JP5088664B2 - 圧電振動片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電振動片の製造方法に関するものである。
圧電振動片には、これが搭載される電子機器の小型化に伴って、小型化の要求がある。このため、特許文献1に開示された水晶振動子は、水晶片の縁部の表裏を曲率Rで変化させて、水晶片の厚さが端部に向かって徐々に薄くなるようにした漸減部を備えている。これにより特許文献1では、水晶片の短手方向と長手方向の見かけ上の長さが共に長くなるため、水晶片の四辺端部で振動が存在しないようにして、振動エネルギの損失を抑制し、水晶振動子の小型化を図れるとしている。
特開2003−174353号公報(4頁、図2)
ところが近年では、圧電振動片に対して、更なる小型化が要求されている。そして圧電振動片を更に小型化した場合には、CI値の劣化等を防止すべく、振動エネルギの閉じ込め効果がより必要になっている。
また圧電振動片は、その寸法精度が悪いと、例えば周波数温度特性にバラツキが生じる。このため圧電振動片には、寸法にバラツキが生じないような加工方法が必要になる。ところが前述した水晶片の縁部を曲率Rで変化させた場合、水晶片の個体差を少なくするには、水晶片毎に同じ曲率に設定しなければならず、容易に加工ができないおそれがある。
本発明は、小型化された圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る圧電振動片は、振動部と、振動部よりも厚さを薄くした支持部とを備えた圧電素板を有し、振動部は、圧電素板を伝搬する厚み滑り振動の主変位方向に対して圧電素板面内に垂直な方向に位置するいずれか一方の圧電素板の端部に設けたことを特徴としている。
本発明に係る圧電振動片は、振動部の1つの側面と、支持部の1つの側面とが同一面内にあるようにしている。このような形状としても振動部に厚み滑り振動のエネルギを閉じ込めることができる。このため振動部の四方に支持部がないので、すなわち振動部の三方に支持部があるので、圧電振動片の平面サイズを小型化することができる。また圧電振動片は、振動部を用いて振動エネルギを閉じ込めるようにしたので、フォトリソグラフィ技術およびエッチング工程を用いて製造でき、寸法精度を高くすることができる。よって圧電振動片に個体差が生じるのを防止できる。
なお圧電振動片は、振動部の側面と支持部の側面とを一致させた端部において、振動のエネルギが最大となるようにすることもできる。このようにしても振動のエネルギを振動部に閉じ込めることができるので、圧電振動片の平面サイズを小型化することができる。
また本発明に係る圧電振動片は、振動部の主面に励振電極を設け、または支持部の主面における振動部の縁部に沿って励振電極を設けたことを特徴としている。これにより励振電極に電気信号を供給すると厚み滑り振動を励振することができる。また支持部の主面に
励振電極を設ければ、振動部に接続電極を設ける必要がなく、接続電極を形成するときの不良の発生を防止できる。そして支持部の主面に励振電極を設ければ、振動部を厚くして、圧電振動片の発振周波数を低くすることもできる。
また振動部を設けている圧電素板の端部側に位置する励振電極の縁部は、振動部を設けている圧電素板の端部から離れていることを特徴としている。これにより圧電素板の端部に励振電極が接することがないので、圧電素板の上面に設けた励振電極と下面に設けた励振電極が側面を介して導通するのを防止できる。そして圧電素板の側面を露光装置で斜め露光する工程が不要になるので、製造工程および露光装置を簡略化できる。
前述した圧電素板は、水晶素板であることを特徴としている。これにより周波数温度特性等の圧電振動片の様々な特性を向上することができる。
前述した水晶素板は、水晶の結晶軸のうちX軸とZ’軸とで形成される平面を有するとともに、水晶の結晶軸のうちY’軸が厚さ方向となっているATカット水晶素板であり、Y’軸とZ’軸とで形成されるY’Z’面に平行な振動部の側面に励振電極とマウント電極を導通する接続電極を設けるとともに、Y’Z’面に平行な支持部の側面にマウント電極を引き回したことを特徴としている。水晶は、結晶構造の異方性によって結晶軸毎にエッチングレートが異なっている。そして水晶素板をウエットエッチングすると、Y’Z’面には尖った部分が生じない。このためY’Z’面に平行な振動部の側面に接続電極を設け、またY’Z’面に平行な支持部の側面にマウント電極を引き回せば、これらの電極に断線等の不具合が生じることを防止できる。
また本発明に係る圧電デバイスは、前述した圧電振動片をパッケージに収容したことを特徴としている。これにより圧電デバイスの平面サイズを小型化することができる。
また本発明に係る圧電振動片の製造方法は、振動部と、振動部よりも厚さを薄くした支持部とを備えた圧電素板を形成し、圧電素板に励振される厚み滑り振動の主変位方向に対して圧電素板面内に垂直な方向に位置するいずれか一方の圧電素板の端部に振動部を配置したメサ型の圧電素板に励振電極をフォトリソグラフィ技術により形成するに際して、圧電素板の表面に設けた金属膜上のレジストを励振電極の形状に合わせて露光するとともに、圧電素板の主面に垂直な方向に対して斜めに傾けた方向から圧電素板の側面を露光することを特徴としている。
圧電素板の側面に塗布してあるレジストを斜め露光できるので、圧電素板の側面に成膜した励振電極の形成に用いる金属を確実に除去できる。このため振動部を圧電素板の端部側に寄せた構成であっても、圧電素板の上面に設けた励振電極と下面に設けた励振電極が側面を介して導通するのを防止できる。そして圧電素板の側面を露光装置で斜め露光する工程が不要になるので、製造工程および露光装置を簡略化できる。
以下に、本発明に係る圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法の実施形態について説明する。まず第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。ここで図1(A)は斜視図、図1(B)は平面図、図1(C)は底面図である。図2はATカット水晶素板の説明図である。
圧電振動片10は圧電素板12を有している。この圧電素板12は、主振動として厚み滑り振動を生じるものである。具体的な一例としては、圧電素板12としてATカット水晶素板14を用いることができる。水晶の結晶軸は、図2に示すように、X軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)によって定義される。ATカット水晶素板14は、Y軸に垂直なXZ面で切り出される水晶Y板をX軸回りにθ=約35°回転して得られる
ものである。なおZ’軸およびY’軸は、Z軸およびY軸をθ回転させたことにより新たに設定した軸である。そして圧電素板12としてATカット水晶素板14を用いると、図1(A)に示す場合では、図面の左右方向がZ’軸になり、奥行き方向がX軸になる。なお本発明は、ATカット水晶素板14に限定されるものではない。
圧電素板12は、その一部の厚さが、他の部分に比べて厚くなっている。すなわち圧電振動片10は振動部16と、この振動部16よりも厚さを薄くした支持部18とを有している。この振動部16は、圧電素板12を伝搬する厚み滑り振動の主変位方向に対して圧電素板12の面内に垂直な方向に位置するいずれか一方の圧電素板12の端部に設けてある。そして図1に示す場合、厚み滑り振動の主変位方向は、図1(A)に矢印Aで示すようにX軸に沿う方向となっている。このため振動部16は、主変位方向に対して圧電素板12の面内に垂直な方向となるZ’軸方向における、圧電素板12のいずれか一方の端部に設けてある。すなわち振動部16は、圧電素板12の+Z’方向の端部および圧電素板12の−Z’方向の端部のいずれか一方に設けてある。また振動部16は、圧電素板12において、X軸方向の中央部に設けてある。これにより振動部16のいずれか1つの側面は、圧電素板12の側面12aを形成することになる。また振動部16の他の3つの側面には、その厚さ方向の中央部に支持部18が設けてある。これによって圧電素板12は、両主面に肉厚部を設けたメサ型となる。
そして振動部16の主面には、励振電極20が設けてある。また支持部18は、マウント電極22を縁部に設けるとともに、このマウント電極22と励振電極20を導通する接続電極24を設けている。なおマウント電極22は、圧電素板12の下面に1対設けてある。そして一方のマウント電極22aは、圧電素板12の下面に設けた励振電極20aと接続電極24aを介して導通している。また他方のマウント電極22bは、圧電素板12の下面から側面を介して上面に引き回されており、この上面において接続電極24bを介して励振電極20bと導通している。
このようなメサ型の圧電振動片10は、励振電極20に電気信号を供給すると、振動部16に厚み滑り振動を生じる。この振動のエネルギは、振動部16に閉じ込められる。なお圧電振動片10は、振動部16の側面のうちの1つが支持部18の側面と同一な面を形成しているが、振動のエネルギが振動部16に閉じ込められることを確認できている。すなわち圧電振動片10は、厚み滑り振動の主変位方向に対して垂直方向の位置にある振動部16の端部(主変位方向に沿っている振動部16の側面)に支持部18を設けていない形態となっているが、厚み滑りエネルギ閉じ込めモードが存在している。なお振動部16は、厚み滑り振動の主変位方向と同じ方向に位置する圧電素板12の端部(主変位方向に対して垂直方向に沿っている圧電素板12の側面)に設けてあると、すなわち図1に示す場合、+X方向の圧電素板12の端部または−X方向の圧電素板12の端部に設けてあると、厚み滑りエネルギ閉じ込めモードが存在していなかった。
図3は圧電振動片の平面サイズを比較するための説明図である。ここで図3(A)は本実施形態の圧電振動片の平面図および振動エネルギの説明図であり、図3(B)は平板の圧電素板を用いた従来の圧電振動片の平面図である。図3(A)に示すように、本実施形態の圧電振動片10は、振動部16で生じた厚み滑り振動のエネルギEが、振動部16の端部と支持部18の端部とによって形成される圧電素板12の端部12bにおいて最大となり、このエネルギEが振動部16に閉じ込められるように減衰していき、支持部18においてエネルギEが零になっている。なおマウント電極22を設けてある箇所では、振動のエネルギEが既に零になっている。このように振動部16を圧電素板12の前記端部12bに寄せて配設するとともに、この振動部16の幅を狭くして前記端部12bにおいて振動エネルギEが最大になるようにしているので、前記端部12bからマウント電極22までの振動に寄与する領域の幅を狭くすることができる。この振動に寄与する領域の幅を
W/2とする。
これに対し図3(B)に示すように、厚み滑り振動を励振する従来の圧電振動片1では、圧電素板2の幅方向の中央部が振動エネルギの最大となる箇所である。このため従来の圧電振動片1が厚み滑り振動を励振するには、前記中央部から幅方向にそれぞれW/2以上必要になる。すなわち従来の圧電振動片1の幅は、少なくともW必要になる。
そして本実施形態の圧電振動片10では、マウント電極22を圧電素板12(支持部18)の長辺に隣接して設けているので、図3(B)に示す従来の圧電振動片1に比べて、面積比で約2/3倍になっている。
そして圧電振動片10は、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。すなわち、まず平板の圧電素板に、振動部16の形状を形成するための第1のレジストを塗布し、この振動部16の形状に倣ったフォトマスクを介して第1のレジストを露光する。この後現像をすると、所望の振動部16の形状に倣った第1のレジストが得られる。そして更に、圧電振動片10の形状を形成するための第2のレジストを塗布し、この圧電振動片10の形状に倣ったフォトマスクを介して第2のレジストを露光する。この後現像をすると、所望の圧電振動片10の形状に倣った第2のレジストが得られる。
まず第2のレジストをマスクとして利用して圧電素板をウエットエッチングし、圧電振動片10の外形を形成する。この後、第2のレジストを除去した後、第1のレジストをマスクとして利用して圧電素板をウエットエッチングして支持部18を薄くすることにより振動部16を形成し、第1のレジストを除去すると、メサ型の圧電素板12が得られる。
圧電振動片10が水晶の場合には、まず平板の圧電素板に下地となるCrやNi等を成膜した上でウエットエッチング時にレジストとしての効果のあるAuを成膜する。その後、振動部16の形状に倣ったフォトマスクを介して第1のレジストを露光する。この後現像をすると、所望の振動部16の形状に倣った第1のレジストが得られる。そして更に、圧電振動片10の形状を形成するための第2のレジストを塗布し、この圧電振動片10の形状に倣ったフォトマスクを介して第2のレジストを露光する。この後現像をすると、所望の圧電振動片10の形状に倣った第2のレジストが得られる。まず第2のレジストをマスクとして利用してCrを下地としたAuをエッチングして圧電振動片10の形状に倣ったCrを下地としたAuが得られる。圧電振動片10の形状に倣った第2のレジストとCrを下地としたAuを水晶のウエットエッチング液に対するレジストとして水晶をウエットエッチングすると圧電振動片10の外形形状を得る。その後、第2のレジストを除去して第1のレジストをマスクとして利用してCrを下地としたAuをエッチングして振動部16の形状に倣った第1のレジストとCrを下地としたAuが得られる。振動部16の形状に倣った第1のレジストとCrを下地としたAuを水晶のウエットエッチング液に対するレジストとして水晶を適量のウエットエッチングをすると振動部16が得られ、第1のレジストとCrを下地としたAuを除去することでメサ形状の水晶圧電素板12が得られる。但し、ここで述べた方法は唯一ではなく他の方法を用いてもよい。
そして励振電極20、マウント電極22および接続電極24は、次のようにして形成することができる。まずメサ型に形成された圧電素板12の表面に、前述した各電極の材料となる金属膜を形成し、この上に第3のレジストを塗布する。そして各電極の形状に倣ったフォトマスクを介して第3のレジストを露光する。このとき圧電素板12の主面に塗布した第3のレジストには、この主面に垂直な方向に配置した露光装置の光源から光を照射している。また振動部16の側面と支持部18の側面とが同一面を形成している圧電素板12の側面12aに塗布した第3のレジストには、露光装置の光源を斜めに傾けて光を照射している。すなわち圧電素板12の主面に塗布した第3のレジストには、圧電素板12
の主面に対して垂直な方向に配置した光源を用いて転写を行い、圧電素板12の前記側面12aに塗布した第3のレジストには、光源を傾けて前記側面12aに対して垂直方向に近づくように斜め方向から転写を行う。これにより圧電素板12の前記側面12aに塗布した第3のレジストも感光する。この後に現像を行うと、所望の各電極の形状に倣った第3のレジストが得られる。そして、金属膜上に残った第3のレジストをマスクとして利用して、このマスクの開口部分に露出した金属膜をエッチングする。この後、第3のレジストを除去すると、各電極20,22,24が圧電素板12の表面に得られる。なお圧電素板12の前記側面12aに塗布した第3のレジストに対して斜め露光をしているので、圧電素板12の前記側面12a上の金属膜が確実に除去されており、圧電素板12の上面と下面に設けた励振電極20b,20a同士が導通することはない。
以上説明した圧電振動片10によれば、支持部18よりも肉厚にした振動部16を設けているので、この振動部16に厚み滑り振動のエネルギを閉じ込めることができる。この振動部16は、厚み滑り振動の主変位方向に対して垂直な方向に位置する圧電素板12のいずれか一方の端部に設けてある。すなわち振動部16の1つの側面と、支持部18の1つの側面とが同一面内にあるようにしている。このような形状としても振動部16に厚み滑り振動のエネルギを閉じ込めることができる。よって圧電振動片10の平面サイズを小型化することができる。また振動部16の端部と支持部18の端部とを一致させた圧電素板12の端部12bにおいて振動のエネルギが最大となるようにしているので、圧電振動片10の平面サイズを小型化することができる。
また圧電振動片10は、数MHz〜十数MHzの低周波領域で発振するならば、振動部16の外形の寸法が発振周波数に影響を与えることが少なく、前述した方法で製造することができる。なお圧電振動片10を高周波領域で発振させるには、振動部16の外形の寸法を高精度にしなければ目標とする周波数調整範囲から外れてしまうので、寸法精度の管理を厳密に行う必要がある。
また圧電素板12の表面に設ける励振電極20、マウント電極22および接続電極24を、フォトリソグラフィ技術を利用して形成する際に、圧電素板12の前記側面12aに塗布したレジストを斜め露光しているので、前記側面12aに形成してある金属膜を確実に除去することができる。これにより圧電素板12の外周部分に振動部16を配置しても、圧電素板12の上面と下面に設けた励振電極20同士が導通するのを防止できる。
また圧電素板12を形成するに際して、フォトリソグラフィ技術とウエットエッチングを利用しているので、寸法精度を高くして仕上げることができる。すなわち圧電素板12毎の寸法のバラツキを、機械加工に比べて極めて小さくすることができる。よって、この圧電素板12を利用して得た圧電振動片10では、周波数温度特性を始めとする様々な特性の製品毎のバラツキを極めて小さくすることができる。
次に、第2の実施形態について説明する。図4は第2の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。ここで図4(A)は斜視図、図4(B)は平面図、図4(C)は底面図である。第2の実施形態の圧電振動片10は、振動部16の端部と支持部18の端部とが一致している圧電素板12の端部12bから、励振電極20の縁部20cを離した形態である。すなわち振動部16の主面において、圧電素板12の前記端部12bに隣接した部分には励振電極20を設けてなく、他の部分(中央部分等)に励振電極20を設けている。
このような励振電極20は、第1の実施形態で説明した形態と同様にして形成することができる。すなわちメサ型の圧電素板12の表面に形成した金属膜の上にレジストのマスクを形成するときに、圧電素板12の前記端部12bに隣接している振動部16の表面のレジストを除去すればよい。これによりレジストを除去した部分はマスクの開口部分とな
るので、この開口部分に露出している金属膜を除去すればよい。このように励振電極20の縁部20cを圧電素板12の前記端部12bから離しておけば、振動部16の側面と支持部18の側面とが同一面を形成している圧電素板12の側面12aを露光装置で斜め露光することなく、圧電素板12の上面と下面に設けた励振電極20同士の短絡を防止できる。また斜め露光を行う工程を省くことができるので、製造工程と露光装置を簡略化することができる。
なお第2の実施形態の圧電振動片10は、励振電極20以外の他の構成部分が第1の実施形態の圧電振動片10と同構成になっている。
次に、第3の実施形態について説明する。図5は第3の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。ここで図5(A)は斜視図、図5(B)は平面図、図5(C)は底面図である。第3の実施形態の圧電振動片10は、励振電極30を振動部16の主面ではなく、支持部18の主面に設けている。また支持部18の主面に設けた励振電極30は、振動部16の縁部に沿って設けてある。そして励振電極30は、図5に示す場合、圧電素板12の前記端部12bから離れている。励振電極30の縁部30aを圧電素板12の前記端部12bから離すことにより、第2の実施形態で説明したのと同様に、圧電素板12の前記側面12aを露光装置で斜め露光することなく、圧電素板12の上面と下面に設けた励振電極30同士の短絡を防止できる。
また実施形態によっては、励振電極30の縁部30aを圧電素板12の前記端部12bにまで設けてもよい。この場合、第1の実施形態で説明したのと同様に、圧電素板12の前記側面12aを斜め露光して、この圧電素板12の前記側面12a上の金属膜を除去すれば、圧電素板12の上面と下面に設けた励振電極30同士の短絡を防止できる。
このような圧電振動片10では、励振電極30に電気信号を供給すれば厚み滑り振動を励振して、振動部16に振動エネルギを閉じ込めることができる。
また振動部16の厚さ、すなわち支持部18の主面から振動部16の主面までの距離が長くなると、振動部16の側面に接続電極24を引き回し難くなる。しかし本実施形態の圧電振動片10では、振動部16の外周部で駆動できるため、振動部16が厚くなっても厚み滑り振動を励振して振動部16に振動のエネルギを閉じ込めることができる。そして接続電極を振動部16の側面に形成することがないので、接続電極24を形成するときに断線等の不良が発生しなくなり、歩留まりを向上することができる。
なお第3の実施形態の圧電振動片10は、励振電極30以外の他の構成部分が第1の実施形態の圧電振動片10と同構成になっている。
次に、第4の実施形態について説明する。図6は第4の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。ここで図6(A)は斜視図、図6(B)は平面図、図6(C)は底面図である。第4の実施形態の圧電振動片10は、励振電極20とマウント電極22を導通する接続電極24を設ける位置、および支持部18の上面と下面のマウント電極22を導通するために支持部18の側面に設けるマウント電極22の位置を設定したものである。
圧電素板12には、第1の実施形態で説明したように水晶素板を用いることができる。この水晶は結晶構造の異方性を有しているので、結晶軸毎にウエットエッチングのレートが異なる。例えば、図2に示すATカット水晶素板14をウエットエッチングすると、このATカット水晶素板14を用いたメサ型の圧電素板12の側面形状が図7に示すようになる。ここで図7(A)はY’Z’面でATカット水晶素板14を切断したときの断面図であり、図7(B)はXY’面でATカット水晶素板14を切断したときの断面図である。
図7(A)に示すように、ATカット水晶素板14のXY’面に沿う側面には、ウエッ
トエッチングすることによって尖った部分34が生じる。このためATカット水晶素板14のXY’面に接続電極24やマウント電極22を引き回しても、尖った部分34で断線するおそれがある。これに対し図7(B)に示すように、ATカット水晶素板14のY’Z’面に沿う側面には、図7(A)と比較して、尖った部分が存在しない。このため圧電素板12としてATカット水晶素板14を用いる場合は、図6に示すように、振動部16の側面に設ける接続電極24と、支持部18の側面に設けるマウント電極22を、圧電素板12のY’Z’面に設ければ断線することがない。この場合、マウント電極22を支持部18の角部に設けておけばよい。
なお第4の実施形態の圧電振動片10は、接続電極24やマウント電極22以外の他の構成部分が前述した実施形態の圧電振動片10と同構成になっている。
次に、第5の実施形態について説明する。図8は圧電振動片をパッケージに収容した圧電振動デバイスの説明図である。圧電デバイス40は、パッケージ42を備えている。このパッケージ42は、パッケージベース44および蓋体52を有している。パッケージベース44は、上方に向けて開口した凹陥部46を備えており、この凹陥部46の底面に一対のパッケージ側マウント電極48を備えている。またパッケージベース44の裏面には外部端子49が設けてあり、パッケージ側マウント電極48と1対1に導通している。パッケージ側マウント電極48の上には導電性接着剤50を塗布しており、この導電性接着剤50の上に圧電振動片10を配設している。このときパッケージ側マウント電極48と圧電振動片10のマウント電極22(図8には図示せず)とが、導電性接着剤50を介して1対1に接続している。そしてパッケージベース44の上面に蓋体52が接合して、凹陥部46を気密封止している。
このような圧電デバイス40により、圧電振動片10を電子機器に搭載することができる。そして圧電振動片10が小型化されているので、圧電デバイス40も小型化することができる。なお圧電デバイス40は、前述したような圧電振動子ばかりでなく、圧電振動片10とともに発振回路をパッケージ42内に収容した圧電発振器にすることもできる。
なお前述した実施形態で説明した圧電振動片10は、圧電素板12の両主面に肉厚部を形成して振動部16とした構造である。しかし本発明に係る圧電振動片10は、圧電素板12のいずれか一方の主面に肉厚部を形成して振動部16としたプラノメサ型であってもよい。
第1の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。 ATカット水晶素板の説明図である。 圧電振動片の平面サイズを比較するための説明図である。 第2の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。 第3の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。 第4の実施形態に係る圧電振動片の説明図である。 ATカット水晶素板の側面形状の説明図である。 圧電振動片をパッケージに収容した圧電振動デバイスの説明図である。
符号の説明
10…圧電振動片、12…圧電素板、12a…圧電素板の側面、12b…圧電素板の端部、14…ATカット水晶素板、16…振動部、18…支持部、20,30…励振電極、22…マウント電極、24…接続電極、40…圧電デバイス。

Claims (1)

  1. 振動部及び前記振動部よりも厚みが薄い支持部を含み、前記振動部を平面視して、励振される厚み滑り振動の主変位方向に対して垂直な方向に位置する前記振動部の2つの端部のうち一方の端部が外形を構成し、且つ、前記振動部の前記一方の端部側の第1の側面と前記支持部の第2の側面とが同一面を形成している圧電素板と、
    前記圧電素板に設けられている励振電極と、
    を含む圧電振動片の製造方法であって、
    前記圧電素板の表面に金属膜とレジストとを順に積層し、フォトリソグラフィ技術により前記励振電極を形成する工程を含み、
    前記励振電極を形成する工程は、
    前記第1の側面と前記第2の側面とに前記レジストが塗布され、
    前記レジストを前記励振電極の形状に合わせて露光し、
    且つ、前記圧電素板の主面に垂直な方向に対して斜めに傾けた方向から光を照射して、前記第1の側面と前記第2の側面とに塗布されている前記レジストを露光する
    ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
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