JP2016039066A - 全固体リチウム電池 - Google Patents

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Takeshi Tojigamori
健志 當寺ヶ盛
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Yasuhisa Iriyama
恭寿 入山
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ウエスト ウィリアム
宗主 本山
Muneyuki Motoyama
宗主 本山
陽祐 石井
Yosuke Ishii
陽祐 石井
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Abstract

【課題】電池抵抗が低減された全固体リチウム電池を提供する。【解決手段】正極集電体と、正極集電体の表面に設けられた正極層と、正極層の正極集電体とは反対側の表面を覆うとともに正極集電体と接触する炭素被膜と、炭素被膜の正極層とは反対側の表面に設けられた固体電解質層と、固体電解質層の炭素被膜とは反対側の表面に設けられた負極と、を備え、正極層にはLiを含む正極活物質が含まれ、炭素被膜の厚みが9nm以上18nm以下である、全固体リチウム電池とする。【選択図】図1

Description

本発明は全固体リチウム電池に関する。
安全性に優れる電池として固体電解質を用いた全固体リチウム電池が知られており、車載用電源等に適用すべく性能の向上が図られている。例えば、特許文献1には、正極活物質及び固体電解質材料の界面抵抗が大きく十分な容量が得られないといった問題を解決するために、正極活物質と固体電解質材料との界面に固体電解質材料の比誘電率よりも高い比誘電率を有する材料を配置する技術が開示されている。或いは、特許文献2には、全固体リチウム電池の正極活物質の結晶粒界に導電性を有する被覆層を形成することによりリチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う電子の授受をよりスムーズなものとする技術が開示されている。
尚、全固体リチウム電池ではなく、非水電解液電池に関する技術ではあるが、非特許文献1に、LiNi0.5Mn1.5を用いた正極材料にカーボンをコートすることで、SEI被膜の成長を抑制し、LiNi0.5Mn1.5のスピネル構造の分解を抑制して、放電容量及びサイクル特性を向上させる技術が開示されている。
特開2013−062133号公報 特開2012−243743号公報
特許文献1においては、全固体リチウム電池の正極活物質の界面抵抗について検討している。一方で、本発明者らの知見によれば、全固体リチウム電池においては、正極と固体電解質層との間の電位差によって正極層内に空間電荷層が形成され、正極層の界面近傍にリチウムイオンが集中してしまい、リチウムイオンのパスが防がれる結果、電池抵抗が増大する。例えば、高電圧を保持した場合において、電子伝導度やイオン伝導度が低い正極層では、集電体から離れている固体電解質層との界面近傍にホール、ドナー及びリチウムの濃淡を形成し、空間電荷層が出現すると考えられる。すなわち、全固体リチウム電池の電池抵抗をさらに低減するためには、正極活物質の界面抵抗そのものだけでなく、正極層内に形成される空間電荷層についても検討する必要がある。この点、従来の全固体リチウム電池にあっては電池抵抗を十分に低減できているとは言えなかった。
そこで本発明は、電池抵抗が低減された全固体リチウム電池を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意研究を進めたところ、正極層の表面にリチウムイオンの伝導を阻害しないような薄膜状の炭素被膜を形成し、且つ、炭素被膜と集電体とを接触させることで、高電圧を保持した場合においても、正極層全体の電位勾配を低減することができ、空間電荷層の出現や正極層の界面近傍におけるリチウムイオンの集中を抑制でき、結果として全固体リチウム電池の電池抵抗を大きく低減できることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明は、正極集電体と、正極集電体の表面に設けられた正極層と、正極層の正極集電体とは反対側の表面を覆うとともに正極集電体と接触する炭素被膜と、炭素被膜の正極層とは反対側の表面に設けられた固体電解質層と、固体電解質層の炭素被膜とは反対側の表面に設けられた負極と、を備え、正極層にはLiを含む正極活物質が含まれ、炭素被膜の厚みが9nm以上18nm以下である、全固体リチウム電池である。
本発明においては、正極集電体とは反対側の正極層表面に導電性を有する炭素被膜を設け、且つ、当該炭素被膜を正極集電体と接触させることで、正極層表面をショートさせて、正極層全体としての電位勾配を低減することができ、空間電荷層の出現を抑制することができる。すなわち、正極層の界面近傍でのリチウムイオンの集中を抑制でき、リチウムイオンが通過できる空のサイトが残されるため、界面近傍でのリチウムイオンの移動がスムーズとなる。それゆえ、本発明によれば、電池抵抗が低減された全固体リチウム電池を提供することができる。
一実施形態に係る本発明の全固体リチウム電池10について説明するための概略図である。 実施例1、2及び比較例1、2のCV試験結果を示す図である。 比較例3の電池構成を説明するための概略図である。 比較例4の電池構成を説明するための概略図である。
図1に一実施形態に係る本発明の全固体リチウム電池10を概略的に示す。図1に示すように、全固体リチウム電池10は、正極集電体1と、正極集電体1の表面に設けられた正極層2と、正極層2の正極集電体1とは反対側の表面を覆うとともに正極集電体1と接触する炭素被膜3と、炭素被膜3の正極層2とは反対側の表面に設けられた固体電解質層4と、固体電解質層4の炭素被膜3とは反対側の表面に設けられた負極5と、を備えている。
1.正極集電体1
正極集電体1は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、In等が挙げられる。正極集電体1の形状は特に限定されるものではなく、箔状、板状、メッシュ状等を適用できる。セラミックス等の基板上に上記の金属を含む層を積層したものであってもよい。
2.正極層2
正極層2は、正極集電体1の表面(少なくとも一方の面)に設けられる層である。正極層2には正極活物質が必須で含まれており、これに加えて、任意に、固体電解質、導電助剤やバインダー等が含まれていてもよい。
2.1.正極活物質
正極層2にはLiを含む正極活物質が含まれている。Liを含む正極活物質としては、全固体リチウム電池で使用可能な正極活物質を適宜用いることができる。中でも、Liを基準として4V以上に充放電領域を有する高電圧型の正極活物質が好ましい。より好ましくは、Liを基準として4.5V以上に充放電領域を有するものである。高電圧型の正極活物質を用いた全固体リチウム電池においては、正極層と固体電解質層との間に大きな電位ギャップが発生するため、正極層内に空間電荷層が形成され易い。この点、本発明では、後述するように所定の炭素被膜を設けることによって空間電荷層の発生を抑制している。
Liを含む正極活物質の一例としては、例えば、一般式LiM(Mは遷移金属元素の少なくとも一種である)で表されるスピネル型構造を有する化合物を挙げることができる。なお、上記一般式LiMのMは、遷移金属元素であれば特に限定されないが、例えばNi、Mn、Cr、Co、V、Tiからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、中でもNi、Mn、Crからなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。具体的には、LiCr0.05Ni0.50Mn1.45、LiCrMnO、LiNi0.5Mn1.5等を挙げることができる。また、Liを含む正極活物質の他の例としては、一般式LiMPO(Mは遷移金属元素の少なくとも一種である)で表されるオリビン型構造を有する化合物を挙げることができる。なお、上記一般式中のMは、遷移金属元素であれば特に限定されないが、例えばMn、Co、Ni、Vからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、中でもMn、Co、Niからなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。具体的には、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO等を挙げることができる。またLiを含む正極活物質の他の例としては、一般式LiMO(Mは遷移金属元素の少なくとも一種である)で表される層状構造を有する化合物を挙げることができる。具体的には、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.33Co0.33Mn0.33等を挙げることができる。また、上述した正極活物質以外の例としては、LiMnO−LiNi1/3Co1/3Mn1/3固溶体、LiMnO−LiNi0.5Mn1.5固溶体、LiMnO−LiFeO固溶体等を挙げることができる。本発明において用いられる正極活物質の形状は特に限定されないが、粉体状、粒子状、薄膜状が好ましい。正極層2における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上100%以下とすることが好ましい。
2.2.固体電解質
正極層2には、任意に、固体電解質を含有させることができる。例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が適用される。特に硫化物固体電解質が好ましい。具体的には、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiO−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P、LiPS等を挙げることができる。硫化物固体電解質は公知の製造方法で製造した硫化物固体電解質を適宜用いることができる。例えば、硫化物固体電解質を合成する際の出発原料は特に限定されず、その合成方法も、乾式のボールミル処理や、ヘプタン等の溶剤を用いる湿式のボールミル処理のほか、機械的エネルギーを付与することにより化学反応を進行させる他のメカノケミカル処理等を適宜用いることができる。また、硫化物固体電解質は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。また、硫化物固体電解質の形状についても特に限定されるものではなく、粉体状、粒子状、塊状のもの等を用いることができる。
2.3.正極活物質を被覆する層
正極層2に硫化物固体電解質を含ませる場合、正極活物質と硫化物固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極活物質は、イオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWO等を例示することができる。正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してれば良く、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する方法は、特に限定されず、公知の方法で、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆することができる。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。
2.4.その他の正極層材料
正極層2には、正極活物質等を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。バインダーについては全固体リチウム電池において用いられる公知のバインダーを適宜用いることができる。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。また、正極層2には、公知の導電助剤を適宜含ませることができる。正極層2に含有させることが可能な導電材としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、全固体リチウム電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。
正極層2は上記した材料を乾式で混合してプレス成形する方法(乾式法)、或いは、上記した材料を溶媒に分散させて正極集電体1の表面に塗布・乾燥する方法(湿式法)のいずれの方法によっても作製可能である。或いは、正極集電体1の表面に正極活物質からなる正極層2を物理気相蒸着法(例えば、PLD法)により製膜してもよい。このように、正極層2は公知の手法により容易に作製可能である。
3.炭素被膜3
炭素被膜3は、正極層2の正極集電体1とは反対側の表面を覆うとともに正極集電体1と接触する層である。炭素被膜3はその厚み(正極層2と固体電解質層3との間の厚み)が9nm以上18nm以下であることが重要である。炭素被膜3の厚みが小さ過ぎると、本発明による電池抵抗低減効果が得られず、また、炭素被膜3の厚みが大き過ぎると、リチウムイオンが拡散し難くなって、電池として動作できなくなる恐れもある。
炭素被膜3は正極集電体1と接触している必要がある。例えば、図1に示すように、炭素被膜3が正極層2の表面全体を覆うとともに正極層2の端部からはみ出すような形で、正極層2よりも外側において炭素被膜3と正極集電体1とを接触させる形態が挙げられる。ただし、炭素被膜3と正極集電体1との接触箇所は正極層2の外側に限られない。正極層2の内側に正極集電体1の露出部分を設けたうえで、当該露出部分と炭素被膜3とを接触させてもよい。
正極層2の表面を覆いつつ正極集電体1に接触させるように炭素被膜3を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、物理気相蒸着法(例えば、PLD法)によってそのような被膜を容易に形成可能である。この場合、炭素被膜3の厚みはPLD法における処理時間やレーザー出力等を調整することで容易に変更できる。
4.固体電解質層4
固体電解質層4は、炭素被膜3の正極層2とは反対側の表面に設けられる、リチウムイオン伝導性を有する層である。固体電解質層4には固体電解質が含まれている。例えば、上記したような硫化物固体電解質やリチウムイオン伝導性酸化物、或いは、リチウムイオン伝導性酸化物を一部窒化させたもの(酸窒化物)等が適用される。
固体電解質層4には上記したような固体電解質に加えて、さらにバインダーが含まれていてもよい。バインダーは全固体リチウム電池において用いられる公知のバインダーを用いることができる。具体例は上述した通りである。高出力化を図り易くするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層4を形成可能にする等の観点から、固体電解質層4に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。
固体電解質層4は、公知の方法によって容易に作製可能である。例えば、液体に上記の固体電解質等を分散して調整したスラリーを上記の炭素被膜3の表面に塗布・乾燥する過程を経て固体電解質層4を作製することができる。この場合、固体電解質等を分散させる液体としては、無極性溶媒等の各種有機溶媒を好ましく用いることができる。例えば、ヘプタン等が好ましい。或いは、上記の固体電解質等を乾式で混合してプレス成形する過程を経て固体電解質層4を作製することもできる。さらには、固体電解質をターゲットとしてRFマグネトロンスパッタ等によって炭素被膜3上に固体電解質の薄膜を蒸着してもよい。固体電解質層4の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
5.負極5
負極5は、固体電解質層4の炭素被膜3とは反対側の表面に設けられる。負極5は負極活物質を含む負極層と任意に負極集電体とを有する。
5.1.負極層
負極層に含有される負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb、LiTi12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、Si、及び、Sn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質としては、少なくともLiを含有する活物質であれば特に限定されず、Li金属であっても良く、Li合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Liと、In、Al、Si、及び、Snの少なくとも一種とを含有する合金を挙げることができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極層における負極活物質の含有量は、例えば40質量%以上99質量%以下とすることが好ましい。
負極層には、必要に応じて、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を含有させることができる。例えば、上述した硫化物固体電解質や酸化物固体電解質等である。全固体電池の性能を高めやすい形態にする等の観点から、固体電解質として硫化物固体電解質を用いることが好ましい。
負極層には、負極活物質等を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。バインダーや導電助剤の具体例については上述した通りである。
負極層は乾式法及び湿式法のいずれの方法によっても作製可能である。或いは、真空蒸着等によって固体電解質層4上に負極材料を製膜してもよい。このように公知の手法により負極層を作製可能である。
5.2.負極集電体
負極集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、In等が挙げられる。負極集電体の形状は特に限定されるものではなく、箔状、板状、メッシュ状等を適用できる。セラミックス等の基板上に上記の金属を含む層を積層したものであってもよい。
以上の通り、全固体リチウム電池10においては、正極集電体1とは反対側の正極層2の表面に導電性を有する炭素被膜3を設け、且つ、当該炭素被膜3を正極集電体1と接触させることで、正極層2の表面をショートさせて、正極層2全体としての電位勾配を低減し、空間電荷層の発生を抑制することができる。これにより、正極層2の界面近傍でのリチウムイオンの集中を抑制でき、リチウムイオンが通過できる空のサイトが残されるため、界面近傍でのリチウムイオンの移動がスムーズとなる。それゆえ、電池抵抗を低減することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明に係る全固体リチウム電池について詳述するが、本発明は以下の具体的な形態に限定されるものではない。
1.全固体リチウム電池の作製
1.1.正極(正極集電体及び正極層)の作製
Pt/Al基板上にLiNi0.5Mn1.5(LNMO)薄膜をPLD法により製膜した。製膜条件は、レーザー出力150mW、酸素雰囲気、圧力27Pa、温度700℃とした。LNMO薄膜の厚みは約60nmとした。
1.2.炭素被膜の作製
LNMO薄膜上に9〜55nmの炭素被膜をPLD法により製膜した(実施例1:厚み9nm、実施例2:厚み18nm、比較例1:炭素被膜なし、比較例2:55nm)。製膜条件は、レーザー出力150mW、真空中、室温とした。
1.3.固体電解質層の作製
LiPOをターゲットとし、RFマグネトロンスパッタにて窒素雰囲気中で、炭素被膜の上に固体電解質層としてLiPON薄膜を製膜した。LiPON薄膜の厚みは3μmとした。
1.4.負極の作製
金属リチウムを真空蒸着にて固体電解質層の表面に蒸着させて負極とした。負極の厚みは3μmとした。
このようにして図1に示されるような積層体を得た。得られた積層体を密閉型セルにアルゴン雰囲気下で封入して全固体リチウム電池とした。
2.評価方法
2.1.CV測定
作製した全固体リチウム電池に対してCV測定を行った。測定条件は以下の通りとした。
電圧範囲:3V〜5.25V
掃引速度:1mV/s
測定温度:25℃
2.2.抵抗測定
作製した全固体リチウム電池の抵抗を交流インピーダンス試験により測定した。測定条件は以下の通りとした。
振幅:25mV
測定温度:25℃
測定電位:4.7V
3.評価結果
3.1.CV測定結果
図2に、各電池のCV測定結果を示す。図2に示す結果から明らかなように、実施例1、2及び比較例1については、4.7V付近にLNMO由来の酸化電流と還元電流とが確認され、電池が適切に動作していた。一方、比較例2については、炭素被膜の厚みが大き過ぎたため、リチウムイオンが拡散できず、電池として適切に動作させることができなかった。
3.2.抵抗測定結果
下記表1に、各電池の抵抗測定結果を示す。
表1に示す結果から明らかなように、炭素被膜を有さない比較例1と比べて、9〜18nmと薄い炭素被膜を有する実施例1、2については、4.7Vでの電池抵抗が大きく低減された。これは、炭素被膜により正極集電体と正極層表面とをショートさせ、正極層内にできた空間電荷層を解消できたためと考えられる。すなわち、空間電荷層の解消によって界面近傍におけるリチウムイオンの集中を抑制でき、リチウムイオンの移動がスムーズとなった結果、電池抵抗が大きく低減されたと考えられる。一方、55nmと厚みの大きな炭素被膜を有する比較例2では、比較例1と比べて抵抗が大きく上昇してしまった。これは、炭素被膜によって空間電荷層を解消することができたとしても、炭素被膜の厚みが大き過ぎると正極層と固体電解質層との間のリチウムイオンの伝導を阻害してしまい、電池として適切に動作できなくなったためと考えられる。
4.補足実験
上記の実施例1、2及び比較例1、2では、正極層の表面に設けられた炭素被膜について検討した。以下、比較例3、4として、炭素被膜に替えて、正極層内の正極活物質粒子表面を炭素コートした場合について実験を行った。
遊星ボールミルで、正極活物質粒子上に炭素を1wt%コーティングし、活物質複合体とした。得られた活物質複合体とLiBO粉末とを、体積比率1:1で乳鉢を用いて混合し、これを固体電解質(LiLaZr12)の焼結体上に塗布し、650℃で焼成した。一方、金属リチウムを真空蒸着により固体電解質の焼結体上に真空蒸着により製膜し、負極とした。得られた積層体を密閉型セルにアルゴン雰囲気下で封入し、比較例3に係る全固体リチウム電池を得た。
比較例3と同様に、遊星ボールミルで正極活物質粒子上に炭素を1wt%コーティングし、活物質複合体とした。得られた活物質複合体をPt基板上に塗布・乾燥させて、正極とした。固体電解質層の作製以降の操作は実施例1と同様とし、比較例4に係る全固体リチウム電池を得た。
図3に比較例3に係る全固体リチウム電池110の構成を、図4に比較例4に係る全固体リチウム電池120の構成をそれぞれ示す。図3に示す通り、比較例3に係る全固体リチウム電池110は、炭素被膜3を備えておらず、且つ、炭素103で覆われた正極活物質粒子102とLiBO粒子106との混合物によって正極層が構成されている点で、実施例に係る全固体リチウム電池とは構成が異なる。また、図4に示す通り、比較例4に係る全固体リチウム電池120は、炭素被膜3を備えておらず、且つ、炭素103で覆われた正極活物質粒子102によって正極層が構成されている点で、実施例に係る全固体リチウム電池とは構成が異なる。
比較例3、4に係る全固体リチウム電池に対し、上述した測定方法と同様にして抵抗測定を行った。結果を下記表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、比較例3、4に係る全固体リチウム電池は、実施例1、2及び比較例1、2に係る全固体リチウム電池よりも抵抗値が上昇した。これは、正極活物質粒子の表面を炭素で覆った場合、活物質粒子間の接点にリチウムイオン伝導性の小さな炭素が介在することとなるため、正極層内のリチウムイオンの動きが阻害され、結果として抵抗値が大きくなったと考えられる。
本発明に係る全固体リチウム電池は、車載搭載用等の大型電源、電子機器搭載用の小型電源として広く利用可能である。
1 正極集電体
2 正極層
3 炭素被膜
4 固体電解質層
5 負極
10 全固体リチウム電池

Claims (1)

  1. 正極集電体と、
    前記正極集電体の表面に設けられた正極層と、
    前記正極層の前記正極集電体とは反対側の表面を覆うとともに前記正極集電体と接触する炭素被膜と、
    前記炭素被膜の前記正極層とは反対側の表面に設けられた固体電解質層と、
    前記固体電解質層の前記炭素被膜とは反対側の表面に設けられた負極と、
    を備え、
    前記正極層にはLiを含む正極活物質が含まれ、
    前記炭素被膜の厚みが9nm以上18nm以下である、
    全固体リチウム電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108288690A (zh) * 2017-01-09 2018-07-17 溧阳天目先导电池材料科技有限公司 一种锂固态电池负极及其制备方法和应用
CN110224107A (zh) * 2018-03-02 2019-09-10 上海汽车集团股份有限公司 一种固态电池用电极及其制备方法以及一种固态电池
US10756329B2 (en) 2017-10-30 2020-08-25 Seiko Epson Corporation Electrode for secondary battery, secondary battery, and electronic apparatus
US11411246B2 (en) 2018-12-06 2022-08-09 Samsung Electronics Co., Ltd. All-solid secondary battery and method of manufacturing all-solid secondary battery

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