JP2016023287A - 導電性ポリマー溶液および導電性塗膜 - Google Patents
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Abstract
アミン系化合物由来の問題および水由来の問題を低減可能であって導電性を有するシリコーン粘着層を形成できる導電性ポリマー溶液およびそれを用いて形成して成る導電性塗膜を提供する。
【解決手段】
本発明は、(a)π共役系導電性高分子と、(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、(d)シリコーン粘着剤と、(e)有機溶剤とを含む導電性ポリマー溶液、ならびに当該溶液を基体上に供給して形成してなる導電性塗膜に関する。
【選択図】なし
Description
1.導電性ポリマー溶液
本発明の実施の形態に係る導電性ポリマー溶液は、(a)π共役系導電性高分子と、(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、(d)シリコーン粘着剤と、(e)有機溶剤とを含む。本願で用いられるポリアニオンをドーパントとしている真性導電性高分子は、おおよそ数十ナノメータの粒子径を持つ微粒子から形成される。かかる微粒子は、界面活性剤の作用をも持つポリアニオンの存在によって可視光領域において透明であって、溶媒中に微粒子が溶解しているように見える。実際には、当該微粒子は溶媒中に分散しているが、本願では、この状態を「分散可溶」の状態と称している。この場合の溶媒は、有機溶剤であるが、有機溶剤のみに限定されず、有機溶剤を主とする限り、少量の水を含んでいても良い。ここで、「有機溶剤を主とする」とは、溶媒中に占める有機溶剤が質量比にて50%を超えることを意味する。特に、溶媒は、重量比にて有機溶剤:水=90:10〜100:0の範囲であるのが好ましい。
導電性ポリマー溶液を構成する(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物を含み、まだシリコーン粘着剤を含まない粘着剤未含有組成物は、一例として、以下の方法によって製造することができる。
(1)導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体の溶液からの製造方法
導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体は、導電性高分子用のモノマーとドーパントとが共存した水溶液または水分散体の状態に、酸化剤の存在下で重合を行う。ただし、このようなモノマーからの重合のみならず、市販の導電性高分子/ドーパント水分散体を用いても良い。市販の導電性高分子/ドーパント水分散体としては、例えば、Heraeus社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Clevios)、アグファ社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Orgacon)などを挙げることができる。
既に固体となっているπ共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンの状態の導電性組成物に、水および/またはオキシラン基若しくはオキセタン基含有化合物が溶解する溶剤を適量添加後、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させる。その後、反応液を濃縮、濾別あるいは乾固して、粘着剤未含有組成物を得る。その後、好適には、得られた濃縮物あるいは固体を、有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させて、塗料の形態で使用する。また、上記製造において、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させた後、水に不溶の有機溶剤を加えて、水不溶の溶剤相に粘着剤未含有組成物を転相させ、必要に応じて脱水などの工程を経た後に、粘着剤未含有組成物を、有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させても良い。このように、(2)の方法では、凍結乾燥された粘着剤未含有組成物を原料として用いているので、特に、濃縮する工程の時間を短縮できる。
(a)π共役系導電性高分子
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば、何らの限定もなく用いることができる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体を好適に挙げることができる。重合の容易性、空気中における安定性の観点では、特に、ポリピロール類、ポリチオフェン類あるいはポリアニリン類を好適に用いることができる。π共役系導電性高分子は、本発明においては、無置換のままでも、十分に高い導電性およびバインダへの相溶性を示すが、導電性、バインダへの分散性若しくは溶解性をより高めるためには、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基などの官能基が導入されても良い。
ポリアニオンは、アニオン性化合物であれば、特に制約無く用いることができる。アニオン性化合物とは、分子中に、(a)π共役系導電性高分子への化学酸化ドーピングが起こりうるアニオン基を有する化合物である。アニオン基としては、製造の容易さおよび高い安定性の観点から、硫酸エステル基、リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホン基、などが好ましい。これらのアニオン基の内、(a)π共役系導電性高分子へのドープ効果に優れる理由から、スルホン基、硫酸エステル基、カルボキシル基がより好ましい。
ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物は、前述の(a)π共役系導電性高分子、(b)ポリアニオンに、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を添加して反応させることにより得られる。
単官能オキシラン基含有化合物としては、プロピレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシテトラデカン、グリシジルメチルエーテル、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシエイコサン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシプロパン、グリシドール、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−9−デカン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシブタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−トリフルオロブタン、アリルグリシジルエーテル、テトラシアノエチレンオキサイド、グリシジルブチレート、1,2−エポキシシクロオクタン、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシシクロドデカン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタデカン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロブタン、3,4−エポキシテトラヒドロフラン、グリシジルステアレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ琥珀酸、グリシジルフェニルエーテル、イソホロンオキサイド、α−ピネンオキサイド、2,3−エポキシノルボルネン、ベンジルグリシジルエーテル、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3−グリシジルオキシプロピル)トリシロキサン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、4−tert−ブチル安息香酸グリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2−tert−ブチル−2−[2−(4−クロロフェニル)]エチルオキシラン、スチレンオキサイド、グリシジルトリチルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−フェニルプリピレンオキサイド、コレステロール−5α,6α−エポキシド、スチルベンオキサイド、p−トルエンスルホン酸グリシジル、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、N−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)ペルフルオロ−n−オクチルスルホンアミド、(2S,3S)−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン、3−ニトロベンゼンスルホン酸(R)−グリシジル、3−ニトロベンゼンスルホン酸−グリシジル、パルテノリド、N−グリシジルフタルイミド、エンドリン、デイルドリン、4−グリシジルオキシカルバゾール、7,7−ジメチルオクタン酸[オキシラニルメチル]などを例示できる。
単官能オキセタン基含有化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(=オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メタアクリレートなどを例示できる。
シリコーン粘着剤は、その硬化方式により付加反応硬化型、過酸化物硬化型、電子線硬化型などのいくつかのタイプに分けられる。
付加硬化型シリコーン粘着剤は、例えば、末端にビニル基を有するシリコーンゴム(生ゴムなど)と、シリコーンレジンと、Si−H基を有する架橋剤と、反応抑制剤と、付加反応触媒とを含む。シリコーンゴムそのものは、粘着性に乏しいため、付加硬化型シリコーン粘着剤は、粘着性付与剤としてシリコーンレジンを混合してなる。シリコーンレジンは、好ましくは、Qユニット(SiにOを4個結合した単位)を結合させ、末端の反応を止めるべく、Mユニット(Siに1個のOと3個のメチル基を結合した単位)を結合させた構造を有する。架橋剤は、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、直鎖状あるいは分岐状のいずれをも使用できる。反応制御剤は、粘着剤の硬化前の増粘やゲル化を防止するための成分であり、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン等を使用できる。付加反応触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル基含有シロキサン錯体等の白金系触媒、ロジウム錯体、ルテニウム錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。また、これらのものをイソプロパノール、トルエン等の溶剤や、シリコーンオイルなどに溶解、分散させたものを用いることができる。
a)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
b)末端をトリメチルシリル基とするシリコーンレジン
c)分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン
d)主として白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属変性体若しくは錯体からなるヒドロシリル化触媒
過酸化物硬化型シリコーン粘着剤は、例えば、ポリジメチルシロキサンに代表されるポリジアルキルシロキサンと、シリコーンレジンと、過酸化ベンゾイルに代表される有機過酸化物とを含む。シリコーンレジンは、付加反応硬化型シリコーン粘着剤に含まれるものと同種のものを使用できる。有機過酸化物は、例えば、ジベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’,4,4’−テトラクロロジベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
電子線硬化型シリコーン粘着剤は、例えば、以下例1〜例6記載のいずれかの化合物に加え、上述と同種のシリコーンレジンと、重合開始剤とを含み、電子線によって硬化される。
<例1>
アクリルアミド基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中に、下記一般式(I)で表されるアクリルアミド官能基を含むオルガノポリシロキサンである。
一分子中に少なくとも2個のメルカプトアルキル基を有するオルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、一分子中に、下記一般式(II)で表されるメルカプトアルキル官能基を少なくとも2個含むオルガノポリシロキサンである。
一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンからなる組成物
このオルガノポリシロキサンは、一分子中に、少なくとも2個のアルケニル基(−CnH2n−1(nは、2以上の数。))を含むオルガノポリシロキサンからなる組成物である。
<例4>
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中にアルケニル基(−CnH2n−1(nは、2以上の数。))を含むオルガノポリシロキサンである。
<例5>
アクリル基またはメタクリル基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中にアクリル基(CH2CHCO−)またはメタクリル基(CH2C(CH3)CO−)を含むオルガノポリシロキサンである。
<例6>
a)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
b)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン
有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホニウムトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等に代表される極性溶媒; クレゾール、フェノール、キシレノール等に代表されるフェノール類; メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等に代表されるアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等に代表されるケトン類; 酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等に代表されるエステル類; ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される炭化水素類; ギ酸、酢酸等に代表されるカルボン酸; エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等に代表されるカーボネート化合物; ジオキサン、ジエチルエーテル等に代表されるエーテル化合物; エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等に代表される鎖状エーテル類; 3−メチル−2−オキサゾリジノン等に代表される複素環化合物; アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等に代表されるニトリル化合物などを好適に例示できる。これらの有機溶剤は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。これらの有機溶剤の内、種々の有機物との易混合性の観点から、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類をより好適に用いることができる。
導電性ポリマー溶液への添加剤として、例えば、導電性を向上させるものを挙げることができる。
(導電性向上剤)
導電性向上剤としては、グリシジル化合物、極性溶媒、多価脂肪族アルコール、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基と1個以上のカルボキシ基を有する化合物、ラクタム化合物等が挙げられる。これらのなかでも、剥離性成分の硬化を阻害しにくいものが好ましい。剥離性成分の硬化を阻害しにくければ、該帯電防止性剥離剤から得た剥離剤層に、粘着シートの粘着剤層を重ねた後、粘着剤層に剥離剤が転写することを防ぐことができる。剥離性成分の硬化を阻害しにくい導電性向上剤としては、グリシジル化合物、極性溶媒、多価脂肪族アルコールが挙げられる。また、導電性向上剤は、25℃で液状であることが好ましい。液状であれば、該帯電防止性剥離剤から形成した剥離剤層の透明性を向上させることができ、剥離剤層に貼り合わされる粘着剤層への異物の転写を防ぐことができる。
本発明の実施の形態に係る導電性塗膜は、前記の導電性ポリマー溶液を基体上に供給し形成してなる膜である。導電性ポリマー溶液は、例えば、紙、プラスチック、鉄、セラミックス、ガラスに代表される基体上に供給される。供給方法としては、刷毛やバーコーターを使う塗布法、導電性ポリマー溶液中に基体を浸漬するディップ法、導電性ポリマー溶液を基体上に滴下して基体を回転させて溶液を拡げるスピンコート法などの種々の手法を例示できる。基体上の導電性ポリマー溶液の硬化法は、加熱により有機溶剤などの溶媒を除去する方法、紫外線などの光や電子線を照射して硬化する方法などを例示できる。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水溶液を得た。
150gのメタノールと12.5gのC12、C13混合高級アルコールグリシジルエーテルを混合した。次いで、製造例2で得た50gのPEDOT−PSSの水溶液を室温で混合撹拌し紺色の析出物を得た。この析出物を濾過回収しメチルエチルケトンに分散させ、約0.5質量%のメチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSを得た。
(実施例1)
X−40−3229(信越化学工業社製シリコーン粘着剤)10gと、製造例3で得られた導電性ポリマー溶液20gと、CAT−PL−50T(硬化触媒)0.05gとを混合して、#2のバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布した。得られた塗膜を130℃で2分間乾燥した後、表面抵抗値を測定した。次に、塗膜を他のPETフィルムと張り合わせた後、20時間室温に静置し、25mm幅に切断して、0.3m/分の速度で180度剥離を行い、剥離強度を測定した。
(実施例2)
実施例1においてバーコーターを#4に変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例3)
実施例2において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液を30gに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例4)
実施例2において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液を40gに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例5)
実施例2において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液を50gに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例6)
実施例1においてX−40−3229をKR3700(信越化学工業社製シリコーン粘着剤)に変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例7)
実施例6においてバーコーターを#4に変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例8)
実施例1においてX−40−3229をKR3701(信越化学工業社製シリコーン粘着剤)に変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(実施例9)
実施例8においてバーコーターを#4に変えたこと以外は同様にして測定を行った。
実施例2において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液をメチルエチルケトンに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(比較例2)
実施例7において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液をメチルエチルケトンに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(比較例3)
実施例9において製造例3で得られた導電性ポリマー溶液をメチルエチルケトンに変えたこと以外は同様にして測定を行った。
(表面抵抗率)
三菱化学社製ハイレスタMCP−HT450を用い、プローブMCP−HTP12、印加電圧10Vで測定した。
(剥離強度)
厚さ38μmのPETフィルムに、得られた塗料(粘着剤とも称する)を、バーコーターによって塗布し、130℃の熱風式乾燥機中で2分間加熱して粘着層を形成した。次に、粘着層の表面に2.5cm×15cmのポリエステルフィルム(商品名:ルミラーT−60、東レ(株)製)を載せ、次いで、その粘着テープ上で2kgのローラーを用いて圧着し、粘着層にポリエステルフィルムを貼り合せた。その後、室温で20時間放置し、試験片を作製した。そして、引張試験機を用いて、粘着層からポリエステルフィルムを180度の角度で剥離(剥離速度0.3m/分)し、粘着力を測定した。
表1に、各種実施例及び各種比較例の評価結果を示す。表中、「OVER」は、測定上限値以上を意味する。
Claims (8)
- (a)π共役系導電性高分子と、
(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、
(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、
(d)シリコーン粘着剤と、
(e)有機溶剤と、
を含む導電性ポリマー溶液。 - 前記(d)シリコーン粘着剤が付加硬化型のものであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー溶液。
- 前記(d)シリコーン粘着剤が電子線硬化型のものであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー溶液。
- 前記(a)π共役系導電性高分子が、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の導電性ポリマー溶液。
- 前記(a)π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはポリピロールであることを特徴とする請求項4に記載の導電性ポリマー溶液。
- 前記(b)ポリアニオンが、スルホン酸基、リン酸基およびカルボキシル基から選択される1種若しくはそれ以上の混合物であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性ポリマー溶液。
- 前記(b)ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸アルキレンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)またはそれらの1種以上を共重合構成体として含むものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導電性ポリマー溶液。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性ポリマー溶液を基体上に供給して硬化させてなる導電性塗膜。
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