JP2016024950A - 燃料電池システムの制御装置及び燃料電池システムの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池スタックの起動時(始動時)において、単セルの劣化を抑制しつつ、起動時間(始動時間)を短くすることができる燃料電池システムの制御装置及び燃料電池システムの制御方法を提供すること。
【解決手段】燃料電池スタック11にて発電を開始する始動時(準備運転時)には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで(例えば稼働温度に達するまで)、例えばステップ状に複数回にわたって固定値分ずつ上昇させる制御を行う。これにより、燃料電池スタック11から引き出される電流の電流値が徐々に大きくなるので、単セル12の劣化を抑制しつつ、起動時間(始動時間)を短くすることができる。
【選択図】図5
【解決手段】燃料電池スタック11にて発電を開始する始動時(準備運転時)には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで(例えば稼働温度に達するまで)、例えばステップ状に複数回にわたって固定値分ずつ上昇させる制御を行う。これにより、燃料電池スタック11から引き出される電流の電流値が徐々に大きくなるので、単セル12の劣化を抑制しつつ、起動時間(始動時間)を短くすることができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、例えば固体酸化物形燃料電池などの燃料電池スタックを備えた燃料電池システムの制御装置及び燃料電池システムの制御方法に関するものである。
従来より、酸化剤ガス(例えば空気中の酸素)と燃料ガス(例えば水素)とを用いて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムとして、例えば固体電解質(固体酸化物)を用いた固体酸化物燃料電池を備えた燃料電池システムが知られている。
この種の燃料電池としては、例えば固体電解質層の両側に燃料極と空気極とを備えた単セルを有する板状の燃料電池カセットや、この燃料電池カセットを複数個積層した燃料電池スタックが使用されている。
近年では、上述した燃料電池システムにおいて、発電開始温度までの起動時間をなるべく短縮するために、起動時に発電開始温度に達するまでは、一定の電力で発電する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、これとは別に、起動時に燃料電池スタックを収容した断熱容器内の温度をモニターしながら、単セルの電圧(セル電圧)が最大出力を生じる電圧値よりも高くなるように、パワーコンディショナーの動作を制御する技術も提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、前記引用文献1の技術では、発電開始温度まで素早く昇温できるメリットはあるものの、一定電力での発電となる。よって、例えば平板形状の単セルを複数個積層した燃料電池スタックの場合には、積層方向において温度分布の偏りがあるので、温度の低い単セルに、(その温度に対して、単セルの劣化が生じる程度に)過大な電流が流れることにより、単セルが劣化(セル劣化)する恐れがあった。
また、前記引用文献2の技術では、計測される温度は、燃料電池スタックの外側の温度であるため、燃料電池スタックの内部の温度を正確に把握できないことがある。そのため、温度の低い単セルに、(その温度に対して、単セルの劣化が生じる程度に)過大な電流が流れることにより、単セルが劣化する恐れがあった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、燃料電池スタックの起動時(始動時)において、単セルの劣化を抑制しつつ、起動時間(始動時間)を短くすることができる燃料電池システムの制御装置及び燃料電池システムの制御方法を提供することにある。
(1)本発明は、第1態様(燃料電池システムの制御装置)として、 燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う単セルを複数備えた燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して外部負荷に対して供給する電力調節装置と、を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御装置において、前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させる制御手段を備えたことを特徴とする。
本第1態様では、燃料電池スタックにて発電を開始する始動時(即ち通常運転が可能な状態に到達させるための準備の時期:以下準備運転時と称することもある)には、電力調節装置から外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで(即ちこの制御を終了する例えばスタック温度、電力調節装置から外部負荷に供給する電力の値、スタック電圧等の条件が満たされるまで)、複数回上昇させる制御を行う。
つまり、本第1態様では、燃料電池スタックの始動時(準備運転時)には、電力調節装置から外部負荷に供給する電力を、複数回にわたって徐々に上昇させるような制御を行うので、燃料電池スタックから引き出される電流の値(電流値)が徐々に大きくなる。
従って、発電を開始した直後のように、単セルの温度が低い場合には、単セルに小さい値の電流が流れるので、低温時に(その温度に対して、単セルの劣化が生じる程度に)過大な電流が流れることがない。よって、本第1態様では、単セルの劣化を抑制できる。
また、本第1態様では、単セルに流れる電流の値が徐々に大きくなるので、その電流によって発生するジュール熱も徐々に大きくなる。その結果、単セルの温度も徐々に上昇する。つまり、単セルの温度上昇に伴って、徐々に多くの電流が流れるので、各温度において単セルに過大な電流が流れにくい。この点からも、本第1態様では、単セルの劣化を抑制できる。
更に、本第1態様では、上述のように、通電開始時から、徐々に単セルに流れる電流の値が大きくなるので、その電流によって発生するジュール熱も徐々に多くなる。そのため、過大な電流による単セルの劣化を抑制しつつ、単セルの温度が速やかに上昇するので、燃料電池スタックの起動時間(即ち準備運転の時間:始動時間)を大きく低減することができる。
つまり、本第1態様では、燃料電池スタックの起動時(始動時)において、単セルの劣化を抑制しつつ、その起動時間(始動時間)を短くすることができるという顕著な効果を奏する。
ここで、始動時とは、燃料電池スタックによって外部負荷(即ち外部負荷の要求:負荷要求)に追従する出力を行うことが可能な通常運転に達するまでの時間を示す。言い換えれば、始動時とは、通常運転を行うことができる温度(通常運転温度:稼働温度)に達するまでの期間(即ち準備運転の期間)を示している。つまり、始動時とは、負荷の変動(負荷要求の変動)に対応して電力を供給する追従制御が可能な(即ち所定の定格の出力が可能な)状態になるまでの期間を示している。
また、燃料電池システムとは、燃料電池スタックを用いて発電を行うために必要な構成を備えたシステムである。この燃料電池システムの構成としては、燃料電池スタックに加え、例えば燃料電池システムの運転に用いるポンプ等の補機などが挙げられる。なお、本第1態様では、燃料電池システムに電力調節装置が含まれる。
更に、外部負荷とは、燃料電池システム外の負荷である。つまり、外部負荷とは、燃料電池システム内部において電力で稼働する装置(例えば燃料電池システムの運転に用いるポンプ等の補機など)ではなく、燃料電池システム外の各種の装置(即ち電力調節装置から燃料電池システム外に出力される電力にて稼働する装置)を示している。
なお、外部負荷としては、例えば、電力調整装置から供給される電力のみで稼働する装置や、燃料電池システムの出力ラインに接続される系統電力システムからも電力を受けることが可能なように構成されている各種の装置が挙げられる。
なお、単セルとは、周知のように、燃料極、空気極及び電解質(又はマトリックス)が一組となって構成される燃料電池の基本単位(発電単位)である。
更に、所定の条件とは、前記制御手段による制御を終了する条件(判定条件)を示している。この所定の条件としては、燃料電池スタックの温度(例えば通常運転を行うことが可能な稼働温度)の条件や、複数回上昇させる外部負荷に供給する電力の増加分の合計(電力調節装置から外部負荷に供給する電力の値)又は(増加分が決まっている場合の)増加させる回数の条件などが挙げられる。
更に、所定の条件とは、前記制御手段による制御を終了する条件(判定条件)を示している。この所定の条件としては、燃料電池スタックの温度(例えば通常運転を行うことが可能な稼働温度)の条件や、複数回上昇させる外部負荷に供給する電力の増加分の合計(電力調節装置から外部負荷に供給する電力の値)又は(増加分が決まっている場合の)増加させる回数の条件などが挙げられる。
尚、本第1態様は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行うための構成を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御装置において、 前記燃料電池システムは、単セルを複数備えた燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して前記燃料電池システム外の外部負荷に対して供給する電力調節装置と、を備えたものであり、前記燃料電池システムの制御装置は、前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させる制御手段を備えていてもよい。
(2)本発明は、第2態様として、前記外部負荷に供給する電力を、ステップ状に上昇させることを特徴とする。
本第2態様は、外部負荷に供給する電力の好適な制御例を示しており、外部負荷に供給する電力をステップ状に上昇させることにより、請求項1の効果をより確実に得ることができるとともに、制御を簡易化することができる。
本第2態様は、外部負荷に供給する電力の好適な制御例を示しており、外部負荷に供給する電力をステップ状に上昇させることにより、請求項1の効果をより確実に得ることができるとともに、制御を簡易化することができる。
ここで、ステップ状に上昇させるとは、ある電力レベルから他の電力レベルに階段状に(1回又は複数回)上昇させることであり、他の電力レベルに上昇させた場合には、所定期間その電力レベルを保持する。
(3)本発明は、第3態様として、前記外部負荷に供給する電力について、所定の移行条件が成立した場合に、第1の電力から、前記第1の電力より所定量電力を増加させた第2の電力に移行することを特徴とする。
本第3態様では、所定の移行条件が成立した場合には、第1の電力から第2の電力に移行する。例えば、単セルの劣化が発生しないような条件が成立しなければ、電力の移行を行わないようにすることにより、単セルの劣化を確実に抑制しつつ、速やかに始動時間を短縮することができる。
(4)本発明は、第4態様として、前記第1の電力を供給する状態にて、所定時間経過しても、前記第2の電力に移行する移行条件が成立しない場合は、前記燃料電池システムの動作を停止させることを特徴とする。
第1の電力を供給する状態にて、所定時間(例えば通常ならば移行条件が成立するような時間)を経過しても、第2の電力に移行する移行条件が成立しない場合には、燃料電池システムに何からの異常がある可能性がある。本第4態様では、そのような場合には、燃料電池システムの動作を停止させる。よって、本第4態様では、例えば、単セルの劣化等を早期の段階で防ぐことができ、安全性が大きく向上するという利点がある。
(5)本発明は、第5態様として、前記移行条件とは、前記燃料電池スタックの電圧が所定電圧に達し、且つ、前記燃料電池スタックの温度が所定温度に達した条件であることを特徴とする。
本第5態様は、移行条件を例示したものである。本第5態様では、この燃料電池スタックの電圧(スタック電圧)及び温度(スタック温度)の移行条件によって、燃料電池スタックの状態が明確に把握できるので、第1の電力から第2の電力への移行の適否を精度良く判定できる。
つまり、電圧及び温度の両面のトリガーにより次のステップに移行することにより、単セルの劣化の抑制を確実に行うことができる。
(6)本発明は、第6態様として、前記ステップ状に上昇させる前記電力の変化量を固定値とすることを特徴とする。
(6)本発明は、第6態様として、前記ステップ状に上昇させる前記電力の変化量を固定値とすることを特徴とする。
本第6態様では、ステップ状に上昇させる電力の変化量を固定値とするので、単セルの内部から徐々に緩やかに発熱させて、温度を上昇させることができる。
(7)本発明は、第7態様として、前記所定の条件が満たされた場合に、前記外部負荷に供給する電力を前記外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行うことを特徴とする。
(7)本発明は、第7態様として、前記所定の条件が満たされた場合に、前記外部負荷に供給する電力を前記外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行うことを特徴とする。
本第7態様では、所定の条件が満たされた場合(例えば燃料電池スタックが稼働温度に達した場合)などに、外部負荷に供給する電力を外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行う。よって、本第7態様では、確実に外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を開始することができる。
なお、前記所定の条件が満たされていない場合(例えば稼働温度になっていない場合)には、外部負荷に供給する電力を外部負荷の変動に対して追従させない非追従制御(例えば外部負荷に供給する電力を負荷要求に追従させることなく、目的とする一定値などに保つ制御)を行うことができる。
(8)本発明では、第8態様として、前記燃料電池スタックの温度が、所定の始動温度に達した場合に、前記制御手段による制御を開始することを特徴とする。
燃料電池スタックにおいて発電を開始する際に、例えば起動バーナーによって燃料電池スタックを加熱し、所定の始動温度(制御手段による制御を開始する制御開始温度:例えば540℃)に達した場合に、前記外部負荷に電力を供給する制御を開始する。この制御開始温度であれば、セル劣化を生ずることなく、外部負荷に電力を供給する制御を好適に行うことができる。
燃料電池スタックにおいて発電を開始する際に、例えば起動バーナーによって燃料電池スタックを加熱し、所定の始動温度(制御手段による制御を開始する制御開始温度:例えば540℃)に達した場合に、前記外部負荷に電力を供給する制御を開始する。この制御開始温度であれば、セル劣化を生ずることなく、外部負荷に電力を供給する制御を好適に行うことができる。
なお、制御開始温度に達する前に、補機に対する電力を供給するために、制御開始温度より低温の発電開始温度(例えば530℃)にて発電を開始してもよい。
(9)本発明は、第9態様として、前記燃料電池スタックは、板状の前記単セルが板厚方向に積層された燃料電池スタックであることを特徴とする。
(9)本発明は、第9態様として、前記燃料電池スタックは、板状の前記単セルが板厚方向に積層された燃料電池スタックであることを特徴とする。
板状の単セルが板厚方向に積層された燃料電池スタックの場合には、積層方向において大きな温度分布の偏りが生じ易い。本第9態様では、そのような構造の燃料電池スタックにおいて、好適に、セル劣化を抑制しつつ始動時間を短縮することができる。
(10)本発明は、第10態様として、前記燃料電池スタックの温度は、前記燃料電池スタックの側面に配置された温度センサによって測定された温度であることを特徴とする。
本第10態様では、燃料電池スタックの側面に配置された温度センサによって、燃料電池スタックの温度を求める。よって、本第10態様では、燃料電池スタックの温度を精度良く検出することができる。
ここで、燃料電池スタックの側面とは、単セルの積層方向にある面(主面)ではなく、単セルの外周方向にある側面(主面と垂直の側面)である。
(11)本発明は、第11態様(燃料電池システムの制御方法)として、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う単セルを複数備えた燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して外部負荷に対して供給する電力調節装置と、を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御方法において、前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させることを特徴とする。
(11)本発明は、第11態様(燃料電池システムの制御方法)として、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う単セルを複数備えた燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して外部負荷に対して供給する電力調節装置と、を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御方法において、前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させることを特徴とする。
尚、本第11態様は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行うための構成を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御方法において、前記燃料電池システムは、単セルを複数備えた燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して前記燃料電池システム外の外部負荷に対して供給する電力調節装置と、を備えたものであり、前記燃料電池システムの制御方法では、前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させてもよい。
本第11態様は、前記第1態様と同様な効果を奏する。
なお、本第11態様は、更に、以下の態様を含むことができる。
・外部負荷に供給する電力を、ステップ状に上昇させる燃料電池システムの制御方法。
なお、本第11態様は、更に、以下の態様を含むことができる。
・外部負荷に供給する電力を、ステップ状に上昇させる燃料電池システムの制御方法。
・外部負荷に供給する電力について、所定の移行条件が成立した場合に、第1の電力から、第1の電力より所定量電力を増加させた第2の電力に移行する燃料電池システムの制御方法。
・第1の電力を供給する状態にて、所定時間経過しても、第2の電力に移行する移行条件が成立しない場合は、燃料電池システムの動作を停止させる燃料電池システムの制御方法。
・移行条件とは、燃料電池スタックの電圧が所定電圧に達し、且つ、燃料電池スタックの温度が所定温度に達した条件である燃料電池システムの制御方法。
・ステップ状に上昇させる電力の変化量を固定値とする燃料電池システムの制御方法。
・ステップ状に上昇させる電力の変化量を固定値とする燃料電池システムの制御方法。
・外部負荷に供給する電力が所定値に達した場合に、外部負荷に供給する電力を外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行う燃料電池システムの制御方法。
・燃料電池スタックの温度が、所定の始動温度に達した場合に、前記制御手段による制御を開始する燃料電池システムの制御方法。
・燃料電池スタックの温度が、所定の始動温度に達した場合に、前記制御手段による制御を開始する燃料電池システムの制御方法。
以下、本発明の各構成について説明する。
・ここで、燃料ガスとは、燃料となる還元剤(例えば水素)を含むガスを示し、酸化剤ガスとは、酸化剤(例えば酸素)を含むガス(例えば空気)を示している。
・ここで、燃料ガスとは、燃料となる還元剤(例えば水素)を含むガスを示し、酸化剤ガスとは、酸化剤(例えば酸素)を含むガス(例えば空気)を示している。
・燃料電池(燃料電池スタック)としては、例えば、ZrO2系セラミックなどを電解質とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)、Li−Na/K系炭酸塩を電解質とする溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、リン酸を電解質とするリン酸形燃料電池(PAFC)などの燃料電池(燃料電池スタック)が挙げられる。
なお、本発明は、稼働温度に達するために時間がかかる燃料電池、例えば、稼働温度が600℃以上の高温型の燃料電池に好適に適用できる。
・燃料電池スタックとしては、例えば燃料極層と固体電解質層と空気極層とを一体に積層した単セル(従って燃料電池カセット)を複数備えた構成、例えば単セルを厚み方向に複数積層した燃料電池スタックを採用できる。
・燃料電池スタックとしては、例えば燃料極層と固体電解質層と空気極層とを一体に積層した単セル(従って燃料電池カセット)を複数備えた構成、例えば単セルを厚み方向に複数積層した燃料電池スタックを採用できる。
・電力調節装置としては、燃料電池スタックにて発生した電力を、外部負荷に対して供給するパワーコンディショナーが挙げられる。なお、電力調節装置としては、燃料電池スタックにて発生した直流電力を交流電力に変換して外部負荷に対して供給する装置や、直流を交流に変換せずに、燃料電池スタックにて発生する直流電力を、所定の範囲内で安定した電力値の直流電力として外部負荷に供給する装置が挙げられる。
・制御手段は、例えばマイクロコンピュータ等の電子制御装置によって実現することができる。
次に、本発明の燃料電池システムの制御装置、燃料電池システムの制御方法を実施するために形態として、固体酸化物形燃料電池システムを例に挙げて説明する。
a)まず、固体酸化物形燃料電池システムの全体の構成について説明する。尚、以下では、「固体酸化物形」を省略する。
図1に示すように、本実施例の燃料電池システム1は、系統電力(商用電力)側のシステム(系統電力システム)3と接続されており、燃料電池システム1と系統電力システム3とによって、燃料電池・系統電力連係システム5が構成されている。
図1に示すように、本実施例の燃料電池システム1は、系統電力(商用電力)側のシステム(系統電力システム)3と接続されており、燃料電池システム1と系統電力システム3とによって、燃料電池・系統電力連係システム5が構成されている。
この燃料電池・系統電力連係システム5では、燃料電池システム1と系統電力システム3とが連係して、負荷(外部負荷)7に電力を供給するように構成されている。なお、系統電力システム3が接続されていなくともよい。
なお、この外部負荷7としては、例えば、エアーコンディショナー(空気調節装置)や、電気冷蔵庫などの電化製品が挙げられる。また、この外部負荷7としては、電気自動車のように電力供給を受けて移動可能な製品が挙げられる。このように、外部負荷7としては、電力供給を受けることで機能を発揮する製品が挙げられる。
このうち、燃料電池システム1は、断熱容器9を備えるとともに、断熱容器9内に、発電を行う燃料電池スタック11と、燃料電池スタック11の温度を検出する温度センサ13と、改質水を気化する気化器15と、原燃料(原燃料ガス)を改質する改質器17と、燃料電池スタック11を加熱する起動バーナー19とを備えている。
また、燃料電池システム1は、燃料電池スタック11に酸化剤ガス(例えば空気:以下空気と称する)を供給する空気流路21と、気化器15に原燃料ガスを供給する燃料流路23と、気化器15に改質水を供給する改質水流路25と、起動バーナー19に混合気(原燃料と空気との混合気)を供給する混合気流路27とを備えている。
このうち、空気流路21には、上流側より、空気流路21を流れる空気の流量(従って燃料電池スタック11に供給される空気の流量)を計測する空気用流量センサ29と、空気を燃料電池スタック11に供給する空気ポンプ31とが配置されている。
燃料流路23には、上流側より、燃料流路23を開閉する第1電磁弁33と、燃料流路23を流れる原燃料の流量(従って燃料電池スタック11に供給される燃料ガスの流量)を計測する燃料用流量センサ35と、気化器15(従って改質器17)に原燃料を供給する燃料ポンプ37とが配置されている。
改質水流路25には、上流側より、改質水を気化器15に供給する改質水ポンプ39と、改質水の流量を計測する改質水用流量センサ41とが配置されている。
混合気流路27は、混合気用の空気の流路43と混合気用の原燃料の流路45とが途中の比例弁47にて合流するように構成されたものであり、空気の流路43には、空気を起動バーナー19に供給する混合気ポンプ49が配置され、原燃料の流路45には、その流路45を開閉する第2電磁弁51が配置されている。
混合気流路27は、混合気用の空気の流路43と混合気用の原燃料の流路45とが途中の比例弁47にて合流するように構成されたものであり、空気の流路43には、空気を起動バーナー19に供給する混合気ポンプ49が配置され、原燃料の流路45には、その流路45を開閉する第2電磁弁51が配置されている。
更に、前記燃料電池システム1では、燃料電池スタック11は、電力(電流)の出力経路53を介して電力調節装置(パワーコンディショナー:PC)55と接続されており、その出力経路53には、燃料電池スタック11の出力の電流(直流電流)を計測する電流センサ57と、その出力の電圧を検出する電圧センサ59とが配置されている。なお、系統電力システム3及び外部負荷7は、パワーコンディショナー55の出力経路61に接続されている。
そして、上述した燃料電池システム1は、後述するように、各種のセンサやアクチュエータに接続されたコントローラー63によってその動作が制御されるように構成されている。
以下、各構成について詳しく説明する。
図2に示すように、前記燃料電池スタック11は、発電単位である板状の燃料電池カセット(燃料電池セル)10が、板厚方向(図1、図2の上下方向)に複数(例えば25枚)積層されたものである。但し、図2では、燃料電池カセット10の枚数を減らしたものを示している。そして、この燃料電池スタック11では、積層方向(図2の上下方向)の両側から直流電流を取り出すことができるように構成されている。
図2に示すように、前記燃料電池スタック11は、発電単位である板状の燃料電池カセット(燃料電池セル)10が、板厚方向(図1、図2の上下方向)に複数(例えば25枚)積層されたものである。但し、図2では、燃料電池カセット10の枚数を減らしたものを示している。そして、この燃料電池スタック11では、積層方向(図2の上下方向)の両側から直流電流を取り出すことができるように構成されている。
なお、図2では、所定の燃料電池カセット10を通過した燃料ガスが他の燃料電池カセット10に供給される並直列構造の燃料電池スタック11を示しているが、それ以外に(図示しないが)、所定の燃料電池カセットから排出された燃料ガスが他の燃料電池カセットに供給されない構成(並直列でない構成)など、各種の燃料電池スタックが挙げられる。
また、図3に示すように、燃料電池カセット10は、例えば周知の固体酸化物形燃料電池(SOFC)であり、固体電解質層(固体酸化物層)12aを挟んで空気極12bと燃料極12cとが積層一体化された単セル12を備え、空気極12b側に空気(O)を供給するとともに燃料極12c側に燃料ガス(例えば水素:F)を供給することにより、両電極12b、12c間に電力が発生する。
なお、図3では、燃料電池カセット10に対して、空気及び燃料ガスは同図の左右方向に供給され、空気と燃料ガスとは互いに逆方向に供給されるカウンターフローとなっている。ここで、空気と燃料ガスの供給方向はコフロー、クロスフローなどでもよく、適宜選択できる。なお、燃料電池カセット10内には、空気極12b側に、空気極12bと接する空気極集電体14bが配置され、燃料極12c側に、燃料極12cと接する燃料極集電体14cが配置されている。
図1に戻り、温度センサ13は、燃料電池スタック11の側面の中央部(即ち前記積層方向における中央部)に配置され、その側面の温度を検出するセンサである。
気化器15は、改質水を加熱して気化して水蒸気を生成する装置であり、その水蒸気が改質器17に供給される。
気化器15は、改質水を加熱して気化して水蒸気を生成する装置であり、その水蒸気が改質器17に供給される。
改質器17は、内部に改質用の触媒(例えばルテニウム又はニッケル)を備えた装置であり、この改質器17内に導入された原燃料が、(気化器15から供給された水蒸気によって)水蒸気改質されることにより、水素の割合が多い(水素リッチの)燃料ガスが生成される。
起動バーナー19は、燃料電池スタック11の起動時(始動時)等に、燃料電池スタック11の温度が発電に好適な温度となるように加熱するヒーターであり、外部から供給される空気と原燃料との混合気を燃焼させることによって発熱する。
空気ポンプ31は、外部の空気を燃料電池スタック11に供給するポンプであり、燃料ポンプ37は、例えば都市ガス等の原燃料を気化器15(従って改質器17)に供給するポンプであり、改質水ポンプ39は、改質水タンク(図示せず)から改質水を汲み上げて気化器15に供給するポンプであり、混合気ポンプ49は、混合気を起動バーナー19に供給するポンプである。
なお、これらのポンプ31、37、39、41(即ち、補機)の動作は、コントローラー63からの指令(制御信号)により制御される。また、ポンプ31、37、39、41を作動させる電力は、燃料電池スタック11による発電が可能な場合(例えば準備運転時や通常運転時)には、燃料電池スタック11からパワーコンディショナー55を介して供給されるように構成されている。
また、燃料電池スタック11による発電が可能な場合、発電した直流電力をパワーコンディショナー55の内部の補機駆動用電源(図示せず)、またはパワーコンディショナー55とは別体の補機駆動用電源(図示せず)に供給することが可能である。
空気用流量センサ29は、空気の流量を計測する流量センサであり、燃料用流量センサ35は、原燃料(従って燃料ガス)の流量を計測する流量センサであり、改質水用流量センサ41は、改質水の流量を計測する流量センサである。
第1電磁弁33は、気化器15に対する原燃料の供給及び停止を調節するバルブであり、第2電磁弁51は、起動バーナー19に対する原燃料(空気に混入する原燃料)の供給及び停止を調節するバルブである。これらのバルブの開閉は、コントローラー63からの指令(制御信号)により制御される。
パワーコンディショナー55は、燃料電池スタック11で発電された直流電力を系統電力システム3側に供給するために交流電力(例えば200Vの商用電力)に変換する装置である。
このパワーコンディショナー55としては、入力側が燃料電池スタック11で発生する変動する直流電圧範囲を許容する直流−交流変換装置を使用することができる。なお、補機であるポンプ31、37、39、41を駆動するモータが、直流電流で駆動されるモータ(直流モータ)の場合には、パワーコンディショナー55からモータに対して、直流電力が供給される。
また、パワーコンディショナー55は、後述するように、コントローラー63からの制御によって、例えば補機や外部負荷7に出力する電力等を調節可能である。なお、パワーコンディショナー55自身にも、燃料電池スタック11から入力される電力について、その電圧及び電流を検出する機能を有している。
コントローラー63は、周知のマイコン等を備えた電子制御装置であり、パワーコンディショナー55からの各種の情報(例えば、系統電圧、系統電力周波数、パワーコンディショナー出力電圧)や、燃料電池システム1の運転状態を示す各種のセンサからの情報に基づいて、燃料電池システム1の運転状態を制御する。
詳しくは、図4に示すように、コントローラー63には、燃料電池システム1の運転開始を指示する起動スイッチ71及び運転停止を指示する停止スイッチ73が接続されるとともに、上述した空気用流量センサ29と、燃料用流量センサ35と、改質水用流量センサ41と、温度センサ13と、電流センサ57等が接続され、各スイッチやセンサからの信号が、コントローラー63に入力するように構成されている。
また、コントローラー63には、空気ポンプ31、燃料ポンプ37、改質水ポンプ39、混合気ポンプ49、第1電磁弁33、第2電磁弁51が接続され、コントローラー63からは、各ポンプ31、37、39、41や電磁弁33、51の動作を制御する制御信号が出力される。
なお、コントローラー63は、パワーコンディショナー55とはデータの送受信が可能であり、パワーコンディショナー55には、電圧センサ59からの検出信号が入力するように構成されている。
b)次に、燃料電池システム1における制御処理の要部について説明する。
図5に示すように、まず、起動スイッチ71が操作されて、燃料電池システム1の運転開始が指示されると(タイミングt0)、起動バーナー19による燃料電池スタック11の加熱が開始される。
図5に示すように、まず、起動スイッチ71が操作されて、燃料電池システム1の運転開始が指示されると(タイミングt0)、起動バーナー19による燃料電池スタック11の加熱が開始される。
これにより、燃料電池スタック11の稼働温度における通常運転(即ち負荷要求に応じた追従制御)の前に、燃料電池システム1の通常運転が可能な状態となるような準備運転が開始される。
そして、この加熱によって、燃料電池スタック11の温度が、燃料電池スタック11における発電が可能な発電開始温度(即ち、通常運転より出力が低い状態での発電の温度:例えば530℃)となると(タイミングt1)、燃料電池スタック11による発電が開始される。
具体的には、燃料電池スタック11による発電が可能なように、燃料電池スタックに、燃料ガスや空気や改質水が供給される。そして、燃料電池スタック11によって発生する電力が、パワーコンディショナー55を介して補機に供給されるように、コントローラー63によって、パワーコンディショナー55の動作が制御される。詳しくは、70W程度の電力が補機に供給されるように制御される。なお、このとき、起動バーナー19は停止される。
従って、上述した発電の動作によって、詳しくは、発電に伴って各単セル12に流れる電流によるジュール熱によって、各単セル12(従って燃料電池スタック11)の温度が徐々に上昇する(タイミングt1〜t2)。
次に、後述する所定の始動時の制御を行うための条件(即ち単セル12の劣化が生じることなく更に多くの電流を流すことが可能な温度等の条件)が満たされた場合には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に、所定の電力(例えば15W)を供給するように制御する(タイミングt2)。
その後は、同様な条件の判定を繰り返すことにより、徐々に外部負荷7に出力する電力が増加する。
従って、この出力の増加に伴って、単セル12に流れる電流の電流値も増加し、その結果、発生するジュール熱も大きくなるので、単セル12(従って燃料電池スタック11)の温度も上昇する。
従って、この出力の増加に伴って、単セル12に流れる電流の電流値も増加し、その結果、発生するジュール熱も大きくなるので、単セル12(従って燃料電池スタック11)の温度も上昇する。
そして、燃料電池スタック11の温度が、通常運転を行うことが可能な温度(稼働温度:例えば605℃)に達した場合には(タイミングt5)、準備運転を終了し、通常運転に移行する。即ち、燃料電池スタック11の外部負荷7に対する出力電圧を、外部負荷7の要求(負荷要求)に追従させる追従制御を行う通常運転に移行する。
c)次に、上述した制御を行うために、コントローラー63によって実施される処理内容について説明する。
図6に示すように、起動スイッチ71が操作されて、燃料電池システム1の運転開始が指示された場合において、まず、ステップ(S)100にて、スタック温度が発電開始温度である530℃以上か否かを判定する。即ち、補機に通電するために、燃料電池スタック11の発電を開始するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると待機する。
図6に示すように、起動スイッチ71が操作されて、燃料電池システム1の運転開始が指示された場合において、まず、ステップ(S)100にて、スタック温度が発電開始温度である530℃以上か否かを判定する。即ち、補機に通電するために、燃料電池スタック11の発電を開始するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると待機する。
なお、ここで、スタック温度とは、温度センサ13によって測定された燃料電池スタック11の温度(詳しくは燃料電池スタック11の側方の温度)である。
ステップ110では、補機を作動させるために、補機に例えば70Wの電力を供給するように、コントローラー63からパワーコンディショナー55に指示する。
ステップ110では、補機を作動させるために、補機に例えば70Wの電力を供給するように、コントローラー63からパワーコンディショナー55に指示する。
なお、このときには、燃料電池スタック11にて発電が可能なように、燃料電池スタック11に対して、必要量の空気や燃料ガスや改質水を供給する。
そして、この補機に電力を供給するための発電によって、単セル12に電流が流れるので、この電流によるジュール熱によって、単セル12の温度が徐々に上昇する。また、温度上昇に伴って、単セル12にて発生する電力の電圧も徐々に増加する。
そして、この補機に電力を供給するための発電によって、単セル12に電流が流れるので、この電流によるジュール熱によって、単セル12の温度が徐々に上昇する。また、温度上昇に伴って、単セル12にて発生する電力の電圧も徐々に増加する。
なお、この70Wの電力が出力される場合に単セル12に流れる電流は小さいので、単セル12の温度が低い場合でも、単セル12に劣化が生じ難い。
続くステップ120では、スタック温度が10℃上昇した条件(始動温度(制御開始温度)である540℃となった場合)において、スタック電圧が切替閾値Vk(例えば25段スタックの場合、21V)以上か否かを判定する。即ち、パワーコンディショナー55から外部負荷7に電力を供給するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ160に進み、一方否定判断されるとステップ130に進む。なお、ここでは、制御開始温度のみの判定を行ってもよい。
続くステップ120では、スタック温度が10℃上昇した条件(始動温度(制御開始温度)である540℃となった場合)において、スタック電圧が切替閾値Vk(例えば25段スタックの場合、21V)以上か否かを判定する。即ち、パワーコンディショナー55から外部負荷7に電力を供給するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ160に進み、一方否定判断されるとステップ130に進む。なお、ここでは、制御開始温度のみの判定を行ってもよい。
ここで、スタック電圧とは、例えば電圧センサ59によって測定された燃料電池スタック11の全電圧である。なお、全電圧ではなく、(全電圧と単セル12の段数とによって算出した)単セル12毎の電圧を採用してもよい)。また、切換閾値Vkとは、パワーコンディショナー55から外部負荷7に電力を供給するか否かを判定するための閾値である。
ステップ130では、前記ステップ120にてスタック電圧が切替閾値Vkに達していないと判断されてから20秒経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ140に進み、一方否定判断されると(20秒経過するまで)待機する。
ステップ140では、前記ステップ120にてスタック電圧が切替閾値Vkに達していないと判断されてから20分経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ150に進み、一方否定判断されると前記ステップ120に戻る。
ステップ150では、発電を開始してから20分経過しても、スタック温度が10℃以上昇しないか又はスタック電圧が切替閾値Vkに達しないので、燃料電池システム1に何らかの異常(例えば軽異常)があるとして、燃料電池システム1の運転を停止する。
ここで、運転を停止する場合には、軽異常の発生に対応した停止処理(軽異常の停止処理)を行って、一旦本処理を終了する。
なお、軽異常とは、軽異常に該当する事象の発生後に、そのまま所定期間燃料ガスや空気や改質水の供給を継続しても支障がないような軽度の異常のことである。詳しくは、軽度の異常とは、燃料電池システム1に大きなダメージが発生したり、有害ガス等が発生しない程度の異常を示している。
なお、軽異常とは、軽異常に該当する事象の発生後に、そのまま所定期間燃料ガスや空気や改質水の供給を継続しても支障がないような軽度の異常のことである。詳しくは、軽度の異常とは、燃料電池システム1に大きなダメージが発生したり、有害ガス等が発生しない程度の異常を示している。
また、軽異常の停止処理とは、軽異常が発生した場合に、燃料電池システム1と外部負荷7及び系統電力システム3とを解列し、その後、下記の所定の手順に沿って、段階を追って燃料電池システム1の稼働を停止する処理である。
具体的には、第1段階では、所定期間にわたり、第1電磁弁33を開いたままで燃料ポンプ37の作動を継続するととともに、改質水ポンプ39及び空気ポンプ31の作動を継続する。また、第2電磁弁51は閉鎖して混合気ポンプ49の作動は停止した状態とする。
続く第2段階では、所定期間にわたり、第1電磁弁33を閉じるとともに燃料ポンプ37の作動を停止する。一方、改質水ポンプ39及び空気ポンプ31の作動を継続する。また、第2電磁弁51は閉鎖して混合気ポンプ49の作動は停止した状態とする。これによって、燃料ガスが燃料電池スタック11から排出(パージ)される。
続く第3段階では、所定期間にわたり、第1電磁弁33を閉じるとともに燃料ポンプ37の作動を停止する。同様に、改質水ポンプ39及び空気ポンプ31の作動を停止する。一方、第2電磁弁51は閉鎖して混合気ポンプ49の作動を行う。これによって、起動バーナー19から空気のみが供給されるので、燃料電池スタック11が冷却される。
また、前記ステップ120で肯定判断されて進むステップ160では、スタック温度が10℃上昇するとともに、スタック電圧が切替閾値Vk以上であるので、更に、大きな電流を単セル12に流すために、外部負荷7に出力する電力を所定量(例えば15W)上昇させるように、パワーコンディショナー55に指示する。
これによって、より大きな電流値の電流が単セル12に流れるので、その大きな電流によってより多くのジュール熱が発生し、単セル12の温度がより速やかに上昇する。
なお、出力する電力が増加した場合に流れる電流の電流値は、出力の増加前の電流より大きいものの、単セル12の温度も上昇しているので、増加した電流による単セル12の劣化は生じにくい。
なお、出力する電力が増加した場合に流れる電流の電流値は、出力の増加前の電流より大きいものの、単セル12の温度も上昇しているので、増加した電流による単セル12の劣化は生じにくい。
続くステップ170では、前記ステップ120と同様に、スタック温度が10℃上昇した条件において、スタック温度が切替閾値Vk(例えば25段スタックの場合、21V)以上か否かを判定する。即ち、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を増加するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ210に進み、一方否定判断されるとステップ180に進む。
なお、ここでの切換閾値Vkは、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を増加するか否かを判定するための閾値である。
ステップ180では、前記ステップ170にてスタック電圧が切替閾値Vkに達していないと判断されてから20秒経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ190に進み、一方否定判断されると(20秒経過するまで)待機する。
ステップ180では、前記ステップ170にてスタック電圧が切替閾値Vkに達していないと判断されてから20秒経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ190に進み、一方否定判断されると(20秒経過するまで)待機する。
ステップ190では、前記ステップ170にてスタック電圧が切替閾値Vkに達していないと判断されてから20分経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ200に進み、一方否定判断されると前記ステップ170に戻る。
ステップ200では、発電を開始してから20分経過しても、スタック温度が10℃以上昇しないか又はスタック電圧が切替閾値Vkに達しないので、何らかの異常(軽異常)があるとして、前記ステップ150と同様に、燃料電池システム1の運転を停止する。
また、前記ステップ170で肯定判断されて進むステップ210では、スタック温度が605℃以上か否かを判定する。即ち、通常運転が可能な温度(稼働温度)か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ220に進み、一方否定判断されると前記ステップ160に戻って、同様な処理を繰り返す。
ステップ220では、スタック温度が通常運転が可能な温度に達したので、燃料電池システム1の通常運転を実施して、一旦本処理を終了する。
なお、ここで、通常運転とは、上述したように、所定の稼働温度にて、外部負荷7の変動(負荷要求の変動)に追従させる制御を行う運転状態である。
なお、ここで、通常運転とは、上述したように、所定の稼働温度にて、外部負荷7の変動(負荷要求の変動)に追従させる制御を行う運転状態である。
d)次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例では、燃料電池スタック11にて発電を開始する始動時(準備運転時)には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで(例えば稼働温度に達するまで)、ステップ状に複数回にわたり、所定の固定値分ずつ上昇させる制御を行う。
本実施例では、燃料電池スタック11にて発電を開始する始動時(準備運転時)には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで(例えば稼働温度に達するまで)、ステップ状に複数回にわたり、所定の固定値分ずつ上昇させる制御を行う。
つまり、本実施例では、燃料電池スタック11の始動時(準備運転時)には、パワーコンディショナー55から外部負荷7に供給する電力を、複数回にわたって徐々に上昇させるような制御を行うので、燃料電池スタック11から引き出される電流の電流値が徐々に大きくなる。
従って、発電を開始した直後のように、単セル12の温度が低い場合には、単セル12に小さい電流値の電流が流れるので、低温時に(その温度に対して)過大な電流が流れることがなく、よって、単セル12の劣化を抑制できる。
また、本実施例では、単セル12に流れる電流の電流値が徐々に大きくなるので、その電流によって発生するジュール熱も徐々に大きくなり、その結果、単セル12の温度も徐々に上昇する。つまり、単セル12の温度上昇に伴って、徐々に多くの電流が流れるので、単セル12に(それぞれの温度に対して)過大な電流が流れにくく、この点からも、単セル12の劣化を抑制できる。
更に、本実施例では、上述のように、通電開始時から、徐々に単セル12に流れる電流の電流値が大きくなるので、その電流によって発生するジュール熱も徐々に多くなる。そのため、過大な電流による単セル12の劣化を抑制しつつ、単セル12の温度が速やかに上昇するので、燃料電池スタック11の起動時間(始動時間)を大きく低減することができる。
つまり、本実施例では、燃料電池スタック11の起動時(始動時)において、単セル12の劣化を抑制しつつ、その起動時間(始動時間:準備運転時間)を短くすることができるという顕著な効果を奏する。
更に、本実施例では、所定の移行条件(スタック温度とスタック電圧の条件)が成立した場合には、あるステップの電力(第1の電力)から次のステップの電力(第2の電力)に移行する。つまり、単セル12の劣化が発生しないような条件が成立しなければ、電力の移行を行わないので、単セル12の劣化を確実に抑制しつつ、速やかに始動時間を短縮することができる。
その上、本実施例では、第1の電力を供給する状態にて、所定時間(例えば20分)経過しても、第2の電力に移行する移行条件が成立しない場合は、燃料電池システム1に何からの異常がある可能性があるので、そのような場合には、燃料電池システム1の動作を停止させる。よって、例えば単セル12の劣化等を早期の段階で防ぐことができ、安全性が大きく向上するという利点がある。
しかも、本実施例では、ステップ状に上昇させる電力の変化量を固定値(例えば15W)とするので、単セル12の内部から徐々に緩やかに発熱させて、温度を上昇させることができる。従って、この点からも、単セル12の劣化を確実に抑制しつつ、速やかに始動時間を短縮することができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限らず、改質水を供給して原燃料を供給する各種の燃料電池、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)などの燃料電池等に適用できる。
(1)例えば、本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限らず、改質水を供給して原燃料を供給する各種の燃料電池、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)などの燃料電池等に適用できる。
(2)また、本発明の制御を行う際に、燃料電池スタックの出力電力の電圧や電流を用いる場合には、パワーコンディショナーの外部に設けられた電圧センサや電流センサを用いる以外に、パワーコンディショナーの内部に設けられた電圧や電流を検出する回路を利用してもよい。
(3)前記実施例では、電力を15Wずつ上げたが、図7に示すように、更にこの上昇させる電力を小さくして、実質的に、直線状に電力を増加させてもよい。
(4)前記実施例では、スタック温度が稼働温度に達するまで、スタック温度の10℃の上昇及びスタック電圧の切替閾値Vkの判定によって、出力電力を固定量ずつ増加させたが、これとは別に、出力電力を(予め決められた)所定回数だけ固定量ずつ増加させ、所定回数に達した後は(即ち、電力調節装置から外部負荷に供給する電力の値が所定の値に達した後は)は、そのままスタック温度が稼働温度に達するまで待機してもよい。
(4)前記実施例では、スタック温度が稼働温度に達するまで、スタック温度の10℃の上昇及びスタック電圧の切替閾値Vkの判定によって、出力電力を固定量ずつ増加させたが、これとは別に、出力電力を(予め決められた)所定回数だけ固定量ずつ増加させ、所定回数に達した後は(即ち、電力調節装置から外部負荷に供給する電力の値が所定の値に達した後は)は、そのままスタック温度が稼働温度に達するまで待機してもよい。
(5)前記実施例では、上述した制御手段による制御を開始する前に、燃料電池スタックから補機に電力を供給する制御を行ったが、始動時には、補機には外部(系統電力等)から電力を供給することによって、燃料電池スタックから補機へ電力を供給する制御を行わなくてもよい。
(6)前記実施例では、スタック温度とスタック電圧とが所定の条件を満たした場合に、上述した制御手段による制御を開始したが、どちらか一方の条件のみとしてもよい。
例えば、スタック温度が所定の温度(制御開始温度)に達した場合に、制御手段による制御を開始してもよい。また、スタック電圧が所定の電圧(制御開始温度に相当する電圧)に達した場合に、制御手段による制御を開始してもよい。
例えば、スタック温度が所定の温度(制御開始温度)に達した場合に、制御手段による制御を開始してもよい。また、スタック電圧が所定の電圧(制御開始温度に相当する電圧)に達した場合に、制御手段による制御を開始してもよい。
(7)前記実施例では、スタック温度が稼働温度に達した場合には、通常運転(即ち通常の追従制御を行う運転)移行したが、外部負荷に供給する電力が所定値(例えば25段スタックの場合、21V)に達した場合には、稼働温度に達したとみなして、外部負荷に供給する電力を外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行ってもよい。
つまり、外部負荷に供給する電力を徐々に上げて、所定値に達した場合には、追従制御を開始する。なお、この所定値は、予め実験等におり、追従制御が可能な状態を示す所定値を求めておけばよい。
なお、外部負荷に供給する電力が所定値に達するより前には、外部負荷に供給する電力を外部負荷の変動に対して追従させないようにする(即ち非追従制御を行う)。
この場合、電力の判定条件に、更にスタック温度の判定条件を加えて、追従制御を行うか否かを判定してもよい。
この場合、電力の判定条件に、更にスタック温度の判定条件を加えて、追従制御を行うか否かを判定してもよい。
1…燃料電池システム
3…系統電力システム
7…外部負荷
10…燃料電池カセット
11…燃料電池スタック
12…単セル
13…温度センサ
31…空気ポンプ
37…燃料ポンプ
39…改質水ポンプ
49…混合気ポンプ
55…電力調節装置(パワーコンディショナー)
63…コントローラー
3…系統電力システム
7…外部負荷
10…燃料電池カセット
11…燃料電池スタック
12…単セル
13…温度センサ
31…空気ポンプ
37…燃料ポンプ
39…改質水ポンプ
49…混合気ポンプ
55…電力調節装置(パワーコンディショナー)
63…コントローラー
Claims (11)
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う単セルを複数備えた燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して外部負荷に対して供給する電力調節装置と、
を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御装置において、
前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させる制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池システムの制御装置。 - 前記外部負荷に供給する電力を、ステップ状に上昇させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記外部負荷に供給する電力について、所定の移行条件が成立した場合に、第1の電力から、前記第1の電力より所定量電力を増加させた第2の電力に移行することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記第1の電力を供給する状態にて、所定時間経過しても、前記第2の電力に移行する移行条件が成立しない場合は、前記燃料電池システムの動作を停止させることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記移行条件とは、前記燃料電池スタックの電圧が所定電圧に達し、且つ、前記燃料電池スタックの温度が所定温度に達した条件であることを特徴とする請求項3又は4に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記ステップ状に上昇させる前記電力の変化量を固定値とすることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記所定の条件が満たされた場合に、前記外部負荷に供給する電力を前記外部負荷の変動に対して追従させる追従制御を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記燃料電池スタックの温度が、所定の始動温度に達した場合に、前記制御手段による制御を開始することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記燃料電池スタックは、板状の前記単セルが板厚方向に積層された燃料電池スタックであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 前記燃料電池スタックの温度は、前記燃料電池スタックの側面に配置された温度センサによって測定された温度であることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システムの制御装置。
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う単セルを複数備えた燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックにて発電された電力が入力されるとともに、前記電力を調節して外部負荷に対して供給する電力調節装置と、
を備えた燃料電池システムの動作を制御する燃料電池システムの制御方法において、
前記燃料電池スタックにて発電を開始する始動時には、前記電力調節装置から前記外部負荷に供給する電力を、所定の条件が満たされるまで、複数回上昇させることを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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