JP2016033916A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性と充放電効率に優れた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、前記電極体は更に、前記正極と前記負極との間に、金属酸化物粉末を含む層を有し、前記正極は、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物を含む。
Figure 2016033916

(式(1)中、X及びYは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、式(1)に含まれるX及びYの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、XとYが1つの金属原子を示す。nは、2以上10以下の整数である。)
【選択図】図1

Description

本開示は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池に関する。
非水電解質二次電池において、正極活物質と液状の非水電解質である電解液との発熱反応を抑制する難燃化剤として、含リン化合物を用いることが知られている。特許文献1には、リン酸エステルを電解液の総量に対して15質量%以上溶解させることで正極活物質と電解液との発熱反応を抑制することが開示されている。
特許第3131905号公報
本開示の一態様は、電池性能、特に難燃性と充放電効率とに優れた非水電解質二次電池を提供する。
本開示の一態様に係る非水電解質二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と非水電解質とを備え、前記電極体は更に、前記正極と前記負極との間に、金属酸化物粉末を含む層を有し、前記正極は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を含む。
Figure 2016033916

(式(1)中、X及びYは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、式(1)に含まれるX及びYの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合は、XとYが1つの金属原子を示す。nは、2以上10以下の整数である。)
本開示の一態様に係る非水電解質二次電池は、発熱反応を抑制し、電池性能、特に難燃性と充放電効率とに優れる。
本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池の正極の断面図である。
正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極に含まれる正極活物質と液状の非水電解質である電解液との発熱反応の抑制は、非水電解質二次電池の安全な使用という点で非常に重要である。特許文献1には、難燃性を向上させるためには、リン酸エステルを電解液の総量に対して15質量%以上使用すると記載されている。しかしながら、特許文献1に開示される技術では、電解液中に多量のリン酸エステルが溶解していることにより、電解液のイオン伝導度が低下し、また、負極表面においてリン酸エステルの還元反応が起こり、充放電効率が低下するおそれがある。
上記の知見に基づいて鋭意検討した結果、本発明者らは、以下に説明する各態様を想到するに至った。
本開示の第1態様に係る非水電解質二次電池は、例えば、正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、前記電極体は更に、前記正極と前記負極との間に、金属酸化物粉末を含む層を有し、前記正極は、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を含む非水電解質二次電池:
Figure 2016033916

(式(1)中、X及びYは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、式(1)に含まれるX及びYの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、XとYが1つの金属原子を示す。nは、2以上10以下の整数である。)である。
第1態様によれば、正極が上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物を含有していることにより、正極活物質と電解液との発熱反応を抑制し、且つ、リン酸エステルが電解液に溶解することに起因する充放電効率の低下を防止することができる。一方、上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物は親水性及び吸湿性が高いため、製造過程において当該リン酸エステル化合物に吸着されていた水が、当該電池の製造後に非水電解液中に拡散して、負極活物質との副反応を起こす結果、充放電効率が低下する可能性が考えられる。しかしながら、第1態様によれば、正極と負極との間に金属酸化物粉末を含む層を有することにより、リン酸エステル化合物に吸着されていた水を、その水が負極に到達する前にトラップし、負極における副反応を抑制することができる。その結果、非水電解質二次電池において、充放電効率を維持しながら、優れた難燃性を達成することができる。
第2態様において、例えば、第1態様に係る前記式(1)におけるX及びYの少なくとも一つが、Mg又はCaであってもよい。第2態様によれば、電解液に対する溶解性がより低下し、非水電解質二次電池の熱安定性を向上することができる。
第3態様において、例えば、第1態様又は第2態様に係る前記リン酸エステル化合物が、下記式(3)で表されるmyo−イノシトール−1,2,3,4,5,6−六リン酸の金属塩である非水電解質二次電池:
Figure 2016033916

(式(3)中、X〜X及びY〜Yは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、X〜X及びY〜Yの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、mが同じであるXとYが1つの金属原子を示す。mは1〜6のいずれかの整数である。)であってもよい。第3態様によれば、電解液に対する溶解性がより低下し、また、化学構造上の熱安定性が向上するため、非水電解質二次電池の熱安定性を向上することができる。
第4態様において、例えば、第1態様〜第3態様に係る前記金属酸化物粉末が酸化アルミニウムであってもよい。第4態様によれば、電池内環境における化学的安定性を向上することができる。
第5態様において、例えば、第1態様〜第4態様に係る前記金属酸化物粉末を含む層を前記正極と前記セパレータの間に有していてもよい。第5態様によれば、正極近傍でリン酸エステル化合物に吸着されていた水を効率的にトラップできる。
以下、本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池は、例えば正極及び負極がセパレータを介して巻回もしくは積層された電極体と、非水電解質とが外装体に収容された構成を有する。詳しくは後述するように、当該電極体は、正極と負極との間に金属酸化物粉末を含む層を有し、正極は、特定のリン酸エステル化合物を含む。以下に、非水電解質二次電池の各構成部材について詳述する。
[正極]
図1は、本開示の実施形態の一例である正極10の断面図である。正極10は、金属箔等の正極集電体20と、正極集電体20上に形成された正極活物質層22とで構成される。正極集電体20は、正極の電位範囲で安定な金属の箔、または正極の電位範囲で安定な金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。正極の電位範囲で安定な金属としては、アルミニウムを用いることが好適である。正極活物質層22は、正極活物質24の他に、導電剤26、結着剤28、及びリン酸エステル化合物30を含むことが好適である。正極活物質層22は、これらを混合して適当な溶媒でスラリー化し、当該スラリーを正極集電体20上に塗布した後、乾燥及び圧延して得られる層である。
正極活物質24は、アルカリ金属元素を含む遷移金属酸化物、または該遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の一部が異種元素によって置換された遷移金属酸化物を用いることができる。アルカリ金属元素には、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)等が挙げられる。これらのアルカリ金属元素の中でもリチウムを用いることが好ましい。遷移金属元素には、スカンジウム(Sc)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びイットリウム(Y)等からなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を用いることができる。これらの遷移金属元素の中でも、Mn、Co、Ni等を用いることが好ましい。異種元素としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)及びホウ素(B)等からなる群から選ばれる少なくとも1種の異種元素を用いることができる。これらの異種元素の中でも、Mg、Al、Zr、Ta、W等を用いることが好ましい。
このような正極活物質24の具体例には、アルカリ金属元素にリチウムを用いたリチウム含有遷移金属酸化物として、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiNi1−yCo(0<y<1)、LiNi1−y−zCoMn(0<y+z<1)、LiFePO等が挙げられる。正極活物質24は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電剤26は、正極活物質層22の電子導電性を高めるために用いられる。導電剤26には、導電性を有する炭素材料、金属粉末、金属酸化物、及び有機材料等が用いられる。具体的には、炭素材料としてアセチレンブラック、ケッチェンブラック、及び黒鉛等、金属粉末としてアルミニウム等、金属酸化物としてチタン酸カリウム、及び酸化チタン等、及び有機材料としてフェニレン誘導体等が挙げられる。これら導電剤26は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着剤28は、正極活物質24同士、及び正極活物質24と導電剤26との間の良好な接触状態を維持し、かつ正極集電体20の表面に対する正極活物質24等の結着性を高めるために用いられる。結着剤28には、フッ素系高分子、ゴム系高分子等を用いることができる。具体的には、フッ素系高分子としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはこれらの変性体等、ゴム系高分子としてエチレン−プロピレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。結着剤28は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)等の増粘剤と併用されてもよい。
リン酸エステル化合物30は、難燃性を有する粉体であって、電解液と正極活物質24との発熱反応の開始を遅らせ、且つ当該反応における発熱量を抑える反応抑制剤(難燃化剤)として機能する。このようなリン酸エステル化合物30は、少なくとも1つの金属原子を有する下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物である。
Figure 2016033916

(式(1)中、X及びYは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、式(1)に含まれるX及びYの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、XとYが1つの金属原子を示す。nは、2以上10以下の整数である。)
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、X及びYとして少なくとも1つの金属原子を有する。上記一般式(1)のX及びYにおける金属原子としては、電池性能に悪影響を及ぼさない金属原子であれば特に限定なく用いることができ、例えば、典型金属元素及び遷移金属元素に属する金属の原子が挙げられる。中でも、原子価が1価又は2価である金属原子が好ましい。原子価が1価又は2価である金属原子としては、例えば、Ca、Mg、Na、K及びZn等が例示でき、電解液に対する溶解性、熱安定性等の観点から、Ca及びMgが特に好ましい。
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物のX及びYにおける有機基とは、炭素原子を少なくとも1つ含む基であり、炭素−水素結合部分を含む有機基が好ましい。上記有機基が2個以上の炭素原子を含む場合は、炭素−炭素結合が単結合のみからなる飽和有機基であってもよいし、炭素−炭素結合が二重結合及び三重結合のうち少なくとも1つを含む不飽和有機基であってもよい。また、上記有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような有機基としては、例えば、炭素数が1〜10である、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基(好ましくはC3〜C10シクロアルキル基)、アリール基(好ましくはC6〜C10アリール基)、及びアラルキル基(好ましくはC7〜C10アラルキル基)等の有機基が挙げられる。有機基であれば特に限定はされないが、より好ましくは、1価又は2価の有機基である。X及びYが2価以上の有機基である場合、任意のX又はYと架橋基を形成してもよい。
また、一般的には、リン酸エステル化合物30においてリンの含有量が多いほど難燃性が向上すると考えられている。そのため一般式(1)において、nは2以上10以下であるが、場合によってnは11以上であってもよい。
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物において、n個の炭素原子は鎖状構造又は環状構造を構成する。上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が環状構造を有する場合、鎖状構造を有する場合に比べて溶媒和しにくくなり、電解液に対して難溶になると考えられる。そのため、上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が環状構造を有することが好ましい。環状構造を有するリン酸エステル化合物としては、下記一般式(2)で表されるイノシトール−1,2,3,4,5,6−六リン酸の金属塩が好ましく、構造安定性の観点から、下記一般式(3)で表されるmyo−イノシトール−1,2,3,4,5,6−六リン酸の金属塩がさらに好ましい。
Figure 2016033916

(式(2)中、X〜X及びY〜Yは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、X〜X及びY〜Yの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、mが同じであるXとYが1つの金属原子を示す。mは1〜6のいずれかの整数である。)
Figure 2016033916

(式(3)中、X〜X及びY〜Yは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、X〜X及びY〜Yの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、mが同じであるXとYが1つの金属原子を示す。mは1〜6のいずれかの整数である。)
一般式(1)〜(3)で表されるリン酸エステル化合物は、X及びYとして少なくとも1つの金属原子を有する。電解液に対する溶解性、熱安定性等の観点から、一般式(1)のX及びY又は一般式(2)もしくは(3)のX及びYがCa又はMgである、組成式CCaMg6−k24、0≦k≦6で表されるイノシトール−六リン酸の金属塩、特にmyo−イノシトール−六リン酸の金属塩を用いることが好ましい。ここでは、下記化学式(4)で表されるmyo−イノシトール−六リン酸のカルシウム・マグネシウム複塩(平均組成式:CCaMg24、分子量:872.6)を例示することができる。
Figure 2016033916
上記式(1)〜(4)で表されるリン酸エステル化合物は、例えば東京化成工業株式会社(製品コードP0410)及び築野食品工業株式会社等から入手することができる。
なお、電解液と正極活物質24との副反応として、充電時に、正極活物質24による電解液の酸化反応が起こると考えられる。この酸化反応は、発熱を伴う発熱反応であるため、電池内部の温度を上昇させる。この反応を効率良く抑制するためには、リン酸エステル化合物30を正極活物質24の近傍に存在させることが効果的である。
ゆえに、リン酸エステル化合物30は、正極10内に存在させることが好適であり、上記のように、例えば正極活物質24等とともに正極活物質層22に含有される。正極活物質層22は、例えば正極活物質24、導電剤26、結着剤28等を含む合剤スラリーを正極集電体20上に塗布して形成されるが、当該スラリーにリン酸エステル化合物30を添加することで、リン酸エステル化合物30が分散した正極活物質層22を形成することができる。或いは、正極10のエネルギー密度等を考慮し、セパレータの正極10の正極活物質層22と対向する面に、例えばリン酸エステル化合物30を含む分散液を塗布して、当該対向面にリン酸エステル化合物30を存在させてもよい。
リン酸エステル化合物30は、正極活物質層22内に留まるよう電解液に対して難溶であることが好ましい。難溶であることの指標としては、電解液に対する溶解度を用いた。
溶解度測定は、次のように実施した。まず、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを質量比3:3:4で混合させた非水溶媒を用意した。ここでは、この混合溶媒を電解液とした。この電解液10gを計りとり、そこにリン酸エステル化合物30を1g加え、25℃において十分に攪拌した。次に、電解液を濾過し、未溶解分の質量を測定することで、電解液に対する上記リン酸エステル化合物30の溶解量を求めた。リン酸エステル化合物30の電解液に対する溶解度(質量%)は、環境温度25℃においてリン酸エステル化合物30の溶解量(質量g)を電解液の質量(質量g)で除し、100を掛けた値を算出することで求めた。
リン酸エステル化合物30の電解液に対する溶解度は、0.1質量%以下であることが好ましい。溶解度の下限は特に制限はなく、溶解度が0質量%、すなわちリン酸エステル化合物30が電解液(非水溶媒)に不溶であることがより好ましい。
正極活物質層22におけるリン酸エステル化合物30の含有量は、正極における体積エネルギー密度に基づいて決定することが好適である。具体的には、正極活物質24の総量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。含有量が10質量%を超えると正極活物質層22のエネルギー密度低下を招く場合があり、0.1質量%未満であると難燃化剤としての十分な効果が得られない場合がある。なお、上記一般式(1)〜(3)で示されるリン酸エステル化合物は、電解液に対する溶解度が低いため、電解液中に溶出することなく正極活物質24の近傍に留まり、正極10における副反応を効果的に抑制できる。すなわち、電解液に可溶の難燃化剤を用いる場合に比べて、リン酸エステル化合物30の添加量が少量であっても、非水電解質二次電池に十分な難燃性を与えることができる。
非水電解質二次電池において、正極活物質層に含まれるリン酸エステル化合物30の含有量は、例えば下記の方法により測定することができる。非水電解質二次電池を解体し、電池外装体の中から正極を取り出し、取り出した正極を非水溶媒にて洗浄して電解液を除去した後、正極活物質層をかき採る。得られた正極活物質層を、発光分光分析法(ICP)、核磁気共鳴分光法(NMR)により分析することにより、非水電解質二次電池の正極活物質層に含まれるリン酸エステル化合物30を同定及び定量することができる。
[負極]
負極は、例えば金属箔等の負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質層とを備える。負極集電体には、アルミニウムや銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質の他に、結着剤を含むことが好適である。また、必要により導電材を含んでいてもよい。
負極活物質は、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出可能な材料であれば、特に限定なく用いることができる。このような負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、及びアルカリ金属を予め吸蔵させた炭素ならびに珪素等を用いることができる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。金属もしくは合金の具体例としては、リチウム(Li)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、リチウム合金、ケイ素合金、スズ合金等が挙げられる。負極活物質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質層に含まれる結着剤としては、正極10の場合と同様にフッ素系高分子、ゴム系高分子等を用いることができるが、ゴム系高分子であるスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、またはこの変性体等を用いることが好適である。結着剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤と併用されてもよい。
負極集電体には、負極の電位範囲でリチウムと合金を作らない金属の箔、または負極の電位範囲でリチウムと合金を作らない金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。負極の電位範囲でリチウムと合金を作らない金属としては、低コストで加工がしやすく電子導電性の良い銅を用いることが好適である。
[セパレータ]
セパレータは、正極と負極との間に配置されるイオン透過性及び絶縁性を有する多孔性フィルムが用いられる。多孔性フィルムとしては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータに用いられる材料としてはポリオレフィンが好ましく、セパレータがポリオレフィンのみからなるか、もしくは主成分(例えば95質量%以上)がポリオレフィンであることがより好ましい。具体的なポリオレフィンとしてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好適である。
[金属酸化物粉末を含む層]
本開示の実施形態の一例である非水電解質二次電池において、電極体は、正極と負極との間に、セパレータと独立した、金属酸化物粉末を含む層(以下、本明細書において「金属酸化物含有層」とも記載する。)を有する。金属酸化物含有層はイオン透過性を有し、好適には多孔質層である。金属酸化物含有層は、結着剤を含有することが好適であり、また、本開示の効果を妨げない範囲において、金属窒化物及び金属炭化物等の、金属酸化物以外の無機フィラーを含有していてもよい。本開示の非水電解質二次電池においては、正極と負極との間に金属酸化物含有層を有することにより、正極に含有されているリン酸エステル化合物に吸着されていた水を、その水が負極に到達する前にトラップし、負極における副反応を抑制することができる。
金属酸化物含有層に含まれる金属酸化物粉末としては、限定するものではないが、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム、酸化イットリウム及びチタン酸アルミニウム等の粉末が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。金属酸化物含有層に含まれる金属酸化物粉末としては、電池内環境における化学的安定性の観点から、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化チタンが好ましく、酸化アルミニウムがより好ましい。なお、本開示において、金属酸化物はいずれもそれらの水和物を含み、例えば、酸化アルミニウムはAl・HOの組成で示されるアルミナ1水和物(ベーマイト)等の酸化アルミニウムの水和物を含むものとする。
金属酸化物含有層に含まれる金属酸化物粉末及び無機フィラーは、塗工面の平滑性及び電解液と接する表面積の増加の観点から、一次粒子の体積平均粒径が1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。その下限は特に限定されるものではないが、例えば0.05μm以上であることが好ましい。
金属酸化物含有層に含有される結着剤は、正極10及び負極の場合と同様に、フッ素系高分子、ゴム系高分子等を用いることができる。具体的には、フッ素系高分子としてPTFE、PVdF、またはこれらの変性体等が挙げられ、ゴム系高分子としてエチレン−プロピレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、SBR等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、結着剤はCMC、PEO等の増粘剤と併用されてもよい。結着剤の含有量は、金属酸化物含有層の総量に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。結着剤の含有量が10質量%を超えると結着剤が金属酸化物粉末の表面を覆い、電解液との接触面が減少し、リン酸エステル化合物に吸着していた水をトラップする機能が低下する場合があり、0.1質量%未満であると結着剤の効果が発揮されない場合がある。
電極体において、金属酸化物含有層は、正極、負極及びセパレータの少なくとも1つの表面に設けてもよく、また、正極、負極及びセパレータのいずれからも独立したシートとして、正極と負極との間に介在していてもよい。金属酸化物含有層は、1層だけでもよく、複数層であってもよい。金属酸化物含有層は、正極とセパレータとの間に設けることが好ましい。これにより、負極へ到達する水を正極近傍で効率的に水をトラップできるためである。
金属酸化物含有層は、例えば、上記の金属酸化物粉末、結着剤及び必要により無機または有機フィラーからなる原料を、正極、負極及びセパレータの少なくとも1つの表面上にキャストして設けることができる。より具体的には、金属参加粉末及び結着剤等の原料を、液状成分と混合してペースト又はスラリーを調製し、これを正極、負極及びセパレータの少なくとも1つの表面上に塗布し、その後、液状成分を乾燥により除去する。上記原料と液状成分との混合は、例えば双椀式練合機を用いて行い、上記ペースト又はスラリーの塗布は、例えばドクターブレードやダイコートを用いて行うことができる。
独立したシート状の金属酸化物含有層は、例えば、下記のようにして製造することができる。上記と同様に、金属酸化物粉末及び結着剤等の原料を液状成分と混合してペースト又はスラリーを調製し、これを平坦な基材上に塗着し、その後、液状成分を乾燥により除去する。次に、金属酸化物粉末及び結着剤を含有する金属酸化物含有層からなるシートを、基材から剥離することにより、シート状の金属酸化物含有層が得られる。このようにして製造されたシート状の金属酸化物含有層を、正極と負極との間、例えば、正極とセパレータとの間、又は、負極とセパレータとの間に、金属酸化物含有層からなるシートを配置して、非水電解質二次電池を製造すればよい。このときの基材としては、例えばガラス板やステンレス鋼(SUS)製の板が挙げられる。
金属酸化物含有層は、その層厚が1〜10μmであることが好ましく、3〜5μmがより好ましい。金属酸化物含有層が薄すぎると、金属酸化物含有層で水を捕捉する効果が十分に得られない場合がある。一方、金属酸化物含有層が厚くなり過ぎると、金属酸化物含有層が脆くなる場合があり、また、電極体のエネルギー密度が低下する場合がある。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解する電解質塩とを含む。非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、及び、ジメチルホルムアミド等のアミド類、並びに、これらの化合物における水素原子をフッ素原子等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体が挙げられる。これらは、1種類で使用してもよく、また2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。
上記環状カーボネート類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、ECが特に好ましい。上記鎖状カーボネート類の例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、DMC、EMCが特に好ましい。
上記カルボン酸エステル類の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。上記環状エーテル類の例としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等が挙げられる。上記鎖状エーテル類の例としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等が挙げられる。
好適な非水溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DMC)を含む組み合わせが挙げられる。この場合、EC、EMC及びDMCの含有量は、非水溶媒の総量に対して、それぞれ10〜40質量%、15〜45質量%、及び20〜50質量%が好ましい。
電解質塩としては、アルカリ金属塩を用いることができ、リチウム塩が好ましい。リチウム塩には、従来の非水電解質二次電池において支持塩として一般に使用されているものを用いることができる。具体例としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO)(l,mは1以上の整数)、LiC(C2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(p,q,rは1以上の整数)、Li[B(C](ビス(オキサレート)ホウ酸リチウム(LiBOB))、Li[B(C)F] 、Li[P(C)F]、Li[P(C]等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種類で使用してもよく、また2種類以上組み合わせて使用してもよい。
非水電解質には、正極または負極上に良好な被膜を形成させる等の目的で用いられる添加剤を含有させることができる。添加剤には、ビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、及びこれらの変性体等を用いることができる。添加剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電解液に占める添加剤の割合は、特に限定されないが、電解液の総量に対して0.05〜10質量%程度が好適である。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本開示をより具体的に詳細に説明するが、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。以下では、難燃化剤の効果を評価するため、実施例1〜2及び比較例1〜3に用いる非水電解質二次電池を作製した。非水電解質二次電池の具体的な作製方法は以下の通りである。
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質としては、組成式LiNi0.35Co0.35Mn0.3で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を用いた。正極は、次のようにして作製した。まず、組成式LiNi0.35Co0.35Mn0.3で表される正極活物質が92質量%、導電剤であるアセチレンブラックが5質量%、結着剤であるポリフッ化ビニリデン粉末が3質量%となるよう各成分を混合し、合剤を得た。この合剤に上記式(4)で表されるmyo−イノシトール−六リン酸カルシウム・マグネシウム複塩を合剤に対して3質量%混合し、これをさらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液と混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム製の正極集電体の両面にドクターブレード法により塗布して正極活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、正極を作製した。
[負極の作製]
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、及び表面を非晶質炭素で被覆した人造黒鉛の3種類を用意し、各種ブレンドしたものを用いた。負極は次のようにして作製した。まず、負極活物質が98質量%と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)が1質量%、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)が1質量%となるよう混合し、これを水と混合してスラリーを調製し、このスラリーを厚さ10μmの銅製の負極集電体の両面にドクターブレード法により塗布して負極活物質層を形成した。
アルミナ粉末(体積平均粒径0.3μm)が97質量%と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)が3質量%となるように混合し、これを分散媒である水と混合して金属酸化物含有スラリーを調製した。この金属酸化物含有層スラリーを、上記の作製された負極の両面に、負極活物質層が覆われるように塗布した。金属酸化物含有層スラリーが塗布された負極を、85℃、真空減圧下で1時間乾燥し、金属酸化物含有層を形成した。金属酸化物含有層の層厚は4μmであった。その後、圧縮ローラーを用いて所定の密度まで圧縮し、負極を作製した。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを質量比3:3:4で混合させた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1.0mol/Lとなる含有量で溶解させて電解液とし、これを電池作製に供した。なお、この電解液に対する、上記式(4)で表されるmyo−イノシトール−六リン酸カルシウム・マグネシウム複塩の25℃における溶解度は、0.1質量%未満であった。
[円筒型非水電解質二次電池の作製]
このようにして作製した正極、負極及び電解液、並びに、厚さ20μmのPE製多孔性フィルムであるセパレータを用いて、円筒型非水電解質二次電池(以下、円筒型電池とする)を以下の手順で作製した。すなわち、上記のようにして作製された正極を短辺の長さが55mm、長辺の長さが600mmの大きさにし、また、負極を短辺の長さが57mm、長辺の長さが620mmの大きさにし、この正極と負極とをセパレータを介して巻回し巻回電極体を作製した。次に、この巻回電極体の上下にそれぞれ絶縁板を配置し、この巻回電極体が負極端子を兼ねるスチール製で直径18mm、高さ65mmの円筒形の電池外装缶の内部に収容した。そして、負極の集電タブを電池外装缶の内側底部に溶接するとともに、正極の集電タブを安全装置が組み込まれた電流遮断封口体の底板部に溶接した。この電池外装缶の開口部から電解液を供給し、その後、安全弁と電流遮断装置を備えた電流遮断封口体によって電池外装缶を密閉し、円筒型電池を得た。
[コイン型非水電解質二次電池の作製]
前述のようにして作製した正極、負極、電解液を用いて、コイン型非水電解質二次電池(以下、コイン型電池とする)を以下の手順で作製した。ただし、正極は、正極の作製時においてスラリーを正極集電体の片面に塗布した。そして、上記のようにして作製された正極を直径17mmの大きさに打ち抜き、負極を直径19mmの大きさに打ち抜いた。次に、スチール製で直径20mm、高さ5mmの蓋部と底部からなるコイン型の電池外装体の底部の内側に負極を圧着し、その上にセパレータ、正極、スチール製の円形のあて板、皿バネの順で配置し収容した。この電池外装体の底部内に電解液を供給し、その後、蓋部をかぶせ電池外装体をかしめて密閉し、コイン型電池を得た。
<実施例2>
実施例1と同様にして、厚さ15μmのアルミニウム製の正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。次いで、アルミナ粉末(体積平均粒径0.3μm)が97質量%と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)が3質量%となるように混合し、これを分散媒である水と混合して金属酸化物含有層スラリーを調製した。この金属酸化物含有層スラリーを、上記の作製された正極の両面に、正極活物質層が覆われるように塗布した。金属酸化物含有層スラリーが塗布された正極を、85℃、真空減圧下で1時間乾燥し、金属酸化物含有層を形成した。金属酸化物含有層の層厚は4μmであった。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、実施例2の正極を作製した。また、実施例1と同様にして、厚さ10μmの銅製の負極集電体の両面に負極活物質層を形成し、次いで、圧縮ローラーを用いて所定の密度まで圧縮し、金属酸化物含有層が形成されていない実施例2の負極を作製した。これら実施例2の正極及び実施例2の負極を用いること以外は実施例1と同様にして、実施例2で使用する円筒型電池及びコイン型電池を作製した。
<比較例1>
難燃化剤としてのmyo−イノシトール−六リン酸カルシウム・マグネシウム複塩を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1で使用する正極を作製した。また、実施例1と同様にして、厚さ10μmの銅製の負極集電体の両面に負極活物質層を形成し、次いで、圧縮ローラーを用いて所定の密度まで圧縮し、金属酸化物含有層が形成されていない比較例1の負極を作製した。これら比較例1の正極及び比較例1の負極を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例1で使用する円筒型電池及びコイン型電池を作製した。
<比較例2>
難燃化剤としてのmyo−イノシトール−六リン酸カルシウム・マグネシウム複塩を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1で使用する円筒型電池及びコイン型電池を作製した。
<比較例3>
実施例1と同様にして、厚さ10μmの銅製の負極集電体の両面に負極活物質層を形成し、次いで、圧縮ローラーを用いて所定の密度まで圧縮し、金属酸化物含有層が形成されていない比較例3の負極を作製した。この比較例3の負極を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例3で使用する円筒型電池及びコイン型電池を作製した。
[示差走査熱量測定]
リン酸エステル化合物による難燃効果を把握する目的で、満充電状態の正極活物質と電解液との共存下で示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)による熱分析を行った。実施例及び比較例のコイン型電池を、25℃において、0.3mAの定電流で電池電圧が4.35Vとなるまで充電した。その後コイン型電池を解体し、電池外装体の中から正極を取り出した。取り出した正極を非水溶媒にて洗浄して電解液を除去した後、正極活物質層をかき採った。得られた正極活物質層1mgを電解液1μLとともに耐圧密閉容器に封入して、測定試料とした。この測定試料についてDSCを用いて10℃/minの昇温速度で25℃から550℃まで昇温させ、発熱開始温度及び初期の発熱ピーク温度を測定した。
[初回充放電効率の評価]
実施例及び比較例の円筒型電池について、初回充放電効率の評価を行った。実施例及び比較例の円筒型電池を、25℃において、250mAの定電流で電池電圧が4.35Vとなるまで充電し、電池電圧が4.35Vに達した後は定電圧で充電した。次いで、充電電流値が50mAに達した後、250mAの定電流で電池電圧が2.5Vとなるまで放電した。このときの放電容量を充電容量で除し、100を乗じた値を初回充放電効率(%)とした。
表1に、実施例及び比較例の非水電解質二次電池について測定された、発熱開始温度、発熱ピーク温度及び初回充放電効率を示す。
Figure 2016033916
表1より、実施例1及び実施例2はいずれも、比較例1及び比較例2と比較して、発熱開始温度及び発熱ピーク温度が低温側にあり、難燃性に優れているとの結果が得られた。従って、電解液に難溶な難燃化剤であり、上記式(4)で表されるリン酸エステル化合物を、正極内に少量存在させることによって、非水電解質二次電池に難燃性を付与できることが確認された。
また、表1より、比較例1と比較例3とを比較した場合、比較例3において初回充放電効率の低下が見られた。上記式(4)で表されるリン酸エステル化合物は親水性及び吸湿性が高いため、二次電池の製造過程において当該リン酸エステル化合物に吸着されていた水が、二次電池の製造後に非水電解液に拡散して、負極において水と負極活物質との副反応が起きた結果、初回充放電効率が低下したものと考えられる。これに対して、実施例1及び2は、比較例3と比較して、初回充放電効率の低下が抑制され、当該リン酸エステル化合物を添加しない場合とほぼ同等の初回充放電効率が得られた。正極と負極との間に金属酸化物粉末を含む金属酸化物含有層が配置されたことにより、正極に含まれる当該リン酸エステル化合物に吸着されていた水の負極への到達を妨げることができ、負極における当該水と負極活物質との副反応を抑制したためと考えられる。このように、本開示に係る非水電解質二次電池は、難燃性と初回充放電効率に優れる。
10 正極、20 正極集電体、22 正極活物質層、24 正極活物質、26 導電剤、28 結着剤、30 リン酸エステル化合物。

Claims (5)

  1. 正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、
    前記電極体は更に、前記正極と前記負極との間に、金属酸化物粉末を含む層を有し、
    前記正極は、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物を含む非水電解質二次電池。
    Figure 2016033916

    (式(1)中、X及びYは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、式(1)に含まれるX及びYの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、XとYが1つの金属原子を示す。nは、2以上10以下の整数である。)
  2. 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
    前記式(1)におけるX及びYの少なくとも一つが、Mg又はCaである非水電解質二次電池。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池において、
    前記リン酸エステル化合物が、下記式(3)で表されるmyo−イノシトール−1,2,3,4,5,6−六リン酸の金属塩である非水電解質二次電池。
    Figure 2016033916

    (式(3)中、X〜X及びY〜Yは、金属原子、水素原子、又は有機基であり、X〜X及びY〜Yの少なくとも1つは金属原子である。金属原子の原子価が2価である場合、mが同じであるXとYが1つの金属原子を示す。mは1〜6のいずれかの整数である。)
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池において、
    前記金属酸化物粉末が酸化アルミニウムである非水電解質二次電池。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池において、
    前記金属酸化物粉末を含む層を前記正極と前記セパレータの間に有する非水電解質二次電池。
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