JP2016039736A - 可動電機、コイルの製造方法、電線 - Google Patents

可動電機、コイルの製造方法、電線 Download PDF

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Abstract

【課題】回転電機の軽量化及びコスト削減を可能とする。【解決手段】固定子3及び回転子2を備えた回転電機1であって、アルミ導体32、アルミ導体32上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜33、絶縁皮膜33を被覆する融着皮膜34、を備えたコイル線31が固定子3に巻回された固定子コイル30を有する。固定子コイル30は、加圧成形された外形状を有する空芯コイルであり、固定子鉄心22のティース部24に巻回する状態に装着される。【選択図】図5

Description

開示の実施形態は、可動電機、コイルの製造方法、電線に関する。
特許文献1には、回転軸を有する円筒形の回転子と、絶縁皮膜を持つ丸銅線を巻回した固定子コイルを備えた固定子と、を備えた回転電機が記載されている。
国際公開第2008/149649号公報
一般に、可動電機の固定子コイルには銅線が使用されるが、銅線は比重が大きいので、可動電機の軽量化を妨げる要因となりうる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、軽量化が可能な可動電機、コイルの製造方法、電線を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、固定子及び可動子を備えた可動電機であって、アルミ導体、前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜、前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜、を備えたコイル線が前記固定子又は前記可動子に巻回されたコイルを有する可動電機が適用される。
また、本発明の別の観点によれば、固定子及び可動子を備えた可動電機であって、前記可動子を移動可能に支持するブラケットと、少なくとも一部が前記ブラケットに絶縁体を介して接触し、前記ブラケットと主成分が同じ材質であるコイル線が前記固定子に巻回されたコイルと、を有する可動電機が適用される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、コイルの製造方法であって、アルミ導体、前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜、前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜、を備えたコイル線を巻き治具に巻回することと、巻回により形成された空芯コイルの表面をプレス治具で加圧成形することと、前記空芯コイルを加圧した状態で加熱して前記融着皮膜を溶融させることと、を有するコイルの製造方法が適用される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、アルミ導体と、前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜と、前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜と、を有する電線が適用される。
本発明の可動電機等によれば、軽量化が可能である。
一実施形態に係る回転電機の全体構成の一例を示す軸方向断面図である。 図1のA−A断面による横断面図である。 固定子コイルを環状に配列した際の外観の一例を表す斜視図である。 回転電機の組立方法の一例を表す説明図である。 コイルの製造方法の第1工程の一例を表す説明図である。 コイルの製造方法の第2工程の一例を表す説明図である。 コイルの製造方法の第2工程の一例を表す説明図である。 コイルの製造方法の第2工程の一例を表す説明図である。 コイルの製造方法の第2工程の一例を表す説明図である。 コイル製造時の各工程でのコイル線の状態の一例を表す説明図である。 比較例及び本実施形態の固定子コイルのコイル線の横断面形状の一例を表す説明図である。
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、可動電機等の構成の説明の便宜上、上下左右等の方向を適宜使用する場合があるが、可動電機等の各構成の位置関係を限定するものではない。
また、以下では説明の便宜上、可動電機が回転電機である場合を一例として説明するが、これに限定されるものではなく、可動電機はリニア型のモータや発電機等でもよい。なお、回転電機は回転型のモータや発電機を含む。
<1.回転電機の全体構成>
図1及び図2を用いて、実施形態に係る回転電機1の全体構成の一例について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の回転電機1は、回転子2と、固定子3と、フレーム5と、負荷側ブラケット6(ブラケットの一例に相当)と、負荷側軸受7と、反負荷側ブラケット8と、反負荷側軸受9と、シャフト10とを有する。
なお、本明細書において「負荷側」とは回転電機1に対して負荷が取り付けられる方向、すなわちこの例ではシャフト10が突出する方向(図1中右側)を指し、「反負荷側」とは負荷側の反対方向、すなわちこの例では回転電機1に対してエンコーダ12が配置される方向(図1中左側)を指す。
フレーム5は、円筒状の穴部5aを有し、この穴部5a内に固定子3が設けられる。負荷側ブラケット6は、フレーム5の負荷側に設けられる。負荷側ブラケット6及び反負荷側ブラケット8は、例えばアルミニウム合金で形成される。但し、他の金属材料で形成されてもよい。反負荷側ブラケット8は、フレーム5の反負荷側に設けられる。反負荷側ブラケット8及びフレーム5は、図示しないボルトにより負荷側ブラケット6に締結される。
負荷側軸受7は、負荷側ブラケット6に外輪が嵌合される。反負荷側軸受9は、反負荷側ブラケット8に外輪が嵌合される。シャフト10は、負荷側軸受7及び反負荷側軸受9により回転自在に支持される。シャフト10の反負荷側には、回転子2の回転位置を検出するエンコーダ12が設けられる。負荷側ブラケット6には、回転電機1の内部への異物の侵入を防ぐために、負荷側軸受7よりも負荷側にダストシール11が設けられる。
回転子2は、シャフト10の外周に固定される。回転子2は、穴部13を有する略円筒状の回転子鉄心14と、回転子鉄心14に複数(この例では10)の磁極毎に略V字状に埋設された複数の永久磁石15とを有する。回転子鉄心14の穴部13には、上記シャフト10が嵌合される。なお、回転子2が可動子の一例である。
固定子3は、回転子2の径方向外周側を磁気的空隙を空けて囲むように、フレーム5に固定される。固定子3は、複数(この例では12)のスロット21を周方向に配列した略円筒状の固定子鉄心22と、上記複数のスロット21に収容された複数の固定子コイル30とを有する。固定子コイル30は、樹脂17でモールドされたいわゆる空芯コイルである。固定子3の反負荷側には、固定子コイル30のコイル端が結線される結線部16が配置される。結線部16には、図示しないリード線を介し外部電源が接続されており、当該外部電源から結線部16を介して固定子コイル30への給電が行われる。なお、固定子コイル30がコイルの一例である。
固定子鉄心22は、フレーム5の内周面に沿って複数の分割コア23が全周にわたって配列されることによって、略円筒状に形成される。各分割コア23は、径方向内側にティース部24を備えている。隣り合う分割コア23,23のティース部24,24の間にスロット21が形成される。スロット21は、この例では内周側に向かって開口している。
なお、以上は一例であり、回転電機1の構成は図1及び図2に示す例に限定されない。例えば、回転子2において永久磁石15は回転子鉄心14に放射状に埋設されてもよいし、永久磁石15が回転子鉄心14の表面に固定されてもよい。また、固定子3のティース部24は、内周側先端が円筒状に連結されていてもよい。また、回転電機1は、図2に示す10ポール12スロット以外のスロットコンビネーションであってもよい。
<2.回転電機の組立方法>
次に、図3及び図4を用いて、回転電機1の製造方法の一例について説明する。図3に示すように、複数の固定子コイル30は、円筒状に配列される。各固定子コイル30は樹脂17によりモールドされ、一方の導体端部31a及び他方の導体端部31bが反負荷側に突出する。そして、図4に示すように、固定子コイル30の中空部30aに分割コア23のティース部24がそれぞれ挿入されて、分割コア23に固定子コイル30が装着される。また、複数の固定子コイル30の反負荷側端面に、例えば導体端部31a,31bを略軸方向に挿通させる導出孔16aを有する円板状の結線部16が取り付けられる。これにより、円筒状のコイル組立体30Aが組み立てられる。
そして、コイル組立体30Aの負荷側端部が、負荷側ブラケット6に設けられた環状の取り付け部6aの内側の円錐状の凹部6b(図1参照)に嵌合されることで、コイル組立体30Aが負荷側ブラケット6に取り付けられる。このとき、固定子コイル30のコイルエンド部30bの端面30b1は、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1と樹脂17(絶縁体の一例)を介して密着する(図1参照)。各固定子コイル30のコイルエンド部30bと負荷側ブラケット6との間には、樹脂17が介在する。なお、絶縁紙等の絶縁体を設けてもよい。負荷側ブラケット6に取り付けられたコイル組立体30Aは、フレーム5の穴部5aに挿入される。その後、反負荷側ブラケット8がフレーム5の反負荷側端部に取り付けられ、上述したように反負荷側ブラケット8及びフレーム5が、図示しないボルトにより負荷側ブラケット6に締結される。
<3.コイルの製造方法>
次に、図5〜図9を用いて、固定子コイル30の製造方法の一例について説明する。図5中の拡大図に示すように、固定子コイル30に使用するコイル線31(電線の一例)は、アルミ導体32と、アルミ導体32上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜33と、絶縁皮膜33を被覆する融着皮膜34とを備える。絶縁皮膜33はいわゆるアルマイト皮膜である。つまり、コイル線31は表面が融着皮膜34で被覆されたアルマイト電線とも言うことができる。融着皮膜34は例えばナイロンで構成される。固定子コイル30は、概略的には、上記コイル線31を巻き治具に巻回する第1工程と、この第1工程により得られた固定子コイル30の外形状を加圧成形する第2工程と、加圧成形された固定子コイル30を加圧下に加熱して融着皮膜34を溶融させる第3工程とによって、製造される。
(3−1.第1工程)
まず、第1工程として、固定子コイル30のコイル線31を巻き治具に巻回する。具体的には、図5に示すように、加圧成形治具を兼ねた巻き治具であるコアピン40に巻線上スペーサ42と巻線下スペーサ43とを所定間隔を空けて固定する。その後、コアピン40を成形治具であるダイ41に挿入して固定し、巻線上スペーサ42と巻線下スペーサ43との間で、コアピン40の周囲にコイル線31を巻き付けて周方向に巻回する。
なお、図5には、固定子コイル30を固定子鉄心22に装着したときの軸方向と直交する横断面を反負荷側より見た場合の巻回順序と位置を併せて示す。図5の上側が固定子コイル30の径方向外側、下側が固定子コイル30の径方向内側に相当する。コアピン40に巻回したコイル線31に示したX印は、反負荷側から負荷側に向かって巻回されるコイル線31を示し、コイル線31に示した数字は、負荷側から反負荷側に向かって巻回されるコイル線31の巻回順序を示す。この例では、コイル線31は、内側の層の巻数に対し外側の層の巻数が、各々1ターン以上少ないように巻回される。反負荷側コイルエンド以外の範囲ではコイル線31を完全整列巻きに巻回し、コイル線31の交差は全て、反負荷側コイルエンドで行う。そして、上述したように、固定子コイル30の導体端部31a,31bは、反負荷側コイルエンド部に設けられる。このようにすることにより、コイル線31を高速で整列巻きに巻回することができ、未成形の固定子コイル30を得ることができる。なお、図5に示すコイル線31の巻回態様は一例であり、これに限定されるものではない。
(3−2.第2工程)
次に、第2工程として、巻回により形成された空心コイルの表面をプレス治具で加圧成形する。具体的には、固定子コイル30の径方向内側及び外側の端面を円筒形状の一部を構成する曲面状のプレス治具で加圧成形し、固定子コイル30の周方向両側及び軸方向両側の端面を平面状のプレス治具で加圧成形する。この固定子コイル30の加圧成形の一例について図6〜図9を用いて説明する。
まず、図6及び図7に示すように、上記巻線上スペーサ42及び巻線下スペーサ43をコアピン40から除去し、コイル線31が巻回されたコアピン40を上パンチ44に取り付け、上パンチ44を受容する上記ダイ41の成形穴50にセットする。
成形穴50は、固定子コイル30の軸方向両側に対応する前側及び後側が開口した有底の穴である。この成形穴50は、穴形状が上記スロット21の形状に対応した略台形状を有する。つまり、成形穴50は、固定子コイル30の径方向内側の外形状を成形する径方向内側用の成形面50aと、固定子コイル30の周方向両側の外形状を成形する周方向用の1対の成形面50bとを備える。成形面50aは、円筒形状の一部を構成する曲面状であり、具体的には、固定子コイル30の径方向内側の外形状に対応した所定の曲率で湾曲した湾曲壁面である。1対の成形面50bは、平面状であり、具体的には、固定子コイル30の周方向両側の外形状に対応した傾斜で成形面50aの左右の辺から外開き状に立ち上がる傾斜壁面である。
上パンチ44は、固定子コイル30の径方向外側の外形状を成形する成形面53aを有する。成形面53aは、円筒形状の一部を構成する曲面状であり、具体的には、固定子コイル30の径方向外側の外形状に対応した所定の曲率で湾曲した湾曲壁面である。
未成形の固定子コイル30がダイ41の成形穴50にセットされたら、図6及び図7中白抜きの矢印に示すように、上パンチ44がダイ41に対し所定量下降される。上パンチ44が下降するにつれて、図8(a)に示すように、上パンチ44とダイ41とにより固定子コイル30の径方向両側の端面が押圧され、固定子コイル30の径方向両側の外形状が加圧成形される。また、固定子コイル30の周方向両側の端面が押圧され、固定子コイル30の周方向両側の外形状が加圧成形される。そして、図7に示す所定の外形線Sに至るまで上パンチ44が下降すると、図8(b)に示すように、固定子コイル30の径方向両側及び周方向両側の四面の外形状の加圧成形が終了し、固定子コイル30の四面の外形状がスロット21の形状に略合致する形状に成形される。
次に、図9に示すように、上パンチ44とダイ41との間に形成された前後両側の1対の開口55のうち、導体端部31a,31bが突出していない負荷側の開口55に対し、横パンチ54が図9中白抜きの矢印で示すように挿入される。横パンチ54は、固定子コイル30の負荷側の端面と接触する壁面が、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に対応した部分円錐面状の成形面に形成される。
ダイ41の開口55に挿入された横パンチ54が所定量前進されると、固定子コイル30の軸方向負荷側の端面が押圧され、固定子コイル30の負荷側の外形状が負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に対応した形状の端面となるように加圧成形される。これによって、固定子コイル30の外形状が固定子鉄心22のスロット21の内形状に合致するとともに、固定子コイル30の負荷側のコイルエンド部30bの外形状が負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に密着可能な端面30b1を有する形状に成形され、固定子コイル30の外形状の加圧成形が完了する。
(3−3.第3工程)
次に、第3工程では、以上の成形が完了した固定子コイル30を、加圧した状態で加熱して融着皮膜34を溶融させる。すなわち、例えば上述の成形治具に装着したまま加圧した状態下で、固定子コイル30の反負荷側端部より露出している導体端部31a,31b(図6等参照)からコイル線31のアルミ導体32に通電し、アルミ導体32の発熱により融着皮膜34を溶融して、隣り合ったアルミ導体32同士を融着皮膜34の熱融着により絶縁皮膜33上から接着固化する。その後、アルミ導体32同士が接着固化された固定子コイル30を熱硬化性等の上記樹脂17で樹脂モールドすることにより、完成品の固定子コイル30が得られる。
<4.コイル製造時の各工程でのコイル線の状態>
次に、図10(a)〜図10(c)を用いて、固定子コイル30の製造時の第1〜第3の各工程におけるコイル線31の状態の一例について説明する。なお、図10(a)〜図10(c)ではコイル線31を巻回したコアピン40の図示を省略する。
図10(a)に、第1工程において固定子コイル30をコアピン40に巻回した際の各コイル線31の断面状態の一例を示す。コイル線31の絶縁皮膜33は、アルミ導体32の表面を陽極酸化したアルマイト膜であり、一種のセラミックスからなる硬質な皮膜である。このため、図10(a)に示すように、コアピン40に巻回された各コイル線31には、曲げの曲率が大きくなる部分(例えばコアピン40の角部)の径方向外側で、絶縁皮膜33に引っ張りによるクラック36が発生する可能性がある。この場合、クラック36により隣り合う導体32間の絶縁性を損なう可能性がある。
図10(b)に、第2工程において固定子コイル30を加圧成形した際の各コイル線31の断面状態の一例を示す。固定子コイル30の外形状を成形する加圧成形により、巻回されたコイル線31は塑性変形される。その結果、図10(b)に示すように、絶縁皮膜33に生じたクラック36の大きさが拡張されたり、クラック36の数が増す可能性がある。この場合、隣り合う導体32間の絶縁性がさらに阻害される可能性がある。
図10(c)に、第3工程において固定子コイル30の融着皮膜34を溶融させた際の各コイル線31の断面状態の一例を示す。固定子コイル30を加圧下で加熱処理しコイル線31の融着皮膜34を溶融させると、図10(c)に示すように、溶融した融着樹脂が流動して融着皮膜34が薄膜化するが、流動した融着樹脂37がクラック36に充填されて絶縁皮膜33を補修するので、アルミ導体32間の絶縁性が保たれる。さらに、伝熱性の悪い融着皮膜34が薄膜化するので、伝熱性の良好な絶縁皮膜33が融着皮膜34をほとんど介在させずに残存した形態になる。このため、コイル線31間の伝熱が良好となり、固定子コイル30の内部で発生する熱を外表面に伝えて、固定子コイル30の外部に放熱しやすくなる。
<5.コイルのコイル線の断面形状>
次に、図11を用いて、固定子コイル30の各コイル線31の断面形状の一例について説明する。図11(a)は、比較例に係る固定子コイル30′の横断面の一例を示し、図11(b)は、本実施形態に係る固定子コイル30の横断面の一例を示す。図11(a)及び図11(b)中の符号Pは、例えばダイ41の成形面50bや横パンチ54の成形面を表しており、加圧成形により固定子コイル30(固定子コイル30′)の端面が実質的に平面状に形成されていることを示している。
図11(a)に示す比較例の固定子コイル30′は、一般的によく用いられるエナメル被覆銅線であるコイル線31′を巻回したコイルである。このコイル線31′は、銅導体32′と、エナメル皮膜33′とを備える。各コイル線31′は、加圧成形により丸形の断面が塑性変形した形状(例えば略矩形や略多角形等)となっている。比較例の固定子コイル30′では、銅は比較的硬度が高く(例えばHv硬度で60程度)硬いので、コイル線31′の加圧成形に大きな加圧力を要する。このため、図11(a)中に例えば符号Tで示す箇所のように、加圧成形中にエナメル皮膜33′が潰れる箇所が生じる可能性があり、その場合には巻線間の絶縁を確保できずにコイルとしての機能を失う可能性がある。このため、加圧の大きさと方法を繊細に管理することが必要になる。
一方、図11(b)に示す本実施形態の固定子コイル30では、アルミは比較的硬度が低く(例えばHv硬度で30程度)銅よりも軟らかいので、比較的小さな力で加圧成形することが可能となる。このため、図11(b)に示すように、加圧成形中に絶縁皮膜33の潰れ等が生じるのを防止して、絶縁皮膜33の厚みの変動を抑制できる。したがって、加圧の大きさや方法の管理が容易となる。また、前述のように、各コイル線31の融着皮膜34が溶融して生じた融着樹脂37の薄膜化により、コイル線31間の絶縁皮膜33同士の密着性を向上させ、伝熱性を良好に維持できる。
<6.実施形態の効果>
以上説明したように、回転電機1は、固定子3及び回転子2を備え、固定子3が、アルミ導体32、アルミ導体32上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜33、絶縁皮膜33を被覆する融着皮膜34、を備えたコイル線31を巻回した固定子コイル30を有する。これにより、次の効果を奏する。
一般に、回転電機の固定子コイルには銅線が使用されるが、銅線は比重が大きいので、回転電機の軽量化を妨げる要因となりうる。そこで、固定子コイルに、アルミ導体上に陽極酸化処理により絶縁皮膜を形成したアルマイト電線を使用することが考えられる。アルマイト電線はエナメル被覆銅線に比べて軽量且つ安価であることから、回転電機の軽量化及びコスト削減が可能である。しかしながら、アルマイト電線は柔軟性が低いので、コイル状に巻回すると絶縁皮膜にクラックが発生して絶縁皮膜としての機能を果たさない可能性がある。
本実施形態では、前述のようにコイル線31をコイル状に巻回した際に絶縁皮膜33にクラック36が発生しても、コイル線31が融着皮膜34を備えることにより、当該クラック36に融着皮膜34の一部(融着樹脂37)が入り込みクラック36を補修するので、コイル線31間の絶縁を保つことができる。したがって、エナメル被覆銅線(図11(a)の比較例のコイル線31′)に比べて軽量且つ安価なアルマイト電線を固定子コイルとして使用することが可能となるので、回転電機1を軽量化し、コストを削減できる。
また、本実施形態では特に、固定子コイル20は、加圧成形された外形状を有する空芯コイルである。これにより、次の効果を奏する。
すなわち、加圧により、熱伝導性の低い融着皮膜34は溶融時に移動して薄膜化し、熱伝導性の高い絶縁皮膜33が残存することとなるので、コイル線31間の伝熱を良好にでき、固定子コイル30の放熱性を向上できる。また、加圧成形により占積率を増大できるので、固定子コイル30の放熱性をさらに高めることができる。
また、例えば前述の比較例のようにコイル線31′にエナメル被覆銅線を使用する場合、銅線の硬度が高いことから加圧によりエナメル皮膜33′が損傷し、固定子コイル30′としての機能を失う可能性がある。このため、加圧の大きさと方法を繊細に管理するのが望ましい。一方、本実施形態のコイル線31であるアルマイト電線は銅線に比べて硬度が低いので、比較的小さな力で加圧成形することが可能となり、絶縁皮膜33の厚みの変形を抑制できる。したがって、加圧の大きさや方法の管理が容易となる。
また、本実施形態では特に、固定子3は、ティース部24を備えた固定子鉄心22を有し、固定子コイル30は、ティース部24に巻回する状態に装着される。これにより、加圧成形した固定子コイル30を用いて固定子3を構成できる。
また、本実施形態では特に、回転子2を回転自在に支持する負荷側ブラケット6をさらに有し、固定子コイル30は、加圧成形された端面30b1を備え負荷側ブラケット6に樹脂17を介して接触するコイルエンド部30bを有することにより、次の効果を奏する。
すなわち、加圧成形された端面30b1を負荷側ブラケット6に接触させることで、密着性が高まるので、固定子コイル30の熱をコイルエンド部30bから負荷側ブラケット6に伝熱させて速やかに放熱させることができる。その結果、電気抵抗が比較的大きなアルマイト電線を用いる場合でも、定格出力の低下を回避することができる。したがって、定格出力を低下することなく軽量化及びコスト削減が可能な回転電機1を実現できる。
また、本実施形態では特に、負荷側ブラケット6と、端面30b1が負荷側ブラケット6に接触する固定子コイル30のコイル線31とを、共に主成分を同じ材質とする。
これにより、固定子コイル30と負荷側ブラケット6との熱膨張による寸法変化をほぼ等しくすることができるので、回転電機1の温度変化によらずに固定子コイル30と負荷側ブラケット6との絶縁体(上記の例では樹脂17)を介した接触を維持し、固定子コイル30の熱を負荷側ブラケット6に伝熱させて速やかに放熱させることができる。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 回転電機(可動電機の一例)
2 回転子(可動子の一例)
3 固定子
6 負荷側ブラケット(ブラケットの一例)
17 樹脂(絶縁体の一例)
22 固定子鉄心
24 ティース部
30 固定子コイル(コイルの一例)
30b コイルエンド
30b1 端面
31 コイル線(電線の一例)
32 アルミ導体
33 絶縁皮膜
34 融着皮膜

Claims (10)

  1. 固定子及び可動子を備えた可動電機であって、
    アルミ導体、前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜、前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜、を備えたコイル線が前記固定子又は前記可動子に巻回されたコイルを有する
    ことを特徴とする可動電機。
  2. 前記コイルは、
    加圧成形された外形状を有する空芯コイルである
    ことを特徴とする請求項1に記載の可動電機。
  3. 前記固定子は、
    ティース部を備えた固定子鉄心を有し、
    前記コイルは、
    前記ティース部に巻回する状態に装着される
    ことを特徴とする請求項2に記載の可動電機。
  4. 前記可動子を移動可能に支持するブラケットをさらに有し、
    前記コイルは、
    前記加圧成形された端面を備え前記ブラケットに絶縁体を介して接触するコイルエンド部を有する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の可動電機。
  5. 固定子及び可動子を備えた可動電機であって、
    前記可動子を移動可能に支持するブラケットと、
    少なくとも一部が前記ブラケットに絶縁体を介して接触し、前記ブラケットと主成分が同じ材質であるコイル線が前記固定子に巻回されたコイルと、を有する
    ことを特徴とする可動電機。
  6. 前記ブラケットは、
    アルミニウム合金で構成され、
    前記コイル線は、
    アルミ導体と、
    前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜と、を有する
    ことを特徴とする請求項5記載の可動電機。
  7. 前記コイル線は、
    前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜を有する
    ことを特徴とする請求項6記載の可動電機。
  8. コイルの製造方法であって、
    アルミ導体、前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜、前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜、を備えたコイル線を巻き治具に巻回することと、
    巻回により形成された空芯コイルの表面をプレス治具で加圧成形することと、
    前記空芯コイルを加圧した状態で加熱して前記融着皮膜を溶融させることと、
    を有することを特徴とするコイルの製造方法。
  9. アルミ導体と、
    前記アルミ導体上に陽極酸化処理により形成された絶縁皮膜と、
    前記絶縁皮膜を被覆する融着皮膜と、を有する
    ことを特徴とする電線。
  10. 前記融着皮膜の一部が、
    前記絶縁皮膜に生じたクラックに充填されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の電線。
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