JP2016024312A - 1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなるプリズム層付輝度向上フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】反射偏光性能と、プリズム層とフィルムとの間の高い密着性を備えた1軸延伸多層積層フィルム、およびプリズム層付輝度向上フィルムを提供する。【解決手段】第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、1)第1層はエチレンナフタレート単位を含むポリエステルを含有し、2)第2層がガラス転移点90℃以上、平均屈折率1.55〜1.65である共重合ポリエステルであり、3)第1層と第2層の交互積層数が合計で100層以上であり、かつ少なくとも一方の面に第2層からなる5um〜50μmの最外層を有し、4)第2層からなる最外層の少なくとも片面に厚み0.02〜0.50μmの塗布層を有し、塗布層がアクリルバインダーと平均粒子径0.05〜0.50μmの粒子を塗布層を基準として0.1〜5.0重量%含有し、5)塗布層を含めたフィルム全体厚みが20〜150μm、6)偏光度(P)が80%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなるプリズム層付輝度向上フィルムに関し、さらに詳しくはプリズム層との密着性が改善された1軸延伸多層積層フィルムおよびそれからなるプリズム層付輝度向上フィルムに関する。
スマートフォンやタブレット端末をはじめとする携帯型端末等に用いられる液晶表示装置(LCD)は、液晶セルの両面に偏光板を配置した液晶パネルによって、光源から射出される光の透過量を調整することにより、その表示を可能としている。液晶セルに貼り合わされる偏光板として一般的に光吸収タイプの2色性直線偏光板と呼ばれる吸収型偏光板が用いられており、ヨウ素を含むPVAをトリアセチルセルロース(TAC)で保護した偏光板が広く用いられている。
このような吸収型の偏光板は、透過軸方向の偏光を透過し、透過軸と直交方向の偏光の殆どを吸収するため、光源装置から出射された無偏光な光の約50%がこの吸収型偏光板で吸収され、光の利用効率が低下することが指摘されている。そこで、透過軸と直交方向の偏光を有効利用するために、輝度向上フィルムと呼ばれる反射型の偏光子を光源と液晶パネルの間に用いる構成が検討されており、かかる反射型の偏光子の一例として光学干渉を用いたポリマータイプの多層積層フィルムが検討されている(特許文献1など)。
携帯型端末の普及により、ディスプレイ端末はより薄膜化のニーズが高まっており、ディスプレイ内部に設置する反射偏光型輝度向上フィルム、拡散フィルム、プリズムフィルム、導光板などの部材に対してより薄膜化されたものが求められており、さらにこれらの機能を統合できる複合光学フィルムが望まれている。
そのような複合機能フィルムの例として、特許文献2などに記載されているように、反射偏光型輝度向上フィルム上にプリズム構造を形成したプリズム層付反射偏光型輝度向上フィルムが提案されている。しかしながら、このような反射偏光型輝度向上フィルム上にプリズム層を形成すると密着性が十分でないことがあり、断裁してディスプレイ端末に設置する際、プリズム層の欠けや剥がれが生じることがあった。
一方で、一般にプリズムフィルムはPETフィルム基材上にプリズム層を形成する。一般的なプリズム層の形成手法として、無溶剤型のUV硬化樹脂をPETフィルム基材上に転写することで形成されるが、その際、PETフィルム基材上に塗布層を設けることで接着性を高めている。そのような易接着性の塗布層はPETフィルムの製膜工程において塗設され、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系樹脂などのバインダー成分に熱硬化性の架橋剤を添加することで基材とプリズム層との密着性を高めている。とりわけプリズム層のような無溶剤型のUV硬化樹脂においては、有機溶剤による基材の溶解による密着性の向上が期待できないために、密着性を確保できる塗膜は極めて限定される(特許文献3,4など)。
かかる易接着性塗膜を反射偏光型輝度向上フィルム上に形成する場合、反射偏光型輝度向上フィルムとしてPET以外のポリエステル樹脂を用いることが多く、さらに反射偏光性能を発現させるためにフィルム製膜工程内で結晶化工程をもたないことが多いため、熱硬化型架橋剤の反応性が低くなり、PETフィルム基材と同様の塗液組成を用いてもプリズム層との密着性を十分に確保することが難しかった。
また反射偏光型輝度向上フィルムは、PET以外の特定のポリエステル樹脂によって形成される表面層に傷がつきやすいため、保護フィルムなどを工程中に貼合する必要があった。このような保護フィルムを使用しないことも求められており、プリズム層とその基材となる反射偏光型輝度向上フィルムとの接着性向上と、さらに巻取性などの確保が望まれていた。
特表平9−507308号公報 特表平9−506985号公報 特開2008−36868号公報 特開2008−189868号公報
本発明の目的は、ポリアルキレンナフタレート系ポリエステルを高屈折率層とする多層フィルムにおいて、反射偏光性能と、フィルム上に形成するプリズム層とフィルムとの間の高い密着性を備えた1軸延伸多層積層フィルム、およびそれからなるプリズム層付輝度向上フィルムを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアルキレンナフタレート系ポリエステルを高屈折率層とし、ガラス転移点の高い共重合ポリエステルを低屈折率層とする多層積層フィルムの場合、プリズムの基材層として用いられることの多いPETフィルムの場合にくらべて塗布層に用いることのできる組成が限られること、さらに多層積層フィルムの最外層に着目することにより、プリズム層とフィルムとの間の高い密着性を備えた1軸延伸多層積層フィルム、およびそれからなるプリズム層付輝度向上フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、
1)該第1層はエチレンナフタレート単位を含むポリエステルを含有し、
2)該第2層を形成するポリマーが90℃以上のガラス転移点を有し、平均屈折率が1.55〜1.65である共重合ポリエステルであり、
3)該第1層と該第2層の交互積層数が合計で101層以上であり、かつ少なくとも一方の面に第2層からなる5um〜50μmの最外層を有し、
4)前記の第2層からなる最外層の少なくとも片面に厚み0.02〜0.50μmの塗布層を有し、該塗布層がアクリルバインダーと、平均粒子径0.05〜0.50μmの粒子を該塗布層を基準として0.1〜5.0重量%含有し、
5)該塗布層を含めたフィルム全体厚みが20〜150μmであって、
6)下記式(1)で表される偏光度(P)が80%以上である1軸延伸多層積層フィルムによって得られる。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
本発明によれば、本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、反射偏光性能と、フィルム上に形成するプリズム層とフィルムとの間の高い密着性を備え、同時に巻取性にも優れることから、輝度向上フィルムの機能とプリズムの機能とを統合した高品質な複合光学フィルムを提供できる。
本発明の好ましい実施形態による液晶ディスプレイの概略断面図である。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであり、各層を構成する樹脂および特性、偏光性能等、本発明の各構成について以下に詳述する。
[1軸延伸多層積層フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層が第2層よりも相対的に高屈折率特性を有する層、第2層が第1層よりも相対的に低屈折率特性を有する層であり、それぞれの層に以下の特定の種類のポリエステルを用いることによって、かかる屈折率の関係が発現する。
また、本発明において1軸延伸方向をX方向、フィルム面内においてX方向と直交する方向をY方向、フィルム面に対して垂直な方向をZ方向と称する。
本発明におけるP偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義される。また本発明におけるS偏光とは、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
本発明において、延伸方向(X方向)の屈折率はnX、延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率はnY、フィルム厚み方向(Z方向)の屈折率はnZと記載することがある。
[第1層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを構成する第1層はアルキレンナフタレート単位を含むポリエステルを含有する。高屈折率層である第1層にアルキレンナフタレート単位を含むポリエステルを用い、1軸方向に延伸することにより、高い延伸配向複屈折率性が発現し、延伸方向(X方向)について第2層との屈折率差を大きくすることができ、高偏光に寄与する。
具体的には、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートやその共重合体が挙げられる。中でも主たる繰返し単位がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート成分からなるポリエステルもしくはその共重合体が好ましい。
第1層を構成するポリエステルが共重合ポリエステルである場合、共重合成分としてさらに第2のジカルボン酸成分を含有することが好ましく、具体的にはテレフタル酸成分、下記式(A)で表される成分が挙げられ、これらの成分の少なくともいずれか1成分を含有することができる。
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
これらの共重合成分のうち、式(A)で表される成分を用いた共重合ポリエステルは、極めて高い1軸配向特性を示すことから、より高い複屈折率性が発現する。
式(A)で表される成分について、式中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表している。かかるアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
かかる共重合成分は、該ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として5〜50モル%であることが好ましく、さらに5〜40モル%であることが好ましく、特に10〜35モル%であることが好ましい。
式(A)で表される成分は、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などが挙げられ、これらの中でも式(A)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸が好ましい。
第1層を構成するポリエステルとして上述のポリエステルを用い、1軸延伸を施すことにより、第1層のX方向の屈折率nXは1.80〜1.90の高屈折率特性を有する。第1層におけるX方向の屈折率がかかる範囲にある場合、第2層との屈折率差が大きくなり、反射偏光性能を発揮することができる。また、Y方向の1軸延伸後の屈折率nYとZ方向の1軸延伸後の屈折率nZとの差は0.05以下であることが好ましい。
第1層の平均屈折率は、第1層を形成するポリエステルを単独で溶融させ、ダイより押出して未延伸フィルム(キャストフィルム)を作成し、1軸方向に(該ポリエステルのガラス転移点+20)℃で5.5倍延伸を行って1軸延伸フィルムを作成し、得られた未延伸フィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(nX、nY、nZと称する)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定して求め、延伸前、延伸後の屈折率とした。
第1層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸前のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。
[第2層]
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの第2層を形成するポリマーとして、90℃以上のガラス転移点を有し、平均屈折率が1.55〜1.65である共重合ポリエステルを用いる。第2層を形成する共重合ポリエステルのガラス転移点は、90℃以上120℃未満のガラス転移点(Tg)を有することがより好ましい。
かかる共重合ポリエステルのガラス転移点が下限に満たないと、液晶ディスプレイなどの実使用温度において変形、融着などが生じ、実用に耐えることが難しい。一方、本発明の共重合ポリエステルのガラス転移点の上限は、本発明の特性を損なわない範囲内であれば特に制限されないが、低屈折率特性を有する第2層に用いられる共重合ポリエステルのガラス転移点が120℃以上であると、延伸工程において配向が生じやすくなり、所望の屈折率特性を得ることができないことがある。
また第2層を形成する共重合ポリエステルの平均屈折率は1.55〜1.65であることが必要であり、1.58以上1.60以下であることが好ましい。第2層の共重合ポリエステルの平均屈折率は、第1層ポリエステルの延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率に合わせて調整を行う。
第2層の平均屈折率は、第2層を形成する共重合ポリエステルを単独で溶融させ、ダイより押出して未延伸フィルムを作成し、1軸方向に(該共重合ポリエステルのガラス転移点+20)℃で5.5倍延伸を行って1軸延伸フィルムを作成し、得られたフィルムのX方向、Y方向、Z方向それぞれの方向について、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定し、それらの平均値を平均屈折率として規定したものである。
また第2層の共重合ポリエステルは光学等方性であることが好ましい。本発明における光学等方性とは、これらX方向、Y方向、Z方向の屈折率の2方向間の屈折率差がいずれも0.05以下、好ましくは0.03以下であることをいう。
第2層がかかる平均屈折率を有し、しかも延伸によって各方向の屈折率差の小さい光学等方性材料であることにより、第1層と第2層の層間における延伸後のX方向の屈折率差が大きく、同時にY方向の層間の屈折率差が小さい屈折率特性を得ることができ、偏光性能をより高度に高めることができ、好ましい。
第2層を形成する共重合ポリエステルとして、共重合ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、またはこれらのブレンドが例示される。またジカルボン酸系の共重合成分として、共重合ポリエチレンテレフタレートの場合はイソフタル酸成分、ナフタレンジカルボン酸成分、共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの場合はテレフタル酸成分が挙げられる。
また第2層を形成する共重合ポリエステルは、さらにジオール系の共重合成分として脂環族ジオール成分を含むことが好ましく、該脂環族ジオール成分として、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく例示される。
ここで、本発明における共重合成分とはポリエステルを構成するいずれかの成分であることを意味しており、従たる成分としての共重合成分に限定されず、主たる成分も含めて用いられる。
例えば、第1層にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを使用した場合、第2層の共重合ポリエステルの平均屈折率は約1.62であることがより高い偏光度が得られるため好ましく、かかる屈折率特性を有する第2層の共重合ポリエステルの一例として、テレフタル酸成分を40モル%共重合したテレフタル酸40モル%共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを用いることが好ましい。
また、前述の6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などのジカルボン酸成分を21モル%共重合したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを第1層のポリエステルとして用いる場合においては、第2層の共重合ポリエステルの平均屈折率は約1.58であることがより高い偏光度が得られるため好ましく、かかる屈折率特性を有する第2層の共重合ポリエステルの例として、ナフタレンジカルボン酸成分と脂環族ジオール成分を含有する共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、ナフタレンジカルボン酸成分/テレフタル酸成分/エチレングリコール成分/スピログリコール成分=25/75/90/10モル%共重合体)があげられる。
ポリエステルの屈折率とガラス転移点はポリエステルを構成するモノマー成分の比率によって決定され、屈折率およびガラス転移点を高めるポリエステル形成成分として、ナフタレンジカルボン酸成分、ビスフェノールフルオレン成分、ビスクレゾールフルオレン成分などがあげられる。一方で、屈折率を下げ、かつガラス転移点を高めるポリエステル形成成分として脂環族ジオール成分があげられる。これら成分を適宜調整することで、第2層を形成する共重合ポリエステルについて、ガラス転移点90℃以上で、平均屈折率を1.55〜1.65に調整することができる。
かかるガラス転移点と屈折率特性とを有する共重合ポリエステルの中でも、延伸時の複屈折特性の抑制と熱結晶化の抑制の観点から、低結晶性の共重合ポリエステルであることが好ましい。その中でも、特に非晶性ポリエステルであることが好ましい。ここでいう非晶性とは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度20℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満であることを指す。
なお、第2層を形成する共重合ポリエステルのガラス転移点は、フィルムにする前の段階から90℃以上である必要はなく、延伸処理後に90℃以上になっていれば良い。例えば2種以上のポリエステルをブレンドし、これらを溶融混練時にエステル交換させたものであってもよい。
[最外層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、少なくとも一方の面に第2層からなる5um〜50μmの最外層を有し、その厚みは好ましくは5〜45μm、より好ましくは7〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmである。
第2層からなる最外層厚みが下限に満たない場合、プリズム層と1軸延伸多層積層フィルムとの密着性が十分でなく、プリズム層の剥離が生じやすくなる。該最外層厚みの上限については、製造上の観点、および1軸延伸多層積層フィルム全体の薄膜化の観点より、上述の範囲内とすることが好ましい。
本発明において、一定厚みの第2層を最外層とすることによるプリズム密着性向上のメカニズムとして、前記第2層からなる最外層がクッション効果を奏し、プリズム層と1軸延伸多層積層フィルムとの界面にかかる応力の一部が緩和されるため、プリズム密着性向上に寄与するものと考えられ、最外層厚みが下限に満たないとかかる効果が十分に発現しない。
前記最外層は、1軸延伸多層積層フィルムの製造時にスリットの設計によって層厚みが調整されたものでもよく、また積層フィルム製造後に別工程でさらに積層されたものでもよい。また、後述するダブリングの手法をもちいて交互積層体の積層数を増やす場合、バッファ層が1軸延伸多層積層フィルムの内部に位置する中間層(以下、内部厚膜層と称することがある)と最外層として配置されたものであることが好ましい。
本発明において、1軸延伸多層積層フィルムの積層数を増やす場合、多層積層フィルムの製造の初期段階で、101層以上の交互積層体の両側に厚膜の層(厚み調整層、バッファ層と称することがある)を形成し、その後ダブリングにより積層数を増やす方法が好ましく用いられる。
ダブリングとは例えば101層の交互積層体を最初に作成した場合、これを2分割、3分割、あるいは4分割したものを積層する手法であり、最初の交互積層体を1ブロックとした場合にブロック同士を積み重ねた数をダブリング数と称する。かかるダブリング工程は、レイヤーダブリングブロックと呼ばれる分岐ブロックを用いて行うことができる。
ダブリング数が2以上の場合、最初の交互積層体の両側に存在するバッファ層がダブリングにより2層積層されてダブリング後の交互積層体の中間に配置され、これを本発明において中間層と称する。またかかるバッファ層がダブリングにより最終的に最表層に配置されたものが本発明における最外層に相当する。
交互積層体の内部にかかる中間層が存在することにより、偏光機能に影響を及ぼすことなく、第1層および第2層を構成する各層厚みを均一に調整しやすくなり、反射性能を高めることができる。本発明においてバッファ層ないし中間層を配置する場合は、第2層と同じ組成であることが好ましい。第1層を形成するポリエステルをバッファ層に用いた場合、裂けやすい、割れやすいなど物理的な耐久性が低下することがある。
[塗布層]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上述の第2層からなる最外層の少なくとも片面に厚み0.02〜0.50μmの塗布層を有しており、該塗布層はアクリルバインダーを含有し、かつ平均粒子径0.05〜0.50μmの粒子を該塗布層を基準として0.1〜5.0重量%含有する。
一般にポリエチレンテレフタレートフィルム上に易接着塗布層を設ける場合、バインダー成分としてガラス転移点が30〜100℃程度のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが用いられることが多く、さらに塗布層に粒子を添加することで、同時に巻き取り性も確保できる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第2層の組成からなる厚膜層を多層積層の最外層として設け、さらに第2層からなる最外層の少なくとも片面にさらに本発明の塗布層を有することにより、プリズム層との密着性を高めることができる。かかる最外層、塗布層のいずれか片方の層だけではプリズム層の剥離などを実用レベルにまで低減させるのが難しい。
本発明における第2層は偏光度を高めるために光学等方性であることが好ましく、等方性を高める方法として、第2層を無配向状態とすることや、あるいは製造上熱固定処理を行わないといった方法が採られる。そのため、かかる最外層の表層にさらに塗布層を設けるにあたり、第2層を形成する共重合ポリエステルと相溶性の高いポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などを塗布層に用いると、塗膜が第2層を形成する共重合ポリエステルと混合してしまい、塗布層に粒子を添加しても十分な巻き取り性の確保が難しい。
そのため、第2層の組成からなる厚膜層を最外層として設け、その少なくとも片面にさらに塗布層を設けるにあたり、かかる最外層との密着性と巻き取り性を高めるために、塗布層がアクリル系バインダーを含み、かつ所定サイズの粒子を一定量含有することが必要である。アクリル系バインダーと前記粒子との組み合わせにより、プリズム層と本発明の1軸延伸多層積層フィルムとの密着性を高めつつ、本発明の第2層の組成からなる最外層を有していても十分な巻き取り性が得られる。
またプリズム層を本発明の1軸延伸多層積層フィルムの少なくとも一方の面に積層するにあたり、プリズム層として一般的に無溶剤型UV硬化性アクリル樹脂が用いられるため、プリズム層との密着性の観点からも、塗布層がアクリル系バインダーを含むことが好ましい。
アクリル系バインダーの種類は特に限定されないが、アクリル共重合体が好ましく、主成分はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどで構成されることが好ましい。かかる主成分は1種のみならず複数の成分を用いてもよく、構成比を変更することでガラス転移点を調整することができる。これらの中でも、ガラス転移点の調整がしやすいことから、メチルアクリレート‐エチルアクリレート共重合体が好ましい。
さらに、上述のアクリル系バインダーに加えて、密着性向上成分もしくは自己架橋成分として、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基、シアノ基などを含むアクリル成分を従たる共重合成分として添加することが好ましい。
従たる共重合成分の(メタ)アクリレートとしては、例えば以下に例示されるものを用いることができる。すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシルアクリレート、2−ヒドロキシルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルブチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシジエチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリルニトリル、アクリロイルモルホリン、オキセタンメタクリレート、N−メチロールアクリルアミドなどがあげられる。
その中でも、アクリロニトリル、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシルエチルアクリレートなどが好ましい。
無溶剤であるプリズム層との密着性を確保する観点と、水性塗液の粘度を低減する観点から、アクリル系バインダーは水性エマルジョンであることが好ましい。
かかるエマルジョンの粒径は、20〜80nmの範囲であることが好ましい。エマルジョンの粒径が80nmを超えると塗膜の透明性が低下することがある。一方で、エマルジョンの粒径が20nmに満たないと水溶性のアクリル系バインダーに近くなり、プリズム層との密着性が低下することがある。
また、塗布層に用いられる粒子として、シリカ粒子などの不活性無機粒子、アクリル粒子などの不活性有機粒子、もしくは有機無機複合粒子を添加することが好ましい。塗布層に用いられる粒子として、平均粒子径が0.05〜0.50μmの粒子を用い、より好ましくは0.10〜0.40μmの平均粒子径の粒子である。平均粒子径が下限に満たないと十分な巻取り性が得られない。また上限より大きな平均粒子径の粒子を用いても巻き取り性のさらなる向上効果が得られ難くなる一方、塗布層の透明性が低下する。
塗布層に用いられる粒子の含有量は、塗布層の重量(以下、塗布層あるいは塗布層組成物の固形分と称することがある)を基準として0.1〜5.0重量%であり、好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.3〜2.5重量%である。粒子の含有量が下限に満たないと十分な巻き取り性が発現せず、一方で上限より粒子含有量を増やしても、巻き取り性のさらなる向上効果が得られ難くなる一方、塗布層の透明性が低下する。
また、水性塗液を薄膜状に塗布するため、塗布層の組成物には界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤は、エマルジョンの分散性向上および安定化させる一方で、プリズム層との密着性が低下することがある。そのため、界面活性剤の含有量は効果を発現する範囲内で最小限の使用量にとどめることが好ましく、具体的には水性塗液の重量を基準として0.02〜0.30重量%の添加量にとどめることが好ましく、塗布層基準(塗布層組成物の固形物基準)で2〜20重量%の含有量にとどめることが好ましい。
界面活性剤の例として、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等を用いることができる。例えばポリオキシアルキレン−脂肪酸エーテル、ポリオキシアルキレン−芳香族酸エーテル、ポリオキシアルキレン−脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン−芳香族酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(共重合体)−脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(共重合体)−芳香族酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を用いることができる。
中でもプリズム層との密着性向上の観点より、ポリオキシアルキレン−脂肪酸エーテル、ポリオキシアルキレン−芳香族酸エーテルが好ましく、例えばポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
かかる塗布層組成物の添加量は、塗布液を基準として固形分が1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。該添加量が1重量%未満だと塗膜の安定性が低下することがあり、塗布筋やハジキなどの塗布欠点が発生しやすくなり、10重量%より大きいと密着性が低下することがある。
本発明における塗布層の厚みは0.02〜0.50μmであり、好ましくは0.05〜0.30μm、さらに好ましくは0.05〜0.20μmである。塗布層の厚みが下限に満たないとプリズム層との密着性効果が十分に発現しない。また上限を超えて塗布層を厚くしてもそれ以上の密着性改良は難しくなる。
[1軸延伸多層積層フィルムの積層構成]
(積層数)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上述の第1層および第2層が交互に合計101層以上積層される構成を有する。積層数が100層以下であると、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmにわたり一定の平均反射率が発現しないことがある。
積層数の上限値は、生産性およびフィルムのハンドリング性など観点から2001層が好ましいが、目的とする平均反射率特性が得られれば生産性やハンドリング性の観点からさらに積層数を減らしてもよく、例えば1001層、501層、301層であってもよい。目的とする反射特性を満たす範囲内で、より少ない積層数とすることにより、本発明で得られる光学部材の厚みをより薄くすることができる。
(各層厚み)
第1層および第2層の各層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。また第1層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.1μm以下、第2層の各層の厚みは、より好ましくは0.01μm以上0.3μm以下である。各層の厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを輝度向上フィルムとして用いる場合、可視光域から近赤外線領域の光を反射することにより、光源の光を効率よく再利用できる。第1層および第2層の各層の厚みをかかる範囲とすることにより、かかる波長域の光を層間の光干渉によって選択的に反射することが可能となる。一方、層厚みが0.5μmを超えると反射帯域が赤外線領域になり、ディスプレイの視認性に影響しなくなるため、光の利用効率への寄与が低下する。また層厚みが0.01μm未満であると、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなる。
(最大層厚みと最小層厚みの比率)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層および第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0以上5.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.0以上3.5以下、特に好ましくは2.0以上3.0以下である。かかる層厚みの比率は、具体的には最小層厚みに対する最大層厚みの比率で表わされる。第1層、第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
多層積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、層の厚みによって反射する波長が決まるが、積層された第1層および第2層のそれぞれが一定の厚みでは、特定の波長のみしか反射することができず、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmの幅広い波長帯にわたって均一に平均反射率を高めることができないため、厚みの異なる層を用いることが好ましい。
一方、最大層厚みと最小層厚みの比率が上限値を超える場合は、反射帯域が400〜800nmよりも広がり、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の可視光域の反射率の低下を伴うことがある。
第1層および第2層の層厚みは、段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよい。このように積層された第1層および第2層のそれぞれが変化することで、より広い波長域の光を反射することができる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムにおける多層構造を積層する方法は特に限定されないが、例えば、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた第1層と第2層が交互に積層され、その流路が連続的に2.0〜5.0倍までに変化する多層フィードブロック装置を使用する方法が挙げられる。
(第1層と第2層の平均層厚み比)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比が0.5倍以上2.0倍以下の範囲であることが好ましい。第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の下限値は、より好ましくは0.8である。また、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比の上限値は、より好ましくは1.5である。最も好適な範囲は、1.0以上1.3以下である。
第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みの比を最適な厚み比にすることにより、多重反射による光漏れを最小化できる。ここでいう最適な厚み比とは、(第1層の延伸方向の屈折率)×(第1層の平均層厚み)で表される値と、(第2層の延伸方向の屈折率)×(第2層の平均層厚み)で表される値(光学厚さ)とが均等になる厚みである。
[1軸延伸フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、目的とする反射偏光フィルムとしての光学特性を得るために、少なくとも1軸方向に延伸されている。本発明における1軸延伸には、1軸方向にのみ延伸したフィルムの他、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムも含まれる。1軸延伸方向(X方向)は、フィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。また、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムの場合は、より延伸される方向(X方向)はフィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよく、延伸倍率の低い方向は、1.03〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが偏光性能を高める点で好ましい。2軸方向に延伸され、一方向により延伸されたフィルムの場合、偏光や屈折率との関係での「延伸方向」とは、より延伸された方向を指す。
延伸方法としては、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
[第1層と第2層の層間の屈折率特性]
第1層と第2層のX方向の屈折率差は0.10〜0.45であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.40、特に好ましくは0.25〜0.30である。X方向の屈折率差がかかる範囲にあることにより、反射特性を効率よく高めることができ、より少ない積層数で高い反射率を得ることができる。
また、第1層と第2層のY方向の屈折率差は0.05以下であることが好ましい。Y方向の層間の屈折率差がかかる範囲にあることにより、偏光性能が高まり好ましい。
[フィルム厚み]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、塗布層も含めたフィルム全体厚みが20〜150μmであり、より好ましくは30〜130μm、さらに好ましくは50〜100μmである。かかる厚みの1軸延伸多層積層フィルムを用いて輝度向上フィルムとすることにより、ディスプレイ端末の部材に適した薄肉部材を提供できる。
[偏光度]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、下記式(1)で表される偏光度(P)が80%以上であり、85%以上であることが好ましい。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
本発明における偏光度の測定は、偏光度測定装置を用いて測定することができる。
上式(1)で特定される偏光度が高いほど、反射偏光成分の透過を抑制し、その直交方向の透過偏光成分の透過率が高いことを意味しており、偏光度がより高いほど反射偏光成分のわずかな光漏れも低減できる。本発明の1軸延伸多層積層フィルムがかかる偏光度を有することにより、輝度向上フィルムなどの反射偏光特性が求められる用途に用いることができる。また、99.5%以上の偏光度を有する場合は、従来は吸収型偏光板でなければ適用が難しかったコントラストの高い液晶ディスプレイの偏光板として、反射偏光板単独で適用することができる。
かかる偏光度特性は第1層と第2層を構成するポリマーとして上述した種類のものを用い、1軸延伸によってX方向、Y方向、Z方向の層間の屈折率を特定の関係にすることで得られる。
[S偏光平均透過率]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムの400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率Tsは60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明におけるS偏光平均透過率は、1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分について、入射角0度での該入射偏光に対する波長400〜800nmの平均透過率を表している。
該S偏光平均透過率が下限に満たないと、輝度向上フィルムなどに用いた場合、反射偏光成分をフィルムで吸収せずに光源側に反射させ、再度その光を有効活用する光リサイクル機能を考慮しても、輝度向上効果の優位性が十分ではないことがある。
[1軸延伸多層積層フィルムの製造方法]
つぎに、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの製造方法について詳述する。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを溶融状態で交互に重ね合わせて合計で101層以上の交互積層体を作成し、その両面に厚膜の層(バッファ層)を設け、レイヤーダブリングと呼ばれる装置を用いて該バッファ層を有する交互積層体を例えば2〜4分割し、該バッファ層を有する交互積層体を1ブロックとしてブロックの積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる。かかる方法により、多層構造の内部にバッファ層同士が2層積層された中間層と、バッファ層1層からなる最外層を両面に有する1軸延伸多層積層フィルムを得ることができる。
また本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、上記のダブリング法を用いる以外に、第1層を構成するポリマーと第2層を構成するポリマーとを溶融状態で交互に重ね合わせて合計で101層以上の目的とする積層数とし、各層の厚みを段階的または連続的に2.0〜5.0倍の範囲で変化するように積層してもよい。
上述した方法で所望の積層数に積層化された多層未延伸フィルムは、製膜方向、またはそれに直交する幅方向の少なくとも1軸方向(フィルム面に沿った方向)に延伸される。延伸温度は、第1層のポリマーのガラス転移点の温度(Tg)〜(Tg+50)℃の範囲で行うことが好ましく、さらに延伸温度の上限を(Tg+20)℃以下の範囲で行うことが好ましい。(Tg+20)℃以下の延伸温度で延伸した場合、フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
このときの延伸倍率は2〜10倍であることが好ましく、より好ましくは2〜7倍、さらに好ましくは2.5〜7倍、特に好ましくは4.5〜6.5倍である。かかる範囲内で延伸倍率が大きい程、第1層および第2層における個々の層の面方向のバラツキが延伸による薄層化により小さくなり、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一化され、また第1層と第2層の延伸方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。
このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
また、かかる延伸方向と直交する方向(Y方向)にも延伸処理を施し、2軸延伸を行う場合は、1.03〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが好ましい。Y方向の延伸倍率をこれ以上高くすると、偏光性能が低下することがある。
また、延伸後にさらに(Tg)〜(Tg+30)℃の温度で熱固定を行いながら、5〜15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させてもよく、得られた1軸延伸多層積層フィルムの配向特性をより高度に制御することができる。
本発明において上述の塗布層を設ける場合、1軸延伸多層積層フィルムへの塗布は任意の段階で実施することができるが、フィルムの製造過程で実施することが好ましく、延伸前のフィルムに対して塗布することが好ましい。
[輝度向上フィルム]
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、第1層、第2層それぞれに上述の組成のポリエステルを用い、交互に多層に積層し、一方向に延伸することにより、一方の偏光成分を選択的に反射し、該偏光成分と垂直方向の偏光成分を選択的に透過させる性能を奏するため、液晶ディスプレイなどの輝度向上フィルムとして用いることができる。輝度向上フィルムとして用いた場合に良好な輝度向上率が得られ、透過しなかった偏光成分を光源側に反射させることによって光を再利用できる。
また、本発明の1軸延伸多層積層フィルムの少なくとも一方の面にプリズム層あるいは拡散層を積層してもよい。その際、上述した塗布層を介してプリズム層あるいは拡散層が積層されることが好ましい。
さらに本発明の1軸延伸多層積層フィルム上にプリズム層を設けたプリズム層付輝度向上フィルムも本発明の好ましい態様として包含される。輝度向上フィルムとプリズム層とをユニット化することにより、組み立て時の部材数を低減でき、輝度向上フィルムの機能とプリズムの機能を統合した高品質な複合光学フィルムを提供できる。また、本発明の1軸延伸多層積層フィルムを用いてプリズム層と貼り合せることにより、加工時などに加わる外力によるプリズム層の剥離などを抑制できるため、より信頼性の高い輝度向上フィルムを提供できる。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムを輝度向上フィルムとして用いる場合、図1に示すような構成で液晶ディスプレイ装置に用いることができる。
具体的には、液晶ディスプレイの光源5と、偏光板1/液晶セル2/偏光板3で構成される液晶パネル6との間に輝度向上部材4を配置する態様の液晶ディスプレイ装置が例示される。また、プリズム層の設置位置は特に限定されないが、パネル側に設置する際には頂角90度程度が好ましく、バックライト側に設置する際には、頂角が60度程度が好ましい。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。
なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
(1)偏光度
得られた1軸延伸多層積層フィルムを偏光度測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いてP偏光の透過率、S偏光の透過率、および偏光度を測定した。
偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向(X方向)と合わせるように配置した場合の測定値をP偏光とし、偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向と直交するように配置した場合の測定値をS偏光としたときの偏光度(P,単位%)は以下の式(1)で表される。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
なお、測定光の入射角は0度に設定して測定を行った。
(2)ポリマーの融点(Tm)およびガラス転移点(Tg)
各層試料を10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC Q400)を用い、20℃/min.の昇温速度で、各層を構成するポリマーの融点およびガラス転移点を測定した。
(3)ポリマーの特定ならびに共重合成分および各成分量の特定
フィルムの各層について、H−NMR測定よりポリマー成分ならびに共重合成分および各成分量を特定した。
(4)平均屈折率
各層を構成する個々の樹脂について、それぞれ溶融させてダイより押出し、キャスティングドラム上にキャストしたフィルムをそれぞれ用意した。また、得られたフィルムを、(樹脂のガラス転移温度)+20℃にて一軸方向に5.5倍延伸した延伸フィルムを用意した。得られたキャストフィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定して求め、延伸前、延伸後の屈折率とした。
第1層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸前のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。また第2層を構成するポリエステルの平均屈折率については、延伸後のそれぞれの方向の屈折率の平均値を平均屈折率とした。
(5)各層の厚み
1軸延伸多層積層フィルムをフィルム長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断し、5nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用いて加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
得られた各層の厚みをもとに、第1層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率、第2層における最小層厚みに対する最大層厚みの比率をそれぞれ求めた。
また得られた各層の厚みをもとに、第1層の平均層厚み、第2層の平均層厚みをそれぞれ求め、第1層の平均層厚みに対する第2層の平均層厚みを算出した。
なお、第1層と第2層の厚みを求めるに際し、中間層および最外層は第1層と第2層から除外した。
また1軸延伸多層積層フィルムを構成する1μm以上の厚さの層について、多層構造の内部に存在しているものを中間層、最表層に存在しているものを最外層とし、それぞれの厚みを測定した。また中間層が複数存在する場合は、それらの平均値より中間層厚みを求めた。
また塗布層についても上記と同様の方法で塗布層厚みを求めた。
(6)フィルム全体厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
(7)粒子の平均粒子径
層厚みの測定と同様の測定を行い、塗布層中の100個の粒子の粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
(8)粒子の含有量
塗布層を形成するバインダー成分を溶解し、粒子は溶解させない溶媒を選択し、サンプリングした塗布層を溶解処理した後、粒子を遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率(重量%)をもって粒子の含有量とした。
(9)摩擦係数
JIS−K7125に従い、静摩擦係数μs、動摩擦係数μkを測定した。測定は5回行い、平均値を結果とした。
(10)ヘイズ
JIS−K7136に従い、ヘーズ測定器(日本電色工業社製NDH―2000)を用いて測定した。
(11)輝度向上効果(輝度向上率)
VA型液晶ディスプレイパネル(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)を用いて、プリズムフィルムと上側の拡散フィルムを取り除き、得られたプリズム層付輝度向上フィルムと置き換え、白色表示したときの液晶ディスプレイ画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、置き換える前の構成に対する輝度の上昇率を算出し、輝度向上効果を下記の基準で評価した。
○:輝度向上効果が150%以上
△:輝度向上効果が120%以上、150%未満
×:輝度向上効果が120%未満
(12)プリズム層との密着性
プリズムレンズのパターンを形成したガラス型に、下記組成からなる紫外線硬化型アクリル樹脂を流し込み、その上に得られたポリエステルフィルムの塗布層面を該樹脂側にして密着させ、ガラス製の型の面側の30cmの距離から紫外線ランプ(照射強度80W/cm、6.4KW)を用いて30秒間照射し樹脂を硬化させ、頂角90度、ピッチ50μm、高さが30μmのプリズムレンズ層を形成して輝度向上シートを得た。得られた輝度向上シートの加工面に、碁盤目のクロスカット(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
<紫外線硬化型アクリル樹脂>
エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(日立化成工業社製FA−321M) 46重量%
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬化学工業社製R−604) 25重量%
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート192) 27重量%
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製Darocur1173) 2重量%
<密着性評価基準>
○:剥離面積が5%未満 (密着力が良好)
△:剥離面積が5%以上30%未満
×:剥離面積が30%以上(密着力が不良)
(13)耐ブロッキング性
2枚のサンプルフィルムを塗布層形成面同士が接するように重ね合わせ、これに80℃、80%RHの雰囲気下で17時間にわたり0.6kg/cmの圧力をかけて、その後で剥離して、剥離時の剥離力によって、耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。
○: 剥離力 < 98mN/5cm幅 (良好)
△: 98mN/5cm幅 ≦ 剥離力 < 196mN/5cm幅 (やや良好)
×:196mN/5cm幅 ≦ 剥離力 (不良)
[実施例1]
第1層用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.55dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)を準備した。
また、第2層用ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、酸成分の60モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(表中、PENと記載)、酸成分の40モル%がテレフタル酸成分(表中、DMTと記載)、グリコール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステル(DMT40PEN)(固有粘度0.63dl/g)を準備した。
第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた後、第1層と第2層が交互に積層され、かつ第1層と第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みが最大/最小で2.2倍まで連続的に変化するような多層フィードブロック装置を使用して、第1層と第2層が交互に積層された総数275層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その両側に第3の押出機から第2層用ポリエステルと同じポリエステルを3層フィードブロックへと導き、総数275層の積層状態の溶融体の両側にバッファ層をさらに積層した。両端層(バッファ層)は、全体の42%になるよう第3の押出機の供給量を調整した。その積層状態を更にレイヤーダブリングブロックにて、2分岐して1:1の比率で積層し、内部に1つの中間層、最表層に2つの最外層を含む全層数553層の積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、第1層と第2層の平均層厚み比が1.0:1.2になるように調整し、全層数553層の未延伸の多層積層フィルムを作成した。
この未延伸の多層積層フィルムの片面に固形分濃度4%で表2に示す組成の塗液Aを、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにロールコーターで均一に塗布した。
この未延伸の多層積層フィルムを130℃の温度で幅方向に5.2倍に延伸した。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは85μmであった。得られた1軸延伸多層積層フィルムの塗布層面上に、測定方法(12)の方法に準じてプリズム層を積層したプリズム層付輝度向上フィルムを用い、測定方法(11)の方法で輝度向上効果を測定した。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムはプリズム層とフィルムとの間の高い密着性を有しており、プリズム層の剥離が低減された。また耐ブロッキング性にも優れるため巻き取り性が良好であった。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
表1、表2に示すとおり、樹脂組成、積層構成、塗布層組成を変更した以外は実施例1と同様にして、1軸延伸多層積層フィルムおよびプリズム層付輝度向上フィルムを得た。また、実施例4はレイヤーダブリングブロックによる分岐処理は行わなかった。
[実施例5]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.63dl/gで、酸成分の70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の30モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分(表中、ENAと記載)、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(表中、ENA30PENと記載)を第1層用ポリエステルとし、第2層用ポリエステルをとして2,6−ナフタレンジカルボン酸(表中NDCと記載)66mol%、テレフタル酸34mol%、エチレングリコール50mol%、スピログリコール(表中SPGと記載)15mol%、トリメチレングリコール(表中TMGと記載)35mol%、からなる共重合ポリエステル(固有粘度0.70dl/g)を準備した。
準備した第1層用ポリエステルを170℃で5時間乾燥、第2層用ポリエステルを85℃8時間乾燥後、それぞれ第1、第2の押出機に供給し、300℃まで加熱して溶融状態とし、第1層用ポリエステルを138層、第2層用ポリエステルを137層に分岐させた後、第1層と第2層が交互に積層され、かつ第1層と第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みが最大/最小で3.1倍、3.0倍まで連続的に変化するような多層フィードブロック装置を使用して、第1層と第2層が交互に積層された総数275層の積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したまま、その両側に第3の押出機から第2層用ポリエステルと同じポリエステルを3層フィードブロックへと導き、総数275層の積層状態の溶融体の積層方向の両側にバッファ層をさらに積層して。両側のバッファ層(最外層)の合計が全体の80%となるよう第3の押出機の供給量を調整した。
最外層を含む全層数277層の積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして、第1層と第2層の平均層厚み比が1.0:1.0になるように調整し、全層数277層の未延伸多層積層フィルムを作成した。
この未延伸の多層積層フィルムの片面に固形分濃度4%で表2に示す組成の塗液Aを、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにロールコーターで均一に塗布した。
この多層未延伸フィルムを120℃の温度で幅方向に6.5倍に延伸し、さらに120℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った。得られた1軸延伸多層積層フィルムの厚みは112μmであった。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの塗布層面上に、測定方法(12)の方法に準じてプリズム層を積層したプリズム層付輝度向上フィルムを用い、測定方法(11)の方法で輝度向上効果を測定した。
本発明の1軸延伸多層積層フィルムはプリズム層とフィルムとの間の高い密着性を有しており、プリズム層の剥離が低減された。また耐ブロッキング性にも優れるため巻き取り性が良好であった。
[参考例1]
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.62dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで95℃で幅方向に4.0倍に延伸した後、その片面に表2に示す塗布層構成成分からなる塗液D(固形分濃度4重量%)を乾燥後の塗布厚み0.1μmとなるようにロールコーターで均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを引き続いて95℃で乾燥し、180℃で幅方向に3%収縮させ熱固定した以外は実施例1と同様の方法で、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られた1軸延伸多層積層フィルムの塗布層面上に、測定方法(12)の方法に準じてプリズム層を積層したプリズム層付輝度向上フィルムを用い、測定方法(11)の方法で輝度向上効果を測定した。
ポリエチレンテレフタレート単層フィルムの場合はポリエステルをバインダー成分とする塗布層を用いてプリズム層との密着性を高めることができた。
[塗布層成分]
(アクリルA)
メチルメタクリレート60モル%/エチルアクリレート30モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%で構成されている(Tg=40℃)。四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硫酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマー類である、メチルメタクリレート46.7部、エチルアクリレート23.3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5部、N−メチロールアクリルアミド3.4部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌しながら反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25重量%のアクリル1の水分散体を得た。
(アクリルB)
メチルメタクリレート60モル%/エチルアクリレート35モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%で構成される組成になるようにモノマー組成を調整した以外は、アクリルAと同様にして、合成した。
(ポリエステルA)
酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸75モル%/イソフタル酸20モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=80℃、平均分子量15000)。
ポリエステルAは、下記の通り製造した。すなわち、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル51部、イソフタル酸ジメチル11部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4部、エチレングリコール31部、ジエチレングリコール2部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで攪拌器のモータートルクの高い重合釜で反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度が0.56のポリエステルAを得た。このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。固形分が25重量%のポリエステルAの水分散体を得た。
(ポリエステルB)
酸成分がテレフタル酸90モル%/イソフタル酸5モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%(Tg=70℃、平均分子量15000)で構成される組成になるように、モノマー組成を調整した以外は、ポリエステルAと同様にして重合した。
(界面活性剤A) ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル
(界面活性剤B) ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
(界面活性剤C) ポリオキシエチレンオレイルエーテル
(粒子A)
アクリル真球状粒子(平均粒子径:150nm:株式会社日本触媒製、商品名「エポスターMX−100W」)
(粒子B)
アクリル真球状粒子(平均粒子径:300nm:株式会社日本触媒製、商品名「エポスターMX−200W」)
(粒子C)
シリカ真球状粒子(平均粒子径:500nm:株式会社日本触媒製、商品名「シーホスターKE−W50」)
本発明の1軸延伸多層積層フィルムは、反射偏光性能と、フィルム上に形成するプリズム層とフィルムとの間の高い密着性を備え、同時に巻取性にも優れることから、輝度向上フィルムの機能とプリズムの機能を統合した高品質な複合光学フィルムを提供できる。
1 偏光板
2 液晶セル
3 偏光板
4 輝度向上フィルム
5 光源
6 液晶パネル

Claims (4)

  1. 第1層と第2層とが交互に積層された1軸延伸多層積層フィルムであって、
    1)該第1層はエチレンナフタレート単位を含むポリエステルを含有し、
    2)該第2層を形成するポリマーが90℃以上のガラス転移点を有し平均屈折率が1.55〜1.65である共重合ポリエステルであり、
    3)該第1層と該第2層の交互積層数が合計で101層以上であり、かつ少なくとも一方の面に第2層からなる5um〜50μmの最外層を有し、
    4)前記の第2層からなる最外層の少なくとも片面に厚み0.02〜0.50μmの塗布層を有し、該塗布層がアクリルバインダーと、平均粒子径0.05〜0.50μmの粒子を該塗布層を基準として0.1〜5.0重量%含有し、
    5)該塗布層を含めたフィルム全体厚みが20〜150μmであって、
    6)下記式(1)で表される偏光度(P)が80%以上であることを特徴とする1軸延伸多層積層フィルム。
    偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
    (式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
  2. 該第1層は、さらにジカルボン酸成分として、テレフタル酸成分、下記式(A)で表される成分の少なくともいずれか1成分を含有する、請求項1に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
    (式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表わす)
  3. 第2層を形成する共重合ポリエステルが脂環族ジオール成分を含み、該脂環族ジオール成分がスピログリコール、トリシクロデカンジメタノールおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の1軸延伸多層積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の1軸延伸多層積層フィルム上にプリズム層を設けたプリズム層付輝度向上フィルム。
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