本発明は、例えば、X線発生器とX線検出器との間に被写体を配置し、X線発生器から照射したX線をX線検出器で検出してX線CT撮影を行うX線CT撮影装置に関する。
従来、医療分野等において、X線を用いて被写体に対してX線を照射して投影データを収集し、得られた投影データをコンピュータ上で再構成して、Computerized Tomography画像(CT画像断層面画像、ボリュームレンダリング画像等)を生成するX線CT撮影が行われている。
このようなX線撮影では、X線発生器とX線検出器との間に被写体を配置した状態で、X線発生器とX線検出器とを被写体周りに旋回させながら、X線発生器からコーン状のX線(X線コーンビーム)を被写体に照射する。そしてX線検出器によってX線の検出結果(投影データ)を収集し、収集したX線の検出結果(投影データ)に基づいて三次元データを再構成する。このようなX線CT撮影を行う装置として、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載のX線撮影装置は、X線コーンビームを照射する位置を被写体中心からずらして常に被写体の一部を照射しながら撮影するオフセットスキャンによって、小さいX線検出面でより広い範囲をCT撮影することができるとされている。
ところが、特許文献1のX線撮影装置では、旋回する旋回軸方向である縦方向の広がりが一定であるため、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大したり、関心領域全体にX線を照射できなかったりするおそれがあった。
そこで本発明は、関心領域に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができるX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
この発明は、被写体におけるCT撮影領域をX線CT撮影するX線CT撮影装置において、X線を発生するX線発生器、該X線発生器から発生したX線の照射範囲を規制し、前記CT撮影領域に対して照射するX線コーンビームを形成するX線規制部、及び被写体に照射された前記X線コーンビームを検出するX線検出器を有する撮像機構と、前記X線発生器と前記X線検出器とを前記被写体を挟んで対向する状態で支持する支持体と、前記被写体に対して少なくとも旋回軸の軸周りに前記支持体を旋回する撮像機構駆動部と、少なくとも前記X線発生器、前記X線規制部、及び前記撮像機構駆動部を制御する制御部とを備え、前記旋回軸の軸方向と平行な方向を縦方向とし、前記X線規制部を、前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向X線遮蔽手段で構成し、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させるとともに、前記制御部によって制御される縦方向調整手段を備えたことを特徴とする。
上述の前記被写体に対して少なくとも旋回軸の軸周りに前記支持体を旋回する撮像機構駆動部は、旋回軸を固定し、旋回駆動のみ可能な駆動部、あるいは旋回駆動に加えて旋回軸を前記被写体に対して相対移動可能な駆動部であることを含む概念である。
上述の前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向X線遮蔽手段は、X線発生器から発生したX線の照射範囲における縦方向の上部及び下部のうち少なくとも一方を遮蔽する手段であり、縦方向のみ、あるいは横方向とともに縦方向を遮蔽する手段とすることができる。
上述の前記支持体が旋回するX線CT撮影中は、X線CT撮影における一連の流れ全体を含む概念であり、具体的には、撮像機構におけるX線発生器から照射したX線コーンビームをX線検出器で検出する撮影の処理の瞬間のみならず、撮像機構での処理を停止し、撮像機構駆動部で支持体を旋回する間も含む概念である。
上述の前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させる縦方向調整手段は、X線発生器に対して少なくとも縦方向に縦方向X線遮蔽手段を変位する手段、X線発生器に対する縦方向X線遮蔽手段の離間距離を調整する手段、あるいは被写体に対する撮像機構の離間距離を調整する手段等のいずれかまたはそれらの組み合わせとすることができる。
この発明により、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳述すると、例えば、旋回する旋回軸方向である高さ(縦方向の長さ)が旋回方向において異なる関心領域である場合において、X線コーンビームの縦方向の広がりを一定にしてX線CT撮影すると、X線コーンビームによるCT撮影領域が関心領域より広ければ、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大するおそれがある。逆に、CT撮影領域が関心領域より狭ければ関心領域全体にX線を照射できないおそれがある。
これに対し、前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記制御部で縦方向調整手段を制御し、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合させるため、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
この発明の態様として、前記縦方向調整手段を、前記縦方向X線遮蔽手段を縦方向に移動する遮蔽手段縦方向移動手段で構成することができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを、簡単な構造で遮蔽して規制し、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合することができる。
またこの発明の態様として、前記縦方向X線遮蔽手段を、前記CT撮影領域に対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽部材で構成し、前記遮蔽手段縦方向移動手段を、前記縦方向遮蔽部材を移動する構成とすることができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを遮蔽して規制するとともに、X線コーンビームのX線発生器に対する縦方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、前記CT撮影領域に対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽部材を、X線発生器から照射されX線コーンビームの縦方向の中心から縦方向に偏心させることで、X線コーンビームのX線発生器に対する縦方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が上顎や下顎の一部であるような局所的な関心領域であり、さらに局所的な関心領域がX線発生器における照射方向から縦方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域の形状を適合させることができる。
またこの発明の態様として、前記撮像機構駆動部に、前記被写体に対して前記旋回軸を相対移動する旋回軸移動機構を設け、前記縦方向調整手段を、前記被写体に対する前記X線発生器の離間距離を調整する前記旋回軸移動機構で構成することができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合することができる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線発生器が前記CT撮影領域に近づく場合に前記X線コーンビームの縦方向の広がりを大きく、前記X線発生器が前記CT撮影領域から遠ざかる場合に前記X線コーンビームの縦方向の広がりを小さく制御する構成とすることができる。
この発明により、前記縦方向調整手段を、前記縦方向X線遮蔽手段を縦方向に移動する遮蔽手段縦方向移動手段や前記被写体に対する前記X線発生器の離間距離を調整する前記旋回軸移動機構で構成した場合であっても、確実にCT撮影領域の形状を適合させ、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
またこの発明の態様として、前記X線検出器を、前記支持体に対して相対移動するX線検出器移動手段を備え、前記制御部を、前記X線コーンビームの照射範囲に追従してX線検出器移動手段を制御する構成とすることができる。
この発明により、X線検出器を小型化することができる。詳しくは、前記縦方向調整手段によりX線コーンビームの縦方向の広がりが調整されるため、X線検出器における検出範囲が調整されたX線コーンビームの縦方向の広がりが異なる。特に、X線コーンビームの縦方向の照射方向が調整された場合、検出範囲の中心が変位する。
これに対して、前記X線検出器を、前記支持体に対して相対移動するX線検出器移動手段を備え、前記制御部を、前記X線コーンビームの照射範囲に追従してX線検出器移動手段を制御することにより、異なる検出範囲や変位する検出範囲にX線検出器を追従させ、最大投影範囲を小型のX線検出器で網羅することができる。したがって、最大投影範囲に大きさを合わせたX線検出器に比べ、X線検出器を小型化することができる。よって、非常に高価な検出センサを要するX線検出器を低コスト化できる。
またこの発明の態様として、前記X線発生器から前記X線検出器に向かって前記縦方向と直交する方向を横方向とし、前記X線規制部に、前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの横方向の照射範囲を遮蔽して規制する横方向X線遮蔽手段を備え、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記横方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの横方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させる横方向調整手段を備えることができる。
この発明により、適切に関心領域にX線を照射するとともに、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域を形成することができるため、無駄なX線被曝量を低減することができる。
詳述すると、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記横方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの横方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させる横方向調整手段を備えることにより、旋回軸に対して平面視旋回方向において径が一様でない関心領域や、旋回軸に対して平面視において偏心した関心領域であっても、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域を形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができる。
またこの発明の態様として、前記横方向X線遮蔽手段を、前記CT撮影領域に対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽部材で構成し、前記横方向調整手段を、前記横方向遮蔽部材を移動する遮蔽手段横方向移動手段で構成することができる。
この発明により、X線コーンビームの横方向の広がりを遮蔽して規制するとともに、X線コーンビームのX線発生器に対する横方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、前記CT撮影領域に対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽部材を、X線発生器から照射されたX線コーンビームの横方向の中心から横方向に偏心させることで、X線コーンビームのX線発生器に対する横方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が旋回軸から横方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域の形状を適合させることができる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記撮像機構駆動部による旋回駆動に応じて、前記CT撮影領域が平面視略三角形状となるように、少なくとも前記横方向X線遮蔽手段を制御することができる。
この発明により、前記横方向X線遮蔽手段を制御することで、CT撮影領域を関心領域の形状に応じて略三角形状に絞り込むことによって、無駄なX線被曝量を低減できるとともに、X線検出器の検出範囲を小さくすることができる。
またこの発明の態様として、前記平面視略三角形状に形成した前記CT撮影領域に、歯列弓の前歯、左右の両臼歯が収まるように設定することができる。
この発明により、CT撮影領域に歯列弓の前歯、左右の両臼歯が収まるので、必要な部位を確実にX線CT撮影することができる。
またこの発明の態様として、前記平面視略三角形状を、3つの角部のうち少なくとも1つの角部が外側向きの凸状の弧によって丸みを有する形状に形成することができる。
上述の3つの角部のうち少なくとも1つの角部が外側向きの凸状の弧によって丸みを有する形状は、二等辺三角形の底辺と対向する頂点の部分を外に凸の弧によって丸みを持たせた形状、あるいは底辺の両端の角部を外に凸の弧によって丸みを持たせた形状とすることができる。
この発明により、略半円形状(略半楕円形状を含む)の撮影対象物を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域を関心領域の形状に適合することができ、無駄なX線被曝量を低減することができる。
またこの発明の態様として、前記平面視略三角形状を、3辺のうち少なくとも1辺の中央部に外側向きに凸状の弧を有する形状に形成することができる。
上述の3辺のうち少なくとも1辺の中央部に外側向きに凸状の弧を有する形状は、例えば、前記二等辺三角形の3辺のうち、前記底辺以外の2辺について中央部分を外に凸の弧で形成した形状、あるいは3辺のうちいずれかの辺の中央部分を外に凸の弧で形成した形状とすることができる。
この発明により、略半円形状の撮影対象物を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域を関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
またこの発明の態様として、前記平面視略三角形状を、3辺のうち1辺の両側に、外側に張り出す張出部を備え、前記1辺に対向する頂部と、前記張出部とを曲線でつなぐとともに、前記頂部及び前記1辺の中央を通る対称軸に対して対称形状で形成することができる。
この発明により、略半円形状の撮影対象物を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域を関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線規制部による規制範囲を変更し、前記CT撮影領域が前記平面視略三角形状を呈する略三角形状撮影領域X線CT撮影と、前記CT撮影領域が他の形状となる他形状撮影領域X線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成することができる。
この発明により、例えば、歯列弓の前歯、左右の両臼歯が収まる平面視略三角形状や、臼歯だけの局所が収まる平面視楕円状のCT撮影領域を選択できるため、あらゆるX線CT撮影に対応でき、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置の汎用性が高まる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線規制部による規制範囲を変更し、前記被写体の関心領域の全体を第1の関心領域とし、該第1の関心領域の全体をCT撮影領域とする第1X線CT撮影と、前記第1の関心領域の一部の領域である第2の関心領域をCT撮影領域とする第2X線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成することができる。
この発明により、例えば、歯列弓の前歯、及び左右の両臼歯全体を第1の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域に対する第1X線CT撮影、臼歯だけの局所を第2の関心領域として平面視略円形状(楕円形状も含む)のCT撮影領域に対する第2X線CT撮影を選択できるため、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置の汎用性が高まる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線規制部による規制範囲を変更して形成したX線細隙ビームを照射するとともに、前記支持体を旋回することにより、照射したX線細隙ビームがパノラマX線撮影用軌跡を形成するように前記撮像機構駆動部を制御するとともに、前記X線細隙ビームによってパノラマX線撮影を行う構成とすることができる。
この発明により、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置によりX線細隙ビームでパノラマX線撮影もできる。
本発明により、例えば、旋回するX線発生器に対する高さが旋回方向において異なる場合であっても、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができるX線CT撮影装置を提供することができる。
X線撮影装置の概略斜視図。
セファロスタットを装着したX線撮影装置の部分正面図。
X線撮影装置の構成を示すブロック図。
ビーム成形機構の概略斜視図。
照射範囲が規制されたX線コーンビームを照射した状態のX線発生部の概略斜視図による説明図。
縦方向遮蔽板及び横方向遮蔽板の位置調整についての説明図。
別の実施形態における縦方向遮蔽板及び横方向遮蔽板の位置調整についての説明図。
X線検出部についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の軌跡を示す概略平面図。
第1旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第2旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第3旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第4旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第5旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第6旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
撮影対象物を撮影するX線CT撮影の軌跡を示す概略平面図。
撮影対象物を撮影するX線CT撮影についての説明図。
撮影対象物に対する縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームについての説明図。
CT撮影領域を円形状の円柱状CT撮影領域とした場合と三角CT撮影領域とした場合とを比較して示す平面図。
X線CT撮影中、被写体に照射するX線量の調整についての説明図。
平面視略三角形状のCT撮影領域についての説明図。
別の実施形態のビーム成形機構によるX線コーンビームの広がりの規制についての説明図。
別の実施形態のビーム成形機構の概略斜視図。
旋回中心を移動させた場合のX線コーンビームの広がりの規制についての説明図。
旋回軸を移動するための旋回アーム及び上部フレームの内部構造についての説明図。
旋回軸を移動させてX線コーンビームの広がりを規制するX線撮影装置の構成を示すブロック図。
旋回軸を移動させるための別の実施形態についての説明図。
撮影対象物の範囲が異なる別の実施形態の場合においてCT撮影領域を円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図。
対象範囲が異なる別の実施形態の場合の局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の概略平面図。
撮影対象物を撮影する様子を概念的に示す平面図。
図33に示した旋回基準点の移動軌跡と、CT撮影領域とを拡大して示す平面図。
X線発生器が所定位置にあるときにおける縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図。
以下、本発明によるX線CT撮影装置1について、図1乃至図8とともに説明する。
なお、図1はX線撮影装置1の概略斜視図を示し、図2はセファロスタット43を装着したX線撮影装置1の部分正面図を示し、図3はX線撮影装置1の構成を示すブロック図を示し、図4はビーム成形機構13の概略斜視図を示している。
また、図5は照射範囲が規制されたX線コーンビームBXを照射した状態のX線発生部10の概略斜視図による説明図を示し、図6,7は縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての説明図を示し、図8はX線検出部20についての説明図を示している。
詳しくは、図5(a)は大照射野CT用の大照射野CT用X線コーンビームBX1を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示し、図5(b)は小照射野CT用の小照射野CT用X線コーンビームBX2を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示している。
また、図6(a)はX線コーンビームBXの照射範囲を大照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(b)はX線コーンビームBXの照射範囲を小照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(c)はX線の照射範囲をパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPとしてパノラマ撮影用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示している。なお、図7(a)、(b)、(c)は、図6(a)、(b)、(c)と同様の状態をL型遮蔽板18で実施した場合について示している。
図8(a)はX線検出部20の概略斜視図を示し、図8(b)は図8(a)におけるA−A矢視断面図を示し、図8(c)は図8(a)におけるB−B矢視断面図を示している。
X線撮影装置1は、X線CT撮影を実行して、投影データを収集する本体部2と、本体部2において収集した投影データを処理して、各種画像を生成する情報処理装置8とに大別される。なお、本体部2は、好ましくは中空の縦長直方体状の防X線室70に収容され、防X線室70の外部に配置された情報処理装置8と接続ケーブル83によって接続されている。
本体部2は、被写体M1に向けてX線の束で構成するX線コーンビームBXやX線細隙ビームBXPを出射するX線発生部10と、X線発生部10で出射されたX線を検出するX線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20とをそれぞれ支持する旋回アーム30と、鉛直方向に延びる支柱50と、旋回アーム30を吊り下げるとともに、支柱50に対して鉛直方向に昇降移動可能な昇降部40と、本体制御部60とで構成している。なお、X線発生部10、X線検出部20及びX線発生部10のX線検出部20側に配置したビーム成形機構13を撮像機構3としている。
X線発生部10及びX線検出部20は、旋回アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げ固定されている。
旋回アーム30は、正面視略逆U字状であり、上端部に備えた旋回軸31を旋回中心Scとして旋回する。また、正面視略逆U字状である旋回アーム30両端のそれぞれに、X線発生部10とX線検出部20とを装着している。なお、旋回アーム30の形状はこれに限定されず、例えば、円環状部分の中心を回転中心として回転する部材に、X線発生部10とX線検出部20とを対向するようにして支持してもよい。
ここで、以下においては、旋回軸31の軸方向と平行な方向(ここでは、鉛直方向)を「Z軸方向」とし、このZ軸に交差する方向を「X軸方向」とし、さらにX軸方向及びZ軸方向に交差する方向を「Y軸方向」とする。なお、X軸及びY軸方向は任意に定め得るが、ここでは、被写体M1である被検者がX線撮影装置1において位置決めされて支柱50に正対した時の被検者の左右の方向をX軸方向とし、被検者の前後の方向をY軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、本実施形態では互いに直交するものとする。また、以下において、Z軸方向を鉛直方向、X軸方向とY軸方向の2次元で規定される平面上の方向を水平方向と呼ぶこともある。
これに対して、旋回する旋回アーム30上の三次元座標については、X線発生部10とX線検出部20とが対向する方向を「y軸方向」とし、y軸方向に直交する水平方向を「x軸方向」とし、これらx及びy軸方向に直交する鉛直方向を「z軸方向」とする。本実施形態及びそれ以降の実施形態においては、上記のZ軸方向はz軸方向と共通する同一の方向となっている。また本実施形態の旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を回転軸として旋回する。したがって、xyz直交座標系は、XYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転することとなる。
また、図1に示すX線発生部10、X線検出部20を上から平面視したときにX線発生部10からX線検出部20へ向かう方向を(+y)方向とし、この(+y)方向に直交する水平な右手方向(図示の旋回アーム30の向きにおいて、図示の被写体M1の正面側)を(+x)方向とし、鉛直方向上向きを(+z)方向とする。
昇降部40は、上部フレーム41と下部フレーム42とで構成し、鉛直方向に沿って立設された支柱50に係合する側の反対側、つまり正面側に突出する構成である。
上部フレーム41には、旋回アーム30における旋回軸31が取り付けられており、昇降部40が支柱50に沿って鉛直方向に移動することによって、旋回アーム30を上下に移動することができる。
なお、上部フレーム41には、旋回軸31を中心として、旋回アーム30を旋回させる旋回用モータ37を備え、ベルトやプーリ、回転軸等からなり、旋回軸31中を通る伝達機構(図示省略)により、旋回用モータ37による回転力を旋回アーム30に伝達して、旋回アーム30を旋回させる。なお、本実施形態では、旋回軸31が鉛直方向に沿って延びるように構成されているが、旋回軸は鉛直方向に対して任意の角度で傾けてもよい。
図示の例では、上部フレーム41は旋回アーム30を駆動する機械的要素を備え、撮像機構駆動部として機能する。また、撮像機構駆動部としての上部フレーム41は旋回アーム30を駆動することで撮像機構3を駆動する。
なお、旋回用モータ37は上部フレーム41内に固定してもよいが、旋回アーム30内部に固定して、旋回軸31に対して回動力を作用させてもよい。
また、旋回軸31と旋回アーム30の間にはベアリング38(図28参照)が介在しており、旋回軸31に対して旋回アーム30がスムーズに回転するよう構成している。
なお、旋回軸31、ベアリング38、ベルトやプーリ、回転軸等からなる伝達機構及び旋回用モータ37(図28参照)は、旋回アーム30を旋回する旋回機構の一例であり、上述の旋回機構では回転しない旋回軸31に対して旋回アーム30が旋回する構造であるが、このようなものに限定されない。
例えば、旋回アーム30に回転固定された旋回軸31を、上部フレーム41に対して回転させて旋回アーム30を旋回してもよい。
下部フレーム42には、被写体M1(ここでは、人体の頭部)を左右から固定するヘッドホルダや、顎を固定するチンレスト等で構成される被写体固定部421を設けている。なお、人体の頭部の左右の耳孔に挿入する部分を備えるイヤロッドを被写体固定部421に用いてもよい。
旋回アーム30は、被写体M1の身長に合わせて昇降部40の昇降に伴って昇降されて適当な位置に合わせられ、その状態で被写体M1が被写体固定部421に固定される。なお、被写体固定部421は、図1に示した例では被写体M1の体軸が旋回軸31の軸方向とほぼ同じ方向となるように被写体M1を固定する。
本体制御部60は、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、図1に示すように、X線検出部20の内部に配置されている。
本体部2を収容する防X線室70の壁の外側には、本体制御部60からの制御に基づいて、各種情報を表示する液晶モニタ等で構成された表示部61と、本体制御部60に対して各種の命令入力を実現するためのボタン等で構成された操作パネル62とが取り付けられている。
操作パネル62は、生体器官等の撮影領域の位置等を指定すること等にも用いられる。また、X線撮影には各種のモードがあるが、操作パネル62の操作によって、モードの選択ができるようにすることも可能である。
なお、操作パネル62は本体部2に設けてもよく、防X線室70の壁の外側と本体部2の双方に設けてもよい。
情報処理装置8は、情報処理本体部80と、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示部81、及び、キーボードやマウス等で構成される操作部82とで構成し、オペレーターは、操作部82を介して情報処理装置8に対して各種指令を入力することができる。なお、表示部81は、タッチパネルで構成することも可能であり、この場合は、表示部81が操作部82の機能の一部または全部を備えることとなる。
情報処理本体部80は、例えばコンピュータやワークステーション等で構成され、通信ケーブルである接続ケーブル83によって本体部2との間で各種データを送受信することができる。ただし、本体部2と情報処理装置8との間で、無線的にデータのやり取りが行われてもよい。
情報処理装置8は、本体部2で取得された投影データを加工して、ボクセルで表現される三次元データ(ボリュームデータ)を再構成する処理装置であり、例えば、三次元データ中に特定の面を設定し、その特定の面の断層面画像を再構成することができる。
なお、図2に示すように、X線撮影装置1にセファロスタット43を装着してもよい。詳しくは、セファロスタット43は、例えば、支柱50の途中から水平方向に延びるアーム501に取り付けられる。セファロスタット43には、人体の頭部を定位置に固定する固定具431やセファロ撮影用のX線検出器432が備えられる。なお、セファロスタット43としては、特開2003−245277号公報に開示されているセファロスタットを含む種々のものを採用することができる。
次に、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13について図4乃至図7とともに説明する。
旋回アーム30においてX線検出部20に対向配置したX線発生部10は、X線管を有するX線発生器10aをハウジング11に収容して構成している。なお、ハウジング11の前面には、内部に収容したX線発生器で発生したX線の透過を許容する出射口12を備えている。そして、出射口12の前方(図4における手前側であり、X線発生部10に対してy軸方向)にビーム成形機構13を配置している。
ビーム成形機構13は、X線の照射範囲における縦方向(z方向)を遮蔽する縦方向遮蔽板14(14a,14b)と、横方向(x方向)を遮蔽する横方向遮蔽板15(15a,15b)と、縦方向遮蔽板14や横方向遮蔽板15を移動させる遮蔽板移動機構16(16a,16b)とで構成している。
縦方向遮蔽板14は、出射口12の正面視上下のそれぞれに配置した横長板状の上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとがある。また、横方向遮蔽板15は、出射口12の正面視左右のそれぞれに配置した縦長板状の左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとがある。なお、図4に示すように、横方向遮蔽板15を縦方向遮蔽板14よりX線発生部10側に配置しているが、縦方向遮蔽板14を横方向遮蔽板15よりX線発生部10側に配置してもよい。
遮蔽板移動機構16は、2枚構成した縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する遮蔽板縦方向移動機構16aと、2枚構成した横方向遮蔽板15を横方向に移動する遮蔽板横方向移動機構16bとがある。
遮蔽板縦方向移動機構16aは、縦方向遮蔽板14に対して縦方向に備えたネジ溝141(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する縦方向ネジシャフト161aを位置調整モータ162a(162)で回転させ、縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する。なお、遮蔽板縦方向移動機構16aは、上側縦方向遮蔽板14aに対して上方に、下側縦方向遮蔽板14bに対して下方にそれぞれ配置されているため、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとは、独立して縦方向に移動することができる。
また、横長板状の縦方向遮蔽板14に対して横方向にずらして遮蔽板縦方向移動機構16aを配置し、横方向反対側に傾き規制孔142(内部に縦方向の貫通口を通した被案内部材)を備え、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bの両方の傾き規制孔142を挿通する傾き規制シャフト143を備えているため、縦方向遮蔽板14は傾くことなく、遮蔽板縦方向移動機構16aによって縦方向に移動することができる。
遮蔽板横方向移動機構16bは、横方向遮蔽板15に対して横方向に備えたネジ溝161(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する横方向ネジシャフト161bを位置調整モータ162b(162)で回転させ、横方向遮蔽板15を横方向に移動する。なお、遮蔽板横方向移動機構16bは、左側横方向遮蔽板15aに対して左側に、右側横方向遮蔽板15bに対して右側にそれぞれ配置されているため、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとは、独立して横方向に移動することができる。
また、縦長板状の横方向遮蔽板15に対して横方向にずらして遮蔽板横方向移動機構16bを配置し、横方向反対側に傾き規制孔152を備え、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bの両方の傾き規制孔152(内部に横方向の貫通口を通した被案内部材)を挿通する傾き規制シャフト153を備えているため、遮蔽板移動機構16は傾くことなく、遮蔽板横方向移動機構16bによって横方向に移動することができる。
このように、ビーム成形機構13を縦方向遮蔽板14、横方向遮蔽板15及び遮蔽板移動機構16で構成し、X線発生部10における出射口12の前方に配置することにより、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成することができる。
詳しくは、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を遮蔽板縦方向移動機構16aで調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を遮蔽板横方向移動機構16bで調整することで、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c及び左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15cにより、所望の形状のX線コーンビームBXを形成する正面視四角形状の開口17を形成することができる。
より具体的には、図5(a)及び図6(a)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を広く調整することで、大照射野用開口17aは正面視大きな正方形状となり、大照射野用開口17aを透過したX線は断面が大きな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる大照射野用X線コーンビームBX1を照射することができる。
これに対し、図5(b)及び図6(b)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を狭く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、小照射野用開口17bは正面視小さな正方形状となり、小照射野用開口17bを透過したX線は断面が小さな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる小照射野用X線コーンビームBX2を照射することができる。
さらには、図6(c)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、パノラマ撮影用開口17cは正面視縦長の長方形状となり、パノラマ撮影用開口17cを透過したX線は断面が正面視縦長の長方形となり、X線検出部20に向けて縦長角錐台状に広がるX線細隙ビームBXPを照射することができる。
なお、上述のビーム成形機構13は、それぞれ2枚構成した縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を遮蔽板移動機構16で移動し、所望のX線コーンビームBXを照射するための開口17を形成したが、例えば、図7に示すように、正面視L型の2枚のL型遮蔽板18を、開口17の中心に対して点対称配置し、L型遮蔽板18の内角部を構成する縁部18a同士で開口17を構成することができる。
この場合、各L型遮蔽板18に遮蔽板縦方向移動機構16aと遮蔽板横方向移動機構16bの両方を備え、各L型遮蔽板18を縦方向及び横方向に移動することで開口17の形状を調整することができる。
続いて、X線検出部20について図8とともに説明する。
X線発生部10に対向して旋回アーム30に配置したX線検出部20は、X線を検出するためのX線検出器21と、X線検出器21を内部に保持する検出器ホルダ22と、X線検出器21を検出器ホルダ22に対してスライド移動する移動用機構23とで構成している。
X線検出器21は、X線を検出する検出素子である半導体撮像素子を縦方向及び横方向に2次元に平面状に配列することによって構成された検出面21aを構成するX線センサを備えている。なお、X線センサとしては、例えばMOSセンサやCCDセンサが挙げられるが、これらに限定されず、CMOSセンサ等のフラットパネルディテクタ(FPD)やX線蛍光増倍管(XII)、その他の固体撮像素子等、様々なものを採用することができる。
検出器ホルダ22は、移動用機構23によってX線検出器21を縦方向及び横方向に移動可能に保持している。詳しくは、X線検出器21を横方向に移動可能に保持する第1ホルダ22aと、X線検出器21を保持する第1ホルダ22aを縦方向に移動可能に保持する第2ホルダ22bとで構成している。なお、第1ホルダ22aはX線検出器21を横方向にスライド可能に嵌合する横方向溝221を備え、第2ホルダ22bは第1ホルダ22aを縦方向にスライド可能に嵌合する縦方向溝222を備えている。
なお、X線検出器21を第1ホルダ22aに対して横移動する横方向移動用機構23a及び第1ホルダ22aを第2ホルダ22bに対して縦移動する縦方向移動用機構23bは、例えば、ビーム成形機構13において、縦方向遮蔽板14や横方向遮蔽板15を移動させる遮蔽板移動機構16と同様の構成で構成することができる。
このようにX線検出部20を構成することにより、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの形状や照射位置に応じて検出器ホルダ22に対してX線検出器21を移動するため、確実に検出面21aにX線コーンビームBXを投影することができる。
上述したように構成したX線CT撮影装置1は、図3に示すように、ビーム成形機構13、旋回用モータ37(図28)、X線発生部10及びX線検出部20が本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、局所的撮影対象物OB1を適格にX線CT撮影することができる。以下において、X線CT撮影装置1で局所的撮影対象物OB1をX線CT撮影する態様について説明する。
なお、以下の説明において、前歯を含む前歯側の歯T1、左側臼歯を含む左側臼歯側の歯T2及び右側臼歯を含む右側臼歯側の歯T3(以下、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3という)で構成する上顎の歯列弓における左側臼歯T2のうち一本の左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1としている。そして、左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1としてX線CT撮影するために、左側臼歯T2Aを含む関心領域を円柱状の局所的CT撮影領域CAaとしてX線CT撮影する。
しかしながら、本説明において、説明を単純化するために撮影対象を1本の歯にしているが、実際の診療では後述の図32に示すように複数本の歯を撮影対象にする場合が多い。
また、局所的CT撮影領域CAaの縦方向の幅は、歯冠部から歯根部(顎骨を含んでよい)まで充分に収まるように設定されることが多い。
さらに、上顎の歯と下顎の歯のいずれかのみ含む領域に設定してもよく、上顎の歯と下顎の歯の双方ともに含む領域に設定してもよく、このことは、CT撮影領域CAbの縦方向の幅についても同様である。
まず、局所的撮影対象物OB1をX線CT撮影するためには、被写体M1がX線CT撮影装置1における所定位置についた状態において(図1参照)、旋回アーム30が右側臼歯T3側にX線発生部10、左側臼歯T2側にX線検出部20となる初期位置(第1旋回位置)から、図12に示すように、旋回軸31を旋回中心Scとして180度以上旋回して撮影する。
なお、旋回中心Scは固定の位置にあるものとする。
詳しくは、X線撮影装置1は、旋回軸31を旋回中心Scとして回転させることでX線コーンビームBXを旋回させている間、あらかじめ定められた回数分、X線検出部20にて投影データを収集する。具体的には、本体制御部60が旋回用モータ37を監視し、旋回軸31周りに旋回する旋回アーム30が所定の角度分回転する毎に、X線検出器21でのX線の検出データを投影データとして収集する。
なお、X線発生部10によるX線コーンビームBXの照射は、旋回アーム30が旋回する間、X線コーンビームBXを被写体に対して常時照射するように構成してもよいし、X線検出部20がX線を検出するタイミングに合わせて、X線コーンビームBXを間欠的に照射してもよい。後者の場合、被写体M1に対して、X線が間欠的に照射されることとなるため、被写体のX線被曝量を低減することができる。
収集された投影データは、逐次情報処理装置8に転送され、例えば記憶部802に記憶される。そして収集された投影データは、演算処理部801bにおいて加工され、三次元データに再構成される。演算処理部801bにおける再構成の演算処理は、所定の前処理、フィルタ処理、逆投影処理等で構成される。これらの演算処理については、周知技術を含む各種演算処理技術を適用することが可能である。
なお、図9(a)は旋回アーム30が初期位置(第1旋回位置)となる状態の平面概略図を示し、図9(b)は旋回アーム30が第2旋回位置となる状態の平面概略図を示している。同様に、図10(a)は第3旋回位置、図10(b)は第4旋回位置、図11(a)は第5旋回位置、図11(b)は第6旋回位置となる状態の平面概略図を示している。また、図12は、上記初期位置から第6旋回位置までの軌跡を点線で図示している。
また、本願においては、理解を容易にするため、ビーム成形機構13の遮蔽板を厚く図示しているが、実際の遮蔽板ははるかに薄く、必ずしも図示のとおりではない。
また、図9乃至図12において図示する各旋回位置は、図13乃至19においてさらに具体的に示している。各図における(a)はX線コーンビームBXの概略平面図であり、各図における(b)はX線コーンビームBXの概略側面図であり、図13は第1旋回位置について図示し、図14は第2旋回位置について図示し、図15は第3旋回位置について図示し、図16は第4旋回位置について図示し、図17は第5旋回位置について図示し、図18は第6旋回位置について図示している。
しかし、図9乃至図12において図示する旋回位置は、X線CT撮影の状況について説明を容易にするために所定角度ごとに図示しているにすぎない。なお、図11(b)に示す第6旋回位置は、初期位置(第1旋回位置)のX線発生部10に対する局所的撮影対象物OB1を中心とした対称位置である。
図11に示すように、初期位置から旋回中心Scの回りを旋回する旋回アーム30において、X線発生部10からy軸方向に沿って照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1は旋回中心Scを通り、X線検出部20に向かう。しかし、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaは、旋回中心Scに対して偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの水平方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
また、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaの横方向の幅は、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの横方向の広がりを円柱状の局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
詳しくは、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
なお、局所的CT撮影領域CAaに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して横方向に位置移動する。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1に対する局所的CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化する。したがって、旋回アーム30の旋回位置に応じて、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
また、図13に示すように、上顎の左側臼歯T2である局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaは、X線発生部10からX線検出部20に向かって水平に照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して縦方向に偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの鉛直方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
また、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaの縦方向の高さは、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを円柱状の局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
詳しくは、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
なお、局所的CT撮影領域CAaに合わせて高さ方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して縦方向に位置移動する。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対する局所的CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化する。したがって、旋回アーム30の旋回位置に応じて、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
このように、水平方向において旋回中心Sc及び水平方向基準照射中心線BCL1に対して偏心するとともに、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭い局所的CT撮影領域CAaに対して、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、水平方向において、関心領域である局所的撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、鉛直方向において、鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して偏心するとともに、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して高さの低い局所的CT撮影領域CAaに対して、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、鉛直方向において、関心領域である局所的撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(b)において開口17の位置の変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17は上側に偏心し、偏心の角度は第2旋回位置よりも大きくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17は上側に偏心し、偏心の角度は第1旋回位置よりも小さくなる(図14参照)。
偏心の角度は、鉛直方向基準照射中心線BCL2に対するX線コーンビームBXのセンタービームのなす角度である。
また、第3旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第1旋回位置と同程度であり(図15参照)、第4旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第1旋回位置よりも大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第4旋回位置よりも大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
x軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点とを結ぶ図示しない線分FC1を想定したとき、鉛直方向基準照射中心線BCL2と線分FC1とのなす変動する角θ1の大きさの絶対値が大きいほど偏心の度合いが大きくなる関係にある。
また、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(a)に示すように、開口17の位置の変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心し(図13参照)、第2旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心している(図14参照)。
偏心の角度は、水平方向基準照射中心線BCL1に対するX線コーンビームBXのセンタービームのなす角度である。
また、第3旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって第2旋回位置よりもさらに左側に偏心し(図15参照)、第4旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって第3旋回位置よりもさらに左側に偏心している(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心しているが、第4旋回位置より右に戻っており(図17参照)、第6旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心しているが、第5旋回位置より右に戻っている(図18参照)。
z軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点とを結ぶ図示しない線分FC2を想定したとき、鉛直方向基準照射中心線BCL2と線分FC2とのなす変動する角θ2の大きさの絶対値が大きいほど偏心の度合いが大きくなる関係にある。
さらにまた、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(b)に示すように、開口17の縦方向の広がりの変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17の広がりは第2旋回位置におけるよりも小さくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17の広がりは第1旋回位置におけるよりも大きくなる(図14参照)。
また、第3旋回位置における開口17の広がりは第2旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図15参照)、第4旋回位置における開口17の広がりは第3旋回位置におけるよりもさらに大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17の広がりは第4旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17の広がりは第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
x軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きい関係、または、局所的CT撮影領域CAaのX線発生器側の縁部とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きくなる関係にある。
さらにまた、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至18の各図(a)に示すように、開口17の横方向の広がりの変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17の広がりは、第2旋回位置におけるよりも僅かに大きくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17の広がりは、第1旋回位置におけるよりも僅かに小さくなる(図14参照)。
また、第3旋回位置における開口17の広がりは、第1旋回位置とほぼ同程度であり(図15参照)、第4旋回位置における開口17の広がりは、第3旋回位置におけるよりも大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17の広がりは、第4旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17の広がりは、第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
z軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きい関係、または、局所的CT撮影領域CAaのX線発生器側の縁部とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きくなる関係にある。
さらに、局所的CT撮影領域CAaに合わせて高さ方向及び横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して高さ方向及び横方向に位置移動することによって、コンパクト化したX線検出器21であっても、検出面21aにX線コーンビームBXを投影し、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
移動用機構23により、検出面21aが比較的狭いX線検出器21を用いることができ、製品コストを低くすることができるが、無論、検出面21aが広いX線検出器21を用いることも可能であり、X線検出部20に、移動せずとも全てのX線コーンビームBX、X線細隙ビームBXPを受光できるほど充分な広さがある検出面21aを有するX線検出器21を備えるようにして、移動用機構23を省略するようにしてもよい。X線検出器21の価格は高いものになるかもしれないが、移動用機構23を省略する分、移動制御負担も製品コストも抑えることができる。
続いて、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3で構成する歯列弓全体を撮影対象物OB2としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影する態様について図19乃至図24とともに以下で説明する。
なお、図19は撮影対象物OB2を撮影するX線CT撮影の軌跡を示す概略平面図を示し、図20は撮影対象物OB2を撮影するX線CT撮影についての説明図を示し、図21は撮影対象物OB2に対する縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについての説明図を示し、図22はCT撮影領域を円形状の円柱状CT撮影領域CArとした場合と三角CT撮影領域CAbとした場合とを比較して示す平面図を示し、図23はX線CT撮影中、被写体に照射するX線量の調整についての説明図を示し、図24は平面視略三角形状のCT撮影領域についての説明図を示している。
詳しくは、図20(a)乃至(e)は各旋回位置におけるX線コーンビームBXの照射範囲及び照射方向について概略平面図により説明し、図21(a)は第1旋回位置における縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図を示し、同様に、図21(b)は第5旋回位置におけるx軸方向視した概略図を示している。
図20(a)は人体の頭部の右側にX線発生部10が、人体の頭部の左側にX線検出部20が位置するように旋回アーム30の位置制御がなされた状態を示し、図20(e)はその状態からX線発生部10が頭部の後方まで90°旋回した状態を示している。また、図20(b)乃至(d)はその間の旋回の変位の状態を示す。
また、図23は第1旋回位置、第3旋回位置及び第5旋回位置における被写体に照射するX線量の調整について、X線出力及び旋回アーム30の旋回速度のグラフを示し、図24は様々な平面視略三角形状のCT撮影領域についての概略説明図を示している。
以下の説明では、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3で構成する歯列弓全体を撮影対象物OB2としているため、関心領域は平面視略三角形状の柱状形態であり、三角柱状体の三角CT撮影領域CAbをX線CT撮影する。なお、三角CT撮影領域CAbを構成する平面視略三角状の断面は、図22に示すように、底辺の左右両側に張出部CA1,CA1及び頂部CA2を有する平面視略二等辺三角形状としている。
換言すると、三角CT撮影領域CAbを構成する平面視略三角状の断面は、ルーローの三角形状またはルーローの三角形における頂点を丸めた、またはルーローの三角形を若干変形した、ルーローの三角形類似の略三角形状ともいえる。
まず、撮影対象物OB2をX線CT撮影するためには、被写体M1がX線CT撮影装置1における所定位置についた状態において(図1参照)、旋回アーム30が右側臼歯T3側にX線発生部10、左側臼歯T2側にX線検出部20となる初期位置(第1旋回位置)から、図11に示すように、旋回軸31を旋回中心Scとして180度以上旋回して撮影する。
上述の局所的撮影対象物OB1を含み旋回中心Scから偏心した局所的CT撮影領域CAaと異なり、旋回中心Scは撮影対象物OB2を含む三角柱状(略三角柱状)の三角CT撮影領域CAbの水平方向における重心位置近傍となる。しかし、三角CT撮影領域CAbの平面視略三角状の横方向の幅及び三角CT撮影領域CAbの左右の各縁部とその旋回中心Scに対する相対位置は旋回位置によって変化する。そのため、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの幅に合わせてするとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を三角CT撮影領域CAbに合わせて調整する。
なお、三角CT撮影領域CAbに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して横方向に位置移動する。
また、三角CT撮影領域CAbは三角柱状であるため高さは一定であるものの、図21に示すように、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化するため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせてビーム成形機構13で調整する。
詳しくは、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせて調整する。
具体的には、図21(a)に示す三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の方が図21(b)に示す三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部よりもX線発生器11に近いため、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを図21(b)よりも大きくする。
つまり、三角CT撮影領域CAbがX線発生部10に近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、三角CT撮影領域CAbがX線発生部10から遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御する。
このように、横方向の幅及びその旋回中心Scに対する相対位置が旋回位置によって変化する平面視略三角状の三角CT撮影領域CAbに対して、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの幅に合わせてするとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を三角CT撮影領域CAbに合わせて調整することにより、水平方向において、関心領域である撮影対象物OB2に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAを円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図である図22に示すように、撮影対象物OBの全域をCT撮影領域に設定するべく、CT撮影領域が撮影対象物OBを含む関心領域の全てを含む円形状の円柱状CT撮影領域CArとした場合のX線コーンビームBXrは、三角CT撮影領域CAbに対して照射するX線コーンビームBXよりも広い範囲にX線を照射することとなる。
したがって、略三角柱状の三角CT撮影領域CAbを設定した場合、円形状の円柱状CT撮影領域CArを設定した場合に比べて、図示するようにX線検出器21におけるX線の検出範囲が小さくなる。したがって、本実施形態によれば、X線検出器21の検出面の大きさを小さくすることができるため、装置コストを低く抑えることが可能となる。
また、略三角柱状の三角CT撮影領域CAbを設定した場合、図22に示すように、円柱状CT撮影領域CArにおける円形の内側であって、三角CT撮影領域CAbにおける略三角状の外側となる範囲に余分なX線照射がされることなく、被曝線量を低減することができる。
また、頚椎BBは図示するように顎骨の後方に位置しており、三角CT撮影領域CAbが略三角形状であるために略三角形の底辺の部分が円形状の円柱状CT撮影領域CArよりも内側にあることから、頚椎BBの領域に対するX線被曝量を低減できることが分かる。
また、X線コーンビームBX,BXJを比較することで明らかなように、三角CT撮影領域CAbを略三角柱状に形成することによって、CT撮影領域CAを円形状とした場合に比べてX線を照射する範囲を狭めることができる。
このように、撮影対象物OB2である歯列弓を含んだ顎骨については、CT撮影領域CAを略三角形状に形成することによって、左右の張出部CA1,CA1の近傍に左右の顎関節が、頂部CA2の近傍に前歯が収まり、左右の張出部CA1,CA1から頂部CA2に向けて上側へ突出するように繋いだ曲線に、湾曲する顎骨が収まる。これに対し、円形状の円柱状CT撮影領域CArを設定した場合は、CT撮影領域CAを略三角形状に形成した場合に比べ、顎骨の部分からはみ出す領域が相対的に大きくなる。したがって、撮影対象物OB2以外の部分に対するX線照射を抑えることができるため、被写体に対するX線被曝量を低減することができる。
さらに、被写体に照射するX線量を調整する様子を説明するための図23に示すように、旋回位置に応じてX線量を調整制御することによって、比較的X線吸収性の高い部位が存在したとしても、その影響を緩和したCT撮影を行うことができるため、良好なCT画像を取得することができる。
なお、図23(a)〜(c)は、第1旋回位置、第2旋回位置及び第3旋回位置において出射されるX線コーンビームBXと、被写体の体内にある頚椎BBの位置関係を示す平面図である。
また、図23(a)〜(c)に示す第1旋回位置乃至第3旋回位置と図20(a)〜(c)に示す第1旋回位置乃至第3旋回位置とは直接対応していない。
また図23(d)は、X線出力の強度をプロットしたものであり、縦軸がX線出力強度、横軸が旋回位置を示す。また図23(e)は、X線コーンビームBXの旋回速度をプロットしたものであり、縦軸が旋回速度、横軸が旋回位置を示している。また、実際の人体における歯列弓と頚椎の間の水平方向における距離は、図23に示すほど離れてはいないが、理解を容易にするために、歯列弓と頚椎の間の水平方向における距離を大きく図示している。
撮影対象物OB2を、歯列弓を含む顎骨とした場合、被写体内部の顎骨の背後にはX線吸収部位である頚椎BBが存在する。CT撮影において、X線がこのようなX線吸収部位を通過して撮影対象物OB2に到達する状態と、X線吸収部位を通過せずにそのまま撮影対象物OB2に到達する状態が混在する場合、X線量を制御することが好ましい。
例えば、図23(a),(c)に示すように、X線発生部10が第1旋回位置、及び第3旋回位置にある状態では、X線を吸収し易い頚椎BBはX線コーンビームBXの照射領域に含まれない。そのため、比較的低いX線量であっても、三角CT撮影領域CAbについて良好な投影データを取得できる。しかしながら、図23(b)に示すように、X線発生部10が第2旋回位置(被写体の背後の位置)状態では、X線コーンビームBXの照射領域に含まれるため、この頚椎BBを通過したX線が三角CT撮影領域CAbに届くこととなる。したがって、三角CT撮影領域CAbについて良好な投影データを取得するために、好ましくはこの状態で比較的大きいX線量の照射が行われる。
このように、X線コーンビームBXと頚椎BBのようなX線吸収部位との位置関係に応じて、すなわち旋回アーム31の旋回位置に応じてX線量を変更するため、本実施形態では、好ましくは、図23(d)、または、図23(e)に示すようにX線出力、または、旋回速度の少なくともどちらか一方を調整する。
例えばX線出力を調整する場合、図23(d)に示すように、(a),(c)の状態よりも(b)の状態のときに、X線発生部10から出力されるX線量が大きくなるように制御する。また、旋回速度を調整する場合には、図23(e)に示すように、(a),(c)の状態よりも(b)の状態のときに旋回速度(旋回アーム30の旋回速度)を遅くすることによって、相対的に、三角CT撮影領域CAbに対するX線量が大きくなるように制御する。
このような制御を行うことによって、比較的X線吸収性の高い部位が存在したとしても、その影響を緩和したCT撮影を行うことができ、良好なCT画像を取得することができる。
さらには、鉛直方向において、三角CT撮影領域CAbの高さは一定であるものの、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化する三角CT撮影領域CAbに対して、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの縦方向の広がりを旋回位置に応じて三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせてビーム成形機構13で調整することにより、鉛直方向において、関心領域である撮影対象物OB2に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、三角CT撮影領域CAbに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して高さ方向及び横方向に位置移動することによって、コンパクト化したX線検出器21であっても、検出面21aにX線コーンビームBXを投影し、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、上述の説明では、三角CT撮影領域CAbを平面視略三角状である三角柱状としたが、例えば図24に示すように様々な平面略三角状とすることができる。
詳述すると、図24(f)に示す三角形ABCの形状に基づいて説明が可能な形状の例として示される図24(a)〜(g)のような形状とすることができる。
まず、図24(f)に示す三角形ABCについて説明すると、図24(f)に示す三角形ABCは、頂点A、B、Cと各頂点を結ぶ辺AB、AC、BCからなる三角形である。
図示の例では辺BCが底辺であり、辺AB、ACが互いに接してできる頂点Aが底辺BCと対向する。
辺ABは、頂点Aに近い領域の線ABa、頂点Bに近い領域の線ABb、頂点A、Bから離れた中央の領域の線AB1からなる。
辺ACは頂点Aに近い領域の線ACa、頂点Cに近い領域の線ACb、頂点A、Cから離れた中央の領域の線AC1からなる。
辺BCは頂点Bに近い領域の線BCa、頂点Cに近い領域の線BCb、頂点B、Cから離れた中央の領域の線BC1からなる。
頂点A、B、Cは任意に定められるが、基本的には辺AB、AC、BCで囲まれる領域内に平面視した歯列弓が収まるような配置になるように設定される。
具体的には、頂点Aの近傍に前歯T1が、頂点Bの近傍に左側臼歯T2が、頂点Cの近傍に右側臼歯T3が収まる。
なお、歯列弓が左右対称であることから三角形ABCは二等辺三角形を設定してもよいし、二等辺三角形の中でも正三角形になってもよい。
要は、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3の全体が無駄なく収まるようにするという思想によって様々な形状が考えられる。
まず、図24(a)は、頂点A、B、C、辺AB、AC、BCからなる三角形ABCの形状のCT撮影領域CAである。ここで、図24(a)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(a)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、頂点A、B、C、辺AB、AC、BCからなる三角形ABCの形状を備えた領域である。この三角形ABCは、望ましくは二等辺三角形である。無論、三角形ABCは正三角形であってもよい。図22の張出部CA1、CA1と同様に頂点B、頂点Cの近傍に張出部CA1x、CA1xがある。
図24(b)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(a)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっている。図24(a)の三角形ABCの頂点Aの部分に丸みを持たせてある点で、相違している。すなわち、図24(b)に示すCT撮影領域CAでは、辺AB、辺ACは、頂点Aでつながらずに、外に凸の曲線でつながっている。
辺AB、辺ACをつなぐ線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、直線にしてもよいし(CT撮影領域CAが台形の形状となる)、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(b)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(b)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、底辺BC、線ABb、線AB1、線AR、線AC1、線ACbで囲まれた形状を備えた領域である。線AB1と線AC1を、望ましくは頂点Aよりも三角形ABCの内側にある線ARでつなぐ。図示の例では、線AB1と線AC1を弧ARでつなぐ。弧ARには凸の側と凹の側があるが、ここで弧ARは凸の側が三角形ABCの外に向いている。すなわち弧ARは外に凸である。
図24(c)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(b)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、図24(a)の三角形ABCの頂点B、Cの部分、つまり底辺である辺BCの左右の部分に丸みが持たせてある点が相違する。すなわち、辺AB、辺BCは、頂点Bでつながらずに、外に凸の曲線でつながっている。また、辺AC、辺BCは、頂点Cでつながらずに、外に凸の曲線でつながって直線部分AB1、AC1を残している。
辺AB、辺BCをつなぐ線、辺AC、辺BCをつなぐ線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、直線にしてもよいし、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(c)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(c)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BC1、線BR、線AB1、線AR、線AC1、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。線AB、ACについては図24(b)の例と同様であるため、詳述を省略する。
線AB1と線BC1を、望ましくは頂点Bよりも三角形ABCの内側にある線BRでつなぐ。また、線AC1と線BC1を、望ましくは頂点Cよりも三角形ABCの内側にある線CRでつなぐ。図示の例では、線AB1と線BC1を弧BRでつなぎ、線AC1と線BC1を弧CRでつなぐ。弧BR、CRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧BR、CRは凸の側が三角形ABCの外に向いている。すなわち弧BR、CRは外に凸である。
図24(d)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(c)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、直線部分AB1、AC1が変形して外に凸の曲線になっている点が相違する。
辺AB、ACが変形した線は必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(d)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(d)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BC1、線BR、線ABR、線AR、線ACR、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。線AB1、AC1が線ABR、ACRになっている点以外は図24(c)の例と同様であるため、詳述を省略する。
図24(c)の例の線AB1、AC1が三角形ABCの外側を通る線ABR、ACRに代わっている。図示の例では、線ABR、ACRは弧ABR、ACRとなっている。弧ABR、ACRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧ABR、ACRは凸の側が三角形ABCの外側遠方に向いている。すなわち弧ABR、ACRは外に凸である。
つまり、線ABRは線AB1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線であり、線ACRは線AC1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線である。
なお、弧ABR、ACRを変形して、複数の直線から構成した外に凸の線にしてもよい。
撮影対象物OB2が効率的に収まる限り、弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRの曲率をほぼ同じとし、半円を含む略半円を形成するように設定してもよい。ここでいう略半円は真円の半円に限定されず、弧の曲率が部分的に異なるものや馬蹄形状のものを含む。
好適には弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRが変曲点を作ることなく滑らかにつながるようにする。この場合、CT撮影領域CAは図24(g)に示すように、略半月型の形状となる。
図24(e)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(d)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、辺BCが変形して外に凸の曲線になっている点が相違する。辺BCが変形した線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(e)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(d)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BCR、線BR、線ABR、線AR、線ACR、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。なお、線BC1が線BCRになっている点以外は図24(d)の例と同様なので詳述は省略する。
図24(d)の例の線BC1が三角形ABCの外側を通る線BCRに代わっていて、線BCRが略三角形の底辺となっている。図示の例では、線BCRは弧BCRとなっている。弧BCRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧BCRは凸の側が三角形ABCの外側遠方に向いている。すなわち弧BCRは外に凸である。
なお、線BCRは線BC1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線である。また、弧BCRを変形して、複数の直線から構成した外に凸の線にしてもよい。
撮影対象物OB2が効率的に収まる限り、弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRの曲率を同じまたはほぼ同じものにして、半円を含む略半円を形成するように設定してもよい。ここでいう略半円は真円の半円に限定されず、弧の曲率が部分的に異なるものや馬蹄形状のものを含む。
好適には弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRが変曲点を作ることなく滑らかにつながるようにする。この場合、CT撮影領域CAは略半月型(厳密には略十三夜の月型)の形状となる。
以上、図24(a)〜(g)いずれにおいてもCT撮影領域CAに図22の張出部CA1、CA1と同様に張出部CA1x、CA1xがある。図24(d)、(e)におけるCT撮影領域CAは、下側つまり底辺である辺BCまたは線BCRの側の左右に張出部CA1x、CA1xを有しており、略三角形状が、左右の張出部CA1x、CA1xから頂部である頂点Aの付近に向けて左右の張出部CA1x、CA1xと頂部とを曲線ABR、ACRで繋いだ左右対称の形状である。
無論、撮影対象物OB2が無駄なく適宜にCT撮影領域CAに収まればよく、その目的に向けて支障がない範囲で多少の変形があってもよい。例えば、上記の弧AR、BR、CR、ABR、ACR、BCRの曲率は、様々に設定し得る。弧AR、BR、CRの曲率を、ABR、ACR、BCRの曲率よりも小さく設定してもよい。
また、上述の説明では、横方向遮蔽板15(15a,15b)を遮蔽板横方向移動機構16bによって横方向位置を変化させて、X線コーンビームBXの横方向の広がりを規制するとともに、照射方向を調整したが、図25に示すように、ビーム成形機構13の横方向遮蔽板15(15a,15b)のX線発生部10に対する離間距離を調整して、X線コーンビームBXの横方向の広がりを所望の幅に規制してもよい。
この場合、図26に示すように、ハウジング11を縦方向遮蔽板14用のハウジング11aと、横方向遮蔽板15用の11bとで構成し、例えば、遮蔽板移動機構16(16a,16b)と同様の移動機構で縦方向遮蔽板14用のハウジング11aに対して横方向遮蔽板15用のハウジング11bを図中において矢印で示すX線の照射方向(y軸方向+側)に移動調整可能に構成すればよい。
また、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりのうち一方を遮蔽板(14,15)の間隔で調整し、他方をX線発生部10に対する離間距離を調整してもよい。例えば、図7に示す2枚のL型遮蔽板18を横方向移動可能、及びX線発生部10に対する離間距離を調整可能に構成してもよい。この場合のX線コーンビームBXの広がりの調整は、まず、2枚のL型遮蔽板18をX線コーンビームBXの照射方向に移動させてX線発生部10に対する離間距離を調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを調整する。さらに、2枚のL型遮蔽板18を横方向に移動してX線コーンビームBXの横方向の広がりを調整することとなる。
さらには、これまでの説明では、旋回中心Scを旋回アーム30の旋回軸31として、旋回軸31を固定した状態において、旋回位置に応じてビーム成形機構13における縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を遮蔽板移動機構16で変位させ、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりを規制して、照射するCT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの照射範囲を適合させたが、旋回軸31を上部フレーム41に対して水平方向に移動する軸移動機構34を備え、軸移動機構34で旋回軸31を移動させて、照射するCT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの照射範囲を適合させてもよい。
軸移動機構34で旋回軸31を移動させてX線コーンビームBXの広がりを調整するX線CT撮影装置1について、図27乃至図30とともに説明する。なお、図27は旋回中心Scを移動させた場合のX線コーンビームBXの広がりの規制についての説明図を示し、図28は旋回軸31を移動するための旋回アーム30及び上部フレーム41の内部構造についての説明図を示し、図29は旋回軸31を移動させてX線コーンビームBXの広がりを規制するX線撮影装置1の構成を示すブロック図を示し、図30は旋回軸31を移動させるための別の実施形態についての説明図を示している。
詳しくは、図27(a)は三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを合わせるため、X線発生部10が三角CT撮影領域CAbから遠ざかる方向に旋回軸31を移動させた状態の概略断面図を示し、図27(b)X線発生部10が三角CT撮影領域CAbに近づく方向に旋回軸31を移動させた状態の概略断面図を示している。
また、図28(a)は、上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図であり、図28(b)は、旋回アーム30及び上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図である。なお、図28(b)は、X線撮影装置1を側方から見たときの旋回アーム30、及び上部フレーム41を示し、図28(a)は、上方から見たときの上部フレーム41を示している。
上部フレーム41に装着される軸移動機構34は、旋回アーム30ごと旋回軸31を水平方向に移動するXYテーブル35と、XYテーブル35を駆動する駆動用モータ36とで構成している。
XYテーブル35は、旋回アーム30を前後方向(Y軸方向)に移動するYテーブル35Y、及び、Yテーブル35Yに支持されて横方向(X軸方向)に移動するXテーブル35Xで構成している。
駆動用モータ36は、Yテーブル35Yを駆動するY軸駆動用モータ36Yと、Yテーブル35Yに対してXテーブル35XをX方向に移動させるX軸駆動用モータ36Xとで構成している。
X線撮影装置1では、図29に示すように、駆動用モータ36は本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、旋回アーム30を旋回させながら、Xテーブル35Xを左右(X方向)に、Yテーブル35Yを前後(Y方向)に移動する。これにより、旋回軸31を前後左右のX−Y方向に2次元的に移動制御することができる。
このように、軸移動機構34で旋回軸31を水平方向に移動させることによって、例えば、高さ一定である三角柱状の三角CT撮影領域CAbであっても、図27に示すように、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化するため、X線発生部10から照射され、縦方向及び横方向に広がったX線コーンビームBXを、三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さや幅に合うように、三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回軸31を移動させて調整することができる。
詳しくは、三角CT撮影領域CAbに対してX線発生部10が近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、三角CT撮影領域CAbに対してX線発生部10が遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御する。この制御により、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりが、三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さや幅に合うため、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
図27(a)は三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部がX線発生部10に近づいたときの図を示している。X線発生部10、縦方向遮蔽板14、X線検出部20、X線検出器21は、破線で示す比較対象位置からy軸方向に移動して実線で示す位置を取っている。
三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離は大きくなり、三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部におけるX線コーンビームBXの広がりを見ると、移動前より大きくなっている。
図27(b)は三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部がX線発生部10から遠ざかったときの図を示している。X線発生部10、縦方向遮蔽板14、X線検出部20、X線検出器21は、破線で示す位置からy軸方向に移動して実線で示す位置を取っている。
三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離は小さくなり、三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部におけるX線コーンビームBXの広がりを見ると、移動前より小さくなっている。
また、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりのうち一方を遮蔽板(14,15)の間隔で調整し、他方を三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回中心Scを移動させることで調整してもよい。
さらには、横方向遮蔽板15によるX線コーンビームBXの横方向の広がり規制と、三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回中心Scを移動させることでX線コーンビームBXの横方向の広がり三角CT撮影領域CAbに調整することとを併用してもよい。このように、併用することで、横方向遮蔽板15によってX線コーンビームBXの広がりを規制した場合に比べて、旋回中心Scを移動させることによる調整とを併用したことにより、横方向遮蔽板15の変位量を少なくすることができる。
なお、上述の説明では、上部フレーム41に対して旋回アーム30の旋回軸31を軸移動機構34で移動したが、X線CT撮影装置1に被写体M1が着座する椅子を設け、旋回する旋回アーム30に対して椅子を水平方向に移動させて、撮影対象物OB2に対する旋回中心Scを相対的に移動させる構成でもよく、さらには、軸移動機構34と、水平方向に移動する椅子との両方を併用してもよい。
図29のように、旋回軸31を前後左右のX−Y方向に2次元的に移動制御することができる装置の場合、図33に示すように、撮影対象物OB2に対してX線発生器10aを近づけると共に撮影対象物OB2に対してX線検出器21を遠ざけることで撮影対象物OB2に対するX線コーンビームBXの横方向の広がりを小さくし、撮影対象物OB2に対してX線発生器10aを遠ざける共に撮影対象物OB2に対してX線検出器21を近付けることで撮影対象物OB2に対するX線コーンビームBXの横方向の広がりを大きくする制御によってCT撮影領域CAを三角CT撮影領域CAbに形成することができる。
なお、この構成においても、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの高さに合わせて調整することができる。
図33は、撮影対象物OB2を撮影する様子を概念的に示す平面図を示している。また、図34は、図33に示した旋回基準点CPの移動軌跡と、CT撮影領域CAbとを拡大して示す平面図を示している。なお、図33に示したCT撮影では、全歯牙を含む上下の顎骨を撮影対象物OBとしている。また、図33では、X線発生器10aが、位置L01にあるときから、旋回アーム30が旋回軸31周りに180度回転されるのに伴って位置L13に移動するまでについて図示している。
また、図33では、位置L01から旋回アーム30を15度ずつ回転させたときの、X線発生器10aの各位置L01〜L13のそれぞれから出射されるX線コーンビームBXを図示している。なお、位置L01〜L13は、厳密にはX線管のX線が発生する原点、すなわちX線焦点の位置に相当する。位置L01は、CT撮影におけるX線発生器10aの移動開始位置であり、位置L13は移動終了位置である。
X線発生器10aは、人体の頭部の右真横から後を通過して左真横まで移動している。ここで、図示のCPは旋回基準点であり、この旋回基準点CPは、X線発生器10aとX線検出器21の各地点における瞬間的な旋回中心である。ここでは、理解を容易にするため、旋回軸31の軸心が旋回基準点CPと一致するものとする。
旋回アーム30が180度回転する間に、旋回基準点CPは、位置L01Cからスタートして、位置L02C,L03C,L04C・・・と順次移動し、再び元の位置L01Cへ戻る。図示の例では、旋回アーム30が180度回転する間に、旋回基準点CPが楕円の周上を一周する。この旋回基準点CPの移動は、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yの駆動制御による旋回軸31の移動によって実現される。
なお、位置L01C〜L13Cの数字の部分は、位置L01〜L13の数字の部分にそれぞれ対応している。
ここで、X線検出器21に着目すると、図33に示すように、X線検出器21は、CT撮影中、撮影対象物OB2の少なくとも左右の一方から他方に移動する略半円の円弧状の軌跡を形成する。図示の例では、被写体M1である人体の頭部の正中に対して右から前を通過して左に移動する軌跡、すなわち対称軸AQを挟んで対向する右から左に移動する軌跡を形成している。
ここで、三角CT撮影領域CAbが図22で示したような領域内に平面視した歯列弓が収まるような配置になる関心領域CAbとなるとして、この略半円の円弧状の軌跡において、X線検出器21が左右のいずれかの位置にあるとき(すなわち、X線発生器10aが位置L01,L13のいずれかにあるとき)と、X線検出器21が左右の中間の位置にあるとき(すなわち、X線発生器10a、X線検出器21が正中の位置である対称軸AQ上の位置L07にあるとき)とのそれぞれの位置関係に着目する。すると、X線検出器21が左右のいずれかの位置にあるときのX線検出器21と関心領域CAbとの間の距離l1、l3は、X線検出器21が中間の位置にあるときのX線検出器21と関心領域CAbとの間の距離l2よりも大きくなっている。
ここで「関心領域CAbとX線検出器21の間の距離」とは、関心領域CAbの中のある一点と、X線検出器の検出面の中央部分との間の距離である。例えば、顎骨(もしくは歯列弓)の中央の一点JC1とX線検出器21の検出面の中央部分との間の距離等が相当する。
X線発生器10aが位置L01〜L13を移動するとき、旋回基準点CPは、図34に示す位置L01C〜位置L13Cを移動する。また、位置L01Cと位置L13Cは、位置的には一致している。
図33に示したCT撮影では、旋回アーム30を旋回させながらX線コーンビームBXを照射してCT撮影領域CAが略三角形状を呈するように旋回用モータ37、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yが連動制御される。
図33、図34に示す構成の利点は、横方向については横方向遮蔽板15(15a,15b)による遮蔽量が一定でもよいことであり、横方向遮蔽板15の構造の単純化が可能である点にある。
むろん、旋回用モータ37、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yの連動制御と、横方向遮蔽板15(15a,15b)による遮蔽制御を組合せて三角CT撮影領域CAbを形成するようにしても構わない。
図33、図34に示す構成においても、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの高さに合わせて調整する。
図35(a)はX線発生器10aが位置L01にあるときにおける縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図を示し、同様に、図35(b)はX線発生器10aが位置L07にあるときにおけるx軸方向視した概略図を示している。
線JCは、Z軸方向に伸び、顎骨(もしくは歯列弓)の中央の一点JC1を通る線である。
図35(a)の状態ではX線発生器10aと三角CT撮影領域CAbのX線発生器10aに最も近い端部CAb1との間の距離が短いのでX線コーンビームBXの縦方向の広がり(X線コーンビームBXの縦方向のコーン角θX1)を大きくとるが、図35(b)の状態ではX線発生器10aとCT撮影領域三角CT撮影領域CAbのX線発生器10aに最も近い端部CAb2との間の距離が長いのでX線コーンビームBXの縦方向の広がり(X線コーンビームBXの縦方向のコーン角θX2)を小さくとる。
図35(b)において、図35(a)における三角CT撮影領域CAbと線JCの位置を比較のために一点鎖線で示している。
なお、図35(a)と図35(b)のそれぞれに示す各要素の配置は、理解を容易にするために多少強調している。
ここで、コーン角θX1とコーン角θX2の関係は、θX1>θX2の関係にある。また、コーン角の調整は、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aで調整することによって行われる。
また、上述の説明では、XYテーブル35を有する軸移動機構34で、旋回する旋回アーム30の旋回中心Scを移動させたが、移動機構としてはこの構成に限定されず、例えば、図30に示すような移動機構であってもよい。
図30(a)は変形例に係る移動機構34aを説明するために模式的に示した図であり、図30(b)では、X線発生器13,旋回軸31の位置(同図中、(+)で示す)及びX線検出器21の位置について、旋回アームを旋回位置90度分ずつ旋回させた3つの位相に相当する状態を図示している。また、図30(a)では、旋回アーム、X線コーンビームは図示省略しており、水平方向基準照射中心線BCL1のみを図示している。
移動機構34aは、極座標に基づいて制御されるものであり、2つのアームAM1とAM2を駆動することによって、旋回アームが移動される。
詳しくは、移動機構34aは、図示省略する本体部2に対し、固定の回動基準点PT1があり、第1のアームAM1の一端は回動基準点PT1を支点に、回動可能に軸支されている。さらに、アームAM1の他端に、アームAM2の一端が回動自在に軸支されており、第2のアームAM2の他端に、同図中(+)で位置を示す旋回アームの旋回軸31を回動可能に軸支している。旋回アームは、図示しない駆動モータ等により旋回軸31の軸周りに旋回駆動される。なお、第2のアームAM2の他端に旋回軸31を回動しないように固定し、旋回軸31周りに旋回アームが旋回するようにしてもよい。
アームAM1、AM2は、それぞれに対して回動角度を制御可能に結合されたアーム駆動用の結合された駆動モータ(図示省略)により制御され回動される。アームAM1のX線撮影装置の本体部2に対する回動角度θ2とアームAM2のアームAM1に対する相対的回動角度θ3とを制御することにより、旋回軸31の位置(+)が、旋回軸31に垂直な2次元平面内で制御できる。図30に示した移動機構34aも、旋回軸31に直交する2次元平面内で、旋回アーム(すなわち支持部)を被写体M1に対して相対的に移動させることができる。
このように、被写体M1におけるCT撮影領域CAをX線CT撮影するX線CT撮影装置1を、X線を発生するX線発生部10、X線発生部10から発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、CT撮影領域CAに対して照射するX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13、及び被写体M1に照射されたX線コーンビームBXを検出するX線検出部20を有する撮像機構と、X線発生部10とX線検出部20とを被写体M1を挟んで対向する状態で支持する旋回アーム30と、被写体M1に対して旋回アーム30を少なくとも旋回軸31の軸周りに旋回する旋回用モータ37を有する上部フレーム41と、少なくともX線発生部10、ビーム成形機構13、及び旋回用モータ37を有する上部フレーム41を制御する本体制御部60とを備え、旋回軸31の軸方向と平行な方向を縦方向とし、ビーム成形機構13を、CT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向遮蔽板14で構成し、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、縦方向遮蔽板14によって規制されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させるとともに、本体制御部60によって制御される遮蔽板縦方向移動機構16aを備えたことにより、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳述すると、例えば、旋回する旋回軸方向である高さが旋回方向において異なる関心領域である場合において、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを一定にしてX線CT撮影すると、X線コーンビームBXによるCT撮影領域CAが関心領域より広ければ、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大するおそれがある。逆に、CT撮影領域CAが関心領域より狭ければ関心領域全体にX線を照射できないおそれがある。
これに対し、縦方向遮蔽板14によって規制されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりを、本体制御部60で遮蔽板縦方向移動機構16aを制御し、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合させることにより、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する遮蔽板縦方向移動機構16aを備えたことにより、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを、簡単な構造で調整し、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合することができる。
なお、CT撮影領域CAに対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽板14(14a,14b)を備え、各縦方向遮蔽板14をそれぞれ独立して遮蔽板縦方向移動機構16aで移動するため、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する縦方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAに対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽板14を、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの縦方向の中心から縦方向に偏心させることで、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する縦方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が上顎や下顎の一部であるような局所的な関心領域であり、さらに局所的な関心領域がX線発生部10における照射方向から縦方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させることができる。
また、旋回用モータ37を有する上部フレーム41に、被写体M1に対して旋回軸31を相対移動する軸移動機構34を設け、被写体M1に対するX線発生部10の離間距離を軸移動機構34で調整することにより、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合することができる。
また、本体制御部60は、X線発生部10がCT撮影領域CAに近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、X線発生部10がCT撮影領域CAから遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御するため、遮蔽板縦方向移動機構16aで縦方向遮蔽板14を縦方向に移動したり、被写体M1に対するX線発生部10の離間距離を軸移動機構34で調整する場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させ、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、X線検出部20におけるX線検出器21を、旋回アーム30に対して相対移動する移動用機構23を備え、X線コーンビームBXの照射範囲に追従して移動用機構23を本体制御部60で制御することにより、X線検出部20を小型化することができる。
詳しくは、遮蔽板縦方向移動機構16aによりX線コーンビームBXの縦方向の広がりが調整されるため、X線検出部20における検出範囲が調整されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりが異なる。特に、X線コーンビームBXの縦方向の照射方向が調整された場合、検出範囲の中心が変位する。
これに対して、X線検出部20を、旋回アーム30に対して相対移動する移動用機構23を備え、本体制御部60を、X線コーンビームBXの照射範囲に追従して移動用機構23を制御することにより、異なる検出範囲や変位する検出範囲にX線検出部20を追従させ、最大投影範囲を小型のX線検出部20で網羅することができる。したがって、最大投影範囲に大きさを合わせたX線検出部に比べ、X線検出部20を小型化することができる。よって、非常に高価な検出センサを要するX線検出部20を低コスト化できる。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって縦方向と直交する方向を横方向とし、ビーム成形機構13に、CT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの横方向の照射範囲を遮蔽して規制する横方向遮蔽板15を備え、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、横方向遮蔽板15によって規制されたX線コーンビームBXの横方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させる遮蔽板横方向移動機構16bを備えたことにより、適切に関心領域にX線を照射するとともに、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域CAを形成することができるため、無駄なX線被曝量を低減することができる。
詳述すると、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、横方向遮蔽板15によって規制されたX線コーンビームBXの横方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させる遮蔽板横方向移動機構16bを備えることにより、旋回軸31に対して平面視旋回方向において径が一様でない関心領域や、旋回軸31に対して平面視において偏心した関心領域であっても、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域CAを形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができる。
なお、CT撮影領域CAに対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽板15(15a,15b)を備え、各左側横方向遮蔽板15aを、それぞれ独立して遮蔽板横方向移動機構16bで移動するため、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する横方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAに対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽板15を、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの横方向の中心から横方向に偏心させることで、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する横方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が旋回軸31から横方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させることができる。
また、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による旋回駆動に応じて、CT撮影領域CAが平面視略三角形状となるように、少なくとも横方向遮蔽板15を本体制御部60で制御することにより、横方向遮蔽板15を制御することで、CT撮影領域CAを関心領域の形状に応じて略三角形状に絞り込むことによって、無駄なX線被曝量を低減できるとともに、X線検出部20の検出範囲を小さくすることができる。
なお、平面視略三角形状に形成したCT撮影領域CAに、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3の全体が収まるように設定しているため、必要な部位を確実にX線CT撮影することができる。
また、平面視略三角形状を、3つの角部のうち少なくとも1つの角部が外側向きの凸状の弧によって丸みを有する形状に形成した場合、略半円形状(略半楕円形状を含む)の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状に適合することができ、無駄なX線被曝量を低減することができる。
また平面視略三角形状を、3辺のうち少なくとも1辺の中央部に外側向きに凸状の弧を有する形状に形成する場合、略半円形状の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
また、平面視略三角形状を、3辺のうち1辺の両側に、外側に張り出す張出部を備え、1辺に対向する頂部と、張出部とを曲線でつなぐとともに、頂部及び1辺の中央を通る対称軸に対して対称形状で形成する場合、略半円形状の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
また、本体制御部60を、ビーム成形機構13による規制範囲を変更し、CT撮影領域CAが平面視略三角形状を呈する略三角形状撮影領域X線CT撮影と、局所的CT撮影領域CAaのX線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成しているため、例えば、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3が収まる平面視略三角形状や、臼歯だけの局所が収まる平面視楕円状のCT撮影領域CAを選択できるため、あらゆるX線CT撮影に対応でき、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性が高まる。
また、ビーム成形機構13による規制範囲を変更して形成したパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPを照射するとともに、旋回アーム30を旋回することにより、照射したX線細隙ビームBXPがパノラマX線撮影用軌跡を形成するように旋回用モータ37を有する上部フレーム41を制御することにより、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1によりX線細隙ビームBXPでパノラマX線撮影もできる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のCT撮影領域は、CT撮影領域CA、局所的CT撮影領域CAa及び三角CT撮影領域CAbに対応し、
以下同様に、
X線発生器は、X線発生部10の主な構成要素であるX線発生器10aに対応し、
X線コーンビームは、X線コーンビームBX、大照射野CT用X線コーンビームBX1及び小照射野CT用X線コーンビームBX2に対応し、
X線規制部は、ビーム成形機構13に対応し、
X線検出器は、X線検出部20の主な構成要素であるX線検出器21に対応し、
支持体は、旋回アーム30に対応し、
撮像機構駆動部は、旋回用モータ37を有する上部フレーム41に対応し、
制御部は、本体制御部60に対応し、
縦方向X線遮蔽手段及び縦方向遮蔽部材は、縦方向遮蔽板14及びL型遮蔽板18の一部に対応し、
縦方向調整手段、及び遮蔽手段縦方向移動手段は、遮蔽板縦方向移動機構16aに対応し、
旋回軸移動機構は、軸移動機構34及び移動機構34aに対応し、
X線検出器移動手段は、移動用機構23に対応し、
横方向X線遮蔽手段、及び横方向遮蔽部材は、横方向遮蔽板15及びL型遮蔽板18の一部に対応し、
横方向調整手段、及び遮蔽手段横方向移動手段は、遮蔽板横方向移動機構16bに対応し、
左右の両臼歯は、左側臼歯T2、右側臼歯T3に対応し、
平面視略三角形状のCT撮影領域は三角CT撮影領域CAbに対応し、
他形状撮影領域は、局所的CT撮影領域CAaに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
この場合、例えば、前述の大照射野CT用X線コーンビームBX1で三角CT撮影領域CAbを照射し、小照射野CT用の小照射野CT用X線コーンビームBX2で局所的CT撮影領域CAaを照射することができる。
例えば、撮影対象物OB2を第1の関心領域とし、第1の関心領域の全体を三角CT撮影領域CAbとする第1X線CT撮影と、第1の関心領域の一部の領域である局所的撮影対象物OB1を第2の関心領域を局所的CT撮影領域CAaとする第2X線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成してもよい。
この場合、例えば、歯列弓の前歯T1、及び左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3全体を第1の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域CAに対する第1X線CT撮影、臼歯だけの局所を第2の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域CAに対する第2X線CT撮影を選択できるため、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性が高まる。
また、上述の説明においては、前歯T1、左側臼歯T2、右側臼歯T3と左右の顎関節部分まで含む歯列弓全体を撮影対象物OB2としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影する態様について説明したが、撮影対象物OB2とは範囲が異なる撮影対象物OB3である場合においてCT撮影領域を円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図である図31に示すように、歯列弓のうち前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3、並びに智歯T4を含む範囲を撮影対象物OB3としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影してもよい。
撮影対象物OB2に対する三角CT撮影領域CAbのCT撮影、撮影対象物OB3に対する三角CT撮影領域CAbのCT撮影、局所的CT撮影領域CAaのCT撮影のいずれも可能なように構成してもよい。
このように、智歯T4を含む撮影対象物OB3を従来のX線検出器21における検出面21aが小さなX線CT撮影装置でX線CT撮影する場合、CT撮影領域は、径が80mm程度の円柱状CT撮影領域CAr2となり、智歯T4が円柱状CT撮影領域CAr2に収まらず、撮影することができない。
これに対して、検出面21aを大きく形成することにより径が100mm程度となる円柱状CT撮影領域CAr1であれば、智歯T4が円柱状CT撮影領域CAr1に収まり、撮影することができる。
しかしながら、X線検出器21における検出面21aの部分は非常に高価であり、検出面21aを大きくすることによって、X線CT撮影装置のコストが増大することとなる。
これに対し、撮影対象物OB3を含む平面視略三角形状の三角CT撮影領域CAbを設定することにより、X線検出器21の検出面21aを大きくすることなく、智歯T4を含む撮影対象物OB3を確実に撮影することができる。また、円柱状CT撮影領域CAr1の内側であって、三角CT撮影領域CAbの外側のハッチングで示す部分に対して、余分なX線照射がされることなく、被曝線量を低減することができる。
さらにまた、上述の局所的CT撮影領域CAaでは、1本の左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1として、X線CT撮影装置1でX線CT撮影したが、対象範囲が異なる場合の局所的撮影対象物OB1を撮影する局所的X線CT撮影の概略平面図である図32に示すように、連続する臼歯T2や前歯T1等をまとめ、複数本を局所的撮影対象物OB1としてX線CT撮影してもよい。
また、局所的CT撮影領域CAaとして、図32に図示するような平面視円形のみならず、例えば、平面視楕円形状等の局所的撮影対象物OB1の形状に応じた形状であってもよい。
また、上述の説明においては、歯科領域である歯列弓を撮影対象物OBとして、X線CT撮影したが、顎間接のみを撮影対象物OBとしてX線CT撮影してもよい。さらには、歯科領域のみならず、手足や頭頸部等の局所をX線CT撮影してもよい。
1…X線CT撮影装置
10…X線発生部
13…ビーム成形機構
14…縦方向遮蔽板
15…横方向遮蔽板
16a…遮蔽板縦方向移動機構
16b…遮蔽板横方向移動機構
18…L型遮蔽板
20…X線検出部
23…移動用機構
30…旋回アーム
31…旋回軸
34…軸移動機構
34a…移動機構
37…旋回用モータ
41…上部フレーム
60…本体制御部
BX…X線コーンビーム
BX1…大照射野CT用X線コーンビーム
BX2…小照射野CT用X線コーンビーム
CA…CT撮影領域
CAa…局所的CT撮影領域
CAb…三角CT撮影領域
M1…被写体
T1…前歯
T2…左側臼歯
T3…右側臼歯
本発明は、例えば、X線発生器とX線検出器との間に被写体を配置し、X線発生器から照射したX線をX線検出器で検出してX線CT撮影を行うX線CT撮影装置に関する。
従来、医療分野等において、X線を用いて被写体に対してX線を照射して投影データを収集し、得られた投影データをコンピュータ上で再構成して、Computerized Tomography画像(CT画像断層面画像、ボリュームレンダリング画像等)を生成するX線CT撮影が行われている。
このようなX線撮影では、X線発生器とX線検出器との間に被写体を配置した状態で、X線発生器とX線検出器とを被写体周りに旋回させながら、X線発生器からコーン状のX線(X線コーンビーム)を被写体に照射する。そしてX線検出器によってX線の検出結果(投影データ)を収集し、収集したX線の検出結果(投影データ)に基づいて三次元データを再構成する。このようなX線CT撮影を行う装置として、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載のX線撮影装置は、X線コーンビームを照射する位置を被写体中心からずらして常に被写体の一部を照射しながら撮影するオフセットスキャンによって、小さいX線検出面でより広い範囲をCT撮影することができるとされている。
ところが、特許文献1のX線撮影装置では、旋回する旋回軸方向である縦方向の広がりが一定であるため、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大したり、関心領域全体にX線を照射できなかったりするおそれがあった。
そこで本発明は、関心領域に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができるX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
この発明は、被写体におけるCT撮影領域をX線CT撮影するX線CT撮影装置において、X線を発生するX線発生器、該X線発生器から発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、前記CT撮影領域に対して照射するX線コーンビームを形成するX線規制部、及び前記被写体に照射された前記X線コーンビームを検出するX線検出器を有する撮像機構と、前記X線発生器を備えたX線発生部と前記X線検出器を備えたX線検出部とを前記被写体を挟んで対向する状態で支持する支持体と、前記被写体に対して少なくとも旋回軸の軸周りに前記支持体を旋回する撮像機構駆動部と、少なくとも前記X線発生器、前記X線規制部、及び前記撮像機構駆動部を制御する制御部とを備え、前記旋回軸の軸方向と平行な方向を縦方向とするとともに、前記X線発生器から前記X線検出器に向かって前記縦方向と直交する方向を横方向とし、前記X線規制部を、前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの横方向の照射範囲を遮蔽して規制する横方向X線遮蔽手段で構成し、前記制御部の制御により、前記横方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの横方向の広がりを、前記CT撮影領域の形状に適合させるために、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて前記横方向X線遮蔽手段が前記X線コーンビームの横方向の照射範囲を調整し、前記CT撮影領域が平面視略三角形状となるように制御することを特徴とする。
上述の前記被写体に対して少なくとも旋回軸の軸周りに前記支持体を旋回する撮像機構駆動部は、旋回軸を固定し、旋回駆動のみ可能な駆動部、あるいは旋回駆動に加えて旋回軸を前記被写体に対して相対移動可能な駆動部であることを含む概念である。
この発明により、適切に関心領域にX線を照射するとともに、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域を形成することができるため、無駄なX線被曝量を低減することができる。
詳述すると、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記横方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの横方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させる横方向調整手段を備えることにより、旋回軸に対して平面視旋回方向において径が一様でない関心領域や、旋回軸に対して平面視において偏心した関心領域であっても、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域を形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができる。
また、前記制御部を、前記撮像機構駆動部による旋回駆動に応じて、前記CT撮影領域が平面視略三角形状となるように、前記横方向X線遮蔽手段を制御するため、前記横方向X線遮蔽手段を制御することで、CT撮影領域を関心領域の形状に応じて略三角形状に絞り込むことによって、無駄なX線被曝量を低減できるとともに、X線検出器の検出範囲を小さくすることができる。
この発明の態様として、前記横方向X線遮蔽手段を、前記CT撮影領域に対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽部材で構成し、前記横方向遮蔽部材を移動する遮蔽手段横方向移動手段で構成した横方向調整手段を備えることができる。
またこの発明の態様として、前記X線規制部に、前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向X線遮蔽手段を備え、前記支持体が旋回するX線CT撮影中において、前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させるように前記制御部によって制御される縦方向調整手段を備えているため、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳述すると、例えば、旋回する旋回軸方向である高さ(縦方向の長さ)が旋回方向において異なる関心領域である場合において、X線コーンビームの縦方向の広がりを一定にしてX線CT撮影すると、X線コーンビームによるCT撮影領域が関心領域より広ければ、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大するおそれがある。逆に、CT撮影領域が関心領域より狭ければ関心領域全体にX線を照射できないおそれがある。
これに対し、前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記制御部で縦方向調整手段を制御し、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合させるため、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
上述の前記CT撮影領域に対して前記X線コーンビームの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向X線遮蔽手段は、X線発生器から発生したX線の照射範囲における縦方向の上部及び下部のうち少なくとも一方を遮蔽する手段とすることができる。
上述の前記支持体が旋回するX線CT撮影中は、X線CT撮影における一連の流れ全体を含む概念であり、具体的には、撮像機構におけるX線発生器から照射したX線コーンビームをX線検出器で検出する撮影の処理の瞬間のみならず、撮像機構での処理を停止し、撮像機構駆動部で支持体を旋回する間も含む概念である。
上述の前記縦方向X線遮蔽手段によって規制された前記X線コーンビームの縦方向の広がりを、前記撮像機構駆動部による前記撮像機構の旋回位置に応じて、前記CT撮影領域の形状に適合させる縦方向調整手段は、X線発生器に対して少なくとも縦方向に縦方向X線遮蔽手段を変位する手段、X線発生器に対する縦方向X線遮蔽手段の離間距離を調整する手段、あるいは被写体に対する撮像機構の離間距離を調整する手段等のいずれかまたはそれらの組み合わせとすることができる。
またこの発明の態様として、前記縦方向調整手段を、前記縦方向X線遮蔽手段を縦方向に移動する遮蔽手段縦方向移動手段で構成することができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを、簡単な構造で遮蔽して規制し、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合することができる。
またこの発明の態様として、前記縦方向X線遮蔽手段を、前記CT撮影領域に対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽部材で構成し、前記遮蔽手段縦方向移動手段を、前記縦方向遮蔽部材を移動する構成とすることができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを遮蔽して規制するとともに、X線コーンビームのX線発生器に対する縦方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、前記CT撮影領域に対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽部材を、X線発生器から照射されX線コーンビームの縦方向の中心から縦方向に偏心させることで、X線コーンビームのX線発生器に対する縦方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が上顎や下顎の一部であるような局所的な関心領域であり、さらに局所的な関心領域がX線発生器における照射方向から縦方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域の形状を適合させることができる。
またこの発明の態様として、前記撮像機構駆動部に、前記被写体に対して前記旋回軸を相対移動する旋回軸移動機構を設け、前記縦方向調整手段を、前記被写体に対する前記X線発生器の離間距離を調整する前記旋回軸移動機構で構成することができる。
この発明により、X線コーンビームの縦方向の広がりを、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域の形状に適合することができる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線発生器が前記CT撮影領域に近づく場合に前記X線コーンビームの縦方向の広がりを大きく、前記X線発生器が前記CT撮影領域から遠ざかる場合に前記X線コーンビームの縦方向の広がりを小さく制御する構成とすることができる。
この発明により、前記縦方向調整手段を、前記縦方向X線遮蔽手段を縦方向に移動する遮蔽手段縦方向移動手段や前記被写体に対する前記X線発生器の離間距離を調整する前記旋回軸移動機構で構成した場合であっても、確実にCT撮影領域の形状を適合させ、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
またこの発明の態様として、前記X線検出器を、前記支持体に対して相対移動するX線検出器移動手段を備え、前記制御部を、前記X線コーンビームの照射範囲に追従してX線検出器移動手段を制御する構成とすることができる。
この発明により、X線検出器を小型化することができる。詳しくは、前記縦方向調整手段によりX線コーンビームの縦方向の広がりが調整されるため、X線検出器における検出範囲が調整されたX線コーンビームの縦方向の広がりが異なる。特に、X線コーンビームの縦方向の照射方向が調整された場合、検出範囲の中心が変位する。
これに対して、前記X線検出器を、前記支持体に対して相対移動するX線検出器移動手段を備え、前記制御部を、前記X線コーンビームの照射範囲に追従してX線検出器移動手段を制御することにより、異なる検出範囲や変位する検出範囲にX線検出器を追従させ、最大投影範囲を小型のX線検出器で網羅することができる。したがって、最大投影範囲に大きさを合わせたX線検出器に比べ、X線検出器を小型化することができる。よって、非常に高価な検出センサを要するX線検出器を低コスト化できる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線規制部による規制範囲を変更し、前記被写体の関心領域の全体を第1の関心領域とし、該第1の関心領域の全体をCT撮影領域とする第1X線CT撮影と、前記第1の関心領域の一部の領域である第2の関心領域をCT撮影領域とする第2X線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成することができる。
この発明により、例えば、歯列弓の前歯、及び左右の両臼歯全体を第1の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域に対する第1X線CT撮影、臼歯だけの局所を第2の関心領域として平面視略円形状(楕円形状も含む)のCT撮影領域に対する第2X線CT撮影を選択できるため、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置の汎用性が高まる。
またこの発明の態様として、前記制御部を、前記X線規制部による規制範囲を変更して形成したX線細隙ビームを照射するとともに、前記支持体を旋回することにより、照射したX線細隙ビームがパノラマX線撮影用軌跡を形成するように前記撮像機構駆動部を制御するとともに、前記X線細隙ビームによってパノラマX線撮影を行う構成とすることができる。
この発明により、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置によりX線細隙ビームでパノラマX線撮影もできる。
本発明により、例えば、旋回するX線発生器に対する高さが旋回方向において異なる場合であっても、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができるX線CT撮影装置を提供することができる。
X線撮影装置の概略斜視図。
セファロスタットを装着したX線撮影装置の部分正面図。
X線撮影装置の構成を示すブロック図。
ビーム成形機構の概略斜視図。
照射範囲が規制されたX線コーンビームを照射した状態のX線発生部の概略斜視図による説明図。
縦方向遮蔽板及び横方向遮蔽板の位置調整についての説明図。
別の実施形態における縦方向遮蔽板及び横方向遮蔽板の位置調整についての説明図。
X線検出部についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の様子についての説明図。
局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の軌跡を示す概略平面図。
第1旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第2旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第3旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第4旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第5旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
第6旋回位置における局所的X線CT撮影についての説明図。
撮影対象物を撮影するX線CT撮影の軌跡を示す概略平面図。
撮影対象物を撮影するX線CT撮影についての説明図。
撮影対象物に対する縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームについての説明図。
CT撮影領域を円形状の円柱状CT撮影領域とした場合と三角CT撮影領域とした場合とを比較して示す平面図。
X線CT撮影中、被写体に照射するX線量の調整についての説明図。
平面視略三角形状のCT撮影領域についての説明図。
別の実施形態のビーム成形機構によるX線コーンビームの広がりの規制についての説明図。
別の実施形態のビーム成形機構の概略斜視図。
旋回中心を移動させた場合のX線コーンビームの広がりの規制についての説明図。
旋回軸を移動するための旋回アーム及び上部フレームの内部構造についての説明図。
旋回軸を移動させてX線コーンビームの広がりを規制するX線撮影装置の構成を示すブロック図。
旋回軸を移動させるための別の実施形態についての説明図。
撮影対象物の範囲が異なる別の実施形態の場合においてCT撮影領域を円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図。
対象範囲が異なる別の実施形態の場合の局所的撮影対象物を撮影する局所的X線CT撮影の概略平面図。
撮影対象物を撮影する様子を概念的に示す平面図。
図33に示した旋回基準点の移動軌跡と、CT撮影領域とを拡大して示す平面図。
X線発生器が所定位置にあるときにおける縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図。
以下、本発明によるX線CT撮影装置1について、図1乃至図8とともに説明する。
なお、図1はX線撮影装置1の概略斜視図を示し、図2はセファロスタット43を装着したX線撮影装置1の部分正面図を示し、図3はX線撮影装置1の構成を示すブロック図を示し、図4はビーム成形機構13の概略斜視図を示している。
また、図5は照射範囲が規制されたX線コーンビームBXを照射した状態のX線発生部10の概略斜視図による説明図を示し、図6,7は縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての説明図を示し、図8はX線検出部20についての説明図を示している。
詳しくは、図5(a)は大照射野CT用の大照射野CT用X線コーンビームBX1を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示し、図5(b)は小照射野CT用の小照射野CT用X線コーンビームBX2を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示している。
また、図6(a)はX線コーンビームBXの照射範囲を大照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(b)はX線コーンビームBXの照射範囲を小照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(c)はX線の照射範囲をパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPとしてパノラマ撮影用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示している。なお、図7(a)、(b)、(c)は、図6(a)、(b)、(c)と同様の状態をL型遮蔽板18で実施した場合について示している。
図8(a)はX線検出部20の概略斜視図を示し、図8(b)は図8(a)におけるA−A矢視断面図を示し、図8(c)は図8(a)におけるB−B矢視断面図を示している。
X線撮影装置1は、X線CT撮影を実行して、投影データを収集する本体部2と、本体部2において収集した投影データを処理して、各種画像を生成する情報処理装置8とに大別される。なお、本体部2は、好ましくは中空の縦長直方体状の防X線室70に収容され、防X線室70の外部に配置された情報処理装置8と接続ケーブル83によって接続されている。
本体部2は、被写体M1に向けてX線の束で構成するX線コーンビームBXやX線細隙ビームBXPを出射するX線発生部10と、X線発生部10で出射されたX線を検出するX線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20とをそれぞれ支持する旋回アーム30と、鉛直方向に延びる支柱50と、旋回アーム30を吊り下げるとともに、支柱50に対して鉛直方向に昇降移動可能な昇降部40と、本体制御部60とで構成している。なお、X線発生部10、X線検出部20及びX線発生部10のX線検出部20側に配置したビーム成形機構13を撮像機構3としている。
X線発生部10及びX線検出部20は、旋回アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げ固定されている。
旋回アーム30は、正面視略逆U字状であり、上端部に備えた旋回軸31を旋回中心Scとして旋回する。また、正面視略逆U字状である旋回アーム30両端のそれぞれに、X線発生部10とX線検出部20とを装着している。なお、旋回アーム30の形状はこれに限定されず、例えば、円環状部分の中心を回転中心として回転する部材に、X線発生部10とX線検出部20とを対向するようにして支持してもよい。
ここで、以下においては、旋回軸31の軸方向と平行な方向(ここでは、鉛直方向)を「Z軸方向」とし、このZ軸に交差する方向を「X軸方向」とし、さらにX軸方向及びZ軸方向に交差する方向を「Y軸方向」とする。なお、X軸及びY軸方向は任意に定め得るが、ここでは、被写体M1である被検者がX線撮影装置1において位置決めされて支柱50に正対した時の被検者の左右の方向をX軸方向とし、被検者の前後の方向をY軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、本実施形態では互いに直交するものとする。また、以下において、Z軸方向を鉛直方向、X軸方向とY軸方向の2次元で規定される平面上の方向を水平方向と呼ぶこともある。
これに対して、旋回する旋回アーム30上の三次元座標については、X線発生部10とX線検出部20とが対向する方向を「y軸方向」とし、y軸方向に直交する水平方向を「x軸方向」とし、これらx及びy軸方向に直交する鉛直方向を「z軸方向」とする。本実施形態及びそれ以降の実施形態においては、上記のZ軸方向はz軸方向と共通する同一の方向となっている。また本実施形態の旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を回転軸として旋回する。したがって、xyz直交座標系は、XYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転することとなる。
また、図1に示すX線発生部10、X線検出部20を上から平面視したときにX線発生部10からX線検出部20へ向かう方向を(+y)方向とし、この(+y)方向に直交する水平な右手方向(図示の旋回アーム30の向きにおいて、図示の被写体M1の正面側)を(+x)方向とし、鉛直方向上向きを(+z)方向とする。
昇降部40は、上部フレーム41と下部フレーム42とで構成し、鉛直方向に沿って立設された支柱50に係合する側の反対側、つまり正面側に突出する構成である。
上部フレーム41には、旋回アーム30における旋回軸31が取り付けられており、昇降部40が支柱50に沿って鉛直方向に移動することによって、旋回アーム30を上下に移動することができる。
なお、上部フレーム41には、旋回軸31を中心として、旋回アーム30を旋回させる旋回用モータ37を備え、ベルトやプーリ、回転軸等からなり、旋回軸31中を通る伝達機構(図示省略)により、旋回用モータ37による回転力を旋回アーム30に伝達して、旋回アーム30を旋回させる。なお、本実施形態では、旋回軸31が鉛直方向に沿って延びるように構成されているが、旋回軸は鉛直方向に対して任意の角度で傾けてもよい。
図示の例では、上部フレーム41は旋回アーム30を駆動する機械的要素を備え、撮像機構駆動部として機能する。また、撮像機構駆動部としての上部フレーム41は旋回アーム30を駆動することで撮像機構3を駆動する。
なお、旋回用モータ37は上部フレーム41内に固定してもよいが、旋回アーム30内部に固定して、旋回軸31に対して回動力を作用させてもよい。
また、旋回軸31と旋回アーム30の間にはベアリング38(図28参照)が介在しており、旋回軸31に対して旋回アーム30がスムーズに回転するよう構成している。
なお、旋回軸31、ベアリング38、ベルトやプーリ、回転軸等からなる伝達機構及び旋回用モータ37(図28参照)は、旋回アーム30を旋回する旋回機構の一例であり、上述の旋回機構では回転しない旋回軸31に対して旋回アーム30が旋回する構造であるが、このようなものに限定されない。
例えば、旋回アーム30に回転固定された旋回軸31を、上部フレーム41に対して回転させて旋回アーム30を旋回してもよい。
下部フレーム42には、被写体M1(ここでは、人体の頭部)を左右から固定するヘッドホルダや、顎を固定するチンレスト等で構成される被写体固定部421を設けている。なお、人体の頭部の左右の耳孔に挿入する部分を備えるイヤロッドを被写体固定部421に用いてもよい。
旋回アーム30は、被写体M1の身長に合わせて昇降部40の昇降に伴って昇降されて適当な位置に合わせられ、その状態で被写体M1が被写体固定部421に固定される。なお、被写体固定部421は、図1に示した例では被写体M1の体軸が旋回軸31の軸方向とほぼ同じ方向となるように被写体M1を固定する。
本体制御部60は、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、図1に示すように、X線検出部20の内部に配置されている。
本体部2を収容する防X線室70の壁の外側には、本体制御部60からの制御に基づいて、各種情報を表示する液晶モニタ等で構成された表示部61と、本体制御部60に対して各種の命令入力を実現するためのボタン等で構成された操作パネル62とが取り付けられている。
操作パネル62は、生体器官等の撮影領域の位置等を指定すること等にも用いられる。また、X線撮影には各種のモードがあるが、操作パネル62の操作によって、モードの選択ができるようにすることも可能である。
なお、操作パネル62は本体部2に設けてもよく、防X線室70の壁の外側と本体部2の双方に設けてもよい。
情報処理装置8は、情報処理本体部80と、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示部81、及び、キーボードやマウス等で構成される操作部82とで構成し、オペレーターは、操作部82を介して情報処理装置8に対して各種指令を入力することができる。なお、表示部81は、タッチパネルで構成することも可能であり、この場合は、表示部81が操作部82の機能の一部または全部を備えることとなる。
情報処理本体部80は、例えばコンピュータやワークステーション等で構成され、通信ケーブルである接続ケーブル83によって本体部2との間で各種データを送受信することができる。ただし、本体部2と情報処理装置8との間で、無線的にデータのやり取りが行われてもよい。
情報処理装置8は、本体部2で取得された投影データを加工して、ボクセルで表現される三次元データ(ボリュームデータ)を再構成する処理装置であり、例えば、三次元データ中に特定の面を設定し、その特定の面の断層面画像を再構成することができる。
なお、図2に示すように、X線撮影装置1にセファロスタット43を装着してもよい。詳しくは、セファロスタット43は、例えば、支柱50の途中から水平方向に延びるアーム501に取り付けられる。セファロスタット43には、人体の頭部を定位置に固定する固定具431やセファロ撮影用のX線検出器432が備えられる。なお、セファロスタット43としては、特開2003−245277号公報に開示されているセファロスタットを含む種々のものを採用することができる。
次に、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13について図4乃至図7とともに説明する。
旋回アーム30においてX線検出部20に対向配置したX線発生部10は、X線管を有するX線発生器10aをハウジング11に収容して構成している。なお、ハウジング11の前面には、内部に収容したX線発生器で発生したX線の透過を許容する出射口12を備えている。そして、出射口12の前方(図4における手前側であり、X線発生部10に対してy軸方向)にビーム成形機構13を配置している。
ビーム成形機構13は、X線の照射範囲における縦方向(z方向)を遮蔽する縦方向遮蔽板14(14a,14b)と、横方向(x方向)を遮蔽する横方向遮蔽板15(15a,15b)と、縦方向遮蔽板14や横方向遮蔽板15を移動させる遮蔽板移動機構16(16a,16b)とで構成している。
縦方向遮蔽板14は、出射口12の正面視上下のそれぞれに配置した横長板状の上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとがある。また、横方向遮蔽板15は、出射口12の正面視左右のそれぞれに配置した縦長板状の左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとがある。なお、図4に示すように、横方向遮蔽板15を縦方向遮蔽板14よりX線発生部10側に配置しているが、縦方向遮蔽板14を横方向遮蔽板15よりX線発生部10側に配置してもよい。
遮蔽板移動機構16は、2枚構成した縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する遮蔽板縦方向移動機構16aと、2枚構成した横方向遮蔽板15を横方向に移動する遮蔽板横方向移動機構16bとがある。
遮蔽板縦方向移動機構16aは、縦方向遮蔽板14に対して縦方向に備えたネジ溝141(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する縦方向ネジシャフト161aを位置調整モータ162a(162)で回転させ、縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する。なお、遮蔽板縦方向移動機構16aは、上側縦方向遮蔽板14aに対して上方に、下側縦方向遮蔽板14bに対して下方にそれぞれ配置されているため、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとは、独立して縦方向に移動することができる。
また、横長板状の縦方向遮蔽板14に対して横方向にずらして遮蔽板縦方向移動機構16aを配置し、横方向反対側に傾き規制孔142(内部に縦方向の貫通口を通した被案内部材)を備え、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bの両方の傾き規制孔142を挿通する傾き規制シャフト143を備えているため、縦方向遮蔽板14は傾くことなく、遮蔽板縦方向移動機構16aによって縦方向に移動することができる。
遮蔽板横方向移動機構16bは、横方向遮蔽板15に対して横方向に備えたネジ溝161(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する横方向ネジシャフト161bを位置調整モータ162b(162)で回転させ、横方向遮蔽板15を横方向に移動する。なお、遮蔽板横方向移動機構16bは、左側横方向遮蔽板15aに対して左側に、右側横方向遮蔽板15bに対して右側にそれぞれ配置されているため、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとは、独立して横方向に移動することができる。
また、縦長板状の横方向遮蔽板15に対して横方向にずらして遮蔽板横方向移動機構16bを配置し、横方向反対側に傾き規制孔152を備え、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bの両方の傾き規制孔152(内部に横方向の貫通口を通した被案内部材)を挿通する傾き規制シャフト153を備えているため、遮蔽板移動機構16は傾くことなく、遮蔽板横方向移動機構16bによって横方向に移動することができる。
このように、ビーム成形機構13を縦方向遮蔽板14、横方向遮蔽板15及び遮蔽板移動機構16で構成し、X線発生部10における出射口12の前方に配置することにより、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成することができる。
詳しくは、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を遮蔽板縦方向移動機構16aで調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を遮蔽板横方向移動機構16bで調整することで、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c及び左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15cにより、所望の形状のX線コーンビームBXを形成する正面視四角形状の開口17を形成することができる。
より具体的には、図5(a)及び図6(a)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を広く調整することで、大照射野用開口17aは正面視大きな正方形状となり、大照射野用開口17aを透過したX線は断面が大きな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる大照射野用X線コーンビームBX1を照射することができる。
これに対し、図5(b)及び図6(b)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を狭く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、小照射野用開口17bは正面視小さな正方形状となり、小照射野用開口17bを透過したX線は断面が小さな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる小照射野用X線コーンビームBX2を照射することができる。
さらには、図6(c)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、パノラマ撮影用開口17cは正面視縦長の長方形状となり、パノラマ撮影用開口17cを透過したX線は断面が正面視縦長の長方形となり、X線検出部20に向けて縦長角錐台状に広がるX線細隙ビームBXPを照射することができる。
なお、上述のビーム成形機構13は、それぞれ2枚構成した縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を遮蔽板移動機構16で移動し、所望のX線コーンビームBXを照射するための開口17を形成したが、例えば、図7に示すように、正面視L型の2枚のL型遮蔽板18を、開口17の中心に対して点対称配置し、L型遮蔽板18の内角部を構成する縁部18a同士で開口17を構成することができる。
この場合、各L型遮蔽板18に遮蔽板縦方向移動機構16aと遮蔽板横方向移動機構16bの両方を備え、各L型遮蔽板18を縦方向及び横方向に移動することで開口17の形状を調整することができる。
続いて、X線検出部20について図8とともに説明する。
X線発生部10に対向して旋回アーム30に配置したX線検出部20は、X線を検出するためのX線検出器21と、X線検出器21を内部に保持する検出器ホルダ22と、X線検出器21を検出器ホルダ22に対してスライド移動する移動用機構23とで構成している。
X線検出器21は、X線を検出する検出素子である半導体撮像素子を縦方向及び横方向に2次元に平面状に配列することによって構成された検出面21aを構成するX線センサを備えている。なお、X線センサとしては、例えばMOSセンサやCCDセンサが挙げられるが、これらに限定されず、CMOSセンサ等のフラットパネルディテクタ(FPD)やX線蛍光増倍管(XII)、その他の固体撮像素子等、様々なものを採用することができる。
検出器ホルダ22は、移動用機構23によってX線検出器21を縦方向及び横方向に移動可能に保持している。詳しくは、X線検出器21を横方向に移動可能に保持する第1ホルダ22aと、X線検出器21を保持する第1ホルダ22aを縦方向に移動可能に保持する第2ホルダ22bとで構成している。なお、第1ホルダ22aはX線検出器21を横方向にスライド可能に嵌合する横方向溝221を備え、第2ホルダ22bは第1ホルダ22aを縦方向にスライド可能に嵌合する縦方向溝222を備えている。
なお、X線検出器21を第1ホルダ22aに対して横移動する横方向移動用機構23a及び第1ホルダ22aを第2ホルダ22bに対して縦移動する縦方向移動用機構23bは、例えば、ビーム成形機構13において、縦方向遮蔽板14や横方向遮蔽板15を移動させる遮蔽板移動機構16と同様の構成で構成することができる。
このようにX線検出部20を構成することにより、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの形状や照射位置に応じて検出器ホルダ22に対してX線検出器21を移動するため、確実に検出面21aにX線コーンビームBXを投影することができる。
上述したように構成したX線CT撮影装置1は、図3に示すように、ビーム成形機構13、旋回用モータ37(図28)、X線発生部10及びX線検出部20が本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、局所的撮影対象物OB1を適格にX線CT撮影することができる。以下において、X線CT撮影装置1で局所的撮影対象物OB1をX線CT撮影する態様について説明する。
なお、以下の説明において、前歯を含む前歯側の歯T1、左側臼歯を含む左側臼歯側の歯T2及び右側臼歯を含む右側臼歯側の歯T3(以下、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3という)で構成する上顎の歯列弓における左側臼歯T2のうち一本の左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1としている。そして、左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1としてX線CT撮影するために、左側臼歯T2Aを含む関心領域を円柱状の局所的CT撮影領域CAaとしてX線CT撮影する。
しかしながら、本説明において、説明を単純化するために撮影対象を1本の歯にしているが、実際の診療では後述の図32に示すように複数本の歯を撮影対象にする場合が多い。
また、局所的CT撮影領域CAaの縦方向の幅は、歯冠部から歯根部(顎骨を含んでよい)まで充分に収まるように設定されることが多い。
さらに、上顎の歯と下顎の歯のいずれかのみ含む領域に設定してもよく、上顎の歯と下顎の歯の双方ともに含む領域に設定してもよく、このことは、CT撮影領域CAbの縦方向の幅についても同様である。
まず、局所的撮影対象物OB1をX線CT撮影するためには、被写体M1がX線CT撮影装置1における所定位置についた状態において(図1参照)、旋回アーム30が右側臼歯T3側にX線発生部10、左側臼歯T2側にX線検出部20となる初期位置(第1旋回位置)から、図12に示すように、旋回軸31を旋回中心Scとして180度以上旋回して撮影する。
なお、旋回中心Scは固定の位置にあるものとする。
詳しくは、X線撮影装置1は、旋回軸31を旋回中心Scとして回転させることでX線コーンビームBXを旋回させている間、あらかじめ定められた回数分、X線検出部20にて投影データを収集する。具体的には、本体制御部60が旋回用モータ37を監視し、旋回軸31周りに旋回する旋回アーム30が所定の角度分回転する毎に、X線検出器21でのX線の検出データを投影データとして収集する。
なお、X線発生部10によるX線コーンビームBXの照射は、旋回アーム30が旋回する間、X線コーンビームBXを被写体に対して常時照射するように構成してもよいし、X線検出部20がX線を検出するタイミングに合わせて、X線コーンビームBXを間欠的に照射してもよい。後者の場合、被写体M1に対して、X線が間欠的に照射されることとなるため、被写体のX線被曝量を低減することができる。
収集された投影データは、逐次情報処理装置8に転送され、例えば記憶部802に記憶される。そして収集された投影データは、演算処理部801bにおいて加工され、三次元データに再構成される。演算処理部801bにおける再構成の演算処理は、所定の前処理、フィルタ処理、逆投影処理等で構成される。これらの演算処理については、周知技術を含む各種演算処理技術を適用することが可能である。
なお、図9(a)は旋回アーム30が初期位置(第1旋回位置)となる状態の平面概略図を示し、図9(b)は旋回アーム30が第2旋回位置となる状態の平面概略図を示している。同様に、図10(a)は第3旋回位置、図10(b)は第4旋回位置、図11(a)は第5旋回位置、図11(b)は第6旋回位置となる状態の平面概略図を示している。また、図12は、上記初期位置から第6旋回位置までの軌跡を点線で図示している。
また、本願においては、理解を容易にするため、ビーム成形機構13の遮蔽板を厚く図示しているが、実際の遮蔽板ははるかに薄く、必ずしも図示のとおりではない。
また、図9乃至図12において図示する各旋回位置は、図13乃至19においてさらに具体的に示している。各図における(a)はX線コーンビームBXの概略平面図であり、各図における(b)はX線コーンビームBXの概略側面図であり、図13は第1旋回位置について図示し、図14は第2旋回位置について図示し、図15は第3旋回位置について図示し、図16は第4旋回位置について図示し、図17は第5旋回位置について図示し、図18は第6旋回位置について図示している。
しかし、図9乃至図12において図示する旋回位置は、X線CT撮影の状況について説明を容易にするために所定角度ごとに図示しているにすぎない。なお、図11(b)に示す第6旋回位置は、初期位置(第1旋回位置)のX線発生部10に対する局所的撮影対象物OB1を中心とした対称位置である。
図11に示すように、初期位置から旋回中心Scの回りを旋回する旋回アーム30において、X線発生部10からy軸方向に沿って照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1は旋回中心Scを通り、X線検出部20に向かう。しかし、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaは、旋回中心Scに対して偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの水平方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
また、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaの横方向の幅は、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの横方向の広がりを円柱状の局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
詳しくは、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
なお、局所的CT撮影領域CAaに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して横方向に位置移動する。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1に対する局所的CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化する。したがって、旋回アーム30の旋回位置に応じて、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
また、図13に示すように、上顎の左側臼歯T2である局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaは、X線発生部10からX線検出部20に向かって水平に照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して縦方向に偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの鉛直方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
また、局所的撮影対象物OB1を含む円柱状の局所的CT撮影領域CAaの縦方向の高さは、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを円柱状の局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
詳しくは、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
なお、局所的CT撮影領域CAaに合わせて高さ方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して縦方向に位置移動する。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対する局所的CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化する。したがって、旋回アーム30の旋回位置に応じて、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
このように、水平方向において旋回中心Sc及び水平方向基準照射中心線BCL1に対して偏心するとともに、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭い局所的CT撮影領域CAaに対して、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、水平方向において、関心領域である局所的撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、鉛直方向において、鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して偏心するとともに、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して高さの低い局所的CT撮影領域CAaに対して、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを局所的CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を局所的CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、鉛直方向において、関心領域である局所的撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(b)において開口17の位置の変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17は上側に偏心し、偏心の角度は第2旋回位置よりも大きくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17は上側に偏心し、偏心の角度は第1旋回位置よりも小さくなる(図14参照)。
偏心の角度は、鉛直方向基準照射中心線BCL2に対するX線コーンビームBXのセンタービームのなす角度である。
また、第3旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第1旋回位置と同程度であり(図15参照)、第4旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第1旋回位置よりも大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第4旋回位置よりも大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17は上側に偏心するとともに、偏心の角度は第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
x軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点とを結ぶ図示しない線分FC1を想定したとき、鉛直方向基準照射中心線BCL2と線分FC1とのなす変動する角θ1の大きさの絶対値が大きいほど偏心の度合いが大きくなる関係にある。
また、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(a)に示すように、開口17の位置の変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって右側に偏心し(図13参照)、第2旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心している(図14参照)。
偏心の角度は、水平方向基準照射中心線BCL1に対するX線コーンビームBXのセンタービームのなす角度である。
また、第3旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって第2旋回位置よりもさらに左側に偏心し(図15参照)、第4旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって第3旋回位置よりもさらに左側に偏心している(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心しているが、第4旋回位置より右に戻っており(図17参照)、第6旋回位置における開口17はX線発生部10からX線検出部20に向かって左側に偏心しているが、第5旋回位置より右に戻っている(図18参照)。
z軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点とを結ぶ図示しない線分FC2を想定したとき、鉛直方向基準照射中心線BCL2と線分FC2とのなす変動する角θ2の大きさの絶対値が大きいほど偏心の度合いが大きくなる関係にある。
さらにまた、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至19の各図(b)に示すように、開口17の縦方向の広がりの変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17の広がりは第2旋回位置におけるよりも小さくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17の広がりは第1旋回位置におけるよりも大きくなる(図14参照)。
また、第3旋回位置における開口17の広がりは第2旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図15参照)、第4旋回位置における開口17の広がりは第3旋回位置におけるよりもさらに大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17の広がりは第4旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17の広がりは第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
x軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きい関係、または、局所的CT撮影領域CAaのX線発生器側の縁部とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きくなる関係にある。
さらにまた、旋回位置の変化に応じた局所的CT撮影領域CAaの位置に対応して、図13乃至18の各図(a)に示すように、開口17の横方向の広がりの変化について以下のように具体的に示している。
第1旋回位置における開口17の広がりは、第2旋回位置におけるよりも僅かに大きくなり(図13参照)、第2旋回位置における開口17の広がりは、第1旋回位置におけるよりも僅かに小さくなる(図14参照)。
また、第3旋回位置における開口17の広がりは、第1旋回位置とほぼ同程度であり(図15参照)、第4旋回位置における開口17の広がりは、第3旋回位置におけるよりも大きくなる(図16参照)。
さらに、第5旋回位置における開口17の広がりは、第4旋回位置におけるよりもさらに大きくなり(図17参照)、第6旋回位置における開口17の広がりは、第5旋回位置と同程度である(図18参照)。
z軸方向から観察して、第1旋回位置から第6旋回位置までの変位で、局所的CT撮影領域CAaの中心とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きい関係、または、局所的CT撮影領域CAaのX線発生器側の縁部とX線発生器10aのX線管焦点との間の距離が短いほど開口17の広がりの度合いが大きくなる関係にある。
さらに、局所的CT撮影領域CAaに合わせて高さ方向及び横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して高さ方向及び横方向に位置移動することによって、コンパクト化したX線検出器21であっても、検出面21aにX線コーンビームBXを投影し、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
移動用機構23により、検出面21aが比較的狭いX線検出器21を用いることができ、製品コストを低くすることができるが、無論、検出面21aが広いX線検出器21を用いることも可能であり、X線検出部20に、移動せずとも全てのX線コーンビームBX、X線細隙ビームBXPを受光できるほど充分な広さがある検出面21aを有するX線検出器21を備えるようにして、移動用機構23を省略するようにしてもよい。X線検出器21の価格は高いものになるかもしれないが、移動用機構23を省略する分、移動制御負担も製品コストも抑えることができる。
続いて、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3で構成する歯列弓全体を撮影対象物OB2としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影する態様について図19乃至図24とともに以下で説明する。
なお、図19は撮影対象物OB2を撮影するX線CT撮影の軌跡を示す概略平面図を示し、図20は撮影対象物OB2を撮影するX線CT撮影についての説明図を示し、図21は撮影対象物OB2に対する縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについての説明図を示し、図22はCT撮影領域を円形状の円柱状CT撮影領域CArとした場合と三角CT撮影領域CAbとした場合とを比較して示す平面図を示し、図23はX線CT撮影中、被写体に照射するX線量の調整についての説明図を示し、図24は平面視略三角形状のCT撮影領域についての説明図を示している。
詳しくは、図20(a)乃至(e)は各旋回位置におけるX線コーンビームBXの照射範囲及び照射方向について概略平面図により説明し、図21(a)は第1旋回位置における縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図を示し、同様に、図21(b)は第5旋回位置におけるx軸方向視した概略図を示している。
図20(a)は人体の頭部の右側にX線発生部10が、人体の頭部の左側にX線検出部20が位置するように旋回アーム30の位置制御がなされた状態を示し、図20(e)はその状態からX線発生部10が頭部の後方まで90°旋回した状態を示している。また、図20(b)乃至(d)はその間の旋回の変位の状態を示す。
また、図23は第1旋回位置、第3旋回位置及び第5旋回位置における被写体に照射するX線量の調整について、X線出力及び旋回アーム30の旋回速度のグラフを示し、図24は様々な平面視略三角形状のCT撮影領域についての概略説明図を示している。
以下の説明では、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3で構成する歯列弓全体を撮影対象物OB2としているため、関心領域は平面視略三角形状の柱状形態であり、三角柱状体の三角CT撮影領域CAbをX線CT撮影する。なお、三角CT撮影領域CAbを構成する平面視略三角状の断面は、図22に示すように、底辺の左右両側に張出部CA1,CA1及び頂部CA2を有する平面視略二等辺三角形状としている。
換言すると、三角CT撮影領域CAbを構成する平面視略三角状の断面は、ルーローの三角形状またはルーローの三角形における頂点を丸めた、またはルーローの三角形を若干変形した、ルーローの三角形類似の略三角形状ともいえる。
まず、撮影対象物OB2をX線CT撮影するためには、被写体M1がX線CT撮影装置1における所定位置についた状態において(図1参照)、旋回アーム30が右側臼歯T3側にX線発生部10、左側臼歯T2側にX線検出部20となる初期位置(第1旋回位置)から、図11に示すように、旋回軸31を旋回中心Scとして180度以上旋回して撮影する。
上述の局所的撮影対象物OB1を含み旋回中心Scから偏心した局所的CT撮影領域CAaと異なり、旋回中心Scは撮影対象物OB2を含む三角柱状(略三角柱状)の三角CT撮影領域CAbの水平方向における重心位置近傍となる。しかし、三角CT撮影領域CAbの平面視略三角状の横方向の幅及び三角CT撮影領域CAbの左右の各縁部とその旋回中心Scに対する相対位置は旋回位置によって変化する。そのため、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの幅に合わせてするとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を三角CT撮影領域CAbに合わせて調整する。
なお、三角CT撮影領域CAbに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して横方向に位置移動する。
また、三角CT撮影領域CAbは三角柱状であるため高さは一定であるものの、図21に示すように、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化するため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせてビーム成形機構13で調整する。
詳しくは、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせて調整する。
具体的には、図21(a)に示す三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の方が図21(b)に示す三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部よりもX線発生器11に近いため、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを図21(b)よりも大きくする。
つまり、三角CT撮影領域CAbがX線発生部10に近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、三角CT撮影領域CAbがX線発生部10から遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御する。
このように、横方向の幅及びその旋回中心Scに対する相対位置が旋回位置によって変化する平面視略三角状の三角CT撮影領域CAbに対して、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの幅に合わせてするとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を三角CT撮影領域CAbに合わせて調整することにより、水平方向において、関心領域である撮影対象物OB2に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAを円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図である図22に示すように、撮影対象物OBの全域をCT撮影領域に設定するべく、CT撮影領域が撮影対象物OBを含む関心領域の全てを含む円形状の円柱状CT撮影領域CArとした場合のX線コーンビームBXrは、三角CT撮影領域CAbに対して照射するX線コーンビームBXよりも広い範囲にX線を照射することとなる。
したがって、略三角柱状の三角CT撮影領域CAbを設定した場合、円形状の円柱状CT撮影領域CArを設定した場合に比べて、図示するようにX線検出器21におけるX線の検出範囲が小さくなる。したがって、本実施形態によれば、X線検出器21の検出面の大きさを小さくすることができるため、装置コストを低く抑えることが可能となる。
また、略三角柱状の三角CT撮影領域CAbを設定した場合、図22に示すように、円柱状CT撮影領域CArにおける円形の内側であって、三角CT撮影領域CAbにおける略三角状の外側となる範囲に余分なX線照射がされることなく、被曝線量を低減することができる。
また、頚椎BBは図示するように顎骨の後方に位置しており、三角CT撮影領域CAbが略三角形状であるために略三角形の底辺の部分が円形状の円柱状CT撮影領域CArよりも内側にあることから、頚椎BBの領域に対するX線被曝量を低減できることが分かる。
また、X線コーンビームBX,BXJを比較することで明らかなように、三角CT撮影領域CAbを略三角柱状に形成することによって、CT撮影領域CAを円形状とした場合に比べてX線を照射する範囲を狭めることができる。
このように、撮影対象物OB2である歯列弓を含んだ顎骨については、CT撮影領域CAを略三角形状に形成することによって、左右の張出部CA1,CA1の近傍に左右の顎関節が、頂部CA2の近傍に前歯が収まり、左右の張出部CA1,CA1から頂部CA2に向けて上側へ突出するように繋いだ曲線に、湾曲する顎骨が収まる。これに対し、円形状の円柱状CT撮影領域CArを設定した場合は、CT撮影領域CAを略三角形状に形成した場合に比べ、顎骨の部分からはみ出す領域が相対的に大きくなる。したがって、撮影対象物OB2以外の部分に対するX線照射を抑えることができるため、被写体に対するX線被曝量を低減することができる。
さらに、被写体に照射するX線量を調整する様子を説明するための図23に示すように、旋回位置に応じてX線量を調整制御することによって、比較的X線吸収性の高い部位が存在したとしても、その影響を緩和したCT撮影を行うことができるため、良好なCT画像を取得することができる。
なお、図23(a)〜(c)は、第1旋回位置、第2旋回位置及び第3旋回位置において出射されるX線コーンビームBXと、被写体の体内にある頚椎BBの位置関係を示す平面図である。
また、図23(a)〜(c)に示す第1旋回位置乃至第3旋回位置と図20(a)〜(c)に示す第1旋回位置乃至第3旋回位置とは直接対応していない。
また図23(d)は、X線出力の強度をプロットしたものであり、縦軸がX線出力強度、横軸が旋回位置を示す。また図23(e)は、X線コーンビームBXの旋回速度をプロットしたものであり、縦軸が旋回速度、横軸が旋回位置を示している。また、実際の人体における歯列弓と頚椎の間の水平方向における距離は、図23に示すほど離れてはいないが、理解を容易にするために、歯列弓と頚椎の間の水平方向における距離を大きく図示している。
撮影対象物OB2を、歯列弓を含む顎骨とした場合、被写体内部の顎骨の背後にはX線吸収部位である頚椎BBが存在する。CT撮影において、X線がこのようなX線吸収部位を通過して撮影対象物OB2に到達する状態と、X線吸収部位を通過せずにそのまま撮影対象物OB2に到達する状態が混在する場合、X線量を制御することが好ましい。
例えば、図23(a),(c)に示すように、X線発生部10が第1旋回位置、及び第3旋回位置にある状態では、X線を吸収し易い頚椎BBはX線コーンビームBXの照射領域に含まれない。そのため、比較的低いX線量であっても、三角CT撮影領域CAbについて良好な投影データを取得できる。しかしながら、図23(b)に示すように、X線発生部10が第2旋回位置(被写体の背後の位置)状態では、X線コーンビームBXの照射領域に含まれるため、この頚椎BBを通過したX線が三角CT撮影領域CAbに届くこととなる。したがって、三角CT撮影領域CAbについて良好な投影データを取得するために、好ましくはこの状態で比較的大きいX線量の照射が行われる。
このように、X線コーンビームBXと頚椎BBのようなX線吸収部位との位置関係に応じて、すなわち旋回アーム31の旋回位置に応じてX線量を変更するため、本実施形態では、好ましくは、図23(d)、または、図23(e)に示すようにX線出力、または、旋回速度の少なくともどちらか一方を調整する。
例えばX線出力を調整する場合、図23(d)に示すように、(a),(c)の状態よりも(b)の状態のときに、X線発生部10から出力されるX線量が大きくなるように制御する。また、旋回速度を調整する場合には、図23(e)に示すように、(a),(c)の状態よりも(b)の状態のときに旋回速度(旋回アーム30の旋回速度)を遅くすることによって、相対的に、三角CT撮影領域CAbに対するX線量が大きくなるように制御する。
このような制御を行うことによって、比較的X線吸収性の高い部位が存在したとしても、その影響を緩和したCT撮影を行うことができ、良好なCT画像を取得することができる。
さらには、鉛直方向において、三角CT撮影領域CAbの高さは一定であるものの、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化する三角CT撮影領域CAbに対して、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの縦方向の広がりを旋回位置に応じて三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さに合わせてビーム成形機構13で調整することにより、鉛直方向において、関心領域である撮影対象物OB2に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、三角CT撮影領域CAbに合わせて横方向において調整したX線コーンビームBXの照射方向に応じて、X線検出部20におけるX線検出器21を移動用機構23により検出器ホルダ22に対して高さ方向及び横方向に位置移動することによって、コンパクト化したX線検出器21であっても、検出面21aにX線コーンビームBXを投影し、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、上述の説明では、三角CT撮影領域CAbを平面視略三角状である三角柱状としたが、例えば図24に示すように様々な平面略三角状とすることができる。
詳述すると、図24(f)に示す三角形ABCの形状に基づいて説明が可能な形状の例として示される図24(a)〜(g)のような形状とすることができる。
まず、図24(f)に示す三角形ABCについて説明すると、図24(f)に示す三角形ABCは、頂点A、B、Cと各頂点を結ぶ辺AB、AC、BCからなる三角形である。
図示の例では辺BCが底辺であり、辺AB、ACが互いに接してできる頂点Aが底辺BCと対向する。
辺ABは、頂点Aに近い領域の線ABa、頂点Bに近い領域の線ABb、頂点A、Bから離れた中央の領域の線AB1からなる。
辺ACは頂点Aに近い領域の線ACa、頂点Cに近い領域の線ACb、頂点A、Cから離れた中央の領域の線AC1からなる。
辺BCは頂点Bに近い領域の線BCa、頂点Cに近い領域の線BCb、頂点B、Cから離れた中央の領域の線BC1からなる。
頂点A、B、Cは任意に定められるが、基本的には辺AB、AC、BCで囲まれる領域内に平面視した歯列弓が収まるような配置になるように設定される。
具体的には、頂点Aの近傍に前歯T1が、頂点Bの近傍に左側臼歯T2が、頂点Cの近傍に右側臼歯T3が収まる。
なお、歯列弓が左右対称であることから三角形ABCは二等辺三角形を設定してもよいし、二等辺三角形の中でも正三角形になってもよい。
要は、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3の全体が無駄なく収まるようにするという思想によって様々な形状が考えられる。
まず、図24(a)は、頂点A、B、C、辺AB、AC、BCからなる三角形ABCの形状のCT撮影領域CAである。ここで、図24(a)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(a)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、頂点A、B、C、辺AB、AC、BCからなる三角形ABCの形状を備えた領域である。この三角形ABCは、望ましくは二等辺三角形である。無論、三角形ABCは正三角形であってもよい。図22の張出部CA1、CA1と同様に頂点B、頂点Cの近傍に張出部CA1x、CA1xがある。
図24(b)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(a)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっている。図24(a)の三角形ABCの頂点Aの部分に丸みを持たせてある点で、相違している。すなわち、図24(b)に示すCT撮影領域CAでは、辺AB、辺ACは、頂点Aでつながらずに、外に凸の曲線でつながっている。
辺AB、辺ACをつなぐ線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、直線にしてもよいし(CT撮影領域CAが台形の形状となる)、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(b)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(b)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、底辺BC、線ABb、線AB1、線AR、線AC1、線ACbで囲まれた形状を備えた領域である。線AB1と線AC1を、望ましくは頂点Aよりも三角形ABCの内側にある線ARでつなぐ。図示の例では、線AB1と線AC1を弧ARでつなぐ。弧ARには凸の側と凹の側があるが、ここで弧ARは凸の側が三角形ABCの外に向いている。すなわち弧ARは外に凸である。
図24(c)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(b)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、図24(a)の三角形ABCの頂点B、Cの部分、つまり底辺である辺BCの左右の部分に丸みが持たせてある点が相違する。すなわち、辺AB、辺BCは、頂点Bでつながらずに、外に凸の曲線でつながっている。また、辺AC、辺BCは、頂点Cでつながらずに、外に凸の曲線でつながって直線部分AB1、AC1を残している。
辺AB、辺BCをつなぐ線、辺AC、辺BCをつなぐ線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、直線にしてもよいし、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(c)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(c)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BC1、線BR、線AB1、線AR、線AC1、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。線AB、ACについては図24(b)の例と同様であるため、詳述を省略する。
線AB1と線BC1を、望ましくは頂点Bよりも三角形ABCの内側にある線BRでつなぐ。また、線AC1と線BC1を、望ましくは頂点Cよりも三角形ABCの内側にある線CRでつなぐ。図示の例では、線AB1と線BC1を弧BRでつなぎ、線AC1と線BC1を弧CRでつなぐ。弧BR、CRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧BR、CRは凸の側が三角形ABCの外に向いている。すなわち弧BR、CRは外に凸である。
図24(d)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(c)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、直線部分AB1、AC1が変形して外に凸の曲線になっている点が相違する。
辺AB、ACが変形した線は必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(d)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(d)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BC1、線BR、線ABR、線AR、線ACR、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。線AB1、AC1が線ABR、ACRになっている点以外は図24(c)の例と同様であるため、詳述を省略する。
図24(c)の例の線AB1、AC1が三角形ABCの外側を通る線ABR、ACRに代わっている。図示の例では、線ABR、ACRは弧ABR、ACRとなっている。弧ABR、ACRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧ABR、ACRは凸の側が三角形ABCの外側遠方に向いている。すなわち弧ABR、ACRは外に凸である。
つまり、線ABRは線AB1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線であり、線ACRは線AC1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線である。
なお、弧ABR、ACRを変形して、複数の直線から構成した外に凸の線にしてもよい。
撮影対象物OB2が効率的に収まる限り、弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRの曲率をほぼ同じとし、半円を含む略半円を形成するように設定してもよい。ここでいう略半円は真円の半円に限定されず、弧の曲率が部分的に異なるものや馬蹄形状のものを含む。
好適には弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRが変曲点を作ることなく滑らかにつながるようにする。この場合、CT撮影領域CAは図24(g)に示すように、略半月型の形状となる。
図24(e)は、別の実施例のCT撮影領域CAの形状を示している。本実施例のCT撮影領域CAは図24(d)のCT撮影領域CAと一部異なる形状となっており、辺BCが変形して外に凸の曲線になっている点が相違する。辺BCが変形した線は、必ずしも曲線のみに限定されるものではなく、部分的に直線にしてもよい。この場合、直線は単数で構成しても複数で構成してもよい。
ここで、図24(e)の実施例をさらに詳述するために図24(f)を参照する。図24(d)の実施例のCT撮影領域CAは、図24(f)における、線BCR、線BR、線ABR、線AR、線ACR、線CRで囲まれた形状を備えた領域である。なお、線BC1が線BCRになっている点以外は図24(d)の例と同様なので詳述は省略する。
図24(d)の例の線BC1が三角形ABCの外側を通る線BCRに代わっていて、線BCRが略三角形の底辺となっている。図示の例では、線BCRは弧BCRとなっている。弧BCRには凸の側と凹の側があるが、ここで弧BCRは凸の側が三角形ABCの外側遠方に向いている。すなわち弧BCRは外に凸である。
なお、線BCRは線BC1の両端を外に凸の弧状の線で結ぶ曲線である。また、弧BCRを変形して、複数の直線から構成した外に凸の線にしてもよい。
撮影対象物OB2が効率的に収まる限り、弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRの曲率を同じまたはほぼ同じものにして、半円を含む略半円を形成するように設定してもよい。ここでいう略半円は真円の半円に限定されず、弧の曲率が部分的に異なるものや馬蹄形状のものを含む。
好適には弧BR、弧ABR、弧AR、弧ACR、弧CRが変曲点を作ることなく滑らかにつながるようにする。この場合、CT撮影領域CAは略半月型(厳密には略十三夜の月型)の形状となる。
以上、図24(a)〜(g)いずれにおいてもCT撮影領域CAに図22の張出部CA1、CA1と同様に張出部CA1x、CA1xがある。図24(d)、(e)におけるCT撮影領域CAは、下側つまり底辺である辺BCまたは線BCRの側の左右に張出部CA1x、CA1xを有しており、略三角形状が、左右の張出部CA1x、CA1xから頂部である頂点Aの付近に向けて左右の張出部CA1x、CA1xと頂部とを曲線ABR、ACRで繋いだ左右対称の形状である。
無論、撮影対象物OB2が無駄なく適宜にCT撮影領域CAに収まればよく、その目的に向けて支障がない範囲で多少の変形があってもよい。例えば、上記の弧AR、BR、CR、ABR、ACR、BCRの曲率は、様々に設定し得る。弧AR、BR、CRの曲率を、ABR、ACR、BCRの曲率よりも小さく設定してもよい。
また、上述の説明では、横方向遮蔽板15(15a,15b)を遮蔽板横方向移動機構16bによって横方向位置を変化させて、X線コーンビームBXの横方向の広がりを規制するとともに、照射方向を調整したが、図25に示すように、ビーム成形機構13の横方向遮蔽板15(15a,15b)のX線発生部10に対する離間距離を調整して、X線コーンビームBXの横方向の広がりを所望の幅に規制してもよい。
この場合、図26に示すように、ハウジング11を縦方向遮蔽板14用のハウジング11aと、横方向遮蔽板15用の11bとで構成し、例えば、遮蔽板移動機構16(16a,16b)と同様の移動機構で縦方向遮蔽板14用のハウジング11aに対して横方向遮蔽板15用のハウジング11bを図中において矢印で示すX線の照射方向(y軸方向+側)に移動調整可能に構成すればよい。
また、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりのうち一方を遮蔽板(14,15)の間隔で調整し、他方をX線発生部10に対する離間距離を調整してもよい。例えば、図7に示す2枚のL型遮蔽板18を横方向移動可能、及びX線発生部10に対する離間距離を調整可能に構成してもよい。この場合のX線コーンビームBXの広がりの調整は、まず、2枚のL型遮蔽板18をX線コーンビームBXの照射方向に移動させてX線発生部10に対する離間距離を調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを調整する。さらに、2枚のL型遮蔽板18を横方向に移動してX線コーンビームBXの横方向の広がりを調整することとなる。
さらには、これまでの説明では、旋回中心Scを旋回アーム30の旋回軸31として、旋回軸31を固定した状態において、旋回位置に応じてビーム成形機構13における縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を遮蔽板移動機構16で変位させ、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりを規制して、照射するCT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの照射範囲を適合させたが、旋回軸31を上部フレーム41に対して水平方向に移動する軸移動機構34を備え、軸移動機構34で旋回軸31を移動させて、照射するCT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの照射範囲を適合させてもよい。
軸移動機構34で旋回軸31を移動させてX線コーンビームBXの広がりを調整するX線CT撮影装置1について、図27乃至図30とともに説明する。なお、図27は旋回中心Scを移動させた場合のX線コーンビームBXの広がりの規制についての説明図を示し、図28は旋回軸31を移動するための旋回アーム30及び上部フレーム41の内部構造についての説明図を示し、図29は旋回軸31を移動させてX線コーンビームBXの広がりを規制するX線撮影装置1の構成を示すブロック図を示し、図30は旋回軸31を移動させるための別の実施形態についての説明図を示している。
詳しくは、図27(a)は三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを合わせるため、X線発生部10が三角CT撮影領域CAbから遠ざかる方向に旋回軸31を移動させた状態の概略断面図を示し、図27(b)X線発生部10が三角CT撮影領域CAbに近づく方向に旋回軸31を移動させた状態の概略断面図を示している。
また、図28(a)は、上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図であり、図28(b)は、旋回アーム30及び上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図である。なお、図28(b)は、X線撮影装置1を側方から見たときの旋回アーム30、及び上部フレーム41を示し、図28(a)は、上方から見たときの上部フレーム41を示している。
上部フレーム41に装着される軸移動機構34は、旋回アーム30ごと旋回軸31を水平方向に移動するXYテーブル35と、XYテーブル35を駆動する駆動用モータ36とで構成している。
XYテーブル35は、旋回アーム30を前後方向(Y軸方向)に移動するYテーブル35Y、及び、Yテーブル35Yに支持されて横方向(X軸方向)に移動するXテーブル35Xで構成している。
駆動用モータ36は、Yテーブル35Yを駆動するY軸駆動用モータ36Yと、Yテーブル35Yに対してXテーブル35XをX方向に移動させるX軸駆動用モータ36Xとで構成している。
X線撮影装置1では、図29に示すように、駆動用モータ36は本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、旋回アーム30を旋回させながら、Xテーブル35Xを左右(X方向)に、Yテーブル35Yを前後(Y方向)に移動する。これにより、旋回軸31を前後左右のX−Y方向に2次元的に移動制御することができる。
このように、軸移動機構34で旋回軸31を水平方向に移動させることによって、例えば、高さ一定である三角柱状の三角CT撮影領域CAbであっても、図27に示すように、旋回中心ScからX線発生部10側の縁部までの距離が旋回位置に応じて変化するため、X線発生部10から照射され、縦方向及び横方向に広がったX線コーンビームBXを、三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さや幅に合うように、三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回軸31を移動させて調整することができる。
詳しくは、三角CT撮影領域CAbに対してX線発生部10が近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、三角CT撮影領域CAbに対してX線発生部10が遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御する。この制御により、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりが、三角CT撮影領域CAbにおけるX線発生部10側縁部の高さや幅に合うため、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
図27(a)は三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部がX線発生部10に近づいたときの図を示している。X線発生部10、縦方向遮蔽板14、X線検出部20、X線検出器21は、破線で示す比較対象位置からy軸方向に移動して実線で示す位置を取っている。
三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離は大きくなり、三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部におけるX線コーンビームBXの広がりを見ると、移動前より大きくなっている。
図27(b)は三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部がX線発生部10から遠ざかったときの図を示している。X線発生部10、縦方向遮蔽板14、X線検出部20、X線検出器21は、破線で示す位置からy軸方向に移動して実線で示す位置を取っている。
三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離は小さくなり、三角CT撮影領域CAbのX線発生部10側の端部におけるX線コーンビームBXの広がりを見ると、移動前より小さくなっている。
また、X線コーンビームBXの縦方向及び横方向の広がりのうち一方を遮蔽板(14,15)の間隔で調整し、他方を三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回中心Scを移動させることで調整してもよい。
さらには、横方向遮蔽板15によるX線コーンビームBXの横方向の広がり規制と、三角CT撮影領域CAbに対するX線発生部10の離間距離を、旋回中心Scを移動させることでX線コーンビームBXの横方向の広がり三角CT撮影領域CAbに調整することとを併用してもよい。このように、併用することで、横方向遮蔽板15によってX線コーンビームBXの広がりを規制した場合に比べて、旋回中心Scを移動させることによる調整とを併用したことにより、横方向遮蔽板15の変位量を少なくすることができる。
なお、上述の説明では、上部フレーム41に対して旋回アーム30の旋回軸31を軸移動機構34で移動したが、X線CT撮影装置1に被写体M1が着座する椅子を設け、旋回する旋回アーム30に対して椅子を水平方向に移動させて、撮影対象物OB2に対する旋回中心Scを相対的に移動させる構成でもよく、さらには、軸移動機構34と、水平方向に移動する椅子との両方を併用してもよい。
図29のように、旋回軸31を前後左右のX−Y方向に2次元的に移動制御することができる装置の場合、図33に示すように、撮影対象物OB2に対してX線発生器10aを近づけると共に撮影対象物OB2に対してX線検出器21を遠ざけることで撮影対象物OB2に対するX線コーンビームBXの横方向の広がりを小さくし、撮影対象物OB2に対してX線発生器10aを遠ざける共に撮影対象物OB2に対してX線検出器21を近付けることで撮影対象物OB2に対するX線コーンビームBXの横方向の広がりを大きくする制御によってCT撮影領域CAを三角CT撮影領域CAbに形成することができる。
なお、この構成においても、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの高さに合わせて調整することができる。
図33は、撮影対象物OB2を撮影する様子を概念的に示す平面図を示している。また、図34は、図33に示した旋回基準点CPの移動軌跡と、CT撮影領域CAbとを拡大して示す平面図を示している。なお、図33に示したCT撮影では、全歯牙を含む上下の顎骨を撮影対象物OBとしている。また、図33では、X線発生器10aが、位置L01にあるときから、旋回アーム30が旋回軸31周りに180度回転されるのに伴って位置L13に移動するまでについて図示している。
また、図33では、位置L01から旋回アーム30を15度ずつ回転させたときの、X線発生器10aの各位置L01〜L13のそれぞれから出射されるX線コーンビームBXを図示している。なお、位置L01〜L13は、厳密にはX線管のX線が発生する原点、すなわちX線焦点の位置に相当する。位置L01は、CT撮影におけるX線発生器10aの移動開始位置であり、位置L13は移動終了位置である。
X線発生器10aは、人体の頭部の右真横から後を通過して左真横まで移動している。ここで、図示のCPは旋回基準点であり、この旋回基準点CPは、X線発生器10aとX線検出器21の各地点における瞬間的な旋回中心である。ここでは、理解を容易にするため、旋回軸31の軸心が旋回基準点CPと一致するものとする。
旋回アーム30が180度回転する間に、旋回基準点CPは、位置L01Cからスタートして、位置L02C,L03C,L04C・・・と順次移動し、再び元の位置L01Cへ戻る。図示の例では、旋回アーム30が180度回転する間に、旋回基準点CPが楕円の周上を一周する。この旋回基準点CPの移動は、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yの駆動制御による旋回軸31の移動によって実現される。
なお、位置L01C〜L13Cの数字の部分は、位置L01〜L13の数字の部分にそれぞれ対応している。
ここで、X線検出器21に着目すると、図33に示すように、X線検出器21は、CT撮影中、撮影対象物OB2の少なくとも左右の一方から他方に移動する略半円の円弧状の軌跡を形成する。図示の例では、被写体M1である人体の頭部の正中に対して右から前を通過して左に移動する軌跡、すなわち対称軸AQを挟んで対向する右から左に移動する軌跡を形成している。
ここで、三角CT撮影領域CAbが図22で示したような領域内に平面視した歯列弓が収まるような配置になる関心領域CAbとなるとして、この略半円の円弧状の軌跡において、X線検出器21が左右のいずれかの位置にあるとき(すなわち、X線発生器10aが位置L01,L13のいずれかにあるとき)と、X線検出器21が左右の中間の位置にあるとき(すなわち、X線発生器10a、X線検出器21が正中の位置である対称軸AQ上の位置L07にあるとき)とのそれぞれの位置関係に着目する。すると、X線検出器21が左右のいずれかの位置にあるときのX線検出器21と関心領域CAbとの間の距離l1、l3は、X線検出器21が中間の位置にあるときのX線検出器21と関心領域CAbとの間の距離l2よりも大きくなっている。
ここで「関心領域CAbとX線検出器21の間の距離」とは、関心領域CAbの中のある一点と、X線検出器の検出面の中央部分との間の距離である。例えば、顎骨(もしくは歯列弓)の中央の一点JC1とX線検出器21の検出面の中央部分との間の距離等が相当する。
X線発生器10aが位置L01〜L13を移動するとき、旋回基準点CPは、図34に示す位置L01C〜位置L13Cを移動する。また、位置L01Cと位置L13Cは、位置的には一致している。
図33に示したCT撮影では、旋回アーム30を旋回させながらX線コーンビームBXを照射してCT撮影領域CAが略三角形状を呈するように旋回用モータ37、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yが連動制御される。
図33、図34に示す構成の利点は、横方向については横方向遮蔽板15(15a,15b)による遮蔽量が一定でもよいことであり、横方向遮蔽板15の構造の単純化が可能である点にある。
むろん、旋回用モータ37、X軸駆動用モータ36X、Y軸駆動用モータ36Yの連動制御と、横方向遮蔽板15(15a,15b)による遮蔽制御を組合せて三角CT撮影領域CAbを形成するようにしても構わない。
図33、図34に示す構成においても、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを三角CT撮影領域CAbの高さに合わせて調整する。
図35(a)はX線発生器10aが位置L01にあるときにおける縦方向照射範囲が規制されたX線コーンビームBXについてのx軸方向視した概略図を示し、同様に、図35(b)はX線発生器10aが位置L07にあるときにおけるx軸方向視した概略図を示している。
線JCは、Z軸方向に伸び、顎骨(もしくは歯列弓)の中央の一点JC1を通る線である。
図35(a)の状態ではX線発生器10aと三角CT撮影領域CAbのX線発生器10aに最も近い端部CAb1との間の距離が短いのでX線コーンビームBXの縦方向の広がり(X線コーンビームBXの縦方向のコーン角θX1)を大きくとるが、図35(b)の状態ではX線発生器10aとCT撮影領域三角CT撮影領域CAbのX線発生器10aに最も近い端部CAb2との間の距離が長いのでX線コーンビームBXの縦方向の広がり(X線コーンビームBXの縦方向のコーン角θX2)を小さくとる。
図35(b)において、図35(a)における三角CT撮影領域CAbと線JCの位置を比較のために一点鎖線で示している。
なお、図35(a)と図35(b)のそれぞれに示す各要素の配置は、理解を容易にするために多少強調している。
ここで、コーン角θX1とコーン角θX2の関係は、θX1>θX2の関係にある。また、コーン角の調整は、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aで調整することによって行われる。
また、上述の説明では、XYテーブル35を有する軸移動機構34で、旋回する旋回アーム30の旋回中心Scを移動させたが、移動機構としてはこの構成に限定されず、例えば、図30に示すような移動機構であってもよい。
図30(a)は変形例に係る移動機構34aを説明するために模式的に示した図であり、図30(b)では、X線発生器13,旋回軸31の位置(同図中、(+)で示す)及びX線検出器21の位置について、旋回アームを旋回位置90度分ずつ旋回させた3つの位相に相当する状態を図示している。また、図30(a)では、旋回アーム、X線コーンビームは図示省略しており、水平方向基準照射中心線BCL1のみを図示している。
移動機構34aは、極座標に基づいて制御されるものであり、2つのアームAM1とAM2を駆動することによって、旋回アームが移動される。
詳しくは、移動機構34aは、図示省略する本体部2に対し、固定の回動基準点PT1があり、第1のアームAM1の一端は回動基準点PT1を支点に、回動可能に軸支されている。さらに、アームAM1の他端に、アームAM2の一端が回動自在に軸支されており、第2のアームAM2の他端に、同図中(+)で位置を示す旋回アームの旋回軸31を回動可能に軸支している。旋回アームは、図示しない駆動モータ等により旋回軸31の軸周りに旋回駆動される。なお、第2のアームAM2の他端に旋回軸31を回動しないように固定し、旋回軸31周りに旋回アームが旋回するようにしてもよい。
アームAM1、AM2は、それぞれに対して回動角度を制御可能に結合されたアーム駆動用の結合された駆動モータ(図示省略)により制御され回動される。アームAM1のX線撮影装置の本体部2に対する回動角度θ2とアームAM2のアームAM1に対する相対的回動角度θ3とを制御することにより、旋回軸31の位置(+)が、旋回軸31に垂直な2次元平面内で制御できる。図30に示した移動機構34aも、旋回軸31に直交する2次元平面内で、旋回アーム(すなわち支持部)を被写体M1に対して相対的に移動させることができる。
このように、被写体M1におけるCT撮影領域CAをX線CT撮影するX線CT撮影装置1を、X線を発生するX線発生部10、X線発生部10から発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、CT撮影領域CAに対して照射するX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13、及び被写体M1に照射されたX線コーンビームBXを検出するX線検出部20を有する撮像機構と、X線発生部10とX線検出部20とを被写体M1を挟んで対向する状態で支持する旋回アーム30と、被写体M1に対して旋回アーム30を少なくとも旋回軸31の軸周りに旋回する旋回用モータ37を有する上部フレーム41と、少なくともX線発生部10、ビーム成形機構13、及び旋回用モータ37を有する上部フレーム41を制御する本体制御部60とを備え、旋回軸31の軸方向と平行な方向を縦方向とし、ビーム成形機構13を、CT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの縦方向の照射範囲を遮蔽して規制する縦方向遮蔽板14で構成し、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、縦方向遮蔽板14によって規制されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させるとともに、本体制御部60によって制御される遮蔽板縦方向移動機構16aを備えたことにより、適切に関心領域にX線を照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳述すると、例えば、旋回する旋回軸方向である高さが旋回方向において異なる関心領域である場合において、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを一定にしてX線CT撮影すると、X線コーンビームBXによるCT撮影領域CAが関心領域より広ければ、関心領域以外にもX線を照射してX線被曝量が無駄に増大するおそれがある。逆に、CT撮影領域CAが関心領域より狭ければ関心領域全体にX線を照射できないおそれがある。
これに対し、縦方向遮蔽板14によって規制されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりを、本体制御部60で遮蔽板縦方向移動機構16aを制御し、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合させることにより、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する遮蔽板縦方向移動機構16aを備えたことにより、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを、簡単な構造で調整し、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合することができる。
なお、CT撮影領域CAに対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽板14(14a,14b)を備え、各縦方向遮蔽板14をそれぞれ独立して遮蔽板縦方向移動機構16aで移動するため、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する縦方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAに対して縦方向にそれぞれ独立変位する複数の縦方向遮蔽板14を、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの縦方向の中心から縦方向に偏心させることで、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する縦方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が上顎や下顎の一部であるような局所的な関心領域であり、さらに局所的な関心領域がX線発生部10における照射方向から縦方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させることができる。
また、旋回用モータ37を有する上部フレーム41に、被写体M1に対して旋回軸31を相対移動する軸移動機構34を設け、被写体M1に対するX線発生部10の離間距離を軸移動機構34で調整することにより、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを、関心領域に対して適切な縦方向の高さであるCT撮影領域CAの形状に適合することができる。
また、本体制御部60は、X線発生部10がCT撮影領域CAに近づく場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを大きく、X線発生部10がCT撮影領域CAから遠ざかる場合にX線コーンビームBXの縦方向の広がりを小さく制御するため、遮蔽板縦方向移動機構16aで縦方向遮蔽板14を縦方向に移動したり、被写体M1に対するX線発生部10の離間距離を軸移動機構34で調整する場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させ、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、X線検出部20におけるX線検出器21を、旋回アーム30に対して相対移動する移動用機構23を備え、X線コーンビームBXの照射範囲に追従して移動用機構23を本体制御部60で制御することにより、X線検出部20を小型化することができる。
詳しくは、遮蔽板縦方向移動機構16aによりX線コーンビームBXの縦方向の広がりが調整されるため、X線検出部20における検出範囲が調整されたX線コーンビームBXの縦方向の広がりが異なる。特に、X線コーンビームBXの縦方向の照射方向が調整された場合、検出範囲の中心が変位する。
これに対して、X線検出部20を、旋回アーム30に対して相対移動する移動用機構23を備え、本体制御部60を、X線コーンビームBXの照射範囲に追従して移動用機構23を制御することにより、異なる検出範囲や変位する検出範囲にX線検出部20を追従させ、最大投影範囲を小型のX線検出部20で網羅することができる。したがって、最大投影範囲に大きさを合わせたX線検出部に比べ、X線検出部20を小型化することができる。よって、非常に高価な検出センサを要するX線検出部20を低コスト化できる。
また、X線発生部10からX線検出部20に向かって縦方向と直交する方向を横方向とし、ビーム成形機構13に、CT撮影領域CAに対してX線コーンビームBXの横方向の照射範囲を遮蔽して規制する横方向遮蔽板15を備え、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、横方向遮蔽板15によって規制されたX線コーンビームBXの横方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させる遮蔽板横方向移動機構16bを備えたことにより、適切に関心領域にX線を照射するとともに、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域CAを形成することができるため、無駄なX線被曝量を低減することができる。
詳述すると、旋回アーム30が旋回するX線CT撮影中において、横方向遮蔽板15によって規制されたX線コーンビームBXの横方向の広がりを、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による撮像機構の旋回位置に応じて、CT撮影領域CAの形状に適合させる遮蔽板横方向移動機構16bを備えることにより、旋回軸31に対して平面視旋回方向において径が一様でない関心領域や、旋回軸31に対して平面視において偏心した関心領域であっても、関心領域の形状に応じた所望の平面形状のCT撮影領域CAを形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができる。
なお、CT撮影領域CAに対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽板15(15a,15b)を備え、各左側横方向遮蔽板15aを、それぞれ独立して遮蔽板横方向移動機構16bで移動するため、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する横方向における照射方向を調整することができる。
詳しくは、CT撮影領域CAに対して横方向にそれぞれ独立変位する複数の横方向遮蔽板15を、X線発生部10から照射されたX線コーンビームBXの横方向の中心から横方向に偏心させることで、X線コーンビームBXのX線発生部10に対する横方向における照射方向を調整することができる。したがって、関心領域が旋回軸31から横方向に偏心している場合であっても、確実にCT撮影領域CAの形状を適合させることができる。
また、旋回用モータ37を有する上部フレーム41による旋回駆動に応じて、CT撮影領域CAが平面視略三角形状となるように、少なくとも横方向遮蔽板15を本体制御部60で制御することにより、横方向遮蔽板15を制御することで、CT撮影領域CAを関心領域の形状に応じて略三角形状に絞り込むことによって、無駄なX線被曝量を低減できるとともに、X線検出部20の検出範囲を小さくすることができる。
なお、平面視略三角形状に形成したCT撮影領域CAに、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3の全体が収まるように設定しているため、必要な部位を確実にX線CT撮影することができる。
また、平面視略三角形状を、3つの角部のうち少なくとも1つの角部が外側向きの凸状の弧によって丸みを有する形状に形成した場合、略半円形状(略半楕円形状を含む)の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状に適合することができ、無駄なX線被曝量を低減することができる。
また平面視略三角形状を、3辺のうち少なくとも1辺の中央部に外側向きに凸状の弧を有する形状に形成する場合、略半円形状の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
また、平面視略三角形状を、3辺のうち1辺の両側に、外側に張り出す張出部を備え、1辺に対向する頂部と、張出部とを曲線でつなぐとともに、頂部及び1辺の中央を通る対称軸に対して対称形状で形成する場合、略半円形状の撮影対象物OB2を含む関心領域である場合であっても、CT撮影領域CAを関心領域の形状により高精度に適合することができ、無駄なX線被曝量をさらに低減することができる。
また、本体制御部60を、ビーム成形機構13による規制範囲を変更し、CT撮影領域CAが平面視略三角形状を呈する略三角形状撮影領域X線CT撮影と、局所的CT撮影領域CAaのX線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成しているため、例えば、歯列弓の前歯T1、左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3が収まる平面視略三角形状や、臼歯だけの局所が収まる平面視楕円状のCT撮影領域CAを選択できるため、あらゆるX線CT撮影に対応でき、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性が高まる。
また、ビーム成形機構13による規制範囲を変更して形成したパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPを照射するとともに、旋回アーム30を旋回することにより、照射したX線細隙ビームBXPがパノラマX線撮影用軌跡を形成するように旋回用モータ37を有する上部フレーム41を制御することにより、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1によりX線細隙ビームBXPでパノラマX線撮影もできる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のCT撮影領域は、CT撮影領域CA、局所的CT撮影領域CAa及び三角CT撮影領域CAbに対応し、
以下同様に、
X線発生器は、X線発生部10の主な構成要素であるX線発生器10aに対応し、
X線コーンビームは、X線コーンビームBX、大照射野CT用X線コーンビームBX1及び小照射野CT用X線コーンビームBX2に対応し、
X線規制部は、ビーム成形機構13に対応し、
X線検出器は、X線検出部20の主な構成要素であるX線検出器21に対応し、
支持体は、旋回アーム30に対応し、
撮像機構駆動部は、旋回用モータ37を有する上部フレーム41に対応し、
制御部は、本体制御部60に対応し、
縦方向X線遮蔽手段及び縦方向遮蔽部材は、縦方向遮蔽板14及びL型遮蔽板18の一部に対応し、
縦方向調整手段、及び遮蔽手段縦方向移動手段は、遮蔽板縦方向移動機構16aに対応し、
旋回軸移動機構は、軸移動機構34及び移動機構34aに対応し、
X線検出器移動手段は、移動用機構23に対応し、
横方向X線遮蔽手段、及び横方向遮蔽部材は、横方向遮蔽板15及びL型遮蔽板18の一部に対応し、
横方向調整手段、及び遮蔽手段横方向移動手段は、遮蔽板横方向移動機構16bに対応し、
左右の両臼歯は、左側臼歯T2、右側臼歯T3に対応し、
平面視略三角形状のCT撮影領域は三角CT撮影領域CAbに対応し、
他形状撮影領域は、局所的CT撮影領域CAaに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
この場合、例えば、前述の大照射野CT用X線コーンビームBX1で三角CT撮影領域CAbを照射し、小照射野CT用の小照射野CT用X線コーンビームBX2で局所的CT撮影領域CAaを照射することができる。
例えば、撮影対象物OB2を第1の関心領域とし、第1の関心領域の全体を三角CT撮影領域CAbとする第1X線CT撮影と、第1の関心領域の一部の領域である局所的撮影対象物OB1を第2の関心領域を局所的CT撮影領域CAaとする第2X線CT撮影とのいずれかを選択制御可能に構成してもよい。
この場合、例えば、歯列弓の前歯T1、及び左右の左側臼歯T2、右側臼歯T3全体を第1の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域CAに対する第1X線CT撮影、臼歯だけの局所を第2の関心領域として平面視略三角形状のCT撮影領域CAに対する第2X線CT撮影を選択できるため、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性が高まる。
また、上述の説明においては、前歯T1、左側臼歯T2、右側臼歯T3と左右の顎関節部分まで含む歯列弓全体を撮影対象物OB2としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影する態様について説明したが、撮影対象物OB2とは範囲が異なる撮影対象物OB3である場合においてCT撮影領域を円形状とした場合と略三角形状とした場合とを比較して示す平面図である図31に示すように、歯列弓のうち前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3、並びに智歯T4を含む範囲を撮影対象物OB3としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影してもよい。
撮影対象物OB2に対する三角CT撮影領域CAbのCT撮影、撮影対象物OB3に対する三角CT撮影領域CAbのCT撮影、局所的CT撮影領域CAaのCT撮影のいずれも可能なように構成してもよい。
このように、智歯T4を含む撮影対象物OB3を従来のX線検出器21における検出面21aが小さなX線CT撮影装置でX線CT撮影する場合、CT撮影領域は、径が80mm程度の円柱状CT撮影領域CAr2となり、智歯T4が円柱状CT撮影領域CAr2に収まらず、撮影することができない。
これに対して、検出面21aを大きく形成することにより径が100mm程度となる円柱状CT撮影領域CAr1であれば、智歯T4が円柱状CT撮影領域CAr1に収まり、撮影することができる。
しかしながら、X線検出器21における検出面21aの部分は非常に高価であり、検出面21aを大きくすることによって、X線CT撮影装置のコストが増大することとなる。
これに対し、撮影対象物OB3を含む平面視略三角形状の三角CT撮影領域CAbを設定することにより、X線検出器21の検出面21aを大きくすることなく、智歯T4を含む撮影対象物OB3を確実に撮影することができる。また、円柱状CT撮影領域CAr1の内側であって、三角CT撮影領域CAbの外側のハッチングで示す部分に対して、余分なX線照射がされることなく、被曝線量を低減することができる。
さらにまた、上述の局所的CT撮影領域CAaでは、1本の左側臼歯T2Aを局所的撮影対象物OB1として、X線CT撮影装置1でX線CT撮影したが、対象範囲が異なる場合の局所的撮影対象物OB1を撮影する局所的X線CT撮影の概略平面図である図32に示すように、連続する臼歯T2や前歯T1等をまとめ、複数本を局所的撮影対象物OB1としてX線CT撮影してもよい。
また、局所的CT撮影領域CAaとして、図32に図示するような平面視円形のみならず、例えば、平面視楕円形状等の局所的撮影対象物OB1の形状に応じた形状であってもよい。
また、上述の説明においては、歯科領域である歯列弓を撮影対象物OBとして、X線CT撮影したが、顎間接のみを撮影対象物OBとしてX線CT撮影してもよい。さらには、歯科領域のみならず、手足や頭頸部等の局所をX線CT撮影してもよい。
1…X線CT撮影装置
10…X線発生部
13…ビーム成形機構
14…縦方向遮蔽板
15…横方向遮蔽板
16a…遮蔽板縦方向移動機構
16b…遮蔽板横方向移動機構
18…L型遮蔽板
20…X線検出部
23…移動用機構
30…旋回アーム
31…旋回軸
34…軸移動機構
34a…移動機構
37…旋回用モータ
41…上部フレーム
60…本体制御部
BX…X線コーンビーム
BX1…大照射野CT用X線コーンビーム
BX2…小照射野CT用X線コーンビーム
CA…CT撮影領域
CAa…局所的CT撮影領域
CAb…三角CT撮影領域
M1…被写体
T1…前歯
T2…左側臼歯
T3…右側臼歯