JP2016027639A - 太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュール用封止フィルム - Google Patents

太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュール用封止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】生産性に優れ、かつ高出力の太陽電池モジュールを実現することが可能な封止フィルムを提供する。【解決手段】封止樹脂層と、該封止樹脂層の一方の表面に部分的に形成された導電部と、を備えた太陽電池モジュール用封止フィルムが提供される。前記導電部は、前記封止樹脂層表面において線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行に配置されている。また、前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:(1)20X+10≦Y<70X+30(ただし、1≦X<4);または(2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);を満たすように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用封止フィルムおよび太陽電池モジュールに関する。
光エネルギーを電力に変換する太陽電池セルを備える太陽電池モジュールは、クリーンな発電装置として広く利用されている。上記太陽電池セルとしては、その表面にフィンガー電極と称される多数の線状電極が形成され、このフィンガー電極の上にバスバー電極が配置されたものが普及している。この種のセルを備える太陽電池モジュールでは、太陽電池セルにて発電された電気エネルギーは、上記フィンガー電極およびバスバー電極を通って取り出され、上記モジュールの外部に供給される。フィンガー電極とバスバー電極とを備える太陽電池セルを開示する技術文献としては、特許文献1〜5が挙げられる。
また一般に、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルは絶縁性かつ透光性の封止フィルムで覆われる。この種の従来技術を開示する文献として特許文献6が挙げられる。なお、特許文献6は、裏面側にp型n型の両電極が配置されたバックコンタクト方式を採用する太陽電池モジュールに関する文献である。特許文献7は、太陽電池モジュールの温度上昇抑制に関する文献である。
特許第5368022号公報 特表2012−514850号公報 特許第4684075号公報 特許第5433051号公報 特開2014−42000号公報 特開2011−238849号公報 特開2013−138134号公報
上記従来の太陽電池モジュールの典型例として、表裏面に電極を有するpn接合型の太陽電池セルを用いるものが挙げられる。この太陽電池セルには、表面側にn型電極が配置され、裏面側にp型電極が配置されている。この種の太陽電池セルを備える太陽電池モジュールは、太陽電池セルの配線をはんだ等を用いて個別に接合しなければならず接続作業(以下、配線作業ともいう。)に手間と時間を要する。そのため、生産性向上には限度がある。また一般に、この種の太陽電池セルには、集電性の向上を目的として上述のフィンガー電極が設けられているが、フィンガー電極のない太陽電池セルを用いる構成においても、優れた出力を実現することができれば、実用上有意義である。
本発明は、上記の事情に鑑みて創出されたものであり、生産性に優れ、かつ高出力の太陽電池モジュールを実現することが可能な封止フィルムを提供することを目的とする。関連する他の目的は、太陽電池モジュールを提供することである。
本発明によると、封止樹脂層と、該封止樹脂層の一方の表面に部分的に形成された導電部と、を備えた太陽電池モジュール用封止フィルムが提供される。前記導電部は、前記封止樹脂層表面において線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行に配置されている。また、前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:(1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または(2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);を満たすように配置されている。
かかる構成の封止フィルムによると、封止樹脂層表面に設けられた導電部を利用して、太陽電池モジュールの電気的接続を行うことができる。具体的には、上記構成の封止フィルムを用いることで、フィンガー電極やバスバー電極の形成、セルの個別接合が不要となり、太陽電池モジュールの生産性(典型的には配線作業性)向上が可能となる。また、上記導電パスの間隔Xと幅Yとは、発電された電流の移動ロス(集電ロス)と、導電部による遮光を原因とするシャドーロスとを考慮して条件(1)または(2)を満たすように設定されている。かかる構成の導電パスを有する封止フィルムを、フィンガー電極のない太陽電池セルに適用すると、優れた出力を実現することができる。このことは、フィンガー電極を太陽電池セルに設けなくてもよい点で実用上有意義である。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記導電部は、比抵抗が5.0×10−7Ω・m以下の導電性材料を含む。比抵抗が所定値以下の材料を用いることにより、集電ロスは低減し、より優れた出力を実現することができる。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記導電部は、金属材料から形成されている。このように構成することで、導電部は良好な電気伝導性を発揮し得る。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記導電部の表面には導電性粘着剤層が配置されている。このように構成することで、太陽電池セルに対する封止フィルムの位置合わせがしやすくなり、太陽電池セル表面の所望の位置に導電部を当接させ、かつその状態を良好に維持することができる。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記封止樹脂層の一方の表面にはメッシュ材料が配置されており、前記導電部は、該メッシュ材料の一部を構成している。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記封止樹脂層の一方の表面には密着性向上層が設けられており、前記導電部は該密着性向上層の上に形成されている。密着性向上層を設けることで、導電部は封止樹脂層に良好に固定され、太陽電池セルによく密着する。
ここに開示される封止フィルムの好ましい一態様では、前記封止樹脂層の一方の表面には熱伝導層が設けられており、前記導電部は該熱伝導層の上に形成されている。太陽電池セルに近い封止樹脂層表面に熱伝導層を設けることで、太陽電池セルの温度上昇は効果的に抑制され、太陽電池モジュールの発電効率は向上する。
ここに開示される封止フィルムを、上述のように、フィンガー電極のない太陽電池セルに適用すると、優れた出力を実現することができる。したがって、上記封止フィルムは、フィンガー電極のない太陽電池セルを備える太陽電池モジュールに好ましく用いられ得る。太陽電池セルにフィンガー電極を設けなくてもよいことは、生産性向上の点でも有利である。
また、本発明によると、ここに開示されるいずれかの封止フィルムを備える太陽電池モジュールが提供される。上記封止フィルムを備える太陽電池モジュールは、出力および生産性に優れたものとなり得る。
また、本発明によると、導電部を備えた太陽電池モジュールが提供される。前記導電部は、典型的には前記太陽電池モジュールを上面からみたときに、線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行に配置されている。また、前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:(1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または(2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);を満たすように配置されている。
ここに開示される太陽電池モジュールの好ましい一態様では、前記導電部は、比抵抗が5.0×10−7Ω・m以下の導電性材料を含む。
ここに開示される太陽電池モジュールの好ましい一態様では、前記導電部は、金属材料から形成されている。
ここに開示される太陽電池モジュールの好ましい一態様では、前記導電部の表面には導電性粘着剤層が配置されている。
ここに開示される太陽電池モジュールの好ましい一態様では、密着性向上層が設けられており、前記導電部は該密着性向上層の上に形成されている。
ここに開示される太陽電池モジュールの好ましい一態様では、フィンガー電極のない太陽電池セルを備える。
また、本発明によると、太陽電池モジュール用導電部材が提供される。前記導電部材は、線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行している。また、前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:(1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または(2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);を満たす。かかる構成で、上記導電部材は太陽電池モジュール内に配置される。かかる導電部材は、後述のように、密着性向上層等に支持されてモジュール内に配置され得る。
第一実施形態に係る封止フィルムの主要部を模式的に示す上面図である。 図1の封止フィルムのII−II線における断面図である。 第二実施形態に係る封止フィルムの模式的断面図であって、図2に対応する断面図である。 第一実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。 図4における第一封止部材の太陽電池セル側表面を示す模式図である。 図4における第二封止部材の太陽電池セル側表面を示す模式図である。 第二実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。 第三実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
図1は第一実施形態に係る封止フィルムの主要部を模式的に示す上面図であり、図2は図1の封止フィルムのII−II線における断面図である。
図1,2に示すように、封止フィルム1は封止樹脂層10を備える。封止樹脂層10は、絶縁性を有し、かつ透光性を有しており、典型的には封止樹脂から形成されたシート状部材である。ここで、この明細書において「絶縁性を有する」とは、25℃における比抵抗が1×10Ω・cm以上(好ましくは1×108Ω・cm以上、典型的には1×1010Ω・cm以上)であることをいう。なお、本明細書において電気抵抗(例えば比抵抗)は、特記しないかぎり25℃における値をいうものとする。また、この明細書において「透光性を有する」とは、JIS K 7375(2008)で規定される全光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上、典型的には95%以上)であることをいう。なお、封止フィルム1を後述の太陽電池モジュールの裏面側に配置する場合、封止樹脂層10は透光性を有していなくてもよい。
封止樹脂としては、封止性、透光性、加工性、耐候性等の観点から、光学的に透明なマトリックス樹脂を用いることが好ましく、なかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)がより好ましく用いられる。この実施形態では、封止樹脂層10は、樹脂成分の主成分(50重量%を超えて含まれる成分)としてEVAを含むEVA層である。上記封止樹脂は、典型的には熱可塑性樹脂である。上記封止樹脂は、EVAに代表されるエチレン−ビニルエステル共重合体の他、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体等であってもよい。あるいは、フッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、それらの変性物(変性ポリオレフィン)等のポリオレフィン類;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル樹脂等のポリ(メタ)アクリレート(ポリアクリレートおよびポリメタクリレートを包含する。);ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB等のポリビニルアセテート;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリイミド;非晶質ポリカーボネート;シロキサンゾル−ゲル;ポリウレタン;ポリスチレン;ポリエーテルサルフォン;ポリアリレート;エポキシ樹脂;シリコーン樹脂;アイオノマー;等であってもよい。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。なお、上記封止樹脂は、紫外線吸収剤や光安定剤等の、この分野に公知の各種添加剤を含み得る。
封止樹脂層10の厚さは、導電部形成性や太陽電池セルの封止性等の観点から、100〜2000μm(例えば200〜1000μm、典型的には400〜800μm)程度とすることが好ましい。
封止フィルム1は、導電部20A,20Bを含む複数の導電部を備える。これら導電部20A,20Bを含む複数の導電部は、封止樹脂層10の一方の表面10Aに部分的に形成されている。導電部20Aは、複数の導電パス25Aa,25Ab,25Acからなる。これら導電パス25Aa,25Ab,25Acは、所定の間隔をおいて分離して配置されており、封止樹脂層表面10Aにおいて直線状にかつ平行に延びる形状を有している。
導電パス25Aa,25Ab,25Acはそれぞれ、その長手方向において、太陽電池セル表面と対向接触する太陽電池セル対向部分30Aa,30Ab,30Acと、太陽電池セルと対向せず該太陽電池セルからはみ出すように配置される太陽電池セル非対向部分35Aa,35Ab,35Acとを有する。これにより、太陽電池セルにて発電された電力は、導電パス25Aa,25Ab,25Acの太陽電池セル対向部分30Aa,30Ab,30Acに集められ、太陽電池セル非対向部分35Aa,35Ab,35Acにて、他の配線手段(例えば、太陽電池セルの反対面側に配置される封止フィルムの導電部に通じる導電性接続部等)に電気的に接続される。なお図1において、太陽電池セルの配置予定部を符号40a,40bで示す。
導電部20Bは、導電部20Aと間隔をおいて配置されている。より具体的には、導電部20Bは、導電パス25Aa,25Ab,25Acの延びる方向において、導電部20Aの隣に配置されており、その他は導電部20Aと同様の構成を有する。簡潔にいうと、導電部20Bは複数の導電パス25Ba,25Bb,25Bcからなり、これら導電パス25Ba,25Bb,25Bcは、導電パス25Aa,25Ab,25Acと同様の構成(配置、形状等)を有する。
上記のように導電部20A,20Bが断続して配置されることによって、封止樹脂層表面10Aには、複数の導電部20A,20Bからなる導電部パターン22が形成されている。換言すると、封止樹脂層表面10Aには、導電パス25Aa,25Ab,25Ac,25Ba,25Bb,25Bcからなる導電パスパターン27が形成されている。このパターンは、所定の間隔をおいて複数列に配列された直線(導電部)が断続した破線模様ということができる。このように封止フィルム1に導電部20A,20Bを設けることで、従来の太陽電池セル表面に設けられていたバスバー電極(典型的には、はんだ被覆銅線)は不要となる。これにより、はんだ接合時の加熱で、セルの特性が低下したりセルに反りや割れが生じる事象が回避され得る。はんだ接合におけるフラックス汚染の問題も回避され得る。
導電パス25Aa,25Ab,25Ac,25Ba,25Bb,25Bcの間隔X(mm)と幅Y(μm)とは、発電された電流の移動ロス(集電ロス)と、導電部による遮光を原因とするシャドーロスとを考慮して設定される。具体的には、ここに開示され技術は、条件:
(1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または
(2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);
を満たすように上記導電パスが配置された形態で実施される。ここで、Xは導電パスの間隔(mm)であり、Yは導電パスの幅(μm)である。これにより、フィンガー電極とバスバー電極とを利用する従来の構成よりも優れた出力が実現され得る。この点について説明する。後述の実施例に記載するように、フィンガー電極を有する太陽電池セルにバスバー電極を接続する従来品では、集電ロスとシャドーロスとの合計(出力ロス)が10.6%にもなることが本発明者らの検討によって明らかになった。そこで、出力ロスのさらなる低減を目的としてさらに検討を進めた結果、封止樹脂層表面に形成する導電パスの間隔X(mm)と幅Y(μm)とが上記条件(1)または(2)を満たすように導電パスを配置することにより、集電ロスとシャドーロスとの合計を上記従来の構成よりも低減し得る構成が実現されたのである。
出力ロスを高度に低減する観点から、Xは1よりも大きいこと(すなわち1<X)が好ましく、1.5以上(すなわち1.5≦X)がより好ましく、2以上(すなわち2≦X)がさらに好ましく、4以上(すなわち4≦X)が特に好ましい。同様の観点から、Xは15未満(すなわちX<15)が好ましく、10未満(すなわちX<10)がより好ましく、8以下(すなわちX≦8)がさらに好ましく、6以下(すなわちX≦6)が特に好ましい。
また、出力ロスを高レベルで低減する観点から、4≦Xの場合には、XとYとは、20X<Yの関係を満たすことが好ましい。同様の観点から、XとYとは、Y<70Xの関係を満たすことが好ましく、Y<60Xの関係を満たすことがより好ましい。
導電パスの幅Yは、上記条件(1)または(2)を満たす範囲内であれば特に限定されないが、集電ロス低減の観点から、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは75μm以上であり、特に好ましくは100μm以上である。また上記幅Yは、シャドーロス低減の観点から、好ましくは1500μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは400μm以下であり、特に好ましくは300μm以下である。最も好ましい一態様では、導電パスの幅Yは、100μm以上300μm以下に設定される。上記幅Yを上記の範囲とすることにより、相反する集電ロスとシャドーロスとが高度にバランスされ、それらの合計である出力ロスは低減する。なお、上記幅Yは、導電パスの長手方向に直交する長さ(幅)を指し、典型的には導電パスの最短幅であり得る。
導電パスの間隔Xは、1mmより大きく、シャドーロス低減の観点から、好ましくは1.5mm以上であり、より好ましくは2mm以上であり、さらに好ましくは3mm以上である。また導電パスの間隔Xは、20mm未満であり、集電ロス低減の観点からは、好ましくは15mm未満であり、より好ましくは10mm未満であり、さらに好ましくは8mm以下であり、特に好ましくは6mm以下である。最も好ましい一態様では、上記幅Yが上記の範囲(最も好ましくは100μm以上300μm以下)を満たし、かつ上記間隔Xが2mm以上6mm以下となるように設定される。上記幅Yおよび間隔Xを上記の範囲とすることにより、相反する集電ロスとシャドーロスとが高度にバランスされ、出力ロスは低減する。また、上記幅Yを凡そ70〜120μm(例えば75〜100μm)の範囲内とした場合には、上記間隔Xを凡そ1.5〜3mm(例えば2mm±0.4mm、典型的には2mm±0.2mm)としてもよい。なお、上記間隔Xはピッチであり、導電パスの幅方向における中心線間の距離を指す。
また、集電ロスとシャドーロスとを高度にバランスさせて出力ロスする低減の観点から、太陽電池セル表面において最も外方に配置される導電パスは、導電パスの長手方向に直交する方向において、該導電パスの外側端辺(端部)とセル端辺との距離が導電パスの間隔Xの1/2程度(例えば凡そ1/4〜3/4)となるように配置されることが好ましい。
また、導電パスの断面積(導電パスの長手方向に直交する断面積)は、集電ロス低減の観点から、好ましくは900μm以上であり、より好ましくは2200μm以上であり、さらに好ましくは3800μm以上であり、特に好ましくは8500μm以上(例えば17000μm以上、典型的には22000μm以上)である。上記断面積は、シャドーロス低減の観点から、好ましくは250000μm以下であり、より好ましくは90000μm以下であり、さらに好ましくは63000μm以下であり、特に好ましくは42000μm以下(例えば32000μm以下、典型的には16000μm以下)である。
導電部20A,20B(より具体的には、導電パス25Aa,25Ab,25Ac,25Ba,25Bb,25Bc)は、典型的には導電性材料を含むものであり、例えば、導電性材料としての導電性ペーストをディスペンサを用いて付与することによって形成される。これにより、部品点数を削減しつつ導電経路を効率よく形成することができる。導電性ペーストとしては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、錫、クロム、ビスマス、インジウム、それらの合金等の金属材料からなる導電成分や、カーボン等の非金属の導電成分(以下同じ。)と、ポリエステルやエポキシ樹脂等の樹脂成分とを適当な溶媒を用いて混合してなるペースト状組成物が用いられ得る。なかでも、経時安定性の観点から、導電成分として銀または銅を使用することが好ましい。導電性材料(導電性ペースト)の比抵抗は、凡そ5.0×10−4Ω・cm以下(例えば1.0×10−4Ω・cm以下、典型的には5.0×10−7Ω・m以下)であることが好ましい。また、導電性ペーストを構成する導電成分の比抵抗は5.0×10−7Ω・m以下であることが好ましい。
なお、導電部20A,20Bの形成は、上記の方法に限定されず、例えば、スクリーン印刷等の各種印刷法を採用してもよく、低融点(例えば融点300℃以下、好ましくは250℃以下)の金属材料(典型的には合金)を溶融塗布する方法や、めっきや各種蒸着法によって金属からなる導電部を形成する方法も好ましく採用され得る。実質的に金属から構成された導電経路は、より低抵抗であるという利点を有する。あるいはまた、導電材料(例えば銅などの金属)を含むメッシュ材料を封止樹脂層表面に配置して、該メッシュ材料の少なくとも一部(導電材料)を導電部とする方法も好ましく採用され得る。この場合、導電部は、上記メッシュ材料の少なくとも一部を構成している。典型的には、上記メッシュ材料は、金属線がストライプ状に配置された、該金属線と樹脂繊維との複合材料であり得る。このようなメッシュ材料は、金属線が所定方向に配向するように該金属線を樹脂繊維に編み込むことによって作製されたものであり得る。あるいは、上記メッシュ材料は、金属線が規則的または不規則的に網目状に配置されたメッシュ材料や、金属線がストライプ状に配置された(換言すると、金属線が間隔をおいて配列された)メッシュ材料であってもよい。上記樹脂繊維としては、例えばPETやEVA等の樹脂繊維が挙げられる。
導電部20A,20B(より具体的には、導電パス25Aa,25Ab,25Ac,25Ba,25Bb,25Bc)の比抵抗は、集電ロス低減の観点から、凡そ5.0×10−6Ω・m以下(例えば1.0×10−6Ω・m以下)であることが適当であり、凡そ5.0×10−7Ω・m以下(例えば1.0×10−7Ω・m以下、5.0×10−8Ω・m以下)であることが好ましい。
導電部20A,20Bの厚さ(高さ)は、導電性等の観点から、10〜1000μm(例えば20〜500μm、典型的には50〜300μm)程度とすることが好ましい。したがって、導電パスの厚さも同様の範囲から好ましく選定される。導電部20A,20Bの高さが小さいことは、シャドーロス低減性の点で好ましい。
上記構成を有する封止フィルム1を用いることで、封止樹脂層表面10Aに形成された導電部20A,20Bを利用して、太陽電池モジュールの電気的接続を実現することができる。例えば、封止フィルム1を2枚用意し、これら封止フィルム1の導電部20A,20Bが向かいあうように該2枚の封止フィルム1で複数の太陽電池セルを挟むことにより、複数の太陽電池セルの電気的接続を一括して行うことができる。これにより、太陽電池モジュールの生産性(典型的には配線作業性)が向上する。また、上記のように導電パス20A,20Bの幅Yと間隔Xとが設定された封止フィルム1を、フィンガー電極のない太陽電池セルの少なくとも表面側(典型的には表面側および裏面側)に適用すると、優れた出力を実現することができる。このことは、フィンガー電極を太陽電池セルに設けなくてもよい点で実用上有意義である。
図3は、第二実施形態に係る封止フィルムを模式的に示す側面図である。
図3に示すように、第二実施形態に係る封止フィルム2は、密着性向上層50が設けられている点を除いては第一実施形態に係る封止フィルムと基本的に同じ構成を有する。したがって、この実施形態については、密着性向上層50を中心に説明し、その他の点についての説明は省略する。
封止フィルム2の封止樹脂層10の一方の表面10Aには、密着性向上層50が設けられており、その上に導電部20A,20Bが形成されている。これにより、導電部20A,20Bは、密着性向上層50を介して封止樹脂層10に良好に固定され、導電部20A,20Bと太陽電池セルの密着性が向上し、また断線やずれ、変形が好ましく防止され得る。
密着性向上層50は、絶縁性と透光性とを有し、密着性向上剤を含む。密着性向上剤は、導電部20A,20Bと封止樹脂層10とを良好に接合し得るものであれば特に限定されない。本実施形態のように封止樹脂層材料としてEVAが用いられる場合には、密着性向上剤としてシランカップリング剤が好ましく使用される。典型的には、密着性向上剤を上記封止樹脂層表面10Aに付与した後に加熱処理することで、導電部20A,20Bと太陽電池セルとの密着性は向上する。なお、密着性向上剤の使用形態は塗布に限定されず、上記封止樹脂層10に含ませて使用することも可能である。
密着性向上層50の厚さは特に限定されず、密着性向上等の観点から、1〜100μm(例えば3〜50μm、典型的には5〜30μm)程度とすることが適当である。
第三実施形態に係る封止フィルムは、密着性向上層に代えて熱伝導層が設けられている他は基本的に第二実施形態に係る封止フィルムと同様の構成を有する。したがって、この実施形態については、特に図示することなく熱伝導層を中心に説明し、その他の点についての説明は省略する。
第三実施形態に係る封止フィルムでは、封止樹脂層の一方の表面に熱伝導層が設けられており、その上に導電部が形成されている。このように、太陽電池セルに近い封止樹脂層表面に熱伝導層を設けることにより、太陽電池セルの温度上昇は効果的に抑制され、太陽電池モジュールの発電効率は向上する。熱伝導層は、絶縁性と透光性とを有し、封止樹脂層(例えばEVA層)よりも熱伝導率の高い層であればよい。そのような熱伝導層としては、適当な透明樹脂材料(例えばEVA)に熱伝導性材料を含ませた層や、封止樹脂層よりも熱伝導率の高い透明樹脂材料を樹脂成分として含む層が挙げられる。
上記熱伝導性材料としては、封止樹脂層よりも高い熱伝導率を有し、かつ絶縁性を低下させ難い(換言すると、電気抵抗を低下させ難い)材料が用いられる。具体例としては、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属酸化物や金属窒化物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これら熱伝導性材料の平均粒径(体積平均粒子径)は特に限定されず、熱伝導層の厚さよりも小さい粒径を有するものが好ましく使用される。例えば、0.1〜100μm(典型的には1〜50μm)程度の平均粒径を有するものを使用することができる。熱伝導層中における熱伝導性材料の含有量は、所望の熱伝導率や成形性等に応じて設定すればよく、例えば10〜50重量%(典型的には20〜40重量%)とすることができる。熱伝導層の厚さは特に限定されず、好ましい一態様では、熱伝導層は、第二実施形態における密着性向上層と同じ厚さを有する。
第四実施形態に係る封止フィルムは、密着性向上層に代えて保形層が設けられている他は基本的に第二実施形態に係る封止フィルムと同様の構成を有する。したがって、この実施形態については、特に図示することなく保形層を中心に説明し、その他の点についての説明は省略する。なお、保形層は、密着性向上層でもあり得る。
保形層は、封止樹脂層の形状を保持して、太陽電池セルと導電部との接触状態を良好に保持する層である。また保形層は、封止樹脂の封止機能を良好に発揮させる物性を有する層であることも重要である。封止フィルムにおいて、保形層は封止樹脂層と導電部との間に配置される層であり、好ましくは封止樹脂層表面の全体に配置される。このような保形層は、典型的には、室温付近の温度域において弾性体または粘弾性体の性質を示す層である。なお、ここでいう粘弾性体は、粘性と弾性の性質を併せ持つ材料、すなわち、複素弾性率の位相が0を超えてπ/2未満、を満たす性質を有する材料(典型的には25℃において上記性質を有する材料)である。
保形層は、接着性(典型的には粘着性)を有してもよく、有しなくてもよい。換言すると、保形層は、粘着層であってもよく、非粘着層であってもよい。ここで「粘着層」とは、JIS Z 0237:2009に準じて、SUS304ステンレス鋼板を被着体とし、23℃の測定環境下において2kgのローラを1往復させて上記被着体に圧着してから30分後に引張速度300mm/分の条件で180°方向に剥離した場合の剥離強度が0.1N/20mm以上である層をいう。また、「非粘着層」とは、上記粘着層に該当しない層をいい、典型的には上記剥離強度が0.1N/20mm未満である層をいう。23℃の測定環境下において2kgのローラを1往復させてSUS304ステンレス鋼板に圧着した場合に該ステンレス鋼板に貼り付かない層(実質的に粘着性を示さない層)は、ここでいう非粘着層の概念に含まれる典型例である。
本実施形態では、保形層は、粘着剤から形成された粘着層(粘着剤層ともいう。)である。したがって、本実施形態に係る保形層形成用組成物は粘着剤組成物である。なお、本明細書において「粘着剤」とは、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)である。
保形層の表面は接着性を有することが好ましい。これによって、導電部は保形層に良好に固定される。また、保形層表面の導電部非形成領域が露出して封止フィルムの表面を構成している場合には、当該保形層の露出面は、太陽電池モジュール構築の際に太陽電池セルに良好に接着する。両面に接着性を有する保形層を用いることで、封止樹脂層と導電部とを良好に固定することができる。なお、保形層の表面が弱接着性であったり実質的に非接着性である場合は、公知の接着剤、粘着剤等を利用して封止樹脂層や導電部と固定され得る。
好ましい一態様では、保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して3N/10mm以上の180度剥離強度(対太陽電池セル接着力)を示す。上記対太陽電池セル接着力は、太陽電池セルや導電部との固定等の観点から、より好ましくは5N/10mm以上、さらに好ましくは8N/10mm以上(例えば10N/10mm以上、典型的には12N/10mm以上)である。特に好ましい一態様では、保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して15N/10mm以上の180度剥離強度を示す。保形層表面の対太陽電池セル接着力の上限は特に限定されないが、上記接着力は、貼り直し等の作業性の観点から、通常は50N/10mm以下(例えば30N/10mm以下、典型的には20N/10mm以下)程度である。
上記対太陽電池セル接着力の測定に用いられる被着体は、結晶系Si太陽電池セルである。例えば、Qセルズ社製の結晶系Si太陽電池セルやGINTECH社製の単結晶系Siセルが好ましく用いられる。測定は、ラミネート等によって保形層を被着体にしっかりと貼り合わせた後、市販の引張試験機を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度30mm/分、剥離角度180度の条件で実施することができる。
保形層は典型的には透光性を有する。保形層の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である。特に好ましい一態様では、太陽電池セルの発電効率の観点から、保形層の全光線透過率は90%以上である。保形層の全光線透過率は、市販のヘーズメーターを用いて測定することができる。
保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)は5,000Pa以上であることが好ましい。高温時に所定以上の貯蔵弾性率G’を示す保形層を用いることで、高温条件下において太陽電池セルと導電部とが良好に接触し、かつ様々な条件下(例えば幅広い温度条件下)において、その接触状態が安定的に維持され得る。例えば、太陽電池モジュールの構築に際して封止フィルムを太陽電池セルに押し当てたときに、高温条件下においても導電部を太陽電池セル表面に良好に当接させることができる。上記150℃貯蔵弾性率G’は、より好ましくは10,000Pa以上、さらに好ましくは20,000Pa以上、特に好ましくは25,000Pa以上(例えば50,000Pa以上、典型的には80,000Pa以上)である。また、上記150℃貯蔵弾性率G’は、通常は1,000,000Pa以下であり、好ましくは500,000Pa以下、より好ましくは200,000Pa以下(例えば150,000Pa以下、典型的には100,000Pa以下)であり得る。
また、保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%)は、80℃〜150℃の温度域において、5,000Pa〜1,000,000Paの範囲内にあることが好ましい。上記高温域における貯蔵弾性率G’の変化が所定の範囲内にあることは、保形層の物性が温度変化の影響を受けにくいことを意味し得る。80℃〜150℃の温度域における保形層の貯蔵弾性率G’は、より好ましくは5,000Pa〜500,000Pa、さらに好ましくは5,000Pa〜200,000Pa(例えば10,000Pa〜100,000Pa)の範囲内である。
さらに、保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%)は、30℃〜150℃の温度域において、5,000Pa〜10,000,000Paの範囲内にあることが好ましい。上記のような広い温度域における貯蔵弾性率G’の変化が所定の範囲内にあることは、保形層の物性が温度変化の影響を受けにくいことを意味し得る。30℃〜150℃の温度域における保形層の貯蔵弾性率G’は、より好ましくは5,000Pa〜1,000,000Pa、さらに好ましくは5,000Pa〜500,000Pa(例えば10,000Pa〜200,000Pa)の範囲内である。
また、保形層のtanδは、80℃〜150℃の温度域における最大値が0.4未満であることが好ましい。高温域におけるtanδが所定値以下の保形層を用いることで、高温域において太陽電池セルと導電部とが良好に接触し、かつ様々な条件下(例えば幅広い温度条件下)において、その接触状態が安定的に維持され得る。例えば、太陽電池モジュールの構築に際して封止フィルムを太陽電池セルに押し当てたときに、高温条件下においても導電部を太陽電池セル表面に良好に当接させることができる。なお、tanδは、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’から求められる値(G”/G’)である。80℃〜150℃の温度域における保形層のtanδの最大値は、より好ましくは0.3未満である。また、上記温度域におけるtanδの最小値は、通常は0.01以上(例えば0.1以上)であり得る。保形層は、上記貯蔵弾性率G’および上記tanδの両方を満足することが特に好ましい。
保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)およびtanδ(G”/G’)は、市販のレオメーターを用いて、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、所定の温度範囲(80℃〜150℃を含む温度域、さらには30℃〜150℃を含む温度域)で測定すればよい。測定温度域および昇温速度は、測定装置の機種等に応じて適切に設定すればよい。例えば、30℃〜160℃の温度域、0.5℃〜20℃/分(例えば10℃/分)程度の昇温速度とすることができる。測定サンプルとしては、約2mm厚とした保形層を直径8mm程度に打ち抜いたものを使用することが望ましい。
保形層は、150℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が9g/10分以下を示す樹脂材料から構成されていることが好ましい。上記MFRを示す保形層は、良好な保形性を発揮することができる。上記MFRは、より好ましくは3g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以下(例えば0.2g/10分以下)である。MFRは、市販のメルトインデクサー(例えばテスター産業社製品)を用いて、JIS K 7210:1999またはASTM D 1238に準拠し、温度150℃または190℃、荷重2.16Kgの条件で一定時間に流れ出てきた樹脂量を天秤で秤量して単位時間(10分間)に吐出した樹脂量を計算することによって測定すればよい。
また、保形層の線膨張率は、−40℃〜85℃の温度域において15%未満であることが好ましい。上記の線膨張率を示す保形層によると、耐久性により優れた封止フィルムが実現される。上記線膨張率は、より好ましくは12%以下(例えば10%以下)である。上記線膨張率は、例えば下記の方法で測定することができる。
[線膨張率]
(引張モード)
保形層を長さ10mm×断面積約0.5mmのサイズに切断して、試験片を作製する。この試験片につき、熱分析装置(商品名「EXSTAR6000」、セイコーインスツル社製)を用いて、引張荷重20mN、昇温速度1.7℃/分の条件で、−40℃〜85℃における線膨張率(%)を測定する。上記線膨張率は次式より求められる。
−40℃〜85℃における線膨張率(%)=(A−B)/B×100
A:−40℃〜85℃における試験片の長さの最大値(mm)
B:−40℃〜85℃における試験片の長さの最小値(mm)
(圧縮モード)
保形層を約5mm角のサイズに切断して、試験片を作製する。この試験片につき、TMA(Thermal Mechanical Analysis)装置(装置名「TMA/SS7100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて下記の条件で、−40℃〜85℃における線膨張率(%)を測定する。上記線膨張率は次式より求められる。
−40℃〜85℃における線膨張率(%)=(A−B)/B×100
A:−40℃〜85℃における試験片の厚さの最大値(μm)
B:−40℃〜85℃における試験片の厚さの最小値(μm)
測定条件:
押込試験時の荷重; 9.8mN
プローブ径; φ3.5mm
温度プログラム; −60℃→160℃、10℃/分
測定雰囲気; N(流量 200mL/分)
保形層は、典型的には、樹脂材料から形成された樹脂層である。好ましくは、架橋された樹脂をベースポリマーとして含む樹脂層(例えば、架橋処理が施された樹脂層)である。保形層を形成する樹脂は、アクリル系樹脂、EVA系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム類、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等の各種の樹脂から選択される1種または2種以上であり得る。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・α−オレフィン共重合体、それらの変性物(変性ポリオレフィン)等が挙げられる。また、アクリル系樹脂とは、アクリル系ポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分、すなわちポリマー成分のなかで配合割合の最も大きい成分、典型的には50重量%を超えて含まれる成分)とする樹脂材料をいう。EVA系、ポリオレフィン系その他の樹脂についても同様の意味である。保形層は、好ましくはアクリル系樹脂層である。
保形層の厚さは特に制限されず、例えば1〜400μm程度であり得る。通常、保形層の厚さは、1〜200μmが好ましく、2〜150μmがより好ましく、2〜100μmがさらに好ましく、5〜75μmが特に好ましい。
なお、上記第二実施形態、第三実施形態および第四実施形態では、封止樹脂層の上に密着性向上層、熱伝導層および保形層をそれぞれ設けていたが、ここに開示される技術はこれに限定されない。例えば、封止樹脂層の上に熱伝導層を設け、その上にさらに密着性向上層を設けてもよい。また、好ましい一態様では、封止樹脂層の表面に、密着性向上機能と熱伝導機能の両方の機能を併せ持つ層(すなわち密着性向上/熱伝導層)を設けることもできる。この密着性向上/熱伝導層は、例えば、密着性向上剤(典型的にはシランカップリング剤)と熱伝導性材料(例えば金属酸化物)とを含むものであり得る。
また、ここに開示される封止フィルムは、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、封止フィルムを構成する導電パスは、上記実施形態では直線状に延びていたが、曲線状であってもよい。
さらに、ここに開示される封止フィルムの導電部(各導電パス)の表面には、導電性粘着剤層が配置されていることが好ましい。これにより、太陽電池セル表面と導電部との位置合わせ(仮固定)がしやすくなり、太陽電池セル表面の所望の位置に導電部を当接させ、かつその状態を確実に維持することができる。導電性粘着剤層の好適例としては、導電成分(例えば銀フィラー)を3〜70重量%程度含む粘着剤層(例えばアクリル系粘着剤層)からなる基材レスの粘着シートが挙げられる。
さらに、ここに開示される導電部は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、導電部は、封止フィルムの表面において、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有するものであってもよい。このような接続部分は、導電部の構成要素として、後述の導電性接続部の機能を発揮し得る。なお、太陽電池セル接触部分は、太陽電池セルを封止するときに太陽電池セルと接触(典型的には当接)する部分であり、封止フィルムにおいては、太陽電池セルとの接触が予定されている部分を意味する。かかる構成の導電部において、上記太陽電池セル接触部分は、上記接続部分に向かって延びる形状を有しており、上記太陽電池セル接触部分は、その一端にて接続部分に接続(具体的には固定)されたものであり得る。また、太陽電池セル接触部分は、封止フィルムの表面において、線状に延びる複数の導電線(導電パス)から構成されており、これら複数の導電線(導電パス)は、互いに間隔をおいて配置されている。典型的には、導電線は直線状に延びており、所定の間隔をおいて平行に配置されている。
上記導電部の接続部分は、導電線の長手方向と交差(具体的にはほぼ直交)する方向に延びる帯形状を有することが好ましい。この接続部分に導電線の一端は接続(具体的には固定)され得る。この場合、複数の導電線の各々の一端は、接続部分と接続して固定端となっている。その一方で、複数の導電線の各々の他端側には接続部分は配置されておらず、導電部において、導電線の他端は自由端となっている。このような導電部は、上面から見たときに櫛形状を有する。換言すると、導電部は、基部となる接続部分から複数の導電線(導電パス)が歯状に延びた櫛形状を有する。上記接続部分は、典型的には、封止フィルムで太陽電池セルを封止するときに太陽電池セルと非接触の状態で配置される。そのため、接続部分は、例えば太陽電池セルの配列方向(導電線の長手方向でもあり得る。)と交差(具体的には直交)する方向に延びる帯形状を有することが好ましい。
上記のような導電部の一典型例として、太陽電池セル接触部分が金属ワイヤーからなる導電線であり、その接続部分が金属シート(典型的には金属箔)である導電部が挙げられる。上記金属ワイヤーの例としては、銅やアルミニウム等の金属ワイヤーに錫(Sn)や銀(Ag)等のめっきコーティングが施されたものが挙げられる。そのめっき厚は10μm以下(例えば3μm以下)程度であり得る。上記金属シート(典型的には金属箔)としては、粗化処理や防錆処理、密着性向上処理の少なくとも1種の表面処理が施されたものが好ましく用いられ得る。上記導電線は、太陽電池セル表面との面接触の観点から、その長手方向に直交する断面において長方形状を有することが好ましい。金属シートの好適例としては銅箔(なかでも電解銅箔)が挙げられる。上記導電部を有する封止フィルムは、例えば次のようにして作製される。すなわち、まず、太陽電池セル接触部分の導電線と接続部分とを固定して、導電部(導電部材ともいう。)を作製する。そして、作製した導電部を封止樹脂や後述の密着性向上層、熱伝導層、保形層の表面に配置することによって(導電部が複数の場合には、各々を間隔をおいて配置することによって)、封止フィルムは作製される。なお、導電部は、例えば粘着剤や接着剤等の公知ないし慣用の接着手段を用いて封止フィルム等に接着されてもよい。導電部における太陽電池セル接触部分(例えば導電線)と接続部分との固定方法としては、溶接を採用することが好ましい。
導電部における接続部分が線状(帯状ともいう。)に延びる形状を有する場合、接続部分の幅は、太陽電池モジュールの円滑な電気的接続の観点から、好ましくは0.1cm以上であり、より好ましくは0.3cm以上であり、さらに好ましくは0.5cm以上である。また上記幅は、好ましくは2cm以下であり、より好ましくは1.5cm以下であり、さらに好ましくは1.0cm以下である。なお、上記幅は、接続部分の長手方向に直交する長さ(幅)を指す。接続部分の厚さ(高さ)は、導電性、強度、ハンドリング性および作業性の観点から、10〜500μm(例えば20〜100μm、典型的には50〜90μm)程度とすることが好ましい。
次に、上述の第一実施形態に係る封止フィルムを用いて作製される太陽電池モジュールについて説明する。
図4は第一実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図であり、図5は図4における第一封止部材の太陽電池セル側表面を示す模式図であり、図6は図4における第二封止部材の太陽電池セル側表面を示す模式図である。
図4に示すように、この実施形態に係る太陽電池モジュール100は、太陽電池セル110a,110bを含む複数の太陽電池セルを備える。また、太陽電池モジュール100は、太陽電池セル110a,110bの表面を覆う第一封止部材121と、太陽電池セル110a,110bの裏面を覆う第二封止部材122と、を備える。さらに、太陽電池モジュール100は、第一封止部材121の外方に配置された表面被覆部材131と、第二封止部材122の外方に配置された裏面被覆部材132と、を備える。表面被覆部材131および裏面被覆部材132は、それぞれ太陽電池モジュール100の表(おもて)面および裏(うら)面を構成している。
太陽電池セル110a,110bを含む複数の太陽電池セルからなる太陽電池セル群110は、所定の間隔をおいて直線状に一列に配列されている。太陽電池セル110a,110bの表面にはn型電極(表面電極)が形成されており、裏面にはp型電極(裏面電極)が形成されている。この実施形態では、太陽電池セル110a,110bとして、厚さ180〜200μm程度のウエハ状の結晶系Siセル(pn接合型の太陽電池セル)が用いられている。なお、太陽電池セル110a,110bの表面には、フィンガー電極やバスバー電極は設けられていない。
使用される太陽電池セルの種類は特に限定されず、例えば単結晶型や多結晶型の結晶系Siセル、アモルファス系Siセル、化合物系、有機系等の太陽電池セルであってもよい。形状も特に限定されず、帯状等であってもよい。太陽電池セルの厚さは、軽量性等の観点から、好ましくは300μm以下程度であり、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは160μm以下程度であり得る。なお、特に図示しないが、太陽電池モジュール100は、上記のように一列に配列された太陽電池セル群110に加えて、太陽電池セル群110の配列方向に平行するように一列に配列された他の太陽電池セル群を備える。
第一封止部材121および第二封止部材122としては、それぞれ第一実施形態の封止フィルム1が用いられている。第一封止部材121は、封止樹脂層123と、封止樹脂層123の太陽電池セル側表面123Aに部分的に形成された複数の第一導電部125A,125Bと、を備える。具体的には、第一導電部125A,125Bは、太陽電池セル群110の配列方向において所定の間隔をおいて分離して配置されている。第一導電部125A,125Bは、隣りあう2つの太陽電池セル110a,110bの表面(より具体的には表面電極)にそれぞれ対向接触するように配置されている。なお、第一導電部125Aは、太陽電池セル110a以外の太陽電池セルとは接触しておらず、第一導電部125Bは、太陽電池セル110b以外の太陽電池セルとは接触していない。
第一導電部125Aは、太陽電池セル110a,110bの配列方向に沿って延びることにより、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出している。換言すると、第一導電部125Aは、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出した部分126Aを有するように配置されている。このように、第一導電部125Aにはみ出した部分126Aを設けることにより、第一導電部125Aは、後述の第二導電部127Bと電気的に接続しやすい構成となる。
第一封止部材121において、第一導電部125Aは、より具体的には図5に示すように複数の導電パス125Aa,125Ab,125Acから構成されている。これら導電パス125Aa,125Ab,125Acは、太陽電池セル群110の配列方向に平行する方向に線状に延びており、該配列方向に直交する方向に所定の間隔をおいて配置されている。より具体的には、導電パス125Aa,125Ab,125Acは、それぞれ直線状に延びる形状を有しており、互いに間隔をおいて、かつ平行するように配置されている。導電パス125Aa,125Ab,125Acは、封止樹脂層123の表面123Aにおいて太陽電池セル110aとの対向領域110a’に配置されており、かつ、線状に延びて、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出した部分126Aa,126Ab,126Acを有するようにそれぞれ構成されている。
第一導電部125Bは第一導電部125Aと基本的に同様に構成されており、導電パス125Ba,125Bb,125Bcも導電パス125Aa,125Ab,125Acと基本的に同様に構成されているので、重複する説明は省略する。
第二封止部材122も、第一封止部材121と同様に、封止樹脂層124と、封止樹脂層124の太陽電池セル側表面124Aに部分的に形成された複数の第二導電部127A,127Bと、を備える。具体的には、これら複数の第二導電部127A,127Bは、太陽電池セル群110の配列方向において所定の間隔をおいて分離して配置されている。第二導電部127A,127Bは、隣りあう2つの太陽電池セル110a,110bの裏面(より具体的には裏面電極)にそれぞれ対向接触するように配置されている。なお、第二導電部127Aは、太陽電池セル110a以外の太陽電池セルとは接触しておらず、第二導電部127Bは、太陽電池セル110b以外の太陽電池セルとは接触していない。
第二導電部127Bは、太陽電池セル110a,110bの配列方向に沿って延びることにより、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出している。換言すると、第二導電部127Bは、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出した部分128Bを有するように配置されている。このように、第二導電部127Bにはみ出した部分128Bを設けることにより、第二導電部127Bは、第一導電部125Aと電気的に接続しやすい構成となる。
第二封止部材122において、第二導電部127Bは、より具体的には図6に示すように複数の導電パス127Ba,127Bb,127Bcから構成されている。これら導電パス127Ba,127Bb,127Bcは、太陽電池セル群110の配列方向に平行する方向に線状に延びており、該配列方向に直交する方向に所定の間隔をおいて配置されている。より具体的には、導電パス127Ba,127Bb,127Bcは、それぞれ直線状に延びる形状を有しており、互いに間隔をおいて、かつ平行するように配置されている。導電パス127Ba,127Bb,127Bcは、封止樹脂層124の表面124Aにおいて太陽電池セル110bとの対向領域110b'’に配置されており、かつ、線状に延びて、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にはみ出した部分128Ba,128Bb,128Bcを有するように構成されている。
第二導電部127Aは第二導電部127Bと基本的に同様に構成されており、導電パス127Aa,127Ab,127Acも導電パス127Ba,127Bb,127Bcと基本的に同様に構成されているので、重複する説明は省略する。
図4に戻って、太陽電池セル110a,110bのあいだには、導電性接続部140が配置されている。導電性接続部140は、太陽電池セル110a,110bのあいだにて、太陽電池セル群110の配列方向と直交する方向に帯状に延びるように配置されている。導電性接続部140は、厚さ方向に導電性を有しており、これによって、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aと第二導電部127Bのはみ出した部分128Bとを電気的に接続する。導電性接続部140は、太陽電池セル110a,110bと間隔をおいて配置されているが、太陽電池セル110a,110bとの短絡を確実に防止するため、導電性接続部140の幅方向の両端に絶縁部142a,142bを設けることが好ましい。絶縁部142a,142bは、公知の絶縁性樹脂材料を塗布することにより設けることができる。あるいは、ポリイミドテープ等の公知の絶縁樹脂シートを被覆することによって設けることもできる。
この実施形態では、導電性接続部140として導電性シート150が用いられている。導電性シート150は、上述の導電成分が樹脂中に配合された導電性樹脂シートや、銅、アルミニウム等の金属、合金等からなる金属シート(例えば金属箔)から選択され得る。なかでも、位置合わせや作業性に優れることから、導電性シート150として、少なくとも一方の表面(典型的にはは両面)に接着性を有する導電性接着シートを用いることが好ましい。
導電性接着シートとしては、導電性粘着シートや、ホットメルト型、熱硬化型、乾燥型、湿気硬化型、2液反応硬化型、紫外線(UV)硬化型、嫌気型、UV嫌気型等の各種導電性接着シートを用いることができる。上記接着シートの接着剤成分としては、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の接着剤成分が用いられ得る。なかでも、加熱作業が不要であり、取扱い性に優れる導電性粘着シートが特に好ましい。典型的には、上述の導電成分(より好ましくは銀フィラー)を3〜70重量%程度含む粘着剤層(例えばアクリル系粘着剤層)からなる基材レスの粘着シートや、銅箔やアルミニウム箔等の金属箔基材の少なくとも一方の表面(典型的には両面)に前述の粘着剤層が形成されてなる粘着シートが好ましく使用される。上記粘着剤層には、目的に応じて粘着付与剤や架橋剤その他の添加剤が含まれ得る。上記粘着シートとしては、例えば特開2012−7093号公報に記載されているものが好ましく使用され得る。あるいはまた、導電性粘着シートは、上述の導電性基材の両面に非導電性粘着剤層が形成されてなる両面粘着シートであって、該導電性基材が部分的に粘着剤層の表面に露出してなる導電性粘着シートであってもよい。そのような導電性粘着シートとしては、例えば特開平8−185714号公報に記載されているものが挙げられる。
導電性接続部(具体的には導電性シート)の厚さは、同じく上記封止部材に挟まれる太陽電池セルの厚さに応じて適宜選定すればよい。上記厚さは、太陽電池セルの厚さの0.5〜2倍(例えば0.8〜1.2倍、典型的には0.9〜1.1倍)程度とすることが好ましい。
なお、太陽電池セル110a,110b以外の太陽電池セルや、第一導電部125A,125B以外の第一導電部、第二導電部127A,127B以外の第二導電部の構成についても、配線作業を効率よく行う観点から、太陽電池セル110a,110bや、第一導電部125A,125B、第二導電部127A,127Bからなる構成単位と基本的に同様に構成することが好ましく、同様の構成単位が繰り返されるように構成することがより好ましい。
表面被覆部材131としては、透光性を有する各種材料が使用され得る。表面被覆部材131は、ガラス板や、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂シート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル等の材料から構成された樹脂シートであり得る。例えば、全光線透過率が70%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)の平板状部材またはシート状部材が好ましく用いられ得る。上記全光線透過率は、JIS K 7375(2008)に基づいて測定すればよい。表面被覆部材131の厚さは、保護性や軽量性等の観点から、0.5〜10mm(例えば1〜8mm、典型的には2〜5mm)程度とすることが好ましい。
裏面被覆部材132としては、表面被覆部材131の材料として例示した各種材料からなる平板状部材またはシート状部材が好ましく使用される。なかでも、裏面被覆部材形成材料として、PETやPEN等のポリエステルを使用することがより好ましい。あるいは、裏面被覆部材132として、耐食性を有する金属板(例えばアルミニウム板)や、エポキシ樹脂等の樹脂シート、シリカ蒸着樹脂等の複合シートを用いてもよい。裏面被覆部材132の厚さは、取扱い性や軽量性等の観点から、0.1〜10mm(例えば0.2〜5mm)程度とすることが好ましい。なお、裏面被覆部材132は透光性を有していなくてもよい。
上述のように構成することにより、太陽電池モジュール100において、第一導電部125Aと導電性接続部140と第二導電部127Bとは、太陽電池セル110aの表面および太陽電池セル110bの裏面のあいだの導電経路を構成する。その結果、太陽電池セル群110の電気的接続が実現される。太陽電池セル群110にて発電された電気エネルギーは、太陽電池モジュール100において太陽電池セル群110の配列方向の両端に配置された端子バー(図示せず)を介して、太陽電池モジュール100の外部に供給される。ここに開示される技術は、封止部材として、第一導電部125A,125Bを有する第一封止部材121、第二導電部127A,127Bを有する第二封止部材122を使用する他は基本的に従来公知の既存の構成を利用して実施することができるので、設備全体を置き換える必要がなく実用上の利点が大きい。
また、上記のように構成すると、予め導電部を形成した封止部材で太陽電池セル群を挟むことにより、太陽電池セル群の電気的接続を一括して行うことができる。そのため、従来の配線手法(典型的には、はんだ等を用いて行う手法)と比べて、配線作業の負担を大幅に軽減することができる。要するに、複数の太陽電池セルの配線作業性が飛躍的に向上する。また、上記構成は強度面にも優れることから、例えば封止部材の応力等に起因する断線等の不具合も防止される。さらに、上記電気的接続ははんだ接合を必要としないため、はんだ接合による不具合(典型的には、セルの反りや割れ、特性低下、フラックス汚染)が生じない。なお、太陽電池モジュール100の構築一般については、当該技術分野における技術常識に基づき実施可能であり、本発明を特徴づけるものではないので説明は省略する。
図7は、第二実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。
図7に示すように、第二実施形態に係る太陽電池モジュール200は、導電性接続部140を除いては第一実施形態に係る太陽電池モジュールと基本的に同じ構成を有する。したがって、この実施形態については、導電性接続部140を中心に説明し、その他の点についての説明は省略する。
太陽電池モジュール200は、導電性接続部140として導電層160が用いられている点が第一実施形態と異なる。この導電層160は、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aの上に積層されている。より具体的には、導電層160は、太陽電池セル110a,110bのあいだにて、太陽電池セル群110の配列方向と直交する方向に帯状に延びるように塗布されることによって形成されている。これによって、導電層160は、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aと、第二導電部127Bのはみ出した部分128Bとを電気的に接続する。導電層160は、太陽電池セル110a,110bと間隔をおいて配置されているが、導電層160の幅方向の両端に絶縁部142a,142bとして絶縁層が設けられているので、太陽電池セル110a,110bとの短絡は確実に防止される。導電層160および絶縁層は、三口ノズルを有するディスペンサを用いて塗り分けることにより形成すればよい。導電層形成材料としては、上述の導電部を形成し得る材料を用いることができる。絶縁層形成材料としては、ポリイミドやポリエステル等の樹脂を主成分とする従来公知の樹脂ペースト等を用いることができる。
なお、この実施形態において、導電層160は、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aに加えて、あるいは当該部分126Aではなく、第二導電部127Bのはみ出した部分128Bに積層されていてもよい。また、導電層160は、例えば、上述の導電成分(ただし金属に限る。)やはんだ(例えば鉛フリーはんだ)等の金属のなかから融点300℃以下(好ましくは250℃以下)の低融点金属を、帯状やドット状(粒状ともいう。)に配置してなるものであってもよい。なお、ドット状とは典型的には粒状であり、例えば真球状、扁平球状等の球状であり得る。導電層160は、連続または断続した層であり得る。あるいは、導電層160は、第一導電部125Aおよび第二導電部127Bの形成に用いた材料(例えば導電性ペースト)を、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aおよび第二導電部127Bのはみ出した部分128Bの少なくとも一方に対して複数回塗布することによって形成されたものであってもよい。導電層160の厚さは、第一実施形態における導電性シートの厚さと同様の範囲とすることが適当である。
図8は、第三実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。
図8に示すように、第三実施形態に係る太陽電池モジュール300は、表面被覆部材131の太陽電池セル群110側表面に突起135が設けられている点、および導電性接続部が存在しない点が第一実施形態と異なる。以下、第一実施形態との相違点を中心に説明し、その他の点についての説明は省略する。
表面被覆部材131の内表面(太陽電池セル群側表面)には、突起135が形成されている。この突起135は、太陽電池セル110a,110bのあいだに位置する領域にて、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aの位置に対応する箇所に形成されている。この実施形態では、突起135は、太陽電池セル群110の配列方向と直交する方向に延びるように形成されている。また、太陽電池セル110a,110bのあいだには導電性接続部は存在しない。そのため、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aと第二導電部127Bのはみ出した部分128Bとは、太陽電池セル110a,110bのあいだにて対向している。この構成において、太陽電池セル群110を、第一封止部材121、第二封止部材122を介して表面被覆部材131と裏面被覆部材132とで挟みこむ。すると、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aが、突起135により間接的に押し上げられて第二導電部127Bのはみ出した部分128Bの方に突出する。これにより、第一導電部125Aと第二導電部127B同士が直接接触して両者は電気的に接続する。突起135は、ガラス等の無機材料や樹脂等の有機材料を用いて、必要に応じて接着剤等の接着手段により表面被覆部材131の表面に形成すればよい。
なお、この実施形態では、突起135は表面被覆部材131の内表面に形成されていたが、これに限定されず、裏面被覆部材132の内表面に形成されていてもよい。突起の形状も突条に限定されず、種々の形状をとり得る。また、突起ではなく、表面被覆部材131と第一封止部材121とのあいだ、あるいは裏面被覆部材132と第二封止部材122とのあいだに配置されたスペーサ等によって、第一導電部125Aのはみ出した部分126Aと第二導電部127Bのはみ出した部分128Bのうち少なくとも一方の部分を突出させて、両者を直接接触させてもよい。このような構成によっても、第一導電部と第二導電部との電気的接続は実現される。
また、ここに開示される太陽電池モジュールは、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、太陽電池モジュールに配置される太陽電池セルの個数は2以上であればよく、その限りにおいて特に制限はない。ここに開示される技術によると、複数の太陽電池セルを一括して電気的に接続し得ることから、太陽電池セルの個数は多いほど配線作業性の改善効果は大きい。例えば、複数の太陽電池セルを、一列に配列された太陽電池セル群として構成する場合には、当該太陽電池セル群におけるセル数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上(例えば7〜20、典型的には8〜12)である。また、太陽電池セル群は、2列以上(例えば3〜10列、典型的には5〜8列)であり得る。
また、上記実施形態では、複数の太陽電池セルは一列に配列された太陽電池セル群として構成されていたが、複数の太陽電池セルの配列(配置)はこれに限定されず、直線状、曲線状、規則的なパターン、あるいは不規則的なパターンであってもよい。また、太陽電池セルの間隔は一定でなくてもよい。
さらに、第一導電部と第二導電部との電気的接続方法についても、上記各実施形態の方法に限定されない。従来公知の配線手法を適宜改変するなどして、第一導電部と第二導電部とを電気的に接続するように構成することができる。なお、第二導電部は太陽電池セルの裏面全体を覆うものであってもよい。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
(1) 間隔をおいて配列される複数の太陽電池セルと、
複数の太陽電池セルの表面を覆う絶縁性かつ透光性の第一封止部材と、
複数の太陽電池セルの裏面を覆う絶縁性の第二封止部材と、を備えており、
第一封止部材は、封止樹脂層と、封止樹脂層の太陽電池セル側表面に形成された第一導電部と、を備えており、
第二封止部材は、封止樹脂層と、封止樹脂層の太陽電池セル側表面に形成された第二導電部と、を備えており、
第一導電部は、複数の太陽電池セルのうち隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面に接触しており、
第二導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面に接触しており、かつ
第一導電部と第二導電部とは電気的に接続されるように構成されており、
少なくとも第一封止部材(好ましくは、第一封止部材および第二封止部材の両方)は、ここに開示されるいずれかの封止フィルムである、太陽電池モジュール。
(2) 第一導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルのあいだに位置する領域にはみ出した部分を有するように配置されており、
第二導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルのあいだに位置する領域にはみ出した部分を有するように配置されている、上記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3) 第一導電部のはみ出した部分と第二導電部のはみ出した部分とは、導電性接続部を介して電気的に接続している、上記(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4) 導電性接続部は導電性シートである、上記(3)に記載の太陽電池モジュール。
(5) 導電性接続部は、第一導電部のはみ出した部分および第二導電部のはみ出した部分の少なくとも一方に積層された導電層である、上記(3)に記載の太陽電池モジュール。
(6) 導電性接続部は、隣りあう2つの太陽電池セルのあいだにて、太陽電池セルの配列方向と直交する方向に帯状に延びるように配置されている、上記(3)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
(7) 導電性接続部は、その幅方向の両端に絶縁部が設けられている、上記(6)に記載の太陽電池モジュール。
(8) 複数の太陽電池セルを用意する工程と;
封止樹脂層の一方の表面に第一導電部を形成して第一封止部材を得る工程と;
封止樹脂層の一方の表面に第二導電部を形成して第二封止部材を得る工程と;
第一封止部材と第二封止部材とで複数の太陽電池セルを挟む工程と(この工程において、複数の太陽電池セルを間隔をおいて配列し、複数の太陽電池セルのうち隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面に第一導電部を接触させ、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面に第二導電部を接触させ、かつ第一導電部と第二導電部とを電気的に接続するように構成する。);
を包含し、
少なくとも第一封止部材(好ましくは、第一封止部材および第二封止部材の両方)は、ここに開示されるいずれかの封止フィルムである、太陽電池モジュールの製造方法。
(9) 第一導電部を形成する工程は、第一導電部を、隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルのあいだに位置する領域にはみ出した部分を有するように配置する工程を含み、
第二導電部を形成する工程は、第二導電部を、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルのあいだに位置する領域にはみ出した部分を有するように配置する工程を含む、上記(8)に記載の製造方法。
(10) 第一導電部のはみ出した部分と第二導電部のはみ出した部分とを、導電性接続部を介して電気的に接続する、上記(9)に記載の製造方法。
(11) 導電性接続部を、隣りあう2つの太陽電池セルのあいだにて、太陽電池セルの配列方向と直交する方向に帯状に延びるように配置する、上記(10)に記載の製造方法。
(12) 導電性接続部の幅方向の両端に絶縁部を設ける、上記(11)に記載の製造方法。
(13) 第一封止部材の封止樹脂層表面に第一導電部を形成する前に、当該表面に対して密着性向上層(好ましくはシランカップリング剤層)を形成する工程と;
第二封止部材の封止樹脂層表面に第二導電部を形成する前に、当該表面に対して密着性向上層(好ましくはシランカップリング剤層)を形成する工程と;を含む、上記(8)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<実験例>
図1に示す封止フィルムにおいて、導電パスの幅Y(μm)と間隔X(mm)とを変更したときの出力ロス(%)を下記の方法により求めた。結果を表1に示す。
[出力ロスの算出方法]
155mm×155mmサイズのフィンガー電極のない結晶系Si太陽電池セルにつき、その表面における集電ロス、シャドーロス、それらの合計である出力ロスを求めた。
集電ロスは下記の方法により求めた。
太陽電池セル1(セル1)から太陽電池セル2(セル2)に電気的接続がなされる等価回路において、出力電流と出力電圧との関係は、
i+1=I+Iph−I{exp(qVi+1/nkT)−1}−Vi+1/R
i+1=V−I
から求められる。ここで、Iはセル1における出力電流、Vはセル1における出力電圧、Ii+1はセル2における出力電流、Vi+1はセル2における出力電圧、Iphは光電流、Iは飽和電流、qは電子の電荷、nは理想係数(1≦n≦2)、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Rは直列抵抗、Rは並列抵抗をそれぞれ表わす。上記関係式を、一枚のセル表面をN区画に等分割して得られる各区画に対して適用することにより、半導体層(透明電極)または導電パスを流れるときのロス(%)を求めた。nは便宜的に1.35と仮定した。なお、太陽電池セル表面において最も外方に配置される導電パスは、導電パスの長手方向に直交する方向において、該導電パスの外側端辺とセル端辺との距離が導電パスの間隔の1/2となるように配置した前提で計算を行った。
直列抵抗(R)としては、式:R=RL/Nw;より求めた値を採用した。ここで、Rは、半導体層(透明電極)または導電パスの抵抗値であり、Lおよびwは、それぞれ太陽電池セルの長さ(mm)および幅(mm)であり、Nは上述の区画数である。半導体層の抵抗値としては10Ω/□を、導電パスの抵抗値としては銅の比抵抗(1.68×10−8Ω)×長さ/断面積から得られる値を採用した。
並列抵抗(R)としては、式:R=AN/wL;より求めた値を採用した。ここで、Aは、一区画の面積当たりの並列抵抗であり、Lおよびwは、それぞれ太陽電池セルの長さ(mm)および幅(mm)であり、Nは上述の区画数である。
半導体層の影響については、区画数N=200(一区画のサイズ:長さ15.5mm×幅7.75mm)とし、導電パスまでの距離を1mmとしたときを基準としてロス(%)を計算した。
導電パスの影響については、区画数N=100(一区画のサイズ:長さ15.5mm×幅15.5mm)とし、「太陽電池の簡便なパラメータの正確な評価方法」(Chunfu Zhang et al., J.Appl.Phys. 110, 064504(2011))を参照してLambertW関数を利用して、ロス(%)を計算した。
シャドーロスは、太陽電池セル表面に占める導電パスの総面積から求めた。
集電ロス(%)とシャドーロス(%)との合計(%)は、両者の相関を考慮して、半導体層を流れるときのロスをLA1(%)とし、導電パスを流れるときのロスをLA2(%)とし、シャドーロスをL(%)としたとき、式:100−[(100−LA1)×(100−LA2)×(100−L)×10−4];より求めた。後述の市販品におけるロスの合計についても同様の方法に基づいて求めた。また集電ロス(%)は、式:100−[(100−LA1)×(100−LA2)×10−2];より求めた。
また、フィンガー電極を有する太陽電池セルにバスバー電極で配線を行った市販品(フィンガー電極の配置間隔:2.4μm(セル1枚当たりの電極本数64本)、バスバー電極の本数:セル1枚当たり2本)についての出力ロス(%)を上記と同様の方法により求めた。直列抵抗(R)については、フィンガー電極の抵抗値(R)として50Ω/m(断面積:1/2πr、r=25μm)を、バスバー電極の抵抗値(R)として0.075Ω/m(断面積:幅1.5mm×厚さ150μm)をそれぞれ採用した。半導体層の影響については、区画数N=200(一区画のサイズ:長さ15.5mm×幅7.75mm)とし、配線までの距離を1mmとしたときを基準としてロス(%)を計算した。フィンガー電極、バスバー電極(集電材)の影響については、区画数N=100とし、「太陽電池の簡便なパラメータの正確な評価方法」(Chunfu Zhang et al., J.Appl.Phys. 110, 064504(2011))を参照してLambertW関数を利用して、ロス(%)を計算した。フィンガー電極を流れるときのロス(%)は、バスバー電極までの距離50mm、フィンガー電極の抵抗値0.001Ω/mを基準として計算した。集電材を流れるときのロス(%)は、配線間隔2mm、バスバー電極の抵抗値0.001Ω/mを基準として計算した。
シャドーロスは、太陽電池セル表面に占めるフィンガー電極およびバスバー電極の総面積から求めた。
各ロスの相関を考慮して、ロスの合計(%)を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2016027639
Figure 2016027639
表2に示されるように、フィンガー電極を有する太陽電池セルにバスバー電極を接続した従来品では、集電ロスとシャドーロスとの合計(出力ロス)が10.6%にもなった。これに対して、封止樹脂層表面に導電部(導電パス)を設ける封止フィルムでは、導電パスの幅Yと間隔Xとを適切に設定することで、表1に示されるように、出力ロスを良好に低減し得ることがわかる。特に、導電パスの幅Yが150μmで、間隔Xが4mmのものは出力ロス7.0%を実現可能であることがわかる。このことから、ここに開示される封止フィルムによると、生産性に優れ、かつ高出力の太陽電池モジュールを実現し得ることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
X (導電パスの)間隔
Y (導電パスの)幅
1,2 封止フィルム
10 封止樹脂層
10A 封止樹脂層表面
20A,20B 導電部
22 導電部パターン
25Aa,25Ab,25Ac 導電パス
25Ba,25Bb,25Bc 導電パス
27 導電パスパターン
30Aa,30Ab,30Ac 太陽電池セル対向部分
35Aa,35Ab,35Ac 太陽電池セル非対向部分
40a,40b 太陽電池セルの配置予定部
50 密着性向上層
100,200,300 太陽電池モジュール
110 太陽電池セル群
110a,110b 太陽電池セル
121 第一封止部材
122 第二封止部材
123 封止樹脂層
123A 封止樹脂層表面
124 封止樹脂層
124A 封止樹脂層表面
125A,125B 第一導電部
125Aa,125Ab,125Ac 導電パス
125Ba,125Bb,125Bc 導電パス
126A,126B (第一導電部の)はみ出した部分
127A,127B 第二導電部
127Aa,127Ab,127Ac 導電パス
127Ba,127Bb,127Bc 導電パス
128A,128B (第二導電部の)はみ出した部分
131 表面被覆部材
132 裏面被覆部材
135 突起
140 導電性接続部
142a,142b 絶縁部
150 導電性シート
160 導電層

Claims (16)

  1. 導電部を備えた太陽電池モジュールであって、
    前記導電部は、線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行に配置されており、
    前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:
    (1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または
    (2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);
    を満たすように配置されている、太陽電池モジュール。
  2. 前記導電部は、比抵抗が5.0×10−7Ω・m以下の導電性材料を含む、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記導電部は、金属材料から形成されている、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記導電部の表面には導電性粘着剤層が配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 密着性向上層が設けられており、前記導電部は該密着性向上層の上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  6. フィンガー電極のない太陽電池セルを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 太陽電池モジュール用導電部材であって、
    前記導電部材は、線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行しており、
    前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:
    (1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または
    (2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);
    を満たす、太陽電池モジュール用導電部材。
  8. 封止樹脂層と、該封止樹脂層の一方の表面に部分的に形成された導電部と、を備えた太陽電池モジュール用封止フィルムであって、
    前記導電部は、前記封止樹脂層表面において線状に延びる2以上の導電パスからなり、かつ該2以上の導電パスは間隔をおいて平行に配置されており、
    前記導電パスは、該導電パスの間隔をX(mm)とし、該導電パスの幅をY(μm)としたとき、条件:
    (1)20X+10≦Y<70X+30 (ただし、1≦X<4);または
    (2)15X<Y<70X+30(ただし、4≦X<20);
    を満たすように配置されている、封止フィルム。
  9. 前記導電部は、比抵抗が5.0×10−7Ω・m以下の導電性材料を含む、請求項8に記載の封止フィルム。
  10. 前記導電部は、金属材料から形成されている、請求項8または9に記載の封止フィルム。
  11. 前記導電部の表面には導電性粘着剤層が配置されている、請求項8〜10のいずれか一項に記載の封止フィルム。
  12. 前記封止樹脂層の一方の表面にはメッシュ材料が配置されており、前記導電部は、該メッシュ材料の一部を構成している、請求項8〜11のいずれか一項に記載の封止フィルム。
  13. 前記封止樹脂層の一方の表面には密着性向上層が設けられており、前記導電部は該密着性向上層の上に形成されている、請求項8〜12のいずれか一項に記載の封止フィルム。
  14. 前記封止樹脂層の一方の表面には熱伝導層が設けられており、前記導電部は該熱伝導層の上に形成されている、請求項8〜13のいずれか一項に記載の封止フィルム。
  15. フィンガー電極のない太陽電池セルを備える太陽電池モジュールに用いられる、請求項8〜14のいずれか一項に記載の封止フィルム。
  16. 請求項8〜15のいずれか一項に記載の封止フィルムを備える、太陽電池モジュール。
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