JP2016024099A - 非破壊検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 検査対象鉄筋と同鉄筋と交差する交差鉄筋とが埋設されたコンクリート体の表面上において、磁石を検査対象鉄筋の長手方向に沿って配置して、検査対象鉄筋と交差鉄筋とを磁化させる主たる着磁工程と、主たる着磁工程において磁石を配置した位置から検査対象鉄筋の幅方向に所定距離離隔した位置おいて、磁石を検査対象鉄筋の長手方向沿って配置し、前記両鉄筋を再度磁化させる従たる着磁工程と、その後、磁気センサによってコンクリート体の表面における検査対象鉄筋に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、測定された磁束密度に基づいて、検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含む非破壊検査方法である。
【選択図】 図4
Description
例えば、特許第3734822号公報(特許文献1)に記載された非破壊検査方法は、永久磁石を、コンクリートに埋設された検査対象の鉄筋の長手方向に沿って、コンクリートの表面上を移動させることにより鉄筋を磁化させ、その後、コンクリートの表面から漏れる磁束密度を測定し、更に得られた測定値の微分値を算出して鉄筋の破断の有無を検出するものである。
そこで本願発明は、検査対象鉄筋以外の鉄筋の中でも、一般に設置数量が多く、検査対象鉄筋と略直交して設けられる交差鉄筋の磁気の影響を低減すると共に、検査対象鉄筋が破断部を有する場合に特徴的に現れる磁束密度の変化の性質を利用することで、破断部の有無を極めて正確に検出することができる非破壊検査方法を提供することを目的としている。
前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、次いで該磁石を前記検査対象鉄筋の長手方向に沿って移動させることにより前記両鉄筋に着磁した後、該磁石を撤去する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に後記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置において、前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極の相対位置が前記主たる着磁工程と同じになるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、次いで該磁石を前記検査対象鉄筋の長手方向に沿って移動させることにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法である。
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線におけるS極側方向をX方向とし、前記磁石の磁化面を下側に向けた場合に該磁化面と平行であり、かつX方向に向かって左側に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交し、かつ前記磁石の磁化面側方向をZ方向とする。
かかる場合に、前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の中央位置からZ方向に向かって、該磁石の磁化面から100mm離隔した位置をP1とし、位置P1からY方向に離隔して、かつ磁束密度のX方向成分が、位置P1における磁束密度のX方向成分の約1/4の値を示す位置をP2とし、位置P1と位置P2との離隔距離を「距離D」として決定する。
なお、主たる着磁工程と従たる着磁工程とでは、磁石を「距離D」以上離隔した位置において略平行の軌道によって移動させるが、その作業を容易かつ正確に行うために、例えばコンクリート体の表面上にガイドレールを設けたり、マーキングを行ったりしても良い。
そのためには、1個または複数個の磁気センサを適宜に移動させつつ磁束密度を測定すればよく、例えば、磁気センサを、検査対象鉄筋の長手方向に沿ってコンクリート体の表面付近を移動させながら磁束密度を測定することができる。あるいは、コンクリート体の表面に配置された磁気センサを、コンクリート体表面に近接させたまま、検査対象鉄筋の長手方向と直交する方向に往復移動させつつ、少しずつ検査対象鉄筋の長手方向にずらすことによって、検査対象鉄筋の磁束密度を測定し、この測定結果から検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を算出することもできる。
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の長さが、前記検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の場合に、該磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に着磁した後、該磁石を撤去する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に前記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置において、前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極の相対位置が前記主たる着磁工程と同じになるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法である。
すなわち、前記第3の発明は、磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線(以下「両磁極中心線」ともいう。)の長さが、検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の長尺状磁石を用い、その両磁極が検査対象鉄筋の長手方向に沿うようにコンクリート体の表面に近づけて配置し、その後磁石を移動させることなく着磁を行う主たる着磁工程と、従たる着磁工程とを有している。
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の長さが、前記検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の場合に、該磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に着磁する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において配置された前記磁石を、その配置位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に前記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置まで、該磁石の磁化面を前記コンクリート体の表面に近づけた状態のまま略平行移動させることにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法である。
すなわち、前記第5の発明は、前記第3の発明と同様に、磁石の両磁極中心線の長さが、検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の長尺状磁石を用い、その両磁極が検査対象鉄筋の長手方向に沿うようにコンクリート体の表面に近づけて配置する主たる着磁工程を有するが、さらに、前記第3の発明とは異なり、主たる着磁工程において配置された長尺状磁石を、「距離D」以上離隔した所定位置まで、略平行移動させる従たる着磁工程を有している。
磁束密度測定工程で測定された磁束密度の垂直成分に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長としている。
特に、前記第7の発明のように磁束密度の「垂直成分」を測定し、その垂直成分の微分値または微分近似値を算出してグラフに表した場合、鉄筋の破断部に起因するピーク値が1つだけ大きく現れるため、このピーク値と閾値との比較においては誤認識が生じ難いことから、破断部の検出精度をさらに高めることができる。
したがって、前記微分値または微分近似値を算出することにより、これらと比較するための閾値を設ける際に、環境磁場の磁束密度を考慮する必要がないため、非常に便宜であり、また破断部の検出精度の向上に資することができる。
A−a:主鉄筋および交差鉄筋
本願発明に係る非破壊検査方法の原理を説明する。
図1および図2は、破断部を含まない主鉄筋(検査対象鉄筋)2が埋設されたコンクリート体1のX方向断面を示す図であり、また、図11および図12は、破断部Hのある主鉄筋2(2N、2P)が埋設されたコンクリート体1のX方向断面を示す図であり、これらの図において、コンクリート体1内には検査対象である主鉄筋2と、この主鉄筋2に対して略直交して配置された検査対象でない交差鉄筋3が埋設されている。
A−b−1:磁石による鉄筋の磁化
主鉄筋2に破断部がない場合について説明する。
図1に示すように、磁石5を、その両磁極を主鉄筋2の長手方向に沿わせ、N極が図左側にS極が図右側になるように、コンクリート体1の表面1Aに磁石5の磁化面5Aを近接させて配置すると、磁石5からの磁力線51の影響で、主鉄筋2はその図左側がS極に、図右側がN極に磁化されるため、主鉄筋2の内部にはX方向を向いた磁束2Aが生ずる。また、図左側の交差鉄筋3Lの磁石5に近い部分は、磁力線51の影響でS極に磁化されるため、コンクリート体表面1A上にはZ方向を向いた磁束3LAが生じ、図右側の交差鉄筋3Rの磁石5に近い部分はN極に磁化されるため、コンクリート体1A上には−Z方向を向いた磁束3RAが生ずる。
但し、磁石5と主鉄筋2との距離が近過ぎると、検査の障害となる余分な磁気が生ずる場合があるため、そのような恐れがあれば、磁石5をコンクリート体表面1Aから少し上方に離した位置に配置すればよい。
また、配置する磁石5の両磁極の向きは、本実施形態とは逆にS極を図左側としN極を図右側としてもよい。
次に、図2および図3に示すように、コンクリート体表面1A上における主鉄筋2の略真上に配置した磁石5を、主鉄筋2の長手方向(X方向)に移動させることにより「主たる着磁」を行う。
図2および図3は、いずれも「主たる着磁」の実施状態を表しており、図2は、コンクリート体1の、主鉄筋2の長手方向であるX方向断面を示している。また図3は、コンクリート体1の、主鉄筋2の幅方向であるY方向断面であって、磁石5を、そのS極を図の手前側にN極を図の奥側にして、X方向(図3の奥側から手前側に向かう方向)に向けて移動させた状態を表している。
このとき、主鉄筋2は磁化されてX方向の磁束2Aが生ずる。また、交差鉄筋3のうち、磁石5が移動した軌道の真下に位置する部分は、その近傍を最後に通過した磁石5のN極の影響を受けてS極に磁化される。したがって、かかる交差鉄筋3のS極に磁化された部分(交差鉄筋3のうち主鉄筋2の真上に位置する部分)の上方のコンクリート体表面1A上には、磁束密度が比較的大きなZ方向の磁束3A(3A1)が生ずる。
同様に、図4〜図6、図11、図18および図24においても、交差鉄筋3と重なり合うように表された磁束3Aおよび磁束3A1〜磁束3A4は、正確には交差鉄筋3の上方のコンクリート体表面1A上に生ずる磁束である。
なお、各磁束を表す矢印の向きは、各磁束の向きを示している。
すなわち、この曲線B0は、主たる着磁後における主鉄筋2の真上の長手方向に沿ったコンクリート体表面1A上における磁束密度の垂直成分の、X方向位置に応じた変化を表している。
ここで、図7のグラフの横軸は、コンクリート体表面1AのX方向の位置(単位:mm)を表しており、縦軸は、当該位置における磁束密度の垂直成分(単位:μT)を表している。
なお、図7の例では、主鉄筋2は直径16mmの鉄筋(異形棒鋼)であり、コンクリートのかぶり厚は150mmである。また、交差鉄筋3は、主鉄筋2と略直交するように埋設された直径13mmの鉄筋(異形棒鋼)であり、コンクリートのかぶり厚は112mmである。また、コンクリートのかぶり厚とは、コンクリート体の表面から埋設された鉄筋の表面までの最短距離である。
次に、図4に示すように、コンクリート体表面1A上における主鉄筋2の真上位置から、主鉄筋2の幅方向であるY方向に250mm離隔した位置において、磁石5を、その両磁極の向きを図2および図3の例と同じにして配置し、次いで主鉄筋2の長手方向であるX方向に移動させることにより「従たる着磁」を行う。
そうすると、前記主たる着磁の場合と同じように、交差鉄筋3のうち、磁石5が移動した軌道の真下に位置する部分は、その近傍を最後に通過した磁石5のN極の影響を受けてS極に磁化されるため、かかる交差鉄筋3のS極に磁化された部分の上方のコンクリート体表面1A上には、磁束密度が比較的大きなZ方向の磁束3A2が生ずる。また同時に、前記主たる着磁によって交差鉄筋3における主鉄筋2の真上に位置する部分から生じた磁束3A1の磁束密度は顕著に小さくなる。
一般に長尺状の鉄筋では、その一部分がS極に磁化されると、鉄筋に磁石としての性質が現れ、その鉄筋におけるS極に磁化された部分の周辺部分は、逆のN極に磁化しようとする作用が生ずる。したがって、前記従たる着磁を行うことで、磁石5の移動軌道の真下に位置する交差鉄筋3の部分がS極に磁化し、磁束密度が比較的大きな磁束3A2が生じた場合、そこから−Y方向に250mm離隔した、交差鉄筋3の前記主たる着磁により既にS極に磁化している部分(交差鉄筋3における主鉄筋2の真上に位置する部分)では、逆のN極への磁化作用が生ずることでS極の磁気が減殺されるため、かかる部分から生ずる磁束3A1の磁束密度が小さくなったと考えられる。
これは、2回目の従たる着磁を行うことで、磁石5の移動軌道の真下に位置する交差鉄筋3の部分がS極に磁化し、磁束密度が比較的大きな磁束3A3が生じるため、そこから−Y方向に500mm離隔した、交差鉄筋3における主鉄筋2の真上に位置する部分では、逆のN極への磁化作用を受けるからである。この交差鉄筋3の部分には、前記従たる着磁(1回目)の後には磁束密度が小さなS極の磁気が残存していたが、かかる2回目の従たる着磁によるN極への磁化作用を受けることで、S極の磁気が消滅し逆にN極の磁気を帯びたと考えられる。
これは、3回目の従たる着磁を行うことで、磁石5の移動軌道の真下に位置する交差鉄筋3の部分がS極に磁化し、磁束密度が比較的大きなZ方向の磁束3A4が生じるため、そこから−Y方向に750mm離隔した、交差鉄筋3のうち主鉄筋2の真上に位置する部分では、逆のN極への磁化作用を受けるからである。
A−c−1:主たる着磁
次に、主鉄筋2に破断部がある場合について説明する。
図11は、主鉄筋2に破断部Hがある場合のコンクリート体1のX方向断面を示している。
また、交差鉄筋3のうち、磁石5が移動した軌道の真下に位置する部分は、その近傍を最後に通過した磁石5のN極の影響を受けてS極に磁化される。したがって、かかる交差鉄筋3のS極に磁化された部分(交差鉄筋3のうち主鉄筋2の真上に位置する部分)の上方のコンクリート体表面1A上には、Z方向の磁束3Aが生ずる。
このように、主鉄筋2に破断部Hがあると、コンクリート体表面1A上での磁束密度の垂直成分が急激に変化するため、この特徴的な急激変化を検出することにより、破断部Hの有無を判断することができる。
この曲線G0では、交差鉄筋3から発せられる磁束の影響で、多数の下向きの凸形状部が現われ磁束密度が数か所で急激変化しているため、主鉄筋2の破断部Hを原因とする磁束密度の急激変化を正確に判別することが難しい。
次に、図4に示すように、コンクリート体表面1A上における主鉄筋2Nおよび2Pの真上位置から、交差鉄筋3の長手方向であるY方向に250mm離隔した位置において、磁石5を、その両磁極の向きを図4および図11の例と同じにして、主鉄筋2Nおよび2Pの長手方向であるX方向に移動させることにより「従たる着磁」を行う。
そうすると、前記主たる着磁の場合と同じように、交差鉄筋3のうち、磁石5が移動した軌道の真下に位置する部分は、磁石5の最後に通過したN極の影響を受けてS極に磁化されるため、かかる交差鉄筋3のS極に磁化された部分の上方のコンクリート体表面1A上には、磁束密度が比較的大きなZ方向の磁束3A2が生ずる。また同時に、前記主たる着磁によって交差鉄筋3における主鉄筋2Nおよび2Pの真上部分から生じた磁束3A1の磁束密度は顕著に小さくなる。
この曲線G25は、グラフ横軸の−150〜−100mm付近に現われている大きな上向きの凸形状部と、100〜150mm付近に現われている大きな下向きの凸形状部を除いて、曲線G0に比べて各凸形状部の高低差が小さくなっている。それは、従たる着磁によって、交差鉄筋3における主鉄筋2Nおよび2Pの真上部分から生じる磁束の磁束密度が小さくなるからである。
したがって、主鉄筋2の破断部Hを原因とする磁束密度の急激変化を、より確実に見出すことができるため、破断部Hの有無の検出精度を高めることができる。
B−a:第1の実施形態
本願発明にかかる非破壊検査方法は、図17に示すとおり、主たる着磁工程101、従たる着磁工程102、磁束密度測定工程103および破断部検出工程104を含む検査方法である。
まず、主たる着磁工程101は、図2および図11に示すように、検査対象の鉄筋である主鉄筋2と、主鉄筋2と交差する検査対象ではない交差鉄筋3とが埋設されたコンクリート体1の外側において、磁石5の磁化面5Aを、磁石5の両磁極が主鉄筋2の長手方向(X方向)に沿うようにコンクリート体1の表面1Aに近づけて配置し、次いで磁石5を主鉄筋2の長手方向に沿って移動させることにより主鉄筋2および交差鉄筋3に着磁した後、磁石5を撤去する工程である。なお、磁石5の両磁極の相対位置は、図2および図11においてS極は右側でN極は左側である。
次に、従たる着磁工程102は、図18に示すように、主たる着磁工程101において磁石5を配置した位置から主鉄筋2の幅方向(Y方向)に後記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置において、磁石5の磁化面5Aを、磁石5の両磁極の相対位置が主たる着磁工程101と同じになるようにコンクリート体表面1Aに近づけて配置し、次いで磁石5を主鉄筋2の長手方向(X方向)に沿って移動させることにより主鉄筋2および交差鉄筋3に再度着磁した後、磁石5を撤去する工程である。
上述のとおり、従たる着磁工程102を適切に行うことで、交差鉄筋3における主鉄筋2の真上部分から生ずる磁束3A1の磁束密度を小さくして、破断部Hの有無の検出精度を高めることができるのであるが、その従たる着磁工程の際に、どのような位置に磁石5を配置すべきかかが重要である。
この点について、本願発明者は、主たる着磁工程101の結果生じた交差鉄筋3からの磁束3A1(図3参照)の磁束密度を、その約1/2以下の大きさに減殺することができれば、主鉄筋2から生ずる磁束の磁束密度をほぼ正確に判別することが可能となり、主鉄筋2の破断部Hを原因とする磁束密度の急激変化をほぼ確実に見出すことができるという知見を経験的に取得した。
ここで、主たる着磁を行った位置(磁石5が交差鉄筋3の真上を横切った位置)は、グラフ横軸の0mm位置であり、かかる位置における磁束密度の垂直成分は、約−200μTとなっている。
この図21の例において、主たる着磁を行った位置(グラフ横軸の0mm位置)における磁束密度の垂直成分は約−160μTとなっており、この値は、同位置における前記主たる着磁後の値(約−200μT)の1/2の約−100μTよりも大きな値(絶対値)である。つまり、従たる着磁による磁束密度の減殺効果が十分ではないと言える。
この図22の例において、主たる着磁を行った位置(グラフ横軸の0mm位置)における磁束密度の垂直成分は約−100μTとなっており、この値は、同位置における前記主たる着磁後の値(約−200μT)の1/2の約−100μTと同じである。つまり、従たる着磁による磁束密度の減殺効果が発揮されていると言える。
この図23および図24の各例において、主たる着磁を行った位置(グラフ横軸の0mm位置)における磁束密度の垂直成分は、それぞれ約10μTおよび約−10μTとなっており、これらの値は、同位置における前記主たる着磁後の値(約−200μT)の1/2の約−100μTよりも小さな値(絶対値)である。つまり、従たる着磁による磁束密度の減殺効果が十分に発揮されていると言える。
また、かかる従たる着磁を効果的に行うことができる、交差鉄筋3の長手方向への最も離隔した位置は必ずしも明らかではないが、図24および図27の例から、少なくとも、主たる着磁を行った位置から600mm離隔した位置において従たる着磁を行う場合には、従たる着磁による磁束密度の減殺効果が十分に発揮されることが明らかである。
従たる着磁工程102において磁石5を配置する位置は、主たる着磁工程101において磁石を配置した位置から、主鉄筋2の幅方向(Y方向)に「距離D」以上離隔している必要がある。
かかる距離Dは、上述のとおり、主たる着磁工程101によって交差鉄筋3における主鉄筋2の真上部分から生ずる磁束3A1(図3参照)の磁束密度を、その約1/2以下の大きさに減殺することができる距離であることが望ましい。
したがって、かかる従たる着磁工程102による磁化作用により、主たる着磁工程101によって既にS極またはN極に磁化されていた交差鉄筋3おける主鉄筋2の真上に位置する部分では、磁束密度が減殺されて小さくなるものと考えられる。
まず、図28および図29に示すとおり、磁石5の両磁極の各中心部を結ぶ直線(両磁極中心線C)におけるS極側方向をX方向とし、磁石5の磁化面5Aを下側に向けた場合にその磁化面5Aと平行であり、かつX方向に向かって左側に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交し、かつ磁石5の磁化面5A側の方向をZ方向とする。
かかる場合に、図30および図31に示すとおり、磁石5の両磁極中心線Cの中央位置からZ方向に向かって、磁石5の磁化面5Aから100mm離隔した位置をP1とし、位置P1からY方向に離隔して、かつ磁束密度のX方向成分が、位置P1における磁束密度のX方向成分の約1/4の値を示す位置をP2とし、位置P1と位置P2との離隔距離を「距離D」として決定する。
なお、磁石5が直方体状以外の他の形状の場合、例えばコ字形状である場合の両磁極中心線Cは、図33に示すとおりである。
なお、曲線M0におけるグラフ横軸の0mm位置は、位置P1に該当する。
したがって、曲線M200の示す値(約5mT)は、曲線M0の示す基準値(約22mT)の約1/4であることから、曲線M200におけるグラフ横軸0mm位置に該当する位置(位置P1からY方向に200mm離隔した位置)が位置P2である。
この場合に、位置P1と位置P2との離隔距離は200mmなので、本実施形態における磁石5についての「距離D」は「200mm」として決定される。
また、上述のとおり、従たる着磁を効果的に行うことができる、交差鉄筋3の長手方向への最も離隔した位置は必ずしも明らかでないが、図24および図27の例から、少なくとも、主たる着磁を行った位置から600mm離隔した位置において従たる着磁を行う場合には、磁束密度の減殺効果が十分に発揮されるところ、本実施形態では「距離D」は「200mm」であることから、少なくとも、主たる着磁を行った位置から「距離D+400mm」
離隔した位置において従たる着磁を行う場合には、磁束密度の減殺効果が十分に発揮されるものと考えられる。
磁束密度測定工程103は、従たる着磁工程102の次に、磁気センサを前記コンクリート体表面1Aに近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく主鉄筋2の長手方向に沿った磁束密度を測定する工程である。
この場合、主鉄筋2以外に交差鉄筋3から生ずる磁束の磁束密度も同時に測定される。
主鉄筋2に破断部が含まれていない場合、コンクリート体表面1Aでの磁束密度の垂直成分として、図7の曲線B25、B50およびB75が得られる。また、主鉄筋2に破断部Hが含まれる場合、コンクリート体表面1Aでの磁束密度の垂直成分として、図13の曲線G25、G50、G75およびG100が得られる。
そのためには、1個または複数個の磁気センサを適宜に移動させつつ磁束密度を測定すればよく、例えば、磁気センサを、主鉄筋2の長手方向に沿ってコンクリート体表面1Aの付近を移動させながら磁束密度を測定することができる。
また、コンクリート体表面1Aに配置された磁気センサを、コンクリート体表面1Aに近接させたまま、主鉄筋2の長手方向と直交する方向に往復移動させつつ、少しずつ主鉄筋2の長手方向にずらすことによって、主鉄筋2の磁束密度を測定し、その結果から主鉄筋2の長手方向に沿った磁束密度を算出することもできる。
破断部検出工程104は、磁束密度測定工程103により得られた磁束密度に基づいて、主鉄筋2に破断部Hが含まれるか否かを検出する工程である。
ここで、破断部Hの検出精度を高めるためには、磁束密度測定工程103により得られた磁束密度の測定値から、交差鉄筋3から生じた磁束3Aの磁束密度の影響をなるべく排除する必要があり、そのためには、磁束密度の微分値または微分近似値を算出することが好ましく、これにより、破断部Hによる磁束密度の急激変化をより強調させることができる。
また、主鉄筋2に破断部Hがある場合の、図13の曲線G25、G50、G75およびG100で表される磁束密度の垂直成分について、それらの微分値を、図14の曲線G25d、G50d、G75dおよびG100d(以下、「曲線G25d等」ともいう。)に示す。
また、本実施形態では、磁束密度の微分処理は1回(階)としているが、必要に応じて2回(階)以上微分処理してもよい。微分近似値についても同様である。
ここで、磁束密度の水平成分とは、磁束密度のうち、コンクリート体表面1Aに対して水平方向の成分であり、本実施形態では、X方向または−X方向の成分である。
コンクリート体表面1Aにおける磁束密度の水平成分を測定する実施形態が、前記の垂直成分を測定する実施形態と相違する点は、磁束密度測定工程103において、測定する磁束密度の方向成分が水平方向である点である。
ここで、グラフの横軸は、コンクリート体表面1AのX方向の位置を表しており、縦軸は、当該位置における磁束密度の水平成分の値を表している。なお、7本の交差鉄筋3は、図7の例と同様、グラフ横軸の−750mm、−500mm、−250mm、0mm、250mm、500mm、750mmの各位置に埋設されている。また、主鉄筋2および交差鉄筋3の直径やコンクリートのかぶり厚についても図4の例と同様である。
この曲線E0では、交差鉄筋3の各位置の左右において、上向きの凸形状部と下向きの凸形状部とが対になって現れている。例えば、グラフ横軸の250mm位置に埋設される交差鉄筋3の左右では、約200mm位置に上向きの凸形状部が現れていると共に、約300mm位置に下向きの凸形状部が現れている。
また、図15の曲線R0は、図2に示すように、磁石5をX方向に移動させて「主たる着磁」をした後の、コンクリート体表面1A上における主鉄筋2の真上の長手方向に沿った磁束密度の水平成分を測定した結果である。ここで、破断部Hの位置は、グラフ横軸の0mm位置である。
また、主鉄筋2に破断部Hがある場合の、図15の曲線R25、R50、R75およびR100で表される磁束密度の水平成分について、それらの微分値を、図16の曲線R25d、R50d、R75dおよびR100d(以下、「曲線R25d等」ともいう。)に示す。
それに対し、図16の曲線R25d等には、破断部Hの位置(グラフ横軸の0mm位置)の左右において大きな上向きの凸形状部と下向きの凸形状部とが対になって現れている。したがって、このような一対の大きな凸形状部が現れるか否かによって、主鉄筋2における破断部Hの有無を検出することが可能である。
しかし、磁束密度の垂直成分を測定する場合には、主鉄筋2の破断部Hの検出精度をより高めることができるので好ましい。つまり、磁束密度測定工程103により測定された磁束密度の垂直成分に基づく微分値を算出してグラフに表すと、主鉄筋2に破断部Hが存在する場合には、図14の曲線G25d等のように、破断部Hの位置(グラフ横軸の0mm位置)において、大きな下向きの凸形状部のピーク値が1つだけ現れる。そのため、このピーク値と閾値との比較においては、特に誤認識が生じ難いことから、破断部Hの検出精度をより高めることが可能である。
本願発明の第2の実施形態は、主たる着磁工程101および従たる着磁工程102で「長尺状の磁石」を用いる点において前記第1の実施形態と相違している。
すなわち、本願発明の第2の実施形態は、主鉄筋2および交差鉄筋3が埋設されたコンクリート体1の外側から長尺状磁石5によって両鉄筋を磁化させ、その後磁気センサによってコンクリート体1の外側の磁束密度を測定することで、主鉄筋2の破断部Hの有無を検出する非破壊検査方法である。
同図のように、主鉄筋2(2Nおよび2P)の長手方向に沿ったコンクリート体表面1A上において、N極を図左側にS極を図右側にした長尺状磁石5を、主鉄筋2の検査対象部分の略真上位置に配置して「主たる着磁」を行い、主鉄筋2と交差鉄筋3を磁化させる。すると、主鉄筋2の破断部H以外の箇所は磁化されるが、破断部Hは磁化されず、破断部Hを原点位置として、X方向負側に位置する主鉄筋2Nには、X方向の磁束2ANが発生し、X方向正側に位置する主鉄筋2Pには、同じくX方向の磁束2APが発生する。
なお、図34では本願発明を理解し易くするために、磁束3Aと交差鉄筋3とが重なり合うように表してあるが、正確には磁束3Aはコンクリート体表面1A上に生ずる磁束である。
本願発明の第3の実施形態は、主たる着磁工程101から従たる着磁工程102への一連の動作において、長尺状磁石5を略平行移動させる点で前記第2の実施形態と相違している。
すなわち、かかる第3の実施形態では、前記第2の実施形態の場合と同様に、両磁極中心線Cの長さが主鉄筋2の検査対象部分の長さと略同等以上の長尺状磁石5を用い、その両磁極が主鉄筋2の長手方向に沿うようにコンクリート体の表面に近づけて配置する主たる着磁工程101を有し、さらに、主たる着磁工程101において配置された長尺状磁石5を、「距離D」以上離隔した所定位置まで、略平行移動させる従たる着磁工程102を有している。
図35は、本願発明の非破壊検査方法の実施に用いることができる非破壊検査装置20の一例を示す概略構成図である。
非破壊検査装置20は、コンクリート体表面1Aに近づけて配置することで主鉄筋2および交差鉄筋3を磁化させる磁石5(図1等参照)に加えて、磁気検出部210、演算部220、破断判定部230、表示部240等を含む。また、非破壊検査装置20は、破断部検出の際に用いられる各種データの保持、あるいは読み書きが行われるメモリ250を備えることが好ましい。
以下、非破壊検査装置20の各々の構成要素について説明する。
また、磁気検出部210に距離センサ212を組み込むことで、磁気検出部210の移動距離を測定することができるため、磁気検出部210の位置と、その位置における磁束密度を算出することができる。なお、本願発明に係る非破壊検査装置20が、高精度の位置決め機構を有する場合には、距離センサ212を備えなくても、磁気検出部210の位置およびその位置における磁束密度を検出することができる。
また、演算部220は、磁束密度の微分値を算出してグラフを生成する機能を有することが好ましい。
また、表示部240は、演算部220によって生成された磁束密度のグラフや、磁束密度の微分値のグラフを表示するものである。
1A コンクリート体表面
2 主鉄筋
2A 磁化された主鉄筋の内部に生じる磁束
3 交差鉄筋
3A 磁化された交差鉄筋から生じる磁束
4A,4B 磁石の移動軌道
5 磁石
5A 磁化面
101 主たる着磁工程
102 従たる着磁工程
103 磁束密度測定工程
104 破断部検出工程
20 非破壊検査装置
210 磁気検出部
211 磁気センサ
220 演算部
230 破断判定部
240 表示部
250 メモリ
C 両磁極中心線
H 破断部
Claims (8)
- 検査対象鉄筋と該検査対象鉄筋と交差する交差鉄筋とが埋設されたコンクリート体の外側から磁石によって前記両鉄筋を磁化させ、その後磁気センサによって前記コンクリート体の外側の磁束密度を測定することで、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する非破壊検査方法であって、
前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、次いで該磁石を前記検査対象鉄筋の長手方向に沿って移動させることにより前記両鉄筋に着磁した後、該磁石を撤去する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に後記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置において、前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極の相対位置が前記主たる着磁工程と同じになるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、次いで該磁石を前記検査対象鉄筋の長手方向に沿って移動させることにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法。
[距離Dの決定方法]
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線におけるS極側方向をX方向とし、前記磁石の磁化面を下側に向けた場合に該磁化面と平行であり、かつX方向に向かって左側に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交し、かつ前記磁石の磁化面側方向をZ方向とする。
かかる場合に、前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の中央位置からZ方向に向かって、該磁石の磁化面から100mm離隔した位置をP1とし、位置P1からY方向に離隔して、かつ磁束密度のX方向成分が、位置P1における磁束密度のX方向成分の約1/4の値を示す位置をP2とし、位置P1と位置P2との離隔距離を「距離D」として決定する。 - 従たる着磁工程を、主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に前記「距離D」離隔した位置と、該位置から同方向にさらに400mm離隔した位置との間の所定位置において行うことを特長とする請求項1に記載の非破壊検査方法。
- 検査対象鉄筋と該検査対象鉄筋と交差する交差鉄筋とが埋設されたコンクリート体の外側から磁石によって前記両鉄筋を磁化させ、その後磁気センサによって前記コンクリート体の外側の磁束密度を測定することで、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する非破壊検査方法であって、
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の長さが、前記検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の場合に、該磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に着磁した後、該磁石を撤去する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に後記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置において、前記磁石の磁化面を、該磁石の両磁極の相対位置が前記主たる着磁工程と同じになるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法。
[距離Dの決定方法]
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線におけるS極側方向をX方向とし、前記磁石の磁化面を下側に向けた場合に該磁化面と平行であり、かつX方向に向かって左側に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交し、かつ前記磁石の磁化面側方向をZ方向とする。
かかる場合に、前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の中央位置からZ方向に向かって、該磁石の磁化面から100mm離隔した位置をP1とし、位置P1からY方向に離隔して、かつ磁束密度のX方向成分が、位置P1における磁束密度のX方向成分の約1/4の値を示す位置をP2とし、位置P1と位置P2との離隔距離を「距離D」として決定する。 - 従たる着磁工程を、主たる着磁工程において前記磁石を配置した位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に前記「距離D」離隔した位置と、該位置から同方向にさらに400mm離隔した位置との間の所定位置において行うことを特長とする請求項3に記載の非破壊検査方法。
- 検査対象鉄筋と該検査対象鉄筋と交差する交差鉄筋とが埋設されたコンクリート体の外側から磁石によって前記両鉄筋を磁化させ、その後磁気センサによって前記コンクリート体の外側の磁束密度を測定することで、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する非破壊検査方法であって、
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の長さが、前記検査対象鉄筋の検査対象部分の長さと略同等以上の場合に、該磁石の磁化面を、該磁石の両磁極が前記検査対象鉄筋の長手方向に沿うように前記コンクリート体の表面に近づけて配置することにより前記両鉄筋に着磁する主たる着磁工程と、
主たる着磁工程において配置された前記磁石を、その配置位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に後記「距離Dの決定方法」により求めた「距離D」以上離隔した所定位置まで、該磁石の磁化面を前記コンクリート体の表面に近づけた状態のまま略平行移動させることにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する従たる着磁工程と、
前記磁気センサを前記コンクリート体の表面に近づけて配置した後、適宜移動させることにより、または移動させることなく前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする非破壊検査方法。
[距離Dの決定方法]
前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線におけるS極側方向をX方向とし、前記磁石の磁化面を下側に向けた場合に該磁化面と平行であり、かつX方向に向かって左側に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交し、かつ前記磁石の磁化面側方向をZ方向とする。
かかる場合に、前記磁石の両磁極の各中心部を結ぶ直線の中央位置からZ方向に向かって、該磁石の磁化面から100mm離隔した位置をP1とし、位置P1からY方向に離隔して、かつ磁束密度のX方向成分が、位置P1における磁束密度のX方向成分の約1/4の値を示す位置をP2とし、位置P1と位置P2との離隔距離を「距離D」として決定する。 - 主たる着磁工程において配置された前記磁石を、その配置位置から前記検査対象鉄筋の幅方向に前記「距離D」離隔した位置と、該位置から同方向にさらに400mm離隔した位置との間の所定位置まで、該磁石の磁化面を前記コンクリート体の表面に近づけた状態のまま平行移動させることにより前記両鉄筋に再度着磁した後、該磁石を撤去する方法によって従たる着磁工程を行うことを特長とする請求項5に記載の非破壊検査方法。
- 磁束密度測定工程において、前記検査対象鉄筋の長手方向に沿った磁束密度の垂直成分を測定し、
磁束密度測定工程で測定された磁束密度の垂直成分に基づいて、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出する破断部検出工程を含むことを特長とする請求項1から6のいずれか1項に記載の非破壊検査方法。 - 破断部検出工程において、前記磁束密度の微分値または微分近似値を算出し、これらの微分値または微分近似値と予め設けられた閾値とを比較し、前記検査対象鉄筋の破断部の有無を検出することを特長とする請求項1から7のいずれか1項に記載の非破壊検査方法。
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