JP2016024054A - 自動分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検査カートリッジ及び環境温度の変化に伴う測定精度の低下を有効に防止する。
【解決手段】
検査カートリッジ10を搬入・搬出するカートリッジ搬送手段2と、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の検体、試薬を反応セル11cに分注する検体試薬分注手段3と、反応セル11c内の検体と試薬との反応を測定する測定手段4と、加熱源6aにて加熱され、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の少なくとも反応セル11c内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽6と、検査ステージKTの内部環境温度が検出可能な温度検出器7aを有し、当該温度検出器7aにて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて恒温槽6の加熱源6aの設定温度を高くするように、加熱源6aの設定温度を制御する恒温槽制御手段7と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液などの検体と試薬との反応を分析する自動分析装置に係り、特に、検査カートリッジを一定の恒温条件で測定する態様に有効な自動分析装置の改良に関する。
従来この種の自動分析装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、検査ステージに検査前の検査カートリッジを搬入すると共に検査後の検査カートリッジを検査ステージから搬出するカートリッジ搬送手段と、カートリッジ搬送手段にて搬入された検査ステージ内の検査カートリッジに対し当該検査カートリッジの検体、試薬を反応セルに分注する検体試薬分注手段と、検体試薬分注手段にて分注された反応セル内の検体と試薬との反応を測定する測定手段と、カートリッジ搬送手段にて検査ステージに搬入された検査カートリッジの少なくとも反応セルを所定の恒温環境温度に保つ恒温槽と、測定手段が動作する前に恒温環境温度よりも高い温度で検査カートリッジのセルの少なくとも一部を予め加温する補助加温手段とを備える自動分析装置が開示されている。
特許第4863789号公報(課題を解決するための手段,図1)
本発明が解決しようとする技術的課題は、検査カートリッジ及び環境温度の変化に伴う測定精度の低下を有効に防止する自動分析装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、検体と試薬との反応を自動分析する自動分析装置であって、検体が収容される検体セル、試薬が収容される試薬セル及び検体、試薬が反応させられる反応セルが少なくとも含まれると共に各セルが直線的に配列されている態様の一若しくは複数の検査カートリッジと、予め決められたセットステージ及びこれに隣接する検査ステージのための空間部を内部に有する装置筐体と、前記セットステージに設けられ、前記一若しくは複数の検査カートリッジが保持されるカットリッジ受部を有するカートリッジ保持手段と、前記検査ステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段に保持された検査カートリッジを検査ステージに直線的に搬入し、当該搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの各セルの配列方向に沿う長手方向に沿って前記検査カートリッジを搬送する一方、検査後の検査カートリッジを検査ステージからセットステージに直線的に搬出して前記カートリッジ保持手段のカートリッジ受部に戻すカートリッジ搬送手段と、前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された分注位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの分注対象セルを前記分注位置に搬送して配置した状態で、前記検査カートリッジに対し当該検査カートリッジの検体、試薬を反応セルに分注する検体試薬分注手段と、前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された測定位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの反応セルを前記測定位置に搬送して配置した状態で、前記検体試薬分注手段にて分注された反応セル内の検体と試薬との反応を測定する測定手段と、加熱源にて加熱され、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの少なくとも反応セル内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽と、前記検査ステージの内部環境温度が検出可能な温度検出器を有し、当該温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて前記恒温槽の加熱源の設定温度を高くするように、前記加熱源の設定温度を制御する恒温槽制御手段と、を備えたことを特徴とする自動分析装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る自動分析装置において、前記恒温槽制御手段は、更に、前記温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、前記測定手段による測定開始時の検査カートリッジの反応セル内の液温を予め決められた温度にするように、前記加熱源による加熱時間を可変設定することを特徴とする自動分析装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、恒温槽本体と、前記恒温槽本体の周囲を覆う断熱材からなる断熱覆いと、前記恒温槽本体と前記断熱覆いとの間に設けられ、前記恒温槽本体に接触配置される加熱源と、前記加熱源と前記断熱覆いとの間に介在され、前記断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱断熱材と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、前記恒温槽本体と被取付部材との接触面を前記恒温槽本体の前記被取付部材への投影面よりも少ない状態で設置されていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、恒温槽内の温度が検出可能な槽温度検出器を有し、前記槽温度検出器は、前記検査カートリッジの反応セルと、前記恒温槽の加熱源との間に設けられていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、前記検査カートリッジの反応セル底面と前記測定位置では少なくとも接触する接触部を有することを特徴とする自動分析装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽の測定位置には、前記検査カートリッジの反応セル底面を前記恒温槽に押し付けるように付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記セットステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段にて保持された検査カートリッジのセル内に収容された試薬又は検体希釈液の液体温度が検出可能な液体温度検出器と、前記セットステージに設けられ、前記セットステージ内の内部環境温度が検出可能な環境温度検出器と、前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至るまで、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を禁止する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする自動分析装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記液体温度検出器はサーモパイル素子を含むものであることを特徴とする自動分析装置である。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて前記液体温度検出器にて検出される液体温度を補正して用いられることを特徴とする自動分析装置である。
請求項11に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて、前記閾値を可変設定することで前記液体温度検出器にて検出される液体温度を間接的に補正することを特徴とする自動分析装置である。
請求項12に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記液体温度検出器は、セットステージ内で周囲温度変化の少ない待機位置に設置され、前記カートリッジ保持手段に前記検査カートリッジが保持されたときに当該検査カートリッジのセルに接近する検出位置に移動可能な移動機構にて移動するものであることを特徴とする自動分析装置である。
請求項13に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記装置筐体は、前記液体温度検出器の周囲に外気が導入可能な構成を有していることを特徴とする自動分析装置である。
請求項14に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記カートリッジ保持手段は、一若しくは複数の検査カートリッジが保持可能なカートリッジ受部を有し、前記検査カートリッジのセルの配列方向に交差する方向に沿って前記カートリッジ受部を移動させ、前記セットステージ内の予め決められた検査初期位置に前記検査カートリッジを移送させると共に、前記セットステージ内の予め決められた液体温度検出位置に一若しくは複数の検査カートリッジのうち最初に検査に供される検査カートリッジを移送するものであり、前記検査カートリッジが液体温度検出位置に移送する際に、前記液体温度検出器と前記検査カートリッジとの位置関係を保つように前記検査カートリッジが案内可能な案内部材を設けたことを特徴とする自動分析装置である。
請求項15に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至った条件下で、予め決められた時間が経過した後、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を実施することを特徴とする自動分析装置である。
請求項1に係る発明によれば、検査カートリッジ及び環境温度の変化に伴う測定精度の低下を有効に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の恒温環境条件を正確に実現することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の加熱源による加熱効率を高めることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽から被取付部材へ熱伝導する熱損失を低減することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の温度制御を効率的に実施することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジの反応セルに対する恒温効果をより安定させることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジの反応セルに対する恒温効果を安定させ、かつ、反応セルの測定位置を安定させることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジを適温の状態で検査に供することができる。
請求項9に係る発明によれば、検査カートリッジのセル内の液体温度を非接触にて簡単に検出することが可能である。
請求項10に係る発明によれば、セットステージ内の内部環境温度が変化したとしても、検査カートリッジのセル内の液体温度をサーモパイルにて正確に検出することができる。
請求項11に係る発明によれば、セットステージ内の内部環境温度が変化したとしても、検査カートリッジのセル内の液体温度をサーモパイルにて正確に検出することができる。
請求項12に係る発明によれば、液体温度検出器の周辺温度の変化を少なく抑えることができる。
請求項13に係る発明によれば、液体温度検出器の周辺環境の変化を外気環境に保つようにすることができる。
請求項14に係る発明によれば、移動型のカートリッジ保持手段を用いたとしても、検査カートリッジの対象セルと液体温度検出器との位置関係を良好に保つことができる。
請求項15に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジのセル内の液温と内部環境温度との差分をより少なく抑えた状態で、検査ステージへ検査カートリッジを搬入することができる。
(a)は本発明に係る自動分析装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た検査カートリッジの一例を示す模式図である。 (a)は図1に示す自動分析装置の恒温槽温度制御処理の概要を示す説明図、(b)は同自動分析装置の恒温槽加熱時間制御処理の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の外観を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係る自動分析装置のフロント扉及びプリンタ扉を開放した状態を示す説明図、(b)はカートリッジラックに検査カートリッジを保持させた状態を示す説明図、(c)は検査カートリッジの概要を示す説明図である。 (a)は自動分析装置にセットされる検査カートリッジの斜視図、(b)はセットされた検査カートリッジを手前から見た正面図、(c)はセットされた検査カートリッジの平面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。 (a)は実施の形態1で用いられる採血具としてのキャピラリを示す斜視説明図、(b)はその平面図、(c)はその正面図、(d)は(c)中D−D線断面図である。 (a)〜(e)は検査カートリッジにノズルチップ及びキャピラリを保持させる準備過程を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の各構成要素を分解して示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の制御系を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の内部構造の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の平面模式図である。 (a)は実施の形態1で用いられるXユニットに相当するカートリッジ保持機構を示す斜視図、(b)はその正面図である。 実施の形態で用いられるYZユニットを示す斜視図である。 図13のYZユニットの各構成要素に分解した説明図である。 YZユニットの一要素であるYユニットに相当するカートリッジ移動機構を示す説明図である。 (a)は図15中、カートリッジ移動機構を右側面から見た説明図、(b)は(a)中B−B線断面図である。 (a)はYZユニットの一要素であるZユニットに相当する試薬検体分注機構を示す説明図、(b)は試薬検体分注機構を右側面から見た矢視図である。 (a)はYZユニットの一要素として組み付けられる恒温槽の基本構成を示す斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)中C−C線断面図である。 (a)は図18(b)中A−A線断面図、(b)は(a)中B−B線断面図、(c)は(a)中C−C線断面図である。 (a)YZユニットの一要素として組み付けられる恒温槽を示す斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)中C−C線断面図である。 (a)は図20(b)中A−A線断面図、(b)は(a)中B−B線断面図、(c)は(a)中C−C線断面図である。 実施の形態1で用いられる装置筐体の全体構成を示す説明図である。 (a)は図20の装置筐体の底板ユニットを示す斜視図、(b)はその右側面図である。 (a)は底板ユニットのアンダカバーを示す斜視図、(b)はその右側面図である。 (a)は底板ユニットの空気導入状態を示す説明図、(b)は底板アッセイに導入された空気の流れ方向を示す説明図である。 底板ユニットから導入された空気が装置筐体内に入り込む状態を示す説明図である。 装置筐体内の発熱領域を示す説明図である。 装置筐体内に入り込んだ空気の流れを示す説明図である。 実施の形態1で用いられる制御系のセンサ類を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられるサーモパイルと検査カートリッジの試薬セルとの位置関係を示す説明図、(b)はサーモパイルの構成例を示す説明図、(c)はサーモパイルによる測定対象セルの好ましい態様を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる制御系による検査カートリッジの制御処理過程を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置のユーザ−操作及び機器動作を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の装置内動作のタイミングチャートを示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(1)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(2)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(3)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(4)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(5)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(6)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(7)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(8)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(9)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(10)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(1)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(2)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(3)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(4)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(5)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(6)を示す説明図である。 (a)はXユニット、Yユニットの案内機構の変形の形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。 (a)はZユニットの駆動機構の変形の形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 (a)は自動分析装置のYZユニットの変形形態を示す説明図である。 (a)は自動分析装置の装置筐体の変形の形態を示す説明図、(b)は装置筐体内の空気の流れを示す説明図、(c)は装置筐体の各ルームの底板に開設された空気孔を示す説明図である。 (a)(b)は自動分析装置の装置筐体の変形の形態を示す説明図である。 (a)(b)はサーモパイルの設置に伴う変形の形態を示す説明図である。 (a)は液体温度検出位置に検査カートリッジを移動後に液体温度を検出する態様を模式的に示す説明図、(b)は液体温度検出位置に検査カートリッジを移動する案内機構の変形の形態を示す説明図ある。 (a)は恒温槽の断熱構造の変形の形態を示す説明図、(b)は恒温槽の取付構造の変形の形態を示す説明図、(c)は恒温槽の取付構造の変形の形態を示す説明図である。 恒温槽の測定位置での検査カートリッジ周りの変形の形態を示す説明図である。 実施例1に係る自動分析装置の検査カートリッジの反応セルの温度変化を示す説明図である。 比較例1に係る自動分析装置を用い、内部環境温度の違いによる恒温槽の温度変化を示す説明図である。 比較例2に係る自動分析装置を用い、内部環境温度の違いによる恒温槽内の温度変化を示す説明図である。 実施例2に係る自動分析装置を用い、検査カートリッジチェックにおいて、試薬セルの液温が閾値に収まった時点以降の液温の変化を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された自動分析装置の実施の形態の概要を示し、同図(b)は自動分析装置で用いられる検査カートリッジの概要を示す。
同図において、自動分析装置は、検体と試薬との反応を自動分析する自動分析装置であって、検体が収容される検体セル11a、試薬が収容される試薬セル11b及び検体、試薬が反応させられる反応セル11cが少なくとも含まれると共に各セル11が直線的に配列されている態様の一若しくは複数の検査カートリッジ10と、予め決められたセットステージST及びこれに隣接する検査ステージKTのための空間部を内部に有する装置筐体1と、セットステージSTに設けられ、一若しくは複数の検査カートリッジ10が保持されるカットリッジ受部2aを有するカートリッジ保持手段2と、検査ステージKTに設けられ、カートリッジ保持手段2に保持された検査カートリッジ10を検査ステージKTに直線的に搬入し、当該搬入された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の各セル11の配列方向に沿う長手方向に沿って検査カートリッジ10を搬送する一方、検査後の検査カートリッジ10を検査ステージKTからセットステージSTに直線的に搬出してカートリッジ保持手段2のカートリッジ受部2aに戻すカートリッジ搬送手段3と、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の搬送経路の一部に予め設定された分注位置BPに対応して設けられ、カートリッジ搬送手段3にて搬入された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の分注対象セル11を分注位置BPに搬送して配置した状態で、検査カートリッジ10に対し当該検査カートリッジ10の検体、試薬を反応セル11cに分注する検体試薬分注手段4と、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の搬送経路の一部に予め設定された測定位置MPに対応して設けられ、カートリッジ搬送手段3にて搬送された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の反応セル11cを測定位置MPに搬送して配置した状態で、検体試薬分注手段4にて分注された反応セル11c内の検体と試薬との反応を測定する測定手段5と、加熱源6aにて加熱され、カートリッジ搬送手段3にて搬送された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の少なくとも反応セル11c内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽6と、検査ステージKTの内部環境温度が検出可能な温度検出器7aを有し、当該温度検出器7aにて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて恒温槽6の加熱源6aの設定温度を高くするように、加熱源6aの設定温度を制御する恒温槽制御手段7と、を備えている。
このような技術的手段において、検査カートリッジ10の形態はセル11が直線的に配列された態様を前提とする。規定したセル11の数も適宜選定してよいし、他の機能部(例えば他のセルや着脱自在なノズルチップ15の保持部12等)を備えていてもよい。また、検査カートリッジ10の各セル11は試薬や検体希釈水等を予め収容する態様では、これらが漏出しないようにシール13で各セル11を覆い、使用時にシール13に穿孔して検体試薬分注手段4による検体や試薬の分注を行うようにするのが好ましい。
また、装置筐体1はセットステージST及び検査ステージKTを隣接して確保できるスペースを少なくとも有していればよい。
更に、カートリッジ保持手段2は一若しくは複数の検査カートリッジ10を保持するものであればよい。本例では、カートリッジ保持手段2はカートリッジ受部2aを移動させる方式に限らず、例えば検査カートリッジ10が一つの場合には固定的に保持したものも含む。
更にまた、カートリッジ搬送手段3は直線的に検査カートリッジを搬入、搬出するものであればよい。このため、検査ステージKTの設置スペースを必要最小限に抑えることができる。
また、検体試薬分注手段4は検体、試薬の分注を共通のデバイスで構築してもよいし、別体のデバイスで構築してもよい。また、着脱自在なノズルチップを用いる態様に限られるものではなく、ノズルチップを用いずに洗浄手段にて検体試薬分注手段4を洗浄するようにしてもよい。更に、本件の検体には希釈したものも含まれる。
そしてまた、測定手段5は予め決められた反応を一義的に測定するものであってもよいし、複数種の反応を測定するものであってもよい。
更に、恒温槽6は加熱源6aにて加熱され、少なくとも反応セル11cを恒温環境温度に保つものであればよいが、外部環境の影響を抑えるという観点からは断熱材で覆う態様が好ましい。ここで、恒温環境温度とは好ましい反応条件を踏まえて適宜選定して差し支えない。
そして更に、恒温槽制御手段7は、検査ステージKTの内部環境温度を検出し、その検出結果をパラメータとして加熱源6aの設定温度を制御するようにすればよい。このとき、内部環境温度の閾値は一つでもよいし、複数でもよい。
本例では、恒温槽制御手段7は、図2(a)に示すような恒温槽温度制御処理を実施し、内部環境温度Tcが所定の閾値Tthよりも低いときには、加熱源6aの設定温度ThをTh2と高くし、恒温槽6への加熱量を多くすることで恒温環境温度条件を一定に保ち、もって、検査カートリッジの液温を適正温度に保つことが可能である。なお、内部環境温度Tcが所定の閾値Tth以上であるときには、加熱源6aの設定温度Thは予め決められたTh1(Th2>Th1)に設定される。
次に、本実施の形態の代表的な態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、恒温槽制御手段の好ましい態様としては、更に、温度検出器7aにて検出された内部環境温度に基づいて、測定手段5による測定開始時の検査カートリッジ10の反応セル11c内の液温を予め決められた温度にするように、加熱源6aによる加熱時間を可変設定する態様が挙げられる。
本態様は加熱源6aの加熱時間を制御する方式であり、検査ステージKTの内部環境温度を検出し、その検出結果をパラメータとして、加熱源6aによる加熱時間を制御するようにすればよい。このとき、内部環境温度の閾値は加熱源の設定温度を制御する場合と同じでも別でも差し支えない。また、温度検出器は一つでもよいが、安全性、信頼性を高めるといいう観点から複数設けるようにしてもよい。
本例では、内部環境温度が異なっても、検査カートリッジ10の反応セル11c内の液温は恒温環境温度に保つ必要があり、加熱源6aによる加熱温度を制御することに着目したが、更に、内部環境温度をパラメータとして加熱時間を可変設定することで、測定手段5による測定開始時の温度条件を一定に保ち易くすることが可能である。
つまり、本例では、恒温槽制御手段7は、図2(b)に示すような恒温槽加熱時間制御処理を実施し、内部環境温度Tcが所定の閾値Tthよりも低いときには、加熱源6aによる加熱時間MhをMh2と長くし、測定手段5による測定を開始するまでの恒温槽6への加熱量を多くすることで恒温環境温度条件を一定に保ち、もって、検査カートリッジの液温を適正温度に保つことが可能である。なお、内部環境温度Tcが所定の閾値Tth以上であるときには、加熱源6aによる加熱時間Mhは予め決められたMh1(Mh2>Mh1)に設定される。
また、恒温槽6の好ましい態様としては、恒温槽本体と、恒温槽本体の周囲を覆う断熱材からなる断熱覆いと、恒温槽本体と断熱覆いとの間に設けられ、恒温槽本体に接触配置される加熱源6aと、加熱源6aと断熱覆いとの間に介在され、断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱断熱材と、を有する態様が挙げられる。
本例では、断熱覆いは恒温槽本体の周囲の少なくとも一部を覆う態様であればよく、代表的には恒温槽本体の側周壁及び底壁を覆う態様が挙げられる。そして、断熱性をより高めるという観点からすれば、恒温槽本体の上壁を保温カバーで覆うようにしてもよい。また、耐熱断熱材は断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱性を有する断熱材であればよく、この耐熱断熱材の存在により、加熱源からの断熱覆いに放熱される熱損失が少なく抑えられる。
更に、恒温槽6の好ましい態様としては、恒温槽本体と被取付部材との接触面を恒温槽本体の被取付部材への投影面よりも少ない状態で設置されている態様が挙げられる。
本例としては、例えば恒温槽本体に接触面の少ない取付部を設けたり、あるいは、被取付部材に開口を設けたり、恒温槽本体と被取付部材との間に断熱材を介在させる態様が挙げられる。ここで、恒温槽本体と被取付部材との接触面積が少ないと、恒温槽6から被取付部材へ熱伝導する熱損失が少なくなる。
更にまた、恒温槽6の恒温環境温度を制御するには、恒温槽6は通常当該恒温槽6の温度が検出可能な槽温度検出器(図示せず)を有している。
この槽温度検出器の代表的な設置例としては、検査カートリッジ10の反応セル11cと、恒温槽6の加熱源6aとの間に設けられている態様が挙げられる。
ここで、槽温度検出器は恒温槽6の恒温環境温度を検出するものであるが、本例は、反応セルの周辺温度のうち、加熱源からの影響を正確に検出することが可能である点で好ましい。また、槽温度検出器は1つでもよいが、安全性、信頼性を高めるという観点から複数設けるようにしてもよい。
また、恒温槽6の好ましい態様としては、検査カートリッジ10の反応セル11c底面と測定位置MPでは少なくとも接触する接触部を有する態様が挙げられる。
本例は、測定手段5による測定位置MPでは、恒温槽6の接触部が検査カートリッジ10の反応セル11c底面と接触するため、恒温槽6の熱が反応セル11cに安定的に伝達される。
更に、検査カートリッジ10の測定位置MPでの好ましい保持構造としては、恒温槽6の測定位置MPには、検査カートリッジ10の反応セル11c底面を恒温槽6に押し付けるように付勢する付勢部材(図示せず)を備えている態様が挙げられる。
恒温槽6と検査カートリッジ10の反応セル11cとの接触状態を安定させるには、板バネ等の付勢部材にて検査カートリッジ10を付勢する方式が好ましい。
また、検査カートリッジ10のセットステージSTへのセット時の好ましい温度監視方式としては、セットステージSTに設けられ、カートリッジ保持手段2にて保持された検査カートリッジ10のセル11内に収容された試薬又は検体希釈液の液体温度が検出可能な液体温度検出器16と、セットステージSTに設けられ、セットステージST内の内部環境温度が検出可能な環境温度検出器17と、液体温度検出器16の検出温度が環境温度検出器17からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至るまで、カートリッジ搬送手段3による検査カートリッジ10の検査ステージKTへの搬入動作を禁止する駆動制御手段18と、を備える態様が挙げられる。
本例では、液体温度検出器16は例えば非接触で試薬又は検体希釈液の液体温度を検出可能なものであれは適宜選定してよい。
環境温度検出器17は液体温度検出器16と別個に設けてもよいし、液体温度検出器16に内蔵させるようにしてもよい。
更に、検査カートリッジ10は多くの場合冷蔵庫に冷蔵保管されているため、使用するときには冷蔵庫から取り出した検査カートリッジ10を一定時間周辺の環境下に放置し、検査カートリッジ10の試薬等が周辺の環境温度と略同程度に至ってから検査に供することが望ましいとされている。
しかしながら、このような使用条件を満たさずに検査カートリッジ10を検査に供することも起こり得る。本態様は、このような事態に対処する上で好ましい。
仮に、保存されていた検査カートリッジ10を早いタイミングで検査に供したとしても、当該検査カートリッジ10のセル11内の試薬又は検体希釈液の液体温度を監視することで、液体温度が低すぎる検査カートリッジ10はセットステージST内に待機し、液体温度が適温に至った状態で検査ステージへと搬入される。
また、液体温度検出器16の代表的態様としては、サーモパイル素子を含むものであることが挙げられる。
本例では、サーモパイル素子の手前に視野角の小さいレンズを配置する態様が好ましい。また、装置筐体1内や液体温度検出器16の周囲には検出対象以外からの熱線情報をカットする遮蔽部材などを設けるのが好ましい。
更に、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の駆動制御手段18の好ましい態様としては、環境温度検出器17にて検出される環境温度に応じて液体温度検出器16にて検出される液体温度を補正して用いられる態様が挙げられる。
本例では、サーモパイル素子出力は環境温度によって変化するため、正確な液体温度を検出するには環境温度によって補正することが好ましい。
更にまた、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の駆動制御手段18の好ましい別の態様としては、環境温度検出器17にて検出される環境温度に応じて、閾値を可変設定することで液体温度検出器16にて検出される液体温度を間接的に補正する態様が挙げられる。
本例では、液体温度検出器16にて検出される液体温度が環境温度によって変化しても、閾値を可変設定することで間接的に補正することが可能である。ここで、閾値の可変方式は環境温度と閾値とを予めテーブル化しておいたり、所定の数式に当てはめるようにする等適宜選定して差し支えない。
また、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の好ましい態様としては、セットステージST内で周囲温度変化の少ない待機位置に設置され、カートリッジ保持手段2に検査カートリッジ10が保持されたときに当該検査カートリッジ10のセル11に接近する検出位置に移動可能な移動機構(図示せず)にて移動する態様が挙げられる。
更に、別の好ましい態様としては、装置筐体1は液体温度検出器16の周囲に外気が導入可能な構成を有している態様が挙げられる。本例は液体温度検出器16の使用条件を外気環境に保つ方式である。
更にまた、移動型のカートリッジ保持手段2としては、一若しくは複数の検査カートリッジ10が保持可能なカートリッジ受部2aを有し、検査カートリッジ10のセル11の配列方向に交差する方向に沿ってカートリッジ受部2aを移動させ、セットステージST内の予め決められた検査初期位置に検査カートリッジ10を移送させると共に、セットステージST内の予め決められた液体温度検出位置に一若しくは複数の検査カートリッジ10のうち最初に検査に供される検査カートリッジ10を移送するものが挙げられる。
この種の移動型のカートリッジ保持手段2を使用した態様では、検査カートリッジ10が液体温度検出位置に移送する際に、液体温度検出器16と検査カートリッジ10との位置関係を保つように検査カートリッジ10が案内可能な案内部材(図示せず)を設けた態様が好ましい。
本例は、一つの検査カートリッジ10でも対応可能であるが、主としては、複数の検査カートリッジ10が移動する態様を対象とする。
複数の検査カートリッジ10を保持する場合に、検査初期位置へ検査カートリッジ10を順次選択的に配置するようにすればよく、検査初期位置への複数の検査カートリッジの選択動作を実現することができる。
そして、案内部材によって、検査カートリッジ10の対象セル11と液体温度検出器16との位置関係を一定に保つことが可能である。
また、駆動制御手段18の好ましい態様としては、液体温度検出器16の検出温度が環境温度検出器17からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至った条件下で、予め決められた時間が経過した後、カートリッジ搬送手段3による検査カートリッジ10の検査ステージKTへの搬入動作を実施する態様が挙げられる。
検出温度差については、できるだけ小さい方が反応が安定する。ここで、閾値を予め狭く設定すると、公差のばらつきによって閾値に至らないケースがあり得る。そこで、公差のばらつき分よりもある程度大きい閾値を選定し、閾値に収まった後に、所定時間の経過を待つようにしたので、検査カートリッジ10のセル11内の液体温度は更に内部環境温度に近づくことになる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
<全体構成>
図3は本発明が適用された自動分析装置の実施の形態1の外観を示す説明図である。
同図において、自動分析装置20は、装置筐体21の前面側(ユーザーの操作側)に開閉可能な扉22を有すると共に、この扉22の上方に位置する天面側に操作部としての操作パネル23(本例ではカラーLCDを用いたタッチキーパネルを使用)を設けると共に、この操作パネル23の上方には開閉可能なプリンタカバー24内にプリンタ25(図4(a)参照)を内蔵し、図4(a)乃至(c)に示すように、ユーザーが扉22を開放した状態で装置筐体21内に検査すべき検体が分注された一若しくは複数(例えば3つ)の検査カートリッジ200をセットし、しかる後、操作パネル23のスタートボタンを操作することにより、一若しくは複数の検査カートリッジ200の検体について順次自動分析するものである。
なお、図4(a)(b)中、符号40は一若しくは複数の検査カートリッジ200を保持するカートリッジラック、また、符号28は装置筐体21内に取り込む空気を清浄にする清浄フィルタである。
<検査カートリッジ>
本実施の形態において、検査カートリッジ200は、図5(a)〜(d)に示すように、例えばポリプロピレン等の合成樹脂にて成形され且つ直線状に延びるカートリッジ本体201を有し、このカートリッジ本体201には有底の複数のセル202を一体的に且つ直線的に配列したものである。
本実施の形態において、セル202は、カートリッジ本体201の挿入方向端から離間した側から順に、検体が収容される一つの検体セル203と、試薬が収容可能な複数(例えば3つ)の試薬セル204〜206と、検体と試薬とが分注されて反応させられる一つの反応セル207とを備えている。尚、例えば検体セル203や反応セル207が複数設けられるなど適宜選定できることは勿論である。
特に、本実施の形態では、セル202のうち、反応セル207は略矩形筒状断面を有する容器であり、セル外壁面がX軸方向(検査カートリッジ200の長手方向に直交する方向)及びY軸方向(検査カートリッジ200の長手方向に沿う方向)に沿う平面として構成されているのに対し、他のセル202、具体的には検体セル203、試薬セル204〜206は円筒状断面を有する形状として構成されている。また、本実施の形態では、複数の試薬セル204〜206のうち、一つの試薬セル205は未使用で、他の二つの試薬セル206,204にR1,R2の試薬が所定量予め分注されている。一方、本実施の形態では、検体セル203には希釈液Wが所定量予め分注されている。
更に、本実施の形態では、カートリッジ本体201の挿入方向端から離間した側には検体セル203に隣接してチップ保持孔208が貫通した状態で開設されており、このチップ保持孔208には検体試薬分注機構70に着脱自在に装着可能なノズルチップ210が上方から離脱可能に係止保持されている。
そして更に、カートリッジ本体201の挿入方向端とは反対側には把持部211が突出形成されており、この把持部211の裏面には指押さえ212が突出形成されている。
一方、カートリッジ本体201の挿入方向端側には下側に突出する被係合片213が形成されている。
更にまた、本実施の形態では、カートリッジ本体201の各セル202(203〜207)の開口縁には上方に突出する突縁(図示せず)が設けられており、各セル202(203〜207)の開口はシール215にて上方から被覆されている。このとき、各セル202の突縁がシール215に接触するため、各セル202は突縁を介して完全に密封状態で仕切られることになり、セル202内の試薬や希釈液が他のセルに流入する懸念は有効に回避される。
また、検体セル203はシール215で密封されているが、検体が採取可能な検体採取具としてのキャピラリ230がシール215を破って予め検体セル203内の希釈液Wに浸漬した状態で保持されている。
更に、シール215の長手方向に沿う一側縁には当該検査カートリッジ200のセット方向を確認するための位置情報としてのバーコード216が刻印されている。
なお、シール215にはバーコード216のほか、試薬ロット、使用期限、管理番号などの必要情報が刻印されている。
<キャピラリ(検体採取具)>
また、本実施の形態では、図6(a)〜(d)に示すように、検査カートリッジ200の検体セル203には検体採取具(本例では採血具)としてのキャピラリ230で採取した検体(本例では血液)が分注されるようになっている。
本実施の形態において、キャピラリ230は、両端が開口して貫通する合成樹脂製の採取具胴体231と、この採取具胴体231の一端側に一体的に設けられると共に毛管現象にて血液からなる検体が採取可能な毛管部232と、採取具胴体231の他端側に採取具胴体231よりも外径が大きく設けられ、採取具胴体231から外方に張り出した部分が検体セル203に保持される保持部233とを備えている。
ここで、毛管部232の外周形状は先端に向かって窄まる円錐台形状になっている。また、保持部233は検体試薬分注機構70のノズルヘッド71(図17参照)が嵌合可能な嵌合孔234を有しており、保持部233のうち嵌合孔234の周壁の頂部には溝部235が約90度毎に4箇所設けられている。この溝部235はキャピラリ230が検体セル203に保持された際に検体セル203との間の空気抜けとして働くようになっている。
<検査カートリッジの前準備>
自動分析装置に検査カートリッジ200をセットする前に、検査カートリッジ200にノズルチップ210及び検体が採取されたキャピラリ230を予めセットするという前準備が必要である。
本例では、複数の検査カートリッジ200は専用ノズルチップ210及び専用キャピラリ230と共に試薬キットとしてまとめられており、この種の試薬キットは通常冷蔵庫等で冷蔵保存されている。
そして、冷蔵保存された試薬キットは30分以上室温(15〜30℃)に放置した後に使用に供することが好ましい。
検査カートリッジ200を使用に供する前準備としては、例えば以下のような作業が必要である。
(1)カートリッジホルダ240は検査カートリッジ200、ノズルチップ210及びキャピラリ230の各保持部(本例では、カートリッジ保持溝、ノズルチップ保持孔、キャピラリ保持孔)を有しており、このカートリッジホルダ240に各保持部に使用に供する必要分の検査カートリッジ200、ノズルチップ210及びキャピラリ230を保持させる(図7(a)参照)。
(2)検査カートリッジ200の孔開け
カートリッジホルダ240の一部に孔開けピン241を仮置き収容しておき、この孔開けピン241を用いて検査カートリッジ200の検体セル11aに対応したシール215に仮孔242を開ける。このとき、孔開けピン241としては断面十字状のピンを用いているため、シール215に孔開けピン241を突き当たてて差し込んだ後に、孔242が円形状になるように孔開けピン241を回転させるようにすればよい(図7(b)参照)。
なお、検査カートリッジ200のシール215の検体セル11aに対応した部位には孔開けピン241の差し込み位置を示す目印が付されており、ユーザーによる孔開けピン241による孔開けが容易になっている。
(3)キャピラリセット
次いで、検体採取のために、例えば図示外の穿刺器具を使用して指などを穿刺し、採血部にキャピラリ230の毛管部232を接触させ、毛管現象により毛管部232に所定量(1〜2μL)を採取する。
この後、遅滞なく検査カートリッジ200のシール215に開けた孔242に、検体採取したキャピラリ230を挿入し、保持部233が検査カートリッジ200の検体セル11a周囲のシール215に突き当たるまで差し込んでセットするようにすればよい(図7(c)参照)。
(4)ノズルチップセット
次いで、検査カートリッジ200のチップ保持孔208にノズルチップ210を挿入して保持するようにすればよい(図7(d)参照)。
(5)検査カートリッジの前準備完了
この状態において、検査カートリッジ200にノズルチップ210及びキャピラリ230がセットされ、当該検査カートリッジ200の前準備は完了する(図7(e)参照)。
残りの検査カートリッジ200についても(1)〜(4)に示す前準備を行うようにすればよい。
<自動分析装置の構成要素の概要>
図8は自動分析装置の主な構成要素を示す説明図である。
同図において、符号23は操作パネル、25はプリンタ、200は検査カートリッジ、30は複数(本例では3本)の検査カートリッジ200をセットし、装置筐体21の手前から見た幅方向(X軸方向)に沿って移動し、検査カートリッジ200を測定の開始・終了に応じて所定位置に移送するカートリッジ保持機構(Xユニットに相当)、50はカートリッジ保持機構30に保持された検査カートリッジ200をX軸方向に直交するY軸方向(装置筐体21の前後方向に相当)に沿って搬送するカートリッジ搬送機構(Yユニットに相当)、70は検査カートリッジ200に対して検体、試薬を分注する検体試薬分注機構、80は検査カートリッジ200の少なくとも一部(本例では反応セル11cに相当)を恒温条件に保つ恒温槽、100は恒温槽80の内部に設けられて検査カートリッジ200の反応セルに分注された検体と試薬との反応を測定する測定装置である。
本例において、カートリッジ保持機構30は図示外のXモータ(本例ではステッピンクモータを使用)によって検査カートリッジ200をX軸方向に沿って移動可能にするものである。
また、カートリッジ搬送機構50はYモータ55(本例ではステッピンクモータを使用)によって検査カートリッジ200をY軸方向に沿って移動可能にするものである。
更に、検体試薬分注機構70はX軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向に沿って上下するノズルヘッド71を有し、予め決められた分注位置BPにて試薬、検体を吸引、吐出するようになっている(Zユニットに相当)。ここで、符号72はポンプモータ73によって駆動され、ノズルヘッド71による吸引、吐出動作を実施するシリンジポンプ、74はノズルヘッド71をZ軸方向に沿って上下させるZモータ、75はノズルヘッド71に装着されたノズルチップ210を取り外すときに使用されるノズルリムーバである。
更に、本実施の形態では、装置筐体21内にはバーコードリーダー110が搭載され、更に、各種センサS1〜S5(詳細は後述する)等が設けられている。
尚、符号29は試薬ロット毎の検量線情報が記録されているマスタカーブカードで、例えば図3の扉22に開設された挿入口22aから装置筐体21内に挿入され、試薬ロット毎に予め装置筐体21内に搭載されたバーコードリーダー110にこの情報を読み込ませてキャリブレーションを実施するものである。
<自動分析装置の制御系>
図9は自動分析装置の制御系を示す。
同図において、符号300は制御装置の制御部としてのコントロール基板(Control Borad)であり、商用電源301からの電力を受けて電源スイッチ302を入れると、電圧変換器(Switching power supply)303を介して直流電圧がコントロール基板300へと供給される。
また、操作パネル23(タッチキーパネル、LCDを含む)及びプリンタ25は操作ボード(Operational board)を介してコントロール基板300と情報通信され、バーコードリーダー110で読み込まれた情報や検査カートリッジ200やノズルチップ210の有無を検出するセンサ(Cartridge/Chip Sensor)はコントロール基板300に入力される一方、コントロール基板300は装置筐体21内に搭載されたファン(FAN)304に対しては自動分析装置20の稼働時に駆動制御信号を送出するようになっている。
更に、サーミスタ(Thermistor)、PD(Photodiode)等からのアナログ情報はA/D変換ボード(A/D Converter board)305を介してコントロール基板300に入力され、また、LED等の光源にはLEDレギュレータ(LED Regulator)306を介してコントロール基板300からの制御信号が送出される。
更にまた、コントロール基板300と、恒温槽80の加熱源であるヒータやチップリムーバ75を駆動するソレノイド(Heater/Solenoid Unit)との間は恒温槽制御プログラムや検査カートリッジによる検査処理プログラムに従ってやりとりされるようになっている。
更に、コントロール基板300と、Xユニット(カートリッジ保持機構30に相当)、Yユニット(カートリッジ搬送機構50に相当)、Zユニット(検体試薬分注機構70に相当)及びポンプユニット(シリンジポンプ72に相当)との間は、各ユニットに組み込まれたセンサからの情報を入力し、検査カートリッジ200の検査処理プログラムに従って各ユニット駆動用のモータ(Xモータ(図示外)、Yモータ55、Zモータ74、ポンプモータ73に相当)に対して駆動制御信号を送出するようになっている。
尚、図9中、「STB」は「Standby Sensor」の略、「LOC」は「Location Sensor」の略である。また、符号308は外部通信基板(External communication board)であり、USB(Other USB Device)や、外部パーソナルコンピュータ(External PC)との情報通信を可能とするものである。
<装置構成のユニット化>
本実施の形態では、自動分析装置20の主たる構成要素はユニット化されている。
つまり、本例では、自動分析装置20は、図10に示すように、装置筐体21の底板ユニット250上にXユニット(カートリッジ保持機構30に相当)及びYZユニット260が組み付けられている。
ここで、YZユニット260は、図13及び図14に示すように、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50、Zユニットとしての検体試薬分注機構70及び恒温槽80(本例では測定装置100を内蔵)を組み込んでユニット化したものである。
そして、本例では、自動分析装置20は、図11に示すように、装置筐体21内に、検査カートリッジ200がセットされるセットステージSTと、このセットステージSTに隣接して設けられ且つ検査カートリッジ200の検体について分析検査する検査ステージKTと、を備えており、底板ユニット250はセットステージST及び検査ステージKTに跨がるように一体化されている。
<Xユニット>
Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は、図10乃至図12に示すように、装置筐体21の底板ユニット250上に装置筐体21の幅方向(X方向)に沿って移動するXテーブル31を有し、このXテーブル31上に検査カートリッジ200が保持可能なカートリッジラック40を設け、予め決められた検査初期位置ST1に検査カートリッジ200を順次移動させるものである。
ここで、Xテーブル31の支持構造は、装置筐体21の底部に支持フレーム32を取り付け、この支持フレーム32にX方向に延びるガイドレール33を掛け渡し、このガイドレール33に沿って摺動自在にXテーブル31を支持するものである。また、Xテーブル31の位置規制については図示外の位置センサを用いた公知の手法や、ステッピングモータ等の駆動モータ(Xモータに相当)を用いた位置制御にて行われる。
−カートリッジラック−
また、本実施の形態では、カートリッジラック40は、図10及び図12(a)(b)に示すように、複数(本例では3つ)の検査カートリッジ200が保持可能な複数のラックホルダ41を有している。このラックホルダ41は、一対のホルダ脚42間にX方向に直交するY方向に延びるスリット43を設け、このスリット縁部を支持面44としたものであり、この支持面44に検査カートリッジ200のカートリッジ本体201の幅方向両側縁部を支持するようになっている。
本例では,検査カートリッジ200のカートリッジラック40への方向は一律に決まっている。このため、検査カートリッジ200の誤挿入を防止するという観点から、検査カートリッジ200のシール215のうちカートリッジ本体201の長手方向に沿う一側縁に挿入方向確認のためのバーコード216が刻印されている。
よって、本例では、検査カートリッジ200が正しい挿入方向で挿入された場合には、バーコードリーダー110にてバーコード216が正確に読み取られる。これに対して、仮に、検査カートリッジ200がカートリッジラック40に誤挿入されると、検査カートリッジ200のバーコード216がカートリッジ本体201の反対側の側縁に移動してしまうことから、当該バーコード216がバーコードリーダー110によって読み込めない。このため、バーコードリーダー110によりバーコード216が読み込めないということから、検査カートリッジ200の挿入方向が逆であることが把握される。
尚、符号45はカートリッジラック40の複数のホルダ脚42間に直交するように掛け渡され、カートリッジラック40のホルダ脚42間の間隙を保つ間隙調整部材である。
<YZユニット>
YZユニット260は、図10に示すように、底板ユニット250に取り付けられる断面略逆U字状のチャンネル材からなるユニットフレーム261を有し、このユニットフレーム261にYユニット、Zユニット及び恒温槽80(測定装置100を内蔵)を所定の位置関係で取り付けたものである。
<Yユニット(カートリッジ搬送機構)>
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、図14乃至図16に示すように、ユニットフレーム261に図示外の止め具を用いて支持ブラケット56を取付け、この支持ブラケット56にはY方向に延びる案内軌道51を設けると共に、この案内軌道51に沿って移動自在なYテーブル52を設け、このYテーブル52にはセットステージST側に延びる係止アーム53を設けると共に、この係止アーム53の先端には上方に突出する係止片54を設け、この係止片54が検査カートリッジ200の被係合片213に係脱自在に係合するようになっている。
本例では、ユニットフレーム261の頂部261aには、カートリッジ搬送機構50のYテーブル52の一部、係止アーム53及び係止片54が頂部内に配置されるように開口部262が設けられており、更に、ユニットフレーム261のセットステージST寄りの立壁部262bには検査カートリッジ200が通過可能な通過口263が設けられ、カートリッジ搬送機構50の係止アーム53及び係止片54が通過口263からセットステージST側に突出配置され、セットステージSTに位置する検査カートリッジ200と係合し、検査ステージKT側に検査カートリッジ200を引き込むようになっている。
特に、本実施の形態では、検査カートリッジ200の被係合片213はX方向に貫通する凹部218(図5参照)を有しており、Xテーブル31の移動に伴って検査カートリッジ200の被係合片213とカートリッジ搬送機構50の係止片54とが相互に干渉することはなく、Xテーブル31が適宜位置に移動し、検査初期位置ST1に移動設定された検査カートリッジ200は、その被係合片213がカートリッジ保持機構50の係止片54と係合する位置関係になるようになっている。
また、Yテーブル52の駆動系は、支持ブラケット56に駆動源としてのYモータ55を固定し、Yモータ55からの駆動力を駆動伝達機構57を介してYテーブル52に伝達し、案内軌道51に沿ってYテーブル52を進退動するようになっている。
ここで、駆動力伝達機構57としては適宜選定して差し支えないが、例えばYテーブル52の移動方向に沿って循環回転する移動ベルト58をプーリ59間に掛け渡すと共に、この移動ベルト58に係止アーム53の一端部を固定する一方、Yモータ55からの駆動力を図示外の駆動プーリを介して移動ベルト58に伝達し、この移動ベルト58を進退動させることによりYテーブル52を進退動させるものが挙げられる。
尚、Yテーブル52の駆動系として、Yモータ55を支持ブブラケット56に固定的に配設しているが、Yテーブル52にこれらを搭載して自走式に構成してもよいことは勿論である。
更に、Yテーブル52の位置停止機構60は、例えば図14乃至図16に示すように、支持ブラケット56の所定部位には例えばフォトカプラなどからなる位置決め検出器61を配設する一方、Yテーブル52には進退方向に延びるセンサ板63を取付け、このセンサ板63に位置合せ用のセンサスリット64を所定ピッチ毎に開設し、位置決め検出器61にてセンサ板63の所定位置を検出することにより、Yテーブル52の進退位置を規制し、検査カートリッジ200の引き込み位置を制御するようになっている。
<Zユニット(検体試薬分注機構)>
Zユニットとしての検体試薬分注機構70は検体、試薬を分注するものであれば公知のものを適宜選定して差し支えないが、例えば図14及び図17(a)(b)に示すように、ユニットフレーム261の頂部にX方向、Y方向に直交するZ方向に延びる支持台76を図示外の止め具を用いて固定し、この支持台76にはZ方向に沿って進退移動する昇降台77を駆動伝達機構78を介して設け、この昇降台77にノズルヘッド71を取り付けると共に、このノズルヘッド71にノズルチップ210を着脱自在に取り付けるようにしたものが用いられる。
尚、駆動伝達機構78の一部である駆動ギア78aやZモータ74はユニットフレーム261の頂部の裏側に配置されるようになっており、ユニットフレーム261の頂部には駆動ギア78aやZモータ74を配置する上で必要な組付孔264,265が開設されている。また、ユニットフレーム261の頂部には予め決められた分注位置BPにノズルチップ210やキャピラリ230が通過可能な円形の分注開口266が開設されている。
本実施の形態では、検体試薬分注機構70は、図17(a)(b)に示すように、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50にて所定位置まで検査カートリッジ200を引き込み、検体試薬分注機構70の分注位置BPに検査カートリッジ200の分注対象セル202を配置した後、シリンジポンプ72を負圧若しくは正圧に切り替えることにより、検査カートリッジ200内の所定のセル202(検体セル203,試薬セル204,206)から検体、試薬を所定量吸引保持し、測定対象である反応セル207内に所定量の検体、試薬を吐出するものである。
このとき、検体試薬分注機構70は検体又は試薬を個別に吸引して吐出する方式を採用してもよいし、あるいは、ノズルチップ210内で空気層を介在させることにより、検体と試薬、あるいは、複数の試薬を同時に吸引保持した後、吐出するようにしてもよいことは勿論である。
尚、本実施の形態では、検体試薬分注機構70は検体、試薬の分注動作をともに兼用する態様になっているが、夫々別に設けるようにしてもよい。また、本実施の形態では、廃棄可能なノズルチップ210を用いているが、これに限られるものではなく、ノズルチップ210を用いないで、専用ノズルを洗浄しながら使用する方式を採用してもよいことは勿論である。
<Zユニット(穿孔装置)>
本実施の形態では、検査カートリッジ200は、各セル202がシール215で被覆されているため、検体試薬分注機構70にて検体、試薬の分注動作を行う前に、検体試薬分注機構70のノズルチップ210が挿入可能となるように、シール215に対し挿入用の孔を穿つことが行われる。
このような要請下において、本実施の形態では、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として兼用する手法が採用されている。
つまり、穿孔動作時には、検体試薬分注機構70は、検査カートリッジ200の各セル202のうち使用可能なセル202(検体セル203,試薬セル205,206,反応セル207)に対応するシール215を目がけてノズルチップ210を穿孔具として用い、シール215に孔を穿つものである。
本実施の形態において、穿孔装置として兼用される検体試薬分注機構70はシール215に対して孔を穿つものであれば、孔の穿ち方など適宜選定して差し支えないが、本実施の形態では、使用するセル202に対応するシール215部分に夫々複数の孔を穿つようになっている。詳細は後述する。
尚、本実施の形態では、検体試薬分注機構70にて穿孔装置を兼用するようにしているが、必ずしもノズルチップ210を穿孔具として利用する態様に限られるものではなく、例えば検体試薬分注機構70の昇降台76の一部に穿孔具を取付け、この穿孔具を利用して検査カートリッジ200のシール215に孔を穿つようにしてもよい。また、検体試薬分注機構70とは全く別に専用の穿孔装置を配設し、この穿孔装置にて検査カーリッジ200のシール215に孔を穿つようにしても差し支えない。
<恒温槽>
本実施の形態において、恒温槽80は、図14、図20(a)〜(c)及び図21(a)〜(c)に示すように、ユニットフレーム261の頂部の裏側に図示外の止め具にて固定されている。
本例では、恒温槽80は、例えばアルミニウム製の恒温ブロック81と、この恒温ブロック81の上部を覆う保温カバー90とを有している。
―恒温ブロック―
本例において、恒温ブロック81の基本的構成は、図18(a)〜(c)及び図19(a)〜(c)に示すように、断面略U字状の搬送通路85を有し、当該搬送通路85に沿って検査カートリッジ200がY方向に進退可能に移動するブロック本体82と、このブロック本体82の底面に取り付けられて当該ブロック本体82を加熱するヒータ(例えばシリコンラバーヒータ)83と、ブロック本体82の一部に設けられる例えばサーミスタからなる温度検出器84と、を備え、この温度検出器84からの温度情報をモニタリングすることにより所定の恒温条件(例えば37℃)に保つようにヒータ82をオンオフ制御するようになっている。
ここで、温度検出器84の配設位置は適宜選定して差し支えないが、本例では、温度検出器84は、図19(c)に示すように、ブロック本体82のうち、測定装置100による測定位置MPの近傍に配設され、検査カートリッジ200の反応セル207とヒータ82との間に設けられている。このため、ヒータ82からの熱がブロック本体82を通じて反応セル207に伝達されることから、測定位置MPにおける反応セル207周囲の恒温温度に近い温度が検出される点で好ましい。
尚、恒温ブロック81は必要に応じてブロック本体82の周囲を断熱材で被覆し、恒温ブロック81内からの不必要な熱放出を抑えるように設計することが好ましい。
―保温カバー及び恒温槽―
本例では、保温カバー90は、恒温ブロック81の上部を覆うような位置においてユニットフレーム261の頂部261aの裏側に複数の止め具91を介して固定されている。
そして、保温カバー90は恒温ブロック81の長手方向及び幅方向に対応した大きさを有しており、恒温ブロック81の一方の頂部に位置決めピン92を介して位置決めされると共に、複数の止め具93を介して固定されている。
更に、保温カバー90のうち、恒温ブロック81の他方の頂部に対向する部位にはY方向に延びるカートリッジ受板94が止め具95を介して固定され、恒温ブロック81の反対側の頂部の内側縁にはY方向に延びる案内溝86が形成され、検査カートリッジ200のカートリッジ本体201のY方向に延びる両側縁が恒温槽80のカーリッジ受板94及び案内溝86に沿って摺動しながら案内されるようになっている。
このとき、恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86と、カートリッジラック40との間に段差があることを考慮し、恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86のうちセットステージST寄りの端部には面取部96が形成され、カートリッジ搬送機構50にて検査ステージKT側に搬入された検査カートリッジ200のカートリッジ本体201の両側縁が恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86に面取部96を通じてスムーズに導かれるようになっている。
尚、保温カバー90には分注位置BP及びノズルリムーバ75によるノズルチップ210の取り外しを可能とするための長孔97が形成されている。
<測定装置>
また、本実施の形態では、測定装置100は、図20(a)〜(c)及び図21(a)〜(c)に示すように、恒温槽80の恒温ブロック81内に組み込まれており、予め決められた測定位置MPに検査カートリッジ200の反応セル207を配置し、反応セル207内の検体と試薬との反応を測定するようになっている。
この測定装置100は、予め決められた測定位置MPを挟んだ箇所に設けられる第1の測定部101と、この測定位置MPとは別の測定位置MP’に設けられ、例えば検査ステージKTに搬入した検査カートリッジ200の検体セル202内の検体希釈液のHbを測定する第2の測定部102とを備えている。
ここで、第1の測定部101は、例えば赤外線LEDからなる発光素子103と、測定位置MPを挟んで発光素子103に対向する部位に配設される例えばフォトディテクタからなる受光素子104とを備えている。また、第2の測定部102は、第1の測定部101と略同様に、発光素子105及び受光素子106を測定位置MP’を挟んで対向配置したものである。
本例では、第1の測定部101以外に第2の測定部102を備えているので、反応セル207以外のセル202についても測定する場合には、一つの測定位置MPにてセル202内の検体と試薬との反応や試薬、検体の状態(例えば吸光度)を測定する場合に比べて、検査カートリッジ200のY方向への移動スパンを短くすることが可能である点で好ましい。
<装置筐体の構成>
本実施の形態において、装置筐体21は、図22に示すように、底板ユニット250と、この底板ユニット250の左側方に組み付けられる左側板271と、底板ユニット250の右側方に組み付けられる右側板272と、左側板271及び右側板272間に掛け渡され、扉22(図4参照)を閉じたときに保持する扉保持板273と、底板ユニット250の背面に組み付けられる背板274と、を有し、これらの周囲に外装化粧板を配設するようにしたものである。
本例では、背板274のうち、左側板271寄りの上方に排気用のファン304が取り付けられている。
また、本実施の形態では、左側板271は底板ユニット250の左側端よりも内側に変位して配置されており、左側板271の外側の領域にコントロール基板300や電源基板などが設置されている。
<底板ユニット>
本実施の形態において、底板ユニット250は、図23(a)(b)及び図24(a)(b)に示すように、金属製の底板ベース部材251を有し、この底板ベース部材251の左右及び背面には夫々フランジ部252〜254を折曲成形する一方、底板ベース部材251の下方には樹脂製のアンダカバー280を配設したものである。
ここで、アンダカバー280は、図24(a)(b)に示すように、略矩形状の底壁部281を有し、この底壁部281の周囲を高さの低い周壁部282で覆うと共に、底壁部281には周壁部281よりも高さの低い格子状の補給用リブ283を形成し、更に、底壁部281のうち手前寄りには周壁部282と同程度の高さでX方向に延びる仕切壁284を形成し、また、底壁部281のうち仕切壁284にて仕切られた後方側の領域で仕切壁284に隣接した両側には断面逆U字状の凹所285を形成し、自動分析装置20を持ち上げる際の把持部として機能するようにしたものである。
更に、このアンダカバー280の四隅には合成樹脂又はゴム製の支持パッド286が取付けられると共に、底壁部281のうち仕切壁284にて仕切られた前方側の領域の左寄りの箇所には空気取入孔287が開設されると共に、この空気取入孔287には清浄フィルタ288が装着されることで清浄な空気が取り込めるようになっている。
本例では、底板ユニット250は、底板ベース部材251とアンダカバー280との間に空気供給室255を確保しており、底板ベース部材251のうちアンダカバー280の仕切壁284にて仕切られた前方側で、かつ、空気取入孔287とは反対側の右寄りに空気導入孔256を開設するようにしたものである。
ここで、本例では、空気取入孔287に清浄フィルタ288を設けているが、これに加えて、あるいは、これに代えて、空気導入孔256に必要に応じて清浄フィルタを設けるようにしてもよい。
尚、符号257は底板ベース部材251に設けられる位置決め孔、符号289はアンダカバー280に設けられて底板ベース部材251の位置決め孔257に位置決めされる位置決め突起である。
本実施の形態によれば、自動分析装置20に検査カートリッジ200をセットすると、ファン304が駆動を開始する。
この状態において、底板ユニット250では、図25(a)に示すように、空気取入孔287から外気Airが清浄フィルタ288を介して空気供給室255内に取り込まれる。
この後、空気供給室255に取り込まれた空気Airは、図25(b)に示すように、アンダカバー280の仕切壁284よりも前方側の空間部(図25(b)中網点で示す領域)を通じてX方向に流れる。このとき、清浄フィルタ288を通過した細かな塵埃はアンダカバー280の補強用リブ283のところでせき止められることから、アンダカバー280内に溜まり、底板ユニット250から装置筐体21内には入り難い。
そして、空気供給室255のアンダカバー280内を通過した空気Airは、図26に示すように、底板ベース部材251の空気導入孔256から装置筐体21内に導入される。
この状態において、装置筐体21内では、図27に示すように、恒温槽80の配設領域(A領域)、電源基板の配設領域(B領域)、コントロール基板の配設領域(C領域)が主として熱源になることから、これらの領域から自然対流で暖気が装置筐体21内の上部に溜まり易いという傾向がある。
一方、装置筐体21内の空気は、図28に示すように、ファン304によって強制排出される。
この状態において、装置筐体21内では、ファン304と底板ユニット250の空気導入孔256とは対角線上に配置されることから、空気導入孔256から装置筐体21内に導入された空気Airは、セットステージST側から左側板271を経由する流れ成分(図中点線で示す。)と、検査ステージKT側から左側板271と右側板272との間の領域を経由する流れ成分(図中実線で示す。)に分かれ、略半々の割合に従って暖気を排出する。
このとき、Xユニット30はセットステージSTにおいて装置筐体21内の空間部を占有する領域が比較的少ないので、セットステージSTを経由して左側板271の外側領域を通過する気流はある程度多く確保される。
これに対し、YZユニット260は検査ステージKTにおいて装置筐体21内の空間部を占有する領域が比較的広いため、検査ステージKTを経由してYZユニット260の配設領域を直接通過する気流は比較的少なく、検査ステージKTのうち右側板272及び背板274に沿ってファン304に向かう気流がある程度多く確保される。
このため、本実施の形態では、セットステージST内の環境温度や電源基板、コントロール基板からの暖気が効率的に排気され、恒温槽80付近の暖気が不必要に排気される懸念は少ない。
<制御系で用いられるセンサ類>
図29は本実施の形態に係る自動分析装置の制御系で用いられるセンサ類を示す説明図である。
同図において、符号310はマイクロコンピュータからなる制御装置であり、この制御装置310は、電源スイッチ、各種動作センサ(操作パネル23,位置検出器、状態検出器等)、各種温度センサからの情報を取り込み、恒温槽80のヒータ83による制御処理を行い、各種動作源による動作制御処理(Xユニット、Yユニットの駆動制御処理、Zユニットの駆動制御及び分注制御処理、測定装置による測定処理)を行い、更に、プリンタ25による印刷制御処理を行うものである。
ここで、本実施の形態で用いられる代表的なセンサS1〜S7(ここでは、温度検出器及び状態検出器)について説明する。但し、S1〜S5は図8に示すセンサと同様である。
S1:セットステージSTに設けられ、検査カートリッジ200の試薬(又は検体希釈液)の液温を検出する液温検出器
S2:検査初期位置ST1における検査カートリッジ200の有無を検出するカートリッジ有無検出器
S3:検査カートリッジ200のチップノズル210の有無を検出するチップ有無検出器
S4:検査ステージKTにおける内部環境温度を検出する温度検出器
S5:Zユニットとしての検体試薬分注機構70のノズルヘッド71に対するキャピラリ230又はノズルチップ210の着脱有無を検出する有無検出器
S6:恒温槽80の温度を検出する温度検出器(図19,図21中の符号84に相当)
S7:セットステージSTにおける内部環境温度を検出する温度検出器
<液温検出器S1>
本例では、液温検出器S1は、例えば検査カートリッジ200の試薬セル206(又は試薬セル204又は検体セル203)に予め収容されている試薬又は希釈液の温度を検出するものであり、例えばサーモパイル400が使用される。
このサーモパイル400は、図30(a)に示すように、例えば試薬セル206から所定の距離m(例えば5mm程度)だけ離間した位置に設置されていればよい。
このとき、サーモパイル400による液温検出位置ST2は検査初期位置ST1と同じでもよいし、別に設定しても差し支えない。例えば図29に示すように、サーモパイル400の液温検出位置ST2は検査初期位置ST1を通り過ぎて更にX方向に沿って移動した位置にする等適宜選定して差し支えない。特に、底板ユニット250の空気導入孔256に接近した部位に液温検出位置ST2を設定するようにすれば、サーモパイル400付近に取り込んだ空気が気流を作りながら流れるため、サーモパイル400付近の温度が外気温度付近に保たれる(図26参照)。
一般に、サーモパイル400は、図30(b)に示すように、センサ筐体401内にサーモパイル素子402を有し、例えば試薬(又は希釈液)から放射される熱線をサーモパイル素子402で検出するようになっている。本例では、センサ筐体401の熱線入口付近に視野角度の小さい集束レンズ403(例えば視野角度5度のレンズを使用)を配置し、放射された熱線を集束レンズ403を介してサーモパイル素子402に集束させるようになっている。
また、本例では、サーモパイル400内にサーミスタからなる温度検出素子404が内蔵されており、この温度検出素子404によって温度検出器S7を兼用することが可能である。
更に、試薬セル206内の試薬(例えばR1)は温度によって放射する熱線の周波数(波長)が変化するため、必要な周波数(波長)以外は通過させないようなフィルタ405を設けるようにしてもよい。
ここで、物体が放射する温度と波長との関係はウィーンの法則で表される。
λmax=2897.8/K
但し、λmax :ピーク波長(μm)
K:絶対温度(ケルビン)
2897.8:定数
このウィーンの法則に従えば、278K(5℃)で波長が10.4μm、303K(30℃)で波長が9.6μmであるから、検査カートリッジ200の測定温度(5〜30℃)以外の熱線を透過させないように、サーモパイル400の集束レンズ404の前にフィルタ405を入れるようにすればよい。
更にまた、検査カートリッジ200の試薬セル206は略逆円錐台状の断面形状を有しているため、試薬セル206内の試薬(例えばR1)からの熱線が試薬セル206の壁面で乱反射する懸念がある。このような乱反射を少なく抑えるという観点からすれば、図30(c)に示すように、例えば試薬セル206の形状を矩形状とし、少なくとも、サーモパイル400に対向するように試薬セル206の周壁を配置するようにすることが好ましい。
<検査カートリッジ制御処理>
次に、本実施の形態で用いられる検査カートリッジの制御処理について説明する。
本例では、制御装置310は、図29及び図31に示すように、先ず、セットステージSTにセットされた検査カートリッジ200が検査に供する状態か否かをチェックする。
仮に、検査カートリッジ200が検査に供する状態であると判断されると、制御装置310は、セットステージSTにセットされた検査カートリッジ200をカートリッジ搬送機構50にて検査ステージKTに引き込む。
この状態において、制御装置310は、(1)恒温槽80の加熱温度設定、(2)恒温槽80によるプレ加温時間設定を行う。
これらの設定が完了すると、制御装置310は、検査カートリッジ200に対して一連の検査動作を実施する。
以下、これらの制御内容について詳述する。
<検査カートリッジチェック>
検査カートリッジのチェックは以下の手順で実施される。
〔1〕カートリッジラック40への検査カートリッジ200のセットチェック
先ず、ユーザーはカートリッジラック40に対し検査カートリッジ200を所定の向きに揃えてセットする。
この状態において、カートリッジ保持機構30はカートリッジラック40をX方向に移動させ、例えば最初のレーンにセットされた検査カートリッジ200を検査初期位置ST1まで移動させる。
このとき、バーコードリーダー110にて検査カートリッジ200のバーコード216を読み込み、検査カートリッジ20が正規の向きに挿入されているか否かを判断する。
〔2〕試薬R1の液温チェック
一般に、検査カートリッジ200は、多くの場合冷蔵庫に冷蔵保存されているため、使用するときには、冷蔵庫から取り出した後、検査カートリッジ200を一定時間周辺の環境下に放置し、検査カートリッジ200の試薬等が周辺の環境温度と同程度に至ってから検査に供することが好ましい。
しかしながら、このような使用条件を満たさずに、カートリッジ保持機構30のカートリッジラック40に検査カートリッジ200をセットする事態は起こり得る。
本実施の形態では、制御装置310は、以下のようにして、検査カートリッジ200をチェックする。
つまり、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は、カートリッジラック40に検査カートリッジ200をセットすると、検査初期位置ST1に最初の検査カートリッジ200を移動させた後に液温検出位置ST2まで移動させる。
このとき、サーモパイル400(液温検出器S1)は液温検出位置ST2に例えば試薬セル206内の試薬R1の液温を検出する。
仮に、冷蔵保存されていた検査カートリッジ200を周辺の環境温度の元で十分に放置しないでカートリッジ保持機構30を移動したとすると、サーモパイル400により検出された液温は内部環境温度Tcよりも低い。
本例では、サーモパイル400によって「R1液温」及び「内部環境温度」を検出し、以下の演算式(1)を満たすか否かを判別する。
(R1液温−内部環境温度Tc)<0であって、
|R1液温−内部環境温度Tc|≦|α|(本例ではα=−4℃)……演算式(1)
演算式(1)の条件を満たす場合には、制御装置310は、検査カートリッジ200の試薬R1の温度が内部環境温度Tcに近いと判断し、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行する。
一方、演算式(1)を満たさない場合には、制御装置310は、検査カートリッジ200の試薬R1の温度が内部環境温度Tcに比べて未だ低すぎると判断し、液温検出位置ST2に検査カートリッジ200を待機させ、演算式(1)の条件を満たすに至った段階で、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行する。
尚、演算式(1)の前提条件が異なる場合、つまり、(R1液温−内部環境温度Tc)≧0である場合には、R1液温が十分に内部環境温度Tcに接近していると言えることから、演算式(1)を満たす場合と同様に、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行すればよい。
−検査カートリッジの好ましい液温チェック−
本実施の形態では、検査カートリッジ200の液温チェックに当たり、|R1液温−内部環境温度Tc|が閾値以下に収まると、直ちに検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、検査ステージKTへの引き込み動作に移行するように対処されているが、これに限られるものでなく、|R1液温−内部環境温度Tc|が閾値以下に収まった後に、予め決められた時間だけ液温検出位置ST2にて検査カートリッジ200を待機させ、所定時間経過した後に検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、検査ステージKTへの引き込み動作に移行するようにしてもよい。
この方式を採用すれば、検査カートリッジ200の液温は更に内部環境温度に接近することになるため、検査カートリッジ200の検査条件は更に好適になる点で好ましい。
―サーモパイルによる液温検出のための対処法―
(A)サーモパイルの内部環境温度による補正
サーモパイル400は試薬R1の液温を直接検出することが困難であり、セットステージSTの内部環境温度Tcが変化すると、サーモパイル素子401からの検出温度が変化する傾向がある。
そこで、本例では、サーモパイル400のサーモパイル素子401と温度検出素子404とから、サーモパイル素子出力、温度検出素子出力を得て、サールパイル素子出力に対し、温度検出素子出力で補正値を与え、試薬R1の液温を間接的に求めると共に、温度検出素子出力から内部環境温度Tcを直接求め、演算式(1)により条件判別を行う。
尚、サーモパイル素子401にはばらつきがあるため、同じ熱源からの熱線を受けたときに、サーモパイル出力が一定になるように、サーモパイル出力として電圧の出力調整を事前にしておくことが必要である。
(B)閾値αの補正
サーモパイル400のサーモパイル素子401出力は内部環境温度Tcによって変化するため、内部環境温度Tcによって閾値αを補正するようにしてもよい。
例えば実験などにより、内部環境温度Tcと閾値αとの関係を例えば以下のようなテーブルとしておき、試薬R1の液温としてサーモパイル素子401からの検出出力を補正せずに求める一方、温度検出素子404から検出された内部環境温度Tcに基づいて閾値αを補正し、演算式(1)を満たすか否かを判断するようにしてもよい。
内部環境温度Tc 閾値α
15℃ −14.5
20℃ −12.0
25℃ −9.5
30℃ −8.0
(C)閾値αを数式にしておき、自動的に変更する。
今、実験などから演算式(2)を予め作成し、これに内部環境温度Tcの変数xを入力することでサーモパイル400出力yを算出する。
y=−0.00009269x+2.836x−10480……演算式(2)
但し、x,yは10進数
〔3〕検査カートリッジの有無チェック
検査カートリッジ200の試薬R1の液温チェックが終了すると、制御装置310は検査初期位置ST1に検査カートリッジ200を戻し、有無検出器S2により検査カートリッジ200の存在を確認した後に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の搬入動作に移行する。
<恒温槽の温度制御処理>
制御装置310は、温度検出器S6(温度検出器84)により恒温槽80の温度を検出し、目標とする恒温環境温度(例えば37℃)になるように、ヒータ83をオンオフ制御するようになっている。
本実施の形態では、制御装置310は、図29に示すように、恒温槽80の温度制御処理として、温度検出器S4にて検査ステージKTにおける内部環境温度Tcを検出し、この内部環境温度Tcに基づいて、ヒータ83の設定温度を可変設定する。
ここで、恒温環境温度(例えば37℃)を一定にするように、内部環境温度Tcが予め決められた閾値よりも低いときに、当該閾値以上の温度の場合に比べてヒータ83の設定温度を高くするようにすればよい。
この可変の程度については、実験などにより予め求めておくのが好ましい。
詳細は実施例にて後述する。
<恒温槽のプレ加温>
本実施の形態では、制御装置310は、検査ステージKTにおける内部環境温度Tcをパラメータとして、ヒータ83の設定温度を可変設定しているが、更に加えて、測定装置100による測定開始時の反応セル207内の液温を予め決められた温度にするように、内部環境温度Tcをパラメータとして、ヒータ83のプレ加温時間を可変設定するようにしている。
ここで、内部環境温度Tcが予め決められた閾値よりも低いときに、当該閾値以上の温度の場合に比べてヒータ83のプレ加温時間を長くするようにすればよい。
この可変の程度については、実験などにより予め求めておくのが好ましい。
詳細は実施例にて後述する。
<自動分析装置の作動>
次に、本実施の形態に係る自動分析装置の作動について説明する。
この自動分析装置を使用するに当たって、
(1)検査カートリッジのセット操作
(2)測定シーケンスの実行操作
を行うようにすればよい。
具体的には、図32のようなユーザー操作に対して、自動分析装置(機器)では図32に示す一連の動作が実施される。
また、図33は本実施の形態に係る自動分析装置の一連の動作過程を時系列で示すタイミングチャートである。
以下、具体的に説明する。
―検査カートリッジのセット操作―
先ず、ユーザーは、図4に示すように、自動分析装置20の扉22を開放した後、自動分析装置20のセットステージSTのカートリッジラック40に検査に必要な複数の検査カートリッジ200をユーザー操作側から見て右側から順にセットすることが必要である。
このとき、セットすべき検査カートリッジ200に対する準備として、検体を採取したキャピラリ230及びノズルチップ210のセットを行うことが必要である(図7参照)。
また、図8に示すように、カートリッジラック40に対して検査カートリッジ200は所定方向にセットされることが必要であるが、ユーザーは、カートリッジラック40のラックホルダ41のスリット43に沿って検査カートリッジ200を所定位置まで挿入させるようにすればよい。
―測定シーケンスの実行―
検査カートリッジ200のセット操作が終了した後、自動分析装置20の扉22を閉じ、しかる後、操作パネル23のスタートボタンを操作すれば、測定シーケンスが自動的に実行される。
(1)検査カートリッジの検査初期位置設定
制御装置310は、図12に示すように、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30のXテーブル31を移動させ、最初の検査対象である検査カートリッジ200(本例ではユーザー側から見て右端にある検査カートリッジに相当)を検査初期位置ST1に設定する。
(2)検査カートリッジの誤挿入チェック(図34参照)
本例では、例えば検査初期位置ST1に対応した上部にバーコードリーダー110が配設されており、仮に、検査カートリッジ200の挿入方向が逆方向である場合には、検査カートリッジ200の検査動作が阻止されるようになっている。
つまり、検査カートリッジ200には誤挿入を防止するためのバーコード216がシール215中に刻印されており、ハーコードリーダー110によってバーコード216が読み込まれれば、カートリッジラック40に対して正しく挿入されていることが把握される。これに対し、仮に、検査カートリッジ200の挿入方向が逆になると、バーコードリーダー110によって検査カートリッジ200のバーコード216を読み込むことができなくなり、カートリッジラック40に対して検査カートリッジ200が誤挿入されている事態が把握される。
(3)検査カートリッジの液温検出(図34参照)
検査カートリッジ200がカートリッジラック40に正しく挿入されていることが確認されると、複数の検査カートリッジ200のうち最初の検査に供される検査カートリッジ200の場合には、前述したように、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は検査カートリッジ200を液温検出位置ST2に移送し、温度検出器S1(サーモパイル400)にて試薬セル206の試薬R1の液温を検出し、検査カートリッジ200の液温が適温であるか否かをチェックする。
(4)検査カートリッジを検査初期位置に再設定(図34参照)
検査カートリッジ200の液温が適温である場合には、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30が検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻す。
そして、有無検出器S2が検査カートリッジ200の存在を確認する。
このとき、 このとき、測定装置100は測定位置MPにおいて検査カートリッジ200のないエアブランク測定を実施し、検査カートリッジ200のない空気層だけの吸光度情報を得る。
(5)検査カートリッジの引き込み動作(図34,図35参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50により検査初期位置ST1に設定された検査カートリッジ200を検査ステージKT側に引き込む。
このとき、有無検出器S3が検査ステージKTに引き込まれた検査カートリッジ200にノズルチップ210の有無をチェックする。
本実施の形態では、カートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の検体セル203が分注位置BPに停止するように、検査カートリッジ200を引き込む(図35参照)。
(6)恒温槽の制御処理
制御装置310は、主電源スイッチがオンされた時に恒温槽80のヒータ83を作動させ、恒温槽80内を所定温度(例えば37℃)になるように恒温制御している。
更に、制御装置310は、前述したように、恒温槽80の温度制御処理(ヒータ83の温度設定)及び恒温槽80によるプレ加温時間制御(ヒータ83のプレ加温時間の可変設定)を実施する。
(7)キャピラリによる検体吐出(図35参照)
次いで、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、分注位置BPにおいてノズルヘッド71にキャピラリ230を挿入保持し、有無検出器S5にてキャピラリ230の装着状態が確認される。
この後、検体試薬分注機構70は、キャピラリ230内の検体を検体セル203内の希釈液に吐出し、吸引吐出を繰り返して検体と希釈液とを撹拌する。
(8)キャピラリの取り外し(図35参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の空セル205を分注位置BPに移動させる。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は空セル205の位置にキャピラリ230を移動させ、ノズルリムーバ74を用いてノズルヘッド71からキャピラリ230を取り外し、空セル205内に廃棄する。そして、有無検出器S5にてキャピラリ230の取り外し状態が確認される。
(9)セルブランク測定、検体希釈液Hb測定(図36参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207及び検体セル203が測定装置100の測定位置MP、MP’に位置するように検査カートリッジ200を搬送し、測定装置100の各測定部による測定が行われる。このとき、測定位置MPでは、反応セル207のブランク測定が行われ、測定位置MP’では、検体セル203の検体希釈液のHb測定が行われる。これにより、反応セル207の初期状態及び検体希釈液の初期状態を把握することが可能である。
(10)ノズルチップ装着(図36参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200に保持されているノズルチップ210を分注位置BPに配置するように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70はノズルヘッド71にノズルチップ210を装着し、有無検出器S5にてノズルチップ210の装着状態が確認される。
(11)空気孔開け動作(図37参照)
次いで、制御装置310は、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として働かせ、カートリッジ搬送機構50にて検査カートリッジ200を適宜進退させながら、検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置にて検査カートリッジ200のシール215に空気孔を穿つように制御する。
本実施の形態では、空気孔開け動作は、検査カートリッジ200の使用セル202(本例では試薬セル206,反応セル207)に対応するシール215部分に夫々複数(本例では2つ)の空気孔131,132を穿つものである。
ここで、空気孔131,132の大きさとしては、例えば1〜2mm程度でよく、ノズルチップ210の外径変化を考慮し、その挿入深さを決定するようにすればよい。
特に、本実施の形態では、各空気孔131,132は対応する使用セル202(検体セル203,試薬セル205,206,反応セル207)の開口中心133を挟んだ位置、例えば略点対称となる位置に開けられている。
尚、検査カートリッジ200の検体セル203に対応するシール215部分には検体分注時に孔135が開けられているが、ユーザー操作によりどの位置に孔を開けたか不確かであるため、本実施の形態では、検体セル203に対応したシール215部分についても、他のセルと同様に、複数の空気孔131,132を穿つように検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置を制御する方式が採用されている。
このように、使用セル202のシール215部分に複数の空気孔131,132を開けると、例えば図37に示すように、穿孔具としてのノズルチップ210が一方の空気孔131を塞ぐように挿入されたとしても、他方の空気孔132が大気開放されているため、ノズルチップ210の挿入により使用セル202内の圧力が不必要に高くなり、ノズルチップ210による検体、試薬の吸引動作や、吐出動作が不安定になることはない。
また、穿孔具としてのノズルチップ210が使用セル202のシール215部分の開口中心133近傍に挿入されるような場合には、複数の空気孔131,132の存在により、使用セル202のシール215部分が容易に破砕され、大気開放された状態でノズルチップ210が使用セル202内に挿入される。
特に、本実施の形態では、複数の空気孔131,132が使用セル202の開口中心133を挟んだ位置に開設されているため、検体、試薬分注時において、ノズルチップ210の挿入位置が比較的ラフであるとしても、ノズルチップ210による穿孔動作時にシール215が確実に破砕される。この点、例えば複数の空気孔131,132が使用セル202の開口中心133に対して片側に偏倚して開設されている態様にあっては、検体、試薬分注時において、シール215部分のうち空気孔131,132が開設されていない側にノズルチップ210が挿入される際に若干破砕し難いという懸念はあるものの、複数の空気孔131,132が存在する以上、一つの空気孔の場合よりも破砕し易い点で好ましい。
(12)試薬R1分注(図38参照)
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の試薬セル206を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、試薬セル206の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、試薬セル206内の分注すべき試薬R1を撹拌・吸引した後、試薬セル206から離れるように上昇する。
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、反応セル207に対しノズルチップ210内の試薬R1を分注する。
(13)RIブランク測定(図39参照)
そして、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を測定位置MPへと搬送する。
この後、測定装置100は、測定位置MPにおいて反応セル207内の試薬R1のブランク測定を行う。
(14)カートリッジプレ加温(図39参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、恒温槽80の加熱領域に検査カートリッジ200の各セル202が収まるように検査カートリッジ200の位置を微調整した後、加熱条件が設定されたヒータ83によるプレ加温動作を実施する。
本例では、反応セル207への試薬R1の分注後にプレ加温動作を実施するようにしているが、試薬R1の分注前からプレ加温動作を実施してもよいことは勿論である。
(15)検体希釈液分注(図39参照)
更に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の検体セル203が分注位置BPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検体セル203内の検体希釈液をノズルチップ210にて分注する。
(16)R1+検体希釈液撹拌(図40参照)
次いで、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検体セル203から離れるように上昇した後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207が分注位置BPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207内にノズルチップ210を降下させ、分注した検体希釈液を吐出、吸引を繰り返すことで、試薬R1と検体希釈液とを撹拌する。
(17)R1+検体希釈液吸光度測定(図40参照)
更に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、測定装置100は、測定位置MPにおいて、反応セル207内の試薬R1+検体希釈液について吸光度をブランク測定する。
(18)空気孔開け動作
次いで、制御装置310は、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として働かせ、カートリッジ搬送機構50にて検査カートリッジ200を適宜進退させながら、検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置にて検査カートリッジ200のシール215に空気孔を穿つように制御する。
本実施の形態では、空気孔開け動作は、検査カートリッジ200の使用セル202(本例では試薬R2が収容されている試薬セル204)に対応するシール215部分に複数(本例では2つ)の空気孔を穿つものである。
(19)試薬R2分注(図41)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の試薬セル204(試薬R2)を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、試薬セル204の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、試薬セル204内の分注すべき試薬R2を撹拌・吸引した後、試薬セル204から離れるように上昇する。
(20)R1+R2+検体希釈液撹拌(図42参照)
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207内にノズルチップ210を降下させ、分注した試薬R2を吐出、吸引を繰り返すことで、試薬R1、R2と検体希釈液とを撹拌した後、反応セル207から離れるように上昇する。
(21)反応測定(図42参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を測定位置MPへと搬送する。
この状態において、測定装置100は、測定位置MPにて反応セル207内の検体と試薬R1,R2との反応を所定時間(例えば1分から5分)測定する。
本例では、測定装置100の測定部101は、発光素子103からの光を反応セル207内の検体と試薬との混合液に透過させ、その光変化を受光素子104にて検出すると共に、反応セル207内の検体と試薬との反応変化を経時的に測定する。
(22)ノズルチップ取り外し(図43参照)
この後、Zユニットとしての検体試薬分注機構70はノズルチップ210を上昇させた後に待機し、カートリッジ搬送機構50は検査カートリッジ200のチップ保持孔208が分注位置に位置するように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検査カートリッジ200のチップ保持孔208にノズルチップ210を上方から挿入させ、ノズルリムーバ74によりノズルチップ210の保持状態を解除することにより、検査カートリッジ200の元の位置に廃棄すべきノズルチップ210を戻すようにする。
ノズルチップ210の離脱は有無検出器S5によって検出される。
(23)検査カートリッジ排出(図43参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は検査済みの検査カートリッジ200をセットステージST側に戻すようにする。
この状態において、検査カートリッジ200が戻ったことは有無検出器S2にて判別される。
(24)結果印刷動作
制御装置310は、測定装置100による測定結果をプリンタ25にて印刷する。
この段階にて一つの検査カートリッジ200に対する所定の測定シーケンスが終了する。
この後、制御装置310は、セットステージSTに未処理の検査カートリッジ200が存在することを確認の上、各検査カートリッジ200に対して一連の測定シーケンスを実行する。
但し、2番目以降の検査カートリッジ200については、最初の検査カートリッジ200の検査時間が経過しているため、検査カートリッジ200の液温検出処理は不要である。
上述した一連の測定シーケンスについて、検査カートリッジ200に対する処理状態を模式的に表記したものを図44〜図49に示す。
以下、本実施の形態に係る自動分析装置の変形の形態を示す。
◎変形の形態1
図50(a)〜(c)はXユニットとしてのカートリッジ保持機構30やYユニットとしてのカートリッジ搬送機構50のXテーブル31やYテーブル52の案内機構を示す。
同図において、案内機構350は、断面チャンネル状の支持ベース360に一対の案内軸として主軸351,副軸352を略平行に掛け渡し、一方の主軸351を位置決めした状態で掛け渡すと共に、他方の副軸352については一方の主軸351との間のピッチが調整可能な長孔353に沿って移動可能に掛け渡し、このような主軸351,副軸352に対してXテーブル31又はYテーブル52等の可動テーブル355を成形ベアリング356,357を介して摺動可能に支持するようにしたものが挙げられる。
本例では、案内機構350の対構成の案内軸としての主軸351,副軸352は可動テーブル355の動きに追従して両者間の位置関係が変位することから、可動テーブル355は対構成の案内軸としての主軸351,副軸352に沿って安定的に移動する。
このとき、支持ベース360に対して主軸351と副軸352とを固定的に設けた態様では、主軸351と副軸352とのピッチ間寸法が合っていないと、可動テーブル355はスムーズには動作しないが、本例のような構成を採用すれば、可動テーブル355はスムーズに案内される。
◎変形の形態2
図51(a)(b)はZユニットとしての検体試薬分注機構70の駆動伝達機構を模式的に示す。
同図において、ノズルヘッド71は昇降台77に固定され、この昇降台77は、駆動伝達機構78の一要素であるリニアガイド78aと、駆動伝達するボールネジ78bとに跨がって設けられている。このとき、リニアガイド78aとボールネジ78bとの間のピッチが合わない場合には、昇降台77はスムーズに移動できない。
本例では、昇降台77にスクリューベアリング78cが固定的に取り付けられ、このスクリューベアリング78cにボールネジ78bの一端が係わっている構成である。
特に、スクリューベアリング78cの取付構造として、図51(b)に示すように、スクリューベアリング78cの取付孔78dにカラー78eを介して止め具としてのネジ78fを挿通し、スクリューベアリング78cの軸受部に対してボールネジ78bの一端部に遊び(2Δ=d2−d1)を持たせるようにしたものである。
本例では、ボールネジ78bとリニアガイド78aとのピッチが一義的ではなく、昇降台77の移動に伴って追従することから、昇降台77,更にはノズルヘッド71の上下動作か安定する。
◎変形の形態3
実施の形態では、底板ユニット250に対し一つのXユニット30と一つのYZユニット260とを搭載する自動分析装置が開示されている。
図52(a)は一つの既存のXユニット30と、一つは既存であるが、他のものが新規な複数(本例では2つ)のYZユニット260,360とを備えたものである。
例えば自動分析装置の検査項目を増加させる上で、既存のXユニット30及びYZユニット260に加えて、新たなYZユニット360を付加するようにすればよい。
このとき、既存の構成を踏まえて、追加設計し易い点で好ましい。
また、図52(b)は一つの既存のXユニット30と新たなYZユニット370とを備えたものである。
しかしながら、新たなYZユニット370は、既存のYZユニット260を含み、更に、既存のYZユニット260から一部を除外した態様のものを付加したに過ぎない。
このため、本実施の形態にあっても、新規なYZユニット370は既存のYZユニット260を複数利用することで簡単に対応することが可能である。
◎変形の形態4
図53(a)(b)は実施の形態に係る自動分析装置について装置筐体内の風路設計を変更したものである。
同図において、装置筐体21は、底板ユニット250上にセットステージSTと検査ステージKTとを仕切るようにX方向に延びる第1の仕切板381と、この第1の仕切板381に当接し、かつ、電源391とメイン基板(コントロール基板等)392とが組み込まれる空間部を仕切るようにY方向に延びる第2の仕切板382とを有し、セットステージSTの温度検出器S1(サーモパイル400に相当)が含まれるルーム1と、検査ステージKTの恒温槽80が含まれるルーム2と、電源・メイン基板が含まれるルーム3とに分けられている。
そして、本例では、底板ユニット250のアンダカバー280の底壁部281のうち前方側の領域の左寄りの箇所には清浄フィルタ288付きの空気取入孔287が開設され、底板ユニット250の底板ベース部材251のうちセットステージST側で、空気取入孔287とは反対側の右寄りに空気導入孔256が開設されると共に、空気取入孔287の近傍に空気導入孔256よりも小さい空気導入孔258が開設され、更に、背板274のうち左寄りの上方にファン304が取り付けられている。
従って、本変形の形態によれば、ファン304が稼働すると、底板ユニット250では、図53(a)(b)に示すように、空気取入孔287から外気Airが清浄フィルタ288を介して空気供給室255に取り込まれ、空気供給室255に取り込まれた空気Airは、底板ベース部材255の空気導入孔256,258を通じて装置筐体21内に導かれる。
この状態において、空気導入孔256から導入された空気AirはセットステージSTの温度検出器S1(サーモパイル400に相当)の周辺を通過した後、ルーム1にて上昇する暖気と共にファン304に引き寄せられる。
一方、空気導入孔258から導入された空気Airはルーム3にて上昇する暖気と共にファン304に引き寄せられる。
本例では、恒温槽80が設置されたルーム2には、底板ベース部材251に積極的に空気導入孔が開設されていないので、空気供給室255からの空気Airが導入されることは少なく、ルーム2内の暖気はファン304によって徐々引き込まれるようになっている。
このため、本例では、ルーム1及びルーム3において、空気供給室255からの空気Airが導入され、当該ルーム内の暖気が気流に乗ってファン304に引き寄せられることから、これらのルーム内の内部環境温度は比較的外気に近い温度に保たれる。
尚、本例においては、底板ベース部材251に空気導入孔256,258を開設することで所定の気流を形成するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば図53(c)に示すように、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、各ルームに対応した底板ベース部材251に空気導入用の通孔420の数や面積を調整するようにすればよい。ここでは、通孔420の数は、ルーム3>ルーム1>ルーム2の順に多く設定されている。
◎変形の形態5
図54(a)(b)は実施の形態に係る自動分析装置について装置筐体内の風路設計を変更したものである。
図54(a)は例えば体21内に互いに仕切られている3つの部屋(ルーム1〜ルーム3)を有し、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、底板ユニット250の空気導入孔287から各ルーム1〜3に至るエアダクト431〜433の断面積A1〜A3を可変設定するようにしたものである。
また、図54(b)は例えば体21内に互いに仕切られている3つの部屋(ルーム1〜ルーム3)を有し、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、各ルーム1〜3とファン304との間を接続するエアダクト441〜443の断面積B1〜B3を可変設定するようにしたものである。
これらによれば、各ルーム1〜3の発熱量と要求温度特性に応じて、各ルーム1〜3からの気流の強さを直接的に調整することが可能になる。
◎変形の形態6
図55(a)は検査カートリッジ200の液温検出で用いられる液温検出器S1(サーモパイル400)の設置構造を変更したものである。
同図において、液温検出器S1は検査カートリッジ200の試薬セル206の液温を検出するものであり、試薬セル206内の試薬R1からの放射される熱線のみを検出対象とするために、試薬セル206と液温検出器S1との間に両面が黒塗りされた遮光板450を配設し、この遮光板450に透孔451を開設するようにしたものである。
本例では、検査カートリッジ200からの試薬セル206の試薬R1から熱線以外の熱線Bm1が直接サーモパイル400に入ったり、サーモパイル400のセンサ筐体401から反射した熱線Bm2が試薬セル206の試薬R1に当たった後、サーモパイル素子402が測定するという懸念がある。
本態様では、試薬R1からの熱線以外の熱線Bm1,Bm2がサーモパイル素子402に入射される懸念が少ない点で好ましい。
また、別の態様としては、図55(b)に示すように、サーモパイル400を設置する部屋460の内壁周囲を黒塗り部461とする態様がある。本件によれば、余分な熱線Bm1,Bm2が黒塗り部460で吸収されることになり、余分な熱線がサーモパイル40に向かう懸念が少ない。
尚、検査カートリッジ200を囲む部屋462の周囲に黒塗り部463を設けるようにしてもよい。
◎変形の形態7
図56(a)は検査カートリッジ200が検査初期位置S1と液温検出位置ST2との間を移動する態様を示す。
本例では、液温検出器S1(サーモパイル400)と検査カートリッジ200の試薬セル206(本例では逆円錐台状の形状を具備)との間に、両者の中心位置を案内する案内機構500が設けられている。
この案内機構500は、対構成の案内部材501,502を中心軸線Oを境として対称配置するものであって、案内部材501,502の液面検出器S1側にはセンサ筐体401を位置決めする位置決め凹部503を形成する一方、案内部材501,502の試薬セル206側には入口から次第に窄まる方向に傾斜する傾斜案内面504を形成し、この傾斜案内面504を通過した部位には試薬セル206が芯出しされた状態で位置決めされる位置決め溝505を形成したものである。
本例によれば、検査カートリッジ200が液温検出位置ST2に移動したときに、検査カートリッジ200の試薬セル206が案内機構500の傾斜案内面504を通じて位置決め溝505へと案内され、芯出しされた状態で位置決めされる。
このとき、試薬セル206と液温検出器S1との位置関係は一律に決まるため、液温検出器S1による液温検出精度は良好に保たれる。
◎変形の形態8
図57(a)は恒温槽80の好ましい態様を示す。
同図において、恒温槽80は恒温ブロック81の底部及び周壁を囲む断熱覆い510を有しており、恒温ブロック81の底面にヒータ83を設けると共に、このヒータ83と断熱覆い510の底部との間には断熱覆い510よりも断熱効果の高い耐熱断熱材515を介在させるようにしたものである。
本態様では、ヒータ83からの熱が断熱覆い510側に放熱される懸念は少なく、ヒータ83からの熱は恒温ブロック81に有効に伝達される。
また、図57(b)(c)は恒温槽80の取付構造の好ましい態様を示す。
図57(b)において、恒温槽80は恒温ブロック81を有し、この恒温ブロック81の頂部に接触面の少ない取付部520を設け、被取付部材530には取付部520を接触させて止め具540にて固着するようにしたものである。
更に、図57(c)において、恒温槽80はその頂部を被取付部材530に止め具540にて固着したものであるが、被取付部材530のうち止め具540による止着部位以外には適宜数の切欠開口550を設けたものである。
このため、本態様にあっては、恒温槽80と被取付部材530との接触面積は切欠開口55が存在する分少なく抑えられ、もって、恒温槽80から被取付部材530へ熱伝導する熱損失は少なく抑えられる。
◎変形の形態9
図58は恒温槽の測定位置での検査カートリッジ周りの好ましい構造を示す。
同図において、恒温槽80は、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに搬送されたとき、反応セル207の底部が接触する接触部560を有している。
このため、測定位置MPでは、恒温槽80からの熱が接触部560を通じて反応セル207に伝達されるので、反応セル207が恒温環境温度に調整され易い点で好ましい。
更に、本例では、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに搬送されたとき、恒温槽80には反応セル207を接触部560に向けて付勢する板バネなどの付勢部材570が設けられ、反応セル207が接触部560に押し付けられる。
このため、本例では、反応セル207と接触部560との接触状態が良好に保たれ、恒温槽80から反応セル207への熱伝達は良好に保たれる。
特に、本例では、反応セル207は付勢部材570によって接触部560に押し付けられるため、測定装置100に対する反応セル207の相対位置関係が一律になり、その分、測定装置100による測定精度が良好に保たれる。
◎実施例1
本実施例は、実施の形態1に係る自動分析装置を具現化し、検査ステージKTに検査カートリッジ200を引き込んだ後、恒温槽80を使用し、試薬セル206が恒温条件温度(本例では37℃)に到達するまでの時間を測定したものである。
本例では、内部環境温度として、RT15℃、RT25℃、RT30℃の場合について、恒温槽80の加熱温度、恒温槽80によるプレ加温時間を可変設定し、一連の測定シーケンスを行ったところ、図59に示す結果が得られた。
同図によれば、内部環境温度が相違するとしても、恒温槽の加熱温度、プレ加温時間を的確に制御することで、予め決められた時間T1〜T2までの間の反応測定では、反応セルの恒温環境温度が略同条件になっていることが理解される。
特に、本例では、T1〜T2までの間の反応測定(本例では2分)において、例えばT1からT3(本例では70秒程度)経過した時点では、恒温環境温度が全て同温度に接近する事態が確認された。
◎比較例1,2
比較例1は、実施例1に係る自動分析装置と略同様なものを用い、恒温槽の加熱制御を一定温度制御とし、検査カートリッジの反応セルに230μLの水を入れ、液温が飽和するまでの測定したところ、図60に示す結果が得られた。
同図によれば、反応セルの液温は略一定に至ることが理解されるが、内部環境温度の違いによって、液温が変わることが理解される。
また、比較例2として、内部環境温度の違いに基づいて恒温槽の加熱温度を制御し、検査カートリッジの検体セル、試薬セル(R1)、試薬セル(R2)に200μLの水を入れ、分注動作をさせることで反応セルの液温を測定したところ、図61に示す結果が得られた。
同図によれば、内部環境温度での液温差も大きく、正確な反応は得られないことが理解される。
◎実施例2
本実施例は、検査カートリッジの液温チェックにおいて、試薬セルの液温と内部環境温度との差分が予め決められた閾値(本例では閾値=−5℃とした)以内に収まった条件(閾値ON)以降の温度差変化を2回調べたところ、図62に示す結果が得られた。
図62によれば、検査カートリッジの液温チェックで、温度差が閾値以内に収まった条件(閾値ON)後の温度差変化は約6分くらいで略0に至ることが理解される。
尚、図62中Ts−T0はサーモパイル付近の温度−内部環境温度(外気温)が約1℃であることを示す。
1…装置筐体,2…カートリッジ保持手段,2a…カートリッジ受部,3…カートリッジ搬送手段,4…検体試薬分注手段,5…測定手段,6…恒温槽,6a…加熱源,7…恒温槽制御手段,7a…温度検出器,10…検査カートリッジ,11…セル,11a…検体セル,11b…試薬セル,11c…反応セル,12…チップ保持部,13…シール,15…ノズルチップ,16…液体温度検出器,17…環境温度検出器,18…駆動制御手段,ST…セットステージ,ST1…検査初期位置,KT…検査ステージ,BP…分注位置,MP…測定位置
本発明は、血液などの検体と試薬との反応を分析する自動分析装置に係り、特に、検査カートリッジを一定の恒温条件で測定する態様に有効な自動分析装置の改良に関する。
従来この種の自動分析装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1には、検査ステージに検査前の検査カートリッジを搬入すると共に検査後の検査カートリッジを検査ステージから搬出するカートリッジ搬送手段と、カートリッジ搬送手段にて搬入された検査ステージ内の検査カートリッジに対し当該検査カートリッジの検体、試薬を反応セルに分注する検体試薬分注手段と、検体試薬分注手段にて分注された反応セル内の検体と試薬との反応を測定する測定手段と、カートリッジ搬送手段にて検査ステージに搬入された検査カートリッジの少なくとも反応セルを所定の恒温環境温度に保つ恒温槽と、測定手段が動作する前に恒温環境温度よりも高い温度で検査カートリッジのセルの少なくとも一部を予め加温する補助加温手段とを備える自動分析装置が開示されている。
特許第4863789号公報(課題を解決するための手段,図1)
本発明が解決しようとする技術的課題は、検査カートリッジ及び環境温度の変化に伴う測定精度の低下を有効に防止する自動分析装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、検体と試薬との反応を自動分析する自動分析装置であって、検体が収容される検体セル、試薬が収容される試薬セル及び検体、試薬が反応させられる反応セルが少なくとも含まれると共に各セルが直線的に配列されている態様の一若しくは複数の検査カートリッジと、予め決められたセットステージ及びこれに隣接する検査ステージのための空間部を内部に有する装置筐体と、前記セットステージに設けられ、前記一若しくは複数の検査カートリッジが保持されるカットリッジ受部を有するカートリッジ保持手段と、前記検査ステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段に保持された検査カートリッジを検査ステージに直線的に搬入し、当該搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの各セルの配列方向に沿う長手方向に沿って前記検査カートリッジを搬送する一方、検査後の検査カートリッジを検査ステージからセットステージに直線的に搬出して前記カートリッジ保持手段のカートリッジ受部に戻すカートリッジ搬送手段と、前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された分注位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの分注対象セルを前記分注位置に搬送して配置した状態で、前記検査カートリッジに対し当該検査カートリッジの検体、試薬を反応セルに分注する検体試薬分注手段と、前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された測定位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの反応セルを前記測定位置に搬送して配置した状態で、前記検体試薬分注手段にて分注された反応セル内の検体と試薬との反応を測定する測定手段と、加熱源にて加熱され、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの少なくとも反応セル内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽と、前記検査ステージの内部環境温度が検出可能な温度検出器を有し、当該温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて前記恒温槽の加熱源の設定温度を高くするように、前記加熱源の設定温度を制御する恒温槽制御手段と、を備えたことを特徴とする自動分析装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る自動分析装置において、前記恒温槽制御手段は、更に、前記温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、前記測定手段による測定開始時の検査カートリッジの反応セル内の液温を予め決められた温度にするように、前記加熱源による加熱時間を可変設定することを特徴とする自動分析装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、恒温槽本体と、前記恒温槽本体の周囲を覆う断熱材からなる断熱覆いと、前記恒温槽本体と前記断熱覆いとの間に設けられ、前記恒温槽本体に接触配置される加熱源と、前記加熱源と前記断熱覆いとの間に介在され、前記断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱断熱材と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、前記恒温槽本体と被取付部材との接触面を前記恒温槽本体の前記被取付部材への投影面よりも少ない状態で設置されていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、恒温槽内の温度が検出可能な槽温度検出器を有し、前記槽温度検出器は、前記検査カートリッジの反応セルと、前記恒温槽の加熱源との間に設けられていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽は、前記検査カートリッジの反応セル底面と前記測定位置では少なくとも接触する接触部を有することを特徴とする自動分析装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記恒温槽の測定位置には、前記検査カートリッジの反応セル底面を前記恒温槽に押し付けるように付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする自動分析装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1又は2に係る自動分析装置において、前記セットステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段にて保持された検査カートリッジのセル内に収容された試薬又は検体希釈液の液体温度が検出可能な液体温度検出器と、前記セットステージに設けられ、前記セットステージ内の内部環境温度が検出可能な環境温度検出器と、前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至るまで、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を禁止する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする自動分析装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記液体温度検出器はサーモパイル素子を含むものであることを特徴とする自動分析装置である。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて前記液体温度検出器にて検出される液体温度を補正して用いられることを特徴とする自動分析装置である。
請求項11に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて、前記閾値を可変設定することで前記液体温度検出器にて検出される液体温度を間接的に補正することを特徴とする自動分析装置である。
請求項12に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記液体温度検出器は、セットステージ内で周囲温度変化の少ない待機位置に設置され、前記カートリッジ保持手段に前記検査カートリッジが保持されたときに当該検査カートリッジのセルに接近する検出位置に移動可能な移動機構にて移動するものであることを特徴とする自動分析装置である。
請求項13に係る発明は、請求項9に係る自動分析装置において、前記装置筐体は、前記液体温度検出器の周囲に外気が導入可能な構成を有していることを特徴とする自動分析装置である。
請求項14に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記カートリッジ保持手段は、一若しくは複数の検査カートリッジが保持可能なカートリッジ受部を有し、前記検査カートリッジのセルの配列方向に交差する方向に沿って前記カートリッジ受部を移動させ、前記セットステージ内の予め決められた検査初期位置に前記検査カートリッジを移送させると共に、前記セットステージ内の予め決められた液体温度検出位置に一若しくは複数の検査カートリッジのうち最初に検査に供される検査カートリッジを移送するものであり、前記検査カートリッジが液体温度検出位置に移送する際に、前記液体温度検出器と前記検査カートリッジとの位置関係を保つように前記検査カートリッジが案内可能な案内部材を設けたことを特徴とする自動分析装置である。
請求項15に係る発明は、請求項8に係る自動分析装置において、前記駆動制御手段は、前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至った条件下で、予め決められた時間が経過した後、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を実施することを特徴とする自動分析装置である。
請求項1に係る発明によれば、検査カートリッジ及び環境温度の変化に伴う測定精度の低下を有効に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の恒温環境条件を正確に実現することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の加熱源による加熱効率を高めることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽から被取付部材へ熱伝導する熱損失を低減することができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、恒温槽の温度制御を効率的に実施することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジの反応セルに対する恒温効果をより安定させることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジの反応セルに対する恒温効果を安定させ、かつ、反応セルの測定位置を安定させることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジを適温の状態で検査に供することができる。
請求項9に係る発明によれば、検査カートリッジのセル内の液体温度を非接触にて簡単に検出することが可能である。
請求項10に係る発明によれば、セットステージ内の内部環境温度が変化したとしても、検査カートリッジのセル内の液体温度をサーモパイルにて正確に検出することができる。
請求項11に係る発明によれば、セットステージ内の内部環境温度が変化したとしても、検査カートリッジのセル内の液体温度をサーモパイルにて正確に検出することができる。
請求項12に係る発明によれば、液体温度検出器の周辺温度の変化を少なく抑えることができる。
請求項13に係る発明によれば、液体温度検出器の周辺環境の変化を外気環境に保つようにすることができる。
請求項14に係る発明によれば、移動型のカートリッジ保持手段を用いたとしても、検査カートリッジの対象セルと液体温度検出器との位置関係を良好に保つことができる。
請求項15に係る発明によれば、本構成を有さない態様に比べて、検査カートリッジのセル内の液温と内部環境温度との差分をより少なく抑えた状態で、検査ステージへ検査カートリッジを搬入することができる。
(a)は本発明に係る自動分析装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た検査カートリッジの一例を示す模式図である。 (a)は図1に示す自動分析装置の恒温槽温度制御処理の概要を示す説明図、(b)は同自動分析装置の恒温槽加熱時間制御処理の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の外観を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係る自動分析装置のフロント扉及びプリンタ扉を開放した状態を示す説明図、(b)はカートリッジラックに検査カートリッジを保持させた状態を示す説明図、(c)は検査カートリッジの概要を示す説明図である。 (a)は自動分析装置にセットされる検査カートリッジの斜視図、(b)はセットされた検査カートリッジを手前から見た正面図、(c)はセットされた検査カートリッジの平面図、(d)は(b)のD−D線断面図である。 (a)は実施の形態1で用いられる採血具としてのキャピラリを示す斜視説明図、(b)はその平面図、(c)はその正面図、(d)は(c)中D−D線断面図である。 (a)〜(e)は検査カートリッジにノズルチップ及びキャピラリを保持させる準備過程を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の各構成要素を分解して示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の制御系を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の内部構造の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の平面模式図である。 (a)は実施の形態1で用いられるXユニットに相当するカートリッジ保持機構を示す斜視図、(b)はその正面図である。 実施の形態で用いられるYZユニットを示す斜視図である。 図13のYZユニットの各構成要素に分解した説明図である。 YZユニットの一要素であるYユニットに相当するカートリッジ移動機構を示す説明図である。 (a)は図15中、カートリッジ移動機構を右側面から見た説明図、(b)は(a)中B−B線断面図である。 (a)はYZユニットの一要素であるZユニットに相当する試薬検体分注機構を示す説明図、(b)は試薬検体分注機構を右側面から見た矢視図である。 (a)はYZユニットの一要素として組み付けられる恒温槽の基本構成を示す斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)中C−C線断面図である。 (a)は図18(b)中A−A線断面図、(b)は(a)中B−B線断面図、(c)は(a)中C−C線断面図である。 (a)YZユニットの一要素として組み付けられる恒温槽を示す斜視図、(b)はその正面図、(c)は(b)中C−C線断面図である。 (a)は図20(b)中A−A線断面図、(b)は(a)中B−B線断面図、(c)は(a)中C−C線断面図である。 実施の形態1で用いられる装置筐体の全体構成を示す説明図である。 (a)は図20の装置筐体の底板ユニットを示す斜視図、(b)はその右側面図である。 (a)は底板ユニットのアンダカバーを示す斜視図、(b)はその右側面図である。 (a)は底板ユニットの空気導入状態を示す説明図、(b)は底板アッセイに導入された空気の流れ方向を示す説明図である。 底板ユニットから導入された空気が装置筐体内に入り込む状態を示す説明図である。 装置筐体内の発熱領域を示す説明図である。 装置筐体内に入り込んだ空気の流れを示す説明図である。 実施の形態1で用いられる制御系のセンサ類を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられるサーモパイルと検査カートリッジの試薬セルとの位置関係を示す説明図、(b)はサーモパイルの構成例を示す説明図、(c)はサーモパイルによる測定対象セルの好ましい態様を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる制御系による検査カートリッジの制御処理過程を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置のユーザ−操作及び機器動作を示す説明図である。 実施の形態1に係る自動分析装置の装置内動作のタイミングチャートを示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(1)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(2)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(3)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(4)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(5)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(6)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(7)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(8)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(9)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程(10)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(1)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(2)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(3)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(4)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(5)を示す説明図である。 自動分析装置の動作過程における検査カートリッジの状態変化(6)を示す説明図である。 (a)はXユニット、Yユニットの案内機構の変形の形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。 (a)はZユニットの駆動機構の変形の形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 (a)は自動分析装置のYZユニットの変形形態を示す説明図である。 (a)は自動分析装置の装置筐体の変形の形態を示す説明図、(b)は装置筐体内の空気の流れを示す説明図、(c)は装置筐体の各ルームの底板に開設された空気孔を示す説明図である。 (a)(b)は自動分析装置の装置筐体の変形の形態を示す説明図である。 (a)(b)はサーモパイルの設置に伴う変形の形態を示す説明図である。 (a)は液体温度検出位置に検査カートリッジを移動後に液体温度を検出する態様を模式的に示す説明図、(b)は液体温度検出位置に検査カートリッジを移動する案内機構の変形の形態を示す説明図ある。 (a)は恒温槽の断熱構造の変形の形態を示す説明図、(b)は恒温槽の取付構造の変形の形態を示す説明図、(c)は恒温槽の取付構造の変形の形態を示す説明図である。 恒温槽の測定位置での検査カートリッジ周りの変形の形態を示す説明図である。 実施例1に係る自動分析装置の検査カートリッジの反応セルの温度変化を示す説明図である。 比較例1に係る自動分析装置を用い、内部環境温度の違いによる恒温槽の温度変化を示す説明図である。 比較例2に係る自動分析装置を用い、内部環境温度の違いによる恒温槽内の温度変化を示す説明図である。 実施例2に係る自動分析装置を用い、検査カートリッジの液温チェックにおいて、試薬セルの液温が閾値に収まった時点以降の液温の変化を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された自動分析装置の実施の形態の概要を示し、同図(b)は自動分析装置で用いられる検査カートリッジの概要を示す。
同図において、自動分析装置は、検体と試薬との反応を自動分析する自動分析装置であって、検体が収容される検体セル11a、試薬が収容される試薬セル11b及び検体、試薬が反応させられる反応セル11cが少なくとも含まれると共に各セル11が直線的に配列されている態様の一若しくは複数の検査カートリッジ10と、予め決められたセットステージST及びこれに隣接する検査ステージKTのための空間部を内部に有する装置筐体1と、セットステージSTに設けられ、一若しくは複数の検査カートリッジ10が保持されるカットリッジ受部2aを有するカートリッジ保持手段2と、検査ステージKTに設けられ、カートリッジ保持手段2に保持された検査カートリッジ10を検査ステージKTに直線的に搬入し、当該搬入された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の各セル11の配列方向に沿う長手方向に沿って検査カートリッジ10を搬送する一方、検査後の検査カートリッジ10を検査ステージKTからセットステージSTに直線的に搬出してカートリッジ保持手段2のカートリッジ受部2aに戻すカートリッジ搬送手段3と、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の搬送経路の一部に予め設定された分注位置BPに対応して設けられ、カートリッジ搬送手段3にて搬入された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の分注対象セル11を分注位置BPに搬送して配置した状態で、検査カートリッジ10に対し当該検査カートリッジ10の検体、試薬を反応セル11cに分注する検体試薬分注手段4と、検査ステージKT内の検査カートリッジ10の搬送経路の一部に予め設定された測定位置MPに対応して設けられ、カートリッジ搬送手段3にて搬送された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の反応セル11cを測定位置MPに搬送して配置した状態で、検体試薬分注手段4にて分注された反応セル11c内の検体と試薬との反応を測定する測定手段5と、加熱源6aにて加熱され、カートリッジ搬送手段3にて搬送された検査ステージKT内の検査カートリッジ10の少なくとも反応セル11c内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽6と、検査ステージKTの内部環境温度が検出可能な温度検出器7aを有し、当該温度検出器7aにて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて恒温槽6の加熱源6aの設定温度を高くするように、加熱源6aの設定温度を制御する恒温槽制御手段7と、を備えている。
このような技術的手段において、検査カートリッジ10の形態はセル11が直線的に配列された態様を前提とする。規定したセル11の数も適宜選定してよいし、他の機能部(例えば他のセルや着脱自在なノズルチップ15のチップ保持部12等)を備えていてもよい。また、検査カートリッジ10の各セル11は試薬や検体希釈水等を予め収容する態様では、これらが漏出しないようにシール13で各セル11を覆い、使用時にシール13に穿孔して検体試薬分注手段4による検体や試薬の分注を行うようにするのが好ましい。
また、装置筐体1はセットステージST及び検査ステージKTを隣接して確保できるスペースを少なくとも有していればよい。
更に、カートリッジ保持手段2は一若しくは複数の検査カートリッジ10を保持するものであればよい。本例では、カートリッジ保持手段2はカートリッジ受部2aを移動させる方式に限らず、例えば検査カートリッジ10が一つの場合には固定的に保持したものも含む。
更にまた、カートリッジ搬送手段3は直線的に検査カートリッジ10を搬入、搬出するものであればよい。このため、検査ステージKTの設置スペースを必要最小限に抑えることができる。
また、検体試薬分注手段4は検体、試薬の分注を共通のデバイスで構築してもよいし、別体のデバイスで構築してもよい。また、着脱自在なノズルチップ15を用いる態様に限られるものではなく、ノズルチップ15を用いずに洗浄手段にて検体試薬分注手段4を洗浄するようにしてもよい。更に、本件の検体には希釈したものも含まれる。
そしてまた、測定手段5は予め決められた反応を一義的に測定するものであってもよいし、複数種の反応を測定するものであってもよい。
更に、恒温槽6は加熱源6aにて加熱され、少なくとも反応セル11cを恒温環境温度に保つものであればよいが、外部環境の影響を抑えるという観点からは断熱材で覆う態様が好ましい。ここで、恒温環境温度とは好ましい反応条件を踏まえて適宜選定して差し支えない。
そして更に、恒温槽制御手段7は、検査ステージKTの内部環境温度を検出し、その検出結果をパラメータとして加熱源6aの設定温度を制御するようにすればよい。このとき、内部環境温度の閾値は一つでもよいし、複数でもよい。
本例では、恒温槽制御手段7は、図2(a)に示すような恒温槽温度制御処理を実施し、内部環境温度Tcが所定の閾値Tthよりも低いときには、加熱源6aの設定温度ThをTh2と高くし、恒温槽6への加熱量を多くすることで恒温環境温度条件を一定に保ち、もって、検査カートリッジ10の液温を適正温度に保つことが可能である。なお、内部環境温度Tcが所定の閾値Tth以上であるときには、加熱源6aの設定温度Thは予め決められたTh1(Th2>Th1)に設定される。
次に、本実施の形態の代表的な態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、恒温槽制御手段の好ましい態様としては、更に、温度検出器7aにて検出された内部環境温度に基づいて、測定手段5による測定開始時の検査カートリッジ10の反応セル11c内の液温を予め決められた温度にするように、加熱源6aによる加熱時間を可変設定する態様が挙げられる。
本態様は加熱源6aの加熱時間を制御する方式であり、検査ステージKTの内部環境温度を検出し、その検出結果をパラメータとして、加熱源6aによる加熱時間を制御するようにすればよい。このとき、内部環境温度の閾値は加熱源6aの設定温度を制御する場合と同じでも別でも差し支えない。また、温度検出器7aは一つでもよいが、安全性、信頼性を高めるとう観点から複数設けるようにしてもよい。
本例では、内部環境温度が異なっても、検査カートリッジ10の反応セル11c内の液温は恒温環境温度に保つ必要があり、加熱源6aによる加熱温度を制御することに着目したが、更に、内部環境温度をパラメータとして加熱時間を可変設定することで、測定手段5による測定開始時の温度条件を一定に保ち易くすることが可能である。
つまり、本例では、恒温槽制御手段7は、図2(b)に示すような恒温槽加熱時間制御処理を実施し、内部環境温度Tcが所定の閾値Tthよりも低いときには、加熱源6aによる加熱時間MhをMh2と長くし、測定手段5による測定を開始するまでの恒温槽6への加熱量を多くすることで恒温環境温度条件を一定に保ち、もって、検査カートリッジ10の液温を適正温度に保つことが可能である。なお、内部環境温度Tcが所定の閾値Tth以上であるときには、加熱源6aによる加熱時間Mhは予め決められたMh1(Mh2>Mh1)に設定される。
また、恒温槽6の好ましい態様としては、恒温槽本体と、恒温槽本体の周囲を覆う断熱材からなる断熱覆いと、恒温槽本体と断熱覆いとの間に設けられ、恒温槽本体に接触配置される加熱源6aと、加熱源6aと断熱覆いとの間に介在され、断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱断熱材と、を有する態様が挙げられる。
本例では、断熱覆いは恒温槽本体の周囲の少なくとも一部を覆う態様であればよく、代表的には恒温槽本体の側周壁及び底壁を覆う態様が挙げられる。そして、断熱性をより高めるという観点からすれば、恒温槽本体の上壁を保温カバーで覆うようにしてもよい。また、耐熱断熱材は断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱性を有する断熱材であればよく、この耐熱断熱材の存在により、加熱源からの断熱覆いに放熱される熱損失が少なく抑えられる。
更に、恒温槽6の好ましい態様としては、恒温槽本体と被取付部材との接触面を恒温槽本体の被取付部材への投影面よりも少ない状態で設置されている態様が挙げられる。
本例としては、例えば恒温槽本体に接触面の少ない取付部を設けたり、あるいは、被取付部材に開口を設けたり、恒温槽本体と被取付部材との間に断熱材を介在させる態様が挙げられる。ここで、恒温槽本体と被取付部材との接触面積が少ないと、恒温槽6から被取付部材へ熱伝導する熱損失が少なくなる。
更にまた、恒温槽6の恒温環境温度を制御するには、恒温槽6は通常当該恒温槽6の温度が検出可能な槽温度検出器(図示せず)を有している。
この槽温度検出器の代表的な設置例としては、検査カートリッジ10の反応セル11cと、恒温槽6の加熱源6aとの間に設けられている態様が挙げられる。
ここで、槽温度検出器は恒温槽6の恒温環境温度を検出するものであるが、本例は、反応セル11cの周辺温度のうち、加熱源からの影響を正確に検出することが可能である点で好ましい。また、槽温度検出器は1つでもよいが、安全性、信頼性を高めるという観点から複数設けるようにしてもよい。
また、恒温槽6の好ましい態様としては、検査カートリッジ10の反応セル11c底面と測定位置MPでは少なくとも接触する接触部を有する態様が挙げられる。
本例は、測定手段5による測定位置MPでは、恒温槽6の接触部が検査カートリッジ10の反応セル11c底面と接触するため、恒温槽6の熱が反応セル11cに安定的に伝達される。
更に、検査カートリッジ10の測定位置MPでの好ましい保持構造としては、恒温槽6の測定位置MPには、検査カートリッジ10の反応セル11c底面を恒温槽6に押し付けるように付勢する付勢部材(図示せず)を備えている態様が挙げられる。
恒温槽6と検査カートリッジ10の反応セル11cとの接触状態を安定させるには、板バネ等の付勢部材にて検査カートリッジ10を付勢する方式が好ましい。
また、検査カートリッジ10のセットステージSTへのセット時の好ましい温度監視方式としては、セットステージSTに設けられ、カートリッジ保持手段2にて保持された検査カートリッジ10のセル11内に収容された試薬又は検体希釈液の液体温度が検出可能な液体温度検出器16と、セットステージSTに設けられ、セットステージST内の内部環境温度が検出可能な環境温度検出器17と、液体温度検出器16の検出温度が環境温度検出器17からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至るまで、カートリッジ搬送手段3による検査カートリッジ10の検査ステージKTへの搬入動作を禁止する駆動制御手段18と、を備える態様が挙げられる。
本例では、液体温度検出器16は例えば非接触で試薬又は検体希釈液の液体温度を検出可能なものであれは適宜選定してよい。
環境温度検出器17は液体温度検出器16と別個に設けてもよいし、液体温度検出器16に内蔵させるようにしてもよい。
更に、検査カートリッジ10は多くの場合冷蔵庫に冷蔵保管されているため、使用するときには冷蔵庫から取り出した検査カートリッジ10を一定時間周辺の環境下に放置し、検査カートリッジ10の試薬等が周辺の環境温度と略同程度に至ってから検査に供することが望ましいとされている。
しかしながら、このような使用条件を満たさずに検査カートリッジ10を検査に供することも起こり得る。本態様は、このような事態に対処する上で好ましい。
仮に、保存されていた検査カートリッジ10を早いタイミングで検査に供したとしても、当該検査カートリッジ10のセル11内の試薬又は検体希釈液の液体温度を監視することで、液体温度が低すぎる検査カートリッジ10はセットステージST内に待機し、液体温度が適温に至った状態で検査ステージKTへと搬入される。
また、液体温度検出器16の代表的態様としては、サーモパイル素子を含むものであることが挙げられる。
本例では、サーモパイル素子の手前に視野角の小さいレンズを配置する態様が好ましい。また、装置筐体1内や液体温度検出器16の周囲には検出対象以外からの熱線情報をカットする遮蔽部材などを設けるのが好ましい。
更に、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の駆動制御手段18の好ましい態様としては、環境温度検出器17にて検出される環境温度に応じて液体温度検出器16にて検出される液体温度を補正して用いられる態様が挙げられる。
本例では、サーモパイル素子出力は環境温度によって変化するため、正確な液体温度を検出するには環境温度によって補正することが好ましい。
更にまた、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の駆動制御手段18の好ましい別の態様としては、環境温度検出器17にて検出される環境温度に応じて、閾値を可変設定することで液体温度検出器16にて検出される液体温度を間接的に補正する態様が挙げられる。
本例では、液体温度検出器16にて検出される液体温度が環境温度によって変化しても、閾値を可変設定することで間接的に補正することが可能である。ここで、閾値の可変方式は環境温度と閾値とを予めテーブル化しておいたり、所定の数式に当てはめるようにする等適宜選定して差し支えない。
また、液体温度検出器16としてサーモパイルを使用した場合の好ましい態様としては、セットステージST内で周囲温度変化の少ない待機位置に設置され、カートリッジ保持手段2に検査カートリッジ10が保持されたときに当該検査カートリッジ10のセル11に接近する検出位置に移動可能な移動機構(図示せず)にて移動する態様が挙げられる。
更に、別の好ましい態様としては、装置筐体1は液体温度検出器16の周囲に外気が導入可能な構成を有している態様が挙げられる。本例は液体温度検出器16の使用条件を外気環境に保つ方式である。
更にまた、移動型のカートリッジ保持手段2としては、一若しくは複数の検査カートリッジ10が保持可能なカートリッジ受部2aを有し、検査カートリッジ10のセル11の配列方向に交差する方向に沿ってカートリッジ受部2aを移動させ、セットステージST内の予め決められた検査初期位置に検査カートリッジ10を移送させると共に、セットステージST内の予め決められた液体温度検出位置に一若しくは複数の検査カートリッジ10のうち最初に検査に供される検査カートリッジ10を移送するものが挙げられる。
この種の移動型のカートリッジ保持手段2を使用した態様では、検査カートリッジ10液体温度検出位置に移送する際に、液体温度検出器16と検査カートリッジ10との位置関係を保つように検査カートリッジ10が案内可能な案内部材(図示せず)を設けた態様が好ましい。
本例は、一つの検査カートリッジ10でも対応可能であるが、主としては、複数の検査カートリッジ10が移動する態様を対象とする。
複数の検査カートリッジ10を保持する場合に、検査初期位置へ検査カートリッジ10を順次選択的に配置するようにすればよく、検査初期位置への複数の検査カートリッジ10の選択動作を実現することができる。
そして、案内部材によって、検査カートリッジ10の対象セル11と液体温度検出器16との位置関係を一定に保つことが可能である。
また、駆動制御手段18の好ましい態様としては、液体温度検出器16の検出温度が環境温度検出器17からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至った条件下で、予め決められた時間が経過した後、カートリッジ搬送手段3による検査カートリッジ10の検査ステージKTへの搬入動作を実施する態様が挙げられる。
検出温度差については、できるだけ小さい方が反応が安定する。ここで、閾値を予め狭く設定すると、公差のばらつきによって閾値に至らないケースがあり得る。そこで、公差のばらつき分よりもある程度大きい閾値を選定し、閾値に収まった後に、所定時間の経過を待つようにしたので、検査カートリッジ10のセル11内の液体温度は更に内部環境温度に近づくことになる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
<全体構成>
図3は本発明が適用された自動分析装置の実施の形態1の外観を示す説明図である。
同図において、自動分析装置20は、装置筐体21の前面側(ユーザーの操作側)に開閉可能な扉22を有すると共に、この扉22の上方に位置する天面側に操作部としての操作パネル23(本例ではカラーLCDを用いたタッチキーパネルを使用)を設けると共に、この操作パネル23の上方には開閉可能なプリンタカバー24内にプリンタ25(図4(a)参照)を内蔵し、図4(a)乃至(c)に示すように、ユーザーが扉22を開放した状態で装置筐体21内に検査すべき検体が分注された一若しくは複数(例えば3つ)の検査カートリッジ200をセットし、しかる後、操作パネル23のスタートボタンを操作することにより、一若しくは複数の検査カートリッジ200の検体について順次自動分析するものである。
なお、図4(a)(b)中、符号40は一若しくは複数の検査カートリッジ200を保持するカートリッジラック、また、符号28は装置筐体21内に取り込む空気を清浄にする清浄フィルタである。
<検査カートリッジ>
本実施の形態において、検査カートリッジ200は、図5(a)〜(d)に示すように、例えばポリプロピレン等の合成樹脂にて成形され且つ直線状に延びるカートリッジ本体201を有し、このカートリッジ本体201には有底の複数のセル202を一体的に且つ直線的に配列したものである。
本実施の形態において、セル202は、カートリッジ本体201の挿入方向端から離間した側から順に、検体が収容される一つの検体セル203と、試薬が収容可能な複数(例えば3つ)の試薬セル204〜206と、検体と試薬とが分注されて反応させられる一つの反応セル207とを備えている。尚、例えば検体セル203や反応セル207が複数設けられるなど適宜選定できることは勿論である。
特に、本実施の形態では、セル202のうち、反応セル207は略矩形筒状断面を有する容器であり、セル外壁面がX軸方向(検査カートリッジ200の長手方向に直交する方向)及びY軸方向(検査カートリッジ200の長手方向に沿う方向)に沿う平面として構成されているのに対し、他のセル202、具体的には検体セル203、試薬セル204〜206は円筒状断面を有する形状として構成されている。また、本実施の形態では、複数の試薬セル204〜206のうち、一つの試薬セル205は未使用で、他の二つの試薬セル206,204にR1,R2の試薬が所定量予め分注されている。一方、本実施の形態では、検体セル203には希釈液Wが所定量予め分注されている。
更に、本実施の形態では、カートリッジ本体201の挿入方向端から離間した側には検体セル203に隣接してチップ保持孔208が貫通した状態で開設されており、このチップ保持孔208には検体試薬分注機構70(図8参照)に着脱自在に装着可能なノズルチップ210が上方から離脱可能に係止保持されている。
そして更に、カートリッジ本体201の挿入方向端とは反対側には把持部211が突出形成されており、この把持部211の裏面には指押さえ212が突出形成されている。
一方、カートリッジ本体201の挿入方向端側には下側に突出する被係合片213が形成されている。
更にまた、本実施の形態では、カートリッジ本体201の各セル202(203〜207)の開口縁には上方に突出する突縁(図示せず)が設けられており、各セル202(203〜207)の開口はシール215にて上方から被覆されている。このとき、各セル202の突縁がシール215に接触するため、各セル202は突縁を介して完全に密封状態で仕切られることになり、セル202内の試薬や希釈液が他のセルに流入する懸念は有効に回避される。
また、検体セル203はシール215で密封されているが、検体が採取可能な検体採取具としてのキャピラリ230がシール215を破って予め検体セル203内の希釈液Wに浸漬した状態で保持されている。
更に、シール215の長手方向に沿う一側縁には当該検査カートリッジ200のセット方向を確認するための位置情報としてのバーコード216が刻印されている。
なお、シール215にはバーコード216のほか、試薬ロット、使用期限、管理番号などの必要情報が刻印されている。
<キャピラリ(検体採取具)>
また、本実施の形態では、図6(a)〜(d)に示すように、検査カートリッジ200の検体セル203には検体採取具(本例では採血具)としてのキャピラリ230で採取した検体(本例では血液)が分注されるようになっている。
本実施の形態において、キャピラリ230は、両端が開口して貫通する合成樹脂製の採取具胴体231と、この採取具胴体231の一端側に一体的に設けられると共に毛管現象にて血液からなる検体が採取可能な毛管部232と、採取具胴体231の他端側に採取具胴体231よりも外径が大きく設けられ、採取具胴体231から外方に張り出した部分が検体セル203に保持される保持部233とを備えている。
ここで、毛管部232の外周形状は先端に向かって窄まる円錐台形状になっている。また、保持部233は検体試薬分注機構70のノズルヘッド71(図17参照)が嵌合可能な嵌合孔234を有しており、保持部233のうち嵌合孔234の周壁の頂部には溝部235が約90度毎に4箇所設けられている。この溝部235はキャピラリ230が検体セル203に保持された際に検体セル203との間の空気抜けとして働くようになっている。
<検査カートリッジの前準備>
自動分析装置に検査カートリッジ200をセットする前に、検査カートリッジ200にノズルチップ210及び検体が採取されたキャピラリ230を予めセットするという前準備が必要である。
本例では、複数の検査カートリッジ200は専用ノズルチップ210及び専用キャピラリ230と共に試薬キットとしてまとめられており、この種の試薬キットは通常冷蔵庫等で冷蔵保存されている。
そして、冷蔵保存された試薬キットは30分以上室温(15〜30℃)に放置した後に使用に供することが好ましい。
検査カートリッジ200を使用に供する前準備としては、例えば以下のような作業が必要である。
(1)カートリッジホルダ240は検査カートリッジ200、ノズルチップ210及びキャピラリ230の各保持部(本例では、カートリッジ保持溝、ノズルチップ保持孔、キャピラリ保持孔)を有しており、このカートリッジホルダ240各保持部に使用に供する必要分の検査カートリッジ200、ノズルチップ210及びキャピラリ230を保持させる(図7(a)参照)。
(2)検査カートリッジ200の孔開け
カートリッジホルダ240の一部に孔開けピン241を仮置き収容しておき、この孔開けピン241を用いて検査カートリッジ200の検体セル203に対応したシール215に仮孔242を開ける。このとき、孔開けピン241としては断面十字状のピンを用いているため、シール215に孔開けピン241を突き当て差し込んだ後に、孔242が円形状になるように孔開けピン241を回転させるようにすればよい(図7(b)参照)。
なお、検査カートリッジ200のシール215の検体セル203に対応した部位には孔開けピン241の差し込み位置を示す目印が付されており、ユーザーによる孔開けピン241による孔開けが容易になっている。
(3)キャピラリセット
次いで、検体採取のために、例えば図示外の穿刺器具を使用して指などを穿刺し、採血部にキャピラリ230の毛管部232を接触させ、毛管現象により毛管部232に所定量(1〜2μL)を採取する。
この後、遅滞なく検査カートリッジ200のシール215に開けた孔242に、検体採取したキャピラリ230を挿入し、保持部233が検査カートリッジ200の検体セル203周囲のシール215に突き当たるまで差し込んでセットするようにすればよい(図7(c)参照)。
(4)ノズルチップセット
次いで、検査カートリッジ200のチップ保持孔208にノズルチップ210を挿入して保持するようにすればよい(図7(d)参照)。
(5)検査カートリッジの前準備完了
この状態において、検査カートリッジ200にノズルチップ210及びキャピラリ230がセットされ、当該検査カートリッジ200の前準備は完了する(図7(e)参照)。
残りの検査カートリッジ200についても(1)〜(4)に示す前準備を行うようにすればよい。
<自動分析装置の構成要素の概要>
図8は自動分析装置の主な構成要素を示す説明図である。
同図において、符号23は操作パネル、25はプリンタ、200は検査カートリッジ、30は複数(本例では3本)の検査カートリッジ200をセットし、装置筐体21の手前から見た幅方向(X軸方向)に沿って移動し、検査カートリッジ200を測定の開始・終了に応じて所定位置に移送するカートリッジ保持機構(Xユニットに相当)、50はカートリッジ保持機構30に保持された検査カートリッジ200をX軸方向に直交するY軸方向(装置筐体21の前後方向に相当)に沿って搬送するカートリッジ搬送機構(Yユニットに相当)、70は検査カートリッジ200に対して検体、試薬を分注する検体試薬分注機構、80は検査カートリッジ200の少なくとも一部(本例では反応セル207に相当)を恒温条件に保つ恒温槽、100は恒温槽80の内部に設けられて検査カートリッジ200の反応セルに分注された検体と試薬との反応を測定する測定装置である。
本例において、カートリッジ保持機構30は図示外のXモータ(本例ではステッピンモータを使用)によって検査カートリッジ200をX軸方向に沿って移動可能にするものである。
また、カートリッジ搬送機構50はYモータ55(本例ではステッピンモータを使用)によって検査カートリッジ200をY軸方向に沿って移動可能にするものである。
更に、検体試薬分注機構70はX軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向に沿って上下するノズルヘッド71を有し、予め決められた分注位置BPにて試薬、検体を吸引、吐出するようになっている(Zユニットに相当)。ここで、符号72はポンプモータ73によって駆動され、ノズルヘッド71による吸引、吐出動作を実施するシリンジポンプ、74はノズルヘッド71をZ軸方向に沿って上下させるZモータ、75はノズルヘッド71に装着されたノズルチップ210を取り外すときに使用されるノズルリムーバである。
更に、本実施の形態では、装置筐体21内にはバーコードリーダー110が搭載され、更に、各種センサS1〜S5(詳細は後述する)等が設けられている。
尚、符号29は試薬ロット毎の検量線情報が記録されているマスタカーブカードで、例えば図3の扉22に開設された挿入口22aから装置筐体21内に挿入され、試薬ロット毎に予め装置筐体21内に搭載されたバーコードリーダー110にこの情報を読み込ませてキャリブレーションを実施するものである。
<自動分析装置の制御系>
図9は自動分析装置の制御系を示す。
同図において、符号300は制御装置の制御部としてのコントロール基板(Control Board)であり、商用電源301からの電力を受けて電源スイッチ302を入れると、電圧変換器(Switching power supply)303を介して直流電圧がコントロール基板300へと供給される。
また、操作パネル23(タッチキーパネル、LCDを含む)及びプリンタ25は操作ボード(Operational board)を介してコントロール基板300と情報通信され、バーコードリーダー110で読み込まれた情報や検査カートリッジ200やノズルチップ210の有無を検出するセンサ(Cartridge/Chip Sensor)からの情報はコントロール基板300に入力される一方、コントロール基板300は装置筐体21内に搭載されたファン(FAN)304に対しては自動分析装置20の稼働時に駆動制御信号を送出するようになっている。
更に、サーミスタ(Thermistor)、PD(Photodiode)等からのアナログ情報はA/D変換ボード(A/D Converter board)305を介してコントロール基板300に入力され、また、LED等の光源にはLEDレギュレータ(LED Regulator)306を介してコントロール基板300からの制御信号が送出される。
更にまた、コントロール基板300と、恒温槽80の加熱源であるヒータやチップリムーバ75を駆動するソレノイド(Heater/Solenoid Unit)との間は恒温槽制御プログラムや検査カートリッジ200による検査処理プログラムに従ってやりとりされるようになっている。
更に、コントロール基板300と、Xユニット(カートリッジ保持機構30に相当)、Yユニット(カートリッジ搬送機構50に相当)、Zユニット(検体試薬分注機構70に相当)及びポンプユニット(シリンジポンプ72に相当)との間は、各ユニットに組み込まれたセンサからの情報を入力し、検査カートリッジ200の検査処理プログラムに従って各ユニット駆動用のモータ(Xモータ(図示外)、図8中、Yモータ55、Zモータ74、ポンプモータ73に相当)に対して駆動制御信号を送出するようになっている。
尚、図9中、「STB」は「Standby Sensor」の略、「LOC」は「Location Sensor」の略である。また、符号308は外部通信基板(External communication board)であり、USB(Other USB Device)や、外部パーソナルコンピュータ(External PC)との情報通信を可能とするものである。
<装置構成のユニット化>
本実施の形態では、自動分析装置20の主たる構成要素はユニット化されている。
つまり、本例では、自動分析装置20は、図10に示すように、装置筐体21の底板ユニット250上にXユニット(カートリッジ保持機構30に相当)及びYZユニット260が組み付けられている。
ここで、YZユニット260は、図13及び図14に示すように、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50、Zユニットとしての検体試薬分注機構70及び恒温槽80(本例では測定装置100を内蔵)を組み込んでユニット化したものである。
そして、本例では、自動分析装置20は、図11に示すように、装置筐体21内に、検査カートリッジ200がセットされるセットステージSTと、このセットステージSTに隣接して設けられ且つ検査カートリッジ200の検体について分析検査する検査ステージKTと、を備えており、底板ユニット250はセットステージST及び検査ステージKTに跨がるように一体化されている。
<Xユニット>
Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は、図10乃至図12に示すように、装置筐体21の底板ユニット250上に装置筐体21の幅方向(X方向)に沿って移動するXテーブル31を有し、このXテーブル31上に検査カートリッジ200が保持可能なカートリッジラック40を設け、予め決められた検査初期位置ST1に検査カートリッジ200を順次移動させるものである。
ここで、Xテーブル31の支持構造は、装置筐体21の底部に支持フレーム32を取り付け、この支持フレーム32にX方向に延びるガイドレール33を掛け渡し、このガイドレール33に沿って摺動自在にXテーブル31を支持するものである。また、Xテーブル31の位置規制については図示外の位置センサを用いた公知の手法や、ステッピングモータ等の駆動モータ(Xモータに相当)を用いた位置制御にて行われる。
−カートリッジラック−
また、本実施の形態では、カートリッジラック40は、図10及び図12(a)(b)に示すように、複数(本例では3つ)の検査カートリッジ200が保持可能な複数のラックホルダ41を有している。このラックホルダ41は、一対のホルダ脚42間にX方向に直交するY方向に延びるスリット43を設け、このスリット縁部を支持面44としたものであり、この支持面44に検査カートリッジ200のカートリッジ本体201の幅方向両側縁部を支持するようになっている。
本例では,検査カートリッジ200のカートリッジラック40への方向は一律に決まっている。このため、検査カートリッジ200の誤挿入を防止するという観点から、検査カートリッジ200のシール215のうちカートリッジ本体201の長手方向に沿う一側縁に挿入方向確認のためのバーコード216が刻印されている。
よって、本例では、検査カートリッジ200が正しい挿入方向で挿入された場合には、バーコードリーダー110にてバーコード216が正確に読み取られる。これに対して、仮に、検査カートリッジ200がカートリッジラック40に誤挿入されると、検査カートリッジ200のバーコード216がカートリッジ本体201の反対側の側縁に移動してしまうことから、当該バーコード216がバーコードリーダー110によって読み込めない。このため、バーコードリーダー110によりバーコード216が読み込めないということから、検査カートリッジ200の挿入方向が逆であることが把握される。
尚、符号45はカートリッジラック40の複数のホルダ脚42間に直交するように掛け渡され、カートリッジラック40のホルダ脚42間の間隙を保つ間隙調整部材である。
<YZユニット>
YZユニット260は、図10に示すように、底板ユニット250に取り付けられる断面略逆U字状のチャンネル材からなるユニットフレーム261を有し、このユニットフレーム261にYユニット、Zユニット及び恒温槽80(測定装置100を内蔵)を所定の位置関係で取り付けたものである。
<Yユニット(カートリッジ搬送機構)>
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、図14乃至図16に示すように、ユニットフレーム261に図示外の止め具を用いて支持ブラケット56を取付け、この支持ブラケット56にはY方向に延びる案内軌道51を設けると共に、この案内軌道51に沿って移動自在なYテーブル52を設け、このYテーブル52にはセットステージST側に延びる係止アーム53を設けると共に、この係止アーム53の先端には上方に突出する係止片54を設け、この係止片54が検査カートリッジ200の被係合片213に係脱自在に係合するようになっている。
本例では、ユニットフレーム261の頂部261aには、カートリッジ搬送機構50のYテーブル52の一部、係止アーム53及び係止片54が頂部内に配置されるように開口部262が設けられており、更に、ユニットフレーム261のセットステージST寄りの立壁部は検査カートリッジ200が通過可能な通過口263が設けられ、カートリッジ搬送機構50の係止アーム53及び係止片54が通過口263からセットステージST側に突出配置され、セットステージSTに位置する検査カートリッジ200と係合し、検査ステージKT側に検査カートリッジ200を引き込むようになっている。
特に、本実施の形態では、検査カートリッジ200の被係合片213はX方向に貫通する凹部218(図5参照)を有しており、Xテーブル31の移動に伴って検査カートリッジ200の被係合片213とカートリッジ搬送機構50の係止片54とが相互に干渉することはなく、Xテーブル31が適宜位置に移動し、検査初期位置ST1に移動設定された検査カートリッジ200は、その被係合片213がカートリッジ保持機構50の係止片54と係合する位置関係になるようになっている。
また、Yテーブル52の駆動系は、支持ブラケット56に駆動源としてのYモータ55を固定し、Yモータ55からの駆動力を駆動伝達機構57を介してYテーブル52に伝達し、案内軌道51に沿ってYテーブル52を進退動するようになっている。
ここで、駆動力伝達機構57としては適宜選定して差し支えないが、例えばYテーブル52の移動方向に沿って循環回転する移動ベルト58をプーリ59間に掛け渡すと共に、この移動ベルト58に係止アーム53の一端部を固定する一方、Yモータ55からの駆動力を図示外の駆動プーリを介して移動ベルト58に伝達し、この移動ベルト58を進退動させることによりYテーブル52を進退動させるものが挙げられる。
尚、Yテーブル52の駆動系として、Yモータ55を支持ラケット56に固定的に配設しているが、Yテーブル52にこれらを搭載して自走式に構成してもよいことは勿論である。
更に、Yテーブル52の位置停止機構60は、例えば図14乃至図16に示すように、支持ブラケット56の所定部位には例えばフォトカプラなどからなる位置決め検出器61を配設する一方、Yテーブル52には進退方向に延びるセンサ板63を取付け、このセンサ板63に位置合せ用のセンサスリット64を所定ピッチ毎に開設し、位置決め検出器61にてセンサ板63の所定位置を検出することにより、Yテーブル52の進退位置を規制し、検査カートリッジ200の引き込み位置を制御するようになっている。
<Zユニット(検体試薬分注機構)>
Zユニットとしての検体試薬分注機構70は検体、試薬を分注するものであれば公知のものを適宜選定して差し支えないが、例えば図14及び図17(a)(b)に示すように、ユニットフレーム261の頂部にX方向、Y方向に直交するZ方向に延びる支持台76を図示外の止め具を用いて固定し、この支持台76にはZ方向に沿って進退移動する昇降台77を駆動伝達機構78を介して設け、この昇降台77にノズルヘッド71を取り付けると共に、このノズルヘッド71にノズルチップ210を着脱自在に取り付けるようにしたものが用いられる。
尚、駆動伝達機構78の一部である駆動ギア78aやZモータ74(図8参照)はユニットフレーム261の頂部の裏側に配置されるようになっており、ユニットフレーム261の頂部には駆動ギア78aやZモータ74(図8参照)を配置する上で必要な組付孔264,265が開設されている。また、ユニットフレーム261の頂部には予め決められた分注位置BPにノズルチップ210やキャピラリ230が通過可能な円形の分注開口266が開設されている。
本実施の形態では、検体試薬分注機構70は、図8及び図17(a)(b)に示すように、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50にて所定位置まで検査カートリッジ200を引き込み、検体試薬分注機構70の分注位置BPに検査カートリッジ200の分注対象セル202を配置した後、シリンジポンプ72を負圧若しくは正圧に切り替えることにより、検査カートリッジ200内の所定のセル202(検体セル203,試薬セル204,206)から検体、試薬を所定量吸引保持し、測定対象である反応セル207内に所定量の検体、試薬を吐出するものである。
このとき、検体試薬分注機構70は検体又は試薬を個別に吸引して吐出する方式を採用してもよいし、あるいは、ノズルチップ210内で空気層を介在させることにより、検体と試薬、あるいは、複数の試薬を同時に吸引保持した後、吐出するようにしてもよいことは勿論である。
尚、本実施の形態では、検体試薬分注機構70は検体、試薬の分注動作をともに兼用する態様になっているが、夫々別に設けるようにしてもよい。また、本実施の形態では、廃棄可能なノズルチップ210を用いているが、これに限られるものではなく、ノズルチップ210を用いないで、専用ノズルを洗浄しながら使用する方式を採用してもよいことは勿論である。
<Zユニット(穿孔装置)>
本実施の形態では、検査カートリッジ200は、各セル202がシール215で被覆されているため、検体試薬分注機構70にて検体、試薬の分注動作を行う前に、検体試薬分注機構70のノズルチップ210が挿入可能となるように、シール215に対し挿入用の孔を穿つことが行われる。
このような要請下において、本実施の形態では、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として兼用する手法が採用されている。
つまり、穿孔動作時には、検体試薬分注機構70は、検査カートリッジ200の各セル202のうち使用可能なセル202(検体セル203,試薬セル204,206,反応セル207)に対応するシール215を目がけてノズルチップ210を穿孔具として用い、シール215に孔を穿つものである。
本実施の形態において、穿孔装置として兼用される検体試薬分注機構70はシール215に対して孔を穿つものであれば、孔の穿ち方など適宜選定して差し支えないが、本実施の形態では、使用するセル202に対応するシール215部分に夫々複数の孔を穿つようになっている。詳細は後述する。
尚、本実施の形態では、検体試薬分注機構70にて穿孔装置を兼用するようにしているが、必ずしもノズルチップ210を穿孔具として利用する態様に限られるものではなく、例えば検体試薬分注機構70の昇降台77の一部に穿孔具を取付け、この穿孔具を利用して検査カートリッジ200のシール215に孔を穿つようにしてもよい。また、検体試薬分注機構70とは全く別に専用の穿孔装置を配設し、この穿孔装置にて検査カーリッジ200のシール215に孔を穿つようにしても差し支えない。
<恒温槽>
本実施の形態において、恒温槽80は、図14、図20(a)〜(c)及び図21(a)〜(c)に示すように、ユニットフレーム261の頂部の裏側に図示外の止め具にて固定されている。
本例では、恒温槽80は、例えばアルミニウム製の恒温ブロック81と、この恒温ブロック81の上部を覆う保温カバー90とを有している。
―恒温ブロック―
本例において、恒温ブロック81の基本的構成は、図18(a)〜(c)及び図19(a)〜(c)に示すように、断面略U字状の搬送通路85を有し、当該搬送通路85に沿って検査カートリッジ200がY方向に進退可能に移動するブロック本体82と、このブロック本体82の底面に取り付けられて当該ブロック本体82を加熱するヒータ(例えばシリコンラバーヒータ)83と、ブロック本体82の一部に設けられる例えばサーミスタからなる温度検出器84と、を備え、この温度検出器84からの温度情報をモニタリングすることにより所定の恒温条件(例えば37℃)に保つようにヒータ83をオンオフ制御するようになっている。
ここで、温度検出器84の配設位置は適宜選定して差し支えないが、本例では、温度検出器84は、図19(c)に示すように、ブロック本体82のうち、測定装置100による測定位置MPの近傍に配設され、検査カートリッジ200の反応セル207とヒータ83との間に設けられている。このため、ヒータ83からの熱がブロック本体82を通じて反応セル207に伝達されることから、測定位置MPにおける反応セル207周囲の恒温温度に近い温度が検出される点で好ましい。
尚、恒温ブロック81は必要に応じてブロック本体82の周囲を断熱材で被覆し、恒温ブロック81内からの不必要な熱放出を抑えるように設計することが好ましい。
―保温カバー及び恒温槽―
本例では、保温カバー90は、恒温ブロック81の上部を覆うような位置においてユニットフレーム261の頂部261aの裏側に複数の止め具91を介して固定されている。
そして、保温カバー90は恒温ブロック81の長手方向及び幅方向に対応した大きさを有しており、恒温ブロック81の一方の頂部に位置決めピン92を介して位置決めされると共に、複数の止め具93を介して固定されている。
更に、保温カバー90のうち、恒温ブロック81の他方の頂部に対向する部位にはY方向に延びるカートリッジ受板94が止め具95を介して固定され、恒温ブロック81の反対側の頂部の内側縁にはY方向に延びる案内溝86が形成され、検査カートリッジ200のカートリッジ本体201のY方向に延びる両側縁が恒温槽80のカーリッジ受板94及び案内溝86に沿って摺動しながら案内されるようになっている。
このとき、恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86と、カートリッジラック40との間に段差があることを考慮し、恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86のうちセットステージST寄りの端部には面取部96が形成され、カートリッジ搬送機構50にて検査ステージKT側に搬入された検査カートリッジ200のカートリッジ本体201の両側縁が恒温槽80のカートリッジ受板94及び案内溝86に面取部96を通じてスムーズに導かれるようになっている。
尚、保温カバー90には分注位置BP及びノズルリムーバ75によるノズルチップ210の取り外しを可能とするための長孔97が形成されている。
<測定装置>
また、本実施の形態では、測定装置100は、図19、図20(a)〜(c)及び図21(a)〜(c)に示すように、恒温槽80の恒温ブロック81内に組み込まれており、予め決められた測定位置MPに検査カートリッジ200の反応セル207を配置し、反応セル207内の検体と試薬との反応を測定するようになっている。
この測定装置100は、予め決められた測定位置MPを挟んだ箇所に設けられる第1の測定部101と、この測定位置MPとは別の測定位置MP’に設けられ、例えば検査ステージKTに搬入した検査カートリッジ200の検体セル202内の検体希釈液のHbを測定する第2の測定部102とを備えている。
ここで、第1の測定部101は、例えば赤外線LEDからなる発光素子103と、測定位置MPを挟んで発光素子103に対向する部位に配設される例えばフォトディテクタからなる受光素子104とを備えている。また、第2の測定部102は、第1の測定部101と略同様に、発光素子105及び受光素子106を測定位置MP’を挟んで対向配置したものである。
本例では、第1の測定部101以外に第2の測定部102を備えているので、反応セル207以外のセル202についても測定する場合には、一つの測定位置MPにてセル202内の検体と試薬との反応や試薬、検体の状態(例えば吸光度)を測定する場合に比べて、検査カートリッジ200のY方向への移動スパンを短くすることが可能である点で好ましい。
<装置筐体の構成>
本実施の形態において、装置筐体21は、図22に示すように、底板ユニット250と、この底板ユニット250の左側方に組み付けられる左側板271と、底板ユニット250の右側方に組み付けられる右側板272と、左側板271及び右側板272間に掛け渡され、扉22(図4参照)を閉じたときに保持する扉保持板273と、底板ユニット250の背面に組み付けられる背板274と、を有し、これらの周囲に外装化粧板を配設するようにしたものである。
本例では、背板274のうち、左側板271寄りの上方に排気用のファン304が取り付けられている。
また、本実施の形態では、左側板271は底板ユニット250の左側端よりも内側に変位して配置されており、左側板271の外側の領域にコントロール基板300や電源基板などが設置されている。
<底板ユニット>
本実施の形態において、底板ユニット250は、図23(a)(b)及び図24(a)(b)に示すように、金属製の底板ベース部材251を有し、この底板ベース部材251の左右及び背面には夫々フランジ部252折曲成形する一方、底板ベース部材251の下方には樹脂製のアンダカバー280を配設したものである。
ここで、アンダカバー280は、図24(a)(b)に示すように、略矩形状の底壁部281を有し、この底壁部281の周囲を高さの低い周壁部282で覆うと共に、底壁部281には周壁部282よりも高さの低い格子状の補強用リブ283を形成し、更に、底壁部281のうち手前寄りには周壁部282と同程度の高さでX方向に延びる仕切壁284を形成し、また、底壁部281のうち仕切壁284にて仕切られた後方側の領域で仕切壁284に隣接した両側には断面逆U字状の凹所285を形成し、自動分析装置20を持ち上げる際の把持部として機能するようにしたものである。
更に、このアンダカバー280の四隅には合成樹脂又はゴム製の支持パッド286が取付けられると共に、底壁部281のうち仕切壁284にて仕切られた前方側の領域の左寄りの箇所には空気取入孔287が開設されると共に、この空気取入孔287には清浄フィルタ288が装着されることで清浄な空気が取り込めるようになっている。
本例では、底板ユニット250は、底板ベース部材251とアンダカバー280との間に空気供給室255(図25参照)を確保しており、底板ベース部材251のうちアンダカバー280の仕切壁284にて仕切られた前方側で、かつ、空気取入孔287とは反対側の右寄りに空気導入孔256を開設するようにしたものである。
ここで、本例では、空気取入孔287に清浄フィルタ288を設けているが、これに加えて、あるいは、これに代えて、空気導入孔256に必要に応じて清浄フィルタを設けるようにしてもよい。
尚、符号257は底板ベース部材251に設けられる位置決め孔、符号289はアンダカバー280に設けられて底板ベース部材251の位置決め孔257に位置決めされる位置決め突起である。
本実施の形態によれば、自動分析装置20に検査カートリッジ200をセットすると、ファン304が駆動を開始する。
この状態において、底板ユニット250では、図25(a)に示すように、空気取入孔287から外気Airが清浄フィルタ288を介して空気供給室255内に取り込まれる。
この後、空気供給室255に取り込まれた空気Airは、図25(b)に示すように、アンダカバー280の仕切壁284よりも前方側の空間部(図25(b)中網点で示す領域)を通じてX方向に流れる。このとき、清浄フィルタ288を通過した細かな塵埃はアンダカバー280の補強用リブ283のところでせき止められることから、アンダカバー280内に溜まり、底板ユニット250から装置筐体21内には入り難い。
そして、空気供給室255のアンダカバー280内を通過した空気Airは、図26に示すように、底板ベース部材251の空気導入孔256から装置筐体21内に導入される。
この状態において、装置筐体21内では、図27に示すように、恒温槽80の配設領域(A領域)、電源基板の配設領域(B領域)、コントロール基板の配設領域(C領域)が主として熱源になることから、これらの領域から自然対流で暖気が装置筐体21内の上部に溜まり易いという傾向がある。
一方、装置筐体21内の空気は、図28に示すように、ファン304によって強制排出される。
この状態において、装置筐体21内では、ファン304と底板ユニット250の空気導入孔256とは対角線上に配置されることから、空気導入孔256から装置筐体21内に導入された空気Airは、セットステージST側から左側板271を経由する流れ成分(図中点線で示す。)と、検査ステージKT側から左側板271と右側板272との間の領域を経由する流れ成分(図中実線で示す。)に分かれ、略半々の割合に従って暖気を排出する。
このとき、Xユニット30はセットステージSTにおいて装置筐体21内の空間部を占有する領域が比較的少ないので、セットステージSTを経由して左側板271の外側領域を通過する気流はある程度多く確保される。
これに対し、YZユニット260は検査ステージKTにおいて装置筐体21内の空間部を占有する領域が比較的広いため、検査ステージKTを経由してYZユニット260の配設領域を直接通過する気流は比較的少なく、検査ステージKTのうち右側板272及び背板274に沿ってファン304に向かう気流がある程度多く確保される。
このため、本実施の形態では、セットステージST内の環境温度や電源基板、コントロール基板からの暖気が効率的に排気され、恒温槽80付近の暖気が不必要に排気される懸念は少ない。
<制御系で用いられるセンサ類>
図29は本実施の形態に係る自動分析装置の制御系で用いられるセンサ類を示す説明図である。
同図において、符号310はマイクロコンピュータからなる制御装置であり、この制御装置310は、電源スイッチ、各種動作センサ(操作パネル23,位置検出器、状態検出器等)、各種温度センサからの情報を取り込み、恒温槽80のヒータ83による制御処理を行い、各種動作源による動作制御処理(Xユニット、Yユニットの駆動制御処理、Zユニットの駆動制御及び分注制御処理、測定装置による測定処理)を行い、更に、プリンタ25による印刷制御処理を行うものである。
ここで、本実施の形態で用いられる代表的なセンサS1〜S7(ここでは、温度検出器及び状態検出器)について説明する。但し、S1〜S5は図8に示すセンサと同様である。
S1:セットステージSTに設けられ、検査カートリッジ200の試薬(又は検体希釈液)の液温を検出する液温検出器
S2:検査初期位置ST1における検査カートリッジ200の有無を検出するカートリッジ有無検出器
S3:検査カートリッジ200のノズルチップ210の有無を検出するチップ有無検出器
S4:検査ステージKTにおける内部環境温度を検出する温度検出器
S5:Zユニットとしての検体試薬分注機構70のノズルヘッド71に対するキャピラリ230又はノズルチップ210の着脱有無を検出する有無検出器
S6:恒温槽80の温度を検出する温度検出器(図19,図21中の符号84に相当)
S7:セットステージSTにおける内部環境温度を検出する温度検出器
<液温検出器S1>
本例では、液温検出器S1は、例えば検査カートリッジ200の試薬セル206(又は試薬セル204又は検体セル203)に予め収容されている試薬又は希釈液の温度を検出するものであり、例えばサーモパイル400が使用される。
このサーモパイル400は、図30(a)に示すように、例えば試薬セル206から所定の距離m(例えば5mm程度)だけ離間した位置に設置されていればよい。
このとき、サーモパイル400による液温検出位置ST2は検査初期位置ST1と同じでもよいし、別に設定しても差し支えない。例えば図29に示すように、サーモパイル400の液温検出位置ST2は検査初期位置ST1を通り過ぎて更にX方向に沿って移動した位置にする等適宜選定して差し支えない。特に、底板ユニット250の空気導入孔256に接近した部位に液温検出位置ST2を設定するようにすれば、サーモパイル400付近に取り込んだ空気が気流を作りながら流れるため、サーモパイル400付近の温度が外気温度付近に保たれる(図26参照)。
一般に、サーモパイル400は、図30(b)に示すように、センサ筐体401内にサーモパイル素子402を有し、例えば試薬(又は希釈液)から放射される熱線をサーモパイル素子402で検出するようになっている。本例では、センサ筐体401の熱線入口付近に視野角度の小さい集束レンズ403(例えば視野角度5度のレンズを使用)を配置し、放射された熱線を集束レンズ403を介してサーモパイル素子402に集束させるようになっている。
また、本例では、サーモパイル400内にサーミスタからなる温度検出素子404が内蔵されており、この温度検出素子404によって温度検出器S7を兼用することが可能である。
更に、試薬セル206内の試薬(例えばR1)は温度によって放射する熱線の周波数(波長)が変化するため、必要な周波数(波長)以外は通過させないようなフィルタ405を設けるようにしてもよい。
ここで、物体が放射する温度と波長との関係はウィーンの法則で表される。
λmax=2897.8/K
但し、λmax :ピーク波長(μm)
K:絶対温度(ケルビン)
2897.8:定数
このウィーンの法則に従えば、278K(5℃)で波長が10.4μm、303K(30℃)で波長が9.6μmであるから、検査カートリッジ200の測定温度(5〜30℃)以外の熱線を透過させないように、サーモパイル400の集束レンズ403の前にフィルタ405を入れるようにすればよい。
更にまた、検査カートリッジ200の試薬セル206は略逆円錐台状の断面形状を有しているため、試薬セル206内の試薬(例えばR1)からの熱線が試薬セル206の壁面で乱反射する懸念がある。このような乱反射を少なく抑えるという観点からすれば、図30(c)に示すように、例えば試薬セル206の形状を矩形状とし、少なくとも、サーモパイル400に対向するように試薬セル206の周壁を配置するようにすることが好ましい。
<検査カートリッジ制御処理>
次に、本実施の形態で用いられる検査カートリッジの制御処理について説明する。
本例では、制御装置310は、図29及び図31に示すように、先ず、セットステージSTにセットされた検査カートリッジ200が検査に供する状態か否かをチェックする。
仮に、検査カートリッジ200が検査に供する状態であると判断されると、制御装置310は、セットステージSTにセットされた検査カートリッジ200をカートリッジ搬送機構50にて検査ステージKTに引き込む。
この状態において、制御装置310は、(1)恒温槽80の加熱温度設定、(2)恒温槽80によるプレ加温時間設定を行う。
これらの設定が完了すると、制御装置310は、検査カートリッジ200に対して一連の検査動作を実施する。
以下、これらの制御内容について詳述する。
<検査カートリッジチェック>
検査カートリッジのチェックは以下の手順で実施される。
〔1〕カートリッジラック40への検査カートリッジ200のセットチェック
先ず、ユーザーはカートリッジラック40に対し検査カートリッジ200を所定の向きに揃えてセットする。
この状態において、カートリッジ保持機構30はカートリッジラック40をX方向に移動させ、例えば最初のレーンにセットされた検査カートリッジ200を検査初期位置ST1まで移動させる。
このとき、バーコードリーダー110にて検査カートリッジ200のバーコード216を読み込み、検査カートリッジ200が正規の向きに挿入されているか否かを判断する。
〔2〕試薬R1の液温チェック
一般に、検査カートリッジ200は、多くの場合冷蔵庫に冷蔵保存されているため、使用するときには、冷蔵庫から取り出した後、検査カートリッジ200を一定時間周辺の環境下に放置し、検査カートリッジ200の試薬等が周辺の環境温度と同程度に至ってから検査に供することが好ましい。
しかしながら、このような使用条件を満たさずに、カートリッジ保持機構30のカートリッジラック40に検査カートリッジ200をセットする事態は起こり得る。
本実施の形態では、制御装置310は、以下のようにして、検査カートリッジ200をチェックする。
つまり、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は、カートリッジラック40に検査カートリッジ200をセットすると、検査初期位置ST1に最初の検査カートリッジ200を移動させた後に液温検出位置ST2まで移動させる。
このとき、サーモパイル400(液温検出器S1)は液温検出位置ST2に例えば試薬セル206内の試薬R1の液温を検出する。
仮に、冷蔵保存されていた検査カートリッジ200を周辺の環境温度の元で十分に放置しないでカートリッジ保持機構30を移動したとすると、サーモパイル400により検出された液温は内部環境温度Tcよりも低い。
本例では、サーモパイル400によって「R1液温」及び「内部環境温度」を検出し、以下の演算式(1)を満たすか否かを判別する。
(R1液温−内部環境温度Tc)<0であって、
|R1液温−内部環境温度Tc|≦|α|(本例ではα=−4℃)……演算式(1)
演算式(1)の条件を満たす場合には、制御装置310は、検査カートリッジ200の試薬R1の温度が内部環境温度Tcに近いと判断し、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行する。
一方、演算式(1)を満たさない場合には、制御装置310は、検査カートリッジ200の試薬R1の温度が内部環境温度Tcに比べて未だ低すぎると判断し、液温検出位置ST2に検査カートリッジ200を待機させ、演算式(1)の条件を満たすに至った段階で、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行する。
尚、演算式(1)の前提条件が異なる場合、つまり、(R1液温−内部環境温度Tc)≧0である場合には、R1液温が十分に内部環境温度Tcに接近していると言えることから、演算式(1)を満たす場合と同様に、検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の検査ステージKTへの搬入動作に移行すればよい。
−検査カートリッジの好ましい液温チェック−
本実施の形態では、検査カートリッジ200の液温チェックに当たり、|R1液温−内部環境温度Tc|が閾値以下に収まると、直ちに検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、検査ステージKTへの引き込み動作に移行するように対処されているが、これに限られるものでなく、|R1液温−内部環境温度Tc|が閾値以下に収まった後に、予め決められた時間だけ液温検出位置ST2にて検査カートリッジ200を待機させ、所定時間経過した後に検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻し、検査ステージKTへの引き込み動作に移行するようにしてもよい。
この方式を採用すれば、検査カートリッジ200の液温は更に内部環境温度に接近することになるため、検査カートリッジ200の検査条件は更に好適になる点で好ましい。
―サーモパイルによる液温検出のための対処法―
(A)サーモパイルの内部環境温度による補正
サーモパイル400は試薬R1の液温を直接検出することが困難であり、セットステージSTの内部環境温度Tcが変化すると、サーモパイル素子401からの検出温度が変化する傾向がある。
そこで、本例では、サーモパイル400のサーモパイル素子401と温度検出素子404とから、サーモパイル素子出力、温度検出素子出力を得て、サールパイル素子出力に対し、温度検出素子出力で補正値を与え、試薬R1の液温を間接的に求めると共に、温度検出素子出力から内部環境温度Tcを直接求め、演算式(1)により条件判別を行う。
尚、サーモパイル素子401にはばらつきがあるため、同じ熱源からの熱線を受けたときに、サーモパイル出力が一定になるように、サーモパイル出力として電圧の出力調整を事前にしておくことが必要である。
(B)閾値αの補正
サーモパイル400のサーモパイル素子402出力は内部環境温度Tcによって変化するため、内部環境温度Tcによって閾値αを補正するようにしてもよい。
例えば実験などにより、内部環境温度Tcと閾値αとの関係を例えば以下のようなテーブルとしておき、試薬R1の液温としてサーモパイル素子402からの検出出力を補正せずに求める一方、温度検出素子404から検出された内部環境温度Tcに基づいて閾値αを補正し、演算式(1)を満たすか否かを判断するようにしてもよい。
内部環境温度Tc 閾値α
15℃ −14.5
20℃ −12.0
25℃ −9.5
30℃ −8.0
(C)閾値αを数式にしておき、自動的に変更する。
今、実験などから演算式(2)を予め作成し、これに内部環境温度Tcの変数xを入力することでサーモパイル400出力yを算出する。
y=−0.00009269x+2.836x−10480……演算式(2)
但し、x,yは10進数
〔3〕検査カートリッジの有無チェック
検査カートリッジ200の試薬R1の液温チェックが終了すると、制御装置310は検査初期位置ST1に検査カートリッジ200を戻し、有無検出器S2により検査カートリッジ200の存在を確認した後に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50による検査カートリッジ200の搬入動作に移行する。
<恒温槽の温度制御処理>
制御装置310は、温度検出器S6(温度検出器84)により恒温槽80の温度を検出し、目標とする恒温環境温度(例えば37℃)になるように、ヒータ83をオンオフ制御するようになっている。
本実施の形態では、制御装置310は、図29に示すように、恒温槽80の温度制御処理として、温度検出器S4にて検査ステージKTにおける内部環境温度Tcを検出し、この内部環境温度Tcに基づいて、ヒータ83の設定温度を可変設定する。
ここで、恒温環境温度(例えば37℃)を一定にするように、内部環境温度Tcが予め決められた閾値よりも低いときに、当該閾値以上の温度の場合に比べてヒータ83の設定温度を高くするようにすればよい。
この可変の程度については、実験などにより予め求めておくのが好ましい。
詳細は実施例にて後述する。
<恒温槽のプレ加温>
本実施の形態では、制御装置310は、検査ステージKTにおける内部環境温度Tcをパラメータとして、ヒータ83の設定温度を可変設定しているが、更に加えて、測定装置100による測定開始時の反応セル207内の液温を予め決められた温度にするように、内部環境温度Tcをパラメータとして、ヒータ83のプレ加温時間を可変設定するようにしている。
ここで、内部環境温度Tcが予め決められた閾値よりも低いときに、当該閾値以上の温度の場合に比べてヒータ83のプレ加温時間を長くするようにすればよい。
この可変の程度については、実験などにより予め求めておくのが好ましい。
詳細は実施例にて後述する。
<自動分析装置の作動>
次に、本実施の形態に係る自動分析装置の作動について説明する。
この自動分析装置を使用するに当たって、
(1)検査カートリッジのセット操作
(2)測定シーケンスの実行操作
を行うようにすればよい。
具体的には、図32のようなユーザー操作に対して、自動分析装置(機器)では図32に示す一連の動作が実施される。
また、図33は本実施の形態に係る自動分析装置の一連の動作過程を時系列で示すタイミングチャートである。
以下、具体的に説明する。
―検査カートリッジのセット操作―
先ず、ユーザーは、図4に示すように、自動分析装置20の扉22を開放した後、自動分析装置20のセットステージSTのカートリッジラック40に検査に必要な複数の検査カートリッジ200をユーザー操作側から見て右側から順にセットすることが必要である。
このとき、セットすべき検査カートリッジ200に対する準備として、検体を採取したキャピラリ230及びノズルチップ210のセットを行うことが必要である(図7参照)。
また、図8に示すように、カートリッジラック40に対して検査カートリッジ200は所定方向にセットされることが必要であるが、ユーザーは、カートリッジラック40のラックホルダ41のスリット43に沿って検査カートリッジ200を所定位置まで挿入させるようにすればよい。
―測定シーケンスの実行―
検査カートリッジ200のセット操作が終了した後、自動分析装置20の扉22を閉じ、しかる後、操作パネル23のスタートボタンを操作すれば、測定シーケンスが自動的に実行される。
(1)検査カートリッジの検査初期位置設定
制御装置310は、図12に示すように、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30のXテーブル31を移動させ、最初の検査対象である検査カートリッジ200(本例ではユーザー側から見て右端にある検査カートリッジに相当)を検査初期位置ST1に設定する。
(2)検査カートリッジの誤挿入チェック(図34参照)
本例では、例えば検査初期位置ST1に対応した上部にバーコードリーダー110が配設されており、仮に、検査カートリッジ200の挿入方向が逆方向である場合には、検査カートリッジ200の検査動作が阻止されるようになっている。
つまり、検査カートリッジ200には誤挿入を防止するためのバーコード216がシール215中に刻印されており、ーコードリーダー110によってバーコード216が読み込まれれば、カートリッジラック40に対して正しく挿入されていることが把握される。これに対し、仮に、検査カートリッジ200の挿入方向が逆になると、バーコードリーダー110によって検査カートリッジ200のバーコード216を読み込むことができなくなり、カートリッジラック40に対して検査カートリッジ200が誤挿入されている事態が把握される。
(3)検査カートリッジの液温検出(図34参照)
検査カートリッジ200がカートリッジラック40に正しく挿入されていることが確認されると、複数の検査カートリッジ200のうち最初の検査に供される検査カートリッジ200の場合には、前述したように、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30は検査カートリッジ200を液温検出位置ST2に移送し、温度検出器S1(サーモパイル400)にて試薬セル206の試薬R1の液温を検出し、検査カートリッジ200の液温が適温であるか否かをチェックする。
(4)検査カートリッジを検査初期位置に再設定(図34参照)
検査カートリッジ200の液温が適温である場合には、Xユニットとしてのカートリッジ保持機構30が検査カートリッジ200を検査初期位置ST1に戻す。
そして、有無検出器S2が検査カートリッジ200の存在を確認する。
このとき測定装置100は測定位置MPにおいて検査カートリッジ200のないエアブランク測定を実施し、検査カートリッジ200のない空気層だけの吸光度情報を得る。
(5)検査カートリッジの引き込み動作(図34,図35参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50により検査初期位置ST1に設定された検査カートリッジ200を検査ステージKT側に引き込む。
このとき、有無検出器S3が検査ステージKTに引き込まれた検査カートリッジ200にノズルチップ210の有無をチェックする。
本実施の形態では、カートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の検体セル203が分注位置BPに停止するように、検査カートリッジ200を引き込む(図35参照)。
(6)恒温槽の制御処理
制御装置310は、主電源スイッチがオンされた時に恒温槽80のヒータ83を作動させ、恒温槽80内を所定温度(例えば37℃)になるように恒温制御している。
更に、制御装置310は、前述したように、恒温槽80の温度制御処理(ヒータ83の温度設定)及び恒温槽80によるプレ加温時間制御(ヒータ83のプレ加温時間の可変設定)を実施する。
(7)キャピラリによる検体吐出(図35参照)
次いで、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、分注位置BPにおいてノズルヘッド71にキャピラリ230を挿入保持し、有無検出器S5にてキャピラリ230の装着状態が確認される。
この後、検体試薬分注機構70は、キャピラリ230内の検体を検体セル203内の希釈液に吐出し、吸引吐出を繰り返して検体と希釈液とを撹拌する。
(8)キャピラリの取り外し(図35参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の空セル205を分注位置BPに移動させる。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は空セル205の位置にキャピラリ230を移動させ、ノズルリムーバ74を用いてノズルヘッド71からキャピラリ230を取り外し、空セル205内に廃棄する。そして、有無検出器S5にてキャピラリ230の取り外し状態が確認される。
(9)セルブランク測定、検体希釈液Hb測定(図36参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207及び検体セル203が測定装置100の測定位置MP、MP’に位置するように検査カートリッジ200を搬送し、測定装置100の各測定部による測定が行われる。このとき、測定位置MPでは、反応セル207のブランク測定が行われ、測定位置MP’では、検体セル203の検体希釈液のHb測定が行われる。これにより、反応セル207の初期状態及び検体希釈液の初期状態を把握することが可能である。
(10)ノズルチップ装着(図36参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200に保持されているノズルチップ210を分注位置BPに配置するように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70はノズルヘッド71にノズルチップ210を装着し、有無検出器S5にてノズルチップ210の装着状態が確認される。
(11)空気孔開け動作(図37参照)
次いで、制御装置310は、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として働かせ、カートリッジ搬送機構50にて検査カートリッジ200を適宜進退させながら、検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置にて検査カートリッジ200のシール215に空気孔を穿つように制御する。
本実施の形態では、空気孔開け動作は、検査カートリッジ200の使用セル202(本例では試薬セル206,反応セル207)に対応するシール215部分に夫々複数(本例では2つ)の空気孔131,132を穿つものである。
ここで、空気孔131,132の大きさとしては、例えば1〜2mm程度でよく、ノズルチップ210の外径変化を考慮し、その挿入深さを決定するようにすればよい。
特に、本実施の形態では、各空気孔131,132は対応する使用セル202(検体セル203,試薬セル204,206,反応セル207)の開口中心挟んだ位置、例えば略点対称となる位置に開けられている。
尚、検査カートリッジ200の検体セル203に対応するシール215部分には検体分注時に孔開けられているが、ユーザー操作によりどの位置に孔を開けたか不確かであるため、本実施の形態では、検体セル203に対応したシール215部分についても、他のセルと同様に、複数の空気孔131,132を穿つように検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置を制御する方式が採用されている。
このように、使用セル202のシール215部分に複数の空気孔131,132を開けると、例えば図37に示すように、穿孔具としてのノズルチップ210が一方の空気孔131を塞ぐように挿入されたとしても、他方の空気孔132が大気開放されているため、ノズルチップ210の挿入により使用セル202内の圧力が不必要に高くなり、ノズルチップ210による検体、試薬の吸引動作や、吐出動作が不安定になることはない。
また、穿孔具としてのノズルチップ210が使用セル202のシール215部分の開口中心近傍に挿入されるような場合には、複数の空気孔131,132の存在により、使用セル202のシール215部分が容易に破砕され、大気開放された状態でノズルチップ210が使用セル202内に挿入される。
特に、本実施の形態では、複数の空気孔131,132が使用セル202の開口中心挟んだ位置に開設されているため、検体、試薬分注時において、ノズルチップ210の挿入位置が比較的ラフであるとしても、ノズルチップ210による穿孔動作時にシール215が確実に破砕される。この点、例えば複数の空気孔131,132が使用セル202の開口中心対して片側に偏倚して開設されている態様にあっては、検体、試薬分注時において、シール215部分のうち空気孔131,132が開設されていない側にノズルチップ210が挿入される際に若干破砕し難いという懸念はあるものの、複数の空気孔131,132が存在する以上、一つの空気孔の場合よりも破砕し易い点で好ましい。
(12)試薬R1分注(図38参照)
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の試薬セル206を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、試薬セル206の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、試薬セル206内の分注すべき試薬R1を撹拌・吸引した後、試薬セル206から離れるように上昇する。
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、反応セル207に対しノズルチップ210内の試薬R1を分注する。
(13)Rブランク測定(図39参照)
そして、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を測定位置MPへと搬送する。
この後、測定装置100は、測定位置MPにおいて反応セル207内の試薬R1のブランク測定を行う。
(14)カートリッジプレ加温(図39参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、恒温槽80の加熱領域に検査カートリッジ200の各セル202が収まるように検査カートリッジ200の位置を微調整した後、加熱条件が設定されたヒータ83によるプレ加温動作を実施する。
本例では、反応セル207への試薬R1の分注後にプレ加温動作を実施するようにしているが、試薬R1の分注前からプレ加温動作を実施してもよいことは勿論である。
(15)検体希釈液分注(図39参照)
更に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の検体セル203が分注位置BPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検体セル203内の検体希釈液をノズルチップ210にて分注する。
(16)R1+検体希釈液撹拌(図40参照)
次いで、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検体セル203から離れるように上昇した後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207が分注位置BPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207内にノズルチップ210を降下させ、分注した検体希釈液を吐出、吸引を繰り返すことで、試薬R1と検体希釈液とを撹拌する。
(17)R1+検体希釈液吸光度測定(図40参照)
更に、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに配置されるように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、測定装置100は、測定位置MPにおいて、反応セル207内の試薬R1+検体希釈液について吸光度をブランク測定する。
(18)空気孔開け動作
次いで、制御装置310は、Zユニットとしての検体試薬分注機構70を穿孔装置として働かせ、カートリッジ搬送機構50にて検査カートリッジ200を適宜進退させながら、検体試薬分注機構70を利用した穿孔装置にて検査カートリッジ200のシール215に空気孔を穿つように制御する。
本実施の形態では、空気孔開け動作は、検査カートリッジ200の使用セル202(本例では試薬R2が収容されている試薬セル204)に対応するシール215部分に複数(本例では2つ)の空気孔を穿つものである。
(19)試薬R2分注(図41)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の試薬セル204(試薬R2)を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、試薬セル204の孔開けされたシール215部分にノズルチップ210による穿孔動作を行い、試薬セル204内の分注すべき試薬R2を撹拌・吸引した後、試薬セル204から離れるように上昇する。
(20)R1+R2+検体希釈液撹拌(図42参照)
Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を分注位置BPへと搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、反応セル207内にノズルチップ210を降下させ、分注した試薬R2を吐出、吸引を繰り返すことで、試薬R1、R2と検体希釈液とを撹拌した後、反応セル207から離れるように上昇する。
(21)反応測定(図42参照)
次いで、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は、検査カートリッジ200の反応セル207を測定位置MPへと搬送する。
この状態において、測定装置100は、測定位置MPにて反応セル207内の検体と試薬R1,R2との反応を所定時間(例えば1分から5分)測定する。
本例では、測定装置100の第1の測定部101は、発光素子103からの光を反応セル207内の検体と試薬との混合液に透過させ、その光変化を受光素子104にて検出すると共に、反応セル207内の検体と試薬との反応変化を経時的に測定する。
(22)ノズルチップ取り外し(図43参照)
この後、Zユニットとしての検体試薬分注機構70はノズルチップ210を上昇させた後に待機し、カートリッジ搬送機構50は検査カートリッジ200のチップ保持孔208が分注位置に位置するように検査カートリッジ200を搬送する。
この状態において、Zユニットとしての検体試薬分注機構70は、検査カートリッジ200のチップ保持孔208にノズルチップ210を上方から挿入させ、ノズルリムーバ75によりノズルチップ210の保持状態を解除することにより、検査カートリッジ200の元の位置に廃棄すべきノズルチップ210を戻すようにする。
ノズルチップ210の離脱は有無検出器S5によって検出される。
(23)検査カートリッジ排出(図43参照)
この後、Yユニットとしてのカートリッジ搬送機構50は検査済みの検査カートリッジ200をセットステージST側に戻すようにする。
この状態において、検査カートリッジ200が戻ったことは有無検出器S2にて判別される。
(24)結果印刷動作
制御装置310は、測定装置100による測定結果をプリンタ25にて印刷する。
この段階にて一つの検査カートリッジ200に対する所定の測定シーケンスが終了する。
この後、制御装置310は、セットステージSTに未処理の検査カートリッジ200が存在することを確認の上、各検査カートリッジ200に対して一連の測定シーケンスを実行する。
但し、2番目以降の検査カートリッジ200については、最初の検査カートリッジ200の検査時間が経過しているため、検査カートリッジ200の液温検出処理は不要である。
上述した一連の測定シーケンスについて、検査カートリッジ200に対する処理状態を模式的に表記したものを図44〜図49に示す。
以下、本実施の形態に係る自動分析装置の変形の形態を示す。
◎変形の形態1
図50(a)〜(c)はXユニットとしてのカートリッジ保持機構30やYユニットとしてのカートリッジ搬送機構50のXテーブル31やYテーブル52の案内機構を示す。
同図において、案内機構350は、断面チャネル状の支持ベース360に一対の案内軸として主軸351,副軸352を略平行に掛け渡し、一方の主軸351を位置決めした状態で掛け渡すと共に、他方の副軸352については一方の主軸351との間のピッチが調整可能な長孔353に沿って移動可能に掛け渡し、このような主軸351,副軸352に対してXテーブル31又はYテーブル52等の可動テーブル355を成形ベアリング356,357を介して摺動可能に支持するようにしたものが挙げられる。
本例では、案内機構350の対構成の案内軸としての主軸351,副軸352は可動テーブル355の動きに追従して両者間の位置関係が変位することから、可動テーブル355は対構成の案内軸としての主軸351,副軸352に沿って安定的に移動する。
このとき、支持ベース360に対して主軸351と副軸352とを固定的に設けた態様では、主軸351と副軸352とのピッチ間寸法が合っていないと、可動テーブル355はスムーズには動作しないが、本例のような構成を採用すれば、可動テーブル355はスムーズに案内される。
◎変形の形態2
図51(a)(b)はZユニットとしての検体試薬分注機構70の駆動伝達機構を模式的に示す。
同図において、ノズルヘッド71は昇降台77に固定され、この昇降台77は、駆動伝達機構78の一要素であるリニアガイド78aと、駆動伝達するボールネジ78bとに跨がって設けられている。このとき、リニアガイド78aとボールネジ78bとの間のピッチが合わない場合には、昇降台77はスムーズに移動できない。
本例では、昇降台77にスクリューベアリング78cが固定的に取り付けられ、このスクリューベアリング78cにボールネジ78bの一端が係わっている構成である。
特に、スクリューベアリング78cの取付構造として、図51(b)に示すように、スクリューベアリング78cの取付孔78dにカラー78eを介して止め具としてのネジ78fを挿通し、スクリューベアリング78cの軸受部に対してボールネジ78bの一端部に遊び(2Δ=d2−d1)を持たせるようにしたものである。
本例では、ボールネジ78bとリニアガイド78aとのピッチが一義的ではなく、昇降台77の移動に伴って追従することから、昇降台77更にはノズルヘッド71の上下動作安定する。
◎変形の形態3
実施の形態では、底板ユニット250に対し一つのXユニット30と一つのYZユニット260とを搭載する自動分析装置が開示されている。
図52(a)は一つの既存のXユニット30と、一つは既存であるが、他のものが新規な複数(本例では2つ)のYZユニット260,360とを備えたものである。
例えば自動分析装置の検査項目を増加させる上で、既存のXユニット30及びYZユニット260に加えて、新たなYZユニット360を付加するようにすればよい。
このとき、既存の構成を踏まえて、追加設計し易い点で好ましい。
また、図52(b)は一つの既存のXユニット30と新たなYZユニット370とを備えたものである。
しかしながら、新たなYZユニット370は、既存のYZユニット260を含み、更に、既存のYZユニット260から一部を除外した態様のものを付加したに過ぎない。
このため、本実施の形態にあっても、新規なYZユニット370は既存のYZユニット260を複数利用することで簡単に対応することが可能である。
◎変形の形態4
図53(a)(b)は実施の形態に係る自動分析装置について装置筐体内の風路設計を変更したものである。
同図において、装置筐体21は、底板ユニット250上にセットステージSTと検査ステージKTとを仕切るようにX方向に延びる第1の仕切板381と、この第1の仕切板381に当接し、かつ、電源391とメイン基板(コントロール基板等)392とが組み込まれる空間部を仕切るようにY方向に延びる第2の仕切板382とを有し、セットステージSTの温度検出器S1(サーモパイル400に相当)が含まれるルーム1と、検査ステージKTの恒温槽80が含まれるルーム2と、電源・メイン基板が含まれるルーム3とに分けられている。
そして、本例では、底板ユニット250のアンダカバー280の底壁部281のうち前方側の領域の左寄りの箇所には清浄フィルタ288付きの空気取入孔287が開設され、底板ユニット250の底板ベース部材251のうちセットステージST側で、空気取入孔287とは反対側の右寄りに空気導入孔256が開設されると共に、空気取入孔287の近傍に空気導入孔256よりも小さい空気導入孔258が開設され、更に、背板274のうち左寄りの上方にファン304が取り付けられている。
従って、本変形の形態によれば、ファン304が稼働すると、底板ユニット250では、図53(a)(b)に示すように、空気取入孔287から外気Airが清浄フィルタ288を介して空気供給室255に取り込まれ、空気供給室255に取り込まれた空気Airは、底板ベース部材255の空気導入孔256,258を通じて装置筐体21内に導かれる。
この状態において、空気導入孔256から導入された空気AirはセットステージSTの温度検出器S1(サーモパイル400に相当)の周辺を通過した後、ルーム1にて上昇する暖気と共にファン304に引き寄せられる。
一方、空気導入孔258から導入された空気Airはルーム3にて上昇する暖気と共にファン304に引き寄せられる。
本例では、恒温槽80が設置されたルーム2には、底板ベース部材251に積極的に空気導入孔が開設されていないので、空気供給室255からの空気Airが導入されることは少なく、ルーム2内の暖気はファン304によって徐々引き込まれるようになっている。
このため、本例では、ルーム1及びルーム3において、空気供給室255からの空気Airが導入され、当該ルーム内の暖気が気流に乗ってファン304に引き寄せられることから、これらのルーム内の内部環境温度は比較的外気に近い温度に保たれる。
尚、本例においては、底板ベース部材251に空気導入孔256,258を開設することで所定の気流を形成するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば図53(c)に示すように、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、各ルームに対応した底板ベース部材251に空気導入用の通孔420の数や面積を調整するようにすればよい。ここでは、通孔420の数は、ルーム3>ルーム1>ルーム2の順に多く設定されている。
◎変形の形態5
図54(a)(b)は実施の形態に係る自動分析装置について装置筐体内の風路設計を変更したものである。
図54(a)は例えば装置筐体21内に互いに仕切られている3つの部屋(ルーム1〜ルーム3)を有し、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、底板ユニット250の空気取入孔287から各ルーム1〜3に至るエアダクト431〜433の断面積A1〜A3を可変設定するようにしたものである。
また、図54(b)は例えば装置筐体21内に互いに仕切られている3つの部屋(ルーム1〜ルーム3)を有し、各ルーム1〜3の発熱量と各ルーム1〜3の要求温度特性とを考慮し、各ルーム1〜3とファン304との間を接続するエアダクト441〜443の断面積B1〜B3を可変設定するようにしたものである。
これらによれば、各ルーム1〜3の発熱量と要求温度特性に応じて、各ルーム1〜3からの気流の強さを直接的に調整することが可能になる。
◎変形の形態6
図55(a)は検査カートリッジ200の液温検出で用いられる液温検出器S1(サーモパイル400)の設置構造を変更したものである。
同図において、液温検出器S1は検査カートリッジ200の試薬セル206の液温を検出するものであり、試薬セル206内の試薬R1からの放射される熱線のみを検出対象とするために、試薬セル206と液温検出器S1との間に両面が黒塗りされた遮光板450を配設し、この遮光板450に透孔451を開設するようにしたものである。
本例では、検査カートリッジ200からの試薬セル206の試薬R1から熱線以外の熱線Bm1が直接サーモパイル400に入ったり、サーモパイル400のセンサ筐体401から反射した熱線Bm2が試薬セル206の試薬R1に当たった後、サーモパイル素子402が測定するという懸念がある。
本態様では、試薬R1からの熱線以外の熱線Bm1,Bm2がサーモパイル素子402に入射される懸念が少ない点で好ましい。
また、別の態様としては、図55(b)に示すように、サーモパイル400を設置する部屋460の内壁周囲を黒塗り部461とする態様がある。本件によれば、余分な熱線Bm1,Bm2が黒塗り部461で吸収されることになり、余分な熱線がサーモパイル40に向かう懸念が少ない。
尚、検査カートリッジ200を囲む部屋462の周囲に黒塗り部463を設けるようにしてもよい。
◎変形の形態7
図56(a)は検査カートリッジ200が検査初期位置ST1と液温検出位置ST2との間を移動する態様を示す。
本例では、液温検出器S1(サーモパイル400)と検査カートリッジ200の試薬セル206(本例では逆円錐台状の形状を具備)との間に、両者の中心位置を案内する案内機構500が設けられている。
この案内機構500は、対構成の案内部材501,502を中心軸線Oを境として対称配置するものであって、案内部材501,502の液温検出器S1側にはセンサ筐体401を位置決めする位置決め凹部503を形成する一方、案内部材501,502の試薬セル206側には入口から次第に窄まる方向に傾斜する傾斜案内面504を形成し、この傾斜案内面504を通過した部位には試薬セル206が芯出しされた状態で位置決めされる位置決め溝505を形成したものである。
本例によれば、検査カートリッジ200が液温検出位置ST2に移動したときに、検査カートリッジ200の試薬セル206が案内機構500の傾斜案内面504を通じて位置決め溝505へと案内され、芯出しされた状態で位置決めされる。
このとき、試薬セル206と液温検出器S1との位置関係は一律に決まるため、液温検出器S1による液温検出精度は良好に保たれる。
◎変形の形態8
図57(a)は恒温槽80の好ましい態様を示す。
同図において、恒温槽80は恒温ブロック81の底部及び周壁を囲む断熱覆い510を有しており、恒温ブロック81の底面にヒータ83を設けると共に、このヒータ83と断熱覆い510の底部との間には断熱覆い510よりも断熱効果の高い耐熱断熱材515を介在させるようにしたものである。
本態様では、ヒータ83からの熱が断熱覆い510側に放熱される懸念は少なく、ヒータ83からの熱は恒温ブロック81に有効に伝達される。
また、図57(b)(c)は恒温槽80の取付構造の好ましい態様を示す。
図57(b)において、恒温槽80は恒温ブロック81を有し、この恒温ブロック81の頂部に接触面の少ない取付部520を設け、被取付部材530には取付部520を接触させて止め具540にて固着するようにしたものである。
更に、図57(c)において、恒温槽80はその頂部を被取付部材530に止め具540にて固着したものであるが、被取付部材530のうち止め具540による止着部位以外には適宜数の切欠開口550を設けたものである。
このため、本態様にあっては、恒温槽80と被取付部材530との接触面積は切欠開口55が存在する分少なく抑えられ、もって、恒温槽80から被取付部材530へ熱伝導する熱損失は少なく抑えられる。
◎変形の形態9
図58は恒温槽の測定位置での検査カートリッジ周りの好ましい構造を示す。
同図において、恒温槽80は、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに搬送されたとき、反応セル207の底部が接触する接触部560を有している。
このため、測定位置MPでは、恒温槽80からの熱が接触部560を通じて反応セル207に伝達されるので、反応セル207が恒温環境温度に調整され易い点で好ましい。
更に、本例では、検査カートリッジ200の反応セル207が測定位置MPに搬送されたとき、恒温槽80には反応セル207を接触部560に向けて付勢する板バネなどの付勢部材570が設けられ、反応セル207が接触部560に押し付けられる。
このため、本例では、反応セル207と接触部560との接触状態が良好に保たれ、恒温槽80から反応セル207への熱伝達は良好に保たれる。
特に、本例では、反応セル207は付勢部材570によって接触部560に押し付けられるため、測定装置100に対する反応セル207の相対位置関係が一律になり、その分、測定装置100による測定精度が良好に保たれる。
◎実施例1
本実施例は、実施の形態1に係る自動分析装置を具現化し、検査ステージKTに検査カートリッジ200を引き込んだ後、恒温槽80を使用し、試薬セル206が恒温条件温度(本例では37℃)に到達するまでの時間を測定したものである。
本例では、内部環境温度として、RT15℃、RT25℃、RT30℃の場合について、恒温槽80の加熱温度、恒温槽80によるプレ加温時間を可変設定し、一連の測定シーケンスを行ったところ、図59に示す結果が得られた。
同図によれば、内部環境温度が相違するとしても、恒温槽の加熱温度、プレ加温時間を的確に制御することで、予め決められた時間T1〜T2までの間の反応測定では、反応セルの恒温環境温度が略同条件になっていることが理解される。
特に、本例では、T1〜T2までの間の反応測定(本例では2分)において、例えばT1からT3(本例では70秒程度)を経過した時点では、恒温環境温度が全て同温度に接近する事態が確認された。
◎比較例1,2
比較例1は、実施例1に係る自動分析装置と略同様なものを用い、恒温槽の加熱制御を一定温度制御とし、検査カートリッジの反応セルに230μLの水を入れ、液温が飽和するまで測定したところ、図60に示す結果が得られた。
同図によれば、反応セルの液温は略一定に至ることが理解されるが、内部環境温度の違いによって、液温が変わることが理解される。
また、比較例2として、内部環境温度の違いに基づいて恒温槽の加熱温度を制御し、検査カートリッジの検体セル、試薬セル(R1)、試薬セル(R2)に200μLの水を入れ、分注動作をさせることで反応セルの液温を測定したところ、図61に示す結果が得られた。
同図によれば、内部環境温度での液温差も大きく、正確な反応は得られないことが理解される。
◎実施例2
本実施例は、検査カートリッジの液温チェックにおいて、試薬セルの液温と内部環境温度との差分が予め決められた閾値(本例では閾値=−5℃とした)以内に収まった条件(閾値ON)以降の温度差変化を2回調べたところ、図62に示す結果が得られた。
図62によれば、検査カートリッジの液温チェックで、温度差が閾値以内に収まった条件(閾値ON)後の温度差変化は約6分くらいで略0に至ることが理解される。
尚、図62中Ts−T0はサーモパイル付近の温度−内部環境温度(外気温)が約1℃であることを示す。
1…装置筐体,2…カートリッジ保持手段,2a…カートリッジ受部,3…カートリッジ搬送手段,4…検体試薬分注手段,5…測定手段,6…恒温槽,6a…加熱源,7…恒温槽制御手段,7a…温度検出器,10…検査カートリッジ,11…セル,11a…検体セル,11b…試薬セル,11c…反応セル,12…チップ保持部,13…シール,15…ノズルチップ,16…液体温度検出器,17…環境温度検出器,18…駆動制御手段,ST…セットステージ,ST1…検査初期位置,KT…検査ステージ,BP…分注位置,MP…測定位置

Claims (15)

  1. 検体と試薬との反応を自動分析する自動分析装置であって、
    検体が収容される検体セル、試薬が収容される試薬セル及び検体、試薬が反応させられる反応セルが少なくとも含まれると共に各セルが直線的に配列されている態様の一若しくは複数の検査カートリッジと、
    予め決められたセットステージ及びこれに隣接する検査ステージのための空間部を内部に有する装置筐体と、
    前記セットステージに設けられ、前記一若しくは複数の検査カートリッジが保持されるカットリッジ受部を有するカートリッジ保持手段と、
    前記検査ステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段に保持された検査カートリッジを検査ステージに直線的に搬入し、当該搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの各セルの配列方向に沿う長手方向に沿って前記検査カートリッジを搬送する一方、検査後の検査カートリッジを検査ステージからセットステージに直線的に搬出して前記カートリッジ保持手段のカートリッジ受部に戻すカートリッジ搬送手段と、
    前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された分注位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬入された検査ステージ内の検査カートリッジの分注対象セルを前記分注位置に搬送して配置した状態で、前記検査カートリッジに対し当該検査カートリッジの検体、試薬を反応セルに分注する検体試薬分注手段と、
    前記検査ステージ内の検査カートリッジの搬送経路の一部に予め設定された測定位置に対応して設けられ、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの反応セルを前記測定位置に搬送して配置した状態で、前記検体試薬分注手段にて分注された反応セル内の検体と試薬との反応を測定する測定手段と、
    加熱源にて加熱され、前記カートリッジ搬送手段にて搬送された検査ステージ内の検査カートリッジの少なくとも反応セル内の液温を予め設定された恒温環境温度に保つ恒温槽と、
    前記検査ステージの内部環境温度が検出可能な温度検出器を有し、当該温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、当該内部環境温度が予め決められた閾値よりも低いときに当該閾値以上の温度の場合に比べて前記恒温槽の加熱源の設定温度を高くするように、前記加熱源の設定温度を制御する恒温槽制御手段と、
    を備えたことを特徴とする自動分析装置。
  2. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽制御手段は、更に、前記温度検出器にて検出された内部環境温度に基づいて、前記測定手段による測定開始時の検査カートリッジの反応セル内の液温を予め決められた温度にするように、前記加熱源による加熱時間を可変設定することを特徴とする自動分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽は、恒温槽本体と、前記恒温槽本体の周囲を覆う断熱材からなる断熱覆いと、前記恒温槽本体と前記断熱覆いとの間に設けられ、前記恒温槽本体に接触配置される加熱源と、前記加熱源と前記断熱覆いとの間に介在され、前記断熱覆いよりも断熱効果の高い耐熱断熱材と、を有することを特徴とする自動分析装置。
  4. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽は、前記恒温槽本体と被取付部材との接触面を前記恒温槽本体の前記被取付部材への投影面よりも少ない状態で設置されていることを特徴とする自動分析装置。
  5. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽は、恒温槽内の温度が検出可能な槽内温度検出器を有し、前記槽内温度検出器は、前記検査カートリッジの反応セルと、前記恒温槽の加熱源との間に設けられていることを特徴とする自動分析装置。
  6. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽は、前記検査カートリッジの反応セル底面と前記測定位置では少なくとも接触する接触部を有することを特徴とする自動分析装置。
  7. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記恒温槽の測定位置には、前記検査カートリッジの反応セル底面を前記恒温槽に押し付けるように付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする自動分析装置。
  8. 請求項1又は2に記載の自動分析装置において、
    前記セットステージに設けられ、前記カートリッジ保持手段にて保持された検査カートリッジのセル内に収容された試薬又は検体希釈液の液体温度が検出可能な液体温度検出器と、
    前記セットステージに設けられ、前記セットステージ内の内部環境温度が検出可能な環境温度検出器と、
    前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至るまで、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を禁止する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする自動分析装置。
  9. 請求項8に記載の自動分析装置において、
    前記液体温度検出器はサーモパイル素子を含むものであることを特徴とする自動分析装置。
  10. 請求項9に記載の自動分析装置において、
    前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて前記液体温度検出器にて検出される液体温度を補正して用いられることを特徴とする自動分析装置。
  11. 請求項9記載の自動分析装置において、
    前記駆動制御手段は、前記環境温度検出器にて検出される環境温度に応じて、前記閾値を可変設定することで前記液体温度検出器にて検出される液体温度を間接的に補正することを特徴とする自動分析装置。
  12. 請求項9に記載の自動分析装置において、
    前記液体温度検出器は、セットステージ内で周囲温度変化の少ない待機位置に設置され、前記カートリッジ保持手段に前記検査カートリッジが保持されたときに当該検査カートリッジのセルに接近する検出位置に移動可能な移動機構にて移動するものであることを特徴とする自動分析装置。
  13. 請求項9に記載の自動分析装置において、
    前記装置筐体は、前記液体温度検出器の周囲に外気が導入可能な構成を有していることを特徴とする自動分析装置。
  14. 請求項8に記載の自動分析装置において、
    前記カートリッジ保持手段は、一若しくは複数の検査カートリッジが保持可能なカートリッジ受部を有し、前記検査カートリッジのセルの配列方向に交差する方向に沿って前記カートリッジ受部を移動させ、前記セットステージ内の予め決められた検査初期位置に前記検査カートリッジを移送させると共に、前記セットステージ内の予め決められた液体温度検出位置に一若しくは複数の検査カートリッジのうち最初に検査に供される検査カートリッジを移送するものであり、
    前記検査カートリッジが液体温度検出位置に移送する際に、前記液体温度検出器と前記検査カートリッジとの位置関係を保つように前記検査カートリッジが案内可能な案内部材を設けたことを特徴とする自動分析装置。
  15. 請求項8に記載の自動分析装置において、
    前記駆動制御手段は、前記液体温度検出器の検出温度が前記環境温度検出器からの検出温度よりも低いときに、両者の検出温度差に基づいて当該温度差が予め決められた閾値以下に至った条件下で、予め決められた時間が経過した後、前記カートリッジ搬送手段による検査カートリッジの検査ステージへの搬入動作を実施することを特徴とする自動分析装置。
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