JP2016028863A - インサート成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外層を形成する1次射出成形品11と、内層を形成する2次射出成形品12とを備えてなり、予め成形された1次射出成形品11をその外面が金型キャビティ面21と接するように金型20内に配置し、この1次射出成形品11の内面の所定部位に向けて2次射出成形品12を成形するための溶融樹脂を射出することで1次射出成形品11と2次射出成形品12とを熱融着により一体化してなる蓋3(インサート成形品)であって、1次射出成形品11の内面の所定部位に、該所定部位の周辺部位よりも肉厚が厚い厚肉部13を形成して、射出された溶融樹脂をその厚肉部13で受け止めるようにする。
【選択図】図1
Description
かかるインサート成形品においては、予め成形した1次射出成形品を金型内に配置し、この1次射出成形品の外面に向けて2次射出成形品を成形するための溶融樹脂を射出することで熱融着させて1次射出成形品と2次射出成形品とを一体化するようにされている。
(1)2次射出成形品の射出成形時において、1次射出成形品の内面を金型にほとんど隙間なく密着させる必要があり、1次射出成形品の内面が複雑な形状、例えば、1次射出成形品の内面にねじ山などの突起があるような場合、金型との間に隙間をなくすのが困難であり、隙間があると、その隙間の部分において、2次射出成形時の射出圧力により1次射出成形品が変形するおそれがある。
(2)例えば、蓋と容器本体とがねじ嵌合により組み立てられる容器に適用するにあたり、ねじ操作方向の位置合せを必要とする場合は、金型内に1次射出成形品をねじ操作方向にずれることなく配置する必要があり、位置決め手段を設けるなどの対策を講じなければならず、金型構造等の複雑化を招く。
(3)2次射出成形品を成形するための溶融樹脂を射出する射出ゲートは、通常、2次射出成形品の天面中央部又はその近辺に設けられるのが一般的であるため、溶融樹脂注入跡が2次射出成形品の表面、つまりインサート成形品の外面の目立つ箇所に残るために外観を損ない、化粧品用の容器などのような外観の見映えを重視するようなものにおいては商品価値の著しい低下を招く。なお、2次射出成形品の天面中央部又はその近辺以外の位置に射出ゲートを設けた場合は、成形性が悪くなり、成形歩留りが低下する。
また、2次射出成形品を成形するための溶融樹脂は、1次射出成形品の内面に向けて射出されるので、溶融樹脂注入跡がインサート成形品の外面に残るようなことがなく、外観の見映えを損なうようなことがない。
また、1次射出成形品の内面の所定部位には、該所定部位の周辺部位よりも肉厚が厚い厚肉部が形成されているので、射出された溶融樹脂がその厚肉部で受け止めるようにすることによって、溶融樹脂の射出によって1次射出成形品が損傷することを未然に防ぐことができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、例えば、化粧品用の容器における蓋に本発明のインサート成形品が適用された例であるが、勿論これに限定されるものではない。
図1(a)及び(b)に示される容器1は、容器本体2に対し蓋3がねじ嵌合により組み立てられて構成されている。
容器本体2は、有底筒状を呈しており、その上部外周面に雄ねじ4が形成されている。
蓋3は、容器本体2の雄ねじ4に螺合する雌ねじ5を有する外観視八角形状の筒状部3aに、容器本体2の開口を覆うドーム状部3bが段差部3cを介して一体的に連設されて構成されている。
容器本体2の開口端上には、容器本体2の開口を密着状態で塞ぐパッキン6が載置され、該パッキン6は、容器本体2に対する蓋3のねじ締付により、容器本体2の開口端と段差部3cとの間に挟まれて容器本体2の開口端上に載置された状態が保持されるようになっている。
蓋3は、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマー等の軟質樹脂(樹脂のブレンドも含む)からなる1次射出成形品11と、例えば、ポリプロピレン等の硬質樹脂からなる2次射出成形品12とが組み合わされて構成され、柔らかい肌触りや滑り止め効果を得ることができる比較的軟質の1次射出成形品11で外層を形成するとともに、比較的硬質(剛性の高い)の2次射出成形品12で内層を形成するようにしている。
図2(a)に示されるように、1次射出成形品11は、図示されない1次射出成形金型を用いて予め成形されるものであって、蓋3の筒状部3aの外層を形成する筒状部外層壁11aに、蓋3のドーム状部3bの外層を形成するドーム状部外層壁11bが段差部11cを介して一体的に連設されて構成されている。
この1次射出成形品11においては、筒状部外層壁11aから段差部11cを経てドーム状部外層壁11bの中央部近傍に至るまで略均一な比較的薄肉の肉厚tとされている。
ここで、肉厚tは、インサート成形品の用途等に合わせて任意の値に設定することができるが、肉厚tが2mmを超える場合は、後述のインサート成形の際の雌型20b(キャビティ)の金型表面の形状に対する転写性が悪くなるため、転写を目的とする場合は、2mm以下に設定することが好ましい。
ドーム状部外層壁11bの内面の中央部には、その周辺部位の肉厚tよりも肉厚が厚い断面円形状で所定の抜き勾配が付された厚肉部13が突出形成されている。
厚肉部13の肉厚Tは、1.5mm〜2.5mm程度に設定するようにし、その周辺部位の肉厚tに対して、1.2t〜4.0t、好ましくは、1.5t〜3.0tの範囲となるようにすることが好ましい。
すなわち、厚肉部13の肉厚Tが、1.5mm未満であると、2次射出成形品12の成形時に溶融樹脂の射出によって、1次射出成形品11を構成する樹脂の一部が溶融することによる不具合が発生しやすく、この溶融樹脂の射出によって1次射出成形品11が損傷することを免れるために射出圧力を下げなければならず、成形性の悪化を招くおそれがあり、一方、2.5mmを超えると、1次射出成形品11の成形時に成形不良、具体的には、厚肉部13とその周辺部位との境界に過剰な曲げ応力が作用して割れや変形などの不具合が発生するおそれがある。
図2(b)に示されるように、2次射出成形品12は、蓋3の筒状部3aの内層を形成する筒状部内層壁12aに、蓋3のドーム状部3bの内層を形成するドーム状部内層壁12bが段差部12cを介して一体的に連設されて構成されている。
蓋3の筒状部3aにおける雌ねじ5は、実質的に、2次射出成形品12における筒状部内層壁12aの内面に刻設される。
まず、金型20の構造について説明する。
図3に示されるように、金型20は、雄型20aと、この雄型20aに対して相対移動可能な雌型20bとを組み合わせて構成されている。
雌型20bは、加飾模様を付すための凹凸加工やダイヤカット面加工などの表面加工が施された金型キャビティ面21を有している。
雌型20bにおける蓋3の段差部3cに対応する部位、言い換えれば1次射出成形品11の段差部11cに対応する部位には、段差部22が形成されている。
図4に示されるように、雄型20aは、雌型20bに対して閉じられたときに、雌型20bにセットされた1次射出成形品11の厚肉部13と対向して臨ませるように配置された射出ゲート23を有しており、図示されない射出装置のノズルから押し出される2次射出成形品用の溶融樹脂がスプルー24を介して射出ゲート23から射出されるようになっている。
雄型20aと雌型20bとが閉じられた状態においては、1次射出成形品11と雄型20aとの間に、2次射出成形品12と同一形状の空間部25が生じるようにされている。
以上に述べた金型20を用いた蓋3のインサート成形は、以下のようにして行われる。
まず、図3に示されるように、予め成形された1次射出成形品11におけるドーム状部外層壁11bの外面が雌型20bの金型キャビティ面21と接するように1次射出成形品11を雌型20b内に配置する。
次いで、図4に示されるように、雄型20aに対し雌型20bを閉じる。
次いで、図4〜図5に示されるように、図示されない射出装置のノズルから押し出される2次射出成形品用の溶融樹脂Mを、スプルー24及び射出ゲート23を介して厚肉部13に衝突させるように射出し、厚肉部13で一旦受け止められた溶融樹脂Mを放射状に拡散させるようにして空間部25内に流し込んで充填する。
これにより、1次射出成形品11と2次射出成形品12とが熱融着により一体化されるとともに、厚肉部13が受け止める溶融樹脂Mの射出圧力の作用で1次射出成形品11の外面が金型キャビティ面21に押し付けられ、これによって1次射出成形品11の外面に金型キャビティ面21が転写されて、1次射出成形品11の外面に加飾模様が形成される。
そして、冷却・固化後に、所定のアンダーカット処理を実施することにより、蓋3に対し雄型20aを離型し、その後、雌型20bから蓋3を離型して、目的とするインサート成形品を得ることができる。
本実施形態のインサート成形品である蓋3によれば、以下の(1)〜(4)のような作用効果を得ることができる。
(1)2次射出成形の実施で蓋3の内層が2次射出成形品12によって形成されるので、内面が雌ねじ5を有するような複雑な形状であっても容易に成形することができるとともに、2次成形時の金型(雄型20a)に対する位置合せが不要となる。
(2)2次射出成形品12を成形するための溶融樹脂は、1次射出成形品11におけるドーム状部外層壁11bの内面に向けて射出されるので、溶融樹脂注入跡が蓋3の外面に残るようなことがなく、外観の見映えを損なうようなことがない。
(3)1次射出成形品11におけるドーム状部外層壁11bの内面の中央部には、該中央部の周辺部位の肉厚tよりも肉厚が厚い厚肉部13が形成され、射出された溶融樹脂がその厚肉部13で受け止められるようにされているので、溶融樹脂の射出によって1次射出成形品11が損傷することを未然に防ぐことができ、これにより、溶融樹脂の射出が1次射出成形品11に及ぼす悪影響を排除できるため、成形樹脂温度や射出速度等を通常の射出成形と同等に設定することができる。
(4)射出された溶融樹脂が厚肉部13で受け止められるようにされているので、1次射出成形品11における筒状部外層壁11aからドーム状部外層壁11bの中央部近傍に至るまで略均一な比較的薄肉の肉厚tとすることができ、厚肉部13が受け止める溶融樹脂の射出圧力を利用した1次射出成形品11の外面への金型キャビティ面21の転写をよりスムーズに行うことができ、1次射出成形品11の外面に加飾模様を容易に形成することができる。
2 容器本体
3 蓋(インサート成形品)
11 1次射出成形品
12 2次射出成形品
13 厚肉部
20 金型
20a 雄型
20b 雌型
21 金型キャビティ面
Claims (2)
- 外層を形成する1次射出成形品と、内層を形成する2次射出成形品とを備えてなり、予め成形された1次射出成形品をその外面が金型キャビティ面と接するように金型内に配置し、この1次射出成形品の内面の所定部位に向けて2次射出成形品を成形するための溶融樹脂を射出することで1次射出成形品と2次射出成形品とを熱融着により一体化してなるインサート成形品であって、1次射出成形品の内面の所定部位に、該所定部位の周辺部位よりも肉厚が厚い厚肉部を形成してなることを特徴とするインサート成形品。
- 厚肉部が受け止める溶融樹脂の射出圧力によって1次射出成形品の外面に金型キャビティ面を転写したことを特徴とする請求項1記載のインサート成形品。
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