JP2016037640A - 耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速切削工具適用時に優れた耐摩耗性、耐焼付き性を示しつつ、チッピングを発生しない靱性を備えた、窒化粉末高速度鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.8〜2.5%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Cr:3.0〜5.0%、Mo:2.0〜8.0%、W:3.0〜14.0%、V:2.0〜10.0%、Co:0〜10%、N:0.3〜1.5%を含有し、かつCeq値:0.1〜0.8、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、該鋼粉末を固化成形後、鍛造または圧延により熱間加工後、焼入、焼戻し、組織中の炭化物の平均粒径が4〜20μmであり、さらに、炭窒化物の平均粒径が2μm以下の範囲にあり、析出物の粒子間距離が10μm以下であることを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
【選択図】 なし

Description

本発明は、切削工具や金型等に使用される粉末高速度工具鋼およびその製造方法に関する。
従来、粉末高速度工具鋼は、微細な炭化物が析出するため溶製高速度工具鋼よりも靱性に優れる特長を持つ。また、更にNを添加し、炭窒化物を析出させ、粉末高速度工具鋼の緒性能(耐焼付き性)を更に向上させた、例えば特開昭61−6255号公報(特許文献1)に開示されているように、化学組成が質量%で、C:次式を満足する量(%)、Ceq+0.15≦C+12/14N≦Ceq+0.35、但し、Ceq=0.19+0.017(W+2Mo)+0.22V、上式において、N、W、Mo及びVは夫々鋼中の含有量(%)、Cr:3〜5%、Mo:8〜12%、W:8〜14%、V:4〜6%、Co:5〜15%、N:0.2〜1.2%、残部実質的にFeからなり、かつ(W+2Mo)が27〜32%である高硬度高靱性窒化粉末ハイスが提案されている。
また、特開2013−60617号公報(特許文献2)に開示されているように、質量%で、C:0.85〜1.20%、Si≦0.5%、Mn:≦0.5%、Cr:3.8〜6.0%、Mo:5.6〜8.0%、W:5.1〜8.0%、V:3.0〜6.0%、N:0.4〜1.5%を含有し、これらはC+N:1.25〜2.50%、Mo+W/2:8.3〜11.0%、および4.7(Mo+W/2)+1.4N−Cr−2.1Mn:≧32.5%を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼合金で、硬さが65HRC以上であることを特徴とする高靱性であり、耐食性、耐焼付き性に優れた窒化粉末高速度鋼が提案されている。
一方で、近年の切削工具に要求されるより高度な特性(例えば高速で切削を行う場合の特性)が求められた場合には、耐摩耗性や靱性が依然として不十分であり、更なる改善が求められている。上記耐摩耗性は一般的に組織中に析出する硬質の炭化物が大きいほど良好であるため、微細炭化物を有する粉末高速度工具鋼は、溶製高速度工具鋼よりも耐摩耗性に劣る場合があり、特にホブ、ブローチなどの高切削速度が要求される工具の適用時に寿命差が顕著となる。
また、窒化粉末高速度工具鋼は炭窒化物析出による耐焼付き性改善効果により、高速切削工具適用時の寿命は粉末高速度工具鋼よりも改善は見られるが、溶製高速度工具鋼よりも依然寿命は劣る。さらに、粉末高速度工具鋼の耐摩耗性改善方法として、電気製鋼、第58巻 第4号 251〜259頁 常陸美朝、松田幸紀著(非特許文献1)に、組織中の炭化物を多量に析出させたり大きくすることが報告されているが、過度に行うと靱性が低下し、耐チッピング性の観点から課題がある。
特開昭61−6255号公報 特開2013−60617号公報
電気製鋼、第58巻 第4号 251〜259頁 常陸美朝、松田幸紀著
上述した、特許文献1は成分(C,N,Cr,Mo,W,V)制御かつ窒素を含有させ炭窒化物を析出させることにより耐焼付き性を改善しているが、炭窒化物は微細のため高速切削適用時の耐摩耗性に劣る。また、特許文献2は成分制御により耐食性、耐焼付き性に優れた高靱性窒化粉末高速度鋼を得ているが、窒化物の平均粒径が1μm以下と微細であるため高速切削工具適用時に耐摩耗性に劣る。また、非特許文献1は粉末高速度鋼の炭化物粗大化による耐摩耗性、靱性の変化を検討している。ところが炭化物粗大化により耐摩耗性が向上するが、しかし靱性は低下すると言う問題がある。
上述したような問題を解消するために、鋭意開発を進めた結果、高速切削工具適用時に優れた耐摩耗性、耐焼付き性を示しつつ、チッピングを発生しない靱性を備えた、窒化粉末高速度鋼を提供することである。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.8〜2.5%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Cr:3.0〜5.0%、Mo:2.0〜8.0%、W:3.0〜14.0%、V:2.0〜10.0%、Co:0〜10%、N:0.3〜1.5%を含有し、かつCeq値:0.1〜0.8、残部Feおよび不可避的不純物からなる窒化粉末高速度工具鋼であって、焼入、焼戻し後の金属組織中の炭化物は平均粒径が4〜20μmであり、さらに、炭窒化物の平均粒径が2μm以下の範囲にあり、析出物の粒子間距離が10μm以下であることを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
但し、Ceq=(C%+N%)−{0.19+0.017(W%+2Mo%)+0.22V%}
(2)前記(1)に記載の鋼粉末を、1200〜1300℃の温度域でHIPで固化成形を行った後、熱間で塑性加工をし、その後、焼入、焼戻して金属組織中の炭化物を平均粒径で4〜20μm、さらに、炭窒化物の平均粒径を2μm以下の範囲とし、析出物の粒子間距離を10μm以下とすることを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼の製造方法。
(3)前記(2)の製造方法で、1100〜1200℃未満の温度域でHIPで固化成形の後、1200〜1300℃の温度域で2〜6時間の高温保持熱処理をした後、熱間で塑性加工することを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼の製造方法にある。
以上述べたように、本発明によりホブ・ブローチなど高速切削用途時の耐摩耗性および耐焼付き性を示しつつ、チッピングを発生しない靱性を備えた、窒化粉末高速度鋼、およびこうした高速度工具鋼の製造方法を提供することが出来る。
以下、本発明について詳細に説明する。
耐摩耗性を改善するには、熱処理で高温保持を行い硬質の析出物(窒化粉末高速度工具鋼では、炭化物、炭窒化物が析出)を粗大化させることが有効であるが、熱処理等で析出物を大きくすると析出物が互いに凝集して成長していくため、耐摩耗性は向上するが、析出物の個数が減少し、析出物同士の距離、すなわち、粒子間距離が長くなる。析出物粒子間距離が長くなると、高速切削工具母材として使用時に析出物と相手材よりも、母相と相手材が接触をする機会が多くなり、素地ごと脱落、すなわち、チッピングが発生し、工具寿命が短くなってしまう。また、析出物の粗大化過程で微細析出物が消失すると、2μm以下の微細な析出物は、焼入れ焼戻し時に結晶粒の粗大化をピン止めして抑制する効果があるため、焼入れ焼戻し時に結晶粒が粗大化しやすく靱性の低下が起こると考えた。本発明では、硬質析出物径、析出物粒子間距離を制御した鋼を得ることを図った。
窒化粉末高速度工具鋼は、炭化物、炭窒化物の2種類の析出物が析出するが、通常は炭化物および炭窒化物の平均粒径は共に約2μm以下である。本発明ではそれぞれの析出物サイズの制御を行い、炭化物は4〜20μmと粗大化させる一方で、炭窒化物は2μm以下を微細に保ち、粗大炭化物と微細炭窒化物が混在する組織とすることで、粗大化した炭化物は耐摩耗性向上に寄与し、微細炭窒化物は結晶粒ピン止め効果による靱性向上および析出物粒子間距離を短くし、工具使用時の母相との接触抑制効果により靱性(耐チッピング性)が保たれ、結果として耐摩耗性と靱性(耐チッピング性)に優れた鋼が得られることを見出した。
炭化物と炭窒化物サイズをそれぞれ上記範囲に制御する方法としては、HIP成形温度を1200℃〜1300℃、好ましくは1220℃〜1260℃とする(通常の粉末ハイスのHIP成形温度は1100〜1150℃)。もしくはHIP固化成形体に対して1200〜1300℃、好ましくは1220℃〜1260℃、2〜6時間程度の高温保持熱処理(ソーキング)を行う。上記処理で炭化物、炭窒化物が制御できる理由としては、炭化物と炭窒化物では粗大化開始温度の差があり(炭窒化物は炭化物より安定で粗大化開始温度が高い)、1200℃から1300℃の温度域で保持した場合、炭化物は優先して粗大化(成長)、炭窒化物は殆ど粗大化(成長)せず微細なままに保たれる。本発明では本現象を利用して硬質析出物の制御を行った。
以下、本発明に係る限定理由について説明する。
C:0.8〜2.5%
Cは、硬さ、焼入性を得るために必要な元素で、炭化物の析出に必須である。しかし、0.8%未満ではその効果が十分でない。また、2.5%を超えると、粗大すぎる炭化物を形成し靱性を悪化させることから、その範囲を0.8〜2.5%とした。
Si:0.1〜1.0%
Siは、脱酸剤であり、基地の硬さを得るために必要な元素である。しかし、0.1%未満では、その効果が十分に得られず、1.0%を超えると靱性と加工性が悪化することから、その範囲を0.1〜1.0%とした。
Mn:0.1〜1.0%
Mnは、脱酸剤であり、焼入性を得るために必要な元素である。しかし、0.1%未満では、その効果が十分に得られず、1.0%を超えるとマトリックスを脆化させ靱性、熱間加工性が悪化することから、その範囲を0.1〜1.0%とした。
Cr:3.0〜5.0%
Crは、耐焼付き性、焼入性を得るために必要な元素である。しかし、3.0%未満ではその効果が十分でない。また、5.0%を超えると靱性、熱間加工性が悪化することから、その範囲を3.0〜5.0%とした。
Mo:2.0〜8.0%
Moは、炭化物を形成し、焼入性、硬さおよび耐摩耗性を与え、かつ焼戻し軟化抵抗性を得るために必要な元素である。しかし、2.0%未満ではその効果が十分でない。また、8.0%を超えると靱性、熱間加工性が悪化することから、その範囲を2.0〜8.0%とした。
W:3.0〜14.0%
Wは、Moと同様に、炭化物を形成し、焼入性、硬さおよび耐摩耗性を与え、かつ焼戻し軟化抵抗性を得るために必要な元素である。しかし、3.0%未満ではその効果が十分でない。また、14.0%を超えると靱性、熱間加工性が悪化することから、その範囲を3.0〜14.0%とした。
V:2.0〜10.0%
Vは、硬さ、耐焼付き性および靱性を得るために必要な元素であり、VNもしくはVCNとなり、炭窒化物を析出させ耐摩耗性、耐焼付き性を向上させる。しかし、2.0%未満ではその効果が十分でない。また、10.0%を超えると靱性、被削性が悪化することから、その範囲を2.0〜10.0%とした。
Co:0〜10.0%
Coは、耐熱性、耐摩耗性、耐焼戻し軟化抵抗性を得るために必要な元素である。本元素を含まなくても本発明の効果は得られるが、高速切削用途の工具鋼では、使用時の温度上昇から耐熱性、耐焼戻し軟化抵抗性が特に重要となるため、含有することが好ましい。しかし、10.0%を超える添加は炭化物の偏析や脱炭を促進することから、その範囲を0〜10.0%とした。
N:0.3〜1.5%
Nは、炭窒化物を析出させるために必須の元素である。NはVと結合してバナジウム系窒化物を形成し、硬さ、耐焼付き性を向上させる。しかし、0.3%未満ではその効果が十分でない。また、1.5%を超えると靱性が低下するので、その範囲を0.3〜1.5%とした。好ましくは0.4〜1.0%とする。
Ceq値を0.1〜0.8
ただし、Ceq=(C%+N%)−{0.19+0.017(W%+2Mo%)+0.22V%}
Ceq値は、炭素および窒素量と合金元素添加量のバランスを示す値で、炭化物、炭窒化物を析出させ、硬さ、焼入れ性、耐焼付き性を確保するために制御する必要がある。しかし、0.1未満では効果が十分でなく、0.8を超えると靱性が低下するので、その範囲を0.1〜0.8とした。好ましくは0.2〜0.6とする。
炭化物の平均粒径:4〜20μm
炭化物の平均粒径は、耐摩耗性を得るために必要な条件である。しかし、4μm未満では効果が十分でなく、20μmを超えると靱性が低下し、チッピングが発生するので、その範囲を4〜20μmとする。好ましくは5〜15μmとする。
炭窒化物の平均粒径:2μm以下
炭窒化物の平均粒径は、結晶粒を微細に保ち靱性を確保するために必要な条件である。しかし、2μmを超えると焼入れ焼戻し時に結晶粒が粗大化し靱性が低下する。したがって、2μm以下とした。好ましくは1.5μm以下とする。
析出物の粒子間距離:10μm以下
析出物の粒子間距離は、10μmを超えると析出物同士の距離が長くなることにより工具使用の際に母相に直接接触する機会が多くなり、素地が抉られ易くチッピングが発生することから、その上限を10μmとした。好ましくは5μmとする。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1の窒素以外の成分組成の金属粉末をガスアトマイズ法で作製し、500μm以下の篩目にて分級し、窒素雰囲気中で加熱保持し窒素を含有させる。この合金粉末をHIP条件にて焼結し、その後、大気炉で保持熱処理を行ったものと、HIP成型ままの固化成形体を作製した。それを約1075℃に加熱して30mm径に鍛造加工した後1190℃焼入れてから560℃で3回焼き戻し処理を行った。この焼入れ焼戻しした状態の鋼に対して以下の調査を行った。耐摩耗性、靱性の評価は、上記の熱処理品をホブへ加工し、このホブを使って切削加工を施すことにより評価した。
耐摩耗性、靱性は、被削材としてSCM415を用い、乾式で1分当たりの切削速度が300mの切削速度で1時間切削した時の摩耗量により評価した。汎用窒化粉末高速度工具鋼(表No.10)を1として摩耗量を比較を行い耐摩耗性を評価した。また、その時のチッピングの有無で靱性を評価した。その結果を表1に示す。
組織中の析出物は、縦20mm、横20mm、長さ10mmの角棒を切出し、湿式研磨、SEM観察を行い、組織を1000倍の組成像写真を基に、100μm2 の範囲内に存在する炭化物、炭窒化物を画像解析ソフトを用いて、それぞれの平均粒径、析出物の粒子間距離を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2016037640
表1に示すように、No.1〜9は本発明例であり、No.10〜15は比較例である。
表1に示すように、比較例No.10は、成分組成が汎用窒化粉末高速度鋼であり、炭化物の平均粒径が小さいために耐摩耗性が劣る。比較例No.11は、成分組成においてC、Cr、V含有量が高いために靱性が低下し、かつ炭化物の平均粒径、および炭窒化物の平均粒径が大きく、析出物の粒子間距離が長いために、チッピングが発生する。比較例No.12は、成分組成においてSi含有量が高く、W、V含有量が低く、Ceq値が大きく、かつ炭化物の平均粒径が小さいために耐摩耗性が劣る。
比較例No.13は、成分組成においてC、Ceq値が低く、Mnが高く、かつ炭化物の平均粒径が小さいために耐摩耗性が劣る。比較例No.14は、成分組成においてC,Mo、W,Co、N含有量が高く、Ceq値が大きく、かつ炭化物の平均粒径が20μm以上と大きいために、靱性が劣り、また炭窒化物の平均粒径が大きく、析出物の粒子間距離が長いためにチッピングが発生した。比較例No.15は、成分組成においてCr、Mo、N含有量が低く、Ceq値が小さく、かつ炭化物の平均粒径が小さいために、耐摩耗性が劣る。
これに対して、本発明であるNo.1〜9は、いずれも成分組成、炭化物の平均粒径、炭窒化物の平均粒径、析出物の粒子間距離を満足していることから、4μm以上の炭化物が耐摩耗性に寄与し、2μm以下の炭窒化物が焼入れ焼戻し時の結晶粒粗大化抑制(靱性の向上)および析出物の粒子間距離が10μm以下で工具使用時の母相との接触を防ぎ、チッピング性を抑制することが分かる。
以上述べたように、本発明による高速切削用途の粉末高速度鋼の成分組成と組織中の炭化物を適切に制御することにより、チッピング性と耐摩耗性を兼ね備えた窒化粉末高速度工具鋼を提供することができる極めて優れた効果を奏するものである。


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.8〜2.5%、
    Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.1〜1.0%、
    Cr:3.0〜5.0%、
    Mo:2.0〜8.0%、
    W:3.0〜14.0%、
    V:2.0〜10.0%、
    Co:0〜10%、
    N:0.3〜1.5%
    を含有し、かつCeq値:0.1〜0.8、残部Feおよび不可避的不純物からなる窒化粉末高速度工具鋼であって、焼入、焼戻し後の金属組織中の炭化物は平均粒径が4〜20μmであり、さらに、炭窒化物の平均粒径が2μm以下の範囲にあり、析出物の粒子間距離が10μm以下であることを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
    但し、Ceq=(C%+N%)−{0.19+0.017(W%+2Mo%)+0.22V%}
  2. 請求項1に記載の鋼粉末を、1200〜1300℃の温度域でHIPで固化成形を行った後、熱間で塑性加工をし、その後、焼入、焼戻して金属組織中の炭化物を平均粒径で4〜20μm、さらに、炭窒化物の平均粒径を2μm以下の範囲とし、析出物の粒子間距離を10μm以下とすることを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼の製造方法。
  3. 請求項2の製造方法で、1100〜1200℃未満の温度域でHIPで固化成形の後、1200〜1300℃の温度域で2〜6時間の高温保持熱処理をした後、熱間で塑性加工することを特徴とする耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼の製造方法。
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