JP2016035865A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池スタックの作動停止中での空気の侵入に対してカソード極が劣化することを抑制する。【解決手段】燃料電池システムAは、水素ガス通路内のアノード極と、空気通路内のカソード極とを有し、アノード極の水素ガスとカソード極の空気中の酸素ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池スタック10と、空気通路入口に連結された空気供給管41と、空気通路出口に連結されたカソードオフガス管46と、カソードオフガスから窒素ガスを分離する窒素分離装置82と、分離された窒素ガスを蓄えるバッファタンク84と、バッファタンクとカソードオフガス管又は空気供給管とを連結する窒素供給管81とを備える。燃料電池スタックの作動中に、カソードオフガスから窒素ガスを分離しバッファタンクに蓄え、燃料電池スタックの作動停止中に、アノード極とカソード極との電位差の上昇速度が大きくなったとき、バッファタンクから空気通路へ窒素ガスを供給する。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。
水素ガス通路と、水素ガス通路内に設けられたアノード極と、空気通路と、空気通路内に設けられたカソード極とを有し、アノード極に供給される水素ガスとカソード極に供給される空気中の酸素ガスとの電気化学反応により電力を発生する燃料電池スタックと、空気通路の入口に連結された空気供給管と、空気供給管内に配置されたエア入口シャット弁と、空気通路の出口に連結されたカソードオフガス管と、カソードオフガス管内に配置されたエア出口シャット弁と、を備え、燃料電池スタックを作動停止すべきときには、エア入口シャット弁及びエア出口シャット弁が閉弁される、燃料電池システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
燃料電池システムでは、燃料電池スタックの作動停止中に、空気供給管及びカソードオフガス管を介してカソード極に空気が侵入すると、侵入した空気中の酸素ガスが電解質を透過してアノード極に拡散し、カソード極において好ましくなく電気化学反応が生じ、カソード極が劣化して発電性能が低下するおそれがある。そこで、特許文献1の燃料電池システムでは、空気供給管及びカソードオフガス管に気密性の高いエア入口シャット弁及びエア出口シャット弁を配置することで、燃料電池スタックの作動停止中に、空気がカソード極に侵入し難くなるようにしている。
しかし、特許文献1のようにシャット弁を設けたとしても、空気の侵入を完全に阻止するのは困難である。また、気密性が高いシャット弁は高価であるためコストが高くなってしまう。燃料電池スタックの作動停止中に空気の侵入がある場合でもカソード極の劣化を抑制する技術が望まれる。
本発明によれば、水素ガス通路と、前記水素ガス通路内に設けられたアノード極と、空気通路と、前記空気通路内に設けられたカソード極とを有し、前記アノード極に供給される水素ガスと前記カソード極に供給される空気中の酸素ガスとの電気化学反応により電力を発生する燃料電池スタックと、前記空気通路の入口に連結された空気供給管と、前記空気通路の出口に連結されたカソードオフガス管と、カソードオフガスから窒素ガスを分離する窒素分離装置と、前記窒素分離装置で分離された窒素ガスを蓄えるバッファタンクと、前記バッファタンクと前記カソードオフガス管又は前記空気供給管とを連結する窒素供給管と、を備え、前記燃料電池スタックの作動中に、前記窒素分離装置によりカソードオフガスから窒素ガスを分離して、分離された窒素ガスを前記バッファタンクに蓄え、前記燃料電池スタックの作動停止中に、前記アノード極に対する前記カソード極の電位差の上昇速度が予め設定された上限値よりも大きくなったときには、前記バッファタンクから前記窒素供給管を介して前記カソードオフガス管又は前記空気供給管へ窒素ガスを供給し、それにより前記空気通路へ供給する、燃料電池システムが提供される。
燃料電池スタックの作動停止中に空気の侵入がある場合でもカソード極の劣化を抑制することができる。
図1を参照すると、燃料電池システムAは燃料電池スタック10を備える。燃料電池スタック10は積層方向に互いに積層された複数の燃料電池単セルを備える。各燃料電池単セルは膜電極接合体20を含む。膜電極接合体20は膜状の電解質と、電解質の一側に形成されたアノード極と、電解質の他側に形成されたカソード極とを備える。カソード極は例えば白金粒子を担持したカーボン粒子から形成される。
複数の燃料電池単セルは直列又は並列に電気的に接続されている。燃料電池スタック10の電極はDC/DCコンバータ11を介してインバータ12に電気的に接続され、インバータ12はモータジェネレータ13に電気的に接続される。また、燃料電池システムAは蓄電器14を備えており、この蓄電器14はDC/DCコンバータ15を介して上述のインバータ12に電気的に接続される。DC/DCコンバータ11は燃料電池スタック10からの電圧を高めてインバータ12に送るためのものであり、インバータ12はDC/DCコンバータ11又は蓄電器14からの直流電流を交流電流に変換するためのものである。DC/DCコンバータ15は燃料電池スタック10又はモータジェネレータ13から蓄電器14への電圧を低くし、又は蓄電器14からモータジェネレータ13への電圧を高くするためのものである。図1に示される燃料電池システムAでは蓄電器14はバッテリから構成される。燃料電池スタック10のカソード極及びアノード極には、アノード極に対するカソード極の電位差をセル電圧として検出するセル電圧センサ16が電気的に接続される。図示されない別の実施例では、セル電圧センサ16は、燃料電池スタック10の複数の燃料電池単セルの各々について、アノード極に対するカソード極の電位差をセル電圧として検出する。図示されない更に別の実施例では、セル電圧センサ16は、燃料電池スタック10の複数の燃料電池単セルを代表する一つの燃料電池単セルについて、アノード極に対するカソード極の電位差をセル電圧として検出する。
また、燃料電池単セル内には、アノード極に水素ガスを供給するための水素ガス流通路と、カソード極に空気を供給するための空気流通路と、燃料電池単セルに冷却水を供給するための冷却水流通路とがそれぞれ形成される。複数の燃料電池単セルの水素ガス流通路、空気流通路、及び冷却水流通路をそれぞれ直列又は並列に接続することにより、燃料電池スタック10には水素ガス通路30、空気通路40、及び冷却水通路50がそれぞれ形成される。
水素ガス通路30の入口には水素ガス供給管31が連結され、水素ガス供給管31は水素ガス源である水素タンク32に連結される。水素ガス供給管31内には上流側から順に、遮断弁33と、水素ガス供給管31内の水素ガスの圧力を調整するレギュレータ34と、水素タンク32からの水素ガスを燃料電池スタック10に供給するための水素ガスインジェクタ35と、が配置される。一方、水素ガス通路30の出口にはアノードオフガス管36が連結される。遮断弁33が開弁され、水素ガスインジェクタ35が開弁されると、水素タンク32内の水素ガスが水素ガス供給管31を介して燃料電池スタック10内の水素ガス通路30内に供給される。このとき水素ガス通路30から流出するガス、すなわちアノードオフガスはアノードオフガス管36内に流入する。アノードオフガス管36内にはアノードオフガス管36内を流れるアノードオフガスの量を制御するアノードオフガス排出弁37が配置される。
また、空気通路40の入口には空気供給管41が連結され、空気供給管41は空気源である大気42に連結される。空気供給管41内には上流側から順に、エアクリーナ43と、空気を圧送する空気供給器ないしコンプレッサ44と、コンプレッサ44から燃料電池スタック10に送られる空気を冷却するためのインタークーラ45と、が配置される。一方、空気通路40の出口にはカソードオフガス管46が連結され、カソードオフガス管46にはマフラー90が連結される。コンプレッサ44が駆動されると、空気が空気供給管41を介して燃料電池スタック10内の空気通路40内に供給される。このとき空気通路40から流出するガス、すなわちカソードオフガスはカソードオフガス管46内に流入し、マフラー90から外部へ排出される。カソードオフガス管46内にはカソードオフガス管46内を流れるカソードオフガスの量又は燃料電池スタック10の空気通路40内の圧力を制御するカソードオフガス制御弁47が配置される。カソードオフガス管46のカソードオフガス制御弁47の下流側と、空気供給管41のインタークーラ45の下流側とは、空気バイパス管49により互いに連結される。空気バイパス管49の入口には空気バイパス制御弁48が配置される。空気バイパス制御弁48は、燃料電池スタック10を迂回して空気供給管41からカソードオフガス管46へ流れる空気の量を制御する。図1に示される燃料電池システムAでは空気バイパス制御弁48は三方弁から形成される。
カソードオフガス制御弁47上流側のカソードオフガス管46内にはカソードオフガスから窒素ガスを分離する窒素分離装置82が配置されている。窒素分離装置82には分離された窒素ガスを送出するための窒素供給管81が連結され、窒素供給管81には燃料電池スタック10近傍のカソードオフガス管46が連結される。図1に示される実施例では、窒素分離装置82は窒素分離膜を有する。窒素分離装置82は、窒素ガス、酸素ガス、水分などを含むカソードオフガスを供給され、窒素ガス及び酸素ガス・水分などのうちの一方が窒素分離膜を透過し、他方が窒素分離膜を透過しないことにより、高濃度の窒素ガスを得る。窒素供給管81には窒素分離装置82側から順に、窒素供給弁83と、窒素分離装置82で分離された高濃度窒素ガスを蓄えるバッファタンク84と、窒素送出弁85とが配置されている。窒素供給弁83及び窒素送出弁85はストップバルブや逆止弁に例示される。燃料電池スタック10の作動中、燃料電池スタック10からカソードオフガス管46へカソードオフガスが送出されるとき、カソードオフガス制御弁47及び窒素供給弁83が開弁され、窒素分離装置82によりカソードオフガスから窒素ガスと酸素ガス・水分などとが互いに分離され、高濃度窒素ガスが窒素供給管81を通りバッファタンク84に蓄えられ、酸素ガス・水分などが窒素分離装置82下流のカソードオフガス管46及びマフラー90を介して外部へ排出される。
図1に示される実施例では、コンプレッサ44の停止時に、わずかな空気がコンプレッサ44を通過可能になっている。また、空気バイパス制御弁48により空気バイパス制御弁48上流の空気供給管41が空気バイパス管49に接続されかつ空気バイパス制御弁48下流の空気供給管41が空気バイパス制御弁48上流の空気供給管41から遮断されたとしても、空気バイパス制御弁48を介してわずかな空気が空気バイパス制御弁48下流の空気供給管41内に侵入可能になっている。更に、カソードオフガス制御弁47を閉弁したときに、すなわちカソードオフガス制御弁47の開度を最小にしたときに、わずかな空気がカソードオフガス制御弁47を通過可能になっている。言い換えると、コンプレッサ44が停止され、空気バイパス制御弁48でコンプレッサ44と燃料電池スタック10とを連通させず、かつカソードオフガス制御弁47が閉弁されているときであっても、燃料電池スタック10の空気通路40は完全には封止されておらず、すなわち空気通路40には大気42及びカソードオフガス管46下流のマフラー90側から空気が侵入可能になっている。このような気密性の低いコンプレッサ44、空気バイパス制御弁48及びカソードオフガス制御弁47を用いると、燃料電池システムAのコストを大幅に低減することができる。
また、冷却水通路50の入口には冷却水供給管51の一端が連結され、冷却水供給管51の出口には冷却水供給管51の他端が連結される。冷却水供給管51内には冷却水を圧送する冷却水ポンプ52と、ラジエータ53とが配置される。ラジエータ53上流の冷却水供給管51と、ラジエータ53と冷却水ポンプ52間の冷却水供給管51とはラジエータバイパス管54により互いに連結される。また、ラジエータバイパス管54内を流れる冷却水量を制御するラジエータバイパス制御弁55が設けられる。図1に示される燃料電池システムAではラジエータバイパス制御弁55は三方弁から形成され、ラジエータバイパス管54の入口に配置される。冷却水ポンプ52が駆動されると、冷却水ポンプ52から吐出された冷却水は冷却水供給管51を介して燃料電池スタック10内の冷却水通路50内に流入し、次いで冷却水通路50を通って冷却水供給管51内に流入し、ラジエータ53又はラジエータバイパス管54を介して冷却水ポンプ52に戻る。
電子制御ユニット60はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス61によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)62、RAM(ランダムアクセスメモリ)63、CPU(マイクロプロセッサ)64、入力ポート65及び出力ポート66を具備する。上述のセル電圧センサ16の出力信号は対応するAD変換器67を介して入力ポート65に入力される。一方、出力ポート66は対応する駆動回路68を介してDC/DCコンバータ11、インバータ12、モータジェネレータ13、DC/DCコンバータ15、遮断弁33、レギュレータ34、水素ガスインジェクタ35、アノードオフガス排出弁37、コンプレッサ44、カソードオフガス制御弁47、空気バイパス制御弁48、窒素供給弁83、窒素送出弁85に電気的に接続される。ここで、図1に示される燃料電池システムAでは、電子制御ユニット60は、一方では車両操作者により操作されるイグニッションスイッチ70を介して電源72に電気的に接続され、他方では電子制御ユニット60の消勢時に一定時間間隔で電子制御ユニット60を一定時間に亘り起動するスイッチ回路71を介して電源72に接続する。
さて、燃料電池スタック10で発電を行うべきとき、すなわち燃料電池スタック10を作動すべきときには、遮断弁33、水素ガスインジェクタ35及びアノードオフガス排出弁37が開弁され、したがって水素ガスが燃料電池スタック10に供給される。また、コンプレッサ44が駆動され、空気バイパス制御弁48によりコンプレッサ44と燃料電池スタック10とが連通され、カソードオフガス制御弁47が開弁され、したがって空気が燃料電池スタック10に供給される。その結果、燃料電池単セルにおいて電気化学反応(H2→2H++2e−,(1/2)O2+2H++2e−→H2O)が起こり、電気エネルギが発生される。この発生された電気エネルギはモータジェネレータ13に送られる。その結果、モータジェネレータ13が車両駆動用の電気モータとして作動され、車両が駆動される。一方、例えば車両制動時にはモータジェネレータ13が回生装置として作動し、このとき回生された電気エネルギは蓄電器14に蓄えられる。
これに対し、燃料電池スタック10の作動を停止すべきときには、遮断弁33、水素ガスインジェクタ35及びアノードオフガス排出弁37が閉弁され、したがって燃料電池スタック10への水素ガスの供給及びスタックからの排出が停止される。また、コンプレッサ44が停止され、空気バイパス制御弁48により空気バイパス制御弁48上流の空気供給管41が空気バイパス管49に接続されかつ空気バイパス制御弁48下流の空気供給管41が空気バイパス制御弁48上流の空気供給管41から遮断され、カソードオフガス制御弁47が閉弁され、したがって燃料電池スタック10への酸素ガスの供給が停止される。なお、燃料電池スタック10の作動停止中にはアノード極とカソード極とは互いに短絡されている。
図2は、図1に示される燃料電池システムAにおいて、燃料電池スタック10の作動が停止される直前から停止された後のアノード極に対するカソード極の電位差であるセル電圧を示している。なお、図2に示される例では、アノード極の電位はゼロに保持されているので、セル電圧はカソード極の電位を示している。
図2においてX1で示されるタイミングでは、燃料電池スタック10は作動中である。この場合、電解質の一側にあるアノード極には水素ガスが供給されており、電解質の他側にあるカソード極には空気が供給されており、燃料電池スタック10では上述した電気化学反応が行われている。その結果、セル電圧CVはCV1となる。
次いで、図2においてX2で示されるように燃料電池スタック10の作動が停止されると、上述したように燃料電池スタック10への水素ガス及び空気の供給が停止される。燃料電池スタック10への水素ガス及び空気の供給が停止されても、アノード極に残存する水素ガス及びカソード極に残存する酸素ガスにより上述の電気化学反応ないし発電作用が継続されており、セル電圧CVは直ちに低下しない。ただし、残存水素ガス量及び残存酸素ガス量が次第に減少するので、図2にX3で示されるようにセル電圧CVは次第に低下する。また、残存酸素ガスの減少により、カソード極及びそれに連なる空気通路40、バイパス制御弁48下流の空気供給管41及びカソードオフガス制御弁47上流のカソードオフガス管46は大気圧に対して負圧になる。
次いで、残存水素ガスに対して残存酸素ガスが不足すると、発電作用が停止し、したがって図2にX4で示されるようにセル電圧がゼロとなる。このとき、アノード極にはわずかに水素ガスが残存している。また、残存酸素ガスの更なる減少により、カソード極及びそれに連なる空気通路40、空気供給管41及びカソードオフガス管46は大気圧に対して更に負圧になる。
燃料電池スタック10のカソード極に酸素ガスが存在しない限り、図2においてX5で示されるように、セル電圧CVはゼロに維持される。ところが、上述したように、図1に示される燃料電池スタック10では、燃料電池スタック10の停止時、すなわちコンプレッサ44の停止時に燃料電池スタック10の空気通路40内に空気が侵入し、したがってカソード極に空気が到達しうる。特に、残存酸素ガスの消費により、カソード極及びそれに連なる空気通路40、空気供給管41及びカソードオフガス管46が大気圧に対して負圧になっているため、空気が侵入し易くなっている。ただし、アノード極からカソード極へ透過する水素ガス量がカソード極に侵入する空気中の酸素ガス量の2倍(水素酸素比:2)よりも大きいときには、侵入した酸素ガスは水素ガスにより消費される。この際には、カソード極の電位は上昇せず、したがってセル電圧はゼロに維持される。
ところが、残存水素ガス量が次第に少なくなって透過する水素ガス量が減少し水素酸素比が2よりも小さくなると、空気がカソード極内に滞留し、電解質を透過してアノード極に到るようになる。その結果、アノード極にはわずかな水素と空気が存在し、カソード極には空気が存在することになる。このような状態では、カソード極が好ましくなく酸化され、したがって劣化するおそれがある。そのとき、カソード極が酸化されるにつれて、カソード極の電位が急激に上昇し、したがって図2においてX6で示されるようにセル電圧CVが急激に上昇する。
そこで図1に示される燃料電池システムAでは、燃料電池スタック10の作動停止中にセル電圧CVの上昇速度が予め設定された上限電圧上昇速度よりも大きくなったときには、カソード極の酸化が発生したと判断し、カソード極を保護するカソード極保護制御を行うようにしている。次に、図3〜図5を参照しながらカソード極保護制御について説明する。
カソード極保護制御は、空気通路40を介してカソード極へ窒素ガスを供給する制御である。ただし、窒素ガスはバッファタンク84に予め蓄えられた高濃度窒素ガスが用いられる。すなわち、窒素ガスは、図3に示すように、燃料電池スタック10が発電中で、窒素供給弁83が開弁され(窒素送出弁85は閉弁)、窒素分離装置82によりアノードオフガスから分離されてバッファタンク84へ蓄えられた高濃度窒素ガスである。そして、カソード極保護制御は、燃料電池スタック10の作動停止中、すなわちコンプレッサ44が作動停止され、カソードオフガス制御弁47が閉弁された状態で行われる。すなわち、セル電圧センサ16で計測されるアノード極に対するカソード極の電位差の上昇速度が予め設定された上限値よりも大きくなったときには、窒素送出弁85が開弁され(窒素供給弁83は閉弁)、図4に示すように、バッファタンク84から窒素供給管81を介して燃料電池スタック10近傍のカソードオフガス管46へ窒素ガスが供給され、それにより空気通路40へ窒素ガスが供給される。
具体的には、まず、燃料電池スタック10の作動停止中、図5の時間t1においてセル電圧CVが急激に上昇し始め、時間t2でその上昇速度vCVが上限電圧上昇速度vULよりも大きくなると、窒素送出弁85が一時的に開弁され、したがってバッファタンク84の窒素ガスがカソードオフガス管46に供給される。この場合、カソードオフガス制御弁47は閉弁状態に保持される。その結果、窒素ガスがカソードオフガス管46及び燃料電池スタック10内の空気通路40を介してカソード極に供給され、カソード極における酸素分圧が低下すると共に、電解質を拡散した窒素ガスによりアノード極における酸素分圧も低下する。それにより、カソード極の酸化反応が抑制され、セル電圧CVの上昇が停止し、やがて下降に転じる。図1及び図3の記載の実施例では、上昇速度vCVが上限電圧上昇速度vULよりも大きくなるとバッファタンク84の窒素ガスがカソードオフガス管46に供給される。図示されない別の実施例では、セル電圧CVが予め設定された閾値電圧より大きくなると、カソード極の酸化が発生したと判断され、バッファタンク84の窒素ガスがカソードオフガス管46に供給される。
このようにカソードオフガス管46を介してカソード極に窒素ガスが供給されると、セル電圧CVは次第に低下する。次いで、時間t3においてセル電圧CVが閾値電圧CVLLよりも小さくなると、空気通路40への窒素ガス供給が停止される。図2に示される実施例では、セル電圧CVの閾値電圧は0Vである。
以上のように、図1に示される燃料電池システムAでは、システム停止中にセル電圧CVが異常な上昇を示した場合、空気通路40へ窒素ガスを供給する。それにより、カソード極及びアノード極における酸素分圧を低下させて、カソード極の酸化反応を抑制し、カソード電位の異常な上昇を抑えて、カソード極の劣化を抑制できる。また、カソード保護制御が終了した後に、空気通路40、空気供給路41及びカソードオフガス管46に空気が再侵入するおそれがある。しかし、窒素ガスの供給により、空気通路40、空気供給路41及びカソードオフガス管46での負圧が解消されるため、コンプレッサ44やカソードオフガス制御弁47を介した空気の再侵入を抑制できる。また、空気の再侵入が抑制されているため、カソード電位の異常な上昇が発生するまでの時間を延長できる。それにより、燃料電池スタック10の劣化を長期的に抑制することができる。このように、図1に示される燃料電池システムAでは、燃料電池スタック10の作動停止中に空気の侵入がある場合でも、カソード極の劣化を抑制することができる。加えて、バイパス制御弁48から空気供給管41を通過して燃料電池スタック10の空気通路40へ流入した空気を、窒素ガスにより燃料電池スタック10外のバイパス制御弁48へ押し戻すことができる。
図6は上述したカソード極保護制御を実行するルーチンを示している。このルーチンは電子制御ユニット60が起動されるごとに1回だけ実行される。
図6を参照すると、ステップ100では、燃料電池スタック10が作動停止中であるか否かが判別される。燃料電池スタック10が作動中のとき(電動車両のイグニッションがオンのときを含む)には処理サイクルを終了する。燃料電池スタック10が作動停止中のときにはステップ100からステップ101に進み、時間をずらして複数回のセル電圧CVの測定が行われ上昇速度vCVが算出される。続くステップ102ではセル電圧CVの上昇速度vCVが上限電圧上昇速度vULよりも高いか否かが判別される。vCV≦vULのときには処理サイクルを終了する。vCV>vULのときにはステップ102からステップ103に進み、窒素ガスの供給が開始される。続くステップ104ではセル電圧CVが閾値電圧CVLL以下であるか否かが判別される。CV>CVLLのときには、CV≦CVLLになるまで窒素ガスの供給が続けられる。CV≦CVLLのときにはステップ105に進み、窒素ガスの供給が停止される。
図6を参照すると、ステップ100では、燃料電池スタック10が作動停止中であるか否かが判別される。燃料電池スタック10が作動中のとき(電動車両のイグニッションがオンのときを含む)には処理サイクルを終了する。燃料電池スタック10が作動停止中のときにはステップ100からステップ101に進み、時間をずらして複数回のセル電圧CVの測定が行われ上昇速度vCVが算出される。続くステップ102ではセル電圧CVの上昇速度vCVが上限電圧上昇速度vULよりも高いか否かが判別される。vCV≦vULのときには処理サイクルを終了する。vCV>vULのときにはステップ102からステップ103に進み、窒素ガスの供給が開始される。続くステップ104ではセル電圧CVが閾値電圧CVLL以下であるか否かが判別される。CV>CVLLのときには、CV≦CVLLになるまで窒素ガスの供給が続けられる。CV≦CVLLのときにはステップ105に進み、窒素ガスの供給が停止される。
次に、図7〜図9を参照して、別の実施例について説明する。
図7に示される燃料電池システムAは、窒素供給管81の連通する箇所が空気供給管41である点で、図1に示される燃料電池システムAと相違している。すなわち、図7に示されるように、窒素供給管81の一方の端には窒素分離装置82が連結され、他方の端には空気供給路41が連結されている。
燃料電池スタック10の作動中には、図8に示されるように、燃料電池スタック10からカソードオフガス管46へカソードオフガスが送出され、窒素分離装置82によりカソードオフガスから窒素ガスと酸素ガス・水分などとが互いに分離され、分離された窒素ガスが窒素供給管81を通りバッファタンク84に蓄えられ、分離された酸素ガス・水分などが窒素分離装置82下流のカソードオフガス管46及びマフラー90を通り外部へ排出される。
一方、燃料電池スタック10の作動停止中には、図9に示されるように、セル電圧センサ16で計測されるアノード極に対するカソード極の電位差の上昇速度が予め設定された上限値よりも大きくなったときには、バッファタンク84から窒素供給管81を介して燃料電池スタック10近傍の空気供給管41へ窒素ガスが供給され、それにより空気通路40へ窒素ガスが供給される。
この場合にも、図1に示される燃料電池システムAと同様の効果を得ることができる。
加えて、カソードオフガス制御弁47及びカソードオフガス管46を通過してマフラー90から燃料電池スタック10の空気通路40へ流入した空気を、窒素ガスにより燃料電池スタック10外のマフラー90へ押し戻すことができる。
加えて、カソードオフガス制御弁47及びカソードオフガス管46を通過してマフラー90から燃料電池スタック10の空気通路40へ流入した空気を、窒素ガスにより燃料電池スタック10外のマフラー90へ押し戻すことができる。
10 燃料電池スタック
41 空気供給管
46 カソードオフガス管
81 窒素供給管
82 窒素分離装置
84 バッファタンク
41 空気供給管
46 カソードオフガス管
81 窒素供給管
82 窒素分離装置
84 バッファタンク
Claims (1)
- 水素ガス通路と、前記水素ガス通路内に設けられたアノード極と、空気通路と、前記空気通路内に設けられたカソード極とを有し、前記アノード極に供給される水素ガスと前記カソード極に供給される空気中の酸素ガスとの電気化学反応により電力を発生する燃料電池スタックと、
前記空気通路の入口に連結された空気供給管と、
前記空気通路の出口に連結されたカソードオフガス管と、
カソードオフガスから窒素ガスを分離する窒素分離装置と、
前記窒素分離装置で分離された窒素ガスを蓄えるバッファタンクと、
前記バッファタンクと前記カソードオフガス管又は前記空気供給管とを連結する窒素供給管と、
を備え、
前記燃料電池スタックの作動中に、前記窒素分離装置によりカソードオフガスから窒素ガスを分離して、分離された窒素ガスを前記バッファタンクに蓄え、
前記燃料電池スタックの作動停止中に、前記アノード極に対する前記カソード極の電位差の上昇速度が予め設定された上限値よりも大きくなったときには、前記バッファタンクから前記窒素供給管を介して前記カソードオフガス管又は前記空気供給管へ窒素ガスを供給し、それにより前記空気通路へ供給する
燃料電池システム。
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CN116130707A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-05-16 | 上海氢晨新能源科技有限公司 | 燃料电池系统的控制方法、装置和燃料电池系统 |
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