(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、この実施形態のプリンタ1の全体構成を示す概略断面図である。
図2に示すように、プリンタ1は、現像ユニット2、用紙カセット3、トレイ4、表示部5、操作部6、ホッピングローラ7、1対のレジストローラ8、9、転写部材10、定着ユニット11(バックアップローラ111、ヒートローラ112)、2対の排出ローラ13、14、15、16、及び制御基板30を有している。
用紙カセット3は、印刷に用いる用紙Mを積載して収納するものであり、プリンタ本体1の下部に着脱可能に配置されている。
表示部5は、情報(メッセージ等)を表示出力するものであり、例えば、液晶ディスプレイを用いて構成することができる。
操作部6はユーザからの操作受付を行うものであり、例えば、1又は複数のボタンを用いて構成することができる。
ホッピングローラ7は、用紙カセット3内に積載されている用紙Mを1枚ずつ繰出して給紙するためのローラである。
レジストローラ8、9は、ホッピングローラ7により繰出された用紙Mを突き当てて位置及び姿勢を補正し、用紙Mをさらに媒体供給の下流側に搬送するローラである。
現像ユニット2は、感光ドラム25を備え、その感光ドラム25の表面上に、露光手段17からの露光パターンに応じたトナー像を現像するものである。
露光手段17は、感光ドラム25表面に画像信号に基づく露光を行い、静電潜像を形成するものである。
転写部材10は、現像ユニット2の下方向に配置されており、感光ドラム25との間で通過する用紙Mを挟持し、トナーと逆の極性の転写電圧を利用して、当該用紙Mに感光ドラム25に形成されたトナー像を転写・搬送するローラである。
定着ユニット11は、現像ユニット2にて形成され、転写部材10にて用紙Mに転写されたトナー像を熱定着させるものである。
定着ユニット11は、トナー像が転写された用紙Mに熱及び圧力を加えて、用紙Mにトナー像を定着させる定着処理を行うものであり、バックアップローラ111及びヒートローラ112を有している。定着ユニット11では、図示しない熱源により熱せられたヒートローラ112と、ヒートローラ112を押圧しながら回転するバックアップローラ111との間で、トナー像が転写された用紙Mを挟持しながら媒体搬送方向の下流側に搬送することにより定着処理を行う。
2対の排出ローラ13、14、15、16は、定着ユニット11により定着処理が行われた用紙Mをさらに媒体搬送方向の下流側に搬送して、プリンタ1から排出し、プリンタ1上面に設けられたトレイ4に載置する。
制御基板30は、データ処理やプリンタ1の各構成要素の制御処理等を行うものであり、内部の詳細構成については後述する。
次に、現像ユニット2の内部構成について、図3、図4、図5を用いて説明する。
図3は、プリンタ1において、現像ユニット2周辺を拡大して示す断面図である。
図3に示す通り、現像ユニット2は、トナー貯蔵空間19、トナー保持空間20、供給部材21、現像部材22、ブレード23、帯電部材24、感光ドラム25、クリーニングローラ26、回転部材27、及びトナーロー検出センサ31を有している。また、現像ユニット2には、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ18が着脱自在に取り付けられている。
図4は、回転部材27の側面図(図3の矢印Bの方向から見た場合のB矢視図)である。
トナーカートリッジ18は内部にトナー貯蔵空間19を有し、そこにトナーを貯蔵している。図示しないレバーを回転することによりトナーカートリッジ18のシャッターが開かれ、トナーを現像ユニット2内部のトナー保持空間20へ供給する。
トナー保持空間20に供給されたトナーは、供給部材21へ供給され供給部材21により現像部材22に供給され、ブレード23によって現像部材22表面にトナー薄層が形成される。
また、感光ドラム25は、帯電部材24により表面が一様に帯電され、さらに、露光手段17により選択的に露光されることにより表面に静電潜像が形成される。さらに、その静電潜像が、前述した現像部材22により現像されトナー像が得られる。そして、転写部材10により、用紙Mに対して感光ドラム25の表面に形成されたトナー像が転写される。この時転写されずに感光ドラム25上に残ったトナーはクリーニングローラ26により清掃される。
回転部材27は、回転運動により、トナー保持空間20内のトナー剤を撹拌するものである。そして、プリンタ1では、回転部材27が、トナー保持空間20内のトナー剤を撹拌しつつ、トナーローを検出するトナーロー検出機構の一部を構成している。すなわち、プリンタ1では、回転部材27の回転状況に基づいて、トナーローを検出する。具体的には、プリンタ1では、トナーロー検出センサ31を用いて、回転部材27の回転状況を検査し、トナーロー検出センサ31による検査に基づいてトナーローを検出する。すなわち、プリンタ1では、トナーロー検出センサ31による検査結果に基づいて、トナー保持空間20内のトナー量が所定以下になったことを認識することができるものとする。この実施形態では、回転部材27及びトナーロー検出センサ31を用いて、トナーロー検出機構を形成しているが、具体的なトナーロー検出センサ31の構成については限定されないものであり、例えば、光学的に検知する構成等種々の構成を適用することができる。なお、回転部材27及びトナーロー検出センサ31を用いたトナーロー検出機構の詳細構造については、例えば、特許文献1に記載された構造を適用することができるため以下では概要のみを説明し、詳細な説明は省略するものとする。
回転部材27は、図4に示すように鋼丸棒を曲げによりクランク形状に成形したものである。
感光ドラム25は片側に固着された図示しないギヤを有し、同じく図示しない画像形成装置の駆動部からギヤを介して駆動を受けて回転する。現像部材22はシャフトに固着された図示しないギヤでドラムギヤから駆動を受けて回転する。現像部材22のギヤと供給部材21のシャフトに固着された図示しないギヤは図示しないアイドルギヤを介して連結されている。
供給部材21のギヤは現像ユニット2内の回転部材27を回転させる図4に示すギヤ28を駆動することで、ギヤ28と対向する側の軸受け29の中心とギヤ28の軸受け部中心を結ぶ中心線をほぼ中心として回転部材27は回転する。図4に示す通り、ギヤ28は回転部材27へ駆動を伝え、かつ、回転部材27がその回転動作の一部において、自重による自由落下を許容するための切り欠き部28aが形成されている。
図5は、図4のA−A’矢視断面図である。図5では、回転部材27が、図5(a)の位置から、自由落下(時計回りに回転)し、図5(b)の位置を経由して、図5(c)の位置まで、自由落下した状態の例について図示している。
トナーロー検出センサ31は、回転部材27の回転に応じて揺動動作(回転軸311cを中心に回転動作)するセンサ311と、センサ311の揺動動作を光学的に検出するフォトカプラ312とを有している。
棒形状のセンサ311は現像ユニット2と対向する面に磁石311aが付けられており、鉄系素材で形成された回転部材27がその回転軌跡において一定距離に来たときに回転部材27を有する現像ユニット2側へ引き付けられ、一定距離以上に離れると現像ユニット2から離れることができるよう遥動自在に画像形成装置内で支持されている。またセンサ311の現像ユニット2と対向する側とは逆側には、フォトカプラ312が備えられている。センサ311が現像ユニット2に引き付けられていない状態では前記フォトカプラ312内で発光及び受光される検査光312aは、センサ311の端部311bにより遮光される。そして、センサ311が現像ユニット2に引き付けられて動くと、センサ311の端部311bは、フォトカプラ312の検査光312aを遮光しない位置となり、フォトカプラ312の出力は変化する。フォトカプラ312の出力は、図示しない配線によって制御基板30へ入力される。
以下では、フォトカプラ312は、検査光312aが遮光されていない間は、検出信号としてLOWレベルを出力し、検査光312aが遮光されている間は検出信号としてHIGHレベルを出力するものとして説明する。
次に、プリンタ1の制御系の構成について図1を用いて説明する。
図1は、プリンタ1における制御系の構成要素のうち、トナー残量管理に関係する構成の一例を示したものであり、プリンタ1の制御構成を限定するものではない。
図1に示す制御部40は、制御基板30上に形成された構成要素である。
制御部40は、例えば、1又は複数のICチップ等を用いて構成するようにしてもよいし、一部又は全部をコンピュータにプログラムをインストールしてソフトウェア的に構成するようにしてもよい。
図1に示す画像形成部としての印刷部100は、プリンタ1で用紙M(媒体)に印刷(画像形成)を行うハードウェアを示すものであり、ホッピングローラ7、レジストローラ8、9、転写部材10、定着ユニット11、現像ユニット2、及び露光手段17や、それらの駆動機構等を含むものであるものとする。ただし、図1では、説明を簡易とするため、印刷部100に含まれる構成要素のうち、トナー残量管理に関連する現像ユニット2(トナーカートリッジ18及びトナーロー検出センサ31を含む)についてのみ図示している。
次に、制御部40の内部構成について説明する。
図1に示すように制御部40は、少なくとも印刷データ処理部41、印刷制御部42、消耗品管理部43、及び操作表示制御部44を有している。
印刷データ処理部41は、図示しないPC等のホストから印刷データ(印刷ジョブ)を受信して、印刷部100で印刷するための印刷イメージ(ラスターイメージ)を生成して、印刷制御部42に供給する処理等を行うものである。
印刷制御部42は、印刷データ処理部41から供給されたラスターイメージに基づいて、印刷部100の各構成要素を制御し、用紙Mに印刷をさせる制御を行うものである。
消耗品管理部43は、トナーカートリッジ18等の消耗品を管理する機能を担っており、トナーカートリッジ18の寿命等を管理するトナー残量管理部431、及び各消耗品の使用状況を計数するカウンタ432を有している。消耗品管理部43はトナーカートリッジ18以外の消耗品についても管理するようにしてもよい、図1では、説明を簡易とするためトナー残量管理部431のみを図示している。
カウンタ432は、感光ドラム25やトナーカートリッジ18等の消耗品について、使用量(消費量)を計数している。具体的には、カウンタ432は、印刷枚数、印刷ドット数、現像ユニット2の回転量(感光ドラム25が回転した回数)などを計数する。
トナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31から供給される検出信号(フォトカプラ32から供給されるHIGH/LOW信号)等に基づいて、現像ユニット2(トナーカートリッジ18)のトナー残量を判断する処理を行う。この実施形態では、トナー残量管理部431は、現像ユニット2(トナーカートリッジ18)のトナーロー及びトナーエンプティを判断するものとする。そして、トナー残量管理部431は、判断した結果に応じて、ユーザへその旨を報知する処理を行う。具体的には、トナー残量管理部431は、操作表示制御部44を介して表示部5に所定のメッセージを表示出力させることにより、報知を行うものとする。
なお、トナー残量管理部431が上述の報知を行う手段としては、メッセージの表示出力に限定されず、例えば、図示しないランプ表示により報知したり、通信により他の装置へのデータ送信(例えば、電子メール送信や、所定のプロトコルにしたがった電文送信等)により報知するようにしてもよい。
トナーカートリッジ18には、制御部40から読み書き可能なメモリ18aが付けられているものとする。そして、メモリ18aには、当該トナーカートリッジ18の容量(初期出荷時の容量)、製造日、トナーロットといった製造情報や新品、中古品を示す情報などが書き込まれているものとする。消耗品管理部43(トナー残量管理部431)は、始めに新品のトナーカートリッジ18を検知すると、当該トナーカートリッジ18の印刷枚数、印刷ドットのカウンタ値を0リセットする。そして、消耗品管理部43は、その後当該トナーカートリッジ18のメモリ18aに、中古情報等を書き込む。また、消耗品管理部43は、カウンタ432が更新されるごとに、その内容に基づいてメモリ18aの内容も更新する処理を行う。
次に、トナー残量管理部431が、トナーロー及びトナーエンプティを判断する処理の詳細について説明する。
プリンタ1で印刷を続けると、トナーカートリッジ18及び現像ユニット2のトナー保持空間20内のトナーが減少し、ある一定量以下に減少すると、回転部材27がセンサ29を引き付ける位置まで自由落下するようになる。この状態においては、トナー量が多く回転部材27がギヤ28の駆動速度で回転し、その回転軌跡の一部でセンサ311を引き付けている状態よりも、自由落下でセンサ311(磁石311a)を引き付けた分だけ、センサ311を引き付けている時間が長くなる。この時間はフォトカプラ312の「LOW出力時間」(回転部材27が1回転する間のLOWレベルの出力時間)としてトナー残量管理部431において認識されるものとする。そして、この実施形態では、トナー残量管理部431は、フォトカプラ312のLOW出力時間が閾値以上になった連続回数が予め定めた閾値以上になった場合にトナーローであることを判断するものとする。
ただし、現像ユニット2(トナーカートリッジ18)において、トナーローが判断された時点から、トナーエンプティとなるまで(例えば、カスレ等が発生するまで)に消費できるトナー量はほぼ決まっている。しかしながら、トナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31を用いてトナーローを判断した後は、残トナー量を直接計量することはできないため、カウンタ432で計数される値に基づいて判断を行うことになる。例えば、トナー残量管理部431が、印刷枚数のカウンタ値(例えば、印刷ドット数)に基づいてトナーロー検出後の残トナー量を推定し、トナーエンプティを検出するようにしてもよい。
次に、トナー残量管理部431が、トナーローを判断する処理について説明する。
以下では、この実施形態では、トナー残量管理部431が適用するデフォルトのトナーローの閾値(残トナー量)を、デフォルトトナー残量閾値と表すものとする。
そして、この実施形態のトナー残量管理部431は、印刷部100の印刷状況の履歴に応じて、適用するデフォルトトナー残量閾値を調整して、トナーロー検出の閾値に適用するものとする。
言い換えると、この実施形態のトナー残量管理部431は、印刷部100の印刷履歴に応じて印刷部100による印刷状態を判断し、その判断結果によって、トナーローを判断するタイミングを調整する。具体的には、トナー残量管理部431は、印刷部100の印刷状態によっては、トナーロー検出センサ31を用いた処理でトナーローを検出する前に、その他の条件に基づいてトナーローになったものと判断する処理を行うものとする。
例えば、トナーローを判断する閾値を画一的に定めた場合、高密度の印刷(1枚あたりの印刷ドット数が多い印刷)を行うユーザについては、設計上の想定よりも早く残トナー量がトナーエンプティの基準に達してしまうことになる。例えば、ユーザがトナーローの警報を確認してから、交換用のトナーカートリッジを注文して調達するサービスに加入していた場合、少なくとも交換用のトナーカートリッジが届くまでの間は、トナーエンプティにならないことが望ましい。トナーエンプティとなるまでの間に、交換用のトナーカートリッジを調達できない場合、プリンタ1の稼働率が低下してしまうからである。
そこで、この実施形態のトナー残量管理部431は、ユーザが過去に行った印刷の平均的な印刷密度を求め、その印刷密度が閾値以上である場合に、トナーロー検出センサ31を用いた処理によりトナーローが検出される前(トナー残量がデフォルトトナー残量閾値を下回る前)であっても、印刷ドット数が所定の閾値以上になった場合は、トナーローになったと判断し、トナーローの警報処理等の処理を行うものとする。
なお、トナーロー検出センサ31によるLOW出力時間は、回転部材27の丸棒の径、回転部材27の回転径、回転部材27の回転速度、回転部材27とセンサ311に装着された磁石311aとの距離、現像ユニット2の筐体形状、トナー流動性、トナー密度などに応じて変化する。したがって、予め実験等により、トナー残量とLOW出力時間との関係を明らかにしておき、トナー残量管理部431でLOW出力時間に基づいたトナーローの検出処理(トナー残量がデフォルトトナー残量閾値を下回ったことを検出する処理)に適用する必要がある。
以上のように第1の実施形態では、トナー像(現像剤像)を現像して用紙M(媒体)に転写する画像形成部は、印刷部100として実現されている。また、第1の実施形態では、印刷部100によるトナーの使用状態を判断する判断手段は、消耗品管理部43により実現されている。さらに、第1の実施形態では、トナーロー等を報知する報知手段は、トナー残量管理部431、操作表示制御部44及び表示部5により実現されている。さらにまた、第1の実施形態では、トナーロー等の報知タイミングを決定する制御手段は、トナー残量管理部431により実現されている。また、第1の実施形態では、消費したトナー量を算出する算出手段は、カウンタ432等により実現されている。さらに、第1の実施形態では、印刷部100(現像ユニット2)に残っているトナーの残量を検出する検出部は、回転部材27及びトナーロー検出センサ31及びトナー残量管理部431等により実現されている。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のプリンタ1の動作を説明する。
図6は、プリンタ1で受信した印刷ジョブに基づいて印刷が行われる場合のトナー残量管理部431の動作について示したフローチャートである。
なお、図6では、カウンタ432で計数される印刷ドット数(トナーカートリッジ18がセットされてからの印刷ドット数の積算値)をドットカウント積算値DTCと表している。また、図6では、カウンタ432で計数される印刷枚数(トナーカートリッジ18がセットされてからのA4サイズの用紙Mの印刷枚数の積算値)を印刷枚数積算値PCと表している。
さらにまた、図6では、フラグTLは、トナーロー検出センサ31を用いた検査によりトナーローが検出されたこと(トナー残量がデフォルトトナー残量閾値を下回ると検出されたこと)に基づいて、トナー残量管理部431がトナーローを検出したことを示すフラグである。フラグTLの初期値は「0」でありトナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31を用いた検査によりトナーローを検出した場合フラグTLを「1」に変更するものとする。
また、図6では、フラグDYは、フラグTLが1となる前(トナーロー検出センサ31を用いた検査によりトナーローが検出される前)に、ドットカウント積算値DTCに基づいて、トナー残量管理部431がトナーローを検出したことを示すフラグである。フラグDYの初期値は「0」でありトナー残量管理部431は、ドットカウント積算値DTCに基づいて、トナーローを検出した場合フラグDYを「1」に変更するものとする。
さらに、図6では、カウンタNは、トナー残量管理部431で、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間が閾値(図6では1.1sec)以上であることを連続して検出した回数を計数するためのものである。なお、カウンタNの初期値は0である。
さらにまた、図6では、印刷ドット数DOTは、トナー残量管理部431がトナーローを検出してから(フラグTLが1となってから)の印刷ドット数の積算値を表している。
まず、印刷データ処理部41で印刷ジョブを受信し、画像処理によりラスターイメージが印刷制御部42に供給され印刷処理が開始されたものとする。
印刷処理が開始すると、トナー残量管理部431は、印刷制御部42に供給されるラスターイメージの印刷により発生する印刷ドット数DOT1を取得し、ドットカウント積算値DTCに今回発生する印刷ドット数DOT1を加算する処理(DTC=DTC+DOT1)を行う(S101)。
また、トナー残量管理部431は、印刷制御部42に供給されるラスターイメージの印刷により印刷される印刷枚数PCTを取得し、印刷枚数積算値PCに印刷枚数PCTを加算する処理(更新処理)を行う(S102)。
さらに、トナー残量管理部431は、DTCをPCで除算して、用紙M1枚あたりの印刷ドット数の平均を平均印刷密度DUTY(DUTY=DTC/PC)として算出する(S103)。
そして、トナー残量管理部431は、フラグDY=0であるか否かを確認し(S104)、フラグDYが0の場合は、後述するステップS105の処理に移行し、そうでない場合(フラグDY=1の場合)には、後述するステップS118の処理に移行する。
ステップS118では、トナー残量管理部431は、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1以上であるか否かを確認し、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1以上の場合後述するステップS119から動作し、そうでない場合には、後述するステップS106の処理に移行する。
上述のステップS118で、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1以上であると確認された場合には、トナー残量管理部431は、フラグDY=1とし(S119)、さらに、操作表示制御部44を介して表示部5に、トナーローをユーザに報知するためのメッセージ(例えば、図7に示すように「トナーフソク」等のメッセージ)を表示させ(S120)、後述するステップS106の処理に移行する。
上述のステップS104で、フラグDY=0と判断された場合、トナー残量管理部431は、DUTYが閾値DUTY1より小さい値であるか否かを確認し(S105)、DUTYが閾値DUTY1より小さい場合(DUTY<DUTY1)には後述するステップS106から動作し、そうでない場合には上述のステップS118から動作する。
そして、ステップS106において、トナー残量管理部431は、フラグTL=0であるか否かを確認し、フラグTL=0の場合後述するステップS107から動作し、そうでない場合には後述するステップS113から動作する。
上述のステップS106で、フラグTL=0と確認された場合、トナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31から最新に検出されたLOW出力時間が閾値(1.1sec)以上であるか否かを確認し(S107)、閾値以上である場合には、カウンタNをインクリメント(N=N+1)し(S108)、そうでない場合にはカウンタNを初期化(N=0)する処理(S112)を行う。
そして、ステップS108でカウンタNがインクリメントされた場合、トナー残量管理部431は、さらに、カウンタNが閾値(5)以上となっているか否かを確認し(S109)、カウンタNが閾値以上となっている場合にはフラグTLを1に変更(フラグTL=1)として後述するステップS111の処理に移行する。
一方上述のステップS106で、フラグTL=1と確認された場合、トナー残量管理部431は、操作表示制御部44を介して表示部5に、トナーローをユーザに報知するためのメッセージ(例えば、図7に示すように「トナーフソク」等のメッセージ)を表示させる(S113)。
そして、トナー残量管理部431は、印刷ドット数DOTにDOT1を加算する処理(DOT=DOT+DOT1)を行い(S114)、印刷ドット数DOTが閾値DOTS以上となっているか否かを確認する(S115)。
印刷ドット数DOTが閾値DOTS以上の場合、トナー残量管理部431は、トナーエンプティを判断し、トナーエンプティをユーザに報知するためのメッセージ(例えば、図8に示すように「トナーガアリマセン」等のメッセージ)を表示させ(S116)、さらに印刷データ処理部41及び印刷制御部42を制御して印刷を停止させる(S117)。
ステップS111では、トナー残量管理部431は、印刷データ処理部41で次の印刷ジョブの処理が開始されるか否かを確認し、次の印刷ジョブがある場合には上述のステップS101から動作し、そうでない場合には印刷データ処理部41及び印刷制御部42を制御して印刷を停止させ(S121)、処理を終了する。
以上のように第1の実施形態のトナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローが検出される前でも、印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上で、かつ、ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合には、トナーローをユーザに報知する。そして、トナー残量管理部431は、さらにその後、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローを確定し、その後の印刷ドット数DOTに基づいてトナーエンプティを検出している。
例えば、上述の図6のフローチャートの例で、TL=1となる時の現像ユニット2内のトナー残量(デフォルトトナー残量閾値)を30gとし、さらに、DOTSとして、A4の用紙に5%の印刷密度で250枚印刷した場合に相当する印刷ドット数を適用した場合を想定する。また、このとき、現像ユニット2において、1枚のA4の用紙に5%の印刷密度で印刷した場合のトナー消費量(印刷1枚あたりのトナー消費量)が28mgである場合を想定する。
そして、DUTY1を10%とし、さらに、現像ユニット2内のトナー残量が、デフォルトトナー残量閾値となるまでに印刷可能な枚数(A4の用紙に5%の印刷密度で印刷した場合に印刷可能な枚数)を、10000枚とする。言い換えると、以下では、TL=1となるまでに印刷可能な枚数(A4の用紙に5%の印刷密度で印刷した場合に印刷可能な枚数)が10000枚であるものとする。
また、以下では、閾値DTC1として、TL=1となるまでに印刷可能な枚数の90%のドット数(A4の用紙に5%の印刷密度で9000枚印刷した場合に相当する印刷ドット数)とする。尚、DUTYについては、A4の用紙の5%印刷可能領域全ドット印刷時のドット数を100%として、パーセンテージに換算するものとして説明する。
ここでユーザが、平均するとA4用紙に25%の印刷密度で印刷を行っている場合(DUTY=25%の場合)を想定する。
この場合、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間だけに基づいてトナーローを検出すると、トナーローの報知後、50枚印刷(A4用紙に25%の印刷密度で印刷)した時点でトナーエンプティとなり印刷が停止してしまうことになる。
これに対して、上述の図6のフローチャートに従って処理する場合を以下に想定する。このとき、トナー残量管理部431は、ステップS118で、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1を超えたこと(DY=1となったこと)をもってトナーローを検出する場合、トナーローを検出してから、さらに200枚印刷(A4用紙に25%の印刷密度で印刷)をした時点で、TL=1となる。そして、TL=1となってから、さらに、50枚印刷(A4用紙に25%の印刷密度で印刷)した時点でトナーエンプティ(DOT≧DOTS)となる。すなわち、この場合、上述の図6のフローチャートに従って処理すると、トナー残量管理部431は、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1を超えたこと(DY=1となったこと)をもってトナーローを報知した後、トナーエンプティとなるまで250枚印刷可能であることになる。
次に、ユーザが、平均するとA4用紙に5%の印刷密度で印刷を行っている場合(DUTY=5%の場合)を想定する。この場合、トナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間だけを用いてトナーローを検出する。したがって、この場合、トナー残量管理部431は、トナーロー(TL=1)を検出してから、トナーエンプティ(DOT≧DOTS)となるまでの間に、250枚印刷(A4用紙に5%の印刷密度で印刷)することが可能である。
以上のように、トナー残量管理部431が、上述の図6のフローチャートにしたがって動作する場合、印刷密度が異なる印刷が行われても、トナーローを報知してからトナーエンプティとなるまでに印刷可能な枚数は同程度に調整される。これにより、ユーザによって印刷する際の印刷密度が異なる場合でも、交換用のトナーカートリッジ18の調達を計画的に行うことが可能となる。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態のプリンタ1(トナー残量管理部431)では、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローが検出される前でも、印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上で、かつ、ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合には、トナーローをユーザに報知する処理を行っている。これにより、第1の実施形態では、高密度な印刷を行うユーザがプリンタ1を使用する場合であっても、トナーローを報知してからトナーエンプティ(印刷停止)となるまでに印刷可能な枚数を一定量以上とし、トナーローを報知してからトナーエンプティ(印刷停止)となるまでの期間が極端に短くなってしまうことを抑えることができる。
また、プリンタ1(トナー残量管理部431)では、上述の通りユーザが平均的な印刷密度で印刷を行う場合(例えば、DUTY=5%の場合)でも、ユーザが高密度で印刷を行う場合(例えば、DUTY=25%の場合)でも、トナーローを報知してからトナーエンプティ(印刷停止)するまでに印刷可能な枚数を同程度に調整することができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用した例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
図9は、第2の実施形態のプリンタ1の制御系の構成について示しており、上述の図1と同一又は対応する部分には、同一又は対応する符号を付している。なお、第2の実施形態のプリンタ1のその他の構成については、第1の実施形態と同様に上述の図2〜図5を用いて説明することができる。以下では、第2の実施形態のプリンタ1について第1の実施形態との差異のみを説明する。
第2の実施形態では、トナー残量管理部431がトナー残量管理部431Aに置き換わっているが、その他の構成については第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態のトナー残量管理部431は、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローが検出される前でも、印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上で、かつ、ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合には、トナーローをユーザに報知していた。これに対して、第2の実施形態のトナー残量管理部431Aは、「印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上」という要件をはずして、「ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合」に、トナーローをユーザに報知する点で第1の実施形態と異なっている。すなわち、第2の実施形態のトナー残量管理部431Aは、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローが検出される前でも、ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合に、トナーローをユーザに報知する。
そして、第2の実施形態のトナー残量管理部431Aでは、閾値DTC1に係る設定を保持する設定保持部433を備えている。トナー残量管理部431Aは、設定保持部433で保持している設定内容に応じて、ドットカウント積算値DTCと比較する閾値DTC1の内容を変動させるものとする。
この実施形態では、例えば、ユーザの操作(例えば、操作部6に対する操作)に応じて、トナー残量管理部431Aが、「通常」、「早目」、「早い」の3段階のいずれかの設定値の入力を受付け、当該設定値を設定保持部433に保持させるものとする。そして、トナー残量管理部431Aは、設定保持部433が保持する設定値に応じて、閾値DTC1に適用する値を変動させるものとする。
例えば、「通常」は、トナーロー検出センサ31のトナーLOW出力時間に基づいてトナーローを検出した場合にトナーローを報知する設定であるものとする。また、「早目」は、例えば、トナーカートリッジ18の仕様容量の残量20%までドットカウント積算値DTCが進んだ場合にトナーローを報知する設定であるものとする。さらにまた、「早い」は、例えば、トナーカートリッジ18の仕様容量の残量40%までドットカウント積算値DTCが進んだ場合にトナーローを報知する設定であるものとする。
尚、設定保持部433の設定値「通常」の場合、ドットカウント積算値DTCに基づいてトナーローを報知しないように、トナーロー検出センサ31のトナーLOW出力時間に基づいてトナーローを検出するよりも、十分に大きな値をDTC1として設定することが望ましい。これにより、ドットカウント積算値DTCに基づいてトナーロー検出よりも、トナーロー検出センサ31のトナーLOW出力時間に基づいてトナーロー検出が必ず先に行われることになる。
以上のように、第2の実施形態のトナー残量管理部431Aは、トナーロー検出センサ31のLOW出力時間に基づいてトナーローが検出されるタイミング(トナー残量が第1の閾値以下となったタイミング)又は、ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となったタイミング(トナー残量が第2の閾値以下となったタイミング)のいずれか速い方のタイミングで、トナーローをユーザに報知する。そして、第2の実施形態では、上述の通り、閾値DCT1(トナー残量が第2の閾値)は、ユーザの操作によって定まるものとなっている。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のプリンタ1(トナー残量管理部431A)の動作を図10のフローチャートを用いて説明する。
図10のフローチャートでは、第1の実施形態に係る図6のフローチャートと同一の処理を行うステップには同一のステップ番号(符号)が付されている。
上述の通り、第2の実施形態のトナー残量管理部431Aは、「印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上」という要件をはずして、「ドットカウント積算値DTCが閾値DCT1以上となった場合」に、トナーローをユーザに報知する点で第1の実施形態と異なっている。
したがって、図10のフローチャートでは、印刷密度DUTYに係る処理(フラグDYに係る処理)が省略されたフローとなっている。具体的には、図10のフローチャートでは、図6のステップS104、S105、S119の処理が削除されている。そして、図10のフローチャートでは、ステップS103の処理の後にステップS118の処理(ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1以上であるか否かを確認する処理が)配置されている。そして、図10のフローチャートにおいては、ステップS118で、ドットカウント積算値DTCが閾値DTC1以上と判断された場合、ステップS120のトナーローの報知処理が行われ、ステップS106の処理に移行する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態のプリンタ1(トナー残量管理部431)では、ユーザの設定に応じて、閾値DTC1を変動させるようにしている。これにより、第2の実施形態では、どの程度前にトナーローを報知するかについて、ユーザが選択させ、低印刷密度印刷の場合などにおいて、必要以上に早くトナーローを報知してしまうことを回避することで、ユーザの利便性を向上させることができる。
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(C−1)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用する例について説明したが、複合機、コピー機、FAX等トナー剤を用いるその他の画像形成装置に適用することができる。
(C−2)上記の各実施形態では、トナーロー検出センサ31(トナーロー検出機構)を用いてトナーローを検出するタイミングよりも速いタイミングで、ドットカウント積算値DTCに基づくトナーローを判断する例について説明したが、逆に所定の条件に応じて、トナーロー検出センサ31(トナーロー検出機構)を用いてトナーローを検出するタイミングよりも遅いタイミングで、ドットカウント積算値DTCに基づくトナーローを判断する構成としてもよい。例えば、所定よりも低い印刷密度で印刷が行われている場合(例えば、DUTYが所定よりも少ない場合)には、トナーロー検出センサ31(トナーロー検出機構)を用いてトナーローを検出しても、トナーローを報知せず、その後にドットカウント積算値DTCが閾値を超えたタイミングでトナーローを報知するようにしてもよい。印刷密度の低い印刷を行うユーザにとっては、トナーロー検出センサ31(トナーロー検出機構)でトナーローが検出されるタイミングよりも遅いタイミングの方が、効率的なトナーカートリッジ18の交換が可能となる場合もあるからである。
(C−3)第1の実施形態では、印刷密度DUTYが閾値DUTY1以上の場合に、ドットカウント積算値DTCに基づくトナーローの判断処理を行っているが、印刷密度DUTY以外のその他のトナーの使用状況(消費状況)に基づいて、ドットカウント積算値DTCに基づくトナーローの判断処理を行うようにしてもよい。例えば、単位時間あたりのトナーの消費量(例えば、印刷ドット数)が所定以上の場合(例えば、1日あたりのトナー消費量が所定以上の場合)に、ドットカウント積算値DTCに基づくトナーローの判断処理を行う処理に置き換えるようにしてもよい。