JP2016037183A - ブレーキ装置 - Google Patents

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将之 斉藤
Masayuki Saito
将之 斉藤
千春 中澤
Chiharu Nakazawa
千春 中澤
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Abstract

【課題】
運転者へ与える違和感を抑制することができるブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】
ハウジング(50)内に形成されたシリンダ(500)と、シリンダ(500)を2室(51P,51S)に分離し、運転者のブレーキ操作に応じて作動するピストン(54P,54S)と、ピストン(54S)と並列に設けられ、2室(51P,51S)を連通する連通孔(544)と、連通孔(544)を閉塞する閉塞部材(58)と、運転者のブレーキ操作によりピストン(54P)がシリンダ(500)内を軸方向に所定量作動すると、閉塞部材(58)による閉塞状態を解除して2室(51P,51S)を連通する解除機構(580,53P)とを備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両に搭載されるブレーキ装置に関する。
従来、マスタシリンダを備えたブレーキ装置が知られている。例えば特許文献1に記載のブレーキ装置は、所謂ブレーキバイワイヤシステムに用いられるタンデム型のマスタシリンダを備えている。
特開2005−104333号公報
しかし、従来の技術では、運転者(ドライバ)のブレーキ操作に応じた制御時に、ブレーキペダルのストローク量が制限されることで、運転者に違和感を与えるおそれがあった。本発明の目的とするところは、運転者へ与える違和感を抑制することができるブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のブレーキ装置は、シリンダを2室に分離しつつ運転者のブレーキ操作に応じて作動するピストンを備え、前記ピストンが所定量作動すると前記2室を連通する機構を設けた。
よって、運転者のブレーキ操作に応じてピストンが所定量作動すると2室が連通することでブレーキペダルのストローク量が増大するため、運転者へ与える違和感を抑制することができる。
実施例1のブレーキシステム1の概略を示す。 実施例1のマスタシリンダ5の内部構造を示す部分断面図である。 図2と同様の断面図であり、運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時におけるストローク増大機構57の作動状態を示す。 運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時の、踏力Fに対するペダルストロークSの関係を示す特性図である。 実施例2のマスタシリンダ5の内部構造を示す部分断面図であり、ストローク増大機構57(シール機構)が失陥した状態での作動状態を示す。
以下、本発明のブレーキ装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
[実施例1]
まず、構成を説明する。図1は、実施例1のブレーキ装置が適用されるブレーキシステム1の概略構成を、液圧ユニット6の油圧回路と共に示す図である。マスタシリンダ5については、軸方向断面(軸を通る平面で切った部分断面)を示す。ブレーキシステム1は、車輪を駆動する原動機として、内燃機関(エンジン)のほか回転電機(モータジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、回転電機のみを備えた電気自動車等の、電動車両に好適な液圧式ブレーキシステムである。ブレーキシステム1は、車両の各車輪FL〜RRに設けられたホイルシリンダ8に作動液としてのブレーキ液を供給してブレーキ液圧(ホイルシリンダ圧)を発生させる。これにより、各車輪FL〜RRに液圧制動力を付与する。ブレーキシステム1は2系統すなわちP(プライマリ)系統及びS(セカンダリ)系統の油路を有している。以下、P系統に対応して設けられた部材とS系統に対応して設けられた部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。尚、両系統で共通する構成についてはこれらを分けずにまとめて説明する。また、各車輪FL〜RRに対応する部材には、その符号の末尾にそれぞれ添字a〜dを付して適宜区別する。
ブレーキシステム1は、ブレーキペダル2と、プッシュロッド3と、リザーバタンク(以下、リザーバという。)4と、マスタシリンダ5と、液圧ユニット(制動制御ユニット)6と、電子制御ユニット(以下、ECUという。)100とを備えている。ブレーキシステム1は、車両のエンジンが発生する吸気負圧を利用してブレーキ操作力(ブレーキペダル2の踏力F)を倍力ないし増幅する負圧式ブースタ(以下、負圧ブースタという。)を備えていない。以下、説明の便宜上、プッシュロッド3の軸方向にx軸を設け、ブレーキペダル2の踏込みに応じてプッシュロッド3がストロークする側(図の左側)を正方向とする。ブレーキペダル2は、運転者(ドライバ)のブレーキ操作の入力を受けるブレーキ操作部材である。ブレーキペダル2には、運転者によるブレーキ操作量としてのブレーキペダル2のストローク量(ペダルストロークS)を検出するペダルストロークセンサ90が設けられている。プッシュロッド3は、ブレーキペダル2に回動自在に接続されたブレーキ操作伝達部材である。プッシュロッド3は、その軸方向中間部に大径のフランジ部31を有している。フランジ部31は、そのx軸正方向側に平面状の当接面310を備えると共に、x軸負方向側に凸曲面状の当接面311を備えている。当接面310はx軸に対して略直交するように延びる。
リザーバ4は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、大気圧に開放される低圧部である。リザーバ4の内部は第1隔壁42Pにより仕切られ、第1貯留室43と第2貯留室44とに区画されている。第1貯留室43は第2隔壁42Sにより仕切られ、貯留室43P,43Sに区画されている。リザーバ4の底部には、貯留室43Pの底面に開口するように補給ポート401Pが設けられると共に、貯留室43Sの底面に開口するように補給ポート401Sが設けられている。また、第2貯留室44の側面における下方(第2貯留室44の底面の直上)に開口するように、補給ポート401Rが設けられている。マスタシリンダ5は、プッシュロッド3を介してブレーキペダル2に接続されると共に、リザーバ4からブレーキ液を補給される。マスタシリンダ5は、運転者によるブレーキペダル2の操作(ブレーキ操作)に応じて作動し、ブレーキ操作量に応じたブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)を発生する。マスタシリンダ5は、所謂タンデム型であり、運転者のブレーキ操作に応じて軸方向に移動するマスタシリンダピストンとして、プッシュロッド3に接続されるプライマリピストン54Pと、フリーピストン型のセカンダリピストン54Sとを備えている。
マスタシリンダ5は、後述する第1油路11を介してホイルシリンダ8と接続し、ホイルシリンダ圧を増圧可能な第1の(マニュアル)液圧源である。マスタシリンダ5は、ハウジング50と、ピストン54と、ピストンシール55と、コイルスプリング560とを、P,S系統毎に備えている。ピストン54P,54Sは、ハウジング50(シリンダ500)の内周面に沿って軸方向移動可能に、シリンダ500内に挿入されており、シリンダ500を2室に分離する。すなわち、ハウジング50内には、各系統のピストン54P,54Sにより、各系統の液圧室(圧縮室)51P,51Sが画成されている。主に両ピストン54P,54Sの間に、プライマリ液圧室51Pが画成される。主にセカンダリピストン54Sとハウジング50(シリンダ500)のx軸正方向側の底部との間に、セカンダリ液圧室51Sが画成される。各液圧室51には、戻しばねとしてのコイルスプリング560が押し縮められた状態で設置されている。ハウジング50は、リザーバ4に接続してこれと連通する補給ポート501と、液圧ユニット6に接続してホイルシリンダ8と連通可能に設けられた吐出ポート(供給ポート)502とを、P,S系統毎に備えている。補給ポート501Pはリザーバ4の補給ポート401Pに接続し、補給ポート501Sはリザーバ4の補給ポート401Sに接続している。吐出ポート502Pはプライマリ液圧室51Pに常時開口し、吐出ポート502Sはセカンダリ液圧室51Sに常時開口する。マスタシリンダ5は、プライマリ液圧室51Pに発生したマスタシリンダ圧によりP系統の油路(第1油路11P)を介して前左輪FLと後右輪RRのホイルシリンダ8a,8dを加圧可能であると共に、セカンダリ液圧室51Sに発生したマスタシリンダ圧によりS系統の油路(第1油路11S)を介して前右輪FRと後左輪RLのホイルシリンダ8b,8cを加圧可能である。すなわち、本実施例のブレーキシステム1は所謂X配管形式を採用している。尚、他の配管形式でもよい。
液圧ユニット6は、リザーバ4又はマスタシリンダ5からブレーキ液を供給され、運転者によるブレーキ操作とは独立にブレーキ液圧を発生させる。液圧ユニット6は、ホイルシリンダ8とマスタシリンダ5との間に設けられており、各ホイルシリンダ8にマスタシリンダ圧又は制御液圧を個別に供給可能である。液圧ユニット6は、制御液圧を発生するための液圧機器(アクチュエータ)として、ポンプ7及び複数の制御弁(電磁弁21等)を有している。ポンプ7は、モータ700により回転駆動されてブレーキ液を吸入し、ホイルシリンダ8に向けて吐出する。ポンプ7は、リザーバ4内のブレーキ液を増圧しホイルシリンダ8へ送る。ポンプ7として、本実施例では、音振性能等で優れたギヤポンプ、具体的には外接歯車式ポンプを採用する。ポンプ7は両系統で共通に用いられ、同一のモータ700により駆動される。モータ700として、例えばブラシ付きモータを用いることができる。電磁弁21等は、制御信号に応じて開閉動作することで油路の連通状態を切り替え、ブレーキ液の流れを制御する。液圧ユニット6は、マスタシリンダ5とホイルシリンダ8との連通を遮断した状態で、ポンプ7が発生する液圧によりホイルシリンダ8を増圧可能に設けられていると共に、運転者のブレーキ操作に応じてペダルストロークSを創生するストロークシミュレータ27を備えている。また、液圧ユニット6は、ポンプ7の吐出圧やマスタシリンダ圧を検出する液圧センサ91〜93を備えている。
ECU100は、液圧ユニット6の作動を制御する電子制御ユニットであり、ブレーキ制御部を構成している。ECU100は、ペダルストロークセンサ90及び液圧センサ91〜93から送られる検出値、及び車両から送られる走行状態に関する情報が入力され、内蔵されるプログラムに基づき、液圧ユニット6の各アクチュエータを制御する。これにより、ホイルシリンダ8の液圧を制御する。具体的には、電磁弁21等の開閉動作や、モータ700の回転数(すなわちポンプ7の吐出量)を制御する。これにより、ブレーキ操作力を低減するための倍力制御や、制動による車輪のスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御(ABS)や、車両の運動制御(横滑り防止等の車両挙動安定化制御。ESC)のためのブレーキ制御や、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御や、回生ブレーキと協調して目標減速度(目標制動力)を達成するようにホイルシリンダ圧を制御する回生協調ブレーキ制御等を実現する。倍力制御では、運転者のブレーキ操作時に、液圧ユニット6を駆動して(ポンプ7の吐出圧を用いて)マスタシリンダ圧よりも高いホイルシリンダ圧を創生することで、運転者のブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生する。これにより、ブレーキ操作を補助する倍力機能を発揮する。すなわち、ブレーキシステム1は、負圧ブースタを備えない代わりに液圧ユニット6(ポンプ7)を作動させることで、ブレーキ操作力を補助可能に設けられている。回生協調ブレーキ制御では、例えば運転者の要求する制動力を発生させるために回生制動装置による回生制動力では足りない分の液圧制動力を発生する。
以下、ブレーキシステム1(液圧ユニット6)の液圧回路を図1に基づき説明する。図1は、各アクチュエータを非通電とした初期状態(非作動状態)を示す。第1油路11は、マスタシリンダ5の吐出ポート502(各液圧室51P,51S)とホイルシリンダ8とを接続している。吐出ポート502P,502Sと液圧ユニット6側の第1油路11P,11Sとは、それぞれブレーキ配管10P,10Sを介して接続されている。液圧ユニット6側の第1油路11a〜11dとホイルシリンダ8a〜8dとは、それぞれブレーキ配管10a〜10dを介して接続されている。ブレーキ配管10P,10S,10a〜10dは、第1油路11の一部を構成する。遮断弁21は、第1油路11に設けられた常開の(非通電状態で開弁する)電磁弁である。増圧弁(以下、IN弁という。)22は、第1油路11における遮断弁21よりもホイルシリンダ8側に、各車輪FL〜RRに対応して(油路11a〜11dに)設けられた常開の電磁弁である。
吸入油路12は、リザーバ4の補給ポート401Rとポンプ7の吸入部70とを接続している。リザーバ4の補給ポート401Rと液圧ユニット6側の吸入油路12とは、ブレーキ配管10Rを介して接続されている。ブレーキ配管10Rは、吸入油路12の一部を構成する。リザーバ4の第2貯留室44は、補給ポート401R及び吸入油路12(ブレーキ配管10R)を介して(マスタシリンダ5の液圧室51を介さずに)、ポンプ7(吸入部70)に接続している。液圧ユニット6内には、吸入油路12上に、所定容積の液溜まり12aが設けられている。液溜まり12aは、液圧ユニット6において、ブレーキ配管10Rが接続される部位(液圧ユニット6の鉛直方向上側)の近傍に設けられている。ポンプ7は、液溜まり12aを介してブレーキ液を吸入する。
吐出油路13は、第1油路11における遮断弁21とIN弁22との間と、ポンプ7の吐出部71とを接続する。チェック弁130は、ポンプ7の吐出弁であり、吐出油路13に設けられ、吐出部71側から第1油路11側へのブレーキ液の流れのみを許容する。連通弁23Pは、チェック弁130の下流側とP系統の第1油路11Pとを接続する吐出油路13Pに設けられた常閉の(非通電状態で閉弁する)電磁弁である。連通弁23Sは、チェック弁130の下流側とS系統の第1油路11Sとを接続する吐出油路13Sに設けられた常閉の電磁弁である。吐出油路13P,13Sは、P系統の第1油路11PとS系統の第1油路11Sとを接続する連通路を構成している。ポンプ7は、上記連通路(吐出油路13P,13S)及び第1油路11P,11Sを介してホイルシリンダ8a〜8dと接続している。ポンプ7は、上記連通路(吐出油路13P,13S)にブレーキ液を吐出することでホイルシリンダ8a〜8dを増圧可能な、第2の(動力)液圧源である。第1減圧油路14は、吐出油路13Pにおけるチェック弁130と連通弁23Pとの間と吸入油路12とを接続する。調圧弁24は、第1減圧油路14に設けられた第1減圧弁としての常開の電磁弁である。第2減圧油路15は、第1油路11におけるIN弁22よりもホイルシリンダ8側と吸入油路12とを接続する。減圧弁(以下、OUT弁という。)25は、第2減圧油路15に設けられた第2減圧弁としての常閉の電磁弁である。
ストロークシミュレータ27は、ピストン270とスプリング271を有している。ピストン270は、シリンダ内を2室(主室ないし正圧室27aと副室ないし背圧室27b)に分離してシリンダ内を軸方向に移動可能に設けられている。スプリング271は、背圧室27b内に押し縮められた状態で設置され、ピストン270を正圧室27aの側(正圧室27aの容積を縮小し、背圧室27bの容積を拡大する方向)に常時付勢する弾性部材である。第1シミュレータ油路16は、第1油路11Pにおけるマスタシリンダ5(プライマリ液圧室51P)と遮断弁21Pとの間から分岐してストロークシミュレータ27の正圧室27aに接続する。ストロークシミュレータ弁26は、第1シミュレータ油路16に設けられたシミュレータ遮断弁としての常閉の電磁弁である。第2シミュレータ油路17は、ストロークシミュレータ27の背圧室27bと吸入油路12とを接続する。
遮断弁21、IN弁22、調圧弁24、及び各系統のOUT弁25のうち少なくとも1つ(本実施例では後輪RL,RRのOUT弁25c,25d)は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁である。他の弁、すなわち連通弁23、他のOUT弁25(前輪FL,FRのOUT弁25a,25b)、及びストロークシミュレータ弁26は、弁の開閉が二値的に切り替え制御されるオン・オフ弁である。尚、上記他の弁に比例制御弁を用いることも可能である。ストロークシミュレータ弁26をバイパスして第1シミュレータ油路16と並列にバイパス油路160が設けられている。バイパス油路160にはチェック弁260が設けられている。チェック弁260は、ストロークシミュレータ27の主室27a側から第1油路11P側へのブレーキ液の流れのみを許容する一方向弁である。また、IN弁22をバイパスして第1油路11と並列にバイパス油路120が設けられている。バイパス油路120には、ホイルシリンダ8側からマスタシリンダ5側へのブレーキ液の流れのみを許容するチェック弁220が設けられている。
第1油路11Pにおけるマスタシリンダ5(プライマリ液圧室51P)と遮断弁21Pとの間には、この箇所の液圧(マスタシリンダ圧)を検出する液圧センサ91が設けられている。第1油路11における遮断弁21とIN弁22との間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ圧、ないしプライマリ系統圧及びセカンダリ系統圧)を検出する液圧センサ92が設けられている。吐出油路13Pにおけるポンプ7の吐出部71(チェック弁130)と連通弁23Pとの間には、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する液圧センサ93が設けられている。遮断弁21が開弁方向に制御された状態で、マスタシリンダ5の各液圧室51P,51Sとホイルシリンダ8とを接続するブレーキ系統(第1油路11)は、踏力Fを用いて発生させたマスタシリンダ圧によりホイルシリンダ圧を創生する第1の系統を構成しており、踏力ブレーキ(非倍力制御)を実現する。一方、遮断弁21が閉弁方向に制御された状態で、ポンプ7を含み、リザーバ4とホイルシリンダ8を接続するブレーキ系統(吸入油路12、吐出油路13等)は、ポンプ7を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ圧を創生する第2の系統を構成しており、マスタシリンダ5とは別に設けられた液圧源(ポンプ7)によりホイルシリンダ8に液圧を供給可能なブレーキバイワイヤ制御(倍力制御や回生協調制御等)を実現する、所謂ブレーキバイワイヤシステムを構成している。
次に、マスタシリンダ5の具体的な構成について説明する。図2は、マスタシリンダ5の軸方向断面(軸を通る平面で切った部分断面)を示す。P系統の構成はx軸負方向側、S系統の構成はx軸正方向側に設けられている。ハウジング50は、ハウジング本体50Aとストッパ部50Bを有している。ハウジング本体50Aは、x軸正方向側が閉塞すると共にx軸負方向側が開口する有底筒状である。ハウジング本体50Aは嵌合凸部505を備えている。嵌合凸部505は、ハウジング本体50Aのx軸負方向端部の外周面が他の部位の外周面よりも小径とされることで段差状に設けられた小径部である。ストッパ部50Bは、ハウジング本体50Aのx軸負方向側に嵌合する筒状部材である。ストッパ部50Aは、ロッド収容孔506と、嵌合凹部507と、壁部509とを有している。ロッド収容孔506は、ストッパ部50Bの内周側をx軸方向に延びる略円筒状に設けられている。ロッド収容孔506にはプッシュロッド3(フランジ部31)が収容される。嵌合凹部507は、ストッパ部50Bのx軸正方向端部に設けられ、x軸方向に延びる有底円筒状の凹部である。嵌合凹部507の内周面の径はハウジング本体50Aの嵌合凸部505の径よりも僅かに大きく設けられている。嵌合凹部507の内周には環状の溝が形成されている。この溝にはシール部材が設置される。壁部509は、ストッパ部50Bのx軸負方向端に設けられており、ロッド収容孔506のx軸負方向側の開口を狭めるように径方向に延びる。壁部509のx軸正方向側の面は、x軸正方向側からx軸負方向側へ向うにつれて縮径するテーパ状に形成されている。嵌合凹部507に嵌合凸部505が嵌合することで、ハウジング本体50Aとストッパ部50Bが一体化される。嵌合凹部507と嵌合凸部505との間の隙間は、上記シール部材によりシールされる。プッシュロッド3は、壁部509の内径側の孔を通ってハウジング50の外側へ突出するように設置される。
ハウジング本体50Aの内部にはピストン収容孔としてのシリンダ500が形成されている。シリンダ500は、ハウジング本体50Aの内周側をx軸方向に延びる略円筒状に設けられている。シリンダ500の径は、プッシュロッド3のフランジ部31(当接面310)の径よりも小さい。シリンダ500には、ハウジング本体50Aの内部を径方向に延びる補給ポート501と吐出ポート502が開口する。各系統において、補給ポート501の開口部は吐出ポート502の開口部よりもx軸負方向側に設けられている。シール溝503,504は、シリンダ500の内周壁に形成された環状の溝であり、シリンダ500の軸心を取り囲んで周方向に延びる。第1シール溝503は補給ポート501のx軸負方向側に隣接して設けられている。第2シール溝504は補給ポート501のx軸正方向側に隣接して設けられている。これらの溝503,504は、補給ポート501をx軸方向で挟み込むように配置されている。第1シール溝503には第1ピストンシール551が設置され、第2シール溝504には第2ピストンシール552が設置される。
ピストン54の外周面の径は、シリンダ500の径よりも若干小さく設けられている。プライマリピストン54Pのx軸正方向側には軸方向に延びる有底孔541Pが形成されており、有底孔541Pはプライマリピストン54Pのx軸正方向端に開口する。有底孔541Pの内周面の径はコイルスプリング560Pの外径よりも若干大きい。プライマリピストン54Pのx軸負方向側には軸方向に延びる有底孔542Pが形成されており、有底孔542Pはプライマリピストン54Pのx軸負方向端に開口する。プライマリピストン54Pには径方向に延びる連通孔540Pが形成されており、連通孔540Pは有底孔541Pの内周面とプライマリピストン54Pの外周面に開口する。有底孔542Pの底部には、半球状の凹部が形成されている。この凹部にプッシュロッド3のx軸正方向側の半球状先端部30が嵌合することにより、プッシュロッド3がプライマリピストン54Pと回動可能に連結し、プライマリピストン54Pがブレーキペダル2と連動する。プライマリピストン54Pと同様、セカンダリピストン54Sのx軸正方向側には有底孔541Sが形成され、x軸負方向側には有底孔542Sが形成され、連通孔540Sが有底孔541Sに開口するように形成されている。有底孔541S,542Sの内周面の径はそれぞれコイルスプリング560S, 560Pの外径よりも若干大きい。有底孔541Sの軸方向寸法はプライマリピストン54Pの有底孔541Pの軸方向寸法よりも大きい。有底孔541Sと有底孔542Sとの間には隔壁543が形成されている。隔壁543の略中央には、隔壁534を軸方向に貫通して有底孔541S,542Sを連通させる連通孔544が形成されている。
ピストンシール55は、各ピストン54P,54Sに摺接して各ピストン54P,54Sの外周面とハウジング50(シリンダ500)の内周面との間をシールする。シリンダ500の内部には、第2ピストンシール552Pと第1ピストンシール551Sとの間に、プライマリ液圧室51Pが画成される。第2ピストンシール552Sのx軸正方向側に、セカンダリ液圧室51Sが画成される。各ピストンシール55は、内径側にリップ部を備える周知の断面カップ状のシール部材(カップシール)である。各第2ピストンシール552は、補給ポート501から液圧室51へ向かうブレーキ液の流れを許容し、逆方向へのブレーキ液の流れを抑制する。なお、S系統の第1ピストンシール551Sは、片系統失陥時においてもP系統とS系統の独立性を保つためのものであり、補給ポート501Sからプライマリ液圧室51Pへのブレーキ液の補給機能はない。
コイルスプリング560は、各ピストン54を初期位置に向けてx軸負方向に常時付勢する弾性体である。コイルスプリング560Pのx軸正方向端はセカンダリピストン54Sの有底孔542Sに収容設置され、コイルスプリング560Pのx軸負方向端はプライマリピストン54Pの有底孔541Pに収容設置される。コイルスプリング560Sのx軸正方向端はシリンダ500のx軸正方向端に設置され、コイルスプリング560Sのx軸負方向端はセカンダリピストン54Sの有底孔541Sに収容設置される。コイルスプリング560P,560Sの弾性係数は略等しく設けられている。コイルスプリング560は、ばね長制限機構561に組付けられることで、スプリング組立体(アセンブリ)56を構成している。
ばね長制限機構561は、コイルスプリング560の過度な変形を抑制してコイルスプリング560を保護するためのものであり、第1,第2リテーナ部材52A,52Bとストッパ部材53を有している。リテーナ部材52は、有底円筒部521とフランジ部520を有している。有底円筒部521は、円筒状の本体部522と、本体部522の軸方向一端を閉塞する底部523を有している。本体部522の外周面の径はコイルスプリング560の内径よりも若干小さい。円板状である底部523の略中央には、底部523を軸方向に貫通する孔524が設けられている。本体部522の軸方向他端には、本体部522よりも径方向外側に広がるフランジ部520が固定されている。フランジ部520の径はコイルスプリング560の外径よりも若干大きく、有底孔541,542の内周面の径よりも若干小さい。第1リテーナ部材52Aの有底円筒部521A(本体部522A)の軸長は、第2リテーナ部材52Bの有底円筒部521B(本体部522B)の軸長よりも小さく設けられている。
ストッパ部材53は、第1,第2円板部531,532とステム部530を有している。第1円板部531は、ステム部530と略同軸に、ステム部530の軸方向一端に固定されている。第2円板部532は、ステム部530と略同軸に、ステム部530の軸方向他端に固定されている。ステム部530は、第1,第2円板部531,532を連結する棒状部分である。ステム部530の径は、リテーナ部材52の底部523の貫通孔524の径よりも若干小さい。円板部531,532の径は、リテーナ部材52の有底円筒部521(本体部522)の内周面の径よりも若干小さく、底部523の貫通孔524の径よりも大きい。第1円板部531は、第1リテーナ部材52Aの有底円筒部521A(本体部522A)内に固定設置されており、例えばストッパ部材53(ステム部530)を第1リテーナ部材52A(底部523A)にかしめ固定することで形成される。ステム部530は、第1リテーナ部材52Aの底部523Aの貫通孔524Aを通って、有底円筒部521A(本体部522A)の外部へ突出する。第2円板部532は、第2リテーナ部材52Bの有底円筒部521B(本体部522B)内に移動可能に設置される。ステム部530は、第2リテーナ部材52Bの底部523Bの貫通孔524Bを通って、有底円筒部521B(本体部522B)の外部へ突出する。
コイルスプリング560は、ある程度押し縮められた状態(所定のセット荷重)でばね長制限機構561に設置される。コイルスプリング560の一端は第1リテーナ部材52Aの有底円筒部521A(本体部522A)を取り囲みつつフランジ部520Aに設置され、コイルスプリング560の他端は第2リテーナ部材52Bの有底円筒部521B(本体部522B)を取り囲みつつフランジ部520Bに設置される。コイルスプリング560の付勢力により、第1,第2リテーナ部材52A,52Bは互いに離れる方向に移動しようとするが、ストッパ部材53の第2円板部532が第2リテーナ部材52Bの底部523Bに当接して係止することで、第1リテーナ部材52Aと第2リテーナ部材52Bの離間が規制される。すなわち、第1リテーナ部材52Aに対するストッパ部材53の移動は、第1円板部531が第1リテーナ部材52Aの底部523Aに予め固定されているため、規制される。第2リテーナ部材52Bに対するストッパ部材53のx軸負方向側への移動は、第2円板部532が第2リテーナ部材52Bの底部523Bに当接することで、規制される。よって、コイルスプリング560が所定の最大長よりも伸びることが、ばね長制限機構561により規制される。
第2リテーナ部材52Bに対する第2円板部532の移動は、底部523Bとセカンダリピストン54Sの隔壁543との間(P系統)、ないし底部523Bとシリンダ500のx軸正方向端(凹部500Aの底部)との間(S系統)で、所定量α以下の範囲で許容されている。第2リテーナ部材52Bに対しストッパ部材53が軸方向に変位することで、コイルスプリング560が縮むことが許容されている。上記所定量α、すなわちコイルスプリング560が上記最大長から圧縮可能な量は、P系統とS系統とで略等しく設けられている。
このばね長制限機構561とコイルスプリング560とのセット(スプリング組立体56)がシリンダ500に設置される。P系統についてみると、第1リテーナ部材52Aのフランジ部520Aがプライマリピストン54Pの有底孔541Pの底部に当接し、第2リテーナ部材52Bのフランジ部520Bがセカンダリピストン54Sの有底孔541Sの底部に当接するよう、スプリング組立体56Pが設置される。S系統についてみると、第1リテーナ部材52Aのフランジ部520Aが、セカンダリピストン54Sの有底孔541S内に設置された後述するストローク増大機構57のリテーナ部材59の底部591に当接し、第2リテーナ部材52Bのフランジ部520Bが、シリンダ500のx軸正方向端に形成された凹部500Aの底部に当接するよう、スプリング組立体56Sが設置される。
マスタシリンダ5は、ストローク増大機構57を備えている。ストローク増大機構57は、セカンダリピストン54S(隔壁543)に形成された連通孔544と、閉塞部材58と、コイルスプリング570と、リテーナ部材59とを有している。閉塞部材58は、蓋部581とロッド部580を備えた、長軸付きシール部品である。蓋部581は、略円柱状のシール部材であり、その径は、隔壁543における連通孔544の開口部の径よりも大きく設けられている。ロッド部580は、蓋部581に固定された棒状の軸部材であり、蓋部581の軸方向一端から蓋部581と略同軸上に延びる。ロッド部580の径は、連通孔544の内径よりも小さく設けられている。ロッド部580の軸方向寸法は、連通孔544の長さ(隔壁543のx軸方向厚さ)よりも長く設けられている。尚、蓋部581の軸方向他端には、当該軸方向他端の略中央で若干盛り上がる凸部582が設けられている。コイルスプリング570は、閉塞部材58を付勢する弾性体であり、シール部品保持用ばねである。コイルスプリング570の内径は蓋部581の外径よりも若干小さい。
リテーナ部材59は、コイルスプリング570を保持する有底円筒状のシール機構ハウジングである。円筒状である本体部590の外周面の径は、セカンダリピストン54Sの有底孔541Sの内周面の径よりも僅かに小さい。本体部590の内周面の径は、蓋部581の外径及びコイルスプリング570の外径よりも若干大きい。本体部590を閉塞する円板状である底部591の略中央には、シール機構ハウジング油路として、底部591を軸方向に貫通する孔592が形成されている。リテーナ部材59は、その開口側(底部591と反対側)の軸方向端部がセカンダリピストン54Sの有底孔541Sのx軸負方向端面(隔壁543)に接するように、セカンダリピストン54Sに固定設置される。これにより、リテーナ部材59の底部591が有底孔541Sの新たな底部となる。セカンダリピストン54Sの連通孔540Sは、リテーナ部材59の底部591よりもx軸正方向側の有底孔541Sの内周面に開口する。
リテーナ部材59の内周側には、閉塞部材58とコイルスプリング570が収容される。これにより、シール機構組立体が構成される。閉塞部材58は、蓋部581の(ロッド部580が突出する側である)軸方向一端側の面が隔壁543に対向し、(凸部582が突出する側である)軸方向他端側の面が底部591に対向するように、リテーナ部材59に収容される。ロッド部580は、連通孔544内に挿入設置される。蓋部581の軸方向一端側(x軸負方向側)が隔壁543のx軸正方向側に接した状態で、ロッド部580の先端は、隔壁543のx軸負方向側(有底孔542S内)に所定量βだけ突出し、ばね長制限機構561Pの第2リテーナ部材52Bの内周側で、ストッパ部材53Pの第2円板部532Pに対向する。コイルスプリング570は、その一端が底部591に接し、他端が蓋部581の軸方向他端側(x軸正方向側)の面(凸部582の周囲)に接するように、常時押し縮められた状態で、リテーナ部材59に収容される。
(作用)
次に、作用を説明する。図2に示すように、ブレーキペダル2が踏み込まれる前の初期状態で、コイルスプリング560P,560Sの付勢力により、プッシュロッド3はx軸負方向側に最大変位しており、フランジ部31の当接面311は、ハウジング50の壁部509のx軸正方向側の面に当接している。この当接により、プッシュロッド3がそれ以上x軸負方向側へストロークすることが規制される。プライマリピストン54Pはx軸負方向側に最大変位している。プッシュロッド3が上記のようにストロークを規制されることで、プライマリピストン54Pがそれ以上x軸負方向側へストロークすることが規制される。尚、プライマリピストン54Pのストッパ機構を、フランジ部31や壁部509以外により構成してもよい。この初期状態で、プライマリピストン54Pの外周面における連通孔540Pの開口部は、第1ピストンシール551Pと第2ピストンシール552Pとの間に位置する(すなわちプライマリ液圧室51Pがリザーバ4と連通した状態である)。上記のようにプッシュロッド3がストロークを規制された状態で、プライマリピストン54Pの有底孔541Pの底部とシリンダ500のx軸正方向端(凹部500A)の底部との間の距離は、コイルスプリング560P,560Sが上記最大長であるときの各ばね長制限機構561P,561Sのx軸方向寸法と、セカンダリピストン54Sの隔壁の厚さ(x軸方向寸法)と、ストローク増大機構57のリテーナ部材59のx軸方向寸法との和に略等しくなるように設けられている。よって、セカンダリピストン54Sは、各コイルスプリング560P,560Sが上記最大長となった状態で、プライマリピストン54Pとシリンダ500のx軸正方向端の上記底部との間に保持される。言換えると、初期状態で、各コイルスプリング560P,560Sが上記最大長となるように設定されている。尚、初期状態で、コイルスプリング560の一方又は両方が上記最大長よりも短くなるように設定してもよい。この初期状態で、セカンダリピストン54Sの外周面における連通孔540Sの開口部は、第1ピストンシール551Sと第2ピストンシール552Sとの間に位置する(すなわちセカンダリ液圧室51Sがリザーバ4と連通した状態である)。
プライマリ液圧室51Pにおいて、ばね長制限機構561Pの第2リテーナ部材52Bの内外は、底部523Bの貫通孔524Bとストッパ部材53Pのステム部530Pとの間の隙間を介して、互いに連通している。セカンダリ液圧室51Sにおいて、ばね長制限機構561Sの第1リテーナ部材52Aの内外は、底部523Aの貫通孔524A の周囲に複数設けられた貫通孔(図外)を介して、互いに連通している。第1リテーナ部材52Aの内周側は、ストローク増大機構57のリテーナ部材59における底部591の貫通孔592を介して、リテーナ部材59の内周側に連通している。リテーナ部材59の内周側は、隔壁543の連通孔544を介して、プライマリ液圧室51Pにおける第2リテーナ部材52Bの内周側に連通可能に設けられている。このように、両液圧室51P,51Sは、連通孔544を介して互いに連通可能に設けられている。
図2に示すように、初期状態で、ストローク増大機構57のコイルスプリング570の付勢力により、閉塞部材58はリテーナ部材59に対しx軸負方向側に最大変位しており、蓋部581のx軸負方向側の面は連通孔544の周囲の隔壁543に当接している。この当接により連通孔544の開口が閉塞されるため、リテーナ部材59の内周側が、連通孔544を介して、プライマリ液圧室51Pにおける第2リテーナ部材52Bの内周側に連通することが規制される。すなわち、連通孔544を介した両液圧室44P,44Sの連通が遮断される(両液圧室44P,44Sの独立性が保たれる)。このように、ストローク増大機構57の蓋部581は、リテーナ部材59、コイルスプリング570と共に、連通孔544を閉塞した状態に維持するシール機構を構成する。尚、各液圧室44P,44Sの液圧が変動しても、閉塞部材58の軸方向両端に作用する両液圧室44P,44Sの液圧差による力に起因して、蓋部581が隔壁543から離れることがない(蓋部581が連通孔544を閉塞した状態が維持される)ように、コイルスプリング570の付勢力の大きさが設定されている。
マスタシリンダ5の各液圧室51P,51Sから液圧ユニット6へ向けてブレーキ液の流出が許容された状態では(例えば踏力ブレーキ時)、運転者のブレーキ操作に応じて、各ピストン54P,54Sがストロークすることにより、各液圧室51P,51Sの容積が減少する。これにより、例えばブレーキシステム1の電源失陥時、(非通電状態でフェイルセーフ弁としての遮断弁21が開弁することで)バイワイヤ制御から踏力ブレーキへ切り替わった場合であっても、両液圧室51P,51Sから各ホイルシリンダ8へブレーキ液を供給し、必要な制動力を確保することができる。このとき、踏力Fの増大に応じて各液圧室44P,44Sの液圧は上昇する。ペダルストロークSの増大に応じて、両液圧室51P,51Sの液圧は互いに略同じ値で上昇する。
尚、プライマリ液圧室51Pの容積減少に伴うプライマリピストン54Pとセカンダリピストン54Sの接近は、ばね長制限機構561Pの第2円板部532Pがセカンダリピストン54Sの隔壁543に当接することで、規制される。セカンダリ液圧室51Sの容積減少に伴うセカンダリピストン54Sとシリンダ500のx軸正方向端の底部との接近は、ばね長制限機構561Sの第2円板部532Sが凹部500Aの底部に当接することで、規制される。このように、各ピストン54P,54Sが所定以上ストロークすること、言換えると、各コイルスプリング560が所定長さよりも縮む(圧縮量が上記所定量αよりも大きくなる)ことは、ばね長制限機構561により規制される。各液圧室51P,51Sの容積が減少する間、上記のように、ストローク増大機構57(蓋部581、コイルスプリング570)は、連通孔544を閉塞した状態に維持する。よって、マスタシリンダ5のタンデム性を維持することができる。すなわち、両液圧室51P,51S間のブレーキ液の流通が抑制されるため、仮に一方の系統でブレーキ液漏れが生じた場合でも、他方の系統でブレーキ液圧を発生させることができる。
尚、プライマリピストン54Pがセカンダリピストン54Sに対して所定量以上近づく(各コイルスプリング560が略フルストロークする)と、ばね長制限機構561Pのストッパ部材53P(第2円板部532P)が、第2リテーナ部材52Bの内周側に突出するロッド部580の先端(x軸負方向端)に当接し、ロッド部580をx軸正方向側へ押す(連通孔544から押し出す)ようになる。踏力Fによりストッパ部材53P(第2円板部532P)がロッド部580(閉塞部材58)をx軸正方向側へ押す力が、ストローク増大機構57のコイルスプリング570がリテーナ部材59(セカンダリピストン54S)に対して蓋部581(閉鎖部材58)をx軸負方向側へ付勢する力(と閉塞部材58の軸方向両端に作用する液圧差による力との合計)よりも大きければ、プライマリピストン54Pの作動に応じて蓋部581は隔壁543から離れ、隔壁543に対しx軸正方向側へ移動する。これにより、蓋部58による連通孔544の閉塞状態が解除され、連通孔544を介して両液圧室44P,44Sが連通するようになる。
しかし、プライマリピストン54Pがセカンダリピストン54Sに対してさらに近づく(コイルスプリング560Pがフルストロークする)と、ばね長制限機構561Pの第2円板部532Pがセカンダリピストン54Sの隔壁543に当接することで、連通孔544の開口が第2円板部532Pにより閉塞される。このため、連通孔544を介した両液圧室44P,44Sの連通が再び遮断される。よって、仮にP系統でブレーキ液漏れが生じ、コイルスプリング560Pがフルストロークした場合でも、連通孔544は第2円板部532Pにより閉塞されるため、マスタシリンダ5のタンデム性(タンデム型としての機能)は損なわれない。また、仮にS系統でブレーキ液漏れが生じ、コイルスプリング560Sがフルストロークした状態で、コイルスプリング560Pも略フルストロークした場合でも、連通孔544は第2円板部532Pにより早々に閉塞されるため、マスタシリンダ5のタンデム性は損なわれない。尚、第2円板部532Pによる連通孔544の閉塞性を向上するために第2円板部532Pのx軸正方向側の面にシール部材を設置することは妨げられない。
図3は、図2と同様の断面図であり、運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時におけるストローク増大機構57の作動状態を示す。ブレーキバイワイヤ制御時、液圧ユニット6の遮断弁21P,21Sが閉弁方向に制御され、マスタシリンダ5の各液圧室51P,51Sとホイルシリンダ8との連通が遮断される。この状態で、ポンプ7を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ圧を創生する。ストロークシミュレータ27は、マスタシリンダ5のプライマリ液圧室51Pから第1油路11Pへ流れ出たブレーキ液が第1シミュレータ油路16と開弁方向に制御されたストロークシミュレータ弁26を介して正圧室27a内部に流入することで、ペダルストロークSを創生する。具体的には、正圧室27aにおけるピストン270の受圧面に所定以上の油圧(マスタシリンダ圧)が作用すると、ピストン270がスプリング27bを押し縮めつつ背圧室27bの側に軸方向に移動し、正圧室27aの容積が拡大する。これにより、正圧室27a1にマスタシリンダ5(吐出ポート502P)から油路(第1油路11P及び第1シミュレータ油路16)を介してブレーキ液が流入すると共に、背圧室27bから第2シミュレータ油路17を介して吸入油路12へブレーキ液が排出される。正圧室27a1内の圧力が所定未満に減少すると、スプリング271の付勢力(弾性力)によりピストン270が初期位置に復帰する。ストロークシミュレータ27は、このようにスプリング271により反力を発生しつつマスタシリンダ5からのブレーキ液を吸入することで、ホイルシリンダ8の液剛性を模擬し、ペダル踏込み感を再現する。
このように、遮断弁21Pが閉弁方向に制御されているにも関わらず、プライマリ液圧室51Pからはストロークシミュレータ27へ向けてブレーキ液が流出する。これに対し、遮断弁21Sが閉弁方向に制御されているため、セカンダリ液圧室51Sからはブレーキ液が流出しない。よって、セカンダリピストン54Sは作動(x軸正方向側に変位)しないのに対し、プライマリピストン54Pは、運転者のブレーキ操作量(ペダルストロークS)に応じて、シリンダ500内をx軸正方向側へ作動する。このとき、踏力Fの増大に応じて各液圧室44P,44Sの液圧は上昇する。ペダルストロークSの増大に応じて、両液圧室51P,51Sの液圧は互いに略同じ値で上昇する。
プライマリピストン54Pが初期状態からx軸正方向に所定量γ(上記所定量αから、ストローク増大機構57のロッド部580が隔壁543のx軸負方向側へ突出する量βを差し引いた分)以上作動する(コイルスプリング560Pが略フルストロークする)と、ばね長制限機構561Pの第2円板部532Pが、ロッド部580に当接してこれをx軸正方向側へ押すようになる。これにより、上記のように、プライマリピストン54Pの作動に応じて蓋部58による連通孔544の閉塞状態が解除され、連通孔544を介して両液圧室44P,44Sが連通するようになる。このように、ストローク増大機構57のロッド部580は、ばね長制限機構561Pのストッパ部材53Pと共に、蓋部581による連通孔544の閉塞状態を解除する(シール)解除機構を構成する。ストロークシミュレータ27がブレーキ液を吸入可能(正圧室27aの容積が拡大可能)である間は、図3の一点鎖線の矢印に示すように、セカンダリ液圧室51Sのブレーキ液は貫通孔592や連通孔544を通ってプライマリ液圧室51Pに移動し、ストロークシミュレータ27へのブレーキ液の供給に用いられる。セカンダリ液圧室51Sのブレーキ液がプライマリ液圧室51Pに移動し、セカンダリ液圧室51Sのブレーキ液量が減少する分だけ、セカンダリピストン54Sが作動(x軸正方向側へストローク)する。このように両液圧室44P,44Sが連通するようになってからも、踏力Fの増大に応じて各液圧室44P,44Sの液圧は上昇する。ペダルストロークSの増大に応じて、両液圧室51P,51Sの液圧は互いに略同じ値で上昇する。
セカンダリピストン54Sが初期状態からx軸正方向に上記所定量αだけ作動すると、ばね長制限機構561Sにより、コイルスプリング560Sのそれ以上の圧縮、すなわちセカンダリ液圧室51Sの容積がそれ以上縮小することが規制される。このようにコイルスプリング560Sがフルストロークすると、セカンダリ液圧室51Sからプライマリ液圧室51Pへのブレーキ液の移動が終了する。ばね長制限機構561Pの第1円板部531Pは第1リテーナ部材52Aに固定されているため、第2円板部532Pがセカンダリピストン54Sの隔壁543に当接することで、セカンダリピストン54Sに対するプライマリピストン54Pの作動が規制される。すなわち、コイルスプリング560Pもフルストロークする。これにより、マスタシリンダ5からストロークシミュレータ27へのブレーキ液の流出が終了する。尚、ばね長制限機構561により各ピストン54の作動が規制されるようになる前に、別の構成により各ピストン54の作動を規制するようにしてもよい。例えばプッシュロッド3のフランジ部31の当接面310がハウジング本体50Aにおけるシリンダ500のx軸負方向側の開口部の周囲に当接するように設け、これにより各ピストン54の作動を規制するようにしてもよい。
図4は、運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時の、踏力Fに対するペダルストロークSの関係を示す特性図である。実線で本実施例の特性を示す。点線で、比較例の特性を示す。比較例は、ストローク増大機構57が設けられていない点を除き、本実施例と同様の構成である。Fがゼロから所定値F*に達するまでは、セカンダリピストン54Sは作動しない一方、プライマリピストン54Pが初期状態からx軸正方向に作動するため、Fの増大に対応してSが増大する(ブレーキペダル2の特性をストロークシミュレータ27で生成する)。比較例では、FがF*に達すると、プライマリピストン54Pが初期状態からx軸正方向に上記所定量αだけ作動する。このため、ばね長制限機構561Pにより、プライマリピストン54Pがセカンダリピストン54Sに対してそれ以上作動することが規制される。ストローク増大機構57が設けられていないため、FがF*以上になっても、セカンダリピストン54Sは作動しない。よって、プライマリピストン54Pがそれ以上作動できないため、FがF*以上の領域では、Sが(プライマリピストン54Pの作動量の上限に対応した)S*のまま増大しなくなる。言換えると、(容積が変わらない)プライマリ液圧室51Pからストロークシミュレータ27へブレーキ液を供給できなくなる。よって、図4に点線で示す特性となる。
これに対し、本実施例では、プライマリピストン54Pが初期状態からx軸正方向に所定量αに近い量γ以上作動すると、上記のようにストローク増大機構57が作動することで、セカンダリ液圧室51Sが容積を縮小(セカンダリピストン54Sが作動)可能になる。よって、FがF*以上になると、プライマリピストン54Pがセカンダリピストン54Sと共に作動するため、FがF*以上の領域でも、ブレーキペダル2のストロークが可能であり、Fの増大に応じてSが増大し続ける。言換えると、(容積が縮小する)セカンダリ液圧室51Sからのブレーキ液の供給により、(容積が略変わらない)プライマリ液圧室51Pからストロークシミュレータ27へさらなるブレーキ液量を供給可能となる。このように、本実施例では、セカンダリ液圧室51Sのブレーキ液を用いてストロークシミュレータ27へのブレーキ液の供給を継続することで、Sを継続的に増大可能としている。ストロークシミュレータ27に十分な容積があれば、両コイルスプリング560P,560Sがフルストロークする(ばね長制限機構561により両ピストン54P,54Sのストロークが制限される)まで、ブレーキペダル2がストローク可能である。よって、図4に実線で示す特性となる。
(遮断弁21P,21Sが閉弁方向に制御される)ブレーキバイワイヤ制御時、マスタシリンダ5においてストロークシミュレータ27に接続していない側の液圧室であるセカンダリ液圧室51Sを画成するセカンダリピストン54Sは、セカンダリ液圧室51Sからのブレーキ液の流出先がないため、作動(ストローク)しない。よって、ブレーキペダル2は、(ストロークシミュレータ27に接続している側の液圧室であるプライマリ液圧室51Pを画成する)プライマリピストン54Pの最大ストローク量とブレーキペダル2のレバー比との積の分しかストロークできない。このため、図4に示すFに対するSの関係特性が比較例(点線)のようになり、FがF*以上の領域では、Fが増大してもSが増大しなくなる。したがって、仮に、各ピストン54の最大ストローク量が、通常のマスタシリンダ、例えば負圧ブースタを備えたブレーキシステムで用いるマスタシリンダと同等に設定されていると、ドライバがショートストロークに感じてしまう。
これに対し、本実施例では、マスタシリンダ5にストローク増大機構57を設けた。具体的には、セカンダリピストン54Sにより分離される液圧室51P,51Sを連通する連通孔544を、セカンダリピストン54Sと並列に設けた。また、プライマリピストン54Pが軸方向に所定量γ以上作動する(コイルスプリング560Pが略フルストロークする)と、閉塞部材58(蓋部581)による連通孔544の閉塞状態を解除して液圧室51P,51Sを連通する解除機構(ロッド部580、ストッパ部材53P)を設けた。よって、運転者のブレーキ操作によりプライマリピストン54Pが軸方向に所定量γ以上作動すると、液圧室51P,51Sが互いに連通することで、(ストロークシミュレータ27に接続していない側の液圧室である)セカンダリ液圧室51Sが、プライマリ液圧室51Pを介して、ストロークシミュレータ27に接続するようになる。このため、セカンダリピストン54Sが作動(ストローク)可能になることから、ブレーキペダル2は、プライマリピストン54Pの最大ストローク量とブレーキペダル2のレバー比との積に加え、セカンダリピストン54Sの最大ストローク量とブレーキペダル2のレバー比との積の分だけ、ストロークすることができる。よって、F−S特性が図4の実線で示すようになり、FがF*以上の領域でも、Fの増大に応じてSが増大する。このようにS(の上限)を増大させることで、ドライバがショートストロークに感じてしまう事態を回避することができるため、ドライバへ与える違和感を抑制することができる。
また、プライマリピストン54Pが軸方向に所定量γ以上作動する(コイルスプリング560Pが略フルストロークする)までは連通孔544を閉塞した状態に維持するシール機構(蓋部581、コイルスプリング570)を設けた。よって、プライマリピストン54Pの作動量が上記所定量γ未満のときは、マスタシリンダ5のタンデム性を確立することができる。
尚、ストローク増大機構57を設ける代わりに、プライマリピストン54Pの最大ストローク量を通常のマスタシリンダよりも大きく設定することも考えられる。この場合、ブレーキバイワイヤ制御時に、セカンダリピストン54Sが作動しなくても、プライマリピストン54PのストロークのみでペダルストロークSを十分に確保することができる、とも考えられる。しかし、踏力ブレーキへの切り替え(電源失陥時等)に備えて、セカンダリ液圧室51Sからホイルシリンダ8b,8cへ十分なブレーキ液量を供給可能にしておくためには、セカンダリ液圧室51Sはある程度の容積を備えていることが必要である。言い換えると、セカンダリ液圧室51Sの軸方向寸法を抑制するには一定の限界がある。よって、プライマリピストン54Pの最大ストローク量を上記のように大きくすると、ハウジング50(シリンダ500)の軸方向寸法が増大し、マスタシリンダ5の軸長が長くなってしまうおそれがある。これに対し、本実施例では、プライマリピストン54Pの最大ストローク量を大きく設定するのではなく、ストローク増大機構57を設けることで、マスタシリンダ5の軸長を抑制しつつ、ドライバがショートストロークに感じてしまう事態を回避することができる。
尚、ストロークシミュレータ27をプライマリ液圧室51Pに接続する代わりに、セカンダリ液圧室51Sに接続することとしてもよい。この場合、ブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時、セカンダリピストン54Sが作動する一方、ストロークシミュレータ27に接続していないプライマリ液圧室51Pを画成するプライマリピストン54Pは、プライマリ液圧室51Pからのブレーキ液の流出先がないため、セカンダリピストン54Sに対して作動しない。よって、ドライバがショートストロークに感じてしまうという上記問題を生じる。これに対し、セカンダリピストン54Sにより分離される液圧室51P,51Sを連通する連通孔544をセカンダリピストン54Sと並列に設けると共に、セカンダリピストン54S(プライマリピストン54P)が軸方向に所定量作動すると連通孔544の閉塞状態を解除して液圧室51P,51Sを連通する解除機構を設ければ、本実施例と同様の作用効果を得ることができる。
尚、液圧室51P,51Sを連通する連通孔544は、セカンダリピストン54Sと並列に設けられていればよく、例えばハウジング50の側に連通孔544を設けてもよい。本実施例では、セカンダリピストン54Sの側に連通孔544を設けたため、構成を簡素化できる。具体的には、従来から存在する構成である隔壁543を軸方向に貫通するようにセカンダリピストン54Sに連通孔544を形成したため、構成をより一層簡素化できる。セカンダリピストン54Sに連通孔544を形成したことに伴い、(連通孔544を閉塞した状態に維持する)シール機構をセカンダリピストン54Sの有底孔541Sに内蔵することで、ハウジング50(マスタシリンダ5)の径方向寸法の増大を抑制することができる。言い換えると、セカンダリピストン54Sにストローク増大機構57を収容するようにしたため、マスタシリンダ5の大型化を抑制できる。
また、解除機構は、ピストン54が軸方向に所定量γ以上作動すると連通孔544の閉塞状態を解除できるものであればよい。例えば、ばね長制限機構561(の構成部品)以外の部品により解除機構を構成することとしてもよい。本実施例では、ロッド部580やストッパ部材53Pにより解除機構を構成したため、従来から存在するストッパ部材53P(ばね長制限機構561Pの構成部品)を流用することができることから、構成を簡素化できる。また、上記のようにセカンダリピストン54S(隔壁543)に形成した連通孔544内にロッド部580を挿入することで解除機構を構成したため、より一層簡素な構成で上記機能を達成することができると共に、マスタシリンダ5の大型化を抑制できる。尚、ばね長制限機構561Sの第1リテーナ部材52Aをシリンダ500(凹部500A)に設置し、第2リテーナ部材52Bをストローク増大機構57のリテーナ部材59(底部591)に設置する(ばね長制限機構561Sをx軸方向で逆向きに設置する)こととしてもよい。シール機構は、ピストン54が軸方向に所定量γ以上作動するまで連通孔544を閉塞した状態に維持できるものであればよい。例えば、コイルスプリング570によるばね力ではなく、磁石等による磁力を用いて、蓋部581を隔壁543に押し付けることとしてもよい。本実施例では、コイルスプリング570を用いてシール機構を構成したため、より簡便な構成で上記機能を達成することができる。
[実施例2]
まず、構成を説明する。液圧センサ91は、P系統ではなくS系統に設けられている。すなわち、図2に示す第1油路11Pには液圧センサ91が設けられておらず、第1油路11Sにおけるマスタシリンダ5(セカンダリ液圧室51S)と遮断弁21Sとの間に、この箇所の液圧(セカンダリ液圧室51Sの液圧)を検出する液圧センサ91が設けられている。
図5は、実施例2のマスタシリンダ5の、図2と同様の断面図である。本実施例では、ばね長制限機構561Sの構成が、実施例1と異なる。ばね長制限機構561Sの第1リテーナ部材52Aはシリンダ500のx軸正方向端(凹部500A)に設置され、フランジ部520Aが凹部500Aの底部に当接する。ばね長制限機構561Sの第2リテーナ部材52Bはストローク増大機構57のリテーナ部材59の底部591に設置され、フランジ部520Bが底部591に当接する。ばね長制限機構561Sにおいて、ストッパ部材53Sの第1円板部531Sは第1リテーナ部材52A内に固定設置され、第2円板部532Sは第2リテーナ部材52B内に移動可能に設置される。ばね長制限機構561Sの第2リテーナ部材52Bの底部523Bとストローク増大機構57のリテーナ部材59の底部591との間で第2円板部532Sが軸方向に移動可能な量は、ばね長制限機構561Pの第2リテーナ部材52Bの底部523Bとセカンダリピストン54Sの隔壁543との間で第2円板部532Pが軸方向に移動可能な量よりも、若干小さく設けられている。すなわち、上記所定量α、すなわちコイルスプリング560が上記最大長から圧縮可能な量は、P系統よりもS系統のほうが若干小さく設けられている。
ばね長制限機構561Sのストッパ部材53Sの第2円板部532Sには、シール機構ハウジング油路(貫通孔592)用シールとして、シール部材533が設置されている。具体的には、第2円板部532Sのx軸負方向側(ストローク増大機構57のリテーナ部材59の底部591に対向する側)の面には、その略中央に、有底円筒状の凹部534が設けられている。シール部材533は凹部534に嵌合するように設置されている。シール部材533は、例えばゴム等の弾性材料により形成されている。シール部材533は略円板状であり、その直径は、底部591の貫通孔592の径よりも若干大きい。シール部材533は、第2円板部532Sのx軸負方向側の面(における凹部534を取り囲む部分)よりもx軸負方向側に若干突出するように設置されている。他の構成は実施例1と同様であるため、共通する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。ストローク増大機構57が正常なときの、運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時におけるマスタシリンダ5(ストローク増大機構57)の作動状態は、実施例1と同様である。図5は、ストローク増大機構57(シール機構)が失陥した状態での、運転者のブレーキ操作に応じたブレーキバイワイヤ制御時におけるマスタシリンダ5の作動状態を示す。ストローク増大機構57の状態は、蓋部581がセカンダリピストン54Sの隔壁543から離れたまま閉塞部材58が固着した状態であり、これにより両液圧室44P,44Sが連通孔544を介して常時連通している。すなわち、ばね長制限機構561Pのストッパ部材53P(第2円板部532P)がストローク増大機構57のロッド部580のx軸負方向端に当接していなくても、閉塞部材58(蓋部581)による連通孔544の閉塞状態が解除されたままとなることで、連通孔544が閉塞不可能となる失陥(以下、これをシール機構の開固着という。)が発生している。
この場合、プライマリピストン54Pが初期状態からセカンダリピストン54Sに対しx軸正方向に所定量作動してストッパ部材53P(第2円板部532P)がストローク増大機構57のロッド部580に当接する前に、セカンダリ液圧室51Sのブレーキ液が貫通孔592や連通孔544を通ってプライマリ液圧室51Pに移動可能となっている。よって、この間、ブレーキ操作に応じて、プライマリピストン54Pとセカンダリピストン54Sの両方が作動する。ペダルストロークSの増大に応じて、両ピストン54P,54Sは略同じ割合で作動(x軸正方向側にストローク)し、両液圧室51P,51Sの容積は略同じ割合で減少する。セカンダリ液圧室51Sの容積の減少分に相当するブレーキ液量がプライマリ液圧室51Pに移動し、このブレーキ液量とプライマリ液圧室51Pの容積の減少分に相当するブレーキ液量との和が、ストロークシミュレータ27に向けて供給される。ペダルストロークSの増大に応じて、両液圧室51P,51Sの液圧は互いに略同じ値で上昇する。
ここで、上記所定量α、言換えるとコイルスプリング560が上記最大長から圧縮可能な量(すなわちコイルスプリング560のフルストローク量)は、P系統よりもS系統のほうが若干小さく設けられている。また、コイルスプリング560P,560Sの弾性係数は略等しい。よって、コイルスプリング560Pよりも先にコイルスプリング560Sの方が先にフルストロークする。すなわち、プライマリピストン54Pの最大ストローク量よりもセカンダリピストン54Sの最大ストローク量のほうが小さく設けられており、セカンダリピストン54Sに対するプライマリピストン54Pの作動が規制される前に、シリンダ500に対するセカンダリピストン54Sの作動が規制される。具体的には、ばね長制限機構561Sの第2円板部532S(シール部材533)がリテーナ部材59の底部591に当接する。これにより、底部591の貫通孔592の開口が、シール部材533によって閉塞される。よって、セカンダリ液圧室51Sから貫通孔592や連通孔544を介したプライマリ液圧室51Pへのブレーキ液の流通が終了する。このように、ばね長制限機構561Sのストッパ部材53Sは、シール部材533と共に、セカンダリピストン54Sのストローク量が最大になると貫通孔592を閉塞して両液圧室51P,51Sの連通を遮断する遮断機構(第2のシール機構)を構成する。
以後、コイルスプリング560Pがフルストロークするまで、プライマリ液圧室51Pのみの容積が縮小し、プライマリ液圧室51Pのみからブレーキ液がストロークシミュレータ27に向けて供給される。この間、ペダルストロークSの増大に応じて、プライマリ液圧室51Pの液圧は上昇を続ける一方、セカンダリ液圧室51Sの容積は変わらず、セカンダリ液圧室51Sからプライマリ液圧室51Pへのブレーキ液の流出や、プライマリ液圧室51Pからセカンダリ液圧室51Sへのブレーキ液の流入が抑制されるため、セカンダリ液圧室51Sの液圧は上昇せずに保持される。このため、コイルスプリング560Sのフルストロークを境に、液圧センサ91により検出される値が、増大から保持へ移行する。ECU100は、ペダルストロークセンサ90からのペダルストロークSと液圧センサ91からの液圧値とに基づき、シール機構の開固着の有無を判断する。
すなわち、仮に、P系統とS系統とでコイルスプリング560のフルストローク量が同じに設定されていた場合、シール機構の開固着が発生したとき、両コイルスプリング560がフルストロークするまで、ブレーキ操作に応じて、プライマリピストン54Pとセカンダリピストン54Sの両方が作動し続ける。この間、ペダルストロークSに対する両液圧室51P,51Sの液圧の変化特性は、シール機構の開固着が発生していないときと同様になる。よって、シール機構の開固着を検出するのが困難である。これに対し、本実施例では、コイルスプリング560のフルストローク量を、P系統よりもS系統のほうが小さくなるように設定した。よって、シール機構の開固着が発生し、両液圧室44P,44Sが連通してしまった場合に、コイルスプリング560Sの側が先にフルストロークする。これにより、以後、セカンダリ液圧室51Sの容積が変わらなくなるため、セカンダリ液圧室51Sの液圧が上昇しなくなる。よって、マスタシリンダ圧を検出するための液圧センサ91をS系統に設置しておけば、シール機構の開固着を検出することができる。尚、セカンダリピストン54Sのストロークを検出するストロークセンサや、両ピストン5の相対変位を検出するためのセンサを追加することでも、シール機構の開固着を検出することが可能である。しかし、これらの場合、センサを追加することでコストが増大するおそれがある。これに対し、本実施例では、センサを新たに追加することなく(従来からある液圧センサ91の位置を変更するだけで)シール機構の開固着を検出することができるため、コスト的に有利である。尚、実施例1のばね長制限機構561Sの第1リテーナ部材52Aと第2リテーナ部材52Bを入れ替えることで、容易に本実施例の構成を得ることができるため、この点でもコスト的に有利である。
また、コイルスプリング560Sがフルストロークしたときにシール機構ハウジング油路(貫通孔592)を閉塞するシール部材533を設けたことで、両液圧室51P,51S間のブレーキ液の流れをより確実に遮断することができる。よって、より確実にシール機構の開固着を検出することができる。尚、シール部材533の構成は上記に限らず、貫通孔592を液密に閉塞することができればよく、例えば第2円板部532と一体に形成されていてもよい。また、シール部材533を省略し、第2円板部532が貫通孔592を液密に閉塞するシール機能を担うこととしてもよい。その他、実施例1と同様の構成により実施例1と同様の作用効果を得る。
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、リンク式等の倍力装置をブレーキペダル2とマスタシリンダ5との間に設けてもよい。液圧ユニット6やECU100の具体的な構成は本実施例のものに限られない。
5 マスタシリンダ
50 ハウジング
500 シリンダ
51 液圧室
53P ストッパ部材(解除機構)
53S ストッパ部材(遮断機構)
533 シール部材(遮断機構)
54 ピストン
544 連通孔
58 閉塞部材
580 ロッド部(ロッド、解除機構)
7 ポンプ(液圧源)
8 ホイルシリンダ

Claims (4)

  1. ハウジング内に形成されたシリンダと、
    前記シリンダを2室に分離し、運転者のブレーキ操作に応じて作動するピストンと、
    前記ピストンと並列に設けられ、前記2室を連通する連通孔と、
    前記連通孔を閉塞する閉塞部材と、
    運転者のブレーキ操作により前記ピストンが前記シリンダ内を軸方向に所定量作動すると、前記閉塞部材による閉塞状態を解除して前記2室を連通する解除機構とを備えた
    ことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記連通孔は前記ピストンに形成されており、
    前記解除機構は前記連通孔内に挿入されたロッドである
    ことを特徴とするブレーキ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のブレーキ装置において、
    前記ピストンは2つ設けられており、
    前記2つのピストンのうち一方の最大ストローク量よりも他方の最大ストローク量のほうが小さく設けられ、
    前記他方のピストンのストローク量が最大になると前記2室の連通を遮断する遮断機構を備えた
    ことを特徴とするブレーキ装置。
  4. 運転者のブレーキ操作に応じて、マスタシリンダとは別に設けられた液圧源により車両の車輪に設けられたホイルシリンダに液圧を供給可能なブレーキバイワイヤシステムにおいて、
    前記マスタシリンダは、
    ハウジング内に形成されたシリンダと、
    前記シリンダを2室に分離し、運転者のブレーキ操作に応じて作動するピストンと、
    前記ピストンと並列に設けられ、前記2室を連通する連通孔と、
    前記連通孔を閉塞する閉塞部材と、
    運転者のブレーキ操作により前記ピストンが前記シリンダ内を軸方向に所定量作動すると、前記閉塞部材による閉塞状態を解除して前記2室を連通する解除機構とを備えた
    ことを特徴とするブレーキバイワイヤシステム。
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