JP2016027702A - 楽音機器およびスピーカー用の付属部品 - Google Patents
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Abstract
Description
楽器の音色の向上について、楽器本体ではなくて、その付属部品を改良するという工夫もされている。たとえば、最近ではコントラバスのエンドピンやトランペットのマウスピースの材料としてタングステンやモリブデン系の合金を用いることにより音の歪みを少なくする検討もされている(たとえば、特許文献1)。
また、楽音機器の一種としての各種の音響機器があり、原音に限りなく近い音の追求がなされ、アンプ、スピーカー、CDプレイヤーなどの各コンポーネントにおいて、その音響特性向上のために、いわゆるオーディオ用インシュレーターと言われる一種の振動遮断体が検討されて使用されてきた。インシュレーターとしては、ゴム材、スプリングコイルなどの緩衝体や、木材、樹脂、金属、セラミックおよびこれらの複合体などの硬質材料を用いたものが提案されている(たとえば、特許文献2)。
すなわち、本発明は、粒子状の銅および樹脂を含む複合材料からなることを特徴とする楽音機器およびスピーカー用の付属部品である。
さらに本発明は、前記複合材料が、粒子状の銅が樹脂中に分散された構造であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記樹脂がポリウレタン系エラストマーであることを特徴とする。
さらに本発明は、前記粒子状の銅が0.3μm以上1,000μm以下の重量平均粒子径を有することを特徴とする。
さらに本発明は、前記複合材料が、粒子状の銅がポリウレタン系エラストマー中に分散された構造であり、粒子状の銅のポリウレタン系エラストマーに対する比が重量比で(10〜80):(90〜20)であることを特徴とする。
さらに本発明は、楽音機器およびスピーカー用の音質向上部品として供される楽音機器およびスピーカー用の付属部品であることを特徴とする。
さらに本発明は、ギター用滑り防止部品、バイオリン用あご当て、三味線用滑り防止部品、エンドピンストッパー、ピアノ用インシュレーター、太鼓・ドラム用架台の脚部カバー、またはスピーカーの底部敷物から選択される用途に供される楽音機器およびスピーカー用の付属部品であることを特徴とする。
さらに本発明は、振動防止用および音質向上用のインシュレーターとして供される楽音機器用の付属部品であることを特徴とする。
(1)各種楽音機器そのものの音質向上効果、およびスピーカーを通すことによる音質向上効果に優れる。
(2)シート状の付属部品を、ギターや三味線などの楽器本体と膝の間に置いて演奏すると、音質が向上するとともに、演奏中に膝から滑りにくい。
(3)シート状の付属部品を、バイオリンやビオラのあご当ての上に敷くと、音質が向上するとともに、長時間の演奏になってもあごが痛くなるという問題がない。
(4)シート状もしくは筒状の付属部品を、チェロやコントラバスのエンドピンストッパーとして使用すると、音質が向上するとともに、床面との滑り防止ができ、さらに床面を傷つけることがない。
(5)シート状もしくは筒状の付属部品を、クラリネットなどの指掛けに取り付けるサムレストクッションとして使用すると、音質が向上するとともに、十分なクッション性と耐久性が得られる。
(6)付属部品を、ピアノなどの鍵盤楽器やドラムなどの打楽器などの比較的重量の重い楽器と床面の接地面に設置すると、音質が向上する。
(7)シート状の付属部品をスピーカーの底面に設置すると、スピーカーの音質が向上する。
粒子状の銅としては電解銅または還元銅など、いずれの製造方法で製造されたものでもよい。
合成樹脂としては、重付加系樹脂、重縮合系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂および付加重合系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
重付加系樹脂にはポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタンともいう);重縮合系樹脂にはポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリカーボネート樹脂;付加重合系樹脂にはビニル系樹脂(たとえばアクリル樹脂、スチレン/アルカジエン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂);付加縮合系樹脂にはフェノール樹脂およびアミノ樹脂(たとえば、尿素樹脂およびメラミン樹脂);開環重合系樹脂にはエポキシ樹脂などが含まれる。
しており、低い軟化温度を有している。このために、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、粒子状の銅との混練による複合化において、高密度で柔軟性のある複合材料を生じさせることができる。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン・イソプレン共重合物、スチレン・イソプレン共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合物、スチレン・ブタジエン共重合物の水素添加物、スチレン・イソプレン・ブタジエン共重合物、スチレン・イソプレン・ブタジエン共重合体の水素添加物等の少なくとも一つから選択される。
ーと同様、高い柔軟性を有しており、粒子状の銅との混練による複合化において、高密度で柔軟性のある複合材料を生じさせることができる。また耐油性・耐薬品性に優れている。ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステルアミドブロック共重合物などの共重合ナイロンのうち少なくとも一つから選択される。
格も安い。耐熱性、耐候性、耐油性などにも優れる他、耐酸性もある。繰返しの曲げにも強い。
熱硬化性PUエラストマーのうち、注型用PUエラストマーとしては、プレポリマー型およびワンショット型が挙げられる。プレポリマー型には非発泡型および発泡型が挙げられる。
熱可塑性PUエラストマーとしては、完全PUと不完全PUのタイプに分類される。前者には活性のNCO基がほとんど存在せず、成形品も完全な線状PUであるのに対して、後者にはかなりのNCO基が残存し、成形時にアロファネート架橋を形成するため部分的に分子間架橋が生じる。
使用され、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリエステル
ポリオールなども含まれる。
ポリエーテルポリオールの平均官能基数としては、柔軟性、機械的強度および耐久性の観点から、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2.0〜3.3である。官能基数が2.0以上であれば硬化しやすく、3.3以下であれば柔軟性が十分に発揮できる。
また、分子量の好ましい範囲は、1,000〜6,000であり、1,000以上であれば柔軟性が発揮しやすく、かつ、粘着性も発揮しやすくなる。分子量が6,000以下であれば耐熱性が十分である。
粘着性を付与する目的で使用される前記モノアルコールとしては、1級、2級および3級のモノアルコールが挙げられる。
1級モノアルコールとしては、炭素数1〜24のモノアルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびこれらの併用が挙げられる。1級モノアルコールのうち、好ましいのは、粘着性(滑り防止性)の観点から、炭素数1〜8のモノアルコールのエチレンオキサイド付加物で分子量200〜1,000のものである。
2級および3級のモノアルコールとしては、炭素数1〜24の2級および3級モノアルコール、たとえば、2−エチルヘキシルアルコール、sec−ステアリルアルコール、α−テルピネオール、ジアセトンアルコールおよびカプリルアルコールなど、並びにこれらのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
粒子状の銅がどのような原理で音質向上効果を発揮するのかについては明確ではないが、粒子状の銅の特性によるものと考えられる。粒子状の銅が10以上であれば音質向上効果が発揮し易い傾向にあり、80以下であれば分散しやすい傾向にある。
たとえば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに粒子状の銅を分散させるには、これらのエラストマーを加熱して溶融させた状態で粒子状の銅を十分に混練すると同時に、もしくは混練したのちに、押出成型または射出成型などによって銅を分散した成型品を得ることができる。
熱可塑性PUエラストマーの場合は、他の熱可塑性エラストマーと同様に、エラストマーを加熱して溶融させた状態で粒子状の銅を十分に混練すると同時に、または混練したのちに、押出成型もしくは射出成型などによって成型品を得ることができる。
以下、実施例、比較例および評価例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は質量%を示す。
容量0.5リットルのビーカーに、ポリオール成分としての3官能ポリオール{グリセリンのプロピレンオキサイド(以下、POと略記)とエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物;分子量5,000、末端EO割合13%}90部、メタノールのEO付加物(分子量600)10部、およびジブチルチンラウレート0.1部を十分に混合した。さらに電解銅粉末(平均粒子径1.0μm)180部を加えて十分に混合し、銅粉末含有ポリオールを調製した。ポリイソシアネート成分として、トルエンジイソシアネート44部と上記3官能ポリオール167部を反応させて得られた末端NCO含量8%のプレポリマー211部を合成した。このプレポリマー30.6部を上記銅粉末含有ポリオール28.8部に加えて(NCOインデックス=100%)約1分間十分に撹拌混合し、型枠(10×14cm、深さ2.3mm:シリコーン製)に流し込み、過剰分をコーティングロッドで型枠外に押し出し、そのまま20分間静置した。その後さらに60℃で30分間加熱硬化させ、型枠から取り出し、表面が粘着性を有する柔軟なシート「シート1」が得られた。
実施例1において、ポリイソシアネート成分の配合量を25.0部に代えたこと(NCOインデックス=80%)以外は実施例1と同様にして、表面が粘着性を有する柔軟なシート「シート2」を得た。
筒状のエンドピンストッパーが得られるようなシリコーン製型枠を使用し、その中に実施例1と同様のプレポリマーと銅粉末含有ポリオールの混合物62.6部を注入し、2時間静置後、さらに60℃で1時間加熱硬化させ、図1に示すような柔軟性と粘着性のある成形物「ストッパー1」が得られた。
実施例1において、プレポリマーの配合量を45部とし、銅粉末を加えないポリオール成分の配合量を16.5部として、NCOインデックス=100%となるように調整して配合したこと以外は実施例1と同様にして、表面が粘着性を有する柔軟なシート「比較シート1」を得た。
実施例2において、プレポリマーの配合量を36部とし、銅粉末を加えないポリオール成分の配合量を16.5部として、NCOインデックス=80%となるように調整して配合したこと以外は実施例2と同様にして、表面が粘着性を有する柔軟なシート「比較シート2」を得た。
実施例3と同様の型枠を使用し、プレポリマーの配合量を45部、銅を含まないポリオール成分の配合量を16.5部とし、NCOインデックス=100%となるように調整して配合したこと以外は実施例3と同様にして、図1に示す柔軟性と粘着性のある成形物「比較ストッパー1」が得られた。
本発明の楽音機器用の付属部品の評価を以下のように行った。
モニターとしてクラシックギターの演奏歴が4年以上の8人を選んだ。足の膝とギターの側面の接触部分のギター面に実施例1、2または比較例1、2で得られたシートを貼りつけ、演奏者が最も得意とする曲を演奏してもらい、その音質と滑り防止性を以下の評価基準で自己評価してもらった。その結果を表1に示した。
モニターとして三味線の演奏歴が10年以上のモニター8人を選んだ。足の膝と三味線の側面の接触部分の膝面に実施例1、2または比較例1、2で得られたシートを貼りつけ、演奏者が最も得意とする曲を演奏してもらい、その音質と滑り防止性を以下の評価基準で自己評価してもらった。その結果を表2に示した。
モニターとしてコントラバスの演奏歴が8年以上のモニター8人を選んだ。コントラバスのエンドピンの先に実施例3または比較例3のエンドピンストッパーを付けて、通常の木製フローリングの室内で演奏者が最も得意とする曲を演奏してもらい、その音質と滑り防止性を以下の評価基準で自己評価してもらった。その結果を表3に示した。
セパレート型CDコンポ(ケンウッドKseries K−735)の両側スピーカーのそれぞれの底面の四隅に円形状(直径5cm、厚さ2.3mm)の「シート2」を1枚づつ、または「比較シート2」を1枚づつ、手で押しつけて貼り付けた。
モニター8人にCDの音質を下記の音質の基準で自己評価してもらった。その結果を表4に示した。
[音質]
評価点3:付属部品を使用しない場合に比べて、音の芯の通りが良い、
または、ふくよかな音質、もしくは重厚感のある音質である。
評価点2:付属部品を使用しない場合に比べて、同様の音質である。
評価点1:付属部品を使用しない場合に比べて、音質が悪くなる。
[滑り防止性]
評価点3:付属部品を使用しない場合に比べて、楽器が滑りにくく演奏し
やすい。
評価点2:付属部品を使用しない場合に比べて、特に変わりはない。
評価点1:付属部品を使用しない場合に比べて、使用感が悪い。
また、比較例のように、銅を含有しないシートは、一定の滑り防止性はあるものの、音質向上効果は無いことが分かった。
さらに、表4から、音響機器に使用した場合も音質が向上することが分かった。
以上のことから、本発明における複合材料は楽音機器用の付属部品として有用である。
2 筒状のエラストマー
3 エンドピンを差し込む穴
Claims (8)
- 粒子状の銅および樹脂を含む複合材料からなることを特徴とする楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 前記複合材料が、粒子状の銅が樹脂中に分散された構造であることを特徴とする請求項1記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 前記樹脂がポリウレタン系エラストマーであることを特徴とする請求項1または2記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 前記粒子状の銅が0.3μm以上1,000μm以下の重量平均粒子径を有する請求項1〜3のいずれか記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 前記複合材料が、粒子状の銅がポリウレタン系エラストマー中に分散された構造であり、粒子状の銅のポリウレタン系エラストマーに対する比が重量比で(10〜80):(90〜20)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 楽音機器およびスピーカー用の音質向上部品として供される請求項1〜5のいずれか記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- ギター用滑り防止部品、バイオリン用あご当て、三味線用滑り防止部品、エンドピンストッパー、ピアノ用インシュレーター、太鼓・ドラム用架台の脚部カバー、またはスピーカーの底部敷物から選択される用途に供される請求項1〜6のいずれか記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
- 振動防止用および音質向上用のインシュレーターとして供される請求項1〜5のいずれか記載の楽音機器およびスピーカー用の付属部品。
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