以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係るドア位置検出装置Dは、車両用空調装置の開閉機構80に適用されている。まず、図1及び図2を参照しながら、開閉機構80の構成について説明する。
開閉機構80は、車両用空調装置において風向を調整する装置であり、ドア81と、ケース82と、アクチュエータ89と、を有している。
ドア81は、板81aと、軸81bと、を有している。板81aは樹脂製で、厚さ寸法が他の寸法に比べて小さく、幅方向に大きく延びた平板状に形成されている。軸81bは、板81aと一体的に形成され、板81aの一端部において幅方向に延びる円柱状の部材である。また、軸81bは、板81aの幅方向の両端から突出するように形成されている。
ケース82は、車両用空調装置の風路の一部を構成する樹脂製の部材である。ケース82は、鉛直方向に延びる側面板82aと、側面板82aの上端から水平方向に延びる上面板82bと、を有しており、正面視で略L字状を呈している。側面板82a及び上面板82bは、いずれも平板状に形成されている。側面板82aは、その厚さ方向(水平方向)に貫通する貫通孔82cが形成されている。
ドア81は、その軸81bが、ケース82の貫通孔82cに挿通されている。また、板81aの端部のうち、ケース82の側面板82a側の端部81a1は、側面板82aと間隔dを隔てて対向している。これにより、ドア81は、軸81bを中心として回動可能となるようにケース82に支持されている。すなわち、ドア81は、軸81bとは反対側の端部が移動可能となっている。
アクチュエータ89は、外部から電力の供給及び制御信号を受けて作動する電動アクチュエータである。アクチュエータ89は、ケース82の側面板82aの外側面のうち、ドア81の板81aが配置される側とは反対側の面に取り付けられている。アクチュエータ89は、その内部にサーボモータや、サーボモータの出力軸に対し接続された減速機構等が配置されている(図2では簡便のためにアクチュエータ89の断面の図示を省略している)。アクチュエータ89は、貫通孔82cを挿通しているドア81の軸81bを受容している。
以上のように構成された開閉機構80では、アクチュエータ89が、空調装置の制御装置であるECU90から制御信号を受けることで、サーボモータが所定方向へのトルクを発生させる。当該トルクは、サーボモータの出力軸から減速機構を介して軸81bに伝達され、軸81bを中心としてドア81を回動させる。
回動し、所定の位置で停止したドア81は、その停止姿勢において、外側面に沿って空気を流すことで、空気が流れる方向を変更したり、空気が流れないように風路を閉止したりすることができる。ドア81の端部81a1と、側面板82aと、の間隔d(図2参照)は、ドア81が回動する間も略一定に保たれる。
続いて、図1乃至図3を参照しながら、以上のように構成された開閉機構80に適用されるドア位置検出装置Dについて説明する。ドア位置検出装置Dは、第1固定電極11と、第2固定電極12と、移動電極20と、給電回路30と、位置検出部91と、を備える。
第1固定電極11は、金属製で平板状の電極であり、ケース82の側面板82aに設けられている。詳細には、図2に示されるように、第1固定電極11はモールド成形により側面板82aの内部に埋め込まれるようにして設けられている。第1固定電極11は、側面板82aの貫通孔82cの下方に設けられ、貫通孔82cの周囲で周方向に延び、その外形は側面視で略円弧状を呈している。第1固定電極11は、その円弧の一端部11aから他端部11bにかけて、その径方向寸法が漸次増加するように形成されている。
第2固定電極12は、金属製で平板状の電極であり、第1固定電極11同様に、モールド成形によりケース82の側面板82aの内部に埋め込まれるようにして設けられている。第2固定電極12は、第1固定電極11の外周側に設けられ、貫通孔82cの周囲で周方向に延び、その外形は側面視で略円弧状を呈している。第2固定電極12は、その円弧の一端部12aから他端部12bにかけて、その径方向寸法が漸次増加するように形成されている。
移動電極20は、金属製で平板状の電極であり、ドア81に設けられている。詳細には、移動電極20はモールド成形により板81aの内部に埋め込まれるようにして設けられている。図2に示されるように、移動電極20は、第1固定電極11と対向する部分である第1対向部分21と、第2固定電極12と対向する部分である第2対向部分22と、第1対向部分21と第2対向部分22との間の通電部分23と、を有している。
第1固定電極11と、移動電極20の第1対向部分21と、は、第1コンデンサ部C1を構成している。すなわち、第1固定電極11と第1対向部分21とは、所定間隔を隔てて対向配置されることにより、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
同様に、第2固定電極12と、移動電極20の第2対向部分22と、は、第2コンデンサ部C2を構成しており、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
給電回路30は、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2に電圧を印加する回路であり、配線31、32と、容量検出部33(図3参照)と、を有している。図2では、給電回路30の一部のみを図示している。配線31は、第1固定電極11に接続され、配線32は、第2固定電極12に接続されている。容量検出部33は、配線31、32によって電気的に接続される第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量を検出する機器である。
また、移動電極20の第1対向部分21と第2対向部分22との間の通電部分23が、第1コンデンサ部C1と第2コンデンサ部C2とを電気的に接続する機能を果たしている。すなわち、給電回路30は、図3に示されるように、第1コンデンサ部C1と第2コンデンサ部C2とを電気的に直列に接続した閉回路となっている。したがって、給電回路30によって第1コンデンサ部C1と第2コンデンサ部C2とに電圧が印加されると、両者には等しい電荷が蓄えられることになる。
位置検出部91は、ECU90の一機能を指称するものである。位置検出部91は、容量検出部33の検出結果を用いてドア81の位置の検出を行う。
本ドア位置検出装置Dでは、ドア81の回動に伴って第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量が変化するように構成されている。そして、位置検出部91は、この第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量に基づいて、ドア81の位置を検出する。
以下、このドア81の位置の検出方法について詳述する。まず、前述したように、第1固定電極11及び第2固定電極12は、それぞれの一端部11a、12aから他端部11b、12bにかけて、径方向寸法が漸次増加するように形成されている。このため、ドア81が回動すると、第1固定電極11及び第2固定電極12のうち、移動電極20と対向している部分の面積が変化する。つまり、側面視において、第1固定電極11及び第2固定電極12と、移動電極20とが重合している部分の面積が変化する。当該部分の面積は、ドア81が一端部11a、12a寄りの位置にある場合は比較的小さく、ドア81が他端部11b、12b寄りの位置にある場合は比較的大きくなる。
したがって、ドア81が一端部11a、12a側から他端部11b、12b側に回動するのに伴って、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量が大きくなる。第1固定電極11及び第2固定電極12は、それぞれの円弧の一端部11a、12aから他端部11b、12bにかけて径方向寸法が単調に増加するため、それぞれの静電容量は、ドア81の位置に対応して一義的に決定される。
給電回路30の容量検出部33は、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2に交流電圧を印加するとともに、その際のインピーダンスを検出することで、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量を検出する。
ECU90の位置検出部91には、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量と、ドア81の位置とを対応させたマップが予め記憶されている。位置検出部91は、このマップ、及び、容量検出部33で検出された静電容量に基づいて、ドア81の位置の検出を行う。ECU90は、検出したドア81の位置に基づいてアクチュエータ89を駆動させるフィードバック制御を行うことで、ドア81の位置を高精度で制御することが可能となる。
以上のように、ドア位置検出装置Dでは、移動電極20は、ドア81の移動可能な部分で且つケース82と間隔dを隔てて対向する部分に設けられる。更に、第1固定電極11と移動電極20(第1対向部分21)とを有する第1コンデンサ部C1と、第2固定電極12と移動電極20(第2対向部分22)とを有する第2コンデンサ部C2と、は、ドア81の移動に伴って静電容量が変化するように構成されており、位置検出部91は、第1コンデンサ部C2及び第1コンデンサ部C2の静電容量に基づいてドアの位置を検出する。
したがって、ドア81の移動に伴い、第1固定電極11及び第2固定電極12と移動電極20とが互いに干渉することが無いため、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2を摩耗の影響を受けない信頼性の高いものにするとともに、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量に基づいてドア81の位置の検出を高精度で行うことが可能となる。
尚、本実施形態では、第1固定電極11及び第2固定電極12のいずれもが、円弧の一端部11a、12a側から他端部11b、12b側にかけて、その径方向寸法が漸次大きくなるように形成されたものとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、第1固定電極11及び第2固定電極12の一方のみが、その径方向寸法が大きくなるように形成してもよい。
また、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2、その静電容量がドア81の位置に対応して一義的に決定されるように構成されている。したがって、位置検出部91において、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量と、ドア81の位置とを対応させたマップに基づいてドア81の位置を特定する等、簡易な方法でドア81の位置を検出することが可能となる。
また、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2は、ドア81の移動に伴って移動電極20と第1固定電極11及び第2固定電極12との互いに対向する部分の面積が変化するように構成されている。例えば、第1コンデンサ部C1の静電容量を変化させる方法としては、第1固定電極11と、移動電極20の第1対向部分21との間隔を変化させるものが考えられる。しかしながら、このような方法では、ドア81にガタつきが生じた場合等に、静電容量が無為に変化してドア81の位置の検出精度が低下するばかりでなく、第1固定電極11と第1対向部分21とが干渉し、摩耗するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、ドア81の移動に伴って移動電極20と第1固定電極11及び第2固定電極12との互いに対向する部分の面積が変化するように構成したことで、ドア81にガタつきが生じた場合等でも、ドア81の位置の検出精度の低下を抑制するとともに、第1固定電極11と第1対向部分21とが干渉と摩耗を抑制することが可能となる。
また、第1固定電極11及び第2固定電極12は、ケース82によって回動可能に支持されたドア81の回動中心の周囲で周方向に延びるように形成され、周方向の一端部11a、12a側から他端部11b、12b側にかけて電極面積が大きくなるように形成されている。したがって、簡便な構成としながらも、ドア81の回動に伴って、第1コンデンサ部C1及び第2コンデンサ部C2の静電容量を変化させることが可能となる。
また、第1固定電極11は、移動電極20の第1対向部分21と対向して第1コンデンサ部C1を構成し、第2固定電極12は、移動電極20の第2対向部分22と対向して第2コンデンサ部を構成している。さらに、給電回路30は、第1固定電極11及び第2固定電極12に配線することで、第1コンデンサ部C1と第2コンデンサ部C2とを電気的に直列に接続してなる。したがって、ドア81とともに回動(移動)する移動電極20に対して配線することなく給電回路30を閉回路とすることができ、信頼性を更に向上させることが可能となる。
また、第1固定電極11及び第2固定電極12は、ケース82に埋め込まれているとともに、移動電極20は、ドア81に埋め込まれている。したがって、ドア81にガタつきが生じた場合等でも、第1固定電極11及び第2固定電極12と移動電極20とが干渉し、摩耗することを抑制することが可能となる。
尚、本実施形態では、第1固定電極11及び第2固定電極12と、移動電極20と、のいずれもが、ケース82又はドア81に埋め込まれたものとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、第1固定電極11及び第2固定電極12と、移動電極20と、の一方のみを、ケース82又はドア81に埋め込まれたものとしても、第1固定電極11及び第2固定電極12と移動電極20との干渉や摩耗を抑制することが可能である。
続いて、本発明の第2実施形態に係るドア位置検出装置DAについて、図4を参照しながら説明する。この第2実施形態は、適用される開閉機構80Aの構成が、前述した実施形態の開閉機構80と異なっており、ドア位置検出装置DAの構成も、それに対応したものとされている。前述した実施形態と同一の構成については適宜同一の符号を付して、説明を省略する。まず、開閉機構80Aの構成について説明する。
開閉機構80Aは、車両用空調装置において風路の開度調整を行う装置であり、ドア83と、ケース84と、を有している。
ドア83は、略扇形で同一形状の側面板83b,83cと、側面板83b,83cの間に設けられる矩形の正面板83aと、を有している。正面板83aは、側面板83b,83cの扇形の弧に沿って湾曲している。側面板83b,83cの扇形の要の位置から突出するように、軸83d,83dが設けられている。
ケース84は、車両用空調装置の風路の一部を構成する樹脂製の部材である。ケース84は、互いに間隔を隔てて略平行に配置された矩形の側面板84a,84bと、側面板84a,84bの間に設けられる矩形の正面板84c、背面板84dと、を有している。これにより、ケース84の下端には、矩形の第1開口84fが形成されている。
また、ケース84は、側面板84a,84b及び正面板84c、背面板84dの上端部を覆う上面板84eを有している。上面板84eは、上方に向けて突出するように円弧状に湾曲している。上面板84eのうち正面板84c寄りの部分には、矩形の第2開口84gが形成されている。これにより、ケース84の内部には、第1開口84fと第2開口84gとを連通する風路が形成されている。
ドア83は、ケース84の内部に配置され、その軸83d,83dをケース84の側面板84a,84bによって支持される。ドア83の側面板83bとケース84の側面板84aとは、所定の間隔を隔てて対向している。また、ドア83の側面板83cとケース84の側面板84bとは、所定の間隔を隔てて対向している。これにより、ドア83は、アクチュエータ(不図示)の出力軸から伝達されるトルクにより、軸83d,83dを中心として、ケース84の内部で回動可能とされている。すなわち、ドア83は、ケース84の第2開口84gを完全に閉止する位置と、第2開口84gを全て開放する位置との間で回動可能である。
回動し、所定の位置で停止したドア83は、その停止姿勢において、第2開口84gの開度を調整したり、第2開口84gを閉止したりすることができる。ドア83の側面板83cとケース84の側面板84bとの間隔は、ドア83が回動する間も略一定に保たれる。
引き続いて、図4を参照しながら、以上のように構成された開閉機構80Aに適用されるドア位置検出装置DAについて説明する。ドア位置検出装置DAは、固定電極10Aと、移動電極20Aと、給電回路30と、位置検出部91と、を備える。給電回路30と、位置検出部91と、は前述した実施形態のものと同様であるため、図4では図示を省略している。
固定電極10Aは、金属製で平板状の電極であり、図4(B)に示されるように、側面板84bに設けられている。詳細には、固定電極10Aはモールド成形により側面板84bの内部に埋め込まれるようにして設けられている。固定電極10Aは、側面板84bのうち上面板84e寄りの位置に設けられ、その外形は、上面板84eに沿って側面視で略円弧状を呈している。
移動電極20Aは、金属製で平板状の電極であり、ドア83に設けられている。詳細には、移動電極20Aはモールド成形により側面板83cの内部に埋め込まれるようにして設けられている。移動電極20Aは、側面板83cのうち正面板83a寄りの位置に設けられ、その外形は、正面板83aに沿って側面視で略円弧状を呈している。
固定電極10Aと、移動電極20Aと、は、コンデンサ部CAを構成している。すなわち、固定電極10Aと、移動電極20Aと、は、所定間隔を隔てて対向配置されることにより、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
本ドア位置検出装置DAでは、ドア83の回動に伴って、コンデンサ部CAの静電容量が変化するように構成されている。そして、位置検出部91は、このコンデンサ部CAの静電容量に基づいて、ドア81の位置を検出する。
以下、ドア83の位置の検出方法について説明する。まず、ドア83が回動すると、固定電極10Aと移動電極20Aとの互いに対向する部分の面積が変化する。つまり、側面視において、固定電極10Aと移動電極20Aとが重合する部分の面積が変化する。当該部分の面積は、ドア83がケース84の第2開口84gを完全に閉止する位置ではゼロであり、ドア83が第2開口84gを開放するのに伴って大きくなる。
したがって、ドア83が、第2開口84gを開放する方向に回動するのに伴って、コンデンサ部CAの静電容量が大きくなる。このコンデンサ部CAの静電容量は、ドア83の位置に対応して一義的に決定される。
給電回路30の容量検出部33は、コンデンサ部CAに交流電圧を印加するとともに、インピーダンスを検出することで、コンデンサ部CAの静電容量を検出する。
ECU90の位置検出部91には、コンデンサ部CAの静電容量と、ドア83の位置とを対応させたマップが予め記憶されている。位置検出部91は、このマップ、及び、容量検出部33で検出された静電容量に基づいて、ドア83の位置の検出を行う。ECU90は、検出したドア83の位置に基づいてアクチュエータを駆動させるフィードバック制御を行うことで、ドア83の位置を高精度で制御することが可能となる。
続いて、本発明の第3実施形態に係るドア位置検出装置DBについて、図5及び図6を参照しながら説明する。この第3実施形態は、適用される開閉機構80Bの構成が、前述した実施形態の開閉機構80,80Aと異なっており、ドア位置検出装置DBの構成も、それに対応したものとされている。前述した実施形態と同一の構成については適宜同一の符号を付して、説明を省略する。まず、開閉機構80Bの構成について説明する。
開閉機構80Bは、車両用空調装置において風路の開度調整を行う装置であり、ドア85と、ケース86と、駆動軸88と、を有している。
ドア85は、板85aと、ラック85b,85cと、を有している。板85aは樹脂製で、厚さ寸法が他の寸法に比べて小さく、幅方向に大きく延びた平板状に形成されている。ラック85b,85cは、板85aの上面であって、幅方向の両端部寄りの位置にそれぞれ設けられている。
ケース86は、車両用空調装置の風路の一部を構成する樹脂製の部材である。ケース86は、図5に示されるように、互いに間隔を隔てて略平行に配置された矩形の側面板86a,86bと、側面板84a,84bの間に設けられる矩形の正面板86c、背面板86dと、を有している。また、ケース86は、その下部において、側面板84a,84bの間に跨るように略水平に延びる仕切板86eを有している。これにより、ケース86の内部には、上端の矩形の流入口860と、下端の矩形の第1流出口861及び第2流出口862とを連通する風路が形成されている。
ケース86の側面板86aの内側面には、側面板86b側に向かって突出する上側レール871及び下側レール872が設けられている。上側レール871及び下側レール872は、いずれも正面板86c、背面板86dの間に跨るように略水平に延びている。また、ケース86の側面板86bの内側面にも、側面板86b側に向かって突出する上側レール873及び下側レール874が設けられている。上側レール873及び下側レール874も、いずれも正面板86c、背面板86dの間に跨るように略水平に延びている。
ドア85は、その幅方向の一方の端部が、上側レール871と下側レール872との間に挿入され、他方の端部が、上側レール873と下側レール874との間に挿入されている。これにより、ドア85は、幅方向の両端部を支持された状態でケース86の内部であって、仕切板86eよりも上方に配置されている。
駆動軸88は、軸部材88aと、ピニオンギア88b,88cと、を有している。軸部材88aは、金属製で円柱状の部材であり、ドア85よりも上方においてケース86の幅方向に延びている。また、軸部材88aは、その一端が側面板86aによって支持され、他端が側面板86bによって支持されることで、円柱の軸を中心として回動可能とされている。ピニオンギア88b,88cは、いずれも軸部材88aに対して固定され、軸部材88aとともに回動可能とされている。ピニオンギア88bは、ドア85のラック85bと噛合し、ピニオンギア88cは、ラック85cと噛合している。
以上のように構成された開閉機構80Bでは、アクチュエータ(不図示)のサーボモータの出力軸から伝達されるトルクにより、駆動軸88がケース86の内部で回動可能とされている。駆動軸88が回動すると、ドア85は、ピニオンギア88b,88cと噛合しているラック85b,85cにおいて水平方向の力を受ける。これにより、ドア85は、ケース86の内部において、上側レール871と下側レール872、及び、上側レール873と下側レール874に沿って水平方向にスライドするように移動する。ドア85は、ケース86の背面板86dと当接して第2流出口862の上方を閉止する位置(図5及び図6に示される位置)と、ケース86の正面板86cと当接して第1流出口861の上方を閉止する位置と、の間で移動可能である。
移動し、所定の位置で停止したドア85は、その停止姿勢において、ケース86の第1流出口861及び第2流出口862の一方のみを開放したり、第1流出口861と第2流出口862との開度の比を調整したりすることができる。
引き続いて、図5及び図6を参照しながら、以上のように構成された開閉機構80Bに適用されるドア位置検出装置DBについて説明する。ドア位置検出装置DBは、第1固定電極11Bと、第2固定電極12Bと、第1移動電極21Bと、第2移動電極22Bと、給電回路30と、位置検出部91と、を備える。給電回路30と、位置検出部91と、は前述した実施形態のものと同様であるため、図5及び図6では図示を省略している。
第1固定電極11Bは、金属製で平板状の電極であり、図6に示されるように、ケース86の上側レール871に設けられている。詳細には、第1固定電極11Bはモールド成形により上側レール871の内部に埋め込まれるようにして設けられている。第1固定電極11Aは、上側レール871のうち正面板86c寄りの位置に設けられ、上側レール871に沿って水平方向に延びるように形成されている。
第2固定電極12Bは、金属製で平板状の電極であり、図6に示されるように、ケース86の下側レール872に設けられている。詳細には、第2固定電極12Bはモールド成形により下側レール872の内部に埋め込まれるようにして設けられている。第2固定電極12Bは、下側レール872のうち正面板86c寄りの位置に設けられ、下側レール872に沿って水平方向に延びるように形成されている。
第1移動電極21B及び第2移動電極22Bは、いずれも金属製で平板状の電極であり、図6に示されるように、ドア85に設けられている。詳細には、第1移動電極21B及び第2移動電極22Bは、モールド成形によりドア85の板85aの内部であって、上側レール871と下側レール872とで上下方向に挟まれる位置に、埋め込まれるようにして設けられている。第1固定電極11B及び第2固定電極12Bは、板85aの内部において電気的に接続されている。
第1固定電極11Bと、第1移動電極21Bと、は、第1コンデンサ部C1Bを構成している。すなわち、第1固定電極11Bと、第1移動電極21Bと、は、所定間隔を隔てて対向配置されることにより、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
同様に、第2固定電極12Bと、第2移動電極22Bと、は、第2コンデンサ部C2Bを構成している。すなわち、第2固定電極12Bと、第2移動電極22Bと、は、所定間隔を隔てて対向配置されることにより、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
本ドア位置検出装置DBでは、ドア85の移動に伴って、第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bの静電容量が変化するように構成されている。そして、位置検出部91は、このコンデンサ部C1A及びC2Bの静電容量に基づいて、ドア81の位置を検出する。
以下、ドア85の位置の検出方法について説明する。まず、ドア85が移動すると、固定電極11Bと移動電極21Bとの互いに対向する部分の面積が変化する。つまり、平面視において、固定電極11Bと移動電極21Bとが重合する部分の面積が変化する。当該部分の面積は、ドア85がケース86の背面板86dと当接して第2流出口862の上方を閉止する位置(図5及び図6に示される位置)にある場合はゼロであり、ドア85が第2流出口862を開放するのに伴って大きくなる。
同様に、ドア85が移動すると、固定電極12Bと移動電極22Bとの互いに対向する部分の面積も変化する。つまり、平面視において、固定電極12Bと移動電極22Bとが重合する部分の面積が変化する。当該部分の面積も、ドア85がケース86の背面板86dと当接して第2流出口862の上方を閉止する位置(図5及び図6に示される位置)にある場合はゼロであり、ドア85が第2流出口862を開放するのに伴って大きくなる。
したがって、ドア85が、第2流出口862を開放する方向に移動するのに伴って、第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bの静電容量が大きくなる。この第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bの静電容量は、ドア83の位置に対応して一義的に決定される。
給電回路30の容量検出部33は、第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bに交流電圧を印加するとともに、インピーダンスを検出することで、第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bの静電容量を検出する。
ECU90の位置検出部91には、第1コンデンサ部C1B及び第2コンデンサ部C2Bの静電容量と、ドア85の位置とを対応させたマップ(不図示)が予め記憶されている。位置検出部91は、このマップ、及び、容量検出部33で検出された静電容量に基づいて、ドア85の位置の検出を行う。ECU90は、検出したドア85の位置に基づいてアクチュエータ89を駆動させるフィードバック制御を行うことで、ドア85の位置を高精度で制御することが可能となる。
続いて、本発明の第3実施形態の変形例に係るドア位置検出装置DCについて、図7を参照しながら説明する。この変形例は、第3実施形態と同様に開閉機構80Bに適用されるものである。したがって、第3実施形態と同一の構成については適宜同一の符号を付して、説明を省略する。
ドア位置検出装置DCは、第1固定電極11Cと、第2固定電極12Cと、移動電極20と、給電回路30と、位置検出部91と、を備える。給電回路30と、位置検出部91と、は前述した実施形態のものと同様であるため、図7では図示を省略している。
第1固定電極11C及び第2固定電極12Cは、いずれも金属製で平板状の電極であり、ケース86の側面板86aに設けられている。詳細には、第1固定電極11C及び第2固定電極12Cは、モールド成形により側面板86aの内部に埋め込まれるようにして設けられている。第1固定電極11C及び第2固定電極12Cは、側面板86aの内部のうち、上側レール871と下側レール872の間の位置に設けられ、上側レール871及び下側レール872に沿って水平方向に延びるように形成されている。
移動電極20Cは、金属製で平板状の電極であり、ドア85の板85aに設けられている。詳細には、移動電極20Cはモールド成形により板85aの内部に埋め込まれるようにして設けられている。移動電極20Cは、板85aの内部のうち、ケース86の側面板86aと対向する端部に設けられ、上側レール871及び下側レール872に沿って水平方向に延びるように形成されている。また、移動電極20Cは、後述するように、第1固定電極11Cと対向する部分である第1対向部分21C(移動電極20Cの上部)と、第2固定電極12Cと対向する部分である第2対向部分22C(移動電極20Cの下部)と、第1対向部分21Cと第2対向部分22Cとの間の通電部分23C(移動電極20Cの中央部)と、を有している。
第1固定電極11Cと、移動電極20Cの第1対向部分21Cと、は、第1コンデンサ部C1Cを構成している。すなわち、第1固定電極11Cと第1対向部分21Cとは、所定間隔を隔てて対向配置されることにより、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
同様に、第2固定電極12Cと、移動電極20Cの第2対向部分22Cと、は、第2コンデンサ部C2Cを構成しており、電圧が印加されて電荷を蓄えたり、放出したりする受動素子を構成している。
本ドア位置検出装置DCでは、ドア85の移動に伴って第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量が変化するように構成されている。そして、位置検出部91は、この第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量に基づいて、ドア85の位置を検出する。
以下、ドア85の位置の検出方法について説明する。まず、ドア85が移動すると、固定電極11Cと移動電極20Cとの互いに対向する部分の面積が変化する。つまり、側面視において、固定電極11Cと移動電極20Cとが重合する部分の面積が変化する。当該部分の面積は、ドア85がケース86の背面板86dと当接して第2流出口862の上方を閉止する位置(図5及び図6に示される位置)にある場合はゼロであり、ドア85が第2流出口862を開放するのに伴って大きくなる。
同様に、ドア85が移動すると、固定電極12Cと移動電極20Cとの互いに対向する部分の面積も変化する。つまり、側面視において、固定電極12Cと移動電極20Cとが重合する部分の面積が変化する。当該部分の面積も、ドア85がケース86の背面板86dと当接して第2流出口862の上方を閉止する位置(図5及び図6に示される位置)にある場合はゼロであり、ドア85が第2流出口862を開放するのに伴って大きくなる。
したがって、ドア85が、第2流出口862を開放する方向に移動するのに伴って、第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量が大きくなる。この第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量は、ドア83の位置に対応して一義的に決定される。
給電回路30の容量検出部33は、第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cに交流電圧を印加するとともに、インピーダンスを検出することで、第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量を検出する。
ECU90の位置検出部91には、第1コンデンサ部C1C及び第2コンデンサ部C2Cの静電容量と、ドア85の位置とを対応させたマップ(不図示)が予め記憶されている。位置検出部91は、このマップ、及び、容量検出部33で検出された静電容量に基づいて、ドア85の位置の検出を行う。ECU90は、検出したドア85の位置に基づいてアクチュエータ89を駆動させるフィードバック制御を行うことで、ドア85の位置を高精度で制御することが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。