JP2020148565A - 非破壊検査方法及び検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート体内の鋼材の損傷の有無を、定量的に判定する非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提案する。【解決手段】コンクリート体1の外側から、磁石3によって検査対象鋼材2を磁化させ、その後磁気センサ4によってコンクリート体1の磁束密度を測定することで、検査対象鋼材2の損傷部の有無を検出する非破壊検査装置において、検査対象鋼材2を着磁させる磁石3を備える着磁部25と、検査対象鋼材2の磁束密度を測定する磁束密度測定部21と、磁束密度微分波形を求める演算部22と、該演算部22で求められた磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材2の損傷の有無を判定する判定部23とを備える。係る構成によれば、損傷有無の判定を精度良く的確に行うことができるとともに、大量のデータによる学習が不要であり、損傷有無の検査を簡易迅速に行うことができる。【選択図】図1

Description

本願発明は、コンクリート体内に埋設配置されている鋼材の損傷の有無を、該コンクリート体を破壊することなくその外部から検査する非破壊検査方法及びその検査装置に関するものである。
従来から、コンクリート体内に設けられた鋼材の破断の有無を検査する非破壊検査方法が知られている。例えば、特許第3734822号公報(特許文献1)に記載された非破壊検査方法は、永久磁石を、コンクリート体に埋設された検査対象の鉄筋の長手方向に沿って、コンクリート体表面を移動させることにより鋼材を磁化させ、鋼材の長手方向に一定の距離を置いて配置した2個の磁気センサによってコンクリート体の表面から漏れる磁束密度をそれぞれ測定する。更に得られた2つの測定値の差分(微分近似値:磁束密度の変化率)を算出し、この差分が一定の閾値を越える場所において破断の疑いがあると判断する手法をとっている。しかしながら、この判定方法は、上記閾値を定めるにあたって相当の実務経験が必要であり、また、磁化条件により大きくベースライン(磁束密度波形の変化の基準となる直線)が傾いた場合には、相当の実務経験者でも判定が困難な場合があるなどの問題があった。
この問題に対し、この磁束密度の変化率の状態を、予め模擬した鉄筋コンクリート構造体(鉄筋の破断位置が既知)を用いたモックアップ測定等によって得られるデータと対比し、定性的(例えば、経験則、AI技術、機械学習等を含む)に鉄筋の破断の有無を検査しようとすれば、その精度を確保するためには大量のデータを膨大な時間を費やして収集する必要があり、検査の簡易迅速化という点において問題がある。
また、事前の学習データと測定により取得したデータの対比により破断の有無を判断するものであるため、例えば、学習データーベースに無いような事例に当たった場合には、適切な判断ができないという問題もあった。
特許第3734822号公報
そこで本願発明は、コンクリート体内の鋼材の損傷の有無を、該コンクリート体を破壊することなく定量的に判定する非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提案することを目的としてなされたものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
「本願の第1の発明」
本願の第1の発明では、検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査方法において、上記磁石の磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、該磁石を撤去する着磁工程と、上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算工程と、上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定工程とを含むことを特徴としている。
ここで、上記検査対象鋼材とは、一般的な鉄筋コンクリート構造物に多用される鉄筋である断面形状が円形の丸棒や表面に突起を設けた異形棒鋼に限らず、断面形状が矩形、その他の多角形の棒鋼、H形鋼であってもよい。また、通水とか通気等に使用する内部が空洞の鋼管であってもよく、さらにプレストレスト・コンクリート工法に使用するPC鋼棒、PC鋼線やPC鋼撚線といったPC鋼材、あるいはこれらを内部に通して使用するシース管やシース管内のPC鋼材であってもよい。
また、鋼材の損傷とは、鋼材が完全に破断している状態のほか、例えば、PC鋼線やPC鋼撚線のように多数の鋼線の束からなる鋼材の場合は、多数の鋼線の一部が破断しているような場合も含まれる。
上記着磁工程において検査対象鋼材を磁化させる際に、磁石の磁化面をコンクリート体の表面に近付けて配置するには、該磁石の磁化面をコンクリート体の表面付近の所定位置に、一時的に近づければよく、必ずしも磁石の磁化面をコンクリート体の表面に当接させる必要は無く、静止させる必要もない。また、上記磁石が小型であれば、その磁石の磁化面を検査対象鋼材の長手方向に沿って移動させることで、検査対象鋼材を磁化させればよく、上記磁石が大型であれば、その磁石の磁化面を移動させることなく検査対象鋼材の長手方向に沿った一箇所に配置することで、検査対象鋼材を広範囲で磁化できる場合がある。
ここで、磁石の磁化面とは、鋼材に着磁する際に、コンクリート体の表面に最も近づける磁石の一面を指し、その形状は単一の平面に限るものではなく、また磁石は、永久磁石と電磁石のいずれであってもよい。
また、磁束密度測定工程において、磁気センサをコンクリート体の表面に近付けて配置するには、上記磁石の場合と同様に、磁気センサをコンクリート体の表面付近の所定位置に、一時的に近づければよく、直接コンクリート体の表面に当接させる必要は無く、静止させる必要もない。
ただし、検査対象鋼材の長手方向に沿った磁束密度を求めるには、検査対象鋼材の損傷部の検査範囲のみではなく、必要に応じてその周辺範囲まで含めて磁束密度を測定する必要がある。そのためには、1個又は複数個の磁気センサを適宜に移動させつつ磁束密度を測定すればよく、例えば、磁気センサを、検査対象鋼材の長手方向に沿ってコンクリート体の表面付近を移動させながら磁束密度を測定することができる。あるいは、コンクリート体の長手方向と直交する方向に往復動させつつ、少しずつ検査対象鋼材の長手方向にずらせることによって、検査対象鋼材の磁束密度を測定し、この測定結果から検査対象鋼材の長手方向に沿った磁束密度を算出することができる。
「本願の第2の発明」
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る非破壊検査方法において、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴としている。
「本願の第3の発明」
本願の第3の発明では、上記第2の発明に係る非破壊検査方法において、上記判定工程では、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴としている。
「本願の第4の発明」
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定する推定工程を含むことを特徴としている。
「本願の第5の発明」
本願の第5の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、
少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴としている。
「本願の第6の発明」
本願の第6の発明では検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査装置において、磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、撤去される上記磁石を備える着磁部と、上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定部と、上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算部と、該演算部で求められた磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定部とを備えたことを特徴としている。
「本願の第7の発明」
本願の第7の発明では、上記第6の発明に係る非破壊検査装置において、上記判定部は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴としている。
「本願の第8の発明」
本願の第8の発明では、上記第7の発明に係る非破壊検査装置において、上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴としている。
「本願の第9の発明」
本願の第9の発明では、上記第6、第7又は第8の発明に係る非破壊検査装置において、上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定する推定部を備えたことを特徴としている。
「本願の第10の発明」
本願の第10の発明では、上記第6、第7又は第8の発明に係る非破壊検査装置において、上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直は方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定部を備えたことを特徴としている。
本願各発明では、それぞれ以下のような効果が得られる。
(a)本願の第1の発明
本願の第1の発明に係る非破壊検査方法は、コンクリート体内に埋設された検査対象鋼材を磁化させた後(着磁工程)、該検査対象鋼材から漏洩する磁束密度を測定し(磁束密度測定工程)、その磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求め(演算工程)、上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する(判定工程)ものであることから、上記検査対象鋼材の損傷の有無を磁束密度微分波形における波形の形体によって定量的に判定することがきる。
したがって、例えば、従来のように、磁束密度の変化率(磁束密度の微分値)の状態をモックアップ測定等によって得られるデータと対比し、定性的に鉄筋(検査対象鋼材)の破断(損傷)の有無を検査するものに比して、損傷有無の判定をより精度良く的確に行うことができるとともに、大量のデータによる学習が不要であり、それだけ損傷有無の検査をより簡易迅速に行うことができ、これらの相乗効果として、検査対象鋼材の損傷検査のコスト低減が可能になる。
また、検査対象鋼材における損傷の有無の判定過程が明確であることから、例えば、学習データーベースが無いような事例であっても、極めて容易に対応することができ、損傷検査の汎用性が向上する。
(b)本願の第2の発明
本願の第2の発明では、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定するものである。
ここで、磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるとき、及び上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには、該磁束密度微分波形におけるベースライン(磁束密度微分波形の変化の基準となる直線)が常に該磁束密度微分値ゼロのラインに合致して水平となることから、該磁束密度微分波形における上記波形変化部が、略線対称の単峰形であるのか、略点対称の双極形であるのかを、より明確に判断することができ、それだけ検査対象鋼材における損傷有無の判定精度が向上することになる。
ここで、ベースラインとは、検査対象鋼材に損傷や接合部がなく、さらに検査対象鋼材以外の磁性体の影響がない状態において、検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した場合の磁束密度の測定値を表すラインであり、着磁する際の磁極の向きによって、右上がりか右下がりの直線になる。かかるベースラインは、本発明において磁束密度微分波形の変化の基準であるが、2階以上の微分によって常に磁束密度微分値ゼロの直線になるので実測する必要はない。
(c)本願の第3の発明
本願の第3の発明では、上記(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定工程が、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものであって、略点対称の双極形の場合に比してその形状の判断が難しい「略線対称の単峰形」をより一層定量的に正確に判定することができ、延いては検査対象鋼材における損傷有無の判定精度の更なる向上が図れる。
(d)本願の第4の発明
本願の第4の発明では、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定することから、コンクリート体内における検査対象鋼材の損傷部を二次元的に的確に検出することができ、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性が格段に向上する。
なお、この第4の発明では、少なくとも一個の磁気センサを備え、これを上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における複数位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて複数の磁束密度微分波形を取得するようにしているが、これとは異なって、例えば、二個の磁気センサを、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向における複数位置にそれぞれ配置し、該各磁気センサによって磁束密度微分波形をそれぞれ取得するようにすることもできる。
(e)本願の第5の発明
本願の第5の発明では、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定することで、該検査対象鋼材の損傷部分の上記コンクリート体表面からの埋設深さを的確に知ることができ、延いては、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性の更なる向上が期待できる。
(f)本願の第6の発明
本願の第6の発明では、コンクリート体内に埋設された検査対象鋼材を磁化させた後(着磁部)、該検査対象鋼材から漏洩する磁束密度を測定し(磁束密度測定部)、その磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求め(演算部)、この磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定することから(判定部)、該検査対象鋼材の損傷の有無を磁束密度微分波形における波形の形体によって定量的に判定することができる。
したがって、例えば、従来のように、磁束密度の変化率(磁束密度の微分値)の状態をモックアップ測定等によって得られるデータと対比し、定性的に鉄筋(検査対象鋼材)の破断(損傷)の有無を検査するものに比して、損傷有無の判定をより精度良く的確に行うことができるとともに、大量のデータによる学習が不要であり、それだけ損傷有無の検査をより簡易迅速に行うことができ、これらの相乗効果として、検査対象鋼材の損傷検査のコスト低減が可能になる。
また、検査対象鋼材における損傷の有無の判定過程が明確であることから、例えば、学習データーベースが無いような事例であっても、極めて容易に対応することができ、損傷検査の汎用性が向上する。
(g)本願の第7の発明
本願の第7の発明では、上記(f)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定部が、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定する。
ここで、磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるとき、及び上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには、該磁束密度微分波形におけるベースラインが常に該磁束密度微分値ゼロのラインに合致して水平となることから、該磁束密度微分波形における上記波形変化部が、略線対称の単峰形であるのか、略点対称の双極形であるのかを、より明確に判断することができ、それだけ検査対象鋼材における損傷有無の判定精度が向上することになる。
(h)本願の第8の発明
本願の第8の発明では、上記(g)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することから、略点対称の双極形の場合に比してその形状の判断が難しい「略線対称の単峰形」をより一層定量的に正確に判定することができ、延いては検査対象鋼材における損傷有無の判定精度の更なる向上が図れる。
(i)本願の第9の発明
本願の第9の発明では、上記(f)、(g)又は(h)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定することから、コンクリート体内における検査対象鋼材の損傷部を二次元的に的確に検出することができ、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性が格段に向上する。
(j)本願の第10の発明
本願の第10の発明では、上記(f)、(g)又は(h)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定することから、該検査対象鋼材の損傷部分の上記コンクリート体表面からの埋設深さを的確に知ることができ、延いては、該検査対象鋼材の損傷の判定精度及び信頼性の更なる向上が期待できる。
本願発明の第1の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 損傷部が有る部位における着磁された鉄筋からの漏洩磁気の模式的説明図である。 損傷部が無い部位における着磁された鉄筋からの漏洩磁気の模式的説明図である。 非破壊検査における磁束密度測定工程の模式的説明図である。 損傷部が有る部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図5における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図5における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 図5における磁束密度の3階微分値に基づく3階微分波形図である。 3回微分波形図における単峰形波形の第1の判定手法説明図である。 3回微分波形図における単峰形波形の第2の判定手法説明図である。る。 損傷部の無い部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図11における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図11における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 検査対象鋼材の損傷部以外の異常部における2階微分波形図である。 本願発明の第2の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 非破壊検査における磁束密度測定部近傍の構成説明図である。 損傷部が有る部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図17における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図17における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 本願発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 非破壊検査における磁束密度測定部近傍の構成説明図である。
以下、本願発明に係る非破壊検査方法及び検査装置を実施形態に基づいて説明する。
A:第1の実施形態
先ず、本願発明に係る非破壊検査方法及び非破壊検査装置の基本思想を説明し、しかる後、実施例に基づいて具体的に説明することとする。
A−1:本願発明に係る非破壊検査方法及び非破壊検査装置の基本思想
A−1−a:検査対象鋼材について
ここでは、非破壊検査方法及び非破壊検査装置の適用対象となる検査対象鋼材として、コンクリート体1内に埋設配置された鉄筋2を想定しており、この鉄筋2の長手方向において損傷部(具体的には「破断部」)が存在するか否かを、上記コンクリート体1の外側から取得される磁束密度波形に基づいて検査できるようにしたものである。
A−1−b:鉄筋2の破断検査の基本思想
(イ)鉄筋2の着磁について
上記コンクリート体1内に埋設された上記鉄筋2に対する着磁は、従来周知の工程(例えば、特許文献1参照)で行われる。即ち、磁石3(図1参照)を上記コンクリート体1の表面1aに近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく鉄筋2の長手方向に沿って着磁する。この着磁操作によって、上記鉄筋2は、上記磁石3の磁気の影響を受けて磁化され、該鉄筋2の長手方向に沿ってそのS極側からN極側へ向かう方向の磁束が生じる。着磁後、磁石3はコンクリート体表面1aから撤去される。
なお、上記磁石3は、Nd系のような希土類金属からなる直方体形状の永久磁石であるが、これに限られず、例えば永久磁石ではなく電磁石であってもよく、形状は直方体に限られず、コ字形又はU字形などであってもよい。
(ロ)磁気センサによる残留磁束密度の測定
上記鉄筋2から外部へ漏洩する磁気は、図2及び図3に示すように、上記コンクリート体の表面1aに磁気センサ4を近づけて配置し、これを上記鉄筋2の長手方向に移動させることで、その大きさに応じた電気信号として取得される。この磁気センサ4で測定された磁束密度の測定値を後述の演算部22(図1参照)において図形化処理をして磁束密度波形図とされる(図5、図11参照)。
(ロ−1)破断部が有る部分における磁束密度の測定
図2は、破断部2Aの有る鉄筋2における残留磁気の状態を示している。この破断部2A部分においては、一方の端部2B側がN極となり、これに対向する他方の端部2CはS極となり、鉄筋2の中の磁束はこの破断部2Aにおいて途切れる。そして、鉄筋2の一方の端部2B側では、破断部2A寄りのN極からこれより後方側(図中左側)へ向かう磁力線10bが生じ、これによって該一方の端部2B側には上記破断部2Aへ向かう方向の磁束12が生じる。また、他方の端部2C側では、破断部2Aに近い部分がS極となり、遠い2C側には上記破断部2Aから離間する方向の磁束13が生じる。さらに、上記破断部2A部分においては、一方の端部2B側のN極から他方の端部2C側のS極へ向かう磁力線10aが生じる。
さらに、図2に示すように、上記一方の端部2B側では、そのN極部分にはZ軸方向(上記コンクリート体1の表面に垂直な方向)の上側へ向かう磁束16が、S極部分にはZ軸方向の下側に向かう磁束14が生じる。また、上記他方の端部2C側では、そのN極部分にはZ軸方向上側に向かう磁束15が、S極部分にはZ軸方向下側に向かう磁束17が生じる。
この破断部2Aの有る鉄筋2の磁束密度を測定し、そのZ軸方向成分を、上記鉄筋2の長手方向における測定位置との関連で波形図として示したのが図5に示す磁束密度波形図である。
(ロ−2)着磁端が存在する部分での磁束密度の測定
図3は、破断部は無いが、着磁端が存在する鉄筋2における残留磁束の状態を示している。この部分においては、鉄筋2をそのS極側からN極側へ向かう方向の磁束18が途中で途切れることが無い。そして、この場合、N極寄り部分にはZ軸方向上側に向かう磁束19が、S極寄り部分にはZ軸方向下側に向かう磁束20が、それぞれ生じている。この磁束密度を測定し、そのZ軸方向成分を、上記鉄筋2の長手方向における測定位置との関連で波形図として示したのが図11に示す磁束密度波形図である。
(ロ−3)図5及び図11に示す磁束密度波形図の考察
図5に示す磁束密度波形図も、図11に示す磁束密度波形図も、共に右肩上がりの波形となっているが、これは着磁工程において上記磁石3を、そのN極を図中左側、S極を図中右側に向けた状態で、図中左側から図中右側へ移動させて着磁したことに起因する。したがって、例えば、上記記載とは磁極を逆方向にして着磁させた場合には、磁束密度波形図は、共に右肩下がりの波形(図示省略)となる。また、図5の磁束密度波形図では破断部に対応する部分が正側から負側へ変化するS字形の波形として、図11の磁束密度波形図では着磁端に対応する部分が正側に単峰形の波形として、それぞれ表わされている。
(ハ)磁束密度の1階微分波形図の取得
測定により取得された磁束密度値を上記鉄筋2の長手方向に微分し、水平なベースラインの下で、磁束密度のピークを際立たせたのが、図6及び図12にそれぞれ実線で示す1階微分波形図である。なお、この1階微分波形図におけるベースラインは、図5に示すように一定の傾きの直線(例えば、「aX+b」)で表されるベースラインをもつ磁束密度波形図を1階微分することで、その傾きの値(即ち、上記「a」)の一定値で水平な直線となったものであり、見かけ上、ゼロラインに対して一定のバイアス値「a」をもった直線として認識される。したがって、この1階微分波形図に表わされたピーク波形では、このバイアス値の影響でピーク波形の特性を明確に認識しにくく、このため本願発明では1階微分波形図を鉄筋2の破断部の検出には使用していない。
図6は、上記鉄筋2に破断部が有る場合の1階微分波形図であり、図12は上記鉄筋2に破断部ではなく、着磁端が存在する場合の1階微分波形図である。また、図6及び図12には、実線図示する波形図の他に、ゼロレベルに対して線対称な破線図示する波形図を示している。この実線図示する波形は、磁束密度値を上記鉄筋2の長手方向に沿って微分する場合に、低位置側から高位置側(図中左側から右側)に向かって微分した場合の波形であり、破線図示する波形は、磁束密度値を上記鉄筋2の長手方向に沿って微分する場合に、高位置側から低位置側(図中右側から左側)に向かって微分した場合の波形である。
(ニ)2階微分波形図の取得
上記磁束密度の1階微分値を上記鉄筋2の長手方向に微分(2階微分)し、これを波形図面として示したのが、図7及び図13にそれぞれ示す2階微分波形図である。なお、図7は上記鉄筋2に破断部が有る場合の2階微分波形図であり、図13は上記鉄筋2に破断部は無く、着磁端が存在する場合の2階微分波形図である。これら各2階微分波形図におけるベースラインは、1階微分波形図において一定値で水平な直線として表わされるベースラインをさらに微分したことで、ゼロラインに合致した直線となり、破断部又は着磁端に対応する部分が極大値、極小値をもつものとして際立たせられている。
また、図7及び図13には実線図示する波形図の他に、ゼロレベルに対して略線対称な破線図示する波形図を示している。この実線図示する波形と破線図示する波形の関係は、1階微分波形図の取得の項で説明したように、2階微分時における鉄筋2の長手方向に対する微分方向に係るものであり、以下においては、実線図示する波形図に基づいて説明する。
ところで、同じ極大値、極小値をもつピーク波形であっても、図7の2階微分波形図におけるピーク波形と、図13の2階微分波形図におけるピーク波形とは、明確に判別することができる。即ち、測定により取得された磁束密度値を2階微分することで、図7及び図13に示すように、ベースラインがゼロラインに一致するとともに、破断部及び着磁端に対応する部分においてはベースラインを横切るS字形の波形が取得される。
ここで、図7の2階微分波形図と図13の2階微分波形図を対比すると、図7の2階微分波形図においては、負側のピーク高さ「Pn」と正側のピーク高さ「Ps」の間においては、その絶対値の比「|Pn|/|Ps|」が「約1」であって、極大値と極小値は、波形がゼロラインを横切る点を中心とする略点対称の関係にある。なお、この実施形態においては、上記比「|Pn|/|Ps|」が「0.5〜2」の範囲であれば鉄筋2の破断が疑われる、と判断するようにしており、この場合、上記比が「1」に近いほど鉄筋2の破断の可能性が高いということになる。
これに対して、図13の2階微分波形図においては、負側のピーク高さ「Pn」と正側のピーク高さ「Ps」の間において、その絶対値の比「|Pn|/|Ps|」が「2」を超えるので、その極大値と極小値は略点対称の関係にはない。したがって、鉄筋2の破断の可能性は無いものと判断される。
この双極形のピーク波形の異同は明確に認識でき、ピーク波形部分が略点対称の関係にある場合は「破断部」であり、略点対称の関係に無ければ「着磁端」と的確に判定できるものであり、したがって、2階微分波形図は鉄筋2における破断部の有無を判断するための定量的な指標として利用することができるものである。
なお、図14には、2階微分波形図を示している。この2階微分波形図は、鉄筋2の長手方向において、その端部同士が重なっている重合部の部分において測定された磁束密度値を2階微分して得られた2階微分波形図である。そして、この2階微分波形図は、1階微分値をさらに上記鉄筋2の長手方向に、その低位置側から高位置側(図中左側から右側)へ向けて微分して得られるものであって、その全体形状は、図7において破線図示する2階微分波形図、即ち、高位置側から低位置側(図中右側から左側)に向けて微分して得られる2階微分波形図に相当する形状なっている。
即ち、図7の2階微分波形図も、図14の2階微分波形図も、共に1階微分値を、上記鉄筋2の長手方向に沿って低位置側から高位置側(図中左側から右側)へ向けて2階微分して得られるものであるため、もし上記重合部が破断部であるならば、図14の2階微分波形図は図7の実線図示する波形図と同様となるべきところであるが、これが図7の実線図示する波形図ではなくて、図7の破線図示する波形図、即ち、ピーク部分における極大値と極小値がゼロラインに対して反転した関係(換言すれば、ゼロラインを挟んで略線対称の関係)となっている。
したがって、図14の2階微分波形図が、図7の2階微分波形図における実線図示する2階微分波形図と似通っているとしても、これら両者が同一ではないことは容易に判断することができるので、例えば、図14の2階微分波形図のピーク部分に破断部が存在するという誤った判定がなされることが確実に回避される。
(ホ)3階微分波形図の取得
上記磁束密度の2階微分値を、さらに上記鉄筋2の長手方向に微分(3階微分)し、これを波形図面として示したのが、図8に示す3階微分波形図である。この3階微分波形図は、図6に示す1階微分波形図と同様に、ピーク波形が単峰形となっているが、該ピーク波形の方向は1階微分波形図とは異なって正側へ凸の単峰形となっている。この3階微分波形図を鉄筋2の破断部の検出における定量的指標として利用するためには、その単峰形のピーク波形部が略線対称であるのか否かを判定する必要があり、この判定手法としてここでは以下の二つの方法を説明する。
(ホ−1)第1の判定方法
第1の判定方法は、図9に示すように、3階微分波形図における磁束密度のピーク値に対応する鉄筋2の長手方向における位置を基準位置(XO)とする。そして、3階微分波形図における上記ピーク値(B(X0))の略「1/2」(B(X0)/2)にそれぞれ対応する2点(イ)、(ロ)の上記基準位置からの離間間隔(「XO−a」、「XO+b」)が略同一(a≒b)であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものである。
(ホ−2)第2の判定方法
第2の判定方法は、図10に示すように、3階微分波形図におけるピーク値に対応する鉄筋2の長手方向における位置を基準位置(XO)とする。そして、3階微分波形図におけるピーク値(B(X0))から該ピーク値の略「1/2」(B(X0)/2)の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積(S1)と,正側の面積(S2)が略同一(S1≒S2)であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定するものである。
(へ)複数階微分波形図相互間の関係
以上のように、微分階数と微分波形図におけるピーク波形部分の形状は、微分階数によって一義的に決定されるものであり、1階微分波形図では単峰形、2階微分波形図では双極形、3階微分波形図では単峰形、4階微分波形図では双極形、5階微分波形図では単峰形等々となる。即ち、1階微分波形図の形状的特徴(即ち、単峰形のピーク波形)とか内容等は、3階以上の奇数階微分波形図に受け継がれ、また2階微分波形図の形状的特徴(即ち、双極形のピーク波形)とか内容等は4階以上の偶数回微分波形図に受け継がれる(尤も、磁束密度の正負両側への振れ幅とか、鉄筋2に長手方向における波形幅は変化する)。
したがって、上記鉄筋2の破断部の有無の検査においては、上述の2階微分波形図、3階微分波形図のみならず、これよりさらに高階数の微分波形図も適宜使用することができ、実際の非破壊検査においてどの階数の微分波形図を使用するかは任意である。
A−2:実施例
図1には、非破壊検査装置Zの具体的内容を、機能ブロック図として示している。
この非破壊検査装置Zは、次述する装置本体Zaと磁石3を備える着磁部25(非破壊検査方法における着磁工程を構成する)を備えて構成される。また上記装置本体Zaは、上記コンクリート体1の表面1a上に配置された磁気センサ4と距離センサ8を備え、着磁された鉄筋2からの磁束密度を測定する磁束密度測定部21(非破壊検査方法における磁束密度測定工程を構成する)と、上記磁束密度測定部21からの磁束密度測定値を受けて該磁束密度測定値の1階微分波形を求める1階微分部22a、2階微分波形を求める2階微分部22b、3階微分波形図を求める3階微分部22c、・・・等の複数の微分部を備えた演算部22(非破壊検査方法における演算工程を構成する)と、上記演算部22の任意の微分部から微分波形図を受けて上記鉄筋2における破断部の有無を判定する判定部23(非破壊検査方法における判定工程を構成する)と、該判定部23からの判定に係る情報を受けてこれを表示する表示部24を備える。
なお、図1には、非破壊検査装置Zの機能ブロック図を実線表示にて示すと同時に、非破壊検査方法における機能ブロックを、上記非破壊検査装置Zの各構成要素に対応させた形で、破線にて示している。
この非破壊検査装置Zの実際の診断作業を、既述部分と重複する部分もあるが、具体的に説明する。
先ず、上記コンクリート体1の表面1aに接近あるいは当接させて磁石3を配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記コンクリート体1内に埋設配置された上記鉄筋2にその長手方向に沿って着磁させる。着磁完了後、上記磁石3を上記コンクリート体1の表面1aから撤去する。この着磁作業によって、上記鉄筋2には残留磁気による磁束が発生する。
上記磁束密度測定部21においては、磁気センサ4によって上記鉄筋2の磁束密度が測定されるとともに、上記距離センサ8によって上記磁気センサ4の移動距離が測定され、これら磁気センサ4の検出信号(電気信号)と上記距離センサ8の検出信号(電気信号)は、磁束密度に関する情報として上記演算部22に入力される。
上記演算部22においては、各微分部22a〜22nのうちの任意の微分部を選択し(この実施例では、2階微分部22bを選択する)、選択された2階微分部22bにおいて、上記磁束密度測定部21からの入力情報に基づいて2階微分値及び2階微分波形図(図7参照)を求める。そして、この2階微分波形図に示された情報は、次述の判定部23に入力される。
上記判定部23においては、上記演算部22からの2階微分波形図を受けて、上記鉄筋2に破断部が有るのか無いのか、また有るとすればそれが鉄筋2の長手方向のどの位置にあるのかを判定する。即ち、ここでは、上記2階微分波形図(図7参照)において、双極形の波形変化部における極大点と極小点が略点対称の形状であるときには、上記鉄筋2には破断部が有ると判定し、逆に、略点対称とはならない時には、例えば、着磁端が存在すると判定する。また、この破断部が上記鉄筋2の長手方向のどの位置に存在するのかも、上記2階微分波形図に基づいて(即ち、図7の横軸の「位置X」の値に基づいて)判定する。
上記判定部23での判定の結果は、表示部24において表示され、必要に応じてブザー等によって注意が喚起される。以上で、破断部の有無判定の作業が終了する。
なお、上記実施例においては、上記磁束密度測定部21に上記磁気センサ4とともに距離センサ8を備えているが、例えば、上記装置本体Zaが予め高精度の位置決め機構を備えるような場合には、上記距離センサ8を備えなくても、該位置決め機構を利用することで、上記磁束密度測定部21において上記鉄筋2の長手方向における位置との関連において磁束密度を測定することができる。
B:第2の実施形態
本願発明の第2の実施形態に係る非破壊検査装置Zは、測定により取得される磁束密度値に基づいて、その2階微分波形図を求め、この2階微分波形図に示された情報から上記鉄筋2における破断部の有無を判定することは、上記第1の実施形態に係る非破壊検査装置Zの場合と同様であるが、さらにこれに加えて、上記鉄筋2の破断部の上記コンクリート体1のX軸方向(上記鉄筋2の長手方向)とY軸方向(上記鉄筋2の長手方向に直交しかつコンクリート体1の表面に平行な方向)における位置を推定するようにしたものである。以下においては、これを具体的に説明する。
B−1:非破壊検査装置Zの構成
図15には、上記非破壊検査装置Zの機能ブロック図を示している。この非破壊検査装置Zは、次述する装置本体Zaと着磁部30(非破壊検査方法における着磁工程を構成する)を備えて構成される。また上記装置本体Zaは、上記コンクリート体1の表面1a上に配置された三個の磁気センサ4〜6と距離センサ8を備え、上記着磁部30によって着磁された鉄筋2からの磁束密度を測定する磁束密度測定部31(非破壊検査方法における磁束密度測定工程を構成する)と、上記磁束密度測定部31からの磁束密度測定値を受けて該磁束密度測定値の1階微分波形を求める1階微分部32a、2階微分波形を求める2階微分部32b、3階微分波形図を求める3階微分部32c等の複数の微分部を備えた演算部32(非破壊検査方法における演算工程を構成する)と、上記演算部32の任意の微分部から微分波形図を受けて上記鉄筋2における破断部の有無を判定する判定部33(非破壊検査方法における判定工程を構成する)と、上記演算部32からの情報を受けて上記鉄筋2における上記破断部の上記コンクリート体1のX軸方向とY軸方向に2方向における位置をそれぞれ推定する推定部34と、上記判定部33からの判定に係る情報と上記推定部34からの上記破断部の位置に関する情報を受けて、これらを表示する表示部35を備える。
(イ)着磁部30
上記着磁部30は、磁石3を備えて構成され、上記鉄筋2を着磁させるものであって、図15に示すように、上記磁石3を上記コンクリート体1の表面1aに近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記コンクリート体1内に埋設配置された上記鉄筋2にその長手方向に沿って着磁させる。この着磁操作によって、上記鉄筋2には、残留磁気による磁束が生じる。着磁後、磁石3はコンクリート体表面1aから撤去される。
(ロ)磁束密度測定部31
上記磁束密度測定部31は、図15、図16に示すように、上記コンクリート体1の表面1a上に、上記鉄筋2の長手方向に直交しかつコンクリート体1の表面1aに平行な方向(Y軸方向)に所定間隔(この実施形態では50mmの間隔)をもって三個の磁気センサ4〜6を配置するとともに、距離センサ8を併設して構成される。なお、この場合、上記三個の磁気センサ4〜6のうち、列設方向の中央に位置する磁気センサ5は、上記コンクリート体1の表面1aに沿う方向(即ち、Y軸方向)において上記鉄筋2の位置と略合致するように(換言すれば、上記磁気センサ5がZ軸方向において上記鉄筋2の直上(図15)又は直下(図16)に位置するように)その配置位置が設定されている。なお、この磁気センサ5の上記鉄筋2に対するY軸方向の位置確認は、適宜の位置確認手段によって行われる。
したがって、図15において、中央の上記磁気センサ5のY軸方向の位置を「0」とした場合、上記磁気センサ4は上記磁気センサ5に対して、Y軸方向に「50mm」、上記磁気センサ6はY軸方向に「−50mm」だけ離間することになる。なお、この実施形態においては、上記鉄筋2の破断部2AのX軸方向の位置は上記距離センサ8によって測定され(図17参照)、Y軸方向の位置は上述のように上記磁気センサ5を上記鉄筋2の直上(図15)又は直下(図16)に位置させることで既知とされる。
(ハ)上記各磁気センサ4〜6による磁束密度の測定
上記各磁気センサ4〜6は、一体的に、上記コンクリート体1の表面1aに沿って上記鉄筋2の長手方向へ走査されることで、それぞれ磁束密度を測定する。これら各磁気センサ4〜6のそれぞれによって測定された磁束密度値は、図形処理されて、図17に示すように磁束密度微分波形図として表示される。なお、この場合、上記各磁気センサ4〜6に対応する各磁束密度微分波形図は、共に右下がりの曲線とされ、かつ上記鉄筋2の破断部2Aに対応する部分ではS字状の波形となっている。
なお、この実施形態では、上記磁束密度測定部31に三個の磁気センサ4〜6を配置して一度の走査によって三個の磁束密度値を得るようにしているが、他の実施形態においては、例えば、磁気センサとして一つの磁気センサを用意し、これをY軸方向の三つの位置でそれぞれ走査させて、最終的に走査位置の異なる三個の磁束密度値を得ることも可能である。
(ニ)演算部32における1階微分波形図の取得
演算部32の1階微分部32aにおいては、上記磁束密度測定部31の各磁気センサ4〜6で求められた磁束密度値を受けて上記鉄筋2の長手方向に微分することで、図18の1階微分波形図に示すように、三本の1階微分波形を得る。これら各1階微分波形は、破断部に対応する部分が負極側への単峰形のピーク波形とされるが、そのピーク値は、上記鉄筋2と各磁気センサ4〜6との距離に対応して、上記鉄筋2のZ軸方向直上(図15)又は直下(図16)に位置する上記磁気センサ5に対応する波形が最大となっている。
(ホ)演算部32における2階微分波形図の取得
上記2階微分部32bにおいては、上記1階微分部32aで求められた各磁気センサ4〜6毎の1階微分値をさらに上記鉄筋2の長手方向入に微分することで、図19の2階微分波形図に示すように、破断部に対応する部分がゼロラインを横切って負側から正側へ変化する双極形のピーク波形をもつ三本の2階微分波形を得る。
この図19の2階微分波形図に示されるように、各2階微分波形相互間においては、そのピーク値は上記鉄筋2と各磁気センサ4〜6との距離に対応して、それぞれ異なっているが、これら各2階微分波形はそのピーク波形部分においては負側から正側へ変化する双極形である。この実施形態では、後述のように、この2階微分波形のピーク波形部分が略点対称であるか否かによって破断部の有無を判定するが、この判定には、明確さを考慮して、ピーク値が最大の上記磁気センサ5に対応する2階微分波形を採用する。
(ヘ)判定部33における破断部の有無の判定
上記判定部33においては、上記演算部32の2階微分部32bで求められた2階微分波形を用いて、上記鉄筋2に破断部が有る係る否かを判定する。その場合、上記2階微分部32bでそれぞれ求められた三つの2階微分波形のうち、ピーク値が最大であって破断部判定の指標として最適な上記磁気センサ5に対応する2階微分波形を採用する。そして、この2階微分波形の双極形のピーク波形部分における負側の極小値「Pn」と正側の極大値「Ps」の絶対値の比「|Pn|/|Ps|」が「約1」であって、極大値と極小値は、波形がゼロラインを横切る点を中心とする略点対称の関係にあるため、鉄筋2に破断部が有ると判定する。
即ち、上記2階微分波形を上記鉄筋2における破断部の有無判断の指標とすることで、破断部の有無判断の定量化を図ったものであり、これによって破断部の判定がより正確にかつ迅速に行えるものである。
(ト)破断部の位置の推定
上記推定部34において、コンクリート体1内における破断部の二軸方向(X軸方向とY軸方向)の位置を推定する。
先ず、2階微分の双極形の二つのピーク「Pn」、「Ps」(図19参照)について、ピーク「Pn」のピーク高さ「Pn(μT/cm)」と、ピーク「Ps」のピーク高さPs(μT/cm)と、ピーク高さ平均「(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」と、ピーク比「|Pn|/|Ps|=Pj」と、ピーク「Pn」のピーク位置「Xn(mm)」と、ピーク「Ps」のピーク位置「Xs(mm)」と、ピーク幅「|Xn−Xs|=Xj」と、ピーク位置平均「(Xn+Xs)/2=Xm」をそれぞれ求め、これを表1として示す。
Figure 2020148565
(ト−a)破断部のX軸方向位置の推定
先ず、上記鉄筋2における破断部のX軸方向(即ち、鉄筋2の長手方向)の位置「X」の推定であるが、これは、上記表1の「ピーク位置平均(Xn+Xs)/2=Xm」の三つの磁気センサ4〜6の平均値として求められる。即ち、ここでは「X=206mm」と推定される。
(ト−b)破断部のY軸方向の位置の推定
次に、上記鉄筋2における破断部のY軸方向の位置(即ち、列設方向中央の磁気センサ5からの水平方向距離)「Y」の推定であるが、これは、表1の「ピーク高さ平均(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」の上記三つの磁気センサ4〜6の極大値のセンサ位置として求められる。ここでは、磁気センサ5に対応するピーク高さ平均「34.1」が三つの磁気センサ中で極大値であるため、この磁気センサ5のY軸方向の位置「Y=0」が破断部のY軸方向の位置として推定される。
C:第3の実施形態
第3の実施形態に係る非破壊検査装置Zは、後述するように、上記鉄筋2の破断部の位置の推定に係る構成が異なるのみで、その他の構成は上記第2の実施形態における非破壊検査装置Zの場合と同様である。
C−1:機能ブロック図
図20には、この第3の実施形態に係る非破壊検査装置Zの機能ブロック図を示している。この機能ブロック図は、上記第2の実施形態に係る非破壊検査装置Zの機能ブロック図と基本構成を同じにし、これと異なる点は、上記第2の実施形態においては上記磁束密度測定部31に三つの磁気センサ4〜6が備えられていたのに対して、この実施形態では上記磁束密度測定部31に四つの磁気センサ4〜7が備えられている点である。
そして、図20に示すように、これら四つの磁気センサのうち、三つの磁気センサ4〜6は、上記鉄筋2の長手方向の直交するY軸方向に所定間隔(50mm)をもって列設される一方、他の一つの磁気センサ7は上記三つの磁気センサ4〜6においてその中央に位置する磁気センサ5の直上(Z軸方向)に50mmの間隔をもって設置されている。
そして、Y軸方向に並んだ三つの磁気センサ4〜6によって上記鉄筋2の破断部のX軸方向とY軸方向の二方向における位置の推定が行われる一方、Z軸方向に並んだ上記磁気センサ5と磁気センサ7によって上記破断部のZ軸方向の位置の推定が行われる。
C−2:破断部の位置の推定
上記鉄筋2の破断部の位置推定を行うに際しては、上記各磁気センサ4〜7の検出値に基づいて、表2及び表3に示すように各種情報が取得される。
(イ)表2の取得
先ず、三つの磁気センサ4〜6と、一つの磁気センサ7によって、それぞれ2階微分の双極形の二つのピーク「Pn」、「Ps」(図19参照)について、ピーク「Pn」のピーク高さ「Pn(μT/cm)」と、ピーク「Ps」のピーク高さPs(μT/cm)と、ピーク高さ平均「(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」と、ピーク比「|Pn|/|Ps|=Pj」と、ピーク「Pn」のピーク位置「Xn(mm)」と、ピーク「Ps」のピーク位置「Xs(mm)」と、ピーク幅「|Xn−Xs|=Xj」と、ピーク位置平均「(Xn+Xs)/2=Xm」を求める。これを表したのが表2(表2−1及び表2−2)である。
Figure 2020148565
(ロ)破断部のX軸方向位置の推定
先ず、上記鉄筋2における破断部のX軸方向(即ち、鉄筋2の長手方向)の位置「X」の推定であるが、これは、上記表3−2の「ピーク位置平均(Xn+Xs)/2=Xm」の三つの磁気センサ4〜6の平均値として求められる。即ち、ここでは「X=206mm」と推定される。
(ハ)破断部のY軸方向の位置の推定
次に、上記鉄筋2における破断部のY軸方向の位置(即ち、列設方向中央の磁気センサ5からの水平方向距離)「Y」の推定であるが、これは、表2−1の「ピーク高さ平均(|Pn|+|Ps|)/2=Pm」の上記三つの磁気センサ4〜6の極大値のセンサ位置として求められる。ここでは、磁気センサ5に対応するピーク高さ平均「34.1」が三つの磁気センサ中で極大値であるため、この磁気センサ5のY軸方向の位置「Y=0」が破断部のY軸方向の位置として推定される。
(ニ)破断部のZ軸方向の位置の推定
さらに、上記鉄筋2における破断部のZ軸方向の位置(中央の磁気センサ5からの距離)「Z」であるが、これは表3から演算にて求められる。
Figure 2020148565
即ち、上記三つの磁気センサ4〜6のうち、ピーク高さ平均が極大値である上記磁気センサ5を基準とし、磁束密度が距離の二乗に反比例することを利用して、下方の磁気センサ7(即ち、上記鉄筋2から遠い側の磁気センサ)のピーク高さ平均値「Pm(z=−50)」との比にて算出した位置ZをZ軸方向の推定位置とする。
この実施形態の場合、Z=62mmとなる。

=|Z|×3√p/(1-3√p) ・・・式1
p=Pm(z)/Pm(0)・・・・・・・・式2
なお、上記推定式(式1及び式2)の算出は以下のとおりである。
磁束密度が距離の二乗に比例するため、
式(a) Pm(0)=B/Z
式(b) Pm(z)=B/(Z+|Z|)
ここで、式(イ)、(ロ)によりBを消去すると、
式(c) Pm(z)/Pm(0)=Z /(Z+|Z|)=p
上記式(c)の立方根をとると、
式(d) Z/(Z+|Z|)=3√p
式(e) Z=|Z|×3√p/(1-3√p)
となる。
なお、このような四つの磁気センサを用いた磁束密度の測定は、例えば、単一の磁気センサを用い、これを上記四つの磁気センサ4〜7の位置において順次走査させて最終的に四つの磁束密度値を得ることもできる。
上述以外の各構成要素の作用効果等については、上記第2の実施形態に係る非破壊検査装置Zの場合と同様であるので、該第2の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
本願発明に係る非破壊検査方法及び検査装置は、橋、ビル又はコンクリートポールなどの、コンクリート体内に埋設されている鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査に利用できるものである。
1 ・・コンクリート体
2 ・・鉄筋(検査対象鋼材)
3 ・・磁石
4〜7 ・・磁気センサ
8 ・・距離センサ
21 ・・磁束密度測定部
22 ・・演算部
23 ・・判定部
24 ・・表示部
25 ・・着磁部
30 ・・着磁部
31 ・・磁束密度測定部
32 ・・演算部
33 ・・判定部
34 ・・推定部
35 ・・表示部
Z ・・非破壊検査装置
Za ・・装置本体
「本願の第5の発明」
本願の第5の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る非破壊検査方法において、少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、該各磁束密度微分波形に基づいて上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴としている。
本願発明の第1の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 損傷部が有る部位における着磁された鉄筋からの漏洩磁気の模式的説明図である。 損傷部が無い部位における着磁された鉄筋からの漏洩磁気の模式的説明図である。 非破壊検査における磁束密度測定工程の模式的説明図である。 損傷部が有る部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図5における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図5における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 図5における磁束密度の3階微分値に基づく3階微分波形図である。 微分波形図における単峰形波形の第1の判定手法説明図である。 微分波形図における単峰形波形の第2の判定手法説明図である。る。 損傷部の無い部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図11における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図11における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 検査対象鋼材の損傷部以外の異常部における2階微分波形図である。 本願発明の第2の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 非破壊検査における磁束密度測定部近傍の構成説明図である。 損傷部が有る部位における磁束密度の実測値に基づく磁束密度波形図である。 図17における磁束密度の1階微分値に基づく1階微分波形図である。 図17における磁束密度の2階微分値に基づく2階微分波形図である。 本願発明の第3の実施形態に係る非破壊検査方法及び検査装置の機能ブロック図である。 非破壊検査における磁束密度測定部近傍の構成説明図である。
(へ)複数階微分波形図相互間の関係
以上のように、微分階数と微分波形図におけるピーク波形部分の形状は、微分階数によって一義的に決定されるものであり、1階微分波形図では単峰形、2階微分波形図では双極形、3階微分波形図では単峰形、4階微分波形図では双極形、5階微分波形図では単峰形等々となる。即ち、1階微分波形図の形状的特徴(即ち、単峰形のピーク波形)とか内容等は、3階以上の奇数階微分波形図に受け継がれ、また2階微分波形図の形状的特徴(即ち、双極形のピーク波形)とか内容等は4階以上の偶数微分波形図に受け継がれる(尤も、磁束密度の正負両側への振れ幅とか、鉄筋2に長手方向における波形幅は変化する)。
Figure 2020148565
即ち、上記三つの磁気センサ4〜6のうち、ピーク高さ平均が極大値である上記磁気センサ5を基準とし、磁束密度が距離の乗に反比例することを利用して、下方の磁気センサ7(即ち、上記鉄筋2から遠い側の磁気センサ)のピーク高さ平均値「Pm(z=−50)」との比にて算出した位置ZをZ軸方向の推定位置とする。
この実施形態の場合、Z105mmとなる。

=|Z|×3√p/(1-3√p) ・・・式1
p=Pm(z)/Pm(0)・・・・・・・・式2
なお、上記推定式(式1及び式2)の算出は以下のとおりである。
磁束密度が距離の乗に比例するため、
式(a) Pm(0)=B/Z
式(b) Pm(z)=B/(Z+|Z|)
ここで、式(イ)、(ロ)によりBを消去すると、
式(c) Pm(z)/Pm(0)=Z /(Z+|Z|)=p
上記式(c)の立方根をとると、
式(d) Z/(Z+|Z|)=3√p
式(e) Z=|Z|×3√p/(1-3√p)
となる。

Claims (10)

  1. 検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査方法であって、
    上記磁石の磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、該磁石を撤去する着磁工程と、
    上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定工程と、
    上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算工程と、
    上記演算工程で求められた磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定工程と、
    を含むことを特徴とする非破壊検査方法。
  2. 請求項1において、
    上記判定工程は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴とする非破壊検査方法。
  3. 請求項2において、
    上記判定工程では、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、
    上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴とする非破壊検査方法。
  4. 請求項1、2又は3において、
    少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつコンクリート体表面に沿う方向するにおける少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、
    該各磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置をそれぞれ推定する推定工程を含むことを特徴とする非破壊検査方法。
  5. 請求項1、2又は3において、
    少なくとも1個の磁気センサを備え、該磁気センサを、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置において、それぞれ上記検査対象鋼材の長手方向に移動させて磁束密度微分波形を取得するとともに、
    該各磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定工程を含むことを特徴とする非破壊検査方法。
  6. 検査対象鋼材が埋設されたコンクリート体の外側から、磁石によって上記検査対象鋼材を磁化させ、その後磁気センサによって上記コンクリート体の磁束密度を測定することで、上記検査対象鋼材の損傷部の有無を検出する非破壊検査装置であって、
    磁化面を上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく上記検査対象鋼材にその長手方向に沿って着磁した後、撤去される上記磁石を備える着磁部と、
    上記磁気センサを上記コンクリート体の表面に近付けて配置した後、適宜移動させることにより、又は移動させることなく、上記検査対象鋼材の磁束密度を測定する磁束密度測定部と、
    上記磁束密度を検査対象鋼材の長手方向について2階以上微分して磁束密度微分波形を求める演算部と、
    該演算部で求められた磁束密度微分波形に基づいて上記検査対象鋼材の損傷の有無を判定する判定部と、
    を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
  7. 請求項6において、
    上記判定部は、上記磁束密度微分波形が3階以上の奇数階微分による波形であるときには波形変化部が略線対称の単峰形であるか否かによって、上記磁束密度微分波形が2階以上の偶数階微分による波形であるときには波形変化部が略点対称の双極形であるか否かによって上記検査対象鋼材の損傷を判定することを特徴とする非破壊検査装置。
  8. 請求項7において、
    上記判定部は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値に対応する上記検査対象鋼材の長手方向における位置を基準位置とし、
    上記磁束密度微分波形におけるピーク値の略1/2にそれぞれ対応する2点の上記基準位置からの離間間隔が略同一であるとき、又は、上記磁束密度微分波形におけるピーク値から該ピーク値の略1/2の位置までで囲まれる領域において、上記基準位置よりも負側の面積と正側の面積が略同一であるときに、波形変化部が略線対称の単峰形であると判定することを特徴とする非破壊検査装置。
  9. 請求項6、7又は8において、
    上記磁気センサとして、上記検査対象鋼材の長手方向に直交し、かつ上記コンクリート体の表面に沿う方向に所定間隔をもって列設された少なくとも二個以上の磁気センサが備えられ、
    該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記検査対象鋼材の長手方向における損傷位置と、上記コンクリート体の表面に沿う方向における検査対象鋼材の損傷位置とをそれぞれ推定する推定部を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
  10. 請求項6、7又は8において、
    上記磁気センサとして、上記コンクリート体の表面に垂直な方向で、かつ該表面からの距離の異なる少なくとも二位置に磁気センサが備えられ、
    該各磁気センサのそれぞれに対応する磁束密度微分波形に基づいて、上記コンクリート体の表面に垂直な方向における検査対象鋼材の損傷位置を推定する推定部を備えたことを特徴とする非破壊検査装置。
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