JP2016023250A - 光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた光半導体装置 - Google Patents

光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物の透明性を損なうことなく良好な離型性を有する光半導体素子用熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂、(B)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つのエポキシ樹脂、(C)酸無水物硬化剤、(D)硬化促進剤 及び(E)グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルの混合物である離型剤
を必須成分とする光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物の透明性を損なうことなく良好な離型性を有する光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及びそれを用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置に関する。
LED(Light Emitting Diode)等の光半導体素子は、街頭ディスプレイや自動車ランプ、住宅用照明など種種のインジケータや光源として利用されるようになっている。また、光半導体素子は二酸化炭素削減や省エネルギーをキーワードとして、各分野で応用した製品の開発が急速に進んでいる。
LED等各種光半導体素子を封止するための封止材料としては、その硬化物が透明性、耐湿性、耐熱性並びに耐光性が優れていなければならないという観点から、一般的に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂とともに酸無水物系の硬化剤とを用いた熱硬化性エポキシ樹脂が用いられている(特許文献1)。
しかしながら、上記のようなエポキシ樹脂組成物をはじめ、光半導体封止用エポキシ樹脂を成形するとこれが成形金型に強固に付着するという問題がある。すなわち、このような光半導体封止用エポキシ樹脂を金型成形すると得られた樹脂組成物の硬化物が成形金型に強固に密着するために、成形したパッケージを成形金型から取り出すことが著しく困難になるという問題がある。
上記のような問題を解決するため、末端にエステルやカルボン酸、金属エステルを持つポリエーテル型の離型剤を使用した開発が報告されている(特許文献2)。しかし、この離型剤を用いると、硬化物の透明性には優れるものの、連続成形性には乏しいといった問題があった。
特開平7−309927号公報 特開平9−208805号公報
従って、本発明の目的は、硬化物の透明性を損なうことなく良好な離型性を有する光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及びそれを用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂と酸無水物硬化剤及び硬化促進剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物に特定の離型剤を用いれば、硬化物の透明性を損なうことなく良好な離型性を有する光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
<1>
(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂、
(B)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つのエポキシ樹脂、
(C)酸無水物硬化剤、
(D)硬化促進剤 及び
(E)離型剤
を必須成分とし、該(E)成分の離型剤が、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルの混合物であることを特徴とする光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
を提供するものである。
さらに本発明は、<1>記載の光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて光半導体素子をトランスファー成型して封止してなる光半導体装置を提供するものである。
本発明によれば、硬化物の透明性を損なうことなく良好な離型性を有する光半導体素子用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び該組成物の硬化物で受光素子その他の光半導体素子を封止した光半導体装置を提供することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
まず、光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物の各成分について説明する。
<(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂>
本発明で用いられる(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂は、(B)成分及び (C)成分と共に溶融混合して使用する。(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂を用いることで熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物は透明性が向上し、経時劣化の少ない半導体発光装置を実現することができる。かかるトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリアジン核誘導体エポキシ樹脂が好ましい。特にイソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂は、耐光性や電気絶縁性に優れており、1つのイソシアヌレート環に対して、2価の、より好ましくは3価のエポキシ基を有することが望ましい。具体的には、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート、トリス(α−メチルグリシジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で用いるトリアジン誘導体エポキシ樹脂は、軟化点が40〜125℃であるものが好ましい。なお、本発明において、このトリアジン誘導体エポキシ樹脂としては、トリアジン環を水素化したものは包含しない。
<(B)(A)以外の特定のエポキシ樹脂>
本発明では、(A)成分のトリアジン誘導体エポキシ樹脂以外に(B)成分のエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つのエポキシ樹脂を使用する。(B)成分を加えることで、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の靭性を向上させ、且つ経時劣化の少ない半導体発光装置を実現することができる。
<(C)酸無水物>
本発明で用いられる(C)成分の酸無水物は、硬化剤として作用するものであり、耐光性を与えるために非芳香族化合物であり、且つ炭素−炭素二重結合を有さないものが好ましく、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などが挙げられ、これらの中でもヘキサヒドロ無水フタル酸及び/またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
((A)成分と(B)成分の総エポキシ基のモル数)/((C)酸無水物のモル数)は0.6〜2.0モルが好ましく、特に0.8〜1.6モルが好ましい。これが0.6未満では未反応硬化剤が硬化物中に残り、得られる硬化物の耐湿性を悪化させる場合がある。また2.0を超えると硬化不良が生じ、信頼性が低下する場合がある。
(A)成分と(B)成分の比率は、質量比で(A):(B)=40:60〜90:10が好ましい。この範囲より(A)成分が多いと硬化物の吸湿性が高く、さらに硬化物が脆くなりやすくなる。逆に(A)成分が少ないと耐熱性や耐光性が低下しやすくなる。特に好ましくは(A):(B)=50:50〜80:20である。
<(D)硬化促進剤>
(D)成分の硬化促進剤は熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させるために配合するものである。硬化促進剤の種類としては、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものが使用でき、特に限定されないが、第三級アミン類、イミダゾール類、それらの有機カルボン酸塩、有機カルボン酸金属塩、金属−有機キレート化合物、芳香族スルホニウム塩、有機ホスフィン化合物類、ホスホニウム化合物類等のリン系硬化触媒、これらの塩類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、イミダゾール類、リン系硬化触媒、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾールや1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェイト、第三級アミンのオクチル酸塩が更に好ましい。
硬化促進剤の使用量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和に対して0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなったり、成形時の硬化が非常に遅く又は速くなるおそれがある。
<(E)離型剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、特定の離型剤を配合する。(E)成分の離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものである。今回、特定の離型剤として、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルの3者を使用する。
離型剤は、一般的にカルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスなどが使用されてきたが、これら離型剤は熱硬化性エポキシ樹脂には完全には相溶せず、表面に滲み出てくるために熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物の透明性が損なわれる。逆に相溶性の高い離型剤を用いると硬化物の透明性は向上するものの、離型性は乏しくなるという問題があった。
今回、特定の離型剤として、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルを使用することで、相溶性、離型性のバランスが良くなり高い離型性を有しながら透明性の高い硬化物が得られることが分かった。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベへネート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノラウレート、ステアリンジステアレート、グリセリンジベへネート、グリセリンジオレートなどが挙げられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノベへネートなどが挙げられる。
高級アルコール脂肪酸エステルとしては、ステアリルステアレート、ラウリルステアレート、ラウリルラウリレート、ステアリルベへネートなどが挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルの配合比率としては質量比でグリセリン脂肪酸エステルを1.0とした場合、プロピレングリコール脂肪酸エステルが好ましくは1.0〜10.0、特に好ましくは、3.0〜7.0、高級アルコール脂肪酸エステルが好ましくは1.0〜5.0、特に好ましくは、1.0〜3.0である。この範囲を外れると硬化物の透明性が損なわれたり、良好な離型性が得られなくなることがある。
(E)成分の離型剤の添加量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和に対して、0.50〜10.0質量%とすることが好ましく、特には1.0〜7.0質量%とすることが好ましい。添加量が0.50質量%未満では、十分な離型性を得られない場合があり、10.0質量%を超えると、沁み出し不良や接着性不良等が起こる場合がある。
本発明の組成物には、上記(A)〜(E)成分に加え、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の透明性を損なわない範囲であれば必要に応じて更に下記の成分などを配合してもよい。
(F)酸化防止剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、初期反射率向上及び長期での反射率維持のために(F)酸化防止剤を配合することができる。(F)成分の酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系酸化防止剤を使用でき、酸化防止剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、トリフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホネート等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジウラリルチオプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、ジベンジルジサルフィド、トリスノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和に対して0.01〜10質量%、特に0.03〜8質量%とすることが好ましい。配合量が少なすぎると十分な耐熱性が得られず、硬化物が変色する場合があり、多すぎると硬化阻害を起こし、十分な硬化性、強度を得ることができない場合や酸化防止剤自体の劣化により硬化物が変色する場合がある。
(G)カップリング剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、リードフレームなどの金属基材との接着強度を高めるため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。なお、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に熱樹脂が変色するものは好ましくない。カップリング剤の表面処理方法については特に制限されるものではなく、常法により適宜決定すればよい。
(G)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和に対して、0.05〜2.0質量%とすることが好ましく、特に0.1〜1.5質量%とすることが好ましい。この配合量が0.05質量%未満であると、基材への接着効果が十分でないことがあり、また2.0質量%を超えると、粘度が極端に低下して、ボイドの原因になる可能性がある。
(H)補強材
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は室温や熱時での強度向上や成形時のクラック抑制のために(H)成分として補強材を配合することができる。
このような補強材としては通常エポキシ樹脂組成物に配合されるようなものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミ二ウム、ガラス繊維などが挙げられるが、硬化物との屈折率の差が小さいガラス繊維が好ましく、中でも不純物濃度が低いガラス繊維が好ましい。
ガラス繊維の平均直径は5.0〜25.0μmのものが好ましく、特に、8.0〜15.0μmが好ましい。平均直径が細すぎると硬化物への補強効果が少なく機械強度が十分に向上せず、太すぎると外観上不均一に見えてしまうことがある。
ガラス繊維の平均長さとしては50〜400μm、好ましくは60〜300μmである。短すぎると硬化物への補強効果が少なく硬化物の機械強度が十分に向上せず、長すぎると成形時に金型のゲート部やランナー部で詰まりを起こしたり、外観上不均一に見えてしまう。
(H)成分の配合量は、(A)成分に対して、0.5〜10質量%とすることが好ましい。多すぎると透明性が大きく低下し、期待する光取り出し効率が得られなくなることがある。
その他の添加剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、更に硬化物の透明性を低下させない範囲で必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々のシリコーンパウダー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム等の添加剤などを本発明の効果を損なわない範囲で添加配合することができる。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、上記(A)〜(E)成分及び必要に応じて(F)〜(H)成分やその他の添加物等を所定の割合で配合する。これを溶融混合し、冷却する。液状やペースト状として使用する場合はこのまま使用できるが、固形状として使用する場合は熟成工程を経るか少なくとも(A)〜(C)成分をプレポリマー化し、適当な大きさに粉砕して必要に応じて打錠することで熱硬化性エポキシ樹脂組成物の成形材料とする。このプレポリマー化の際、成分の投入順は問題なく、例えば(A)、(B)及び(C)成分をプレポリマー化させる際に予め(F)成分等を投入しておいても構わない。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体素子の封止は、トランスファー成型等の公知のモールド方法により行なうことができる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃で成形時間30〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間90〜300秒で行うことが好ましい。更に、後硬化を150〜185℃で0.5〜20時間行ってよい。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物は、厚み1mmにおいて、分光光度計の測定により、600nmの光透過率が70%以上のものが好ましく、特に好ましくは80%以上である。このような光透過率の硬化物を得るには、各成分の分散性を上げ、互いの成分が相溶するまで溶融混合すればよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
<(A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂>
(A−1)トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC−S:日産化学(株)製商品名、エポキシ当量100)
<(B)(A)成分以外のエポキシ樹脂>
(B−1)固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−1001:三菱化学(株)製商品名、エポキシ当量475)
(B−2)固形脂環式エポキシ樹脂(EHPE−3150:ダイセル化学工業(株)製商品、エポキシ当量170)
(B−3)液状脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021P:ダイセル化学工業(株)製商品、エポキシ当量135)
<(C)酸無水物>
(C−1)メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH:新日本理化(株)製商品名、酸無水物当量168)
<(D)硬化促進剤>
(D−1)イミダゾール系硬化触媒;2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成工業(株)製商品名)
<(E)離型剤>
(E−1)グリセリンモノステアレート(ポエムV−100:理研ビタミン(株)製商品名)
(E−2)プロピレングリコールモノパルミテート(リケマールPP−100:理研ビタミン(株)製商品名)
(E−3)ステアリルステアレート(リケマールSL−800:理研ビタミン(株)製商品名)
(E−4)カルナバワックス(TOWAX−131:東亜化成(株)商品名)
(E−5)酸化ポリエチレンワックス(H−22:クラリアントジャパン(株)製商品名)
(E−6)エステルワックス(LICOWAX E:クラリアントジャパン(株)製商品名)
(実施例1〜5、比較例1〜10)
後記の表1に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を同表に示す割合で配合し、85℃に加熱したゲートミキサー内にて10分間溶融混合し、冷却させることで固形〜ペースト状のエポキシ樹脂組成物を得た。
これらの組成につき、以下の諸特性を下記の如く測定した。結果を表1に示す。
成形物の透明性
熱硬化性エポキシ樹脂をトランスファー成型した後の成形片を以下の基準で評価した。
○:成形後、成形片は透明であった。
×:成形後、成形片は濁っていた。
光透過率
成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm、成形時間120秒の条件で、厚さ1mmのシート型硬化物を作成し、分光光度計U−4100(日立ハイテック社製)にて600nmの光透過率を測定した。
室温での曲げ強度、曲げ弾性率
JIS−K6911規格に準じた金型を使用して、成型温度175℃、成型圧力6.9N/mm、成形時間120秒の条件で成形し、180℃、1時間ポストキュアーした。ポストキュアーした試験片を室温(25℃)または高温(260℃)にて、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
連続成形性
50×50mmのMAP方式パッケージ(AgメッキされたCuフレーム)を、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm、成形時間120秒の条件で連続して成型し、キャビィティ部の離型性、ランナー折れ、バリ部の付着状態の観察を行った。キャビィティ部から樹脂が離型しなかった場合、ランナーが折れた場合、バリ部が付着するまでの成形数をカウントした。
Figure 2016023250
表1の結果から、特定の離型剤の組み合わせのものを使用すると硬化物の高い透明性及び高い離型性、連続成形性を有することを確認した。離型剤の単独使用では透明性、離型性の両立が困難であることを確認した。

Claims (2)

  1. (A)トリアジン誘導体エポキシ樹脂、
    (B)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つのエポキシ樹脂、
    (C)酸無水物硬化剤、
    (D)硬化促進剤 及び
    (E)離型剤
    を必須成分とし、該(E)成分の離型剤が、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び高級アルコール脂肪酸エステルの混合物であることを特徴とする光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の光半導体素子封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて光半導体素子をトランスファー成型して封止してなる光半導体装置。
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