JP2016036202A - 給電装置およびそのコントローラ、制御方法、それを用いた電子機器 - Google Patents

給電装置およびそのコントローラ、制御方法、それを用いた電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】プロセッサの異常を短時間で検出可能なUSB−PDコントローラを提供する。【解決手段】USB−PDコントローラ120は、USB(Universal Serial Bus)−PD(Power Delivery)規格に準拠した給電装置10に搭載され、バスライン4を介して受電装置20にバス電圧を供給する電源回路110を制御する。インタフェース回路122は、バスライン4を介して、受電装置20との間で通信する。プロセッサ124は、インタフェース回路122を利用して受電装置20との間でメッセージを送受信し、バス電圧VBUSの電圧レベルを決定する。ウォッチドッグタイマ128は、プロセッサ124が、受電装置20との間のpingメッセージの送受信に関するping関連命令を実行するたびにクリアされ、そのオーバーフロー周期がpingメッセージの周期より長く設定される。【選択図】図2

Description

本発明は、USB(Universal Serial Bus)給電装置に関する。
スマートホン、携帯電話、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、ポータブルオーディオプレイヤをはじめとする電池駆動デバイスは、充電可能な二次電池とともに、それを充電するための充電回路を内蔵する。充電回路には、USB(Universal Serial Bus)ホストアダプタからUSBケーブルを介して供給された直流バス電圧にもとづいて二次電池を充電するものが存在する。
現在、モバイル機器に搭載される充電回路は、USB Battery Charging Specificationと呼ばれる規格(以下、BC規格という)に準拠したものとなっている。ホストアダプタには、いくつかの種類が存在する。BC revision 1.2規格においては、チャージャの種類として、SDP(Standard Downstream Port)、DCP(Dedicated Charging Port)、CDP(Charging Downstream Port)が定義されている。そしてホストアダプタが供給できる電流(電流容量)は、チャージャの種類に応じて規定されている。具体的には、DCP、CDPでは1500mA、SDPでは、USBのバージョンに応じて100mA、500mA、900mAのように規定されている。
USBを利用した次世代の二次電池充電の方式、システムとして、USB Power Deliveryと呼ばれる規格(以下、PD規格という)が策定されている。PD規格では、供給可能な電力がBC規格の7.5Wから、最大100Wまで大幅に増大する。具体的にはPD規格では、USBバス電圧として、5Vより高い電圧(具体的には、12V、20V)の供給が許容されており、充電電流も、BC規格よりも大きな量(具体的には、2A,3A、5A)の供給が許容される。
特開2013−198262号公報 特開2006−60977号公報 特開2006−304500号公報
USB−PD規格に準拠した給電装置には、バス電圧を生成する電源回路に加えて、受電装置のとの間で、バスラインを介して通信するUSB−PDコントローラが搭載される。USB−PDコントローラは、受電装置との間で通信を行い、バス電圧の電圧レベルをネゴシエーションし電源回路を制御する。こうしたUSB−PDコントローラの制御シーケンスは、プログラムを実行するプロセッサにより管理される。
プロセッサの暴走を監視し、異常発生時にシステムをリセットするために、ウォッチドッグタイマ(WDT)が使用される。プロセッサが実行するプログラムは、所定のリセット周期、たとえば数秒ごとに1回、ウォッチドッグタイマをリセットするように記述される。ウォッチドッグタイマのオーバーフロー周期は、リセット周期より長く定められている。
プロセッサが正常動作する期間は、所定のリセット周期毎にウォッチドッグタイマがオーバーフローする前にリセットされることとなる。一方、プロセッサに何らかの異常が発生して暴走すると、ウォッチドッグタイマがリセットされず、オーバーフローし、異常が検出される。
プロセッサが暴走してからウォッチドッグタイマが異常検出するまでの数秒間は、システムは制御不能となる。給電装置においてシステムが制御不能となると、受電装置の耐圧を超えるような高電圧が数秒にわたり出力され続ける可能性があり、受電装置あるいは給電装置自身の信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、プロセッサの異常を短時間で検出可能なUSB−PDコントローラの提供にある。
本発明のある態様は、USB(Universal Serial Bus)−PD(Power Delivery)規格に準拠した給電装置に搭載され、バスラインを介して受電装置にバス電圧を供給する電源回路を制御するコントローラに関する。コントローラは、バスラインを介して、受電装置との間で通信するインタフェース回路と、インタフェース回路を利用して受電装置との間でメッセージの送受信を行い、バス電圧の電圧レベルを決定し、決定した電圧レベルを電源回路に設定するプロセッサと、プロセッサが、受電装置との間のpingメッセージの送受信に関するping関連命令を実行するたびにクリアされ、そのオーバーフロー周期がpingメッセージの周期より長く設定されたウォッチドッグタイマと、を備える。
USB−PD規格では、40msごとに、接続先の受電装置の存在を確認するために、給電装置がpingメッセージを発生する。このpingメッセージの送信には、プロセッサによるソフトウェア処理が介在するため、このソフトウェア処理と同時に、ウォッチドッグタイマをリセットすることにより、短時間でプロセッサの異常を検出できる。これにより、長時間にわたり高電圧や大電流が出力され続けるのを防止でき、システムの信頼性を高めることができる。
なお、本明細書における「USB−PD規格」とは、現在策定中のそれに限られず、将来において改変された規格、あるいはそれから派生して策定される次世代規格等も含む。
プロセッサは、pingメッセージの送信をインタフェース回路に対して指示するたびに、ウォッチドッグタイマにクリア命令を送信するよう構成されてもよい。
この場合、プロセッサが実行するプログラム中に、pingメッセージの送信に関するping関連命令と付随して、クリア命令を送信するステートメントを追加すればよいため、ハードウェア資源の増大を抑制できる。
ウォッチドッグタイマは、カウンタと、カウンタのカウント値を所定のしきい値と比較する判定部と、プロセッサが発生するクリア命令を受け、クリア命令を受けるとカウンタをリセットするクリア制御回路と、を含んでもよい。
プロセッサが実行するプログラムは、pingメッセージの送信をインタフェース回路に対して指示する第1ステートメントと、ウォッチドッグタイマに対してクリア命令を発生する第2ステートメントと、を隣接して含んでもよい。
ウォッチドッグタイマは、プロセッサからインタフェース回路に送信されるpingメッセージの送信指示に関する制御データを監視し、制御データが所定の条件を満たすときにクリアされてもよい。
この場合、プロセッサの処理は従来と同様でよいため、ソフトウェア負荷の増大を抑制できる。
ウォッチドッグタイマは、カウンタと、カウンタのカウント値を所定のしきい値と比較する判定部と、プロセッサがインタフェース回路に対して送信する制御データを監視し、制御データが所定の条件を満たすときに、カウンタをリセットするクリア制御回路と、を含んでもよい。
受電装置がUSB−PD規格に準拠していないとき、プロセッサは、所定の周期ごとにウォッチドッグタイマにクリア命令を送信するよう構成されてもよい。
コントローラは、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
回路を1つのICとして集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
本発明の別の態様は、給電装置に関する。給電装置は、第1電圧レベルを有する第1バス電圧と、第1電圧レベルよりも高い第2電圧レベルを有する第2バス電圧と、を出力可能に構成された電源回路と、第1バス電圧の経路上に設けられた第1スイッチと、第2バス電圧の経路上に設けられた第2スイッチと、電源回路、第1スイッチおよび第2スイッチを制御する上述のいずれかに記載のコントローラと、を備えてもよい。
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は上述の給電装置を備えてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、プロセッサの異常を短時間で検出できる。
実施の形態に係る給電装置を備える給電システムを示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る給電装置のブロック図である。 ウォッチドッグタイマの構成例を示すブロック図である。 プロセッサが実行するプログラムの一部を示す図である。 図5(a)、(b)は、図2の給電装置の動作波形図である。 第2の実施の形態に係る給電装置のブロック図である。 実施の形態に係る給電装置を備える電子機器を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図1は、実施の形態に係る給電装置10を備える給電システム1を示すブロック図である。給電システム1は、給電装置10および受電装置20を備える。
給電装置10および受電装置20はそれぞれUSB−PD規格に準拠している。受電装置20はたとえば携帯電話端末、タブレット端末、ノート型PC(Personal Computer)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電池駆動型の情報端末機器に搭載される。
受電装置20は、USBポート202、充電回路210、USB−PDコントローラ212、二次電池214、システム電源216、マイコン218、USBトランシーバ220、を備える。
二次電池214は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池であり電池電圧VBATを出力する。二次電池214のセル数は、受電装置20の種類に応じてさまざまである。電池電圧VBATは1セルの場合、略4.5V程度であり、2セルの場合、略9Vである。したがって給電装置10は、1セルの二次電池214を内蔵する受電装置20が接続される場合、5Vのバス電圧VBUSを供給すれば足りるが、2セル以上の二次電池214を内蔵する受電装置20に対しては、12Vあるいは20Vのバス電圧VBUSを供給する必要がある。
受電装置20のUSBポート202には、USBケーブル2を介してUSB(Universal Serial Bus)ホストアダプタである給電装置10が着脱可能となっている。
より具体的には、USBポート202のVBUS端子には、バスライン4を介して、給電装置100からの直流電圧(バス電圧、バスパワーともいう)VBUSが供給される。DP端子、DM端子は、USBケーブルのデータ線D+、D−と接続される。ID端子は本実施の形態では使用されない。GND端子は、GNDラインと接続される。
充電回路210は、バス電圧VBUSを受け、二次電池214を充電する。PD規格では、給電装置10と受電装置20の間で通信プロトコルが定められており、バスライン4を介して情報の伝達が可能となっている。この通信は、変調信号S1をバスライン4のバス電圧VBUSに重畳させる形で行われる。USB−PDコントローラ212は、バスライン4を介して給電装置10と通信するための通信部を含む。
マイコン218は、受電装置20全体を制御するホストプロセッサである。無線通信端末の場合、ベースバンドプロセッサやアプリケーションプロセッサがマイコン218に相当する。
システム電源216は、電池電圧VBATを昇圧または降圧し、受電装置20の各ブロックに対する複数の電源電圧を生成する。マイコン218には、システム電源216により生成される電源電圧VDDが供給される。
USBトランシーバ220は、給電装置10との間で、データ線D+、D−を介してデータの送受信を行う。
以上が受電装置20の構成の概要である。続いて、受電装置20に対してバス電圧VBUSを供給する給電装置10について説明する。
給電装置10は、USBポート102、電源回路110およびUSB−PDコントローラ120を備える。USBポート102には、USBケーブル2が接続される。電源回路110は、可変電圧源であり、5V、あるいは12〜20Vのバス電圧VBUSを生成し、バスライン4を介して受電装置20に供給する。
USB−PDコントローラ120は、電源回路110を制御する。具体的には、USB−PDコントローラ120は、バスライン4を介して、バス電圧VBUSに重畳された変調信号S1を利用して、受電装置20のUSB−PDコントローラ212と通信を行い、受電装置20に対して供給すべきバス電圧VBUSの電圧レベルをネゴシエーションする。また給電装置10が供給可能な電流をUSB−PDコントローラ212に通知し、USB−PDコントローラ212は充電回路210の充電電流を決定する。
以上が給電システム1の概要である。続いて実施の形態に係る給電装置10について詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る給電装置10のブロック図である。給電装置10は、電源回路110、USB−PDコントローラ120に加えて、フィルタ104、カップリングキャパシタ106を備える。
電源回路110は、DC電源112、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を含む。電源回路110は、第1電圧レベル(たとえば5V)を有する第1バス電圧VBUS1と、第1電圧レベルよりも高い第2電圧レベル(たとえば12〜20V)VBUS2を有する第2バス電圧と、を出力可能に構成される。第1スイッチSW1は、第1バス電圧VBUS1の経路上に設けられ、第2スイッチSW2は、第2バス電圧VBUS2の経路上に設けられる。第1スイッチSW1がオンの状態では、バスライン4に第1バス電圧VBUS1が出力され、第2スイッチSW2がオンの状態では、バスライン4に第2バス電圧VBUS2が出力される。電源回路110は、リニアレギュレータ、チャージポンプ回路、DC/DCコンバータなどで構成することができ、それらの構成は特に限定されない。
電源回路110とバスライン4の間には、LCフィルタ104が設けられる。フィルタ104は、バスライン4を介した通信に使用される変調信号S1が、ノイズとして電源回路110に混入するのを防止する。フィルタ104は、バスライン4と接地の間に設けられたキャパシタC11と、バスライン4と直列に設けられたインダクタL11と、を含む。
USB−PDコントローラ120は、バスライン4を介したネゴシエーションにもとづき、電源回路110の第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン、オフ状態およびDC電源112の出力電圧を制御する。
USB−PDコントローラ120は、インタフェース回路122、プロセッサ(CPU)124、メモリ126、ウォッチドッグタイマ128、電源制御部130、内部バス132、リセット回路134を備え、ひとつの半導体基板に一体集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。
USB−PDコントローラ120は、通信(COM)端子、スイッチ出力(SWOUT1)端子、SWOUT2端子、制御(CNT)端子を備える。COM端子は、カップリングキャパシタ106を介してバスライン4と接続され、変調信号S1が入出力可能となっている。SWOUT1,SWOUT2端子は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2それぞれのゲートと接続される。CNT端子は、DC電源112と接続される。
インタフェース回路122は、バスライン4を介して受電装置20との間で変調信号S1を送受信し、通信を行う。インタフェース回路122が受電装置20から受信したデータは、内部バス132を介してプロセッサ124に入力可能である。またインタフェース回路122は、またプロセッサ124が出力したデータを内部バス132を介して受け、そのデータを変調して、変調信号S1として受電装置20に出力する。
メモリ126には、プロセッサ124が実行すべき処理を記述したプログラムが格納されており、プロセッサ124はこのプログラムにしたがってさまざまな処理を実行する。具体的には、プロセッサ124は、インタフェース回路122を利用して受電装置20との間でメッセージの送受信を行い、またウォッチドッグタイマ128、電源制御部130、インタフェース回路122等を制御可能に構成される。
プロセッサ124は、受電装置20とのメッセージを用いたネゴシエーションにより、バス電圧VBUSの電圧レベルを決定する。そして、決定した電圧レベルを電源回路110に設定する。電源制御部130は、プロセッサ124が決定した電圧レベルに関するデータを内部バス132を介して受け、そのデータにもとづいて第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン、オフを切りかえるとともに、DC電源112の出力電圧を設定する。
またプロセッサ124は、受電装置20の接続の有無を確認するために、所定の周期Tping(40ms)ごとにインタフェース回路122にpingメッセージを送信させる。
ウォッチドッグタイマ128は、プロセッサ124が、受電装置20との間のpingメッセージの送受信に関するping関連命令(ステートメント)を実行するたびにクリアされる。ウォッチドッグタイマ128のオーバーフロー周期TOFは、pingメッセージの周期Tpingより長く設定される。たとえばオーバーフロー周期TOFは、50ms程度が好適である。ウォッチドッグタイマ128は、クリアされることなくオーバーフロー周期TOFが経過すると、リセット信号S4をアサート(たとえばハイレベル)する。
リセット回路134は、リセット信号S4がアサートされると、または、外部からのリセット信号S6がアサートされると、プロセッサ124をリセットし、給電装置10を再起動させる。
本実施の形態において、プロセッサ124は、pingメッセージの送信をインタフェース回路122に指示をするたびに、ウォッチドッグタイマ128にクリア命令S3を送信するよう構成される。
図3は、ウォッチドッグタイマ128の構成例を示すブロック図である。ウォッチドッグタイマ128は、クリア制御回路140、カウンタ142、判定部144を含む。クリア制御回路140は、プロセッサ124が書き込み可能なレジスタ141を含む。プロセッサ124は、そのレジスタ141に所定値を書き込むことでクリアフラグを立て、クリア命令S3を送信する。
カウンタ142は、クロックCKと同期してカウントアップする。クリア制御回路140は、レジスタ141の値を監視し、クリア命令S3を受けると、クリア信号S5をアサートしてカウンタ142のカウント値CNTをリセットする。判定部144は、カウンタ142のカウント値CNTを、オーバーフロー周期TOFに相当するしきい値OFと比較し、カウント値CNTがしきい値OFに達すると、リセット信号S4をアサートする。
図4は、プロセッサ124が実行するプログラムの一部を示す図である。
第1ステートメントst_1は、ping関連命令であり、プロセッサ124はこのステートメントを読み出すと、インタフェース回路122がアクセス可能なレジスタに、所定の制御データS2を書き込むことにより、pingメッセージの送信を指示する。インタフェース回路122は、レジスタに書き込まれた制御データS2をデコードし、バスライン4を介して受電装置20にpingメッセージを出力する。続いてプロセッサ124は、第2ステートメントst_2を読み出すと、ウォッチドッグタイマ128にクリア命令S3を送信する。
以上が給電装置100の構成である。続いてその動作を説明する。
図5(a)、(b)は、図2の給電装置100の動作波形図である。図5(a)は正常時の、図5(b)は異常時の動作を示す。縦軸はウォッチドッグタイマ128のカウンタ142のカウント値CNTを示す。図5(a)に示すように、プロセッサ124が正常に動作している間は、Tping=40msごとにカウンタ142がリセットされるため、カウンタ142のカウント値CNTはTOF=50msに相当するしきい値には到達せず、リセット信号S4はローレベル(ネゲート)されている。
図5(a)に示すように、プロセッサ124が正常に動作している間は、Tping=40msごとにカウンタ142がリセットされるため、カウンタ142のカウント値は50msのしきい値には到達せず、リセット信号S4はローレベル(ネゲート)されている。
図5(b)に示すように、プロセッサ124が暴走すると、ping周期Tpingでping関連命令(図4のst_1、st_2)が実行されず、ウォッチドッグタイマ128にクリア命令S3が送信されなくなる。その結果、カウント値CNTがしきい値OFに到達し、リセット信号S4がアサート(ハイレベル)される。
以上が給電装置10の動作である。
この給電装置10では、USB−PD規格において40msごとに生成されるpingメッセージに着目した。このpingメッセージの送信には、プロセッサ124によるソフトウェア処理が介在するため、このソフトウェア処理(図3のステートメントst_1)と同時に、ウォッチドッグタイマ128をリセットすることにより、短時間でプロセッサの異常を検出できる。これにより、従来のように数秒もの長時間にわたり高電圧や大電流が出力され続けるのを防止でき、システムの信頼性を高めることができる。
従来のアーキテクチャでは、プロセッサ124は、数秒のクリア周期ごとにウォッチドッグタイマ128をクリアするとともに、40msのping周期Tpingごとにpingメッセージを発生することとなる。つまり、プログラム上で、数秒のクリア周期と、40msのping周期の両方を管理する必要があった。これに対して、本実施の形態では、ping周期Tpingのみを管理すればよいため、制御を簡素化できる。
また、従来のアーキテクチャでも、クリア周期を短くすることで、理論的には、短時間でプロセッサ124の暴走を検出できる。しかしながらこの場合、プロセッサ124は、短いクリア周期の管理と、それとは別の短いping周期Tpingの管理を同時並列的に行う必要が生ずることとなり、消費電力が増大するという別の問題が生ずる。これに対して実施の形態に係る給電装置10では、ping周期Tpingのみを管理すればよいため、消費電力の増大の問題は生じない。
また本実施の形態では、プロセッサ124が、pingメッセージの送信をインタフェース回路122に対して指示するたびに、ウォッチドッグタイマ128にクリア命令S3を送信するよう構成した。これは、プロセッサ124が実行するプログラム中に、pingメッセージの送信に関するping関連命令st_1と付随して、クリア命令S3を送信するステートメントst_2を追加することで実現できるため、ハードウェア資源の増大はほとんどないと言える。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、プロセッサ124が、ウォッチドッグタイマ128に対してクリア命令S3を送信することとした。これは、図4に示すように、プログラム中にクリア命令S3を生成するステートメントst_2が追加されることを意味するため、処理サイクル数が増大していることとなる。給電装置10のアプリケーションによっては、処理サイクル数の増大が好ましくないこともある。第2の実施の形態では、プロセッサ124が実行するプログラムの処理サイクル数を増加させずに、ウォッチドッグタイマ128をリセットするアーキテクチャが採用される。
図6は、第2の実施の形態に係る給電装置10aのブロック図である。図6では、図2と重複する部分は省略されている。
ウォッチドッグタイマ128aは、プロセッサ124からインタフェース回路122に送信される、pingメッセージの送信指示に関する制御データS2を監視し、制御データS2が所定の条件を満たすときに、クリアされるよう構成される。
インタフェース回路122は、レジスタ150、デコーダ152、変調器154を含む。プロセッサ124は、レジスタ150に制御データS2を書き込むことにより、pingメッセージの送信を指示する。デコーダ152は、レジスタ150に書き込まれた制御データS2をデコードし、変調器154にpingメッセージに応じた変調信号S1を発生させる。
ウォッチドッグタイマ128aは、カウンタ142、判定部144、クリア制御回路140aを含む。カウンタ142、判定部144は、図3のそれと同様である。クリア制御回路140aは、インタフェース回路122に入力された制御データS2が所定の条件を満たすとき、言い換えればpingメッセージの送信が、インタフェース回路122に対して指示されたときに、クリア信号S5をアサートし、カウンタ142をリセットする。たとえばクリア制御回路140aは、インタフェース回路122のレジスタ150を監視し、レジスタ150に対して所定の順序で所定の制御データS2が書き込まれたときに、クリア信号S5をアサートしてもよい。
以上が第2の実施の形態に係る給電装置10aの構成である。
この給電装置10aによれば、第1の実施の形態と同様に、短時間でプロセッサ124の異常を検出できる。
それに加えて、インタフェース回路122に対する制御データS2の送信が、ウォッチドッグタイマ128aに対するクリア命令を兼ねている。すなわち、図4におけるプログラム中の、ウォッチドッグタイマ128のクリアのためのステートメントst_2が不要となるため、プロセッサ124が実行すべきサイクル数を減少させることができる。これにより、メモリ126の容量を減らすことができ、あるいはプロセッサ124の消費電力を低減できる。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(第1変形例)
給電装置10は、pingメッセージの他に、GoodCRCメッセージ、Acceptメッセージ、PS_RDYメッセージなどのメッセージを送信する。これらのメッセージを送信する間は、pingメッセージの送信は行わないため、一時的にpingメッセージの送信間隔が長くなる。このときの送信間隔が、オーバーフロー周期TOFより長いと、プロセッサ124が異常と誤検出されるおそれがある。そこでプロセッサ124は、pingメッセージに加えて、その他のメッセージを含むすべてのメッセージの送受信に関する関連命令を実行するたびに、ウォッチドッグタイマ128をクリアしてもよい。
(第2変形例)
給電装置10に対して、USB−PD規格に準拠していない受電装置20が接続されると、プロセッサ124がpingメッセージを発信しないことも想定される。そこで、プロセッサ124は、受電装置20がUSB−PD規格に準拠していないと判定すると、所定のクリア周期TCLRごとに、ウォッチドッグタイマ128にクリア命令S3を送信してもよい。この場合のクリア周期TCLRは、ping周期Tpingと同じ40msであってもよい。
(用途)
最後に、給電装置10の用途を説明する。図7は、実施の形態に係る給電装置10を備える電子機器500を示す図である。電子機器500はたとえばテレビ、ディスプレイ装置、デスクトップPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどである。電子機器500は、その筐体の内部に給電装置10を内蔵する。給電装置10は、USBケーブル2を介して、受電装置20を内蔵する電子機器600と接続される。電子機器600は、デジタルカメラやタブレットPC、スマートホン、ラップトップPCなどである。
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
1…給電システム、2…USBケーブル、4…バスライン、10…給電装置、102…USBポート、104…フィルタ、106…カップリングキャパシタ、110…電源回路、112…DC電源、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、120…USB−PDコントローラ、122…インタフェース回路、124…プロセッサ、126…メモリ、128…ウォッチドッグタイマ、130…電源制御部、132…内部バス、134…リセット回路、140…クリア制御回路、141…レジスタ、142…カウンタ、144…判定部、150…レジスタ、152…デコーダ、154…変調器、20…受電装置、202…USBポート、210…充電回路、212…USB−PDコントローラ、214…二次電池、218…マイコン、216…システム電源、220…USBトランシーバ、S1…変調信号、S2…制御データ、S3…クリア命令、S4…リセット信号、500,600…電子機器。

Claims (14)

  1. USB(Universal Serial Bus)−PD(Power Delivery)規格に準拠した給電装置に搭載され、バスラインを介して受電装置にバス電圧を供給する電源回路を制御するコントローラであって、
    前記バスラインを介して、前記受電装置との間で通信するインタフェース回路と、
    前記インタフェース回路を利用して前記受電装置との間でメッセージを送受信し、前記バス電圧の電圧レベルを決定し、決定した電圧レベルを前記電源回路に設定するプロセッサと、
    前記プロセッサが、前記受電装置との間のpingメッセージの送受信に関するping関連命令を実行するたびにクリアされ、そのオーバーフロー周期が前記pingメッセージの周期より長く設定されたウォッチドッグタイマと、
    を備えることを特徴とするコントローラ。
  2. 前記プロセッサは、pingメッセージの送信を前記インタフェース回路に対して指示するたびに、前記ウォッチドッグタイマにクリア命令を送信するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
  3. 前記ウォッチドッグタイマは、
    カウンタと、
    前記カウンタのカウント値を所定のしきい値と比較する判定部と、
    前記プロセッサが発生する前記クリア命令を受け、前記クリア命令を受けると前記カウンタをリセットするクリア制御回路と、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載のコントローラ。
  4. 前記プロセッサが実行するプログラムは、
    前記pingメッセージの送信を前記インタフェース回路に対して指示する第1ステートメントと、
    前記ウォッチドッグタイマに対してクリア命令を発生する第2ステートメントと、
    を隣接して含むことを特徴とする請求項2または3に記載のコントローラ。
  5. 前記ウォッチドッグタイマは、前記プロセッサから前記インタフェース回路に送信される、pingメッセージの送信指示に関する制御データを監視し、前記制御データが所定の条件を満たすときにクリアされることを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
  6. 前記ウォッチドッグタイマは、
    カウンタと、
    前記カウンタのカウント値を所定のしきい値と比較する判定部と、
    前記プロセッサが前記インタフェース回路に対して送信する前記制御データを監視し、前記制御データが所定の条件を満たすときに、前記カウンタをリセットするクリア制御回路と、
    を含むことを特徴とする請求項5に記載のコントローラ。
  7. 前記受電装置がUSB−PD規格に準拠していないとき、前記プロセッサは、所定の周期ごとに前記ウォッチドッグタイマにクリア命令を送信するよう構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコントローラ。
  8. ひとつの半導体基板に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のコントローラ。
  9. 第1電圧レベルを有する第1バス電圧と、前記第1電圧レベルよりも高い第2電圧レベルを有する第2バス電圧と、を出力可能に構成された電源回路と、
    前記電源回路を制御する請求項1から8のいずれかに記載のコントローラと、
    を備えることを特徴とする給電装置。
  10. 前記第1バス電圧の経路上に設けられた第1スイッチと、
    前記第2バス電圧の経路上に設けられた第2スイッチと、
    をさらに備え、
    前記コントローラは、前記電源回路に加えて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御することを特徴とする請求項9に記載の給電装置。
  11. 請求項9または10に記載の給電装置を備えることを特徴とする電子機器。
  12. USB(Universal Serial Bus)−PD(Power Delivery)規格に準拠した給電装置の制御方法であって、
    ウォッチドッグタイマのオーバーフロー周期を、受電装置に対するpingメッセージの送信周期より長く設定するステップと、
    プロセッサが、前記受電装置との間でメッセージを送受信し、前記受電装置に供給すべきバス電圧の電圧レベルを決定し、決定した電圧レベルを電源回路に設定するステップと、
    前記プロセッサが、前記受電装置との間のpingメッセージの送受信に関するping関連命令を実行するたびに前記ウォッチドッグタイマをクリアするステップと、
    を備えることを特徴とする制御方法。
  13. 前記ウォッチドッグタイマは、前記プロセッサが発生するクリア命令にもとづいてクリアされることを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
  14. 前記ウォッチドッグタイマが前記プロセッサから前記インタフェース回路に送信される、pingメッセージの送信指示に関する制御データを監視するステップをさらに備え、
    前記ウォッチドッグタイマは、前記制御データが所定の条件を満たすときにクリアされることを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
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