又は1.5倍より大きいものを「×」とした。結果を表1に示す。
[指滑り性]
実施例1、比較例1、市販の表面保護フィルムA〜Dを剥離後のハードコートフィルムを、ガラス上にハードコート層が上になるように固定し、指で触って、表面保護フィルムを貼着する前のハードコート層と比べて、指滑り性に違いがあるかどうか評価した。5人中3人以上が変化がなかったと感じたものを「○」、5人中3人以上が変化があったと感じたものを「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 2016040093
実施例1の表面保護フィルムは、表面保護フィルムを剥離後のハードコートフィルムの摩擦力が、ハードコートフィルムの表面保護フィルムを貼着前の摩擦力の0.8〜1.5倍以内であり、指滑り性に違いがみられないものであった。
実施例1の表面保護フィルムは、ポリオール及びイソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含むものであるため、合皮による摩擦力が0.8〜1.5倍以内であり、指滑り性に違いがみられないものであった。
1…ハードコートフィルム、21、23…ガラス、22…合皮、24…錘、25…目玉クリップ、26…ばね秤

Claims (5)

  1. ハードコートフィルムを保護するための表面保護フィルムであって、
    前記ハードコートフィルムは、硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を含むものであり、
    前記硬化性組成物は、コーティング材及び硬化型樹脂を含み、
    前記コーティング材は、下記化合物A、B、C、Dの反応物で構成されてなり、
    前記表面保護フィルムは、基材の一方の面に(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含む粘着層が形成されてなることを特徴とする表面保護フィルム。
    化合物A:側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー
    化合物B:ジイソシアネート
    化合物C:ポリエーテルポリオール
    化合物D:水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物
  2. 前記粘着層中の(a)ポリオールに対する(b)イソシアネート系硬化剤の割合は、(a)ポリオール100重量部に対して(b)イソシアネート系硬化剤が0.2〜3.5重量部であることを特徴とする請求項1記載の表面保護フィルム。
  3. 表面保護フィルム付きハードコートフィルムであって、
    前記表面保護フィルムは、基材の一方の面に(a)ポリオール及び(b)イソシアネート系硬化剤からなる二液硬化型ウレタン系粘着剤を含む粘着層が形成されてなるものであり、
    前記ハードコートフィルムは、硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を含むものであり、
    前記硬化性組成物は、コーティング材及び硬化型樹脂を含むものであり、
    前記コーティング材は、下記化合物A、B、C、Dの反応物で構成されてなることを特徴とするハードコートフィルム。
    化合物A:側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー
    化合物B:ジイソシアネート
    化合物C:ポリエーテルポリオール
    化合物D:水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物
  4. 前記硬化性組成物は、コーティング材と硬化型樹脂の総量を100質量部としたときに、コーティング材を2質量部以上40質量部以下、硬化型樹脂を60質量部以上98質量部以下、の各範囲で含むことを特徴とする請求項3に記載のハードコートフィルム。
  5. 前記コーティング材中の化合物Aの含有割合は、化合物A、B、C及びDの総量100質量部に対し、5〜90質量部であることを特徴とする請求項3又は4に記載のハードコートフィルム。
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