JP2020148565A - 非破壊検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本願の第1の発明では、検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査方法において、上記磁石の磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、該磁石を撤去する着磁工程と、上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算工程と、上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定工程とを含むことを特徴としている。
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る非破壊検査方法において、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴としている。
本願の第3の発明では、上記第2の発明に係る非破壊検査方法において、上記判定工程では、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴としている。
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定する推定工程を含むことを特徴としている。
本願の第5の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、
少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴としている。
本願の第6の発明では検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査装置において、磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、撤去される上記磁石を備える着磁部と、上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定部と、上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算部と、該演算部で求められた磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定部とを備えたことを特徴としている。
本願の第7の発明では、上記第6の発明に係る非破壊検査装置において、上記判定部は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴としている。
本願の第8の発明では、上記第7の発明に係る非破壊検査装置において、上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴としている。
本願の第9の発明では、上記第6、第7又は第8の発明に係る非破壊検査装置において、上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定する推定部を備えたことを特徴としている。
本願の第10の発明では、上記第6、第7又は第8の発明に係る非破壊検査装置において、上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直は方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定部を備えたことを特徴としている。
本願の第1の発明に係る非破壊検査方法は、コンクリート体内に埋設された検査対象鋼材を磁化させた後(着磁工程)、該検査対象鋼材から漏洩する磁束密度を測定し(磁束密度測定工程)、その磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求め(演算工程)、上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する(判定工程)ものであることから、上記検査対象鋼材の損傷の有無を磁束密度微分波形における波形の形体によって定量的に判定することがきる。
本願の第2の発明では、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定するものである。
本願の第3の発明では、上記(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものであって、略点対称の双極形の場合に比してその形状の判断が難しい「略線対称の単峰形」をより一層定量的に正確に判定することができ、延いては検査対象鋼材における損傷有無の判定精度の更なる向上が図れる。
本願の第4の発明では、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定することから、コンクリート体内における検査対象鋼材の損傷部を二次元的に的確に検出することができ、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性が格段に向上する。
本願の第5の発明では、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定することで、該検査対象鋼材の損傷部分の上記コンクリート体表面からの埋設深さを的確に知ることができ、延いては、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性の更なる向上が期待できる。
本願の第6の発明では、コンクリート体内に埋設された検査対象鋼材を磁化させた後(着磁部)、該検査対象鋼材から漏洩する磁束密度を測定し(磁束密度測定部)、その磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求め(演算部)、この磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定することから(判定部)、該検査対象鋼材の損傷の有無を磁束密度微分波形における波形の形体によって定量的に判定することができる。
本願の第7の発明では、上記(f)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定部が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定する。
本願の第8の発明では、上記(g)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することから、略点対称の双極形の場合に比してその形状の判断が難しい「略線対称の単峰形」をより一層定量的に正確に判定することができ、延いては検査対象鋼材における損傷有無の判定精度の更なる向上が図れる。
本願の第9の発明では、上記(f)、(g)又は(h)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定することから、コンクリート体内における検査対象鋼材の損傷部を二次元的に的確に検出することができ、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性が格段に向上する。
本願の第10の発明では、上記(f)、(g)又は(h)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定することから、該検査対象鋼材の損傷部分の上記コンクリート体表面からの埋設深さを的確に知ることができ、延いては、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性の更なる向上が期待できる。
先ず、本願発明に係る非破壊検査方法及び非破壊検査装置の基本思想を説明し、しかる後、実施例に基づいて具体的に説明することとする。
A−1−a:検査対象鋼材について
ここでは、非破壊検査方法及び非破壊検査装置の適用対象となる検査対象鋼材として、コンクリート体1内に埋設配置された鉄筋2を想定しており、この鉄筋2の長手方向において損傷部(具体的には「破断部」)が存在するか否かを、上記コンクリート体1の外側から取得される磁束密度波形に基づいて検査できるようにしたものである。
(イ)鉄筋2の着磁について
上記コンクリート体1内に埋設された上記鉄筋2に対する着磁は、従来周知の工程(例えば、特許文献1参照)で行われる。即ち、磁石3(図1参照)を上記コンクリート体1の表面1aに近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく鉄筋2の長手方向に沿って着磁する。この着磁操作によって、上記鉄筋2は、上記磁石3の磁気の影響を受けて磁化され、該鉄筋2の長手方向に沿ってそのS極側からN極側へ向かう方向の磁束が生じる。着磁後、磁石3はコンクリート体表面1aから撤去される。
上記鉄筋2から外部へ漏洩する磁気は、図2及び図3に示すように、上記コンクリート体の表面1aに磁気センサ4を近づけて配置し、これを上記鉄筋2の長手方向に移動させることで、その大きさに応じた電気信号として取得される。この磁気センサ4で測定された磁束密度の測定値を後述の演算部22(図1参照)において図形化処理をして磁束密度波形図とされる(図5、図11参照)。
図2は、破断部2Aの有る鉄筋2における残留磁気の状態を示している。この破断部2A部分においては、一方の端部2B側がN極となり、これに対向する他方の端部2CはS極となり、鉄筋2の中の磁束はこの破断部2Aにおいて途切れる。そして、鉄筋2の一方の端部2B側では、破断部2A寄りのN極からこれより後方側(図中左側)へ向かう磁力線10bが生じ、これによって該一方の端部2B側には上記破断部2Aへ向かう方向の磁束12が生じる。また、他方の端部2C側では、破断部2Aに近い部分がS極となり、遠い2C側には上記破断部2Aから離間する方向の磁束13が生じる。さらに、上記破断部2A部分においては、一方の端部2B側のN極から他方の端部2C側のS極へ向かう磁力線10aが生じる。
図3は、破断部は無いが、着磁端が存在する鉄筋2における残留磁束の状態を示している。この部分においては、鉄筋2をそのS極側からN極側へ向かう方向の磁束18が途中で途切れることが無い。そして、この場合、N極寄り部分にはZ軸方向上側に向かう磁束19が、S極寄り部分にはZ軸方向下側に向かう磁束20が、それぞれ生じている。この磁束密度を測定し、そのZ軸方向成分を、上記鉄筋2の長手方向における測定位置との関連で波形図として示したのが図11に示す磁束密度波形図である。
図5に示す磁束密度波形図も、図11に示す磁束密度波形図も、共に右肩上がりの波形となっているが、これは着磁工程において上記磁石3を、そのN極を図中左側、S極を図中右側に向けた状態で、図中左側から図中右側へ移動させて着磁したことに起因する。したがって、例えば、上記記載とは磁極を逆方向にして着磁させた場合には、磁束密度波形図は、共に右肩下がりの波形(図示省略)となる。また、図5の磁束密度波形図では破断部に対応する部分が正側から負側へ変化するS字形の波形として、図11の磁束密度波形図では着磁端に対応する部分が正側に単峰形の波形として、それぞれ表わされている。
測定により取得された磁束密度値を上記鉄筋2の長手方向に微分し、水平なベースラインの下で、磁束密度のピークを際立たせたのが、図6及び図12にそれぞれ実線で示す1階微分波形図である。なお、この1階微分波形図におけるベースラインは、図5に示すように一定の傾きの直線(例えば、「aX+b」)で表されるベースラインをもつ磁束密度波形図を1階微分することで、その傾きの値(即ち、上記「a」)の一定値で水平な直線となったものであり、見かけ上、ゼロラインに対して一定のバイアス値「a」をもった直線として認識される。したがって、この1階微分波形図に表わされたピーク波形では、このバイアス値の影響でピーク波形の特性を明確に認識しにくく、このため本願発明では1階微分波形図を鉄筋2の破断部の検出には使用していない。
上記磁束密度の1階微分値を上記鉄筋2の長手方向に微分(2階微分)し、これを波形図面として示したのが、図7及び図13にそれぞれ示す2階微分波形図である。なお、図7は上記鉄筋2に破断部が有る場合の2階微分波形図であり、図13は上記鉄筋2に破断部は無く、着磁端が存在する場合の2階微分波形図である。これら各2階微分波形図におけるベースラインは、1階微分波形図において一定値で水平な直線として表わされるベースラインをさらに微分したことで、ゼロラインに合致した直線となり、破断部又は着磁端に対応する部分が極大値、極小値をもつものとして際立たせられている。
上記磁束密度の2階微分値を、さらに上記鉄筋2の長手方向に微分(3階微分)し、これを波形図面として示したのが、図8に示す3階微分波形図である。この3階微分波形図は、図6に示す1階微分波形図と同様に、ピーク波形が単峰形となっているが、該ピーク波形の方向は1階微分波形図とは異なって正側へ凸の単峰形となっている。この3階微分波形図を鉄筋2の破断部の検出における定量的指標として利用するためには、その単峰形のピーク波形部が略線対称であるのか否かを判定する必要があり、この判定手法としてここでは以下の二つの方法を説明する。
第1の判定方法は、図9に示すように、3階微分波形図における磁束密度のピーク値に対応する鉄筋2の長手方向における位置を基準位置(XO)とする。そして、3階微分波形図における上記ピーク値(B(X0))の略「1/2」(B(X0)/2)にそれぞれ対応する2点(イ)、(ロ)の上記基準位置からの離間間隔(「XO−a」、「XO+b」)が略同一(a≒b)であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものである。
第2の判定方法は、図10に示すように、3階微分波形図におけるピーク値に対応する鉄筋2の長手方向における位置を基準位置(XO)とする。そして、3階微分波形図におけるピーク値(B(X0))から該ピーク値の略「1/2」(B(X0)/2)の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積(S1)と,正側の面積(S2)が略同一(S1≒S2)であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものである。
以上のように、微分階数と微分波形図におけるピーク波形部分の形状は、微分階数によって一義的に決定されるものであり、1階微分波形図では単峰形、2階微分波形図では双極形、3階微分波形図では単峰形、4階微分波形図では双極形、5階微分波形図では単峰形等々となる。即ち、1階微分波形図の形状的特徴(即ち、単峰形のピーク波形)とか内容等は、3階以上の奇数階微分波形図に受け継がれ、また2階微分波形図の形状的特徴(即ち、双極形のピーク波形)とか内容等は4階以上の偶数回微分波形図に受け継がれる(尤も、磁束密度の正負両側への振れ幅とか、鉄筋2に長手方向における波形幅は変化する)。
図1には、非破壊検査装置Zの具体的内容を、機能ブロック図として示している。
この非破壊検査装置Zは、次述する装置本体Zaと磁石3を備える着磁部25(非破壊検査方法における着磁工程を構成する)を備えて構成される。また上記装置本体Zaは、上記コンクリート体1の表面1a上に配置された磁気センサ4と距離センサ8を備え、着磁された鉄筋2からの磁束密度を測定する磁束密度測定部21(非破壊検査方法における磁束密度測定工程を構成する)と、上記磁束密度測定部21からの磁束密度測定値を受けて該磁束密度測定値の1階微分波形を求める1階微分部22a、2階微分波形を求める2階微分部22b、3階微分波形図を求める3階微分部22c、・・・等の複数の微分部を備えた演算部22(非破壊検査方法における演算工程を構成する)と、上記演算部22の任意の微分部から微分波形図を受けて上記鉄筋2における破断部の有無を判定する判定部23(非破壊検査方法における判定工程を構成する)と、該判定部23からの判定に係る情報を受けてこれを表示する表示部24を備える。
本願発明の第2の実施形態に係る非破壊検査装置Zは、測定により取得される磁束密度値に基づいて、その2階微分波形図を求め、この2階微分波形図に示された情報から上記鉄筋2における破断部の有無を判定することは、上記第1の実施形態に係る非破壊検査装置Zの場合と同様であるが、さらにこれに加えて、上記鉄筋2の破断部の上記コンクリート体1のX軸方向(上記鉄筋2の長手方向)とY軸方向(上記鉄筋2の長手方向に直交しかつコンクリート体1の表面に平行な方向)における位置を推定するようにしたものである。以下においては、これを具体的に説明する。
図15には、上記非破壊検査装置Zの機能ブロック図を示している。この非破壊検査装置Zは、次述する装置本体Zaと着磁部30(非破壊検査方法における着磁工程を構成する)を備えて構成される。また上記装置本体Zaは、上記コンクリート体1の表面1a上に配置された三個の磁気センサ4〜6と距離センサ8を備え、上記着磁部30によって着磁された鉄筋2からの磁束密度を測定する磁束密度測定部31(非破壊検査方法における磁束密度測定工程を構成する)と、上記磁束密度測定部31からの磁束密度測定値を受けて該磁束密度測定値の1階微分波形を求める1階微分部32a、2階微分波形を求める2階微分部32b、3階微分波形図を求める3階微分部32c等の複数の微分部を備えた演算部32(非破壊検査方法における演算工程を構成する)と、上記演算部32の任意の微分部から微分波形図を受けて上記鉄筋2における破断部の有無を判定する判定部33(非破壊検査方法における判定工程を構成する)と、上記演算部32からの情報を受けて上記鉄筋2における上記破断部の上記コンクリート体1のX軸方向とY軸方向に2方向における位置をそれぞれ推定する推定部34と、上記判定部33からの判定に係る情報と上記推定部34からの上記破断部の位置に関する情報を受けて、これらを表示する表示部35を備える。
上記着磁部30は、磁石3を備えて構成され、上記鉄筋2を着磁させるものであって、図15に示すように、上記磁石3を上記コンクリート体1の表面1aに近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記コンクリート体1内に埋設配置された上記鉄筋2にその長手方向に沿って着磁させる。この着磁操作によって、上記鉄筋2には、残留磁気による磁束が生じる。着磁後、磁石3はコンクリート体表面1aから撤去される。
上記磁束密度測定部31は、図15、図16に示すように、上記コンクリート体1の表面1a上に、上記鉄筋2の長手方向に直交しかつコンクリート体1の表面1aに平行な方向(Y軸方向)に所定間隔(この実施形態では50mmの間隔)をもって三個の磁気センサ4〜6を配置するとともに、距離センサ8を併設して構成される。なお、この場合、上記三個の磁気センサ4〜6のうち、列設方向の中央に位置する磁気センサ5は、上記コンクリート体1の表面1aに沿う方向(即ち、Y軸方向)において上記鉄筋2の位置と略合致するように(換言すれば、上記磁気センサ5がZ軸方向において上記鉄筋2の直上(図15)又は直下(図16)に位置するように)その配置位置が設定されている。なお、この磁気センサ5の上記鉄筋2に対するY軸方向の位置確認は、適宜の位置確認手段によって行われる。
上記各磁気センサ4〜6は、一体的に、上記コンクリート体1の表面1aに沿って上記鉄筋2の長手方向へ走査されることで、それぞれ磁束密度を測定する。これら各磁気センサ4〜6のそれぞれによって測定された磁束密度値は、図形処理されて、図17に示すように磁束密度微分波形図として表示される。なお、この場合、上記各磁気センサ4〜6に対応する各磁束密度微分波形図は、共に右下がりの曲線とされ、かつ上記鉄筋2の破断部2Aに対応する部分ではS字状の波形となっている。
演算部32の1階微分部32aにおいては、上記磁束密度測定部31の各磁気センサ4〜6で求められた磁束密度値を受けて上記鉄筋2の長手方向に微分することで、図18の1階微分波形図に示すように、三本の1階微分波形を得る。これら各1階微分波形は、破断部に対応する部分が負極側への単峰形のピーク波形とされるが、そのピーク値は、上記鉄筋2と各磁気センサ4〜6との距離に対応して、上記鉄筋2のZ軸方向直上(図15)又は直下(図16)に位置する上記磁気センサ5に対応する波形が最大となっている。
上記2階微分部32bにおいては、上記1階微分部32aで求められた各磁気センサ4〜6毎の1階微分値をさらに上記鉄筋2の長手方向入に微分することで、図19の2階微分波形図に示すように、破断部に対応する部分がゼロラインを横切って負側から正側へ変化する双極形のピーク波形をもつ三本の2階微分波形を得る。
上記判定部33においては、上記演算部32の2階微分部32bで求められた2階微分波形を用いて、上記鉄筋2に破断部が有る係る否かを判定する。その場合、上記2階微分部32bでそれぞれ求められた三つの2階微分波形のうち、ピーク値が最大であって破断部判定の指標として最適な上記磁気センサ5に対応する2階微分波形を採用する。そして、この2階微分波形の双極形のピーク波形部分における負側の極小値「Pn」と正側の極大値「Ps」の絶対値の比「|Pn|/|Ps|」が「約1」であって、極大値と極小値は、波形がゼロラインを横切る点を中心とする略点対称の関係にあるため、鉄筋2に破断部が有ると判定する。
上記推定部34において、コンクリート体1内における破断部の二軸方向(X軸方向とY軸方向)の位置を推定する。
先ず、2階微分の双極形の二つのピーク「Pn」、「Ps」(図19参照)について、ピーク「Pn」のピーク高さ「Pn(μT/cm2)」と、ピーク「Ps」のピーク高さPs(μT/cm2)と、ピーク高さ平均「(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」と、ピーク比「|Pn|/|Ps|=Pj」と、ピーク「Pn」のピーク位置「Xn(mm)」と、ピーク「Ps」のピーク位置「Xs(mm)」と、ピーク幅「|Xn−Xs|=Xj」と、ピーク位置平均「(Xn+Xs)/2=Xm」をそれぞれ求め、これを表1として示す。
先ず、上記鉄筋2における破断部のX軸方向(即ち、鉄筋2の長手方向)の位置「X0」の推定であるが、これは、上記表1の「ピーク位置平均(Xn+Xs)/2=Xm」の三つの磁気センサ4〜6の平均値として求められる。即ち、ここでは「X0=206mm」と推定される。
次に、上記鉄筋2における破断部のY軸方向の位置(即ち、列設方向中央の磁気センサ5からの水平方向距離)「Y0」の推定であるが、これは、表1の「ピーク高さ平均(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」の上記三つの磁気センサ4〜6の極大値のセンサ位置として求められる。ここでは、磁気センサ5に対応するピーク高さ平均「34.1」が三つの磁気センサ中で極大値であるため、この磁気センサ5のY軸方向の位置「Y0=0」が破断部のY軸方向の位置として推定される。
第3の実施形態に係る非破壊検査装置Zは、後述するように、上記鉄筋2の破断部の位置の推定に係る構成が異なるのみで、その他の構成は上記第2の実施形態における非破壊検査装置Zの場合と同様である。
図20には、この第3の実施形態に係る非破壊検査装置Zの機能ブロック図を示している。この機能ブロック図は、上記第2の実施形態に係る非破壊検査装置Zの機能ブロック図と基本構成を同じにし、これと異なる点は、上記第2の実施形態においては上記磁束密度測定部31に三つの磁気センサ4〜6が備えられていたのに対して、この実施形態では上記磁束密度測定部31に四つの磁気センサ4〜7が備えられている点である。
上記鉄筋2の破断部の位置推定を行うに際しては、上記各磁気センサ4〜7の検出値に基づいて、表2及び表3に示すように各種情報が取得される。
先ず、三つの磁気センサ4〜6と、一つの磁気センサ7によって、それぞれ2階微分の双極形の二つのピーク「Pn」、「Ps」(図19参照)について、ピーク「Pn」のピーク高さ「Pn(μT/cm2)」と、ピーク「Ps」のピーク高さPs(μT/cm2)と、ピーク高さ平均「(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」と、ピーク比「|Pn|/|Ps|=Pj」と、ピーク「Pn」のピーク位置「Xn(mm)」と、ピーク「Ps」のピーク位置「Xs(mm)」と、ピーク幅「|Xn−Xs|=Xj」と、ピーク位置平均「(Xn+Xs)/2=Xm」を求める。これを表したのが表2(表2−1及び表2−2)である。
先ず、上記鉄筋2における破断部のX軸方向(即ち、鉄筋2の長手方向)の位置「X0」の推定であるが、これは、上記表3−2の「ピーク位置平均(Xn+Xs)/2=Xm」の三つの磁気センサ4〜6の平均値として求められる。即ち、ここでは「X0=206mm」と推定される。
次に、上記鉄筋2における破断部のY軸方向の位置(即ち、列設方向中央の磁気センサ5からの水平方向距離)「Y0」の推定であるが、これは、表2−1の「ピーク高さ平均(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」の上記三つの磁気センサ4〜6の極大値のセンサ位置として求められる。ここでは、磁気センサ5に対応するピーク高さ平均「34.1」が三つの磁気センサ中で極大値であるため、この磁気センサ5のY軸方向の位置「Y0=0」が破断部のY軸方向の位置として推定される。
さらに、上記鉄筋2における破断部のZ軸方向の位置(中央の磁気センサ5からの距離)「Z0」であるが、これは表3から演算にて求められる。
この実施形態の場合、Z0=62mmとなる。
Z0=|Z|×3√p/(1-3√p) ・・・式1
p=Pm(z)/Pm(0)・・・・・・・・式2
磁束密度が距離の二乗に比例するため、
式(a) Pm(0)=B/Z0 3
式(b) Pm(z)=B/(Z0+|Z|)3
ここで、式(イ)、(ロ)によりBを消去すると、
式(c) Pm(z)/Pm(0)=Z0 3/(Z0+|Z|)3=p
上記式(c)の立方根をとると、
式(d) Z0/(Z0+|Z|)=3√p
式(e) Z0=|Z|×3√p/(1-3√p)
となる。
2 ・・鉄筋(検査対象鋼材)
3 ・・磁石
4〜7 ・・磁気センサ
8 ・・距離センサ
21 ・・磁束密度測定部
22 ・・演算部
23 ・・判定部
24 ・・表示部
25 ・・着磁部
30 ・・着磁部
31 ・・磁束密度測定部
32 ・・演算部
33 ・・判定部
34 ・・推定部
35 ・・表示部
Z ・・非破壊検査装置
Za ・・装置本体
本願の第5の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴としている。
以上のように、微分階数と微分波形図におけるピーク波形部分の形状は、微分階数によって一義的に決定されるものであり、1階微分波形図では単峰形、2階微分波形図では双極形、3階微分波形図では単峰形、4階微分波形図では双極形、5階微分波形図では単峰形等々となる。即ち、1階微分波形図の形状的特徴(即ち、単峰形のピーク波形)とか内容等は、3階以上の奇数階微分波形図に受け継がれ、また2階微分波形図の形状的特徴(即ち、双極形のピーク波形)とか内容等は4階以上の偶数階微分波形図に受け継がれる(尤も、磁束密度の正負両側への振れ幅とか、鉄筋2に長手方向における波形幅は変化する)。
この実施形態の場合、Z0=105mmとなる。
Z0=|Z|×3√p/(1-3√p) ・・・式1
p=Pm(z)/Pm(0)・・・・・・・・式2
磁束密度が距離の三乗に反比例するため、
式(a) Pm(0)=B/Z0 3
式(b) Pm(z)=B/(Z0+|Z|)3
ここで、式(イ)、(ロ)によりBを消去すると、
式(c) Pm(z)/Pm(0)=Z0 3/(Z0+|Z|)3=p
上記式(c)の立方根をとると、
式(d) Z0/(Z0+|Z|)=3√p
式(e) Z0=|Z|×3√p/(1-3√p)
となる。
Claims (10)
- 検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査方法であって、
上記磁石の磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、該磁石を撤去する着磁工程と、
上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算工程と、
上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1において、
上記判定工程は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項2において、
上記判定工程では、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、
上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1、2又は3において、
少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向するにおける少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、
該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定する推定工程を含むことを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1、2又は3において、
少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、
該各磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴とする非破壊検査方法。 - 検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査装置であって、
磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、撤去される上記磁石を備える着磁部と、
上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定部と、
上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算部と、
該演算部で求められた磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項6において、
上記判定部は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項7において、
上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、
上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項6、7又は8において、
上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、
該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定する推定部を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項6、7又は8において、
上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、
該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定部を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
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