JP2016037550A - ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法 Download PDF

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裕志 藤原
鈴木 孝生
Kosei Suzuki
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Hiroyuki Kiso
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Abstract

【課題】臭気問題、変色問題、毒性、環境問題を引き起こすことなく、耐久物性が良好なポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができる触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂製造方法の提供。【解決手段】式(1)で表されるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)とを含有するポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物を用いて、ポリウレタン樹脂を製造する方法。[R1及びR2は各々独立にH、C1〜4のアルキル基、水酸基、ヒドロキシメチル基、又はC1〜4のアルコキシ基;mは1又は2。]【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
ポリウレタン樹脂は、通常、ポリオールとポリイソシアネートとを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、難燃剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造される。ポリウレタン樹脂の製造には、数多くの金属系化合物や第3級アミン化合物を触媒として使用される。これらは単独での使用又は併用することにより工業的に多用されている。
発泡剤として水、低沸点有機化合物、又はそれらの両方を用いるポリウレタンフォームの製造においては、生産性、成形性に優れることから、これら触媒のうち、とりわけ第3級アミン化合物が広く用いられている。このような第3級アミン化合物としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(TEDA)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン等が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。金属系化合物は、例えば、有機スズ化合物等の有機金属化合物がよく用いられるが、生産性、成形性が悪化するとともに、金属系触媒の中には鉛、錫、水銀等の重金属を含むものがあり、製品中に残った重金属による毒性問題や環境問題が懸念されることから、ほとんどの場合、第3級アミン触媒と併用されることが多く単独での使用は少ない。
これらのうち、第3級アミン化合物は、ポリウレタン製品から揮発性のアミンとして徐々に排出され、例えば、自動車内装材等では揮発性アミンによる臭気問題や他の材料(例えば、表皮塩ビ)の変色問題を引き起こす。また、第3級アミン触媒は、一般に臭気が強く、ポリウレタン樹脂製造時の作業環境が著しく悪化する。これらの問題を解決する方法として、上記した揮発性の第3級アミン触媒に替えて、分子内にポリイソシアネートと反応しうるヒドロキシ基や1級及び2級のアミノ基を有するアミン触媒(以下、反応型触媒と称する場合がある。)や、第3級アミノ基を分子内に有する2官能の架橋剤を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献5参照)。
上記の反応型触媒を使用する方法は、ポリイソシアネートと反応した形でポリウレタン樹脂骨格中に固定化されるため上記問題を回避できるとされている。この方法は、確かに、最終樹脂製品の臭気低減には有効であるが、これらの反応型触媒は樹脂化反応(ポリオールとイソシアネートとの反応)の活性が劣るため、硬化性が低下する問題がある。
また、上記の架橋剤を使用する方法は、最終樹脂製品の臭気低減及びポリウレタン樹脂製造時の作業環境を改善には有効であるが、ポリウレタン樹脂の硬度等の物性が不充分である。
本件出願人は、これらの課題を解決できる触媒組成物について、既に特許出願している(例えば、特許文献6〜7参照)。しかしながら、これらの触媒組成物は、ポリイソシアネートと反応するため、樹脂の高分子量化を阻害し、最終ポリウレタン樹脂製品の耐久物性(耐候性)が充分ではないという課題があった。
特開昭46−4846号公報 特公昭61−31727号公報 特許第2971979号明細書 特開昭63−265909号公報 特開2008−45113号公報 特開2010−37488号公報 特開2010−106192号公報
岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社 p.118
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、臭気問題や他の材料の変色問題、毒性、環境問題を引き起こすことなく、耐久物性(耐候性)が良好なポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリウレタン樹脂製造用触媒として、特定のアミン化合物と特定のジオール化合物を用いると臭気問題や他の材料の変色問題、毒性、環境問題を引き起こすことなく、耐久物性が良好なポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりのポリウレタン樹脂製造用触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
[1]下記一般式(1)
Figure 2016037550
[上記一般式(1)中、R、Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ヒドロキシメチル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。mは1又は2である。]
で表されるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)とを含有するポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物[但し、上記一般式(1)で示される化合物に光学活性体、ジアステレオマー、幾何異性体が存在する場合は、それぞれの混合物及びそれらが単離された異性体の双方を包含する。]。
[2]ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)が、下記一般式(2)で表される構造であることを特徴とする上記[1]に記載の触媒組成物。
Figure 2016037550
[上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立して炭素数1〜4のアルキレン基を表す。a、b、cの合計は3〜30である。]
[3]アミン化合物(A)に対するポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の使用量が、[ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)]/[アミン化合物(A)](重量比)として、90/10〜10/90の範囲であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の触媒組成物。
[4]さらに、下記一般式(3)
Figure 2016037550
[上記一般式(3)中、R、R、Rは、各々独立して炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Zはヒドロキシル基又はアミノ基を表す。x、yは、各々独立して1〜4である。]
で表されるアミン化合物(C)を含有することを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の触媒組成物。
[5]アミン化合物(C)が、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、及びN−(3−アミノプロピル)−N,N’,N’−トリメチル−2,2’−オキシビス(エチルアミン)からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記[4]に記載の触媒組成物。
[6]アミン化合物(A)に対するアミン化合物(C)の使用量が、[アミン化合物(C)]/[アミン化合物(A)](重量比)として、80/20〜1/99の範囲であることを特徴とする上記[4]又は[5]に記載の触媒組成物。
[7]ポリオール類とポリイソシアネート類とを、上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の触媒組成物の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
[8]上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の触媒組成物中に含まれるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の量が、ポリオール類100重量部に対して、アミン化合物(A)が0.03〜9重量部の範囲、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)が0.05〜15重量部の範囲であることを特徴とする上記[7]に記載の製造方法。
[9]上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の触媒組成物中に含まれるアミン化合物(A)、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)、及びアミン化合物(C)の量が、ポリオール類100重量部に対して、アミン化合物(A)が0.03〜9重量部の範囲、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)0.05〜15重量部の範囲、アミン化合物(C)が0.02〜6重量部の範囲であることを特徴とする上記[7]に記載の製造方法。
本発明の触媒組成物は、臭気問題や他の材料の変色問題、毒性、環境問題を引き起こす
ことなく、耐久物性(耐候性)が良好なポリウレタン製品を生産性、成形性良く得ること
ができるため、ポリウレタン樹脂の製造に好適に使用することができる。
実施例及び比較例において、ライズタイムを測定する方法を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物は、上記一般式(1)で示されるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)とを含有することをその特徴とする。
本発明において、上記一般式(1)で示される化合物に光学活性体、ジアステレオマー、幾何異性体が存在する場合は、上記一般式(1)で示される化合物には、それぞれの混合物及びそれらが単離された異性体の双方が包含される。
上記一般式(1)において、置換基R、Rは上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、水素原子、水酸基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基)等を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシ基である。
本発明において好ましいアミン化合物(A)としては、例えば、上記一般式(1)において、置換基R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシメチル基を表す化合物(但し、RとRが全て同じ置換基を表すことはない)、上記一般式(1)において、置換基R、Rの全てが水素原子である化合物等が挙げられる。上記式(1)において、置換基R、Rの全てが水素原子である化合物は、ポリウレタン樹脂製造における触媒活性上も好ましい。
上記一般式(1)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2016037550
上記一般式(1)で示されるアミン化合物の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、ジヒドロキシアルキルピペラジン類の環化反応により製造することができる(例えば、特開2010−37325号公報参照)。
上記一般式(1)で示されるアミン化合物の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenil,10,1404(1980)、国際公開第95/18104号パンフレット等に記載の方法により製造可能である。また、Journal of Medicinal Chemistry(1993),36(15),2075−2083や、特開2010−120887号公報に記載の方法等によって誘導されるヒドロキシアルキルピペラジン類のエチレンオキサイド付加物を分子内環化することによっても製造可能である。更には、例えば、特開2010−37325号公報に記載の方法、すなわちジヒドロキシアルキルピペラジン類の環化反応により製造することができる。
置換基を有する上記式(1)で示されるアミン化合物の製造方法については、対応する置換ピペラジンを使用することで製造可能である。置換ピペラジンの製造方法は、上記したヒドロキシアルキルピペラジン類の合成に関する公知技術等によって製造可能である。
本発明の触媒組成物において、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)としては、特に限定するものではないが、上記一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
上記一般式(2)において、R、R、Rは上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、それぞれ独立して、例えば、エチレン基、イソプロピレン基、sec−ブチレン基を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、エチレン基、イソプロピレン基である。
上記のポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の数平均分子量は好ましくは200〜4000の範囲であり、より好ましくは300〜2000の範囲である。数平均分子量が200未満になると、得られたポリウレタン樹脂の柔軟性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が4000を超えると、イソシアネートとの反応が著しく遅くなり、製造に長時間を要するばかりでなく、混合溶液の粘度が高くなり、ポリウレタン樹脂の製造において操作性が悪化する場合がある。
上記のポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、グリセリンへのアルキレンオキシド類の付加方法が挙げられる。ここで、アルキレンオキシド類としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられる。
上記のポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)としては、具体的には、アルドリッチ社製の商品名:グリセロールエトキシレート、ダウ社製の商品名:TPEG990、TPEG500、BASF社製の商品名:Lutron WF20D、日油社製の商品名:ポリオキシエチレングリセリン、新日本理化社製の商品名:コニオンRG−30、コニオンRG−120、青木油脂社製の商品名:ブラウノンGL−3、ブラウノンGL−20、ブラウノンGL−26として市販されているものが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
ここで、グリセロールエトキシレートは、上記一般式(2)において、R、R、Rがエチレン基であるポリオキシアルキレングリセリルエーテル(数平均分子量1000)であり、TPEG990は、上記一般式(2)において、R、R、Rがエチレン基であるポリオキシアルキレングリセリルエーテル(数平均分子量990)であり、TPEG500は、上記一般式(2)において、R、R、Rがエチレン基であるポリオキシアルキレングリセリルエーテル(数平均分子量500)である。
本発明において、アミン化合物(A)に対するポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の使用量、すなわち、[ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)]/[アミン化合物(A)](重量比)は、特に限定するものではないが、通常90/10〜10/90の範囲であり、好ましくは70/30〜30/70の範囲であり、更に好ましくは85/15〜15/85の範囲である。ここで、[ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)]/[アミン化合物(A)](重量比)が90/10を超える場合には、得られるフォームの硬度が低下するおそれがあり、一方、10/90未満の場合には、得られるフォームの耐久物性が低下するおそれがある。
本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物は、本発明の上記したアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)を含有すればよく、それ以外の成分は特に必要とされない。ただし、本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物は、耐久物性(耐候性)をさらに向上させるために、上記一般式(3)で表されるアミン化合物(C)を併用しても良い。
上記一般式(3)において、置換基R、R、Rは上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
また、上記一般式(3)において、置換基Rは上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基である。
さらに、上記一般式(3)において、x、yは上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、好ましくは2又は3である。
本発明の触媒組成物において、アミン化合物(C)としては、例えば、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、N−(3−アミノプロピル)−N,N’,N’−トリメチル−2,2’−オキシビス(エチルアミン)が好適なものとして挙げられる。
本発明において、アミン化合物(C)を併用する際の、アミン化合物(A)に対するアミン化合物(C)の使用量、すなわち、[アミン化合物(C)]/[アミン化合物(A)](重量比)は、特に限定するものではないが、通常80/20〜1/99の範囲であり、好ましくは60/40〜5/95の範囲であり、更に好ましくは50/50〜10/90の範囲である。ここで、[アミン化合物(C)]/[アミン化合物(A)](重量比)が80/20を超える場合には、得られるフォームの骨格が十分形成されず発泡後収縮するおそれがあり、一方、10/90未満の場合には、得られるフォームの硬度が高すぎて加工が困難になるおそれがある。
次に本発明の上記した触媒組成物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。
本発明において、ポリウレタン樹脂とは、ポリオール類とポリイソシアネート類とを、本発明のポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物、及び必要に応じて追加の触媒、発泡剤、界面活性剤、難燃剤、架橋剤等の原料の存在下に反応(硬化)及び発泡させることにより得られるものをいう。なお、本発明において、触媒は、ポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応(樹脂化反応)、ポリイソシアネート類と水とのウレア化反応(泡化反応)等の各反応を促進させるために使用される。
本発明の方法に使用されるポリオール類としては、特に限定するものではないが、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、更にはリン含有ポリオールやハロゲン含有ポリオール等の難燃ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン等のアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(具体的には、エチレンオキシドやプロピレンオキシドが例示される)との付加反応により製造されたものが挙げられる[例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42−53に記載の方法参照]。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる[例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照]。
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、上記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールが挙げられる。
難燃ポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン含有ポリオールや、エピクロルヒドリンやトリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるハロゲン含有ポリオール、フェノールポリオール等が挙げられる。
本発明の方法においては、通常、平均水酸基価が20〜1000mgKOH/gの範囲のポリオール類が使用されるが、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂には平均水酸基価が20〜100mgKOH/gの範囲のものが、硬質ポリウレタン樹脂には平均水酸基価が100〜800mgKOH/gの範囲のものが、好適に使用される。
本発明の方法に使用されるポリイソシアネート類は、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(以下、「TDI」と称する場合がある)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と称する場合がある)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、及びこれらの混合体等が挙げられる。これらのうち好ましくはTDIとその誘導体、又はMDIとその誘導体であり、これらは単独で使用しても、混合して使用しても差し支えない。
TDIとその誘導体としては、例えば、2,4−TDIと2,6−TDIの混合物、TDIの末端イソシアネートプレポリマー誘導体等を挙げることができる。また、MDIとその誘導体としては、例えば、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体、末端イソシアネート基をもつジフェニルメタンジイソシアネート誘導体等を挙げることができる。
これらイソシアネートのうち、軟質ポリウレタン樹脂や半硬質ポリウレタン樹脂製品には、TDIとその誘導体、MDIとその誘導体、又はそれらの両方が好適に使用される。また、硬質ポリウレタン樹脂には、MDIとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合体が好適に使用される。
これらポリイソシアネートとポリオールの混合割合としては、特に限定するものではないが、イソシアネートインデックス([イソシアネート基]/[イソシアネート基と反応しうる活性水素基]×100)で表すと、一般に60〜400の範囲が好ましい。より好ましくは50〜200の範囲であり、更に好ましくは60〜120の範囲である。
なお、本発明の触媒組成物は、ポリウレタン製品製造用の触媒として、単独で用いても良いが、必要に応じて泡化触媒や有機金属触媒、カルボン酸金属塩触媒、第4級アンモニウム塩触媒を併用しても良い。
泡化触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定されるものではないが、例えば、トリエタノールアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、及び、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルアミノエチル−N”−メチルアミノイソプロパノール等が挙げられる。
有機金属触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。
カルボン酸金属塩触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が挙げられる。ここで、カルボン酸としては、特に限定するものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、アジピン酸等の脂肪族モノ及びジカルボン酸類、安息香酸、フタル酸等の芳香族モノ及びジカルボン酸類等が挙げられる。また、カルボン酸塩を形成すべき金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好適なものとして挙げられる。
第4級アンモニウム塩触媒としては、従来公知のものでよく、特に限定するものではないが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が挙げられる。
本発明の方法においては、上記したとおり、本発明の触媒組成物を単独で、又は上記した他の触媒と混合して使用することができるが、これらを混合調整するにあたっては、必要ならば、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール又は水等の溶媒を使用することができる。溶媒の量は、特に限定するものではないが、好ましくは触媒の全量に対して3重量倍以下である。3重量倍を超えると、得られるフォームの物性に影響を及ぼすおそれがあり、また経済上の理由からも好ましくない。本発明の方法においては、このように調整された触媒組成物をポリオール類に添加して使用してもよいし、個々の成分を別々にポリオール類に添加しても使用してもよく、特に制限はない。
本発明の方法において、触媒組成物の使用量は、使用されるポリオール100重量部に対し、通常0.1〜30重量部の範囲であるが、好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。0.1重量部より少ないと、触媒の効果が得られない場合がある。一方、30重量部を越えると、触媒を増やした効果が得られないばかりでなく、ポリウレタン樹脂の物性が悪化する場合がある。
触媒組成物中のアミン化合物(A)の使用量は、使用されるポリオール100重量部に対し、通常0.03〜9重量部の範囲であるが、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
また、触媒組成物中のポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の使用量は、特に限定するものではないが、使用されるポリオール100重量部に対し、通常0.05〜15重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
触媒組成物中のアミン化合物(C)の使用量は、使用されるポリオール100重量部に対し、通常0.02〜6重量部の範囲であるが、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。
本発明の方法において、必要であれば、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)等のフロン系化合物、HFE−254pc等のハイドロフルオロエーテル類、低沸点炭化水素、水、液化炭酸ガス、ジクロロメタン、ギ酸、アセトン等が挙げられる。これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。低沸点炭化水素としては、通常、沸点が通常−30〜70℃の炭化水素が使用され、その具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及びこれらの混合物が挙げられる。
発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるため、特に限定するものではないが、一般的には、得られるフォーム密度が、通常5〜1000kg/m、好ましくは10〜500kg/mの範囲となるように選択される。
本発明の方法において、必要であれば、整泡剤として界面活性剤を用いることができる。使用される界面活性剤としては、例えば、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤が挙げられ、具体的には、有機シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示される。それらの使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部である。
本発明の方法において、必要であれば、架橋剤又は鎖延長剤を用いることができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の低分子量の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量のアミンポリオール類、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等ポリアミン類を挙げることができる。
本発明の方法において、必要であれば、難燃剤を用いることができる。使用される難燃剤としては、例えば、リン酸とアルキレンオキシドとの付加反応によって得られるプロポキシル化リン酸、プロポキシル化ジブチルピロリン酸等の含リンポリオールの様な反応型難燃剤、トリクレジルホスフェート等の第3リン酸エステル類、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有第3リン酸エステル類、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物類、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等の無機化合物等が挙げられる。その量は特に限定されるものではなく、要求される難燃性に応じて異なるが、通常ポリオール100重量部に対して4〜20重量部である。
本発明の方法において、必要であれば、着色剤や、老化防止剤、その他従来公知の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は、使用される添加剤の通常の使用範囲でよい。
本発明の方法は、通常、上記原料を混合した混合液を急激に混合、攪拌した後、適当な容器又はモールドに注入して発泡成型することにより行われる。混合、攪拌は一般的な攪拌機や専用のポリウレタン発泡機を使用して実施すればよい。ポリウレタン発泡機としては、例えば、高圧、低圧、又はスプレー式の機器が使用される。
本発明の方法により得られるポリウレタン樹脂製品としては、例えば、発泡剤を使用しないエラストマーや、発泡剤を使用するポリウレタンフォーム等が挙げられる。本発明の方法は、このようなポリウレタンフォーム製品の製造に好適に使用される。
ポリウレタンフォーム製品としては、例えば、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等が挙げられる。本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、具体的には、自動車内装材として用いられる軟質ポリウレタンフォームのカーシート、半硬質ポリウレタンフォームのインスツルメントパネルやハンドル及び硬質ポリウレタンフォームにて製造される断熱材の製造に特に好適に使用される。
なお、本発明において、軟質ポリウレタンフォームとは、一般的にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.161〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.150〜221の記載参照]。軟質ウレタンフォームの物性としては、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m、圧縮強度(ILD25%)が200〜8000kPa、伸び率が80〜500%の範囲である。
また、半硬質ポリウレタンフォームとは、フォーム密度及び圧縮強度は軟質ポリウレタンフォームよりも高いものの、軟質ポリウレタンフォームと同様にオープンセル構造を有し、高い通気性を示す可逆変形可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.223〜233や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.211〜221の記載参照]。また、使用するポリオール、イソシアネート原料も軟質ポリウレタンフォームと同様であるため、一般に軟質ポリウレタンフォームに分類される。半硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が40〜800kg/m、圧縮強度(ILD25%)が10〜200kPa、伸び率が40〜200%の範囲である。本発明において、軟質ポリウレタンフォームは、使用する原料及びフォーム物性から半硬質ポリウレタンフォームを含む場合がある。
さらに、硬質ポリウレタンフォームとは、高度に架橋されたクローズドセル構造を有し、可逆変形不可能なフォームをいう[Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers社(ドイツ),p.234〜313や、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年初版)日刊工業新聞社、p.224〜283の記載参照]。硬質ウレタンフォームの物性は、特に限定するものではないが、一般的には、密度が10〜100kg/m、圧縮強度が50〜1000kPaの範囲である。
本発明を以下の実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、表中の(pbw)はポリオールを100重量部とした時の他の剤の重量部を示す。
製造例1.
2Lのセパラブルフラスコにピペラジン43.1g(0.5mol)、トリエチルアミン151.8g(1.5mol)を仕込み、トルエンで希釈した。窒素置換後、これにトルエンで希釈した2,3−ジブロモプロピオン酸エチル(東京化成工業社製)を攪拌しながら添加し、100℃で24時間熟成反応を行った。析出したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過により除去し、得られた反応液を濃縮し、エステル体を合成した。このエステル体をテトロヒドロフランに溶解させ、氷浴下、水素化アルミニウムリチウムのテトロヒドロフラン溶液に攪拌しながら添加した。室温で2時間反応後、水、15%水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、不溶物をろ過により除去した。反応液を濃縮後、酢酸エチルで抽出洗浄した。酢酸エチルを除去し、目的化合物である1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−2−メタノール(例示化合物1)を48g得た(収率68%)。
実施例1〜実施例5.
本発明の触媒組成物を用い、軟質高弾性ポリウレタンフォームを製造した例を表1に示す。
Figure 2016037550
触媒組成物において、アミン化合物(A)としては、表1に示したA−1を使用した。このA−1は、上記した例示化合物1で示されるアミン化合物をジプロピレングリコールに溶解させて調製されたものである。ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)としては、表1に示したB−1を使用した。アミン化合物(C)としては、表1に示したC−1を使用した。
表2に示す原料配合比にてプレミックスAを調合した。
Figure 2016037550
プレミックスA 85.0gを300mlポリエチレンカップに取り、更に表1に示した触媒組成物を、各々反応性が下記のゲルタイムで62±2秒となる量を添加し20℃に温度調整した。別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネート液(日本ポリウレタン工業社製、コロネート1316)をイソシアネートインデックス〔[イソシアネート基]/[OH基](モル比)×100)〕が100となる量だけプレミックスAのカップの中に入れ、素早く攪拌機にて6000rpmで5秒間攪拌した。混合攪拌した混合液を60℃に温度調節した2Lポリエチレンカップに移し発泡中の反応性を以下に示す方法で測定した。
比較例1.
ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)を含まない以外は、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に併せて示す。
比較例2〜3.
アミン化合物A−1の代わりに、表1に示したA−2、A−3を使用する以外は、実施
例1と同様の方法で評価した。結果を表1に併せて示す。
なお、実施例、比較例における測定方法、評価方法は以下のとおりである。
[反応性の測定]
・クリームタイム:
発泡開始時間、フォームが上昇開始する時間を目視にて測定した.
・ゲルタイム:
反応が進行し液状物質より、樹脂状物質に変わる時間を測定した.
・ライズタイム:
フォームの上昇が停止する時間を変位センサ(キーエンス社製、型式:LF−2510)を用いて測定した(図1参照)。
次に原料スケールをアップさせ同様な操作にて60℃に温度調節したモールド(内寸法、25×25×8cmのアルミ製)内にフォーム全密度が51±1kg/mとなるように混合液を入れ、蓋をして発泡成形を行った。混合液を入れた時点から7分後にフォームを脱型した。成型フォームの物性、臭気、及び耐久物性を以下に示す方法で測定した。
[フォームの物性]
・全密度:
成型フォームの重量を測定し、体積で除した。
・ILD:
ISO2439Bに則って実施した。成型フォームをクラッシング(75%で3回)した後、25%、又は65%に圧縮するのに要する荷重を測定した。
・ボールリバウンド:
直径16mm、質量16gの鋼球を470mmの高さから成型フォームに落下させ、跳ね返った最高の高さを記録する。ボールリバウンドを以下の式により計算した。
ボールリバウンド(%)=B/A×100
A:鋼球を落下させる高さ(mm)
B:跳ね返った最高の高さ(mm)。
・コア密度:
成型フォームの中心部から20×20×5cmをカットし、コア部分とする。コア部分の重量を測定し、体積で除した。
・CLD:
ISO3386/1に則って実施した。上記コア部分をクラッシング(75%で3回)した後、40%に圧縮するのに要する荷重を測定した。
[フォームの臭気]
成型フォームの中心部から5×5×3cm寸法のフォームをカットし900mlマヨネーズ瓶の中に入れ蓋をした。この瓶を80℃で1時間加熱後室温に戻し、10人のモニターにそのフォームの臭いを嗅いで貰い、臭いの強さを測定した。
◎:ほとんど臭い無し、○:微かに臭気あり、 △:臭気有り、 ×:強い臭気有り。
[フォームの耐久物性]
フォームの耐久物性(耐候性)として、Wet−CS及びHACSを測定した。両者は、湿熱劣化させたポリウレタン樹脂を一定時間圧縮した際にどれだけ永久圧縮歪みが残るかを測定するものである。よって、両者の値が小さいほど、耐久物性が良いといえる。
・Wet−CS:
上記コア部分から、縦5cm、横5cm、厚さ2.5cmの寸法でフォームをカットし、これを50℃、相対湿度95%の条件下、22時間、厚さ方向に50%の圧縮試験を行い、寸法変化率を測定した。Wet−CSを以下の式により計算した。
Wet−CS(%)=(A−B)/A×100.
A:初期の厚さ(cm)
B:圧縮試験後の厚さ(cm)。
・HACS:
上記コア部分から、縦5cm、横5cm、厚さ2.5cmの寸法でフォームをカットし、これを90℃、相対湿度100%で100時間処理した。その後、70℃、相対湿度5%の条件下、22時間、厚さ方向に50%の圧縮試験を行い、寸法変化率を測定した。HACSを以下の式により計算した。
HACS(%)=(A−B)/A×100.
A:初期の厚さ(cm)
B:圧縮試験後の厚さ(cm)。
表1の実施例1〜5と比較例1〜3との比較から明らかなように、アミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)とを含有する本発明の触媒組成物を使用すると、臭気がほとんど無く、かつ耐久物性が良好なポリウレタン樹脂を製造することができた。
これに対し、アミン化合物(A)を使用しても、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)を使用しない比較例1では、臭気はほとんど無いものの、耐久物性が悪化した。
また、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)を使用しても、アミン化合物(A)には該当しない反応型触媒(A−2)を使用した比較例2では、臭気が強烈であり、耐久物性が悪化した。
さらに、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)を使用しても、アミン化合物(A)には該当しない反応型触媒(A−3)を使用した比較例3では、臭気は微かであるものの、耐久物性が悪化した。
本発明の触媒組成物を用いて製造されるポリウレタン樹脂は、自動車内装材として用いられる軟質ポリウレタンフォームのカーシート、半硬質ポリウレタンフォームのインスツルメントパネルやハンドル及び硬質ポリウレタンフォームにて製造される断熱材の製造等として有用である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2016037550
    [上記一般式(1)中、R、Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ヒドロキシメチル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。mは1又は2である。]
    で表されるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)とを含有するポリウレタン樹脂製造用の触媒組成物[但し、上記一般式(1)で示される化合物に光学活性体、ジアステレオマー、幾何異性体が存在する場合は、それぞれの混合物及びそれらが単離された異性体の双方を包含する。]。
  2. ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)が、下記一般式(2)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
    Figure 2016037550
    [上記一般式(2)中、R、R、Rは、各々独立して炭素数1〜4のアルキレン基を表す。a、b、cの合計は3〜30である。]
  3. アミン化合物(A)に対するポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の使用量が、[ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)]/[アミン化合物(A)](重量比)として、90/10〜10/90の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の触媒組成物。
  4. さらに、下記一般式(3)
    Figure 2016037550
    [上記一般式(3)中、R、R、Rは、各々独立して炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Zはヒドロキシル基又はアミノ基を表す。x、yは、各々独立して1〜4である。]
    で表されるアミン化合物(C)を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の触媒組成物。
  5. アミン化合物(C)が、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、及びN−(3−アミノプロピル)−N,N’,N’−トリメチル−2,2’−オキシビス(エチルアミン)からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4に記載の触媒組成物。
  6. アミン化合物(A)に対するアミン化合物(C)の使用量が、[アミン化合物(C)]/[アミン化合物(A)](重量比)として、80/20〜1/99の範囲であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の触媒組成物。
  7. ポリオール類とポリイソシアネート類とを、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の触媒組成物の存在下で反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の触媒組成物中に含まれるアミン化合物(A)とポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)の量が、ポリオール類100重量部に対して、アミン化合物(A)が0.03〜9重量部の範囲、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)が0.05〜15重量部の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の触媒組成物中に含まれるアミン化合物(A)、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)、及びアミン化合物(C)の量が、ポリオール類100重量部に対して、アミン化合物(A)が0.03〜9重量部の範囲、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル(B)0.05〜15重量部の範囲、アミン化合物(C)が0.02〜6重量部の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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