JP2016034608A - 霧化溶剤吐出装置 - Google Patents

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昭親 青木
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喜久男 逢坂
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Abstract

【課題】従来の発振によって溶剤を霧化する装置は、風量を可変とし、霧化量を一定としていたので、風量とは無関係で、霧化溶剤を吐出しようとする空間の広狭に応じた時間がかかり、広空間では霧化量を多くして短時間で所定濃度とする、あるいは、狭空間では霧化量を少なくして溶剤の消費を抑えるといったような使用者の好みや使い方に対応させることができない点を改善する。【解決手段】霧化溶剤吐出装置1は、制御部10が、送出部(送風ファン7)からの風量を一定とするよう作動させると共に、発振部5の作動電圧を複数段階に変更できるよう制御する。【選択図】図7

Description

本発明は、広空間では霧化溶剤を短時間で所定濃度とする、あるいは、狭空間で霧化溶剤が所定濃度に達した後に溶剤の消費を抑制する、といった使用者の好みや使い方に対応させることができる霧化溶剤吐出装置に関する。
フィトンチッドと称される化学物質は、植物が傷つけられた際に該植物や樹木から発散・放出されるもので、微生物の活動を抑制する作用をもつ他、殺菌力を有している。昨今では、疑似的な癒しや安らぎの森林浴効果を得るために、自然界成分の分析のうえ得た人工的フィトンチッド溶剤の希釈液を例えば霧化あるいは噴霧するようになってきている。
例えば、特許文献1には、消臭剤水溶液を超音波発振にてミストに霧化し、超音波発振による霧化ミストを乗せた空気流を下方に向けて配置された超微粒子選択プレートに当て、3ミクロンを超える粗粒子ミストを自重にて落下させて空気流から除去することで、霧化ミストから3ミクロン以下の超微粒子ミストを選択して空気流と共に消臭すべき雰囲気中に吹き込むようにした消臭方法が示されている。
また、特許文献1には、上方部分に空気吹出口を有するハウジングと、ハウジング内に収納され、消臭剤水溶液を貯留し、下端に消臭剤水溶液の供給口を有する密閉構造の貯槽と、ハウジング内下方に収納され、貯槽の供給口が所定液面高さに配置されて貯槽から消臭剤水溶液が所定液面まで自然供給され、供給された消臭剤水溶液を超音波発振によって霧化する霧化槽と、ハウジング内の空気吹出口の背後に設けられ、空気吹出口に向けて空気を送給するファンと、ハウジング内に上下方向に延びて設けられ、霧化槽の主要液面と空気吹出口とに連通し、周壁が上方に向けて横断面積を減少させるように傾斜されて霧化槽の液面から飛散する飛沫を当てて自重にて落下させる一方、霧化槽から霧化飛散するミストをファンの空気流にて吸引させて実質的に凝集させることなく、1ミクロン以下の極超微粒子ミストを空気流に乗せるガイド槽と、超音波発振器及びファンを作動させる制御装置とを備えた消臭装置が示されている。
しかしながら、上記特許文献1では、ファンの時間当たりの回転数(風量=風の強さ)を強(高速回転)、中(中速回転)、弱(低速回転)で変え、超音波発振器による溶剤の霧化量は一定とされていたため、強、中、弱によらずその空間において吐出させる溶剤の量は一定であり、風が強いことにより遠くまで吐出できる程度の違いしかなかった。これを換言すれば、単位容積において霧化溶剤を一定の濃度とするには、強、中、弱によらず同じ時間かかるということである。
また、特許文献1は、ミストが「ファンの空気流にて吸引」されることで該吸引気流に乗って1μm以下の極超微粒子が外部に吐出されるのであるが、例えばファンの回転が強のとき、ファンの空気流よる吸引力(負圧)が高くなるので、このとき、1μm以下の極超微粒子のみならず、1μmより大きい粒子も吐出させる可能性があり、溶剤の意図する機能を果たさない可能性があると共に、ミスト吐出口付近で粒径の大きなミストが凝集して結露が生じる可能性がある。
特許第3067089号公報
本発明が解決しようとする問題は、従来では、ファンの回転数を調整可能で霧化量を一定としていたことにより、単位容積において霧化溶剤を一定の濃度とするには、強、中、弱によらず同じ時間かかる点、及びファンの回転が強のとき、1μmより大きい粒子も吐出させる可能性がある点、である。
上記課題を解決するため、本発明は、溶剤を収納したタンクと、このタンクから供給される溶剤を貯留する貯留部と、この貯留部に設けられ、該貯留部に貯留した溶剤を超音波発振により霧化する発振部と、この発振部で霧化された溶剤を内部で浮遊させて所定粒径の霧化溶剤を排出口から流出させる霧化槽と、この霧化槽の排出口から流出した所定粒径の霧化溶剤を外部に送り出す送出部と、全体を制御する制御部と、を備えた霧化溶剤吐出装置において、前記制御部が、前記送出部からの風量を一定とするよう作動させると共に、前記排出口から吐出される霧化量を増減させるべく、前記発振部の作動電圧を複数段階に変更できるよう制御することを主要な特徴とした。
本発明は、送出部の作動を一定化(固定化)して、霧化量を可変としたので、例えば霧化量が多くなる段階に変更すれば、広空間であっても霧化溶剤を短時間で所定濃度とすることができ、例えば霧化量が少なくなる段階に変更すれば、狭空間で霧化溶剤が所定濃度に達した後に溶剤の消費を抑制することができ、使用者の好みや使い方に対応させることができる。
また、本発明は、送出部の作動を一定化(固定化)しているので、送出部の風量(風圧)で、所定粒径を超える大きさの霧化溶剤が吐出されることが防止される。
本発明の霧化溶剤吐出装置の外観構成を示す分解斜視図である。 本発明の霧化溶剤吐出装置の図1のA−A線概略断面図である。 本発明の霧化溶剤吐出装置のダンパであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の断面図、である。 本発明の霧化溶剤吐出装置の他のダンパであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の断面図、である。 本発明の霧化溶剤吐出装置のさらに他のダンパであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の断面図、である。 本発明の霧化溶剤吐出装置の概略回路ブロック図である。 本発明の霧化溶剤吐出装置における制御部による動作フローチャートである。 霧化溶剤吐出装置の発振部において運転時間とオペアンプ入力電圧との関係のグラフであり、実線は本発明によるフィードバック信号線を設けた場合、破線はフィードバック信号線を設けていない場合、を示す。
本発明は、単位容積に応じて、又は使用に応じて、霧化溶剤の濃度を短時間で一定とするとするために霧化量を増やしたり、溶剤の消費量を抑えるために霧化量を減らしたり、することができるよう、また、風量で所定粒径より大径の粒径が吐出してしまうことのないように、制御部が、送出部からの風量を一定とするよう作動させると共に、排出口から吐出される霧化量を増減させるべく、発振部の作動電圧を複数段階に変更できるよう制御する形態として実施すればよい。
さらに、本発明は、上記において、全体作動開始時には発振部の作動電圧の複数段階のうち中央の段階が初期設定となるよう制御すれば、例えば初期設定が霧化量の増又は減設定で偏った状態から開始されることによる再設定の煩わしさが解消され、全体作動開始時に初期設定状態から、霧化量の増又は減のいずれにも調整でき、使用者の使い方に対応させやすい。
また、本発明は、変更設定された段階に応じた霧化量を各段階の間に応じた量となるように調整するためのダンパを、霧化槽内で貯留部の上方を覆うように装脱可能に設ければ、より一層の微調整が可能となり、使用者の好みや使用状況に対応させることができる。
さらに、本発明は、上記のダンパにおいて、周側面及び切頭天面に孔が形成されると共に少なくとも周側面の前記孔の開閉が可能なシャッタを備えれば、該シャッタの開閉量によりさらに微調整が可能となる。
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。本発明における霧化溶剤吐出装置1は、例えばハードウェア構成としては図1〜図5に示す構成とされている。なお、本実施例における霧化溶剤吐出装置1は、フィトンチッド溶剤を霧化吐出するに最適な構成とされている。2は、後述する制御部や、各部を設けた本体である。以下、このフィトンチッド溶剤を霧化した状態をミストと言う。
3は、本例では特にフィトンチッド溶剤を収納したタンクである。このタンク3は、ボトルのキャップを外してこのキャップ側を下方に向けて本体2に接続するようになっている。4は、本体2内部に設けられた供給路2aを介してタンク2から供給された溶剤をミストにするために貯留する貯留部である。
この貯留部4は、具体的には、本体2の上面においてタンク3を接続する部位と所定間隔を存して隣接した箇所に形成された窪みである。そして、上記供給路2aは、本体2内部においてタンク3からこの貯留部4までを接続している。貯留部4は、該貯留部4から霧化されて溶剤が消費される毎にタンク3から一定量だけ溶剤が供給されるようになっている。
5は、貯留部4の窪みの底部に設けられ、該貯留部4に貯留された溶剤を超音波発振により霧化する発振部である。この発振部5は、振動子を例えば約2.5MHzで振動させることで、フィトンチッド溶剤を1μm以下の粒径でミスト化する。
6は、貯留部4の上方を覆い、発振部5で霧化された溶剤を内部で浮遊させて所定粒径のミストを排出口から流出させる霧化槽である。霧化槽6は、有天筒状とされたカバー6Aによって外内部を区画することで形成されている。
カバー6Aは、側周面に後述送出ファン7からの風を導く送風路6aが上下方向に形成されており、天面において、送風路6aが設けられた側から直径方向に対向する方向にミスト送風路6bが、該天面に取り付けられる吹出キャップ6Bの裏面側と共に形成されている。
ミスト送風路6bは、吹出キャップ6Bの裏面に流路を形成する壁面6Baと、カバー6Aの天井部に形成された突部6Aaとで形成される隙間により形成される。カバー6Aの突部6Aaには、その流路中に、送風路6a側から順に、他溶剤充填凹部6Ab、空気流入孔6Ac、整流凸部6Ad、ミスト排出孔6Aeが形成されている。
他溶剤充填凹部6Abは、カバー6A内に連通しておらず、ここに例えばアロマ溶剤を充填することができるようになっている。空気流入孔6Acは、カバー6A内へ突出した円筒部の側周面の一部が切欠かれ、この切欠かれた部位から送風路6aの空気が該カバー6A内へ流入するようになっている。
整流凸部6Adは、平面視で二等辺三角形状とされた柱体とされ、二等辺で挟まれた辺部の中点部位が空気流入孔6Acの周縁に近設されており、この二等辺で挟まれた辺部に送風路6aからの空気が一部衝突してカバー6A内に該空気流入孔6Acを介して流入するようになっている。
ミスト排出部6Aeは、カバー6A内に充満し、浮遊する一定粒径のミストが、順次、空気流入孔6Acから流入した空気と共に、排出されるよう形成されている。このミスト排出部6Aeから排出されたミストは、上記整流凸部6Adの両側を通過した送風路6aからの空気によりミスト送風路6b外、すなわち外部へ排出される。
7は、本体2内に設けられ、送風路6aに向けて吸気した外気を加速させて送るための送風ファンである。この送風ファン7は、本体2内への配置上、シロッコファンが採用されている。
8は、タンク3の全体と、霧化槽6の一部を露出した状態で覆うフードである。このフード8を設けることで、全体がすっきりした外観となると共に、本体2上面の露出した部材を埃等から保護する役目を担っている。
9は、後述、設定された霧化量においてさらにその設定された霧化量について微調整を可能とするダンパである。このダンパ9は、霧化槽6(カバー6A)内において、貯留部4の部位で発振部5の上方空間を覆うように装着(及び脱着)可能とされ、図3〜図5に示す構成とされている。
ちなみに、ダンパ9を装着(脱着)するには、フード8、(吹出キャップ6Bと共に)カバー6Aを、順に本体2から外し、貯留部4を露出させた状態で、ダンパ9を載置(取外)し、本体2に対してカバー6A(及び吹出キャップ6B)、フード8を取り付ける手順で行われる。
ダンパ9は、貯留部4の部位で発振部5の上方空間を覆って該発振部5で発生したミストのうちの所定割合だけをミスト排出孔6Aeへ向かうよう、例えば切頭円錐筒状とされ、周側面に内外を貫通する孔9A、切頭天面に同様に内外を貫通する孔9Bが形成されている。
ダンパ9の孔9Aに関しては、図3〜図5に示すように様々な形状とすればよいが、いずれの形状においても、開口率は、後述する霧化量、例えば強設定の場合は(ダンパ9を設けていない場合)1時間あたり7gの溶剤を消費する(7g/h)、中設定の場合は5g/h、弱設定の場合は3g/hであるとした場合、ダンパ9を設けることで、1g/hだけ溶剤消費量が少なくなるような開口率としている。
一方、孔9Bは、切頭天面に窪みが形成され、この窪みの底部における平坦部周縁に等角度間隔で3箇所設けている。この孔9Bに関しても孔9Aとの総合的な開口率を満たすならば、形状や孔の数は限定しない。
このようにすることで、ダンパ9を設けた場合の強設定は、ダンパ9を設けていない強−中設定の間、中−弱設定の間、弱設定−オフの間、すなわち上記の設定であれば6g/hとなり、中設定であれば4g/h、弱設定の場合は2g/h、に微調整することができる。なお、ダンパ9外に出ないミストは、該ダンパ9内でミスト同士あるいはダンパ9内壁に衝突して粗粒化して貯留部4に戻ることとなるから、溶剤の消費は抑えられる。
また、ダンパ9を設けると、該ダンパ9を抜けたミストはほとんどが1μm以下であることから、霧化槽6(カバー6A)内において該ダンパ9外は澄んだ状態となり、粗粒のミストがミスト排出孔6Aeから排出されることを防止することができると共に、演出効果が向上する。
さらに、ダンパ9は、図示しないが、ダンパ9の外形に対し、大又は小寸法の相似形とされ、かつ孔9A及び9Bを設けていないシャッタを該ダンパ9に重ね、このシャッタを軸回転させることで、孔9A,9Bの開口量が調整可能となり、全開状態からさらに微調整を行うことができる。ただし、このシャッタは孔9A,9Bを全閉状態にできないように、ダンパ9のシャッタの軸回転軌道上にストッパを形成しておく。
続いて、霧化溶剤吐出装置1の電気系統の構成について説明する。制御部10は、本体2の内部において、基板10Aに設けられている。この制御部10に、以下の各電子素子及び回路並びに信号線が設けられている。なお、電源アダプタAは、制御部10の電源接続部20に接続されている。
貯留部4における供給路2aの溶剤が排出される部位より下側で、発振部5である振動子が位置する部位より上方には、本例では静電容量がしきい値以下である場合に溶剤が無いとして検知する液検知センサ11が設けられている。また、貯留部4の底部には霧化槽6の内部を照明してミスト発生状況を演出するための照明12(色の異なる照明12A,12B)が設けられている。
なお、本例における液検知手法は、上記の静電容量の変化を検知する手法に限らず、例えば液面(高さ)検知のフロートスイッチ、液面低下による出力電圧の変動を検知して振動子のオン・オフ制御するリミッタ回路、液体の有無を検知する超音波センサでもよいが、静電容量の変化を検知する手法であれば、最も誤動作が少なく、また、しきい値設定により適正なフィトンチッド溶剤であるか否かまで判別することもできるというメリットがある。
本例ではタンク3と霧化槽6を水平方向に並べて見る本体2の側面部位には、操作部13及び表示部14が設けられている。操作部13には、運転スイッチ13a、タイマ運転及びエコ運転を切り替える運転切替スイッチ13b、照明12のオン・オフ及び色を切り替える照明切替スイッチ13c、ミストの発生量を切り替えるミスト量切替スイッチ13dが設けられている。
表示部14には、運転表示14a、給液表示14b、3時間タイマ表示14c、エコ運転表示14d、ミスト量の、弱運転表示14e、中運転表示14f、強運転表示14g、が設けられている。
制御部10は、図6の回路ブロック図に示すように構成されている。電源は電源接続部20を介して、V1及びV2が供給される。マイクロコンピュー34には、液検知センサ11が接続された液検知回路35及び液検知センサのオン・オフ信号回路36、ミスト発生量切替スイッチ13dを構成する霧化量電圧設定回路37(弱設定VR38、中設定VR39、強設定VR40)が接続されている。
さらに、マイクロコンピュータ34には、発振部5の発振電圧供給回路41、送風ファンの運転回路42、発振部5の振動子駆動電圧信号線43及び運転回路44が接続されている。
運転回路44は、トランジスタQ1、チョークコイル45、ダイオード46、抵抗47、コンデンサ48、フィードバック信号線49、オペアンプ50、により構成されており、オペアンプ50に振動子駆動電圧信号線43とフィードバック信号線49とが接続されている。マイクロコンピュータ34と運転回路44とは、霧化設定電圧測定端子(−)51、霧化電圧設定測定端子(+)52を介して接続されている。
すなわち、本例では、振動子駆動電圧信号線43を、オペアンプ50の+入力に接続し、トランジスタQ1のエミッタに接続されたチョークコイル45のエミッタとグランド間の電圧をオペアンプ50の−入力に接続して、チョークコイル45のエミッタとグランド間の電圧が一定になるようにフィードバックさせている。
さらに、マイクロコンピュータ34には、照明12Aの運転信号線53、照明12Bの運転信号線54がそれぞれ接続されている。
また、マイクロコンピュータ34と、上述の液検知回路35とは液検知回路信号線55により、上述の液検知センサのオン・オフ信号回路36とは液検知回路のチェック信号線56により、接続されている。
さらに、マイクロコンピュータ34と、霧化量電圧設定回路37の、弱設定VR38とは弱設定信号線57により、中設定VR39とは中設定信号線58により、強設定VR40とは強設定信号線59により、各々接続されている。
また、マイクロコンピュータ34と、発振電圧供給回路41及び送風ファンの運転回路42並びに送風ファン7とは送風ファンの運転信号線60により接続されている。
その他、操作部13の、運転スイッチ13a、運転切替スイッチ13b、照明切替スイッチ13c、ミスト発生量切替スイッチ13d、及び、表示部14の、運転表示14a、給液表示14b、3時間タイマ表示14c、エコ運転表示14d、弱運転表示14e、中運転表示14f、強運転表示14g、は、それぞれ信号線61〜72によりマイクロコンピュータ34と接続されている。
上記構成において、マイクロコンピュータ34のROM(リード・オンリー・メモリ)には正常性確認部Pが蓄積されている。正常性確認部Pは、マイクロコンピュータ34における制御プログラムである。すなわち、本例の霧化溶剤吐出装置1には、正常性確認部Pにより機器全体を動作する制御部10を備えていることとなる。以下、霧化溶剤吐出装置1における全体動作について説明する。
制御部10の電源接続部20に電源が接続され、AC100Vが印可されると、上記各電子素子及び電気回路が動作を開始する準備がなされ、マイクロコンピュータ34は、全体制御用のプログラムを実行する。
このとき、マイクロコンピュータ34は、霧化溶剤吐出装置1に上記のように電源接続がなされた際に、最初に、正常性確認部Pが実行される。正常性確認部Pは、図7に示す手順で正常性を確認する。
マイクロコンピュータ34は、霧化溶剤吐出装置1が電源接続され、マイクロコンピュータ34における正常性確認部Pが実行されると(#1でYes)、マイクロコンピュータ34は、操作部13の各操作スイッチのショート(短絡)故障が無いかを確認する(#2)。
#2で、操作部13の各操作スイッチのいずれかに異常があれば(#2でYes)、マイクロコンピュータ34は正常性確認部Pにしたがって照明12Aを点滅させ(#3)、処理は#2へ戻る。このようにしておけば、操作部13の部位において短絡故障により作動しないことが把握できる。
#3の後、この状態を放置している場合は#2から#3をループして照明12Aが点滅し続け、このとき、何らかの要因で一時的なものであって正常に戻った場合、あるいは操作部13の異常が無い場合(#2でNo)は、処理は#4へ進む。
#4では、貯留部4に溶剤が有るかを液検知センサ11からの信号に基づいて確認する。溶剤が無い場合(#4でNo)、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにしたがって給液表示14bを点滅させる(#5)。
#4において、本例は、例えば液検知センサ11による液有り又は液無しの判断に関しては、発振部5(振動子)と液検知センサ11間の静電容量が3.6pF以下となった場合は液無しと、静電容量が3.6pFより高く34.6pF以下となった場合は液無しではないが少ないと、静電容量が252pF以上の場合は液有りと、各々判断する。
マイクロコンピュータ34は、液検知回路35に対してオン信号を送り、液検知センサ11と液検知回路35と通電し、液検知センサ11が液有りの信号を返すと、液検知回路信号線55はLowとなり、液有りと判断する(#4でYes)。一方、液検知センサ11が液無しの信号を返すと、液検知回路信号線55はHiとなり、マイクロコンピュータ34は液無しと判断し、給液表示14bを点滅させる(#4でNo)。
ちなみに、給液表示14bが点滅した(#5)後、すなわちマイクロコンピュータ34が液無しと判断しているとき、処理は#2に戻って#5までループし、溶剤の入ったタンク3をセットし、タンク3から溶剤が貯留部4に送られて所定量を満たす(静電容量が少なくとも3.6pFより高くなる)まで給液表示14bを点滅させ、液検知センサ11が液有りと判断したとき(#4でYes)、給液表示14bを消灯させる。
次に、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにしたがって液検知センサ11及び液検知回路35の正常性の確認を行う。#6に処理が進む場合は、#4で液有りを判断している場合であるが、#6では、マイクロコンピュータ34は、液検知センサのオン・オフ信号回路36からオフ信号を出力実行して、液検知センサ11と液検知回路35とを電気的に切り離し、疑似的に液無しが判断される状況とする。
マイクロコンピュータ34は、#6で液検知センサのオン・オフ信号回路36からオフ信号を出力し、液検知回路35は液検知回路信号線55がHiとなることを確認する。このとき、#4で液有りの際に液検知回路信号線55がLowとなり、#6において液検知回路信号線55がHiとなれば、正常と判断し(#7でYes)、処理は#11へ進む。
一方、#7で、液無し状態を検知できない、すなわち液検知回路信号線55がHiとならない場合は、確認すべく、マイクロコンピュータ34は、液検知センサのオン・オフ信号回路36からオフ信号を出力実行し(#8)、#6〜#9を5回繰り返したか否かを確認し(#9)、5回に満たない場合(#9でNo)は、#6へ戻って#9まで繰り返し、5回確認した(#9でYes)後、液検知センサ11・液検知回路35いずれか又は両方の故障として、照明12A、照明12Bを点滅させる(#10)。
マイクロコンピュータ34は、#10で照明12A、照明12Bが点滅している間、処理は#2まで戻り、#10までの処理を繰り返し、照明12A、照明12Bを点滅させ続ける。このように、液検知センサ11を含めて液検知回路35についての正常性を複数回確認することで、故障や誤動作又は正常であることの判断の信頼性が向上し、故障や誤判定を抑制することができる。
一方、上記#7で、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにより液検知センサ11及び液検知回路35が正常であることを確認すると(#7でYes)、該正常性確認部Pにより液検知センサのオン・オフ信号回路36からオン信号を出力し、常時監視状態としつつ(#11)、処理は#12へ進む。なお、該正常性確認部Pにより液検知センサのオン・オフ信号回路36からオフ信号を出力するのは、#6における故障のチェックのときだけである。
こうして各部のチェックを済ませて運転スイッチ13aが押されるまで待機状態となり(#12でNo)、運転スイッチ13aが押されると(#12でYes)、この場合、溶剤有無(液検知)の正常である状況なので、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにしたがい、運転表示14aと照明12Aを点灯させる。
続いて、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにしたがい、霧化電圧中設定信号線58、発振電圧供給回路41及び送風ファンの運転回路42から送風ファンの運転信号線60を介して信号が出力され、霧化電圧中設定信号線58からは霧化量電圧設定回路37の中設定VR39で設定された電圧が、発振電圧供給回路41を経て、振動子駆動電圧信号線43からオペアンプ50の+入力に印可される。
オペアンプ50の+入力に印可された霧化量電圧設定回路37の中設定VR39の電圧により、運転回路44のトランジスタQ1を例えば約2.5MHzで振動、すなわち発振部5を振動させ、同時にマイクロコンピュータ34は、中運転表示14fを点灯させる(#13)。
ここで、運転スイッチ13aが押された場合(#12でYes)に、初期設定として中設定VR39で作動する点について説明する。例えば、前回使用時の(強/中/弱いずれかの)設定を覚えておいてその設定から作動させることも、弱設定から作動させることも、可能であるが、そうすると、前者の場合は使用者が一旦初期設定の確認をしなくてはならなくなり不便であり、後者の場合は弱設定(デフォルトの最適設定)から回路的に霧化量を少なくする設定にできないという不具合がある。
よって、本発明では、運転スイッチ13aが押された場合は、初期設定として中設定で作動するようにしている。こうすることで、使用者が何もしなければ(何も考えることなく)、推奨される作動環境すなわち中設定で使用可能であり、使用に応じて強設定にも、弱設定にも変更が可能であり、溶剤の使用(消費)期間も中設定での時間(日数)で比較的安定し、よって、溶剤の消費期間の目安とすることができる。
つまり、本発明は、例えば広い空間であれば、運転スイッチ13aを押して霧化量が中設定で開始された後、強設定とすれば、当該空間において短時間で所定濃度とすることができ、その後、中又は弱設定として(あるいはダンパ9を装着して)、霧化吐出量を抑えることで、溶剤消費量を抑制することができ、効率よい使用が可能となる。
タンク3から供給されて貯留部4で貯留された溶剤は、上記発振部5の発振(振動)により霧化され、霧化槽6に充満する。一方、発振電圧供給回路41及び送風ファンの運転回路42から運転信号線60を介して信号が出力されているので、上記発振部5の発振と共に、送風ファン7が駆動され、取り込まれた外気が、カバー6Aの送風路6aにより空気流入口6Acを介して該カバー6A内に送られる。
カバー6A内に送られた外気は、該カバー6A内で充満するミストと共に、順次、ミスト排出孔6Aeから送出され、ミスト送風路6bに送られる外気と合流して吹き出しキャップ6Bから排出される。
なお、#13において、霧化溶剤吐出装置1は、運転スイッチ13aが操作された以降、一定時間経過するまでは、後述の操作部13の各操作スイッチにしたがって作動し、操作部13の操作スイッチに応じた表示部14の表示がなされる。
例えば、運転開始時の霧化量は上記のとおり、中設定とされているが、好みにより、例えばミスト発生量切替スイッチ13aを操作して強設定にすると、マイクロコンピュータ34は、強設定信号線59より霧化量電圧設定回路37へ信号が出力され、強設定VR40で設定された電圧が、発振電圧供給回路41を経て、振動子駆動電圧信号線43からオペアンプ50の+に入力されて、運転回路44により発振部5が当該設定に応じて振動して中設定より多くのミストが発生する。
同様に、ミスト発生量切替スイッチ13aを操作すると、一回押す毎に、順に中→強→弱→中…のように切り替えられ、このとき、表示部14の表示も中運転表示14f→強運転表示14g→弱運転表示14e→中運転表示14f…の順に操作に対応して表示も切り替わって点灯、消灯する。
なお、ミスト発生量切替スイッチ13aの操作では、上記のとおり、中→強→弱→中…のように切り替えられるが、さらに、強−中、中−弱、弱−オフの間の霧化量に微調整するには上述のダンパ9を用いればよい。ダンパ9を設けるには、一旦運転スイッチ13aを操作してオフとしたうえで、上記した手順にてダンパ9を設ける。
さらに、本発明の霧化溶剤吐出装置1は、上記のとおり、霧化量の強、中、弱を設けて、送風ファン7については風量が一定で調整を行わないので、送風ファン7が例えば強とした場合の風の強さ(風圧)で粗粒子のミストが吐出されるといった不具合が生じることがなく、また、(霧化量が少ないにもかかわらず)送風ファン7の強さが強であることによって霧化量が多いという使用者の誤解も生じにくくなる。
また、運転中、運転回路44において、トランジスタQ1は、動作継続に伴いトランジスタQ1自身の温度が上昇して電流増幅率(hfe)が上昇し、かつトランジスタQ1の温度上昇に伴ってチョークコイル45の電流も増加する。この結果、オペアンプ50の入力電圧が一定であっても発振部5の振幅が増大して、図8の破線で示すように、チョークコイル45に発生している電圧量がしだいに増加し、霧化量の設定は一定ながら霧化量が増加する。
そこで、本例では、チョークコイル45に発生した電圧をダイオード46、抵抗47、コンデンサ48を介してオペアンプ50の−入力にフィードバックさせ、チョークコイル45の電圧が振動子駆動電圧信号線43から供給される電圧とほぼ同じとなるように制御するようにしている。こうすることで、図8の実線に示すように時間が経過してもほぼ一定となり、霧化量が増加変動することを抑制することができる。
運転を継続すると、例えば本例では30分継続すると、マイクロコンピュータ34は、正常性確認部Pにしたがって、運転を一定時間(30分)継続したか否かを判断し(#14)、一定時間継続した場合(#14でYes)、送風ファンの運転信号線60を介して発振電圧供給回路41と送風ファンの運転回路42の動作を停止させ、発振部5と送風ファン7を停止させ(#15)、処理は溶剤の有無の検知(#4)へ戻る。
#15から#4へ戻って液検知と共に、液検知センサ11及び液検知回路35の誤動作確認、すなわち正常性の確認を一定時間毎に繰り返すことで、溶剤の有無だけでなく、液検知センサ11及び液検知回路35の誤動作や異常を確認でき、異常や誤動作があれば、そのまま使用が続けられることなく、報知されるので、空焚きに起因する大きなトラブルになることを防止することができる。
なお、運転スイッチ13aが操作され、その後、#14〜#4の処理を繰り返す間、#14の処理の度に、運転スイッチ13bが操作されて運転が停止されたか否かを判断するようにしており(#16)、運転が停止された場合(#16でYes)、運転を停止し(#17)、処理は#2へ戻る。
運転切替スイッチ13bが操作されなければ(#17でNo)、後述、タイマ設定時間が経過したか否かを判断し(#18)、タイマ設定時間が経過した場合(#18でYes)、運転を停止し(#19)、処理は#2へ戻る。一方、タイマ設定時間が経過していない場合(#18でNo)、処理は#20へ進む。ただし、タイマ時間が設定されていなくても、本例では、運転が8時間継続すると(#18でYes)、運転は停止される。
運転スイッチ13bが操作された後、運転切替スイッチ13bが操作されなければ、上記のとおり8時間継続すると運転が停止されるが、運転切替スイッチ13bが操作されると本例では3時間タイマが作動する。このとき、表示部14の3時間タイマ表示14cが点灯する。タイマ設定時間が経過すると(#18でYes)、運転が停止されると共に、3時間タイマ表示14cが消灯する。
#14,#16,#18でいずれもNoの場合は、処理は#20に進み、#4と同様の処理である液有り又は液無しを検知するようにしている。#20で液有りの場合(#20でYes)、処理は#14に戻り、#14,#16,#18,#20を繰り返す。つまり、#14〜#20を繰り返すことで一定時間毎に常時液量を確認していることになる。
一方、#20で液無しの場合(#20でNo)、給液表示14bを点滅させて(#21)、運転を停止し(#22)、処理は#2へ戻り、待機状態となる。
運転停止時は、全ての表示が消灯するが、電源が接続された状態で溶剤が不足しているなど各部に異常がある場合は、給液表示14bなどその異常部位に対応する表示が点滅する(#3,#5,#10,#21)。
また、運転切替スイッチ13bは、運転初期の無操作状態(8時間タイマ)から順に一回押す毎に3時間タイマ→エコモード運転→8時間タイマ…の順に切り替えることができる。エコモード運転は、通常運転を5分行い、次の5分は停止、すなわち発振部5と送風ファン7を停止させ、これを繰り返すというものである。エコモード運転時は、表示部14のエコ運転表示14dが点灯する。
なお、運転が切り替えられても、溶剤が無いことが検知された場合(#20でNo)や、液検知回路35及び液検知センサ11に異常が生じた場合、運転を停止し、異常部位の表示部14の点滅させる。
ちなみに、操作部13の照明切替スイッチ13cは、まず運転初期(照明切替スイッチ13cを無操作)には照明12Aが点灯し、一回操作すると、照明12Aが消灯して照明12Bが点灯し、もう一回操作すると、照明12Bが消灯して照明12Aと共に全消灯する。これにより、霧化槽6におけるミストと照明による演出効果が期待できる。
本発明は、フィトンチッド溶剤を霧化吐出する装置に限らず、あらゆる種類の溶剤を霧化吐出する装置に適用可能であり、例えば水を発振部により霧化して吐出するいわゆる加湿器や冷風器に採用しても有用である。
1 霧化溶剤吐出装置
2 本体
3 タンク
4 貯留部
5 発振部
6 霧化槽
6A カバー
7 送風ファン
9 ダンパ
9A 孔
9B 孔
10 制御部
11 液検知センサ
12 照明
13 操作部
14 表示部
34 マイクロコンピュータ
35 液検知回路
P 正常性確認部

Claims (4)

  1. 溶剤を収納したタンクと、このタンクから供給される溶剤を貯留する貯留部と、この貯留部に設けられ、該貯留部に貯留した溶剤を超音波発振により霧化する発振部と、この発振部で霧化された溶剤を内部で浮遊させて所定粒径の霧化溶剤を排出口から流出させる霧化槽と、この霧化槽の排出口から流出した所定粒径の霧化溶剤を外部に送り出す送出部と、全体を制御する制御部と、を備えた霧化溶剤吐出装置において、前記制御部が、前記送出部からの風量を一定とするよう作動させると共に、前記排出口から吐出される霧化量を増減させるべく、前記発振部の作動電圧を複数段階に変更できるよう制御することを特徴とする霧化溶剤吐出装置。
  2. 制御部は、全体作動開始時には発振部の作動電圧の複数段階のうち中央の段階が初期設定となるよう制御することを特徴とする請求項1記載の霧化溶剤吐出装置。
  3. 変更設定された複数の段階に応じた霧化量を各段階の間に応じた量となるように調整するためのダンパを、霧化槽内で貯留部の上方を覆うように装脱可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の霧化溶剤吐出装置。
  4. ダンパは、切頭円錐筒状とされ、周側面及び切頭天面に孔が形成されると共に少なくとも周側面の前記孔の開閉が可能なシャッタを有することを特徴とする請求項3記載の霧化溶剤吐出装置。
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