JP2016025197A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャンバーの汚染を低減すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板Wを水平な姿勢で保持しながら回転方向Drに回転させる基板保持ユニットと、温度が水の沸点以上で水を含む薬液を基板Wの上面内の着液位置P1に向けて吐出する吐出口43aを含む薬液ノズル35と、着液位置P1および吐出口43aが平面視で内面51に覆われるように基板Wの上方に配置され、基板Wよりも平面視で小さい拡散防止カバー50と、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66から拡散防止カバー50内の流体を吸引する吸引配管67と、拡散防止カバー50と共に薬液ノズル35を水平に移動させる薬液ノズル移動ユニットとを含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。
特許文献1に記載の枚葉式の基板処理装置は、チャンバー内で基板を保持する基板保持部と、基板の上面に向けてSPM(sulfuric acid / hydrogen peroxide mixture)等の液体を吐出する処理液供給部とを含む。処理液供給部は、硫酸を供給する硫酸供給部と、過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給部と、硫酸供給部および過酸化水素水供給部に接続される混合液生成部と、基板の上面に向けてSPMを吐出する処理液ノズルとを含む。硫酸供給部は、硫酸を加熱する硫酸加熱部を含む。
特開2013−77626号公報
SPM等の薬液が処理液ノズルから吐出されると、薬液の液滴およびミストがチャンバー内に発生する。基板上の薬液から発生した蒸気がチャンバー内を上方に浮遊することもある。レジストで覆われた基板にSPMが供給されるときには、SPMとレジストとの反応により基板からヒューム(煙のような気体)が発生する場合がある。このような薬液を含む液体および気体は、チャンバー内の部材やチャンバーの内壁面に付着して、これらを汚染する場合がある。
特に、特許文献1に記載の基板処理装置において、処理液ノズルから吐出されるときのSPMの温度が水の沸点以上となるように硫酸の温度が調整されると、SPMに含まれる水が処理液ノズルから吐出される直前に瞬間的に蒸発するので、多数のSPMの液滴が薬液ノズルから激しく噴出する。このとき発生するSPMの液滴は、チャンバーの上部を含む広範囲に飛散する場合がある。チャンバーが汚染されると、チャンバー内で処理される基板も汚染されてしまう。
そこで、本発明の目的の一つは、チャンバーの汚染を低減できる基板処理装置を提供することである。
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板を水平な姿勢で保持しながら回転方向に回転させる基板保持ユニットと、温度が水の沸点以上で水を含む薬液を、前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面内の着液位置に向けて吐出する吐出口を含む薬液ノズルと、下向きに開いたカップ状の内面を含み、前記着液位置および吐出口が平面視で前記内面に覆われるように前記基板保持ユニットに保持されている基板の上方に配置され、前記基板保持ユニットに保持される基板よりも平面視で小さい拡散防止カバーと、前記拡散防止カバーの前記内面で開口する吸引口から前記拡散防止カバー内の流体を吸引する吸引配管と、前記拡散防止カバーと共に前記薬液ノズルを水平に移動させる薬液ノズル移動ユニットとを含む、基板処理装置である。
この構成によれば、水を含む薬液が薬液ノズルの吐出口から基板の上面に向けて吐出される。薬液ノズルから吐出された薬液が基板の上面や基板上の薬液に衝突すると、基板から上方に飛散する薬液の液滴が発生する。さらに、薬液ノズルから吐出されるときの薬液の温度が水の沸点以上なので、薬液に含まれる水が薬液ノズル内や配管内で蒸発して、多数の薬液の液滴が薬液ノズルから激しく噴出する。
拡散防止カバーの内面は、薬液ノズルの吐出口と薬液の着液位置とを平面視で覆っている。したがって、薬液ノズルや着液位置から上方に飛散する薬液の液滴は、拡散防止カバーの内面によって受け止められる。さらに、拡散防止カバーの内面が下向きに開いたカップ状なので、基板から立ち上る蒸気およびヒュームは、拡散防止カバー内に捕捉される。これにより、薬液を含む液体および気体の拡散範囲を狭めることができ、チャンバーの汚染を低減できる。
吸引配管は、拡散防止カバーの内面で開口する吸引口から拡散防止カバー内の流体を吸引する。拡散防止カバー内の薬液雰囲気(薬液を含む気体)は、吸引口を通じて拡散防止カバーの内側の空間から排出される。これにより、拡散防止カバー内の薬液雰囲気が拡散防止カバーから漏洩することを抑制または防止できる。さらに、拡散防止カバーの内面に付着している液滴は、吸引口に方に吸い寄せられて、吸引口に吸い込まれる。これにより、薬液の液滴が拡散防止カバーから落下することを抑制または防止できる。
薬液ノズル移動ユニットは、拡散防止カバーと共に薬液ノズルを水平に移動させる。したがって、拡散防止カバーおよび薬液ノズルの位置関係が一定に維持される。そのため、拡散防止カバーは、基板に対する薬液ノズルの位置に拘わらず、薬液の液滴等を捕捉できる。拡散防止カバーは、平面視で基板よりも小さい。拡散防止カバーが基板よりも大きいと、拡散防止カバーを水平に移動させたときに、スプラッシュガードなどの基板の周囲に配置される部材に拡散防止カバーが衝突する。そのため、拡散防止カバーと他の部材との衝突を回避しつつ、薬液の液滴等を拡散防止カバーによって効率的に捕捉できる。
請求項2に記載の発明は、前記拡散防止カバーの前記内面は、前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面に近づくにしたがって直径が広がるテーパー状の筒状部を含み、前記吸引口は、前記筒状部の上端よりも下方に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、拡散防止カバーの内面の少なくとも一部が、基板の上面に近づくにしたがって直径が広がるテーパー状なので、拡散防止カバーは、上方に飛散する薬液の液滴をこのテーパー状の筒状部で受け止めることができる。筒状部に受け止められた薬液の液滴は、重力によって筒状部に沿って下方に流れる。吸引口は、筒状部の上端よりも下方に配置されている。したがって、薬液の液滴の一部は、吸引口からの吸引力だけでなく、重力によって吸引口の方に集まる。これにより、拡散防止カバーに捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
請求項3に記載の発明は、前記拡散防止カバーの前記内面は、上向きに開いた環状の貯留溝を形成する環状の下端部を含み、前記吸引口は、前記拡散防止カバーの前記内面の前記下端部で開口している、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、上向きに開いた環状の貯留溝が、拡散防止カバーの内面の下端部に配置されている。拡散防止カバーの内面に受け止められた薬液の液滴は、拡散防止カバーの内面に沿って下方に流れ、貯留溝内に浸入する。吸引口は、貯留溝を形成する内面の下端部で開口している。拡散防止カバーの内面に付着している薬液の液滴は、吸引口が配置された貯留溝に向かって拡散防止カバーの内面に沿って下方に流れる。これにより、拡散防止カバーに捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
請求項4に記載の発明は、前記拡散防止カバーの前記内面は、互いに異なる高さに配置された上端および下端を有する環状の下端縁を含み、前記吸引口は、前記内面の前記下端縁の前記上端よりも下方に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
拡散防止カバーの内面に付着している薬液の液滴は、拡散防止カバーの内面の下端縁に向かって、拡散防止カバーの内面に沿って下方に流れる。内面の下端縁には高低差が設けられている。したがって、内面の下端縁に到達した薬液の液滴は、内面の下端縁の下端に向かってさらに下方に流れる。吸引口は、内面の下端縁の上端よりも下方に配置されている。そのため、拡散防止カバーの内面に付着している薬液の液滴は、重力によって吸引口の方に集まる。これにより、拡散防止カバーに捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
請求項5に記載の発明は、前記吸引口は、前記着液位置よりも基板の回転方向の下流に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
基板保持ユニットが基板を回転させると、基板の回転方向に流れる気流が基板上に形成される。したがって、基板の回転方向に流れる気流が、基板と拡散防止カバーとの間に形成される。拡散防止カバーの内面で開口する吸引口は、薬液の着液位置よりも基板の回転方向の下流に配置されている。そのため、拡散防止カバー内の気体は、基板の回転によって発生する気流によって、吸引口の方つまり下流の方に導かれる。これにより、拡散防止カバー内の気体を効率的に排出できる。
請求項6に記載の発明は、前記拡散防止カバーは、互いに異なる高さに配置された上端および下端を有する環状の下端縁を含む外面をさらに含み、前記薬液ノズルは、平面視で前記外面の前記下端縁の前記下端に近づくように前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面に対して斜めに傾いた方向に薬液を吐出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、拡散防止カバーの外面の下端縁に高低差が設けられている。薬液ノズルが平面視で外面の下端縁の下端に近づく方向に薬液を吐出するので、薬液が基板の上面や基板上の薬液に衝突した際に発生する薬液の液滴の大部分は、外面の下端縁の下端の方に飛散する。基板の上面から拡散防止カバーまでの距離は、外面の下端縁の下端で最も小さい。したがって、基板と拡散防止カバーとの間を通って薬液の液滴が拡散防止カバーの周囲に飛散し難い。そのため、拡散防止カバーは、薬液の液滴を効率的に捕捉することができる。
前述のように、薬液ノズルから吐出されるときの薬液の温度が水の沸点以上なので、薬液に含まれる水が薬液ノズル内や配管内で蒸発して、水蒸気などの気体が薬液ノズルから激しく噴出する。基板の上面から拡散防止カバーの外面の下端縁までの距離が全周に亘って小さいと、基板と拡散防止カバーとの隙間から気体が勢いよく噴出し、基板上の薬液の一部が拡散防止カバーの周囲に飛散する液滴に変化するかもしれない。
本発明の一実施形態では、基板の上面から拡散防止カバーまでの距離が、外面の下端縁の上端で広げられている。したがって、基板と拡散防止カバーとの隙間から気体が勢いよく噴出することを抑制または防止できる。そのため、薬液の吐出に伴って発生する薬液の液滴を拡散防止カバーで効率的に捕捉しながら、基板の上面と拡散防止カバーの外面の下端縁との間で発生する液滴の量を低減できる。
請求項7に記載の発明は、前記基板処理装置は、前記基板保持ユニットに保持されている基板を平面視で取り囲む環状の上端を含み、前記上端が基板よりも上方に位置している状態で前記基板保持ユニットに保持されている基板から飛散する液体を受け止める筒状のスプラッシュガードをさらに含み、前記薬液ノズル移動ユニットは、前記スプラッシュガードの前記上端が平面視で前記拡散防止カバーに重なる周縁位置を含む範囲内で、前記拡散防止カバーと共に前記薬液ノズルを水平に移動させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板の回転によって基板から飛散する液体が、筒状のスプラッシュガードによって受け止められる。薬液ノズル移動ユニットは、スプラッシュガードの上端が平面視で拡散防止カバーに重なる周縁位置に拡散防止カバーおよび薬液ノズルを位置させる。周縁位置ではスプラッシュガードの一部が拡散防止カバーの上方に位置している。周縁位置において拡散防止カバーが上方に飛散する薬液の液滴を捕捉できなかったとしても、この液滴は、スプラッシュガードによって捕捉される。これにより、薬液の拡散範囲を抑えることができる。
請求項8に記載の発明は、前記基板保持ユニットに保持されている基板の下面に向けて上方に液体を吐出する下面ノズルと、前記下面ノズルからの液体の吐出と前記下面ノズルからの液体の吐出停止とを切り替える下面バルブと、前記下面バルブおよび薬液ノズル移動ユニットを制御する制御装置とをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
前記制御装置は、前記基板保持ユニットに基板が保持されていない状態で、前記薬液ノズル移動ユニットによって前記拡散防止カバーを前記下面ノズルの上方に位置させるステップと、前記拡散防止カバーが前記下面ノズルの上方に位置している状態で前記下面バルブを開いて、前記下面ノズルから吐出された液体を前記拡散防止カバーの前記内面に供給するステップとを実行する。
この構成によれば、基板保持ユニットに基板が保持されていない状態で、拡散防止カバーが下面ノズルの上方に配置される。この状態で下面バルブが開かれ、下面ノズルから吐出された液体が拡散防止カバーの内面に供給される。これにより、拡散防止カバーの内面が下面ノズルから吐出された液体で洗浄され、拡散防止カバーの内面に残留している薬液等の汚染が除去される。
拡散防止カバーの内面に残留している液体は、拡散防止カバーの内面で開口する吸引口に吸引される。また、吸引口が拡散防止カバーの流体を吸引するので、吸引口に向かう気流が、拡散防止カバー内に形成される。拡散防止カバーの内面に残留している液体は、この気流によって蒸発し、吸引口に吸引される。これにより、拡散防止カバーの内面が乾燥する。
このように、拡散防止カバーの内面は、基板の下面に液体を供給する下面ノズルから吐出された液体によって洗浄される。さらに、液体で濡れた拡散防止カバーの内面は、吸引口が拡散防止カバー内の流体を吸引することにより乾燥する。したがって、拡散防止カバーの洗浄および乾燥を行う専用の装置を設けずに、拡散防止カバーの洗浄および乾燥を実施できる。
本発明の一実施形態において、前記拡散防止カバーは、前記薬液ノズルの前記吐出口を収容していてもよい。この場合、薬液ノズルの吐出口は、拡散防止カバーの内面の下端縁よりも上方に配置されており、拡散防止カバー内に配置されている。したがって、拡散防止カバーは、薬液ノズルから水平に飛散する薬液の液滴を確実に受け止めることができる。これにより、チャンバーの汚染を低減できる。
本発明の一実施形態において、前記薬液ノズルは、平面視で基板の回転方向の下流に向かうように前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面に対して斜めに傾いた方向に薬液を吐出してもよい。基板上の薬液は、基板と共に回転方向に回転しながら、基板の上面に沿って外方に流れる。薬液ノズルが平面視で基板の回転方向の下流に向かう方向に薬液を吐出するので、基板の上面に着液する直前の薬液は、基板上の薬液と概ね同じ方向に移動している。そのため、薬液が基板の上面に着液した際の衝撃が弱まり、基板から跳ね返る薬液の量が減少する。これにより、薬液の飛散が抑えられる。
本発明の一実施形態において、前記薬液ノズルから吐出される薬液は、第1原液および第2原液の混合液であってもよい。具体的には、前記基板処理装置は、第1原液を貯留する第1原液タンクと、前記第1原液タンクの第1原液を前記薬液ノズルに供給する第1原液配管と、前記第1原液タンクから前記薬液ノズルに供給される第1原液を加熱するヒータと、前記薬液ノズルまたは第1原液配管に接続されており、第1原液と混合される第2原液を前記薬液ノズルまたは第1原液配管に供給する第2原液配管とをさらに含んでいてもよい。第1原液および第2原液の少なくとも一方は、水を含む液体である。この構成によれば、第1原液および第2原液が薬液ノズルから吐出される直前で混合されるので、活性の高い薬液を基板に供給できる。
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た模式図である。 図1に示すII−II線に沿う処理ユニットの断面を示す模式図である。 基板、薬液ノズル、拡散防止カバー、およびスプラッシュガードを水平に見た模式図である。 薬液ノズルおよび拡散防止カバーの鉛直断面を示す模式図である。 基板の上方に位置する拡散防止カバーを上から見た模式図である。 図1に示す処理ユニットによって実行される基板の処理の一例を説明するための工程図である。 薬液ノズルが薬液を吐出しているときの薬液ノズルおよび拡散防止カバーの鉛直断面を示す模式図である。 図1に示す処理ユニットによって実行される拡散防止カバーの洗浄および乾燥の一例を説明するための工程図である。 拡散防止カバーの内面が洗浄液で洗浄されている状態を示す模式図である。 拡散防止カバーの内面が乾燥する前の状態を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る薬液ノズルおよび拡散防止カバーの鉛直断面を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る薬液ノズルおよび拡散防止カバーの鉛直断面を示す模式図である。 基板の上方に位置する拡散防止カバーを上から見た模式図である。 本発明の第4実施形態に係る拡散防止カバーの鉛直断面を示す模式図である。 図14に示す薬液ノズルおよび拡散防止カバーを下から見た模式図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
基板処理装置1は、半導体ウエハ等の円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、基板Wを処理する処理ユニット2と、処理ユニット2に基板Wを搬送する搬送ロボット(図示せず)と、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。
図1に示すように、処理ユニット2は、箱形のチャンバー4と、チャンバー4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック12と、スピンチャック12を取り囲む筒状のカップ18と、薬液やリンス液などの処理液をスピンチャック12に保持されている基板Wに向けて吐出する複数のノズル(リンス液ノズル27、下面ノズル32、および薬液ノズル35)と、薬液の拡散を防止する拡散防止カバー50とを含む。
図1および図2に示すように、チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口5aが設けられた箱型の隔壁5と、搬入搬出口5aを開閉するシャッター6とを含む。隔壁5は、スピンチャック12およびカップ18の下方に配置された下壁7と、スピンチャック12およびカップ18の上方に配置された上壁8と、スピンチャック12およびカップ18の周囲に配置された側壁9とを含む。搬入搬出口5aは、チャンバー4の側壁9に設けられている。シャッター6は、搬入搬出口5aが開く開位置と、搬入搬出口5aが閉じる閉位置(図2に示す位置)との間で側壁9に対して移動可能である。図示しない搬送ロボットは、搬入搬出口5aを通じてチャンバー4に基板Wを搬入し、搬入搬出口5aを通じてチャンバー4から基板Wを搬出する。
図1に示すように、処理ユニット2は、チャンバー4の上方からその内部にクリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送るFFU10(ファン・フィルタ・ユニット)を含む。FFU10は、チャンバー4の上方に配置されている。FFU10は、チャンバー4の上壁8を鉛直方向に貫通する送風口5bの上方に配置されている。送風口5bは、平面視で基板Wに重なる位置に配置されている。
図1に示すように、チャンバー4は、FFU10によって隔壁5内に送られたクリーンエアーを整流する整流板11を含む。整流板11は、FFU10とスピンチャック12との間の高さに配置されている。整流板11は、水平な姿勢で保持されている。整流板11は、隔壁5の内部を整流板11の上方の上方空間SP1と整流板11の下方の下方空間SP2とに仕切っている。上壁8と整流板11との間の上方空間SP1は、クリーンエアーが拡散する拡散空間であり、下壁7と整流板11との間の下方空間SP2は、基板Wの処理が行われる処理空間である。上方空間SP1の高さは、下方空間SP2の高さよりも小さい。
図1に示すように、整流板11は、上壁8の下面で開口する送風口5bの下方に配置されている。FFU10は、送風口5bから上方空間SP1にクリーンエアーを送る。整流板11は、厚み方向に貫通する複数の貫通穴11aがその全域に形成された多孔プレートである。送風口5bを通過したクリーンエアーの大部分は、整流板11に衝突し、方向転換する。これにより、FFU10によって送られたクリーンエアーが上方空間SP1に拡散する。上方空間SP1に充満したクリーンエアーは、整流板11を厚み方向に貫通する複数の貫通穴11aを通過し、整流板11の全域から下方に流れる。これにより、整流板11の全域から下方向に流れる均一なクリーンエアーの下降気流、つまりダウンフローが、下方空間SP2に形成される。制御装置3は、FFU10がチャンバー4内にクリーンエアーを常時供給するようにFFU10を制御している。
図1に示すように、スピンチャック12は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース13と、スピンベース13の上面周縁部から上方に突出する複数のチャックピン14と、複数のチャックピン14に基板Wを把持させるチャック開閉ユニット15とを含む。スピンチャック12は、さらに、スピンベース13の中央部から回転軸線A1に沿って下方に延びるスピン軸16と、スピン軸16を回転させることによりスピンベース13およびチャックピン14を回転軸線A1まわりに一定の回転方向Drに回転させるスピンモータ17とを含む。スピンチャック12は、水平な姿勢で保持された円板状の吸着ベースの上面に基板Wの下面(裏面)を吸着させるバキュームチャックであってもよい。
図1に示すように、カップ18は、スピンチャック12を取り囲む円筒状の外壁19と、外壁19とスピンチャック12との間でスピンチャック12を取り囲む筒状のスプラッシュガード20と、スプラッシュガード20を鉛直に昇降させるガード昇降ユニット23とを含む。外壁19は、チャンバー4に固定されており、スプラッシュガード20は、チャンバー4に対して昇降可能である。
図1に示すように、スプラッシュガード20は、回転軸線A1に向かって斜め上に延びる筒状の傾斜部21と、傾斜部21の下端部(外端部)から下方に延びる円筒状の案内部22とを含む。外壁19は、径方向(回転軸線A1に直交する方向)に間隔を空けて案内部22を取り囲んでいる。傾斜部21の上面は、回転軸線A1に向かって斜め上に延びている。傾斜部21は、基板Wおよびスピンベース13よりも大きい内径を有する円環状の上端を含む。傾斜部21の上端は、スプラッシュガード20の上端20aに相当する。図2に示すように、スプラッシュガード20の上端20aは、平面視で基板Wおよびスピンベース13を取り囲んでいる。
図1に示すように、ガード昇降ユニット23は、スプラッシュガード20の上端20aが基板Wよりも下方に位置する下位置(図1において二点鎖線で示す位置)と、スプラッシュガード20の上端20aが基板Wよりも上方に位置する上位置(図1において実線で示す位置)との間で、スプラッシュガード20を昇降させる。下位置は、搬送ロボット(図示せず)とスピンチャック12との間で基板Wの受け渡しが行われる退避位置である。上位置は、基板Wからその周囲に飛散する処理液をスプラッシュガード20の内周面で受け止める処理位置である。スプラッシュガード20によって受け止められた処理液は、カップ18内から排出され、図示しない回収装置または廃液装置に導かれる。
図1に示すように、処理ユニット2は、カップ18の内部を通じてチャンバー4内の気体をチャンバー4の外に排出する排気ダクト24と、排気ダクト24内を流れる排気の速度を増減させる排気ダンパー25とを含む。排気ダクト24は、カップ18の外壁19の周囲に配置されている。排気ダクト24の上流端は、外壁19に設けられた排気口26に接続されている。排気ダクト24および排気口26は、スピンベース13よりも下方に配置されている。排気ダクト24内の気体は、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備(図示せず)によって常時吸引される。
カップ18内の気体は、排気ダクト24を通じて伝達される排気設備の吸引力によって、排気口26の方へ下方に吸い寄せられる。カップ18よりも上方の空間を漂う気体は、排気ダクト24からカップ18に伝達される吸引力によって、スプラッシュガード20の上端20aの内側の空間や、カップ18の外壁19とスプラッシュガード20の案内部22との間の環状の隙間の方に吸い寄せられる。そのため、チャンバー4内の気体は、カップ18および排気ダクト24の内部を通じてチャンバー4の外に排出される。
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル27と、リンス液ノズル27に供給されるリンス液を案内するリンス液配管28と、リンス液配管28に介装されたリンス液バルブ29とを含む。リンス液ノズル27に供給されるリンス液の一例は、純水(脱イオン水:Deionized water)である。リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
図1に示すように、処理ユニット2は、リンス液ノズル27が先端部に取り付けられたノズルアーム30と、ノズルアーム30を水平に移動させることによりリンス液ノズル27を水平に移動させるリンス液ノズル移動ユニット31とを含む。リンス液ノズル移動ユニット31は、スピンチャック12の周囲で上下方向に延びる回動軸線A2まわりにノズルアーム30を回動させることにより、平面視で基板Wの中央部を通る円弧状の軌跡に沿ってリンス液ノズル27を水平に移動させる。
図2に示すように、リンス液ノズル移動ユニット31は、リンス液ノズル27が基板Wの上方に位置する処理位置と、リンス液ノズル27が基板Wの周囲に退避した退避位置(図2に示す位置)との間で、リンス液ノズル27を移動させる。処理位置は、リンス液ノズル27から吐出されたリンス液が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、リンス液ノズル27から吐出されたリンス液が基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置とを含む。
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル32と、下面ノズル32に供給されるリンス液(たとえば、純水)を案内する下面配管33と、下面配管33に介装された下面バルブ34とを含む。下面ノズル32は、スピンベース13の上面中央部と基板Wの下面中央部との間の高さに水平な姿勢で配置されたノズル円板部と、ノズル円板部から下方に延びるノズル筒状部とを含む。下面ノズル32の吐出口は、ノズル円板部の上面中央部で開口している。基板Wがスピンチャック12に保持されている状態では、下面ノズル32の吐出口が、基板Wの下面中央部に上下方向に対向する。この状態で下面バルブ34が開かれると、下面ノズル32から上方に吐出されたリンス液が、基板Wの下面中央部に供給される。
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する薬液ノズル35と、薬液ノズル35に供給される第1原液を貯留する第1タンク39と、第1タンク39から薬液ノズル35に供給される第1原液を案内する第1原液配管36と、第1原液配管36に介装された第1原液バルブ37と、第1タンク39から薬液ノズル35に供給される第1原液を加熱するヒータ38とを含む。処理ユニット2は、さらに、薬液ノズル35に供給される第2原液を貯留する第2タンク42と、第2タンク42から薬液ノズル35に供給される第2原液を案内する第2原液配管40と、第2原液配管40に介装された第2原液バルブ41とを含む。
第1原液バルブ37が開かれると、ヒータ38によって室温(たとえば、20〜30℃)よりも高い所定温度に調整された第1原液が薬液ノズル35に供給される。第2原液バルブ41が開かれると、室温の第2原液が薬液ノズル35に供給される。第1原液バルブ37および第2原液バルブ41が開かれると、第1原液および第2原液が、薬液ノズル35内で混ざり合い、第1原液および第2原液の混合液が、薬液ノズル35から下方に吐出される。
図1に示すように、第1原液の一例は、硫酸であり、第2原液の一例は、過酸化水素水である。したがって、薬液ノズル35から吐出される薬液は、SPM(硫酸と過酸化水素水との混合液)である。過酸化水素水と混合される前の硫酸の温度は、ヒータ38によって、たとえば、90〜205℃、好ましくは、160〜205℃に調整される。したがって、100℃付近または100℃よりも高温の硫酸が、室温の過酸化水素水と混合される。硫酸の温度が100℃付近であったとしても、硫酸および過酸化水素水が混合されると、希釈熱が発生するので、SPMが加熱される。そのため、水の沸点以上のSPMが薬液ノズル35から吐出される。
図4に示すように、薬液ノズル35は、第1原液配管36から供給された第1原液と第2原液配管40から供給された第2原液とを混合する混合部44と、混合部44内で混合された第1原液および第2原液の混合液を下方に吐出する吐出部43とを含む。第1原液配管36および第2原液配管40は、手で曲げることができる可撓性のチューブであり、薬液ノズル35は、手で曲げることができない、第1原液配管36および第2原液配管40よりも強度の高い部材である。
図4に示すように、混合部44は、第1原液配管36が取り付けられた第1取付部46と、第2原液配管40が取り付けられた第2取付部47と、第1原液および第2原液を混合する混合室45とを含む。第1取付部46および第2取付部47は、吐出部43よりも上方に配置されている。吐出部43は、薬液を吐出する吐出口43aと、吐出口43aに薬液を案内する内周面43bとを含む。吐出部43の内周面43bは、吐出口43aに向かって斜め下に延びている。吐出部43は、混合部44内で混合された第1原液および第2原液の混合液を吐出口43aから斜め下方に吐出する。
図1に示すように、処理ユニット2は、薬液ノズル35および拡散防止カバー50が先端部に取り付けられたノズルアーム48と、ノズルアーム48を移動させることにより薬液ノズル35および拡散防止カバー50を移動させる薬液ノズル移動ユニット49とを含む。薬液ノズル移動ユニット49は、カップ18の周囲に配置されている。薬液ノズル移動ユニット49は、カップ18の周囲で鉛直方向に延びる回動軸線A3まわりにノズルアーム48を回動させることにより、平面視で基板Wの中央部を通る円弧状の軌跡に沿って薬液ノズル35および拡散防止カバー50を水平に移動させる。薬液ノズル移動ユニット49は、さらに、ノズルアーム48を昇降させることにより、薬液ノズル35および拡散防止カバー50を鉛直に移動させる。
図2に示すように、薬液ノズル移動ユニット49は、薬液ノズル35が基板Wの上方に位置する処理位置と、薬液ノズル35が基板Wの周囲に退避した退避位置(図2において実線で示す位置)との間で、薬液ノズル35および拡散防止カバー50を移動させる。処理位置は、薬液ノズル35から吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、薬液ノズル35から吐出された薬液が基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置とを含む。図2および図3は、薬液ノズル35が中央位置に位置しているときの拡散防止カバー50の輪郭を一点鎖線で示しており、薬液ノズル35が周縁位置に位置しているときの拡散防止カバー50の輪郭を二点鎖線で示している。図2に示すように、周縁位置では、拡散防止カバー50がスプラッシュガード20の上端20aに重なる。
図4に示すように、拡散防止カバー50は、薬液ノズル35を介してノズルアーム48に保持されている。拡散防止カバー50は、基板Wの上方に配置される。拡散防止カバー50は、平面視で基板Wよりも小さい。拡散防止カバー50は、下向きに開いたカップ状の内面51と、内面51の周囲に配置された外面62とを含む。後述する拡散防止カバー50の中心線L1は、拡散防止カバー50の内面51の頂点を通る鉛直な直線を意味する。拡散防止カバー50の周方向は、拡散防止カバー50の中心線L1まわりの方向であり、拡散防止カバー50の径方向は、拡散防止カバー50の中心線L1に直交する方向である。
図4に示すように、拡散防止カバー50の内面51は、上方に凸の円弧状の鉛直断面を有する半球状の上端部52と、基板Wの上面に近づくにしたがって直径が増加するテーパー状の筒状部53と、上向きに開いた環状の貯留溝55を形成する環状の下端部54とを含む。筒状部53は、上端部52から下方に延びており、下端部54は、筒状部53から斜め上に内方(拡散防止カバー50の中心線L1に向かう方向)に延びている。筒状部53の高さ(上下方向の長さ)は、上端部52の高さよりも大きく、下端部54の高さよりも大きい。筒状部53は、筒状部53の上端から筒状部53の下端まで水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。水平面に対する筒状部53の傾斜角度は、拡散防止カバー50の周方向におけるいずれの位置でも等しい。
図4に示すように、拡散防止カバー50の内面51の下端部54、つまり貯留溝55の内面は、外周縁および内周縁を有する環状の底面57と、底面57の外周縁から上方に延びる外側環状面56と、底面57の内周縁から上方に延びる内側環状面58とを含む。外側環状面56は、筒状部53と底面57とを接続している。内側環状面58は、間隔を空けて拡散防止カバー50の径方向に外側環状面56に対向している。拡散防止カバー50の内面51の下端縁59は、貯留溝55の底面57に位置している。内面51の下端縁59は、拡散防止カバー50の周方向に拡散防止カバー50の内面51を分割したときの各鉛直断面の最も低い部分を結ぶ線または面を意味する。内面51の下端縁59は、水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。内面51の下端縁59の上端60および下端61は、拡散防止カバー50の中心線L1まわりの角度が180度異なる二つの位置にそれぞれ配置されている。
図4に示すように、貯留溝55の底面57と同様に、拡散防止カバー50の外面62の下端縁63は、水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。外面62の下端縁63の上端64は、拡散防止カバー50の周方向に関して、内面51の下端縁59の上端60と等しい位置に配置されている。外面62の下端縁63の上端64および下端65は、拡散防止カバー50の中心線L1まわりの角度が180度異なる二つの位置にそれぞれ配置されている。基板Wの上面から拡散防止カバー50の外面62の下端縁63の上端64までの距離は、基板Wの上面から拡散防止カバー50の外面62の下端縁63の下端65までの距離よりも大きい。
図4に示すように、処理ユニット2は、拡散防止カバー50内の流体を吸引する吸引配管67と、吸引配管67に介装された吸引バルブ68とを含む。吸引配管67は、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66に接続されている。吸引口66は、貯留溝55の外側環状面56で開口している。吸引口66は、内面51の下端縁59の上端60よりも下方に配置されている。吸引口66は、拡散防止カバー50の周方向に関して、拡散防止カバー50の内面51の下端縁59の下端61と等しい位置に配置されている。
吸引配管67は、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備(図示せず)に接続されている。吸引バルブ68が開かれているとき、吸引配管67内の流体は、排気設備の吸引力によって排気設備の方へ吸い寄せられる。これにより、拡散防止カバー50内の液体および気体が、吸引口66を通じて吸引配管67内に吸い込まれる。その一方で、吸引バルブ68が閉じられているときには、吸引口66から吸引配管67への吸引が停止される。
図4に示すように、薬液ノズル35の吐出部43は、拡散防止カバー50の内面51で開口するノズル挿入口69に挿入されている。ノズル挿入口69と薬液ノズル35の吐出口43aとは、貯留溝55よりも上方に配置されている。薬液ノズル35の吐出口43aは、拡散防止カバー50の内側の空間に配置されている。吸引口66と薬液ノズル35の吐出口43aとは、拡散防止カバー50の中心線L1まわりの角度が180度異なる二つの位置にそれぞれ配置されている。
図4に示すように、薬液ノズル35は、薬液ノズル35の吐出口43aから基板Wの上面内の着液位置P1に向かう吐出方向に薬液を吐出する。吐出方向は、薬液ノズル35から基板Wの回転方向Drの下流に向かうように基板Wの上面に対して回転方向Drに傾いている。吐出方向は、平面視において、薬液ノズル35の吐出口43aから内面51の下端縁59の下端61に向かう方向である。吐出口43aおよび着液位置P1は、平面視で拡散防止カバー50に覆われている。
図5は、拡散防止カバー50が基板Wの中心および周縁に重ならないように基板Wの中心と基板Wの周縁との間に配置されている状態を示している。図5に示すように、基板Wの回転方向Drに関して、吐出口43a、着液位置P1、および吸引口66は、内面51の下端縁59の上端60と内面51の下端縁59の下端61との間に配置されている。基板Wの回転方向Drに関して、内面51の下端縁59の上端60は、内面51の下端縁59の下端61よりも上流に配置されている。基板Wの回転方向Drに関して、吸引口66は、着液位置P1よりも下流に配置されている。
図6は、基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。処理の一例は、不要になったレジストパターンを基板Wから除去するレジスト除去処理である。以下の各動作は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。以下では図1を参照する。図6については適宜参照する。
処理ユニット2によって基板Wが処理されるときには、薬液ノズル35およびリンス液ノズル27がスピンチャック12の上方から退避しており、スプラッシュガード20が下位置に位置している状態で、搬送ロボットのハンド(図示せず)によって、基板Wがチャンバー4内に搬入される。これにより、表面が上に向けられた状態で基板Wが複数のチャックピン14の上に置かれる。その後、搬送ロボットのハンドがチャンバー4の内部から退避し、チャンバー4の搬入搬出口5aがシャッター6で閉じられる。
基板Wが複数のチャックピン14の上に置かれた後は、複数のチャックピン14が基板Wの周縁部に押し付けられ、基板Wが複数のチャックピン14によって把持される。また、ガード昇降ユニット23が、スプラッシュガード20を下位置から上位置に移動させる。これにより、スプラッシュガード20の上端20aが基板Wよりも上方に配置される。その後、スピンモータ17が駆動され、基板Wの回転が開始される。これにより、基板Wが所定の液処理速度(たとえば数百rpm)で回転する。
次に、薬液ノズル移動ユニット49が、薬液ノズル35および拡散防止カバー50を退避位置から処理位置に移動させる。具体的には、薬液ノズル35および拡散防止カバー50は、スプラッシュガード20の上端20aを超えて、平面視で基板Wに重なる位置に移動する。その後、薬液ノズル35および拡散防止カバー50は、基板Wの上面に近づけられる。図3に示すように、このとき、スプラッシュガード20の上端20aは、拡散防止カバー50の外面62の下端縁63よりも上方に配置される。この状態で、吸引バルブ68が開かれ、吸引配管67への流体の吸引が開始される(図6のステップS1)。その後、第1原液バルブ37および第2原液バルブ41が開かれ、薬液ノズル35からの薬液(SPM)の吐出が開始される(図6のステップS2)。
薬液ノズル移動ユニット49は、薬液ノズル35を水平に移動させることにより、基板Wの上面に対する薬液の着液位置P1を基板Wの中央部と基板Wの周縁部との間で移動させる。第1原液バルブ37および第2原液バルブ41が開かれてから所定時間が経過すると、第1原液バルブ37および第2原液バルブ41が閉じられ、薬液ノズル35からの薬液の吐出が停止される(図6のステップS3)。その後、薬液ノズル移動ユニット49が、薬液ノズル35を処理位置から退避位置に移動させる。続いて、吸引バルブ68が閉じられ、吸引配管67への流体の吸引が停止される(図6のステップS4)
薬液ノズル35から吐出された薬液は、回転している基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方(回転軸線A1から離れる方向)に流れる。基板Wの上面周縁部に達した薬液は、基板Wの周囲に飛散し、スプラッシュガード20の内周面に受け止められる。このようにして、薬液が基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が基板W上に形成される。これにより、基板Wの上面全域が薬液で処理される。つまり、基板W上のレジスト膜が剥離される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対する薬液の着液位置P1を基板Wの中央部と基板Wの周縁部との間で移動させるので、薬液の着液位置P1が基板Wの上面全域を通過する。そのため、基板Wの上面が均一に処理される。
薬液ノズル35からの薬液の吐出が停止された後は、リンス液ノズル移動ユニット31が、リンス液ノズル27を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、リンス液ノズル27が基板Wの上方に移動する。その後、リンス液バルブ29が開かれ、リンス液ノズル27からのリンス液(純水)の吐出が開始される(図6のステップS5)。リンス液ノズル移動ユニット31は、リンス液ノズル27を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を基板Wの中央部と基板Wの周縁部との間で移動させる。これにより、基板W上の薬液がリンス液によって洗い流され、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜が形成される。リンス液バルブ29が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ29が閉じられ、リンス液ノズル27からのリンス液の吐出が停止される(図6のステップS6)。その後、リンス液ノズル移動ユニット31が、リンス液ノズル27を基板Wの上方から退避させる。
リンス液ノズル27からのリンス液の吐出が停止された後は、基板Wがスピンモータ17によって回転方向Drに加速され、液処理速度よりも大きい乾燥速度(たとえば数千rpm)で基板Wが回転する(図6のステップS7)。これにより、基板Wに付着しているリンス液が基板Wの周囲に振り切られ、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ17および基板Wの回転が停止される。その後、ガード昇降ユニット23が、スプラッシュガード20を上位置から下位置に移動させる。さらに、複数のチャックピン14による基板Wの保持が解除される。搬送ロボットは、薬液ノズル35およびリンス液ノズル27がスピンチャック12の上方から退避しており、スプラッシュガード20が下位置に位置している状態で、ハンドをチャンバー4の内部に進入させる。その後、搬送ロボットは、ハンドによってスピンチャック12上の基板Wを取り、この基板Wをチャンバー4から搬出する。
この基板Wの処理例では、薬液の一例であるSPMが薬液ノズル35の吐出口43aから基板Wの上面に向けて吐出される。薬液ノズル35から薬液が吐出されると、薬液の液滴およびミストが発生する。基板W上の薬液から発生した蒸気がチャンバー4内を上方に浮遊することもある。また、100℃以上のSPMが薬液ノズル35から吐出されるので、SPMに含まれる水の蒸発により、多数のSPMの液滴が薬液ノズル35から激しく噴出する。噴出する勢いが強いので、薬液ノズル35から噴出したSPMの液滴およびミストが整流板11の下面に付着する場合がある。SPMとレジストとの反応により基板Wからヒュームが発生する場合もある。
図7に示すように、薬液ノズル35の吐出口43aと着液位置P1とが拡散防止カバー50で覆われているので、薬液ノズル35や基板Wから上方に飛散する薬液の液滴およびミストは、拡散防止カバー50の内面51によって受け止められる。これにより、薬液の拡散が抑えられる。また、基板W上の薬液から発生した蒸気は、拡散防止カバー50の内面51で凝縮して液滴に変化する。拡散防止カバー50の内面51に付着している液滴は、拡散防止カバー50の内面51に沿って下方に流れ、貯留溝55内に浸入する。貯留溝55が水平面に対して傾いており、吸引口66が貯留溝55の下端部付近に配置されているので、貯留溝55内の液体は、吸引口66に向かって下方に流れ、吸引口66を通じて排出される。
このように、薬液の吐出に伴って発生する薬液を含む液体および気体は、拡散防止カバー50によって捕捉される。これにより、整流板11などの部材が汚染されることを抑制または防止できる。さらに、拡散防止カバー50に捕捉された液体および気体は、吸引口66および吸引配管67を通じてチャンバー4の内部から排出される。したがって、拡散防止カバー50から漏出した薬液雰囲気によってチャンバー4内の部材やチャンバー4の内壁面が汚染されることを抑制または防止できる。さらに、拡散防止カバー50から落下した薬液によって基板Wが汚染されることを抑制または防止できる。
図8は、拡散防止カバー50の洗浄および乾燥の一例を説明するための工程図である。以下の各動作は、制御装置3が基板処理装置1を制御することにより実行される。
制御装置3は、一枚の基板Wの処理が完了する度に拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を実行してもよいし、一枚以上の所定枚数の基板Wの処理が完了する度に拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を実行してもよい。また、制御装置3は、所定時間ごとに拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を実行してもよいし、基板処理装置1のメンテナンスの際に拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を実行してもよい。
図9に示すように、拡散防止カバー50の内面51を洗浄するときは、スピンチャック12に基板Wが保持されていない状態で、薬液ノズル移動ユニット49が、拡散防止カバー50を下面ノズル32の上方に位置させる(図8のステップS11)。この状態で下面バルブ34が開かれ、下面ノズル32から吐出された純水が拡散防止カバー50の内面51に供給される(図8のステップS12)。これにより、拡散防止カバー50の内面51が純水で洗浄され、拡散防止カバー50の内面51に残留している薬液等の汚染が除去される。
下面ノズル32からの純水の吐出は、吸引バルブ68が開かれている状態で開始されてもよいし、吸引バルブ68が閉じられている状態で開始されてもよい。また、下面ノズル32からの純水の吐出が開始された後に吸引バルブ68が開かれる場合、吸引バルブ68は、純水の吐出が停止される前に開かれてもよいし、純水の吐出が停止された後に開かれてもよい。
図10に示すように、拡散防止カバー50の内面51に残留している純水は、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66に吸引される。また、吸引口66が拡散防止カバー50の流体を吸引するので、吸引口66に向かう気流が、拡散防止カバー50内に形成される。拡散防止カバー50の内面51に残留している純水は、この気流によって蒸発し、吸引口66に吸引される。これにより、拡散防止カバー50の内面51が乾燥する(図8のステップS13)。なお、このとき、薬液ノズル35などのノズルから不活性ガス(窒素ガスなど)や乾燥空気などを供給することにより、拡散防止カバー50の乾燥をさらに促進してもよい。
このように、拡散防止カバー50の内面51は、基板Wの下面に純水などの処理液を供給する下面ノズル32から吐出された純水によって洗浄される。さらに、純水で濡れた拡散防止カバー50の内面51は、吸引口66が拡散防止カバー50内の流体を吸引することにより乾燥する。したがって、拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を行う専用のノズル等を設けずに、拡散防止カバー50の洗浄および乾燥を実施できる。
以上のように第1実施形態では、拡散防止カバー50の内面51が、薬液ノズル35の吐出口43aの周囲に配置される。したがって、薬液ノズル35や着液位置P1から上方に飛散する薬液の液滴は、拡散防止カバー50の内面51によって受け止められる。さらに、拡散防止カバー50の内面51が下向きに開いたカップ18状なので、基板Wから立ち上る蒸気およびヒュームは、拡散防止カバー50内に捕捉される。これにより、薬液を含む液体および気体の拡散範囲を狭めることができ、チャンバー4の汚染を低減できる。
吸引配管67は、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66から拡散防止カバー50内の流体を吸引する。拡散防止カバー50内の薬液雰囲気は、吸引口66を通じて拡散防止カバー50の内側の空間から排出される。これにより、拡散防止カバー50内の薬液雰囲気が拡散防止カバー50から漏洩することを抑制または防止できる。さらに、拡散防止カバー50の内面51に付着している液滴は、吸引口66に方に吸い寄せられて、吸引口66に吸い込まれる。これにより、薬液の液滴が拡散防止カバー50から落下することを抑制または防止できる。
薬液ノズル移動ユニット49は、拡散防止カバー50と共に薬液ノズル35を水平に移動させる。したがって、拡散防止カバー50および薬液ノズル35の位置関係が一定に維持される。そのため、拡散防止カバー50は、基板Wに対する薬液ノズル35の位置に拘わらず、薬液の液滴等を捕捉できる。拡散防止カバー50は、平面視で基板Wよりも小さい。拡散防止カバー50が基板Wよりも大きいと、拡散防止カバー50を水平に移動させたときに、スプラッシュガード20などの基板Wの周囲に配置される部材に拡散防止カバー50が衝突する。そのため、拡散防止カバー50と他の部材との衝突を回避しつつ、薬液の液滴等を拡散防止カバー50によって効率的に捕捉できる。
また第1実施形態では、拡散防止カバー50の内面51の一部が、基板Wの上面に近づくにしたがって直径が広がるテーパー状なので、拡散防止カバー50は、上方に飛散する薬液の液滴をこのテーパー状の筒状部53で受け止めることができる。筒状部53に受け止められた薬液の液滴は、重力によって筒状部53に沿って下方に流れる。吸引口66は、筒状部53の上端よりも下方に配置されている。したがって、薬液の液滴の一部は、吸引口66からの吸引力だけでなく、重力によって吸引口66の方に集まる。これにより、拡散防止カバー50に捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
また第1実施形態では、上向きに開いた環状の貯留溝55が、拡散防止カバー50の内面51の下端部に配置されている。拡散防止カバー50の内面51に受け止められた薬液の液滴は、拡散防止カバー50の内面51に沿って下方に流れ、貯留溝55内に浸入する。吸引口66は、貯留溝55を形成する内面51の下端部54で開口している。拡散防止カバー50の内面51に付着している薬液の液滴は、吸引口66が配置された貯留溝55に向かって拡散防止カバー50の内面51に沿って下方に流れる。これにより、拡散防止カバー50に捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
拡散防止カバー50の内面51に付着している薬液の液滴は、拡散防止カバー50の内面51の下端縁59に向かって、拡散防止カバー50の内面51に沿って下方に流れる。内面51の下端縁59には高低差が設けられている。したがって、内面51の下端縁59に到達した薬液の液滴は、内面51の下端縁59の下端61に向かってさらに下方に流れる。吸引口66は、内面51の下端縁59の上端60よりも下方に配置されている。そのため、拡散防止カバー50の内面51に付着している薬液の液滴は、重力によって吸引口66の方に集まる。これにより、拡散防止カバー50に捕捉された薬液の液滴を効率的に排出できる。
スピンチャック12が基板Wを回転させると、基板Wの回転方向Drに流れる気流が基板W上に形成される。したがって、基板Wの回転方向Drに流れる気流が、基板Wと拡散防止カバー50との間に形成される。拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66は、薬液の着液位置P1よりも基板Wの回転方向Drの下流に配置されている。そのため、拡散防止カバー50内の気体は、基板Wの回転によって発生する気流によって、吸引口66の方つまり下流の方に導かれる。これにより、拡散防止カバー50内の気体を効率的に排出できる。
また第1実施形態では、拡散防止カバー50の外面62の下端縁63に高低差が設けられている。薬液ノズル35が平面視で外面62の下端縁63の下端65に近づく方向に薬液を吐出するので、薬液が基板Wの上面や基板W上の薬液に衝突した際に発生する薬液の液滴の大部分は、外面62の下端縁63の下端65の方に飛散する。基板Wの上面から拡散防止カバー50までの距離は、外面62の下端縁63の下端65で最も小さい。したがって、基板Wと拡散防止カバー50との間を通って薬液の液滴が拡散防止カバー50の周囲に飛散し難い。そのため、拡散防止カバー50は、薬液の液滴を効率的に捕捉することができる。
前述のように、薬液ノズル35から吐出されるときの薬液の温度が水の沸点以上なので、薬液に含まれる水が薬液ノズル35内や配管内で蒸発して、水蒸気などの気体が薬液ノズル35から激しく噴出する。基板Wの上面から拡散防止カバー50の外面62の下端縁63までの距離が全周に亘って小さいと、基板Wと拡散防止カバー50との隙間から気体が勢いよく噴出し、基板W上の薬液の一部が拡散防止カバー50の周囲に飛散する液滴に変化するかもしれない。
第1実施形態では、基板Wの上面から拡散防止カバー50までの距離が、外面62の下端縁63の上端64で広げられている。したがって、基板Wと拡散防止カバー50との隙間から気体が勢いよく噴出することを抑制または防止できる。そのため、薬液の吐出に伴って発生する薬液の液滴を拡散防止カバー50で効率的に捕捉しながら、基板Wの上面と拡散防止カバー50の外面62の下端縁63との間で発生する液滴の量を低減できる。
また第1実施形態では、薬液ノズル移動ユニット49は、スプラッシュガード20の上端20aが平面視で拡散防止カバー50に重なる周縁位置に拡散防止カバー50および薬液ノズル35を位置させる。図3では、薬液ノズル35が周縁位置に位置しているときの拡散防止カバー50の輪郭が二点鎖線で示されている。周縁位置ではスプラッシュガード20の一部が拡散防止カバー50の上方に位置している。周縁位置において拡散防止カバー50が上方に飛散する薬液の液滴を捕捉できなかったとしても、この液滴は、スプラッシュガード20によって捕捉される。これにより、薬液の拡散範囲を抑えることができる。
また第1実施形態では、拡散防止カバー50が、薬液ノズル35の吐出口43aを収容していている。薬液ノズル35の吐出口43aは、拡散防止カバー50の内面51の下端縁59よりも上方に配置されており、拡散防止カバー50内に配置されている。したがって、拡散防止カバー50は、薬液ノズル35から水平に飛散する薬液の液滴を確実に受け止めることができる。これにより、チャンバー4の汚染を低減できる。
また第1実施形態では、薬液ノズル35は、平面視で基板Wの回転方向Drの下流に向かうように基板Wの上面に対して斜めに傾いた方向に薬液を吐出する。基板W上の薬液は、基板Wと共に回転方向Drに回転しながら、基板Wの上面に沿って外方に流れる。薬液ノズル35が平面視で基板Wの回転方向Drの下流に向かう方向に薬液を吐出するので、基板Wの上面に着液する直前の薬液は、基板W上の薬液と概ね同じ方向に移動している。そのため、薬液が基板Wの上面に着液した際の衝撃が弱まり、基板Wから跳ね返る薬液の量が減少する。これにより、薬液の飛散が抑えられる。
「第2実施形態」
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の図11において、前述の図1〜図10に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態に係る拡散防止カバー250の内面51は、異なる高さに配置された複数の貯留溝55を形成している。複数の吸引口66は、それぞれ、複数の貯留溝55の内面で開口している。各貯留溝55の底面57は、水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。各吸引口66は、拡散防止カバー250の周方向に関して、対応する貯留溝55の底面57の下端と等しい位置に配置されている。複数の吸引配管67は、それぞれ、複数の吸引口66に接続されている。このように、複数の貯留溝55を設ければ、拡散防止カバー250の内面51に多量の液滴が付着した場合でも、液体を貯留溝55からあふれさせることなく吸引でき、基板Wへの影響を低減することができる。
薬液ノズル35の吐出部43は、拡散防止カバー250の中心線L1に沿って上下方向に延びている。薬液ノズル35の吐出口43aは、複数の貯留溝55のうちで最も下に配置された貯留溝55よりも上方に配置されている。薬液ノズル35は、基板Wの上面内の着液位置P1に向けて基板Wの上面に垂直な方向に薬液を吐出する。吐出口43aおよび着液位置P1は、平面視で互いに重なり合う位置である。吐出口43aおよび着液位置P1は、平面視で拡散防止カバー250の内面51に覆われる。このように、薬液ノズル35を垂直に配置することにより、跳ね返りにより発生する液滴の数を低減でき、液滴の拡散を抑えることができる。
「第3実施形態」
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の図12および図13において、前述の図1〜図11に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。図13では、薬液ノズルの図示を省略している。
図12に示すように、第3実施形態に係る拡散防止カバー350の内面351は、基板Wの上面に近づくにしたがって直径が増加するテーパー状の筒状部353を含む。筒状部353は、筒状部353の上端から筒状部353の下端まで水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。水平面に対する筒状部353の傾斜角度は、拡散防止カバー350の周方向における位置に応じて連続的に変化している。
図13に示すように、拡散防止カバー350は、吐出口43aおよび着液位置P1を覆う平面視扇状である。拡散防止カバー350は、平面視で拡散防止カバー350の中心線L1よりも基板Wの回転方向Drの上流に位置する上流部370と、平面視で拡散防止カバー350の中心線L1よりも基板Wの回転方向Drの下流に位置する下流部371とを含む。上流部370は、平面視で回転軸線A1(図1参照)と中心線L1とを通る直線L2よりも上流の部分であり、下流部371は、直線L2よりも下流の部分である。平面視における下流部371の面積は、平面視における上流部370の面積よりも大きい。
図12に示すように、薬液ノズル35は、平面視で基板Wの回転方向Drの下流に向かうように基板Wの上面に対して斜めに傾いた方向に薬液を吐出する。薬液が基板Wの上面や基板W上の薬液に衝突した際に発生する薬液の液滴の大部分は、基板Wの回転方向Drの下流の方に飛散する。下流部371が平面視で上流部370よりも大きいので、拡散防止カバー350は、これらの液滴をより確実に受け止めることができる。これにより、薬液を含む液体および気体の拡散範囲を狭めることができる。
「第4実施形態」
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の図14および図15において、前述の図1〜図13に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、第4実施形態に係る拡散防止カバー450の内面451は、基板Wの上面に近づくにしたがって直径が増加するテーパー状の筒状部53を含む。拡散防止カバー450の内面451は、第1実施形態に係る貯留溝55を形成していない。筒状部53は、筒状部53の上端から筒状部53の下端まで水平面に対して一定の角度で斜めに傾いている。水平面に対する筒状部53の傾斜角度は、拡散防止カバー450の周方向におけるいずれの位置でも等しい。筒状部53の下端、つまり、内面451の下端縁459は、水平であり、基板Wの上面と平行である。
図14に示すように、薬液ノズル35の吐出部43は、拡散防止カバー450の中心線L1に沿って上下方向に延びている。薬液ノズル35の吐出口43aは、拡散防止カバー450の内面451の下端縁459よりも下方に配置されている。薬液ノズル35は、基板Wの上面内の着液位置P1に向けて基板Wの上面に垂直な方向に薬液を吐出する。吐出口43aおよび着液位置P1は、平面視で互いに重なり合う位置である。吐出口43aおよび着液位置P1は、平面視で拡散防止カバー450の内面451に覆われる。
図14および図15に示すように、吸引口466は、拡散防止カバー450の内面451で開口している。吸引口466は、拡散防止カバー450の中心線L1を取り囲む環状である。吸引口466は、拡散防止カバー450の全周に亘って連続している。吸引配管67は、拡散防止カバー450に形成された吸引路472を介して、吸引口466に接続されている。吸引路472は、吸引口466に接続された複数の第1流路473と、各第1流路473に接続された環状の第2流路474と、第2流路474から拡散防止カバー450の外面62に延びる第3流路475とを含む。吸引口466は、拡散防止カバー450の外面62で開口する第3流路475に接続されている。
薬液ノズル35や基板Wから上方に飛散する薬液の液滴およびミストは、拡散防止カバー450の内面451に付着する。また、基板W上の薬液から発生した蒸気は、拡散防止カバー450の内面451で凝縮して液滴に変化する。拡散防止カバー450の内面451に付着している液滴は、液滴に作用する重力と吸引口466からの吸引力とによって、内面451に沿って下方に流れる。そして、この液滴は、環状の吸引口466内に吸引される。これにより、薬液を含む液体の落下が抑制または防止されるので、基板Wの汚染が低減される。
「他の実施形態」
本発明の実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、拡散防止カバー50が薬液ノズル35を介してノズルアーム48に支持されている場合について説明したが、拡散防止カバー50は、ノズルアーム48に直接支持されていてもよい。
また、第1原液の一例である硫酸と、第2原液の一例である過酸化水素水とが、薬液ノズル35内で混合される場合について説明したが、硫酸および過酸化水素水は、配管内で混合されてもよい。具体的には、第2原液配管40が第1原液配管36に接続されてもよい。
また、第2実施形態では、それぞれ独立した3つの貯留溝55が形成されており、貯留溝55ごとに吸引口66が設けられている場合について説明したが、中心線L1を取り囲むらせん状の貯留溝が形成されてもよい。この場合、吸引口66の数は、一つであってもよい。
また、拡散防止カバー50の内面51の筒状部53が、基板Wの上面に近づくにしたがって直径が広がるテーパー状である場合について説明したが、筒状部53は、基板Wの上面に垂直であってもよい。また、水平面に対する筒状部53の傾斜角度は、筒状部53の上端と筒状部53の下端との間で変化していてもよい。たとえば、拡散防止カバー50の周方向に筒状部53を分割したときの筒状部53の鉛直断面は、円弧状であってもよい。
また、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66が、薬液の着液位置P1よりも基板Wの回転方向Drの下流に配置される場合について説明したが、吸引口66は、薬液の着液位置P1よりも基板Wの回転方向Drの上流に配置されてもよい。
また、薬液ノズル35が、平面視で拡散防止カバー50の外面62の下端縁63の下端65に近づく方向に薬液を吐出する場合について説明したが、薬液の吐出方向は、これ以外の方向であってもよい。さらに、第2実施形態および第4実施形態では、薬液ノズル35の吐出口43aが、中心線L1上に配置されている場合について説明したが、薬液ノズル35の吐出口43aは、中心線L1と交差していなくてもよい。
また、薬液ノズル35および拡散防止カバー50が周縁位置に配置されると、拡散防止カバー50が、平面視でスプラッシュガード20の上端20aに重なる場合について説明したが、拡散防止カバー50の全体が、スプラッシュガード20の上端20aよりも内方に配置されてもよい。
また、基板Wに処理液を供給する下面ノズル32を利用して、拡散防止カバー50の内面51を洗浄する場合について説明したが、基板処理装置1は、拡散防止カバー50の内面51に向けて洗浄液を吐出する専用の洗浄ノズルを備えていてもよい。また、基板処理装置1は、拡散防止カバー50の内面51を乾燥させる乾燥ガス(たとえば、窒素ガスや乾燥空気)を拡散防止カバー50の内面51に向けて吐出する専用の乾燥ノズルを備えていてもよい。
また、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備(図示せず)の吸引力を、拡散防止カバー50の内面51で開口する吸引口66に伝達する場合について説明したが、基板処理装置1は、吸引配管67を介して吸引口66に伝達される吸引力を発生する吸引装置(たとえば、アスピレータ)を備えていてもよい。
また、吸引バルブ68が、吸引口66への流体の吸引および吸引停止を切り替える場合について説明したが、吸引口66への流体の吸引が常時行われてもよい。この場合、吸引バルブ68は省略されてもよい。
また、基板処理装置1が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、多角形の基板を処理する装置であってもよい。
また、前述の全ての実施形態のうちの二つ以上が組み合わされてもよい。
1 :基板処理装置
3 :制御装置
4 :チャンバー
12 :スピンチャック(基板保持ユニット)
20 :スプラッシュガード
20a :上端
32 :下面ノズル
33 :下面配管
34 :下面バルブ
35 :薬液ノズル
43a :吐出口
49 :薬液ノズル移動ユニット
50 :拡散防止カバー
51 :内面
53 :内面の筒状部
54 :内面の下端部
55 :貯留溝
59 :内面の下端縁
60 :内面の下端縁の上端
61 :内面の下端縁の下端
62 :外面
63 :外面の下端縁
64 :外面の下端縁の上端
65 :外面の下端縁の下端
66 :吸引口
67 :吸引配管
68 :吸引バルブ
250 :拡散防止カバー
350 :拡散防止カバー
450 :拡散防止カバー
Dr :回転方向
P1 :着液位置
W :基板

Claims (8)

  1. 基板を水平な姿勢で保持しながら回転方向に回転させる基板保持ユニットと、
    温度が水の沸点以上で水を含む薬液を、前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面内の着液位置に向けて吐出する吐出口を含む薬液ノズルと、
    下向きに開いたカップ状の内面を含み、前記着液位置および吐出口が平面視で前記内面に覆われるように前記基板保持ユニットに保持されている基板の上方に配置され、前記基板保持ユニットに保持される基板よりも平面視で小さい拡散防止カバーと、
    前記拡散防止カバーの前記内面で開口する吸引口から前記拡散防止カバー内の流体を吸引する吸引配管と、
    前記拡散防止カバーと共に前記薬液ノズルを水平に移動させる薬液ノズル移動ユニットとを含む、基板処理装置。
  2. 前記拡散防止カバーの前記内面は、前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面に近づくにしたがって直径が広がるテーパー状の筒状部を含み、
    前記吸引口は、前記筒状部の上端よりも下方に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記拡散防止カバーの前記内面は、上向きに開いた環状の貯留溝を形成する環状の下端部を含み、
    前記吸引口は、前記拡散防止カバーの前記内面の前記下端部で開口している、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記拡散防止カバーの前記内面は、互いに異なる高さに配置された上端および下端を有する環状の下端縁を含み、
    前記吸引口は、前記内面の前記下端縁の前記上端よりも下方に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  5. 前記吸引口は、前記着液位置よりも基板の回転方向の下流に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  6. 前記拡散防止カバーは、互いに異なる高さに配置された上端および下端を有する環状の下端縁を含む外面をさらに含み、
    前記薬液ノズルは、平面視で前記外面の前記下端縁の前記下端に近づくように前記基板保持ユニットに保持されている基板の上面に対して斜めに傾いた方向に薬液を吐出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  7. 前記基板処理装置は、
    前記基板保持ユニットに保持されている基板を平面視で取り囲む環状の上端を含み、前記上端が基板よりも上方に位置している状態で前記基板保持ユニットに保持されている基板から飛散する液体を受け止める筒状のスプラッシュガードをさらに含み、
    前記薬液ノズル移動ユニットは、前記スプラッシュガードの前記上端が平面視で前記拡散防止カバーに重なる周縁位置を含む範囲内で、前記拡散防止カバーと共に前記薬液ノズルを水平に移動させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  8. 前記基板保持ユニットに保持されている基板の下面に向けて上方に液体を吐出する下面ノズルと、
    前記下面ノズルからの液体の吐出と前記下面ノズルからの液体の吐出停止とを切り替える下面バルブと、
    前記下面バルブおよび薬液ノズル移動ユニットを制御する制御装置とをさらに含み、
    前記制御装置は、
    前記基板保持ユニットに基板が保持されていない状態で、前記薬液ノズル移動ユニットによって前記拡散防止カバーを前記下面ノズルの上方に位置させるステップと、
    前記拡散防止カバーが前記下面ノズルの上方に位置している状態で前記下面バルブを開いて、前記下面ノズルから吐出された液体を前記拡散防止カバーの前記内面に供給するステップとを実行する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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