JP2016026990A - カラーセラミックス - Google Patents

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Abstract

【課題】 重厚感のある色調を有しつつ、色ばらつきが少ないことによって、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができるカラーセラミックスを提供する。【解決手段】 本発明のカラーセラミックスは、安定化剤成分、酸化鉄および酸化アルミニウムを含むジルコニア質焼結体からなり、安定化剤成分および酸化鉄が固溶したジルコニア結晶を含むものであることにより、重厚感のある色調を有しつつ、色ばらつきが少ないことによって、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、カラーセラミックスに関するものである。
ジルコニア質焼結体は、機械的特性が高く、高級感や美的満足感を感じられるものであるため、近年、時計のベゼルや携帯電話のキー、ピロー等の装飾部品として好適に用いられている。そして、嗜好の多様化に応えて様々な色調とすべく、着色成分の検討が為されており、重厚感のある暗色系の色調とするための着色成分として、バナジウム系複合酸化物やマンガン系複合酸化物が知られている。
しかしながら、バナジウム系複合酸化物やマンガン系複合酸化物を着色成分として用いた場合、雰囲気や温度等の焼成条件の違いによって、得られる色調が変化するという問題があり、焼成条件の細かな調整や制御が必要であるという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1には、部分安定化ジルコニアと、部分安定化ジルコニアに対して少なくとも2重量%の酸化鉄と、部分安定化ジルコニアに対して少なくとも1重量%の酸化アルミニウムを含むジルコニア質焼結体(茶色ジルコニア焼結体)が提案されている。
特開2013−14473号公報
今般においては、焼成条件による色ばらつきはもちろんのこと、需要者に高級感および高い美的満足感を与えるべく、単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきの低減が求められている。
本発明は、上記要求を解決すべく案出されたものであり、重厚感のある色調を有しつつ、色ばらつきが少ないことによって、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができるカラーセラミックスを提供することを目的とする。
本発明のカラーセラミックスは、安定化剤成分、酸化鉄および酸化アルミニウムを含むジルコニア質焼結体からなり、前記安定化剤成分および前記酸化鉄が固溶したジルコニア結晶を含むことを特徴とするものである。
本発明のカラーセラミックスによれば、重厚感のある色調を有しつつ、色ばらつきが少ないことによって、高級感と高い美的満足感とを得ることができる。
以下、本実施形態のカラーセラミックスの一例について説明する。
本実施形態のカラーセラミックスは、安定化剤成分、酸化鉄(Fe)および酸化アルミニウム(Al)を含むジルコニア質焼結体からなる。ここで、ジルコニア質
焼結体とは、ジルコニア質焼結体を構成する全成分100質量%のうち、ジルコニウム(Zr)をZrO換算で50質量%を超えて含有するものであり、含有量は、蛍光X線分析装置(XRF)やICP発光分光分析装置(ICP)を用いてジルコニウム(Zr)の含有量を求めジルコニア(ZrO)に換算することによって求めることができる。また、ジルコニア質焼結体とは、X線回折装置(XRD)による測定において、ZrOが最も高いピーク強度を示すものともいえる。
また、安定化剤成分とは、ジルコニア結晶を安定した相状態(正方晶または立方晶)に保つためのものであり、例えば、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化ディスプロシウム(Dy)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等から選ばれる少なくとも1種のことである。ここで、安定化剤成分がイットリアであれば、イオン半径がジルコニアに近く安定化度合が高く、粗大結晶が発生しにくいため、ジルコニア質焼結体からなるカラーセラミックスの機械的特性を優れたものとすることができる。
そして、本実施形態のカラーセラミックスは、酸化鉄を含んでいることにより、暗色系の色調を呈するものとなる。また、併せて酸化アルミニウムを含んでいることにより、安定化剤成分と酸化鉄との反応が進むことによって、ジルコニア結晶の相状態の安定化を妨げたり、生じた反応生成物の存在によって色むらが生じたりすることを抑制することができる。
また、本実施形態のカラーセラミックスは、安定化剤成分および酸化鉄が固溶したジルコニア結晶(以下、固溶ジルコニア結晶と記載する場合がある。)を含むものである。ここで、固溶ジルコニア結晶とは、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による面分析から得られたカラーマッピングで確認することができる。具体的には、安定化剤成分が酸化イットリウムである場合、ジルコニア結晶の存在位置を示すジルコニウムと酸素とが重なる領域において、イットリウムと鉄とが確認される結晶のことである。
なお、固溶ジルコニア結晶は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてジルコニア結晶を観察し、エネルギー分散型X線分析(EDS)を行なって、ジルコニアと酸素とイットリウムと鉄とが存在するか否かによっても確認することができる。
そして、本実施形態のカラーセラミックスは、固溶ジルコニア結晶を含んでいることにより、酸化鉄の着色作用によって暗色化が図られて重厚感のある色調となり、雰囲気や温度などの焼成条件による色ばらつきが抑えられるとともに、単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきが抑えられるため、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができるジルコニア質焼結体となる。
このように、雰囲気や温度などの焼成条件による色ばらつきが抑えられるのは、ジルコニア質焼結体において単体で存在する酸化鉄が焼成条件の違いによる酸化の度合いによって色調変化に敏感であるところ、ジルコニア結晶に酸化鉄が固溶していることにより、単体で存在する酸化鉄が少なくなっているとともに、ジルコニア結晶に固溶している酸化鉄は、焼成条件の違いによって酸化の度合いの変化が少なく色調変化に鈍感なためであると考えられる。
また、単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきを抑えることができるのは、着色作用を有する酸化鉄は、ジルコニア質焼結体において凝集しやすいものであるところ、ジルコニア結晶に酸化鉄が固溶させた状態でジルコニア質焼結体内に存在させることにより、酸化鉄の凝集が少なくなるためであると考えられる。
ここで、色ばらつきは、次の方法によって確認することができる。まず、測定には、色彩色差計(旧ミノルタ社(製)CR−221またはその後継機種)を用い、JIS Z 8722−2000に準拠して、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値、クロマティクネス指数a*およびb*の値を求める。測定条件としては、光源をCIE標準光源D65とし、照明受光方式を条件a((45−n)〔45−0〕)に、測定径を3mmに設定して行なう。
そして、焼成条件による色ばらつきの場合には、焼成条件の異なるジルコニア質焼結体を測定試料とし、単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきの場合には、単体のジルコニア質焼結体を測定試料として複数個所測定する。次に、得られたL*、a*、b*の値を用いて、ΔE=((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2により色ばらつきを求めることができる。
なお、焼成条件Xにおけるジルコニア質焼結体V(以下、単にVと記載する。)と焼成条件Wにおけるジルコニア質焼結体W(以下、単にWと記載する。)よる色ばらつきの場合、ΔL*は、VL*−WL*であり、Δa*は、Va*−Wa*であり、Δb*は、Vb*−Wb*である。また、単体のジルコニア質焼結体における部位X(以下、単にXと記載する。)と部位Y(以下、単にYと記載する。)とにおける色ばらつきの場合、ΔL*は、XL*−YL*であり、Δa*は、Xa*−Ya*であり、Δb*は、Xb*−Yb*である。なお、測定箇所が2以上の場合には、最大値および最小値を用いる。
ここで、明度指数L*とは、色調の明暗を示す指数であり、明度指数L*の値が大きければ明るい色調ということであり、明度指数L*の値が小さければ、暗い色調ということである。
また、クロマティクネス指数a*とは、色調の赤から緑の度合いを示す指数であり、クロマティクネス指数a*がプラス側に大きな値であれば赤色系の色調ということであり、クロマティクネス指数a*がマイナス側に大きな値であれば緑色系の色調ということである。
また、クロマティクネス指数b*とは、色調の黄から青の度合いを示す指数であり、クロマティクネス指数b*がプラス側に大きな値であれば黄色系の色調ということであり、クロマティクネス指数b*がマイナス側に大きな値であれば青色系の色調ということである。
さらに、クロマティクネス指数a*およびb*の絶対値は、色調の鮮やかさを示す指数でもるため、クロマティクネス指数a*およびb*絶対値が小さいときには鮮やかさが抑えられた渋い色調ということである。
次に、本実施形態のカラーセラミックスによれば、ジルコニア結晶のうち、結晶構造が正方晶であるジルコニア結晶(以下、正方晶ジルコニア結晶と記載する。)の格子定数aが3.602Å以下であり、格子定数cが5.179Å以下であることが好適である。
ここで、正方晶ジルコニア結晶における格子定数aおよび格子定数cの値は、酸化鉄の固溶量を示しているものと言い換えることができるものである。正方晶ジルコニア結晶の格子定数aが3.602Å以下であり、格子定数cが5.179Å以下であるときには、さらに、色ばらつきを抑えることができる。
なお、正方晶ジルコニア結晶における格子定数aおよび格子定数cの値は、XRDによ
り測定し、リートベルト解析を行なうことによって得ることができる。
また、本実施形態のカラーセラミックスによれば、27μm×40μmの範囲において、円相当径が2μm以上5μm以下の大きさのジルコニア結晶が5個以上20個以下存在していることが好適である。このような範囲を満たしているときには、高い機械的強度を有しつつ、理由は明らかではないが色ばらつきを抑えることができる。
なお、27μm×40μmの範囲において、円相当径が2μm以上5μm以下の大きさのジルコニア結晶の存在の確認方法は、ジルコニア質焼結体の表面を鏡面加工し、焼成温度から50〜100℃低い温度の範囲で熱処理をする。そして、SEMを用いて3000倍の倍率で撮影した画像データを画像解析ソフトを用いて解析する、若しくは画像上からカウントすればよい。
次に、本実施形態のカラーセラミックスによれば、酸化チタン(TiO)および酸化マンガン(MnO)の少なくともいずれかを含むことが好適である。このように、酸化チタンおよび酸化マンガンの少なくともいずれかを含むときには、色調の暗色化とともに、理由は明らかではないが単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきをさらに抑えることができる。
そして、上述してきた本実施形態のカラーセラミックスを装飾部品として用いる場合、色調や色ばらつきなどは、最終製品となった場合に、需要者に視認される面が装飾的価値を有していればよいのであって、ジルコニア質焼結体の全ての面が、装飾的価値を有している必要はない。そのため、需要者に視認されて装飾的価値が求められる面を装飾面と称す。
ここで、装飾面について時計用のベゼルを例に挙げれば、最終製品である時計において需要者に視認される面がベゼルの装飾面であり、最終製品になった後に需要者に視認されない時計本体への取り付け面等は、装飾面に含まない。
次に、本実施形態のカラーセラミックスによれば、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値が8以上28以下であり、クロマティクネス指数a*およびb*がともに5以上20以下であることにより、鮮やかさが抑えられた重厚感に溢れる茶色系の色調を呈するものとなるとともに、色ばらつきが少ないことによって、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができる。
また、本実施形態のカラーセラミックスにおいて、装飾面における算術平均粗さRaは0.03μm以下とすることが好適である。この算術平均粗さRaはJIS B 0601−2001に準拠して測定すればよい。例えば、触針式の表面粗さ計を用いて、測定長さを5mm、カットオフ値を0.8mmとし、先端部の半径が2μmの触針を当てて、速度を0.5mm/秒として触針を走査すればよい。
また、本実施形態のカラーセラミックスは、見掛密度が5.9g/cm以上6.1g/cm以下であることが好適である。見掛密度の値が上記範囲を満たしているときには、装飾面における開気孔が少なくなり、開気孔の輪郭から発生する結晶粒の脱粒が抑制されるとともに優れた機械的強度を有する。なお、この見掛密度は、JIS R 1634−1998に準拠して求めればよい。
また、本実施形態のカラーセラミックスは、JIS R 1601−2008に準拠して求められる3点曲げ強度が900Ma以上であることが好適である。また、装飾面におけるビッカース硬度Hvが8GPa以上であることが好適である。ビッカース硬度Hvが
8GPa以上であれば、ガラスまたは金属からなる塵埃のような硬度の高い物質と装飾面とが接触しても、容易に傷が入りにくくなる。この表面のビッカース硬度HvはJIS R 1610−2003に準拠して測定することができる。
そして、本実施形態のカラーセラミックスは、重厚感に溢れ、色ばらつきが少ないことによって高級感および美的満足感を与えることができることから、時計用ベゼルや時計用バンド駒等の時計用装飾部品、押下操作する各種キーやピロー等の携帯電話機用装飾部品、釣糸用ガイドリング等の釣糸案内用装飾部品を始め、ブローチ、ネックレス、イヤリング、リング、ネクタイピン、タイタック、メダル、ボタン等の装身具用装飾部品、床、壁、天井を飾るタイルあるいはドアの取手等の建材用装飾部品、スプーン、フォーク等のキッチン部品用装飾部品、その他の家電用装飾部品、エンブレム等の自動車用装飾部品として好適に用いることができる。
次に、本実施形態のカラーセラミックスの製造方法の一例を説明する。
まず、主原料粉末として安定化ジルコニアの粉末を用意する。ここで安定化ジルコニアの粉末とは、具体的には、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ディスプロシウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種の安定化剤を加えて共沈法により生成されたものであり、ジルコニアが95〜99mol%で、安定化剤成分が1〜5mol%とからなるものである。なお、この安定化ジルコニアの粉末には、酸化ハフニウムを2質量%程度含むものであってもよい。
また、酸化鉄粉末および酸化アルミニウム粉末を用意する。さらに、ジルコニアの安定化剤として用いた安定化剤成分の粉末を用意する。このように、本実施形態のカラーセラミックスの製造方法において安定化剤成分は、安定化ジルコニアの粉末およびここで添加する安定化剤成分の粉末があるため、得られるカラーセラミックスにおける安定化剤成分の含有量は、安定化ジルコニアの粉末およびここで添加する安定化剤成分の粉末の合量となる。
そして、酸化鉄の粉末、酸化アルミニウムの粉末および安定化剤成分の粉末を所望量秤量し、残部が主原料粉末となるように秤量する。なお、酸化チタンや酸化マンガンを含むものとする場合には、酸化チタンの粉末や酸化マンガンの粉末を所望量秤量し、秤量した分だけ主原料粉末量を減らせばよい。
また、酸化クロム(Cr)や酸化コバルト(CoO)を含むものとする場合には、酸化クロムの粉末や酸化コバルトの粉末を所望量秤量し、秤量した分だけ主原料粉末量を減らせばよい。酸化クロムや酸化コバルトを含むときには、暗色化を図ることができるとともに、深みのある落ち着いた色調とすることができる。
次に、秤量した各粉末と溶媒である水とを振動ミルやボールミル等に入れて混合粉砕する。ここで、混合粉砕に用いるボールは、同じ組成および同じ製造方法によって事前に作製したカラーセラミックスからなることが好適である。また、混合粉砕時間が10時間以上であれば、正方晶ジルコニア結晶の格子定数aを3.602Å以下および格子定数cを5.179Å以下とすることができる。なお、混合粉砕時間が24時間以上を超えると、ΔEの値は小さくならなくなるため、混合粉砕時間としては、10時間以上24時間以下とすることが好適である。
次に、混合粉砕したスラリーに結合剤としてパラフィンワックスを所定量添加し、噴霧乾燥装置を用いて、噴霧・乾燥させることにより、造粒された顆粒を得る。そして、この顆粒を用いて所望の成形法、例えば、乾式加圧成形法、冷間静水圧加圧成形法等により円
板、平板、円柱体、円環体等の所望形状に成形する。
また、製品形状が複雑であれば、混合粉砕したスラリーに溶媒やバインダ等を添加したスラリーを用いて鋳込成形法や射出成形法を用いて成形体を得てもよい。さらに、各種成形法によりブロック形状または製品形状に近い形状に成形した後に切削加工を施すことによって、成形体を得ることも可能である。そして、得られた成形体を必要に応じて脱脂した後、大気雰囲気中にて1350℃以上1500℃以下の温度で焼成することにより、本実施形態のカラーセラミックスを得ることができる。得られた本実施形態のカラーセラミックスは、ジルコニアの安定化剤として用いた安定化剤成分の粉末を調合時に別途添加し、上述した製造方法で作製することにより、安定化剤成分および酸化鉄が固溶したジルコニア結晶を含むものとなる。焼成温度については、1400℃以上1460℃以下とすることが好適である。
そして、得られた焼結体をバレル研磨することにより、装飾面における算術平均粗さRaは0.03μm以下とすることができる。なお、このバレル研磨は、例えばメディアとグリーンカーボランダム(GC)とを用いた湿式の遠心バレル研磨機で24時間程度行なえばよい。また、平均粒径1μm以下の小さいダイヤモンドペーストを錫製のラップ盤に供給して、ラップ加工を施してもよい。
ここで、得られたカラーセラミックスにおいて、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値が8以上28以下であり、クロマティクネス指数a*およびb*がともに5以上20以下である場合の具体的な組成としては、酸化鉄が0.7質量%以上5.0質量%以下、酸化アルミニウムが0.6質量%以上2.5質量%以下、酸化クロムが0.1質量%以上1.4質量%以下、酸化チタンまたは酸化マンガンが0.1質量%以上0.7質量%以下であり、残部が、安定化剤成分と、酸化ハフニウムを含む酸化ジルコニウムである。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、主原料粉末として、共沈法により生成された、ジルコニアが97mol%で、安定化剤成分である酸化イットリウムが3mol%の安定化ジルコニア粉末を用意した。なお、この安定化ジルコニアの粉末には、ジルコニア100質量%に対し、2質量%の酸化ハフニウムを含んでいる。また、試料No.1については、同じ組成となる試料No.5との比較を行なうため、共沈法により生成された、ジルコニアが96mol%で、安定化剤成分である酸化イットリウムが4mol%の安定化ジルコニア粉末を用いた。
また、酸化鉄の粉末、酸化アルミニウムの粉末、酸化イットリウムの粉末、酸化クロムの粉末、酸化チタンの粉末および酸化マンガンの粉末を用意した。そして、得られるカラーセラミックスであるジルコニア質焼結体における組成が表1に示す値となるように、所望量秤量した。なお、試料No.1については、安定化剤成分の粉末の添加は行なっていない。
次に、秤量した各粉末と溶媒である水とを振動ミルやボールミル等に入れて混合粉砕した。なお、混合粉砕に用いるボールは、試料No.5と同じ組成および同じ製造方法によって事前に作製したカラーセラミックスからなるボールを用いた。
次に、混合粉砕したスラリーに、結合剤としてパラフィンワックスを所定量添加し、噴霧乾燥装置を用いて、噴霧・乾燥させることにより、造粒された顆粒を得た。そして、こ
の顆粒を用いて98MPaの圧力で成形(乾式加圧成形法)することにより、焼結体においてφ20mmで厚みが2mmとなる寸法の成形体を得た。そして、大気雰囲気中1400℃の温度で焼成した。
次に、得られた焼結体を、メディアとグリーンカーボランダム(GC)とともに遠心バレル研磨機に入れて湿式で24時間バレル研磨した。得られた試料は、目視による色調の確認を行なったところ、すべての試料が茶色系の色調を呈していた。
そして、各試料の一部を粉砕し、得られた粉体を塩酸に溶解した後、ICP発光分光分析装置(島津製作所製:ICPS−8100)を用いて測定を行ない、それぞれ表1に示した酸化物に換算した含有量を求めた。
また、各試料につき、EPMAによる面分析から得られたカラーマッピングを確認することにより、ジルコニア結晶の存在位置を示すジルコニウムと酸素とが重なる領域において、イットリウムと鉄とが確認されるか否かを確認することにより、固溶ジルコニア結晶の有無を確認した。その結果、試料No.1以外において固溶ジルコニア結晶が確認された。
次に、色彩色差計(旧ミノルタ社(製)CR−221)を用い、光源をCIE標準光源D65とし、照明受光方式を条件a((45−n)〔45−0〕)に、測定径を3mmにそれぞれ設定して、JIS Z 8722−2000に準拠して各試料の装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値、クロマティクネス指数a*およびb*の値を測定した。
なお、測定は、各試料5カ所について行ない、L*a*b*それぞれの平均値と、最大値と最小値とを用いて、((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2の式により、ΔEを求めた。
また、色調について20歳代〜50歳代の各年代の男女5名ずつ計40名のモニターに、重厚感、高級感、美的満足感の3項目でアンケート調査を実施し、「感じる」との回答が3項目ともに90%以上であった場合を「A」、2項目を「B」、1項目以下を「C」として評価した。結果を表1に示す。
Figure 2016026990
表1から、試料No.2〜16は、試料No.1よりもΔEの値が小さい結果が得られており、固溶ジルコニア結晶を含んでいることにより、単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきが小さくなることがわかった。
また、試料No.3〜7,10,12〜14は、モニター評価がAであり、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が8以上28以下であり、クロマティクネス指数a*およびb*がともに5以上20以下であることにより、茶色系の色調において、鮮やかさが抑えられた重厚感や、高級感および高い美的満足感を需要者に与えられることがわかった。
さらに、試料No.1および試料No.5の作製に用いた原料を使って、1350℃と1450℃で焼成した試料を作製し、焼成条件の違いによる色ばらつきを確認したところ、試料No.5の作製に用いた原料を使った試料の方の色ばらつきが小さいことを確認した。この結果より、固溶ジルコニア結晶を含んでいることにより、焼成条件による色ばらつきおよび単体のジルコニア質焼結体における色ばらつきが抑えられることがわかった。
混合粉砕時間を異ならせた試料を作製し、ΔEの比較を行なった。なお、混合粉砕時間を表2に示す時間としたこと以外は、実施例1の試料No.5と同様の方法により試料を作製した。試料No.19は試料No.5と同じ試料である。
そして、実施例1と同様の方法により、それぞれΔEを求めた。また、XRDにより測定し、リートベルト解析を行なうことにより、正方晶ジルコニア結晶における格子定数aおよび格子定数cの値を得た。結果を表2に示す。なお、混合粉砕後粒径について測定した結果も表2に示す。
Figure 2016026990
表2から、正方晶ジルコニア結晶の格子定数aが3.602Å以下であり、格子定数cが5.179Å以下であることにより、色ばらつきを抑えることができることがわかった。また、試料No.17と試料No.18とでは、ΔEの値に差が無くなっていることから、色ばらつきを抑えつつ、生産効率を向上させるには、混合粉砕時間は、10時間以上24時間以下であることが好適とわかった。
次に、焼成温度を異ならせた試料を作製し、ΔEの比較を行なった。なお、焼成時間を表3に示す時間としたこと以外は、実施例2の試料No.18と同様の方法により試料を作製した。試料No.23は試料No.18と同じ試料である。
そして、実施例1と同様の方法により、それぞれΔEを求めた。また、試料の表面を鏡面加工し、焼成温度から70℃低い温度で熱処理をし、SEMを用いて3000倍の倍率で撮影した画像データを画像解析ソフトを用いて解析することにより、27μm×40μmの範囲において、円相当径が2μm以上5μm以下の大きさのジルコニア結晶の個数を
求めた。
また、各試料につき、幅が4mm、厚みが3mm、長さが30mmの3点曲げ強度測定用試料を作製し、JIS R 1601−2008に準拠して3点曲げ強度を測定した。そして、試料No.24の3点曲げ強度を基準に、値が3%未満の低下であればA、3%以上の低下であればBと記載した。結果を表3に示す。
Figure 2016026990
表3から、27μm×40μmの範囲において、円相当径が2μm以上5μm以下の大きさのジルコニア結晶が5個以上20個以下存在していることにより、高い機械的強度を有しつつ、色ばらつきを抑えられることがわかった。
上述した実施例により、本発明のカラーセラミックスは、重厚感のある色調を有しつつ、色ばらつきが少ないことによって、需要者に高級感および高い美的満足感を与えることができることがわかったことから、装飾部材に好適であることがわかった。

Claims (5)

  1. 安定化剤成分、酸化鉄および酸化アルミニウムを含むジルコニア質焼結体からなり、前記安定化剤成分および前記酸化鉄が固溶したジルコニア結晶を含むことを特徴とするカラーセラミックス。
  2. 前記ジルコニア結晶のうち、結晶構造が正方晶であるジルコニア結晶の格子定数aが3.602Å以下であり、格子定数cが5.179Å以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラーセラミックス。
  3. 27μm×40μmの範囲において、円相当径が2μm以上5μm以下の大きさの前記ジルコニア結晶が5個以上20個以下存在することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーセラミックス。
  4. 酸化チタンおよび酸化マンガンの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカラーセラミックス。
  5. 装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が8以上28以下であり、クロマティクネス指数a*およびb*がともに5以上20以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカラーセラミックス。
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