JP6211311B2 - 非破壊検査方法 - Google Patents

非破壊検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6211311B2
JP6211311B2 JP2013120528A JP2013120528A JP6211311B2 JP 6211311 B2 JP6211311 B2 JP 6211311B2 JP 2013120528 A JP2013120528 A JP 2013120528A JP 2013120528 A JP2013120528 A JP 2013120528A JP 6211311 B2 JP6211311 B2 JP 6211311B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing bar
magnetic flux
flux density
magnet
concrete body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013120528A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014013233A (ja
Inventor
廣瀬 誠
誠 廣瀬
龍己 前田
龍己 前田
優 横田
優 横田
英治 鎌田
英治 鎌田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shikoku Research Institute Inc
Original Assignee
Shikoku Research Institute Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shikoku Research Institute Inc filed Critical Shikoku Research Institute Inc
Priority to JP2013120528A priority Critical patent/JP6211311B2/ja
Publication of JP2014013233A publication Critical patent/JP2014013233A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6211311B2 publication Critical patent/JP6211311B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Description

本願発明は、橋脚、ビルおよびコンクリートポールなどの、鉄筋コンクリート構造物の体内に設けられている鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法に関する。
従来から、コンクリート体内に設けられた鉄筋の破断を検出する非破壊検査方法が知られている。
例えば、特許第3734822号公報(特許文献1)に記載された非破壊検査方法は、永久磁石を、コンクリートに埋設された検査対象の鉄筋の長手方向に沿って、コンクリートの表面上を移動させることにより鉄筋を長手方向に沿って磁化させ、その後、コンクリートの表面から漏れる垂直方向の磁束密度成分の分布から鉄筋の破断の有無を判断するものである。
しかしながら、このような非破壊検査方法にあっては、検査対象の鉄筋を磁化させる際に、磁石を鉄筋の長手方向に沿って移動させながら、1本ずつ磁化させる必要があり、このため、検査対象の鉄筋が多数であると、その磁化作業に手間を要するという問題がある。
そこで、特許第4304121号公報(特許文献2)には、コンクリート体内に設けられた鉄筋の長手方向に沿ったコンクリート体の表面上に、着磁装置(電磁石)と磁気センサとを少し離して配置することにより、着磁装置と磁気センサとの配置位置の間における鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法が記載されている。この方法では、鉄筋の磁化作業の際に、磁石を鉄筋の長手方向に沿って移動させる必要はない。
しかし、この方法は、鉄筋の破断部が着磁装置と磁気センサとの配置位置の間に存在する場合にのみ検出できるに過ぎないので、何らかの理由により、着磁装置と磁気センサのいずれか一方かまたは両方を、コンクリート体の表面上に配置できないような場合には破断部を検出できず、検査対象箇所が制限されるという問題がある。
例えば、コンクリート体内に、そのコンクリート体の角部で屈曲された屈曲部を有する鉄筋が埋設されている場合に、その屈曲部における破断の有無を検出するには、コンクリート体の角部を形成する一側表面上に着磁装置を配置し、他側表面上に磁気センサを配置する必要がある。しかし、コンクリート体の角部付近に障害物がある場合など、所定位置に着磁装置と磁気センサのいずれか一方または両方が配置できない場合には、この屈曲部の破断の有無を検出することができない。
また、特開2010−151626号公報(特許文献3)には、コンクリート体内に埋設されコンクリート体の角部で屈曲された鉄筋の、その屈曲部の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、検査対象の鉄筋を磁化させる際に、鉄筋の屈曲部を挟むように一方の長手方向に沿って延びる第1の磁石と、他方の長手方向に沿って延びる第2の磁石とを有するL字形の磁石を、コンクリート体の角部を形成する両側表面上に当接させて配置し、鉄筋の屈曲部含む検査対象箇所を磁化させる方法が記載されている。
この方法では、鉄筋の磁化作業の際に、磁石を鉄筋の長手方向に沿って移動させる必要はないが、コンクリート体の角部付近に障害物がある場合など、L字型の磁石を、コンクリートの角部の表面上に配置することができない場合には、鉄筋の屈曲部の破断の有無を検出できず、検査対象箇所が制限されるという問題がある。
特許第3734822号公報 特許第4304121号公報 特開2010−151626号公報
上述のとおり、従来の非破壊検査の方法では、検査対象の鉄筋を磁化させる際に、磁石を鉄筋の長手方向に沿って移動させて1本毎に磁化させる必要があるため、磁化作業に手間を要したり、また、磁石や磁気センサを鉄筋の検査対象箇所(例えば屈曲部)を挟むように配置する必要があるため、検査対象箇所が制限されたりと、検査を効率的に行えないという問題があった。
そこで本願発明は、検査対象の鉄筋を磁化させる際に、磁石を、鉄筋に沿ったコンクリート体の表面の一箇所に一時的に配置するだけでよくて移動させる必要がなく、また、磁石を、検査対象箇所を挟んで配置する必要がないため、検査を極めて効率的に行うことができる非破壊検査方法を提供することを目的としてなされたものである。
本願発明のうち特許請求の範囲の請求項1に記載する発明は、
コンクリート体内に設けられた鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、
前記コンクリート体の表面から外側に出る磁束の方向を正方向とし、その逆の磁束の方向を負方向として、
(a)「前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石のS極端部があった位置の近傍であって前記鉄筋の長手方向における磁束密度の正方向のピーク位置」または
(b)「前記磁石のS極端部があった位置から前記磁束密度の正方向のピーク位置に向かってより離れた位置にある前記鉄筋の長手方向における磁束密度の負方向のピークのピーク値」のいずれか一方または両方を求め、
前記(a)または(b)のいずれか一方または両方を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法である。
ここで、鉄筋とは、一般的な鉄筋コンクリート構造物に多用される断面形状が円形の丸鋼や表面に突起を設けた異形棒鋼に限らず、断面形状が矩形、その他の多角形の鋼材、H形鋼であってもよい。また、通水や通気に使用する内部が空洞の鋼管であってもよく、さらに、プレストレスト・コンクリート工法に使用するPC鋼棒、PC鋼線またはPC鋼撚線といったPC鋼材、あるいはこれらを内部に通して使用するシース管やシース管内のPC鋼材であってもよい。
鉄筋を磁化させる際に、磁石をコンクリート体の表面に近づけて配置するには、磁石をコンクリート体の表面の一箇所に一時的に近づければよく、必ずしも磁石を直接コンクリート体の表面に当接させる必要はなく、静止させる必要もない。
また、磁気センサをコンクリート体の表面に近づけて配置するには、前記の磁石の場合と同様に、磁気センサをコンクリート体の表面に一時的に近づければよく、直接コンクリート体の表面に当接させる必要はなく、静止させる必要もない。
しかし、上記(a)または(b)のいずれか一方または両方を求めるためには、鉄筋の破断の検査範囲と必要に応じてその周辺範囲まで磁束密度を測定する必要がある。そのため、磁気センサを多数個使用してもよく、あるいは磁気センサが1個または少数個の場合には、適宜に移動させつつ磁束密度を測定すればよい。例えば、1個の磁気センサを、鉄筋の長手方向に沿ってコンクリート体の表面上を移動させながら磁束密度を測定することができる。
ここで磁束密度の正方向のピーク位置とは、検査対象鉄筋の長手方向における磁束密度が正方向に最も大きくなる部分の位置をいい、磁束密度の負方向のピーク値とは、検査対象鉄筋の長手方向における磁束密度が負方向に最も大きくなる部分の磁束密度の大きさである。
次に請求項2に記載する発明は、前記磁気センサの配置を移動させながら前記コンクリート体の表面の垂直方向の磁束密度を測定するとともに、該磁気センサの配置の移動距離を距離センサによって検出し、該磁気センサが測定した磁束密度と該距離センサが検出した移動距離とに基づいて、前記(a)または(b)のいずれか一方または両方を求めることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査方法である。
次に請求項3に記載する発明は、
コンクリート体内に設けられた鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、
前記コンクリート体の表面から外側に出る磁束の方向を正方向とし、その逆の磁束の方向を負方向として、
(c)「前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石のN極端部があった位置の近傍であって前記鉄筋の長手方向における磁束密度の負方向のピーク位置」または
(d)「前記磁石のN極端部があった位置から前記磁束密度の負方向のピーク位置に向かってより離れた位置にある前記鉄筋の長手方向における磁束密度の正方向のピークのピーク値」のいずれか一方または両方を求め、
前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法である。
ここで磁束密度の負方向のピーク位置とは、検査対象鉄筋の長手方向における磁束密度が負方向に最も大きくなる部分の位置をいい、磁束密度の正方向のピーク値とは、検査対象鉄筋の長手方向における磁束密度が正方向に最も大きくなる部分の磁束密度の大きさである。
次に請求項4に記載する発明は、前記磁気センサの配置を移動させながら前記コンクリート体の表面の垂直方向の磁束密度を測定するとともに、該磁気センサの配置の移動距離を距離センサによって検出し、該磁気センサが測定した磁束密度と該距離センサが検出した移動距離とに基づいて、前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を求めることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検査方法である。
次に請求項5に記載する発明は、
コンクリート体内に設けられた屈曲部を有する鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記屈曲部の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
前記屈曲部の近傍において、1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、前記鉄筋の屈曲部から長手方向に沿った所定距離の位置における磁束密度を求め、
この位置における磁束密度を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の屈曲部の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法である。
ここで鉄筋を磁化させる際に、磁石をコンクリート体の表面に近づけて配置するには、磁石をコンクリート体の表面の一箇所に一時的に近づければよく、必ずしも磁石を直接コンクリート体の表面に当接させる必要はなく、静止させる必要もない。
また、磁気センサをコンクリート体の表面に近づけて配置するには、前記の磁石の場合と同様に、磁気センサをコンクリート体の表面の一箇所に一時的に近づければよく、直接コンクリート体の表面に当接させる必要はなく、静止させる必要もない。
この請求項に記載する非破壊検査方法は、鉄筋の屈曲部という特定の部分の破断の有無を検出対象としているため、破断が有る場合と無い場合の両方について、磁化させた鉄筋の屈曲部から長手方向に沿った各位置における磁束密度を、あらかじめ想定することができる。したがって、破断が有る場合と無い場合とで磁束密度が比較的大きく異なる鉄筋の長手方向に沿った任意の一箇所を選び、その一箇所の磁束密度を測定することで、屈曲部の破断の有無を検出することができる。そのため、前記の請求項1記載の非破壊検査方法のように、前記(a)または(b)のいずれか一方または両方を求める必要はなく、また、前記の請求項3記載の非破壊検査方法のように、前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を求める必要もない。
次に請求項に記載する発明は、前記磁気センサの配置を、前記鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら前記コンクリート体の表面の磁束密度を測定することを特徴とする請求項に記載の非破壊検査方法である。
同じく請求項に記載する発明は、前記磁石の配置を、前記鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら該鉄筋を磁化させることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の非破壊検査方法である。
本願発明の請求項1および請求項3に記載する非破壊検査方法によれば、検査対象の鉄筋を磁化させる際に、磁石を、鉄筋に沿ったコンクリート体の表面の一箇所に一時的に近づけて配置するだけでよいため、磁化作業を効率的に行うことができる。
また、一度の磁化作業によって、配置した磁石の両磁極のそれぞれ鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ鉄筋またはその延長線に向けて磁石の両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた、比較的広い範囲内における鉄筋の破断の有無を検出することができるので、検査作業を効率的に行うことができる。
同じく請求項2および請求項4に記載する非破壊検査方法によれば、磁気センサが測定する磁束密度と、距離センサが検出する磁気センサの配置の移動距離とに基づいて、前記(a)または(b)のいずれか一方または両方、および、前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を求めるため、磁気センサの数が1個の場合であっても、磁束密度の正方向・負方向のピーク位置やピーク値を確実かつ効率的に検出することができる。
同じく請求項に記載する非破壊検査方法によれば、前記請求項1および請求項3の非破壊検査方法と同様に、検査対象の鉄筋の磁化作業を効率的に行うことができる。
また、鉄筋の屈曲部から長手方向に沿った所定距離の一箇所における磁束密度を測定するだけで、屈曲部の破断の有無を検出できるため、磁束密度の測定作業を効率的に行うことができる。
同じく請求項に記載する非破壊検査方法によれば、磁気センサの配置を、検査対象の鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら磁束密度を測定するため、コンクリート体内に鉄筋が多数並設されている場合でも、これらの磁束密度の測定をまとめて効率的に行うことができる。
同じく請求項に記載する非破壊検査方法によれば、磁石の配置を、検査対象の鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら鉄筋を磁化させるため、コンクリート体内に鉄筋が多数並設されている場合でも、これらの磁化をまとめて効率的に行うことができる。
第1実施例の非破壊検査装置の構成を示したブロック図である。 コンクリート体に埋設されている鉄筋と、この鉄筋を磁化させる磁石との位置関係を示した説明図である。 健全な鉄筋を磁化させる磁石と磁力線と鉄筋内の磁束の向きとを示した説明図である。 破断した鉄筋を磁化させる磁石と磁力線と鉄筋内の磁束の向きとを示した説明図である。 磁化した健全な鉄筋とこの鉄筋内の磁束の向きを示した説明図である。 健全な鉄筋だけの場合のコンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示した分布図である。 磁化した破断を有する鉄筋内の磁束の向きを示した説明図である。 破断した鉄筋を有するコンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示した分布図である。 健全な鉄筋と破断した鉄筋の長手方向に対するコンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示したグラフである。 健全な鉄筋のコンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度と、破断した鉄筋のコンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度との差を示したグラフである。 第2実施例の非破壊検査装置の構成を示したブロック図である。 検査範囲の中心位置に破断のある真っ直ぐな鉄筋と、健全な真っ直ぐな鉄筋の、コンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示したグラフである。 鉄筋の磁化の他の方法を示した説明図である。 屈曲部が破断した鉄筋を磁化させる磁石と磁力線と検査範囲とを示した説明図である。 直線部が破断した鉄筋を磁化させる磁石と磁力線と検査範囲とを示した説明図である。 検査範囲のS極方向の一部に破断のある真っ直ぐな鉄筋と、健全な真っ直ぐな鉄筋の、コンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示したグラフである。 検査範囲のS極方向のほぼ端部に破断のある真っ直ぐな鉄筋と、健全な真っ直ぐな鉄筋の、コンクリート体の側表面の垂直方向の磁束密度を示したグラフである。 コ字形の磁石における「両磁極の各中心部を通る直線」を示す斜視図である。
以下、本願発明にかかる非破壊検査方法および非破壊検査装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
≪第1実施例≫
図1において、1はコンクリート体であり、このコンクリート体1内には補助鉄筋(鉄筋)2が複数並設されている。3は主鉄筋である。補助鉄筋2は、コンクリート体1の角部で屈曲された屈曲部2aと、コンクリート体1の側表面1Aに平行に配設された鉄筋部(鉄筋)2Aと、コンクリート体1の上表面1Bに平行に配設された鉄筋部(鉄筋)2Bとを有している。
なお、鉄筋2、3の位置や屈曲部2aの位置は既知である。
<非破壊検査方法の原理>
図2に示すように、コンクリート体1の側表面1A(図1参照)の上部に磁石5を当接して配置する。磁石5の磁極は鉄筋部2Aの長手方向に沿うように位置させる。つまり、両磁極の各中心部を通る直線C(図14参照)が鉄筋部2Aとほぼ平行となるように磁石5をセットする。ここでは、例えばN極を上にS極を下にするが、その逆であっても差し支えない。
本実施例において磁石5は、Nd系のような希土類金属からなる略直方体形状の永久磁石であるが、電磁石であってもよく、形状は直方体に限るものではなく、コ字形またはU字形などであってもよい。また、磁石5は、そのまま剥き出しの状態でもよいが、コンクリート体の表面に近づけたまま移動させ易くするための機能を有するケース等に収容し、または複数の磁石を組み合わせるなど、ユニット化したものであってもよい。
この磁石5の配置を、鉄筋部2Aの長手方向と直交する方向、すなわち図2に示すY方向に移動させていき、各鉄筋2を磁化させていく。磁石5により、図3に示すように、鉄筋部2A内には矢印で示す下から上に向かう磁束E1aと、屈曲部2a内には屈曲部2aに沿うように斜め下方に向かう磁束E1bが発生する。図3は健全な鉄筋2内に発生する磁束E1a,E1bを示す。磁束E1a,E1bを示す矢印の向きが磁束の向きを示し、矢印の太さが磁束密度の大きさを表す。
図4は、鉄筋2の屈曲部2aに破断Hがある場合の鉄筋2内に発生する磁束E2a,E2bを示す。
破断Hがない場合には、図3に示すように、磁束E1bの磁束密度は比較的大きく、磁束E1bは磁束E1aを打ち消す方向の成分を含む。このため、磁束E1aの磁束密度は小さくなる。
また、破断Hがある場合には、図4に示すように、屈曲部2a内の磁束E2bの磁束密度は破断Hがあることにより小さくなる。このため、磁束E2aの磁束密度は磁束E1aの磁束密度より大きなものとなる。
図5は、磁化後(磁石5の撤去後)の健全な鉄筋2の場合の磁束E3a,E3bを示す。磁束E3a,E3bの磁束密度はほぼ同じであり、鉄筋2内の磁束E3a,E3bの向きは互いに反対方向となる。このため、コンクリート体1の側表面1Aの上部(屈曲部2aの近傍)には、側表面1Aに対して垂直方向に矢印P1で示す磁束E4が発生し、その下方から側表面1Aに対して垂直方向に矢印P2で示す磁束E5が発生する。
図6は、鉄筋2が健全な場合のコンクリート体1の側表面1Aの垂直方向の磁束密度を等高線で示した分布図である。
このように、鉄筋2が健全な場合には、コンクリート体1の側表面1Aの上部、すなわち屈曲部2aの近傍に磁束E4による磁束密度の大きな領域が発生し、磁束E5の磁束密度は小さいことが分かる。
図7は、破断Hのある鉄筋2の場合、磁化後(磁石5の撤去後)の鉄筋2の磁束E6を示す。屈曲部2aに破断Hがあることにより、鉄筋部2A内の磁束E6は破断H近傍にいくほどその磁束密度が小さくなるとともに鉄筋部2B内にはほとんど磁束は発生しない。
また、コンクリート体1の側表面1Aの上部には、側表面1Aに対して垂直方向に矢印P3で示す磁束E7が発生し、その下方から側表面1Aに対して垂直方向に矢印P4で示す磁束E8が発生する。
図8は、鉄筋2が健全な場合と、鉄筋2の屈曲部2aに破断Hがある場合のコンクリート体1の側表面1Aの垂直方向の磁束密度の分布を等高線で示した分布図である。
この分布図から分かるように、破断Hのある鉄筋2の場合には、磁束E7による磁束密度のピークとなる位置が、健全な鉄筋2の磁束E4による磁束密度のピーク位置と比べてより屈曲部2a側へ位置し、その下方には磁束E8による磁束密度の大きな領域が発生することが分かる。
図9は、コンクリート体1の側表面1Aの位置に対するその側表面1Aの垂直方向の磁束密度の大きさを示すグラフG1,G2である。
グラフG1は鉄筋2の屈曲部2aに破断Hがある場合のグラフ、グラフG2は健全な鉄筋2のグラフであり、鉄筋2の屈曲部2aの位置(鉄筋部2Bの右端と鉄筋部2Aの上端との交点)を原点(X軸の0.00mの位置)とし、その原点から下方側の位置を正(X方向)、上方側の位置を負(−X方向)とし、コンクリート体1の側表面1Aから外側へ垂直方向に出る磁束を正、その逆を負として表したものである。
なお、本実施例において鉄筋2を磁化させる際に使用した磁石5は、その長さ(N極端からS極端までの距離)が0.08mであり、その配置は、図9のX軸においてN極端の位置が−0.05mであり、S極端の位置が0.03mである。
グラフG1,G2から分かるように、破断Hのある鉄筋2の場合には、正方向の磁束密度のピーク(以下、単に「ピーク」ともいう)を示すPg1の位置(X方向の位置)が、健全な鉄筋2のピークPg2の位置(X方向の位置)と比べてより原点側に位置し、そのグラフG1,G2のピークPg1,Pg2の位置の差は約20mmである。
このため、閾値を設定してこの閾値と磁束密度のピーク位置とを比較することにより、破断Hの有無を検出することが可能であることが分かる。
また、破断Hのある鉄筋2の場合には、負方向の磁束密度のピーク(以下、「逆方向ピーク」ともいう)を示すUg1の大きさ(負方向の磁束密度の値)が、健全な鉄筋2の逆方向ピークUg2の大きさ(負方向の磁束密度の値)と比べてより負方向に大きいことが分かる。
このため、閾値を設定してこの閾値と磁束密度の逆方向ピーク値とを比較することにより、破断Hの有無を検出することが可能である。
次に、破断の鉄筋2のグラフG1と健全な鉄筋2のグラフG2との磁束密度の差を示したグラフG3を図10に示す。このグラフG3からも分かるように、X方向の広い範囲に亘って磁束密度に大きな差がある。また、図9から分かるように、磁束密度は鉄筋2の長手方向に沿った位置(X方向の位置)に大きく依存している。
このため、鉄筋2の長手方向に沿った磁気センサ10を配置するコンクリート体1の表面の各位置から鉄筋2までの最短距離(かぶり厚)と、その各位置の磁束密度との関係式をあらかじめ求めておき、検査時に磁気センサ10を配置する所定位置について前記関係式によって決定した閾値と、その所定位置において磁気センサ10で測定した磁束密度とを比較することにより、破断Hの有無を検出することが可能である。
この方法によれば、鉄筋2の長手方向に対する磁束密度のピーク位置および逆方向ピーク値を求める必要がなく、例えば、鉄筋2の屈曲部2aを原点として、そこから鉄筋2の長手方向に沿って所定距離だけ離れた位置におけるコンクリート体1の表面の磁束密度を測定するだけで、破断Hの有無を検出することができる。
図14に示す検査範囲Rは、本実施例において鉄筋2の破断Hの有無を検出できる範囲を示している。
この検査範囲Rは、鉄筋2を磁化させる際に配置する磁石5のN極およびS極のそれぞれ鉄筋2に最も近い両端部の位置5n,5sから、それぞれ鉄筋2の鉄筋部2Aまたはその延長線Lに向けて、磁石5の両磁極の各中心部を通る直線Cに対して角度θn,θs傾けた方向に延ばした2本の直線Mn,Msに挟まれた範囲である。ここで、角度θnおよびθsは共に30°であり、この角度は、磁石の磁力や長さ(N極端とS極端との距離)が変わってもほぼ変動しない固定値である。
このような検査範囲R内であれば、鉄筋2に破断Hが有る場合と無い場合とで、磁束密度のピーク位置(Pg1,Pg2)の差、または逆方向ピーク値(Ug1,Ug2)の差の少なくとも一方が、破断Hの有無を検出できる程度に明瞭である。
したがって、この検査範囲R内においては、磁束密度のピーク位置の差、逆方向ピーク値の差、または屈曲部2aから鉄筋部2Aに沿った所定距離の位置における磁束密度の差の少なくともいずれか一つに基づいて、破断Hの有無を検出することができる。
なお、本実施例の場合、延長線Lの部分には鉄筋が無いため、実質的に検査できる鉄筋2の範囲は、鉄筋部2Aと直線Msとの交点から屈曲部2aまでの範囲である。
<非破壊検査装置>
図1に示す20は補助鉄筋2の破断Hを検出する非破壊検査装置である。
非破壊検査装置20は、コンクリート体1の側表面1Aに近づけて配置することで鉄筋部2Aを磁化させる磁石5(図3参照)と、磁石5の撤去後に側表面1Aに近づけて配置することで鉄筋部2Aから発せられるZ方向(コンクリート体1の側表面1Aと直交する方向)の磁気を検出する磁気センサ10を有する磁気検出部11と、磁気センサ10が検出する検出信号からコンクリート体1の側表面1Aに対して垂直方向(直交方向)の磁束密度を演算して求めるとともに、この求めた磁束密度のグラフ(特性の曲線)を生成する演算部(演算手段)21と、この演算部21が生成した磁束密度のグラフを表示する表示部22と、磁気検出部11の配置の移動距離を検出する距離センサ30と、演算部21が求めた磁束密度と距離センサ30が検出した距離とを記憶するメモリ23と、磁束密度のピークの位置を検出するピーク位置検出部24と、このピーク位置検出部24が検出したピーク位置と予め設定されている閾値とを比較して破断の有無を判定する判定部25とを備えている。
距離センサ30は磁気検出部11に組み込まれている。
演算部21は、演算した磁束密度と距離センサ30が検出した移動距離とから鉄筋2の長手方向の位置に対する磁束密度を求める機能を有する。そして、ピーク位置検出部24と判定部25とで鉄筋2の破断Hの有無を判定する判定手段が構成される。
磁気センサ10は、高感度の例えばMIセンサまたはフラックスゲート型センサまたはホール素子や超伝導量子干渉素子などである。
<非破壊検査装置による検査方法>
次に、非破壊検査装置20を用いて鉄筋の破断の有無を検出する検査方法について説明する。
先ず、図2に示すように、検査を行う鉄筋2のコンクリート体1の側表面1Aの上部に、例えばN極を上にS極を下にして磁石5を当接させて配置する。これは、鉄筋2の屈曲部2aで破断Hが発生し易いからである。
この磁石5の配置を、鉄筋2の長手方向と直交するY方向へ移動させていき、鉄筋2を長手方向に向かって磁化させる。
この磁化の後、図1に示すように、非破壊検査装置20の磁気検出部11を、鉄筋2の鉄筋部2Aに対向するコンクリート体1の側表面1A上に当接させて配置し、この配置を鉄筋部2Aに沿って移動させていく。
この磁気検出部11の配置の移動によって、距離センサ30によりコンクリート体1の側表面1AのX方向の移動距離が検出されていく。また、磁気センサ10が検出する検出信号により、鉄筋部2Aに沿った各位置における磁束密度(側表面1Aと直交するZ方向の磁束密度)が演算部21によって求められていく。
メモリ23には、距離センサ30が検出したX方向の移動距離と、この移動距離に対応して演算部21が求めた磁束密度が記憶されていく。
表示部22には、メモリ23に記憶された磁束密度と移動距離とに基づいて図9に示すグラフG1,G2が表示される。このグラフG1,G2は、メモリ23に記憶されたデータに基づいて演算部21が生成し、表示部22に表示させるものである。
ピーク位置検出部24は、演算部21が生成したグラフG1,G2のピーク位置、すなわち正方向の磁束密度のピーク値を示すX方向の位置を検出する。
判定部25は、ピーク位置検出部24が検出したピーク位置が予め設定された閾値(予め設定されたX方向の位置)以下であるかを判定し、以下であれば破断Hありと判定し、以下でなければ健全と判定する。そして、判定部25の判定結果が表示部22に表示される。
閾値は、例えば、図9のグラフG1,G2のピークPg1,Pg2のX方向の中間位置を閾値として設定するものである。
このように、検査対象の鉄筋2が多数並設されている場合には、磁石5の配置を、図2に示すように移動させながら各鉄筋2を磁化させ、この後、非破壊検査装置20の磁気検出部11の配置を、鉄筋2に沿って移動させながら磁束密度を測定していけばよい。したがって、従来のように、磁石5を各鉄筋2の長手方向に沿って移動させて1本毎に着磁する必要がないため、簡単な磁化作業で、多数の鉄筋2の破断Hの有無を検出することができる。
なお、本実施例では、磁気検出部11を鉄筋2の長手方向に移動させて磁束密度を測定しているが、磁気検出部11を鉄筋部2Aと直交する方向に沿ってコンクリート体1の側表面1Aの所定範囲を走査して、各位置における磁束密度を測定し、この各位置の測定結果から鉄筋2の長手方向に対する磁束密度のグラフG1,G2(図9参照)を求めて、鉄筋2の破断Hを検出するようにしてもよい。
すなわち、磁気検出部11は、鉄筋2の長手方向に対する磁束密度が検出できれば、どのように移動させてもよい。
≪第2実施例≫
図11は、第2実施例の非破壊検査装置120を示す。この非破壊検査装置120は、磁石5(図3参照)と、磁気センサ10と距離センサ30とが組み込まれた磁気検出部11と、演算部21と、表示部22と、メモリ23と、演算部21が生成した磁束密度のグラフの逆方向ピークの磁束密度(逆方向ピーク値)を検出する磁束密度検出部124と、この磁束密度検出部124が検出した逆方向ピーク値と予め設定した閾値とを比較して鉄筋2の破断Hの有無を判定する判定部125とを有している。
閾値は、例えば、図9のグラフG1,G2の逆方向ピークUg1,Ug2の磁束密度の中間値を閾値として設定するものである。
そして、磁束密度検出部124と判定部125とで鉄筋2の破断の有無を判定する判定手段が構成される。
この第2実施例は、第1実施例と同様にして鉄筋2を磁化させ、この後、磁気検出部11を第1実施例と同様に移動させて、コンクリート体1の側表面1AのZ方向の磁束密度を測定していく。
磁束密度検出部124は、演算部21が生成した磁束密度のグラフの逆方向ピーク値を検出し、磁束密度検出部124が検出した逆方向ピーク値が閾値以下であれば鉄筋2に破断Hが有り、閾値以下でなければ鉄筋2は健全であると判定し、この判定結果が表示部22に表示される。
この第2実施例では、逆方向ピークの磁束密度から破断Hの有無を判定するが、原点から所定距離だけ離れた位置の磁束密度から破断Hの有無を判定するようにしてもよい。例えば、屈曲部2aを原点として、そこから鉄筋2の長手方向に沿った所定距離の位置における磁束密度を測定するだけで、破断Hの有無を判定することができる。
上記の第1および第2の実施例は、いずれも鉄筋2の屈曲部2aにおける破断Hの有無を検出する場合について説明したが、屈曲部2aのない真っ直ぐな鉄筋であっても、上記実施例と同様にして破断Hを検出することができる。
次に、図12は、真っ直ぐな鉄筋(図15参照、但し破断Hの位置は異なる)を、前記の第1実施例と同じ方法で磁化させた場合の磁束密度のグラフG4,G5を示す。原点(X軸の0.00mの位置)は磁石の中心位置であり、かつ鉄筋の破断の位置である。
なお、ここで鉄筋を磁化させる際に使用した磁石は、第1実施例と同じもので、長さは0.08mであり、その配置は、図12のX軸においてN極端の位置が−0.04mであり、S極端の位置が0.04mである。
グラフG4は破断のある場合の磁束密度のグラフを示し、グラフG5は健全な場合の磁束密度のグラフを示す。
グラフG4,G5から分かるように、破断がある場合、健全な場合の磁束密度の正方向のピークP5a,負方向のピークP5bの位置と比べて、磁束密度の正方向のピークP4a,負方向のピークP4bの位置が原点側となる。
また、破断がある場合、負方向のピークU4a,正方向のピークU4bの磁束密度が、健全な場合の負方向のピークU5a,正方向のピークU5bの磁束密度と比べて、それぞれ負方向,正方向に大きくなる。
このため、第1および第2実施例の非破壊検査装置20,120によって、真っ直ぐな鉄筋2の破断Hを検出することができる。
図15に示す検査範囲Rは、非破壊検査装置20,120によって真っ直ぐな鉄筋2の破断Hの有無を検出できる範囲を示している。つまり、これらの本願発明の非破壊検査装置は、鉄筋2の検査範囲Rに含まれるいずれかの部分における破断Hの有無を検出することができる。
検査範囲Rは、上述の図14の場合と同様に、鉄筋2を磁化させる際に配置する磁石5のN極およびS極のそれぞれ鉄筋2に最も近い両端部の位置5n,5sから、それぞれ鉄筋2に向けて、磁石5の両磁極の各中心部を通る直線Cに対して角度θn,θs傾けた方向に延ばした2本の直線Mn,Msに挟まれた範囲である。ここで、角度θnおよびθsは共に30°であり、この角度は、磁石の磁力や長さ(N極端とS極端との距離)が変わってもほぼ変動しない固定値である。
図16および図17は、前記の図15に示すように、検査範囲RのS極方向の一部に破断Hのある真っ直ぐな鉄筋2と、健全な真っ直ぐな鉄筋2の、コンクリート体1の側表面の垂直方向の磁束密度を示したグラフである。
図16,図17のいずれの場合も、磁石5は第1実施例と同じもので長さは0.08m であり、磁石5を配置するコンクリート体1の側表面から鉄筋までの最短距離(かぶり厚)は約0.10mである。検査範囲Rに含まれる鉄筋2の部分は、鉄筋2と直線MnおよびMsの各交点間の部分であり、その長さは約0.426mである。つまり、前記のとおりかぶり厚は約0.10mであるから、磁石5のN極端部5nから鉄筋2に向けた垂線と鉄筋2との交点と、直線Mnと鉄筋2との交点の両交点間の距離は約0.173mである。同様に、S極端部5sから鉄筋に向けた垂線と鉄筋2との交点と、直線Msと鉄筋2との交点の両交点間の距離も約0.173mである。したがって、これらの両距離に磁石5の長さ(5nと5sの距離)0.08mを加えると約0.426mになる。
図16のグラフG6は、S極端部5sから鉄筋2に向けた垂線と鉄筋2との交点から下方(図15参照)に向けて約0.11mの位置に破断Hがある場合の磁束密度を示している。この破断Hの位置は検査範囲Rに含まれている。また、グラフG7は健全な鉄筋の磁束密度を示している。
この図16では、原点(X軸の0.00mの位置)は鉄筋2の破断Hの位置であり、磁石5の配置は、X軸においてN極端部5nの位置は−0.19mであり、S極端部5sの位置は−0.11mである。
グラフG6,G7から分かるように、破断がある場合、健全な場合の磁束密度のピークPg7の位置と比べて、磁束密度のピークPg6の位置が原点に近くなる。また、破断がある場合、逆方向ピークUg6の磁束密度が、健全な場合の逆方向ピークUg7の磁束密度と比べて負方向に大きくなる。
このため、上述の第1および第2実施例の非破壊検査装置20,120によって、鉄筋2の破断Hを検出することができる。
図17のグラフG8は、S極端部5sから鉄筋2に向けた垂線と鉄筋2との交点から下方(図15参照)に向けて約0.16mの位置に破断Hがある場合の磁束密度を示している。この破断Hの位置は検査範囲RのS極方向のほぼ端部である。また、グラフG9は健全な鉄筋の磁束密度を示している。
この図17では、原点(X軸の0.00mの位置)は鉄筋2の破断Hの位置であり、磁石5の配置は、X軸においてN極端部5nの位置は−0.24mであり、S極端部5sの位置は−0.16mである。
グラフG8,G9から分かるように、破断がある場合、健全な場合の磁束密度のピークPg9の位置と比べて、磁束密度のピークPg8の位置が原点に近くなる。また、破断がある場合、逆方向ピークUg8の磁束密度が、健全な場合の逆方向ピークUg9の磁束密度と比べて負方向に大きくなる。
したがって、図17より、検査範囲R内であれば、磁束密度のピーク位置の差または逆方向ピーク値の差の少なくとも一方に基づいて、鉄筋2の破断Hの有無を検出できることが分かる。
図18は、鉄筋の磁化にコ字形の磁石5を使用する場合における「両磁極の各中心部を通る直線C」を示している。上述の第1および第2の実施例では、棒形の磁石5を使用しており、その場合の直線Cは、その棒形磁石5の両磁極を通る軸線と一致するが、コ字形またはU字形のような磁石5の場合は、図18に示すように、直線Cは、両磁極の各端面における中心部を通る直線である。
また、上述の第1および第2の実施例では、多数の鉄筋2の磁化を、磁石5の配置を鉄筋2の長手方向と直交する方向(Y方向)に移動させながら行っているが、例えば、図13のように、矢印Qに示す方向(長手方向と直交する方向:Z方向)に磁石5を移動させて鉄筋2に接近させて配置し、次に逆方向に移動させ、このような動作を、右側からあるいは左側から鉄筋2ごとに順次行って磁化させてもよい。
すなわち、磁石5の両磁極の各中心部を通る直線C(図14,15,18参照)を鉄筋2の長手方向とほぼ平行にして、この磁石5を鉄筋2の検査対象箇所の近傍に近づけて配置し、この後遠ざけていけばよいのであり、その近づけ方や遠ざけ方はどのような方法であってもよい。
また、上記の第1および第2の実施例では、いずれも距離センサ30を用いて磁気検出部11の移動距離を検出しているが、必ずしも必要ではない。例えば、磁気検出部11を一定速度で移動させれば、移動距離は時間で求めることができる。
なお本願発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容されるものである。
本願発明は、橋脚、ビルおよびコンクリートポールなどのコンクリート体内に設けられている鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査に利用できるものである。
1 コンクリート体
1A 側表面
2 鉄筋
2a 屈曲部
5 磁石
10 磁気センサ
11 磁気検出部
20,120 非破壊検査装置
21 演算部(演算手段)
24 ピーク位置検出部
25,125 判定部
30 距離センサ
124 磁束密度検出部
H 破断
C 両磁極の各中心部を通る直線
R 検査範囲

Claims (7)

  1. コンクリート体内に設けられた鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
    1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
    次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、
    前記コンクリート体の表面から外側に出る磁束の方向を正方向とし、その逆の磁束の方向を負方向として、
    (a)「前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石のS極端部があった位置の近傍であって前記鉄筋の長手方向における磁束密度の正方向のピーク位置」または
    (b)「前記磁石のS極端部があった位置から前記磁束密度の正方向のピーク位置に向かってより離れた位置にある前記鉄筋の長手方向における磁束密度の負方向のピークのピーク値」のいずれか一方または両方を求め、
    前記(a)または(b)のいずれか一方または両方を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  2. 前記磁気センサの配置を移動させながら前記コンクリート体の表面の垂直方向の磁束密度を測定するとともに、該磁気センサの配置の移動距離を距離センサによって検出し、該磁気センサが測定した磁束密度と該距離センサが検出した移動距離とに基づいて、前記(a)または(b)のいずれか一方または両方を求めることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査方法。
  3. コンクリート体内に設けられた鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記鉄筋の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
    1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
    次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、
    前記コンクリート体の表面から外側に出る磁束の方向を正方向とし、その逆の磁束の方向を負方向として、
    (c)「前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石のN極端部があった位置の近傍であって前記鉄筋の長手方向における磁束密度の負方向のピーク位置」または
    (d)「前記磁石のN極端部があった位置から前記磁束密度の負方向のピーク位置に向かってより離れた位置にある前記鉄筋の長手方向における磁束密度の正方向のピークのピーク値」のいずれか一方または両方を求め、
    前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  4. 前記磁気センサの配置を移動させながら前記コンクリート体の表面の垂直方向の磁束密度を測定するとともに、該磁気センサの配置の移動距離を距離センサによって検出し、該磁気センサが測定した磁束密度と該距離センサが検出した移動距離とに基づいて、前記(c)または(d)のいずれか一方または両方を求めることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検査方法。
  5. コンクリート体内に設けられた屈曲部を有する鉄筋をコンクリート体の外側から磁石によって磁化させ、この後そのコンクリート体の表面の磁束密度を測定することにより前記屈曲部の破断の有無を検出する非破壊検査方法であって、
    前記屈曲部の近傍において、1つの磁石を、その両磁極の各中心部を通る直線が前記鉄筋の長手方向とほぼ平行になるように前記コンクリート体の表面に近づけて配置し、前記鉄筋の長手方向に移動させることなく該鉄筋を磁化させ、
    次に磁気センサを、前記鉄筋に沿った前記コンクリート体の表面に近づけて配置して該表面の垂直方向の磁束密度を測定することにより、前記鉄筋の屈曲部から長手方向に沿った所定距離の位置における磁束密度を求め、
    この位置における磁束密度を予め設定した閾値と比較して、前記鉄筋を磁化させた際に配置した前記磁石の両磁極のそれぞれ該鉄筋に最も近い両端部があった各位置から、それぞれ該鉄筋またはその延長線に向けて該磁石の前記両磁極の各中心部を通る直線に対して30°傾けた方向に延ばした2本の直線に挟まれた範囲内における該鉄筋の屈曲部の破断の有無を検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  6. 前記磁気センサの配置を、前記鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら前記コンクリート体の表面の磁束密度を測定することを特徴とする請求項5に記載の非破壊検査方法。
  7. 前記磁石の配置を、前記鉄筋の長手方向と直交する方向に移動させながら該鉄筋を磁化させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の非破壊検査方法。
JP2013120528A 2012-06-08 2013-06-07 非破壊検査方法 Expired - Fee Related JP6211311B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013120528A JP6211311B2 (ja) 2012-06-08 2013-06-07 非破壊検査方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012131099 2012-06-08
JP2012131099 2012-06-08
JP2013120528A JP6211311B2 (ja) 2012-06-08 2013-06-07 非破壊検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014013233A JP2014013233A (ja) 2014-01-23
JP6211311B2 true JP6211311B2 (ja) 2017-10-11

Family

ID=50108979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013120528A Expired - Fee Related JP6211311B2 (ja) 2012-06-08 2013-06-07 非破壊検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6211311B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7416358B2 (ja) * 2019-11-12 2024-01-17 株式会社四国総合研究所 非破壊検査方法及び検査装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2236636C (en) * 1997-05-29 2007-01-09 Tech Restoration Services, Inc. Method and apparatus for detecting tendon failures within prestressed concrete
JP4860987B2 (ja) * 2005-11-21 2012-01-25 株式会社四国総合研究所 非破壊検査方法
JP5222714B2 (ja) * 2008-12-25 2013-06-26 株式会社四国総合研究所 非破壊検査方法と非破壊検査装置
JP3163378U (ja) * 2010-07-30 2010-10-14 北海道電力株式会社 鉄筋破断検査装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014013233A (ja) 2014-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6305860B2 (ja) 非破壊検査方法および非破壊検査装置
KR102198678B1 (ko) 자성체의 검사 장치 및 자성체의 검사 방법
US20090134867A1 (en) Corrosion evaluation device and corrosion evaluation method
JP4860987B2 (ja) 非破壊検査方法
JP5946638B2 (ja) 非破壊検査方法
JP6452130B2 (ja) 線状部材の診断装置及び診断方法
WO2015141568A1 (ja) 埋設金属の探知方法及びその探知装置
JP7160098B2 (ja) 非破壊検査方法、非破壊検査システム及び非破壊検査プログラム
JP6305847B2 (ja) 非破壊検査方法および非破壊検査装置
JP2005003405A (ja) コンクリート構造物の鉄筋破断検知方法
JP3734822B1 (ja) 非破壊検査方法
JP6211311B2 (ja) 非破壊検査方法
JP2018151168A (ja) 非破壊検査方法及び非破壊検査装置
JP5222714B2 (ja) 非破壊検査方法と非破壊検査装置
WO2019054158A1 (ja) 非破壊検査装置、非破壊検査システム及び非破壊検査方法
JP6305859B2 (ja) 非破壊検査方法
JP2016008960A5 (ja)
JP4304121B2 (ja) コンクリート構造物の鉄筋破断検知方法
JP2004279372A (ja) 破断検出方法
EP3081932B1 (en) Apparatus and method of inspecting defect of steel plate
JP7196921B2 (ja) 非破壊検査装置、非破壊検査システム及び非破壊検査方法
JP5531124B2 (ja) 非破壊検査方法
WO2024057869A1 (ja) 非破壊検査方法、プログラム及び非破壊検査システム
JP2024054885A (ja) 非破壊検査方法
JP7416358B2 (ja) 非破壊検査方法及び検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160303

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6211311

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees