JP2016032195A - 圧電振動片、圧電振動片の製造方法、及び圧電デバイス - Google Patents

圧電振動片、圧電振動片の製造方法、及び圧電デバイス Download PDF

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Abstract


【課題】周波数調整膜を低コストで形成することにより、圧電振動片の製造コストを低減することができる音叉型の圧電振動片を提供する。
【解決手段】周波数調整膜16及び励振電極15a等が形成された一対の振動腕部13a、13bを有する音叉型の圧電振動片10であって、周波数調整膜16は、モリブデン、タングステン、及びモリブデンやタングステンを有する合金のいずれかの金属膜WF1、WF2を含んで形成され、励振電極15等は、モリブデン、タングステン、及び上記合金を除いた導電性金属膜CFを含んで形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電振動片、圧電振動片の製造方法、及び圧電デバイスに関する。
コンピュータや携帯端末などの電子製品は、振動子、発振器、共振子などの圧電デバイスを有している。このような圧電デバイスに用いられる圧電振動片としては、一対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片が知られている(例えば、特許文献1参照)。この一対の振動腕部には、励振電極とともに、重り部が設けられている。この重り部は、金属膜の構成となっており、この金属膜が部分的に除去されることにより、圧電振動片の共振周波数が所望の周波数に調整される。
このような重り部を構成する金属としては、比較的密度が高くかつ成膜後の残留応力が比較的小さい金属が用いられ、例えば、銀(Ag)や金(Au)が用いられる。重り部を含む周波数調整部の金属膜の構成としては、例えば、クロム(Cr)を下地膜としてその上に銀、クロムを順次積層した構成が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。また、クロムを下地膜として金を積層した構成が、特許文献3や特許文献4に開示されている。
特開2006−191466号公報 特開2006−222522号公報 特開2002−252546号公報 特開2010−187143号公報
しかしながら、このように重り部の金属として銀が採用される場合には、重り部の表面酸化を防止するためにクロムなどの酸化防止膜を銀膜に積層する必要があるため、製造工程数が増加してしまう。また、重り部の金属として金が採用される場合には、圧電振動片の材料コストが上昇してしまう。そのため、このような重り部を含む構成によると、圧電振動片の製造コストが高くなるといった問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明では、周波数調整膜を低コストで形成することにより、圧電振動片の製造コストを低減することができる音叉型の圧電振動片及びその製造方法、並びにこのような圧電振動片を有する圧電デバイスを提供することを目的とする。
本発明では、周波数調整膜及び励振電極が形成された一対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片であって、周波数調整膜は、モリブデン、タングステン、及びモリブデンやタングステンを有する合金のいずれかの金属膜を含んで形成され、励振電極は、モリブデン、タングステン、及び上記合金を除いた導電性金属膜を含んで形成される。
また、周波数調整膜は、圧電振動片の表面に成膜される下地膜を有してもよい。また、
周波数調整膜は、金属膜が第1膜厚に形成された粗調整部と、金属膜が第1膜厚より薄い第2膜厚に形成された微調整部と、を有してもよい。また、周波数調整膜は、残留応力が±300MPa以下であってもよい。また、励振電極は、導電性金属膜として金または銀が用いられてもよい。さらに、上記圧電振動片を有する圧電デバイスであってもよい。
また、本発明では、周波数調整膜及び励振電極が形成された一対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の製造方法であって、モリブデン、タングステン、及びモリブデンやタングステンを有する合金のいずれかの金属膜により周波数調整膜を形成する工程と、モリブデン、タングステン、及び上記合金を除いた導電性金属膜により励振電極を形成する工程と、を含む。
また、圧電体上に、圧電振動片の外形形状に対応する金属膜を形成する工程と、金属膜をマスクとして圧電体をエッチングし、圧電振動片の外形を形成する工程と、金属膜の一部を除去して、残存する金属膜を周波数調整膜とする工程と、を含んでもよい。また、金属膜は、残留応力が±300MPa以下となるように調整されて成膜されてもよい。
本発明によれば、音叉型の圧電振動片及びこのような圧電振動片を有する圧電デバイスの製造コストを低減することができる。従って、このような圧電振動片及び圧電デバイスをより低価格で提供することができる。
第1実施形態に係る圧電振動片の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った拡大断面図、(c)は(a)のB−B線に沿った拡大断面図、(d)は(a)のC−C線に沿った拡大断面図である。(e)は(a)のD−D線に沿った拡大断面図である。 図1の圧電振動片の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図1の圧電振動片の製造工程の一例を示す図である。 図1の圧電振動片の製造工程の一例を示す図である。 周波数調整膜の残留応力とモリブデン膜の成膜条件との関係を示すグラフである。 周波数調整膜の残留応力と成膜条件との関係を示すグラフである。 第4実施形態に係る周波数調整膜の一例を示す概略断面図である。 第5実施形態に係る圧電デバイスの一例を示した概略断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態を説明するため、図面においては一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図の一部については、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、圧電振動片の腕部の延出方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をZ方向と表記する。XZ平面に垂直な方向(圧電振動片の厚さ方向)はY方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印と反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
(圧電振動片10の構成)
第1実施形態に係る圧電振動片の一例について、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る圧電振動片の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図、(c)は(a)のB−B線に沿った断面図、(d)は(a)のC−C線に沿った断面図である。(e)は(a)のD−D線に沿った断面図である。圧電振動片10は、図1に示すように、音叉形状の振動片本体11を有する。
振動片本体11は、基部12と一対の振動腕部13a、13bとを備え、これらは一体で形成される。振動片本体11としては、例えば、Zカットの水晶材が用いられる。なお、振動片本体11に用いられる水晶材は、Zカットに限定されず、例えば、Xカット、ATカットなどであってもよい。
基部12は、XZ平面に対して平行な平面を有しかつY方向を厚さ方向とする板状に形成される。一対の振動腕部13a、13bは、Z方向に並行に配置され、かつ基部12の+X側の端部から+X方向に延びるように形成される。振動腕部13a、13bの幅(Z方向の距離)は、例えば、100(μm)に設定される。振動腕部13a、13bは、互いに同一形状に形成される。
振動腕部13aは、振動腕部13bの−Z側に配置され、振動腕部13aの表面(+Y側の面)及び裏面(−Y側の面)には、溝部14a、14bがそれぞれ2つずつ形成される。溝部14a、14bが形成される部分の振動腕部13aの断面(YZ平面と平行な面)の形状は、図1(b)に示すように、略H字状となっている。振動腕部13bは、振動腕部13aの+Z側に配置され、表面と裏面には、それぞれ溝部14c、14dが形成される。溝部14c、14dが形成される部分の振動腕部13bの断面(YZ平面と平行な面)の形状は、図1(c)に示すように、略H字状となっている。溝部14a〜14dの形状は、それぞれ同一である。なお、溝部14a〜14dの一部又は全部の形状は異なっていてもよい。このような溝部14a、14bは、圧電振動片10のCI値を低減させる効果を有する。なお、圧電振動片10においてこのような溝部14a等を設けるか否かは任意である。
振動腕部13aの溝部14a、14bには、励振電極15a、15bが形成されている。振動腕部13aの側面(+Z側の面及び−Z側の面)には、励振電極15c、15dが形成されている。また、振動腕部13bの溝部14c、14dには、励振電極15e、15fが形成されている。振動腕部13bの側面には、励振電極15g、15hが形成されている。
励振電極15a等は、例えば、下地用膜BFが成膜され、この下地用膜BFの上に導電性金属膜CFが積層された2層構造が採用される。下地用膜BFは、水晶材と導電性金属膜CFとの密着性を高めるために用いられる。なお、導電性金属膜CFは、2層構造に限定されず、1層あるいは3層構造であってもよい。励振電極15a〜15dは、それぞれ同一形状であるが、これらの一部又は全部の形状が異なってもよい。
励振電極15a等の下地用膜BFとしては、クロムが採用されるが、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、あるいはニッケルクロム(NiCr)や、ニッケルチタン(NiTi)、ニッケルタングステン(NiW)合金などが採用されてもよい。導電性金属膜CFには、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びモリブデンやタングステンを有する合金を除いた金属が用いられる。導電性金属膜CFとしては、金または銀が用いられる。金及び銀は、導電性に優れた材料であるため、励振電極15a等は良好な電導効率を有する。なお、導電性金属膜CFとしては、金または銀であることに限定されず、銅(Cu)などであってもよい。
振動腕部13a、13bの+X側の先端部の表面(+Y側の面)には、周波数調整膜16が形成される。周波数調整膜16は、溝部14a等が形成されていない領域に設けられる。周波数調整膜16は、粗調整部16aと微調整部16bとを有する。なお、周波数調整膜16において、粗調整部16a及び微調整部16bのうち一方は形成されなくてもよい。
周波数調整膜16は、圧電振動片10の発振周波数を所望の周波数に合わせ込む際に用いられる。周波数調整膜16は、第1金属膜(金属膜)WF1と第2金属膜(金属膜)WF2とを備える。第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2は、圧電振動片10の周波数が調整される際に表面が除去される重り膜である。そのため、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2としては、比較的密度の高い金属が用いられる。圧電振動片10の共振周波数は、例えば32.768(kHz)に設定される。この場合、粗調整部16a及び微調整部16bの長さ(X方向の距離)は、例えば、それぞれ400(μm)、200(μm)に設定される。
粗調整部16aは、振動腕部13a、13bの表面(+Y側の面)に形成される。図1(d)に示すように、粗調整部16aは、第1下地膜(下地膜)BF1が成膜され、この上に第1金属膜WF1が成膜された2層構造で形成される。第1金属膜WF1の膜厚は、第1膜厚W1に設定される。なお、粗調整部16aにおいて、第1下地膜BF1は設けられなくてもよい。
第1下地膜BF1は、水晶材と第1金属膜WF1との密着性を高めるとともに、第1金属膜WF1の成膜により生じる残留応力を低減するために形成される。第1下地膜BF1は、クロムであり、例えば10(nm)〜50(nm)の厚さで成膜される。ただし、第1下地膜BF1は、クロムに限定されず、チタン、ニッケル、あるいはニッケルクロムや、ニッケルチタン、ニッケルタングステン合金などが用いられてもよい。第1下地膜BF1は、振動腕部13a、13bの側面(+Zの面、−Z側の面)にまで形成されていても構わない。
第1金属膜WF1としては、モリブデンが用いられ、例えば、300(nm)〜1(μm)の厚さで成膜される。モリブデンの密度は、10.2(g/cm)であり、銀の密度10.5(g/cm)に近い値である。そのため、モリブデンである第1金属膜WF1の重り膜としての効果は、第1金属膜WF1に銀が採用される場合の効果とほぼ同等である。
微調整部16bは、振動腕部13a、13bの表面(+Y側の面)に形成され、それぞれ、粗調整部16aの−X側に配置される。図1(e)に示すように、微調整部16bは、第2下地膜(下地膜)BF2が成膜され、この上に第2金属膜WF2が成膜された2層構造で形成される。第2金属膜WF2の膜厚は、第1膜厚W1より薄い第2膜厚W2に設定される。なお、微調整部16bにおいて、第2下地膜BF2は設けられなくてもよい。
第2下地膜BF2は、水晶材と第2金属膜WF2との密着性を高めるとともに、第2金属膜WF2の成膜により生じる残留応力を低減するために形成される。第2下地膜BF2は、上記した第1下地膜BF1と同一の金属及び同一の膜厚で形成される。ただし、第2下地膜BF2は、金属の構成及び膜厚が第1下地膜BF1と異なってもよい。また、第2下地膜BF2は、振動腕部13a、13bの側面(+Zの面、−Z側の面)にまで形成されていても構わない。
第2金属膜WF2は、重り膜としての機能を有する。第2金属膜WF2としては、上記した第1金属膜WF1と同一の金属が採用され、モリブデンから形成される。ただし、第2金属膜WF2は、第1金属膜WF1と異なる金属から形成されてもよい。モリブデン膜である第2金属膜WF2の周波数調整用の重り膜としての機能及び効果は、第2金属膜WF2として銀膜が採用される場合と同等である。
周波数調整膜16は、残留応力σが±300(MPa)以下となるように形成される。後述する実施形態に係る周波数調整膜についても同様である。ここで、残留応力σの符号は、引張り方向の圧力を‘+’かつ圧縮方向の圧力を‘−’としている。なお、後述する残留応力σの符号の定義についても同様である。周波数調整膜16の残留応力が±300(MPa)以下であることにより、振動腕部13a、13bの形状の反りや、周波数調整膜16の剥離が抑制される。第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2を構成するモリブデンの融点は2623(℃)であり、銀の融点960(℃)に比べて高い。そのため、周波数調整膜16は、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2に銀が採用される場合に比べて、残留応力σが生じやすくなる。しかし、残留応力σの発生を抑制する成膜方法の採用や下地膜BF1、BF2の構成により、周波数調整膜16は、±300(MPa)の範囲内の残留応力σで形成される。
なお、周波数調整膜16の残留応力σは、±300(MPa)以下に限定されず、+300(MPa)より大きく、あるいは−300(MPa)より小さく設定されてもよい。この場合、後述する圧電振動片10の製造方法における成膜条件についても同様である。また、後述する他の実施形態の周波数調整膜についても同様である。
基部12の表面(+Y側の面)及び裏面(−Y側の面)の−Xかつ−Z側の領域には接続電極17aが形成されている。また基部12の表面及び裏面の−Xかつ+Z側の領域には接続電極17bが形成される。接続電極17a、17bは、給電用の電極であり、圧電振動片10がパッケージなどに搭載される際に、パッケージなどに設けられた電極と接続される電極である。基部12の表面側の接続電極17a、17bと裏面側の接続電極17a、17bとは、基部12の側面を介して接続されている。また、基部12の表面(+Y側の面)及び裏面(−Y側の面)には、励振電極15aから−X側に引き出された引出電極18a等が形成されている。
基部12の表面及び裏面において、接続電極17a及び引出電極18a等は、Y方向から見て重なる領域に形成される。ただし、接続電極17a及び引出電極18a等は、このように重なる領域に形成されることに限定はされない。接続電極17a及び引出電極18a等は、上記した励振電極15a等と同一の金属膜の構成であるが、異なる構成であってもよい。
接続電極17aは、引出電極18aを介して励振電極15cと接続される。励振電極15cは、振動腕部13aの裏面側に形成された引き回し電極(不図示)を介して励振電極15dと接続される。接続電極17aは、基部12の表裏面の引出電極18bを介して励振電極15e、15fと接続される。接続電極17bは、引出電極18cを介して励振電極15hと接続される。励振電極15hは、振動腕部13bの裏面側に形成された引き回し電極(不図示)を介して励振電極15gと接続される。励振電極15gは、基部12の表裏面の引き回し電極18dを介して励振電極15a、15bと接続される。
これにより、接続電極17aと励振電極15c、15d、15e、15fとが電気的に接続される。また、接続電極17bと励振電極15a、15b、15g、15hとが電気的に接続される。接続電極17a等を介して、励振電極15a等に所定の電圧が印加されることにより、圧電振動片10は、例えば32.768(kHz)の周波数で発振する。
このような圧電振動片10によれば、周波数調整膜16の第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2にモリブデンが用いられるので、銀が用いられる場合に比べて、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2の表面の酸化防止膜を積層する必要がない。そのため、製造工程数の増加を回避して低コストで製造することが可能となり、圧電振動片10を低価格で提供することができる。また、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2に銀が採用される場合とほぼ同等の良好な品質の圧電振動片10を提供することができる。
(圧電振動片10の製造方法)
次に、圧電振動片10の製造方法の一例について、図面を用いて説明する。図2は、圧電振動片10の製造方法の一例を示すフローチャートである。図3及び図4は、圧電振動片10の製造工程の一例を示す図である。なお、図3(a)〜(h)の各図は、振動腕部13a、13bにおける溝部14a、14bの形成部分を示し、図1のA−A線に沿った断面に相当する部分を表している。また、図4(a)〜(c)の各図は、振動腕部13a、13bにおける周波数調整膜16の粗調整部16aの形成部分を示し、図1のC−C線に沿った断面に相当する部分を表している。また、図3(b)〜(h)及び図4(b)、(c)の各図のXYZ座標系については、図3(a)、図4(a)に示すものと同一であるので図示を省略している。本製造方法は、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
先ず、図3(a)に示すように、圧電体AWが用意される(ステップS01)。圧電体AWとしては、水晶結晶体からZカットにより所定の厚さで切り出された水晶ウェハである。切り出された圧電体AWは、表面がポリシング加工等により鏡面仕上げされ、その後洗浄される。
次に、圧電体AWの表面(+Y側の面)及び裏面(−Y側の面)に、それぞれクロム膜Z1、モリブデン膜Z2が、この順で成膜される(ステップS02)。クロム膜Z1及びモリブデン膜Z2は、スパッタリングにより成膜されるが、真空蒸着などにより成膜されてもよい。クロム膜Z1の膜厚は、第1下地膜BF1及び第2下地膜BF2の膜厚と同一に設定される。モリブデン膜Z2の膜厚は、第1膜厚W1に設定される。クロム膜Z1及びモリブデン膜Z2は、これらの積層体の残留応力σが±300(MPa)以内となる成膜条件で形成される。これにより、図3(b)に示すように、圧電体AWの表裏面に、それぞれ上記2層構造の金属膜が形成される。
続いて、圧電体AWの表裏面に、圧電振動片10の外形加工用のマスクM1が形成される(ステップS03)。圧電体AWの表裏面側において、モリブデン膜Z2の表面に、スピンコーターや静電スプレーなどが用いられてレジストが塗布される。レジストとしては、例えば、ポジフォトレジストとしてノボラック樹脂などが採用される。次いで、圧電振動片本体11の外形形状を除いた領域に、フォトマスクを介して露光光を照射し、現像する。これにより、露光された部分のレジストが除去され、レジストに圧電振動片本体11の外形形状がパターニングされる。次いで、図3(c)に示すように、圧電体AWの表裏面のうち、レジストで被覆されていない部分のクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2が除去される。この工程は、例えば、クロム及びモリブデンに対するウェットエッチャントに圧電体AWを浸漬するウェットエッチングにより行われる。これにより、圧電体AWの表面に、圧電振動片10の外形加工用のマスクM1が形成される。
続いて、圧電振動片10の外形が形成される(ステップS04)。圧電体AWにおいて、マスクM1から露出している部分、すなわち、クロム膜Z1及びモリブデン膜Z2に被覆された部分を除いた部分がエッチングされる。この工程は、例えば、圧電体AWをフッ酸(HF)とフッ化アンモニウム(NH4F)からなるエッチャント(水晶エッチャント)に浸漬するウェットエッチングにより行われる。その際、圧電体AWの表面にパターニングされたクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2は、水晶エッチャントに対して耐性を有し不溶であるため、圧電振動片10の外形形状を規定するマスクM1として機能し、これらの金属膜に被覆された部分を除いた部分の水晶材がエッチングされる。なお、上記の除去工程は、ウェットエッチングに代えてドライエッチングにより行われてもよい。
圧電体AWは、一部がエッチングにより除去され、図3(d)に示すように、圧電振動片本体11が形成される。なお、圧電振動片本体11は、図示しないが、基部12の−X側の側面から−X側に突出して形成される接続部を有しており、接続部を介して圧電体AWに接続されかつ保持された状態となっている。
続いて、圧電体AWに溝部14a、14b加工用のマスクM2が形成される(ステップS05)。この工程では、先ず、圧電体AWの表面に形成されたマスクM1におけるレジストを剥離し、圧電体AWの表面に新たにレジストRが塗布される。次に、圧電体AWの表面及び裏面双方の溝部14a、14b形成領域に、フォトマスクを介して露光光を照射し、現像する。これにより、図3(e)に示すように、露光された部分のレジストが除去され、溝部14a、14b形状領域のみが開口したレジストRのパターンが形成される。
次いで、図3(f)に示すように、圧電体AWの表裏面のうち、レジストRで被覆されていない部分のクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2がエッチングにより除去される。クロム膜Z1及びモリブデン膜Z2のエッチングは、例えば、クロム及びモリブデンに対するウェットエッチャントに圧電体AWを浸漬するウェットエッチングにより行われる。これにより、圧電体AWに溝部14a、14b加工用のマスクM2が形成される。
続いて、溝部14a、14bが形成される(ステップS06)。圧電体AWにおいて、マスクM2から露出している部分の水晶材がY方向にエッチングされる。この工程では、例えば、上記した圧電振動片10の外形形成工程と同様にウェットエッチングにより行われ、表面にマスクM2が形成された圧電体AWをフッ酸とフッ化アンモニウムからなるエッチャント(水晶エッチャント)に浸漬してエッチングする。ただし、この工程では、圧電体AWを貫通する前にエッチングを終了するハーフエッチングが採用される。これにより、図3(g)に示すように、圧電体AWの表面及び裏面の双方には、溝部14a、14bが形成される。
溝部14a、14bが形成される際、振動腕部13a、13bにおける周波数調整膜16が形成される部分の表面及び裏面の双方には、図4(a)に示すように、マスクM2が形成された状態となっている。
続いて、マスクM2を構成するクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2の一部を残し、周波数調整膜16の一部を形成する(ステップS07)。この工程では、まず、フォトマスクを用いた露光及び現像の工程により、周波数調整膜16の形成領域を除いた部分が開口したレジストパターンがマスクM2の表面に形成される。次いで、マスクM2を構成するクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2のうち、周波数調整膜16の形成領域を除いた部分がエッチング等により除去される。
これにより、溝部14a、14bの周囲に形成されたマスクM2を構成するクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2は、図3(h)に示すように除去される。振動腕部13a、13bの表面(+Y側の面)の周波数調整膜16の形成領域には、図4(b)に示すように、クロム膜Z1及びモリブデン膜Z2が残存する。
このように周波数調整膜16の形成領域にクロム膜Z1が残存することにより、第1下地膜BF1及び第2下地膜BF2が形成される。また、モリブデン膜Z2が残存することにより、第1金属膜WF1、及び第2金属膜WF2の一部が形成される。これにより、振動腕部13a、13bの表面(+Y側の面)に微調整部16bが形成される。なお、微調整部16bは、全てのマスクM2を除去した後に、圧電振動片本体11の表面に成膜により形成してもよい。
続いて、電極15a等が形成される(ステップS08)。電極15a等の形成は、リフトオフ法により行われる。まず、圧電振動片本体11の表面に、レジストの塗布、露光、及び現像の工程により、電極形成用のレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、励振電極15等、接続電極17a等、及び引出電極18aの形成領域を除いた領域が開口するように形成される。次いで、圧電振動片本体11の表面全体に、クロム、金の順、あるいは、クロム、銀の順で成膜される。これらの成膜は、例えばスパッタリングや真空蒸着により行われる。続いて、レジストを溶解等させて剥離することにより、各電極が形成される(図1(a)〜(c)参照)。なお、上記した励振電極15等の形成工程は、メタルマスクを介した蒸着やフォトリソグラフィー及びエッチング等により行われてもよい。
続いて、粗調整部16aが形成される(ステップS09)。粗調整部16aの形成は、リフトオフ法により行われる。まず、圧電振動片本体11の表面に、レジストの塗布、露光、及び現像の工程により粗調整部16a形成用のレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、粗調整部16aの形成領域を除いた領域が開口するように形成される。次いで、圧電振動片本体11の表面全体に、モリブデン膜Z3が成膜される。その際、モリブデン膜Z3は、粗調整部16aの残留応力が±300(MPa)以内となる条件で成膜される。また、モリブデン膜Z3の膜厚は、第1膜厚W1と第2膜厚W2との差の厚さに設定される。続いて、レジストを溶解等させて剥離することにより、粗調整部16aが形成される。なお、上記した粗調整部16aは、メタルマスクを介した蒸着やフォトリソグラフィー及びエッチング等により行われてもよい。以上の工程により、圧電体AWには複数個の圧電振動片10が形成される。
最後に、圧電体AWが切断される(ステップS10)。この工程では、圧電体AWと圧電振動片10との接続部がダイシングされて、個々の圧電振動片10が取り出される。以上の工程により圧電振動片10が完成する。
このような圧電振動片10の製造方法によれば、周波数調整膜16として、マスクM1、M2の一部を用いるので、圧電振動片本体11の形成後に周波数調整膜16を成膜する工程を省略することができる。よって、圧電振動片10の製造コストを低減することができる。
続いて、周波数調整膜16の残留応力σが±300(MPa)以内となる成膜条件の一例について、図5を用いて説明する。図5は、周波数調整膜16がDCマグネトロンスパッタにより形成される場合における、周波数調整膜16の残留応力σとモリブデン膜Z2、Z3の成膜条件との関係を示すグラフである。図5(a)のグラフに用いた周波数調整膜16は、膜厚が10(nm)のクロム膜Z1と、このクロム膜Z1に積層された膜厚t1が400(nm)のモリブデン膜Z2、Z3とから構成されたものである。図5(a)において、縦軸は、周波数調整膜16の残留応力σ(単位MPa)、横軸は、モリブデン膜Z2の成膜時のアルゴンスパッタ圧P1(単位mTorr)となっている。図5(a)のグラフはモリブデン膜Z2、Z3の成膜条件であるDC電流値(単位A)とアルゴンスパッタ圧P1をパラメータとしてプロットしたものである。
図5(b)のグラフは、周波数調整膜16の残留応力に対するモリブデン膜Z2、Z3の膜厚依存性について、DC電流をパラメータにしてプロットしたものである。図5(b)において、縦軸は、周波数調整膜16の残留応力σ(単位MPa)、横軸は、モリブデン膜Z2、Z3の膜厚t1(単位nm)となっている。なお、図5(b)のグラフに用いたモリブデン膜Z2、Z3の成膜時のアルゴンスパッタ圧P1は、30(mTorr)に設定されている。また、モリブデン膜Z2、Z3の膜厚t1が0(nm)のとき(モリブデン膜Z2、Z3が成膜されていないとき)の残留応力σの値は、クロム膜Z1のみが成膜された場合の残留応力σを示している。なお、図5(b)のグラフに用いられるクロム膜Z1は、DC電流が0.15(A)、アルゴンスパッタ圧60(mTorr)の条件で成膜されたものである。
図5(a)に示すように、上記構成の周波数調整膜16の残留応力σが比較的小さくなる場合、すなわち、残留応力σが0(MPa)に近くなるのは、アルゴンスパッタ圧P1が、25(mTorr)〜35(mTorr)の範囲であることが確認される。
そこで、アルゴンスパッタ圧P1が30(mTorr)に設定される場合、図5(b)に示すように、DC電流が1.50(A)に設定される場合には、膜厚t1が50(nm)及び150(nm)〜600(nm)の範囲で、残留応力σが±300(MPa)以内となることが確認される。また、DC電流が2.00(A)に設定される場合には、膜厚t1が100(nm)〜600(nm)の範囲で、残留応力σが±300(MPa)以内となることが確認される。
このような成膜条件で周波数調整膜16を作製することにより、周波数調整膜16の残留応力σを±300(MPa)以内とすることができる。ただし、上記した成膜条件は、DCマグネトロンスパッタ法によりクロム膜にモリブデン膜を積層して周波数調整膜16を作製する場合における、残留応力σの成膜パラメータ依存性の一例を示すものである。よって、上記と異なる成膜方法あるいは成膜装置による場合には、別途、成膜パラメータの最適化が必要となる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る周波数調整膜の一例について説明する。以下に説明する構成を除き、第1実施形態に係る周波数調整膜16と同様に構成される。なお、以下の説明において第1実施形態に係る周波数調整膜16と同一または同等の構成部分については説明を省略または簡略化する。本実施形態に係る周波数調整膜においては、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2として、タングステン(W)膜が採用される。なお、本実施形態に係る周波数調整膜は、タングステンを含む構成であってもよい。第2実施形態に係る周波数調整膜は、第1実施形態と同様に、残留応力σが±300(MPa)以内となるように形成される。なお、本実施形態に係る周波数調整膜の形成方法は、上記した周波数調整膜16の形成方法とほぼ同様である。
タングステンの密度は、19.3(g/cm)であり、金の密度19.3(g/cm)とほぼ同値である。そのため、タングステン膜である第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2による、周波数調整用の重り膜としての機能及び効果は、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2として金膜が採用される場合と同等である。
また、タングステンは、モリブデンと同様に、水晶エッチャントに対して不溶である(耐性を有する)ため、圧電振動片本体10の外形形状を規定するマスクM1、M2としての機能を備える。
このような本実施形態に係る周波数調整膜によれば、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2にタングステンが用いられるので、金が用いられる場合に比べて、材料コストを低減することができる。また、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2に金が採用される場合とほぼ同等の良好な品質を有する圧電振動片を提供することができる。
続いて、本実施形態の周波数調整膜の残留応力σが±300(MPa)以内となる成膜条件の一例について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態の周波数調整膜がDCマグネトロンスパッタにより形成される場合における、周波数調整膜形成の残留応力σとタングステン膜の成膜条件との関係を示すグラフである。図6(a)のグラフに用いた周波数調整膜16は、10(nm)のクロム膜Z1と、このクロム膜Z1に積層された膜厚t2が400(nm)のタングステン膜とから構成されたものである。
図6(a)において、縦軸は、周波数調整膜の残留応力σ(単位MPa)、横軸は、タングステン膜の成膜時のアルゴンスパッタ圧P2(単位mTorr)となっている。図6(a)のグラフは、タングステン膜の成膜条件であるDC電流値(単位A)とアルゴンスパッタ圧P2をパラメータとしてプロットしたものである。図6(a)において、F1のグラフは、クロム膜Z1のアルゴンスパッタ圧が60(mTorr)かつタングステン膜成膜のDC電流値が0.50(A)の場合である。また、F2のグラフは、クロム膜Z1のアルゴンスパッタ圧が15(mTorr)かつタングステン膜成膜のDC電流値が0.50(A)の場合である。以下同様に、F3のグラフは上記スパッタ圧が60(mTorr)かつ上記電流値が1.00(A)の場合、F4のグラフは上記スパッタ圧が15(mTorr)かつ上記電流値が1.00(A)の場合である。
図6(b)のグラフは、タングステン膜の成膜時のDC電流を0.50(A)に設定し、アルゴンスパッタ圧が40(mTorr)、50(mTorr)、60(mTorr)の各場合に、タングステン膜の膜厚t2に対する残留応力σの変化をプロットしたものである。図6(b)において、F5、F6、F7の各グラフは、それぞれ40、50、60(mTorr)の場合を示している。また、タングステン膜の膜厚t2が0(nm)のとき(タングステン膜が成膜されていないとき)の残留応力σの値(約2200(MPa))は、クロム膜Z1のみが成膜された場合の残留応力σを示している。なお、図6(b)のグラフに用いられるクロム膜Z1は、DC電流が0.15(A)、アルゴンスパッタ圧15(mTorr)の条件で成膜されたものである。
図6(a)に示すように、本実施形態に係る周波数調整膜の残留応力σは、クロム膜Z1のスパッタ圧に比べてタングステン膜成膜のDC電流値に大きく依存する。また、400(nm)のタングステン膜の残留応力σが比較的小さくなるのは、タングステン膜の成膜時のDC電流が0.50(A)(グラフF1及びF2)かつスパッタ圧P2が60(mTorr)の近傍に限定される。
そこで、図6(b)に示すように、スパッタ圧P2を40(mTorr)〜60(mTorr)、かつタングステン膜の膜厚を50(nm)〜500(nm)に設定することにより、残留応力σの発生を抑制した状態で周波数調整膜16が形成されることが確認される。また、スパッタ圧P2が40(mTorr)かつタングステン膜の膜厚が100(nm)に設定される場合、スパッタ圧P2が50(mTorr)かつタングステン膜の膜厚が50(nm)、200(nm)〜300(nm)に設定される場合、及びスパッタ圧P2が60(mTorr)かつタングステン膜の膜厚が50(nm)、200(nm)〜500(nm)に設定される場合には、残留応力σは±300(MPa)以内となることが確認される。なお、上記した条件は残留応力σの成膜パラメータ依存性の一例を示すものであるので、上記と異なる成膜方法あるいは成膜装置が採用される場合には、別途、成膜パラメータの最適化が必要となる。
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係る周波数調整膜の一例について説明する。以下に説明する構成を除き、第1実施形態に係る周波数調整膜16と同様に構成される。なお、以下の説明において周波数調整膜16と同一または同等の構成部分については説明を省略または簡略化する。本実施形態に係る周波数調整膜においては、第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2として、モリブデンタングステン合金(MoW)膜が採用される。なお、本実施形態に係る第1金属膜WF1及び第2金属膜WF2としては、モリブデンタングステン合金に代えて、モリブデンやタングステンを有する合金であってもよい。本実施形態に係る周波数調整膜は、残留応力σが±300(MPa)以内となるように形成される。なお、本実施形態に係る周波数調整膜の形成方法は、上記した周波数調整膜16の形成方法とほぼ同様である。
モリブデンタングステン合金は、密度が10.2(g/cm)〜19.3(g/cm)であることから、周波数調整用の重り膜としての機能を有する。また、水晶エッチャントに対して不溶である(耐性を有する)ことから、かつマスクM1、M2として用いることも可能である。よって、本実施形態の周波数調整膜は、上記した実施形態に係る周波数調整膜16と同様の効果を有する。また、モリブデンタングステン合金は、モリブデンとタングステンとが任意の組成で混合する、いわゆる全率固溶体である。そのため、本実施形態に係る周波数調整膜がモリブデンタングステン合金のみから形成される場合、モリブデン及びタングステンの互いの組成を変化させることにより、10.2(g/cm)〜19.3(g/cm)の範囲で密度を適宜設定することが可能となる。
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態に係る周波数調整膜の一例について、図7を用いて説明する。以下に説明する構成を除き、第1実施形態に係る周波数調整膜16と同様に構成される。なお、以下の説明において周波数調整膜16と同一または同等の構成部分については説明を省略または簡略化する。図7は、本実施形態に係る周波数調整膜の一例を示す概略断面図であり、図1(a)のC−C線に沿った断面図に相当する。
本実施形態に係る周波数調整膜は、粗調整部46aを有している。図7に示すように、粗調整部46aは、振動腕部13aの表面(+Y側の面)に、第3下地膜BF3が成膜され、この第3下地膜BF3の上に、第3金属膜WF3、第4下地膜BF4、第1金属膜WF1がこの順で積層された4層構造となっている。なお、圧電振動片においては、粗調整部46aは、振動腕部13bの表面(+Y側の面)にも同様の構成で形成される。また、粗調整部46aは4層に限定されず、3層あるいは5層以上の構成であってもよい。
第3下地膜BF3は、第1下地膜BF1と同一の金属かつ同一の膜厚により形成される。ただし、第3下地膜BF3は、第1下地膜BF1と構成及び膜厚の一方又は双方を異ならせてもよく、例えば、下地用膜BFの構成としてもよい。第3金属膜WF3は、第2金属膜WF2と同一の金属かつ同一の膜厚により形成される。ただし、第3金属膜WF3は、第2金属膜WF2と構成及び膜厚の一方又は双方を異ならせてもよく、例えば、導電性金属膜CFの構成としてもよい。第4下地膜BF4は、第1下地膜BF1と同一の金属かつ同一の膜厚により形成される。ただし、第4下地膜BF4は、第1下地膜BF1と構成及び膜厚の一方又は双方を異ならせてもよい。
次に、本実施形態に係る周波数調整膜の製造方法の一例について説明する。上記した圧電振動片10の製造方法における、周波数調整膜16の一部の形成工程(ステップS07)と同様に、第3下地膜BF3及び第3金属膜WF3は、マスクM2を構成するクロム膜Z1及びモリブデン膜Z2の一部を残すことにより形成される。次に、粗調整部16aの形成工程(ステップS09)において、粗調整部46a形成用のレジストパターン上から振動腕部13aの表面に全体的に第4下地膜BF4を形成する下地膜が成膜される。続いて、この下地膜の上に、さらに第1金属膜WF1を形成する金属膜が成膜され、4層構造に形成される。その際、これら下地膜及び金属膜は、周波数調整膜の残留応力が±300(MPa)以内となる条件で成膜される。
上記した粗調整部46aの構成によれば、第1金属膜WF1は、第4下地膜BF4を介して第3金属膜WF3に積層されるので、第1金属膜WF1と第3金属膜WF3との互いの密着性を向上させ、より品質の良い周波数調整膜を形成することができる。
<第5実施形態>
続いて、第5実施形態に係る圧電デバイスの一例について、図8を用いて説明する。図8は、第5実施形態に係る圧電デバイスの一例を示した概略断面図である。図8に示すように、圧電デバイス100は、圧電振動片10をパッケージ110に保持しかつ収容する。パッケージ110は、ベース120と、カバー130と、シールリング140とを有している。この圧電デバイス100は、圧電振動子である。
ベース120は、Y方向から見てZ方向を短辺、X方向を長辺とする略矩形状に形成される。ベース120の表面(+Y側の面)には、凹部121と、凹部121を囲む接合面122とが形成される。凹部121は、キャビティー150として用いられる。ベース120は、例えばセラミック材料から形成される。
凹部121の底部121aの表面(+Y側の面)には接続パッド123、124が形成される。接続パッド123等は、例えば、上記した圧電振動片10の励振電極15a等と同様の構成の金属膜である。接続パッド123等は、それぞれZ方向に並んで配置される。接続パッド123、124は、導電性接着剤171、172を介して、圧電振動片10の裏面(−Y側の面)の接続電極17a、17bと接合する。これにより、ベース120に圧電振動片10が保持されるとともに、接続パッド123等は励振電極15a等と電気的に接続される。
ベース120の裏面(−Y側の面)には、4つの外部電極126a〜126dが形成される。外部電極126a等は、例えば、上記した接続パッド123等と同一の金属膜の構成である。外部電極126a等は、それぞれY方向から見て略矩形状に形成されており、ベース120の裏面(−Y側の面)の4つの角部側の領域に形成されている。これら4つの外部電極126a等のうち2つの外部電極126a、126bは、不図示の引き回し用電極を介して、接続パッド123、124に電気的に接続される。引き回し用電極としては、例えば、ベース120の凹部121の底部121aをY方向に貫通する貫通電極や、ベース120の側面を介したキャスタレーション電極の構成であってもよい。上記した4つの外部電極126a等のうち、残る2つの外部電極126c、126dは、ダミー電極である。ベース120は、シールリング140を介してカバー130の接合面132と接合される。
カバー130は、Y方向から見てZ方向を短辺、X方向を長辺とする略矩形状の板状部材である。カバー130としては、例えばニッケル、42アロイ(Fe−Ni)などの金属材料が用いられる。カバー130は、裏面(−Y側の面)がシールリング140の表面(+Y側の面)に接合される。これにより、パッケージ110の内部にはキャビティー150が形成される。キャビティー150は、真空雰囲気あるいは窒素などの不活性なガス雰囲気となっている。
続いて、圧電デバイス100の製造方法について説明する。
まず、圧電振動片10、ベース120、及びカバー130がそれぞれ形成され用意される。ベース120は、先ず、所定の厚さの2枚のグリーンシートが用意される。次に、一方のグリーンシートには、接続パッド123等、引き回し用電極、及び外部電極126a等が形成される。また、他方のグリーンシートは、凹部121を形成するためにプレス等により所定形状が抜かれる。続いて、一方のグリーンシートに他方のグリーンシートを位置合わせして積層させ、焼成して形成される。カバー130は、所定の厚さに形成された板状の金属部材が用意され、この金属部材を所定の略矩形状に切断することにより形成される。シールリング140は、枠状に形成され、ベース120の接合面122に、例えば銀ろうなどのろう材(不図示)を介して接合される。シールリング140は、カバー130と同一の材料から形成されるが、異なる材料が用いられてもよい。
続いて、圧電振動片10は、導電性接着剤171等により、ベース120の表面(+Y側の面)に形成された接続パッド123等に保持される。
続いて、圧電振動片10の周波数が所望の周波数、例えば32.768(kHz)に調整される。先ず、圧電振動片10を発振回路に接続して発振させ、圧電振動片10の周波数を測定する。なお、圧電振動片10の粗調整部16a及び微調整部16bは、測定される圧電振動片10の周波数が所望の周波数に比べて低くなるように材料及び膜厚が調整され形成される。次いで、測定された周波数と所望の周波数との差に基づき、粗調整部16aに対して例えばYAGレーザーを照射し、第1金属膜WF1の一部が除去される。これにより、圧電振動片10の付加質量が減少し、圧電振動片10の周波数を高くすることで、周波数を所望の周波数近傍まで速やかに近づける。最後に、微調整部16bに対して、例えばYAGレーザーを照射し、圧電振動片10の周波数が微調整される。
続いて、真空雰囲気あるいは窒素などの不活性なガス雰囲気に形成されたチャンバー内で、カバー130がシールリング140とシーム溶接により接合される。これにより、圧電振動片10は、パッケージ110のキャビティー150内に気密封止された状態で収容され、圧電デバイス100が完成する。
以上、本発明の圧電振動片及び圧電デバイスについて説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、圧電振動片10等及び圧電体AWは、水晶材に代えて、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムなどの圧電材料から形成されてもよい。また、圧電デバイス100は、圧電振動片10のみを収容した圧電振動子に限定されず、発振回路を含むICチップをパッケージ110に収容した圧電発振器などであってもよい。
AW…圧電体
BF1…第1下地膜(下地膜)
BF2…第2下地膜(下地膜)
CF…導電性金属膜
W1…第1膜厚
W2…第2膜厚
WF1…第1金属膜(金属膜)
WF2…第2金属膜(金属膜)
σ…残留応力
10…圧電振動片
13a、13b…振動腕部
15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g、15h…励振電極
16…周波数調整膜
16a、46a…粗調整部
16b…微調整部
100…圧電デバイス

Claims (9)

  1. 周波数調整膜及び励振電極が形成された一対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片であって、
    前記周波数調整膜は、モリブデン、タングステン、及びモリブデンやタングステンを有する合金のいずれかの金属膜を含んで形成され、
    前記励振電極は、モリブデン、タングステン、及び前記合金を除いた導電性金属膜を含んで形成される圧電振動片。
  2. 前記周波数調整膜は、前記圧電振動片の表面に成膜される下地膜を有する請求項1記載の圧電振動片。
  3. 前記周波数調整膜は、前記金属膜が第1膜厚に形成された粗調整部と、前記金属膜が前記第1膜厚より薄い第2膜厚に形成された微調整部と、を有する請求項1又は請求項2記載の圧電振動片。
  4. 前記周波数調整膜は、残留応力が±300MPa以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧電振動片。
  5. 前記励振電極は、前記導電性金属膜として金または銀が用いられる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧電振動片。
  6. 周波数調整膜及び励振電極が形成された一対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の製造方法であって、
    モリブデン、タングステン、及びモリブデンやタングステンを有する合金のいずれかの金属膜により前記周波数調整膜を形成する工程と、
    モリブデン、タングステン、及び前記合金を除いた導電性金属膜により前記励振電極を形成する工程と、を含む圧電振動片の製造方法。
  7. 圧電体上に、前記圧電振動片の外形形状に対応する前記金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜をマスクとして前記圧電体をエッチングし、前記圧電振動片の外形を形成する工程と、
    前記金属膜の一部を除去して、残存する前記金属膜を前記周波数調整膜とする工程と、を含む請求項6記載の圧電振動片の製造方法。
  8. 前記金属膜は、残留応力が±300MPa以下となるように調整されて成膜される請求項6または請求項7記載の圧電振動片の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の圧電振動片を有する圧電デバイス。
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